資料1 学術情報委員会(第8回:平成30年3月22日)における主な意見

 1.オープンサイエンス推進における今後の審議に向けた課題等整理(案)について

【主なご意見】
 [3.(1)1)データマネジメントポリシーの策定等 ]
○  データマネジメントポリシーの策定に関連して、機関がポリシーを策定するというだけでなく、研究者の立場に立って、何をどうするのか(データポリシーに則り、データマネジメントプランを立て、それに沿って実行すること)についても記載すべき。

 [3.(1)2)マネジメント対象となる研究データの範囲及び様式 ]
○  紙の資料をデジタル化するような場合について、今回の整理では言及されていない。例えば、Europeanaが進めているような第一次世界大戦時の手紙をデジタル化することも、デジタルアーカイブであり、オープンにするべき資料である。
○  社会科学系のデジタルアーカイブでは、産出の主体が研究者でない場合がある。アカデミア以外で産出されたデジタルアーカイブと、アカデミアの研究を結ぶような仕組みが必要。他方、理学・工学系においても、アカデミア以外で産出されたデータを扱っている例は非常に多い。
○  研究データには、研究現場で研究者が取得するデータ(ソース)と、研究者の手が加わっているデータ(プロダクト)がある。それぞれのデータを扱う主体は、ソースが所属機関、プロダクトが学協会とそれぞれ異なる。特に学協会に対しては、どのような制約、あるいは便益を提供するか、ということを言及すべきではないか。
○  データを扱うプログラムについて、当該プログラムまで保存するのは現実的でない場合もある。データを扱うプログラムの移行は、可能な範囲でしかできないのではないか。
○  研究データに含まれるプログラムは、単なるデータを扱うツールである場合と、プログラムそのものが研究の本質である場合があり、後者の場合、プログラムをすべてオープンにすることは困難ではないかと考えられることから、プログラムの取扱については、より丁寧に議論すべき。
○  まずは、論文を裏付けるエビデンスとしての研究データについてオープンにすることをベースに議論すべきではないか。データの利活用とは分けて議論し、方向性がぶれないように配慮しつつまとめてはどうか。

 [3.(1)3)研究データの信頼性及び透明性の確保 ]
○  研究データの保存に関連して、データの品質管理を個々のデータごとに行うのは現実的でない。研究機関に対して、認定機関や評価機関が一定の要件を踏まえた格付けを行うようなフレームワークを作るなどの議論が必要ではないか。
○  研究データは標準化していないと利活用しづらい。データの品質に関する標準を設定し、それを世界標準にしていくなどの標準化戦略が必要ではないか。

 [3.(1)4)利活用を円滑化するためのルールの明示 ]
○  研究データを官民学で共有することがあるので、利害関心の異なるステークホルダーの間で合意できるルールを形成していくことが必要ではないか。特に、産と学のデータ利活用については、これから一番重要。

 [3.(1)6)研究分野の特性に対する配慮 ]
○  分野によっては、歴史が深まってから価値が出てくるものがある。また、古代のデータなどについても利活用されていることに言及しておくべき。

 [3.(2)1)研究データ基盤の整備 ]
○  「次世代の研究者が同じ研究を繰り返すことを避け」という表現については、誤解を招くので、適切な表現に変えた方が良い。
○  国際的な環境の中で、どのように競合性を確保していくか、今後の課題として述べておくべきではないか。
○  データ基盤の整備については、国際的な協調を図っていく視点も重要である一方、利活用の観点では、我が国が先進的に進めていくことも戦略の一つではないか。

 [3.(3)研究データを保存・利活用する際のインセンティブ ]
○  研究データを保存、利活用する際、日本のデータ基盤に載せることのインセンティブを確保すべき。

 [3.(4)人材の育成・確保 ]
○  人材の育成・確保に関連して、研究を推進していく上で必要な人材や、人材の配分バランスについて、検討すべきではないか。
○  オープンサイエンスの実現のために、我が国は圧倒的に人が足りないと感じている。データキュレーター等の育成を推進していく必要があるのではないか。また、研究者として十分に経験を積んだ者が、サポート側にシフトしていくような仕組みはつくれないだろうか。

 [全体的なこと]
○  当委員会では、産業界に引きずられることなく、学術情報的な意味合い 
でのオープンサイエンス、オープンデータを議論すべき。


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