第12期研究費部会(第5回) 議事録

1.日時

令和6年2月19日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 科学研究費助成事業等に係る令和5年度補正予算及び令和6年度予算案について
  2. 今期の審議の進め方について
  3. 今後検討すべき課題について
  4. その他

4.出席者

委員

白波瀬部会長、鷹野委員、大竹委員、尾辻委員、塩見委員、城山委員、中野委員、華山委員、山本委員、加藤委員、岸本委員

文部科学省

塩見研究振興局長、田畑学術研究推進課長、松本学術研究推進課企画室長、梅﨑学術研究推進課企画室室長補佐、他関係官

オブザーバー

杉野日本学術振興会理事長、大野日本学術振興会学術システム研究センター所長、岸本日本学術振興会学術システム研究センター副所長、西田日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

【白波瀬部会長】
 時間となりましたので、ただいまより第12期第5回の研究費部会を開催いたします。
 議題に入る前に、事務局より御連絡事項等、お願いいたします。
【松本企画室長】
 前回、11月の部会におきましては、中山先生の御逝去に伴う本部会の部会長代理の指名は、当面行わないという旨をお伝えしておりましたけれども、改めて部会長とも相談させていただきまして、このたび鷹野委員を指名させていただくことになりましたので、報告させていただきます。
 鷹野委員、一言御挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いします。
【鷹野部会長代理】
 ありがとうございます。このたび副部会長ということで御指名いただきました。微力ながら務めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 こちらこそ、鷹野先生、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、本日の議題につきまして、最初に科学研究費助成事業の令和5年度補正予算及び令和6年度予算案の状況について説明をいただきました後、今期の審議の進め方、今後検討すべき課題について御議論いただきたいと思います。事務局より配付資料の確認等をお願いいたします。
【梅﨑企画室長補佐】
 次に事務局から配付資料の確認とオンライン会議の注意事項についてご連絡いたします。資料につきましては、事前にお送りしましたファイルを御参照ください。
 オンライン参加の注意事項でございますが、音声の安定のため、発言時を除き、常時ミュート、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、部会長、委員、オブザーバーを含め、メイン席の方は常時ビデオをオンにしていただくようお願いいたします。その他の方は常時ビデオをオフにお願いいたします。発言される場合は、挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。その際、部会長が指名されますので、ミュート解除、マイクをオンにして、その都度、お名前を発言いただくとともに、オンラインでも聞きやすいよう、はっきり御発言をいただきますようお願いいたします。資料を参照される際には、資料の番号、あとページ番号などを分かりやすくお示しいただきますようお願いいたします。トラブル発生時は電話にて事務局に御連絡くださいますようよろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 それでは、議題に入ります。資料1に基づきまして、科学研究費助成事業に係る令和5年度補正予算及び令和6年度予算案につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
 田畑課長、よろしくお願いいたします。
【田畑学術研究推進課長】
 ありがとうございます。それでは、資料に基づきまして説明させていただきます。資料1を御覧ください。令和6年度の科研費の当初予算案は、2,377億円を計上しており、今年度と同額の金額規模になっております。また、今年度、令和5年度の補正予算につきましては、654億円を措置しているところです。
 内容につきましては、骨子のところに記載しておりますが基金化種目の拡大、また、若手研究者育成に資する研究種目の充実等により、若手研究者への支援を強化することとしています。具体な内容について、1つ目は、若手研究者を含む延べ約4万人の研究者が参画する基盤研究(B)の基金化です。また、若手・子育て世代の研究者がより積極的に産休、育休後に研究に復帰できるよう、研究活動スタート支援の応募要件の緩和、また、支援の充実を図っております。2つ目は、国際共同研究の強化です。こちらにつきましては、国際共同研究、若手の長期海外派遣を強力に推進する国際先導研究の充実を図っております。
 続きまして、こちらは今年度、令和5年度補正予算案の内容でございます。補正予算額は、654億円です。内容につきましては、先ほどと同様でございます。事業内容のところに記載の通り、基盤研究(B)の基金化と国際先導研究は5件程度の採択を予定しております。基盤研究(B)につきましては、この補正予算より、既採択課題における来年度、6年度以降の事業費は全て基金種目として取り扱うことになります。
 続きまして、基金化による効果でございます。そもそも科研費の基金化につきましては、研究事業の特殊性に沿ったもので、研究は一定の研究計画に基づいて実施されるものの、必ずしもその事前に定めた研究計画のとおりに遂行されないという特殊性があること。また、国内外の最新の研究動向を踏まえ、研究計画を臨機応変に見直すといった、いわゆる学術研究の特殊性を踏まえまして、平成23年に造成されたものです。基金化については、基金造成以降、補正予算を活用するなど、順次拡大してきているところです。
 令和5年度の基金の割合、実績につきましては、主な研究種目では、新規採択件数は約81%、約8割に上っております。また、新規の採択金額につきましては約5割となっておりますので、来年度以降、この割合がさらに増すということになります。基金化された種目におきましては、研究期間を通じて会計年度の制約を受けずに研究費を執行することなどが可能となるため、研究の進捗に応じた研究費の柔軟な使用によって、研究の質が高められ、また、研究時間の確保や優れた研究成果の創出につながっていくといったところです。私どもとしましては、引き続き、研究費の使い勝手の向上を含む制度改善、充実を図ってまいりたいと思います。
 この資料に記載している基金の効果につきましては、左上から、研究費の支援期間の間においては、支援総額の中で、自由に年度の繰越しや前倒しができます。いわゆる単年度の補助金ではなかなか難しかったことが、今回、基金制度で柔軟な執行が可能となるというものです。次に右側の研究とライフイベントの両立につきましては、結婚、妊娠、出産、育児などのライフイベントに当たり、研究の一時的な中断や研究の再開後の研究の加速などが可能となります。現在の科研費におきましては、産休、育休の場合につきましては1年から3年の間の期間延長を可能としております。左下の国際共同研究の進展につきましては、日本の会計年度と諸外国の会計年度との違い、またはその単年度の予算制度が、国際共同研究の障壁の一因となっていましたが、基金化によりまして、国際共同研究の実施がより可能になります。
 最後に右下の研究時間の確保についてです。こちら表は繰越の申請の件数を示しています。令和4年度の実績で基盤研究(B)の繰越件数は、3,000件です。この3,000件が基金化によって繰越の手続きが必要なくなります。また、繰越の事務作業につきましては、研究者、先生方以外に研究機関、JSPS、文科省、財務省が、個々の繰越内容を確認する作業を行っておりますので、関係する機関の業務の効率化に資するものと考えています。
 続きまして、男女共同参画推進に向けた科研費における応募要件の緩和について説明します。対象種目としましては、研究活動スタート支援、若手研究の2種目になります。研究活動スタート支援及び若手研究の応募要件につきましては、現在、産前・産後の休暇、また、育児休業の期間を配慮期間としておりましたが、育休からの復帰後に研究と育児の両立を目指す研究者への配慮はなされておりませんでした。今回の緩和については、これまでの産前・産後の休暇、育児休業の期間だけではなく、未就学児の養育期間を新たに配慮期間として追加するという内容のものでございます。こちらにつきましては、来年度から適用させていただきたいと考えております。
 続きまして、国際先導研究の概要と今後の予定でございます。今後の予定につきましては、資料に記載のとおり、第3回目の公募スケジュールについては、既に公募は開始しております。来月13日に公募締切り、3月から11月頃まで審査を行い、今年度11月下旬に交付内定予定です。主な変更点については、採択件数が、これまでの15件から5件程度、また、特別研究員(DC)が研究分担者として参加することを可能としております。
 説明につきましては以上でございます。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして御質問等ございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。挙手等でお知らせください。いかがでしょうか。
 では、中野先生、お願いいたします。
【中野委員】
 御説明、どうもありがとうございます。基盤(B)の基金化はすばらしい取組で、これによって大きな効果が期待できると考えております。もう既に御説明がありましたけれども、挙げられた4つの効果に加えて、例えば大型施設を用いた研究では、施設側の都合で遅れることが多々あります。このような場合、遅延を取り戻すのは非常に困難ですので、科研費のみで実施する研究ではなく、施設側と協力して行っていく研究では、繰越のメリットは非常に大きいと思います。
 さらに、そのような研究では、大型の科研費を使用する研究が多いこと、そして、同じく遅延を取り戻すのが困難な国際共同研究においても、大型の科研費を使用することが多いことを踏まえ、もう既に田畑課長が決意を述べられましたけれども、基盤(B)にとどまらず、(A)(S)、特推と基金化の対象を拡大していっていただけますと非常にありがたいと思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 では、次、大竹先生、お願いいたします。
【大竹委員】
 ありがとうございます。大竹でございます。田畑課長、御説明、ありがとうございました。2,377億円と同程度を維持するということも大変な御努力があった末のことだと拝察しております。その中で現場の立場で申し上げるとすると、人事院勧告もあるということもあって、人件費が増加しているということがあり、また、海外から購入するものというのはかなり高くなっているというのも実際だと思います。つまり、同じ研究を行うのに際してお金がかかるようになっているというのは実感としてあるところでございます。ですので、願わくは総額を来年度、上げられるといいのかなと思うところもあるのですけれども、そういった感触というのは、いかがなものでしょうかという質問でございます。
【白波瀬部会長】
 課長、お願いいたします。
【田畑学術研究推進課長】
 ありがとうございます。将来的のことについては、見えないところがございます。、令和6年度の文科省予算案、または科学技術関係予算案におきましては、その予算規模は、前年度と基本的には同水準です。国の予算につきましては、国の経済と連動しております。現在、国の財政が悪化して赤字状態だということを踏まえると、来年度以降、すぐに国全体の予算総額が伸びるというのは、厳しいのではないかと思っています。国の財政状況を御理解いただきながら、私としましても科研費の充実に向けて最大限努力していきたいと考えております。
【大竹委員】
 ありがとうございます。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。これ、いわゆる人的投資という点ではど真ん中の1つなので、うまくストーリーを作る。ここでも先生方のお知恵をいただいて、何とか少しでもいただけるといいですよね。
【田畑学術研究推進課長】
 ぜひいろいろなお知恵をいただければと思います。よろしくお願いします。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
【田畑学術研究推進課長】
 先ほど中野先生にいただいた御意見について補足させていただきます。科研費の基金化の効果については、具体的な例示を整えたいと考えております。近年、政府全体、他省庁を含めて基金が多く造成されています。基金は複数年にわたって使えるというメリットはある一方、使い道が不明瞭だったり、その管理が疎かだったりという意見もございます。そういった中で、基金の見直しや点検も必要に迫られてくることが想定されます。このことについては、しっかり対応したいと思いますが、具体的な例示を整え、科研費の基金について理解を得たいと考えておりますので、この点につきましては引き続きよろしくお願いしたいと考えております。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 今の点について1点だけ、情報共有というか、失敗例も含めて、やっぱりこういうところで共有させていただいて、マニュアルを作っていただけるとすごく現場の者としては助かるような気がします。よろしくお願いいたします。
 では、鷹野先生、よろしくお願いいたします。
【鷹野部会長代理】
 ありがとうございます。私からは、男女共同参画推進に向けた科研費における応募要件の緩和に関することです。若手・子育て世代の研究者に対する支援ということで大変重要なことと思います。そして、もう既に御計画されているかとは思うのですけれども、検証についてお願いです。女性研究者はもちろん、男性研究者も子育てに関与しているということが最近見られると思います。近くにもそういう方がいらっしゃいますけれども、その辺り今後でどのように成果が上がってくるか。申請者がどれだけいるかとか、そういったデータをきちっと取って、その成果を検証していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【田畑学術研究推進課長】
 ありがとうございます。その点につきまして、しっかりフォローアップしていきたいと思います。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。本部会でも御議論いただきました基盤研究(B)の基金化につきましては、令和5年度補正予算及び令和6年度当初予算案の中に組み込まれまして、予算案の可決、成立を前提に採択済みの研究課題及び来年度以降採択される年間1万件以上の研究課題が基金化されることとなりました。大変大きい意味があったと思います。これはもう既に先生方からも御確認いただいたところであります。研究者、研究機関の事務担当者にとっても大きな前進だと思いますので、引き続き科研費の改善、充実に努めていただければと思います。では、よろしくお願いいたします。
 では、次の議題に移ります。資料2に基づきまして、今期の審議の進め方の修正案につきまして、事務局より説明をお願いいたします。松本室長、お願いいたします。
【松本企画室長】
 今期の審議の進め方でございますけれども、下のほうの審議スケジュールの案のところ、前回、研究費部会でお示ししていたものと少し変更させていただいています。特に次回以降の研究費部会の開催日程、第6回を3月から4月頃、それから、中間まとめは4月から5月頃と少し変更しています。今回の第5回の研究費部会、今日の開催になりましたので、後ろにずれたような形にさせていただいているところです。また研究者のヒアリングについては、必要に応じて対応していきたいということで少し修正させていただいています。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、資料2の今期の審議の進め方、いわゆる修正案につきまして御意見、御質問等ございましたら、どうかよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。
【尾辻委員】
 尾辻ですがよろしいでしょうか。
【白波瀬部会長】
 尾辻先生、手が挙がりました。お願いいたします。
【尾辻委員】
 ありがとうございます。松本室長、御説明、ありがとうございました。それで、今期の進め方、4ポツ目ですが、上記の議論を進めるに当たって、「審査システム等の観点から補助金審査部会や日本学術振興会とも適宜連携して議論を進めることとしてはどうか」ここのところ、大変ありがたく思っています。と申しますのも科研費改革、次の10年目の節目になる科研費改革2028の議論を学振のセンターでは、いよいよ新年度から本格化することになります。そのときにどこまで議論していいのかと。
 例えば種目構成、今、ピラミッドの採択件数に応じて特推を筆頭にでき上がっているのですけれども、バックボーンのところの基盤種目、それから、挑戦種目、それから、若手種目というこの大きな枠組みがあるわけですけれども、その2028に向かってどこまで考えていいのか。そういったバウンダリーをある程度、研究費部会、それから、科学研究費補助金審査部会等との議論も踏まえて、そんなにゆっくりは明らかにする時間的な余裕がないので、効率よく、かつ見通しのよいように、立場の違う委員、それから、研究員が意見を交わして適切に効率よく抜け落ちのないように進めていくことが肝要だと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思って、一言申し上げさせていただきました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
【松本企画室長】
 尾辻先生、ありがとうございます。我々としても、今まで以上にJSPS、学術システム研究センター等に小まめに連絡をとって説明をさせていただいたり、意見交換をする機会をこれまで以上に設けたいと思っています。
【尾辻委員】
 ありがとうございます。よろしくお願いします。
【白波瀬部会長】
 よろしくお願いします。本当に立場が違う者が違う意見を言うのが非常に重要な感じもしますし、限られた1回とか2回とかだけということになると、どっち側からトップダウンになってしまったりとかするので、できるだけ頻繁な、今、尾辻先生も御指摘がありましたけれども、双方向的に議論をさせていただくのが、結果としてよいように思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 あと、ありますでしょうか。よろしいですか。あと、審査部会とのやりとりって意外とないので、そういう意味では、もう少し、今日、仲先生、いらっしゃらないけれども、他の部会との横連携があるとよいのではと思います。やっぱり審査のところで行き詰まってしまったということもあるような気もするので、その辺りを何かうまくやっていただけると調整しやすいかもしれないかなと。どうかよろしくお願いいたします。
【松本企画室長】
 はい。
【白波瀬部会長】
 よろしいですか。ありがとうございました。では、今期の審議につきましては、本資料のとおり進めてまいりたいと思います。委員の皆様におかれましては、どうか引き続きよろしくお願いいたします。
 では、次の議題に移りたいと思います。まずは資料3-1、3-2に基づきまして、今後、検討すべき課題等について事務局より説明をお願いいたします。室長、お願いします。
【松本企画室長】
 それでは、資料3-1から説明をさせていただきます。こちらの資料につきましては、第4回で説明した資料でございます。制度全体のお話、それから、持続可能な審査システムについての課題、それから、助成の在り方、研究費の枠組み等についての課題、それから、その他と大きく4つの検討すべき課題があるのではないかということで提示をさせていただいたものです。本日の研究費部会では、特にこの黄色のマーカーを引いている研究種目の整理・統合の部分の国際共同研究加速基金と、それに加えて今後議論が必要かなと思っている応募資格・要件のところ、こちらについて議論をしていただければと思っています。
 9ページ目、こちらは科研費の全体構成です。
 ここに示されている左側の国際共同研究加速基金、こちらの整理・統合について、本日、御議論いただきたいと思っています。
 10ページ目、こちらは科研費の主な研究種目の補助金と基金の区別を表したものです。種目の整理・統合を検討する際には、お金の種類によってすぐできるもの、できないものがございますので、それを確認するために資料として準備をさせていただきました。
 それから、11ページ目、科研費の枠組みを検討するに当たっては、幾つか留意事項、考えておかなければいけない事柄がございますので、そちらを整理したものになります。1つ目ですけれども、今、大部分の研究種目について、公募の時期が4月から7月ということになっています。研究種目を見直す場合には公募時期がずれ込む可能性があるので、応募を予定している研究者等にそういった場合がありそうなときには、あらかじめ周知をしておく必要が出てきます。
 それから、研究種目について新設・変更等行う場合、概算要求事項になります。特に、基金種目については応募総額の部分までルールに規定されておりますので、研究種目を見直す場合には、少なくとも概算要求以降に公募が必要となってきます。なので、研究種目を新たに創設する場合には、予算案が決定した後、1月以降ぐらいになります。こういうことも念頭に置きながら検討していく必要があるということです。
 それから、3つ目は補助金・基金のお金の種類の話です。過去、一部基金の研究種目がありましたが、煩雑なことがおおくりますので、補助金・基金というお金の種類をちゃんと考えた上で整理・統合というのを考えないといけないということになります。それから、一番下ですけれども、先ほど少し説明した科研費の必要な予算規模、こちらについての検討課題ですが、今後、その研究費の枠組み等を議論していただきますので、そちらを踏まえて検討していくとしてはどうかと考えています。まず、研究種目の統合ができる部分をやっていきつつ、そちらでの議論の状況を踏まえて総額、予算規模等を議論していってはどうかという整理をさせていただいております。
 それから、資料3-2も続けて説明をさせていただきます。こちら、前回の研究費部会で華山委員と立命館大学の中川教授に御意見を伺ったものを整理させていただきました。それぞれ非常に重要な御意見をいただいたと思っていますので、今後、枠組みを検討していく際に参考にさせていただきたいと思っています。簡単に紹介をさせていただきます。
 華山委員からは、大きく5つの観点で御意見をいただいたと思っています。研究費の総額、1課題当たりの研究費総額についての部分とか、PIとnon-PIが区別されていないということも研究費が特定の研究室に集中する理由の1つではないかということとか、持続的に獲得できる仕組みの検討が必要ではないのかとか、さらには大型研究種目の採択率を引き上げるための方策についてとか、学術変革領域研究についての御意見、こういったものをいただいております。今後、枠組み等を検討していく上で参考にさせていただきたいと思っています。
 次に中川先生の御意見、こちらも大きく5つにまとめさせていただいております。1つは、イギリスで研究していた際のNERCの研究費制度のお話で、応募額より多い研究費が交付されたというような御自身の御経験に基づくご意見。それから、充足率の問題、それから、研究の開始時期、それから、研究室内での業績評価で研究者間の分業ができていて、教育、研究、大学行政の全てを研究者が求められることはないという御意見。それから、研究成果の報告についての御意見です。中川先生の御意見については、主に審査とか使用ルールに関する御意見だったと思いますので、これについては次回以降、こちらで考えられる対応について改めて報告をさせていただければなと思っています。
 一旦、資料の3-1、3-2については、説明は以上になります。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございました。
 それでは、ここまでの説明について御意見、御質問がありましたら、どうかよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、中野先生、お願いいたします。
【中野委員】
 質問ですが、説明の中で補助金と基金を混ぜて使うというのは非常に煩雑になって難しいということを御説明いただいたのですけれども、例えば国際共同研究に資する基金の一部を基盤(A)とかにアドオンするとかいうことをして、アドオンした部分は基金、メインの部分は補助金というような使い方をすると、事務的にはどの程度煩雑なのでしょうか。質問、以上です。
【白波瀬部会長】
 いかがでしょうか。
【松本企画室長】
 かつての基盤研究に一部の金額までを基金、それ以外を補助金で交付したときには、ルールも別に必要になり、事務手続き上かなり煩雑になったので、1つの研究課題に2種類のお金が行くような形にすると、事務的には相当煩雑になると思っています。
【中野委員】
 分かりました。
【白波瀬部会長】
 いかがでしょうか。会計システムの関係みたいですけれども。
 岸本先生、お願いいたします。
【岸本委員】
 岸本でございます。8ページの最後にあるその他のところを教えてください。企業なので気になったのですが、大学間の連携だとか、企業との積極的な取組や連携方策というのは、具体的にどのようなことをイメージされているのか、補足いただけるとありがたいです。
【白波瀬部会長】
 事務局お願いいたします。
【松本企画室長】
 その他部分の前半、大学間の連携とか共同利用・共同研究との組織的な取組との連携方策ですが、こちらは、学術分科会での問題意識等もあって、中規模設備等の問題が議論されていますので、そのようなことについて科研費としても一緒に検討できないのかなという比較的まだアイデアベースの話がです。今すぐというよりも、少し学術分科会等の議論も踏まえながら一緒に協力できるものがあるかどうかということでございます。
 それから、後半については、こちらも特に具体的に何かこういったことを想定しているという絵が今の時点であるわけではないですが、例えば民間企業とのマッチング的なものとかが科研費でやれるのか、やれないのか。やったほうがいいのかどうかとか、そういったことも議論の対象としてもいいのかなという、そのような内容です。
【岸本委員】
 なるほど。ありがとうございます。よく分かりました。企業の立場からして、前回も少し述べさせていただいたかもしれませんが、企業からこのような基礎研究をどのように応援すればいいのかというところが少し議論できると大変ありがたいと思っています。例えばこの科研費、基盤(C)だとか(B)とかに企業から100万なり、1,000万なりをプラスオンしてでも加速させてあげたいと、企業側が思う研究とかもあるんじゃないのかと思います。通常、企業と大学は共同研究を実施しますがこれも1年間での使い切りの予算になってしまうことも多いと思うんですね。共同研究費とは別に科研費で基金みたいな形で支援できるなら、いろいろな幅広い研究の進め方ができるのかなと思ったので、そういうことを述べさせていただきました。ありがとうございます。
【松本企画室長】
 岸本先生、ありがとうございます。今後、ぜひ御相談させていただければと思っています。
【岸本委員】
 はい。よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 よろしくお願いいたします。私も記憶が定かでなかったら、また修正していただきたいのですけれども、いろいろな意味で企業との連携とか、いろいろな多様なタスクフォースとか、何かいろいろ言われている割に中身はちょっと、やっぱり具体的にどうしたらいいんだろうというのが本当に、学術の側もそういう気もしますし、あと分野的に非常にイメージしやすくて、実際にそういうことが行われている分野とそうでない分野、特に文系についてはなかなかそこが踏み込めないというところもあって、そういう意味では、一緒に連携しやすい分野については、より積極的にという形にするのか、全体、制度の中で民間企業、それと財源が入るときと使い方とまた2つの方向もあるので、内容的には本当に御一緒に議論させていただくことが多いような気もするので、きっとそれはテーマでも挙げて、あるいは具体例みたいなのもヒアリングとかさせていただけるといいかもしれないですよね。
【岸本委員】
 ありがとうございます。まさしくそのとおりで、我々は、製造業なので、どうしても理系の先生方と一緒に研究することが多いのですが、経済だとか、いろいろな分野の先生方と研究をやっていくということも増えていくと思います。しかも、将来、労働人口が減少するのは目に見えているので、大学との連携なくしては立ち行かなくなると思います。そうなると、やはり企業でも将来を見越した基礎研究を実施しないといけないのだけれども、人員が足りずできない部分を大学に資金援助みたいな形でやってもらうとか、いろいろな形が考えられるのではないかなと思います。そういうことも考えていければと思っています。
【白波瀬部会長】
 ぜひ、こちらこそよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【岸本委員】
 よろしくお願いします。
【白波瀬部会長】
 次、いかがでしょうか。加藤先生、お願いいたします。
【加藤委員】
 加藤でございます。今の企業との連携について1つ御質問させていただきたいのですけれども、今、大学も企業と協定などを結んで、本当にオフィシャルに行っている場合というのがございます。これは個人の共同研究に企業を分担者として入れるというような意味合いとはちょっと違うわけですが、このようなオフィシャルに協定を結んでいるような企業との連携につきまして、科研費制度で、ここに書いてあるような組織的な取組に関して何か特段後押ししていただけるような御検討というのは、今後、ありうると考えてよろしいのでしょうか。
【松本企画室長】
 そういった部分も含めて検討、議論していければと思っています。
【加藤委員】
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 よろしくお願いします。
 では、大竹先生、お願いいたします。
【大竹委員】
 大竹でございます。どうもありがとうございます。私もその企業との連携についてお話し申し上げたいなと思っていて、昔の試験研究のことも言及がありましたけれども、やり方によっては非常に学術を進歩させる方向に行くのではないかという期待が私もあります。
 恐らく2点あって、1つは、例えば物を加工するとかといった、実際のところの陰のところに非常に基礎的な部分が隠れている。それが発見されたときに基礎科学として解決に向かうという非常にいい循環が生まれると思うんですね。実際、そういう例は幾つか、多数あると思いますので、そこは支援できるといいのではないかと思います。
 もう1点は、企業さんが持っている設備とか、極めて大型の設備とか分析装置とか、測定機器、そういったところを使うことによって科研費の研究が加速できるというところもあろうかと思いますので、そういった2点から後押しできるといいのではないかと思いました。
 以上でございます。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 事務局、よろしいですか。
【松本企画室長】
 はい。
【白波瀬部会長】
 では、山本先生、よろしくお願いします。
【山本委員】
 山本です。確かに企業との連携というのは非常に重要で、現在でも企業の研究者が科研費の受給対象になっておりますので、そういうことも含めて共同研究ベースでは結構、ある程度行われていると私は理解しています。科研費そのもの自体が、やはり個人の自由な発想に基づく研究を支援するというところがベースラインにございます。なので、組織的なマッチングアップというのは、本当にそこまで対象にしようというのであればいいのかもしれませんけれども、若干、よく議論されたほうがいいだろうと少なくとも思います。活用するという立場から言うと、先ほどいろいろ先生方、御提言のいろいろなやり方があると私も思いましたし、有効だというところもあるのですが、組織対組織が本当にいいかどうかというのは、やはりよく考えなければいけないと私は思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。いつも辛口でピシッと御意見をいただけるのでありがたい限りなのですけれども、ただ、やはりここの科研費につきましては、特に我々が議論しているのは、学術の自由、これはもう基礎の基礎、中心にあって、それで、もちろんその発想の下にどういう組織に所属しているのかというのが理想形ではあるんですけれども、そこの中でなかなかAかBかというところで、独立背反的に位置づけられないのが、ある意味で研究の部分でもありますので、そこはお互い、ちょっと軽い言葉になるけれども、Win・Winでいい形ができるとすごくいいなと、すごい思っているんですけれども、今までのリソース自体で現状のままということになるとなかなか人口の問題もあって難しいところです。
 どうぞ。
【山本委員】
 確かにそのとおりです。そういう関係ができればいいのですが、そうなりますと、ほかの経費とかなりかぶってくるところがあります。
【白波瀬部会長】
 そこの整理をしなければいけないということですね。
【山本委員】
 整理をしなければいけない。それで、その辺はやっぱり戦略でもあるんですよね。学術界がしっかりと、まあ、学術界というのは企業の方も含めて、個人の研究をきちんとやるというところにフォーカスしたほうが予算増を図る上でも大事な面かなと私は思っています。
【白波瀬部会長】
 いえいえ、大変ありがとうございます。貴重な御意見だと思います。
 岸本先生、どうですか。
【岸本委員】
 ありがとうございます。確かに個人の研究を阻害してはいけないとは思います。私が少しイメージしていたのは、最近はやっている企業版ふるさと納税ではないですけれども、何かそういう見返りを求めないというようなやり方もあるのかなと思います。いろいろなパターンを考えて整理していければと思います。この間、新学術領域の最後の発表を聞かせていただいたときに、基礎研究は日本を元気にする源と思いました。企業が将来的に成り立っていくためには、そこが重要なので、一緒に歩み寄れるところを何か作れればいいなと思ったので議論できればなと思っています。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。やっぱり基礎は根幹ですものね。本当にそういうふうに思います。でも、いろいろなところでクラウドファンディングが活用された事例もあるので、新しいものと古いものをうまく組み合わせればいいかなと思いますけれども、ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。こういう形でいろいろなアイディアなり御意見が出てきますので、毎回、毎回、これで終わりにならないようにつながる形の委員会、進行をできればと思います。事務局、よろしくお願いいたします。
 では、次は資料3-3、3-4に基づきまして、今後の検討の方向性及び国際共同研究加速基金の見直しにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【松本企画室長】
 それでは、資料3-3と3-4に基づきまして説明をさせていただきます。まず、資料3-3です。今後の検討の方向性(案)についてです。大きく4つあります。1つ目です。少し読み上げさせていただきます。研究者の研究時間確保の観点や基盤研究における基金化の拡大、それから、コロナ禍後の国際共同研究の在り方の変化等も踏まえて、段階的に研究種目の統廃合や大括り化を図ってはどうかと考えています。特に国際共同研究加速基金については、基盤研究等への段階的な統合を検討して、全面的な移行は令和9年度助成における公募、この辺りを目指してはどうかと考えています。
 それから、併せて国際的にも高い波及効果が見込まれる研究や国際ネットワークの基盤となる国際共同研究等については、審査において研究費配分額を増額する仕組みについて検討してはどうかと思っています。その際、これらに該当しなくても優れた研究は存在するので、そのような研究への配慮を行うなど研究者コミュニティに誤ったメッセージを与えないように留意をする必要があると思っています。その上で現在の基盤研究種目群、学術変革研究種目群、若手研究種目群からなる科研費の種目体系や研究種目の詳細につきましては、研究者から広範な意見を聴取しつつ、より適切な形を検討していってはどうかと思っています。
 また、平成17年度以降、科研費の応募資格につきましては、研究機関の判断によりまして柔軟な運用が可能となっていますが、科研費の採択が国立大学法人運営費交付金の配分に影響していることなどもあり、無理な応募を強いている可能性もあるのではないかということもございます。必要に応じて研究機関の指定要件も含めて応募資格の見直し等についても検討していってはどうかと思っています。
 資料3-3は以上でございまして、資料3-4です。ここから国際共同研究加速基金についての資料になります。こちらは統合イメージです。左側にある国際共同研究加速基金を基盤研究のほうへ統合する方向で検討していってはどうかと考えているところです。
 次に16ページ目、国際共同研究加速基金についてです。こちらについては、まだ補助金の研究種目が大部分を占めていた平成27年度当時、別途創設する意義はかなり大きかったのだと思っています。ただ、基金化の拡大によって、会計年度上の制約等が解消されつつあり、より適切な仕組みを検討する方向がいいのではないかと思っているところです。第11期の研究費部会の審議まとめにおいても、研究活動の国際化に向け、科研費の全ての研究種目で国際性を積極的に評価するとされておりまして、例えば国際共同研究加速基金の要素を基盤研究等の審査に取り入れつつ、統合していくことで、基盤研究自体を充実させることにつなげられないかと思っております。
 次に17ページ目、国際共同研究加速基金には幾つかのメニューがありますけれども、特に海外連携研究と国際共同研究強化、この2つについての説明資料になります。海外連携研究につきましては、従来、基盤研究(A)と(B)に設定されていました審査区分、海外学術調査というものがございましたけれども、これを平成30年度に補助金種目から基金種目へ変更して、国際共同研究加速基金の枠内で実施をするということにしたものです。
 もう一つの国際共同研究強化、こちらにつきましては、既に科研費に採択されている研究課題、基課題と言っていますけれども、これを国際共同研究の実施により格段に発展させるもので、研究費を追加交付する仕組みとなっています。ただ、こちらについても、それぞれに審査と交付を行っておりますので、それなりに審査負担等が生じています。
 それから、冒頭説明をしたとおり、基盤(B)の基金化が見込まれておりますので、会計年度の制約を受けずに研究遂行が可能となっていくということからすると、国際共同研究は今後増加が期待できるであろうということもあり、海外連携研究については、今後は基盤研究(B)等において十分にその目的を達成することが可能となるのではないかと考えています。
 それから、国際共同研究強化については、それぞれで審査を行うよりも、基課題になる審査において国際的な観点から審査を行うことが適当ではないかと考えています。
 それから、最後ですけれども、こういった状況ですので、海外連携研究、それから、国際共同研究強化、こちらに関する令和7年度助成に係る公募を停止して、基盤研究に統合していくとともに、審査において国際性が高い研究については、配分額をより充実させることなどについて検討できないかという御提案でございます。
 次に18ページ目、こちら、科研費の公募審査のスケジュールの概要です。赤字にしているところ、国際共同研究加速基金の各メニューの公募の時期、それから、概算要求の期限が示されておりますけれども、できればこのスケジュールから見ても国際共同研究加速基金において設定されている研究種目を対象として、まず統廃合を検討していってはどうかというところでございます。
 次に19ページ目、こちら、国際共同研究加速基金の4つのメニューの概要となってございます。説明は省略をさせていただきます。
 続いての資料は、基盤研究の(A)(B)(C)と海外連携研究の比較となっております。これも説明は省略をさせていただきます。
 資料の説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございました。
 それでは、今後の検討の方向性及び国際共同研究加速基金の見直しのスケジュールを含めまして御提案がありましたけれども、御意見、御質問、どうかよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 山本先生、お願いいたします。
【山本委員】
 私としては、今、御提案があった国際共同研究強化と、それから、海外連携研究は基盤(B)等に統合していく流れは、これは非常によい方向だと思います。特にこの国際共同研究強化、これについては基課題と分かれて審査するという状態は解消したほうがよいだろうと思います。
 その制度設計において、ぜひ調べておいたほうがよいと思うことが2件あります。1つは、この国際共同研究強化において団員を雇う経費をたしか計上していたと。それの実際の実施状況、どう有効だったかということをやはり評価しないと、この部分に関してはちょっと特殊なので留意が必要かというのが1点。
 もう一つは、海外連携研究においての分野間バランス。特定の分野がやはり多い傾向があるかもしれないので、それの統計をちゃんと出していただいた上で議論したほうがいいかもしれない。昔、海外学術調査で同じことが発生していて、特定の分野だけのためにあるような感じになってしまっていたので、そうなっているかどうかですね。そうではなくて、もう少し広くなっているのであれば、それもまた応募すればいいだろうと思います。そういうことで、その2点、ちょっとお調べいただけると大変助かると思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 事務局、よろしいでしょうか。
【松本企画室長】
 はい。ありがとうございます。
【白波瀬部会長】
 データでよろしくお願いいたします。
【松本企画室長】
 はい。
【白波瀬部会長】
 では、華山先生、よろしくお願いします。
【華山委員】
 ありがとうございます。御説明いただいた案、大変賛同しております。特に近年、日本から海外に留学する方がすごく減っているという状況がございまして、学生とか、ポスドクとかでも海外に挑戦しないというのが、国際連携を作る上では非常に難しいところなのかなと思っております。今までのように基盤研究と離れた形で枠組みを作ってしまうと、特定の人しかそういったチャンスが持てない、そこでまた勝ち取らなければいけないといったコンペティションがかかってくるわけです。しかし、基盤研究に統合されて、そこで研究計画の中に入れておきますと、各研究者が海外の研究者との共同研究の中で提案をして、そこに自分の研究員とか大学院生を派遣することができます。そのことで機会をより広げるのではないかなと感じました。
 一方で、「帰国発展研究」というのは、逆に受け入れるほうでありまして、これは私も数例しか知らないのですけれども、海外でPIになっておられるトップレベルの方が日本に帰ってきて、日本に頭脳循環するわけですよね。そういった方をエンカレッジさせる、特にスタートアップという研究費を対象に5,000万も与えると帰ってきやすくなります。そういった形で、海外で活躍されている方を日本に取り込むという「帰国発展研究」は、また別枠として残していただくのが良いのではないかなと考えました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。では、御意見ということで、貴重な御意見、ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。では、塩見先生、お願いいたします。
【塩見委員】
 こんにちは。16ページ、17ページのことに関して賛同いたします。それで、今、私たちが抱えている問題は、元から大学院生とか若い人、海外に派遣する、そういう数が少ないということなんです。大学院生の数が少ないので、派遣してしまうと自分のところのラボのアクティビティが下がってしまう。だから派遣したくない。または余裕はない。だから、私たちが今やらなければならないのは、むしろ、大学院生の数をとにかく増やすということをやって、例えばこういう研究費から大学院の授業料を払えるようにするとか、国立大学が今、幾らか知りませんけれども、50万ぐらいの授業料を払えない人が今増えているんです。
 私たちみたいに慶応とか私学の場合は、初年度で百二、三十万飛ぶんですよ。二年目からも九十数万円、それは最終的にはいろいろなスカラーシップみたいなものがあって戻ってくるんですけれども、多くの人にとっては。でも、最初にそれだけの額を払うということができない人が多くて、そこをうまく何とかできれば、もっとたくさん若い人が入ってくると思いますし、国立大学でもそうなんじゃないですかね。今、多分、50万の金か払えない人が多いんですよ。
 そこを何とかすれば、大学院生も増えてきて、こういうものをうまく活用して海外へどんどん出ていくという、でも、今はそのどんどん出ていくための数自体が足らないという、そういう状況なのではないかなと。JSTとかAMEDとかがASPIREとか、そういうのも企画してやろうとしていますけれども、既にやっているのかな。そういうところからも、そういう声が聞こえてきているので、そういうのはとてもいいことなんだけれども、駒がないという、そこが1つ大きな、これから考えなければならない問題かなと私は思っています。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 今、山本先生からも現状を知らせてほしいということで、実際、どういう使い方がされているのかという話もあったのですけれども、いない間に。でも、今の塩見先生、とにかく、そもそも人数がいないんだよということの御指摘だったように思います。御意見として、この辺りの工夫が求められるところですね。これで十分ということはないくらいお金が要るなという感じですけれども、いかがでしょうか。
 大竹先生、どうぞお願いします。
【大竹委員】
 大竹でございます。質問をさせていただきたいと思うのですけれども、共同研究ではなくて国際共同研究が非常に重要だというところは、もちろん私もそう思っていて、基盤研究に移行したときに、先ほど審査を変えるということと、もう一つ、配分額も変えるというようなお話というふうに受け取ったのですけれども、これは例えば審査を行ったときに国際共同研究というので、基盤(B)の中で枠を作る。つまり、ある程度の数を設定するような格好になるのですか。また、上限を上げるということを今想定しての話でしょうか。
【白波瀬部会長】
 事務局、いかがですか。
【松本企画室長】
 特別に枠を作るというのはあまり想定していないです。やはり配分額のところで言えば、現状でもかなり充足率が低いですので、研究計画上、国際共同研究をやるものとか、国際的にかなり評価が高いであろうみたいなところには、アドオンというか、プラスでお金が行くような、例えば充足率がその課題だけは高くなるような仕組みとか、そういったことが考えられないかなとは思っています。
【大竹委員】
 なるほど。ありがとうございます。
【白波瀬部会長】
 質問していいですか、今の感じ。これから設計されるということなのですけれども、そのアドオンというのをやり始めると、何か元に戻っちゃうような気がして、やっぱり研究自体がもう国際ということになると、その研究設計のところで特定のラボと連携するので、その送り込むための人件費、こちらでやりましょうかというような形で予算を積み上げるというふうに、私は最初の御提案のときに想定したのですけれども、それはこれからということですかね。
【松本企画室長】
 はい。いろいろな御意見があるので、詳細はこれからと思っています。
【白波瀬部会長】
 はい。分かりました。ありがとうございます。
 ほかに、いかがでしょうか。この辺り文系という点もあるかと思うんですけれども、いろいろな分野の先生の御意見なり、現場感覚も教えていただけるとすごくいいかなとも思います。
 では、中野先生、お願いいたします。
【中野委員】
 実は私、学術システム研究センターにも所属していまして、科研費の改革について、様々な分野の先生方と議論を始めております。その中で、分野によって科研費への見解や利用方法が大きく異なることが明らかになってきています。もちろん、全ての分野が諸手を挙げて賛成するという案はなかなか難しいかもしれませんが、できるだけ多くの方々の意見を聞き、バランスの取れた改革を目指したいと考えております。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。だから、そういうのも積極的に情報提供もしていただけるといいかもしれないですね。
 他にいかがでしょうか。よろしいですか。今日はさくさくと議事が進行して皆さん協力的で、とてもありがたいです。本日いただいた御意見を踏まえまして、いろいろな視点が含まれていたように思います。海外連携、あと帰国発展についてはちょっと様相が違うから別枠でいいんじゃないかという話も出ました。でも、考え方によっては、それも含めて応募資格のところで、私なんかは一本化するというほうがいいような感じもしないでもないんですけれども、ただ、集中というところというか、立ち上げというところでは別カテゴリーで上げるというのも戦略かもしれないですね。その辺りも含めて事務局で幾つか案を作っていただいたり、先生方のお持ちの情報をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。次回以降の研究費部会でも引き続きこれらの点について議論を深めていきたいと思います。
 では、資料3-5に基づきまして、科研費の応募資格について事務局から資料の御説明をお願いいたします。室長、お願いします。
【松本企画室長】
 それでは、資料3-5に基づき説明させていただきます。科研費の応募資格について、先ほども検討すべき課題に挙げさせていただいておりますけれども、現状で事務局のほうでこうすべきだとか、こうしていったほうが良いのではないかという明確な方針や具体的な案があるわけではありません。ただ、17年度以降、応募資格を見直して、現在、応募件数がかなり増加傾向にある中で、いろいろ審査負担等の問題もございますので、この辺りで一旦振り返って、少し先生方のいろいろな御意見をお伺いしたいというところでございます。
 資料をまず説明させていただきます。21ページ、これは現行の応募資格について抜粋したものでございます。科研費では応募に当たって研究者が満たす要件を定めていますので、研究機関は所属する研究者が応募資格を満たしているかどうかを確認して登録をするという形になっています。現行の応募資格では、要件アのところですが、常勤の者であることを要していないという部分と所属する者とは書いていますが、これが厳密に雇用関係かどうかということをあまり問うていないような形になっています。それから、研究を主たる職務とする者であることを要しているわけではないという状況になっています。
 次に22ページ、これは経緯的なものです。現行の応募資格の基本的な枠組みは、平成17年度の公募から適用されています。平成16年度以前の応募資格では、研究者と研究機関の間の雇用関係の存在が前提となっていて、常勤の研究者であり、かつ研究を主たる職務とする者であることを要件とされていたということです。法人化以降、多様な雇用関係の多様化とか、いろいろなことがあって現行の応募要件に変わってきているということです。
 次に23ページです。第2期の研究費部会でも、いろいろ御議論があったところです。応募資格を緩和することに肯定的な意見もあれば、否定的な御意見もあったということでございますけれども、どちらかというと資格を緩和する方向で進んできたということでございます。
 次に24ページです。もう1つ、研究機関の要件というぶぶんです。研究機関の要件というのも存在して、取扱規程で定められています。大学とか大学共同利用機関は第2条の第1項で定められていますが、例えば、民間の会社とかその他の法人というのは、黄色のマーカーのところで別に定めるとされていて、文科大臣が指定をするということになっています。
 25ページは、データ的な話です。多少見にくいですが、応募資格者数は全体として増加傾向にあるものの、いわゆる職種によって、ちょっとその傾向には幅があることが見て取れます。増加率ですが、特に名誉教授、その他の増加率が大きい。ただ、数的には名誉教授だと5,000件で、そんなに大きい割合ではないのですが、増加率はかなり増えているというような状況です。
 次に26ページです。新規応募件数と採択率の推移、これも職種別に見たグラフになっております。その他の部分については、採択率は平均よりも高くなっているものの、応募資格者数の増を反映してか応募件数も一定程度存在しているという状況です。
 それから、応募資格者数の推移の所属機関別のデータです。こちら、特殊法人とか独立行政法人、それから、公立大学等の応募資格者数が特に伸びている形になっています。企業等の研究所等の応募資格者数は微増の傾向か見て取れます。
 その次、こちらは研究機関別の新規応募件数と採択率の推移になります。応募件数は国立大学では減少傾向になっています。コロナの影響で研究期間を延長した研究者が多かったので、その影響も若干あると思われるのですけれども、少し減少なのか頭打ちの状況です。私立大学では増加傾向、その他は全体的に横ばい。採択率は主に横ばいなのですが、企業等の研究所では下落しているような、理由までは分からないのですが、そのような状況が見て取れます。
 御議論いただくに当たっての観点としては、この応募資格とか研究機関要件の見直しの現状、変更した後の現状についてどういうふうに総括すべきなのかという点と、これから科研費の予算増を目指すとしても、我が国の厳しい財政状況とか審査負担を踏まえて応募件数の増加傾向に対応する方策の1つとして、応募資格の見直しというのを位置づけることについてどう考えたほうが良いのか。検討することは検討していいと思うのですけれども、見直しすべきなのかどうなのかという部分もありますので、そのあたりについての率直な御意見を伺いたいと思っています。
 それから、この問題を考えていくと、科研費の配分方式、いわゆる応募件数と応募金額に比例して審査区分ごとに予算配分が決まるという現行の配分方式について、どう考えていくのかということについても御意見を伺いたいと思います。
 資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、科研費の応募資格についてということで、先生方の率直な御意見をいただきたいと思います。どうかよろしくお願いします。いかがでしょうか。
 城山先生、お願いいたします。
【城山委員】
 ありがとうございました。基礎的なことで恐縮なんですけれども、幾つか確認させていただきたいと思います。今回、お示しいただいたグラフなどを見ていると、平成21からの数字が出ていて、例えば制度を変えたのは15年、16年という話だったのですけれども、例えば平成15、16、17でどれぐらいの変化があって、その後、変化として、今日御紹介いただいたような21以降の変化があるのかって、今回のグラフの左側というか、見えなかった部分で、どこかで多分、御紹介いただいているのだと思うのですけれども、そこの制度の変化に伴う変化ってどのぐらいあったのかというのをお伺いしたいというのが1点です。そのときに、多分、資格者数だとかいうものの変化があると同時に、あるいは例えば分野ごとで変わっているのかとか、その伸び方が変わっているのかとか、そういうことについてもお伺いしたいというのが関連事項です。
 それからもう一つ、これは難しいのかもしれないんですけれども、制度変化をしたときの1つのポイントは、常勤職に限定せずに非常勤だとか客員だとか、そういう人たち、名誉教授もその1つかもしれませんが、広がったということなのですが、この部分がどのぐらいあるのかというのもお伺いできればしたいなと思います。ただ、他方、これ、各機関に判断を委ねているのだとすると、データがないということもあり得るのかなと思いますが、そこも含めてお伺いしたいというのが質問です。意見として申し上げると、学術のコミュニティを広げているという趣旨で言うと、なかなか狭めるという判断は難しいような気もしますけれども、現状については、まず把握した上で考える必要があるかなと思いましたのでお伺いする次第です。よろしくお願いします。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 いかがですか。データ、ありますか。
【松本企画室長】
 今、確認していますが、平成21年度より前の部分については、すぐにデータが出てこない状況です。
【白波瀬部会長】
 ですよね。
【松本企画室長】
 こちらで拾えるのが平成18年度以降となっておりましたためやっても平成18年度ぐらいからと思います。
 それからもう1点、確かに先生のおっしゃるとおり、職種別にどうこうというのも、結構、難しいと思うのですけれども、分野ごとのことについては、少し検討させてもらいたいと思います。非常勤の部分については、調査しないと分からないため、すぐの御回答は難しいです。出るかどうかも含めて、調べないと分からない部分があります。
 それから、確かに広げる、狭めるというのは、一旦、広げたものを狭めるのは難しいという部分もありますし、かなり難しい議論になる面もあると思います。先ほど紹介した華山先生の御意見でも、PIとnon-PIの区分の話もありました。このような区分も、応募件数に影響しているかもしれませんので、全く議論しないのもどうかと思っております。率直な御意見をお伺いしたいなというのが正直なところです。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 いずれにしましても、戻れるところまでは一応戻っていただいて、システム上、恐らくないだろうなというのは、容易に想像はできるのですけれども、よろしくお願いします。
【松本企画室長】
 はい。
【白波瀬部会長】
 では、中野先生、お願いします。
【中野委員】
 ありがとうございます。最後の29ページ、3点、観点が示されているのですけれども、1つ気をつけないといけないのは、応募件数の増加に対する対策として、応募資格の見直しを検討するというのは少々危険なこともあるのではないかと思います。特に基盤(C)の応募件数の増加が顕著なのですが、これは日本の研究の現場におけるデュアルサポート、基盤経費と競争的経費のバランスが著しく崩れていることに起因しています。対症療法として何らかの条件を入れることによって応募件数を減らしたとしても、問題の根本は解決しないので、そこはかなり慎重にやるべきだと思います。
 同時に、科研費が基盤経費を肩代わりしているという状況も健全ではありません。科研費は、本来挑戦的で先導的な研究に使われるべきであると思います。それゆえ改革は必要ですが、急激な変更は、現場をかなり疲弊させ、研究力の向上につながらない可能性があります。だから、変えないといけないところはいろいろあるけれども、科研費の改革だけで全てを進めることが適切かどうかは不明であり、場合によっては逆効果を招くことも考えられます。したがって慎重に考えつつ、必要な箇所には手を入れていくべきだと思います。
 最後の予算配分方式は、今非常に簡単な式で行われているというのは、これはちょっと問題だなという感じはするので、ここは改善する余地があると思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。貴重な御意見だと思います。
 ほかに、いかがでしょうか。
【松本企画室長】
 中野先生、ありがとうございます。先生のおっしゃるとおりだと我々も思っています。引き続きJSPSの学術システム研究センター、特に中野先生の科研費ワーキングとは綿密に意見交換をさせていただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【中野委員】
 こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 お願いいたします。
 では、尾辻先生、いかがでしょうか。
【尾辻委員】
 ありがとうございます。今の中野先生の御意見と全く同じなのですけれども、私、先ほど御議論のあった国際共同研究加速基金等についても、やはり科研費の中だけで閉じて問題解決しようとすると、いびつなことを無理やり科研費の競争的研究費の性質を忘れて進めてしまう懸念もありますので、ぜひ科研費の外側の予算の枠組みとセットで議論しなければならないと思います。この声が研究費部会ですとか、学術分科会の中に閉じてしまうと、それが片手落ちになってしまいますので、ぜひ教育と研究と両輪で、そこのところの問題意識を共有いただけるように文科省様にはお取り計らいいただきたいと思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。重要な点だと思います。
 では、大竹先生、いかがでしょうか。
【大竹委員】
 ありがとうございます。資格のところで確認を1つさせていただきたいのですけれども、その他という方が非常に多いということで、具体的に申し上げると、例えば特任教授とか、そういった方は、ここのその他に入っていると考えてよろしいのですか。
【松本企画室長】
 はい。データの取り方に問題があると思うのですが、、特任教授という人を教授のほうに入れている大学もあれば、その他に入れているところもあります。これは機関が選択する方式になっているので、大学によって、違うところがあります。
【白波瀬部会長】
 大竹先生、今の回答いかがですか。
【大竹委員】
 とすると、データの読み方がやはり難しくなるかなという印象を持ちます。
【松本企画室長】
 そうですね。ちょっと難しいですね。
【大竹委員】
 そこは、できれば常勤の教授だけにしたほうが分かりやすいかなと私は思いますが、確認してよかったです。ありがとうございます。
【白波瀬部会長】
 ですから、2つあって、今回のこの議論としての提示というか、先生方からの御意見をいただきたいというのは、今まで、その前、資格前までで御議論いただきたいというところ、若干、ウエイトとしては、それ自身としてという同じレベルというよりは、この点についても無視はできないです。制度としてはかなり絡んでいますので、独立ではないから。
 ここは書き過ぎなところがあるかもしれないんですが、平成15年度以降の見直しについて総括すべきかみたいな話もあったんですけれども、ただ、もう一つ、例えば国際化とか、国際共同研究加速基金とか、そういう全体の成果をどういうふうに整理しましょうかといったときに、もちろん応募資格についても連動すべきであろうというところはどこかにあるのではないかとは思うのです。予算配分のところとか、今、尾辻先生がおっしゃったように外枠も含めて民間さんとのという話も今日出たんですけれども、そこの議論の仕方は、もう少し工夫しなきゃいけないし、我々だけで閉じることでもないということで、どっちが先というのはなかなか整理しづらいんですけれども、多分、事務局としては、現時点でもいろいろな意見をいただけたらうれしいなというような感じではないかと思うんですけれどもね。
【松本企画室長】
 はい。そうです。
【白波瀬部会長】
 ですから、そういう意味では、もちろんデータとして押さえなければいけないけれども、増えているからどうで、それに対する対応はとか、そもそもの制度でカテゴリーを増やしたので、その効果がというような視点もありますね。
 いかがでしょうか。中野先生、お願いいたします。
【中野委員】
 今の点についてもそうなのですが、科研費改革について話す際、経年変化を考慮することが重要だと思います。科研費改革2018でいろいろ改革を試みましたが、統計を取ってみたら効果が上がっていないという結論になってしまうことが、統計の取り方によってはあり得ます。しかし、その背景には、科研費改革自体の問題ではなくて、例えば非常勤の人がどんどん増えていくような日本の研究環境の変化が影響している可能性があるので、データの収集や解釈には細心の注意が必要です。
 また、その他のカテゴリーの研究者の応募が増えているのは、やはりパーマネントなポストが日本の大学では著しく減ってきていますので、そういうことが影響しているのではないかと思います。だから、そういう人たちを切り捨てるというか、その人たちの応募資格をなくしたら、もちろん、その科研費の申請件数が減りますけれども、重要な機会をこれらの重要な層から奪うことになりかねないので、かなり気をつけないといけないのではないかなと思いました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 では、次、鷹野先生、よろしくお願いいたします。
【鷹野部会長代理】
 ありがとうございます。鷹野でございます。今までの議論の続きといいましょうか、関係するところなのですけれども、データの取り方が難しいという点と、それから、応募資格を狭めるのは難しいという辺りをお聞きしながら、私も同様に感じたところです。
 令和7年度から教員の制度が変わりますが、具体的には基幹教員制度というのが入りますけれども、それに伴って実務家教員とか、それから、場合によっては教育をメインとするような教員ということで、大学で研究と教育に携わる方々の、主として何をやるかというところのバラエティーが出てくるのかなと思っております。
 基幹教員は今の専任教員に続くものではあるのですけれども、そういったバラエティーが出てくることで、先ほどから議論になっております、こういったデータの経年変化をとって、いろいろなこと、施策を考えるに当たって、また少し違う注意も必要なのかなということを感じています。文科省としては、そういった辺りはどのように対応するといいましょうか、データの取り方とか、その辺りについて何かお考えがあるかどうか、少しお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
【松本企画室長】
 現時点で、それに対して科研費でどう考えているのかというのは特に持ち合わせていないのですが、我々もデータの取り方をもう少しよく考えて出していかないといけないなと反省しているところです。中野先生がおっしゃっていたように、応募資格をなくすとか、そういったことを言うつもりもなく、研究種目の枠組みの見直しを議論するときには、どうしてもそのような応募資格に関すること、例えばPI、non-PIみたいな部分も念頭に置きながら議論していくのではないかと思っているところです。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
【鷹野部会長代理】
 ありがとうございます。私も、身分というよりは、PI、non-PI、そちらの分類の方が重要なのかなと感じております。ありがとうございました。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 山本先生、手が挙がっていたような気がするんですけれども。
【山本委員】
 いえ、重なっていますので大丈夫です。ありがとうございます。
【白波瀬部会長】
 大丈夫ですか。ありがとうございます。
 なかなかデータを取るというの、事務局さん、結構、大変な作業だと思うんですね。ただ、その読み方をどうするのかというのが先生方の御指摘だったと思います。あくまでも研究費ということで、今、最先端というのもありますけれども、その最先端を担っていける子たちを1人でも多くするような研究費改革を行っていくという足元の制度改革の考え方があって、そのために応募資格でも、ここへ落ちるところ、つまり、今で言う専任ではなくても、同等の取扱いなり、使い勝手のよさというのを制度としてどういうふうに作るのかという形での資格、それが最初に資格があってという条件付きで最初に来るのではなくて、どちらかというと制度改革のところで、できるだけ柔軟に発展的に行うという設計の仕方ではないかというのが1点。
 あと、デュアルサポートの点については、物すごく科学業界、学術業界の根幹だと思うんですけれども、1つは背に腹は代えられない。ここは外せないと同時に背に腹は代えられないというところもあるので、この辺りのバランスをどう考えて、ですから、それで使ってくださいというわけにはいかないけれども、ただ、これはデュアルサポートでもそちらのほうでお願いいたしますという形で委ねることもできない現実も、もしかしたらあって、その現実で一番やっぱり被害を受けるというか、直接的な負の効果を受けるのは若手で、不安定なということになりますので、議論の中身は深いような気もしますけれども、今後も先生方のお知恵をいただきたいと思います。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
【加藤委員】
 よろしいでしょうか。
【白波瀬部会長】
 加藤先生、どうぞ。
【加藤委員】
 加藤ですけれども、質問というか、どのように考察するのか伺います。この26ページの採択率の推移のところで、その他というカテゴリーの方にはいろいろな方がいらっしゃるというのはよく分かったのですけれども、普通の教授とか准教授の採択率より高くなっています。この考察というのは、先ほどいろいろな先生方がおっしゃいましたけれども、例えば科研費以外のものに応募できるとか、教授は採択率の非常に低い種目に応募しているからとか、どのように文科省では考察されているのか教えていただければと思います。
【松本企画室長】
 ご指摘の部分については、我々も調べようとしましたが、なかなか原因というか、要因までたどり着けていないのが現状です。そこはもう少し調べたいとは思っていますが、なかなかその要因までは難しいかなと思っているところです。すみません。
【加藤委員】
 ありがとうございました。
【白波瀬部会長】
 具体的な事例とかがあると、少しアイディアが膨らむというか、何が起こっているのか分かりやすいかもしれないんですよね。余りに異質性が高いから、このカテゴリーが、大学ごとにいろいろな先生が入ったりとか、採択率といったときに、そうですね。分母が少ないと効果についても注意が必要だと思います。その辺り、何か探ってみていただけるとありがたいかもしれないですね。よろしくお願いいたします。
 あと、いかがですか。どうぞ、中野先生、お願いいたします。
【中野委員】
 1つ、調べられるのは、その他の方に含まれる人の年齢分布を取ると。
【白波瀬部会長】
 大体わかりますね。
【中野委員】
 どういう属性かというのは分かるかもしれないと思いました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。すごいいい意見だと思います。単純に分布だけ見てもらって、多分、どっちかに2つの山ができるぐらいか、あるんじゃないかと思うんですけどね。よろしくお願いいたします。
 よろしいですか。ありがとうございました。委員の皆様の活発な御議論、誠にありがとうございました。ただいまいただきました御意見については、事務局において整理をお願いいたします。次回の研究費部会でも引き続き制度の改善、充実方策について議論を進めていきたいと思います。もしできたら、今日もあったんだけれども、予定が後ろに行っているんですけれども、タイムラインというか、そこの中で何を最初にというのは、優先順位ということなので、それは方針で全然、何を低くしているとか、高くしているとか、そういう評価では、重要さの差ではないので、その辺り分かるようになると、こちらも議論しやすいかもしれないですよね。よろしくお願いいたします。
 もし御議論なければ、この辺りで議論は、ここら辺で締めさせていただきたいと思いますけれども、最後に事務局から連絡事項、どうかよろしくお願いいたします。
【梅﨑企画室長補佐】
 本日の議事録につきましては、各委員に御確認をいただいた上で公開をさせていただきます。また、次回の研究費部会につきましては、日程調整後に御案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。先生方の御協力があったので、少し早めに終わることができます。本日の会議は、これで終了したいと思います。皆様、どうもありがとうございました。
 
── 了 ──

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