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資料1-1 大強度陽子加速器施設評価作業部会(第3回)の議事録(案)

【菊池主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回大強度陽子加速器施設評価作業部会を開催いたします。
 本日は、皆様御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本作業部会の主査を仰せ付かりました菊池でございます。本作業部会は本当に大切な会議なのですが、いろいろな事情がありまして、最初の2回とも欠席いたしました。福山先生にほとんど全てお任せしてしまいましたが、議事録を拝見させていただきますと、福山先生に本当に上手にリードしていただきまして、つつがなく進んでいるということを確認できました。また、委員の皆様にも御迷惑をお掛けしましたことをお詫び申し上げます。
本日の議事につきまして、私が進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 本日は9名の委員に御出席いただいております。田村委員は少し遅れていらっしゃる予定でございます。石切山委員、鬼柳委員、横山委員は御欠席です。
 また、J-PARCセンターからは、齊藤センター長、小関副センター長、小林素核ディビジョン長、金谷MLFディビジョン長に御出席いただいております。
 本日の会議ですが、作業部会の運営規則に基づきまして、公開という形で進めさせていただきます。
 まず、事務局より配付資料の確認等をお願いします。
【大榊専門職】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認ください。議事次第のとおり、資料1-1から資料3、参考資料1を配付してございます。また、第1回、第2回の作業部会の資料、また前回の中間評価までの報告書等はドッチファイルに入ってございます。
 資料に不備等ございましたら、事務局まで御連絡ください。
 以上です。
【菊池主査】  それでは、本日の議題に入ります。
 まず議題1の前回部会の議論等につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【大榊専門職】  それでは、資料1-1から資料1-3まで、御説明させていただきます。
 資料1-1につきましては、前回(第2回)の作業部会の議事録でございます。こちらにつきましては、何かございましたら、本作業部会終了までにコメントを頂ければと思います。
 続きまして、資料1-2の方をごらんいただければと思います。こちらは、前回の作業部会の後に、委員の先生から頂いた御質問、御意見、その回答をまとめたものでございますので、少し御紹介させていただきます。
 資料1-2の1ポツのところでございますが、J-PARCに対する御質問ということで、鬼柳委員と熊谷委員、住吉委員、高梨委員から、御質問、御意見を頂いているところでございます。
 鬼柳委員からは、MLFの成果最大化等で示されているデータ処理の改善と核変換で示されている計算科学の活用に関してということで、こうしたものをまたいで、組織的に取り組んでいく構想はあるかという御質問でございます。それに対する回答としまして、施設全体として取り組み、議論をすることは有用であると考えているというような内容を御回答いただいているところでございます。
 また、広報活動につきまして、報道発表する案件の組織的・機能的なピックアップのシステムがあるかというような御質問が出ております。それに対しては、ピックアップのシステムがあるという御回答を頂いたところでございます。
 また、3つ目の御質問でございますけれども、いろいろな組織が、広報、教育に関与しているけれども、広報について、横の連携をとるようなシステムがあるかという御質問でございます。こちらにつきましては、適宜、代表者が出席して、情報共有を図っている。また、MLFにつきましては、アウトリーチ活動も含めまして、これらの広報活動と連携をとりながら、各組織の特徴を生かした活動を展開しているという回答となってございます。
 また、大型たんぱく質精密構造解析装置につきまして、新規整備された場合の維持、管理、運営のための人員は、どこが供給するかという御質問でございますが、こちらにつきましては、JAEAの組織改革で、チームがQSTに異動しているということでございますが、このチームメンバーは、JAEAの連携協力職員となっているので、装置の建設が決まった場合には、JAEAの職員として建設に当たるという御回答を頂いたところでございます。
 また、メールインサービス、Fast Track Proposalといったようなものについても、御質問を頂いているところでございます。回析装置以外にも、メールインサービス等を拡大していくかという御質問でございますけれども、こちらは、ほかの装置への拡張ということを検討しているということで、御回答を頂いております。
 熊谷委員からの御質問でございますが、加速器の稼働率を決めている主要因についての御質問でございます。こちらは、長期停止に至らないものの、リニアックで発報数が多いという御回答と、RCSについては、非常に安定であるということ、MRにつきましては、遅い取り出し用の静電セプタムのトラブルが、稼働率に影響を与えているといったような御回答を頂いているところでございます。
 また大強度化にあたって、稼働率が影響を受けるかどうかというところにつきましても、御質問を頂いてございます。これに対する回答としましては、そうしたような影響も受けると考えられるということでございまして、ビームロスの最小化が重要だというところでございます。
 住吉委員からも大型たんぱく質精密構造解析装置についての技術的な問題に関する御質問がございまして、これについては、技術的な問題は特にないという回答を頂いております。
 MLFの1MWの運転、ニュートリノの700kWの運転が同時に両立するか、といった御質問につきましても、ハードウエアの検討やビームの運動学的検討を行っているけれども、特に大きな困難は見つかっていないという回答でございます。
 J-PARCに対する御意見ということで、高梨委員から御意見を頂いてございまして、海外類似施設との比較や特許の調査、J-PARCの良さや特徴が表現できるような指標を検討するべきではないかということでございます。
 また、同様に、作業部会に対する御意見、御提案といたしまして、高梨委員から、ハドロン事故への対応についても、検討事項に加えた方がいいのではないかと。また安全対策、リスクマネジメントの観点での議論を行った方がいいのではないかという御意見を頂いておりまして、本日の作業部会で、前回中間評価以降に起こった主な事象とその対応・対策ということで、御議論を頂くこととしております。
 また、継続的なサービスの提供という観点での議論を行った方がいいのではないかという御質問につきましては、次回に議論を行う新たな論点、経営的な視点の導入といった議論と関連する議題でございますので、そこで御議論をさせていただければと思っております。
 成果の指標につきましても、同様に、次回の作業部会にて、御議論を頂ければと考えているところでございます。
 資料1-2については以上でございます。
 資料1-3をごらんいただければと思います。前回、第2回の議論をまとめたものでございまして、前回、前々回と、お話しさせていただいてございますが、議論のまとめにつきましては、前回中間評価での指摘に対する対応状況と今後の課題、推進方策といったものを、報告書になるような形で、まとめさせていただいておりまして、今後これをベースに報告書にまとめることを検討してございますので、少しごらんいただければと思ってございます。
 前回につきましては、研究能力の更なる向上ということで、トップダウン型の手法により、J-PARCセンターやコミュニティが主導して、重点的に研究を推進する仕組みが必要であるという御指摘に対して、その対応状況をJ-PARCの方から御説明を頂いて、それについて御議論を頂いたところでございます。
 今後の課題と推進方策について、少し御紹介させていただきますと、IR、すなわち論文分析を含めた研究力分析ですとか、ベンチマークにつきましての研究組織評価、MLFの特徴を適切に評価できる指標の検討を行い、課題審査等に活用していくべきというような御回答にまとめられるかと思ってございます。
 おめくりいただきまして、2ページのところでございますが、グリーン・ライフイノベーションに貢献するために、学術界が産業界と連携した戦略的な取組が必要であるという御指摘に対して、今後の課題と推進方策というところで、組織対組織の本格的産学連携を進めていくべき。この際に、民間企業等が参加しやすいような競争領域、非競争領域の研究開発の柔軟な実施体制の整備ということをまとめさせていただいているところでございます。
 同じく2ページ目の下の方でございますが、広報活動につきましての指摘でございますが、今後の課題と推進方策といたしまして、プロモーション戦略を策定できる常勤職員の雇用など、チームの正式な組織化といった取組を行って、国内唯一の大強度陽子加速器施設かつ複合施設としての特徴を生かした費用対効果の高い研究プロモーションを実施していくべきだというようなまとめ方をさせていただいたところでございます。
 同じく、地域社会との交流をより一層深めるためのオープンアクセス可能な施設となるよう、環境整備を進めていくべきというようなまとめ方もさせていただいているところでございます。
 3ページ目でございます。前回中間評価におきまして、更なる研究成果の創出に向けて、ほかの大規模先端施設との有機的な連携・活用を図るという指摘がございましたけれども、これに対するものとしましては、対応状況を書かせていただいたところでございます。
 同様に、前回中間評価の指摘にございますイノベーションの創出と国際競争力、産業競争力の強化という観点でも、同様に対応状況について書かせていただいているところでございます。
 3ページ目の一番下でございます。ビーム強度の話を御議論いただいたところでございます。当面の目標として、MLFで1MW、ハドロンで100kW、ニュートリノで750kWという目標がございますけれども、これに対する今後の課題と推進方策につきまして、4ページ目の上の方をごらんいただければと思いますが、MLFについては、大強度の中性子ビームによる新たな成果創出が期待されるため、安定運転を第一としつつ、1MW出力を着実に目指していくべきというような御議論にまとめられたかと思っております。
 その際、第二ターゲットステーションの話が出てございましたけれども、この具体的な検討が進められることが期待されるといったような書き方とさせていただいているところでございます。
 中性子のところでございますが、今後の課題と推進方策としまして、メールインサービスや随時受付課題制度につきまして、利用者のニーズが高いということもございますので、今後、本格導入とともに、学術、産業の利用者視点に立った、高度な解析サービスの導入も進めていくべきというまとめ方をさせていただきました。
 また、複数の生命科学用の装置の整備が望まれるという前回の御指摘でございますけれども、これに対する対応状況、今後の課題と推進方策としましては、5ページをごらんいただければと思います。学術研究から、産業利用までを見据えて、重要な研究開発課題ですとか、イノベーション創出を加速する装置の有効利用を進める仕組み等の検討をユーザーコミュニティが主体的に行っていくべきであるといったような御議論を頂いたところであるかと思います。
 ミュオンでございます。ミュオンの今後の課題と推進方策でございますが、学術・産業界のニーズを踏まえた装置整備の優先順位を明確にして、当面、Sライン・Hラインの整備に向けた取組を進めていくべきというような御議論を頂いたところかなと思っているところでございます。
 個別のところでございますが、核変換につきましても、今後の課題と推進方策としまして、核変換技術の研究開発について、引き続き、基礎研究や技術蓄積を進めていくことが重要であるが、国際協力の推進や計算科学の活用など、より合理的かつ効率的進め方についての検討が必要であるというまとめ方をさせていただいたところでございます。
 最後、6ページでございます。施設整備、放射化物使用棟につきましては、整備が継続されることが必要というような御指摘を頂いているところでございますが、いずれも平成26年度若しくは29年度に施設としては完成してございまして、運用が進められることとなってございます。
 最後、教育と研究者育成の役割についてというところでございます。こちらにつきましての今後の課題と推進方策でございますが、利用者の開拓、異分野研究との連携を促進する観点から、様々な活動、今後とも継続的に行って、これまで中性子利用研究を行ってこなかった分野の研究者に対して、積極的に教育の機会を提供していくべきといったようなまとめ方をさせていただいたところでございます。
 早足で申し訳ございませんでしたが、前回までの議論は以上でございます。
【菊池主査】  ありがとうございました。
 前回作業部会の議事録(案)、前回部会後の質問・御意見につきまして、前回作業部会の議論の概要(案)に関する説明がありましたが、皆様の方から御意見・コメントがありましたら、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1-1から資料1-3につきましては、何かございましたら、本作業部会終了までに、皆様からのコメントをお願いいたします。
【大榊専門職】  主査、1点補足をさせていただこうと思います。
【菊池主査】  はい。
【大榊専門職】  申し訳ありません、参考資料1の方をごらんいただければと思います。
 本日の議題につきまして、中間評価に当たっての主な論点についての内容について、少しおさらいをさせていただければと思います。
 本日の議論でございますが、赤い四角、点線ではなくて、実線で囲んでいるところを、本日は議題とさせていただければと思っております。ページの5ページをお開きいただければと思います。
 ビーム強度の増強というところで、前回、MLFについて御議論を頂きましたが、ハドロンとニュートリノについて、今回、御議論を頂ければと思ってございます。こちらについても、目標強度の早期実現ということを前回指摘されてございましたので、それについての御議論を頂ければと思います。
 おめくりいただいて、6ページでございますが、ハドロン施設についての御議論を頂ければと思ってございます。
 更におめくりいただいて、8ページ、国際研究拠点化の役割についてということにつきましても、同様に御議論を頂ければと思ってございます。
 同じく9ページでございますが、中性子線施設の共用の促進の役割についてということで御指摘を頂いてございましたので、こちらにつきましても、J-PARCから御説明を頂いて、それについて御議論を頂くという形で、前回同様に進めたいと思っているところでございます。
 以上でございます。
【菊池主査】  ありがとうございます。
 それでは、よろしければ、2番目の議事に入りたいと思います。
 前回、中間評価の主な指摘事項に対する対応ということで、研究能力の更なる向上についてのうち、ビーム強度の増強のニュートリノ、ハドロンに関する部分及びハドロン施設のビームラインの効率的整備の検討につきまして、齊藤センター長から御説明をお願いいたします。
【齊藤センター長】  それでは、資料に基づいて御説明いたします。
 表紙のページですけれども、こちらは、最近、米国の物理学会でJ-PARCを紹介するビデオ作りをようやく終えまして、その中から、ちょうどwomen in scienceということで、2人をピックアップさせていただきまして、示しております。ハドロンで活躍される女性とニュートリノで活躍されている女性が映っています。もちろん、MLFでも活躍されている女性はたくさんいるのですけれども、今回はハドロンとニュートリノ中心ということで、この絵にさせていただきました。
 2ページ目に行きまして、研究能力の更なる向上ということでございまして、今、大榊補佐の方から御説明を頂いたように、今日はハドロンとニュートリノにつきまして、研究能力の向上というところで御説明させていただきます。
 まずは、ニュートリノの説明をさせていただきます。ニュートリノ実験施設で、750kWを、一刻も早く到達することが必要であるということでございまして、我々もそのように考え、目標としましては750kWをもって、電子ニュートリノの出現の発見ということを目指してきたというところであります。
 J-PARCでは、ミュー型のニュートリノをどんどん作りだして、送り出しているところですが、これが300キロ離れたスーパーカミオカンデで、電子ニュートリノの出現として発見されるということを世界で初めて示したわけでございまして、目標の1つは、これで、まず到達したということになります。現在更に目標値である750kWを目指しているところで、我々は、必要な電源がまだないということもございまして、63%に当たる480kWというところまで来ております。今、実はもう少し高いところまで行っておりますけれども、いずれにしましても、粒子数を上げて、更に繰り返しをどんどん増やしていくということをやりながら、ここまで到達しているというところであります。
 そして、次のゴールはということになりますけれども、我々はこのニュートリノにおいて、粒子と反粒子における非対称性、これは次のページで御説明しますけれども、我々を含む物質の起源を説明する非常に重要なテーマだと思っております。そこをしっかり明らかにしていくということが、次のゴールだと思っています。
 次なる目標へというところですけれども、次のページ(5ページ)へ行きまして、宇宙が始まったときには、粒子の数と反粒子の数が全く同じ数で生まれたと考えられています。これは、全く電荷的にニュートラルな状態から、粒子を作れば、当然、それと電荷が反対で、全く同じ量になるという反粒子を作らなければいけないという、厳密に精確な関係です。
 そのように作られた粒子と反粒子でありながら、我々のように、粒子でできているもののみが存在している理由というのは、ビッグバンが始まった頃に、ちょうど粒子と反粒子の間に、わずかな非対称性があって、これは10のマイナス9乗というレベルですけれども、10億個に1個というレベルで、粒子の方がちょっとだけ多かったということが起こって、それが我々の起源になっていると考えているわけであります。
 逆に言いますと、反粒子が全部消えてしまった謎と言うこともできまして、これは、我々が存在している理由、我々が存在している根拠になっているというところでございます。このCP非保存は、素粒子物理学においても、宇宙物理学においても、基礎物理においても、非常に重要な根幹をなすテーマになっているというところであります。したがって、世界中の物理学者たちが、その起源を求めて世界的な競争を行っているという状況であります。
 そこで、T2Kは、先ほど申し上げたように、電子ニュートリノの出現を世界で初めて示したというところで既にブレークスルーをもたらしているわけですけれども、今後、次のターゲットとしましては、このCP非保存の確証を得ようというところに突き進んでいるところであります。
 したがって、この宇宙の物質起源解明への道ということで、750kWから、次は1.3MWというところに持っていくというところを、今、頑張っているところであります。
 ここでは、まず、反電子ニュートリノの出現を発見して、これは、まだ世界で誰もやっていないので、まずこれをやって、反電子ニュートリノと電子ニュートリノの出現の現れ方に、全く違いがないかどうかということを、これから見つけていく。そこに違いがあれば、CP対称性の破れがあるというふうに、確かに言えるということになります。
 現在、非常に順調にデータをためてきた結果、CP対称性の破れとしましては、3σ(シグマ)を目指して……。
【小林素核Div.長】  今、2σ目です。
【齊藤センター長】  今、2σ目というところまで来ていて、それを3σまで持っていくというところまで持っていくということを、次のターゲットにしているというところであります。
 それに向けて、我々が必要なビームパワーですけれども、これは右の上にありまして、先ほどの前のページにあったものは、現在、480kWまで来ているということですけれども、今後750kWという1つの目標値を通過して、最終的には1.3MWというところまで持っていきたいと考えています。
 この1.3MWに持っていく必要性ですけれども、実は反電子ニュートリノというのは、元来、反応断面積が低いために、反応確率が3分の1になってしまっている。
 小さい変化同士の違いを精密に測定する必要があります。学術研究における必要性は、なかなかタイムラインが打ちにくいと言われるところではありますが、国際競争の中で1位にならなければ意味がないので、我々としては先鞭(せんべん)をつける形で発見したいというわけで、そこに、今、1.3MWにいち早く到達する意義があるわけです。
 ここでは更なる大強度が必要なわけですけれども、メインリングで、加速器の方で20億円ぐらい、ビームラインの方で10億円ぐらいという装置があれば、ここに到達できると考えています。
 国際競争の状況ですけれども、右下の絵にありますが、米国の競争相手は、シカゴ近郊にありますフェルミ国立加速器研究所というところでございますが、そこでは既に700kWを達成していまして、ビームタイム等の確保の為(ため)の資金という点でも、なかなか彼らの方は充実しているところもありますが、我々の方でも一層努力をしておりまして、電源が整備されていけば、先に我々の方がCP非保存に対して、きちんと先鞭(せんべん)をつけることができるという見通しを持って進めているところであります。
 次のページ(7ページ)に行きまして、こちらも今度は国際協力の状況ですけれども、世界に先駆けた新たな発見への期待があるために、世界中から一緒に実験をしたいという人々が集まってきておりまして、約500人のコラボレーションが成立しているという状況で、実際に研究資金も持って、参加しているという状況であります。
 その中で、我々は、残念ながら、電源のアップグレードが遅れてしまっていることで、だんだん深刻な状況にきていると考えておりまして、国際競争や国際協力ともに、危機的状況と考えております。ですので、ここは、是非ともいろいろな方々の御支援で、前に進めていきたいと思っているところであります。
 次のページ(8ページ)へ行きまして、どうやってビームパワーを上げていくかというところですけれども、基本は、どんどん繰り返しを速くするということによって、どんどんビームを作るということです。
 あとは、陽子の数を増やして、これもニュートリノの数を増やすということに貢献していくということであります。それが、絵で描かれているものが、右の絵になりますけれども、下の数字を見ていきますと、結局、陽子の数を、ある単位で250という現在の値から320まで持っていくということ。
 あとは、繰り返し時間を約半分にするということを実現するということが、ポイントになります。
 当然、ビームパワーを上げていくと、いろいろビームロスも出てきますので、それはスタディーしながら、しっかり詰めていくということになっています。
 その準備状況ですけれども、一番下を見ていただきますと、我々は、予算待ちという状況になっております。技術的にも完成しているし、用地としても完成しているし、建物としても完成していて、あとは予算さえあれば、前に進めるという状況になっています。
 次のページ(10ページ)に行かせていただきます。これはタイムラインですけれども、我々は、電源の整備に関連して、電源更新のための長期停止を、実は今年度予定していたのですけれども、遅れてしまったために、少しずつ右にシフトしておりまして、現在は2021年に長期停止をして、電源をしっかり替えていくということで、何とか対応できるのではないかというプランニングを持っています。
 このまま、予算措置がなければ、残念ながら、2021年度以降に遅れてしまうということもありまして、こうなると、本当に極めて深刻な状況になるので、そうならないように、いろいろなサポートを頂ければと考えているところであります。
 したがって、今後の課題ですけれども、これに加えまして、施設の整備だけではなくて、やはり、運転時間をしっかり確保するということも重要でございます。我々は、常に目標としましては、年間9サイクル運転ということ、つまり約9か月走るということを考えてきたわけですけれども、現在、その約3分の2にとどまっております。これも、やはり、我々が、今、思いどおりに前に進めていないという状況を表しているところであります。
 実際、今のところ、我々が目標としている物理課題の60%程度を何とか消化しているという1つの表し方がありますけれども、これは、実はもっとビームが出ていれば、ユーザーの方が期待して、もっと、もっとやりたいと言って、ついてきているはずなので、そういう意味では、60%をやれているということは、比較的高めの数字を言っているにすぎない。つまり、施設本来のポテンシャルを基準に考えれば、これは低い数字にとどまっているということなんだと思います。
 せっかく造らせていただいた施設で、ビームタイムがないために、あり得る成果が出ていないというようなことにつながりかねないという状況であるということを、ここで強調させていただきたいと思います。
 次のページ(13ページ)に行きまして、ここでは、今度、ハドロンの方ですけれども、ハドロンの100kWというところを御説明させていただきます。
 ハドロンの方は、特に第二世代の粒子を作りまして、K中間子及びレプトンにいきますと電子の仲間であるところのミュオンです。これらを世界最高強度のビームで作って、原子核・素粒子実験をリードするということでありまして、これは、世界で唯一の施設ということになっています。
 ここでは、様々な成果を既に生み出しておりますけれども、特に大学の方々との協力で、アメリカの学会誌に非常に大きく取り上げられたというような内容でございますし、ラムダハイパー核の実験は、ある意味では、日本が世界を非常にリードして行っているものであるということとともに、最近では、中性子星との関連というところが、非常に重要視されております。中性子星の中に行きますと、原子核の10倍程度の、又はそれ以上の密度が実現されていると考えられていますけれども、それだけの高密度の天体が合体すると、重力波が生まれるということがありまして、昨年の夏には、ちょうど重力波の発表があったところであります。
 生成された重力波の時間構造を見ていくと、実は中性子星の構造の理解と非常に結び付いているということが分かりまして、ここも、ハイパー核の研究を更に一層深めていって、時間構造までしっかり理解していきたいというところであります。
 そういう中、施設の方としましては、標的を今度はハイパワーに向けて、何とか交換するということを、今、狙っているところであります。ビームの取り出しが、非常に高い効率で行われている状況にありますので、標的の方が早く(ハイパワー対応に)交換されれば、先に進めるという状況です。
 実際、今のところ、100kWのゴールに対して、50kWというところに来ていますが、これは、実は世界の最高記録は約67kW、米国のニューヨーク近郊にありますブルックヘブン国立研究所というところで到達したものですけれども、これに近付きつつある。
 しかしながら、これは標的を変えていけば、それを超えたパワーに結び付くということが分かっており、したがって、標的の方もしっかり変えていくという必要があるというわけであります。ですので、電源と運転時間の確保に加えて、我々は、施設整備を更に続けていくということが、重要な課題になっています。
 その中で、加速器がどういうふうに貢献しているかというところですけれども、より速い繰り返しでパワーを上げたり、陽子数を稼いで、やはりパワーを上げていくということをやっていきたいということでありますし、あとはチタン製の取り出し機器を導入することによりまして、ビームロスによる放射化を低減していく。
 あとは、運転のスキームとしまして、世界的競争という観点で重要なCOMETという実験を実現するため、低エネルギーの加速と取り出しを実現しているというところであります。
 ここでの課題ですけれども、ニュートリノ、ハドロンにおいても、目標強度の早期実現を目指すべきではないかということでありまして、我々の取組としましては、目標強度の早期実現を図るということで、世界を引き続きリードしていきたいということでありますし、そのために、メインリングの電源のアップグレードは必要な措置として、考えていただきたいと考えております。
 それに加えて、ニュートリノ施設では、1.3MWに持っていくということ、ハドロン施設は100kWを上回る強度を目指して、検討と開発を続けるということ。
 さらに、運転時間を十分確保して、これだけたくさんのユーザーが待っていますので、そういうユーザーと一緒に成果を上げていくというところを、何とか御支援頂きたいと考えているところであります。
 次に、ハドロンのビームラインの効率的な整備の検討でございますが、こちらの方では、2つの目的があるところの上流の部分を共通にしまして、共有することによって、効率的な運営をするということであります。
 高運動量ビームラインは、実は、次のページ(20ページ)にありますけれども、ハドロンの質量というもの、ハドロン質量は、実は我々の質量の源になっていますが、その質量が、条件によって変化するという状況を、つぶさに研究しようというテーマでありますし、もう一つは、ミュオンが電子に転換してしまうという実験を考えています。
 これは、ニュートリノの場合には、ミュオンタイプが電子タイプに変換するということは分かっているわけですけれども、しかしながら、それのパートナーであるところのミュオンが電子に変わるという現象は、いろいろな実験で一生懸命探していますが、まだ一例も見つかっておりません。
 ですので、これをまた見つけますと、非常に高く評価され得る、学術的にも非常に重要なテーマでありますが、そういう2つの重要なテーマを、上流部を共有することによって、効率的に運営をするということを行っています。
 更に、ハドロン実験施設では、多くの実験が提案されて、それらが、ある程度、消化されてきているというところでございますけれども、既に実験を待っている方がたくさんありますので、これは、運転時間を更に何とか確保して、しっかりユーザーのニーズに応えていきたいと考えています。
 将来についてですが、一本の陽子ビームから、4本しか二次粒子ビームがとれないという今の状況を、更に下流にターゲットを設ければ、もっとビームラインを作って、実は効率的に運用できるということがございますので、そういう意味では、1粒で、今、せいぜい3度おいしいぐらいになっているところですけれども、それを4度も5度もおいしいという形にしていくためには、このホールを拡張するということが重要であると考えております。
 こちらもコミュニティと一緒に、学術会議のマスタープランに提案させていただき、残念ながら、今は文科省のロードマップには載っていないのですけれども……。前回のロードマップに載っていたのですが、今回のロードマップでは、残念ながら、絞り込まれた結果、惜敗というところなのですけれども、次に、更に強い提案をしていきたいと考えているところであります。
 ここでの課題(案)になりますけれども、学術コミュニティのニーズを踏まえた装置整備の優先順位を明確にして、ビームラインの効率的な運用を進めていくべきではないかというところでございます。
 我々、既に効率的な運用に向けて、様々な取組をしているところですけれども、今後もビームラインの整備をタイムリーに進めて、国際的な期待に応えていくということが、非常に重要であると考えているところであります。
 以上、2つを御説明させていただきました。
【菊池主査】  どうもありがとうございました。
 今の齊藤センター長からの御説明に対しまして、御質問なり、又は御意見なりおありでありましたら、御議論よろしくお願いいたします。
【田村委員】  では、済みません、よろしいでしょうか。
【菊池主査】  はい。
【田村委員】  6ページのニュートリノの国際競争のところについて、もう少し詳しく聞きたいのですが、電源の更新の予算がきていないわけですけれども、それがそのままこなかった場合に、具体的にはどのように競争に負けてしまうのかというところを、をもう少し詳しくお聞きしたいです。
【齊藤センター長】  このアメリカの実験は、今、NOvAという実験が走っているのですけれども、それに対して、T2Kという実験は、今この辺にいるわけです(資料2、6ページ、右下図)。上のこの軸は、上に行けば行くほど、CP対称性の破れの発見の感度が高まると見ていただきたいです。
 したがって、NOvAを凌駕(りょうが)して、今、T2Kは勝っているわけですが、このままいきますと、NOvAはだんだん近付いてきて、T2Kのこのラインに行ってしまいます。このT2Kのラインというのは、実は電源の整備を仮定したラインになっているわけです。電源が無い場合は、この点線になってしまっておりまして、だから、2020年ぐらいで負けてしまう可能性が、ほぼ見えているわけです。
 これは、当然、今我々が持っている全ての知識を総動員して、向こうの戦い方とこちらの戦い方を比べているものでございますけれども、その知見に基づいて予測してみると、こういうふうに電源を整備しなければ、ある時点で、敗色濃厚になってしまうわけです。
 このCP非保存の証拠と言えるのは、3σのラインだと我々は考えていますので、そこにいち早く到達するために、やはり電源を今の時点から整備していく必要があります。それは、もうこれ以上遅れるということは、国際的にも難しい状況を作り出してしまうと考えております。
【田村委員】  あと一つ、今のことに関連して。電源の更新です。ニュートリノの競争にとって、それが不可欠だということはよく分かるのですけれども、ハドロンの方にどれぐらいメリットがあるかということは、非常に気になるところなのですけれども……。
【齊藤センター長】  そうですね。
【田村委員】  多分、非常にメリットがあるのだと思うのですが、それはどうでしょうか。
【齊藤センター長】  この新しい電源というのは、電圧の安定性が非常に高いものになっておりまして、その安定性が高いということは、ビームを取り出したときに、非常に安定的に取り出せるということになっているわけです。
 今のビームは、実はハリハリになっていまして。ハリハリというのは、あるときは非常に高くて、あるときは非常に低いという繰り返しをやっているのです。そうすると、検出器が受けられる最大の頻度は、ハリの一番高いところで決まってしまっているので、どんどんパイルアップしていってしまう。つまり、とりたかったはずの現象なのに、次のイベントと重なってしまって、正しいデーターが取れないということになってしまっている。
 これをスムーズにすると、本当にぎりぎりまで、マックスの強度でとれるということになってきますので、そういう意味で、ビームのクオリティーを高めていくというところでも、非常に有用である。したがって、検出器の限界までデータがとれるという状況を作ることができるというふうに、利益が大きくあると考えています。
【熊谷委員】  質問があるのですけれども、ニュートリノとハドロンのところでの加速器の繰り返しが違いますよね。
【齊藤センター長】  はい。
【熊谷委員】  これは、どちらが電源としては厳しいのですか。フラットトップの長い方が厳しいような気もするのだけど。
【齊藤センター長】  基本的に、フラットトップが長い方が厳しいですね。
【熊谷委員】  ですよね。
【齊藤センター長】  はい。
【熊谷委員】  そうすると、電源は、そういう難しい方で作っているということですね。容量が大きい。
【齊藤センター長】  そうですね。要するに、繰り返しを早くするために、それに見合う性能のハードウエアを作った結果、実は安定性も得られてということです。
【熊谷委員】  それは分かるのですけれども、繰り返すと、フラットトップが長いということは、それだけ電力を食っているわけですよね。
【小関副センター長】  そうです。
【齊藤センター長】  電力は食いますね。
【熊谷委員】  ということは、可動性が非常に大きいということになりますよね。
【小関副センター長】  消費電力という意味では、フラットトップが一番食っています。
【熊谷委員】  ですよね。それは、2つは共存できないわけです。例えば、これは、別々に運転するというモードを作るということですか。
【齊藤センター長】  別々に。
【小関副センター長】  今は別々に運転するということで考えています。
【熊谷委員】  そうすると、ニュートリノとハドロンで、タイムシェアをするということですよね。
【小関副センター長】  そうです。
【熊谷委員】  それで、十分、利用者からのニーズ、つまり課題数はこなせると。
【齊藤センター長】  それは非常に重要なポイントです。これは、残念ながら、排他的にしか実験できないという施設になっています。
【熊谷委員】  できませんよね。
【齊藤センター長】  ですので、9サイクル分のビームタイムをとりたいというお話をしましたけど、これは、どうしても、例えば6と3とか、5と4とかいうふうに分けざるを得ないわけです。
 そうすると、どうしても世界に伍(ご)していかなければいけない実験を両方に抱えていますので、ユーザーが不満を言いかねないわけです。そこは、やはり国際競争をしっかりと見据えながら、的確に配分できるように、我々、年に2回、Program Advisory Committeeを開いていまして、ここから半年、若しくは1年のビームの配分をどうしようかというところを、比較的リアルタイムで決めているというところです。
また、実験施設の方も、ある時期、ビームはとれませんということが、大いにあり得るわけです。例えば、ここは、今、ニュートリノの方の施設を強化しているために、今はハドロンにビームを出しましょうとかですね。ハドロンの方は、今、施設の方を強化しているので、今はニュートリノに出しましょうというようなこともできるので、排他的なのは必ずしも悪いわけではないのです。
 我々が考える限り、最大限、ビームを有効に使えるようにやっているというところであります。
【熊谷委員】  これがなかなか難しいとこは、運転経費、電力代が全然違いますよね。
【小関副センター長】  違います。
【齊藤センター長】  ええ、違います。
【熊谷委員】  そこの調整は相当大変なことになるのかなという。
【齊藤センター長】  これまでは、基本料金の方が割と高かったですし、残念ながら、9サイクル走れなかったこともありまして、そこの差というのは、全体の中で吸収し得る量でございましたけれども、1.5倍ぐらい時間当たりの単価が違うかと思います。
【熊谷委員】  なるほど。
【住吉委員】  質問が。
【齊藤センター長】  はい。
【住吉委員】  先ほどのT2Kのラインというのは、今の意味でいうと、9サイクルを仮定して、しかも……。
【小林素核Div.長】  違います。
【齊藤センター長】  違います。
【住吉委員】  違うのですか。どういうものを仮定して、このラインが引かれているのですか。
【小林素核Div.長】  5サイクルです。
【住吉委員】  ニュートリノに、5サイクルということですか。
【小林素核Div.長】  そうです。
【住吉委員】  だから、ハドロンに残りが行くという理解で。
【齊藤センター長】  残りが行く。
【住吉委員】  あと、ニュートリノに関してなのでけれども、質量階層性ということは、あまり興味ないのですか?
【齊藤センター長】  興味はあった。
【住吉委員】  CPデルタはおっしゃって。それに対しては、どう考えておられるのですか。
【齊藤センター長】  かつては興味があったし、そこを探索したこともあったけどということですね。ですが、T2K実験で、大きく感度があるわけではないし、かつ、それよりも、CP破れの方が、より本質的なテーマだというところで、そちらに、我々としては、焦点を当てていると考えています。
【小林素核Div.長】  距離が短いので、質量階層性に対する感度は、アメリカの実験に比べて低いということはあるので主題ではないのですが、今、アメリカのNOvA実験と解析を一緒にやろうというアクティビティーがあって、それで、T2Kの実験とNOvAの実験を組み合わせることによって、質量階層性に対する感度が、NOvAだけでやるよりも、高められるというようなことはあるので、その辺はこれからやろうとしています。
【熊谷委員】  NOvAというのは、専用マシンですか。いわゆるハドロンと何かがというあれでもなくてね。
【齊藤センター長】  ちょっとだけ出している。要するに、向こうに、例えば、g-2みたいな実験もあり、ミュオンのあれがあって、あれは、ほぼ1%だと思いますけれども、それぐらいは出しているけれども……。
【熊谷委員】  それだと、同じパワーでも、向こうの方が、稼働率が高いわけだから。
【小関副センター長】  それは、そうです。
【熊谷委員】  だから、その課題をどう選別していくかというか、優先順位を付けていくかということが、多分、国際競争で勝つとか負けるとか言っているとき、非常に重要になっていくような気がします。
【齊藤センター長】  我々もそこはそう認識しております。そういう意味でも、まずはパワーを上げ、時間を確保しというところは、徹底的にやっているところです。実は、実験チームの方もS/N比を上げるということで、戦いを非常に有利なものに、今のところ持ってきているということです。
【熊谷委員】  確かに検出器で頑張るとか、S/N比で頑張るということは、実効的に、例えば、S/N比が半分以下になるとか、そういう改造とか検出器の感度が上がるということは、ビーム強度を上げることと等価ですからね。
【齊藤センター長】  そうです。
【熊谷委員】  だから、そういう意味では、どちらが経済的に見合うのかということは。
【齊藤センター長】  どちらもやるということです。
 やはり、どこかで足りていないところは、徹底的にそこを世界最高まで持っていくということが、ここの立場だと思うのです。
【菊池主査】  まだまだ皆さんの御議論がおありかと思いますが、ほかの議題もたくさんありまして、申し訳ありませんが、国際競争のところが非常に重点になるかと思いますので、齊藤センター長の方から、国際研究拠点化の役割について、少しお話を頂ければと思います。
【齊藤センター長】  それでは、進めさせていただきます。
 前回の御指摘事項ですけれども、更に常駐の外国人を増やしたりとか、生活支援をしたりとかいうことで、もう少し整備をしていけないかと、世界トップレベルの研究開発を支える環境の整備を強力に推進するべきではないかということでございました。
 現在、ユーザーの数としましては、1日当たり100人ぐらいの人が往来するというような組織、施設になっておりまして、そのうち半分ぐらいが外国人であります。
 実は、外国人の大部分はニュートリノ実験が今のところ率いておりますけれども、それに次いで、ハドロン実験やMLFというところでも、外国人がどんどん増えてきているという状況であります。
 次のページ(26ページ)に行きまして、そういう方々を受け入れるに当たって、数からいいますと、まずは全数で約900人ということになっていますが、大体30日以上滞在しているのが、100人から50人。これは実験のフェーズによっても、変わる数字ですので、毎年変わる数字だと御認識いただければと思います。
 更に、最近では海外の学生が数か月滞在して、実習を行うというsummer institute programみたいなものを走らせています。これは、実は小林素核ディビジョン長の方で、非常に努力していただいて確立したものに加えて、学術振興会さんの方でも(学術受入れ)プログラムがございまして、そういうもので、こういう学生をたくさん受け入れてというところで、頑張ってやっていることなんです。
 これは、やはり、来ていただいて、実物を見ていただいて、一緒に実験すると、皆さん非常に驚きを持って取り組んでくれていますので、そういう方々が次世代を担っていくんではないかなと考えているところであります。
 一方、生活支援につきましても、例えば、役所の転入手続、国民健康保険、銀行云々というようなところで、ユーザーズ・オフィスが、これは相当ヘルプしておりまして、一応、アンケートに基づきますと、その辺も大分満足していただいていると伺っているところです。
 一方、宿舎の数としましても、50室あったところを2倍に増やしまして100室にして、それでも大きい実験がやってくると満杯になってしまうのですが、通常は、来たいときにいつもで来られるというようなところで、推移しているというところでございます。
 一方、地元自治体との連携・協力という意味でも、これは協力してまして、日本の文化に触れていただくようなイベントも多数開催しております。背景写真にありますのは、生け花教室をやらせていただいて、実験に来た方やその家族の方々が多いに参加してくれているというイベントになります。
 この辺も、利用者協議会の要望に応えながら、随時、開催を行っているというところで、今できているというところで満足しているわけではなくて、更に改善していこうということになっています。
 海外からの非公開利用の取扱い基準ということで、これも、実は長い間、課題だったのですが、今も実は我々から率先して、何かガイドラインを作れるとは考えていなくて、国際公共財としてのJ-PARCの役割というものと、一方で、国策で、ドメスティック・ユーズに貢献していこうということでやっていく部分と、共用法の精神と、両方うまくマッチしていく必要があると考えております。
 現在は、文部科学省の審議会の方で決められたガイドラインに、我々も沿って、全ての申請は受け入れていこうと考えているところです。
 世界トップレベルの研究開発とそれを支える環境の整備ということで、これは毎年になるのですけれども、国際諮問委員会を開催させていただきまして、実は3月の上旬に終えたところでありますが、ようやくレポート、ドラフトが上がってきて、事実確認を行っているところではございます。
 更にトップレベルの研究開発を続けていくために、海外の研究所との研究交流をやっていまして、ずっとやってきて、たくさんのところとやっていますが、つい最近の例としましては、ANSTOというオーストラリアの研究所、ESSというスウェーデンに今作られている将来の研究所ですが、そことの研究交流をやっているというところであります。
 外国人ユーザーの推移は、先ほど出ましたけれども、900人ぐらいで推移しているというところであります。
 今後の課題になりますけれども、我々が真の国際拠点となるためには、すぐれたサイエンスができる可能性をキープし続けるべきであって、それは、例えば、先ほどの施設の電源を早く実現するなどということも関係してくると思いますし、高い装置性能をキープする。
 アクセスのしやすさは非常に重要でありまして、これも、現在、多少のリミットをもっていますので、それについては、次のスライド(30ページ)で御説明いたします。
 長期滞在者、生活環境のよさというところも引っ張っていく必要があり、我々としましては、今後も多くの海外の人たちに使っていただき、真の国際拠点となるためには、サイエンス・プログラムをしっかり作っていくこと、更に英語などの環境をしっかり改善していくということも行っていく必要があると考えています。
 その中で、アクセス道路の件ですけれども、利用者の更なる利便性を向上するために、J-PARCへのアクセス環境の改善を進めるべきではないかということを考えているわけです。我々としましても、地元との交流という意味でも、早くオープンにしてほしいというところを、随分御議論を頂いているところではございます。
 実際、東海村の周辺の開発計画みたいなものもございまして、検討委員会の方で作った絵としましては、J-PARCにアクセス道路を造って、直接、J-PARCの研究サイトに入ってくるような環境を整備するべきである。
 現在は原科研の正門から入って、周辺監視区域と言われる、いわば核燃料施設のそばを、ずっと通って、入ってくるということで、大分大変なんですけれども、ここをダイレクトにJ-PARCに入ってこられるような道路を設けるということは、非常に重要だと考えております。
 これは、国際的にも要求がございますし、利用者協議会、ユーザーからも御要望がございますし、中性子産業利用推進協議会というところからも、毎年、御要望を頂いておりまして、その要望が、実は、毎年、我々のところだけではなくて、大臣の方まで届けられていると伺っております。
 以上、国際化について御説明させていただきました。
【菊池主査】  ありがとうございました。
 それでは、国際拠点化につきまして、皆様からの御意見、御質問があれば。
【田村委員】  いろいろ努力されていて、非常に良いなと思って聞いているのですが、やはりアクセス道路の話というのは、私もいろいろなユーザーから、ものすごく不満を聞いています。
 特に外国人は、原子力施設なので入るのは手続が非常に大変だということもあって、また、原科研の皆さんと、いつも狭い、出入りの厳しいゲートのところを通らなければいけないので、特に朝と夕方はもの凄(すご)く混んでいますよね。
 そういうものだと思ってしまえばいいというところもあるのかもしれませんけど、ただ、他の海外などの、あるいは、つくばのKEKもそうかもしれません。ほかの基礎科学を行っているような大型加速器の施設で、こういうところはないと思うのです。
 そういうことで、そういうところで研究をしている、特に海外の人から見ると、もの凄(すご)く不思議な気がして、不満があるのだろうと思います。そこは十分御存じだと思うのですが、是非考えていただきたいと思っていて、やはり成果の創出に関わるような話になりかねないのではないかと思うのですが、いかがですか。
【齊藤センター長】  今、そういう意味では、アクセスのこともあって、なかなか中で研究会を開くということが、余り奨励されていないように見えてしまう。
【田村委員】  ユーザーの登録をした人しか入れないということがあります。
【齊藤センター長】  そうですね。だから、研究会を中でどんどん開きましょうという提案をしているところなのですけれども、どうしても外で開く傾向にあります。
 やはり、研究施設は、人が集まってきて、そこでいろいろなことを議論しながら、サイエンスを進めていくということは非常に重要ですので、そういう意味においても、ウエルカム、オープンである、我々は常にオープンであって、誰でも来てくださいという環境作りは、雰囲気も含めて、とても重要だと思います。これは、ユーザーの研究という観点で、重要だと。
 もう一つは、実は地域の人たちから見ても、あそこはいつでも入って行って見ることができる施設であり、そこで、どういう実験が行われているのかということを知ることができるということも、非常に重要な観点であります。
 地域との交流という意味でも、よく我々、いろいろなイベントで、地域の方々と交流するのですけど、是非もっとオープンにしてくださいという話を伺っております。
【田村委員】  済みません、もう一ついいですか。
【菊池主査】  はい。
【田村委員】  それに関連して、今のアクセス道路の件、重要だと思うのです。
 29ページで示されたお話で、結局、真の国際拠点というときに、もちろん、アクセスのしやすさとか、いろいろな便宜を図るということは、もちろん、重要なのですけれども、やはり、最後は装置の性能だと思うのです。
 僕は、ユーザーの立場で不満を言っているみたいになってしまって、申し訳ないかもしれないのですが、よく事情、状況を知っている者として言うと、私はハドロンに関係していますけれども、ビームタイムが少ないし不安定であるというか、年によって長さが違う。ハドロンの場合は、大体、年2か月。ほかのいろいろな兼ね合いで、1か月になることもあるし、トラブルで止まってしまうということも、最近、あったりしたのです。
 そうなると、学生さんとかを海外の人が送り込むというときに非常に困るのです。日本の学生も困っておりまして、実は、私の知る限り、ハドロンではいろいろな大学から来て原子核系の実験をやっていますけれども、多分、博士課程3年で博士を取った人は1人もいないと思います。みんな、何年か遅れています。
 それはどうしてかというと、もともとは間に合うだろうと思ってスケジュールを立てて実験準備をするのですが、やはり、何かとビームタイムが思ったほど来ない。それで、結局、いろいろなグループで順番にやらなければいけないということで遅れるということが1つあるのです。
 それでも、皆さん頑張ってやって、それで、博士課程4年、博士課程5年とか遅れながらも、ちゃんと博士を取っているのですけど、どうして他の施設に行かないかというと、それだけ、やはり、J-PARCの特にハドロンの話ですけれども、すごく良いビームが出るのです。他に行っても全然かなわないデータが出るので、それを考えると何年掛かってもやはりここでやりたいと皆さん思ってくれるので、それで学生さんがきちんと残ってくれて、それで、成果が出ているというところがあるのです。
 ただ、やはりそれは余り健全ではないというか、学生さんの経済的な負担もありますし、やはり、3年で実際に取れる人は取って、次のステップに行ってもらった方が、どんどんとその人材が育成できると思っています。
 それは、国内の人でもそうなので、外国の人から見ると、やはり、学生を研究室ごとコミットしたいのだけど、なかなか学生を送り込めないということは、よく話を聞くのです。
 そういうことを考えると、やはり、ビームタイムを十分な長さ……。難しいことは、もちろん分かるのですけれども、十分な長さを用意して、しかも安定に運転していただくということが、国際化のためにも、やはり一番重要だと思うのです。何か要望みたいな話なのですが、是非ともそこを一番重要だということで考えていただきたいと思っています。
【齊藤センター長】  はい。ありがとうございます。
 本当に我々も、安定して期待をしっかりと持てるようなファシリティーは重要だと思っています。ですので、いろいろなところを切り詰めて、なるべくビームタイムを確保できるようにということで、ここまでやってきたところですけれども、運転経費の中で、ビームタイムに比例する部分に加えて、我々、今どうしてもやらなければいけないメンテナンスといったものを大分切り詰めてビームタイムに渡しているところではあるのですが、それでも、まだ足りないという状況であります。
 ですので、ここは、これ以上なかなか効率的に進めるというところは、そんなに大きいブレークスルーをもたらし得るわけではないと思っているのですけれども、そこも引き続き努力するとともに、やはり、多くの方々の御支援が必要だなと思っているところであります。
【菊池主査】  非常につかぬことをお伺いしますが、ビームタイムを長くとるということを本当に進めようと思ったときに、今、皆さん、安定性を確保するということになりますと、電源を本当にどうにかしないければいけない。
 今、技術はある、発注もしている、ただ、予算ができないと。更に、ビームタイムを長くして学生さんたちの育成のためにも使う、研究のために使うとなりますと、経費が掛かる。
【齊藤センター長】  そうですね。
【小関副センター長】  そうです。
【菊池主査】  それは、一体、幾らの予算をあげると、今、本当に抱えている課題を解決できるかと、センターの方はお考えでしょうか。
【齊藤センター長】  我々は、毎年、大体、皆さんの要求に応えるべく要求させていただいている金額は(J-PARC KEK分として)大体85億円という金額です。
 それに対して、頂いている金額は58億円ということになっておりまして、そうすると、どうしても必要なビームタイムは確保できないという状況、及び、施設整備もままならないというところになっているというところでございます。
 いろいろな方に、実はニーズは非常に強く理解していただいていると思うのですけど、予算が付くという現実的な一歩が今のところまだ起こっていないというところであります。
 ということで、是非、補足をお願いします。
【西山室長】  事務局の方から、一言だけ補足させていただくと、文部科学省の科学技術関係予算は、平成の初め頃までは増えていたわけですけれども、現在の財政状況の中で、殊、文部科学省の科学技術の関係予算だけを見ても、増えていない。むしろ微減という傾向になっています。
 そういう限られた予算の中でもしっかりと我々は予算獲得を行い、投資対効果が非常に高いものにきっちり予算配分をしてきているところです。
 J-PARCについて申し上げると、例えば、我々は共用の方を主に見ているわけですけれども、予算については、これまで全体の予算が非常に厳しい中でも増やしてきているという状況で、ある意味、文科省の中では、J-PARCによる投資対効果は非常に高いものだと考えて、しっかり研究開発をして欲しいという立場です。
 今後、やはり求められますことは、その投資対効果がどれだけ高いのかということを、きっちり説明していただく必要があると思っていまして、ニーズが高いというだけだと、どこの分野も同じですので。
 一例で申し上げますと、例えば30ページに、J-PARCのアクセス環境の改善の話も、先ほど議論になりましたが、例えば、その一番下のところに、アクセス道路実現に向けてJAEAから概算要求する必要があるが、優先順位の関係上できていないと。要するに、他にも優先順位の高いものがあるということで、できていない状況だと思っています。
 他方で、予算を獲得する手段は、これはJAEAの運営費交付金のことを指しているのだと思われますが、それ以外にも、例えば、共用の関係の補助金だとか、いろいろな政策的な手段はあるわけで、全体のその政策の中で、どういったところの位置付けを持っていくかということは、非常に大事な視点かなと思います。
 また、実際に、先ほど投資対効果と申し上げましたが、2つ目のポツにあるように、地元や規制庁との折衝を具体的に進めるには、予算化のめどが必須と。これは、鶏と卵なのですけれども、予算化のめどが付いてから折衝を始めるのでは、我々、その効果が本当にあるのかということは計れないわけでございまして、実際、これは、例えば炉規法の許認可申請にも絡んでくるところで、実際問題としてどういう問題があって、これが解決されるとどういう効果があるのかと。具体的なその規制も含めてきっちりと調整をしていただいて、その上で、予算も、例えば補正予算で計上しても速やかに執行する必要がありますから、所与の期間でできるのかということもあわせて、実現可能性をきっちり詰めていただくということが必要です。これは、我々もしっかり頑張っていくつもりですが、JAEA側でも、もう少し具体化を進めていく必要があるのではないかと感じています。
【菊池主査】  ありがとうございます。
 福山先生。
【福山主査代理】  別件でいいですか。
【菊池主査】  はい。
【福山主査代理】  国際研究拠点化のことが今日話題になっていて、それが加速器、ニュートリノとのつながりで話をしているのですけれども、国際研究拠点を目指すということは、別に素核に限っていない。
【齊藤センター長】  限っていないです。
【福山主査代理】  センター全体の。
【齊藤センター長】  センター全体です。
【福山主査代理】  だから、よくよく見ると、脇に赤で「全体」と書いてあるから。
【齊藤センター長】  はい、そうです。
【福山主査代理】  そういう観点で。中性子に関しての国際研究拠点化という観点からの行政的な観点に関しての問題提起と、それに関しての対応をお願いしたいということになるかもしれません。
 中性子に関しては、御存じのとおりJAEA、KEKと、いろいろな研究組織が中性子のオペレーションに関与しており、茨城県のビームラインも。それはそれで、いろいろな多面性があって、ニーズがあるから自然にそうなっていって、それは良いのですけれども、組織全体として、効率的な運用、研究活動をスムーズに進めるという観点から、ビームラインの所轄がいろいろとばらばらになっていて利用状況がいろいろ違ってくる。
 これは、ユーザーにとって、非常に便利でない、効率的でない。これは、国際化などと言う以前の日常的な問題。ですから、中性子の観点からも、是非、J-PARCが国際研究拠点になってほしい。だけど、その前に、今のような問題をクリアして、運営の経営体の一体化を、是非、この際考えていただく必要があるのではないかと。そうしないと、いろいろ努力しても、なかなか実を得ることは難しい。これは、何か設置のときの経緯があって、ややこしいところがあるかもしれませんけど、やはり、どこかできちんと考えていただければと。
【菊池主査】  今ちょうど福山先生からありました、中性子線施設の利用促進について、国際研究拠点化ということに組み合わせながら御質問がありましたので、齊藤センター長の方から、中性子線の施設の共用など、そういうことに関しての役割について、お話を頂ければと。
【齊藤センター長】  分かりました。ちょうどうまくつなげていただいたと思います。
 それでは、資料に基づいて、先に進めさせていただきます。
 利用支援をきちんと充実化して、更に潜在的な利用者の掘り起こしをしなさい。更にビームラインを有効に使って、ビームタイムの有効活用をして、あとは近隣の施設になりますけれども、JRR-3という原子炉ですが、こちらとの一体的な利用、産学連携の有用な整備などをしっかりやっていくべきではないかということです。
 我々も、この共用法に基づく共用をしっかり進めていく中で、こういったことにも取り組みながら、イノベーション及び国際競争力をしっかり上げていこうと考えているところであります。
 利用者支援の充実というところですけれども、やはり、いい成果を上げるためには、よい課題をきちんと出してもらって、それを実際に実行していくということをやっていく必要がありまして、そこで、その課題をどういうふうに選ぶかというところを、常に改善しているというところであります。
 それでは、まず、課題審査の後、フィードバックをちゃんと返して、ここは、もう少し頑張ってくれると、次はやれるんだよねというようなタイプの今後の糧にしていただくということ。
 あとは、課題申請以前に、装置担当者とよくよく詰めてもらって、ここはもっとこういう風に書いた方が良いよとか、ここは実際にはこういうパラメーターでやれるから、こういう風にした方が良いよというような助言ができるとか、あとは、課題審査の方法、そのものを改善していくということをやっています。
 実際に、分科会の変更も行っておりまして、今までは2時間から5時間で、ある意味で駆け足でやってきた実施課題の選定を、今は2日間掛けて、じっくり議論して、その中でしっかりいい課題をピックアップし、更にいいコメントを付けて、返せるようにということに取り組んでいるつもりであります。
 更に効率的な成果創出につなげるための装置担当者の裁量枠を設定して、例えば、実験完成のために、ユーザーマシンタイムをちょっと追加する。例えば、あと2時間測れば、いい結果が出るのにというときには、当然やっていただくというようなことをしております。
 あとは、いわば補欠の課題を設けておきまして、時間が空(あ)いたときには、もうどんどんやっていただくとしております。
 また、先導的な研究の実施ということで、これは、やはり親の背中を見て、子供は育つというところもありますので、いい課題をどんどん出してくださいということに合わせて、いい課題というものは、こういうものですよということを、自分たちで引っ張っていくというところもやっていくという必要があると思っています。
 そういう意味で、サイエンスコーディネーターなどを中心に、企業訪問や啓蒙(けいもう)活動をしながら、研究支援活動を実施していくということも併せて行う中で、ユーザーも拡大して、いい課題を実行していくということを何とか担保しようとしている。
 有効活用、有効利用につきましては、例えば、測定試料をオートマチックで変換できるような中性子利用ビームラインを作ったとか、あとは、ミュオンのビームラインにおいて、ビームを左右に振り分けることによって、非常に効率的に実験が行えるようなシステムを導入しているということが、効率化の例になります。
 競争的資金で建設された装置を、その期間が終わった後は、きちんとビームラインに組み込んで、みんなに使ってもらうというようなことをやっているということも含めて、論文の成果をどんどん上げていくというところに、貢献をさせていただいていると考えています。
 潜在的なユーザーの掘り起こしという意味では、スクールをやりながら、トライアルユースという制度があったのですけれども、これは、実際にはCROSSの方のファンディングが、終わってしまったのですけど、この中でも、ある程度、成果を上げてきましたが、それに類する形態を立ち上げて、その中で、新しいユーザーをどんどん開拓していく。
 新規利用者に対する継続的な相談や技術サポートということも行っておりますし、あとは利用拡大のために、装置性能情報や具体的情報の提供ということを、ウエブページでもなるべく充実するようにと、まだまだ足りていないところもあるのですが、そういうところも頑張っているというところであります。
 JRR-3との一体的な利用ということですけれども、これは、やはり、定常的に出るDCビームであるところの原子炉のビームと、パルスで我々のところでとれるビームは、そもそも性質が違うところがあるのですが、JRR-3のような環境ですと、ビームが出ているときにも、装置にアクセスできるという、割と自由な環境もありますので、そういう中で、特に学生さんなども含めて、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら、いい実験を組み上げていただいて、それをJ-PARCに持ち込んでいただくというようなことで、どんどん成果を上げられると考えています。
 あとは、ここでも、ハイライトさせていただいておりますけれども、小型中性子源。つまり、J-PARCは、例えて言うと、オリンピック・ゲームしかないのです。要するに、オリンピックしかないところで、皆さん、いきなりオリンピックで戦っていただくという感じになるのですけれども、そうではなくて、もう少し地域のいろいろなところで、切磋琢磨(せっさたくま)して、トライ・アンド・エラーで揉んできた課題を、どんどん出していただけるようにというようなスキームの中で、比較的簡単にアクセスできる小型中性子源が全国にきちんと配分されているべきではないか。
 これは、長い間、実は、中性子科学会の方では、そのように考えられてきたところなんですが、まだ十分な整備が進んでないところもありますので、ここは、J-PARCとしても、中性子科学の成功のために、なるべく尽力していきたいと考えているところであります。
 産学連携のビームラインの整備でありますけれども、これは、今、共用ビームタイムという枠を考えることによって、これも先ほど来、出ています一体的な運用ということに大いに関わる内容なのですが、共用ビームタイム枠というものを設けてやっていくことが重要なのではないかなと考えています。
 現在、中性子線施設の共用促進に対する課題としましては、産業界も含めた利用ニーズに即した課題審査を行えるように、課題審査の仕組みを一層改善していくべきではないかということで、産業界が希望しているような迅速な課題審査を実現するように、Fast Track Proposalというものを、今、始めています。
 今までは年2回しか申請できなかったところを、年4回、課題を募集したり、あとは、随時募集という形で、やはり新しいニーズにすぐ応えられるようなスキームも、ある程度の余裕を持って作るということをやらせていただいているところであります。
 より費用対効果の高い潜在的利用者の掘り起こしの仕組みを検討すべきではないかということで、ほかの中性子源との連携などによって、更なる利用者の開拓に努めるべきではないかということで、ここでも、もう一度、小型中性子源ということを強調させていただきます。こういうものを作って、日常的にできるようなシステムを構築することによって、J-PARCでの成果がもっともっと上がると考える。
 例えば、放射光の場合ですと、X線マシンがテーブルトップであるわけです。だから、テーブルトップで試せたことが、例えば、SPring-8や、ほかの大型施設で展開できるということが実現されているわけですけど、中性子の場合にはテーブルトップの中性子源はないので、むしろ小型中性子源というものをある程度整備させていただく中で、利用が一層進むような形が作れるのではないかなと考えています。
 もう一つ、促進に関する課題ですけれども、これは正に共用ビームタイムというお話でして、今、設置者ビームラインのビームタイムとしてだけ割り当てられているところを、これを共用ビームタイムという形で措置することによって、これをKEKが持っているビームラインに対しても、全体のビームラインに、こういうことを適用することによって、ユーザーから見ると、正に一体に見えると。
 ユーザーから見ると、これは、KEKのビームラインなのか、JAEAのビームラインなのか、CROSSのビームラインなのか、区別があるわけではないと見えるような構造を、何とか実現していけないかということを提案させていただいているところであります。
 これは、そういうことを少しずつでも始めていけば、今、福山先生におっしゃっていただいたような一体的な運営が、どうあるべきなのかということを、内部の人間も一緒になって、次々に考えていけるのではないかなと考えていますので、これは始めることが、ものすごい重要ではないかと考えているものになっています。
 以上、中性子の利用について、御説明させていただきました。
【菊池主査】  ありがとうございます。
 それでは、今の御説明につきまして、議論、御意見をお願いいたします。
【熊谷委員】  よろしいですか。
【菊池主査】  はい。
【熊谷委員】  今の話と25ページのユーザーの数の話がありますけれども、MLFという部分の数、延べ人数で書いてありますけど、例えばこれをユニーク数で書くとどのぐらいの分野としての大きさがあるのかを。
【齊藤センター長】  MLFですか。
【熊谷委員】  はい。
【齊藤センター長】  今、ユニークユーザーでいうと1,000人ぐらいですか。
【金谷MLFDiv.長】  1,000人ちょっと足りないですね。約1,000人。
【熊谷委員】  1,000人ぐらい?
【金谷MLFDiv.長】  約1,000人。
【熊谷委員】  最後の方で、いわゆるX線だとX線管みたいなものがあって、ベースがきちっとしていて広がりがあるといったときに、中性子の分野の中で小型中性子源というものはどのぐらいの割合であると、1,000人の方のベースが賄えるのかということ。その辺はどういうふうにお考えですか。
【金谷MLFDiv.長】  もちろん中性子は小型がほぼ無い状況なので、X線ほどいろいろなラボの人が全部使える状況ではない。今の状況だけを考えると、例えば、各大学に1つずつぐらいあるような感じが、非常に理想的だと思いますが、そこにいくまでに、数機から10機ぐらいがまずは適切なところではないかなと、我々は考えています。
【熊谷委員】  それは、規模によりますよね。
【齊藤センター長】  確かに規模にもよりますね。
【金谷MLFDiv.長】  もちろん規模にもよりますし、どういうところに、どういう目的で配置するかにもよりますけれども、まずはそのあたりが目安になります。
【熊谷委員】  その上で、もう一つ。
【齊藤センター長】  はい。
【熊谷委員】  私の印象では、ユニーク数で1,000人ぐらいということですが、MLFでこのぐらいというのがちょっと少ないのかなという印象を非常に持つのだけど、施設の性能として、もっとユーザーが増えても良いと思うのだけど、増えない理由はあるのですか。
【金谷MLFDiv.長】  今、マシンタイム自身は、競争率で大体1.5倍から2倍足らずくらいの間ですが、やはり、マシンタイムの問題、現在、1年間176日の稼働というところもありますし、パワーの問題もかなり影響している部分があります。
 パワーに正比例するとは必ずしも言えないですが、やはりパワーが上がると、当然、ユーザーの方の数が上がる。
【熊谷委員】  先ほど、何か5つぐらいの分科会がありましたよね。
【齊藤センター長】  課題のものです。
【熊谷委員】  課題の。そうすると、この中で、割に多いという分科会と少ないという分科会はかなり混在しているのですか。
【金谷MLFDiv.長】  審査の負担を平均化するという意味で、1分科会あたり50課題ぐらいで平均させているというところです。多少のでこぼこはもちろんございますが。
【熊谷委員】  そうすると、ビームラインによっては、非常に混んでいるビームラインと、そうでもないビームラインがあるということですか。
【齊藤センター長】  あります。
【金谷MLFDiv.長】  ビームラインによっては、もの凄(すご)くあります。
【熊谷委員】  そうすると、やはり、ビームラインの利用の仕方だとか、ビームラインに持たせるべき性能だとか、そういうものをきちっとするともう少し利用効率が上がっていくような気もするのですが。
【齊藤センター長】  それはありますね。
【熊谷委員】  割に中性子の分野に入ってきたばかりで、少し使ってみたいなというような利用者の方が入りやすいような環境を作ると、その分野がもっと広がるような感じもするのだけど、その辺はどういう意図で。
【齊藤センター長】  そこはおっしゃるとおりですね。
【金谷MLFDiv.長】  おっしゃるとおりで、そういう意味で、先ほど出てきましたトライアルユースとか初心者向けのプログラムを作ったり、そういうことはもちろん行っております。
【熊谷委員】  そのときに、最初の人はなかなか敷居をまたぐのが大変で、向こうから手を差し伸べて引き入れてあげるくらいの人が施設側にいないとなかなか入ってこられないと思いますが、そういう人たちは、J-PARCの中というかMLFの中ではどういうふうに手当てをされているのですか。
【金谷MLFDiv.長】  そこは、CROSS、JAEA、KEK、みんな協力しまして、やはり、最初の方、いろいろな意味の最初の方がいらっしゃいまして、特に産業界の方などは中性子を使ったことがないという方もいらっしゃいますので、そこは、コーディネーターの方に使い方をきちっと示していただいて、それからサンプルの調製、測定の仕方、解析。全くの初心者の方には、そこまでやらせていただいています。
【熊谷委員】  そこのコミュニケーションが、非常に重要だと思います。
【齊藤センター長】  重要ですよね。
【金谷MLFDiv.長】  センター長が言われたように、ここのコミュニケーションということで、例えば、最近、いろいろな手立てをやり始めています。課題申請の前に装置担当者としっかり議論をするようにして、申請書にもチェック欄を設けて、誰と相談したかということを書いていただくようにしています。
【熊谷委員】  例えば、これは日本や世界でも数少ない施設ですよね。日本だけで考えても、利用者は九州から北海道までいらっしゃるわけで、はっきり言って、その非常に遠いところの利用者が、一々、J-PARCまで来て(相談)ということは非常に難しいですよね。「ちょっと、これできるかどうか分からないけど、相談に行ってきます」と言っても、それは大変な話なので、それぞれのところに、そういう拠点みたいなものを設けて、そこでまずはいろいろと相談できるような環境はできないものかなと。
【金谷MLFDiv.長】  正にそういうことを、我々は小型を設置するということで、考えさせていただいているということです。
【齊藤センター長】  そうですね。又は、整備する。
 大学との連携は、そういう意味では、例えば、分室を造ってきたというお話をしておりますけれども、今、出ました九州大学については分室がありますので、来ないまでもテレビ会議でつなぐことも大分やっておりますので、そういう形で綿密な連携をとることは可能だと考えております。そういうフレームワークを準備しつつあるというところです。
【熊谷委員】  人に話を聞くと、私の聞く限りでは、取っ付きにくいとか入りにくいという人が多いですよね。
【齊藤センター長】  そういう声も聞いておりまして、そこを改善していく手立てを幾つか考えているのです。1つは、やはり、現場がオーバーロードになっているというところがあるので、そこを解決するために、ビームラインごとに分かれている仕事を共通化して、一緒に解決していける方法を、今、探っています。
 これも、上からお仕着せでやるのではなくて、下の人たちに良いフレームワークを考えてもらいながら、一緒に考えているところです。そういう中で、良い方法を見いだしていけるのではないかなと思っています。
 やはり、両面やらないと、なかなか一体的な運営も現場の効率も上がらないというところがありますので、そこも課題として認識して、今、改善中というところだと思います。
【菊池主査】  実は、産業界の方から、大学にもJ-PARCさんにも御要望したいと思っている点があります。
 我々、今、どうしても量子線、特に中性子線及びミュオンを使って分析しなければいけない課題や、また、今、量子コンピューターという観点でも、以前だったら基礎科学で済んでいたものが、一挙に産業界での利用の前線に入ってきてしまっているというところがありまして、J-PARCさんだけの活動で、多分、足りないのではないかなと思っています。
 我々研究所でも、この量子線に関する研究領域を増やそうと思って、その計画は立てたのですけど人材がいないのです。いろいろな関連する大学の先生方に、誰か博士課程でいませんかねと言っても、もうほとんどいないという状況があります。今困っているのは、産業利用の方は待ったなしのところに来ているのにも関わらず、人材がいない。
【齊藤センター長】  人材がいないということですね。
【菊池主査】  はい。これは、いろいろな意味で、日本にとって国際拠点以前にとても大きな課題だと思っておりまして……。
【齊藤センター長】  おっしゃるとおりですね。
【菊池主査】  それに対して、大学にいらっしゃる方、またJ-PARCさん、どういうふうな観点で、この課題を解決していくか、どういうお考えでしょうか。
【齊藤センター長】  我々もそういう意味では大学との連携を深める中で、直接、J-PARCを大学の施設の一部のように、研究だけではなくて教育マテリアルとして使っていただくようなスキームを一緒に考えていこうと。
 というのは、1つは、J-PARCの分室を大学から作ってもらうということが1つの目的です。実際、分室を作っていただいたところもそうですし、作っていないところも、そのように使い始めていただいている。
 例えば、東北大学さんの方は、よく大学の学生さんをJ-PARCに連れてきていただいて、施設を見るだけではなくて、実際そこでいろいろな現場に触れるということもやっていただいていますし、最近は、ビームタイムの一部をやはり教育用に使っていく。今のところ、あまりメインにやることはできていないのですけれども、パラサイトして学生を教育するような実験を行っていくというようなことも、段階的にやっているところです。
 我々も、次の世代の人材をいかに育てていくかというところは、本当に重要だと思っていまして、これだけの施設ですから、やはり次の世代がどんどんこれを使って育ち、かつ、将来の施設を提案できるようなパワーを持ったユーザーを育てないといけないと、非常に強く感じています。そういう意味で施設の細かなところまでが学べるような、そういう細かなところからサイエンスを作り出すところまで、一気通貫でできるプログラムを我々としても準備していきたいと思っていますし、徐々にやっているというところです。
【福山主査代理】  よろしいですか。
【菊池主査】  はい。
【福山主査代理】  今の話題に関連して、インダストリーの先端で急速に物理計測の最先端のニーズが高まって、中性子や放射光のデータを解析するコンピューター等々、AI、機械学習等々、急速にその動きがある。そのときに、これからインダストリーや日本がどうするかということは深刻な問題。
 もちろん、将来的に人が支えることだから人材育成だ。だけど、人が育つまでには時間がかかる。どうするか。今どうするか。
【齊藤センター長】  今どうするかということを、今、答えようとしていました。
【福山主査代理】  それに関して、私の考えというか提案は、今、既にある資産をいかに有効利用するかということ。今ある施設、研究所、今、ともかくあちこちにいる研究者を、いかに有効的に連携して……。
【齊藤センター長】  そうです。おっしゃるとおり。
【福山主査代理】  コミュニケーションをとって、ニーズとシーズがちゃんと向き合うようにできて、人まで含めて、ビームライン、人、組織を含めて、できるだけあるものをいかにうまく回すか。それを、早急にやる。
 その観点で、今日これはJ-PARCだけれども、例えば中性子に関して、インダストリーで本当にニーズが大きくて、応力ひずみや鉄鋼などはもう深刻。そのときに、今日も出てきたJRR-3等、もう既に投資していて、ある程度のものがある。
 場合によっては少し補強が必要かもしれないが、そういう既にある資産をいかに、それぞれの特徴を活かして使えるようになる。そうすれば、国が今まで投資した分の見返りというかが戻ってきますよね。
そのために、どうするか。これは、やはり、関係する組織が全部一緒になって、議論をできる仕組みがないといけない。少し問題提起してその場でみんな分かっても、それで放っておくと後に何にも残らない。
 次に進める際にどうするかというと、やはり関係者がコンスタントに意見交換する。特徴を活かすためにどうするか。やはり、それが必要。歴史的にこういうことがより明確な問題になっているのは放射光。レントゲンから始まって100年たって、SPring-8もあって次の3GeVもあって。そのときに、放射光でそれがより深刻になる。深刻というか、危機的になる。
 やはり、連携機構というか、情報交換であったり、お互いにサポートしながら、特徴を活かすような、足を引っ張るのではなくて、良いところをお互いに認めて助けるような仕組みが必要。
 放射光ではまず必要だし、それから歴史的に数十年遅れて出発した中性子でも時代の変化が激しい。それを今から考えて、中性子科学などの利用の推進、仕組み、少なくともコミュニケーションをとるように。
 そういうことができれば、その中で、より長時間掛かる教育もきちっと枠組みの中に入れて。だけど、今あるものをできるだけ早く有効利用する仕組みを考える。これは、当事者の意思を結集して、それと行政が一緒になってやるというリーダーシップを、J-PARCがとるという枠組みがあるかもしれませんね。これは確かに主査がおっしゃるように、日本にとって深刻だと思います。
【齊藤センター長】  今、すぐやっていることとしましては、企業の方と連携を進めていくということはいろいろな形で既に起こっていることでありますが、1つ、これも何遍もお伝えする例になってしまって申し訳ないのですけれども、住友ゴムさんの方でフェローシップというものを作っていただいた。
 これはそれ程大きくない投資ですけれども、実際に企業の人間が施設の中に入り込んで、施設の可能性を企業人の観点として最大限に引き出すということができる可能性のあるフレームワークだと思っています。これは、今欲しい人材、若しくは、今欲しい技術というものに、J-PARCがいかに使えるかということをリアルタイムでアクセスするチャンネルなのではないかと、今、考えています。
 でも、これだけでは恐らく足りなくて、もっと包括的に産学連携のスキームを進めていくようなことを、我々、今、考えていまして……。
【福山主査代理】  産学もそうなのですけど、例えば、茨城大は東海のすぐ脇にあって、茨城大の中に放射線に関しての特別のコースを作って……。
【齊藤センター長】  作りました。
【福山主査代理】  学生をちゃんと集め出した。
【齊藤センター長】  集めていますね。
【福山主査代理】  あれは、非常に重要。先ほど言われた人材育成という点では、そういう部局があるということは、すごいもの。だけど、それは、今すぐ役に立つわけではない。並行して、長期間の教育全体の枠組みと同時に、今あるものをいかに使って、例えば、産業利用にどうするか。今あるビームラインのパワーを、本当に生かし切っているかどうかは、やはり問われますよね。
【齊藤センター長】  そうですね。
【福山主査代理】  せっかくのビーム。
【齊藤センター長】  はい。若い人が自分の人生を賭けてでも、ここで何かやろうと思ってもらうためには、そこにはいいテーマがあり、かつ、そこには社会や世界につながる仕事がちゃんとあるというふうに見えることは、非常に重要だと思うのです。
 だから、空間的にも非常に広がっていて、かつ、時間的にも非常に長いスケールでつながっている。そういう未来があるというファシリティーだと思ってもらうことは、とても重要だと思っているので、そういう意味でも、将来につながる学生、かつ現在の産業界につながる、今すぐの連携を一気にやっていかないといけないと感じていますので、私もあと3年でセンター長はおしまいなので、その中でできる限りのことはやっていきたいと思っています。
 このことについては、だんだん理解は広がってきていると思うので、それを両機構がサポートしてくれるというスキームは、大分あるのではないかと考えています。
【福山主査代理】  確かにこのテーマは、プラットフォームをJ-PARCが担って、そこの上にいろいろな要素が入っている。産業利用もそうだし、人材育成もそうだし、国際化も。それを、一元一貫したというか、俯瞰(ふかん)した上でのきちんと組織立ったオペレーションが必要ですね。
【齊藤センター長】  もう一個だけ付け加えると、要するに、J-PARCが中心になることは重要だと思っているのですけど、やはり、中心になってプラットフォームを提供しながら、みんなの頭で考えることはとても重要だと思っていまして……。
【福山主査代理】  そのとおりです。プラットフォームというのは、そういうものです。
【齊藤センター長】  我々として提案する中でも、やはり、新しい提案に対して、非常にオープンにあり続けるということも重要だと思っています。
【福山主査代理】  それは、謙虚でいてくれないと、困ってしまいますからね。
【齊藤センター長】  そうですね。言葉を換えて言えば……。そうです。
【菊池主査】  恐らく、産業利用も進めていく、また、喫緊の課題に対処していくということに対しても、やはり、設備がちゃんとしていないと困るということで、安全とか、また、中性子線に関しても1MWまで行こうとするとターゲットの方の課題など、いろいろあるような気もいたします。
 そういったことに関しまして、前回中間評価以降に起こった主な事象とその対応・対策について、齊藤センター長の方から御説明願えればと思っております。
【齊藤センター長】  ありがとうございます。
 それでは、次の資料に基づいていきたいと思います。
 前回から起こったこととしまして、ハドロン事故がございました。このハドロン事故においては、まず、ハドロン施設における金の標的に、異常に時間的に短縮したビームが当たってしまって、金が溶けてしまいまして、それが蒸発して、更に放射性物質が実験室に漏えいして、それによって、またこれを排風ファンで、いわば換気扇のようなもので、外に出してしまったということ。実験作業者34名が被ばくしたということ、非常に大きな問題がたくさんありました。
 更に報告が遅れたということを含めて、非常に大きな問題になったので、ここを、我々としましては、いろいろな形で改善する必要があるだろうということで、次のページ(3ページ)にありますように、まずはハードウエアの対策としまして、多重防護という考え方です。複層で防護するという考え方を、徹底的に適用することにしたところであります。
 ですので、一旦、何か壊れるようなことが、どこかあっても、それをちゃんと守るものが、周りに存在する。そこに広がっている間に、ちゃんと対処できるというようなことを考えている。
 実際、これを契機にして、ほかの実験施設も、きちんとそういうふうに多重防護の施設が徹底されているかどうかということも再検証して、それはちゃんとできているということを確認した上で、運転を再開したというところです。
 これは、ハードウエアにおける対策であって、次は、ソフトウエアにおける対策です。組織としまして、まずは安全ディビジョンを統括する副センター長として、安全統括の副センター長を新たに設置しまして、安全ディビジョンが、ほかの施設のヘッドよりも、上に立つように、つまり、安全が非常に第一なんだということを、組織としても、見える形にしたということ。
 そういう組織を強化したということに加えて、24時間連続で放射線監視体制を構築して、常駐化するということ、責任者の常駐化ということも行ってきました。
 更に、それに加えて、安全文化を醸成することは非常に重要ですので、何か起こったときには、一生懸命やるのだけれども、いつの間にか消えてしまうということがないように、常時、安全文化について考える場所、考える機会を、的確に設けてきたと思っています。
 ここにありますものは、ディズニーリゾートにおけるセーフティーという、一見すると、大型研究施設とは関係ないように見えるかもしれない、そういうところで、一体、安全をどういうふうに担保しているのか、実は、我々よりも、ハイレベルの考え方も、いろいろなところにあるので、その考え方を取り入れながら、我々としても、自分たちのところにおける安全の在り方というものについて、常に考えるということを行ってきました。
 あとは、専門家の方々に、安全監査をやっていただいているというところです。
 次にありますものは、中性子ターゲットの不具合の問題ですけど、こちらも、実は2回にわたって、ターゲットが不具合を起こしてしまいまして、ユーザーの方々に御迷惑をお掛けした事象であります。
 そこで、起こったこととしましては、溶接など、こういう非常に脆弱(ぜいじゃく)な部分から水が漏れたということです。したがって、ヒート・ストレス・アナリシスをして、基本的にストレスが掛かりそうなところには、溶接を設けない。現在は、そこを完全に一体加工、モノリシックな加工にしております。まずは、一旦こういうベースラインを確保した上で、今後、どういうふうに、これを、もっと改善していけるかということを考えているところでございます。
 現在は、なるべく一体化したということでございますが、将来的には、完全に一体的な無拘束型にできるようにということを考えて、改善しているところでございます。
 あとは、不具合が生じた場合にも、なるべく早く交換できるということも、非常に重要だと思っていまして、今までのところは、50日ぐらい掛かっていたところを、今、20日ぐらいまで圧縮できるというところまで持ってきたので、将来的には、これを更に圧縮できるようにというところで考えているところです。
 これも、今までの考え方とは、フィロソフィーとして、大分変えたところですけれども、そこについても、我々の技術をどんどん磨きながら、対応していきたいと考えています。
 以上、起こった事象についての御報告でした。
【菊池主査】  ありがとうございました。
 それでは、今の御説明につきまして、御議論、御意見お願いいたします。
【久保委員】  よろしいでしょうか。
 ハドロン事故なのですれども、次、こういう漏えい事故が起こったときの対策はされていて、外には漏れないという話なのですが、そもそも異常ビーム、出てはいけないビームが出たということだと思うのですが、それは、なぜ出たのかということと、そういうビームはもう二度と出ないのかということについては、いかがでしょう。
【齊藤センター長】  そこも分析して、対策は打っております。電子回路及び制御構造の中に、こういうものが出てしまう構造が残っていたというところであるので、そこの辺のバグ出しをしまして、今後はこうならないというプロテクションを掛けた対策をしてあります。
 ただ、これも、やはり、施設のオペレーションをどんどん進めていくと、今までにないことを我々はやろうとしているわけですから、常にこういう新しいことは起こり得るわけです。だから、新しいことをやるときには必ず立ち止まって、必要であれば安全委員会のようなものを立ち上げて、そこで専門家及び外部の有識者の方々も入れて議論していこうというようなスキームを設けてやっているところです。
 ですから、そこでもすくい取れないものもゼロではないと考えているのですけど、でも、これまでに比べれば、そういうことは大分ちゃんと処置できるようになっているのではないかなと思います。
 いずれにしても、ここまでやったから大丈夫という慢心が一番良くないので、ここまでやったけれどもまだほかの観点でも見てもらおうというふうに、この点でも謙虚であり続けることが重要だと思っています。
【小関副センター長】  具体的に申し上げますと、ハドロン事故のときのショートパルスのビームが出た原因は完全に理解できています。どの電源のどの素子の何が悪かったかというところまで全て明らかにできています。もちろんその部分は改修をしています。
 ただ、遅い取り出しという手法は、周回しているビームを少しずつ取り出すという加速器におけるビーム制御として非常に高度なテクニックなので、ショートパルスの取り出し防止を100%保障するのは、恐らくできないと思います。
 けれども、そのリスクを最低限まで下げるための多重の対策は、ハドロンの運転を再開する前にきちんと整えることができたと我々としては認識しています。
【福山主査代理】  今の御説明、非常にサイエンティフィックな興味なのですけど、一番初めの元の故障は、何がトリガーになったのですか。
【小関副センター長】  ビームの取り出しを制御する電源に使っていた三端子レギュレータが原因です。そういう素子があるのですけど、その加熱が問題でした。
【福山主査代理】  それは1つの素子?
【小関副センター長】  冷却するためのヒートシンクがもちろん付いているのですけど、そのヒートシンクによる冷却が不十分だった。これは設計の問題です。
【福山主査代理】  冷却が十分にできていなかった。
【小関副センター長】  冷却が十分にできていなかった。
【福山主査代理】  1個のデバイス。
【小関副センター長】  そうです。1個のデバイス。
【齊藤センター長】  制御系におけるビット落ちがあって。
【小関副センター長】  それによって、制御電圧が低下してビット落ちが発生し、誤作動につながったということが分かっています。
【福山主査代理】  怖いですね。
【齊藤センター長】  怖いです。そういう意味では、ソフトウエアのエラーは包括的にその後も検証し続けるというところです。こういう制御系のエラーは、今後も起こり得るわけですからね。これは、いろいろな制御系の放射化や経年劣化みたいなものでも起こり得るので、そういうところについても予兆診断できるように、いろいろな手を打っています。
【福山主査代理】  それは、今、IoT時代で至るところにデバイスがあって、それに放射線が当たって放射化して、どこでどういうフォールトが起こるか分からない。1か所、何か起こったら……。
【齊藤センター長】  そうです。
【福山主査代理】  広範囲に影響があるという、今のいわゆるソフトエラーのプロトタイプというか、先駆的な被害。
【齊藤センター長】  この問題は、そういう特定な問題ではないですけど……。
【小関副センター長】  放射線ではないと思います。
【齊藤センター長】  と思いますが、それにしても……。
【福山主査代理】  1個のフォールトで。
【小関副センター長】  1個のフォールトです。そうです。
【齊藤センター長】  1個のフォールトが、大きなことにつながってしまえるという、非常に典型的な例だと思います。
【福山主査代理】  だけど、それをしっかり押さえ込むことが大変だったら。
【齊藤センター長】  そうなのです。おっしゃるとおりで、非常にたまにしか起こらないことというものを追跡し続けないといけないので、そこは非常に難しいところです。
【福山主査代理】  それもサイエンスですよね。
【齊藤センター長】  ええ、それもサイエンスです。
【福山主査代理】  分かりました。
【菊池主査】  高梨先生。
【高梨委員】  済みません、流れを受けてなのですけど、予兆保全のところは、どういうふうな対処の仕方を今とろうとされているのですか。
【齊藤センター長】  回転系については、いろいろなところにあるので、モーターについてもそうですし、ポンプについてもそうなので、回転系における異常を抽出する仕組みはあるので、それを仕掛けているというようなことが1つあります。
 あとは、予兆診断のようなことを、もう少し包括的に企業と研究するということも始めているところです。
【高梨委員】  そうですね。
【齊藤センター長】  これは、企業の方にも、結構ノウハウが既に蓄積されたものがあるので。
【高梨委員】  あります。
【齊藤センター長】  我々のような、どちらかというと大量生産ではなく一個モノで作っているものを、それをどこにもない形で動かしているというところで、いかにそういう証拠を捉えていくのか。
【高梨委員】  そうですね。
【齊藤センター長】  これも、いろいろなパターンの認識に基づく課題抽出は可能なので、かつ、今、流行(はやり)のことですけど、ビッグデータをいかに解析して、そういうものをピックアップしていくのかというところを、我々としても取り組んでいるというところです。
【小関副センター長】  これは、我々の加速器施設は本当にそれこそ何万点という制御対象があるわけですけれども、AIを使ってその時系列の相関をとって、正常な状態からどこがずれているかということを解析するということが原理的には可能です。
【高梨委員】  そうですね。
【小関副センター長】  今、そういったことを企業と共同研究で始めたところで、これは、予兆診断という意味で相当有効ではないかと思っています。
 まだ始めたところで、我々の加速器に具体的に適用しているわけではないですが、近い将来それができると思っています。
【高梨委員】  近い将来は、何かプランがあって。
【小関副センター長】  プランがあります。
【高梨委員】  一応ターゲットがあるわけですね。
【小関副センター長】  ターゲットがあります。
【高梨委員】  分かりました。
 もう一つ。いろいろな新しいことにチャレンジしていて、一つとして同じものがないという状況の中で、それでも安全を確保するためには、やはりプロセスでこういうふうな手順を踏んでいったら、確率を低くできるというような対処の仕方が必要かと思うのですけれども、そういう手順はもうしっかりとできているのですか。
【齊藤センター長】  そうですね。我々は3Hという言い方をするのですけれども、初めてやることとか、久しぶりにやることとか、あとは、変更ですね。何かあるものに対して変更を加えた場合。これも一番危なくて、もともとデザインした思想はこうなのだけれども、ちょっと変更すればこれができるというような形の変更は一番危ないのですね。
【高梨委員】  なるほどね。
【齊藤センター長】  こういうときには、一旦立ち止まって、そこで自分たちでまず考える。次は、J-PARCワイドに声を掛けて、専門家を集めて議論をする。それだけで足りなければ、もう世界中から人を集めて、必要な専門家を集めて議論をするというようなことをやっているというステップを確立しているところです。
 でも、これも最初のトリガーがとても重要なので、これは初めてに当たるなとか、それは分かりやすいですけれども、久しぶりに当たるなとか、あとは変更に当たるなというところの気付きのパートは、やはり、それぞれ(各個人)の意識がどうしても高いものである必要があるので、それはもう繰り返し手を変え品を変え言っていく必要があると思っているところです。
【高梨委員】  はい。
【福山主査代理】  だけど、それも人がやったら危ないから機械でやればいい。
【齊藤センター長】  そうです。機械に任せられるところは機械に任せたいということであります。
 でも、これは技術的特異点を超えた時代の人間の在り方ということに多少関係するかもしれませんけど、機械を使いこなすところは最終的には人間であるというところもあると思いますので、やはり人間が考えられる領域をしっかり担保するために、ツールとしてAIを使い続けるというところなのではないかと思います。
【田村委員】  あとちょっと質問です。
 事故の後、もう大分たちましたけれども、現地の東海村など現地の皆様との関係は、今、どういう感じになっているのでしょうか。
【齊藤センター長】  これは、もう大分良好だと、僕らから見てそう見えるということなので、それ以上のことは言えないかもしれないのですけど、向こうからよく話し掛けてきてくれます。
 僕が個人的に非常に印象的だったことは、住民説明会のときに、ハドロン事故の漏えいによって、それがちょうど出ていた時間に御自分のお孫さんが下校時間だったんですという女性の方がおられたんです。
 その方は説明会で、心配でもう泣き崩れた感じです。その方にその後、我々の改善について、いろいろ説明していったところなのですが、その方が、たまたま、我々が地元で開いているイベントに参加したときに、我々のところに来てくれまして、それで、しっかり頑張ってくださいと。しっかりやっておられるようだから、しっかり頑張ってくださいというふうに言っていただいたときは、本当に少しは理解してもらえたのかなと思った瞬間でした。
 この方は、実は御自分でも神岡まで行かれるぐらい、ニュートリノに御興味を持たれていた方でもあったのです。つまり、それだけJ-PARCに対して期待していたのに裏切ってくれて、何てことをしてくれたんだというお気持ちだったのだと思うのです。そういう方にも何とか応えることができ始めたのではないかなと思っています。
 ただ、これも、また何か起こって、かつそれがすぐに皆さんに公開しているようではないと見えてしまうと、この信頼もまた一気に失われてしまうものだと思っていますので、これは、今後も一歩一歩、また、改善していく。
【田村委員】  住民との交流は、引き続き、大事にしていかれるといいと思いますので。
【菊池主査】  ありがとうございました。
 まだ皆様から御質問等がたくさんあるかと思うのですが、時間も迫っていまして、今日の議論はここの辺りで終了させていただければなと。
 また、どうしてもこれは聞いておかなければという、今回の中からそういうことがありましたら、また、メールか何かで事務局の方に出していただいて、J-PARCさんの方から御説明願えればと思っております。
 また、もう一つお願いがございます。次回の作業部会では、新たな論点としまして、これまでに議論を行った論点以外についても議論を行いたいと考えております。既に事務局(案)としまして、経営的視点の導入と本格的産学連携の実施の2点が上がっておりますが、これまでの議論を踏まえまして、そのほか議論すべき課題や観点などございましたら、事務局の方まで御連絡をお願いいたします。次回の作業部会で、頂いた課題への取組や今後の対応を、J-PARC側から御紹介いただき、議論を継続していきたいと思っております。
 締切り等の詳細につきましては、後ほど、事務局から連絡がある予定ですので、お願いいたします。
 それでは、その他、事務局から何か連絡等はありますでしょうか。
【大榊専門職】  ありがとうございました。次回の本作業部会の開催でございますが、5月中旬頃を予定してございます。
 本日の資料でございますが、後日、文部科学省のウエブサイトに公表させていただきます。
 また、会議の議事録でございますが、委員の皆様に御確認させていただいた後、文部科学省のウエブサイトに掲載させていただくこととしております。
 先ほど主査からお話がございましたように、新たな論点につきましては、後ほど私どもの方から締切り等についてメールなりさせていただきますので、御回答いただければと思います。
 本日の資料につきまして、もし郵送御希望でございましたら封筒に入れた後、机上に置いたままにしていただければと思います。また、不要な資料ですとかドッチファイル等につきましては、机上に置いたままにしていただければと思います。
 以上でございます。
【菊池主査】  それでは、時間になりましたので、以上をもちまして、3回目の大強度陽子加速器施設評価作業部会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――


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科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課 量子研究推進室)

-- 登録:平成30年11月 --