第8期学術情報委員会(第6回) 議事録

1.日時

平成28年1月22日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

東海大学校友会館「東海・三保の間」

3.議題

  1. 学術情報のオープン化について
  2. その他

4.出席者

委員

西尾主査、相田委員、逸村委員、井上委員、岡部委員、加藤委員、北森委員、喜連川委員、高木委員、竹内委員、美馬委員

文部科学省

(科学官)美濃科学官
(学術調査官)市瀬学術調査官、小山学術調査官
(事務局)小松研究振興局長、岸本科学技術・学術政策局審議官、渡邊学術基盤整備室長、松本学術基盤整備室参事官補佐

オブザーバー

安達国立情報学研究所副所長

5.議事録

【西尾主査】  おはようございます。時間になりましたので、ただいまから第6回の学術情報委員会を開催いたします。今年に入りましてから最初の委員会でございますが、本年も何とぞよろしくお願いいたします。
 委員の方々の中で井上委員、岡部委員、喜連川委員が少し遅れて来られるということが前もって情報として入っております。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  それでは、お手元の議事次第に基づいて配付資料の確認をさせていただきます。
 まず資料1、学術情報のオープン化の推進について(中間まとめ)、資料2、NIIにおけるオープンサイエンスへの取り組みと課題、資料3、平成28年度文部科学関係予算(案)のポイント、資料4、今後の委員会の日程について、それから参考資料として、参考資料1、学術情報のオープン化に関する資料、参考資料2、諮問第5号「科学技術基本計画について」に対する答申等におけるオープンサイエンス関連部分の抜粋、参考資料3、内閣府オープンサイエンス推進に関するフォローアップ検討会の資料で今後の検討課題等というタイトルのもの、参考資料4、同じく内閣府オープンサイエンス推進に関するフォローアップ検討会の資料でオープンサイエンスへの取組という資料となってございます。これ以外に机上資料として、議事次第に記載してございます1から9の冊子、それから過去の学術情報委員会の資料を準備してございます。
 もし不備等があれば、事務局までお申出いただければと思います。
 以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 本委員会の当面の目的は、前回取りまとめました「中間まとめ」をベースに最終的な取りまとめを行うということでございます。その審議のプロセスに入る前に、「中間まとめ」の後に、いろいろな関係機関において関連する会議が行われております。その状況について、事務局から説明をお願いいたします。
【渡邊学術基盤整備室長】  それでは、関係会議の状況について御説明いたします。資料の方は参考資料2から4、それと本日、机上配付資料で内閣府オープンサイエンス推進に関するフォローアップ検討会における中間まとめに関する主な意見のメモというものを配付しておりますので、これに基づいて説明いたします。
【西尾主査】  皆様、机上配付の主な意見メモというのは分かりますか。
【渡邊学術基盤整備室長】  右上に机上配付と書いてあります。
【西尾主査】  よろしいでしょうか。それでは、御説明よろしくお願いいたします。
【渡邊学術基盤整備室長】  それでは、まず参考資料2を御覧いただきたいと思います。これは次期の科学技術基本計画についての答申でございますが、本日閣議決定されると聞いております。
 この中で、オープンサイエンスの関連としては、オープンサイエンスの推進ということで、冒頭にオープンサイエンスとはオープンアクセスと研究データのオープン化(オープンデータ)を含む概念であるとした上で、中ほどのアンダーラインを引いている部分がございますが、国は資金配分機関、大学等の研究機関、研究者等の関係者と連携し、オープンサイエンスの推進体制を構築する。公的資金による研究成果については、その利活用を可能な限り拡大することを、我が国のオープンサイエンス推進の基本姿勢とするということで位置付けられております。
 次に裏面を御覧いただきますと、これは科学技術・学術審議会総合政策特別委員会の最終取りまとめの記載でございます。この中で情報基盤の強化として、研究成果のオープンアクセスを進めるべきという考え方は世界的な流れとなっており、関係機関の連携・協力の下で積極的かつ戦略的に対応していくことが求められると位置付けられた上で、下段のアンダーラインの部分でございますが、リポジトリは研究データの流通・共有の基盤としても重要であり、政府はその整備に当たり、各大学等のリポジトリ間の連携・データの共有の促進やその効率的な整備の観点から、アカデミッククラウドの構築を推進するとされております。
 続いて、参考資料3を御覧いただきたいと思います。昨年、内閣府オープンサイエンス推進に関するフォローアップ検討会というものが組織されまして、ここでまた継続的な審議が行われているという状況でございます。
 その中で参考資料3は、この検討会で示された今後の検討課題でございますが、オープンサイエンスの推進に当たっては長期的視点から取り組むべき課題が多いということで、継続的な検討の必要性が指摘されております。個々には省略いたしますが、(1)から(8)までの課題について、長期的な検討が位置付けられているということでございます。
 なお、この検討会において、本委員会の「中間まとめ」に関する意見ということで、主なものをピックアップしたものが本日の机上配付のメモでございます。こちらを御覧いただきたいと思いますが、まず総論としては、重要な観点について全て検討いただいているという御意見がございます。その上で専門人材の必要性、それと図書館の役割、利用ルールについて、主な意見ということで頂いております。
 まず専門人材の必要性については、メタデータの作成等において、現場で専門的な知識を持った人材が必要であり、データ管理や公開にはそのような労力が必要になるという点についての議論が必要であるということ。それと、ポスドクなど若手の専門研究者がデータ管理を担っていくようなやり方も考えられるのではないか。こういった幅広い議論を期待したいということ。それと3点目ですが、データを扱う専門人材のキャリアパスを作っていくことが重要であるといった御意見であります。
 それと、図書館の役割に関しては、このデータの公開等における図書館の役割及び新たな機能を担うことに関しての方向性についての議論はどの程度あるのかということ。これに関連して、現在の図書館業務を行っている人材をそのまま活用するというのは困難ではないか。例えばということでありますが、図書館業務に精通する方が定年退職後も図書館業務に従事できるような形をとって、若い人材が新たなキャリアパスとして、データキュレーターとして活躍できるような道筋を考えることもあるのではないかというような御意見であります。
 それと利用ルールに関しては、意見というより、この「中間まとめ」の中で、著作権の所在に関わらずオープンにされた後の利用条件の設定が重要との極めて重要な指摘がなされているということで、脚注の18にデータの利用ルールに関する記述があるわけですけれども、この指摘は非常に重要であり、利用条件の設定を考える必要があるであろうという問題認識に言及されていることが良いというような御意見であります。
 それと、この「中間まとめ」そのものということではないのですが、フォローアップ検討会の中での御議論として、オープンサイエンスを推進するに当たって、オープンという表現に対する認識について、研究者として取り組んだ研究成果を全て出さなくてはならないといった考え方が先行しないためにも、情報提供の仕方あるいは説明ぶりについても、更に議論を深める必要があるのではないかといったこと。
 これに関連して、この成果を資産としてデータや情報を整備した後に、オープンの可否について、その後検討するといった捉え方も考えられると、こういった観点での議論も必要であるといったことが言われております。
 続いて参考資料4でございますが、こちらも同じく内閣府オープンサイエンス推進に関するフォローアップ検討会において、日本学術会議の審議状況ということで、日本学術会議に設置されたオープンサイエンスの取組に関する検討委員会の土井委員長から報告がなされたものでございます。
 この資料のスライド9を御覧いただきたいと思います。まとめということで、オープン/クローズ戦略についての言及でありますけれども、大学など複数分野からなる機関ではなく、オープン/クローズ戦略及びポリシーガイドラインは分野別学協会での対応が必要であるということ。
 それと次ページのスライド10で、まとめ2ということで、同じくデータ流通戦略に関することなのですが、分野別学協会の協力も得て、分野別に国立研究開発法人等での対応が必要ではないかといった観点がございます。
 それと次ページのスライド11でありますが、まとめ3として、ここでは主にデータ流通者、データ作成者のインセンティブの必要性について議論されているといった状況の報告がございました。
 その上で、今後の検討として3点ほど挙げられておりますが、特に下の二つの事項、学協会とファンディング機関の巻き込み、それと持続可能な学術基盤構築といったことについては今後、日本学術会議の審議において議論を深めていくという状況と伺っております。
 なお、日本学術会議の最終的な取りまとめ報告等についてはまだ出ていない状況の中で、昨年このような報告が行われているという状況であります。
 関連の状況については以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。今、渡邊室長から御説明いただきましたことに関して何か御質問や、皆様の中で、もしこれらの委員会に関わっておられる方で補足事項等ございましたら何なりと御提供いただければと思いますが、いかがでしょうか。逸村委員、どうぞ。
【逸村委員】  逸村でございます。情報提供ではなく質問なのですが、参考資料4の12ページの今後の検討の3点の内の一番上、Research Data Allianceへの機関リポジトリ拡大による積極的対応の可能性。これは良いのですが、その後の学協会のロングテールというのは、どういう意味で使われているのでしょうか。
【渡邊学術基盤整備室長】  詳しい内容については伺えていないのですが、この中で学協会のロングテールとしているのは、例えば多様な分野の学協会が加わることで、総体として大きな取組として見えてくるという意味合いが含まれているのではないかと思っております。
【逸村委員】  学協会のコミットは重要だと思いますので、是非そこら辺のところは、はっきりした方が良いかと思います。
【西尾主査】  ほかに何か御意見等ございますでしょうか。
 総合科学技術・イノベーション会議の答申でも、オープンサイエンスの重要性に関しては明示されているところでございます。総合政策特別委員会の最終取りまとめでは、第5期科学技術基本計画を内閣府が最終的に取りまとめていく上で、文部科学省としてはどういうことが重要であると考えるかということの全体的な政策のまとめをしております。その重要項目の中に、アカデミッククラウド構築の必要性が強く謳(うた)われております。
 それから、内閣府の検討会との関わりでございますけれども、我々としては、内閣府に設けられていますオープンサイエンス推進に関するフォローアップ検討会と相互の連携をしながら、国全体の方針を決めていくことが必要だと思っております。特に内閣府の検討会の方では、どちらかというとメタなレベルの議論がなされたものを、国内でどのように実装していくのかということに関して、本委員会の議論が重要であることは以前から申し上げてきたところです。我々のこの委員会での「中間まとめ」について内閣府の検討会からは、重要な観点全てについて検討がされているとの高い評価を得ることができました。
 渡邊室長から御報告がありましたように、幾つかの意見が検討会で出されたということで、そのまとめをしていただいております。ただし、そこで出ている御意見についても、実を申しますと、我々の「中間まとめ」をよく読んでみますと、それに対する回答が書いてある部分もございます。そうした点は我々がもう一度、頂きました御意見と「中間まとめ」との対応関係を確認していくことが必要ではないかと思っております。
 なお、参考のところで、我々が今後注意していかなければならないところがあります。主な意見メモに、オープンという表現に対する認識について、研究者として取り組んだ研究成果を全て出さなくてはならないといった考え方が先行しないためにも、情報提供の仕方や説明ぶりについて、この委員会において更なる議論が必要ということが書かれています。オープンという言葉の持つ意味について、このような御意見が出ているということに関して留意していくべきではないかと思っております。
 次に、日本学術会議における検討に関することです。我々の委員会においては、結局、データのオープン化のポリシーに関しては、全学術分野を統一的に考えるポリシーはなかなか難しいという現状を踏まえ、学術分野ごとにオープン化のポリシーというのは違いが出てくるであろうと考えてきたところです。では、その分野ごとのポリシーがどうなのかということに関しては、日本学術会議においてそのことが議論されていくという情報を得ておりましたので、その結果を我々としては重んじるという立場で今までも議論してきたところです。先ほど渡邊室長から御説明いただいた土井委員長の報告によりますと、まだ、各々の分野においてのポリシーが具体的に決まっているわけではなく、関連する学協会との協力を得ながら今後決めていくという状況のようでございます。
 この委員会における「最終まとめ」は、時期的な観点から言いますと、恐らく、今年度中に終えるということが一つのめどになっていくと思います。そのような観点からは、分野別に関する記述をどれだけ具体的に書けるのかは、日本学術会議における審議のプロセスと連動してくると思います。
 そういう意味では、「最終まとめ」においても、分野別に関するポリシーについては、分野を限定して書けるものについて例示をしておく程度になる可能性もあるということを、現時点で私は考えております。
 以上が今まで我々の委員会と連携しながら、いろいろな協議をしている幾つかの関係機関における審議の内容です。
 皆様方で、何か質問等ございますか。よろしいでしょうか。
 内閣府の検討会にも、日本学術会議の委員会にも、我々のこの会議にも全部御出席いただいている方が一人いらっしゃいまして、実を言いますと喜連川先生でございます。総合政策特別委員会の最終の取りまとめでは、各大学等のリポジトリ間の連携、データの共有の促進や、その効率的な整備の観点からアカデミッククラウドの構築を推進すると述べられています。我々の委員会の「中間まとめ」においても、研究データの保管に関わる基盤の整備に当たっては、アカデミッククラウドの活用を図るとしております。
 特にデータ共有等に関する具体的な方策の一つとして、本日、喜連川先生には、NIIにおいての検討事例を御説明いただきながら意見交換をできればと思っています。「最終まとめ」の中で、アカデミッククラウドに関することを更にどれだけ強く書けるのかというところが、「中間まとめ」からの進展部分、より議論を深める部分としては重要かと思っております。一応15分間が目安で、時間が短く恐縮なのですが、喜連川先生から御説明いただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 あわせて、もし日本学術会議での議論等も御紹介をお願いできたら有り難く思います。
【喜連川委員】  喜連川でございます。貴重な時間を頂きまして、ありがとうございます。
 まず、お手元の資料でございますが、「NIIにおけるオープンサイエンスの取り組みと課題」というタイトルでございまして、2ページ目を御覧いただきますと、一番下位層が100ギガのネットワークということで、これは今年の4月からオープンを予定して、移行作業を現在懸命に行っているところでございます。
 一番上位層が学術情報の流通というCiNiiとJAIROの部分。それから右の大学間連携支援ということで学認をやってきたわけでございますけれども、私が所長になりましてから、その間の中間層として、クラウド活用支援と、先ほど西尾先生から御紹介いただきましたアカデミッククラウドをここに導入し、加えて4月以降、セキュリティ強化というものを予算付けいただきましたものですから、圧倒的なパワフルな環境を日本全国に対して提供しようと考えているところです。
 先ほど西尾先生から詳しく御説明いただきました3ページ目でございますが、現在、オープンサイエンスの議論の場の主たるところは、学術情報委員会。それから、内閣府にございますオープンサイエンス推進に関するフォローアップ検討会。ただ、フォローアップされる前の委員会には私は出ておりませんで、当研究所の安達副所長が参加させていただいておりました。そして、土井3部副部長が委員長の日本学術会議の委員会ございます。
 トーンとしては、大体議論することは、それほど大きくは違っていないのですけれども、例えばヒアリングする場合に日本学術会議の場合は、かなり人文系の部分までお招きしながら進めたり、また内閣府の方は京都大学の図書館長からお話を伺ったりと、微妙に違うアングルでの検討が進んでいるということはございます。
 それから、現在、日本学術会議では学協会に対してデータの取扱いに関するアンケートを開始したばかりでございまして、それが次第に収集されていくのではないかと思っております。
 続いて4ページでございます。先ほど西尾先生から御指摘を頂きましたが、なぜか三つの会議に入っているということから、これは科学技術・学術政策研究所が出している雑誌でございますけれども、そこでインタビュー記事を出させていただいたということです。
 続いて5ページです。ここは振り返りということで、この場でも随分議論したかと思いますけれども、何のためにオープンサイエンスをするのかと。
 1番目は、情報流通を活性化して、つまり誰かが出した成果をほかの人が簡単に見られるようにということから、いろいろなアイデアが創発され大きなイノベーションにつながるだろう。これが第一目的になるわけです。
 それから2番目は、誰かがやったらもう1回繰り返しやることはないということから、研究としての効率化が図れるだろう。
 3番目は、論文そのもののアウトカムをリプロデューシブルに保障する。もう1回ほかの人がチェックしようと思ったときに、それができるということ。この1から3というのが今まで、ここでも御議論いただいてきたことかと思うのですけれども、最近、外務省の会議等に参加しますと、4番目もあるのではないかという気がいたしております。
 つまり、国家間で会話をするときに、データをオープンにして、データをエビデンスにしながら会話をするということで、科学技術外交のかなり本質的な役割を担うのではないか。そういう意味でオープンサイエンスが非常に重要になってくるのではないかと考えております。
 そうは言っても、6ページ目でございますけれども、現実的に、どういうエモーションでこういうものが進んできたかといいますと、少なくとも納税者から見ますと、公的資金を入れたものですから、それはオープンになるのが当たり前だろうと。しかしながら、データは一般に研究者が抱え込んでしまって、なかなかディスクローズすることをしないという、このカルチャーを何とか変えていかなければいけないということ。そしてまた、研究費というものが連続的に来ないものですから、それが切れてしまいますとデータが散逸してしまう。そういうことを、いかに回避するかということが大きな流れだったと思っています。
 さて7ページでございますけれども、では何を保存するのかということでございますが、論文、研究データ、プログラムの原則三つということになります。論文はオープンアクセスのところで十分議論が尽くされたのではないかと思いまして、今はむしろ研究データの方の議論が中心になっていると。
 3番目は、そのデータを出す、あるいはアウトプットを出すためにはプログラムを実行しなければいけないわけですけれども、これを再現可能にするためにはIT側から見ましても、実は簡単なようで非常に難しいというところがある。
 また、この委員会の対象外としては、実際のウエットなものも含めてどういうふうにするか。これは高木先生の所掌でございますけれども、シーケーシングの場合には、シーケーシングのアルゴリズム自身がどんどんエボルブしますので、解析した結果を残すよりゲノムそのものを生で残しておくということも、どんどん起こっているわけでございます。
 では、そのときに求められる機能は何なのかというのが8ページにございまして、通常考えられるのが、この一番上に書いてあります情報の発信。つまり、情報を入れておきながら、それを外からも見ることができて、リーチャブルに検索可能にして、そこからデータをとっていける。そこにデータを置いておくという、このファンクションが一般的には、このオープンデータの一番ファンダメンタルなファンクションになるわけです。
 その次に書いてあります永続保存というのが、いわゆるデータのプリザベーションのコンプライアンスということに関わるわけですけれども、保存と永続保存を、あえてここでは分けて書かせていただいております。
 永続保存とは、例えばアメリカでは医療データのHealth Insurance Portability and Accountability Actのようなものがありますけれども、100年持ちなさいということを言っております。
 普通に置いておく場所と長く置いておくということが全然違う意味合いを持ちます。いわゆるe-discoveryのようなものや、あるいは置くこと自身が難しいというデジタルジレンマの問題など、ここはコンピュータサイエンスにおいても非常に難しい問題が厳然として存在しているということです。
 それからもう一つの観点として、置いておくとか見ることができるとかではなくて、もっと積極的に活用できないかというところで、ここはやや応用依存になるということでございます。
 先ほど対象物として論文というものがございましたが、10ページ目を御覧いただきますと、これは私どもの機関リポジトリの中で法整備化が進みました、いわゆる学位記のインターネット公開というものと併せまして、オープンアクセスのいろいろな出版物等を各機関が機関リポジトリとして蓄え、それを公開していくというプロセスを、NIIとしてはJAIRO Cloudという名前でずっと支援をさせてきていただいたわけでございます。下の棒グラフを見ていただきますと、青色の部分というのは当初、各大学でお作りになる際に支援させていただいてきたわけです。
 そして、一番右端を見ていただくと分かるのですが、JAIRO Cloudに移すのに少し手間が掛かりまして、85チームくらいに今お待ちいただいているということなのですけれども、薄い肌色と黄色を足しますと、この青色の部分をはるかに超えており、現状でNIIのJAIRO Cloudは非常にエクステンシブにお使いいただいております。
 それから、一番右から二つの軸を見ていただくと、青色のところは316から314に減っております。これはどういうことかといいますと、もはや機関リポジトリというものは大学で独自に作るような競争領域には入っておらず、とにかく何か出すという基盤があれば、そちら側に乗りたいということから、青色の独自構築した大学がJAIRO Cloud側にシフトしていくような傾向が既に出てきているということでございます。
 そういう意味で、こういうものを共通基盤として開発してきたことが日本にとっては有意義であるということが御理解いただけるかと思っておりますし、右の図で見ていただきますように、日本はこの面は非常に整備が進んでいるというところが見てとれるかと思っております。
 その次に11ページを見ていただきますと、例えばJAIRO Cloudに入ったオープンなデータというものが検索可能にならなくてはいけないわけですけれども、これに関してはCiNiiという論文情報の検索サービスがございまして、これはデータに対してのリーチを見てみますと、GoogleからのリーチよりもCiNiiからのリーチの方が圧倒的に大きいということもございまして、年間2億ページビューと非常に多くの方々に多々御利用いただいております。学術コンテンツですので、やや地味な内容なわけですけれども、これだけのアクセスがあるということは非常にうまく機能しているのではないかと思っております。
 次のページを見ていただきますと、識別子についてまとめています。著者というものがありましたときに、著者から論文に行くという部分と、例えば著者から科研費のe-Radに登録する研究者番号という側から接続を可能にしております。したがいまして、一人の人がどういう論文を書いたか、その論文は、どの研究費で生成されたかということが、現在のところ、ID連携でうまく連動するようになっておりまして、さらに、右端のところにデータというものを記載しておりましたが、これは、そのIDを更にエクステンドすることによって、KAKEN、論文、データが一貫したラインで接続可能になってくるということを示しているところでございます。
 このIDに関しては、研究者IDというのはグローバルにORCIDという動きがありますし、いろいろなIDがこの世の中に出てくるわけですけれども、それを連結可能にしていくということを目的として、ここではリゾルバという名前で呼んでおりますけれども、そういうサービスも行いながら、機動的に連携を実現したいと考えているところでございます。
 ここまでは通常のフレームワークでございますが、では、これから研究データをどう進めていくのか、次のページ以降にまとめました。
 14ページは「中間まとめ」の一部抜粋をしてきたわけですが、丸2研究データの保管・管理と右の上の方に書いているかと思いますけれども、冒頭の部分は、研究データの保管・管理は研究データの公開を進めるための前提でありということになっています。この「前提であり」の横にあります11の部分の注釈を見ていただきますと、研究の不正行為を防止するための取組に関連してということで、こういうデータの管理も融合的にソリューションとして出していくことが必要であるということになっているわけです。
 そして、その少し上の赤い囲みの部分ですけれども、NIIが行うべき取組ということで、先ほど西尾先生からも御紹介がありましたように、アカデミッククラウドを有効活用していきなさいということになっているかと思います。もちろん大学と連携をしながらということでございますが、この方向で進めていきたいと思います。
 15ページを見ていただきますと、これは今アカデミッククラウドがどんな形になっていこうとしているかというのをざっくりと示しているところでございます。SINETサイドからクラウド利用の支援を行いまして、図中上の方に書いてありますけれども、事務系システム、あるいはエデュケーションシステム、LMS、いろいろな科学系のビッグデータの解析、HPCから、いろいろなものがクラウド上に展開されるというようなイメージになっておりまして、右下の部分を見ていただきますと、これは現状のクラウドベンダーにSINETが直結している部分です。すなわちクラウドにラインが行っておりませんと、クラウドからユーザーの大学までの通信回線の費用を払わなくてはいけないわけですけれども、SINETが直結することによって通信費はゼロになる。通常使いますと通信費の方が計算費よりも高くなることの方がはるかに多いわけですけれども、こういうところに対しても一歩一歩努力してきているということでございます。
 16ページでございますけれども、データというものを対象としたときに、保管、保存はどうなるかということを紹介しているのがここでございまして、一番下にクラウドストレージのAPIというものがありまして、ここが先ほど御紹介したアカデミッククラウドによって実現される。しかしながら、それを検索可能にするためには、データを入れたときに、メタデータを付ける、あるいはDOIを付与した場合にはデータサイトを入れるということをやりまして、上にある黄色いところにございますように、データリポジトリのAPIを使いまして、このJAIROをエクステンドして、JAIROのデータ格納基盤というものを今後、私どもは丁寧に考えていこうと思っております。
 ここに記載が漏れてしまいましたけれども、これに関しては図書館との連携で、機関リポジトリのコンソーシアムのようなものを作っておりまして、そこで御議論いただきながら図書館の方々とも一緒に進めていくということを進めておりますし、先ほどございましたように、このメタデータの部分の標準化、あるいはデータの格納ポリシー等、そういうものを含めて、ここで議論を進めているというのが現状でございます。
 17ページを見ていただきますと、CiNii for Dataということで、CiNiiの空間からデータも検索可能にするメカニズムを作る。CiNii for Dataの下にメタデータの空間がありまして、これはいろいろな文献情報や研究データの情報、機関リポジトリ等、いろいろなところからメタデータを注入していただけるようなシステムのデザインを、現在進めております。
 さて、18ページが多分、今日一番面白いところかもしれません。永続保存ということで、研究の正当性、再現性ということを考えますと、一定期間以上、研究ノートも含めて記録保存をしておかなくてはいけないわけでございますけれども、これを一体何年間持っておくのかというのは、今後御議論していただく必要があろうかと思います。
 通常観からいたしますと、研究をして1か月、2か月くらいの間は非常によくアクセスするところが多いと思うのですけれども、それ以降は、だんだんアクセス頻度が下がってきてしまいます。これはソーシャルメディアでもそうですし、ウェブでもそうですけれども、データのフレッシュネスという観点でございます。データのライフサイクルという言い方もされるところです。
 こういうデータは、Cold Storageという空間で保存格納していくのがいいのではないかと、ITサイドのソリューションとして御紹介してあります。つまり、クラウド上の普通のストレージといいますのは、ここにございますように、ディスクに置くとお考えいただければいいのですけれども、1ペタバイト/年ですと、大体3,500万から4,500万くらいのレンジになっております。この価格というのは、通常私どもが大学でディスクの筐体(きょうたい)を買うプライスと大して変わりません。ということは、保守費用、あるいはスペース費、あるいは電気利用料というものを考えますと、クラウドの方の利便性が圧倒的に高いようなステージに入っているということを示唆しているデータでございます。
 その下のデータが、もう少し面白いデータでございまして、これは通常のコンピュータのアクセス時間ではなく、時間に対しての制約を緩和するという考えです。つまりデータをアクセスする際、出てくるまでに4時間程度掛かることもありますというわけです。そのかわり値段は圧倒的に下がります。百数十万/年というふうに、かなり安くなるようなテクノロジーが大分出てきております。
 この辺は各大学にとって、とにかくデータを置いておくという、余りコンペティティブなリージョンではありませんので、共通ファンクションとしてこういうものを、NIIが集約してサービスをさせていただくのが妥当ではないかとも感じております。
 右の絵は、よく使いますシンボリックな絵でございまして、氷河ですが、海の上の方のデータをよく使うわけですけれども、ほとんど使わないデータが海の下の方にあるというようなことでございます。これはサーフェスウェブとダークウェブといわれている部分と同じ意味合いとなります。
 さて、先ほど活用ということを申し上げました。これは領域ごとにバーティカルに進めていかざるを得ないのではないかと思いまして、どんなことをNIIがやっているかというのを少し御紹介したいと思います。
 20ページを見ていただきますと、これは、国文学研究資料館と一緒にさせていただいている、大型研究として文系で唯一進んでおります古典籍でございますが、我が方がITのインフラ基盤、データの整備のところに対して御貢献をさせていただいているのですけれども、かなり特化していると御理解いただけると有り難いと思います。
 それから2番目は、デジタルシルクロードと呼ばれているものですけれども、東洋文庫というのがございまして、これは「ターヘル・マナトミア」や「解体新書」の原本がある、すばらしい場所でございます。これのデジタリゼーションとブラウジングというものをお手伝いしており、公有されております。
 それから22ページでございますが、これは私どもNIIに機器がたくさん収容しておりますが、開発そのものは東大が中心になって行っているものです。左の図を見ていただきますと分かるように、地球環境データが25ペタくらいございまして、それに対して、気候変動や、水資源、防災、ヘルスケア、バイオダイバーシティ等、いろいろなアプリケーションがこの上に乗っかっていますけれども、それに特化したバーティカルなデータ利活用基盤というものを作っているものです。
 また、実はJICAを通しましてアジアの開発途上国におけるデザインに非常に多様にお使いいただいて、Asian Development Bankもそれを支援したりしています。データの右図を見ていただきますと、非常に伸びております。これも一つのバーティカルな領域になろうかと思います。
 23ページは、これはNIIのCRESTで採択された研究者が行っている国立遺伝学研究所のバイオ系の例でございます。この場合はコンピュテーションがかなり一緒に導入されないといけないわけですけれども進めております。
 このように見ていただくと分かりますように、アプリケーションのレベルも含めますと、やはり先ほど西尾先生よりお話もありましたけれども、ドメインバイドメインで一定程度よりアッパー系も作るということをやっていく必要があろうかと思っております。
 24ページが最後でございますけれども、今リサーチ・データに関して沸騰しているわけです。Research Data Allianceというものが、ここを先導する役割を担っている一つの組織でございますけれども、3月の頭に東京で会議が開催されるということもありまして、より国際的なレベルでの共通基盤、古典籍の場合、日本に特化しておりますけれども、先ほどの地球環境にしろ、バイオにしろ、コミュニティがグローバルにつながるような基盤をNIIではお手伝いしていく必要があろうかと思っている次第でございます。
 大学の皆様と一緒に、こういうオープンサイエンスの基盤を構築できればと考えております。
 以上、ありがとうございました。
【西尾主査】  本当に着実にいろいろな観点からアカデミッククラウドのことを進めていただいているということを実感しました。例えば、データの蓄積ということの前段階の論文ベースの機関リポジトリに関しては、喜連川先生、またその前の所長であられた坂内先生が、NIIの運営経費を割いてでも、何とか機関リポジトリを構築すべく御尽力なされました。特に、海外の大手の電子ジャーナルの価格がどんどん高騰していく中で、それに対する日本としての防衛策である機関リポジトリをきっちり作る必要があるということで、NIIの運営経費まで投じられて始められたものです。喜連川先生からすばらしいデータを御紹介いただきましたように、機関リポジトリに関しては世界第一の構築数ということになっており、今まで地道に御尽力いただいた賜(たまもの)だと思っております。
 また、アカデミッククラウドに関しても、例えば15ページを見ますと、日本の中でエリアを限定しますと、既にある程度のアカデミッククラウド的なものが芽生えておりまして、これを全国的にネットワークでつないでいくということが、NIIの下で更に展開されていきますと、世界の他の国にはまだ構築がなされていない、全国土レベルのアカデミッククラウドの構築が着々と進んでいくのだと思います。
 今後、喜連川先生が今おっしゃったようなことを踏まえて、我々はどういう形で、これを発展させていくのか。あるいはこれを、国レベルの施策として、どうきっちり取り上げていただいて、その動きをより後押ししていただくかを考えないといけないのだと思います。これは、国レベルのアカデミッククラウドは今後財政的な支援がないと、なかなか実現しないと私は考えておりますので、そういうことも含めて議論していければと思っております。
 喜連川先生の今の御発表に対しては、いろいろな御質問等あるのではないかと思います。御感想や御意見でも結構ですが、どうぞ皆様方から、いろいろ頂ければと思います。竹内先生、どうぞ。
【竹内委員】  竹内でございます。大学図書館の立場で発言をさせていただきます。
 西尾先生のまとめの中にもございましたけれども、NIIの皆様方の様々な御支援によって、日本の大学図書館が構築してきた機関リポジトリが力強い発展を遂げてきたというのは事実でございまして、先ほどの西尾先生に重なる形になりますけれども、NIIから多大な財政的な支援を頂いていたことに対して、改めて御礼を申し上げたいと思います。
 更におねだりするようで大変恐縮ではございますが、このJAIRO Cloudを含む機関リポジトリの構築が、NII、大学図書館のコミュニティ、そして研究者のコミュニティが協力する形で進んできたということを踏まえ、機関リポジトリ推進のためのコミュニティを作り、更に発展させようという動きが今も進んでいるところでございます。このような動きに対して引き続き各方面の御支援を頂きたく、機関リポジトリを中心としたオープンサイエンスの推進を大学としても積極的に進めていきたいということを改めて申し上げます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 ほかにございますか。喜連川先生、どうぞ。
【喜連川委員】  時間に制約がありましたものですから、図書館との連携に関する部分というのは少し省略しましたけれども、先ほども申し上げましたように、平成25年度から機関リポジトリ推進委員会というものを、大学図書館とNIIとの連携・協力推進会議の下に設けて、非常に精力的にここで御議論いただいているところでございまして、図書館の方々のインボルブメントというものを、NIIサイドからも大変厚く御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 岡部先生、どうぞ。
【岡部委員】  私が英文論文誌の編集委員長を務めています情報処理学会の取組について、少し参考までにお話しさせていただきます。これは和文の編集委員長でありますNIIの相澤先生が主導している取組なのですけれども、そもそも情報処理学会は論文誌を完全に電子化して、かつ、その公開のプラットフォームをNIIの情報学広場という形で公開させていただいております。
 その中で研究者から出てきた要望として、論文にマルチメディアコンテンツを付録として付けたい、具体的にはどういうことかというと、音楽の情報処理の分野、特集号の方で出てきたのですけれども、音楽情報処理でこんな研究をしたというところが、それが本当にどれくらいの効果があったのかというのは、実は論文の字を幾ら読んでも分からなくて、音楽のデータを聞けばすぐ分かると。そこで、その音楽データそのものを論文の付録として、査読のプロセスで、それも評価するという取組を始めています。そのデータは、論文が出版されたときに、きちんと論文と一体のものとして参照できる形にならないといけない。ただし著作権は、普通は論文のテキストそのものは情報処理学会側へ譲渡しているのですけれども、コンテンツは付録だけれども著作権は著者に留保する、そういう形で運用を考えています。
この音楽情報処理の取組、実は音楽だけではなくて、百聞は一見にしかずの逆で、聞けばすぐ分かることが字で分からないということもありますし、あるいは映像を見れば分かるけれどもテキストだけでは分からない、そういうことが、ほかのいろいろな分野でもあるだろうと。そういう取組は学協会で潜在ニーズとして多くあると思います。情報処理学会で、以前から検討は進めていて、ようやくそこまで来たのですけれども、是非その取組を、ほかのところにも生かしていただけるように情報発信していきたいと思います。
 以上です。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。喜連川先生、どうぞ。
【喜連川委員】  学協会をファーストクライアントとするか、あるいは大学の持っているコンテンツをファーストクライアントにするかというところを、今後この場でも御議論いただければ有り難いと思います。
 先ほどの発表の中で、領域ごとには、ある種応用も含めた感じで、よりカスタマイゼーションしたデータの利活用基盤を作らなくてはいけないと申し上げたのですけれども、この部分は多分、大学固有ではなくて、分野横断、分野が各大学を越えて広がっていると。さらに、それがグローバルに広がっていると思うのです。そういうものを今後、私どもとしては目指していかなくてはいけない。つまり機関に所属するものと研究領域に所属するものを、少々表現を抽象化しますと縦糸と横糸をどうデザインしていくかということを、是非この場でも御議論いただければ有り難いと思っています。マルチメディアに関しては、私が会長のときも随分進めたのですが、なかなか、御提供できる程度の廉価なストレージ空間がなかったものですから難しくなっていたわけですけれども、先ほど御紹介しましたように、そういうものがどんどん可能になってきますので、現実味を帯びていると思います。
 我々は、音楽もそうなのですけれども、一番これから沸いてくるのが、実は3Dプリンターではないかと思います。3Dプリンターのデータというものを論文に付与することによって、実際に作って、それを見ることができる、使うことができるという新たな世界がどんどん広がっていますので、岡部先生に御指摘いただきましたように、我々が過去に考えていたいわゆるコンテンツをどんどん乗り越えた世界というのが出てきて、非常に面白い領域が生まれてきていると理解しております。
【西尾主査】  喜連川先生が今おっしゃいましたように、今後、「最終まとめ」を策定していく上で、アカデミッククラウドというものを国として作るときに、大学関係、つまり、機関をベースにして構築していくのか、あるいは、学協会をベースに領域にプライオリティーを置くのか。そのような点をどう考えていくのかというポリシーも重要かと思います。片一方だけということはあり得ないのですけれども、どちらを我々はより重点的に考えるかということが、今後の議論の中では求められるのではないかということでございます。非常に重要な視点を御指摘いただきまして、ありがとうございました。
 北森先生、どうぞ。
【北森委員】  質問とコメントが一つずつございます。
 今、このアカデミッククラウドで、大学を中心になってやっているリポジトリのところは、恐らく修論やD論、卒論という、ある意味、研究として学生が一段落をさせたところのものがたくさん乗っかっている。
 これは先ほどの氷山の絵でいうと、海面から上に出ている部分です。実際に研究が進んでいる、実験が進んでいるというのは、多分、海の下の中に入っている部分だと思いますが、今、大学で入っているものはほとんど上のものだとすると、あの絵のとおり、ほんのわずかな部分で、下の部分に巨大なデータがある。これを格納していくような、そういうシステムがこれからできるということなのでしょうか。それとも、今でもある程度はそれが可能になっているということなのでしょうか。
【西尾主査】  喜連川先生、今の御質問にまずお答えいただけると有り難いです。その後、次の御質問をお願いします。
【喜連川委員】  それに関しては、少し早口で、丁寧なスライドを入れるのを失念して大変失礼しました。ここの場でも何度か議論がありました、この14ページの一番下にある不正防止のための研究メモといいますか、研究をしている過程のデータも含めて、つまりパブリッシュの前のものをどんどん格納していくという空間だと思うのです。
 これはどちらかというと、ウェルオーガナイズして外にオープンにするというよりも、格納しながら、後から何か問題があったところを検索可能にするという、いわゆるe-discoveryの領域になってくる。この部分は各大学で、多分いまだにどこもサポートできていないと思いますし、そもそもどれぐらいのものをコンプライアンスのために置いておけばいいかというアグリーメントすら、まだできていないところだと思います。
 それに関して、先ほど北森先生からも、この氷河の図が分かりやすいというお褒めを頂き大変有り難く存じますが、ここに先に述べました永続ストレージという部分が圧倒的にチープになるものですから、ここを利用して、コンプライアンスのためのオープンにウェルオーガナイズしない、とにかく入れておくという、海面より下のものを我々としては作り得るということを今回御紹介させていただいております。
 ただ、ここはグローバルに見たときに、やはりどのくらいのものを入れておけばいいのか。要するに、プットとゲットぐらいの簡単なインターフェースで良いと思うのですけれども、そこも、ここに書かせていただくにはまだ議論が煮詰まっていないかと思いまして、この程度にさせていただきました。NIIとしては、是非こういうものは各大学でマストになりますので、皆様と一緒に御議論しながら、このサービスを作っていければと思っている次第です。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。永続ストレージというのは、大学ごとに作るのは効率的ではなく、例えばNIIに、そのような大規模なストレージを設けて、そこに集約してしまった方が、コストパフォーマンスが高いと思っているのですが、そういう考えでよろしいですか。
【喜連川委員】  これ自身もNIIが何か物を買って作るということではなくて、こういうクラウドサービスをバルキーに調達をかけながらやると。つまりSINET等をフルに活用しながら、そこに格納するパスを作っていくという感じです。
【西尾主査】  分かりました。北森先生、どうぞ。
【北森委員】  今の議論のところでコメントです。そうしますと、恐らく実験のやり方だとか、データを保存しておく今までのやり方から、一部非常にやりやすくなるというのは現場からは大いに期待されるところでありますが、もう一方では、やり方が全く変わってしまうので、実際に現場で実験する人たちの、ある意味やりやすさとか、そういったことも意見をよく聞きつつ作っていく必要があるかと思います。それは日本学術会議の方で個別の分野ごとにやるだろうということではありましたが、これはある意味、今までの科学技術の研究開発の進め方が、がらっと変わってしまうくらいの大きな影響力を持つのではないかと感じます。
 それから、これはただのコメントですが、クライアントが学協会か大学かということは、むしろステークホルダーが学協会か大学かということにもつながるかと思うのですが、この場でも何回か発言したかと思いますが、欧米の巨大学会は、非常に大きな資金源が会費だけではなくて、出版収入等、いろいろある。そのとき、欧米の学会では、ステークホルダーとして自分自身でこうしたことに関して投資ができるという事情と、会費がほとんど運営費で使われてしまう日本の学会の状況とは大いに違う。有効に運用できる財源としては桁が違うといってもかまわないかと思うのですが、そうした状況の違いをよく見極めて、日本の場合には学協会がステークホルダー、クライアントとして、こうしたことを進める場合には、学協会の中の予算で進めるというのはなかなか厳しいものがある。ここは、国のオープンサイエンスの施策ということであるのであれば、その財源の構造が全く違うということを常に考慮に入れながら、やはり国、それからファンディングエージェンシーがしっかりサポートしながら、進めないといけないと思います。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 まだ御意見はあるかと思うのですけれども、次の議題に移りながら、今のことに関しても更に続けて御意見、あるいは御質問を頂くということにさせていただきたいと思います。
 先ほど申しましたように、9月11日にこの委員会で「中間まとめ」を取りまとめまして、資料1のように公表しました。それ以来、今日までこのことに関しての審議について控えておりましたのは、他の機関においての議論がいろいろ進んでいることがあり、それに関しての動向を見据えるということもございました。しかし、我々としては「最終まとめ」に向けた審議をしていかなければならないと思っています。一つの目安は今年度内ということで、「最終まとめ」に進んでいきたいと思っています。
 その主な論点としては、まず先ほどお話のありました内閣府オープンサイエンス推進に関するフォローアップ検討会において御意見のありました、人材育成のための取組や図書館の役割ということがあるかと思います。また、喜連川先生から御説明のありました、クラウドを活用した大学におけるデータ基盤整備についてどのように取り組むのかということもございます。これについては、学協会ということも更に考える必要もございます。その取組と併せて、分野別のポリシー策定の進め方については、日本学術会議でも学協会において検討するという方向性が出ているわけですけれども、現時点における状況は先ほど渡邊室長から御説明のあったとおりでございます。
 そのような中で、実効性のある取組とするためにどのようなことが必要なのかを考えることが求められます。また、公開対象外となる研究データは何なのかということ、公開対象の研究データの利活用ルールについて、更に言及しておくことがあれば、この委員会で議論しておく必要があると思っております。内閣府の検討会で御意見のあったオープンということをどう捉えるかに関して、もう一段、議論を深められるかどうかというところでございます。
 どのような観点からでも結構ですので、「最終まとめ」に向けて我々がどのように「中間まとめ」を深めるかということに関して、いろいろ御意見を頂ければと思います。美馬先生、どうぞ。
【美馬委員】  人材育成について、私が持っている情報を少し提供させていただきたいと思います。前回の「中間まとめ」では、13ページに大学等に期待されている取組ということで、分量も限られた内容でした。今後の「最終まとめ」に関して、是非ともそこはもう少し補強する必要があるかと思い、今からお話をさせていただきます。
 私は、日本学術会議の情報学委員会情報科学技術教育分科会に属していまして、これは情報学を教える学部教育の参照基準を策定してきました。この基準は、もうすぐ公開される予定です。
 これは学部教育についてですが、その次に、まだ問題提起されたのみなのですけれども、ビッグデータを扱う人材について。オープンサイエンスの推進は、議論では仕組みのことが主でしたけれども、これは運用する人材とセットだと思います。
 その中で、アメリカでは、例えばデータサイエンスということと教育の関係では、2011年にマッキンゼーのレポートで、2018年にはアメリカではデータ分析の専門家が14万人から19万人不足するという予測が出て、幾つかの大学はすごい勢いで取り組んでいます。その中には、例えば23 Great Schools with Master’s Programs in Data Scienceといって、これは後でウェブサイトを検索していただければ分かりますが、23の良い修士課程のプログラムがデータサイエンスに関する教育で出ています。
 例えばカリフォルニア大学バークレー校の場合は、それをオンラインでMaster of Information and Data Scienceということで、プログラムでしっかりと出しているということと、もう一つ驚くべきはスタンフォード大学です。スタンフォード大学が幾つかの統計学関係のところでデータサイエンスと修士号を出しているというのは分かるのですけれども、そのほかに社会科学関係でも、サーティフィケートなどをキャリアディベロップメントとして、いろんな分野の人たちを受け入れている。社会人にも、そういうサーティフィケートを出すというのが、いろんな金融であれ、医学であれ、環境問題であれ、とにかく、ビッグデータを扱う人たちがたくさんいるので、そういうプログラムがすごい勢いで出ているのです。
 ということを見ていくと、日本の中でも、こういうオープンサイエンスという仕組みがどんどん出ていくときに、どこか一つの大学が頑張るということよりも、こういうところで提言を出し協力しながら、その辺の人材育成を、このオープンサイエンスだけではなくて、いろいろな分野に今後関係してくることだと思うので、検討課題として入れてもよろしいかと思い、意見を述べさせていただきました。
 以上です。
【西尾主査】  美馬先生、どうもありがとうございました。多分、人材育成の取組についての内容が資料1の段階では、まだ弱いという状況だと思います。総合政策特別委員会においても、超サイバー社会という呼び方で第5期科学技術基本計画においては超スマート社会となっている部分について議論しましたときに、人材育成も新たな発想に基づいた議論が必要ではないかとの議論がありました。今、美馬先生がおっしゃったようにビッグデータ、あるいはIoTに関わるような人材の育成が相当重要ではないかということで、総合政策特別委員会の最終の取りまとめにおいて、それに関するある程度の記述がなされているものと思っておりますが、そうした記述をより強化する必要があるということは、おっしゃるとおりだと思います。
 ただし、文部科学省も、それに対して全く対応をとっていないということではないと思います。現在、日本全国の大学院レベルにおけるICT教育をネットワーク化したICT分野の人材育成プログラムとしてenPiTというプログラムがありますけれども、来年度の概算要求の中で学部レベルまで更に拡張する中で、その対象がビッグデータ、IoT等になっていたと思います。予算額のことまでは覚えておりませんが、概算要求は通っていると思います。そういうことも含めて、美馬先生のおっしゃっておられますところをもう少し強化して書いていただく必要があるのではないかと思っております。
 ほかにどうでしょうか。人材育成のことは非常に重要で強化する必要があるということはごもっともなことだと思います。
 喜連川先生、どうぞ。
【喜連川委員】  人材育成に関しては、本当に美馬先生がおっしゃられるとおりで、この領域は非常に沸騰しておりまして、人が足らないというところは全くそのとおりです。
 ただ、西尾先生や私くらい長く人生を生きてくると、もう少し長いスパンで物を見ることも必要かと存じます。少し前まで何が言われていたかといいますと、ソフトウェアの人材が足らないと言っていたのですね。その後、今、何が言われているかというと、サイバーセキュリティの人材が足らないと言っている。そして、データサイエンスの人材。つまり人材育成というのは、常に何かがITで起こってきますので、常にリアクティブに動いているということだけだと、やはり足らないと思うのです。原則ITの素養がしっかりできていれば、その素養の下にセキュリティもできる、データサイエンスもできる、ソフトウェアの精緻なシステムプログラムもできる、そういう人材を日本がいかに作るかというところの方が、はるかに重要だと思うのです。
 ですから、そのエンド側ではなくて、根っこ側。これは研究振興局なので、高等教育局サイドの話に、なかなか踏み込めないかもしれないのですけれども、本来、基礎学力として、情報の基礎をもっと強くするというのが、私は根源的な課題ではないかと思います。
【西尾主査】  美馬先生、どうぞ。
【美馬委員】  そうです。データサイエンティストが足りないとか、いろんなことがありますけれども、今出てきているのはコンピュテーショナル・シンキングができる人材ということで、どちらかというとメタスキルです。コンピュータが出てきたことによる新しい考え方、思考法。計算論的思考と日本語では訳されていますが、例えばデータを分析する力とか、論理的に考えるとか、モデルを立てるとか、そもそも問題を特定するとか、そういったことが、そこの根源にあるのではないかと思います。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。いわゆる目的志向といいますか、出口のところの志向ではなくて、情報という分野において、手法をきっちり押さえたといいますか、根本を押さえた人材を今こそ育成しておくということだと思います。情報分野が急速に発展していく中で、目的とするものが次々と変わっていっても対応できるような人材を今こそ育てておく必要があるのではないかと思います。
 もう一方で、情報分野が現れてようやく半世紀余りたったところなのですけれども、情報分野において根本とするコンセプトは何なのかということを、ここでもう一度考える必要があると思います。ICTが社会へ及ぼす影響の強さということを考えると、本当に根幹とするところを学部レベル、もし可能だったら高校、更に中学とか、そういうレベルまでも含めて、今きっちりと人材育成をしておくことが急務ではないかということを思っております。
 ほかにございますでしょうか。相田先生、どうぞ。
【相田委員】  人材育成とは少し離れてもよろしいですか。
【西尾主査】  よいですよ。
【相田委員】  前回のときに、この「中間まとめ」の補足といいましょうか、付録として、いろいろな役割分担が一目で分かるようにという表を作っていただくということで、9月頃にはメールでの添付はあったのですが、今日配付された紙媒体の中にはないように思います。「中間まとめ」の内容を一目で分かるようにする表は、私は是非、付録として付けた方が良いと思っています。9月頃に送られた表を見ても、もう少し縦軸と横軸の整合性を合わせた方が、ここの委員会で議論したことが分かりやすくなるように思います。
 例えばですけれども、一番右側に国がそれに対して何をするかというので見ると、国はNII及びJSTの事業を支援するとあるわけです。一方、大学等のところを見ると、大学等もいっぱい何かをやるように書いてあります。しかし、国は大学を支援するとはどこにも書いていないので、これを見ると、大学は自己努力で全部やるというのが一目で分かるような、非常に良い表になっているわけです。
 つまり、ちゃんと動かしていくためには、それぞれが何をやらなければいけないのか、それがどこにどう関係してくるのかというのが分かるような、この表がすごく良いので、是非、大学の自己努力だけで任せることはないということがちゃんと分かるようにしておくことも重要だと思います。
【西尾主査】  渡邊室長、どうぞ。
【渡邊学術基盤整備室長】  今御指摘の点は、参考資料1の最後の32ページに、御指摘いただいた表をとりあえず付けさせていただいております。今お話がありましたように、昨年のこの「中間まとめ」の時点で、この委員会で御指摘いただいて、一覧で見えるようにということでございました。今の点も踏まえまして、もう少し整理させていただきたいと思います。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。「最終まとめ」の対象範囲を大きく広げて書いてしまうと、なかなか収拾がつかないと思いますので、学術情報委員会の中での範ちゅうで書くということでよろしいでしょうか、相田先生。
【相田委員】  はい。
【西尾主査】  そうでないと、本当に本委員会の議論の内容を越えてしまうので、その点には気を付けていただきたいと思います。
【渡邊学術基盤整備室長】  はい。
【西尾主査】  相田先生、どうぞ。
【相田委員】  今日の最初にいろいろ御説明していただいた、ほかの委員会でこういう議論をしていて、すり合わせ等が必要という御指摘があったのですけれども、それに関しても、本当はこういう表を作っていただくと、もう少し分かりやすいかと思います。
【西尾主査】  分かりました。我々の委員会が他の委員会等と相互に連携しながらインタラクティブな議論していることを可視化するということですね。
 竹内先生、どうぞ。
【竹内委員】  本日御説明していただきました内閣府の意見の中で、図書館の役割というのが二つ挙げられておりますので、これについて意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、一つ目のデータの公開等に関する図書館の役割、新たな機能を担うことに関する方向性についての議論が、大学図書館のコミュニティでも行われているかということですが、これについては残念ながらいまだに弱いと言わざるを得ないと思います。
 皆さんのお手元に資料がありますように、学術情報委員会から平成25年8月に「学修環境充実のための学術情報基盤の整備について」という審議まとめが出ておりまして、大学図書館は総体として、教育・学修支援の方向に大きくシフトするという形で、以来、様々な活動がなされているところでございます。
 今、教育・学修支援という方向にシフトして、新しいことをどんどんやらないといけないという議論をして、整備が進んで数年という段階で、更に新たにデータに関する役割を図書館がすぐ担えと言うと、現場レベルとしては混乱をする、あるいは戸惑うというのが現実だろうと思っております。
 もちろん、理念として、また長期的に考えた場合、データ管理に係る仕事を図書館が担うということについては私も全く異論はございませんし、その方向で考えるべきだと思いますが、では今すぐやれと言われると多分難しいと言わざるを得ないと思います。
 「中間まとめ」の13ページに人材育成の取組で、図書館の職員等を対象としたプログラム開発ということが書かれております。この部分を丁寧に読んで何が問題かを論じているかということを見ると、これは図書館職員の質的な転換を図るべきだということが書かれていることになると思います。
 しかしながら、ここには研究支援等の人材に関する量的拡大についての言及が全くないというところがありまして、このことについて、やはり国の政策として、これに関わる人材を単に従来の人材の質的転換によって整理するだけではなくて、量的拡大ということがないと、大学としては全く動けないのではないかと思います。例えば、私が附属図書館長として、大学当局に関して、「現在こういう議論が進んでいるので図書館職員をこういう方向で転換させていきたい。とはいえ、従来の図書館業務が全くなくなっているわけではないし、教育・学修支援の活動も進めるという中でやるのだから、これは職員を量的に増やすしかないんだ。」と言ったら、多分、私は今の大学が置かれている状況が分かっていない愚か者と言われてしまう可能性があると思います。
 ですので、この部分については、研究も教育も含む支援人材の量的拡大ということが国の方針として前提にないと、これを進めていくのは非常に難しいのではないかと考えているところでございます。量的拡大についても是非、審議のまとめの中では言及をしていただきたいと思います。
 これについては以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。今、竹内先生がおっしゃったような記述があると、今後、国レベルにおいて、あるいは各々の大学内における執行部に対して、いろいろと提案しやすいこともあると思います。そのような記述について事務局の方で御検討いただければと思います。
【竹内委員】  もう1点ございます。
【西尾主査】  竹内先生、どうぞ。
【竹内委員】  大学の人材ということになりますと、必ずしも研究振興局ではなくて、高等教育局の方の話になるかと思うのですけれども、先生方も御承知のように現在、中央教育審議会の中で大学における専門的職員の必要性ということが議論されているところでございますので、このオープンサイエンスを推進するデータ管理等の業務に関する人材も、現在出現しつつある、そのような専門的職務であるということを是非入れていただくように交渉していただければと思います。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 井上先生、加藤委員、何か御意見ございませんか。
【井上委員】  利用ルールについて申し上げますと、「中間まとめ」の11ページから利用ルールについての記述がございまして、内閣府のフォローアップ検討会では、机上配付の資料でございますが、利用ルールについてはオープンにされた後の利用条件の設定の重要性を指摘していることは評価していただいています。しかし、ここでは、問題意識を示したということにとどまっており、この後、具体的にどうやっていくのかということは、実は余り書いていないのです。
 「中間まとめ」の次のページを見ますと、点線囲みのところに誰が何を取り組まなければいけないかを書いてあります。そこでは、学協会が著作権ポリシーを策定して明示する、ライセンス体制を構築することを学協会に任せるということにとどまっており、フォローアップは何もなされないというような形になっています。それで大丈夫なのかと懸念を持っています。学協会は様々な分野で構成されていますので、著作権や知的財産について詳しい方がおられるということはまずないわけでございまして、マルチメディアのファイルを論文に添付する、3Dプリンターのデータを付けるような形で研究成果の公表が進むことを想定すると、著作権問題は増えてくることが考えられます。現場の学協会の方々が分かっていないところで研究成果が公表されて、どういう条件で利用できるのか、利用者に分からないままになってしまうのではないかと思います。
 審議まとめで利用ルールについて細かく検討して書き込むということは、妥当でないと思いますけれども、問題点を指摘した上で、誰が何を、どういう取組をするのかというところで、例えば、著作権については文化庁の著作権課などが扱っていますので、そういうオープンサイエンス、オープンアクセスに係る著作権問題について整理するであるとか、国が何らかの形でサポートするということを一言入れておくと良いのではないかと思います。
 具体的に著作権の問題について整理をして、実際に著作権について詳しくない方々がうまく運用できるようなサポート・フォローをすることが重要だと思います。
【西尾主査】  渡邊室長、これについては何かコメントはございますか。内閣府の検討会との関係もあるかと思いますけれども。
【渡邊学術基盤整備室長】  内閣府の委員会でこのコメントを頂いたのは、実は弁護士の方でございまして、そういう観点では見ていただいたということであります。
 著作権の問題については、今お話になっておりました文化庁の所掌ということもありまして、今の話を踏まえて一度話をさせていただきたいと思います。
【西尾主査】  指針となるというか、ある種のコンサルテーション的な意味も含めた記述をここにしておくべきだということに関してはよろしいでしょうか。加藤委員、どうぞ。
【加藤委員】  今の人材育成に関するところなのですけれども、JSTでも科学技術情報委員会にて、データシェアリングについて、委員の先生方から御意見を伺っております。人材については、とにかく足らない状況にあります。日本学術振興会の指針の中でも分業化をすべきだという話だとか、あるいは内閣府のフォローアップの中でも、データを扱う専門人材のキャリアパスを作っていくことが必要だということが書いてございます。
 JSTの委員会で出た意見としては、ファンディングの段階で、研究開発をしている段階から、実はデータをキュレーションして格納して保存していくというようなことをきちんとやっていかないと、基本的にはデータは散在してしまうのではないかという御指摘があり、後からこのデータを公開したいといっても、現実的にはなかなかできないという状況にあります。ファンディングの段階でデータ管理をきちんとやっていくことが必要だと思いますし、その中でデータキュレーションの人材を育成し確保して、キャリアパスを作っていきながら、将来的にはキュレーションセンターみたいなものができればいいのでしょうけれども、まずは個別のファンディングの段階で実施していく必要があるのではないかという意見があります。
 いわゆる公開する、オープンするところだけを強化しても結果的にオープンサイエンスにはつながらないという側面から、研究段階のところからデータをきちんと管理していく仕組み作りをしないといけないというところを少し記述してもいいのではないかと思っております。
 それから、先ほどの喜連川先生の資料でコメントというか、お願いもございまして申しますと、CiNii for Dataという17ページの図がございます。これはNIIの中でいろいろやっているような技術開発その他含めて日本全体でも活用できると思いますし、JSTでも同じようなことを考えております。例えばJ-STAGEでは論文に付随するデータをどうするんだとか、Japan Link Centerを使って他機関のデータをどういう仕組みで活用するんだとかいうことで、もちろんNIIとも協力してやってございますけれども、CiNii for Data的な構想については、JSTも協力してやっていきたいと思っていますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
【西尾主査】  喜連川先生、それはよろしいでしょうか。
【喜連川委員】  いろいろなレベルでの御議論があったかと思うのですけれども、今のCiNii for Dataに特化して申し上げれば、もちろんデータのハンドリングそのものは、先ほど渡邊室長から御説明のありました、この役割分担のところにもありますように、原則ファンディングエージェンシーのところからしかお金が出てきようがないものですから、そこと密接に連携をしていく必要があるというところであります。
 ただ重要なことは、何が大切かというと、データをきっちり置いておくことが目的化してはいけないのですね。要するにリサーチのアウトカムをマキシマイズするというのが根本でありまして、データをきっちりためておくとか利用可能にするところは、誰が見ても分かりやすいところなので、ここをやりましょうということになるわけですけれども、我々は、そのバランスを考えるのが非常に大切だということを忘れてはいけないと認識しておくべきではないかと思っております。
 それから、著作権の問題が出ましたので、少し申し上げておきますと、現在、知的財産戦略本部の下で次世代知財システム検討委員会というのをやっているのですけれども、文化庁に頼んだからどうのというレベルではなくて、法制度そのものがもう追いついていません。したがいまして、例えば先ほどの3Dプリンターのデータをどうするかというのは、これから検討する段階です。ですから、どこかに頼めば何かが出るような簡単な問題ではないということも我々は理解しながら、この議論を進めていくべきかと思います。非常に重要な御視点を頂いたと思います。
 それから、ついでに申し上げておきますと、竹内先生から人材を図書館側に求められても、少ししんどいのではないかと。それはおっしゃるとおりだと思います。つまり、冒頭申し上げましたように、ファンディングも同じですけれども、ドメインにとって見たときに、データをどう格納するのか、どうキュレートするのかというのは、ドメインバイドメインで、共有部分と固有部分のバランスをよくとっていくかということが全てだと思うのです。つまり、図書館に押し付けるというシナリオには多分すべきではないし、現状でもなっていないと思います。
 ただ、図書館の業務自身が教育にはシフトしているものの、ほとんどの図書というものがデジタライズされて、そこで非常に効率的にアクセシブルになっていくときに、その一定程度の割合を、このデータのリポジトリ管理に共通的なものは御提供いただくという、そんな流れと理解した方が良いのではないかと思っている次第です。
【西尾主査】  喜連川先生、3Dのデータに関して法制度が全然追いついていなくて、単にどこかに聞くのでは済まない状況であるときに、学協会などが先んじて、そういうことに関してのポリシーをどんどん作っていくべきだと思います。この問題の解決策は非常に重要なところだと考えます。
【喜連川委員】  これは法律ですので守らないといけないわけですが、先ほど3Dプリンターについて私が申し上げたので出ているわけですけれども、今、一番厄介なのは、AIが作ったコンテンツです。例えば音楽を作る、あるいは絵画を作る、文章を作るというのをAIが作った場合に、これは一体誰のものかという議論がなされています。これはグローバルに解けていない問題です。ですので、学協会に考えなさいと言っても、多分、それも難しいと思います。
 ですから、余り良いソリューションはないのですけれども、文化庁も答えを持っていないと思いますので、経験知を持っている我々と、協調するという表現にしかなり得ないのではないかと思います。
【西尾主査】  我々が積極的にそこに関わっていくということですね。
【喜連川委員】  そうです。
【西尾主査】  加藤委員からの御意見は、研究プロセスで得られたデータを、そのプロジェクトの中でどうハンドリングしていくのかということも含めてファンディングの段階から、つまり、プロジェクトなどを採択する段階から評価すべきではないかということだったと思います。これは、国の様々な研究費等において、申請の段階から、その研究のプロセスで得られた貴重なサイエンスデータに関して、該当プロジェクトとしてはその扱いをどう考えていくのか、どのように公開していくのか、ということを今後明確化していくことが大事ではないかということと考えてよろしいでしょうか。
 プロジェクト経費の一定割合をそういうところに当てることによって、全体的にサイエンスデータそのものをハンドリングする上での大きな財政的なサポートにもなっていくのではないかと思います。
 例えばプロジェクトを申請する際にはある種のオーバーヘッドとして、そのような経費を前もって組み込んでおくという考え方だと思います。
 高木先生、それから、逸村先生、何かございますでしょうか。
【高木委員】  一つ検討していただきたいのは、コスト負担モデルといいましょうか、それをどうするかということでございます。分野ごとに、あるいは学協会ごとにデータのオープン/クローズ戦略を立てるのは良いと思うのですが、どうコストを負担するかというのは分野ごとの問題もあるでしょうけれども、やはり共通の課題も結構あるのではないかと思いまして、それを是非ここに書き込んでいただきたいと思います。
 それで質問なのですが、喜連川先生の先ほどのアカデミッククラウドでは、そのあたりの整理を持続可能性といいましょうか、そういうことも含めて、誰がどうコストを負担すべきかみたいなことは、もう議論されているのでしょうか。
【喜連川委員】  先ほど西尾先生がおっしゃった、ファンディングエージェンシーからのファンドをとるところにデータの運用をどうするかは、当時に随分議論されたかと存じます。
 つまり、問題はファンドされている間のデータのキュレーションのお金というのは、あるいはプリザベーションのお金というのは簡単な問題です。問題は今、高木先生がおっしゃったファンドが切れた後にどうするかということが全てなわけです。そこをファンディングエージェンシーが考えられるのかというと、少ししんどいかもしれない。つまり、そこは、やはりコミュニティで考えざるを得ないのではないかというのが私どもの印象感です。
 それからもう一つは、NIIがそんなにグローバルなコスト負担問題全部を考えられるかといいますと、これはワールドワイドで誰も答えを持っていないものに、NIIに押し付ければ何とかしてくれるというような、そんな生易しい問題ではないので、そこは勘弁していただきたいのですが。
 一つ高木先生的に、少し失礼な言い方になるかもしれないのですけれども、感覚的に言いますと、やはりビッグサイエンスはビッグデータを生んでいるのですね。これは認めざるを得ないのです。そうしますと、例えば人文社会が生んでいるような調査的なデータというのは極めてタイニーなのですね。
 ですから、一言で言いますと、バイオヘルス系、それからアストロノミーの天文系、それから高エネ系、この三つが方針を大体決めれば、実は残りの部分というのは相当部分カバレッジできてしまうと感じております。
 そういう意味で、大きな研究予算を使う研究分野が、どうやるかということを決めますと、その空間の少し横のところに大体カバーできるのではないか。これは分野間でお互いに、何で我々のお金でそこをという感じもあるかもしれませんけれども、原則、日本の学術をどう強くするか、そして学術間でどう協調するかというのを、この場でいろいろ議論していくことではないかと思います。
【西尾主査】  非常に貴重なコメントありがとうございました。
 逸村先生、どうぞ。
【逸村委員】  今の話、加藤委員、あるいは喜連川委員にしろ、主査の意に乗るのですけれども、オープンアクセスという大原理のところで、例えば参考資料1の2ページにオープンアクセスについて非常にきれいにまとめてあります。ただ、現実問題として現在、大学あるいは研究機関でも予算が非常に厳しい、あるいは円安の影響で、いわゆるサブスクリプションモデルとしての学術雑誌の購入が非常に厳しくなっていっていると。その中で、一方でオープンアクセスジャーナル、ゴールドOAと呼ばれるものが確実に割合を増やしていると。イギリスにおいてのフィンチレポートでもゴールド支援を謳(うた)っています。
 先ほど来、機関リポジトリの拡充やグリーンOA、これは重要だと思います。一方で研究者の外国雑誌への投稿、あるいは日本国内の学協会でのオープンアクセスジャーナルへのサブミットということで、このゴールドOAに対しての、いわゆるArticle Processing Chargeの支援というものも、オープンサイエンスの一環として、やはり、きちんと考えておかないといけない。では、どこで考えるか、あるいは具体的にどうするかというと、やはり、これもファンディングエージェンシーの問題ではないかと思います。
 筑波大学でも一部のところで、ある程度のお金を用意して、そういうものを援助しようというのを始めたのですけれども、ただ現実問題として、どこに優先順位を置くかと、そういう話になってしまうのですが、一方で論文の生産を至上命題とすると、やはり、このArticle Processing Chargeの補助というようなものをどこか、特にファンディングエージェンシーに対して書くと。この話は、どこかでしたような気もするのですけれども、そういうのは32ページの最後のところの「中間まとめ」における関係機関の役割で、ファンディングエージェンシーあるいは大学の研究費の配分の中で、そのような1項目を盛り込んで、ゴールドOAとグリーンOAのバランスある発展ということは必要ではないかと思います。
 また、これはサブミットするときにデータをどこかにオープンに出せというのは、今かなりデフォルトになってきましたが、いまだにここら辺がFigshareなどの海外のものに頼ってしまうということと、少し絡む話かと考えます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 時間が大分迫ってきておりますが、安達先生、美濃先生、何か御意見はございますでしょうか。
【美濃科学官】  この辺りの話は全部出たかと思うのですが、大学でもデータを集め出そうとしています。そのときに、場所だけ提供しようという話を考えているのですが、これで、あと検索できるのかという話があります。
 それで、もう早く動かなければいけないというところがありますので、どんな形でデータ登録をさせようかというのを考えてばかりいました。全体の話はこれでいいのですが、後でデータをアクセスできるためには最低限これくらいは付けなければいけないというメタデータと、登録のときのことは少し書いておかないと、集めた後で、メタデータを付けるのは大変なので、登録するときに付けないといけないと思います。このあたりの話は、早く動かないとどんどんデータがたまっていきます。特にエビデンスデータを保存することが既に始まろうとしているわけで、早く何かどこかで議論しなければならないという気がします。
 書くのか書かないのか、よく分からないのですけれども、現実問題として先にそれが要るというのが現状だと思います。少しコメントです。
【安達国立情報学研究所副所長】  手短に二つほど申し上げたいことがあります。一つはオープンデータを進めるときの難しさでして、オープンアクセスの方では論文などを扱うということで図書館が既に行っているように分野を超えた共通的なアプローチで可能なのですが、オープンデータとなりますと既に御議論に出てきましたように、分野別で随分状況やアプローチが違います。さらに、データを扱うための専門性が非常に高いので、人材の問題などがいろいろと新たに出てきます。
 そのような分野別の状況に対応するために現在、学協会への期待が高まっているわけで、それは大変良いと思いますが、一方、我が国には非常に特徴的なシステムとして、大学共同利用機関や共同利用のための施設が大学等にあります。現在、当該研究コミュニティ等へのサポートや研究環境整備への貢献などの課題をどうするかなど、これら施設等の在り方も強く問われています。このような仕組みの中で、当該分野でのオープンデータをどのように進めるのか、またその活動をどのように担うのかも含めた形で検討していただくのが、我が国の大学環境に非常にマッチした形ではないかと思います。
 大学には附置研がたくさんあり、その幾つかはデータベースなどに関心を持っているところもありますので、このような組織が一定程度の機能を果たすことができると思います。私どもNIIの例ですと、国文学研究資料館と共同して試行的に始めているということは先ほど御紹介があったとおりです。様々な分野に、共同利用のための研究施設があることから、このような考え方ができないかと思います。
 次に、本日の議論に余りはっきりとは出てこなかった種類のデータとして、高等教育における教育関連のデータというのがありまして、これがオープンサイエンスに含まれるのか定かではありませんが、大学にとっては非常に重要な情報ですので、それをどのように共有していくかということも大きな課題であろうかと思います。
 以上です。
【西尾主査】  最初の方は、先ほど喜連川先生がおっしゃったように、例えば三つの分野等で、そういう費用負担の方針が決まっていけば大体のデータをカバーできるということであるならば、是非、小松局長にはこの点を心に留(とど)めておいていただければと思います。やはり今後、高エネルギー加速器研究機構をはじめとする大学共同利用機関等で、日本の科学技術の振興のために、どのようにこの問題を考えたらいいのかということに関して、御議論いただくのも一つの有り様かということを、安達先生の御発言をもとに思った次第です。
 あと、教育関係のデータというのは美馬先生も以前からおっしゃっていたことで、教育研究活動の成果としてというものが学術情報になっていますので、多分、教育のことも含んでいると考えているということだと思います。
 北森先生、どうぞ。
【北森委員】  先ほどの喜連川先生の三つの分野、それから今の大学共同利用、あるいは国の共同利用というところでも、それは実験がビッグデータという観点ではそうかもしれないのですが、もう一つ観点としては、データサイズは小さいのだけれども、研究者が非常に多いというところもあって、むしろコントロールするのが難しいのはそちらで、一つのことを決めてもなかなか従ってくれないという、スペクトルが非常に広いのもそういう分野なので、これは国全体として永続的にきっちり動かしていくというときには、データのサイズだけではなくて人の多さというところでも、やはりパラメータとして考えないといけないかと。
【西尾主査】  それでは、議論も尽きないところなのですけれども、今日いろいろ御議論いただきまして、まことにありがとうございました。
 美濃先生のコメントに関しては、どういうところで議論したらいいのかを含めて、事務局とお話をできればと思います。科学官としていろいろ御議論いただいておりますこと、本当に重要なことだと思っています。
 それでは、今日の議論をベースに「最終まとめ」の案を、今後、事務局で鋭意作成していただくということで、事務局の方、よろしいでしょうか。
 その中で、質疑応答の中ではアカデミッククラウドのことは余り出ませんでしたけれども、そのことについては喜連川先生の御説明、御発表の方針ということで今後、強力に進めるということで皆様方、よろしいですか。
 そうしましたら、あと一つ残った時間で簡単にお願いしたいのですけれども、平成28年度文部科学関係予算(案)のポイントについて御報告をお願いいたします。
【渡邊学術基盤整備室長】  資料3を御覧いただきたいと思います。平成28年度文部科学関係予算(案)のポイントということで、主要事項の表が続いておりますが、後ろに付いております2枚のポンチ絵がございます。こちらで、この学術情報委員会の関連予算について御説明いたします。
 まず学術情報ネットワークSINET5の予算でございます。平成28年度の予算案として約69億円計上してございます。御案内のように前期の委員会で、このSINET5の運用・構築については御議論いただきまして、この4月から運用が開始されるに当たりまして、その必要な予算を措置されているということでございます。
 内容については、ここに丸1から3とあるとおりですが、特に大学のクラウド環境の構築ということで、SINETにおいてもクラウド利活用の技術支援を行うといった予算についても計上させていただいております。
 続いて、おめくりいただきますと、JSTの情報事業関係予算であります。これについては、平成28年度、約29億円ということでございます。内容については各データベース等の提供ということになりますが、特にオープンアクセスに関連したところで申し上げますと、J-STAGEの予算について、若干でありますけれども伸ばしているような状況がございます。
 それと、最後のページでございますが、AIPプロジェクトの予算。これは平成28年度の新規事項でございます。プロジェクトの総合としては54億円ということでありますが、そのうち新規施策に係る部分が中ほどにございます。中ほど左側のAIPセンター、これは理化学研究所のセンターの設立、運用に係る経費ということで14億5,000万円。それと右側に戦略的創造研究推進事業、JSTのファンドに係る予算でありますが、新規採択分として11億5,000万円が計上されているところでございます。このセンターとJSTのファンディング事業を一体として、AIPプロジェクトの中で運用していくということで、具体的な運用の検討が進められている状況でございます。
 予算については以上です。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。何か御質問などございますでしょうか。特にAIP事業に関しては、新たな科学技術関係予算として真っ先にこの項目が出てきております。多くの方々に多大なる御尽力を頂きまして、誠にありがとうございました。
 小松局長、一言お願いできますでしょうか。
【小松研究振興局長】  いろいろ御議論いただきありがとうございました。「最終まとめ」が出た後も大変多くの宿題が私どもにもありますし、大学にもあるし、学協会にもあるということかと思っておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、本日の御意見を基に、先ほど来申し上げておりますように、「最終まとめ」について、次回御議論いただきたいと思っております。
 事務局から連絡事項等ありましたら、御説明をお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  本日の議事録については、先生方に御確認いただいた上で公開とさせていただきます。
 次回ですけれども、2月26日金曜日10時から12時、場所は文部科学省内の3階特別会議室を予定してございます。それ以降、今後また必要に応じて日程調整等をさせていただきたいと思っています。
 以上でございます。
【西尾主査】  それでは、閉会とさせていただきます。本日は本当にどうもありがとうございました。
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