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第9期研究費部会(第7回) 議事録

1.日時

平成30年10月23日(火曜日)13時30分~15時00分

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 科学研究費助成事業に係る平成31年度概算要求について
  2. 第9期研究費部会における議論のまとめ
  3. その他

4.出席者

委員

西尾部会長,甲斐部会長代理,栗原委員,白波瀬委員,小川委員,小安委員,城山委員,鍋倉委員,山本委員,射場委員,竹沢委員,橋本委員

文部科学省

磯谷研究振興局長,千原大臣官房審議官,梶山学術研究助成課長,岡本学術研究助成課企画室長,他関係官

オブザーバー

盛山学術システム研究センター副所長,坪井科学技術・学術政策研究所長,伊神科学技術・学術基盤調査研究室長

5.議事録

(1)科学研究費助成事業に係る平成31年度概算要求について

【西尾部会長】  まだ定刻まで時間がございますが、参加予定の皆様に御参加いただいておりますので、ただいまより第9期第7回の研究費部会を開催いたします。皆様方、御参加いただき、どうもありがとうございました。
 本日は、最初に科研費の平成31年度概算要求の状況の報告をお願いしたいと思います。また、今期のこの部会は来年の2月をもって皆様の任期も終わりとなりますので、最終回を見据えて、本部会における議論の整理も行っていきたいと考えております。
 なお、本日は日本学術振興会より、盛山学術システム研究センター副所長にオブザーバーとして御参加いただいております。
 次に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【松本企画室長補佐】  今回もペーパーレス会議として実施させていただきたいと思いますので、資料については基本的に机上のタブレット端末でごらんいただければと思います。
 なお、お手元に議題2で関連します、「審議のまとめ(案)」というのがあるんですけれども、それに関連した資料集を机上配付でお配りしております。個々の資料名の読み上げは省略させていただきますけれども、欠落のある場合、また、タブレット端末の操作方法について御不明な点がある場合は、事務局までお申し付けください。
 以上でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、初めの議題に入ります。平成31年度科研費の概算要求の考え方については、前回、7月31日の研究費部会において、皆様に御報告させていただいております。ただし、それに基づいて、事務局において実際に概算要求が行われている状況がございます。改めてその内容について事務局から説明をお願いいたします。
【梶山学術研究助成課長】  それでは、私の方から御説明させていただきます。
 先ほど西尾先生からお話しいただきましたように、タブレットで言いますと、上にあります参考1、「科研費改革の当面の取組について」というかたちで前回の御議論を頂いたところでございます。若手研究者支援プランの実行、それから、国際というものに関して実施していくということをいただいたところでございます。これを踏まえまして、戻っていただいて恐縮でございますが、1-1、「研究力向上加速プラン」をごらんいただければと思います。
 こちらにつきましては私ども振興局におきまして、科研費だけではなく、様々な政策手法を使って研究力向上を進めていこうというプランでございます。この中に組み込んだ形で、今回、科研費の要求をさせていただいているところでございます。
 具体的に言いますと、若手研究者を中心に制度改正、重点投下を行っていこうということで、左上の戦略創造事業におきましても、「さきがけ」の充実などを行っていくとともに、右のところをごらんいただければと思いますけれども、「海外で研さんを積み挑戦する機会の抜本的拡充」というところで、海特の拡充でありましたり、国際競争力強化研究事業の創設と併わせまして、科研費による研究について以下の取組を実施というところを要求させていただいているところでございます。
 丸1 にございますが、「若手研究者の参画を必須とした国際共同研究種目を充実」ということで、本年度から審査を行っております国際共同研究Bについて拡充を要求させていただくとともに、丸2 というところで、これは前回来御議論いただき、また今回も少し触れさせていただくことになると思いますが、国外の研究機関に所属する優秀な若手研究者の応募を促進し帰国後の研究を促進、支援するような「帰国発展研究」の充実も要求しているところでございます。また、これは制度改正ということになりますが、海外に渡航した場合の研究費の中断制度を導入するというところ、帰国後の研究を保障するというところを行ってございます。
 また、併せまして真ん中のところでございますが、「科研費による挑戦的な研究及び若手研究者への重点支援」というところで全体を示しているところでございますが、若手研究者を中心とした種目を抜本的に強化するということで、その要求をしているところでございます。
 こちらにつきましては、具体に1-2をごらんいただければと思っております。科研費事業というところで総額が2,285億で、来年度要求につきましては、約2,470億円の要求をしております。右下をごらんいただければと思いますが、2019年度要求の骨子の1.でございますが、先ほど申し上げましたような中核的研究種目の充実を通じた科研費若手支援プランの実行のために、若手研究者のキャリア形成に応じた支援を強化するために、若手研究とともに基盤研究種目群を拡充するというところ。こちらにつきましては、左にありますような若手研究、それから、研究活動スタート支援につきまして、採択率、充足率の向上を図れるように、その要求をするとともに、特にキャリア形成に応じて基盤研究(B)の拡充、こちらは国際競争下での研究の高度化に欠かせないというところで、こちらについても増要求をしているところでございます。
 このようなところで1.の科研費若手支援プランの実行を通して若手研究者を支援していこうということで要求させていただいております。
 2.は先ほど御説明さしたとおりでございますが、国際共同研究の推進ということで、先ほど申し上げた種目に関して、その充実を図っているところでございます。
 最後にちょっと1-1に戻って恐縮でございますが、1-1の一番最後にございますように、共同利用・共同研究体制の機能強化によって研究基盤を整備していこうということ、このような政策を通じまして科研費の充実、それから、全体としての充実ということで研究力の向上を図っていこうという予算要求を現在させていただいているところでございます。
 私からは以上でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 ここまでの説明につきまして、御質問などございましたら何なりとどうぞ。いかがでしょうか。
【小安委員】  1-1の真ん中の黄色いところの「若手研究者を中心とした種目」というところに特別研究員が入っていますが、これは拡充の意味ですか。それとも、これはただ現状を書いてあるだけなのですか。
【梶山学術研究助成課長】  ありがとうございます。特別研究員につきましては、学振の中におきまして、特別研究員自体の要求をしているところでございますが、こちらは右上の点々のところの卓越研究員制度というのがございます。こちらの制度を充実しようとしておるところでございまして、これに対応した科研費の充実を要求しているところでございます。
 現状とそういうところを併せてごらんいただければとは思っております。
【小安委員】  分かりました。では、特別研究員は変わらず、海特と卓越のところを拡充するという理解ですか。
【梶山学術研究助成課長】  そういうことです。
【西尾部会長】  小安先生、よろしいですか。
【小安委員】  はい。
【西尾部会長】  ほかにございますか。
【小川委員】  質問してよろしいですか。
【西尾部会長】  どうぞ。
【小川委員】  帰国発展研究という新しい制度のことなんですけれども、この帰国のときの、国外の研究機関に在籍していた期間とか行き先とかいうことに関する制約というのはかなり厳しいんでしょうか。
【梶山学術研究助成課長】  本制度につきましては、今までもあった制度というものを柔軟にしていくという御議論をこの部会でしていただいたと思っております。例えば教授であったり、准教授、アソシエイトプロフェッサーという方々が対象となっていたところを、レクチャラーみたいなところまで、若干下のところまで広げた方がいいのではないかという御議論を頂いたと思っておりますので、その制度改正を行うとともに、そういうことをするのであれば、やはり充実した予算の確保が必要だろうということで今回要求しているものでございます。
【小川委員】  身分だとか所属とかいうこともあると思うんですが、海外でやってくるという形態もいろいろとあると思いますし、余り長期間単身で留学ということは女性などの場合、育児中の人とかは非常にやりにくいところもあるので、何回か帰国したりとか、弾力的に分散した形で海外での体験をしてきて、それを生かすという趣旨の方を是非尊重していただいて、余り期間だとか行き先とかいうことでの制約をできるだけ緩めていただいたらいいかなと思います。
【西尾部会長】  どうぞ。
【梶山学術研究助成課長】  恐縮でございます。おっしゃるとおりで、様々な弾力的なところはあろうかとは思っています。ただ、私の説明が悪かったら恐縮でございますが、この丸2 で御説明したのは、海外に行っている、いわゆる日本人の研究者の方々を日本に呼び戻すというところでございます。今おっしゃったような、海外に行きやすくするという意味で、例えば海特の事業でありましたり、様々な事業を行っているところでございますので、様々な事業がどれぐらい研究者の方々のニーズに応えて、ふだんの見直しを行っていくことはおっしゃるとおりだと思いますので、またそういうところも考えていきたいとは思いますが、基本的には今申し上げた丸2 のところに関しては、海外の方を呼び寄せるというところでございます。海外の方に帰っていただくというものでございます。
【小川委員】  はい。
【西尾部会長】  よろしいですか。
【小川委員】  なかなか今、日本での身分というのができないものですから、戻ってこられない方が非常に多いことは事実ですので、戻ってきやすくするということは尊重していただきたいと思います。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 どうぞ、先生。
【栗原委員】  今の帰国発展研究の件で、少し細かい運用の件ですが、私のいる東北大学ですけれども、海外から帰ってこられた場合に、4月から始まるような教授職ですと決まるのが12月ぐらいで、そうすると科研費の申請時期には全然まだそういうことを考える余裕がなくて、帰ってきて新たに研究室を立ち上げることになると、非常に応募がしにくいということを聞きました。そういう意味で時期等をもう少し弾力的にやるなり、帰国の次年度ぐらいまでは場合によれば支援をするとか、なかなか今は公募ですと本当に最後まで決まらないこともあると思うので、そういうところも少しきめ細かく考えていただければ幸いです。
【西尾部会長】  重要なポイントだと思いますが、いかがでしょうか。
【梶山学術研究助成課長】  おっしゃっていただいたように、本制度につきましては、普通の科研費でしたら11月7日に出さなくちゃいけないところを、予約採択のような形で、4月の前に日本に帰ってくるんだったら研究費用を支給しますよという制度になっております。具体的に日付といたしましては、9月に……。
【栗原委員】  応募時期が割と早いのではないかと思います。
【梶山学術研究助成課長】  そうですね。なるほど、応募時期の話でございますね。
【栗原委員】  応募時期をもう少し弾力的にか、あるいは資格として、在外でないと応募できないということでなくて、帰国後1年以内とか何か現実的な形でできればと思います。やはり外国に何年か正規のポストで働いていた方が帰ってくると、研究室を立ち上げるのはなかなか大変なので、この制度は大変有効でいい制度だと思います、ですから、それを何か現実的に類似のカテゴリーの研究者にいい形で使っていただけるような工夫があれば、よろしくお願いしたいと思います。
【梶山学術研究助成課長】  分かりました。おっしゃったように予約採択ということで、ほかの方よりは優遇されているとは思うのですが、よりどのような形で先生方が日本に帰ってきやすくするか、まさにそれは方向性としてはおっしゃったとおりだと思いますので、何ができるか、また、事務的な様々な審査のところで難しいことがあるかもしれませんので、ちょっと勉強させていただければと思っております。
【栗原委員】  よろしくお願いします。
【西尾部会長】  非常に重要な観点かと思いますので、今後検討していただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 ほかにございますでしょうか。どうぞ。
【城山委員】  もしかしたら既に御議論あった点かもしれないのですが、この1-1の一番最後のところの「プロジェクト型競争的研究費により雇用される若手研究者がプロジェクト以外の自立的な研究活動を行う際の要件について」はすごく大事なポイントかなと思うんですけれども、どういう整理をされようとされているのかという点と、それから、このときに対象になるプロジェクト型競争的研究費というのはどういう研究費の範囲で念頭に置いて検討されているのかという点について教えていただければと思います。
【西尾部会長】  岡本室長、どうかよろしくお願いします。
【岡本企画室長】  科研費以外の競争的資金について、具体の設計はこれからになると思いますが、例えば競争的資金で雇用されている方のエフォートの1割とか2割の分を使って自由な研究ができるようにするという制度を考えているということです。他の競争的資金がそういうことを認める必要があるので、他の省庁の協力も得ながらやっていく必要があるだろうということで、CSTIの方で音頭を取って、進めようとしているということです。
【城山委員】  そうすると、そこは主にはCSTIの方でかなり検討されているということでしょうか。ちょっと私もこれは正確な記憶かどうか分かりませんが、例えばNEDOの研究費とかはすごく厳しかったという印象があって、恐らく文科省関係の中でもバリエーションがあると思うので、そういう意味で言うと、なるべくこういうのは広げた方がいいというのは確かですが、多分、現実的にやる必要もあって、少なくともこのことの関係で言うと、まずは文科省の中のJSTだとかいうところの話できちっとできるようにするだとか、幾つかステップを分けてきちっと段階的に検討・実施していただくのが大事かなと思います。
【西尾部会長】  それでは、本件も是非今後検討していただきますようにお願いいたします。
 竹沢委員、どうぞ。
【竹沢委員】   私の記憶があやふやかもしれませんので、もし間違っていたら申し訳ないのですが、以前、帰国する海外在住のトップクラスの日本人研究者を対象とした研究課題がほとんど理系であって、人文学、社会科学系に関しては、私が質問したときに検討中という御返事を頂いたかと思うんです(その後、社会科学系は存在し、人文学がゼロであることが判明)。それと併せて気になりますのが、一番下にあります共同利用・共同研究体制の機能強化というところで、最近申請を受けて審査された国際共同利用・共同研究拠点については、人文社会科学系の拠点が非常にほとんどないのではないかということを耳にしており(その後、人文社会科学系はゼロであると判明)、非常に強い危機感がございまして、ある一つの項目ではなくて、複数の項目にわたって人文学・社会科学系が圧迫されているということが、もし本当でしたら、これはかなり大きな問題ではないかと思っております。
【西尾部会長】  今の件、いかがですか。
【梶山学術研究助成課長】  すいません、ちょっと手元にこの帰国発展研究がどういうものをやっているかという資料がすぐに出てこないのですが、科研費でございますので、全ての分野に対しましてお金を出すという基本原則でやっておりますので、たまたま人社がその年にいなかった可能性はございますが、人社の方を対象とした制度になっているということではあると考えております。
 それと、あともう一つの共同利用・共同研究体制に関して、人社系の話でございます。私、直接の所管ではございませんが、共同利用、それから、共同研究体制の機能強化の極めて重要なところだと思っております。人、それから物、それから金というところの中で、そこを補完していくようなところが共同利用施設なのかなと思っているところでございます。そのような中で、人文社会というものに関して共同利用機関が果たす役割に関しても大きな期待を寄せられたということはおっしゃるとおりだと思っております。御承知かと思いますが、西尾先生が会長をしていただいている科学技術学術審議会の学術分科会の下に人社のワーキンググループ等を今置いておりまして、今後、インテンシブに検討を行っていくという話がございます。私も出る予定でございますので、そのような御意見があったと、実際どういうふうに進めていくかというのが課題なのではないかというところも、そちらの方にインプットさせていただいて、今後の話をまた検討していくことが重要なのかなと思っているところでございます。
 以上でございます。
【西尾部会長】  どうぞ。
【竹沢委員】  一言よろしいでしょうか。先ほどの質問させていただいた人社系があまり採択されていないということが、今年がたまたまということにしても、やはりクエスチョンマークということになるので、来年は大幅な改善をお願いしたいと思います。
【西尾部会長】  事務局の方でお願いします。
【松本企画室長補佐】  帰国発展研究の採択におきましては、28年度ですと人社系で言うと経済系の先生方とかで4名ほど採択をされていますので、全くないというわけではないです。
【西尾部会長】  全体でどのぐらいあるのですか。
【松本企画室長補佐】  全体で採択は10件とか12件とか、その程度だと思いますけど。
【竹沢委員】  私たちが見たのとは違いますか。
【松本企画室長補佐】  ちょっと以前ごらんいただいたやつがなかったので。
【竹沢委員】  ちょっと資料が何か違うかもしれません。
【松本企画室長補佐】  違ったかもしれないです。
【西尾部会長】  分かりました。人文学・社会科学系が、全学術分野においてはいかに重要かということをきっちりと示していく必要があると思います。今、松本補佐から報告いただいた点では大丈夫かなと考えます。もう一方で、今後、人文学・社会科学系の振興に関するWG等で、この委員会からの意見として梶山課長からインプットしていただいて、より実りあるものにしていければと思います。どうかよろしくお願いいたします。返す返すも貴重なコメントありがとうございました。
 ほかにございますか。どうぞ。
【橋本委員】  今の共同利用・共同研究拠点なのですけれども、大分いろいろなものができてきたと思っているのですが、予算上の扱いが私立と国立とではちょっと違います。これは特に分ける理由はないのではないかと思うので、共通のところで議論できるように是非考えていただければと思います。
【西尾部会長】  事務局、どうですか。
【岡本企画室長】  予算の話だけちょっと。まず、国立の関係であれば運営費交付金で、公・私立については補助金でやっているんです。これは国立であれば、法人化前から特別会計があったので、その流れでやっていて、一方、公立と私立では運営費交付金を使えませんから補助金という形になっています。お金の出し方は違いますが、制度としては一体でやっていると思います。別の課でやっている事業ですけれども、現状はそういう状況になっています。
【西尾部会長】  橋本先生、よろしいですか。
【橋本委員】  予算上の問題もあるかもしれませんが、共同利用・共同研究拠点は、通しで考えるということを徹底していただければと思います。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。ほかにございますか。
 貴重な意見の数々を頂きまして、ありがとうございました。どの御意見も、科研費制度をより良くしていくために重要なコメントかと思っております。毎年事務局には財務省と厳しい折衝を頂いているということは十分存じ上げております。学術研究の振興には科研費の充実というのが間違いなく不可欠です。引き続き鋭意御尽力を頂きますように是非ともお願いをいたします。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題に移ります。冒頭に申し上げたとおり、今期の研究費部会は来年の2月に閉じることになっておりますので、残すところあと1回程度の開催となろうかと思います。そこで、今期の研究費部会の議論について一通りまとめた報告書を作成し、第10期につないでいきたいということも考えております。事務局に報告書(案)の作成を依頼しましたので説明をお願いしたいと思います。どうかよろしくお願いします。


(2)第9期研究費部会における議論のまとめ

【岡本企画室長】  それでは、資料2をごらんいただければと思います。「第9期研究費部会における審議のまとめ(案)」ということでまとめさせていただいております。
 次の2ページ目になりますけれども、目次がございます。最初に「はじめに」ということで、この報告について簡単に概要などを触れた上で、大きくは2つ書いてございます。1つが「第9期における制度改善事項等」ということで、こちらについては今期の研究費部会において既に議論していただいた結果、また、それに対して文部科学省、振興会がどのように対応したかという主な事項について整理をさせていただいております。
 2つ目は「今後の検討課題」ということで、3点ほど挙げさせていただいておりまして、次期研究費部会において引き続き検討していただきたいことを事務的に取りまとめております。それに、参考資料を付けるということで全体の構成にしております。
 内容について御説明させていただきます。次のページをごらんいただければと思います。「はじめに」ということで書かせていただいておりますが、2つ目の文章でございます。第9期の研究費部会におきましては第8期の報告書を踏まえて、更なる制度設計を要する事項について審議・検討を行ってきたということ、更に研究費部会と審査部会の下に、科研費改革に関する作業部会を設けまして、詳細な検討を行ってきております。
 本報告書では作業部会の検討結果に基づき審議した主なものについて整理させていただいております。また、それらの審議結果を踏まえて行われた文科省、振興会の対応を取りまとめていること。また、今後検討の必要がある課題についても整理させていただいているということをはじめに書かせていただいております。
 次のページをごらんいただければと思います。1つ目として、「第9期における制度改善事項等」ということで、(1)といたしまして、「科研費若手支援プラン」の実行でございます。第8期におきまして、この科研費若手支援プランを本部会から提示をさせていただいているところですが、その後動きがありまして、本年の6月には統合イノベーション戦略なども策定されているということで、次点の修正をさせていただいております。本プランの各種目について、現状と目標を下の図にありますとおり更新することが必要であるとさせていただいております。
 具体の更新の内容ですけれども、例えば研究活動スタート支援のところに目標の採択率を入れるとか、国際共同研究加速基金につきまして、具体に3つの区分を記載させていただくということで、現状に合わせて更新をする必要があるということです。
 次が「若手研究(A)」の「基盤研究」種目群等への統合ということでございます。こちらについては既に行っているところですが、若手(A)につきましては30年度の助成から基盤研究種目への統合を進めているところでございます。
 次のページの2つ目の文章をごらんください。「作業部会ではその際、基盤研究(B)において若手研究の研究課題を優先的に採択する経過措置の仕組みを設けるほか、若手研究(A・B)を基課題とする最終年度前年度部分について基盤研究(S・A・B)への応募に限り可能とする措置を講じるべきとされた」と書いております。
 こうした作業部会における整理を踏まえまして、本部会におきましては若手研究(A)の基盤研究への統合を契機といたしまして、基盤研究(B)について今日的位置付けを整理しておりまして、基盤研究(B)、また、挑戦的研究、基盤研究(A)、これらの拡充を図るべきとの結論を得ています。
 これらは「科研費若手支援プラン」において重点的に位置付けた種目であり、文科省において同プランの実行を図るべく所要の予算を確保するとともに、文部科学省と振興会においては、30年度助成において、「若手研究」を基課題とする研究課題で研究期間3年以上のものについては「基盤研究(S・A・B)」への最終年度前年度応募を可能とするということを書いております。
 丸2 が、若手研究者の独立支援の試行の展開です。第8期の報告書におきまして、「運営費交付金をはじめとする基盤的経費の減少によりデュアルサポートシステムが機能不全を果たしている」ことを踏まえて、研究者が研究室を主宰する者として研究活動を行おうとする際に必要な研究基盤の整備ということで、そのために必要な費用を、追加交付を可能とする制度について審議・検討したということです。
 支援対象者の要件としては、若手研究(B)ということで、所属機関に対して300万以上の研究基盤整備を主体的に実施することを要件として行っているところです。
 29年度の助成から開始しておりまして、現在も試行を続けているところです。試行結果を見た上で、今後どのようにしていくかを審議、検討していく必要があるだろうと思っております。
 (2)が国際共同研究の推進ということでして、丸1 が、「国際共同研究強化」の発展的見直しです。平成27年度に創設されました「国際共同研究加速基金」において、国際共同研究強化というものを設けております。より多様かつ柔軟な海外活動を認める仕組みを充実させる必要があるだろうということで、基盤研究(A)及び基盤研究(B)において設けておりまして、「海外学術調査」を発展させる形で、「国際共同研究強化の(B)」を作っているということを書いております。
 次に、丸2 の「帰国発展研究」の発展的見直しですが、これについては、先ほどの概算要求の説明の中でも出てきた種目ですが、日本国外の研究機関に所属する日本人研究者であって、科研費の応募資格を有しない者が日本に帰国後すぐに研究を開始できるようにするということで設けているものです。こちらについて、要件の見直しなどを行っており、これらの見直しについては、30年度助成の公募から行っているということを書いております。
 次の丸3 が、海外渡航時における科研費の中断制度の導入です。1年を超えて研究課題を継続して実施できなくなる場合などにおいては、研究を廃止しなければならないというのが一般的な取り扱いでございます。例外としては、研究者の産前産後の休暇、また、育児休業、この場合には例外を設けておりまして、復帰後に再開することを認めているということです。
 長期にわたって海外に渡航する場合には、この例外の対象とならないということで、この取扱いを変更して、海外に行くことを積極的に科研費としても支援していこうということで、制度を見直そうと思っております。こちらについては、31年度の助成から直す予定で、現在検討を進めております。
 (3)が科研費における研究組織の見直しについてですが、これは「連携研究者」を廃止いたしまして、科研費における組織は、「研究代表者」、「研究分担者」、「研究協力者」で整理するという結論に至ったものです。これについては、平成30年度に、関係規程の整備などをして、既に対応しております。
 次が(4)の科研費制度運営の適正化についてですが、第5期の「科学技術基本計画」を展望いたしまして、「科研費改革の実施方針」に則り、現在、各種の改善などを進めているところですが、不正行為のほか、科研費をはじめとする研究費の不正使用、不正受給の実態が断続的に明らかになる中、研究費の適正な使用について常に疑義が生じかねないということは、科研費制度の運営に当たって大きな障壁となるということです。
 「このため」というところですが、国民に対して、幅広く科研費による研究について情報を発信すべく、更なる公開情報の充実に努めるということ、また、研究者が研究遂行上配慮すべき事項について公募要領、また、審査の手引き等において改めて周知すること、さらに、科研費による研究は、研究者の自覚と責任において実施するものであるということを、研究者は今一度改めて認識する必要があるとしております。
 これらについては、本年5月に、研究費部会、審査部会連名で、「科研費制度運営の適正化を通じた公正・透明な研究活動の実現に向けて」というものを作成しております。これらを踏まえて、引き続き科研費制度の改善・充実を図っていくということです。
 (5)が「新学術領域研究」の見直しの方向性です。こちらは前回の研究費部会において御審議をいただいた部分ですが、第8期の報告書において、「新学術領域研究」については、現行種目の意義・効果を十分に確保しつつ、先行実施する「挑戦的研究」の効果等を見極めながら、将来的な在り方を検討することが必要と提言がなされております。
 このことを踏まえて、作業部会において検討してきたということで、これまでの成果、また、課題、問題意識などを整理させていただいております。これらを踏まえまして、新学術領域研究については、領域型研究への支援を維持することを前提に、平成32年度の助成から見直し後の公募を実施できるよう、見直しの方向性に沿って検討を進めることが必要であるとしております。
 次のページに、「新学術領域研究」見直しの方向性ということで、3点ございます。丸1 が目的に関すること、丸2 が学術研究領域の構成に関すること、丸3 が支援規模に関することということで、これら見直しの方向性を踏まえて、作業部会で現在検討を進めているところです。
 次が2つ目の「今後の検討課題」についてです。第9期における制度改善事項については、既に文科省、振興会において対応している事項に加えて、継続的に検討・対応が必要なものも含まれており、それらを含め、常に科研費制度の充実を図っていく必要があるということは言うまでもないことです。
 研究力の低下傾向が指摘される中にあって、次期の本部会においては、若手をはじめとする研究者の挑戦を鼓舞し、国力の源である学術研究の更なる振興を図るためにも、本部会の審議に基づき実施された科研費改革の状況を検証しつつ、特に下記に掲げる課題への適切な対応を含む制度全体の不断の見直しを図り、文部科学省において予算の拡充を通じた科研費の採択率及び充足率双方の向上に全力で取り組むことを期待したいとしております。
 (1)の「新学術領域研究」の見直しです。これについては見直しの方向性が定められておりますので、これに沿って検討を進めるということが適当であるとしております。
 なお、新学術領域研究については、現在、交付業務を除いて文部科学省が直接業務を行っていることに鑑み、審査の一体的な改善、業務の効率化、利便性の向上を図る観点から、振興会への業務の移管を見据えて、実効性のある見直しを行うことが重要であるとしております。
 次に、(2)が応募件数の増加への対応です。第8期の報告書において、従来、大学、研究機関等における基盤的経費と競争的経費によるデュアルサポートシステムが機能し、研究者による挑戦的な研究が支えられてきたものの、近年は、基盤的経費の漸減等を背景としてデュアルサポートシステムが変容してきているということを書いております。
 このような状況を背景として、科研費では年々応募件数が増加傾向にあるということ、また、平成28年度には初めて10万件を超えたということ、とりわけ基盤研究(C)の応募件数の伸びが著しいということがあります。
 応募件数の増加は、科研費へのニーズの高まりと解して肯定的に受け入れることもできますが、審査負担の増加は極めて重大な課題であるため、平成31年助成の公募要領においては、研究機関に対し、研究者の自由な発想に基づく研究課題の応募という趣旨を逸脱しないよう注意喚起がなされています。
 また、今後も応募件数が増加の一途を辿れば、審査委員の審査負担の増加により、公平・公正な審査に支障を来しかねないと考えられます。
 今後、科研費制度の趣旨を踏まえた応募動向の十分な検証を行い、応募資格の見直しや審査方式改善の是非も含む制度全体を俯瞰した有効性のある方策を検討していく必要があるとしております。
 最後が、新たな審査方式の検証及び検証結果を踏まえた見直しについてです。科研費の公募・審査の在り方を抜本的に見直し、多様かつ独創的な学術研究を振興するため、30年度助成に係る公募から、「基盤研究」、「若手研究」については、新たな審査区分により応募を受け付けていること。また、新たな審査方式により審査を行っているということです。
 これらの新たな審査方式を含め、より良い審査方式の在り方については、文部科学省と振興会が緊密な連携を図りながら検討を進め、その結果を踏まえた適切な見直しを行う必要があるということで、まとめさせていただいております。
 以降のページについては、参考資料として、委員の名簿等々付けることを予定しております。また、机上配付資料といたしまして、関連資料集をお配りさせていただいております。こちら、最終的には、この審議のまとめの参考資料として付けようと考えておりますけれども、机上配付資料には、非公開で行っております作業部会の資料も含まれているということで、今後、内容を精査した上で、審議のまとめに加えていきたいと考えております。
 本日は、特に2つ目の「今後の検討課題」について御意見等頂ければと考えているところです。
 資料の説明は以上です。
【西尾部会長】  どうも御説明ありがとうございました。ここ2年間、我々が審議してきたことの総まとめが前半部分でなされ、そして、11ページから今後の検討課題ということになっております。これまでの経緯をまとめていただいたところで、やはり特に申し上げるべきことがあります。この部会と審査部会の下に設置いただきました科研費改革に関する作業部会における審議が本当に大きな役割を果たしてきたことです。作業部会の審議結果をこの委員会に様々なフィードバックをしていただいたことにより、議論が深まったということを私は心より感謝いたしております。
 小安先生に本当に感謝申し上げます。どうもありがとうございました。大変な時間を費やしていただいて、科研費制度をより良いものにするために本当に御尽力いただいたと考えております。
 そこで、岡本室長から説明がありましたように、前半部分は審議のまとめですので、何か抜けているところがないか、また、次期にきっちりと課題をつなげていくという観点からすれば、今後の検討課題のところの記述について、御意見を頂ければと思います。何なりとどうぞ。どうぞ。
【小安委員】  若干これは研究費部会のマターから外れるかもしれないですが、今後の検討課題の最初のところに2つ段落があって、その2番目に若手の研究者の挑戦を鼓舞したいということを書かれていますね。これは色々なところで最近、作業部会も含めて議論していますが、いくら研究費の面から若手、若手と言っていても、そもそも若手の研究者になるべき人、要するに、大学院生のところが育ってないというところに物すごい危機感を持っているわけです。したがって、ここだけで議論していると、いつも何かこう、隔靴掻痒のようなところがあります。やはりこれは高等教育局も含めて一体となった議論をどこかでしていただかないと、いくら制度を議論しても、実際にそれを担う人材が入ってこなければ、我々、結局、非常に無力感に襲われます。
 ですから、そこを何とかしていただきたいというのが、今期いろいろと議論している中で非常に強く感じたところです。ここで若手ということを言うのであれば、どういう形でやるのか、いろんな問題はあるとは思いますが、例えば奨学金の問題にしても、昔と今は随分違っています。いろいろな形で、やはり入り口のところをもう少し頑張って、皆さんが研究に入ってこられるようにしていただくような施策をどこかで一緒に議論できるような場が欲しいなと思います。資料としていただいた文章と違うことで申し訳ないのですが、それを一番強く感じましたので、是非よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】  非常に重要な観点を御指摘頂いたかと思っています。若手を鼓舞する、支援するといっても、その若手がいなければどうしようもないわけで、今の御指摘頂いた問題は、研究振興局だけではなくて、科学技術・学術政策局、高等教育局の3つの局がもう少しいろんな意味で密接に連携して、若手研究者の層を厚くすることを実現していかないと思っています。
 私は、最近、文部科学省の方と話したときに、そういう3局の連携を取り始められたことを聞いております。そこを更に進めていただいて、今、小安先生から言っていただいたところをどう対応していくのかが、今後の日本の科学技術の振興上の鍵ではないかと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
【千原大臣官房審議官】  部会長、それから、小安先生からの御指摘ありがとうございます。まさに今、高等局の方では、大学改革とかいろいろなことが議論されている、また、こちらの部会では科研費という側面から若手支援ということを言われたりと、まさに今の御指摘のとおりで、各局個別に施策を打っていたのでは、全体のパッケージとして研究力向上あるいは若手支援ということが進まないというのは本当に御指摘のとおりだと思いますので、事務局、しっかり今の御指摘を踏まえて、しっかり連携していく。更に言えば、総合科学技術・イノベーション会議、また、そちらでもそういう御指摘を頂いていると承知しておりますので、その点を踏まえて、事務局としてもしっかり頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。
【西尾部会長】  どうかよろしくお願いいたします。
 城山先生、どうぞ。
【城山委員】  今の点とも若干絡むんだと思うんですけれども、要するに、研究費に期待される機能の部分と、研究費に過剰な期待が掛かっているという部分の、そこの調整をどうするかというのは大きな話なのかなと。例えば若手の関係で言うと、ある種のプリンシパル・インベスティゲーターになったときのその基盤の支援をするというのは、本来の研究費の趣旨とは違うかもしれないけれども、運営費が来ないので、ある意味では仕方ないので対応しますという、そういうストーリーで書かれていますよね。
 例えば、論理的には同じ構造になっているのは、10ページのあたりの応募案件の増加への対応というのも、ある意味では同じ構造になっていて、これは書かれているのは、最後の下から3つ目のポツで、研究機関に対して、研究者の自由な発想に基づく研究課題の応募という趣旨を逸脱しないように注意喚起をするとなっています。これは極めてもっともなのですが、ただ、逆に言うと、これは研究機関も逸脱したとは自らは言わないとは思いますけれども、やっぱり組織として、競争的資金で事実上の運営費の代替的なことをやっていると。ある種の間接経費も含めてですね。ということがある中でやっているんだとすると、これをどう考えるかというのは、多分これを原点に戻れというだけではなかなか厳しいというところもありますし、それから、先ほどの若手支援の研究費セットアップは、科研費の中からそういう機能をある意味では認めているわけなので、でも、科研費応募の一般論としてはなかなかだめよということを、じゃあ、我々としてはどういうストーリーとして、整合したストーリーとして考えるかというのはやはり整理が必要なのかなと。
 そういう意味で言うと、研究費の本来期待される機能と、本来は運営費等でやるべき機能のある部分を代替しているという部分の線引きをどこでやるかという現実的な判断と、それから、やはり本来の切り分け方というのをきちっとどこかで議論していただくということが必要なのかなと思いますので、若干関係のある話かと思いますが、その点についても御検討いただくことが必要かなと思います。
【西尾部会長】  今の点も先ほどの御意見と連動して非常に大事なことかと思います。どうかよろしくお願いします。何かよろしいですか。コメントをどうぞ。
【梶山学術研究助成課長】  おっしゃっていただいたように、様々な制度の中で研究が進んでいくというのはおっしゃるとおりでございます。デュアルサポート、基盤研究、それから、科研費、それから、例えば、装置であったり、人の話、それを総合的に勘案したときに、どこにどういう支援が主としてサポートしていくというのを議論して、統合していくことが必要だと思います。最終的には、今回、科学技術基本計画、次期に向けた検討を今しているところでございますので、学術のところは学術のところでそれをまとめていくんだと思いますし、研究費としてこういうふうにしたらいいのではないかというところは、この会において、そっちに打ち込んでいくというのがやはり重要だと思いますので、おっしゃったように、現実はこうありつつも、現実をちょっと変えて、こうした方がいいとか、やっぱり現実はこうだからこうしなくちゃいけないと、その両方のところで是非方向性をまた御議論いただければと思っております。
【西尾部会長】  ほかにございますでしょうか。どうぞ。
【射場委員】  今とちょっと似たような話なんですけど、先ほどの概算要求の資料には、さきがけの話とかも併せて書かれていて、若手というくくりでいろいろ制度を束ねて、どうやっていくかという議論がなされたように受け止めています。
 書かれてなかったこととしては、例えば卓越大学院制度は、この間、採択拠点が決まりましたよね。そこでは大学改革をすごく求められていて、その上に自立も求められているんですよね。だから、研究費、科研費を自立でやれと。科研費に相当するところの研究を自立でやれというふうにはならないと思うので、そこらあたり、大学の中ではそれを全部総合してマネジメントされているわけで、そのほかのところでどういうふうにやられているかということも併せてこの場で議論しないと、科研費単体の中身だけ議論していてもなかなか成立しないのかなというふうに思います。
 あと、研究費の面では、今度、リーディング……。リーディングじゃなくて、オープンイノベーション機構も始まって、それは民間もすごく絡んで、今までは民間は研究の中身、研究成果を求めて大学に資金を提供していたのを、もうちょっと基盤的なことであるとか人材育成のところまでどうやって踏み込むかみたいなことも今求められていると思うので、先ほどの議論のとおり、そのあたりも含めて総合的に議論できる形になればいいかなと。
【西尾部会長】  今御指摘頂いた点は、いつも甲斐先生が、この委員会は研究費部会だから、科研のことだけではなく、研究費全体のことを議論すべきであることを今まで繰り返しおっしゃってきました。特に、8期から9期の移行時にも甲斐先生が8期の最後の本部会でコメントされていたことです。この委員会としては、科研費は、全国の研究者お一人お一人に関わる重要な研究費なので、それを前面に出して審議しているのですが、今の御意見は、研究費という観点から考えると、もう少しトータルに考える視点が重要ではないか、ということだと思います。
【甲斐委員】  すみません。もう十分ですね。
【西尾部会長】  事務局に今ここで結論を言ってもらうということはできないと思いますけど、今後の方向性としてどうしていくのかということは、是非、事務局に御検討いただいて、10期につないでいただくことが大切と考えます。小安先生からもおっしゃっていただいたように、国からの個々の研究費は、もともと税金が財源ですので、それを有効に使っていこうとしたら、個々の研究費をどう関連させて、全体としてどのようにデザインしていくかということがより求められてくると思います。どうか御検討の程をよろしくお願いいたします。
 はい、どうぞ。
【栗原委員】  今、射場さんがおっしゃったので、若手の人材育成に関して私も一言。特に大学院生の問題に関しては、企業の立ち位置はすごく重要だと私は思っていまして、大学がどういう人を育成するかも大事なんですけども、やはり企業が若手の人材、育成された人材をいかに引き受けてくれるか、あるいは一緒に望ましい形でそういう人たちを育てていくということがすごく大事だと思います。今、文部科学省さんのいろいろなさっている、キャンペーンではないかもしれませんけど、いろんなところで若手の記事を報道されているのを見ますと、そういうところをすごく求められていると思うので、うまくそれをキャッチして、両側で、文部科学省だけじゃなくて、社会の一員の企業さん、よろしくお願いしたいと思います。御意見を今おっしゃったので、逆のこちらからのリクエストをお願いしたいと。
【西尾部会長】  コメントございますか。
【射場委員】  民間は多分、お金を出すからには、その成果は求めたくて、今までは研究成果だったのを人材。人材は今までただでもらっていたんですよね。修士で卒業すれば、何もなくて入ってきてもらっているんだけど、そうじゃなくて、やっぱりある程度そこの教育のところにも協力をして、どういう人材が必要だという意見も言いながらやっていかないといかんという認識はすごくあります。
【栗原委員】  いや、修士だけでなくて、ドクターを採用してほしいです。
【射場委員】  ええ、ドクターは。ドクターも散々、卓越大学院で議論をしたんですけど、ここの場の議論ではないと思いますけどね。企業の欲しい人材と大学で育てている人材、なかなかかみ合わないんですよね。
 リーディング大学院で、民間で活躍できるドクターということで、大分いい方向には向かってきていて、ドクターで入社する人もだんだんと増えてきているという傾向にはあると思うので、それを更に卓越で加速できればなというふうに考えています。
【西尾部会長】  どうでしょうか。ほかにございますか。どうぞ。
【鍋倉委員】  若手育成は重要だと思いますが、達成できたとかいうのが、若手育成という言葉が独り歩きをして何が達成する明確な目標かを設定することが重要なのではないでしょうか。共通目標を明確にしておかないと、若手育成という言葉だけが一人歩きする可能性があります。若手研究者を育てるには、独り立ちする前の若手研究者や学生が所属する研究室のPIシニア研究者へのサポートが必要です。もう一つは、日本で大学院生の数・質の低下がしばしば議論されていますが、その対策について、日本人の大学院生を対象としているのか、海外からの大学院生も対象にするのか、曖昧なまま議論がされていると思います。大学の研究力強化という観点であれば、海外からの大学院生が多いヨーロッパ、アメリカ、シンガポールのように、海外からの大学院生への対策も含めた議論をする必要があると思います。
【栗原委員】  そうですよね。
【西尾部会長】  どうぞ、甲斐先生。
【甲斐委員】  研究費全体に関してなんですけど、1期だけでどうにかなる問題ではないと思いますが、まずは着手するということでよいので、そろそろ日本の研究費の大きさとか形とか、そういう根本的な議論を始めてもいいんじゃないかなと思います。これはとても大きな問題で、1期、2期じゃ終わらないと思うんですが、今までは、例えば運営費交付金がなくなってしまったから、代わりとなる基盤(C)は大事だなど、その場に対応する議論に終始していました。これも、なくなってしまったからの前提がおかしいと思っていますが。
現在はノーベル賞が数多く出るようになったといって喜んでいますけど、私は、このまま行ってしまったら、30年、40年たったら出なくなってしまうと思います。本当に運営費交付金が大事なのですが、大事だということを大きな声で言っても全然通らないですよね。それでしようがないから、何でもしようがないからといって議論が始まりますが、これは大変おかしくて、基盤(C)のような基礎研究の芽を育てる比較的少額の研究資金は、本来大学に、普通に与えられる運営費交付金で支援すべきものだと思うんですよ。それを整備した上で、科研費ももう少し違う形や、少し大型にするなどにしないと、日本は諸外国の先進諸国に張り合っていけないと思います。それは、若手(B)や基盤(C)、本来は運営費交付金でやるような芽を見つけたり育てたりする研究で、何かが少し当たり始めた時にはもっと多額の研究費が必要になることは多いのです。理系の話ですみません。文系は基盤Cで十分、一生足りるというふうにいつも怒られるんですけど。でも、そういう様々な研究の形や大きさを真剣に議論し始めてほしいなと思います。
 もう一つ、それから、採択率と、何でしたっけ。
【小安委員】  充足率。
【甲斐委員】  充足率の関係をいつも言われますけど、これも日本的発想で、なるべく多くの人にあまねくあげたいから、充足率を7割くらいにしていますよね。慣例となっているのをみなさん知っていますから、申請書を書くとき、採択されても申請額の7割しかもらえないから、3割増しで書こうとなってしまっています。諸外国の研究者から見るとこれも大変おかしく思われていて、諸外国では大体9割ぐらいはくれるんですね。その代わり、大型研究費になればなるほどですけど、申請額もすごく厳しく査定されて、ばっさり半分切られたりもします。また、採択後もちゃんと遂行せよという目も厳しいんです。7掛けですと、ちょっと多めに書いておいて、どうせできなくても3割減らされたからその分だめだったんですという言い訳をさせてしまう制度ですね。
 だから、そういうのも含めて全体像を見直す。この充足率一つでも、例えば9割あげる。そうすると、当然ながら採択率は3割分減りますよね。それをもって財務省に行くべきだと思うんですよ。こんなのでいいのかと。諸外国の競争的資金の大きさと比較して、日本ももっと大型の経費を増やさねばいけないし、本来、基盤(C)は運営費交付金でやるものだと議論する、日本の研究は本当にどうなるんだと、そういう根本的な議論をどこかで始めてもらいたいと思うんですね。来期、10期に願うことなんていうのには、テーマは大き過ぎると思うんですけど、でも、科研費の種目を変えるのだって3期ぐらい掛かりましたよね。学振で最初に変えようといったとき、私も手伝ったんですけど、大変な抵抗がありました。もらっている方としては、現状を変えたくない。少しずつ変えていっていただく方がよくて、大きく変えるのはしんどいんですね。だけど、こんな大きなことを投げると、また皆さんから総反発を食うんですけど、でも、ここでこそ、そろそろそういうことを真剣に始めていただきたいなと思います。
 もう来期、私、いないかもしれませんけど。是非宿題として皆さんが覚えていて、日本の研究費制度、これでいいのかと議論していただきたいと思います。お願いいたします。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。今、甲斐先生から言っていただいたことは、科研費そのものの重要性を総体的にアピールする上で、研究費全体に関してのおさらいをきっちりしながら、科研費がどういう位置にあるかを明確にする必要があるということだと思います。そのような分析のもとで、科研費の意義をより先鋭化して、拡充していくことの重要性をおっしゃっているのだと考えます。最初から一般的に研究費全体のことを議論するのではなくて、これから期を重ねるごとに徐々にでも、より広い視野で研究費を俯瞰する中で科研費の位置付けを考えていくというようなやり方もあるのではないかと思います。是非そういう考察のもとでの科研費に関する提案などをこの部会から出していくことも重要と考えます。文部科学省の委員会ですから、科学技術・学術政策にきっちり生かされないと意味がないので、そういう視点の審議を次の期あたりからはじめることを御検討いただければと思います。
 ほかにございませんでしょうか。
 甲斐先生、どうも貴重な御意見ありがとうございました。どうぞ。
【甲斐委員】  すみません。また余計なことを。
【西尾部会長】  どうぞ。
【橋本委員】  今の部会長のまとめで尽きているかと思うのですけれども、研究費を考えるときのベースになるのは研究者です。今いる研究者、あるいは現在からの外挿で考えられる研究者の範囲で考えるのか、そうでないのかということもあると思うのです。
 今の職業の半分ぐらいが無くなると言われていますが、将来の日本の人口動態の中でどういう年齢分布で研究者がいるべきかいうことを考えることも必要です。それがあって、科研費についても考えるべきです。研究者がどういう分野でどのぐらいいるのかを想定する。あるいは、どのぐらいの研究者がいるのが適正だと考えるか、期待するか、というある意味の研究者数に対するナショナルターゲットみたいなものがあって、それに向けてどういう制度を作っていくかという視点が必要じゃないかと思うのです。ここだけではなかなか進まない話だと思うのですが、ここから問題提起するというのは良いのではないかという気がいたします。
【西尾部会長】  今の橋本先生の御意見も、橋本先生がこの部会で何回か繰り返しておっしゃっていることですね。この部会で審議すべきことなのかどうかということも含めて、事務局の方で是非御検討ください。日本の科学技術・学術政策上における、今後のビジョンを立案していくためには、研究者の層の厚さも含めた議論をきっちりとしていくということが大切であるというご指摘だと考えます。
 この件も橋本先生が、何回かいろんな機会におっしゃっていただいている貴重な御意見ですので、よろしくお願いいたします。
 ほかにございますか。栗原先生。
【栗原委員】  今の橋本先生の御意見に似たようなところでは、例えばドクターの卒業生を、大学は何人出すべきだとか、そういうところにもつながっていくと思うのですね。この前、学術分科会で研究所で調べていただいた資料では、日本の人口比当たりのドクターの学生の数は1とすると、フランスが2で、たしかドイツは3以上でした。それで、非常に低かったということが、日本の社会的課題ではないかと思っていて、そのことをそこでも申し上げたのですけれども、研究者の数もありますが、その前の学生の数は、統計も比較的分かりやすいような数だと思いますので、日本がこれから知をベースに社会ができていくとすれば、どういうふうな大学の教育をしなくてはいけないか、社会にどういう人たちが出ていかなくてはいけないかということは、これは本当に民の方々も含めて議論すべきところだと思います。もちろんどういう人材が欲しいんだという、先ほどの御議論ももちろんあると思うのですけど。
【西尾部会長】  何か事務局への要望がどんどん大きくなっていますね。
【栗原委員】  大きくなってきて申し訳ない。
【西尾部会長】  対応に困っておられるのではないかと思いますけど、研究振興局として考えなきゃならない課題だと思います。そういう観点からこの部会でなく、別の委員会でも良いのですけど、何卒よろしくお願いします。
 どうぞ、山本先生。
【山本委員】  先生方の意見を聞いていて、なるほどと思っていました。それだったら、我々のこの委員会でどのぐらいのことができるかというふうに考えたときに、やはり科研というものはかなり大きな力を持っているということも事実です。例えば2年前に行った例の改革においても、やはり単に制度をいじくりまわすという観点ではなくて、競争的環境で優れた研究課題を選ぶこと、かつ、それをもう少し広い面を見てくださいねというメッセージを区分変更で出したわけです。それは小さなメッセージだけど、そういうものがやっぱり変えていくんじゃないかと私は思っていて、逆に、例えば種目の大きさについても、ここで議論して決めてある程度方向性を出せれば、世の中を動かすこともできるのではないかとさえ思います。
 なので、もちろんトップダウンでやる方がきれいですが、それができなくても、ある程度のことは科研でできる。それが恐らく学術をよくしていくだろうというふうに確信します。
【西尾部会長】  本当に貴重な御意見どうもありがとうございました。おっしゃられるとおりだと思っております。
 ほかに御意見とかございませんか。どうぞ。
【白波瀬委員】  あんまりまとまりのないことかもしれませんけれども、一点、文系的な観点から少しお話しさせていただきたいと思います。
 今、研究者の最適サイズというお話もあったのですけれども、実は研究者自体の位置付けとか定義付けが変化していて、研究職だけれども、どういう組織に入っているのかも含めて、期待される職務や実際の仕事内容が変わっていると思います。時代が求める柔軟に様々なことに対応できる汎用性の高い研究者育成を国がいかに投資をして育てていくのかというのがやっぱり一番重要なところじゃないかと思うんです。
 ですから、ここで注意しなければならないことは、これからの伸びしろのある次世代の可能性を決して摘むような政策を作ってはならないことです。いまここのような場においては、日進月歩で最もとんがっている最新情報にアンテナをはりその情報を共有しながら議論をしないといけません。結局、この議論の場が遅れていると、制度作りの最初の想定自体が遅れてしまいます。実際の若い人たちは試行錯誤しながらすごく走っていて、日進月歩の競争の中で生活している現実と、どんどん乖離するようなことがないよう、こちらの当事者が危機感を持って議論しなくちゃいけないなというのはすごく感じるところです。
 それは文系対理系とか、文理融合という言葉もあるんですけれども、やはりその位置付け自体にちょっとこう古い感じもあるので、もう少し見直してもよいかもしれません。今、例えばドイツの事例についてのお話しがあったんですけど、ドイツの中では、博士号を持った者の中でキャリアパスが多様に枝分かれしていて、民間企業をはじめとした需要も高いので、教育する側の大学としてもとても自信を持っています。要するに、博士課教育と産業界・企業、さらには公的機関も専門職人への需要が高い分、人材育成の部分でうまい流れができていて、博士号取得者が市場においても引く手あまたになっている状況があります。それに比べると、日本はやっぱり研究者とか研究という位置づけや役割期待が非常に画一的であり、産業界との距離は決して近くありません。そこは少しこちらが一歩前に先んじる形で議論を始めてもいいのではないかなという気がすごくしています。
 感想です。
【西尾部会長】  山本先生がおっしゃられたことにつながりますね。この制度の中で動かしていけることができるという。貴重な御意見ありがとうございました。そういう点も是非今後考えていかなければならないと思っています。
 今後の検討事項について、ほかに御意見とかございませんか。
【栗原委員】  ぐっと幅が広がっている。
【西尾部会長】  課題は3つありましたが、それらに関する御意見はほとんどないですが、すべて大切であるということでよろしいですね。特に申請者の数がどんどん増えているとことにどう対応するかということは非常に大きな問題です。この問題は今までも議論していただいておりますけれども、10期においてJSPSとも連携して審議していかなければならないと考えております。
 そうしましたら、本日いただいた審議の観点を3つの課題に加えて、この部会でどう扱うのか。この部会で受け止めることが難しく、別の委員会で議論することも含めて、本日頂いた貴重な御意見を是非とも生かしていただきたく、どうかよろしくお願いいたします。
 そうしましたら、今お願いしましたことを含めまして、次回この報告書を取りまとめたいと思います。事務局には、大変な作業になるのではないかと思いますが、是非今期の取りまとめとして、次にうまくつながるような形で作成をお願いいたします。
 その他として、事務局から1点説明があるということですので、どうかよろしくお願いいたします。
【二瓶学術研究助成課課長補佐】  参考資料2をお開きください。科学研究費補助金、平成30年度新規採択分の配分状況について、御説明をいたします。
 今回は、前回7月の研究費部会で御報告させていただいた以降に、審査、内定等が行われました種目を含めて、現時点でデータが集計できている部分の御報告をさせていただきたいと思っております。
 参考資料2の1ページ目、特別推進研究から若手研究までの研究種目の応募件数、採択件数、採択率につきましては、前回7月に御説明をさせていただいております。
 今回の主な変更点といたしましては、それぞれの研究種目に配分額の列と1課題当たりの配分額の列を追加させていただいております。
 また、同ページの挑戦的研究の欄でございますけれども、応募件数、採択件数及び採択率につきまして、前回御報告させていただいた中には、特設審査領域の結果を含んだ件数等を御報告させていただいておりましたが、特設審査領域は必要に応じて時限的に設定されるものでございますので、もう今回、総評からは除外をさせていただいております。
 これによりまして、挑戦的研究につきましては、全体応募件数が約401件の減、採択件数については46件が減少しておりますが、採択率につきましては11.9%ということで、変更はございませんでした。
 続きまして、資料の2ページをごらんください。こちら、研究活動スタート支援から、国際共同研究強化(B)まで、前回報告後に審査、内定等が行われた研究種目群について追加をさせていただいております。
 特筆すべき点というか、ポイントとしましては、国際共同研究強化(B)につきまして、今回、応募件数が2,300件、採択率が約10%という形になっております。こちらにつきましては、従来、基盤の(A)(B)において実施しておりました海外学術調査というものを包含して、新たに設置した研究種目でございます。
 応募件数2,300件につきましては、従来の海外学術調査のおよそ倍ぐらいの応募件数になっているという状況でございますので、採択率についても総体的に下がったものというふうに思われます。
 説明は以上でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 磯谷局長、どうも御出席いただいてありがとうございました。
【磯谷研究振興局長】  恐縮です。申し訳ございません。
【西尾部会長】  今日は、科研費のことのみならず、科学技術・学術の振興全体にとって重要な御意見を委員の皆様方から多々頂きました。この部会で受け止めていただくこと、あるいは研究振興局全体で受け止めていただきたいこと等、事務局の方に今後の対応をお願いしたところです。タイミング的にもう待ったなしの状況だと思いますので、今後ともどうか様々な施策上への反映について検討いただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
【磯谷研究振興局長】  よろしくお願いします。すいません。遅くなりました。
【松本企画室長補佐】  先生、サイエンスマップの御説明があります。


(3)その他

【西尾部会長】  最後にサイエンスマップの説明をお願いいたします。
【坪井科学技術・学術政策研究所所長】  お手元の参考資料3になります。先般、当研究所から発表しましたサイエンスマップ2016における謝辞情報を用いた試行的分析で得られた、日本の主要な資金配分機関等の活動状況について御報告いたします。
 資料の2ページ目が結論ですが、そもそもサイエンスマップとは何かに関しては、8ページ以降の参考資料をごらんください。9ページですが、今回は2011年から2016年までの6年間の論文を対象にして分析を行っています。NISTEPでは2年置きに発表しているマップです。
 10ページでは、6年間のトップ1%の論文から895の研究領域、21の研究領域群にまとめられていく過程を示しています。
 サイエンスマップは、論文データベースから、国際的に注目を集めている研究領域を抽出することを基本的な目標とする分析ですが、キーワードからスタートするのではなくて、他の論文から頻繁に、同時に引用される論文間の研究内容は関連が深いはずであるという考え方の下に、論文の共引用度を数値化することで、研究領域を抽出、可視化しているものです。
 3ページに戻っていただきますと、Sci-GEOチャートというものがあります。これは、左側の図ですが、前回のサイエンスマップとの継続性の有無という時間軸と他の研究領域との関与の強弱という2つの軸でこの895の研究領域を4つのカテゴリーに分けています。
 左側の図の上の茶色の部分、コンチネント型とありますが、ここはいわゆる大きな研究領域で、たくさんの研究者が集まり、かつ長い時間、研究が継続している分野です。一方、左下の青い領域のスモールアイランド型というのは、今回の2016のマップで初めてキャッチされ、かつ、領域として小さい分野であり、いわば新しい研究がエマージしている領域と言えます。
 この世界の研究領域数895のうち、355領域がスモールアイランド型で最も多く、161がコンチネント型と区分できますが、コアペーパーの数ですと、コンチネント型が8,643と最も大きくなります。
 4ページは、主要国別の国際比較ですが、日本は、スモールアイランド型のパーセンテージが小さくて、コンチネント型のパーセンテージが大きいということで、他の主要国と異なる傾向があることが見て取れます。
 5ページは、改めてこの4つの型の特徴をまとめています。
 2ページが日本において、論文の謝辞情報を使って、資金配分機関を抽出して分析した結果です。このような分析は、2年前のサイエンスマップ2014から行っているものですけれども、日本学術振興会、実際は科研費ですが、こちらが最もスモールアイランド型が多く、コンチネント型が他に比べて低い状況で、以下、文科省、JST、厚労省、内閣府、AMED、NEDOの順にコンチネント型が大きくなっていくような傾向が実際に見て取れるということが分析できました。
 ただ、研究者が、研究の実施に必要な公的資金を活用したとしても、全ての論文に謝辞が書かれているとは限らないので、試行的な分析と書いています。また、謝辞は、まだ表記の仕方とか表記の義務化も必ずしも徹底した取組がなされていないので、まだこの精度はやや低いかもしれないと思っています。
 そこで、実は6ページを見ていただきますと、このような分析の精度を上げるためには、謝辞情報を表す統一した課題番号やコードといったものが整備されると望ましいと考えています。
 科研費に関しては、もう既に8桁の番号で規定されていると伺っておりますし、JSTの戦略的創造ですとかAMEDでもう既にこのような制度は導入済みですが、更に幅広く導入されることを期待したいと思っています。
 簡単ですが、以上です。
【西尾部会長】  本当に興味深い御報告、どうもありがとうございました。
 それでは、御質問等ありましたら何なりとおっしゃっていただければと思います。
 私の方は所用がありまして、甲斐先生にバトンタッチさせていただければと思います。どうもありがとうございました。
【甲斐部会長代理】  何かございますでしょうか。
【射場委員】  12ページのクラスター解析の結果はすごく興味深い図なんですけど、ここの図に先ほどの科研費がここでとか、JSTがここでみたいなのが載らないんですか。
【伊神科学技術・学術基盤調査研究室室長】  報告書を見ていただくと、既にそういう分析はしていまして、ウェブ上で可視化できるシステムにしています。そうすると、研究資金の中でも、JSPSは科学全体をカバーする形ですが、当然、厚労科研だとライフ系をカバーする形で、構造の形がよく見えている結果を得ています。
【射場委員】  その分野別もあるんだけど、その大きい固まりのところにはNEDOが集中していて、小さい星のところにはいっぱい科研費の予算が分散されているみたいなことも見れるかなと思うんですけど。
【伊神科学技術・学術基盤調査研究室室長】  そうですね。そこを集計したのが先ほどお示ししたものですが、NEDOなんかはやはり堅い部分に集まっていて、科研費は比較的ばらばらと分散している構造も見えます。
【坪井科学技術・学術政策研究所所長】  なお、このマップにつきましては、各大学とか、各国立研究開発法人ごととかも出しています。
【射場委員】  いろいろ使えますよね。一度この図を書けばいろんな使い方ができると思います。
【甲斐部会長代理】  この世界の領域の変遷なんですか。主要国の参画状況の領域数を見てみると、日本だけがコアペーパーと同じような形になってしまって、スモールアイランドが少ないというのはやはり問題だなと思うんですけど、これこそが本当の科学のシーズというか、芽であって、こういうのが育っていって、ノーベル賞につながるような大きな発見になるのに、コンチネンタル型になってしまうと。コアペーパーは当然、最終的にはそこに大型の経費が投じられるので、コアペーパーが多くなって、コンチネント型が多くなるというのは当然なんですけど、その領域参画で、日本がもう既にこうなってしまっているというのはすごく問題だと思って、これはやはり資金の配分のやり方に問題があるんじゃないかと。日本はそういう目に見えてきちゃっているような大型の、何型でしたっけ。コンチネント型の大陸のところに来た領域に資金がすごく投じられているんじゃないかということを疑わせてしまうと思うんですね。
 だから、これを基に次期をもう一回ちゃんと議論していただくとかね。このまま行くと、今のはやりは追い付くかもしれないけど、常に誰かの後を追っていくということで、決して一流にはなれない。1.5流ぐらいか、二流ぐらいを追い続けるような国になってしまうということですよね。これはすごく何か警鐘を鳴らしているなというふうに私は感じました。
 非常に貴重なデータなので、作っていただいて、これを今後の議論の糧にしていただけるとすごくいいなと思いました。ありがとうございます。
 何かございますか。どうぞ。
【栗原委員】  今のような点は、もちろん精度もあるのですが、こういうデータは、学会等を通じて研究者にも周知いただいたら良いと思います。外国の学会に参加して、日本の国内学会に出ると、テーマ数が外国の方がバリエーションが多いのではないかという印象をよく持つと、前から仲間うちでは話をしておりました。
 それで、やはり意識して、研究者が新しい課題に取り組むということは必要なんだという、研究者の方の視点の見直しも同時に必要だとも思うので、我々研究者もやはりその都度、意識して研究テーマに取り組むことが大事だと思いますので、是非こういうものは何らかの形で研究者コミュニティにも共有していただければと思います。
【甲斐部会長代理】  ほかにございますでしょうか。非常に貴重な資料だと思うので、是非いろいろな方面で活用していただけたらと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、最後に事務局より連絡事項をお願いいたします。
【梶山学術研究助成課長】  先ほど1点、小安先生が特別研究員のPDを増やしているのかどうかという話でございます。すいません。私、特徴的なところをちょっと申し上げて、間違えてしまいまして、PDは今年100名程度増やした要求をされておりますので、お伝えしておきます。
【小安委員】  ありがとうございます。
【甲斐部会長代理】  ありがとうございました。
 では、事務局より連絡事項をお願いいたします。
【松本企画室長補佐】  次回、研究費部会につきましては、今のところ、年明け1月を予定してございますけれども、日程調整の上、また改めて御連絡をさせていただきたいと思います。また、本日の資料につきましては後ほどメールでお送りしますので、タブレットの端末は切らずにそのままでお願いをしたいと思います。
 それから、この後、作業部会がありまして、御出席いただく先生方におかれましては、大変申し訳ないんですけれども、終了後、17階へ移動していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【甲斐部会長代理】  ありがとうございました。それでは、本日の会議はこれで終了いたします。皆様、御出席いただき、どうもありがとうございました。

―― 了 ――


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