第8期学術情報委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成27年3月24日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 議事運営等について
  2. その他

4.出席者

委員

西尾主査、羽入主査代理、相田委員、逸村委員、加藤委員、北森委員、喜連川委員、久門委員、高木委員、竹内委員、辻委員、美馬委員

文部科学省

(学術調査官)小山学術調査官
(事務局)常盤研究振興局長、榎本参事官(情報担当)、長澤学術基盤整備室長、松本学術基盤整備室参事官補佐

5.議事録

【松本学術基盤整備室参事官補佐】  それでは、時間となりました。本日は第8期の最初の会合となりますので、開会までの間、事務局で進行させていただきたいと思います。
 本日の委員会においては、主査代理の指名等に係る案件がございますことから、学術分科会運営規則第4条に基づいて、ただいまから議題1の議事運営等についてまでの間、非公開とさせていただきます。
 まず、本委員会の主査については、学術分科会運営規則第3条第3号に基づきまして、学術分科会長が指名することとなっており、本委員会主査として、西尾委員が指名されておりますので、以降の議事進行を西尾主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【西尾主査】  おはようございます。ただいま、松本補佐から御説明がありましたように、学術分科会長から御指名を賜っておりますので、主査を務めさせていただくことになりました。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから第8期の科学技術・学術審議会学術分科会学術情報委員会を開催いたしたいと思います。
 当方としまして可能な限り、本委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思っていますが、各委員の御協力なくしてそれはできませんので、どうかよろしくお願いいたします。
 まず、事務局から本委員会に御出席の委員及び事務局の紹介をお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  それでは、今期の学術情報委員会の委員に御就任いただいた先生方を御紹介させていただきます。資料1にございます名簿の順に紹介させていただきます。
 大阪大学の西尾委員でございます。
【西尾主査】  どうかよろしくお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  お茶の水女子大学の羽入委員でございます。
【羽入委員】  羽入です。よろしくお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  広島大学の相田委員でございます。
【相田委員】  相田です。よろしくお願いします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  筑波大学の逸村委員でございます。
【逸村委員】  逸村裕でございます。どうぞよろしくお願いします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  一橋大学の井上委員でございますが、本日急きょ体調不良のため御欠席という連絡がありました。
 それから、京都大学の岡部委員は本日御欠席でございます。
 科学技術振興機構の加藤委員でございます。
【加藤委員】  加藤です。よろしくお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  東京大学の北森委員でございます。
【北森委員】  北森です。よろしくお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  国立情報学研究所の喜連川委員でございます。
【喜連川委員】  喜連川です。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  株式会社富士通研究所の久門委員でございます。
【久門委員】  久門です。よろしくお願いします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  東京大学の高木委員でございます。
【高木委員】  高木です。よろしくお願いします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  千葉大学の竹内委員でございます。
【竹内委員】  竹内でございます。よろしくお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  西日本電信電話株式会社の辻委員でございます。
【辻委員】  辻でございます。よろしくお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  それから、公立はこだて未来大学の美馬委員については、1時間ほど遅れるという御連絡がございました。
 それから、文部科学省の科学官と学術調査官を紹介させていただきます。
 小山学術調査官でございます。
【小山学術調査官】  小山です。よろしくお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  本日御欠席でございますが、美濃科学官と市瀬学術調査官もいらっしゃいます。どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 次に、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  それでは、議事次第に基づきまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 資料1で、本委員会の名簿でございます。資料2-1、科学技術・学術審議会の概要。資料2-2、学術分科会における委員会の設置について。資料3-1、学術情報委員会の運営規則の案でございます。資料3-2、学術情報委員会の公開手続についての案でございます。資料4、第8期学術情報委員会への申し送り事項。資料5、国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会の概要。資料6、今後の学術情報委員会の日程について。
 参考資料としまして、3月10日に開催された学術分科会の資料をつけさせていただいております。
 資料に加えて、申し送り事項に背景と具体的な検討が必要な事項を追記した資料、それから、先ほど紹介した、内閣府で行われている国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会の報告書の素案、3月10日の学術分科会で出ました委員の先生方からの主な意見の3点を、机上にお配りしてございます。それから、ドッジファイルで前回の第7期の資料に加えまして、これまで学術情報委員会等でおまとめいただいた報告書、学術分科会での報告書を準備させていただいております。
 以上でございます。不足等あったら、事務局にお申し出ください。
【西尾主査】  何か不足しているものとかございませんでしょうか。よろしいですか。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  すみません、追加でございます。机上に辞令を配付させていただいてございますので、御確認をいただければと思います。
 以上でございます。
【西尾主査】  次に、学術分科会の運営規則第3条第7号により、委員会の主査が主査代理を指名することとなっておりますので、指名させていただきたいと思います。
 私としましては、科学技術・学術審議会の委員であり、幅広い経験と学術に関する御見識が深く、また、これまでも学術情報委員会の審議にも参画され、大学図書館等の学術情報基盤にも精通されておられます羽入先生に、主査代理をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 そうしましたら、次に、議事運営等でございますけれども、科学技術・学術審議会学術分科会学術情報委員会運営規則等について、事務局から説明をお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  それでは、まず、資料2-1を御覧いただければと思います。
 1ページ目に、科学技術・学術審議会の概要をまとめてございます。審議会には、1ページ目にありますように、分科会が幾つか設けてありまして、こちらの学術分科会に属する委員会となってございます。
 裏面、2ページ目を御覧いただきますと、分科会の下に必要に応じて委員会を設置するという規定がございます。
 それから、資料2-2でございます。学術分科会においては、こちらの学術情報委員会と脳科学委員会の二つの委員会が設置されているということでございます。
 続きまして、資料3-1でございます。委員会の運営規則については、学術分科会の運営規則の第3条第9項に基づきまして、委員会に諮って定めることとなっておりますので、こちらの資料3-1の案のとおりとさせていただきたいと思っております。
 委員会としては、過半数の委員の方が出席しなければ開催できないということ。原則、公開であるということ。それから、議事録も公表されるということになってございます。
 資料3-2は、本委員会での公開手続について、でございます。傍聴者については、事前に登録のあった者について認めるということ。それから、事前登録があった場合には、会議の撮影、録画、録音もできることとなってございます。
 資料の説明は、以上でございます。資料3-1と3-2について、こちらの内容で審議、決定していただければと思います。よろしくお願いいたします。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。ただいまの御説明について質問等はありますでしょうか。
 特に運営規則(案)及び公開手続(案)について、今、御説明いただいたとおりでよろしいですか。
 それでは、運営規則第3条に基づきまして、これより公開としたいと思います。
 本日の傍聴登録はございますか。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  本日の傍聴登録は24名となってございます。
【西尾主査】  それでは、傍聴者に入室していただきたく思います。よろしくお願いいたします。
(傍聴者入室)
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、第1回学術情報委員会の議事を進めさせていただきます。
 まず、審議に先立ち、文部科学省研究振興局の常盤局長から御挨拶をお願いしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
【常盤研究振興局長】  皆様、おはようございます。研究振興局長の常盤でございます。
 先生方におかれましては、大変それぞれお忙しいところを本委員会の委員に御就任をいただきますとともに、本日御出席いただきまして、誠にありがとうございます。事務局を代表いたしまして、一言御挨拶をさせていただければと思っております。
 本委員会については、大学等の教育研究活動を支えている学術情報の重要性に鑑みまして、特別の委員会として位置付けまして、関係する諸問題の審議をお願いするということになってございます。
 私ども研究振興局は、実は基礎研究と生命科学、材料科学、情報科学を担当しているのですけれども、先生方もいつもお感じになっているところだと思うのですが、私ども、この局で特に仕事をしていますと、ライフサイエンスの話をしていても、あるいはナノ材料の話をしていても、情報との関係抜きに今の科学の進展を語ることはできないという状況にあることを日々実感させていただいているわけでございます。
 その中で、情報科学が基軸となってライフサイエンス、ナノ材料科学の非常に急速な進展があって、科学技術自体あるいは科学研究自体が急速に今、拡大をしている状況にあるのではないかと思っております。そういう意味で、この情報科学の基盤である学術情報基盤の整備は、とても重要なことだと我々は認識をさせていただいているわけでございます。
 その中で、この委員会においては、前期において、一つは学生の主体的な学習の支援という観点、これは教育の支援という観点から、大学における学術情報基盤の整備について、学生の学習環境を支援する立場から御議論いただき、レポートをおまとめいただいたということがございます。
 もう1点は、大学等において、クラウド化への対応であるとか、SINETの整備について審議を行っていただきまして、これも教育研究の革新的な機能強化とイノベーション創出のための学術情報基盤の整備ということで、おまとめをいただきました。この点については、平成27年度の予算案においてもおまとめいただいた内容を一定程度反映することができたのではないかと考えているところでございます。
 そして、第8期である今期に予定しておりますのは、学術情報のオープン化等の問題について御審議をいただきたいと考えております。これは平成25年6月に開催されましたG8の科学技術大臣会合において、研究成果のオープンアクセス、オープンデータが議論として取り上げられるなど、世界的にも議論が行われておりますし、また、現在、内閣府においても国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会が設置されまして、今月末には報告書が取りまとめられる予定と承知しております。
 こうした動きを踏まえまして、文部科学省といたしましても、オープンアクセス、オープンデータを促進することは重要であるという認識をしておりますので、先生方に是非この点を中心に御審議をいただきまして、対応・方針等についておまとめをいただければ有り難いと考えているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾主査】  常盤局長、有り難いお言葉をいただきましてありがとうございました。
 今、常盤局長からお話しいただきましたように、学術情報基盤は、全てのサイエンスの分野にとりまして、その根幹を形成する重要な立場にあります。日本は科学技術立国として世界をリードしていく上でも、その基盤が生命線になっていると言っても過言でないと思います。
 そういう意味で、本委員会での審議がますます重要になってくると確信します。同時に、先般、日本学術会議の情報学委員会においてシンポジウムが開催され、喜連川先生が情報学委員会の委員長として司会をされ、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議からは中西議員、JSTの中村理事長も御出席いただきましてパネル討論が行われました。そのパネル討論において、オープンサイエンスに関しては国レベルのポリシーを早急に決めていかないと、現場が混乱してしまい、どのように対応してよいか分からなくなる、現在の状況がこれ以上続くのは非常に問題である、という御意見も多々出ておりました。
 そういう意味で、第8期の本委員会においては、今、常盤局長から御説明いただきましたような内閣府における討議の進捗状況と連携しながら、国全体としてオープンサイエンスに関する新たな時代を開拓していくことが重要になります。そのような観点からも、本委員会において皆様と積極的な議論をしてまいりたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 次に審議事項等について、事務局から説明をお願いいたします。
【長澤学術基盤整備室長】  それでは、御説明をさせていただきたいと思います。資料でございますが、まず、資料4に前期において、この学術情報のオープン化を検討していただいてはどうかということで御審議をしていただいたものに基づきまして、申し送り事項を作成していただいております。このオープン化については、こういう観点も必要なのではないかという御示唆を頂いております。
 机上配付資料という形で、同じもので少し解説を付記したものがございますので、そちらを御覧いただいて、議論の足しにしていただければと思ってございます。既に前回から御参加していただいている先生方については、申し上げることはないのですけれども、新規の委員の先生方もいらっしゃいますので、改めて御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、机上配付の背景については、先ほど局長から御説明させていただいた内容とほとんど同じでございますので、割愛させていただきますけれども、こういった学術情報のオープン化について審議して方向性をまとめていかないといけないということで、具体的にこの審議会でいろいろ御示唆を頂ければと思っております。
 審議の進め方ですけれども、オープンサイエンスの中には、オープンアクセスとオープンデータという二つの要素がございます。まず、このオープンアクセスについては、これまでもこの審議会で相当議論をしていただいたり、また、ジャーナル問題に関する検討会等でも審議をしてきた蓄積がございますので、そういったものを踏まえながら、まず、オープンアクセスの在り方について御審議をしていただいて、その後、どういうふうにやっていくかという課題の大きいオープンデータについて検討を加えていくという方向性で検討していただければと思っているところでございます。
 それと1枚めくっていただきまして、オープン化については、このような形の申し送りが必要ではないかという御説明を少しさせていただきたいと思っております。
 オープン化といいましても、基本的な方向性ということで、ポリシーを明確化することが必要だということでございます。先生方によって、まだ定義、内容等について共通認識が図られていないところがあるのではないかということで、そういう必要があるだろうと考えております。
 また、その運営方針と基本方針の要に当たりまして、範囲とか非公開とする場合の理由とか、公開の時期とか、そのプラットフォームの手段をどうするかとか、様々な検討課題があるのではないかということも考えております。特にデータのオープン化については、一つの側面ではございませんで、論文の根拠となるデータを公開するというデータパブリケーションというイメージのオープンアクセスの一貫となる部分と、研究過程のデータをそのままデータベース化し共有してイノベーションにつなげるというデータシェアリングという二つの要素がございますので、そういった観点に分けながら、どこまでデータをシェアしたり、公開していくのかという戦略的な問題も含めて、この委員会で御議論していただければと思っているところでございます。
 それから、3ページでございますけれども、対象となるコンテンツについては教育面と研究面の両方がございますので、どこまで含めて考えるのか。教育面では、オンライン教育のような教材のICT活用という観点で、講義そのものの流通を図られているところでございます。
 研究面では、論文がベースですけれども、その基となるデータとして、メタデータとか、研究データそのものとか、まだ構造化されていないような写真、音声、その他様々なセンサーとか、そういったデータもどういうふうにしてオープンにしていくのかということがあるのではないかということでございます。
 また、その研究面においては、特にソフトウェアもオープン化の対象として考えるということで、こういったものを公開することで標準化ともつなげていき、適切な公開と戦略的な対応も考えていく必要があるのではないかということでございます。
 また、研究データの保存・利活用については、データだけということではなくて、当然、関連する論文、書籍、特許等も含めまして、関連させたオープン化の検討も行うべきではないかという御意見もあったところでございます。
 それから、その手段といたしましては、前期、アカデミッククラウドについて、クラウド利活用が効率的であるということを御議論していただいたわけですけれども、そういったものも十分に考慮して、そのメリットを考える必要があるのではないかということがございます。
 4ページでございますけれども、オープン化のプロセスにおいて、必要な基盤については、施策として用意すべきではないのかという御意見を頂いてございます。
 既存施策としましては、例えば、SINETにおいては機関リポジトリのプラットフォームを提供するようなJAIRO Cloudという事業や、JSTが情報事業であるJ-GLOBALというデータベースを強化したり、ジャーナルのためのプラットフォームしてのJ-STAGEを強化していくとか、様々な既存の事業もございます。
 また、新たに考えるべき施策といたしまして、このデータを保存するデータリポジトリもどうやって整備していくのか、その基となるデータカタログだとか、そういったデータを検索していくためのシステムをどうやって整備していくかという課題もあると考えているところでございます。
 いずれにしましても、こういった基盤整備を実質的に担っていただきますNIIやJSTといったところと連携を図りながら、検討していく必要があるのではないかということでございます。
 その他、留意事項といたしましては、国際的な情報連携を視野に入れることが不可欠ということでございまして、例えば、国際的な識別子DOIというものがあり、これは論文コンテンツのURLとか、研究者の番号的な発想ですが、ORCIDというものが進みつつありますし、そういったデータを横で連携させるためのLinked Open Dataへの取組についても視野に入れて対応していく必要があるだろうということでございます。
 それから、5ページでございますけれども、推進方策においては戦略性も必要ではないかということでございまして、オープン化しながらも我が国の科学技術の優位性を確保するという観点も必要ではないかということでございます。
 また、分野によっても違いがありますので、そのあたりもしっかりと対応する必要があるだろうということでございます。例えば、人文系については、オープンデータに対する関心はまだ低いという状況もございます。理学系については、やはりオープン化がなじみやすいような分野が多い。工学系については、知財に関する配慮が不可欠だというところもございます。生物系については、既にデータベース自体は相当構築が進んでいるところもある。このような様々な分野の特性を考えた上で、分野横断的なオープンデータについてどうしていくか。観測データ、成果データ、様々なものもありますので、これらをどのようにしてオープン化していくかという課題があるのではないかということでございます。
 また、そのオープン化における危険性という観点で、プライバシーや機密性への保護に対する配慮とか、個人の権利を守るとか、企業、知財というものを確実に配慮していくとか、その上で競争力をどうやって維持していくのかということや、また、我が国の研究成果が流通してしまうことに対する配慮も考えておく必要があるということでございます。
 次の6ページでございますけれども、オープンアクセス的なコンテンツの場合には、特に著作権の問題が大きく影響してまいりますので、こういった著作権ポリシーとか、コンテンツを二次利用する場合にどうするかや、研究データは誰に権利があるかとか、そういう帰属の問題についても、併せて検討を加えていく必要があるのではないか。
 それから、人材育成の観点で、こういったインフォマティクス人材が不足している中で、データの整理・管理だけではなくて、どのようにしてデータを活用していけるかという分析力、企画力を身につけた専門性のある人材が必要だということでございまして、こういった方々をどのようにして育成していくかという観点についても御意見を頂いているところでございます。
 また、全体的な学術情報委員会の審議の在り方といたしまして、個々の問題意識とは別に、こういった学術情報自体が社会形成にどうやって生かされていくのかということを適宜確認しながら、この学術情報全体の在り方を見つめつつ、審議を進めていく必要もあるという御意見も頂いたところでございます。
 申し送り事項の御説明は以上でございます。よろしくお願いします。
【西尾主査】  長澤室長から今、申し送り事項の説明をいただきましたけれども、これは第7期の最後の本委員会が12月に開催されまして、その委員会の最後の方の時間でオープンサイエンスに関しまして、委員の皆様方から、第8期でどういうことを念頭に置きながら議論したらいいのかということについて、いろいろと御意見を頂いたところです。
 第7期の委員におかれましては、こういう内容を議論したということで思い起こしていただくと有り難いと思いますし、第8期から委員に御就任いただきました方々におかれましては、問題意識としてこういうことを考えてきていることを、御理解いただけるかと思います。
 特にオープンサイエンスを考えるに当たりましては、前回の委員会で研究のみならず、教育のコンテンツの重要性も考えるべきではないかということとか、SINETの高機能化に関連してアカデミッククラウドとの関わりを考えていくことが大切ではないかという意見が挙がりました。また、オープンサイエンスを進めるには、データそのものをどこに置くのかということも非常に大きな問題であり、そのような問題に関して、より具体的な観点から考える必要があるのではないかということでした。
 そのような本委員会の議論と並行しまして、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議において、ここ数か月間、急速な議論の展開がありまして、後で御説明をいただきますが、我が国におけるオープンサイエンスの推進の在り方という報告書が今月末をめどにまとまると聞いております。内閣府における議論の結果としての報告書が、1月の段階で我々が課題として挙げたことに対して、どのように議論がなされ、どのような方向性が打ち出されているのかということを確認しながら議論を進めることが、非常に重要な観点になるかと思います。
 ただし、内閣府の議論においても、長澤室長はじめ情報担当の方々が内閣府との間では密に連絡を取ってといいますか、情報の交換等はしていただいております。オープンサイエンスの問題は国家的な問題ですので省庁間で有機的に考えないとならないのですが、特に学術、科学技術に関しましては、文部科学省が1丁目1番地として大事な省でございますので、そういうことを念頭に置きながら今後議論を展開していく必要があると考えております。
 今、長澤室長から御説明いただきました、第7期の申し送り事項に関しまして、何か不足している点があるとか、そういうことはございませんでしょうか。よろしいですか。
 そうしましたら、第8期においては、ただいま御説明いただきました申し送り事項の内容を中心テーマとして審議を進めてまいります。
 ただし、第8期というのは2年間ございますので、オープンサイエンスの議論を展開しながら、その時々に応じて学術情報分野において急速に対応しなければならないとか、将来を考えた上で非常に重要な課題が出てきているとか、そういうときには、適宜、この委員会で議論を進めていくことにしてまいりたいと思います。
 それでは、次に、資料5を参照しながら、先ほど来申し上げておりますように、内閣府における国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討が鋭意進められておりますので、そのこと等に関しまして、事務局から説明をお願いいたします。
【長澤学術基盤整備室長】  それでは、来週の30日が最終日という形で進んでおります内閣府の検討状況について簡単に御説明させていただきたいと思います。
 資料5が概要でございますけれども、オープンサイエンスが世界的にも進みつつある中で、我が国の基本姿勢が明確になっていないという意識を、参加している先生方が思っているということでございます。
 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会の委員の先生方ですけれども、座長は九州大学名誉教授の有川先生で、副座長はNIIの安達先生になっており、関連の方々を中心に関係省庁やファンディングエージェンシーの方々も参加しているという状況でございます。
 今のところ、たたき台というイメージで机上配付の資料1を御覧いただきますと、これが報告書の今の素案という形でございますけれども、昨日もいろいろと御意見があったので、もう少しブラッシュアップされていくのだろうと思っておるところでございます。
 基本的な方向性については、少し字が小さいのですけれども、1枚めくっていただきますと、「エグゼクティブ・サマリー」というものがございます。ここの問題意識は先ほど申し上げましたような、世界的にオープンサイエンス、公的研究資金を用いた研究成果をオープンなアクセスを可能にして、イノベーション創出につなげるのだというサイエンスの進め方が重要だということで、これがOECDとか、G8の科学技術大臣会合だとか、Global Research Councilという世界のファンディングエージェンシー会議といったところで進みつつあります。その中で、ここの「オープンサイエンスの重要性」の3番目のパラにあるのですが、「オープンサイエンスに関する統一的な考え方が国として明確化されておらず、特に研究データに関する議論が組織的にほとんど行われてこなかった」というのが、総合科学技術・イノベーション会議の問題意識でございます。
 検討が進む中で、しっかりと日本のプレゼンスも発揮していかないと、日本として不利な状態に陥ることもあり得るという懸念を持っていることが重要性として示されているところでございます。
 そういう観点で、オープンサイエンスが重要だということですけれども、ここで懸念されているのは、3番目の「国際動向への対応」というところで、「国としての基本姿勢、基本方針」というところがあります。「公的研究資金による研究成果(論文、研究データ等)の利活用促進を拡大することを我が国のオープンサイエンス推進に当たっての基本方針とする」ということで、その上で、各省庁、資金配分機関、大学・研究機関等のステークホルダーがオープンサイエンスの実施の責任を果たして、実施方針、推進計画を策定するということで、総合科学技術・イノベーション会議が基本的な留意点等を示すのだということでございます。
 それから、適宜、進捗状況もフォローアップすることが示されているところでございます。
 1枚めくっていただきますと、そこで基本的考え方として、オープンサイエンス推進の目的という、これまで申し上げたことが書いてありまして、公開の範囲としましては、論文及び論文のエビデンスとなる研究データは原則公開、研究データについても、可能な範囲で公開という書き方になっております。
 それから、公的資金の定義とデータの範囲ですけれども、公的研究資金は競争的研究資金及び公募型の研究資金は少なくとも該当し、データには様々なものがありますということでございます。
 あと、その実施する機関の責務としては、研究成果の管理に関する規則を定める必要があるという形が、一応骨子的な考え方として示されているところでございます。
 こういうことを踏まえまして3番ですけれども、「関係機関における実施方針等の在り方」ということで、それぞれのステークホルダーの方々が、このオープンサイエンスへの取組について検討してくださいということです。
 これはあくまでも考えた方がいいということを列記してあるだけでありまして、必ずこれと同じものでないといけないということではなくて、内閣府の意図としましては、このオープンサイエンスが重要だということを国として発意してやっていくということでございます。その後の対応については、各省庁に任せるということでございますので、そういう観点からしましても、特にこの委員会で御議論いただいたものを反映させて、文部科学省としては対応していきたいと考えているところでございます。
 御説明は以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。今、説明をいただきましたように、現在、内閣府において、国際的な動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討が行われております。本委員会としましては、今の長澤室長からの説明に基づくならば、学術情報のオープン化に対するポリシーを明確化することが必要であるということになります。また、内閣府におきます議論では、まず、オープンサイエンスに関する研究者の意識改革を促すことが一つの大きな目的であると考えられます。その上で、各々のデータに関しては該当する省庁においてポリシーを明確化するという流れになっているという解釈でよろしいですか。そのあたりを長澤室長にお伺いしたいと思います。というのは、本委員会でいろいろ議論しても、内閣府の考え方とのミスマッチが起こってしまって、委員の皆様方から貴重な時間をいただいて議論しても、それがうまくいかされていかないということになりますと、消耗してしまいますのでお伺いしたく思います。
【長澤学術基盤整備室長】  それはございません。基本的な方向性だけで、後の細部の部分は、各省でいろいろ立場も違いますので、考えていただいていい。ただ、経済産業省からは、是非、文部科学省でひな形を作っていただけると有り難いという御意見もございましたという状況でございます。
【西尾主査】  分かりました。私も内閣府の担当事務の方々ともいろいろお話ししたのですけれども、どのようにポリシーを明確化していくかということに関しては模索段階でありまして、そういう観点からしますと、他の省庁においては、文部科学省がある種の先導的な役割をすることを期待しておられます。特に学術、科学技術に関するところのデータに関して、これはビッグデータということを考える上でも非常に重要な局面を迎えていますが、文部科学省で何らかのポリシーをどの詳細度で策定するのかということが注目されています。つまり、文部科学省である種のひな形的なものを作っていただければ、という意見が出ているということを聞いております。
 というところですが、逸村委員、どうぞ。
【逸村委員】  逸村でございます。ただいまの西尾主査の発言はよくわかったのですが、そうすると一から議論するのは無駄ということで、今、説明のありました、この「国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会」の資料でお伺いしたいのです。
 エグゼクティブ・サマリーの1ページの下にある図、「オープンサイエンス オープンサイエンスポリシーマップ」、同じものが同じ資料の14ページにあって、14ページの方が少し大きいので、こちらで質問させていただきますが、今の文部科学省のポリシーをというのは当然のことと思います。もちろん、これはファンディングエージェンシーの方でどのように動かれるかということと連動する話だと思うのですけれども、この14ページの図、「オールサイエンス オープンサイエンスポリシーマップ」も、その中の今のポリシーというのは、どこの部分に当たるのでしょうか。幾つかそれらしいもの、例えば、一番左上の「研究成果利活用ガイドライン」、その下の囲まれた中の「公開方針の策定」とか、「データ管理計画の策定」、更にその下の「研究成果(データ)マネジメント計画ガイドライン」、幾つかポリシー絡みのものがあるのですが、ここではどのあたりを議論されるおつもりなのでしょうか。
【西尾主査】  長澤室長、これは重要な観点かと思います。
【長澤学術基盤整備室長】  これについては、簡単に言えば、包括的に審議をしていただく必要があると思っております。部分的ではなくて、どういった研究、例えば、オープンアクセスとオープンデータに分けて考えるのですけれども、オープンアクセスというのは研究成果のジャーナル的な発想です。それ以外にオープンデータについては、ここのデータの範囲をどうするかとか、それをどういうふうに共有してデータベース化し、どういうふうに公開するか。その場合に考えるべき守秘義務だとか、どういうふうに共有していくかということになりますと、ガイドラインを作ってそれを実行して、どうやって利活用していくかということについて、総合的に道行きを示していただく必要があるのではないかと思っております。
【逸村委員】  はい。その点は承知いたしました。
 続いてですけれども、同じ14ページの図で申し上げますと、真ん中の上の方に「研究論文の出版」というものがある。その上がオープンアクセス絡みで、字が読めませんけれども、多分、これは「ゴールドOA」の四角ですよね。下が「グリーンOA」ですから。そこで、そのAPC補助とか、OA出版支援とあるのですけれども、これも併せて議論するようなお話という理解でよろしいのでしょうか。
【長澤学術基盤整備室長】  この部分についても、一応議論の対象ですけれども、実はそのオープンアクセス自体は、相当これまでも審議会とジャーナル問題に関する検討会で議論してきておりますので、それを踏まえながら、この方針として明確にリマインドして打ち出していくことで十分対応できるのではないかと思っております。
【逸村委員】  その研究論文の出版の下にある研究データの登録なども、最近のSTM系の論文を投稿すると、論文のアクセプトと同時にデータも要求される。ただし、その場合に、出版社なりに預けるか、あるいは自前でどこかに公開せよというのが、かなり急速に普及していると思います。そのあたりはNIIのクラウドとか、そういうところで受け止めるという流れでよろしいのですね。
【長澤学術基盤整備室長】  まさしくそういったところを御議論していただいて、データリポジトリを海外の出版社に委ねてしまいますと、シリアルズクライシスみたいなイメージになってきます。そういうことにならないようにしながら、どういった対応が適切なのかというところは、今も様々なところで御議論になっているとおりでございますので、そういった方向性も踏まえて打ち出していくことができればと考えておるところでございます。
【逸村委員】  はい。ありがとうございました。
【西尾主査】  逸村先生、よろしいですか。非常に重要な観点だと思います。これから何を議論すべきなのかということは本当に大事なことでございますので。
【羽入主査代理】  私もよく理解できないものですから、質問させていただきたいです。総合科学技術・イノベーション会議が国の方針を決める、それに対して文部科学省として、あるいは学術情報を扱う分野でのポリシーを検討することが、この委員会の目標であるということまでは理解できたのですが、ポリシーは決められると思うのですが、それを実現する体制を整えることまで私たちが考える必要があるように思います。とすると、どのぐらいのタイムスケジュールで、いつまでにどのようなことを考えていくかということが分かれば、教えていただきたいと思います。
【西尾主査】  長澤室長、実施体制についても本委員会できっちり提案していくということでよろしいのでしょうか。
【長澤学術基盤整備室長】  はい。取りまとめていただいて、適宜、基盤、施策として対応すべきところについては、対応していくことになると思います。ただ、オープンデータは、議論自体がまだ余り進められておりませんので、どういったインフラがいるのかということを、例えば、来年の概算要求につなげるということは非常に難しいのではないかということで、まず、オープンアクセス的なものをしっかりと議論していただいて、その後、例えばですけれども、来年度ぐらいにかけて、それをまとめていただくことも考えられるのではないかと思っております。
【西尾主査】  もう一方、羽入先生からの質問で大事なことがあると思うのですけれども、先般来、第5期の科学技術基本計画に向けての議論が重ねられておりますが、オープンサイエンスということを非常に重要視されていますし、ICTを基盤とする科学技術の振興も相当強く打ち出されています。その機に乗じて、オープンサイエンスのプラットフォーム、更に関連システムをきっちり国家レベルで構築していくことは大事だと思います。その場合に、羽入先生のおっしゃった意味では、来年度の概算要求は無理であって、その次の年度をめどにまとめていくということが、我々の目標設定になると思います。それに向けてどのぐらいのスピードで審議を行っていくかを考える必要があります。
【榎本参事官】  失礼いたします。参事官の榎本です。
 スケジュールといたしましては、通常、この委員会において毎年こういった冊子を作っているところですけれども、私としてはこの夏の時点では最低限の論点整理はできるものと思っております。それを前提として予算要求、また、第5期の科学技術基本計画の議論にもつなげていきたいと思っています。
 こちらの委員会では、大体この数年で、1年ごとに夏頃に報告書を作る形になっています。この報告書も比較的かっちりと、「はじめに」があって、現状があって、対応する課題があって、大体数十ページのものになっていますけれども、毎回毎回こういうものを作らなければいけないというルールもございません。余り作文に時間を費やすのもどうかと思っていますから、この第5期の科学技術基本計画に向けた議論があるということを前提として、そういう問題意識の中で、この学術情報基盤としてオープンサイエンスに関してどう取り組むかということの論点について整理した上で、早急に取り組めるところ、少し時間を考えるべきところ、その仕分は早急にできていくものと思っておりますので、そういう中で平成28年度に向けての施策等も見えてくるところもあるかと思っております。ですので、しっかりとしたものを作ろうとすると時間がかかりますけれども、できるところから論点を整理して出していくというふうにできればと思っております。
【西尾主査】  我々にとりまして非常に重要な情報をいただきまして、ありがとうございました。
 喜連川先生、どうぞ。
【喜連川委員】  論点はいろいろあろうかと思うのですけれども、この先ほどの14ページの図ですが、右の方に「機関リポジトリ支援」というのと、その下に「データリポジトリ支援」というのに二つ別れた絵が出ておりますが、一部の大学で既に機関リポジトリをお使いになられて、その中にいろいろなデータを入れるというアクティビティをもう既にされておられるところも出ているのが現状です。これまでデータリポジトリという名前は、私はいい名前だとは思うのですけれども、先ほど西尾先生からお話がありましたように、オープンサイエンスということになりますと、今後はプログラムはプログラムリポジトリを作るのですかとか、いろいろな種類のリポジトリが出てきてしまう可能性もあるのではないかなとも感じます。いずれにしましても、少しずつでもとにかく早く進めていくことが重要ではないのかなという気がいたします。
 先日National Science FoundationのAdvanced Cyber Infrastructureの取りまとめの方が当方に来られたのですけれども、National Science Foundationもいろいろなディビジョンがあるわけですが、このオープンサイエンス、オープンデータに対しての取組も、各分野によってまた、いろいろと違うようです。つまり、全部一斉にということでもなく、やれるところから早くやっていくという現実的なアプローチがとられているようです。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。今、喜連川先生がおっしゃいましたように、私たちは、スピード感をもって対応していくことが肝要かと思っております。というのは、第5期科学技術基本計画に関するいろいろな議論を聞いている中で、システムとかプラットフォームという言葉が相当強く出ております。本委員会で対象としておりますオープンサイエンスのプラットフォームというのは、単に学術の分野のみならず、学術領域から出てくる多様な知を有効に使うことによって、産業界におけるイノベーションにも深く関わっていますので、広い視野からの議論を進めたいと思います。
 そこで長澤室長に先ほどの羽入先生からの御質問と関連して再度お伺いしたいことがあります。内閣府が全体的なポリシーの大枠を決めておられるということでした。その大枠の下で我々は学術、科学技術に関係するポリシーを決めていくときに、内閣府においてはどのくらいの強さというか、どのくらいの制約を持ったポリシーが、今月末に公表される報告書では作られるのでしょうか。というのは、内閣府におけるポリシーは、全分野に共通してのポリシーだと思いますので、我々の策定するポリシーはそれに遵守するという方向になると思うのですけれども、今後の議論を具体的に進めるときに、それがどのくらい方向性を与えるものになっているのかということが気になります。そのあたりの情報を教えていただけないでしょうか。
【長澤学術基盤整備室長】  来週取りまとめの上、発表されると思いますけれども、その中では相当細かい内容も一応入ってはおります。ただ、その細かい内容について、どれくらい縛られるのかと聞きましたら、これは一応指針として書いているものであって、このとおりでないといけないとか、フォローアップのときに「これが入っていないじゃないか」ということは全く考えていないということでございます。ですので、先ほど先生がおっしゃったような研究者の意識改革ということを含めて、オープンサイエンスが大事なのですと。オープンアクセスとかオープンデータをきちんとやらないといけないということをまず定着させ、これを発信し、その内容については第5期科学技術基本計画にも適切にのせていくように対応しているということでございました。次回、例えば、具体的にはこんなことが出ていますということは御紹介させていただくことになりますけれども、必ずしもそのとおり従わなければいけないし、全部網羅しろという話ではないということは御理解いただければと思います。
【西尾主査】  内閣府から出てきます今月末の報告書は、ある種の例えのポリシーが記載されていて、我々がここで議論した上で、こうした方がより良くなるということであれば、逆にこちらから内閣府に提案していく、というような対応が大事だと考えてよろしいのですか。
【長澤学術基盤整備室長】  例えば、内容についてこうしろ、ああしろというのは、してもらう立場にないということなのですが、各省が具体的な施策を考える、指針を考える上で参考にするというイメージだととらえていただければと思います。
【西尾主査】  分かりました。どうぞ。
【羽入主査代理】  意識改革をするということが大事なことは私たちも既に議論してきたことだと思いますが、それは環境が整備されていて、そしてそこに例えば、自分の論文が載せられるとか、そういう非常に日常的な条件が整うことが現実化するためには重要なことだと思うのですね。そうすると、総合科学技術・イノベーション会議の指針は分かりました、私たちはこういうポリシーで行います、という夢は描けると思うのですが、それをどういう形で現実化するのかということまでも、ここでは議論してきたような気がするのですね。なので、実際にどういうふうに実効性を持たせるものにするかを考えるべきではないかと思うと、SINETについては大変な御苦労をいただきましたけれども、そういった具体的な対策を我々が出せる力がないと、総合科学技術・イノベーション会議がおっしゃっていることはもっともです、私たちもこう考えます、までは誰でもできたとしても、それを本当に意識改革につなげるには、具体的な環境が整うことが重要ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
【西尾主査】  どうでしょう。参事官から力強いお言葉をいただけると有り難いのですが。
【榎本参事官】  昨日の内閣府の会議においても配付しておりますこの資料について、大分いろいろな意見が出たところだったのです。と申しますのは、この報告書も大分ページも多いので、それだけに突っ込み所も多いということで、これは何、あれは何と、当然、出席されていた方々が疑問に思い聞いていく。「この部分はどうしたらよいのか」「何年先を見通した話なのか」と、当然、そういう質問が出てきますので、そういうテクニカルな部分はいろいろあるとしても、内閣府からはオープンサイエンスに関しての方向性、気持ちを示していくと、そこに力点があるのですと。その後のいろいろな技術的な点等については、当然出てくるけれども、それはそれとして、こういう方向性を内閣府の中で出したいというお話でございました。
 この理念の具現化に当たりましては、文部科学省としては、各大学、また、研究者のコミュニティにもうまくメッセージとして届けていくようにしていきたいと思います。その際には、当然、文部科学省として政策的なツールや、どういうふうに大学の方々を応援できるのかという、プラットフォーム作りとか、どういうふうにしたら研究者の方に心理的な負担のかからない話ができるかということも必要になってくると思いますので、そういった仕組み作りに関しましても、是非この場で検討を進めていきたいと思っています。
 この話は、研究振興局の個別の課でやっておりますけれども、高等教育局や、関連する局がたくさん出てきますので、そこと連携していきながら、政策的なツールを整えていくことも併せてやっていきたいと思っています。したがって、気持ちを言うだけではなくて、具体的なやり方も含めまして、詰めていければと思っております。
【西尾主査】  羽入先生、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【羽入主査代理】  詰める際に、やはり財源が必要だと思います。
【西尾主査】  是非、財源的なことも含めて、今後よろしくお願いいたします。理解を得るためにどのような方策があるか、ということは課題であると思いますけれども、第5期の科学技術基本計画におけるプラットフォームとか、システムを考えたときに、一つ大きなテーマだと思いますので、そのような観点から御検討いただければ有り難く思います。よろしくお願いします。
 どうぞ、榎本参事官。
【榎本参事官】  当然、必要な財源という話も出てくると思いますけれども、このお金とか労力が、追加的に必要になるという話だけすると、それは各方面の理解、大学に対する理解もなかなか得られませんので、こういうふうにすることがより良いものにつながっていく、いろいろな点で効率的にもなるという観点も含めて、作っていかないといけない。そうしませんと、お金だけあっても大学の方もなかなか時間がありませんとなってしまいますので、何とか効率的に質の高い政策にしていくことを考えたいと思っております。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。そのような意味では、第7期において、SINETの高機能化に関係した本委員会での審議であるとか、その後、文部科学省において常盤局長をはじめとして多大なる御尽力をいただきました、そのプロセスが我々にとっては非常に大きな財産になったのではないかと思います。そのような経験を踏まえて、今後も進めていくことが大切かと思います。
 本日は最初の委員会ですので、各委員におかれましては、是非1回は御発言していただきたいと思うのですが、何かございませんでしょうか。
 どうぞ、竹内委員。
【竹内委員】  竹内でございます。この内閣府のレポートをざっと拝見いたしますと、我々が第8期への申し送り事項として理解していることと、若干ずれがあると言わざるを得ないと思います。と申しますのも、この内閣府の報告においては、オープンサイエンスというキーワードで、基本的に研究という観点での記述ばかりがされていて、私どもの申し送り事項の中にある、例えば、教育面といった視点が完全に抜け落ちてしまっているわけです。ですから、内閣府がおまとめになられたこの報告書が、我々にとって一つのフレームワークになるとしても、我々は我々の独自の観点で、学術情報のオープン化ということを具体的に考えていく上で必要な付加的な観点を加えていってしかるべきであろうと思います。その中で、先ほど羽入先生がおっしゃったように、具体化というのをどこまでやっていくのか、それも単に研究振興という観点ではなくて、我が国の高等教育全体を見回した上での必要な施策が、具体的に検討されなければならないのではないかと思います。
【西尾主査】  先ほど榎本参事官から、高等教育局ともいろいろ連携してという言葉がございました。今、竹内委員からおっしゃっていただいた点、重要な観点だと思います。再三、長澤室長に質問して恐縮ですけれども、内閣府の議論において、教育に関連したビッグデータ絡みの審議というのは、余りなかったのでしょうか。
【長澤学術基盤整備室長】  そういうものはございません。基本的には、研究振興的なイメージでの議論という形だと考えていただければと思います。ただ、竹内先生がおっしゃるような観点を入れることは必要だと思いますので、対応していただければと思っています。
【西尾主査】  第7期の最後の委員会においても、オープンサイエンスに関しましては、本委員会として、教育に関連するデータに関しての発言が多々ありました。我々としましては、教育関係のデータに対する配慮をしていくということで、今後進めていきたいと思っています。竹内委員、どうもありがとうございました。
 辻委員どうぞ。
【辻委員】  先ほどのお話の中で、内閣府のポリシーがあって、各省庁のポリシーがそれぞれというお話があったわけですけれども、結局、情報学という観点で考えました場合に、各省庁との関係というのが必ず発生してくる。冒頭のお話にもございましたけれども、そういったところを鑑みますと、では実際に実現に向けた仕組み作りを考えるときには、各省庁とどういった最終的な仕組みとしての役割分担があるのかといったところも非常に重要なポイントになってくると思っておりまして、例えば、オープンサイエンスといったものに結び付けていく場合に、いろいろなストレージがあったり、いろいろな名寄せをしたり、メタデータを付けたりというところには、必ずコストがかかってくる話でして、そういったところを省庁とどんな役割分担でやっていくのかとか、各大学とどんな役割を入れてやっていくのですか。あるいは、産業界も含めまして役割分担といったところが、その線引きをしていくというのが、ここの場で議論するポイントの一つともなろうかなと思いまして発言をさせていただきました。
【西尾主査】  今の辻委員の御意見も非常に重要でして、羽入先生がおっしゃるように、どのようにしてこのオープンサイエンスのシステムを具体化していくのかというときに、省庁の縦割り的なシステムが構築されることは避けなければなりません。辻委員がおっしゃいますように、システム構築の予算を引き出してくるというときに、サイエンスの振興に関して効率的という言葉は少し控えるべきかもしれないのですけれども、そのシステムを構築することによる省庁間を通じた圧倒的な効率化が図られていくというようなシナリオも大事かと思っています。本委員会における議論のプロセスにおいて、他省庁との連携も意識した議論を展開していく必要があるのではないかと思うのですが、榎本参事官、そのあたりはどうでしょう。
【榎本参事官】  ありがとうございます。情報科学技術に関連しては、文部科学省だけでやる事柄ではないと思っておりますので、関係する省庁と連携をどんどんやっていきたいと思っております。
 質問で恐縮ですが、大学や研究機関におけるこのオープンサイエンスの議論をするに当たって、他省庁との関わりで具体的にどういうところがあるのか。よろしければ、もう少し教えていただけると有り難く思います。
【辻委員】  すみません。例えば、私どもですと、キャリアの研究機関におりまして、そうしますと、例えば、総務省であったり、いろいろな関係することがございまして、そちらともいろいろ取組をしながらも、研究という観点では、文部科学省さんのところでも関わっていると、そんなところでございます。
【西尾主査】  ほかにも、多分、農林水産省とかも関係があるのではないでしょうか。
 高木先生、この分野の専門家として是非御意見を頂けないでしょうか。
【高木委員】  先ほどからの質問なり御意見と少し繰り返しになるかもしれませんけれども、私は内閣府の国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会で発表したり、あるいはオブザーバーで出たりしております。そこでの議論を聞いておりますと、先ほどからありましたように、そこでは大きな考え方とか方針を示して、その後は各省でとか、あるいは各分野でという話になっているかと思います。
 それが今度は、この文部科学省の場に持ち込まれた場合に、ライフサイエンスとか地球科学とか物理学とか、様々な分野でデータの性質なり、エンバーゴなり、モラトリアムの期間なり、相当違う状況にあると思います。それをここではどういうふうにまとめるのか、その共通部分だけをくくり出すとなると、何となく内閣府の報告書を少しだけ進めたものになってしまいますし、それとももう少しそれぞれの分野ごとに踏み込んだことにするのか、先ほどの予算のことも含めてどういうふうに考えていくのかが課題だろうと思います。
 それから、もう一つ、ライフサイエンスの分野でいいますと、内閣官房の方にAMEDといいましょうか、いわゆる日本版NIHの議論がありますが、そちらでもデータの共有の話がありまして、そのあたりとの仕分もどうなっていくのかというのは気になるところでございます。
【西尾主査】  高木先生の御質問はごもっともでして、内閣府における報告書でもある程度書かれているかと思うのですけれども、オープンサイエンスに関しては、具体的にブレイクダウンして考えるときに、いろいろな学術領域によって相違が出てきます。この委員会では、多くの学術領域に対して、幾つかの大くくりで対象を定め、例えば、天文関係はこうすべきですよというようなポリシーを決めていくことになるのではないか、と考えております。三鷹の国立天文台等においては、「すばる天文台」、「アルマ天文台」からSINETを通じて観測データが時々刻々送られてきております。国立天文台に蓄積されているデータは、半年間はこの天文台の研究者たちが優先的にそのデータをサーチする権利を有しておられる。それ以後は、宇宙関係の科学の進展のために世界に対してオープンにするというような、ある種のポリシーといってよいものが定まっていると聞いております。そういう大くくりの分野ごとの相違も含めて、本委員会である程度こうすべきだということを言っていくべきなのか。そのあたりの審議の詳細度については、今後の検討事項になると思うのですけれども、今のところで何か御意見はありませんでしょうか。
【長澤学術基盤整備室長】  そこは多分、一番難しい問題だと思っています。そもそも学術情報委員会というのは、学術情報基盤を検討する委員会ですので、ベースとしては、例えば、オープンアクセスだと、そういった手段をどう整備してやるかということは簡単なのですけれども。オープンデータについても、オープンアクセス的な観点から考えていくと簡単ですけれども、そもそものデータベースをどう統合していって、データサイエンスをどう展開するかということに対して、どこまでこの委員会としてコミットできるかということは、今後、展開を併せて見ながら、ただ、関係する各課とか、科学技術・学術政策局でも、こういったオープンデータのシェアリングについてどうするかということはJSTで勉強会をやったりしているので、今後、勉強会等も踏まえて連携を図りながら検討していく。ポリシーとしてどういう方向性にすれば、こういう標準化みたいなところで、分野の違うデータベースを統合して、基盤として対応することができますよというところまでやるのかということについて、例えば、議論が深まってきたときに、関係各課の方々も入れて、より具体的に進めていくのかということは、これから先生方と御議論しながら深めていただければと思っております。
【西尾主査】  長澤室長、非常に大事な観点ですけれども、そういう議論をここでしなかったとしたら、各分野の問題というのはどこで議論するのでしょうか。
【長澤学術基盤整備室長】  関連する情報科学技術委員会というのが、別途あるわけですけれども、そこでアカデミッククラウドに関する検討会を両方の委員会で組織したような形で連携させてやるのか、データベースに関する話なので、こちらの委員会の方で統一的な考え方を、もし示してほしいということがあれば、やるのかどうかですね。そういういろいろな対応の仕方があるのではないか。ただ、それだけを検討するような場は、今はないということだと思っています。
【西尾主査】  どうぞ。
【逸村委員】  少し関連ということで、この間調べていたことだけ簡単に報告させていただきます。
 具体的な名前が挙がって恐縮ですが、イギリスE大学がかなり大きなこの手のシステムを持っています。そこの担当者のA氏という人と丸一日相手をして、いろいろ聞いたのですけれども、イギリスE大学が関わる、いわゆる貴重資料もそうですし、日本でいう機関リポジトリの様々な論文群もそうですし、さらに、このデータリポジトリもやっている。というか、イギリスで最初にデータリポジトリのガイドラインを作ってこのようにやるということをやっていました。
 現実問題として、どこまでおさめるかというのは、ものすごく大きいデータは、各研究者が自前なり、学会なり、どこかで預けるから、実はイギリスE大学にはメタデータだけがある。それほど大きくないデータを、研究者はデータリポジトリに入れるので、その点はそれぐらいで済んでいる。ただ、一番の問題は、「なぜそれをやっているのですか」と聞いたら、これは何とも言えませんが、イギリスE大学は現在、世界17位の大学ランキングである。これを絶対20位以下に落としてはならない。そのためにはこのような研究データをもって、こんなことに貢献しているのだということを宣言できなければいけないのだと、そのようなミッションがあるからやっているのだという話でした。
【西尾主査】  貴重な情報を頂き、ありがとうございました。そのような観点で進めているということですね。
 では、久門委員、企業の立場からどうでしょう。
【久門委員】  富士通研究所の久門です。
 私はずっと、情報科学の分野で仕事をしているわけですが、オープンというキーワードで見ますと、オープンソースというものが情報科学で広く使われるようになってきて、オープンソースがソフトウェアの世界の主導権を握る状況になってきています。先ほどデータリポジトリのほかにプログラムリポジトリも含めて必要であるとおっしゃっておられたと思いますけれども、オープンソースの世界を見たときに、最近多少変化してきてはいますが、日本と世界の比較では、圧倒的に外国製のものが広く使われています。その理由を考えると、再利用可能であるということと、データがアクセスできるところに置いてあるということは別だということです。つまり、データが再利用可能な形で置いてなければいけない。そのためには、データの作り方であるとか、もちろん、機械的に作られるようなインデックス等もありますけれども、どういうデータを置かなければいけないのか、どういうふうに作っておかなければいけないのかということが、ある程度配慮されないといけない。単に置かれているだけだと、それはソフトウェアであろうと、データであろうと、データリポジトリがデータの物置になってしまう。どうやって使えるデータ倉庫を作るかということが、オープン化というときには絶対に必要です。また単にオープンというメカニズムだけではなく、どのようにデータを置くかについては、ある意味教育の問題ということでもあります。恐らく文部科学省でやらなければ、ほかの省庁には決してできないことだと思うのです。そういう意味で、枠組みを作るということと同時に、どのようにコンテンツを育てていくのかという観点を、是非御議論いただければと思っております。
【西尾主査】  本当に貴重なコメントをありがとうございました。先ほどの高木先生の御質問でも、分野ごとの標準的なフォーマットのことも含めまして、単に置いてあるということではなくて、それがきっちりと使えるというところまでも考える必要がありますし、また、そういうことを啓発していくところが文部科学省のミッションでもあるというところだと思います。
 海外との比較でも、久門委員からおっしゃっていただきましたけれども、今回のような議論をしていることのバックとしましては、日本が早くポリシーを決めて、何らかの対応をしていかないと、例えば、海外から各国内の研究機関に蓄積されているいろいろなデータをアクセスしたいとか、公開するようにというような圧力がかかったときに、当該の機関だけでは持ちこたえられなくなってしまうことも考えられます。その際に、国がこういうポリシーだからというのは、現場サイドにおいて一つの防波堤になっていきますので、貴重なデータを守るという観点からも重要です。
 それと、データに関してお話がありましたように、日本が輸入過多という状況の中で、学術研究に関わる学術外交が今後ますます重要であると言われるときに、オープンサイエンスに関するポリシーすらも決まっていないという状況では、日本全体の学術分野を考えるときには、大きな弱点になるのではないかと懸念いたしております。
 喜連川先生、このあたりでコメントをひとつ。
【喜連川委員】  オープンデータはエンドレスなところがあります。実はデータを再利用可能なように、いろいろなメタデータを付けるというのを丁寧にやるというのは、理念的にはそのとおりなのですけれども、データで余り役に立たないものも実はいっぱいあって、そこに一生懸命メタデータを付けていると、研究者にとってみると研究しているのか、メタデータを付けているのか、どっちか分からないような、そういう状態もありまして、どのあたりにバランスポイントを置けばいいのかというのは、非常に重要で難しい課題です。
 それから、先ほど御議論がありました、ドメイン・バイ・ドメインに、ここでしかやれないという御議論もあったかとも思うのですけれども、我々がやっていて感じますのは、面白いのはやはり境目なのですね。境目といいますのは、ある目的で取っていたデータを別の学問領域が使い始めたときに、そこが沸騰してくる、つまり、非常に面白い領域になってきて、新しい産業も生まれてくるところになります。しかし、そのとき、多くの場合は元付いていたメタデータというのでは不十分なこともあり、そこを再度付け直すとか、最初に決めた枠で済まないことも幾らでも出てくるのですね。それくらいデータに関して、統一的な見解がぴしゃっと世の中で決められていない状況です。だからこそ、文部科学省に頑張っていただいて、一歩踏みだしていくというところを率先的にやるということが、私は非常に重要でないかなと思っている次第です。
【西尾主査】  喜連川先生、本当に貴重なコメント、ありがとうございます。データは生きているというか、持つ価値も時間とともに変わっていくということに対する認識が重要ですね。
 美馬先生、どうぞ。
【美馬委員】  私も今のところに意見を言おうと思っていたのですけれども、オープンサイエンスについては、学際的なテーマといったところにイノベーションの芽があるということは、もう皆さん御承知のとおりです。ですから、その既存の分野での利用もオープン化して大事ですけれども、その既存のデータや、そもそも方法論を組み合わせて新しい利用を生み出せるようにすることが、とても大事だと思います。そのためには、ハード環境ですね。物理的なものとしてどういうものを用意していくのか、ソフト環境、すなわち、その利用、運用をどうするのか。そして、先ほど、竹内さんもおっしゃったような人材育成、大学、研究機関、民間も含んだ意味でもオープンデータを利用しながら、いかに新しいものを発見していくかという人材育成がとても重要だと思います。
 そのためには、ここで議論していくのは、枠組みをどうするのかということで、そのための制度、システムなど、更に変えていけるような柔軟な制度というか、システムをどう作っていくかというオープンな枠組みが必要だと思います。
【西尾主査】  ここでいろいろなポリシーなどを決めていくにしても、ある種のフレキシビリティを持った形で考えていく必要もあるのではないかということで、大変貴重な御意見を頂き、ありがとうございました。
 あと、相田先生、加藤委員、北森先生、是非一言ずつ。
 では、加藤委員。
【加藤委員】  JSTの加藤でございます。
 実は昨年から、データのシェアリングということで、JSTの中でも委員会を作りまして、北森先生も委員をお願いしておりますが、データシェアリングをどういう方法で、また、推進するために何が必要かという議論を進めております。
 その中で、JSTの中では、研究成果については、ファンディングマネジメントデータベースシステムということで、研究成果そのもの、研究データでオープンにすべき報告書、あるいは、その研究のファンディングの情報について、内部的にファンディングマネジメントデータベースシステムというのを、昨年6月から試行的にJST内部へ提供し、今後の意思決定等に活用を始めております。
 一方で科研費については、科研費のデータベースということで既に一部オープンになっている中で、国全体の研究成果の情報というのは、俯瞰(ふかん)して活用すべきではないかと考えております。論文、特許、その他、国の公共的な資金に基づいて出てくる成果について、全体を俯瞰(ふかん)できるような、そういったプラットフォームが必要なのではないかというのが、まず1点、御提案差し上げたいということでございます。
 それから、もう一つ、研究論文と研究論文に付加される研究データは、言わば、研究論文の根拠となる研究データとして、研究公正という意味も含めて、その部分については、ファンディングエージェンシーとしてもきちんと保存する必要があるということで、この研究成果のデータマネジメントプランを出して、公募を受けるという方向で検討を始めたところです。
 研究データのシェアリングについては、進む分野は進むだろうし、進まない分野は進まないという実態もあり、一方で、先ほどから出ていますけれども、研究データを整備していくために必要な人材もいないし、インフォマティクスの能力を持った方も非常に少ないというところがいつも必ずネックになっております。
 それから、最近の研究開発プロジェクトでは、各領域が違う分野の先生方が一つの目標に基づいて研究活動をするというケースもあり、そういう実際の研究分野において、研究データのシェアリングをやっていこうとしたときに、そのための経費もないし、それを支える人材もいないという状況もあるようです。研究データを整備し活用するためには、それらの作業を支援するデータキュレーションをするような人たちを何らかの形でプールしておいて支援するということが必要ではないのかと考えております。人材育成については、長期的に進めるとして、例えば、大学のカリキュラムにそういう人材育成のカリキュラムを作ってくださいという話が出てきますと、それが5年後とか10年後にやっと開始されるということになりますので、今の段階で支援するとすれば、何らかの形でクロスアポイントメントも含めた人材をプールしておいて、支援していくということまでやらないと研究データのシェアリングは、実際のところうまく進まないのではないかと危惧しております。
 それから、オープンサイエンスのインフラのところで申し上げますと、NIIやNDLと共同でやっていますジャパンリンクセンターで、昨年の12月から研究データにDOIを付ける試行的な取組が始まっています。どういう項目を持てばいいのか、研究データについて、どういう単位でデータセットにDOIを付ければいいのか、あるいは、個別のデータ自体にDOIを付けた方がいいのかというところも試行的に検証する取組が始まっておりますので、ある程度、整理された研究データをオープンしていく仕組みについては、例えば、JSTとNIIが共同で実施するスキームで、ある程度想定できる。その前段の部分として、実はデータそのものを整備するための支援策が重要ではないかと考えております。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。14ページの図に示してあることのミニチュアバージョン的なことを、加藤委員は今、JSTで推進なさっておられるということで、そういう観点からいろいろと気づいておられる問題点及び該当分野における人材育成の重要性等についてお話しいただきました。今後は本委員会の議論の中で、加藤委員の持っておられます今までの知見であるとか、気づいておられることが具体的なシステムを検討する上では非常に重要であると思っています。
 特にJSTの中村理事長は、海外のオープンサイエンスに関するいろいろな委員会にもお出ましになっておられて、そういう会議に御出席なされた経験を踏まえて、日本の対応が非常に遅れているということをいつもおっしゃっておられました。私もJSTの情報流通部門に相当深く関わってきましたので、中村理事長からは早く対応することの必要性をいつも聞かされていたところです。どうもありがとうございました。
 北森先生、どうぞ。
【北森委員】  今、加藤委員からお話がありましたが、私もJSTで少しこの情報関連のことに関与をしていて、そこの場でも申し述べたことではあるのですが、こうしたオープンサイエンス、オープンデータ、オープンアクセスが、今、来年、再来年という予算の中で国が整備していくことに関しては、世界の動向から見ても、それほど大きな反対と言いましょうか、方向性が誤っていることはないであろうと。これはだれしもが認めるところだと思います。
 しかしながら、私はイギリスの王立化学会Royal Society of Chemistryの世界最古のある論文誌のアジア担当のアソシエイトエディターを随分やっております。そこで経験しましたことを少し御紹介しますと、この議論の状況というのは、特にイギリスの中では、四、五年前にこの状況であったということが一つ重要なこと。そして、昨年度、2年ぐらい前ですかね、それをどう運用するかということを世界から200名のアソシエイトエディターを集めて、イギリスの政府が策定したやり方、そして、それがRoyal Society of Chemistryに下りてきた具体的な施策を運用するに当たって、各委員がどう問題を感じるかということを具体的に検討しました。世界から200名集めてそれをやる。そんな大規模なことをもう既にやっているということであります。なおかつ具体的にです。
 そうしますと、日本でこれから整備をしたときに、既にイギリスあるいはアメリカという学術の、ある意味で英語圏の中心的な巨大学会が、そういうことを政府と協調しながら進めている。そこに乗って我が国が整備をしていくということをしたときに、ますます欧米の二極化に流れる可能性を十分視野に入れておかないと、せっかく作ってもということになるだけでなく、世界の中の科学技術立国というこの国の位置付け、つまり情報が二極化していくということの中に、非常な危機的な局面を迎えないとも限らないなと、現場感覚で強く感じているところであります。
 この中で、例えば、14ページに機関リポジトリ、それから、データリポジトリがあります。機関の方は恐らく研究所だとか大学を考えておられることだろうし、データリポジトリは先ほどの定義から競争的資金でということになると、ファンディングエージェンシーがこういったものを整備していくのだろうと考えられます。では、実際に論文等を扱ったり、あるいはデータ等を論文に関係して扱うということになると、学会という存在があるわけですが、学会に対する政策というのは、この14ページの中では抜けているようにも感じられます。つまり、学会の役割をどうするかということは、科学技術外交、科学技術立国ということを考える上で極めて重要なところで、サイエンスのレベルは高くても、学術外交のレベルとしてはなかなかそこのところに力を発揮できていない現状に対して、こうしたことをきっかけに、何とか打開していく方向が見いだせないかというのが一つあります。
 そのときに重要なことは、欧米の二極化に対して、彼らが論文の投稿層であるとか、あるいはデータの提供者、会員といったものを何と言っているかというと、「マーケット」と言っているわけです。そのマーケットを大きくしようというのは、いろいろな意味合い、もちろん、会の運営もあるでしょうけれども、それ以上に政府とともに科学技術の政策的なことも絡んでいるわけであります。
 その中で、では我が国がどういう立ち位置にあるのかということをもう少し考える必要があります。論文の投稿層はプロモーションなど、いろいろなことがありますので、有名な雑誌、インパクトファクターの高い雑誌にどんどん投稿するのが自然な方向であって、それがますますこういったオープンアクセスになると、加速する可能性も十分ある。となると、日本の学会が発行しているジャーナルで、そのハイインパクトファクターということになると、良い論文、情報をキープしようとすると非常に難しい状況になっている。それだけを考えますと、情報流出ばかりの状況なのですが、では、欧米の巨大学会は何と言っているかというと、我が国の学会が途上国の投稿層を抑えているということに関して、非常にある種の脅威を感じているところもあるのです。それは、彼らのジャーナルには載らない層を我々日本のジャーナルが集めている。別にレベルのうんぬんということではなくて、単にマーケットという話をしているわけでありまして、そのことに関しては、例えば、私が関与している学会では、国際比に関して75%が途上国からの投稿である。それに関してハイインパクトファクターの論文誌のエディターたちと話すと、非常に驚くわけであります。そのマーケットを我々としては獲得する可能性もあるわけで、そうしたことを考えると、この情報というツールをどういう戦略に、すなわちグローバル化だとか、国際戦略に結びつけるということも、一つ大きな観点ではないかなと思います。それが一つ。
 もう一つは、学会に関連していることではありますが、そのRoyal Society of Chemistryで議論する中で、世界から集まった多くの委員たちが幾度も主張しますのは、メガパブリッシャーの影響ですね。具体的な名前は出しませんが、そうしたところに関する情報の集中、パブリケーションの集中、それが大学であれば図書館の費用を非常に圧迫するということもあります。そうしたことが、このオープンアクセスということを戦略的に企業が使い始めると、ますますその傾向にいく可能性もある。そのときに重要なことは、巨大学会は、意外に企業的であります。なぜかというと、Royal Society of Chemistryの年間の売上げが日本円にしまして75億円で、アメリカの化学会では150億円。日本の丸善、科学技術では最大手の一つの出版社が25億円。したがって、Royal Society of Chemistryであっても、丸善の3倍の売上げ。それから、アメリカの化学会においては、6倍の売上げを持っている巨大なパブリッシャーという位置付けもできるわけであります。世界で集まってきた委員たちは、むしろそういう学会に対抗してくれと、そういったことをメガパブリッシャーに対する対抗処置を学会としてとってくれないかということも言っているわけであります。
 そういう状況も考えますと、このオープンアクセス等を考える上で、我が国では民間との連携をどうするのかということも一つ重要なポイントになろうかと思います。民間のパブリッシャーとともに、そうした動向に対して、どういう具体的な対策を取り入れるのかということも、重要な観点ではないかと思います。
 それから最後に分野論でありますが、こうした分野、議論というのは、理科系が俎上(そじょう)に上がりやすく、理科系で喫緊の課題であるということからもすぐ出てくるのであるのですが、実は文科系に関しても大きな機会であるのではないかと思います。クアクアレリシモンズのランキングにしましても、トムソン・ロイターにしても、理科系の観点が非常に強いわけでありますが、それでは我が国の大学が社会貢献という意味で、例えば、建設系であれば都市設計であるとか、あるいは社会科学の先生方であれば社会貢献も非常に大きくあるわけでありますが、そういったものをどう取り入れるのかということに関しては、クアクアレリシモンズ等に働きかけがあることは存じておるのですけれども、なかなかうまくいかないということもあります。それは、一つはそうしたデータベースがしっかりしていないということも、定量的なデータもないということに大きな障壁がある。
 そんなことも考えると、我が国が先んじてそうした文科系の業績に関するリポジトリを日本語であってもかまわないから、定量的に評価できるようなものにし、我が国のまだ外から見えていない社会貢献あるいは学術貢献を顕在化させるというのも、一つ、このデータを取り扱うというところに戦略性があるのではないかと思われます。
 以上、3点ですね。学会、民間との協働あるいは社会貢献も含めた文科系と、こうしたところをこの世界に先んじてやっていくということを少し感じているところであります。
【西尾主査】  貴重な情報に感謝いたします。先生から御指摘いただきました点、我々が今後議論する上で大変示唆に富むお話であり、本当にありがとうございました。
 我々としては、世界がアメリカとヨーロッパの二極で進むところに対して、三つ目の局としてどういう形で太刀打ちしていくのかというところが非常に重要なところだと思います。それと民間との連携に関して、どのような立ち位置で向かうのかについても明確にしていく必要があると思います。
 それと、先般来、私は学術の基本問題に関する特別委員会に深く関係しておりますが、今後、特に第5期の科学技術基本計画期間においては、人文学・社会科学が他の分野とも分け隔てない形で双方に連携していくことが、持続的なイノベーションを起こしていく上では必須であるということを提示しております。そういう点では、人文学・社会学分野の学術情報をどういう形でオープンサイエンスの中に組み込んでいくのかということも、重要な観点だと思います。どうもありがとうございました。
 相田先生。
【相田委員】  広島大学の相田です。いろいろお話を伺っていて最初に思ったのは、データが大きくなればなるほど、また様々な分野があればあるほど、正確さが大事だと思うのです。ねつ造というのはとにかく論外だとして、データが多いと一つ一つのデータを見ることができないので、一つ一つのデータは正しいということを担保する仕組みも必要なのではないかと思います。
 それと、公的な研究費の下で生まれた情報をきちんと管理するということは必要なことだと思うのですけれども、公的な研究費を取らないで論文が出ているということもありますので、論文を出している元のところを、そこでのデータをきちんと取るということは大事だと思うのです。最近どこの大学でも、その大学の中でのデータをしっかり取ることをやっていると思うのですけれども、そのしっかり取るということがいかに大変かということをどこの大学でも苦労していると思うのです。論文の名寄せだけでも大変です。Web of ScienceやScopusなどのデータベースに修正をかける、ということをそれぞれの大学でやっているという現実があります。そこが正しくないと、それらの大規模データベースに基づいて何かを解析すると、現実とは異なる結果になっているということもありうるわけです。大学によっては全部のデータを一生懸命調べて修正をかけている大学もあれば、やっていないところもあると思うのです。そういうレベルの正しさ、ということは全ての基本になると思うので、それをそれぞれの大学の努力でやるのか、あるいはどこかでやった方がよいのではないかとも思っています。ですので、そういう視点も必要なのではないかと思います。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。皆様方から一通り御意見は頂いたところでございますけれども、そろそろ会議の終了時間も迫っております。ですけれども、ここでこのことは是非意見として申し上げたいということがございませんか。
 喜連川先生。
【喜連川委員】  今、まさに相田先生から御指摘いただいたところのねつ造、データの正しさの問題があったかと思うのですけれども、御案内のように理化学研究所の問題以降、我が国は学術成果が出たものに関する過去に遡ったデータを5年間担保しなくてはいけないというルールができたと思うのです。そのデータのプリザベーションと、このオープンデータのプリザベーションというのとは、かなりかぶるところがあります。オープンデータと再現性担保のためのデータ保存をばらばらに考えますと、少し国家的にも重複投資といいますか、もったいないことになると思うのです。オープンデータの方がもう少し美しい世界を描いていて、もう片方がそうではない世界なので、この場で議論するのはつらいことかもしれないのですけれども、サイエンスのデータという枠組みでは、どこかで議論を一にした議論が望ましいと感じます。
【西尾主査】  分かりました。御指摘いただいた点は大事なことだと思いますので、本委員会の論点の中に是非入れておきたいと思います。
 美馬先生、最後にどうぞ。
【美馬委員】  皆さんの御意見を伺っていて、この学術情報委員会としての独自性というか、視点としては、私は三つあると思いました。
 一つは、今日お示しいただいた内閣府の国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会資料の12ページに、「人文・社会科学の役割の増大」というところで、3ポツで書いてあるのですけれども、これを見ますと、あくまでも科学技術を進めるための人文・社会科学。これは西尾先生がおっしゃっていたのと少し違っていて、私は西尾先生がおっしゃったことはとても重要だと思います。つまり、ここでは科学技術を支えるための媒介的な活動が行われることが期待されるとありますけれども、それだけではなくて、人文・社会科学そのものが、こういったオープンサイエンス、オープンデータが出てくると、研究の方法論とか内容も大分変わって新しいものも出てくる可能性もあると思います。それは補助的なものというよりは、きちんと対等なものというか、一つの在り方としてここでは扱っていくのがよいと思ったのが、1点目。
 それから、学会の役割ということで出てきましたけれども、分野をまたがるということでは、日本学術会議との関係です。西尾先生も喜連川先生も日本学術会議の情報学委員会のメンバーです。日本学術会議は様々な分野が集まったところですから、そことの協力関係は重要ではないか。この委員会で特に扱えることではないかと思いました。
 3点目、これが最後になります。学術といっても、民間企業との関係、民間が日本では研究機関を持っているということもありますので、そこも重要な観点かと思います。近頃、あるところで見たデータでは、学術論文の国際的な本数が日本全体として減っている。その内容を詳しく見てみると、大学の研究機関からの数はそんなに変わっていない。一方で、民間の研究機関から出てくるものがかなり減ってきているという事実があります。これはいろいろな形で企業が大変になってきて、研究機能を社外に出してしまう、あるいは、産学連携ということで、それを大学の方に求めることによって、企業内に研究部門を置かなくなってきているという事実があるとお聞きしました。そこをもう一度復活させる意味でも、3点目の民間研究機関というのは大事だと思いました。
【西尾主査】  本当にどうもありがとうございました。三つの重要な観点については、今後、議論の中でも考えていきたいと思っております。
 本日、各委員から出していただきました意見等については、事務局で整理をしていただきまして、次回の議論に向かいたいと思います。
 最後に、参考資料の説明を事務局から簡単にお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  参考資料として一つだけお配りしてございますので、紹介だけさせていただきます。
 参考資料としまして、第8期の学術分科会で配られた「分科会における主な検討課題について(例)」というタイトルのものでございます。こちらで、各部会、各委員会で検討する課題について紹介をされてございます。学術情報委員会では、学術情報のオープン化の具体的な方策等について、今後審議を行うことが必要とされてございます。
 それから、同じく学術分科会で出ました委員からの主な意見というのも、机上配付にてA4用紙1枚ものでお配りをしてございます。確定版ではございませんので、机上配付にて事務局作成版としてお配りをしてございます。学術情報委員会に関係する部分として、1枚目、表の一番下の方で、人社のデータベースの件等が意見として述べられてございます。
 参考資料の紹介は以上でございます。
【西尾主査】  何か参考資料について、御質問等ございませんか。よろしいですか。
 それでは、連絡事項についても、事務局からよろしくお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  はい。本日委員会の議事録については、後ほどまた改めて各委員に御確認をいただいた上で公開とさせていただきたいと思います。
 次回、第2回は、5月14日木曜日、14時から16時でございます。場所がまだ決まっておりませんけれども、決まり次第連絡をさせていただきます。
 また、それ以降、当面の予定については、資料6で6月と7月と9月の日程を一応決めさせていただいておりますので、日程の確保をよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【西尾主査】  榎本参事官、どうぞ。
【榎本参事官】  今、この資料6で今後の日程等を御紹介しておりますが、今日の議論全体を踏まえまして、暫定ですけれども、私なりに3点議論があったと思っておりまして、そこを念頭に置きながら次の議論につなげていきたいと思っております。
 まず、一つの柱といたしまして、この議論の枠組みでございます。このオープンサイエンスに関連しましては、内閣府の報告が間もなく出るということを念頭に置きながら、この日程を踏まえてスケジューリング、それから、各回における段取りを組んでいきたく思っています。その際には、まとめられるところからやっていきたい。とにかく急いでいきたいと思っております。それが1点目です。
 2点目といたしまして、オープンサイエンスに関しまして、単なる呼びかけではなくて、様々な点で具体化を考えていく必要があるということで、今日いろいろなキーワードを御発言いただきました。プラットフォーム作りをどうするか。また、公開のやり方として、工夫していくことで意味のある公開にしないといけないということ。また、そういった枠組みの作成に関しましては、各省との連携が必要であるという論点。また、いろいろな論点の中で、戦略的にどう考えるかということで、海外の動向、民間の動向、学会や学術会議との連携等を論点としたいと思っております。
 それから、3点目といたしまして、分野等の取扱いがございます。これは様々な学問分野の取扱いをどうするか、どこまでここでやれるかという点に関しまして、様々な検討の場も別途ございますから、そことどうブリッジを渡せるかという点も含めて考えたく思っています。
 また、分野に関連いたしまして、人文・社会をどうしていくかといったお話もございました。また、分野とは少し違いますけれども、教育に関しましても、ここの会議で検討していく必要があろうという話がございました。そうした論点を整理していきながら、各回において、「今日はこの議論ができたね」というふうに分かりやすく毎回の議論をしたく思っておりまして、事務方としても準備をしていきたく思っております。
 以上です。
【西尾主査】  榎本参事官、本当にどうもありがとうございました。今、おっしゃっていただいたことを最後にお願いしようと思っていたところでして、建設的な議論が展開できるのではないかと思います。参事官がおっしゃいましたように、夏頃をめどにインパクトがあって、できるだけ簡潔に書かれている報告書をタイミング良く作成することが肝要に思います。そのためには皆様方のお力が必要でございますので、どうかよろしくお願いいたします。
 そうしましたら、本日の会議は以上でございまして、事務局、連絡事項等はこれで全部よろしいですか。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  はい。
【西尾主査】  それでは、閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
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