参考資料 データ管理規則等に規定する事項について

本資料は、大学、国立研究開発法人、研究資金配分機関等において、データ管理規則やデータポリシー(以下、「データ管理規則等」)を定める際に参考となる一般的事項について示す。なお、ここで示す各事項について全て規定することを意図するものではなく、策定する規則等に応じて必要な要素を選択する。

1 .データ管理規則等

1.公開・共有する研究データの分類及び非公開とする範囲等
公的研究資金による研究データについては、迅速、広範かつ適切な共有を行いつつ、データを提供した研究者の権利保護や研究上の貢献等に配慮する必要があるため、公開・共有(以下、「公開等」)に係る研究データの分類及び非公開とするデータの範囲を、以下のとおりとすることが考えられる。

(1)公開等データの分類
1 制限共有データ
データ管理計画※(下記2 )に基づき、研究データをデータベース等に登録することにより、データ管理計画に記載された研究者及び研究データへのアクセス申請が承認された研究者間で共有する研究データ。データの共有は、原則として研究者間の合意によるものとするが、必要に応じて、研究資金配分機関が調整を行うことが考えられる。なお、対象となる研究者は以下が想定される。
※データ管理計画は、研究資金配分機関が研究者に作成を求めることを想定。その他の組織の場合は、データベースへの登録やアクセス可能な研究者の範囲を他の方法で規定する必要がある。

・当該研究グループの既存データの拡充・充実等に資する研究データを提供する、又は今後提供し得る研究者
・研究データ生産や品質向上、付加価値付け等に貢献・協力できる研究者
・その他、研究データの蓄積、活用等に貢献・協力が期待できる研究者

2 制限公開データ
データ管理計画に基づき研究データをデータベース等に登録することにより、当該データベース等の規約等にしたがって、利用目的、利用方法等を明らかにした上で、研究データへのアクセス申請を承認された研究者が利用することが可能な研究データ。

3 公開データ
データ管理計画に基づき研究データをデータベース等に登録することにより、研究データへのアクセスを制限することなく誰でも利用することができるデータ。

(2)非公開とする研究データの範囲
以下に示すデータは非公開とする。
・機密保持、企業秘密、国益及び国家安全保障に関わるデータ
・研究成果の商用化・産業化を目的として収集されたデータ
・民間企業が保有するデータ
・共同研究契約などで公開に制限があるデータ

また、次のデータは公開を制限すべきである。
・個人のプライバシーの観点から保護が必要なデータ
・財産的価値の観点から保護が必要なデータ
・その他法令に定めがあるデータ

2.データ管理規則等に規定する事項
(1)公的研究資金による研究の範囲
公的研究資金による研究の範囲については、研究データの公開等を効果的に推進する観点から、対象となる研究プロジェクトや研究種目を設定する必要がある。

(2)データのアクセス制限や非公開の基準
データのアクセス制限や非公開の基準については、上記1を参考として規定する。

(3)データ公開等の実施方法
1 登録時期
研究データ公開等のためデータベース等への登録を行う時期は、研究データを生産した研究者の研究活動を妨げないように配慮して定める必要がある 。
また、データを提供する研究者の権利保護等の観点から必要な場合には、データの公開等を猶予する期間(エンバーゴ)を適切に設定する。

2 登録データベース等
研究データを登録するデータベース等は、研究資金配分機関が指定する公的データベース等及び研究者が所属する機関等が管理・運営するデータベース等が考えられる。

(4)データ管理計画の作成に関する事項
データ管理計画の作成責任者、当該計画に記載すべき事項などを規定することが必要である。

(5)データ管理計画の実施状況の把握と評価に関する事項
データ管理計画の実施状況の把握や評価に関する事項については、下記2 を踏まえて定めることが必要である。

(6)その他規定すべき事項例
1 研究データの利用による論文の作成に係る謝辞
公開等された研究データを利用することにより、論文を作成した場合は、その利用者が謝辞を付すことを規定する。

2 研究データの利用による知的財産権の取得
研究データの利用者が公開等されている研究データの二次利用による研究成果を基に知的財産権を取得することについては、それを可能とする研究データ公開等の範囲を規定する必要がある。

2 .データ管理計画

1.作成者
データ管理計画は、研究資金配分機関が配分する公的研究資金における研究活動の計画に責任を負う研究者が作成する。

2.記載事項
データ管理計画に記載する事項例を以下に示す(制限共有データ、制限公開データ、公開データごとに記載する)。

・研究データの保存・管理方針
・登録するデータベース
・登録する時期
・論文のエビデンスデータ(原則公開)の範囲、種類 及びその規模
・エビデンスデータ以外で公開するデータの範囲、種類 及びその規模
・研究データの公開・共有の範囲
・公開研究データの利活用促進に向けた取組

3.評価
データ管理計画については、その評価を以下のとおり行うことが考えられる。

(1)事前評価
研究資金配分機関は、自らが配分する公的研究資金の公募に当たり、その審査においてデータ管理計画の記載内容を評価対象とし、必要に応じて、採択の条件として、その修正を求めることが考えられる。

(2)実施状況の把握
研究開始後に、研究者が提出する報告書等により、データ管理計画に記載した研究データ共有の取組状況を、必要に応じて確認できるようにする必要がある。なお、データ管理計画の内容については、研究の進展等に応じた見直しができるようにする必要がある。

(3)実施状況の評価
研究データの共有の取組については、中間・事後評価及びその他で応募する事業の事前評価において、その取組状況を評価対象とすることが考えられる。

4.その他考慮すべき事項
データ管理計画の提出を求める場合には、段階的に導入を進めるなど研究者の研究活動に配慮した円滑な導入を図る必要がある。

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