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第9期研究費部会(第3回) 議事録

1.日時

平成29年8月4日(金曜日)10時~12時

2.場所

経済産業省 別館3階 312号会議室

3.議題

  1. 科研費改革に関する作業部会における検討状況について
  2. 概算要求等について
  3. 科研費改革の取組状況について
  4. その他

4.出席者

委員

西尾部会長,甲斐部会長代理,栗原委員,白波瀬委員,小川委員,小安委員,鍋倉委員,山本委員,射場委員,橋本委員

文部科学省

関研究振興局長,小桐間学術研究助成課長,石田学術研究助成課企画室長,他関係官

オブザーバー

尾辻 日本学術振興会学術システム研究センター主任研究員

5.議事録

(1)科研費改革に関する作業部会における検討状況について

【西尾部会長】 皆さん,おはようございます。時間となりましたので,ただいまから第9期第3回の研究費部会を開催いたします。
まず,事務局に人事異動があったようですので,御紹介願います。
【石田企画室長】  御紹介させていただきます。
7月11日付けで学術研究助成課長に人事異動がございました。鈴木前学術研究助成課長に代わりまして,小桐間が就任しております。
【小桐間学術研究助成課長】 このたび学術研究助成課長に就任いたしました小桐間と申します。よろしくお願いいたします。
研究費部会の委員の皆様におかれましては,日頃より科研費の充実強化のために御尽力いただきまして,ありがとうございます。
本日は,まず,科研費改革に関する作業部会での検討状況についての報告を受けまして,来年度の概算要求に関する御審議をお願いしたいというふうに思っております。また,その後,現下の科研費改革の取組状況について報告をさせていただきます。
本日は,日本学術振興会より尾辻先生にお越しいただいておりますので,後ほど御報告をお願いしたいと思っております。
本日頂いた御意見を踏まえまして,文部科学省といたしましては来年度の概算要求にしっかり取り組んでまいりたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。何とぞよろしくお願いいたします。
それでは,早速,議事に入らせていただきます。
科研費改革に関する作業部会における検討状況についてということで,平成30年度概算要求に関する議題に先立ちまして,本部会と科学研究費補助金審査部会との合同作業部会として設置されています科研費改革に関する作業部会における検討状況について,事務局より説明をお願いいたします。後で小安作業部会主査からも補足いただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。
【石田企画室長】  それでは,説明させていただきます資料1-1と1-2というものをお手元に御用意いただけますでしょうか。
まず,資料1-1,先ほど部会長から御紹介いただきました内容でございます。タイトルにありますとおり,科研費改革に関する作業部会における検討状況についてとなっております。経緯を申し上げますと,1個目の丸,去る4月24日の今期研究費部会において,この作業部会の設置について御了承いただいたところでございます。当面の審議事項といたしましては,前期の研究費部会の提言に基づく改革の推進方策についてであるとか,基礎科学力タスクフォース,これは文部科学省に置かれた会議のまとめ,さらにはJSPS(独立行政法人日本学術振興会)の窓口で受け付けた意見・要望なども踏まえて,“以下の事項”というのは後ほど紹介しますけれども,これを中心に審議いただいたものでございます。この背景を若干おさらいしておきたいと思いまして,資料1-2を用意しております。
資料1-2,お開きいただきますと,2ページ目にございますのが科研費改革の沿革,これは過去にも御覧いただいたことがございますけれども,この沿革としてのスタートのところは平成25年10月頃から始まっているところでございます。平成27年1月,学術分科会において,「学術研究の総合的な推進方策について(最終報告)」というものもお示しいただきまして,この中で学術の現代的要請,挑戦性うんぬんを提唱いただいたというものでございます。その後,飛ばしますけれども,昨年12月には本研究費部会において,挑戦的な研究に対する支援強化に関する御提言を頂いたこと,さらには年明けの1月,学術分科会として科研費の審査システム改革に関する提言を頂いたものでございます。さらには,同じ時期に科研費改革の実施方針の改定を行ったところでございます。
3ページ目,4ページ目は科研費改革の実施方針でございます。改革の基本的考え方,工程・進め方について記載がございますが,この内容については説明を省略いたします。
5ページ目にございますのは,基礎科学力の強化に向けて,基礎科学力の強化に関するタスクフォースというものについても,これまで何度か御紹介申し上げたところでございます。経緯,現状に対する問題意識,さらには大きく分けますと3つの項目に関する危機感,これらを改善するためにどのような取組が必要かということでまとめられているところでございます。
1枚おめくりいただきますと,基礎科学力タスクフォースの報告書の抜粋,科研費関連施策というものでございます。短期的には下から2番目の見出し,平成30年度以降速やかに取り組むべき事項というものが昨今の御審議に関わりが深いところでございます。
さらに,7ページ目をごらんいただきますと,科研費に関する御意見・御要望受付窓口の設置,昨年11月にJSPSにこのような意見フォームを設けまして,今年の春までに200件以上の御意見,御要望を頂きました。その内容について,短期的に対応できないものもございますが,対応できるものについては順次対応しているというのが現状でございます。
こういったものを背景といたしまして,資料1-1にお戻りいただき,これらを総合的に勘案いただきながら,作業部会では4月以降,5回にわたって検討を実施いただいたところでございます。主な議事としてはこちらに掲げたとおりでございます。
裏面を御覧いただけますでしょうか。検討状況について,主に研究費部会,これは審査部会と研究費部会,双方に関わる審議内容を総合的に行う作業部会でございますので両方に関わってきますが,主に研究費部会の調査審議事項に関するものを抜粋,要約いたしております。大きく分けますと4点でございます。「科研費若手支援プラン」推進の在り方,大型研究種目の在り方,応募機会の多様化・柔軟化の在り方,国際化の推進の在り方というものでございます。
この一番上の「科研費若手支援プラン」推進の在り方と国際化の推進の在り方については集中的に御議論いただきまして,概算要求に当たって充実に努めるべき事項として検討いただいた結果がございます。これについては,次の議題,資料2関係で別途,説明させていただきます。
そのほか大型研究種目の在り方として,「新学術領域研究」の見直しに関する御検討も頂いたところでございます。これについては,先の7月3日の研究費部会でお示ししたところでございますが,見直しの観点案を踏まえて議論を開始いただいたところです。さらには,見直しに当たっての前提,余り条件設定をせずに議論を進めていただいても,最終的に意見の集約が難しいということもございますので,ここにあるような見直しに当たっての前提というのを部会で確認いただき,それらを踏まえた議論を継続していくということを確認いただいたところでございます。秋以降に向けて,この辺,更に議論が活発化する予定でございます。さらに,特別推進研究,これは前期研究費部会提言で見直しについて御提言いただいたところでございますが,これについては平成30年度公募から受給回数制限を新たに課すなどの制度改革が行われるところでございます。ついては,この種目の制度見直し後の応募採択動向を踏まえた議論とすることを御確認いただいているところでございます。
最後になりましたが,応募機会の多様化・柔軟化の在り方というものでございます。この事項については,基礎科学力タスクフォースでも問題意識として捉えられているところでございまして,具体的には挑戦を促すための取組であるとか重複制限の在り方をどうすべきかという観点でございます。主な論点としては,研究の継続性に配慮した措置はどうあるべきか,重複制限をどのように見直していくことが適当かということでございまして,主な検討状況,1個目のポツは,「研究の継続性」については科研費が競争的なものである以上は絶たれてしまうリスクは避けられないでしょうということ,そのため,科研費制度の枠内で不採択者に対する別途支援措置を検討することは,やはり慎重であるべきということ,更に3個目のポツ,挑戦を促す取組としては,前期の提言にもあった「重複制限の在り方」を軸に検討するべきである。ただし,審査システム改革,御案内のとおり,大きな審査システム改革をこの秋に控えております。応募動向が変化する状況も確認した上で結論は出していくのではないかというところで,こういった議論がなされているところでございます。報告は以上でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
作業部会の主査をお務めでいらっしゃいまして,本当に大変な議論を進めていただきました小安委員から補足いただけると有り難いのですが。
【小安委員】  では,1点だけ補足させていただきます。
主にこの春から夏にかけては概算要求に関連することを中心に議論させていただきました。少々補足したいのは,応募機会の多様化・柔軟化の在り方ということで,先ほどの説明にありましたように,挑戦性の問題などタスクフォースからの宿題が出ているということもありましたので,検討いたしました。前回の研究費部会で様々な大学や国研の研究担当理事向けアンケートというのを御紹介させていただきましたが,その中でも不採択リスクに対する問題で,特に不採択リスク軽減のために皆が小規模研究にシフトしているのではないかというコメントがあったのを覚えていらっしゃるかと思います。そうしたこともありましたので,例えば所定の要件を満たす優れた課題に関しては継続性に配慮して激変緩和措置をとる等,いろいろと議論はしたのですが,結果として,今,ここにあるようなことになりました。自分も同じ研究者ですから,突然,研究費がなくなることの怖さというのは理解できます。しかし,やはり科研費の制度の趣旨から言えば,採択されないときに研究費が途切れるのは,これはもう仕方のないことだろうというのが1点あると思います。研究の継続性の維持というのは,科研費制度のみに依存するというのがそもそもおかしいのではないかと思います。研究体制等,別のところから安定的な助成の仕組みが考えられるべきではないかという意見が出てまいりました。それから,1つは重複制限を緩和することで,ある程度解決できるのですが,大型種目に関しては,既にある程度,重複制限が緩和されているということもあり,更に別の種目に広げるときには,先ほども話がありましたように,審査システムの問題が必ず出てきますので,今後も継続的に議論するべきではないかということになり,今回は何らかの措置を御提案するというよりも,継続して審議をさせていただきたいというまとめにさせていただきました。
以上,補足をさせていただきます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございます。
ただいまの御説明のとおり,作業部会においては科研費改革に関する議論が積み重ねられてきております。研究費部会長として,小安主査,そして作業部会の委員各位の御尽力に心からの感謝を申し上げます。
それでは,ここまでの御説明につきまして,御質問等のある方はいらっしゃいませんでしょうか。ただいま小安主査から研究の継続性というようなことについての御説明もございましたけれども,何か御意見ございませんでしょうか。皆様方,納得ということでよろしいですか。どうぞ。
【射場委員】  研究の継続性でやるかやめるかという話は今,御説明のとおりだと思うのですが,もっとステップアップしてより大きくしていきましょうというような話は,前回も議論があって,科研費の種目の中で継続してより大きいファンドのところに行っているという事実もあり,それはそれでよかったなと思います。科研費にこだわることなく,JSTのプログラムやNEDOのプロジェクトにステップアップしていくというところも全体で見ながら,では,その中で科研費のポジションはここでというふうに見ると,科研費は一番広く薄く,全体の枠で見たら広く薄く充てる予算だと思うので,やはりその部分の配慮は要るのかなと。それより下には,そもそも大学がベースで与える予算しかないように思うので,科学技術予算全体の位置付けの中で科研費がどこにいるかという理解が要るのかなと思います。
【小安委員】  御指摘は全くそのとおりでありまして,この部会でも,やはり基盤的経費とのデュアルサポートの重要性ということをずっと議論してまいりましたので,そこがやはり根本にあるのかなと思っております。それから,ステップアップに関しましても,JSTであったりNEDOであったり,例えば理工系,生物系はそういう競争的資金がありますが,全体を見渡したときに,全ての分野にあるのかというと,必ずしもそうではないだろうというようなこともあります。学術全体としてどういうバランスで行くかというのは,やはり全体として議論しなければいけないのではないかと思っております。
【西尾部会長】  甲斐委員,どうぞ。
【甲斐委員】  1点だけ。全体の中での科研費の位置付けを見ることは大事だと思いますが,それを議論する場がありません。それは本当に大きな問題だと私は思っていて,この研究費部会の冒頭でもそういうこと(全体の議論)をさせてくださいと発言し,やってもいいですよという許可を局長から頂いてはいるのですが,大きく議題として取り上げられることはやはりないですね。他の研究費の問題もこの部会に資料として上がってきて,それを俯瞰(ふかん)して,我々の意見を述べるという機会はないのです。ですから,我が国の研究資金全体の中での科研費の位置付けを考えさせていただく場がない。JSTで決められた種目の中に科研費から上がれる種目があるかというと,必ずしもありません。JSTはJSTで政策的または戦略的に,今回はこの領域と決めていますから,自分の興味で発展してきた課題でステップアップとして移れる場がないということは非常によくあります。ですので,一番いいのはどこかで俯瞰(ふかん)した議論をする場を設けていただきたいというのが一つですね。
それから,科研費は広く薄く,とにかく小さいことをやって,大きくなったら他の資金制度へという考え方もちょっと違うのかなと思います。本当に小さなことで自分の興味で始めてきたことが大きく育つ。その結果たくさんの人数が必要だったり,大きな機械が必要だったりという展開になることもあります。しかし,それが政策とは何ら関係ないことはよくあるので,科研費の種目の中の大きい種目ももう少し何とか充実させていくことも必要だと思います。この2つの観点で考え直さないといけないかなと思います。
【西尾部会長】  どうぞ。
【白波瀬委員】  少し文系的なところで意見をさせていただきたいと思います。
基本的な方向性には私は同意いたします。ただ,先ほどから出ているようにステップアップとか,あと継続性という位置付けそのものが,やはり理系と文系とで違います。少なくとも文系については,そのような選択肢は,常に設定されているわけではないと思います。ただ,やはり競争的資金であるという枠組みがある限りにおいては,ここで継続性をどの程度,考慮に入れるべきかというのは,検討すべきと考えます。そういう意味で,やはり競争的資金を獲得するために時間枠も含めた想定のもとに申請書を書くわけです。この時点で,不採択者の救済を配慮すべきかについては考えどころだと思います。採択・不採択問題も,最適のものが選ばれる過程がしっかり保証されれば全体でうまく理論的に回れば,結果として全てチャンスの中で左証されてよい方に向かっていけるのではないかと思うのです。その一方,ただ,いろいろ仕組みを考える際に分野の違いにも御配慮していただけると大変有り難いと思います。
以上です。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
甲斐先生からは,科学研究費補助金,それから戦略経費と呼ばれるもの等についてトータルで議論する場がない,ということについては以前にも御指摘いただいたことです。この部会は,研究費の部会ですが,科研費ことだけでも議論しなければならないことが多くありまして,甲斐先生がおっしゃったようなところまで広く議論をするには,時間的な問題も含めて難しいところだと思います。ただし,甲斐先生がおっしゃったようにトータルで考えていかないと,日本の学術,科学技術全体の振興にとっては非常に大きな課題であるということは確かなことです。そうした観点から,関局長の方でも,この課題をどこできっちり議論していくのがよいのかについて,御考慮いただけると有り難いと思っております。また,白波瀬先生がおっしゃったように,分野ごとの相違もございますので,それも踏まえて研究を支える資源に関してのトータルなデザインをきっちり行っていかないと間に合わないのではないか,という気もしておりますので,どうかよろしくお願いいたします。
 どうぞ。
【小安委員】  先ほど,白波瀬先生のおっしゃったこと,全くそのとおりだと私たちも思っていて,やはり競争的資金である以上は,採択,不採択があるというのはしようがないことだと考えています。その上で研究費の継続性を考えるよりも,本来は,例えば「基盤研究」を複数とれるようなシステムにするのが正しい。それでも競争ですから,駄目なものは駄目,良いものは良いという答えが出るわけです。そういう形が本来の形ではないかと議論しました。ただ,それを言い出すと,審査の問題等いろんな問題が出てきますので,取りあえず,現在はこの程度に抑えておいて,更にこれから議論していきたいと思っております。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
栗原先生,どうぞ。
【栗原委員】  総合的にいろんな経費の位置付けを考えるというのは確かに大事だと思いますが,ただ,研究の多様性や,広く薄くという観点でいくと,やはり科研費からのステップアップとして,NEDOやJSTの戦略的なところを,全部の出口とするのは余り現実的ではないような気がします。そうなりますと,特に若い人たちにとっては重複申請の可能性は低いわけです。採択率や,申請時期というようなところをどのようにすれば,現実的にきちんとやっている人たちの研究費が継続できるのか。また,本当は大学にもう少し期待したいところかなと思いますが,やはり全体の研究者に対してのカバーということになると,前から議論になっていますけれども,丁寧にそれぞれの組織がどうやっていただけるのかというところはすごく大きいと思います。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。科研費が学術研究を支える命綱になりつつあるということからしますと,先ほどの作業部会における検討状況に関する報告にもありましたとおり,重複申請に関することは,今後,様々な観点から更に精査して考えていくことが重要です。一方で,科研費の枠組みの中でどこまで解決できるのかということは,鋭意,この委員会で議論していく必要があるのではないかと思っております。
【栗原委員】  大学においては間接経費をきちんとやってほしいなと思います。
【西尾部会長】  どうもありがとうございます。ほかに御意見等,ございますか。
研究の継続性ということに関しまして,最初に問題提起いただきましたことに関して,今後,継続的な議論,あるいは多角的な議論がどうしても必要だということを皆様からの御意見としていただけたと思っております。本部会においても作業部会における議論を踏まえまして,引き続き改革を推進するための議論を今後も進めてまいりたいと思っております。

(2)概算要求等について

【西尾部会長】 それでは,2つ目の議題に移ります。本日の最も重要な議題といえるかもしれません。前回の本部会で事務局より提示されました平成30年度概算要求の考え方の案について,7月24日の作業部会で御議論いただいております。その結果について,関連資料を用いて事務局より説明をお願いいたします。
【石田企画室長】  それでは,資料2-1から2-8まで一連のものでございます。これをお手元に御用意いただければと思います。
まず,資料2-1から入ります。科研費改革の当面の取組について,概算要求も含めて科研費改革進行中ということでもございまして,このようなタイトルにさせていただいておりますけれども,具体的には平成30年度概算要求に向けた考え方等をまとめたものでございます。前回,この資料2-1とほぼ同じものを7月3日にお示しして御議論いただいたところでございます。結論から先に申しますと,ここに示した内容について,特段,この方向性はおかしいのではないかといった趣旨の御意見,さらにはこう変えた方がいいのではないかという強い御意見というのは余りございませんでした。各論のところには幾つか御議論いただいたところでございますけれども,そのあたりを踏まえていただいた上で,7月24日に作業部会で改めて御議論いただいたところでございます。今回,ある程度,方向性をお決めいただきたいと考えておりますので,より丁寧に再度,説明させていただこうと思います。
資料2-1の冒頭の説明ですが,「科研費改革の実施方針」,これは先ほどの資料1-2に出てまいりました。「基礎科学力タスクフォース」議論のまとめ,これも資料1-2に出てまいりました。さらには,これらに基づき,「科研費審査システム改革2018」をはじめとする各般の制度の見直し等と併せ,以下の考え方により,必要な予算の確保・充実に努めるという方向性をこの研究費部会でお示しいただいてはどうかと考えております。 若干の補足ですが,資料2-3に移っていただけますでしょうか。これは参考資料集でございますが,今,私からお話しいたしました内容に一部関わってまいります。「審査システム改革2018」の概要が2ページ目にございます。先行導入しているものもございますけれども,具体的にはこの秋の公募からこのスタイルに大きく変わります。
もう一つ,3ページ目にございますのは本部会で御提言いただいた挑戦的な研究に対する支援強化についてというものでございます。大きく分けますと,研究種目の見直し,体系の見直しに関すること,その他,「挑戦的萌芽研究」の見直し,「若手研究」の見直し等,「特別推進研究」の見直し,これらについて御提言を頂きました。
4ページ目をごらんいただきますと,その中で若手支援プランというものがございます。若手層の支援のみならず,「基盤研究」をはじめとする各科研費のメニューを総合的に活用するということで,若手のロールモデルとなる中堅層への支援を含め,改革を強化していくという方向性を,お示しいただいたところになっておりまして,今回の概算要求に当たっては大きな柱の一つとして位置付けたいと考えてきたところでございます。
5ページ目を御覧いただきますと,これは単純に新しい資料ではございませんで,今年度の科研費の予算額に関する説明資料でございます。2,234億円という予算を措置いただいたところでございます。具体的な新たな取組は左側にあるとおりでございます。
最後の6ページ目にございますのは,タイムリーな話題です。平成30年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針についてということで,これは概算要求基準の閣議了解資料に掲載されているものでございますけれども,今,文科省の中でもこういう方針を踏まえ概算要求の内容を煮詰めているところでございます。参考までに補足しますと,科研費は黄色い網がかかっている裁量的経費に該当するものでございまして,要望基礎額というものの設定は,これは一律のルールではマイナス10%からスタートするということでございます。科研費も例外ではないということでございまして,この枠に入っているから安全ということは決してないのですが,比較的安全かなというところに収められるのが先ほどの科研費10%減あたり,これが標準的な考え方です。ということをお含み置きいただければと思います。
もう一度,資料2-1に戻ります。概算要求に向けてでございますけれども,まず,1個目の大きな柱として,「科研費若手支援プラン」の実行というものを掲げました。具体的には,制度の基幹である「基盤研究」種目群を中心とした助成水準の向上,更に「基盤研究(B)」については位置付けを明確化するということ,「若手研究(A)」への「基盤研究」種目群への統合に当たっての配慮事項,その他,「若手研究」の充足率が厳しいというようなこと,もう一つ,最後の丸,「独立基盤形成支援」というものに「若手研究」のみならず,「基盤研究(C)」も加えるという方向性,これらをまとめて若手支援プランの実行という位置付けで要求内容をまとめてはどうかと考えております。
もう一つが国際共同研究の推進というものでございます。具体的には,国際共同研究内容の新たなメニューというものを設ける。これは後ほどの資料でまた別途,説明いたします。もう一つの柱が「帰国発展研究」の外国籍研究者への拡大という内容でございます。一部,見え消しがありまして,1番のところ,中核的研究種目の充実による「科研費若手支援プラン」の実行となっております。この経緯を若干補足しますと,実は先日,作業部会で御議論いただいた後に,関連のある科研費審査部会に現状の方向性について御説明申し上げたところ,若手支援プランの中身を見ると,分からなくもないですが,実態は基盤研究,必ずしも若手層のみならずの支援全体を指してのことなのだから,そもそも若手支援プランというネーミングがどうなのかというような御指摘も頂きました。様々な御意見,御議論が推移していきましたけれども,ある先生から,実態をより的確に表すならば,中核的研究種目の充実によるプランの実行という方向ではないですかという御示唆を頂きましたので,これについては作業部会の主査であられる小安先生と改めて相談した上で必要な内容というのを見直していくということで引き取らせていただいたところでございます。
話が長くなりましたけれども,資料2-2は前回の研究費部会における議論をまとめさせていただいたものでございます。主な御意見ということで一部紹介いたしますが,1個目の丸,「基盤研究(B)」が大事というロジックは重要ということで御確認いただいたという認識にございます。4個目の丸,科研費の規模がある種のステータスのようになるのは望ましくないという立ち位置の御意見。加えて,必要に応じて,必要な額の研究種目に応募するのが原則であって,科研費の規模の拡大と人数の増加は必ずしも連動するものではないという趣旨の御意見。さらには,1個飛ばしまして6個目の丸,「基盤研究(C)」の規模では人を雇用することはできない。研究の展開や若手研究者の育成といった観点から,「基盤研究(B)」の重要性を主張してはどうかという御意見。
その他,幾つかの御意見を頂いたということを踏まえまして,資料2-4に行きますけれども,改めて7月24日に作業部会で御議論いただいたところでございます。この資料の詳細については省略させていただきますけれども,改めてなぞっておきたいのは,まずは基本的な考え方,「若手研究」,「基盤研究(C)」に加え,「基盤研究(B)」を採択率向上の重点種目として位置付けていただくということ。他方,現実の応募動向を見ると,「基盤研究(C)」というものが著しく増えているというのが確認できるわけでございます。これに対する問題意識というのは,先ほどもちょっと出てまいりましたけれども,全国の研究担当理事の方々に対するアンケートでも問題意識が浮かび上がってくるということでございます。こうした動向は,この資料に戻りますが,科研費による成果創出の最大化ひいては学術の発展にとって必ずしも好ましくないのではないかということ。こうした点を踏まえ,改めて科研費の種目体系及び各「基盤研究」種目の役割・機能分担を整理するとともに,とりわけ「基盤研究(B)」について,「若手研究(A)」の移行・統合に関連が深いことを踏まえて,その位置付け・意義の明確化が必要であるという方向でおまとめいただいたものでございます。下のシミュレーションは今回は省略いたします。
2ページ目をごらんいただけますでしょうか。前回も御説明いたしましたけれども,「基盤研究(B)」の今日的位置付け・意義を以下のとおり整理したということで,議論の出発点としては「基盤研究(B)」の性格であるとか重要性というものをよりクローズアップしていただきたいということでスタートしたのですが,それをやるには,やはり「基盤研究(A・B・C)」を併せて論じないと,これは浮かび上がらないというのが出発点でございまして,以後の資料は「基盤研究(A・B・C)」のありようについてということで整理をさせていただいたところでございます。今回,若干,見え消し修正いただいて,方向性をお示しいただいているのが「基盤研究(A・B・C)」の一般的な考え方というものでございまして,前回,先ほど御紹介した御意見も踏まえて,研究者自身がその時点で実施したい研究に照らして研究規模・内容等を検討し,必要な額に対応する研究種目を自発的に選択することが「本質」であるということを強調いただく方向でどうかということで御議論いただいたわけでございます。しかしながらとして書いてあるのは前回も申し上げたとおりでございまして,本来,「基盤研究(A・B・C)」というのは金額の境目でしかなく,それぞれの研究者の方がどのような研究ニーズに対して活用していくかというのは,それぞれでよいのだというのが基本でありつつも,一定の考え方というのはある程度,共有されている面があろうかと思いますということで3ページ目に移るわけでございます。
「基盤研究(B)」の今日的位置付け・意義(案)ということでございますが,前回から変えた点というのは赤の見え消しで書いてあるとおり,「基盤研究(B)」の説明をより厚みを持たせたということでございまして,追加した内容は多様な分野の様々な研究ステージにおいて云々(うんぬん)ということ。研究支援者の雇用も含む体制強化等,という内容,さらには研究設備の強化等,研究基盤を強化して行う研究活動を支援というような性格を有しているのではないか。ある程度,こういった内容というのは共有されている方が多いのではないかというふうに整理をしていただいたところでございます。
4ページ目,5ページ目,6ページ目は,本日は説明を省略させていただきます。
 次に,資料2-5でございます。こちらは前回の研究費部会においてはまだまだ議論が煮詰まってなかったこともございまして,先生方の机上配付資料として,お手元で確認いただきながら活用した資料でございましたけれども,本日は資料番号を付させていただきました。前回御覧いただいた内容から変わっておりますのは1点でございます。左側から右に括弧くくりになっていますけれども,実は前回の資料は左の箱から右の箱に矢印で線が引かれておりまして,「国際共同研究強化」から「際共同研究強化(A)」(仮称)というところに矢印,「帰国発展研究」から「来日発展研究」(仮称)に矢印,さらには補助金で実施している「海外学術調査」というところから「国際共同研究強化(B)」(仮称)というもの,これがそれぞれ矢印で引かれていたのですが,これも実は審査部会で御説明申し上げたときに,今,進めている内容というのは,とりわけ「海外学術調査」から「国際共同研究強化(B)」のところは,研究の手法,対象そのものをより一般化して国際共同研究というものを強化していくという流れで議論しているのであるならば,ここで左から右に矢印で引かれると,誤ったイメージを与えてしまうのではないかという御示唆も頂いたところから,これも小安主査と御相談申し上げて,括弧くくりの形で表現してはどうかというふうになったところでございます。
あとは補足説明でございます。資料2-6というのは,「海外学術調査」の発展的見直しの意義・必要性(案)というものでございまして,具体的には1ページ目の下のところ,見直しの方向性,学術の動向,今日的課題を踏まえた対応の必要性ということ。学術の動向に照らせば,今日,国際的な共同研究,ネットワーク形成は全分野を通じた普遍的な重要性を持つということ。さらには,次の見出し,現行制度の特異性としておりまして,「基盤研究」の枠内で実施してまいりました海外学術調査支援の仕組みというのは研究対象・方法を「フィールド調査,観測又は資料収集」に限定しておりまして,全体で眺めますと,全分野の振興を趣旨とする科研費においてはやや特異な制度となっているということ。前述の学術の動向・課題を踏まえるならば,研究対象・方法の一般化を図っていくということが重要だということで御議論いただいたわけでございます。
もう一つ,資料2-7でございます。「帰国発展研究」の発展的見直しの意義・必要性(案)というものでございます。見直しの方向性をおさらいしておきますと,結論から申しますと,国内の研究機関に所属する研究者については,科研費は国籍不問としている原則がございます。しかしながら,従来の帰国発展研究という枠組みは日本国籍を有しておられる方だけが対象であったところ,これを国籍問わず対象にできるようにするべきだという方向性をお示しいただいていたというものでございます。これら資料2-6,2-7については,前回の研究費部会でもそれほどの御意見はなく終わったところでございます。
 最後に資料2-8でございます。これは参考でございます。前回の御議論を踏まえまして,海外調査専門委員会という組織,これは東京外国語大学のアジア・アフリカ言語文化研究所を中心として事務局を運営していただいておりますが,かつてから科研費による海外の調査,これは科研費の受給の有無を問わずですが,海外に出かけて様々な研究活動を展開しておられる方々の情報共有や注意喚起などを近年は精力的,自主的に行っていただいていた組織です。こちらに今回の改革の方向性について御説明申し上げたところ,要望を出したいというお話がございました。ということで,先日,3ページ目に御名前がございます東京外国語大学の飯塚先生が要望書というものを御持参くださいました。これは様々な観点で要望が述べられておりますけれども,基本的にこの改革の方向性というのは非常に賛同できるということを補足いただいたところでございます。ただ,いろんな意見というのがありますので,実際に対応できるところ,できないところありましょうけれども,そこについては要望としてお渡しさせていただきたいということで,基本的には改革の方向性については賛同するということで力強いお言葉をお寄せいただいたということでございました。ということもございまして,私どもからの説明の補足とさせていただきます。
 以上でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,作業部会での議論を踏まえ,作業部会として資料2のように修正をなされているということでございます。その部分について,作業部会主査をお務めの小安先生から補足説明をお願いいたします。
【小安委員】  少し補足をさせていただきたいと思います。時間的な経緯を含めて説明させていただきます。
 今,大方は事務局から話をしていただいたわけですけれども,まず,7月3日のこの部会で概算要求の考え方に対して様々な御意見を頂き,24日に作業部会で審議しました。最終的には,その中身に関しては,主査である私に一任していただいたところです。その次の日の25日に補助金審査部会が開かれまして,そこで先ほどちょっと問題になりました「科研費若手支援プラン」という名称について御意見が出たと伺っています。実はその日,私は出席できなかったものですから,いたらどんな議論になっていたか分からないですが。審査部会で意見があったのは,若手支援に閉じたようなイメージだということだったのですが,確かにそう言われてみると,なるほどと思わないわけでもないというふうに感じました。そこで事務局と相談いたしましたが,いろいろと調べてみますと,この若手支援プランというのは既にこの報告書でも使っておりますし,それから文科省のタスクフォースでも使われ,実はいろんなところで随所に引用,活用されていて,それでまた概算要求等でやはり若手という言葉はなかなか削りにくいということがございました。簡単に言うと,名称を変更するといろいろ混乱が起こるのではないかということを懸念した次第です。どうしようかということで,いろいろと議論いたしましたが,今回,「中核的研究種目の充実による『科研費若手支援プラン』の実行」という形にさせていただきたいということをお願いさせていただいたわけです。背景としては,やはり科研費の骨格は「基盤研究」だというところ,その中で「基盤研究(B)」の位置付けをいろいろと考えて,それを重視する。そしてそこを充実していただく中で,全体として若手を支援していくのだという指摘を頂いたことを踏まえたものでありまして,資料2-3の4ページのところにも若手支援プランとありますが,これも必ずしも若手に閉じているわけではないといえばその通りなのですが,そこを入り口として,きちんとした「基盤研究」のシステムを充実していこうという捉え方をさせていただきましたので,今回,この修正で御了承いただきたいとお願いします。今後,このプランを見直すタイミングがあれば,考えていきたのですが,現時点でやるのは余り得策ではないのではないかということで,この変更でお願いしたいということが1点です。
 それから,もう一つは,2番目の国際共同研究の推進のイメージ図というもので,今,石田室長から御説明いただきましたが,確かに前回の資料では「海外学術調査」から「国際共同研究強化(B)」に延びていて,何となく「国際共同研究強化(B)」というのが従来の海外学術調査の対象者に限定されてしまうようなイメージがあると言われれば,確かにそのとおりでした。やりたいことは,「国際共同研究強化(B)」は研究対象や方法を一般化して,とにかく国際共同研究を強化しよう,そして競争的な研究下において支援を有効にしていこうということが目的ですから,こうしたことを踏まえて誤解を招かぬように,イメージ図としては全体として現在の国際共同研究の枠組みを新たな枠組みに変更されるイメージで修正を加えさせていただきましたので,この修正に関しても御理解・御承認いただければ幸いでございます。
 以上,補足させていただきました。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 石田室長から御説明いただいたことの中で,特に主要な部分について,小安先生から更に補足をしていただきました。どうもありがとうございました。
 どうぞ,栗原委員。
【栗原委員】  私も25日の審査部会に出ておりまして,そのときの結論も,今回改定していただいたように「科研費若手支援プラン」のところに実際の「基盤研究(B)」に対する対応という言葉も入れていただい方がいいというのが大きな意見の方向性だったと思いますので,このように変えていただいたのは大変適当だと思います。そのときの意見と方向性としては一致していると思います。ありがとうございました。
【西尾部会長】  栗原先生,本当に力強い補足を頂きましてありがとうございました。
 資料2-3の最後のページですが,概算要求に関しては,科研費に関しましても現在の額の10%を切り込んだ額が要望基礎額というものになる。その上で,新しい日本のための優先課題推進枠として上積みをして,何とか科研費の増を図っていくということが,今後,戦略的には非常に重要だということでよろしいですか。
【石田企画室長】  御指摘のとおりでございまして,科研費も例外なく,まず,要望基礎額という考え方は10%下がるという全体ルールですね。これから先の調整も省内的にはいろいろありますが,ここからスタートしますので,まず,一般論で申しまして,前年度同額をキープするだけでも非常に大変だということがございます。
【西尾部会長】  分かりました。その上で新しい日本のための優先課題推進枠ということについては,先ほど来出ております「若手支援」という言葉は非常に方向性としては合致すると思っています。その観点で概算要求に向けての我々の考え方としては,今まで積み上げてきた「科研費若手支援プラン」を前面に出しながら,今後,鋭意進んでいくということが一つの方策であると私自身は思っております。皆様方から何なりと御意見を頂けますと有り難く思いますが,いかがでしょうか。
 はい,どうぞ。
【山本委員】  山本です。
 こういうふうに考えるというのは非常に自然かと私も思っています。ただ,非常に意地悪な見方をしますと,中核的研究種目を充実すれば,当然,若手支援にはなるというふうに読めます。でも,逆は成り立ちません。つまり,若手支援のために,これが唯一の方策かと言われたときにどういうふうに答えるかというのを我々は準備しておかないといけないような気がします。議論の中であったのは,若手をアイソレート(分離・孤立化)して,その中で競わせるのではなくて,やはり広く競争下において鍛えるというのが本質であるというふうに理解しております。だから,そこのところが前面に出ないといけないと思います。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。そこは栗原先生が先ほどおっしゃいました,中核的研究種目の充実によるということをあえて付加することの意義が,そういうところにあるのだろうと私も思っています。
【鍋倉委員】  支援という言葉は飽くまでもサポートという見え方がします育成という観点から,早く競争のお場に参加し,切磋琢磨して能力を十分に発揮していただくという意味での若手育成という概念を持つ言葉を使っていくということが重要と思います。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 名称的なものとして若手支援プランという言葉が今年度当初からもずっと出ておりますので,それはその通り使用するとして,今,鍋倉先生からおっしゃっていただいた育成する,あるいは飛び立っていくとか,そういうようなイメージを何らかの形で与えることができるように今後も考えていくことが大事であると思っておりますので,どうかよろしくお願いいたします。
 どうぞ。
【白波瀬委員】  ありがとうございます。
 実は若手支援というのは,この教育行政だけではなくて,ある意味で,当初,否定的に見ていたところもあるのですが,それは今,山本先生がおっしゃったように,一般のイメージとして,どうも若手だけに特別あげる,特別扱いするように見える。しかし,現実から言うと,上世代を見て若い世代が育ちますので,全体の流れの中での若手を見てあげなければいけない。ただ,やはりここでのキーは,時代的に20年,30年前の研究環境自体が今と違っているのに,その違った背景をしっかり受けた形の制度になっていない。そこで,全体のこれからのより発展に向けた持続可能な科研費システムを作るための一環でやるという説明の仕方で,そういうところを強調していただきながら,一つのポイントとして,やはり若手支援だと思います。我々が20代だった頃と今の20歳の子は,かなり背景的に違いまして,能力は同じでも,それこそ育ててもらえる環境が整っていなくて,今までとは違った立て付けでの教育のシステムを作らなきゃいけないというところを強調していただくのがよろしいかと思います。
 そういう意味で,資料2-1の言い方なのですが,“充実による”というふうになると,今,山本先生がおっしゃったような一方的な方向性になりますが,“充実を通した”とすれば,要するに本体のところだけれども,その改革をするのは,そもそも若手だけではなくて日本の科学を底上げするという方が私はいいような感じがしました。
 以上です。
【西尾部会長】  栗原先生,いかがですか。
【栗原委員】  結構だと思います。どちらにしても,ずっと出ていたのは,山本先生が言われたように,全体でいい研究をやっていくという中で,若手により主体的に参加してほしいということだと思います。
【西尾部会長】  どうぞ。
【小安委員】  2点,ちょっと言わせてください。
 皆さんがおっしゃっていることはそのとおりだと思うのですが,少々気になるのは,あまり今のような議論をしていくと,全てを科研費に背負わされるようなイメージがあるので,そこは我々,注意しなければいけないと思います。本来,若手が同じ競争のラインに立てたのは基盤的経費がきちんとあったから立てたのであって,それがなくなったときに,全部,科研費にやれというのは,そもそも正しくないと思います。ですから,そこの書き方のバランスがとても難しいと思っていまして,山本先生のおっしゃったことは,実はまた別の会議で,私は栗原先生と議論したことがあります。私が「若手,若手」というのは余り良くないのではないかといったとき,その議論の根拠は,例えば論文を書くときに,若手だからといって通しやすくしてくれる雑誌があるかというと,そんなものはないわけであって,学術の世界で若手もシニアもみんな同じところで競っている。だから,そういうマインドを早く持ってもらうために若手に対してできることということでしたら,よく分かります。同じ競争ラインに立てば,そこから先はもう若手もシニアも本当は関係ないはずです。ただ,若手がそこに立てるために欠けているものがあるのだとしたら,我々は,何かしなければいけないでしょう。でも,それは科研費だけではないだろうというところは,是非,どこかに書いておいていただきたいと思います。
【西尾部会長】  小安先生としては,“による”を“通して”というような表現にすることは問題ありませんか。
【小安委員】  それは別に構いません。
【西尾部会長】  分かりました。
 ほかに御意見ございませんか。それでは,事務局の方で,今,白波瀬先生がおっしゃった貴重な御意見のことを,是非,検討ください。お願いします。
 ほかにございますか。
【栗原委員】  先ほどの件でもよろしいですか。
【西尾部会長】  どうぞ。
【栗原委員】  今回,資料2-6のようないいものをまとめていただいてありがとうございます。
 それで,私,JSPSの国際委員会の委員もやらせていただいているのですが,そこを見ていて思いますのは,今,拠点とかネットワークについての費目はいろいろプログラムが出てきているのですけれども,外国のグループと活発にやっているというような研究室が,大きなネットワークとか拠点に入っていないと,意外と提案していくパスが少ないのではないかと思います。それなので,ここに書いていただいている対応の必要性ということに関しては実感しているところです。今の拠点やネットワークは,あるサイズでやはり人が集まらないと出せないので,本来的な基盤的な科研費という枠組みからすると,もう少し個別に特化したグループが元気よく外国のグループとやってもいいわけですが,そういうところがなかなか今,出せないので,拠点的なところに手を挙げてくるわけです。そうすると,提案しているようなところに対しては多少,プログラムの趣旨と合わないという感じで意見が出てくることも拝見しています。もちろん,従来のフィールド調査等に対しても大事にされないといけないと思うので,微妙なところだとは思いますが,いろいろなプログラムの相補性も少し整理されるべきものだと思います。日本学術振興会のところでも,国際のところにはいろんなプログラムがあるのですが,意外とグループ研究を支援するというのは従来はなかったのかなと思います。国際のところは複雑なので,全部把握できているかどうかは分かりませんが,印象としては今,ネットワークや拠点とか,新学術も新学術の枠組みに入っていないとできないので,枠組みに入っていないとできないということからすると,こういうふうに手を挙げられるというのは非常にいいのではないかと思います。もしプラス30%枠のところに積極的に入れていく意義をということであれば,そういうロジックも丁寧に見ていただけるといいかなと思います。
 あと,甲斐先生からも言われていて,私も同じ意見だったのですけど,帰国発展研究や来日研究になると,帰国よりは来日する外国人の招聘(しょうへい)の方にどうしても力が入ってしまうのではないかと。もともと,なるたけいい人に帰ってきてもらいたいというような趣旨があるところが消えてしまうのは残念だから,やはり帰国・来日研究にしてほしいというのが,審査部会の方でも割とそういう意見が強かったと思います。私もこれに関しては同意見ですし,審査部会でも複数意見としてあったと思いますので,御検討いただければと思います。
【西尾部会長】  2つございました。いかがですか。
【石田企画室長】  冒頭の方は,いろいろと国際共同研究に関連する各種施策との関係をおっしゃったことだと思います。全くごもっともだと思います。その辺の事業の性格との関連も踏まえながら,さらにはまだ「国際共同研究強化(B)」(仮称)の部分の議論というのは煮詰めていただかないといけないと。まずは概算要求に向けて方向性の検討を頂いたという認識にございますので,今後は,今,御指摘いただいた内容を踏まえて,さらには海外学術調査の御意見,御要望も踏まえながら練っていきたいと思います。
 もう1点だけ,よろしいでしょうか。来日発展研究についてというお話,確かに御意見いただいたのは承知しておりますが,小安先生とも御相談申し上げたのは,これはまだ仮称であるということと,こうしてはどうかということで,作業部会で一応の方向性の合意決定を頂いていたところもありますので,本日のところまではまだ変えて出しておりません。これはまだ仮称でございます。余り名称で方向性を固定化させてしまわない方がいいのではないかという思いがありますので,仮称ということでお許しいただければと思うところでございます。
 以上です。
【西尾部会長】  そうしましたら,仮称の方は先ほど栗原先生がおっしゃったような貴重な意見が出ていることを捉えていただき,御配慮いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 ほかにございますか。はい。
【白波瀬委員】  大変僭越(せんえつ)ですけれども,仮称ではありますが,名称に帰国というような言葉が入ることが私は気になります。帰国という用語を一つの制度の名称として付けることの是非については,少し大きい観点から考えていただいた方がよろしいのではないでしょうか。まさしくグローバルな社会になって,内容的に説明していただくのはいいのですが,帰国,来日というようなことを名称に付けることについては,少し慎重に御検討いただいた方がよいと思います。
 以上です。
【石田企画室長】  今,御指摘いただいた内容はまさしく今後,引き続き作業部会で議論してもらおうと思っております。もともと左側の帰国,発展研究というのは過去にも御議論いただいて,およそこういうスタイルでいかがかということで概算要求して認められてきた経緯もございます。帰国発展研究のネーミングそのものは,今,既にもう走っておりますので,単純にこの帰国発展研究というネーミングそのものを見直すというのは,短期的にはしづらいところがありますけれども,右側に行く見直しの過程で,よりふさわしいネーミングというものを考えられればと思っております。
 あと,1点だけ補足がございます。資料2-5を御覧いただきたいのですが,左側の「海外学術調査(基盤研究A・B)」,これは補助金で実施している制度でございますが,何度も申しますけれども,これは「基盤研究」の枠組みで実施してきたものでございます。それを国際共同研究加速基金の枠組みに移行するというのは,ある意味,大きな方向転換でございます。これを本日お認めいただいて,それをベースに進めるということになりますと,予算の構造そのものが変わりますので,まず,予算そのものをゼロベースで要求しなければいけないということになります。しかるに,来年度の,仮称がついていますが,「国際共同研究強化(B)」については,9月の公募に反映することはできません。これは予算がついた後で速やかに公募を開始するという流れになります。従いまして,その意味から申しますと,左側の補助金の「海外学術調査(基盤研究A・B)」というものはこの秋の公募要領からは消えるということになります。その点,確認的に申し上げておきたいと思います。
 以上です。
【西尾部会長】  どうも貴重な確認事項をありがとうございました。
 そのことも含めまして,御意見等ございますか。はい,どうぞ。
【橋本委員】  全く文言だけのことですけれども,概算要求に当たっての基本的な方針についての黄色い枠の中の“要求とともに要望を行い”という意味が分からないのですが。要望と要求というのは何か。
【石田企画室長】  これは行政用語みたいなところですが,概算要求額というのは要望基礎額のところに,俗に,更に欲しい場合には必要性を説明して要望できますよという構造になっておりまして,これが全体の中では要望基礎額の30%の枠内で検討してくださいねということになっております。ですから,“要求とともに要望を行い”というのは,概算要求という大枠の中において新しい日本のための優先課題推薦枠という形での要望を行うことができるという整理になっておりますので,用語の使い分け,理解がなかなか難しいところではございますけれども,行政的にはそのような位置付けでやっているということでございます。
【橋本委員】  全体が要求になっていて,その中のこの部分が要望ということですか。
【石田企画室長】  はい,そういうことです。ですから,恐らくでございますけれども,概算要求額としてお示しする際には,科学研究費助成事業全体で願わくば前年度予算額の高さプラスアルファのところで先ほど来,御議論いただいている「基盤研究(B)」を中心とするような充実,さらには国際共同研究の充実という内容を盛り込めるように省内で折衝してまいりたいというのがまず第一のステップでございます。飽くまで本日,研究費部会で一定の方向性をお示しいただいたら,それを土台にということで考えておるところでございます。
【橋本委員】  この優先課題枠の中に入れ込むということになるのですか。
【石田企画室長】  これは概算要求の際の整理といいますか,非常に難しい話がございまして,科研費の予算にも一定ミシン目が入っているのですが,仮にですけれども,10%下げろと言われたときに,種目単位の予算がきれいに収まる部分と収まらない部分が出てまいります。なかなか難しいのですけれども,一般的な考え方として,いわゆる政府全体で要望枠として出させていただく部分については,よりこういう新しい日本のための優先課題推薦枠に合致しやすいようなものを中心に整理していくという格好になろうかと思います。
 わかりにくい説明となりまして,申し訳ありません。
【橋本委員】  いや,難しいことは分かりました。ありがとうございます。
【西尾部会長】  御説明ありがとうございます。
【山本委員】  国際共同研究に関連して,「海外学術調査」が公募要領から消える件ですけれども,こういう形になるというアナウンスを適切にしていただいた方がいいと思います。そうしないと,かなり要望が強いと感じていますので,よろしくお願いします。
【石田企画室長】  かしこまりました。例えば直近では,9月に入りましたら,全国の研究機関を対象とした公募要領等説明会がございますので,そういったところを通じて,着実に研究者の皆様に情報が届くようにし,きちんと認識を深めていただくような説明に努めたいと考えているところでございます。
【西尾部会長】  山本先生,どうも貴重な御指摘,ありがとうございました。
 ほかにございますか。はい,どうぞ。
【小川委員】  きょうの御説明を伺って,若手支援の強化ということで,若手の活躍に期待したいというところはよく分かるのですが,もう一つ,是非,女性の活躍ということで,科研費の応募や審査において性別のバイアスはないはずだとは思いますが,実際に申請率や採択率が科学分野,学問分野で活躍する女性の割合とのギャップについて,恐らくこちらの方でもデータをお持ちだとは思うのですけれども,もしそういう差があるならば,審査におけるバイアスがかかっているとか,それから応募の機会にも何かあるかもしれません。それで,先ほど拝見したデータですと,資料2-5の裏側ですね,応募要件に「基盤研究」,「若手研究」の採択者であって,32歳以上45歳以下の者という形で年齢とか,あるいは学位取得後の年齢で切られていて,そういう方針のもとで検討なさっていらっしゃるとは思うのですけれども,ライフイベントに対する考慮,配慮ということは前回も申し上げましたが,表向き,そういうバイアスがないとしても,出産や育児とか介護とか,そういうライフイベントの負担が今,年配者ばかりじゃなくて若手の研究者にも重くかかってきていますし,これからもかかり続けることですので,是非,そういうことに対する考慮をお願いしたい。例えば具体的にはライフイベント等の関わりにおいての年齢制限の緩和,一部の事業でもそういうことは実施されていますけれども,科研費についても,やはりそういうことを進めていただきたいというふうに私は思います。そういったことで,応募の機会を是正することと,もし審査におけるバイアスがわずかでもあるようでありましたら,申請書の中で例えば性別が分かってしまうようなデータは取り除くとか,何かそういった形での御検討も併せて行っていただいて,是非,若手の支援を,実質的に研究者の中でも女性の割合がどんどん増えてきていると思いますので,実が上がるように配慮していただけたらと思います。
【西尾部会長】  どうでしょうか。
【石田企画室長】  まず,私から2点,説明させていただきます。
 まず,審査の上でバイアスがかかっているかという御指摘ですけれども,私ども行政としてはバイアスはかかっていないという認識でございます。その裏付けというわけではございませんが,この会議,あるいは審査部会であったか,少々記憶があやふやでございますが,日本学術振興会の中でお調べいただいた内容というデータが示されたことがありまして,科研費の種目によっては,多少,違いはあるにせよ,全体,押しなべてみると,女性研究者の方々の応募のシェアと採択のシェアというのはほぼイコール,つまり,有利にも不利にもなっていないという結果が過去に示されたことがございます。その辺の推移は引き続き注視していく必要があろうかと思いますけれども,その辺をも踏まえて,我々,飽くまで研究者が平等に審査が行われているのだという認識に立っておるところでございます。
 また,ライフイベント等への対応については,これは次の議題のところで一部対応している案がございますので,そこで説明することをお許しいただければと思います。
 あと,JSPS側から一部,補足いただければと思っておりますけれども,いかがでしょうか。
【西尾部会長】  よろしくお願いいたします。
【尾辻JSPS学術システム研究センター主任研究員】  では,日本学術振興会のセンターの尾辻の方から少し。
 年限が限られている種目ですとか,幾つかあります。特に今回,「若手研究」につきましては,これまでの年齢制限から学位取得後8年という制限に変わりますが,この8年の年限につきましても,ライフイベントにつきましてはその期間を除外するという配慮がなされておりますので,特にその点については気を配って制度設計は進めているところでございます。
【西尾部会長】  はい,どうぞ。
【山本委員】  同じことになりますが,今度の科研費調書におきましては,研究の背景欄のところにわざわざそのこと(研究中断)がある場合は書いてもいいですという欄を設けました。なので,主張しやすくなっているということだと思います。一応,そういう限られた形ではありますが,努力はさせていただいております。
【西尾部会長】  先生,よろしいですか。
【小川委員】  先ほど分野や種目による差が若干,ないことはないけれども,全体を押しなべてはという話がありまして,少し気にはなるのですが,全体を通してのその方針でお進めいただくということは非常に大事かと思いますので。
 もう一つは,選ぶ側に女性が含まれていると,選ばれる側の女性も多くなるというふうな,ジェンダーバイアスということがどうしてもいろんな場であるということは一般的にも言われていて,様々な調査の結果からも出ております。そういう意味では,この科研費の審査の側にもそういった配慮をしていただくように,やはり今後,若手並びに女性の活躍できる社会をという事は,第5期の科学技術基本計画でも掲げられていることですので,この種目に限らず,是非,御配慮をお願いしたいと思います。
【西尾部会長】  どうぞ。
【山本委員】  そのことには僕は100%賛成で何も意見はないのですが,現状をやはり知っていただければと思います。やはり女性の割合については,科研費の審査委員の選考のときにはすごく気を付けています。しかし,逆にそれをやる余り,同じ人にものすごく集中したり,特定の人にものすごく負担がかかるという事実もあり,その辺の配慮も含めて,総合的に見ていく必要があるということは議論しているところです。女性の割合について非常に注意はしているのですが,一方で別な面もあると思います。
【小川委員】  科研費に応募申請する母集団を増やすということが同時に必要ですので,卵と鶏とどっちが先かみたいな話にはなりますが,ある期間は関係者が耐えて進めなければならないことかと思います。
【栗原委員】  私も1点,補足させていただきたいのですが,たまたま日本学術振興会の監事の西川先生がまとめられたデータを拝見していまして,採択率等のバイアスはないということは私もそれで拝見しています。ただ,分野によっては申請数が女性の割合の少ない領域も,むしろそっちの方がよりシリアスだというようなデータとして拝見しているので,学術コミュニティーとしては,もう少しプロモーションの必要があって,むしろ,制度よりはもうちょっと草の根のところをしっかりやらなければいけないと私はそういうふうに思っています。
【西尾部会長】  先生,どうぞ。
【白波瀬委員】  栗原先生の繰り返しになりますが,今,小川先生がおっしゃったように,現時点ではということは応募したその結果ということなので,これはアファーマティブアクションという制度そのものもそうなのですが,その手前で応募をちゃんとしてください,そうじゃないとプールになりませんということです。ここでできることはある意味で少数派というかマイノリティーという点で,若手のみならず女性も,外国籍の方もというのは,この制度を作るときには意識的に考慮すべき案件ではあると思います。もう少し広いところで継続的に是非,応募してもらいたいというのを,キャリア教育のところも含めて宣伝していく必要があるのではないかなというふうに感じました。
【西尾部会長】  いろいろと御意見ありがとうございました。時間も迫っております。小川先生から御指摘いただいた点,ここで一回はきっちり議論すべき議題だったというように思っております。いろんな意味でのダイバーシティをどのように我々が確保していくかということは重要な課題であり,それに向けて山本先生からいろいろ御尽力いただいている報告を頂きまして,どうもありがとうございました。今後とも継続的に進めていくということが大切であると思っております。
【栗原委員】  もうちょっと応募数が増えたら採択率は実は下がるかもしれないです。
【西尾部会長】  難しい問題ですね。
それでは,本日,委員の皆様方から頂きました御意見の今後の取扱い等につきましては,部会長を務めさせていただいております私の方に御一任いただければと思っております。本部会として,そういうような考え方で了承したいと思いますが,当方に一任いただくということでよろしゅうございますか。
                            (「異議なし」の声あり)
【西尾部会長】  どうもありがとうございます。
 事務局におかれましては,これまでの議論を十分に踏まえていただいて,平成30年度概算要求,それについては先ほど室長の方から厳しいものであるということの状況の説明を頂きましたけれども,具体的な準備を是非とも鋭意進めていただければと思います。
 その際に,先ほど小安先生から,いわゆる学術研究が科学研究費補助金に全て乗っかってしまうような構造というのはよくないということの御指摘を頂きたきました。やはり,科学研究費補助金が競争的資金ということを考えました際に,日本の学術研究を今後,苗床からきっちりと育てるためには継続性が必須であり,リスクを伴った競争的資金に委ねていくことの問題性は十分に考えなければならないと思っております。基盤的,継続的な経費をどのように確保していくかという観点から小安先生がおっしゃったことは,我々,十分に注意していかなければならないことだと思いますので,その点,どうかよろしくお願いいたします。

(3)科研費改革の取組状況について

【西尾部会長】  それでは,最後の議題に移ります。昨年12月に本部会において科研費による挑戦的な研究に対する支援強化についてと題する報告を行いましたが,現下の科研費改革は,その報告書などをもとにして進められております。いま一度,報告書の内容と科研費改革の取組状況をここで整理しておくことが重要だと思いますので,事務局より説明をお願いいたします。
【石田企画室長】  それでは,私からまず資料3-1と3-2をもとに,できるだけ手短に御説明申し上げようと思います。
 資料3-1をお手元に御用意いただけますでしょうか。前期に頂いた提言を踏まえた改革の具体的取組状況等についてという整理資料でございます。左側にございますのが前期に頂いた提言の具体的な抜粋でございます。それと必ずしも1対1で対応できていないのですが,真ん中には文部科学省でまとめた基礎科学力タスクフォースの議論のまとめの具体的な記述,それらも踏まえて,右側の改革の具体的取組状況等の例示,隅から隅までということにはなっておりませんが,例示をさせていただいております。
 1ページ目にございますのは挑戦的研究の創設というものでございまして,これはもう既に実施済み,実施中でございます。後ほどの資料でも関連してまいります。
 1枚めくっていただいて,ここも同様でございます。
 3ページ目を御覧いただけますでしょうか。「若手研究(A)」の見直しに関することでございますが,右側をごらんいただくと,「若手研究(A)」の新規公募停止等というものでございます。新規公募を停止し,「基盤研究」種目群等において対応いただくということ。「基盤研究(B)」の審査において優先採択する取組を設定するということがございます。その次に「若手研究(B)」の充実等ということでございますが,「若手研究」の最終年度前年度応募対象の拡大ということで,この秋の公募から導入予定でございますけれども,「若手研究」実施中の方が「基盤研究」の比較的金額規模の大きいところにステップアップされようとする際には,最終年度前年度応募の対象を拡大するという内容でございます。これも導入する方向で進めております。
 4ページ目を御覧いただけますでしょうか。4ページ目は1つ飛ばします,真ん中,支援対象の在り方という若手研究の対象者ですけれども,応募要件の見直しでございます。これもこの秋から実施いたします。「若手研究」の応募要件を「博士号取得後8年未満の者」として設定すると。従来は年齢制限でしたけれども,それを改めるということでございます。そこで先ほどの御議論にも関連してくるのですが,育児休業等取得者などに対する特例措置を設定するということで,ライフイベント等にできるだけ配慮するという措置を盛り込んでいるところでございます。
 さらに,5ページ目でございます。「特別推進研究」の見直し,これも30年度公募から実施するということでございまして,象徴的なものは4つ目の矢印,新陳代謝を促進するために受給回数制限を導入するという措置を導入予定でございます。これは実際に審議会で御議論いただいておまとめいただいた内容に即して,どのような対応をしているのかということの整理表だと捉えていただければ幸いでございます。
 1枚めくっていただいて,6ページ目は「若手研究」の応募要件の変更についてというものでございまして,今現在,まだ公募は開始しておりませんけれども,博士号取得後何年かということを確認する必要が出てまいりますので,今,全国の研究機関に対してこういう要請をしているところでございます。
 7ページ目以降は科研費改革の工程表でございます。7,8,9とございます。左側の見出しをごらんいただくと,科研費改革というのは,改めて1ポツ,審査システムの見直し,次のページ,研究種目・枠組みの見直し,さらには3ポツ,柔軟かつ適正な研究費使用の促進ということで,主にこの研究費部会で御議論いただいているのは研究種目・枠組みの見直しに関することでございますけれども,審査システム改革とも多分に関連するということで,その辺,横断的に御議論いただいて進めてきたということを御確認いただきたいところでございます。
 もう一つ,余り議題にのぼならないのですが,柔軟かつ適正な研究費使用の促進という観点では,10ページ目の参考資料でございます,昨今,各研究機関で『私の大学のローカルルールで科研費をはじめとする研究費が使い勝手が悪くて仕方がない』というようなお話が日本学術振興会にも届きますし,内閣府にも届きますし,とある国会議員の方にも届くという,なかなか難しい状況がございます。我々としては科研費はできるだけ柔軟に,研究者の使いやすいように使っていただくというのが基本でございます。一方,研究機関では,やはり公的な資金ですから,きちんと使っていただくと。間違っても研究費不正などというものはあってはならないということが原則でございます。その辺,なかなか難しいところではあるのですが,今年の3月に文科省高等教育局,研究振興局からの事務連絡として,研究費の管理・使用に係る「大学等における過度の“ローカルルール”の改善」に向けた事務連絡というものが発出されているところでございます。これらも参照いただきながら,せっかく獲得いただいた科研費が使いにくいという声にならないようにしていただきたいということがございます。
 先生方の左手前の方に科研費ハンドブックというのが置いてあろうかと思います。せっかくですので御紹介申し上げますと,附箋がついているページが11ページにございます。「直接経費は何に使えるのか?」というものでございます。ここについても,具体的に記述内容を増やさせていただきました。直接経費はとにかく柔軟に使えます。ただ,よく先生方から聞こえてくる話は,何とかは買えるのか,何とか役務には使えるのかという形で聞こえてくるのですけれども,我々はそのような情報で質問いただいてもお答えできないという立場を貫いております。飽くまでその方の研究にとってどのように必要なのかとして判断されるべきであって,我々は個別具体のもの,事象に対する答えは有しておりませんという立場を貫かざるを得ないので,ハンドブックにもこのような書き方をさせていただいているところでございます。
 長くなりましたが,資料3-2でございます。先ほど資料3-1でも一部出てまいりました,平成29年度からは公募審査,もう採択課題が出そろいましたけれども,応募採択状況をまとめました。後ほど日本学術振興会,尾辻先生からも関連の御説明をいただく予定でございますが,挑戦的研究の開拓,萌芽がそれぞれ応募件数,このような状況でございまして,採択件数もごらんのとおりでございます。もとより,この挑戦的研究のコンセプトというのは,前期研究費部会御提言において,採択率よりもその課題の挑戦性が高いかどうかというものを重視してセレクトするということでございますので,何件採択できて,採択率が何%なのかというよりも,採択されるからにはできるだけその方が希望される研究費というものを配分するというところが考え方の基本でございました。ということで,こういう結果になっているものでございます。研究機関別の応募件数,採択件数は御覧いただいてのとおりでございます。右側ですね,年齢別応募件数・採択件数,先ほど来,ちょっと議論になりました,若手支援プランの中にも,この挑戦的研究というのは一部位置付けられているところもございますので,念のため,現行,年齢で切ってみたところ,どうだったかということでございます。結果でございますが,水色のグラフの領域が若手層,39歳以下の方でございまして,開拓,萌芽とも結果論ではございますが,比較的,若手の方も頑張っておられるということが確認できております。
 私からの説明は以上でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 平成29年度実施分よりこれまでの挑戦的萌芽研究を見直し,挑戦的研究を新たに創設したところですが,挑戦的研究の平成29年度公募の総括について,日本学術振興会の尾辻主任研究員より報告をお願いいたします。
 尾辻先生,よろしくお願いいたします。
【尾辻JSPS学術システム研究センター主任研究員】  それでは,センターの尾辻の方から資料3-3に基づきまして御説明申し上げます。
 これまでの御議論の中でもございましたが,今回の科研費審査システム改革2018の大きな課題の一つが挑戦性に対する研究の志向性の低下をどうやって復活させるか,その一つの目玉がこの挑戦的研究でございます。そういうことからいたしまして,科研費審査システム改革2018のいわゆる先駆け的に1年前倒しで先鞭(せんべん)を付けて実施した課題でございます。
 1ページの枠のところに書いてございますが,斬新な発想に基づき,これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを志向しているもの,またそれが実現可能であるものということで,従来の同じ枠であります「挑戦的研究(萌芽)」に加えまして,新しく「挑戦的研究(開拓)」,予算的には「基盤研究(B)」クラスでございますが,今,西尾部会長の方から御説明がありましたとおり,大きな特徴としては予算の充足率を100%にすると。採択率が下がることはさておき,充足率100%で行くということでございます。
 その結果,そこのテーブルにございますとおり,まず,開拓につきましては,採択件数94件,採択率は8.4%にとどまっております。萌芽につきましては1,586件が採択され,採択率としては10.9%という実績でございました。この後,審査の経過につきまして御説明申し上げた後で,この資料の2ページ目の最後にあります実際に審査に携わった審査委員の先生方,それから学術システムセンターで制度設計に携わった方々の意見を集約した結果を総括として御説明したいと思います。
 審査方式でございますが,いわゆる総合審査方式と申しまして,書面審査に加えて合議で審査をすると。しかも,審査委員は書面審査から合議審査まで一貫して同じ審査委員体制で実施するというところが大きな特徴でございます。また,この審査委員会の構成ですが,新しい審査区分表の中区分,これは全部で65の中区分でございますが,この中区分ごとに審査委員会を立てるという,いわゆる大くくりの審査でございます。
 まず,65の中区分で審査をするのですが,一つの審査委員会あたりの委員数につきましては原則6名ないしは8名で委員会を構成いたします。事前の選考といたしまして,合議審査に係る件数が限られますので,応募件数が多くなる場合には事前のスクリーニングが必要になるということで,事前選考を行ってございます。それから,1つの審査委員会で応募件数が130件を超えますと,これもまた実質的に審査が困難になりますので,この場合には機械的に分割します。ですから,1つの中区分が2つの審査委員会で構成されることがございます。
 そうした結果,順番に申し上げますと,12月9日から1月26日の間で事前選考,スクリーニングを行いました。これは4段階の評点で各審査委員会が書面審査を行ってスクリーニングを行います。その場合に,1委員会当たり130件を越えた場合に機械分割をした結果,全体での委員会の数としては中区分65に対して89の小委員会が立ちました。特に各審査委員の優先権といたしまして,高い評価を下した課題については,特に1件だけは必ず合議審査に付すことができるという推薦ができる制度を設けてございます。
 次のページに行きますと,そうやって事前選考を通過した後に,今度は書面審査に移るわけです。ここで大くくり審査でございますので,御自身の分野から離れた申請課題をピアレビューする必要がございます。ですので,幹事の先生の裁量に委ねられるところが非常に強うございます。例えば,専門性の高い分野の方が声を大きくして否定した場合に,分野の離れた方が高所大所から見た場合に,これは挑戦性のある課題だといったときに,ちゃんとその審査が公平,公正に行われるように,幹事の先生には事前に十分な説明会を開催いたしまして,合計10回で89の小委員会の先生方の幹事の説明,教育,指導を日本学術振興会のセンターで行いました。その上で書面審査を始めます。
 まず,書面審査が2月下旬から3月末まででございます。ここでは審査委員が小委員会当たり,先ほど申しました6名から8名が4段階の評定を付します。採択件数が案文で分かりますので,その採択件数の可能採択数の3分の1ずつを上位のS,A,Bの評定に充てると。採択できないものについては,全てCに入れると。ただし,採択の可能性のある者についてはコメントに十分,その点を記載していただくという形で書面審査を実施し,その上で5月初旬,ゴールデンウイーク明けから6月1日までの期間で89の小委員会を回して合議審査を実施したわけでございます。1日当たり8委員会という日もございました。
 この結果,先ほど申しましたとおりの採択課題が選ばれたわけでございます。その審査を通しまして,いろんな委員の方々,また,センター研究員の方々から挙がった意見を総括いたしまして,大きく5つのことでまとめてございます。
 順番に見ていきたいと思いますが,まず,第1点,総合審査については,同一人が書面審査を踏まえて合議を行うことによる研究課題に対する理解を深めること,また,議論を行うことによる審査の質の向上,また,多角的な審査の実現など,「合議の充実」の観点から,非常に有意義だったと。御承知のとおり,従来の2段階審査は,1段審査と2段審査の審査委員が異なりますので,なかなか1段目の審査の結果を2段階目で否定するということが難しゅうございました。その点はお互いの書面審査の結果も見渡せますし,合議の場で御自身の書面審査の結果を修正するという自由度もございますので,その点は非常によかったと思います。その一方では,事前選考から含めて長きにわたって携わるということで,質・量,両方の面で審査の負担が非常に大きいと。この声はたくさん聞かれました。
 次の点,中区分単位の審査に対して,自身の専門から遠い研究課題の審査が大変であると。その一方で,合議審査の場で専門が近い委員の意見も入れて採否を決めるために,最終的には専門的な視点も担保しながら審査できている。ここは先ほど申しましたが,やはり幹事の先生のやはり裁量によって,実質問題として89の小委員会の中で,若干,機能がうまく行かずにセンターの方から指導を適宜入れていくという審査委員会も一握りございました。
 それから,3番目,前項と関連して,専門が近い意見の委員,特に否定的な意見の場合に引きずられることが懸念されるわけですけれども,合議が機能していればそれだけで採否が一方向に流れることはなかったと。全体的には非常に公平,公正な審査が行われたという意見が強うございました。
 以上を踏まえまして,基本的には今回の挑戦的研究の審査を踏襲する形で,新しい秋から始まります「基盤研究(A)」も,この総合審査方式をとるわけでございますが,大丈夫だというある自信を抱いているところでございます。
 最後,ただし,合議審査が機能するかどうかにつきましては,やはり採否の判断が公平,公正に担保できるかという点が重要になるために,今後も幹事への事前説明,周知,それから審査委員全体への理解向上,評価基準の周知徹底等を図るべく,総合審査の進め方や留意点について適切に運用ができるように様々,修正も含めて公平,公正な選考に努めてまいりたいということでございます。
 以上でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
【尾辻JSPS学術システム研究センター主任研究員】  それから,若手研究者の採択率のことにつきまして御指摘がございまして,今の資料の3ページ,4ページに採択件数,これは開拓に対する採択課題が一覧で出ています。採択された開拓の課題件数は全部で94件でございますが,この中で若手研究者は網かけが付してございまして,ちょうど1割の9件,その9件につきましては別添の資料3-4として課題の概要をまとめてございますので,御覧いただければと思います。
 済みません,以上でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 石田室長から,また,尾辻先生から御説明いただきまして,どうもありがとうございました。尾辻先生,本当に貴重な報告でした。それと,網かけの部分が何を意味するのか知りたかったのですが,御説明いただきありがとうございました。
 それでは,今,御説明いただきました件に関しまして,御質問なり御意見いただきますと有り難いです。よろしくお願いいたします。小安先生。
【小安委員】  ありがとうございました。
 1点,数字を知りたいのですが,応募件数が書いてあって,採択件数があるのですが,事前選考で幾つに絞ったかというのが分からない。どういうふうにやったのでしょうか。
【尾辻JSPS学術システム研究センター主任研究員】  1小委員会当たり,大体,合議審査で係る可能な件数が60件程度なんですね。これは朝から1日,終日で審査できる件数が60件程度ですので,それ以下には絞ってございます。ですから,多いところでは40%程度に絞られたところもございますが,往々にして80が50とか,そういった感じです。
【小安委員】  委員会によって異なっているという理解でよろしいわけですね。
【尾辻JSPS学術システム研究センター主任研究員】  そうです。
【小安委員】  分かりました。ありがとうございます。
【西尾部会長】  ほかに御質問や御意見はございませんでしょうか。どうぞ。
【小川委員】  ちなみに,この申請課題の中で女性研究者の応募課題というのは幾つぐらいありましたか。
【尾辻JSPS学術システム研究センター主任研究員】  今,事務方の方でデータを持ち合わせておれば分かりますが。ちょっと今,即答できない状況でございます。済みません。
【小川委員】  名前で見る限りでは,ごく少なそうですね。
【尾辻JSPS学術システム研究センター主任研究員】  そうですね。
【西尾部会長】  それでは,データ等は別の機会によろしくお願いいたします。
 ほかにございますか。どうぞ。
【栗原委員】  さっき小川先生の言われた女性研究者の問題について,採択率は特にバイアス等はないように思ったので,監事の西川先生と私の共通認識は,もっと応募者を増やさなくてはという話でした。応募比率が少ない分野は確かにあるので,そういうところは女性がいなくて応募できないのか,いるけれども諦めていて応募しないのか,どうしてそうなのかということをもう少し丁寧に見る必要があるのではないかと思います。応募しない人について調査するのは大変かもしれませんけど,小川先生は女子大で女性の多いところにいらっしゃるので,何かデータをとっていただけるといいんじゃないかと思うのですが。例えばライフイベントで論文がなかなか出ないようなことがあって,もう最初から諦めているような人がいれば。今,大分,様々な制度で支援はできていますけれども,やはり大変だとは思うんですね。女性に対してのハードルというのは上がっているわけです。今は普通に暮らして研究も仕事もちゃんとやってというのが若い人にとっては普通の姿になっていて,そういう意味では,やっぱりハードルは高いと思うので,少しきめ細かく見ていただいた方がいいのかなと思います。難しいところはあると思うので,そういう意味では呼びかけも必要でしょう。私,外国の同分野の女性研究者のテニュア審査を頼まれたことがありまして,そのときに,非常に論文数が多いのでびっくりしました。ライフイベントが経過した時期だったのですが。共同研究が非常に多かったです。人数が多いと,研究を進める工夫もいろいろしているかもしれなくて,もう少しいろんな意味での総合的な支援の仕方があるのかなと思いました。
【小川委員】  ありがとうございます。調査も考えたいと思いますが,そもそもPIについている割合が女性研究者の場合,非常に低いというのはよく言われていることですので。
【栗原委員】  やはり少し総合的に見ないと,出せている人たちの採択率はそれなりの人が出していて悪くはないということだと思います。では,残りの人はどうなのかというところがやはり今のプロモーションだと大事なところかと思いますので,よろしくお願いします。これは広くよろしくお願いしますと言わないといけないことかと思いますので。
【西尾部会長】  ひょっとしたら,今の御意見等は科学研究費補助金のことだけに限らず,研究における女性研究者に関する大きな課題かと思いますが,小川先生,大学の方でもエビデンスをいろいろ調べていただくことをよろしくお願いいたします。もちろん,日本学術振興会や文部科学省の方でも今後考えていきますけれども,大学の方でもそのようなことを進め,お互いが知恵を絞り合って考えていくことが大事かと思いますので,どうかよろしくお願いいたします。
【小川委員】  承知しました。御協力をどうかよろしくお願いいたします。
【西尾部会長】  ほかにありますか。どうぞ。
【射場委員】  専門に近い人の審査が厳しくて,専門から遠い人は中身がよく分からないというのは結構,どこの場面でもよくある構図ですよね。今回,それを幹事の裁量と合議でバランスよく採択されたということは,それはそれでよかったと思いますけど,過去にJSTやNEDOの審査でもそういう場面があって,結構,専門に近い人の意見を抑えて採択して研究開発をした結果,やっぱりその専門に近い人の意見どおりになりましたねということもよくあるんですよね。ですので,今回はその結果なのだけれども,挑戦という視点も踏まえて,結果どうなったかということは後々,フィードバックしてほしいなと思います。
【西尾部会長】  どうも貴重な御意見,ありがとうございます。
 どうぞ。
【尾辻JSPS学術システム研究センター主任研究員】  おっしゃるところは全くごもっともでございまして,審査委員の数がそれなりに増えれば専門に近い分野が複数とれて,専門から離れた分野の方とバランスよく議論が深まるということもございますけれども,限られた時間と人数の中でどこまで公平,公正にできるかというのは,やはり常に課題が残ると思います。それで,今回,特に審査制度の改革の中で気を付けた点は,計画調書の中身に沿ってそれを読み取っていくと。ですから,往々にして個人の研究者のお名前とか受賞の実績とか研究課題とは関係のないところで評価を下すケースが,特に御自身の専門分野から遠くなると,その提案された研究課題とは関係のない尺度で測って丸を付けているケースがこれまで往々にしてありました。ですから,そういうことがとにかく起こらないようにということを徹底する。つまり,研究計画調書に書いてある言葉であれば,それなりに,その分野が少し離れた方であっても,その方のこれまでの御実績とか御見識とか,高所大所から計画を読み解くことがかなりできますので,そういったレベルで研究計画調書に沿って議論を深めていただいたという点は一つ,大きな点だろうと思います。この後,その結果がどのくらいの成功につながっているかというのは長期的な調査が必要かと。おっしゃるとおりだと思います。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 どうぞ。
【鍋倉委員】  現時点では,申請重複制限があり,例えば,「挑戦的研究(開拓)」は「基盤研究(A)」と「基盤研究(S)」の人だけしかできない。重複を外すと審査の負担という問題が出てきますが,総合審査に参加するによって審査の論点の明確化など審査自体を育てるという視点からもいい制度です。そのため,今後重複制限徐々に外すような工夫が,審査委員を育てる観点からも必要だと思います。
【西尾部会長】  この委員会等においても大きな課題かと思いますので,今後検討していきたいと思っております。鍋倉先生,どうもありがとうございました。
【白波瀬委員】  合議のところで私も以前やらせていただいたことがあって,やり方としてとてもいいと思ったのですが,やはり専門に近い人とそうではない人の間で評価が分かれます。一般の人に受けるテーマというのがあって,それが専門的な観点から言うと,必ずしも受けはよくない。今,先生もおっしゃいましたが,データベース化というか,細かいところは難しいと思いますが,評価のプロセスに関するデータベースがあると,過去の実績を確かめることができます。記憶も薄れていきますし,印象論に走ることへの危険性を考えると,ちょっといいかなと思ったのですが。
【尾辻JSPS学術システム研究センター主任研究員】  今の段階でお話しできるのは,それぞれの小委員会でソーティングをかけて,上から順番に議論して,採否を1件ずつ決めていくのですが,そのときに各委員の方の評定がどのくらいばらついているかというのは委員会ごとに違いまして,大体,S評定がまとまってきれいに並んでいるところもあれば,全くばらばらに6人が6人とも全然違う評定で,一から十まで全部見て,個々に議論するというところもあります。それは多分,分野の特性とか特質だとかもあるのでしょうし,それから計画調書がたまたまどういう形で書かれているかということもあるかと思うんですね。ですから,今のところはそういったことしか分からないのですが,つまり,申請段階での審査委員の状況,統計的なデータしかありませんので,今後,今,先生がおっしゃった点は,ある程度,調査を進めて,どういった感じで分布と結果が対応するのかというのは調査してみたいと思います。
【西尾部会長】  よろしいですか。
【白波瀬委員】  はい。
【西尾部会長】  では,最後の御質問ということでどうぞ。
【橋本委員】  質問というわけではないのですが,94というのは適当な数というか,つまり,詳細に見ていくのに何とかできそうな数かと思います。そうしますと,これは公開するしないは別ですが,審査過程でどうしてこれが採択されるに至ったかというのは幾つか類型があるのではないかと思うのです。それと重複がどんなふうに応募されているかということ。それからこの前の研究がどこからここにつながってきているかというようなことを全部は無理かもしれないけれども,幾つかサンプルを挙げて,詳細に分析するというのも重要じゃないかと思いますので,是非,そういうことをお考えいただければと思います。
【西尾部会長】  よろしいですか。
【尾辻JSPS学術システム研究センター主任研究員】  ありがとうございます。
【西尾部会長】  先生,貴重なコメント,ありがとうございました。
 それでは,尾辻先生の方から今回の総合審査のことに関しましては,例えば「基盤研究(A)」の審査をこの方式で実施しても差し支えないと判断する,というような,様々な観点でポジティブな方向での総括をしていただいております。そのことに関しましては,幹事の先生方へのガイダンスを含めて,JSPSの方で本当に御尽力いただいたからこそ,こういう結果になったのだと思います。改めてそのことに対しましてお礼を申し上げます。どうもありがとうございます。
 資料3-1から3-4は,今後も科研費改革が着実に実行できるよう,議論の積み重ねを踏まえた各種取組の実際の状況を確認する上でも重要だと思っておりまして,また,今後,機会を見て,この資料を更新しつつ整理をしていきたいと思っております。

(4)その他

最後に,事務局より連絡事項が伝えられ,会議は終了した。

―― 了 ――

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-- 登録:平成29年09月 --