研究環境基盤部会 大学共同利用機関改革に関する作業部会(第6回) 議事録

1.日時

令和元年10月25日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 「大学共同利用機関の検証ガイドライン(仮称)」に関するヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

観山正見主査、小林良彰委員、小森彰夫委員、佐藤直樹委員、橘・フクシマ・咲江委員、長谷川眞理子委員、平川南委員、藤井良一委員、森初果委員

文部科学省

村田研究振興局長、増子大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、西井学術機関課長、降籏学術機関課学術研究調整官、吉居学術機関課課長補佐、小林学術機関課課長補佐、二瓶学術機関課連携推進専門官、その他関係者

5.議事録

【観山主査】 ただいまより科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会大学共同利用機関改革に関する作業部会(第6回)を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、本日も御多忙のところ御出席頂きましてありがとうございます。
まず、事務局より本日の委員の出欠、配付資料の確認をお願いいたします。
【降籏学術研究調整官】 本日の委員の出席・欠席状況ですが、本日は永田委員、山内委員が御欠席でございます。本日の会議は、前回に引き続き、大学共同利用機関及び有識者の方々からのヒアリングを予定しておりまして、委員のほか関係の皆様方に御列席を頂いております。お忙しいところを御出席頂きまして誠にありがとうございます。
続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。本日はペーパーレス会議ということで机上、タブレットがあるかと思いますが、縦横で向きが変わるようになってございます。お手元にタブレットの端末の使い方の1枚紙の補足資料をお配りしておりますので、こちらを御参照いただきたいと思います。画面上左のしおりをクリックしていただきますと、しおりの資料に飛ぶというような形になってございます。使い方とか操作の点などで何かございましたら、事務局の方に合図をいただければと思います。
本日の配付資料でございますが、このタブレットの議事次第をごらんいただきまして、御紹介をさせていただきます。本日は、資料1から資料6まで、それぞれの機関と有識者の先生方の資料を配付させていただいております。また、参考資料1から参考資料4までは、このタブレットの方に収納をしておりますので、適宜御参照いただければと思います。また、委員の皆様のお手元には、机上配付資料といたしまして、今回も審議のまとめの本文と大学共同利用機関関係資料を置かせていただいております。配付資料につきまして何かございましたら、事務局までお申し付けください。
以上でございます。
【観山主査】 ありがとうございます。
それでは議題1、「大学共同利用機関の検証ガイドライン(仮称)」に関するヒアリングについて取り扱いたいと思います。
本日は、生物・生命科学の分野の観点から3つの大学共同利用機関及び有識者の方に御意見を伺いたいと思います。また、大学の共同利用・共同研究拠点の観点から、国立大学共同利用・共同研究拠点協議会からも御意見を伺います。なお、ヒアリングの進め方については、今回も参考資料4として配付しておりますので、適宜参照いただければと思います。
それでは、時間が限られておりますので、早々ヒアリングを始めたいと思います。まず、国立遺伝学研究所から、続いて基礎生物学研究所、生理学研究所の順にそれぞれ8分以内で説明をお願いいたします。1回目のベルを5分の段階で鳴らしまして、2回目のベルは終わりの8分の段階で鳴らしますので、2回目が鳴りましたら早々に終了、早く終わっていただく分には全然問題ありませんので、御協力お願いいたします。
それではまず、国立遺伝学研究所から御説明をお願いいたします。
【花岡所長】 国立遺伝学研究所の所長の花岡でございます。座ってさせていただきます。
資料の3ページをごらんいただけますでしょうか。これは情報システム研究機構についての概念図でして10月10日のヒアリングにおいて既に紹介があったかと存じますけれども、遺伝学及び極域科学というドメイン型、分野型の研究に情報学、統計数理科学という全学問的な共通の基盤となるような学問を担う4つの研究所が協力して、生命及び地球、そして環境や社会という複雑な問題を情報とシステムという視点から捉えようとしております。
次のページをお願いいたします。その中で遺伝学研究所は過去70年にわたって遺伝学の総合的な研究を推進してまいりました。生命は遺伝情報を基に形成されて活動する非常に複雑なシステムですが、それを解明する上で遺伝学の手法や考え方は非常にパワフルです。今日的な遺伝学というのはデータサイエンスというふうに言い換えることができます。
我々研究所は、遺伝学の基礎研究をバックボーンとして、情報、ゲノム、バイオリソースに関する3事業を整備、高度化して、自身で新しい学問分野を開拓しつつ、大学等との共同研究/共同利用に活かしております。
次のページをごらんいただけますでしょうか。これは、具体的な研究例を一つだけお示ししますが、海の魚が川や湖など、淡水域に進出するための鍵の遺伝子が、生存に必要な不飽和脂肪酸であるDHAを合成するために必要な遺伝子であるということを見付けた研究です。環境に適応して生物が進化するときに、特定の遺伝子のコピー数が変化するという形で行うということを示した重要な発見であると思っております。
こういう研究は、フィールドワークとゲノムデータ、そしてそれらをつなぐ遺伝子導入技術やゲノム解析技術等々、異なる分野の研究者の共同研究が重要であることを見事に示していると思われます。
次のページをごらんいただけますでしょうか。この次の3つのページでは、遺伝研で進められている様々な先進的な研究を、DNAや細胞小器官に注目した研究、細胞分化・発生・脳に着目した研究、そして次のページ、8ページ目になりますが、進化・多様性・生命システムに注目した研究という、階層別に分けて紹介してありますが、時間の関係で御関心のある方は後ほどごらんいただければ幸いに存じます。
次の9ページ目をごらんいただけますでしょうか。ここに遺伝研の共同研究/共同利用の3本柱を掲げておりますけれども、共同研究/共同利用の柱としては、バイオリソース、DNAデータバンク、そして先端ゲノミクス推進の三大事業があり、そこで基礎研究としてデータ生産と解析、研究手法の開発それから新たな研究分野の創造といった3本の柱が、遺伝研内外あるいは国内外の研究者コミュニティーと共同して進められていることが示されております。
次のページをごらんいただきますと、遺伝研の主要事業としてはまず、情報としての遺伝子データです。アメリカのNCBI、欧州のEMBLと三極構造をとって、我が国のDDBJ、DNA Data Bank of Japanが遺伝研に存在しており、全世界の遺伝子データがスパコンによって保管され、また世界中に分配されております。
次のページをごらんいただきますと、もう一つの事業はゲノムでして、ゲノムや遺伝子の配列解析や最先端の技術と情報を研究者コミュニティーに提供しております。また、マイクロバイオーム、細菌叢研究の基盤となるメタゲノムデータの解析-蓄積-活用の3Aサイクルを循環させて、我が国の大学や産業界の国際競争力の増強に貢献しております。
次のページをごらんいただけますでしょうか。3つ目の事業はバイオリソースで、文科省のバイオリソース事業の中核機関として生命科学研究に必要な様々な生物とその変異株の開発、収集及び提供を行っております。また、遺伝研は生物多様性条約の国際ルールであります名古屋議定書に対応するための国内ABS、Access and Benefit Sharing、学術対策拠点にもなっております。
その次のページをごらんいただきますと、この次の2ページには遺伝研が参画している主要の大型研究プロジェクトについて御参考までにまとめておりますが、これも時間の都合で省略させていただきます。
さて、前段が長くなってしまいましたけれども、本改革作業部会で作成されました、大学共同利用機関の検証ガイドラインの骨子案について、意見と申しますか要望を述べさせていただきたいと思います。
15ページをごらんいただけますでしょうか。まず、検証の進め方についてですけれども、非常に適切に書かれていて特段の意見を申し上げるところはございません。強いて申し上げるとすれば3の丸2、検証の主体別構成の外部検証という部分ですけれども、強いて言えば遺伝研などは融合領域分野でして、生命と情報というものを扱っておりますので、できれば外部委員にそういう両方を展望できるような広い視野で見ていただける、そういう専門委員を配していただけると幸いに存じます。
それから次の16ページをごらんいただけますでしょうか。これは主な観点というところになりますけれども、運営面、中核拠点性については特にございませんがだいたい適切であると思われます。国際性の部分ですけれども、国際性と別に女性研究者についてここで取り上げられていますけれども、ちょっと違和感がありまして、女性研究者については国際性と別に評価していただく方がいいのではないかというふうに思っております。4番目の研究資源ですけれども、例えば遺伝研ですと野生イネの系統のコレクションといったような、世界で例を見ないものがありまして、そういう研究資源の独自性というものも考慮していただけると幸いに存じます。
その次のページは特に主な観点としてコメントはございません。
その次の18ページですけれども、指標例になります。運営面については特にございませんが、中核拠点性について細かくなって恐縮ですけれども、例えば共同利用/共同研究の成果として、謝辞等に記載された論文とかリソース、データベースに関する運営会議の開催数とか参加者数、そういったようなもの、あるいは研究成果物の寄託実績、関連する大型研究プロジェクトの実績等も評価に加えていただければと思っております。
また、分野によって例えば情報系では論文発表より学会などのプロシーディングによる成果発表が主な業績となりますので、これも評価してくださるよう要望をさせていただきます。
次の19ページですが、指標例の続きで3番目の国際性。ここには幾つか細かいことが書いてございますけれども、実質的なところで学生さんに対する受入れ状況とか、あるいはそれの英語によるセミナーとか講義の実績といったようなもの、あるいは受入れのための宿舎などの体制整備といったようなものを検討していただければと思います。更に研究資源については先ほども述べたように、論文での謝辞などが挙げられると思います。
20ページですけれども、これも指標例の続きでして、新分野の創出にはそのリソースやスパコンのユーザーの新規参入数やその所属の多様性といったようなもの。それから人材育成につきましては、連携大学院に加えて、共同研究/共同利用による短期の受入れ大学院生の育成、ポスドクのキャリアパス事業、助教の育成の体制整備といったようなことが挙げられるかと思います。それから社会との関わりでは企業の学術指導、あるいはリソースの企業への提供実績、企業との共同研究実績、ライセンス締結数なども資料としてはふさわしいのではないかというふうに思っております。社会との関わりについては、これでよろしいかなと思います。
最後に21ページ目になりますけれども、機能別分類の遺伝研の分野として、生物学に分類されており、機能としては、データに分類されておりますが、遺伝学はそもそも先ほど言いましたようにデータサイエンスですので、分野別としては、生物学と情報学、機能別ではデータと情報基盤のそれぞれ2つの観点から評価していただけると有り難く存じます。
以上です。どうもありがとうございました。
【観山主査】 いかがでしょうか。後で議論する時間も取っておりますけれども、特段遺伝学研究所に質問がありましたらいかがでしょうか、よろしいですか。それでは後で時間を取っておりますので、よろしくお願いします。
それでは、次に基礎生物学研究所から説明をお願いいたします。
【阿形所長】 基礎生物学研究所の所長の阿形と申します。よろしくお願いします。
それでは1ページを、下はページ番号が見えませんので右上の番号を見ていただいたらいいと思います。1番ですけれども、自然科学研究機構の基礎生物学研究所と、それから生理学研究所の2つがこれから御紹介申し上げるということになります。
2番目ですけれども、うちの研究所はやはり生き物研究の中核拠点として様々な生き物を使って、多様な生き物の共通原理や多様性の解明、若しくは環境適応の戦略をいろいろな生き物に学ぶということをやっております。遺伝学の研究所とは、その遺伝学が使えない生き物が結構対象になっているのがうちの研究所の特徴であります。
3ページを見ていただきますと、どういうところが特徴かといいますと、そういったマイナー動物のデータを、何かこう皆様方、じじくさいとかマニアックな感じがすると思いますけれども、それを最先端のバイオイメージング技術を用いて定量的に調べる。1個1個の細胞の中に3万個近い化学反応が起きているわけですけれども、それぞれの生き物の細胞のある一つの反応だけを蛍光で定量化すると、そういったことをすることによって、様々な生き物の反応をビジュアル化して定量化する、そういったことができるような環境を作っていると。
それからもう一つは、“逆”遺伝学による新分野創設ですけれども、遺伝学ができない生き物を使っているわけですけれども、最近は全ゲノム配列が分かるようになって、ゲノム編集技術ができましたので、昔はミュータントを取って、それでその原因遺伝子を探すというのが主流だったわけですけれど、今は全ゲノムが取れていますので、この遺伝子は何をしているのかというのをゲノム編集で、それを調べることができるというのが特徴で、そういった意味ではいろいろな生き物の生物現象を持っていたうちの研究所はそのゲノム編集とともに、“逆”遺伝学のメッカとして世界中から注目を浴びる状態になっているということになります。
4ページですけれども、研究資源としての特徴は、一番の特徴は左上にありますIBBPといっているのですけれども、東北の大震災とかでいろいろな生物資源が失われたわけですが、それを一括して拠点化して、全国の生物資源を冷凍保存するという活動をしております。それは7か所のサブ拠点の下から、いろいろな日本の重要な生物資源を岡崎の方で凍結保存するというのが一番大きな特徴になっているのではないかと思います。それから、バイオイメージングのネットワークを作って、先ほど言いましたような先端の解析技術で多くの研究所の大学の研究員にサポートするといったコミュニティーを作っています。
それから5番目ですけれども、国際性につきましても、グローバルネットワークはプリンストン大学やEMBLとかハイデルベルグ、それからシンガポール、そういったところと共同研究するとともに、先端イメージングにつきましては、ヨーロッパ、アメリカと全世界にネットワークを作って、先端イメージングの新しい開発を行っているということになります。
それから人材育成に関しましては、総研大の学生さんのサポートと、一番の特徴がトレーニングコースなのですけれども、これがうちの研究所の人気で、全世界から若い人たちが、ゲノム編集技術とかそういった、ふだんは使えない、今までその遺伝学の対象でなかったマイナーな生き物をゲノム編集するといったことを習いに来るのが人気のものとして、全世界から若者が習いに来ているということになります。社会との関わりに関しましては、やっぱり環境戦略といったことに対するアピールと、それから広報活動は各種いろいろしっかりとやっております。
検証の進め方につきましてですけれども、基本的にはこの検証の進め方を妥当なものというふうに考えています。検証の時期に関しましては、やはり第3期の中期目標・中期計画に関する評価が来年の6月に実施されますので、6月以降にそれらの結果も一段落したところで、この評価の検証の作業に入らせていただければと思っております。それから、配慮していただきたい点に関しましては、各機関の予算規模や構成員数がかなり違いますので、その辺の予算規模とかも十分に配慮をして検証作業に入っていただきたいと思います。
それから資料の8ページ目、主な観点(資料2-2)についてですけれども、「対象となる国内外の研究者コミュニティが明確であり」ということなのですが、うちの研究所はもともと植物学会と動物学会のアピールで作られた研究所なのですけれども、別にその2つの学会に限らず、新しい分野のエピジェネティックの研究会とかそういった小さな会ですが、それから次世代両生類研究会とかそういった新しいコミュニティーを作るサポートもしています。そういった点も既得権益なイメージがこの文章ではなるので、新しいコミュニティーともいろいろとやっていることも検証の対象に入れていただきたいというのがポイントであります。
それからもう一つは、検証の在り方の中に、やはり共同利用研究機関なので利用者の方々からの意見というものを検証の中に入れる必要があるのではないかというのが私の考え方で、その点がちょっと今回の検証の中には、実際のユーザーの方々の意見を集約するというポイントがないので、やっぱり共同利用機関ですので、利用者の方々の意見をやはりその検証の中にも加えるべきではないかというのが私の意見であります。
それから一番下に書いてある第3点ですけれども、研究資源についてなのですが、どうしても大型という言葉が常に出てきて、例えばうちの研究だと今一番ユーザーが多いのは3,000万ぐらいのこんなミニチュアなのですけれども、これで3,000万円して、1個1個の細胞で遺伝子の発現を見るという、シングルセルのトランスクリプトームの機械があるのですけれども、ちょっとこのぐらいの大きさなのですが、片手で持って帰れるぐらいのサイズで小型なのですが、3,000万して、これが各大学はなかなか買えないわけです。それをうちの研究所であって、だから、どうしても国立大学法人の法人法の中に大学共同研究機関とは大型施設設備の提供というのがまずあって、その次は情報基盤なんですね。そうやって思うと、当時は各大学も数千万の機械を買えたかもしれませんが、今やもう各大学、数千万の機械とか8,000万とか、一番買いにくい、科研費でも買えないし、そういう最先端機器がかなりユーザーの声が高いわけですけれども、そういったものがその大学共同利用機関の区分の中にも入ってないし、その辺の視点が抜けているので、昔はリッチで各大学でそういった機械を準備できたかもしれませんけれども、今はそれが準備できなくて世界に負けているわけで、その点をやはり大学共同利用機関でできるような、そういった検証は是非ともしていただきたいというのが、この8ページの3番目の視点であります。
それから指標例ですけれども、「当該機関に属さない関連研究者が当該機関を利用して行った研究活動の状況」でいいのですけれども、うちの場合は自然科学研究機構で天文台とアストロバイオロジー、それから核融合研とプラズマバイオロジーといった新しいことをやっているのですけれども、そういった機構の中のものもそういった共同研究も、インターディシプリンな研究として、機構の中で同じじゃないかと言われるのではなくて、そういったものもきちっと評価の対象の中に入れていただきたいというのが我々のコメントであります。
最後に機能別分類ですけれども、資料3の先ほど遺伝研さんはデータと情報基盤だとおっしゃっていましたけれども、うちがその基礎生物学研究所はデータの分類になっているのです。なぜならば先ほど言ったように、最先端機器を提供するという分類がないわけです。だから大型機器で、大型機器というのはどうしても加速器とか天文台とか、そういったものを予算の関係も官僚の方々もそういう数十億円のものをとって、それを共同利用するというイメージをされていると思うのですけれども、今は数千万から数億円の機器が大学の共同利用機関の中でうちのような研究所は最も一番利用価値の高いものであって、大学からのニーズが高いものであって、そういう機能分類がないこと自体がやはりこの共同利用のそのコンセプトの中に欠落しているものがあるのではないかというのが、検証の最後の中で是非とももう一回それを洗い直していただいて、第4期に向けて大学の基礎研究のパワーアップ、世界に通用するためには、そういうカテゴリーをやはり作って共同利用のサポートをしてほしいというのが、一番強調したい点であります。
以上です。
【観山主査】 どうもありがとうございました。いかがでしょうか。
【小林委員】 よろしいですか。
【観山主査】 小林委員。
【小林委員】 基生研は非常にすぐれた研究と重要な役割を果たしていらっしゃるのですが、評価の指標のところで特に御意見がなかったのですが、重要なのは4ページのスライドにありますIBBPセンターで、これ文科大臣決定で研究不正の事前防止のための保存義務化が決められて、ウェットが5年、デジタルや紙媒体10年というふうになっていますが、それを保存する場所がないということをその基生研が全国に代わってやっているわけですから、例えば共共拠点、共同利用のときに持っているデータをどれくらいの人が利用したかだけではなくて、どれくらい共同保存しているか、これは連携にも関係あるんですけれど、これはやっぱり指標に入ってこないと、基生研が正しく評価されないのではないのかなと思います。この点、おっしゃらなかったので、代わりに申し上げると、そういう要望も出された方がいいのではないかなという気がしました。
【阿形所長】 どうもありがとうございます。是非とも、そのようなコメントが頂けるとは、有り難い限りでございます。
数値目標は結構厳しくて、大変なんですけれども、なかなか、ユーザーの方々が多いので、希望が多いので、それをうまく差配しながらパンクしない状態になるように頑張ってやっていますので、その点も是非とも評価して検証の対象にしていただけるとハッピーでございます。ありがとうございます。
【観山主査】 指標例は例ですので、この前からも言っていますけれども、それぞれの大学共同利用機関がバラエティーは非常に多様でありますので、その例に掲げてなくても自分たちの研究所の性質に合わせて、大学の研究者にとって非常に重要な部分があれば挙げていただいて結構だと思います。
【阿形所長】 分かりました。ありがとうございます。
【観山主査】 それから機能別分類に関しては遺伝研からもありましたけれども、考慮したいというか検討したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、後でも時間ありますので、次は生理学研究所からお願いいたします。
【鍋倉所長】 生理学研究所の所長の鍋倉でございます。
38ページをまずちょっとごらんください。よろしいでしょうか。生理学研究所は人体の基礎生理学の研究・教育のための唯一の大学共同利用機関です。いわゆる基礎医学を研究領域とする研究機関です。研究の対象が初期の一般生理学、いわゆる循環とか代謝から脳科学、脳の作動原理の方にだんだんシフトしました。更に現在は、人間科学、コミュニケーションとか、それから脳と恒常性というようなもう少し大きなところにシフトしてまいっています。そこの少し生々しいのですけれども規模感を知っていただくために、右側に人材と人員配置とそれから予算を書かせていただきました。
一つの大きな戦略としましては、最終的には人の理解をするためにいろいろなモデル動物を作るのですけれど、その間を埋める、いわゆる動物間の種間を埋める戦略、それから個体から分子までを埋める戦略、この戦略を進めるために様々、イメージング機器をこの20年間そろえてまいりました。
その次のページが、それぞれのイメージングの具体的なものです。購入するだけでなくて自ら開発するということもやってまいりました。
次のページですけれども、これはいろんなハブとしての拠点ですね。それからトレーニングコース、若手育成ということについての事業について述べさせていただいています。
次に済みません、31ページの方に戻っていただいて、文章で細かくて見にくくて、大変申し訳ありません。検証についての進め方ですけれども、頂いた、主な観点と指標例というものはだいたい妥当であるというふうに考えています。その上で少しコメントをさせていただきます。最も大事なのはやはり、どういう観点で評価するかというところで、きょうはそのところについて少し述べさせていただきたいと思います。
検証の進め方に関しては、是非プラス評価を積極的に取り入れていただきたいということです。それから観点指標の見直しについて作業部会と適宜協議する機会を設けていただきたいということです。
その次の生研の特徴は後で読んでいただければ幸いでございます。
主な観点と指標について、32ページでございますけれども、運営面に関しては、当面は海外の有識者アドバイザリーボードなどで対応させていただきたいというふうに思っています。
中核拠点に関しては、国際性という観点と、それから中核拠点と2つ区別することが必要だというふうに考えています。中核拠点としましては、機関が自ら行う最先端研究に加えて、基礎医学における高額・高度な計測・解析機を配備して、またその技術の開発を行う。そして共同研究に供するということの観点を加えていただきたいということでございます。
その次に、もう一つの観点として、国内の研究環境整備等の取組のハブ機能についても観点として加えていただきたいというふうに考えます。それからもう一つ重要なことは、基礎医学における不易たる高精度の研究手法、例えば電気生理学的手法などですけれども、これを維持して国内外への技術提供をすることも観点に入れていただきたいということです。
それともう一つ、先ほど基礎生物学研究所の方から報告ありましたけれども、研究者のコミュニティーの広がりなども指標としていただきたいということでございます。
もう一つ大事なことはやはり、ボトムアップ研究を支える中核拠点としての観点を入れることが一つ。指標としては、どのくらいの大学の研究を支援しているかということも指標になり得るのではないかというふうに考えています。
それから論文ですけれども、TOP10%という、この一つの指標ではなくて、様々な指標を加えていただきたい。例えば、Faculty of 1000に選ばれたとか、そういうような国際的な関連研究所がピックアップしていると、そういう評価も入れていただきたいというふうには思っております。
その次に、国際性でございますけれども、国際的な取組における国内のハブ機能ということを観点に入れるということが必要だと思っております。
それから、少しここで先ほど遺伝学研究所からもありましたけれども、この国際性という観点ですが、これは国際拠点としての環境性、国際的な研究環境整備という観点と、それから国際性と、研究拠点というそこの観点、両方あると思いますけれども、例えばクロスアポイントメント制度とか女性などは、国際的な研究環境整備という観点からの評価がよいのではないかというふうに考えております。
また、研究資源に関してですけれども、これは天文台とか高エネ研みたいな非常に超大型の研究施設というのは我々は有しておりません。我々の生物系でいう大型施設というのは数億円から十億円規模のものでございます。生理学研究所では7テスラのMRIとかdual3MRIとか、それから我々が開発した位相差電子顕微鏡などの、そこそこの生物研にとっては大型機器があると。こういうこと、これを利用することに関して、これも大型機器というふうに観点に加えていただきたいということです。
それから、生理研は宿題として頂きました資料、データに関しては、大規模なデータ及び資料というのは生理研は保有しておりません。一方、各機関で、特に各機関で保存するMRI、これは病院も含めてですけれども、MRI画像から抽出する情報の標準化・均一化へ向けた調整機能が必要であり、これが大学共同利用機関には求められております。
そのほか生理学研究のための実験データの解析法の検索としてのハブ機能も持つことも重要と。これらも観点として加えていただきたいというところでございます。
あと、新分野創生に関してですけれども、これは特定の分野の融合研究という形ではこの機関としては可能だというふうに考えています。例えば生理学研究所では物理学との融合研究によって独自に先端の電子顕微鏡の開発を行ってこれを共同研究に供していると、こういうことも考慮していただきたいと思っています。
それから、新分野の創生に関する支援としては非常に重要なものですけれども、これは機関で行うのではなくて、やはりコミュニティーが新分野の創生を行っているところの支援をするという立場を評価していただきたいと。例えば生理学研究所では心理学と脳機能イメージングの領域をつなぐ役割を果たしております。そのために生理学と他の研究分野との融合研究の推進というものを観点としていただきたいというふうに思っています。
あと人材育成に関しては、ここに記載されているものに加えて、企業の研究者の人材育成も重要な観点として加えていただきたい。それから若手研究者を育成して大学等における機能強化に貢献すること、これも観点に加えて、指標を設定することがよいのではないかと思っております。
あと最後に社会との関わりですけれども、研究者コミュニティーと社会との連携に関すること、これは是非観点に入れていきたいと思っています。生理学研究所では神経倫理という観点について、AMEDの関連事業の日本での中核機関として参画しており、国内での取りまとめ及び海外とのプロジェクト拠点との連携を進めております。
そのほか、動物実験に対する市民の理解を得るために、5年ごとに改正される動物愛護法で定めてある実験動物に関する取決めに関して、実験動物の適正のための活動を行っています。このような国内の研究環境の適正化に向けた活動等も観点に入れて頂きたいと思っています。
以上でございます。
【観山主査】 どうもありがとうございました。いかがでしょうか、何か生理研に質問とかありますでしょうか。
これから有識者の先生方から御意見いただくのですが、3研究所についてはどうもありがとうございました。様々な御要望とか指標例とかは参考にさせていただきたいと思いますし、一つは法人評価との関連で負荷が掛からないようにと、これは前回からも何回も言われていることですから、なるべくそれは掛からないようにしたいと思いますが、特に法人評価とは違って大学共同利用機関の検証ですので、大学共同利用機関というのは日本のその学術の進展のために、大学の研究者と協力していかに、もちろんそれぞれの研究所がCOEとしての役割を果たすことは重要なことですけれども、日本の学術をいかに大学の先生方と一緒に実績を上げてきたかという部分が非常に重要な観点ですので、そこをいろいろな形でアピールしていただくような資料を作っていただいてまず、自己検証していただくということが基本ではないかと思っております。
それでは、引き続き当該分野に関わる有識者の方から発表をお願いしたいと思います。まず、名古屋大学教授宮田卓樹先生から12分程度でお願いいたします。きょうはどうも出席ありがとうございました。
【宮田名古屋大学教授】 こちらこそありがとうございます。その有識者ということですが、私は先ほど阿形先生から、ユーザーの意見がないというふうにコメントがありましたけれども、正にどちらかというとそのユーザーそのものという立場のコメントを書かせていただいたようなことになっておりまして、そういう意味ではちょっとバイアスが掛かっているかもしれません。
42ページのその中に、主な観点とその指標例についてということで、少しだらだらと書いておりますので要点をまとめていきたいと思いますが、中核拠点性に関して少し気になった部分が、その研究者コミュニティーという、この意図するものが何であるかというのが、二通りの解釈があって、この場合は生物系全体のユーザーというものを指すのであれば、もちろんその上のパラグラフにはそういうことかしらというつもりで書いてあって、それならばいいんだけれどもと、次のパラグラフで私の懸念を述べさせていただいているのですが、少し狭くそれをむしろ、コミュニティーが指すと解釈されてしまうようでは、指標として少しちょっとまずいのではなかろうかという、そういうことを書かせていただいています。
それから、この国際性を次に指摘させていただいていますけれども、これは私は今も非常にヘビーユーザーとして現在のユーザーでもあるのですけれども、過去もユーザーでありまして、その過去の私が正にこの国際的な舞台に扉を開けさせていただいた機会を、この場合は生理研でしたけれども、国際シンポジウムで頂いたという機会がありまして、非常に今の私があるのはその一歩の大きさというのはもう思い出すと本当に有り難くいつも思うのですけれども、そういうこれ実例ですので、そういう意味もこの国際性というものには持たせて、何か評価にするなり、あるいは目標とするなりという考え方も、現在のその国際的にどれだけ有名であるかとか、どれだけインパクトをその研究者なり研究所が持っているかということに加えて、そういう種まき的な要素についても取り上げるようにしていくというのも意味深いことではないだろうかという、そういうことを書いてあります。それをただ、いろいろカウントしていくと、それ自体もかなり事務手続上大変かもしれませんので、なるべく負荷の掛からない程度にそういうことも評価をしていただけるといいのではなかろうかということを、この国際性のところには書かせていただきました。
それから新分野の創出というところですが、ここが少し私には一番難解な部分でして、その新分野の創出とは何ぞやというあたりも、この指標がどういうことを言っているかがよく分からなかったというのもありますし、それをなおさら評価するとなると、それをどうやってやるかというのが、10%何とかといろいろ書いていますけれども、分母になるその論文のその分野自体もそのあやふやなことをしているところで、と言われてもという気がしますし、そういうその何かが取れたという観点でその新分野を創出したということ自体がそもそもそれは無理というか、それはおかしいんじゃないかという気がしています。
ではそれをどういうふうに、何かそういうことを新しい一歩に向けてということを、評価しようとするならばどんなことかということで、これかなり個人的な意見になってしまって恐縮ですけれども、次の部分に書かせていただいていますのは、いろいろその大学にはないような機械ですとかいろいろな情報ですとかお持ちの研究所ですし、それをどういうふうによりすぐって研ぎ澄まして、大学に供給していこうかというようなことをやっておられる場所ですので、そこでそうした環境でいろいろお持ちになる発想、アイデアというのはやっぱり代えにくいものがあると思います。そういうものが、妙なたとえで恐縮ですけれども、「2001年宇宙の旅」で何かこう火を持つ、火を手にする、人類の元の祖先が火を手にするような、そういうものに相当するような、それで何をするかではなくて、それそのものがそこに輝いて光っているということが、それでどんなことができるだろう、いろんなことができるだろうというふうに、周りを巻き込んでいろんなモチベートするわけですので、そういう最初の一歩を何かお示しくださりさえすれば、それでこの新分野の一歩の指標としてカウントとしてふさわしい、むしろ地に足の着いた評価ができるのではなかろうかということで、また妙なたとえでいろいろ、種まきだとか、刈取りではなくて種まきに相当するようなことを何か評価の対象としては、というふうに書かせていただいたのはそういう意図です。
それから最後に、大学共同利用機関に期待することとして書かせていただいたのは、生理学研究所、生物学研究所、遺伝学研究所、いずれにも本当に私は今も正に現在進行形でお世話になっていますし、今までもそうでしたし、その過去から今に至る自分の成長を支えてくださった時間軸上の何かお世話になったことを思い起こすに、それが是非未来にも、今の若い人たちにもそういう体験を続けて持たせてあげたいというのは、本当に強く願うところです。したがって、こういう研究所というのは非常に豊かな生態系、サンゴ礁であるとか森とかというふうにたとえていますけれども、そういったもののように私には本当に心から思いますので、是非それぞれの個性を持って残っていってほしいというふうに思う、そういうことを書かせていただきました。
以上です。
【観山主査】 どうもありがとうございました。非常に貴重な御指摘を頂いたと思っております。何か先生に御質問ありますでしょうか。御指摘の御自身の経験から非常に国際的な舞台との接点が持てたんだ、とかというような例というのは非常に重要だと思いますし、ある意味では頭脳循環だとかそういう役割を果たしたということも、それぞれの研究所にあると思いますが、それをうまくまとめて指標として持ってきていただければ非常に評価しやすいところですが、なかなか大変なところもあると思うのですよね。事例事例によって様々なバラエティーがあるから。そこら辺は是非各研究所の方で工夫していただければと思うところです。
よろしいですか。それでは、続きまして大阪大学微生物病研究所所長の松浦義治先生から12分でお願いいたします。
【松浦微生物病研究所所長】 微生物病研究所の松浦です。私もこの、きょう御発表いただいた3つの研究機関というのは学生時代から非常に憧れの研究機関でありました。そしてすばらしい研究をされている研究所であるというのはよく存じ上げておりまして、こういう共同利用の研究機関というのは世界に類のない機関なので、是非とも今後とも発展していただくことを願っております。
で、何かコメントをということで、僕なりにいろいろ検証ガイドラインとか検証の観点とか指標に関しまして、私のコメント、この青字で資料の46、47、48、3ページに簡単にまとめていますが、ガイドラインの骨子案について特に何かあるかと聞かれますと、これで大体いいと思います。特に私から申し上げることはございません。46ページの後半から、検証における主な観点と指標例についてということで、運営面、これはもう私から申し上げることはございませんが、やはり機構長のリーダーシップを強化するために外部人材の登用促進や機構長裁量経費の充実なんかがあればなというふうに考えております。それからちょっとここに書いてありますが、大学の附置研センターとの再統合あるいは再編統合等の可能性も考えてはいかがかなということを述べさせていただきました。
そして中核拠点性ですが、これもなかなか難しいのですが、異分野融合による研究領域の拡大と新分野の創成に向けた研究プロジェクトを立案し実施する、これは、こういうのは当たり前のことですがこういうことをできればなと。そして既に機構直轄の国際連携研究センター、IRCC等を平成30年に設置しているということを資料で読ませていただきましたので、こういうのを進めていただければなと思います。
国際性、次のページですが、これは、この3つの研究機関というのは我が国の基礎科学の一番のその推進していただける研究所だと思いますので、どんどん今後とも日本のこういう基礎研究分野のプレゼンスを発信していただければと思います。これも特にあれはないのですが、海外オフィスとか外国人研究者の相談窓口を設置して、優秀な外国の人材をリクルートするような施策も考えてもいいのかなと思っております。
それから研究資源ですが、これも先ほどありましたようにそのバイオリソースとかIBBPでしたっけ、そういうものもこの研究機関で整備されておりますので、これらをもっと大学の研究者が使いやすいように整備していただければ、これも十分そのNICAでしたっけ、こういうのを作られて進められておられますので、余り問題はないと思います。
それから新分野の創出ですが、これはやはり一番難しくて、これからどうするかということですが、これもいろいろな仕掛けを考えられておられまして、NOUS等を導入して、機構一体で新しい分野を創生しようという努力をされているようであります。
それから人材育成ですが、ここがやはり日本のこういう基礎研究分野で一番大事なところで一番欠けているところかなという気がいたします。こういった非常に恵まれた環境を整備していていただいていますので、大学院生が研究をやりたいと思うようなこういう充実した設備を完備して、若い人をどんどんリクルートしていただければと思います。そこに総合イノベーション戦略とか未来投資戦略というのが昨年こういう閣議決定されておりますので、こういったものをうまく利用すればいいかなと思っております。
それから社会との関わりに関してですが、国民に基礎研究の重要性を本当に分かっていただくような努力をしていただきたいと思います。非常によく努力されているのはよく存じ上げておりますが、大隅先生等を輩出した、そういう研究所でもありますので、やはりそういう国民に基礎研究の面白さや大切さをもっと発信していただければと思います。
それからやはり大学の評価も同じなのですが、トップジャーナルとか高名な賞を受けたとかいうのを評価にカウントされますが、やはりその各分野でコアとなるジャーナルがあります。それは非常に科学の進展に寄与しているのですが、必ずしもインパクトファクターは高くありません。しかし、非常に重要な領域で重要なサイエンスを支えているジャーナルがあります。そこへいわゆる、出すというのは、やっぱり各分野では研究者が非常にそこを大切にしないと、商業主義に押されてしまって本当に大事なサイエンスを見失う、評価されないということが多々あります。だからこういったコアジャーナルにきちんと出している研究所をしっかりとサポートするとか評価するとかいうシステムが絶対大事だと思います。それから、これも最近よく言われているデジタル革命等があります。それから、生産年齢の人口、日本人の人口どんどん減っていますし、特に18歳人口が減っています。それから超高齢化が始まったり、グローバル化、それから地方の過疎化等の問題がありますが、こういった社会的な変革に我々基礎研究者もどうやって対応するか、特にそういったことも考えていただければと思います。それから、分野を超えた知識・人材の融合・協働による研究力の強化、それからよく言われるダイバーシティー、共生等の全員参加型のこういう社会にどのように研究所が対応するかというところも、これから問われることかと思います。
最後に、大学共同利用機関に対する今後の期待と書いてありますが、我々、本当に学生時代からこの3つの研究機関とはよく存じ上げて非常に憧れるような研究所であります。今もそうであります。だから、これからももっともっとその若い人が研究者になりたいというような、そういうことを思うような研究所であってほしいということです。そして基礎研究をどんどん牽引してほしいと思います。
それと最後に、最初に述べましたが、社会変革や異分野融合による全員参加型のこういう社会にどのように対応するかということをこれから考えていただければと思っております。
以上であります。
【観山主査】 どうもありがとうございました。いかがでしょうか。先ほど宮田先生もおっしゃっていましたけれども、新分野創生に関しては、何か新分野ができてそのトップ1%か10%か、すごい起点になるような論文を出せればもちろん問題はないわけですが、そんなことはなかなか簡単にはできません。ただ一つ思うのは、大学共同利用機関というのは様々な経緯で作られたました。経緯がそれぞれの研究所によって違いますが、しっかりとした学会とかコミュニティーがあって、それが共同利用の一つの仕組みとして運営されているという面があるわけです。そうすると、既存のコミュニティーというのはやっぱりいろいろな面で意見を述べるのは非常に強いので、そうすると既存のコミュニティーだけの大学共同利用機関であれば問題がありそうです。もちろんそれでも国際的に頑張っていただければいいのだけれども、既存のコミュニティーにがんじがらめになると新しい分野になかなかチャレンジができなくなると困ります。そのようなことも、それはどういうことかというのは非常に難しいことだと思いますけれども、チャレンジをしていただくような仕組みとか、すぐ論文ができるとか何とかということではなくて頑張っていただきたいということを込めてこの観点を入れているわけで、その指標の評価に関してはいろいろな形が必要だと思います。おっしゃることは十分理解しております。
では続きまして、今回は国立大学共同利用・共同研究拠点協議会の会長として大阪大学接合科学研究所の所長田中学先生にもお越しいただいて、どうもありがとうございました。12分程度でお願いいたします。
【田中接合科学研究所所長】 どうもこんにちは。国立大学共同利用・共同研究拠点協議会の会長という立場でここに呼んでいただきましてありがとうございます。
それでは、資料の49ページを見ていただいて、私の方から、共共拠点の立場から大学共同利用機関の改革についてコメントさせていただきたいと思います。
49ページのまず下でございますが、これは昨年共共拠点の協議会の方で実施したアンケート結果をまとめたものでございます。既に研究環境基盤部会には提出しているアンケート結果でございますが、今回用に少しまとめてまいりました。
共共拠点から見た大学共同利用機関への期待としまして、まず、大学共同利用機関の役割として大きく2つ。大規模装置、先ほど大規模装置だけじゃないというコメントがありましたが、最先端機器も含めて学術基盤に基づく先端研究・大型研究の推進という観点と、国として戦略的、長期的研究の推進、の2つになります。また、大学共同利用機関との連携という観点では、個々のミッションを生かした相補的関係による共同利用・共同研究の推進。それから大学共同利用機関は国策を反映させたトップダウン、共共拠点の方は多様な分野や地域性に根差したボトムアップ、という視点を持っています。
また、大学共同利用機関とのネットワーク形成という観点では、メリットとしてあくまで共共拠点側として感じているのは、ユーザーの利便性、大型装置、貴重資料、データベース等の利用の向上、と言えます。それから、手続の一元化や施設利用の機会の増大などスケールメリットがあげられます。他方、デメリット、あるいはデメリットに感じているという観点では、一つは、連携できる研究分野がある場合にはネットワーク形成に意義があるが、ネットワークありきで施策した場合、共共拠点の独自性や多様性が失われる。もう一つは、ネットワーク構築は意義があるが、組織体の意思決定はトップダウンによるものよりも、参加機関の合意に基づくボトムアップを基本とすべき、というようなアンケート結果でございます。
その下は、大学共同利用機関のネットワーク形成が「必要である」、「どちらともいえない」、「必要ではない」、「その他」という選択肢に対して、左側が関連分野のある場合、右側が関連分野のない場合での集計結果ですが、大事なポイントは、「どちらともいえない」という回答が非常に多いということであります。逆に言うとチャンスがあれば是非ネットワークを組みたいというふうにも捉えられますし、別の言い方をすると、うまい施策、仕組みがなければ、なかなかネットワーク形成は難しい、という捉え方もできます。そういう意味で、この「どちらともいえない」というのをうまく活用していただける場を作っていただくのが重要であろう、と思っています。
その次、50ページの上になりますが、以上のようなアンケート結果に基づいて私の方で簡潔に取りまとめたものが上側の方になります。その右の上ですが、大学共同利用機関としましては、ちょっと小さいマップで恐縮なのですが、首都圏と中部それから関西で比較的限られた所に集中して存在しており、かつ、構成が4機構、17機関に絞られています。他方、国立大学共同利用・共同研究拠点は下になりますが、そのロゴからも見ていただいて分かりますように、北海道から沖縄まで全国に広く分布していまして、全国で79拠点94機関から構成されておりますので、大学共同利用機関とは機関数と分布状況から観ても、その形態が大きく違うと言えます。したがいまして、大学共同利用機関としては、やはり「国が期待する世界トップレベルの研究機関」として存在していただきたい、と思います。他方、共共拠点の方は、「大学から生まれた学問の自由に基づく多様な研究機関」の拠点ということが言えるかと思います。
そういう意味で大学共同利用機関につきましては、是非、国の研究戦略・施策を打ち出していただいて、その戦略の旗手としてトップダウンの役割を果たしていただく。他方、共共拠点の方は、多様な分野に裾野を広げた学問の追及という観点がございますので、そのトップダウンからの戦略の旗手に対して呼応するような立場である、と考えています。そういう意味で、大学共同利用機関としては、オープンリサーチな機能を保持していただき、共共拠点に対していつも手を差し伸べ、共同研究ができるような場を作っていただきたいと思います。それに対して共共拠点は自発的かつ簡単に手をつなげるような環境と意識が必要だろうと思います。他方、大学共同利用機関は国家戦略として国家の必要な科学技術あるいは学術のポイントを指し示していただいて、それに対して共共拠点としても有機的にうまく結合していくというような戦略的な共同利用・共同研究体制が必要であると思います。それが我が国の研究力の強化につながると考えてございます。
以上のところを踏まえて、骨子案と主な観点・指標例案について少しコメントさせていただきます。50ページの下になりますが、まず、検証の進め方については、私もほぼ妥当であろうと感じてございます。
その中で骨子案について、まず一つ目、検証の結果のところに、「相互の優劣を比較するものではない」という一文がございましたが、これは尊重すべき点であり、この絶対評価という点を、是非、明文化していただきたいと思います。
二つ目ですが、外部検証の評価者選定において、異なる分野の特性に応じたきめ細やかな評価が実施される体制作りを、是非、明文化していただきたい。これは共共拠点にも共通するのですが、理系文系など研究分野が広く多岐にわたってございます。大学共同利用機関につきましても、4機構いろいろな分野にわたってございますので、そういう点で外部検証の評価者選定において、それぞれの特性をしっかり評価できる評価員の選定ということを明文化してもらいたいと思います。
三つ目は、外部検証の結果で「組織及び業務全般の見直しについて」というところで、私の勘違いかもしれませんが、読ませていただいた印象では評価した結果、継続してくださいとか、あるいはここを改善しなさいというような、エンカレッジのコメントは出るように感じました。しかしながら、それだけではなくて国家としてどうしてもここの研究分野が必要であり、より伸ばすためにはその設備の強化あるいは施設の強化、予算の増額など、国に対してそういう施策の助言ができるようなことも必要ではないか、と思います。
あと、主な観点・指標例案につきましては、まず一つ目が、我が国での世界トップレベルの学術研究を担う中核拠点としての中核拠点性の観点から、各機関が目標とすべき世界の研究機関の設定を観点に入れられないのか、と感じました。例えばベンチークというものですね。それがまた、我が国のここの研究所が、海外のこういうすばらしい研究所と比較して、同等やそれ以上であるということが認知できれば、国民にとっても大きな誇りであり、希望になるものと思います。
二つ目は、中核拠点性において、各機関独自の研究員の評価システムの整備・運用をしていることを評価してはどうか、と思います。もちろん、ベンチマークに対して機関ごとに独自のKPIが設定されて、そのKPIに沿った研究員の進捗状況を年あるいは半期ごとに確認できるような、つまり、研究員自身が自己点検できるような評価システムを運用・整備することを評価する、ということを考えてはどうかと思います。
また、三つ目ですが、大学共同利用機関として備えるべき要件が記されていますが、この中で、運営面、中核拠点、研究資源の観点を必要項目とし、他方、国際性とか新分野創出、人材育成、社会との関わりなどの観点はオプション評価として取り扱えないか、と感じました。もちろん、国際性にたけている研究機関もありますが、例えば、我が国の古文書の編纂・管理を研究する機関など、人文系の場合には必ずしも国際性が必須とされない場合もあろうかと思います。そういう意味で我が国益として一番最もこの大学共同利用機関に求めるものは何なのかということをそぎ落としていったときに、我々国民が期待するのは恐らく、中核拠点と研究資源というポイントではないか、と思う次第です。それ以外の観点については、それぞれの機構あるいは機関ごとが独自性を維持しながら伸ばすことができる付加的ポイントとして、オプション評価というような観点も入れてもいいのではないか、と思います。全部何もかもやると総花的になって、研究員が疲弊してしまうことを非常に懸念する次第でございます。
あと四つ目は、研究資源において手続きの一元化、施設・設備・データベースの利用状況のリアルタイム可視化など、利便性向上の整備状況を評価していただければと思います。これは、各共共拠点に対してオープンにいつも手が差し伸べられ、また、すぐに手を握れるというような利便性の向上に努め、整備しているということを評価していただく、というものでございます。
五つ目の最後ですが、人材育成につきましては、国家戦略的な研究拠点と捉えた場合には、後継者の育成というのが非常に重要ですので、そういう意味では戦略的に研究員の育成ということが重要であろうと考えます。年齢構成というようなものも含めて戦略的に人を育てていく仕組み作りに配慮している、ということを評価してはどうかと考える次第です。
以上になります。
【観山主査】 田中先生、どうもありがとうございました。本当に貴重な御指摘頂いたと思っております。いかがでしょうか。藤井先生。
【藤井委員】 どうもありがとうございました。大学共同利用機関法人と、共同利用・共同研究拠点との違いというのはもちろんあります。大学共同利用機関法人は国の研究戦略や施策を強く意識いたしますが、実際、研究プロジェクトの立案などは必ずしもトップダウンではなくボトムアップの要素が強くあります。このような面では大学等の教育研究機関と似たプロセスであるということを申し上げます。ただ、先ほど申しましたように、国の施策等は強く意識して行っていることも事実でございます。
【観山主査】 どうぞ。
【平川委員】 まず第1点は、今藤井さんがおっしゃったことと全く同じで、我々は研究課題というか大学共同利用機関の一番基本は、研究者コミュニティー等の、それから地方の自治体まで含めて、非常に幅広い人たちとの共同研究というので、これをまず第一番に考えておりますので、十分にその検討によって研究課題そのものをボトムアップで組み立てていくという基本的な姿勢は変わらないと思います。
それからやはり確かに、国が大学共同利用機関という世界に誇るこの仕組みを最大限活用するという意味では非常に期待も大きいのですが、もっと大きいのは私たち、特に人文の場合は社会との応答を常にやりながら何が今求められるものかということにおいては、やはり社会が期待するものにどう応えていくかというそこに非常に大きなウエートを置いています。
それから、この学問の自由に基づくというのは、特に人間とその文化を総合的に研究する我々にとっての一番大事な部分はやはり、その学問の自由に基づくというところですので、これは大学共同利用機関が欠けていたら大変なことになりますので、そこはきちっと我々も認識もしていますし、そういう理解方針にしていただきたいと思います。
それから今、評価の面でいろいろな大学共同利用機関においては異なる分野あるので、運営面、中核拠点研究資源、それからそこまでは非常に大事な部分だとおっしゃっていただいたのは大変我々としてもそのことを意図しています。常に国内外での中核拠点を目指すということを目指しておりますし、それから何といっても今回の備えるべき要件の中では、社会との関わりというのが先ほど来私申し上げておりますように、人文機構の大きな仕組み、大事な部分で、単に共同するのではなくて、ともに作り上げるという、前回のこのヒアリングで地球研が地球環境をやはりその社会と競争するという面を強調されたのもそういう意味合いですので、是非そういう面で我々は大学共同利用機関と共共拠点は同じ方向で人文学の国内外の中核拠点を目指しているというふうに御理解いただければ有り難いと思います。
【田中接合科学研究所所長】 ありがとうございます。共共拠点のアンケート結果に基づいて、きょうはまとめて参りましたので、少し不適切な論点もあったかと思います。ただ、共共拠点サイドの方から大学共同利用機関を見た場合に、期待する観点として今回申し上げさせていただいた、ということでございます。そこを御了承いただければと思います。
【平川委員】 十分に話合いをこれからも続けていきたいと。ありがとうございます。
【観山主査】 どうもありがとうございました。私も昨年この研究環境基盤部会でこのアンケート結果を聞きまして、少し驚いたというか、やっぱり認識として随分、大学共同利用機関側がまだまだアピールが足りないと思いました。ただ、このネットワーク形成というものがどういう形を考えているのかということが、少し説明されていない形でアンケートが取られたようなので、各機関によって様々な懸念もあったのではないでしょうか?何か取り込まれてしまうのではないかとか感じもあったり、それとも全然分野が違うところは何の関心もないというところもあったりして、ちょっとこのままこれで見るとやっぱり、大学共同利用機関は本当に理解はまだまだ大学には進んでないという感じになるので心配です。今回のこの検証の機会も踏まえて、しっかりと検証しなければいけないところだと思っております。
それから先ほどから言われている、やっぱり研究開発法人とは大学共同利用機関は違います。研究開発法人というのは確かに国策に基づいて科学技術のある方向性に推進して行くという側面が強いです。それに比べれば、大学共同利用機関はもう非常に学術サイドの分野しかありませんので、そういう面では共共拠点と同じような方向性を持っていると思いますが、ただ規模的な問題だとか、やっぱり経費的な問題というのは大小違いあります。
いかがでしょうか。ちょっと意見交換をする時間を作りたいと思いますけれども。
【フクシマ委員】 よろしいですか。
【観山主査】 ではフクシマさん。
【フクシマ委員】 全く外部の人間で、それも技術的なことに無知な人間からのコメントで恐縮なのですが、先ほどからのお話を伺っていて2点印象に残ったことがあります。1点目は宮田先生がおっしゃった、「最初の一歩でもよいのではないか」と言う点です。、要は評価の項目ですね。これ実は、民間のビジネスにいる人間からしますと、それが是非やっていただきたい点なのです。なぜかといいますと、ビジネスですとどれだけ早く商品化をして、その技術を「儲(もう)ける市場」に出すかと言うことが重要ですので、新規分野の創造というのは「新規市場の創造」に結び付いて考えます。もちろん御存じのように、東レの炭素繊維のように何十年と投資して花を開いたという研究もあるのですが、そうした投資を維持するというのは、経営者の方たちにとっては難しい判断です。特にこれだけ技術開発が加速度的に進んでいるときに、なかなかそういった新分野の創出に時間を掛けて、基礎的な研究を続けていくというのは難しい状況だと思います。従って、是非こういう組織の中でそうした研究開発をやっていただければ助かると思います。そのためには何を評価するかが重要ですので、「一歩を始めた」ということを評価項目とするのも重要だと思いました、具体的な評価項目を何をするかは、外部の人間には分からないのですが、あればお考えいただきたいと思いました。それが1点目です。
もう一つ、松浦先生がおっしゃった「社会課題への対応」ということで、先ほど、48ページの最後から2番目の項目のところだったと思いますが、「デジタル革命のAI/IoT、ビッグデータ、Society5.0、生産年齢人口の減少、グローバル化等にどう対応するか」と言う点です。これに対応するために皆さん日々様々な領域で御研究をされているということだと思うのですが、その御研究が「どうこうした課題に結び付いていくのか」が素人には分かりにくいと言う点です。具体的に、領域によってはすぐ結び付く領域と、例えばゲノム編集等はすぐに結び付くと、素人でも分かるのですが、それ以外の分野でもあると思います。できれば、どう社会課題の解決につながるかということを発信していただければと思います。そうした発信が、こういう組織の存在意義を社会に示すためには重要ではないかなと思います。ビジネスの世界では日々市場の要求に押されて、どう対応するかどころではなく、どう機会として生き残っていくかということが喫緊の課題になっていますので、その意味でもせっかく先端の「この領域では日本あり」という研究をされている分野もおありだと思いますので、そういうところは是非是非積極的に社会発信と世界発信をしていただければと思います。
それからもう1点。済みません長くなって。最初の遺伝学研究所で、たしか「もう少し時間の短いものを評価指標として入れてほしい」という御意見を何回かお出しになっていたのですが、その「短い」というのは、どのくらいの期間を考えればいいのでしょうか。研究の世界の短さと、ビジネスの世界の短さは感覚が違うので、例えば海外の研究者が日本に来て研究をする場合、短期でもそういうものを評価してほしいということを御希望として出していらしたと思うのですが、それが6か月なのかそれとも1か月なのか、それが3年なのかというあたり、ちょっと感覚を教えていただければと思います。
【花岡所長】 分かりました。短いと私どもが考えているのは、1週間あるいはそれよりもっと短い数日の場合もありますが、そのぐらいの期間でして、1か月だと中ぐらいですかね、半年、1年となるともう長いという、そんな感覚です。
【フクシマ委員】 ありがとうございます。
【観山主査】 よろしいですか。大切な観点頂きましたけれども、2番目にその社会問題というか、今非常に議論になっている問題に対してどのように発信できるかということは非常に重要な視点ではないかと思いますが、いかがですか、各研究所の所長さん、せっかく来られていますので、それぞれの形で発信があろうかと思いますけれども、少しこの際、何か紹介していただければと思いますが。鍋倉さん。
【鍋倉所長】 先ほど少し触れさせていただきましたけれど、生理学研究所はやはり実験動物、5年ごとに動物科学の会合が開催され、この前の5月、6月にありましたけれども、やはり実験動物をどうするか、その最適化とそのための今度は研究者コミュニティーをどう教育していくのか、そしてそれをどう発信させていくのか。そこの点についてやはり、これは全面的に出るのかどうかは別としまして、その下支えのための人員を配置すると、そしてそれをやっていくと。今後また5年後にこれは起こりますので、そのためにどう取り組んでいくのか。例えば、実験動物の死に対する各機関の外部検証をどう整理していくのかとか、そういうふうな社会的な取組というものを我々は、研究所としては全面はなかなかできるかどうか分かりませんけれども、その事務局的な役割をするということが自然にできると思っています。
もう一つが、私たちの研究所は脳の研究を今やっています。そうしますとやはり、コミュニティーとのいろんなコミュニケーションとか、それから病体の方で、これをどう社会とのつながりを持つのかということ、これ世界的な基準を設けるという動きはできています。それを日本での取りまとめを行って、国際資産だと、それにどう近付けていくか、また、それを作り上げていくかということで、今は国際脳という中で働いていまして、そういうようなコミュニティー等と科学者を結び付けるような基準というものを作るというものを進めていくというのがミッションと思っています。
【観山主査】 お分かりになったと思いますが、例えば最初に言われたのは、その実験動物、生き物はそれぞれ個性があって、それを違う研究者が研究していたらその個性に引っ張られるとなかなか共通のものができませんよね。だからなるべく標準的なものを皆さんに提供して、例えば病気の研究だとかというものを普遍的にやるためにそういう資料を出しておられるとか、脳の研究をするのでも同じようなものを出さないと、それぞれの固体にバラエティーがあってしまったら問題が出てくるので、そのようなことがないように生理研が活動されているということですね。
【フクシマ委員】 ありがとうございました。
【観山主査】 基生研とか遺伝研とか何かありますでしょうか。
【花岡所長】 私どものところで言いますと、一番先端としては、ヒトのゲノムのバンキングというのをやっております。いろいろマスコミなんかでも気になっているので御存じかと思いますけれども、それぞれのヒトのゲノムを解読して、それを何百万人何千万人と世界中のものを集めることがスーパーコンピューターを使ってできるわけですけれども、そういうデータを使って特定の何か原因が分からない病気の方のその特徴ある遺伝的な部分を探し出して、それによってどういうお薬が効くかというようなことが、主にがんの研究分野が中心になって世界的に進んでいるのですけれども、そういう個人ゲノムを集めるというようなことも我々、大学共同利用機関でやっておりまして、それはかなり社会的にアピールができることだというふうに思っております。
【観山主査】 ありがとうございます。基生研何かありますか。
【阿形所長】 基礎生物学研究所の場合はどちらかというとその哲学的なところへの貢献ですかね。やはり生き物は、不老不死の生き物は進化をしない。ずっとそのままでコンサバでいると、そのままずっと生きてはいますけれども、何も変化がないわけです。必ず寿命をもたらして古きものは死ぬことによって新しいものが創られて進化していくという、そういったなぜその寿命を持たなければいけないのかについての理解について、その生物がなぜいろんな生き物を創り、寿命を持って多様な世界を創ってきたかという、そういったことのメカニズムとその寿命を持つことのメカニズムを、やはりきちっと一般の方々に知ってもらって、そういったコンセプトをやはり哲学的に理解して、自分の人生をどのように考えるかと。それから超高齢化社会をどのように考えていくのかといったことを、やはり哲学的なところからアプローチしていきたいと思っております。
【観山主査】 どうもありがとうございました。先ほどから、新分野の創生について、フクシマさん、最初の一歩でいいんじゃないかというようなことを言われましたし、この新分野創生に関しては、やっぱり我が国が相当今後の展開の中で重要視しなければいけないことです。しかし、どうしたらいいかというのは方策が難しい分野です。ただ評価に関して点検に関しては、十分慎重な扱いが必要であって、なおかつ長い目で見なければいけない評価の観点ではないかと思います。その点はそれぞれがアピールしていただいて、それをいかに検証するかということになろうかと思いますが、いろんな表現の仕方があろうかと思いますけれども。
ほかの委員、佐藤先生。
【佐藤委員】 きょうはいろいろお話を伺えて有り難く思っていますけれども、異口同音というような感じで出たように思う、話題というべきかどうか分かりませんが、研究者コミュニティーとの関係ということでございます。宮田先生も指摘していただいたことですし、それから主査も先ほどおっしゃっていたことについてです。
歴史をたどれば、大学共同利用機関というのは、しっかりした研究者コミュニティーがあって、そこがいわば推薦をするというか、その上で研究機関がそれにふさわしいかどうかの認定を受けて、そのうえで発足したというような状況があったと思います。その後、大分状況も変わってきている点はあるかと思いますけれども、そうした経緯があるためか、今回の「観点」でも「研究者コミュニティーが明確である」というような言葉が出てきています。
それはそれで悪いことではないのですが、先ほど鍋倉先生がおっしゃったような、その研究者コミュニティーといっても、実は歴史のあるコミュニティーほど、と言っていいかどうか分かりませんし語弊があるかもしれませんけれども、コミュニティーによってはかなり硬直化してしまっている、あるいは相当エゴイスティックなところもないわけではないように思います。研究機関がそういったコミュニティーと付き合うというか、そのバックボーンにそういったコミュニティーを置いて、これからもやっていくべきかどうかというようなことも本当は考え直す部分があってもいいと思うのです。
そうでなくとも学術研究はどんどん進んでいますので、特にきょうお越しいただいている3研究所は、生命、生物、すなわち、おそらくこの30年ぐらいの間では一番そうした進歩というか変化の大きかった分野の研究機関ではないかと思います。そこで、研究者コミュニティー自体を、共同利用機関が作り出すというか、あるいは育てるとさっきおっしゃっていたと思いますけれども、そういったことがこれまでどういうふうに実例としてあったかというようなことも、これからの共同利用機関の姿を考える上で結構大事なポイントになりそうな気がするんですね。ですから、それを評価指標に入れるということでは必ずしもないのですが、少なくともそうした考え方というのは、やはり必要ではないかと思われます。ですので、先ほど鍋倉先生からは実例に近いお話があったと思うのですけれど、ほかの二つの研究所ではそういったようなことがこれまでにおありになったかどうか、もしお聞かせいただければ伺いたいと思います。よろしくお願いします。
【上野副所長】 新しい学問の創出という面では、先ほど阿形所長からお話がありましたけれども、もともと動物学会と植物学会のレコメンデーションで出来上がった研究所でございますが、実際のところはその後、例えば発生生物学といった学問に分子生物学が導入されて、生物学のありようが大きく変わってまいりました。それによって、学会という点でいえば動植物学会関係なく、新しい発生生物学、分子生物学で理解する発生生物学のコミュニティーが出来上がったと。そのほかにもゲノム科学が入ってきたり、あるいは最近ですとゲノム編集というものが出てきて、大きく技術の革新に伴って新しいコミュニティーがどんどん出来上がっていると。そういった中で基礎生物学研究所は、新しい技術を普及するためのトレーニングコースを行ったり、あるいは新しくできたコミュニティーを更に大きく発展させるために、そういった役割を担ってきたというふうに自負しております。
【観山主査】 ありがとうございます。遺伝研、何かありますか。
【花岡所長】 私ども、もともとの遺伝学研究所というのは遺伝学普及会というのがありまして、それが昔の先生方が遺伝学を日本では進めなきゃいけない、これから大事だということで作られまして、いわば小さなサークルから、それから遺伝学研究所というのが、それを文科省に、前の文部省に申請をして、強力に推進して、三島の地にそれを作って、その後また、その遺伝学普及会というのは続いていて、遺伝研をサポートし、そして遺伝学会という学会もそこから派生していきましたので、そういう意味でもともと、社会一般の方から現在の遺伝研ができてきたようなものでして、余り硬直化しているというようなところは、我々の分野には余り感じないのですけれども、そんなところです。
【観山主査】 ありがとうございました。では森先生。
【森委員】 御説明、どうもありがとうございました。大学共同利用機関に大切なミッションの一つはもちろん、共同利用・共同研究です。
国の財政が厳しく、運営費交付金が減っていく中で、大学における研究の機会を担保するということで、基生研の方でも先ほど3,000万円のトランスクリプトームの機械の人気が高いということで紹介されておられました。生物系の研究所が連携して、大学に対して研究基盤資源を提供する努力しているというのでしたら、それは非常に評価されるべきだと思うのですけれど、例がありましたら示してくださいますか。
【鍋倉所長】 一つの取組として、今、科研費の中で学術研究支援基盤形成事業というのがありまして、今、基生研と生理研が中核拠点となって先端バイオイメージング拠点と、支援拠点というのをやっています。これは基生研と生理研が中核拠点で、あと17拠点、又は先端のイメージング技術を持っている人がネットワークを組んで、そして現在の科研費課題だけですけれども、全国で光学顕微鏡、電子顕微鏡、それからMRI、それから画像処理という3つの項目で支援をしていると。だからネットワーク型の支援ということを今やっています。これは我々が拠点となって共共拠点又は先端の技術を持っている人のネットワークを使っての支援をしていると。
これがもう少し広がり、継続していけば、もっと同じようなことができれば、それぞれのそのときの先端技術を持っている、必要な技術を持っている人たちがネットワークを組むと。それが必要なだけまたそれをスクラップアンドビルドしていって、オールジャパンでネットを。その中核を我々が担うと。こういう取組もあるのではないかというふうに思っています。
【森委員】 ありがとうございます。そのシステムをどのように、広報されておられるか、どの大学もWebに入って使えるようなシステムになっていると考えてよろしいでしょうか。
【鍋倉所長】 それは、先端バイオ支援でゼミに支援を全国に公募しています。そしてそれで公募していただいて、だから現在は先端バイオというポイントなので、普通の通常の技術だけではなくて、我々にしかできないことに対して応募いただいて、それを支援するということをやっています。これは制度の問題で科研費課題だけですけれども、今後これをもうちょっと同じようなことで広げていくという提携もあるのではないかというふうに思っています。
【森委員】 すばらしいと思います。そのような取り組みが新分野創成に結び付いてきたという様な例があると、発展性を感じます。
【阿形所長】 やっぱり生物系は各3研究所が科学研究費、科研費がやっぱり大きなそのプラットフォームの拠点となっているので、だから遺伝研の場合はそのゲノム支援で全国の大学にいる研究者が、このゲノムを決めたいといったときの支援のプラットフォームとして各全国の大学の研究者がアプライしてやるという。あと、ナショナルバイオリソースというのがあって、いろんな生き物のミュータントやコレクションもしっかりと全国ネットワークで、いろんなミュータントを各箇所から取れる、もしうちだったらアサガオとメダカのものが担当しているので取れるという、そういった形だし、イメージングに関しても科研費のプラットフォームがあって、そこで基礎生物学研究所と生理学研究所が全国の研究者が使える形になっていて、そういった意味では世界に余りない形で、有効に動いて、少ない科研費、研究費の中ではうまく生物研は動いているのではないかと思います。
【森委員】 ありがとうございます。
【花岡所長】 今、阿形先生が既に紹介してくださったのですが、遺伝研ではその先進ゲノム支援というのを今やっていますが、これは文部科学省の科研費の中の新学術領域で、そういうプロジェクトを立ち上げさせていただいて、既に副所長の黒川教授なんかが中心になってやっております。その場合には、もう科研費課題を持っている方はどなたでも応募ができると。それがもう日本に広く開示して、厳しい審査があるのですけれども、なかなか競争倍率が高いので。皆さんにそれを全て自由にやっていただくというわけにはいかないのですが、ゲノムの解析とか、その解析の技術とかいったものを遺伝研で提供をしたり、あるいはもうスーパーコンピューターを使って実際に解析をして差し上げたりということを遺伝研でやっております。
【南部副所長】 少し私もしゃべらせてください。せっかく来たのですから。生理研の副所長をしております南部と申します。
今までの話あったのですが、もう少し基礎的なことで、もちろんこういう共同機関というのは共同研究をするとか、昔からやっているのがあるのですけれども、そこの中で一般的な共同研究以外に計画共同研究というのがありまして、新しい分野に結び付きそうな項目を立てて、そこへ全国の人が応募してもらって、審査あるのですけれども大体受け付けているのですが、それでいろいろ共同研究したり、物を配ったりとしているのですけれども、ここの中でウイルスベクターというのを配っている研究がありまして、いろいろな生物に遺伝子を導入する方法としてウイルスを、AAVウイルスとかそういったウイルスを遺伝子に乗っけて、それを動物に打つと、そこの打ったところ、主に脳なのですけれども、いろいろ遺伝子が発現すると。それは結構必要の技術になっていまして、生理研においてはそういうのをいろいろ、ノウハウを蓄積して、いろいろな動物に使える、特にサルに使えたりとかネズミに使えたりとか、そういう特化したような、そういうウイルスベクターを作っていて、全国の人から申込みがあると、そういうのを無料で配っているという、共同研究で使っていて、結構多くの人が国内を始め海外から申込みがあって、そういうウイルスベクターというのは一つの、先ほど言いましたように必要の技術になっていまして、大きな一つの流れになっているのではないかと思って、そういうのに役に立っているのではないかと思っています。
【森委員】 ありがとうございます。このように、すばらしい研究、学術が進んでいるということを社会の人に分かってもらえるように、何かアピールできればと、私もいつも思っているのですけれど、どうしたらいいかということも一緒に考えさせていただければと思います。ありがとうございました。
【観山主査】 ほかによろしいですか、小林先生。
【小林委員】 観点の項目で社会との関わりがありまして、参考資料2になりますけれども、そこには社会的課題解決にどう取り組んでいるかと書いてあるのですが、その具体的な観点二つ挙がっていますが、これ両方とも情報発信になっているのですが、その3研究所から見て、情報発信ということだけでいいのか、つまり、きょうの御説明だと余り情報発信の話ではなくて、もっと違う視点から社会との関わりについて御説明されていたと思うのです。ただ、情報発信も非常に大事であるのは事実で、実は基生研時代にやった研究でノーベル賞を取られた方が、その次に移られた大学で何か取られたかのような、だから生物系の方々は物すごく真面目な方々で、すごく自分のPRは余り、抑制的かなという、言い方変えると今年ノーベル賞取られた吉野先生が名城大で取られたわけではないので、やっぱりそこは企業がうまいなという感じがするのですけれども、でも情報発信だけでは多分ないような気がするのです。ここはほかにどういう観点を入れるべきなのか、3研究所にお尋ねしたいというのが1点です。
もう1点は、生理研の方から連携大学院制度だけではないと。これも観点ですが、58ページの1行目の連携大学院制度で、ですから、例えば連携大学院制度や共同研究員制度とか、多分入れないとまずいと思いますのは、全然専門外の私が補足説明する必要はないのかもしれませんが、生理研のこの36ページに書いてある、これは非常に深刻な話で、基礎医学の大学院生が激減しています。これは、大学医学部とかあるいは国立の医科大、とても深刻な話です。なぜかというと、消費税が5%から8%に上がったときに医療機器とかあるいはガーゼ等消耗品とか全部3%上がるわけなので、支出が増えます。でも一方、公的な保険制度は別に無税ですから、そこは収入は増えてこないのです。だから全部かぶっています。どこにしわ寄せが行くかというと、基礎医学に行きます。
ということが今度また、2%がどうなるんだろうという、全部かぶっているのです、今。正に生理研のおっしゃるとおりなのです。だからそうすると、これ分野によりますけれど、特定の大学院と狭く深くやるのが必要なところもあれば、やっぱり広く浅くやっていかざるを得ないというかやる方がいいというところがあると思います。これは多分、生理研がおっしゃるとおり、この観点は共同研究制度も入れた方がいいんじゃないかなと思うのですが、とにかく御質問したいのは、社会との関わりが情報発信だけではない、もっと違う観点からお答えになっているので、どういう観点を付け加えたらいいというお考えなのか、お尋ねできればと思います。
【阿形所長】 先ほど森さんから、情報発信をどういうふうにしてやっていくのかということで、基礎生物学研究所の場合はもう既にノーベル賞を取った人がいるにもかかわらず、情報発信しているにもかかわらず、それがネームバリューになってないという、苦々しい思いはあるし、例えば私もこの前テレビとか新聞に出たときに、基礎生物学研究所で、京大の名誉教授、括弧で入っているのですけれども、新聞に出たときは京大の名誉教授で載るわけです。要するに、基礎生物学研究所の所長ではなくて、要するにマスコミとかからするとその京大の名誉教授の方が知れていて、基礎生物学研究所の所長の方が知れていないということが分かったのですけれども、そこが同じ問題が多分、山中伸弥さんも奈良先端大でやった仕事でiPSを取っているのですけれども、やっぱり京大にいたから京大の看板になっていますけれども、やった仕事は奈良先端大でやった仕事なわけですね。だから全体としてのマスコミのそのステータスがあって、そこにまだその国立の共同研究機構の多くの研究所はそこまでステータスを作っていないことが、そこを変えていかない限り、僕らは幾ら情報発信してもなかなか変わらなくて、それを超える情報発信の仕方を僕らは考えなければいけなくて、実際もうノーベル賞まで出ていても、それでも、失敗したとは言いませんけれども、乗り切れなかったという課題があって、じゃあどうやってこれをやっていったらいいかについては、かなり難しい問題と認識しております。だから、ここにいる現役の国立研究所にいる研究者がノーベル賞取って、そこで攻め込む以外に方法論がないのかなと思います。
【観山主査】 情報発信というのも非常に重要な観点ですが、今小林委員から言われているのは、観点がそれだけになっていて、これは人文系のヒアリングのときにも言われたことなのですけれども、先ほど平川機構長も言われた、社会との共創というか、どういう表現がいいのか分かりませんけれども、一緒に社会と連携していくという、共同で作業するということも重要な視点として入れなければいけないかなということは私も思っておりますが、それぞれ何か、その小林さんから質問された件に関していかがですか。
【鍋倉所長】 正に社会と共同し、というところ、これがやはり重要かなというふうに我々のところでは思っております。先ほども申しました、動物愛護とか、それから脳の研究をどう社会と共通化するかとか、そういうことに関してやっぱり社会と一緒にやるという観点を、是非これは入れていただきたいというふうに思っています。
【小林委員】 そのときの具体的な指標例というのは、例えばどういうものが考えられますか。
【鍋倉所長】 そうですね、だから数値化というのは非常に難しいと思います。だからそういう意味ではその内容の自由記載というかしていただいて、先生方に評価していただくという、一つはそのプロセスで最終的にはこういうことをやりたいというところで今ここまでやっていますというような、そのプロセスはある程度の指標になる可能性があるということです。
【観山主査】 プロセスとアウトプットというかどれぐらいの人が参加しているとかいう部分と、アウトカムまであればもっといいわけですけれども、そういうのがうまくまとめられると、割としっかりしたエビデンスになろうかと思いますけれども、人文系の方も随分そういうことは努力されているようです。
【鍋倉所長】 やはりルール化とか国際的なコンセンサスをどうやって作っていくかという、それはそのアウトカム、その後に出てくるもので、そこをどうやって作るか、その作るためのプロセスでどうやっていくか。これは指標になる可能性があると。
【花岡所長】 よろしいですか、済みません。今の小林委員の御質問ですけれど、遺伝研ではすごく小さなことかもしれませんが、小学生、中学生、高校生それぞれ夏休みとか春休みとかに来てもらって、実験をさせるという事業をずっと長いことやっております。
それは、将来そういう子供たちが理系に進んでもらいたいという願いが、遺伝研の研究者の人がそういうふうに強く思って重要だというふうに考えてやっているのだと思いますけれども、そういう人たちの、あるいはその人たちの親御さんのアンケートを見ますと、非常に喜んでくれて、是非子供にそういう道に進ませたいとかということも書いてくださっているので、そんなようなことを少し評価指標に入れていただいたら有り難いというふうに思います。
【小林委員】 済みません。
【観山主査】 小林先生。
【小林委員】 社会に貢献する研究の指標というのは非常に大事だと思うのですけれども、ただ、大学共同利用機関というのは学術研究をやっていますので、社会には直接的に役に立つとは思わないような研究も多々やっていると思います。ですから、それをかなり重要ではありますけれども、その辺を適度に判断して指標にしないと、学術的に人類の興味があってやっているものがなくなってしまうんじゃないかと、余り言われるとちょっと危惧するところがあります。
【観山主査】 確かに特許を幾ら取ったのかとか、そういうふうな、社会との連携と普通に言われるものはそれだけになってしまうと非常に困るということですね。
ほかにいかがでしょうか。よろしければ少し時間が……。
【阿形所長】 一つよろしいですか。
【観山主査】 どうぞ。
【阿形所長】 基生研の阿形ですけれども、共同利用研究の例えばうちの研究所の歴史的な流れを見たときに、私は83年から91年まで助手で基礎生物学研究所にいたのですけれども、78年に研究所ができて5年後に助手できたわけですけれども、モレキュラーバイオロジーにかじを切って、全国の遺伝子組み換え、モレキュラーバイオロジーがまだ浸透していなかった日本の大学の生物学に、そのモレキュラーバイオロジーを浸透させるためにトレーニングコースをいっぱい開いて、いろんな機器を、シークエンサーとかDNA構成装置とかといったものを共同利用で使ってもらっていて、一挙に、出来上がってまだ最初は全然、大学利用研究機関が知れてなかったのですけれども、モレキュラーバイオロジーの浸透とともに研究者のステータスが作って多くの利用者がいたのですけれども、いわゆるバブルが起きて、各大学に1億円の物を至急に買いなさいという、アメリカの物を買わなきゃいけなくなって、そこでシークエンサーとDNA構成装置とペプチド構成装置が全国の大学に入って、それでもうテクニカルはトレーニングコースで学んだので、機器はもう各大学に入ってしまった。そこで共同利用研究のステータスがなくなったとは言いませんけれども、失速したのは、もう私はその現場を見ていたのですけれども、そこから流れがモレキュラーバイオロジーはずっときて、だけれどもその共同利用研究所を余り利用しなくてもよくなったという流れがありました。
今はもう大学もバブルがはじけて、関係ない、逆バブル状態になっていて、いよいよその機器が各大学はなくて、共同利用研究所の利用のステータスがめちゃくちゃ上がっていて、ニーズはめちゃくちゃあるので、その辺のところをやはり検証していただいて、第4期の作戦を練ることを是非ともやっていただきたいというのが、こちらの希望であります。
【観山主査】 いい状態なのかどうかよく分かりませんけれども、是非それは文部科学省にも考えていただいて、学術全体の発展のためにはどうした方がいいのかということはよく御考慮いただければと思いますが、そういう点で非常にアピールができるということはよく分かりました。
【鍋倉所長】 よろしいですか。
【観山主査】 鍋倉さん。
【鍋倉所長】 これは文科省の方々も含めて一緒にちょっと考えていただきたいのですけれど、我々としてもそういう天文台とかKAGRAみたいな超大型は必要ないのですけれども、やはり次世代シークエンサーとかそれなりの生物系の大型機器というのは必要で、これもどんどん技術革新が進んでいます。やはり5年、10年たつと古くなってまいります。
そのために、そういうのは10億程度の機器をどんどん更新していけるという、そういうような取組を是非取っていただきたい。特に次世代シークエンサーはもう数年でどんどんどんどん新しくなっていく。顕微鏡に関しても、ノーベル賞はどんどん5年ぐらいに超解像イメージング、それからクライオ電顕とどんどん出ています。論文書くときにはこれを必要と要求されます。そのために是非そういうようなぐらいの、それぐらいというのは申し訳ないのですが、生物研にとって大型機器の更新というのを頻繁に行えるようなサポートを是非していただきたいというように思っています。以上です。
【村田研究振興局長】 ありがとうございます。私どもも研究機関、大学の研究の基礎となる機器について、大型の機器も含めてしっかり整備をして、補正予算も含め、できるだけチャンスを捉えてしっかり予算を確保できるようにというのは一つでございます。
一方で、予算、リソースは有限でございますので、措置した機器についてはいろんな形で共用をして、組織として共用していただくとか、あるいは組織を超えて共用していただくとか、一方ではそうしたものをできるだけ効率的に効果的に使っていただけるような仕組み、これは大学の研究機関の先生方と御一緒にいろいろ考えさせていただくということと、両方が必要かなというふうに思ってございます。
【観山主査】 ありがとうございました。
それではよろしいでしょうか。そろそろ時間になりましたので、本日はここまでとしたいと思います。本日ヒアリングに御対応いただいた皆様方、それから有識者の先生方、どうもありがとうございました。
それから事務局におきましては、本日皆様から頂いた意見を整理していただいて、今後の検討につなげていきたいと思います。
それでは、最後にその他として事務局から何かありますでしょうか。
【降籏学術研究調整官】 ありがとうございました。次回のスケジュールについて御紹介いたします。次回は11月7日木曜日の15時から17時30分までを予定しております。場所は文部科学省東館13階の13F1から3の会議室です。以上でございます。
【観山主査】 本日の会議はこれで終了いたします。委員の皆様、本日もどうもありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

―― 了 ――

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