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第9期研究費部会(第2回) 議事録

1.日時

平成29年7月3日(月曜日)15時~17時

2.場所

東海大学校友会館「望星の間」

3.議題

  1. 科研費改革の進捗状況について
  2. 科研費改革に関する作業部会における検討状況について
  3. 「新学術領域研究」の見直しについて
  4. その他

4.出席者

委員

西尾部会長,甲斐部会長代理,栗原委員,白波瀬委員,井野瀬委員,小川委員,小安委員,城山委員,鍋倉委員,射場委員,上田委員,橋本委員

文部科学省

関研究振興局長,板倉大臣官房審議官,渡辺振興企画課長,鈴木学術研究助成課長,石田学術研究助成課企画室長,他関係官

オブザーバー

永原 日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

【西尾部会長】  皆さん,こんにちは。それでは,時間となりましたので,ただいまより第9期第2回の研究費部会を開催いたします。
 本日は,現在進んでおります科研費改革の進捗状況,準備状況についての確認をさせていただいた後,科研費改革に関する作業部会での検討状況について報告を受けます。その後,時期的に重要な時期に来ております来年度の概算要求に関する御審議をお願いしたいと考えております。
 なお,本日は,日本学術振興会学術システム研究センターの永原副センター長にお越しいただいております。後の議題において,コメントを頂戴できますように,何とぞよろしくお願いいたします。

(1)科研費改革の進捗状況について

【西尾部会長】  それでは,議事に入らせていただきます。
 科研費改革の進捗状況についてということで,来年度概算要求に関する議題に先立ちまして,科研費改革の進捗について,平成29年度予算事業の実行状況,及び今年9月の公募に向けた準備の状況について,それぞれ事務局より説明をお願いいたします。
 まずは,平成29年度予算関連の動向を報告いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【石田企画室長】  それでは,資料1をお手元に御用意いただけますでしょうか。できるだけ手短に説明させていただきます。
 資料1,タイトルにございますように,平成29年度予算における取組としているところでございまして,1の「挑戦的研究」と題させていただいているところでございます。御案内のとおり,平成29年度予算額は約2,284億円が措置されているところでございます。事業の概要のところは申し上げるまでもないかもしれません。具体的には,左側に大きな柱2本が掲げてあるところでございます。
 大きな柱の1番目に,挑戦的な研究の強化・充実ということがございます。これは前期研究費部会において集中的に御議論いただいた内容を踏まえ,頂いた御提言を踏まえまして,「挑戦的研究」を創設するに至ったところでございます。
 その御審議に合わせまして,右側にあるような新たな種目体系のイメージというのがございます。これまでの体系図を今般改めて見直していただきまして,「基盤研究」種目群というものを基本に置きつつ,斬新な発想に基づく研究等を支援する学術変革研究種目群という構造にし,「若手研究」種目群と併せ,体系のイメージというのを形作ってはどうかという点についても御審議いただいたところでございます。
 2番目の大きな柱といたしまして,若手研究者の独立支援の試行というのがございます。こちらはごらんいただいているとおりでございますけれども,「若手研究(B)」の新規採択者が研究室を主催して研究活動を開始しようとされる方々に対しまして,所属研究機関との連携により,科研費による重点配分を行う仕組みを試行するという内容でございます。
 1枚めくっていただきますと,2ページ目のスライドでございます。これは去る6月30日に審査が終了したということで,交付内定通知を発出したところでございますけれども,29年度から開始した挑戦的研究の応募の動向を機関の設置主体別に,百分率で示したところでございます。結果的には,いずれも国立大学からの応募が多かったということがごらんいただけるかと思います。
 さらに,これに対する採択はどうだったのかというのは,そのほかのデータを含めた精緻な分析を別途行っているところでございますので,本日は間に合っておりませんこと御了承いただきたいと思います。
 更に1枚,次のページでございますけれども,「挑戦的研究」の審査の進め方に際しましては,この丸にございますように,平成30年度助成から導入する新たな審査システムを先取りして,「中区分」に準じた65の審査区分において,総合審査というものを実施していただいたところでございます。審査の仕組みは,大きく分けまして,事前の選考から始まり,書面審査,さらには,それを踏まえた合議審査という段階で審査が進んできたところでございます。これらの内容については,後ほど永原オブザーバーからも御発言いただこうと考えております。
 最後に,4ページ目でございます。平成29年度予算における取組のもう一点といたしましては,若手研究者の独立基盤形成支援の試行というものでございます。趣旨を改めて御確認いただくと,こちらに書いてあるような内容でございます。審議以外の御議論としても,こうした取組は本来研究機関で実施すべきことであるという大前提が確認されつつも,科研費の枠組みで対応できることは何なのかということで御議論いただいて御提言を頂いた内容を踏まえ,今般実施しているところでございます。
 支援対象者数等のところをごらんいただくと,採択予定件数は,予算の都合もございまして,「若手研究(B)」に限定し,130件程度ということで進めているところでございます。支援スキーム等はこれまでも御説明申し上げた内容なので省略させていただきますが,スケジュールといたしましては,7月7日を締切りといたしまして,各研究機関から独立基盤形成計画の提出があり,これを踏まえて審査を行った結果,8月下旬には交付内定ができるかというスケジュール感で進めているところでございます。
 手短ですが,以上でございます。
【西尾部会長】  石田室長,ありがとうございました。
 我々としましては,「挑戦的研究」における総合審査がどのような状況であったのかというのは知りたいところでございます。その観点から,JSPS学術システム研究センターの永原副センター長から,コメントをお願いできないでしょうか。よろしくお願いいたします。
【永原JSPS学術システム研究センター副所長】  永原でございます。よろしくお願いいたします。
 ただいま石田室長から御説明がありましたように,「挑戦的研究」では三つの特徴的なポイントがありました。一つは,挑戦性ということを重視した点。従来,実績ベースであったものが,挑戦性を重視したと。もう一つは,区分として「中区分」という従来よりも大きな区分でもってこの審査を行ったという点。それから,三つ目が合議審査を行ったという点,この三つのポイントがあったわけです。
 それぞれについて簡単に述べさせていただきますと,挑戦性の審査というのは,実際,委員の先生に伺ってみても,なかなかやはり難しいということでした。研究者はどうしても業績ベースで評価するので,挑戦性と実現可能性の判断が難しいという問題です。どういうことが難しいかと思いますと,課題は挑戦的ではあっても,実績がないと本当にできるのだろうか,単なる思い付きではないかという懸念が払拭できないということでございました。
 2点目のその「中区分」に関しては,概してうまく機能したという感があり,多角的な視点から審査ができたと思われます。ただし,これも当然良い面,悪い面はありまして,専門家の1人の意見に引きずられてしまうこともないわけではありませんでした。しかし,総じて見ますと,多角的に判断がなされましたし,審査員も積極的に今まで考えていなかった分野も考えるようになったという点で十分に評価のできるものでした。
 それから,合議審査に関しましては,総じて言いますと,これは非常によく機能していたと思います。どの委員の先生方からも,大変ではあったけれども,非常に有意義であったという意見をいただきました。今までなら,単に数値で切ってしまっていたものを,議論することで,当初は順位が下の方にあった課題でも,いい課題を発見,発掘できたというようなことがありました。
 全体として見ますと,もちろんいい点,悪い点の両方ありますが,審査の観点や方法,全てにわたって新しい試みで,今回「挑戦的研究」でやってみただけなので,引き続き実際に研究者コミュニティ全体に浸透させていく作業はこれからということかと思います。
 以上でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,一旦,ここまでの御説明について,御質問等がありましたら挙手いただければと思います。いかがでしょうか。射場委員,どうぞ。
【射場委員】  聞き逃したかもしれないのですが,採択数はまだはっきりと出ていないということですか。
【石田企画室長】  御説明いたします。当期全体の採択件数というのは出ております。けれども,細かな分析表の数値の表し方というのは間に合わなかったものですから,このグラフには反映してないということでございます。
【射場委員】  応募件数は予想より多いですね,随分。この「基盤研究(S),(A),(B),(C)」でいうと,(S),(A),(B)の比率がすごく少ないようになっていて,要は上澄みしか取れてないのかな。以前だと,「挑戦的萌芽研究」みたいなのは大体全体の半分ぐらいは採択できていました。そうじゃないですか,前の仕組みだと。だけど,今回だと,上澄みしか取れなくなっているようなことって,その辺,採択数が分からないので,よく議論できないのですが。
【石田企画室長】  採択数を申し上げますと,「挑戦的研究(開拓)」の方が九十数件,「挑戦的研究(萌芽)」の方が約1,600件,という状況でございます。
【射場委員】  だから,やはりこの評点でいうと,(S)か(A)でしか取れないということですよね。
【西尾部会長】  では,永原先生,お願いします。
【永原JSPS学術システム研究センター副所長】  若干補足させていただきますと,今まででも「挑戦的萌芽研究」の採択率は決して50%ということはなく,二十数%でした。それが今回,「(開拓)」という枠ができた結果,「(萌芽)」の方は若干下がりまして,平均しますと大体10%と,そういう意味ではかなり厳しい数字にはなっています。
 ただし,そのことは初めから応募段階で十分に,募集要項の段階でも,何件ぐらい採択しますということは公募要領に明示されておりますので,申請者にしてみますと,そのことは当然分かった上で申請しているということです。
【射場委員】  どちらかというと,広く薄くというような印象を持っていたんですけど,今回は全然そうではないということですね。かなり上澄みのところになっていると。
【永原JSPS学術システム研究センター副所長】  はい。その問題は,日本学術振興会というよりは,文科省のこの委員会の御決定かと思いますけれども,基本的な研究は「基盤研究」でやっていただいて,本当に挑戦的なもの,新しい方向を目指すものを,少数精鋭になっても,これで強化しようというのがこの科研費改革の大きい枠組みでございますので,そこからずれてしまって広く薄くにしてしまいますと,せっかくこの「挑戦的研究」の枠組みを強化したことの意味が薄れてしまうということかなと。
【射場委員】  ありがとうございます。
【西尾部会長】  ほかにございますでしょうか。小安先生,どうぞ。
【小安委員】  事務局が言うべきことかもしれませんが,この「挑戦的研究」は,充足率をとにかく高くするということを一つの条件として我々は出したので,その分だけ採択率は下がっているという面もあると思います。
【西尾部会長】  貴重な補足をしていただきまして,どうもありがとうございました。
御質問に対するお答えの中で,今回の新たな審査のプロセスにおける重要な観点が幾つか浮かび上がったかと思いますし,本来の「挑戦」の持つ意味の再確認もできたのではないかと思っております。
 ほかにございませんでしょうか。
 それでは,文部科学省,日本学術振興会におかれましては,引き続き,円滑な実施等につきまして,御尽力を賜りますように,何とぞよろしくお願いいたします。
 また,新種目,「挑戦的研究」の採択課題が内定したとのことでございますので,次回の会議では,その概要についての御報告をよろしくお願いいたします。その際に,総合審査に関する日本学術振興会としての最終的な総括コメント等につきましても,可能な範囲で御報告を賜れば,有り難いと思っております。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは次に,9月公募に向けた取組状況について,事務局より説明をお願いいたします。
【井上学術研究助成課長補佐】  失礼します。資料2-1から,2-2のパンフレット,2-3,2-4,この4点をお手元の方に御用意願います。
 今,部会長の方からお話がありましたように,平成30年度の公募に向けましての取組状況について御説明させていただきます。
 まず,資料2-1をごらんください。
 科研費改革の説明会というものを正に先月,6月8日,15日に東京大学,関西学院大学,東と西の2か所で実施したところでございます。東の参加者につきましては,次の裏面を御覧いただきたいのですが,全体で約1,000人参加いただきました。そのうち,半分以上,529人が研究者という内訳になってございます。また,西,西日本会場では650人の参加者がありまして,そのうちのやはり半分以上,344人の研究者に出席いただきました。
 また,1面に戻って,1ページ目に戻っていただきまして,実施内容でございますけれども,まず,文部科学省から,「科研費をめぐる最近の状況について」と題しまして,科研費改革の政策的意義や背景等につきまして,この資料につきましてパンフレットを用いて説明したところでございます。
 また,日本学術振興会からは,2-3の資料を用いまして,科研費改革について,学術システム研究センターからメッセージという形で御挨拶いただきました。さらには,資料2-4のとおり,「科研費審査システム改革2018について」と題しまして,新たな審査システムについて御説明いただいたところでございます。
 その後,質疑応答の時間,約40分を予定しておりましたけれども,40分で足らないぐらいに活発な質疑応答が行われたということでございます。資料2-1の3ページ目にその質問の骨子を簡単にまとめてございます。ぱっと見,分かるかと思いますけれども,4番の,この柱の4番の「若手研究」に関することというのが全体的に質問が多かったように思います。これは「若手研究(A)」の廃止や,若手研究者の応募要件が平成30年度から変わるということもあり多かったのではないかというふうに思っております。また,参加者につきましても,全体的に若手の研究者が多かったように見受けられましたので,「若手研究」に関する質問が多かったのではないかというふうに思ってございます。
 なお,説明,この資料,及び,その当日の動画につきましては,文部科学省のホームページに掲載してございますので,ホームページをのぞいていただければと存じます。
 また,この質疑応答の内容を踏まえまして,今後,FAQという形で作成をして,今後公表していく予定でございます。
 また,さらには,7月末をめどといたしまして,平成30年度の公募要領,あるいは,計画調書の様式について,どこまで公表できるかの検討も含めてですけれども,日本学術振興会のホームページ上で公開することを予定してございます。
 さらには,9月からは,例年どおり,公募を予定,開始することを予定してございます。これに併せまして,これも例年どおりでございますけれども,9月の上旬には,東日本,西日本の全国2会場におきまして,日本学術振興会と合同で説明会を実施したいというふうに思っております。今回は,繰り返しになりますけれども,科研費改革を踏まえた最初の公募ということになりましたので,例年以上に丁寧に説明して対応していきたいというふうに思ってございます。
 以上でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 今回の審査システムの見直しは半世紀ぶりということもございますので,今お話しいただきましたように,丁寧な説明会等の開催を行っていただいているところです。先ほどの報告にございましたように,西日本会場での説明を担当されました永原先生から,当日の会場の様子だとか,何かお気付きの点などに関しまして,コメントをお願いできますと有り難く思います。関西学院大学での説明会はいかがでしたか。
【永原JSPS学術システム研究センター副所長】  研究者の皆さんの関心はかなり高いですが,この説明内容については比較的よく理解を頂けたのではないかと感じております。
 と申しますのは,質問をごらんいただくと分かるのですけれども,非常にクリティカルといいますか,このような改革をされては困るというような御指摘ではなくて,むしろ一番多かったのは,「若手研究」に関することですが,「若手研究」に関しましても,比較的テクニカルな部分の御質問が多かったことからわかります。若手が圧迫されているのではないかというようなこの改革の本質に対する御批判や何かではなくて,むしろ今までこの年齢でも応募できたはずなのに,今度からできなくなるのかというような御質問が多いということで,全体としては理解いただけたと感じております。
 特に理解いただけたと思うのは,今どうしてこういう改革が必要とされたのかという点です。説明会では,その説明を冒頭におこないました。西日本会場では石田室長の方から,その背景,この数年にわたるここ文科省の審議会での議論ですとか,世の中の動向の説明を頂いて,その部分には共感できるというような御意見を頂きました。他方,背景は分かるけれども,非常にプラクティカルな部分でよく分からないという御意見が多く出されました。
 それと,一般には,説明会等に来られている方は多くの場合は若手で,大型の科研費の獲得を目指す方はあまり多くなく,質問は主として非常にプラクティカルな部分の質問が多かったということになるかと思います。
 以上でございます。
【西尾部会長】 現場での状況を御説明いただきまして,ありがとうございました。
 皆様方から,これまでの説明について,御質問等ございませんでしょうか。どうぞ。
【小川委員】  ありがとうございます。応募要件に関しての御説明がありましたけれども,博士号取得後8年未満の者とかいうような要件に関して,例えばライフイベントに対する配慮というようなことは,この中に想定されているのでしょうか。そういう御質問も出たのかもしれませんけれども。
【西尾部会長】  では,事務局の方から御説明いただきます。
【石田企画室長】  御説明いたします。その点については,しっかりと配慮するべきという御提言内容もございますので,具体的な内容については今後定めていくという状況でございますけれども,きっちりとその点は反映させていただいているという状況でございます。
【西尾部会長】  よろしいですか。
【小川委員】  はい。
【西尾部会長】  貴重な御意見,ありがとうございました。
 ほかにございますか。
【永原JSPS学術システム研究センター副所長】  今の件,若干補足させていただいてもよろしいでしょうか。
【西尾部会長】  どうぞ。
【永原JSPS学術システム研究センター副所長】  今度から,申請書に,基盤ですと,研究目的等いろいろ書いた後に,研究の実効性等を書く欄があるのですが,そこに出産・育児ですとか,介護等のライフイベントのために研究中断期間がある場合には,そのことを書いてよいというようになりました。
 したがって,今までそういう御意見が非常に強かったことも配慮しまして,画一的な対応ではなくて,割とフリーに研究中断期間を取ることができるような方向へいろいろ改善しております。
【小川委員】  ありがとうございます。
【西尾部会長】  どうぞ。
【鍋倉委員】  この説明会の質問で,今回,学位を取って8年未満という条件がありますが,例えば人文・社会系で学位を持ってない方の応募について,そういうような質問はなかったのでしょうか。
【西尾部会長】  では,永原先生,どうぞ。
【永原JSPS学術システム研究センター副所長】  質問は若干ございました。しかしこの問題は,文科省の基本的な方針として,分野にかかわらず学位を取るという方向で動いておりますので,そのことを説明いたしました。
【西尾部会長】  事務局,よろしいですか。
【石田企画室長】  そのとおりでございまして,そのように説明をさせていただくとともに,どうしても応募される方というのはいらっしゃると思いますので,その方々におかれましては,恐れ入りますが,「基盤研究」の枠組み等での御応募を検討いただきたいという説明をさせていただいております。
【西尾部会長】  鍋倉委員,よろしいですか。
【鍋倉委員】  ありがとうございます。
【西尾部会長】  ほかにございませんでしょうか。
 この点もまた後で何かありましたら,よろしくお願いいたします。
 先ほど大きな改革であるが故に,今回の改革の趣旨が浸透するような丁寧な説明,対応を,文部科学省,あるいは,日本学術振興会において行っていただけるという御説明をいただきました。どうかその点,何とぞよろしくお願いいたします。
 また,日本学術振興会の窓口に寄せられております意見や要望の中で重要なもの等についても適時に適切な対応を取っていただけますようお願いいたします。
 それでは,二つ目の議題で,科研費改革に関する作業部会における検討状況についてということで,前回の研究費部会において,科学研究費補助金審査部会との合同作業部会を設置することを決定いたしました。科研費改革に関する作業部会における検討状況につきまして,作業部会の小安主査から御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【小安委員】  よろしくお願いいたします。
 本年の4月以降,先ほど部会長から御紹介がありましたように,この科研費改革に関する作業部会が作られまして,4月以降,4回にわたって開催してまいりました。研究費部会,並びに,審査部会の委員の先生方,それから,学術振興会の御協力も得て,また,特に来年度の概算要求に関する事項を中心に議論してまいりました。
 前期の部会では,この研究種目の見直しの成果として,12月に報告書として,「科研費による挑戦的な研究に対する支援強化について」というのを取りまとめさせていただきました。この中では,採択率や充足率,この目標やそのバランスに関して,いろいろ種目体系の在り方や,それから,若手研究者の支援に関する総合的な取組をまとめて,「科研費若手支援プラン」について提言をいたしました。
 今期,特にこの作業部会では,それらの本格的な実行に向けた具体策を提案するべく,作業部会の運営をしてまいりました。その過程では,幾つか研究機関の研究担当理事,あるいは,大型研究種目に応募してヒアリングを受けた研究者等へアンケート調査もやらせていただきました。また,学術振興会の窓口に様々な意見が寄せられますので,こういうようなものも参考にして,議論を深めるように努めてまいりました。本日は,こうした検討の進捗状況について,御報告させていただこうと思います。
 幾つかありますけれども,一つ目は,科研費の若手支援プランでございます。この本格的な実行に向けて,「若手研究」種目のみならず,「基盤研究」の在り方を含めて,一体的な議論をしてまいりました。特に,この学術をめぐる今日的な状況を踏まえて,「基盤研究(B)」の重要性を再確認して,その採択率の向上を図ることなどについていろいろと議論し,一定の結論を得たと思っております。
 ここでも以前に紹介させていただきました「若手研究(A)」の行き先として「基盤研究(B)」というのが一番考えられます。いろいろ調査いたしましたが,現在,若手と言われる39歳未満の方の応募について,見ました限りでは,全ての種目において,他世代よりも採択率が高いというのが現実の数字でございました。したがって,これを考えますと,「基盤研究(B)」,特に「若手研究(A)」と同じサイズの「基盤研究(B)」が非常に重要ではないかというようなことを議論いたしました。
 それから,二つ目が国際共同研究の推進ということでございます。27年度にスタートした「国際共同研究加速基金」の現状をまずフォローアップして,科研費における国際共同研究の推進方策について考えました。この基金の中心となる長期の海外活動を支援する制度につきましては,基本的な枠組みを維持させていただこうと考えております。一方で,現在,基盤研究の枠組みで実施している海外学術調査というのがございます。これを更に生かすべく,新たに基金化して発展的に見直してはどうかという方向で議論を進めさせていただいております。
 それから,もう一つ,現在の基金のメニューの中にあります日本人研究者を呼び戻すためにということで作りました制度の「帰国発展研究」について,これも今年度実際に公募・採択しましたが,その中身を見ていろいろと議論させていただきました。その対象を,外国籍の研究者であっても,日本の研究機関で長期的に研究をしようという方にも広げてはどうかという議論も現在,しているところでございます。
 それから,3番目が,研究者の挑戦をどうやったら促せるかということでございますが,これはいわゆる基盤的経費の厳しさから,科研費が取れなくなると,そこで研究が続けられないというようなことを皆さんいろいろと言われています。そのために,なかなか挑戦的なことに取り組まないというようなことが様々なところで議論されてまいりました。そういう中でも,応募機会の多様化,柔軟化というようなことについて検討しております。
 その中で,前期の審議会からの継続課題である重複制限の見直しということも議論しております。また,不採択となったときに,その助成水準の激変を緩和する措置の可能性についてもいろいろと議論いたしました。これはそもそも機関で取り組むものではないかと思われますが,科研費の枠組みでも何かできるのではないかと,いろいろな可能性に関して議論いたしました。
 これに関してはアンケートの中でも要望が実際にありました。しかし,実行するに当たっては慎重に検討した方がよいだろうということで,この夏までに意見を集約することは見送っております。ただ,実際には前年度応募の制限を緩和する等,いろいろと方策は考えられるのではないかということで,引き続き議論はさせていただきたいと思っております。
 この後,詳細な説明は事務局からしてもらいますが,きょう,ここで研究費部会においていろいろと頂きました御意見は作業部会に持ち帰って,再度検討の上,ここで御報告させていただこうと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 私の方からは以上で,続きまして,事務局の方から説明していただければと思います。
【西尾部会長】  小安先生,集中的な審議をしていただきまして,心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

(2)科研費改革に関する作業部会における検討状況について

【鈴木学術研究助成課長】  それでは,事務局の方から,資料3に基づきまして,小安先生の作業部会での御議論を踏まえて,今まとめつつある30年度の概算要求に向けた考え方につきまして,基本的なところを私の方から,できるだけ簡潔に御報告をさせていただければと思います。多少,今の小安先生のお話とかぶる点もあろうかと思いますが,御容赦いただければと思います。
 御案内のとおり,科研費改革の柱であります審査システム,それから,研究種目の見直しにつきましては,前期の審議会での御提言を受けまして,文部科学省におきましては,前回の部会で御報告しましたとおり,1月に「科研費改革の実施方針」の改定,また,4月には,「基礎科学力の強化に関するタスクフォース」の議論を取りまとめ,取組のこの基本的な工程というものを取りまとめたところでございます。
 この作業部会におかれましては,そうした基本工程をどのように具体化し,中身を深めるかということで御議論いただいているところでございますけれども,結果として,ただいま御紹介いただいたようなこの二つの柱ということで議論を整理いただいているところでございます。
 まず,1番目のこの「科研費若手支援プラン」の実行という1番目の柱でございますけれども,このプランそのものにつきましては,別紙の1にございますとおり,こちらも前期審議会でまとめていただいた内容ということでございますけれども,この別紙1の上の方に,基本的な考え方とございますとおり,博士人材育成と軌を一にして,研究者のキャリアに応じた効果的な支援作成を切れ目なく展開すると,そのような考え方の下に,これは「若手研究」種目に限らず,種目全体を通じた総合的な取組を進めようという趣旨のものでございます。
 また,この細かい内容の御説明は省きますが,このプランの中を見ていただきますと,いろいろ採択率等に関する研究がございますが,このプランと不可分の関係にあるのがこの別紙の更に2とあります。この研究種目の目的,性格,規模に応じた採択率,あるいは,充足率の在り方というものがございます。こちらについても,前期審議会で考え方,イメージを御整理いただいたところでございます。
 こうしたことを踏まえまして,この資料の1枚目にございますとおり,採択率の30%を目指す重点種目として,既にその水準に達している小型種目に加えまして,より規模の大きい2,000万円上限クラスの「基盤研究(B)」を位置付けると,そのような方針を御確認いただいたところでございます。
 また,その意義,必要性というものに関する議論を深めていただきまして,この2番目の丸にございますとおり,研究の高度化と国際競争の激化をはじめとするおおむね3点に整理を頂いているところでございます。
 もとより,こうした「基盤研究(B)」を採択率重点種目として位置付ける,そのように見直していくということ自体は,若手研究者の支援のみを目的とするというものではございませんで,研究者全体にとってのメリットを考えた御議論ということでございますが,タイミングという意味では,先ほど小安先生からお話がございましたとおり,「若手研究(A)」の「基盤研究」への種目への統合と,そういった時期にも当たるということで,その点も考慮に入れた措置を取っていこうということでございます。
 そういった意味で,「若手研究(A)」の統合に伴うこの拡充を図るという意味では,「基盤研究(B)」をはじめとして,さらに,「挑戦的研究(開拓)」及び「基盤研究(A)」の拡充を図ると,そのような方向で御意見をまとめつつ,おまとめいただいているところということでございます。
 さらに,科研費の配分に当たりましては,採択率のみならず,この充足率にも配慮が必要ということで,前期の審議会では,先ほどのイメージ図,別紙にもございましたとおり,全種目を通じての最低水準として,70%という目安をお示しいただいたところでございます。そういったその関係上,それを下回っている「若手研究」種目への手当てということが要検討ということになっております。
 また,29年度予算に基づく新規の取組,先ほど御報告いたしました「独立基盤形成支援」というものに関しましては,これは予算査定の結果で,前期審議会の構想とは異なりまして,対象種目から「基盤研究(C)」が除かれるという形になっております。ただ,これについては,今後,若手支援の充実というものをバランスよく進めていくという観点からも,要検討課題というふうに位置付けているところでございます。
 続いて,2番目の柱として,国際共同研究の推進ということでございます。こちらは,先ほど小安先生から既に丁寧な御紹介を頂いていますので,私の方からは簡単にと思いますが,今般の科研費改革のこの嚆矢(こうし),先駆けとなる取組というのはこの平成27年度に創設された「国際共同研究加速基金」というものでございます。これは海外への送り出し,日本への招聘(しょうへい),双方について重点支援を行っていこうという仕組みでございますが,まだ制度創設から年数も経ていないということでございますけれども,この支援対象となっている研究者の方々からの評価というのも総じて高いということもございますし,また,学術政策上の重要課題の国際化というものがなっておりますので,その国際化を加速させるという観点から,先ほど小安先生から御紹介があったような方向性で今,発展的な見直しということを検討させていただいているということでございます。
 具体的なこの見直しを行った場合の支援対象の範囲,あるいは,要件,そういった具体設計につきましては,本日の部会での御審議,さらに,それを受けての作業部会での御議論というものを踏まえて,事務局としても適切に対応していく方針ということでございます。
 以上,大まかな御説明でございますが,その二つの柱それぞれに関するより詳しい内容につきましては,また後ほど事務局の方から配付資料に基づいて御説明を差し上げたいと存じます。
 よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 来年度の概算要求に向けての大きな柱の一つが,「科研費若手支援プラン」に関するもの,もう一つが,国際共同研究の推進に関するものということで,今まで作業部会等々において審議をいただいてきたところでございます。
 そこで,まず,「科研費若手支援プラン」についての御議論をまずいただきたいと思っております。関連資料について,事務局から御説明をいただければと思います。
【石田企画室長】  それでは,説明をさせていただきます。資料4をお手元に御用意いただけますでしょうか。また,先ほど御説明申し上げた資料3の別紙1をお手元にごらんいただきながら,進めさせていただければと思います。
 資料4でございます。先ほど来,小安先生,鈴木課長から御説明申し上げた内容と重複感はあるかもしれませんが,一定程度お許しください。
 資料4,1ページ目をごらんいただくと,今後の「基盤研究(B)」に係る助成規模等の在り方について(案)ということで,作業部会で御議論いただいた内容,おおよそこのような形に落ち着いてきたというのを本日お示しするに至っております。
 基本的な考え方としては,前期までの審議会提言,これはより具体的に申しますと,いわゆる「若手支援プラン」でございますけれども,これに基づきまして,重点種目として,「若手研究」,「基盤研究(C)」に加えて,「基盤研究(B)」を位置付けることが適当という方向で御議論をいただいているところでございます。
 2個目の丸,現実の応募動向における「基盤研究(C)」の著しい増加は,その背景に,個人研究費の縮減,さらには,科研費の枠内でも採択に至らないリスクを回避しようとする御判断などがあったりするわけでございます。こうした動向は,科研費による成果創出の最大化,ひいては,学術の発展にとって好ましくない影響を及ぼしかねないという整理になっております。
 3個目の丸でございます。こうした点を踏まえて,改めて科研費の種目体系及び各基盤研究種目の枠組み等を整理するとともに,特に「基盤研究(B)」において,「若手研究(A)」の移行・統合に関わることも踏まえて,位置付け・意義の明確化が必要であるという御議論を頂いているところでございます。
 2番のシミュレーションでございますが,予算,概算要求にも多分に関係しますことから,ここに書いているのは飽くまでイメージでございます。より具体的に申しますと,「若手研究(A)」の新規募集を停止する。その行き先としては,「基盤研究」種目群ということでございますけれども,主として,「基盤研究(B)」というところにアプライいただくことが多かろうという前提でございます。
 ただ,作業部会で御議論いただいた内容としては,それだけでは不十分で,その他の種目,「基盤研究(A)」であるとか,「挑戦的研究(開拓)」,こうしたところにも財源の割当てというものが考えるべきでないかという御示唆を頂いているところでございます。このため,「基盤研究(B)」への予算振り替えを基本としつつ,「基盤研究(A)」等にも配慮するという方向が必要なのではないかという御議論を頂いたところでございます。
 2ページ目をごらんいただけますでしょうか。「基盤研究(B)」の今日的位置付け・意義の案というものでございます。一般的に,「基盤研究」というものを捉えた場合に,研究分野等の違いによって,各種目に対する見方,考え方等は多様であるわけでございます。そんな中で,「基盤研究(A)」,「(B)」,「(C)」について,一般的な考え方を整理した上で,今日的位置付け・意義を整理してまいったわけでございます。
 「基盤研究(A)」,「(B)」,「(C)」については,こちらに書いてあるとおり,研究者自身がその時点で実施したい研究の内容に照らして,必要な研究規模・内容等により,自発的に選択することが本質でございます。これは申し上げるまでもなく,もともとの制度のたてつけで「基盤研究(A)」,「(B)」,「(C)」というのは,大元は金額の刻みでしかない,金額で分けてあることでしかないというものでございまして,これまで各種目の性格というものを明確にしてこなかったわけでございます。
 しかしながら,長年にわたる制度運営や研究者を取り巻く研究環境の変化等を背景に,各種目に対する一定の考え方が研究者の間で共有されている面があるというのは御理解いただけるかと思います。
 それぞれの種目に対する見方,考え方,活用の仕方等は環境で大きく異なるわけでございますけれども,ある程度各種目の性格として示すことは可能であると考えられるということで,次のページをごらんいただけますと,様々な御意見が出るだろうというのは想定しつつも,おおよそこの辺に集約できるのではないかということで御議論いただきました。「基盤研究(C)」,「(B)」,「(A)」,それぞれの種目について,主な役割の例というところを紹介させていただきますと,例えば「基盤研究(C)」については,必ずしも実験を中心としない研究の場合,ある程度まとまった活動を支援しているのではないか。実験を中心とする研究の場合には,初期段階の活動や研究テーマの一部に着目した活動等を支援しているのではないかということ。次に,「基盤研究(B)」,主な役割の例として,「基盤研究(C)」を土台として,研究内容の高度化を図る活動を支援しているという側面があるということ,研究テーマを総合的・国際的に展開させようとする活動,さらには,個人単位から複数の研究者による共同研究へと発展させる活動を支援しているというような位置付けではないか。さらに,「基盤研究(A)」は,一定の総括を行う活動を支援しているのではないかというようなことで,おおよその性格付けというものをおまとめいただいたところでございます。
 これはひとえに,もともと「基盤研究(B)」の重要性を訴える場合に,その性格は何なのかということを明らかにしていく必要があるのではないかというところからスタートしたわけでございますが,この点については,「基盤研究(B)」を語るためには,「(A)」,「(B)」,「(C)」について併せて説明していかないとこれは説明不能であろうということの御示唆を頂いて,このような整理にしたところでございます。
 次のページをごらんいただきますと,「基盤研究(B)」の今日的位置付け・意義案の3番目といたしまして,取り巻く状況とさせていただいているところでございます。強いて言い換えますと,「基盤研究(B)」拡充の重要性とも取れるかと思います。
 大きく分けまして,3点でございます。
 1番目に,研究の高度化と国際競争の激化,2行目に書いてあります研究活動に要する経費は増加傾向にあるというようなことで,3行目にありますように,「基盤研究(C)」に偏ってしまっている形のままでは,国際競争上,我が国は劣勢とならざるを得ないというような御意見。
 次に,(2),「学術変革研究」種目群との関係。この「学術変革研究」種目群に「挑戦的研究」というものを設定し,さらには,その枠内に「(開拓)」というカテゴリーを設けたわけでございますけれども,その種目との相補関係を有効に機能させるためには,同程度の助成規模である「基盤研究(B)」における支援の重要性が更に高まるという内容。
 さらには,3点目,研究者の独立性の確保,層の厚みの確保という観点。真(しん)に独立して研究室を持続的に主宰・運営し,思い切って真理の探究に望めるようにするためには,小規模研究種目による支援のみでは十分とは言い難いということ。上記(1),(2)をも踏まえると,少なくとも「基盤研究(B)」級の支援を充実させることが,アクティブな研究者層の厚みを確保し,学術研究の多様性を持続的に支えていく上では欠かせないという内容で作業部会における御議論がまとまっている現状でございます。
 5ページ目,6ページ目は参考資料でございますけれども,5ページ目は,「基盤研究(S)」,「(A)」,「(B)」,「(C)」の分野別の採択状況,これは平成28年度の新規採択の状況を集計したものでございますけれども,例えば,「基盤研究(C)」をごらんいただくと,医歯薬学の分野,さらには,いわゆる人文学,社会科学に関する分野の採択のシェアが大きい。これはニアリーイコールで,応募もそれなりに多いということは先生方には御理解いただけるかと思います。他方,大型研究種目では,総じて理工系の割合が多くなる傾向にあるというのはごらんいただけるかと思います。
 最後に,参考といたしまして,6ページ目,米国の研究機関における配分実績という内容でございまして,NSF,NIHの過去の公表データに基づく配分実績というのを一覧にさせていただいたところでございます。1件当たりの配分額をごらんいただくと,「基盤研究(C)」に比べれば多めかということが確認いただけるかと思います。
 この辺り,資料4の内容というのをここに至るまで作業部会で議論を煮詰めていただいたところでございます。この内容を踏まえて,意見交換をしていただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】  石田室長,どうもありがとうございました。
 今,御報告がありましたように,科研費は学術研究の命綱になっておりますので,概算要求の結果としてそれが減るようなことがあっては大変なことになります。その対策をどこまで強固にできるかということで,作業部会の方としては,その一つの柱として「基盤研究(B)」に焦点を当て,若手支援プログラムという形で位置付けていくというシナリオです。
 そういう観点からしますと,今,石田室長から御説明いただいた以外に,もう少し「基盤研究(B)」についてはこういう重要性が言えるのではないか等,それをより強化するための様々な御意見をいただけると非常に有り難く思っている次第です。
 今御説明いただいたことに対していろいろと御意見いただければと思いますが,いかがでしょうか。
【城山委員】  「基盤研究(B)」をターゲットにして強化するという今回の話の外枠の話になるので,少々横道の話かもしれないのですが,今御報告いただいた中で,今回,「挑戦的研究」に「(開拓)」というのを作って,それで新しいことをやって,その受皿として「基盤研究」は大事なんだというのは,一つ重要なロジックなのかなと思います。
 他方,この「挑戦的研究」の「(萌芽)」ではなく,「挑戦的研究」の「(開拓)」の方の受皿というのは,「基盤研究(B)」だけなのか,あるいは,「基盤研究(A)」というのをどう位置付けるかという話も同時に考えておく必要があるのかなと思います。
 そういう意味で言うと,その前の方の資料のところで,「基盤研究(B)」のところ,3ページの総括で,研究テーマの研究内容の高度化を図るとか,総合的,国際的に展開させると,正に一歩進めるというところのニュアンスがよく出ていると思うのですが,「基盤研究(A)」の方の位置付けは,研究規模の更なる拡大と一定の総括という話になっていて,比較的守りというか,余り挑戦的なことをやって受け止めるという書き方になっていない。そういう意味では,「基盤研究(B)」を際立たせることにはなっていると思いますけれども。
 他方,実際やはり「基盤研究(A)」の側面の役割というのもあるのかなと。恐らくここは後で議論になりますと,「新学術領域研究」との関係で「基盤研究(A)」をどう位置付けかということも課題になると思うので,そういう意味でいうと,挑戦的なものを「基盤研究(B)」で受け止めるという話は重要だけれども,「基盤研究(A)」で受け止める部分もあるので,「基盤研究(A)」と「基盤研究(B)」というのをどのように,そういう意味で差別化するのかというところをもう少し理論武装が必要なのではないかなと。では,どうやったらいいのかというのを本当は言うべきなのですが,すみません,ちょっとそこまでは思い至っていないのですが,その点を考えた方がいいのではないかなというのが,1点です。
 あとは,これは細かな点ですが,文系と理系で多分この辺のストーリーも若干違うのかなという感じがしていて,これは「基盤研究(C)」のところの位置付けでも,文系の場合には比較的,特に個人で完結する研究の場合には,「基盤研究(C)」でも一定のことがきちっとできるという,そういう位置付けになっていますので,そういう意味で,「挑戦的研究」との関係でも,「挑戦的研究」の恐らく「(萌芽)」をやって,新しい「基盤研究(C)」をやるというのは文系のラインとしてもあると思うんですね。
 そういう意味で,「挑戦的研究」をどういうふうに「基盤研究」の方が引き受けるかについては,「基盤研究(A)」の話もあり,「基盤研究(C)」の話もある中で,「基盤研究(B)」というのがどういう位置付けなのかというのを明確にする作業をもう少しやった方がいいのかなという印象を持ちました。
 以上です。
【西尾部会長】  どうも,貴重な御意見,ありがとうございました。
 今の御意見に対して何かございますか。小安先生,どうぞ。
【小安委員】   実は「基盤研究(A)」の挑戦性に関しては,「挑戦的研究」という話をしたときからずっと続いている議論ですけが,全て科研費の研究は挑戦的でなければならないというのはそのとおりです。特に今回,「挑戦的研究」という枠組みの中に「(開拓)」というのを作り,「基盤研究(A)」と「(開拓)」は重複制限が掛からなくてどちらにも応募できるとしましたが,「基盤研究(B)」の場合には応募件数や審査の問題などいろいろな事情から重複制限を外すことができなかったということがあります。
 ですから,そこの間の差別化ということは少し考えました。
【西尾部会長】  なるほど。貴重な御回答,ありがとうございました。
【白波瀬委員】  少し城山先生とも関連しているのですが,「基盤研究(B)」に説明が集中し過ぎといった印象をもちました。やはり全体像があって,その中での「基盤研究(B)」というのは,ある意味で,多様な専門分野において,様々なステージの方が研究展開しやすい一つの予算規模だと思います。
 ですから,「基盤研究(C)」が何で「基盤研究(A)」が何で「基盤研究(B)」という説明よりは,私は科研費の総額はまだ大きくすべきというか,まだ十分だと思っていませんので,これから学術立国として,世の中を,少子超高齢化の中で,グローバルにもリーダーシップを発揮するためには,それなりのインフラなり,財源が必要です。そういう意味ではもう少し積極的に行くというか,「基盤研究(B)」の位置付けをもう少し全体の中で強調し,今,繰り返しですけれども,多様なステージと多様な分野のところでの一つのプラットフォームになり得る予算規模であるので,ここに集中的にという説明が一つ。
 それが,言い換えれば,「基盤研究(C)」と「基盤研究(A)」じゃなく「基盤研究(B)」,ではなくて,全体の中で特に「基盤研究(B)」がという説明の仕方の方が,説得力があるのかなと感じました。例えば,参考の5ページのところ,「基盤研究(C)」,人文系は少ないからというのはありますが,これは平均値の話でございまして,いろんな展開が人文・社会系においては可能であるべきだと思いますし,文理融合,新しい形という点でも,もしかしたら,数としてはまだ平均的には少ないかもしれないけれども,やはりものすごく必要なところで,大規模な研究費が欲しい分野もございます。
 そういう意味では,既にあるデータを所与にしてお考えいただくと,若干,既存の形に依存してしまうので,もう少し将来的なデザインをもって,人文系についても位置付けていただいた方が,もう少し躍動感が感じられるようになるかなという感想を持ちました。お願いを含めての意見です。
 以上です。
【西尾部会長】  どうも貴重な御意見,ありがとうございました。
 今の御意見の中で,若手支援ということの「若手」というところを更にどのように「基盤研究(B)」で生かすかということが重要と考えます。実験系では,「基盤研究(C)」等で推進してきた,どちらかというと個人ベースの研究をさらに大きく発展させる場合には,金額的には「基盤研究(B)」でないとなかなか難しいと思います。また,実験系でない場合は,異分野の研究者達を含めた融合的な研究を推進していく上での予算規模としては,「基盤研究(B)」は非常に魅力的だと思います。
 そのような中で,日本の科学技術の将来を考えたときに,若手の研究者が大きく成長していく上で特段重要な種目として「基盤研究(B)」の意義があると言うことを,今おっしゃったダイナミズムを持ってどのように記述したらよいかが課題ですね。もちろん,「基盤研究(A)」も「基盤研究(C)」も重要ですけれど,「基盤研究(B)」が若手研究者に対して特別に持つ意義の具体的な記述をいかにするかですね。
栗原先生,どうぞ。
【栗原委員】  重なりますが,たしか「基盤研究(C)」の使途はほとんどが消耗品と旅費等で,設備は「基盤研究(B)」でないと,ほとんど購入できないというような実態があって,研究の一定の展開には「基盤研究(B)」が必要であるということが数字からも従来,知られてきていることだと思います。
 それで,「基盤研究(C)」として1.1万件で採択率30%ということなのが,この「基盤研究(B)」では3,000件で25%では,展開として,数字的なバランスが非常に悪いと思いますので,是非,研究費の用途と,それから,数字的なところを併せて,研究の展開には必要であるということを御説明いただければと思います。
【西尾部会長】  今,白波瀬先生,また,先に栗原先生から言っていただいたように,「基盤研究(B)」というのは,予算規模としては非常に重要な種目であるということが言えると思います。それが25%の採択率では,これは日本の科学技術にとっては非常に危機状態だというようなことは相当強く言えるのではないかと思いますが,いかがでしょうか。
 【鍋倉委員】  私が関連している医歯薬学の分野などでは,「基盤研究(C)」は消耗品等の購入が研究費の大部分を占めるということが多々あります。機器を買うには「基盤研究(B)」程度の助成額が必要です。ところが,「基盤研究(B)」を獲得すると,今度は「基盤研究(B)」を維持しようとする傾向があります。しかし,「基盤研究(B)」で研究環境を整備して,「基盤研究(C)」にまた戻るという,選択肢の中に位置付ける「基盤研究(B)」の強化という考えもあると思います。
【西尾部会長】  なるほど。
 特に基盤経費が非常に厳しい状況の中で,自身の研究に設備の整備が必要な場合に,「基盤研究(B)」によって設備等を整えた上で,また「基盤研究(C)」による研究に戻っていくといような,そういう循環もあるということですね。
【鍋倉委員】  そうですね。そういう考えの「基盤研究(B)」というのもあるかと思います。
【西尾部会長】  どうぞ。
【射場委員】  3ページの資料の「基盤研究(B)」のところとか,「基盤研究(A)」の主な役割に,「基盤研究(C)」で得られた知見を土台としてとか,「基盤研究(B)」で得られた成果を土台にしてと書いてありますよね。ここは私,すごくいいと思ったのですが,あまり科研費で研究成果について語られることは少ないのですけど,ここでその研究成果に基づいて,次のステップの研究につないでいくという表現はすごくいいなと思いました。
 そう思って,この別紙1を見ると,別紙1で個々の種目の関係を書いていますが,「基盤研究(C)」から「基盤研究(B)」に行って,ここ,「基盤研究(A)」の記載がないですけれど,その矢印,ないですよね。その代わりに,「若手研究」から「基盤研究(C)」に行ったり,「挑戦的研究(萌芽)」に入れたりするみたいな,これも成果に基づいて,この細い矢印,あると思いますので,こういう表現をこちらにも入れると,いいのではないかと思いました。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 おそらく,「基盤研究(A)」,「基盤研究(B)」,「基盤研究(C)」という特徴をどのように捉えるかというのは,事務局の方でも相当苦労されたと思うのですが,その苦労の末に本日の資料の段階まで何とかブラッシュアップいただいたということかと思います。そして,更に今,貴重なコメントの数々をいただきまして,それらの特徴付けが深まりました。ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
【橋本委員】  少しよろしいですか。
【西尾部会長】  どうぞ。
【橋本委員】  私もこの議論に参加してきましたが,今日お話を伺って思い付いたことがあります。栗原先生が言われた使途の問題です。「基盤研究(C)」は主に消耗品である。それから,小さいものは「基盤研究(C)」でも買えないことはないですけど,装置は「基盤研究(B)」になるということです。もう一つ,その使途の中で,人件費というのを考えることができます。特に若手をこれから育てようというときに,いわゆる育った若手のちょっと手前の学生も含めて, こういう人々を入れて展開できるのは「基盤研究(B)」からではないかという気がします。
 ですから,「基盤研究(B)」なのだけれども,人にそれはかなりのお金を使って,その他は「基盤研究(C)」規模というのが「基盤研究(B)」の中にかなりあるのではないかと思います。そういう意味で,これも重要な「基盤研究(B)」の要素かなという気がします。その辺も考えてみたいと思いました。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 永原先生,どうぞ。
【永原JSPS学術システム研究センター副所長】  日本学術振興会としての統一見解ではなくて,私個人の見解ですけれども,科研費の基盤種目は,1人又は少数の研究者が行う研究という位置付けになっております。ところがただいまの御説明では,研究者の実態としては種目はある種ステータスであるということが文科省サイドから認められることとなってしまいます。これは本来はあるべき姿ではなくて,先ほどどなたかおっしゃいましたように,本来は必要に応じて必要な規模の科研費を取るというのがあるべき形かと思います。
 ただし,この5ページの参考資料をごらんいただくとわかるように,分野によって,非常にニーズが違っています。理工系ですと,大型のニーズが高い一方,医歯薬系のように,小さい種目への応募が多い等の多様性があります。したがって,学術全体を見渡すなら,「基盤研究(B)」というのはある種,平均値的に最も学術を強化できるという意味で「基盤研究(B)」を強化していくということであれば,私にはすっきり理解できます。
 「基盤研究(C)」から「基盤研究(B)」になると,1人が複数になったり,「基盤研究(A)」になると,更なる拡大であったりという位置付けにしていただくと,科研費の基盤種目は,大勢でやる「新学術領域研究」のような種目のようになってしまい,科研費それぞれの種目の定義から若干ずれるのではないかという懸念があります。
 したがって,「基盤研究(B)」を強調するというのは,全分野のニーズに適切に応えられるという意味で良いのではないかと思います。これは全く個人的意見ですけれども。
【西尾部会長】  分かりました。
 上田委員,どうぞ。
【上田委員】  もともと,この制度改革の方の議論にも加わっていたのですが,重要なことは,「若手研究(A)」がなくなって「基盤研究(B)」に移行するわけですよね。だから,その分の予算というのは研究予算にどれぐらい補塡しておかないといけないのか,「基盤研究(B)」の方に。そういう情報が余り明記されてないので,その上乗せが当然あるはずですから,そこをもう少し資料にきちんと書いた方がいいような気がします。
【西尾部会長】  それは今,事務局の方としてどうですか。
【石田企画室長】  その点については,実際に「若手研究(A)」にこれまでアプライいただいていた方が,どのように推移していくかということのシミュレーションをやっているところでございますけれども,それらをオンした場合の需要動向というのを踏まえて,ある程度の必要性というのを煮詰めてまいりたいと思っていますが,本日の段階ではまだ間に合っておりません。御了承いただければと思います。
【西尾部会長】  上田委員のおっしゃったところが,「若手」ということを言う場合に非常に大事だと思いますので,それに関するエビデンスベースでのシミュレーションをするようなことを,是非お願いしたいと思います。
 ほかにございますでしょうか。
 先ほどは,永原先生のお立場での非常に貴重な意見をいただきました。
 もう一方で,「基盤研究(C)」から「基盤研究(B)」へ行き,「基盤研究(A)」へとある種のアップグレードしていく,そのプロセスにおける「基盤研究(B)」の重要性も言っていただきました。
 最終的には,いただきました様々な御意見が完全に別物というものではなくて,それらを統合化して,いかに今回の概算要求の「若手支援プラン」における「基盤研究(B)」の重要性を強調して,事務局の方でより強力なものに仕上げていっていただければと思いますので,どうかよろしくお願いいたします。
 それでは,はもう一件ございまして,今度は,国際共同研究の推進についての議論になります。関連資料について,事務局から御説明をお願いします。
【石田企画室長】  それでは,御説明させていただきます。資料5-1から3,あと,委員のお手元に参考資料としておかせていただいている資料,さらに,あわせて,資料6-1,6-2まで続けて説明をさせていただきますので,お許しいただきたいと思います。
 まず,今御指摘いただいた国際共同研究加速基金に関することでございます。振り返っていただくと,4月に開催されました本部会において,事務局説明として,短期的に当面の審議事項ということの一つに,国際化の推進の在り方,国際共同研究加速基金のフォローアップ等ということの必要性について御説明申し上げ,以後,作業部会で審議付託されて御議論いただくということを御了承いただいたわけでございます。資料5-1から5-3というのは,ここまでに御議論いただいた内容をお示しするものでございます。
 まず,国際共同加速基金,既に御承知のこととは思いますけれども,一応,概要を含め,簡単におさらいしてまいりたいと思います。5-1の1ページ目でございます。
 狙い等はこの箱の中に書かれているものでございまして,国際共同研究加速基金の枠組みとしては,1の「国際共同研究強化」という内容,将来にわたり研究分野をけん引する教授,准教授等を厳選して国際共同研究を強化しようとするもの。1個飛ばしまして,3の日本人研究者の「帰国発展研究」,海外におられる日本人研究者の「呼び戻し」に資するような内容。真ん中の2番目というのは,これは補助金種目に現在予算上移行しておるところでございまして,主として,1,3のフォローアップ,さらには,新たな施策の必要性に鑑みて,作業部会で御議論いただいたところでございます。
 2ページ目のスライドをごらんいただきますと,具体的な公募の内容がございます。
 左側に「国際共同研究強化」がございまして,趣旨をごらんいただくと,科研費で既に採択されている方が研究計画について国際共同研究を行うことで,その研究計画を格段に発展させることを目的とするというものでございまして,応募資格上,年齢制限があったり,具体的には応募の内容として,渡航費・滞在費,研究費,代替要員確保のための経費を計上するということ。渡航期間は6か月から1年というスキームであるということ。
 次に,右側をごらんいただくと,「帰国発展研究」がございます。趣旨としては,海外の研究機関等においてすぐれた研究実績を重ねた「独立した研究者」が,日本に帰国後にすぐに研究を開始できるよう,研究費を支援する,予約をするというスキームでございます。対象,応募資格,応募総額等々は,ごらんいただいてお分かりのとおりでございます。
 次のページ以降,ごらんいただけますでしょうか。3ページ目にございますのは,これは公募に関するスケジュール等でございまして,省略をいたします。
 4ページ目から,この中の「国際共同研究強化」の応募・採択状況を,いろんな態様,百分率で示したものでございます。4ページ目にございますのは分野別の応募・採択状況をグラフ化したものでございます。5ページ目は機関種別の百分率でございます。6ページ目は職種別の百分率というものでございます。7ページ目は年齢別というものでございます。特徴があってないようなものでございまして,満遍なく応募・採択されているということがおおむね御理解いただけるかと思います。厳密にいう採択率は若干違ってくるというものでございます。最後に,基課題別というのが8ページ目にあるわけでございまして,一番多いのは「基盤研究(C)」ベースの件数ということになるわけでございます。
 これが国際共同研究加速基金の現状というものでございます。
 なお,「帰国発展研究」については,まだほとんどサンプルがございませんで,ここにグラフ化等をすることはできませんことを御了承いただければと思います。
 資料5-2をごらんいただけますでしょうか。これは,先ほど,小安先生から,作業部会の検討の状況を御紹介いただくとともに,鈴木課長からも検討の方向性,さらには,それらを踏まえた概算要求の検討の状況について触れましたけれども,説明が重複する部分がありますことを御了承いただければと思います。
 先ほど来御紹介した国際共同研究加速基金の枠組みに現状入ってない部分でございますけれども,議論の流れとしては,現行,「基盤研究」の枠組みの中で,「海外学術調査」という審査区分があるわけでございます。資料5-2の冒頭部分でございます。このようにして長年運営してきたわけでございまして,具体には,2行目にありますように,国外の特定地域におけるフィールド調査等を伴う研究を「基盤研究」の一般とは別枠で支援する仕組みであったというものでございます。応募・採択状況はこの表の中のとおりでございます。
 見直しの方向性について御説明しますと,まず,学術の動向,今日的課題を踏まえた対応の必要性として,丸の1個目,今日,国際的な共同研究,ネットワーク形成は,全分野を通じた普遍的な重要性を持っているのではないかということ,そんな中で,「海外学術調査」の成果,例えば,国際共著論文の割合は,全体の中でも高い割合を占めるというような実績をも踏まえるならば,こうした国際化の推進に特化した制度の充実は強く望まれるであろうということでございます。
 次に,現行制度の特異性とあえて書かせていただいているところでございます。一方で,現行の制度は,フィールド調査等に限定をしていることから,全分野の振興を趣旨とする通常の科研費においてはやや特異な制度となっているということが言えるかと思います。3行目の真ん中辺りから,前述の学術の動向・課題を踏まえるならば,研究対象・方法の一般化を図って,競争的環境の下でより有効な支援を行うことが本来の在り方であろうということでございます。ただ,仮に在り方を見直したとしても,今現行対象にしているフィールド調査等々を行う研究は当然に含まれるという考え方でございます。
 次のページをごらんいただけますでしょうか。補助金制度の制約。国際共同研究を加速するためであれば,やはり基金による仕組みに改めることが適当であるというのはこれは言わずもがなであろうかと思います。
 次に,長期派遣の補完の必要性ということでございます。先ほど御説明した「国際共同研究強化」という制度があるわけでございますけれども,これは半年から1年程度という長期の派遣を重点支援するものであります。こうした形態に限らず,より多様かつ柔軟な海外活動を認める仕組みを充実させることにより,海外研究者との連携強化を加速させることが期待できるのではないかということ。
 さらには,次の見出し,若手育成,成果創出等の促進というものでございまして,見直しに伴って,若手研究者層の参画を義務付ける,義務化するといった仕組みを入れることにより,国際共同研究の基盤を中長期的に維持・発展させることが可能となるのではないかというようなこと。こうしたことによって,現下の政策課題への対応が一層効果的に推進されるのではないかという御意見を頂いた内容を集約したものがこの5-2でございます。
 続きまして,資料5-3でございます。もう一点,こちらも先ほど御紹介いただきましたけれども,「帰国発展研究」の発展的見直しの意義・必要性でございます。
 現行制度の概要というものは,要約いたしますと,この制度の対象は,日本人研究者だけが対象となっているということを言っているところでございます。
 2.の見直しの方向性でございます。
 国内の研究機関に所属する研究者については国籍不問としている原則との整合性という観点で,御案内のとおり,科研費制度は,日本国内の研究機関に所属する方であれば,国籍というのは特に問わず,支援対象としているわけでございますけれども,この枠組みでは支援対象から外れているというのが現状でございます。丸が三つ並んでおりますけれども,丸の3個目にありますように,日本国内の研究機関に異動して研究を行おうとしている外国人研究者の方についても本制度の支援対象者とすることが適当であるということ。
 さらには,次の見出し,外国人教員の割合向上など,大学の国際化を推進する政策動向との関係という見出しが書いてございますけれども,こうした内容については,多くの大学において,国際戦略の主要な柱の一つとされるとともに,第5期科学技術基本計画においても,こうした方向性を重視していることは確認いただけるかと思います。
 こういう方向性等々を勘案して,「帰国発展研究」の枠組みに外国人研究者の若手も対象に含める方向で見直してはどうかという方向性について御示唆いただいたものでございます。
 なお,一つ飛ばしましたが,2.の丸3のところ,前期研究費部会において了承済みということがこの次のページにございます。実は,2年前の研究費部会において,この外国人研究者の予約採択の要件,要件緩和については一定程度御了承いただいていたという経緯がございます現状,これは実現しておりませんけれども,実現に向けて検討してはどうかということで御示唆いただいたものでございます。
 資料5-1,5-2,5-3ということが,早口の説明になりましたけれども,委員のお手元には,科研費による国際共同研究の推進のイメージというもので,これらを要約しますと,おおよそこのように整理できるのではないか,分かりやすく示したものでございます。
 現行の仕組みが左側にあり,右側にあるのが新たに見直し後の仕組みとしてはこのような構成にしてはどうだろうかということでございまして,この国際共同研究加速基金の中に新たに海外学術調査も改めて,これはネーミングを表すのがなかなか難しいということで,ここに書いてあるような仮称の名称で整理,今のところ,整理をさせていただいているところでございます。
 この次のページには,現行の「国際共同研究強化」と「海外学術調査」と,見直し後の種目案との単純な,ここに至るまでの検討過程で比較したものというのも付けさせていただいているところでございます。これらについては,様々な御意見が出るかと思いますけれども,ここに至る議論をベースとして,前向きに御検討いただければと思います。
 最後になりましたけれども,資料6-1,6-2というものは,研究費の安定性に関するアンケートということで,先ほど御説明申し上げました資料4との関係がより色濃いものになろうかと思います。本日は,この6-1,6-2,参考程度に捉えてもらえばということで,1個1個の紹介は,恐れ入りますが,省略させていただこうと思います。
 念のため申しますと,資料6-1は,研究担当理事向けのアンケートという形で進めさせていただいたところでございますけれども,この中には,とりわけ,採択に至らないリスクに関して,科研費の中でも小規模研究種目にシフトする傾向について御確認いただくとともに,そこに対する問題意識などがアンケートの結果として表れており,数値の内容としても実際出てきているところでございます。
 この国際共同研究加速基金の見直しと関連しない部分もございますけれども,こういった内容も参照いただきながら,議論を進めていただければ幸いでございます。
 長々と申し訳ございません。御審議をよろしくお願いいたします。
【西尾部会長】  石田室長,ありがとうございました。
 今までのいろんな検討を踏まえた,また,作業部会でも鋭意御検討いただきまして,私としましては,非常に妥当な形での改革のイメージが出ているのではないかと思いますけれども,皆様から御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。
【城山委員】  質問のような形になりますが,「海外学術調査」の見直しの資料5-2で,方向性としてはおおむね理解可能なものだというふうに思います。
 そもそも何でこの制度が特異なものという評価をされながら残ってきたのかというところの理解に関わる問題ですが,一つは,例えばこの資料5-2の1ページ目の真ん中辺りに制度の沿革というのがあって,多分,昔であれば外国旅費が使えなかったので,こういう特別枠があったというのは極めて理解可能だと思いますし,平成11年まてですかね,その「基盤研究」種目における外国旅費の使用の可能性というのは限定されていたのであったということは分かりますが,そもそも,平成11年以降,なぜ残っていたかというところで,ここの理屈は,海外でのフィールド調査に関する急激な変化への配慮の必要ということ,これは一体何を意味するのでしょうと。何で残ってきたのかというところの,そもそもの質問が一つです。
 それから,もう一つ,これは応募件数200件,1,000件というように書かれているのですが,これは,例えばどういう分野か,どうなっているのかと。例えば文化人類学でアフリカに行かなきゃいけないとか,そういうのは何かありそうな気はするのですが,そもそもある一定の分野がこういう枠を使っていたということなのかどうなのかということを教えていただきたい。
 逆に言うと,それはどういうことかというと,仮にこの枠を廃止したときに,仮に一定の分野が作った,使っていたのだとすると,そこの人たちは恐らく通常の「基盤研究」に応募するということになると思うんですね。
 したがって,つまり,今回議論しているような既存のプロジェクトがあって,更に国際性を追加するためにいろんな支援枠組みが必要ですよということではなくて,恐らくこの種の分野は行かないことには話が始まらないという分野なので,多分アドオンではなくて,基盤としてこういう作業が必要なので,そうすると,多分,行き先を新しく作る国際の制度ではなくて,恐らく「基盤研究」に対する需要が増えるだろうと思います。
 だから,そこは競争が多少激化するのか,それは公平な競争なのでいいということはいいのですが,多分そこの手当てを総量として多いのであれば,若干しておかないとまずいのかなというのが2点目です。
 あと,3点目は,新しい御提案で,このイメージ図で,「国際共同研究強化(B)」案というのは,要するにこれも「国際共同研究強化(A)」案と一緒に,既存のプロジェクトを取っている人が,この国際的な側面を強化するときにアドオンで付ける,応募するという話なのか,独立で何かやってもらうということなのか。その辺の御説明がなかったので,教えていただければと思います。
 以上です。
【西尾部会長】  3点ございましたが,事務局からの回答をいただけますか。
【石田企画室長】  分かりやすい方から説明をさせていただきます。最後に御質問がありましたお手元のイメージ図の中の「国際共同研究強化(B)」というものでございまして,今般提案させていただいているものでございますけれども,これについて,基盤課題があって,アドオンで実施できるものかという御質問だと思いますけれども,「国際共同研究強化(B)」についてはそういうことではなくて,単独でも実施できるというスキームで検討いただいているところでございます。
 これは,現行の海外学術調査のスキームというのが,「基盤研究」の一般とは別に応募,受給いただけるというスキームで運営していることもありますので,その精神は踏襲する形でよいのではないかと考えているところでございます。
 あと,今のアドオンと意味合いが異なるかもしれませんけれども,実際に海外に出掛けていって,共同研究をベースにしつつも,今までこの「海外学術調査」の枠組みを使って研究をされていた方々等のことを考えますと,「基盤研究」の側(がわ),さらには,新たなこの国際共同研究加速基金における枠組みの側(がわ),そのそれぞれについて,一定の受皿としての支援規模というのを確保するべきではないかという御示唆だと思いますけれども,それは予算に絡んでくることもございますので,今明確にお答えすることはできません。しかしながら,そのような視点というものは引き続き作業部会でも,このような御意見があったということも踏まえて御議論いただくということを考えたいと思います。
 前後いたしましたけれども,最後に,資料5-1,制度の沿革の部分,平成11年うんぬんと書いてございます。この時代,現行の基盤研究とは別の体系で「国際学術研究」というカテゴリーがございました。それを,いわゆる「基盤研究」においても外国旅費は使えるように制度変更をするときに,そのような研究スタイルのものは全部「基盤研究」で実施できるでしょうという方向で審議会の御議論も頂いて進めていたところでございました。
 それは確かにできると思われますけれども,「基盤研究」の一般の枠組みに全て入ってきたときに,この当時の考え方として,フィールド調査を主体とするような研究テーマは,当時の助成規模の枠内で大丈夫なのかという考え方もあったのだと思われますが,基盤研究の枠組みで審査が行われると,ちょっと不利になってしまう可能性があるのではないかという懸念があったというのはございます。
 そういう意味で,抽象的な表現だったかもしれませんけれども,フィールド調査に関する急激な変化への配慮の必要性というのは確かに議論として,この当時はあったということがございます。当時の議論を基にすると,そのような考え方でございます。
【城山委員】  要するに,理解としては,これから十数年たって規模も大きくなっているので,「基盤研究」の方で基本的なところは受け止められるだろうという認識を再度確認するということでよろしいでしょうか。方向性としては既に十数年前にそういう方向性は確認されていたということをこの段階で実施するということなのでしょうか。
【西尾部会長】  それでよろしいですね。
【石田企画室長】  そのとおりです。全てそれは,先ほど来御議論いただいている議論の中に,やはり現下の厳しい研究環境というものもあろうかと思いますので,通常の「基盤研究」,現行,一般と呼んでおりますものの枠組みだけで全て対応できるかというと,やはりそれは無理もあるということで,国際共同研究に特化したようなスキームというのは政策立案上そういった枠組みも必要ではないかというふうになっております。
 ですので,「基盤研究」に全部行っていただければいいとは思っておりませんけれども,別の枠組みとしては,必ずしもフィールド調査に限定しない形で,より多様な分野から応募いただきやすいような設計にしてはどうだろうかということで御議論を進めていただいたところでございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 小安先生,どうぞ。
【小安委員】  もう一つ補足ですけれども,もう一つは,これは基金に持っていくことができれば,やはり特に外国と日本との年度の違いということに配慮すると,やはり外国で活動する際に非常に有利だろうということも考えました。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 甲斐先生,どうぞ。
【甲斐委員】  「海外学術調査」研究を,今度,新たに「国際共同研究強化(B)」に入れるという案ですけれど,私はとてもいい改革かなというふうに思います。
 先ほど来お話にあるように,海外でのフィールド調査のために海外学術調査という形で残されたという経緯があって,確かにこの種目以外では研究費を獲得しにくく,守らねばならないという分野はあるのでしょうけど,別にその分野を侵すということではないと考えます。もともと国際共同研究を強化すべきという考えで国際共同研究加速基金が作られて,これからは国際共同研究を増やすんだという明確な意思を科研費は打ち出しているわけですね。
 そうなると,今までのフィールド調査も必要だけれども,フィールド調査に限らず,先進諸国と共同研究を本気でやっている,あるいは国際共同研究が必須だという研究もあるわけですが,それを特別に支援する研究費はなかったわけです。基盤研究で海外渡航費等は支出できますが,本格的に共同研究を行っていると「基盤研究(B)」や「基盤研究(A)」のお金だけでは不足するわけです。旅費以外に,長期滞在費や,共同研究先で掛かる経費もありますし,通常の「基盤研究(B)」等では十分ではない。だからアドオンさせて加速させようという考えなので,国際共同研究加速基金の考え方に合致していると思います。これを入れたために全体経費として足りなくなって前のフィールド調査などを侵すのでしたら,積極的に概算要求をして,さらに国際共同研究を強化しようという動きの予算要求というのはしていっていいと思います。
 その裏のページの5-2の2ページ目の長期派遣の補完の必要性という御説明がございますけど,この中に,「国際共同研究強化」制度というのが半年,1年制という長期の派遣を重点支援するもので,派遣形態がこれに限っているのだという御説明があって,これは正しいと思います。
 もう一つ,「国際共同研究強化」制度には年齢制限が掛かっています。今度,若くしましたが,若くしたところで45歳まで。この人たちは経験を積むことによって,将来,教授,准教授となって分野をけん引していく人になるべきだと,こう書いてあるわけですね。この人たちが,45歳になると,もう自分は行けない,しかも若手ももう送れない,普通の「基盤研究(B)」でやりなさいというのはちょっと趣旨と異なるかなと思います。せっかく海外とのコネクションを得たら,今度は,自分のチームはそことのコネクションを強化して共同研究を発展させたい。そういう流れが国際共同研究強化となるわけですよね。そういうときの経費がない。それはおかしいですね。そこで,新たな枠組み(「国際共同研究強化(A)」でしょうか)で,既に持っている科研費に加えて海外との共同研究を若手の派遣も入れながらさらに発展させていくことを支援する,という案はとても良いと思います。この新たな枠組みに年齢制限もないことや,若手派遣を義務づけることなどの説明は,十分できると思います。
 そういうことを考え合わせますと,未来の発展というふうにして,「海外学術調査」を「国際共同研究(B)」にするというのは非常に意義のある試みではないかなと考えます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 事務局からコメントはございますか。
【石田企画室長】  1点だけ補足をさせていただきます。
 若手研究者層の参画を要件化してはどうかというのは,ある意味,事務局提案的なところもあったわけですけれども,今回のこの「海外学術調査」の発展的見直しの背景として,日本学術振興会における現行制度の見直し提案に関するレポートがあったわけでございます。資料5-2に添付しておりませんけれども,もともと背景としてございました。
 その御提案の中に,この現行制度のスキームも,やはり海外の研究機関,研究者グループとの連携に基づくような調査として多くの場合,行われているであろうということがあったわけでございます。ただ,そこで御提案いただいたのは,そういった海外の研究機関,研究者とのネットワークというものをより強固なものにしていく,維持,発展させていくというような性格を色濃く出した方が,学術研究の進展にとって重要だろうという視点が示されていたわけでございます。それもありまして,この資料5-2のような御議論を進めていただいたところです。
 その中で,海外とのネットワーク,基盤形成ですね。こういったところというのは,やはり若手研究者の方々にも参画いただいて,中長期的な基盤として推進していただいた方がよいのではないかというのが私どもからの提案でございまして,その方向性についてはおおむね妥当であろうという御議論を頂いていたところでございます。
 以上,補足でございます。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 ほかに御意見,ございますか。来年度の概算要求に向けて,二つの柱を想定しているわけですけれど,この国際関係というのは,第5期の科学技術基本計画のこと等も踏まえて,相当強力に打ち出せるのではないかというふうに思います。
 国際的な共著論文に関する課題,さらには本日いただいた御意見も踏まえまして,今後,8月末の概算要求に向けて,作業部会の方で更に御検討いただき,事務局の方でより強固な内容にしていただきまして,次回の部会において御報告いただけますと非常に有り難く思っています。何とぞよろしくお願いいたします。
 ほかに御意見ございますか。
 そうしましたら,次回のこの会議で基本的な方針についての意見集約ができますように,委員の皆様方には,更に御協力のほどをお願いします。

(3)「新学術領域研究」の見直しについて

【西尾部会長】 それでは,「新学術領域研究」の見直しという最後の議題に移ります。
 前の期の研究費部会において,「新学術領域研究」の見直しということにつきましては,継続の検討課題としておりまして,引継ぎ事項として今期審議することになっています。
 本件は,来年度の概算要求というものには直接は関わりませんけれども,日本学術振興会への審査業務の一元化も含めた大きな課題となることは必至でございます。このため,審議会としても,機を失さずに検討を進めていきたいと思っております。まずは,事務局から説明をお願いいたします。
【石田企画室長】  それでは,説明をさせていただきます。資料7-1,あと,委員のお手元の参考資料,さらには,資料7-2,この3点をお手元に御用意いただけますでしょうか。
 資料7-1,このタイトルございます「新学術領域研究(研究領域提案型)」の見直しについてとさせていただいておりますけれども,本日は,頭出しと捉えていただければと思います。
 7-1の丸の1個目,「新学術領域研究」についてとされておりますけれども,27年6月に,「科研費大規模研究種目の在り方の検証等について」という内容が研究費部会から示され,さらには,審査部会において,これまでの成果等の検証が行われ,平成28年2月に「『新学術領域研究(研究領域提案型)』の成果・課題について」という内容が取りまとめられたわけでございます。
 この資料については,資料7-2というものがその審査部会の取りまとめ内容でございます。本日は,こちらの資料の具体的紹介は省略させていただこうと思います。
 もう一度,7-1に戻っていただいて,今申し上げたように,様々な審議経過を経て,現在に至っているわけでございます。
 2個目の丸に移ります。審査部会で検証いただいた内容を踏まえますと,「新学術領域研究」の領域代表者へのアンケートの回答から,分野・機関の枠を超えた実質的な協力・連携体制の構築であるとか,若手研究者の研究活動・水準の向上等について高い評価を得ている一方,課題も指摘されたというところでございます。丸の1から5がございます。
 次の丸,また,昨年12月に学術分科会で取りまとめいただいた「科研費による挑戦的な研究に対する支援強化について」においては,この「新学術領域研究」について,この検証内容を踏まえ,さらには,JSPSへの一元化を進めることも視野に入れ,将来的な在り方を検討することが必要とされているところでございます。
 こうした内容を踏まえ,この見直しについては,日本学術振興会の次期中期目標期間における実行に向けて,4年度を目途に,本年中を目途に見直しの方向性を取りまとめていただくことが必要であろうと考えているところでございます。
 そこで,委員のお手元に,これは見直しの観点案というレベルのものでございますので,委員のお手元にしか参考配付しておりませんけれども,こちらの見直しの観点案という内容と,これらに限らないのかもしれませんけれども,こうした内容等を踏まえて,今後,特に夏以降になろうかと思いますけれども,小安先生ヘッドの作業部会において検討を開始いただいてはどうかと事務局的には考えているところでございます。
 なお,資料7-1の2ページ目の裏面でございますけれども,具体的に,昨年12月に研究費部会から提言いただいた内容のうち,「新学術領域研究」に関係する部分を抜粋させていただいております。
 ということで,こうした内容をベースに,今後見直し検討を開始していただくということを考えているところでございますけれども,見直しを始めていただくに当たって,本日お集まりの先生方におかれても,いろいろお持ちのイメージ等々があるかと思いますので,こうした内容について,時間の範囲内で御議論を賜れればと思います。
 よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】  見直しの観点の案ということがございますね。ここのところは,各項目のことを簡単で結構ですので御説明をお願いします。
【石田企画室長】  分かりました。申し訳ございません。省略しておりましたけれども。
 見直しの観点案として,これまでの審査部会における検証なども踏まえてということで御理解いただければと思いますけれども。
 例えば,種目そのものの在り方,立ち位置として,例えばこの1番にありますような研究をめぐるグローバルな競争が激化する中,日本の学術研究の多様性を確保・伸長する政策手段として,改善すべき点は何なのかということや,2番目にありますようなグループに対する助成制度の本質的な機能,メリットは何なのか,言い換えますと,他の種目では代替・補償し難(にく)いものは何なのかということ。さらには,それを実現する上での現行の「新学術領域研究」の領域型の公募・審査の在り方というのは果たして最善なのだろうかというようなこと等々があろうかと思います。1個1個は省略します。
 さらには,関連する予算制度の在り方として,限られた予算の下で,科研費の研究種目間のポートフォリオの在り方について,どのように最適化を図っていくべきか。財源というのは,拡充したいですけれども,なかなか難しいという側面もございます。そんな中で,領域支援型の研究というのをどのように考えていくべきなのかということ。
 さらには,8番目にリアルなことが書いてありますが,事業運営に,分かりやすく言いますと,領域支援型の研究というのは物すごく手間が,これは事務局のみならず,研究者にも掛かるわけでございます。事業の運営における本省と日本学術振興会との望ましい役割,機能分担についてどう考えるか,実際に日本学術振興会側の受入れ体制というものを考えると,現行の進め方でいいのかどうかというようなことにも戻ってくる議論ではないかというところもございます。
 少々ここに書いてある内容を超えて御説明申し上げましたが,様々な視点で御議論賜らないと,これは解決策が見いだせないと考えているところでございます。
 よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】  私がお頼みしたことなので,遠慮なく言っていただければ,と思います。
【鈴木学術研究助成課長】  委員限りのこの見直しの観点の最後末尾に,日本学術振興会への審査業務一元化の時期ということで,33年度の目標という記述がございます。実は,これに関しまして,審議会での御提言,資料7-1の裏面のところでは32年度助成を目標とすることが考えられるのではないかという目標の提起をいただいたところでございますが,詳細業務,これは,一元化となりますと,当然,学術振興会との実務的な調整等も多々ございますので,今現在,事務局と日本学術振興会とのシミュレーションにおきましては,現実的目標としては,この委員限りのペーパー末尾の33年度助成,つまり,32年9月公募が妥当ではないかなという御意見が有力になっているということで,資料の整合が取れてないのはそういう背景,趣旨でございますので,御承知いただければと思います。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。
 この件は,今日,議論をずっと深めていくということではなくて,次回までに,来年度に向けての概算要求に関する審議が収束をした段階以降,本件は今年度に我々に課せられている大きな審議内容です。ですから,むしろ,ここに書いてあるような審議すべき論点に,不足しているものがないのか,もう少しこういう観点も議論すべきじゃないのかということを中心に御意見をいただけますと,有り難く思っております。
 永原先生,JSPSのお立場からの御意見でも結構です。
【永原JSPS学術システム研究センター副所長】  JSPSの立場になると,少々頭を抱えるところがありまして,もう一種目,こういう大型種目が増えるとなると,審査の負担がかなり増大いたします。
 ただ,申し訳ありませんが私,前期の審議会での議論,つまり,問題点の本質の部分がまだ少々理解できてないところがあり,「新学術領域研究」には明らかにいいところが結構ありまして,ほかの科研費にない仕組みがあります。グループ研究,それから,ある種,無理にではあっても,異なる分野の人と一緒にグループを組むというようなことです。実際の自分の経験として,新学術研究ではいろいろ得るものがあり,新しいものが開けてくるという実感があります。反面,検討しなくてはならない問題というものもいろいろ指摘されて,現在に至っているのだと思いますが,問題点が何であるのかを私としてはもう少ししっかり理解したいと思っております。
 日本学術振興会としては,もちろんおりてくればやることになるわけですけれども,個人ベースの研究とグループ研究ですので,審査のやり方も大分違いますので,やはり重要な問題点を明らかにした上で,今後のあるべき形を考えるべきかと思います。
【西尾部会長】  ほかにございませんでしょうか。
 特に1番目に書かれている,日本の学術研究の多様性を確保,更に伸ばしていくという政策手段として,改善すべき点は何かというところは,結構重い課題かと思います。今,永原先生におっしゃっていただきましたように,日本で学術領域としてどのような新たな領域を立ち上げ,それを推進することによって,科学技術振興に大きな役割を果たしてきているものだと思いますので。
【甲斐委員】  もし本当に本格的に見直しを考えようとするのであれば,私は小安先生が座長をされている作業部会だろうと思いますけれども。
 グループ研究というのは否定するものではなく,もちろん日本の学術発展のために良いことはあったとは考えておりますけれども,個人研究とグループ研究のバランスを本当にどう考えるかというのはずっと議論してこなかったのではないかと思います。
 学術研究は本来は個人研究であるべきだと思いますが,「新学術領域研究」は個人が獲得できる額がとても多いですね。「基盤研究(S)」より大きい額を得てらっしゃる計画代表者が多数おられます。個人研究費では,「基盤研究(S)」を取るのは極めて難しく,限られた人数しか得られません。でも,グループ研究の計画代表者に入れば,かなりの人数の人が「基盤研究(S)」や(A)の額を,領域代表者では「特別推進研究」にせまる額を得ています。審査の形態でも,グループ研究では領域としての審査が主体となることから,個々の研究者に対する審査の密度は,個人提案型の「特別推進研究」や「基盤研究(S)と比べるとかなり低くならざるを得ませんよね。このような個人個人の研究に対する審査の仕方と得られる研究費の額の違いには,何かしら違和感を持っております。
 また,個人研究費の申請をすることなくグループ研究費だけで研究を進められている方もおられます。十分な研究費を得られますから。ただ,それは,本格的な個人研究を育てるという科研費の趣旨とは違うのではというのも感じます。
 グループ研究の重要性も分かりますし,重複申請できる種目の存在は必須と考えております。だから,本当に見直すのであれば,個人研究とグループ研究のバランスも考えてみていただきたいと思います。科研費は,唯一自由な発想から生まれた個人研究を育てられる研究費だと考えております。本来の自身の興味からで出てきたアイデアを育てて研究を進めてくる人たちに対して,もう少し手厚くしてあげられないのかなと思うのです。本当に見直すのであれば,そこも考えて,個人研究を育てるための経費とグループで必要なものというのを本質に帰って考えていただきたいなとは思います。
【西尾部会長】  甲斐先生,どうもありがとうございました。実際に「新学術領域研究」を推進してこられた,また,審査されるお立場からの本当に貴重な問題点をおっしゃっていただきまして,どうもありがとうございました。
【栗原委員】  私も,この「新学術領域研究」,非常に大事だと思っています。特に支援対象としての1の方の新興・融合領域の創成というのは,例えば実験と理論の融合とかというのは,やはりある規模でやらないとできないテーマは実際にあって,現在もそういうテーマが幾つか進行しているということも承知しています。
 むしろ,既存領域の発展というようなところの方が意外と,ただ,ボリュームとしては非常にいいものが出るわけですけれども,必ずそれがないとできないのかというようなところは課題があるかもしれません。ただ,これは総論ではなかなか言えないところがあって,むしろ,運営のやり方ということもあるのかもしれないなという気もしますので,小安先生のところの作業部会できめ細かく議論するべきではないかと思います。
【西尾部会長】  ほかに御意見ありますでしょうか。
【鍋倉委員】  このグループ研究というのは日本のユニークな研究で,以前に「特定領域研究」があり,その見直しという形で「新学術領域研究」が創成された。それぞれの取り組みが長期間になると,デメリットが目立つようになります。「新学術領域研究」を見直すならば,これまでのグループ研究助成の変革の経緯を踏まえて議論をしていくことが必要だろうと思います。
【西尾部会長】  貴重な観点,ありがとうございました。
 小安先生,どうぞ。
【小安委員】  天に向かってつばを吐くようにならないようにしたいですけれども,新学術が始まるときにも関わっていた者として一言申し上げます。この種目は途中で一遍見直しをしました。そのときの議論は,「新学術」といって「新しい領域を作る」ということを非常に強調したが故に,何となく皆さん,少しゆがんだのではないかということをお感じになって,やはり既存の領域でも新しい方向性を出すのであれば,それをサポートすべきということになりました。
 例えば,今,栗原委員がおっしゃったような,理論と実験の融合みたいなものというのは,その「新学術領域」が終わったら,そこでもうそれは続けないのかという議論になりました。やはりそういうものであれば,やはりグループ研究として実になるのであれば,続けてサポートした方がいいのではないかということで改革をしてきたと思います。
 一方,甲斐委員がおっしゃったように,個人研究とグループ研究の境目がどこにあるのかというのは非常に曖昧になっているという印象を私は持っています。例えば,発展型のような場合には,計画研究の額の上限を決めてしまう。全部のスケールをある程度小型化して,それでもやはり一緒にやることが重要なのだということを主張できるのであれば,そういう形もありではないかというような,色々なアイデアが考えられると思います。是非多くの方から御意見いただきたいと思っています。
 以前,特定領域がなくなったときに皆さんが一番言われたことは,異なる分野の人が何十人も集まる機会が非常に重要であり,研究費の額よりもそちらの方が重要だとおっしゃる方がたくさんおられました。ところが,今は物すごく競争率が激しくなっているので,なかなかそんなことを言っていられないという感じになってしまっていると思います。
 ですから,そこのバランスをどのように取っていくかという,バランスの問題が大変重要な論点ではないかというふうに感じています。
【西尾部会長】  大変貴重な御意見であり,是非ともよろしくお願いいたします。
 小川先生,手を挙げておられましたか。あと,井野瀬先生。
【小川委員】  この「新学術領域研究」のような審査に当たったことはないですけれども,大勢のグループで研究して多額の研究費も配分されているとなると,やはり事後評価審査の段階で,なかなか悪いことが言えないというようなことが起こり得ると思います。
 当然,ある割合では,非常に高いレベルの成果を上げるグループもあれば,目的としたところまで行かなかったとか,予想外に不振だったようなグループも出ますけれども,評価の段階ではもうそれが言えないような状態になって,こんな言い方をしては何なんですが,ときにはエージェンシーを守るための何かそういう配慮みたいなものが出て,客観的な評価がなされないというようなことになってしまっては,非常に多額の研究費を有意義に利用できなかったことにもなりますので,やはり審査と同時に評価のシステムをきちんとするということは大事で,ある割合でうまくいかないものが出てもそれは新しいことに挑戦するのだから仕方がなくて,この種目が悪いということにはならないという理解が必要です。その辺のところの基準といいますか,評価を以後の審査方法に反映する制度をきちんと作ることが同時に必要かと思いました。
【西尾部会長】  どうもありがとうございました。その点も非常に重要かと思いました。
 それでは,今日の会議の最後で,井野瀬先生。
【井野瀬委員】  私自身は人文学,歴史学が専門なので,皆さんのお話を聞きながら,少し人文学の現実とは違うのかな,ではどうすればいいのかな,ということを,この時間,ずっと考えてまいりました。
 今のお話,グループ,個人,ありますけれども,人文学系の場合には,研究者のこういった研究の行方,キャリアパス自身が大変限られていますので,むしろ,「新学術領域研究(提案型)」うんぬんのところで,そのキャリアパスごと拡大しないと,日本の人文・社会科学系,特に人文学系は,若手を育てていくことにつまずいてしまうのではないかという危惧を覚えています。
 いい研究の,既存の領域等々にかかわらず,研究の先をどのように捉え,国際ということも見据えながら,日本の若手を育てていくかを考えるとき,その先がどうなるか,私たちの議論を,この科研費等々のその先,すなわち研究者として育っていくその先に,どんな新たなキャリアが開けるか,そこを考えていかないと駄目ではないかと思っています。
 以上です。
【西尾部会長】  これは「新学術領域研究」だけに関わることではなくて,全般的に考えなくてはならないことだと思います。井野瀬先生,どうもありがとうございました。
  それでは,この件につきましては,先ほど申しましたように,今年の秋以降,更に審議を進めていくことになります。見直しの観点につきましては,書面等でまた御意見をいただければということで,事務局の方から後で御依頼申し上げますので,その節には,御協力のほどを何とぞよろしくお願いします。できるだけ審議を充実したものにしていきたいと思いますので,そのための検討項目をどのようにすべきか,ということにつきましては,改めて何とぞよろしくお願いいたします。

(4)その他

 最後に,事務局より連絡事項が伝えられ,会議は終了した。

―― 了 ――


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