学術の基本問題に関する特別委員会(第7期)(第8回) 議事録

1.日時

平成26年8月1日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省東館3階1特別会議室

3.議題

  1. 学術研究の推進方策に関する総合的な審議について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員、臨時委員)
西尾主査、小安主査代理、佐藤委員、高橋委員、羽入委員、濵口委員、平野委員、荒川委員、伊藤委員、亀山委員、金田委員、鈴村委員、瀧澤委員

文部科学省

常盤研究振興局長、山脇研究振興局審議官、磯谷研究開発局審議官、安藤振興企画課長、木村学術機関課長、合田学術研究助成課長、中野学術企画室長

5.議事録

【西尾主査】  
 それでは、ちょうどお時間でございますので、ただいまより第8回科学技術・学術審議会学術分科会 学術の基本問題に関する特別委員会を開催いたします。本日は暑い中をご参加いたきましてどうもありがとうございました。
 では、まず事務局に人事異動があったとのことでございますので、紹介をお願いいたします。

【中野学術企画室室長】  
 事務局に人事異動がありましたので御紹介をさせていただきたいと思います。この委員会でも大変お世話になりました小松振興局長でございますが、初等・中等教育局長に異動になっております。後任に常盤豊局長が着任しております。

【常盤研究振興局長】  
 7月25日付で研究振興局長として仕事を始めさせていただいております常盤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。前職は高等教育局に3年ほどおりまして、国立大学、それから私立大学、その両方の仕事をそれぞれ担当させていただいてきております。学術分科会の中で基本問題に対する特別委員会で先生方にいろいろ御指導いただきながら、できれば私自身としては大学政策と、それから学術政策のリンクということも含めていろいろ先生方から御指導いただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【西尾主査】  
 どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、議題に入る前に、まず事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【中野学術企画室室長】  
 まず、事務局の方、少し遅れて参る者がおりますので、あらかじめおわび申し上げます。
 資料でございますが、配付資料といたしまして議事次第の配付資料一覧にございますとおり、資料1から参考資料2まで配付をさせていただいております。一つ一つの確認は省略させていただきますが、欠落等ございましたら事務局までお申し付けいただければと思います。

【西尾主査】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、学術研究の推進方策に関する総合的な審議に移りたいと思います。今回は地方大学の観点から見た学術研究における課題、そして若手研究者の観点から見た学術研究における課題等についてそれぞれ審議したいと思います。本日は、前者の観点からのヒアリングとして、金沢大学の山崎光悦学長にお越しいただいております。また、後者の観点からのヒアリングとして、日本学術会議若手アカデミー委員会委員長であり、奈良先端科学技術大学院大学准教授の駒井章治先生、それから愛媛大学医学系研究科の石野智子准教授にお越しいただいております。本日は御多忙の中、御出席いただきましたことを心よりお礼申し上げます。ありがとうございます。
 本日の審議の進め方ですが、まず前半は山崎学長から15分程度で御説明いただき、その後、35分程度質疑応答を行いたいと思います。なお、山崎学長は用務があられますために15時頃退席され、その後、中島研究推進部長が質疑対応されますので、皆様、どうかよろしくお願いいたします。後半は若手研究者の観点からということで、駒井准教授、石野准教授の両名からそれぞれ15分程度御説明いただきまして、35分程度質疑応答を行いたいと思います。
 本日は3名の方々からヒアリングをさせていただきますけれども、時間も限られておりますので、委員の皆様におかれましても議事の円滑な進行に御協力いただきますと非常に有り難く思います。活発な議論を何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、山崎学長より15分程度で御説明をお願いいたします。

【山崎学長】  
 皆さん、こんにちは。今ほど御紹介いただきました金沢大学の山崎でございます。本日はこの分科会でこうした意見を述べさせていただく機会を頂戴しましたことにまず厚く御礼(おんれい)を申し上げたいと思います。
 私自身、専門は工学の中の機械工学という分野、その中にあって大型のコンピューターシミューションを使った設計工学という分野が私の専門でございます。ですから、きょう申し上げるお話も工学、特に機械工学寄りの感覚で申し上げるところも何点かあるというふうに御理解をいただければと、若干そういう意味ではエキセントリックな意見を言うかもしれませんが御容赦いただければと思います。
 早速ですが、お手元にも資料を配付させていただいておりますが、2枚目でございますけれども、意見を述べさせていただく前に、まず軽く、私ども、地方にある中規模の総合大学の一つであります金沢大学の現状と取組の課題について少し触れさせていただこうと思います。御承知のとおり、どこの大学でもそうかもしれませんが、運営費交付金が毎年削減されておりますので、今や私ども、基盤研究費と呼んでいる教員に配分している研究経費というのは、共通の運営費やらエネルギー費を差し引きますと、コピー代と電話代ぐらいしか残っていないというのが現状でございます。そうは言いながら、その中でどうやって元気を出していくかというのが課題でございます。そのほかにも2番目、3番目に挙げさせていただいたように、人件費の抑制と、特任教員など、有期雇用による不安定な研究者、ポスドクも累積してきている。それから、電子ジャーナルの経費が高騰してきている。さらにはエネルギー費、電力料金負担が急騰しているなど、特に地方の国立大学では財政的にはかなり厳しい状況になっているというのが現状でございます。
 そうした中にあって、研究力強化に向け、私ども、スライドにございます、大きく4点ぐらいを課題というふうに取り上げ、それに対する対策をいろいろ始めたところでございます。1番目でございますけれども、世界的な競争力を持つ研究者、頑張っている研究者の比率を学内でどうやって上げていくかというのが1つ目の課題でございます。それから2点目は、基礎的な研究分野と多様性を維持しながらも、研究分野と研究課題の絞り込みと集中的な資源投下、さらには研究力強化をどのように構成員の納得理解を得ながら進めるかという課題でございます。それから、3点目は学際的視野と国際性を有する若手研究者をどういうふうに選定をし、その方々を育てるか、育成するかという視点でございます。それから4点目は、競争的資金獲得実績の向上をどうやって達成するかということなどでございます。
 学内的な強化策としては、下の方にございますような何点かを、私、4月に着任いたしましたので、実施を始めたところでございます。1点目ですが、私ども、約1,100人いる研究者、全教員を主要研究課題に沿って85の研究グループにグルーピングをし、それらの研究課題と教育のミッションに沿って教員を配置するということを全学的な視点で開始をいたしました。各研究者は個人レベルでの興味ある研究課題と並行して、御自分が所属する研究グループの取組課題にも積極的に関わるという仕組みを少し時間を掛けて確立しようというものであります。
 それから2点目でございますけれども、研究拠点形成のための学内COE、私ども、四高の流れをくむということで「超然主義」というのがあるものですから、「超然プロジェクト」というのを始めました。もう一つは若手研究者育成のための「先魁プロジェクト」というのも開始したところであります。
 それから3点目ですが、研究専念教授という言い方がいいかどうか分かりませんけど、リサーチプロフェッサー制度というのを今、導入をして、年俸制と抱き合わせて給与についても少しインセンティブを付与した形で始めようとしております。
 それから4点目は、テニュア・トラック制度、国の仕組みとして私どもも早くから手を挙げてやらせていただいておりますけれども、その定着による研究能力の高い若手研究者の定着、それから独立した研究環境の提供の推進ということを更に進めたいということで取り組んでおります。
 それから5点目ですが、URAによって大型研究資金とか機関申請ものの競争的資金の獲得支援をやってまいりましたけれども、これを定着させ、更に推進させようということでございます。
 最後ですが、優秀な大学院生を確保するための奨学金制度とか、あるいは学内リーディングプログラムの導入について今、検討を始めたところでございます。
 次のスライドでございますが、学術の基本問題に関する特別委員会の中間報告というのを、頭を悩ませながら読ませていただきました。非常に多岐にわたっていて、私ごときが何か申し上げることがないようにもちょっと思ったのですが、きょう本日、せっかくの機会を頂きましたので、四、五点だけ、先ほど申し上げたような立場から個人的な感想と意見を述べさせていただこうと思います。
 1点目でございますけれども、スライドの1というところにございますように、大学が研究力強化に取り組める仕組みについてでございます。国立大学の場合、運営費交付金の基盤的経費と言われるものとそれを担う特別経費、さらには科研費、そして戦略的創造研究事業をはじめ、競争的外部資金というふうに位置付けられる各種の研究費の4本立てで研究活動を支える経費の下支えをしていただいているというふうに捉えております。上ほど基本的で、下へ行けばオプションというような感じでございますけれども、特に科学研究費補助金の基盤研究費、若手の研究費については、全ての学問分野を公平に下支えする重要な我が国特有の仕組みであるというふうに捉えております。大学における研究分野の多様性を担保するという上でも、今後も是非継続的に制度が維持されるということが重要であると考えております。
 なお、もう少し長期のビジョンに基づく新しい種目の新設とか、あるいは挑戦的萌芽(ほうが)研究のような種目をもう少し分野融合とか横断的な視点から募集とか審査する体制の構築というのも、イノベーション創出という視点から検討していただいてもいいのではないかと思っている次第でございます。
 それから2点目でございますが、民間企業の研究開発費の大学への導入という視点を取り上げさせていただいておりますが、私が申し上げるまでもなく、お金の、といいますか、共同研究経費の単価の引上げを誘導するような政策が是非必要であると考えております。文科省も世界ランキングの指標を使って英国とかドイツの躍進を例に引いて研究力強化の必要性を指摘しておられます。ドイツとかイギリスの躍進ぶりの原動力はいろいろと挙げられているのでしょうが、その中の一つに私の視点から申し上げますと、民間資金とか、あるいは公的資金のある大学、あるいは公的研究機関への飛躍的な増額というのが大きい要因の一つというふうに考えられるのではないかと思っています。中には、ドイツの例ですが、中には、連邦政府とか州政府の助成はもうほとんどなくても、独自・自立的に集めた研究資金だけで大学運営を始めようとしている大学すらあるというふうに伺っております。
 そういう観点で私の大学の例で言いますと、共同研究の額は年平均するとせいぜい100万円前後というふうになっておりますけれども、それを50倍とか100倍とか、2桁ぐらい上げるぐらいのことを是非お考えいただけたらと思うわけであります。どうやってやるのということでしょう。けれども、誰しもそんなことができるかなというふうにお考えかもしれませんが、例えば、特定の研究技術開発分野とか課題では、一企業対一大学という関係を築くことができれば、少しは可能性が出てくるのではなかろうかなと。細かい課題ごと、日本中の大学に、A大学のB研究室、C大学のD研究室というようなやり方ではなくて、そういうやり方もあるのではないかと思っております。具体的な例を少し申し上げて恐縮ですが、例えば建設機械国内トップメーカーが阪大さんと次世代ロボット開発で億単位のお金で研究を例えばこれから10年間やっていこうなんていうお話を小耳に挟んでおります。また、少し古い例ですが、日本のチャイルドシートのメーカーですけれども、トップメーカーが、ドイツにウルム大学というのがありますけれども、そこに研究所を持っておられます。そこにはかなりの、2桁も3桁も違うお金を投入されているというふうに理解をしております。あるいは、とある国内のロボットメーカーが上海交通大学に研究所をもう十数年前から持っているとか、そういう例が幾つかございます。全部がそういうふうになるとは思いませんけれども、海外の大学に巨額の投資をしている国内メーカーの例はかなりあるというふうに理解をしています。
 大学の一研究者、あるいは研究グループ対企業という関係ではなくて、大学対企業という関係を築くことが共同研究資金の大型化には是非必要ではないかというふうに考えます。若干、私どもも、そういう成功事例を作りつつございます。企業が出資する研究ファンドに対し、また、一方の目では、国とか文科省がマッチングをするという仕組みもあってもいいのかなと思ったりもします。
 それから3点目、そのスライドの下のところでございますが、大学の研究力、研究シーズを産業競争力にどうやって反映するかという視点でございます。申し上げにくいのですが、縦割りの行政、もうちょっと言わせていただくと、府省連携とか学術団体、学協会との連携というような視点から研究開発資金の配分、あるいは科学技術イノベーション創出資金の配分がこれから重要になるのではないかというふうに考えます。そのためには国レベルの研究、技術開発、あるいは産業育成ビジョンと戦略というのも是非必要でないかなというふうに、一省庁だけではなかなか限界があるというふうに理解をしております。ですので、例えば基礎研究、応用研究、開発研究とかというようないろいろな段階があると思いますが、その段階的な達成目標を掲げ、そして総合的、全体的な目標を達成する計画立案と、そしてそれのマネジメント、評価というのが必要ではないかと考えます。政策誘導による産業競争力強化に資する研究課題とか、技術開発課題というのはむしろ国研、国の研究開発機構法人等にやっていただいたらどうかなと思う次第であります。
 もう少し突っ込んで、言っちゃうとった後から後悔するかもしれないのですが、例えばCOI STREAMをなぜ文科省だけでおやりになるのかなと。大学発ベンチャー育成の実用化、研究開発に、例えば4大学に1,200億円をお預けになってというような構想が動いておりますけれども、研究技術開発ファンドについても僕は同じではないかなと。なぜ経産省とかほかの省庁も一緒になって、日本の国力を強くされようとしておいるのだから、例えば経産省と何で一緒にやらないのかなというところを非常に私どもの感覚で言うと非常に疑問に感じております。
 更に言わせていただくと、今走っているSIPの重要課題についてもかなりコーディネーターディペンドというふうに思っております。是非、公募とか予算配分のコーディネーターの倫理教育をしっかりやってほしいなというふうに思っています。それ以上は申し上げません。
 4点目でございます。日本の危機的課題である地域再生に向けた地域大学の取組を支援という視点であります。私ども金沢、石川県というのは能登半島を控えております。過疎・高齢化、あるいは森林の荒廃、耕作放棄地の拡大など、未来課題とか、いい課題ではないのですが、先取りしているというふうに言われています。日本全体の平均よりも10年先を行っているというふうに言われております。ということで私ども大学も何かできないかということでいろいろ手を尽くしているところでございますけれども、大学や民間企業が創造する確信革新技術を導入し、さらには持続可能な再生エネルギーの地産地消、更に農林水産資源や遺跡、文化財、あるいは観光資源などの地域資源と言われるものを複合的、有機的に活用して、都市にはない魅力、付加的価値の創造によって地域医療も含めた地域再生の全国モデル、あるいは世界に先駆けたモデルを文理融合型の研究によって実現せねばならないと捉えております。それを地域の大学がやれば、それを大学の強みに育て上げることができるというふうにも考えられますので、そういった研究活動を支援する施策も是非お考えいただけたら有り難いかなと考える次第でございます。
 最後、5点目ですが、大学院に優秀な学生が進学しないと。私どもだけではないだろうというふうに思うのですが、残らないという現状があります。博士課程は私どもは定員割れを起こしております。日本の危機、あるいは学術界の危機というふうに捉えることもできるのではないかというふうに思っております。そこから脱出するには、大学研究者や、資源のない日本を支えているものづくり企業の技術開発などにも、最も優秀な人材を集め、競争力の源泉とする必要があると日頃から考えております。そのためには待遇改善も必要であります。優秀な人材の確保と育成につながる安定した雇用を創出ができる研究振興策が多分要必要ではないかと思います。3年とか5年で雇い止めになるような研究者の研究力、研究成果に頼っている現状を是非改めなければならないと考えております。
 ですので、JASSOの奨学金の研究職・教育職就職者へ、かつては返還免除とかいう制度がございました。そういったもの、が再び返還猶予というような形で取り入れられることを願っております。待てないので私ども自身も学内で返還不要な独自の奨学金を出そうということで今、検討中でもありますし、それから、リサーチプロフェッサー制度などによって、顕著な成果を上げた研究者、一生懸命頑張っている先生方には給与の上積みをするという仕掛けについても、現在、ほぼ実施に向けた最終検討段階に入っております。
 特にスライドにはございませんが、一、二点、時間も来ていますけれども、ちょっとだけお話しさせてください。その他として最後に研究指標について若干触れさせていただきたいと思います。大学ランキングに頼り過ぎているのではないかというふうに私は危惧をいたしております。知的財産も大切ですが、では、文系はどうなるのでしょうかというふうなことも考えます。それから、日本企業の技術開発力を日本の工学技術系の分野、あるいは理工学の分野の研究者、あるいは研究成果が下支えをしてきたという実績は紛(まぎ)れもないというふうに思っております。それらに加え、例えば私が所属する日本機械学会という分野で何が今起きているかというのを少し御紹介申し上げますと、もう誰も日本語では論文を書かなくなって、日本語の論文誌は消えつつあります。みんなで英語に移行して変わってはいるのですけれども、それが今度、技術の企業の現場から言うと、やっぱり現場の技術者全員が英語ペラペラなわけではありませんので、最新の技術情報がさっと入ってこないということに非常にいらだちを企業人は抱いているということが現実としてございます。そういったことも考えながら、トムソン・ロイターが全て、エルゼビアが全てだと私はやっぱり思わないので、いろいろな分野があるので、多元的な、多様な、今の時点で何か具体的には提案はできませんけれども、やっぱり評価の指標があってしかるべきではないかと、こんなふうに考えている次第でございます。
 あと、お手元にお配りした資料を1枚だけ、私ども、が取り組んでいる先ほどから申し上げたようなリサーチプロフェッサー制度とかの関連のことを少し細かく書いた資料を付けさせていただきました。
 以上でございます。

【西尾主査】  
 どうも貴重な御発表をありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思います。今の御発表に対しましての御質問であるとか御意見等も含めまして、自由に御発言を頂ければと思います。いかがでございましょうか。

【小安主査代理】  
 どうもありがとうございました。2つ質問させてください。金沢大学の取組、学内強化策ということで御紹介いただいたのですが、その中で全教員のグルーピングということがありました。85の研究グループをどのようにして選定されたのか、簡単に言うと誰がそれを決めたのかということと、もう一つは、リサーチプロフェッサー制度を導入されたとのことですが、具体的にはどういう仕組みを整えられて、更にキャリアパスというのをどういうふうに描いていらっしゃるのか教えていただけませんでしょうか。

【山崎学長】  
 1つ目の件ですが、人事戦略ということでいろいろ考えた結果、御自分たちで、部局で、大学(法人)の方からは10人から30人ぐらいの範囲で将来性のある研究課題、みんなで取り組める課題を設定してくださいとお願いをし、部局と何回かやりとりをして上がってきたもの、一応セッティング完了というところです。ただし、中身については部局によってやっぱり温度差があって、これで金沢大学が頑張れると思えない課題設定や、ぼやっとした、何でもいいような課題設定も分野によってはあるんです。やっぱり人事戦略に結び付けられるという考えで、多分怖がってというか、警戒されていて、どんな人でも採れるようにしておこうと、向こうの戦略が見えるので、課題自体についてはまだオーソライズしませんというふうにお伝えをし、一応、受け取りました。今、しばらく人事を全てストップしてましたので、つい先日から動かし始めました。併せて一緒に課題についてこれから一つ一つ部局と相談をさせていただきながら吟味をして、最終的なセットをしたいと思っています。非常に強い研究者が集まって、ばっちりこれでいいなという分野もあれば、先ほど申し上げたように、何をやりたいのかよく分からない分野と、様々です。ただ、そういう仕組みを取り入れることによって、私どもはやっぱり旧帝大さんとは違ってリソースに限り、限界がありますので、全部の研究分野、デパートメントストアみたいに広げることは無理ですので、少し絞って、金沢大学にこんな研究分野あるよねと言ってもらえるようになるように、5年後、10年後、そうなるようなことを目指しております。
 それと、大いに絡んでおりますけれども、研究専念教授という制度は、お手元の資料の最後のページにございますように、3つのパターンを今、用意をしておりまして、一つは招聘(しょうへい)型、2つめは内部登用型、3つ目が若手型と。若手型は外も内もありということにしております。外から起用させていただくのは、やっぱりそれなりに、内外を問わずでございますけれども、著名な業績を上げられた、あるいは上げつつある方を、まあ5年間というのはなかなか無理でしょうから、年間のうち例えば半年とか3か月とかという形で、5年の約束でお雇いしようかなと。それについてももうプラス5年延長可能というふうにしてございます。マックスで年俸にすると2,000万円相当ぐらいのものを想定をしております。
 それから、内部登用型は、今、自分のところにおられる先生方で頑張っている方に手を挙げていただいて、外部評価委員も入れた審査体制でもってその方を手が挙がった中から選ばせていただこうと。これは1,000人ぐらいの先生に対して20人ぐらいの規模で今、考えております。そのための予算もある程度確保できつつございます。
 それから、若手については、研究者を育成したいという視点で、30から40人ぐらいを想定していまして、これについては研究専念ということで悩ましいところはあります。教育力も付けていただきたいということもございますので、少し現場で教育に携わった後、研究成果を上げつつある若い方々を引っ張り上げるという制度でございます。
 そんな程度でよろしいでしょうか。

【小安主査代理】  
 ありがとうございました。

【西尾主査】  
 それでは鈴村先生。

【鈴村委員】  
 興味あるプレゼンテーションをありがとうございました。2点お聞きしたいと思います。第1に、研究専念教授という仕組みをもう少し詳しく伺いたいと思います。まず若手のケースですが、研究専念教授というステータスを確保しても、終身ということは考えていないように思われるのですが、研究専念教授の期間を終了した後の処遇はどう考えておられるのでしょうか。さらに、お話しの中で既に在籍する教授に付いては「手を挙げた人から」というお話でしたが、自己評価は評価ではないという表現もあるように、手を挙げた人に対しても特別の処遇に相応(ふさわ)しいことを確認する作業がないと、新たな制度に対する信認は得られないと思います。その点はどうお考えなのでしょうか。
 第2に、プレゼンテーションの中で、「優秀な《理系》大学院生の確保と育成」と、理系に限定する表現がありました。優秀な大学院生の確保と育成の重要性は、理系に限られたことではないと思いますが、この限定は何を意図して付されているのでしょうか。

【山崎学長】  
 じゃあ、後の質問から先に。あとの4つはもう実施しているんです。先ほどもちょっと、最後の項目については検討しておりますと申し上げたので、まだ実施段階に至っていないということで括弧が付いているというふうに、まだアイデアで検討中であるというふうに御理解をいただけたらと思います。
 それですよね。そこに出ている一番最後のやつのことをおっしゃっている? あ、違いますか。5ページ目ですか。失礼しました。

【西尾主査】  
 5ページ目のところで、最初のところに括弧付きで理系と書いてありますのはなぜでしょうか。

【山崎学長】  
 これは私の思いがちょっと入っているので。気になさらないでください。すみません。取ってください、じゃあ。こう書くと怒られそうですね。
 で、1番目のお話でございますけれども、先ほどもう少し正確に答えるべきでありました。学内登用型、それから若手型についても5年を任期にしておりまして、5年の間に中間評価と最終評価をさせていただくというスキームを今、作りつつございます。評価の視点については、登用時に明示しようと。分野によって違うので、分野ごとに今、いろいろ議論はしていただいているところでございます。大筋は大学で決めておりますけれども、分野によってちょっとずつ色が違うものですから、ということでございます。
 登用型、若手型については延長ありとしておりまして、マックス10年というふうに考えております。こちらの方はもともと部局が持っている定員(ポスト)を使ってやってくださいと。最初に申し上げた招聘(しょうへい)型については学長戦略分とか別途用意したポストを付けるという流れでございます。評価も含めてそんな感じですが。

【鈴村委員】  
 研究専念教授という処遇を新設して広く公募して、その中から選出するという仕組みは当然お考えになっておられるということですね。

【山崎学長】  
 若手に関しては、はい。

【鈴村委員】  
 5年任期でスタートして、10年まで延長可能としてもテニュア付きではないという仕組みが、インセンティブ・スキームとしてどれほど有効かということも気になりますが、私がもっと気になるのは、現在おられるシニアの教授には、任期が終了後に戻る座席があるが新たに登用する人材にはそれがない仕組みは、衡平性の観点からいかがなものかということです。また、大学組織は制度の惰性が非常に強いところなので、教授の間に処遇の差異を設けることに対する抵抗もあるだろうと思われます。その辺りをどうお考えになっておられるのか、突破の方策をどうお考えなのかをお教え戴(いただ)けると幸いです。

【山崎学長】  
 若手は40歳以下、それから今、登用型と言っているのは、したがって40歳以上60歳未満というふうにしております。現場ではありますけど、個人で手を挙げるのではなくて、部局から手を挙げていただくというふうにしております。というのはほかの先生方に教育負担とかの迷惑が、労働の再配分が起きますので、関係のところは納得の上、先生方が手を挙げるというような制度にしております。
 その程度でよろしいですか。私、選挙のときからこの制度を言っていたので、みんな多分、もう諦めていると思います。早い段階から申し上げているので。

【西尾主査】  
 それでは平野委員から御意見をお願いします。

【平野委員】 
 ありがとうございました。これは各大学に共通的な問題だと思っていますし、この委員会、あるいは科研費の部会においても議論されたジャーナルの問題であります。これ、現実のところから見ますと、各大学において、大変な重要問題であろうと思っておりまして、私も五、六年前から、例えばエルゼビアの幹部の方々も会ってe-ジャーナルを含めて、費用等々については単に反駁(はんばく)しておってもだめなものですから、どういう手があるかという議論をしているのですが、これは学術界において深刻な問題だと思いますので、是非ここの委員会あるいは学術分科会全体においても、どのような対応を学術の基本であるこういうジャーナル等についてとったらいいのかということについて、課題として議論いただければ有り難いと、思っております。これはお願いであります。以上です。

【西尾主査】 
 今の問題に関して、特に山崎先生御意見ございますか。

【山崎学長】 
 むしろ私、濵口先生のやっておられるのをいろいろまねさせていただいて、ばら売りのやつを買って、ちょっとでも値段下げようかと、今、具体的に検討しています。一つ一つのジャーナル、どれぐらいみんな使っているかを今、チェックさせていまして、1,000万でも2,000万でもいいから下げたいなということです。

【伊藤委員】 
 まず、リサーチプロフェッサーですけれども、金沢大学には研究所みたいなものが幾つぐらいあって、何人ぐらいいらっしゃるのかというのと、それから、このリサーチプロフェッサーというのは、例えば1,000人の教員がいらっしゃるとおっしゃいましたけれども、何人ぐらいのうち何人ぐらいリサーチプロフェッサーとして御採用なさる予定なのかということをまず1つお聞きしたい。
 あともう一つは……よろしいですか、続けて。

【西尾主査】 
 今のご質問の件、いかがでございましょうか。

【山崎学長】
 研究所は、がん進展制御研究所という研究所1つしか持っておりません。そこのスタッフは約40名強。42,3名でございます。それから、法人化する前から持っていた研究センターというのが幾つかあったのですが、それを統合して、今、研究系のセンターは2つあって、合わせても30人ぐらい。だから研究だけで頑張っている人は、1,100人ぐらいの大学で70人ぐらいというように御理解ください。
 さっきそれぞれについて数字は申し上げましたが、招聘(しょうへい)型で5から7,8名ぐらいですね。お金が準備できるかで、というか、何か月採用になるかでちょっと数字は変わります。それから、登用型については先ほど20と。予算が今、20しか用意していない。それから、若手は30から40ぐらいというふうに一応考えております。ですので、合計すると50数名から70名ぐらいの間になるかと思います。60数名と。以上です。

【伊藤委員】
 あともう一つお願いします。若手の場合にテニュア・トラックをなさっていらっしゃるとおっしゃっていたので、そこのところをどのように整合させようとお考えでしょうか。

【山崎学長】 
 基本的には、若手で新規募集の分についてはテニュア・トラック制度を入れて、大学が少しインセンティブを付けようとしております。それから、学内登用型についてはちょっとまだ微妙なところです。これから若手の募集を開始しますので、まだ確定はしておりませんけれども、できれば入れたいというふうに。既にもう結構な人数で走っていますので、テニュア・トラックは走らせていますので、乗せられたら乗せたいというか、多分、乗っている人が手を挙げてくるというふうに私どもは期待をしているんですけれども。

【西尾主査】  
 今後、新規採用の若い教員は全員テニュア・トラックにまず乗せるということでしょうか。

【山崎学長】  
 今の若手のリサーチプロフェッサーについては乗せたいと考えています。かつ、年俸制をとる。無条件に年俸制をとる。どこかでパーセントを稼がないといけないもんですから。

【高橋委員】 
 今の伊藤先生の質問に関して続きなんですけれども、こういうリサーチプロフェッサーを登用するという、すごく勢いがある計画はすばらしいと思うのですが、一方で、これはジェネラルなディスカッションになると思うんですけれども、大学の役割は研究のみをするところではなくて、あくまでも学生を育てるというのが第一義だと私個人も思っているわけです。学生というのは、学生と大学院生を含めて。そのリサーチプロフェッサー、あるいは若手の人たちに、研究を頑張ってくださいねというのはよくよく伝わってきたのですけれども、本来の学生を育てるというところの、そういう哲学なんかはどういうようなベースでこれを進めようとなさっているかについてちょっと教えていただければと思います。具体的には大学院をどう取るかとか、頑張れ、頑張れだけじゃなくて、そういう配属とか、等々いろいろあろうかと思いますので、お願いします。

【山崎学長】 
 リサーチプロフェッサーって、もう研究しかしないように聞こえてしまうかもしれませんけれども、大学でございますので、当然、大学院の学生の研究指導等をやらせます。そういう意味では、リサーチオンリーというわけでは決してないというふうに思っていますし、それから学士課程についても本人が希望すれば1科目、2科目ぐらいは持たせようと。そういう範囲で考えております。
 おっしゃるとおり、大学はまず人材育成でございます。研究先にありきではないというふうに私どもも捉えております。

【高橋委員】 
 ありがとうございます。先ほどのEジャーナルの問題ですが、これは本当に深刻な問題です。平野先生も頑張っておられると聞いてすごいなと思いました。せっかく金沢大学の方々より御提案がありましたので、ここはひとつ、文科省の方々とも一緒になって抜本的な解決案を考えた方がよいのではないかと思います。例えば暴言かもしれませんけれども、日本で1つ大きなものを買うなどとったことを考えてもよいかもしれません。この問題は京都大学でも非常にシリアスで、我々がみたい、みるべきジャーナルの数が減っています。特に最近の円安の影響で、ジャーナルの値段があがり、以前買えていたジャーナルまで買えなくなっているのです。このままでいいはずがありません。なぜならジャーナルは学者にとって生命線だからです。ジャーナルがのびのび見れるという環境が失われると学問にならないわけです。この大きな問題は、「各大学の努力で何とかしなさい」などというレベルでは、もはやありません。ですから、何か抜本的な対策を、例えば日本国全体で手を挙げてジャーナルにけんかを売るとかやってもいいんじゃないかと思います。こんなに価格をつり上げてたら、日本国のどの大学も絶対買わへんぞ、とか。とにかく各大学が地味に努力をするような段階じゃなかろうと思いますので、この部会で更にシリアスに議論していければいいなと思っております。これまでこの件の議論はあまりしてこなかったですよね。よろしくお願いします。

【西尾主査】 
 高橋先生からおっしゃっていただいたように、個々の大学でいろいろな面での対策を立ててきただけではもうもたない状況になりかけているというのは事実ではないかと思います。学術研究を推進する上では学術ジャーナルは一つの生命線でもございますので、平野先生、また高橋先生がおっしゃっていただいたように、もう少し大きな観点、あるいは対応する枠組みできっちり議論することをこの委員会での今後に対する課題として残したいと思います。

【山脇研究振興局審議官】 
 主査、1点よろしいでしょうか。

【西尾主査】 
 どうぞ。

【山脇研究振興局審議官】 
 ジャーナル問題ですけれども、学術情報の重要な課題ということで、今、研究振興局の中でジャーナル問題の検討会を開催をしてきておりますので、その検討状況、今のような論点とか、それからオープンアクセスの問題も含めて、どのような解決方策があるのかを検討してきておりますので、御紹介する機会をちょっと考えていただきたいと思います。

【高橋委員】 
 是非お願いいたします。

【西尾主査】 
 そうしましたら、それを可能な限り早い時期にこの委員会で御報告いただきまして、議論をしていくということにしたいと思います。

【西尾主査】 
 佐藤先生、いかがでしょうか。

【佐藤委員】 
 山崎先生、大変すばらしい取組の御紹介をありがとうございます。ちょっと5番のこと、大学院生の確保の話でございますけれども、私、この問題は、基本的には大学院生の出口が分からないこと、結局大学院に来ないのは、自分の将来が見通せないことが大きいと思うんですね。原因は産業界と大学とのミスマッチが深刻な問題だと思うんですよね。文部科学省はリーディングプログラムを作って、民間とのミスマッチをなくすように努力はしているわけですけれども、金沢大学としては民間との大学院教育に関して連携を図るとか、そういう試みはやっておられるのでしょうか。

【山崎学長】 
 理工中心ですけれども、当然、ほかの大学がやっておられるように、例えば今、イノベーション創出若手研究人材養成プログラムを私どもも最終年度でありますが実施中です。でも、ちっともうまく行かないんですよ。あることはうまく行っていますよ。学生は増えないし。ポスドクを減らそうとか、ポスドクをちゃんと企業に就職させようというのはそれなりに成果は上がりつつあります。ありますけれども、もともとの根本にあるロールモデルを作って、みんなが「ああ、そうだね。大学院に行こうぜ」というふうに、ちっとも雰囲気がならない。やっぱり根本的に、今、先生がおっしゃっているように、「お兄さん、お姉さんを見ていると結局、職ないんやね」とか「3年のポスドクやね」とかいうと、やっぱり行かんのですよ。というふうに思っております。
 だから、それを改めてくださいとさっき申し上げたつもりなんですけれども。3年、5年のプログラムばっかり走らせても。というのは、基盤経費をどんどん削って競争的資金に持っていかれるのはいいんですけど、そこで我々、先生方とか研究者を3年、5年でしか雇えませんから、そういう人ばっかり増えてきますわね。失敗した人は2回、3回とそれをやって、40歳にもなるのに結婚もできないという。例えば今、URA事業というのは、私ども、今、自力でやるようになりました。去年まで資金を頂いていましたが。そこに応募してくる人を見たら、本当に気の毒になりますよ。というのが私の実感です。なので、これはもう、悪いですけど、国の失敗のしりぬぐいを私どもがやっているというふうにしか取れない。申し訳ないけど。

【西尾主査】 
 今おっしゃっていただきました観点からも、この委員会の一つの大きな目的としてデュアルサポートの最構築ということを今後強く打ち出していきたいと思っています。貴重な意見をありがとうございました。

【小安主査代理】 
 今の、お兄さん、お姉さんを見ているという話の中で、例えば登用型リサーチプロフェッサーに採用されて、頑張れよって、大学からいっていただいた方の任期は5年2期とおっしゃったんですが、その先をどうやって見通すのかということ、これは若手型リサーチプロフェッサーの場合もまた同じだと思います。結局、終わった後にどういう姿を見せられるかということが一番大事だと思われますが、そこをどういうふうに作られておられるのか教えてください。

【山崎学長】 
 先ほどちらっと申し上げたように、もともとあるポストを使ってくださいというふうに言っているので、必ず受皿はあるんですね。テニュアのポストがあるので。もちろん、だから、基準を設けて事前に公開をし、審査をさせていただいて、満足な結果であれば当然、テニュア、助教から助教、あるいは助教から准教授というポストが用意されているということで。

【小安主査代理】
 例えば、登用型の方はもう既にテニュアのプロフェッサーの方が応募するイメージを私は受けたのですけれども。

【山崎学長】 
 プロフェッサーとは限りません。准教授……。

【小安主査代理】 
 テニュアの方の場合は、もう1回、元に戻るというイメージなのでしょうか、その場合には。

【山崎学長】 
 もしテニュア・トラックにする場合にはそうですね。

【小安主査代理】 
 ということは、登用型もテニュア・トラックに戻るということなのですか。

【山崎学長】 
 だから、それは手が挙がらない可能性があるので、先ほど申し上げたように、准教授で、今現在、テニュアの方に、テニュア・トラックでリサーチプロフェッサーになりませんかと言っても、誰も手を挙げないと。よほど研究費ががばっとつくとか、ポスドクがつくとかということでないと手を挙げないだろうということで、今ちょっと悩んでいるところです。なので、基本的には外部から登用する場合についてはテニュアからというふうに申し上げました。

【西尾主査】 
 よろしいですか。

【小安主査代理】 
 はい。

【西尾主査】 
 荒川先生、どうぞ。

【荒川委員】 
 2ページ目の主要研究課題に沿った全教員のグルーピング、大変興味深く聞かせていただきましたが、先ほどのお話を伺っていますと、部局である程度はグルーピングをして、それを持ち上げて全体として整理をしたという印象を持ったわけですが、一方で、部局を超えた学問、あるいは融合的な学問領域の創成の観点から考えますと、部局を超えてグルーピングをするというのも大変重要ではないかと思いますが、その辺りについても進めておられると理解してよろしいでしょうか。

【山崎学長】 
 はい。そこが一番ポイントだというふうに思っていまして、今の私ども、学科とは言っていないので、系というふうに先生の所属を分けているんですけど、例えば機械と医学の先生がくっついて何か新しいことをやるとか、そういう提案を今、させておりますが、なかなかそこにポストが縛られるんだということになると途端にみんなちょっと腰が引けているというのが現状ですけど、異分野融合の課題を必ず、例えば5課題あったら2は異分野融合にしてくださいというような注文を付けております。なので、なかなか、何でもいいような、ぼやっとしたという形で出てこない。そこが私の大学でございまして、これから議論をして深めていいものにしていきたいと思います。

【西尾主査】 
 荒川先生、更に御質問ありますか。

【荒川委員】 
 結構です。

【西尾主査】 
 伊藤先生、どうぞ。

【伊藤委員】 
 グルーピングや、例えばCOEの設定というところで、ぼやっとしたという答えに対して、例えば何かの数を設定するとか、要は、例えば何々を何%以上にするとか、そういうような試みはなされていますか。

【山崎学長】 
 いや、全くしていません。きょうアイデアを頂きましたので考えてみたいと思います。ありがとうございます。

【西尾主査】 
 ほかに御意見とか御質問とかございませんでしょうか。濵口先生。

【濵口委員】 
 先生、3ページの2のところで、民間企業が海外にはすごく投資しているということで。

【山崎学長】 
 と思います。

【濵口委員】 
 日本への投資は少ないですが、これはどういう問題でこういう現象が起きているのか。対策、先生、何かお考えでしょうか。

【山崎学長】 
 先生は医学系だからまた違う視点を持っておられるかもしれませんが、工学系が、例えばA企業さんから、100万じゃなくても、300万、500万もらっても、研究成果についてあまり約束していないので、何かぼやっとした結果が出て、こんなところですって、ちらっと言っているんですね、日本の大学は。そこだと思うんですね。海外と契約されるときには、どこまでぴしっと出せるか。

【濵口委員】 
 契約関係がしっかりしていうということですね。

【山崎学長】 
 そうそう。契約がきちっとしているので、じゃあ1億円出しましょうとかとなっていくんでしょうね。日本の大学もそこはもっと襟を正すべきと理解をしています。

【西尾主査】 
 平野先生、どうぞ。

【平野委員】 
 私も一面しか見ておりませんけれども、今、上海交通大学の例でいきますと、山崎先生が触れられたロボットの共同研究は別にしましても、今、濵口先生が質問されたようなところに関しては、自分の経験からしても、反省も含めてお話ししようと思います。それは、私は上海交通大学では研究所長を兼ねてやっておりますが、契約を日本の企業とするときにはきちんと打ち合わせたうえで、共同研究の意義を理解しあい、契約書を書きます。しかし、スタンスとしては間違いなく大学が基礎のところで、自分たちのキュリオシティーを述べながら、説得も含めて契約事項の中に入れてきますから、出口を含めた管理、学術的重要な結果として何が出たかという問いも含めた管理は、結構厳しくありますので、企業側にも理解しやすいし、上司にも説明しやすいと思います。単に、お付き合い的ではありません。共同研究費が少ないから軽く見る、ということは当然ありませんが、大変失礼ですが、幹部の方に共同研究の上がり、お互いに緊張感がなければいけないと思います。日本の多くの共同研究は似たような状況かとも思います。多分、工学と比べて、医学系はえらく共同研究費が違いますので、工学とは状況が違うかもしれませんが。(笑)
 余りここで言っておってもいけないのですが、少なくとも工学の場合は、今、言われたぐらいのところが多いんです。そうしますと、本当に若い企業の現場の方と、熱心にやってくれる大学の教員方との間で終わる場合が多い。レポートは当然、決済上必要ですので真摯に書きますけれども、本当の企業のトップクラスの幹部からの好奇心を持った質疑応答の場というのは確かに少ない。ということが企業においての寄附行為というか、共同研究の位置付けが、かなり同じ企業でも日本の大学と、海外の大学との差が大きい。同じ企業との共同研究を、今やっていますけれども、対応が違います。
 それから、もう一つ、これは私、いいとは全部思いませんけれども、アメリカの大学もまさにそうですが、共同研究費用からオーバーヘッドが当然あるわけですね。私のところも3割ですが、そのオーバーヘッドを含めて、共同研究をやる先生方は学生への支援をする費用を出しますし、スカラーシップも出せるんですね。そういう点で大学院生のケアができる体制です。これは、日本に導入して本当にいいかどうかというのは、日本の企業が日本の大学と共同研究する考え方を変えない限りは絶対駄目なので、私は一義的には言えませんけど、同じ会社でも、海外へ出す場合と日本の大学と共同研究をする場合のシステムもちがいます。

【西尾主査】 
 どうも貴重な御意見、ありがとうございました。
 時間の関係でもう最後になってしまいますが、金田先生、ご質問をどうぞ。

【金田委員】 
 いろいろとお考えを教えていただきありがとうございました。先ほどから85の研究グループという御説明を承ったのですが、これと教育の関係がどうなっているのかをちょっと教えていただきたいのですが。

【山崎学長】 
 私ども、学部学科制を6年前に廃止をいたしまして、今、学域学類制という制度になっていますが、基本的には他の大学で言う学部学科のちょっと大くくりというふうな仕組みです。その中がコースになっていますので、先生方の所属はそこではなくて、研究域・系というところに所属をさせて、専門分野、ディシプリン別に先生のグループはできております。それで教育に出掛けていくという形をとっています。ですので、例えば1つのポストがあったときには、この教育のメーンの担当、あるいは1つとは限りません。別の教育単位のサブの担当で、かつ研究についてはこういう研究グループで活躍する人を求めますというような申請をしなさいというふうに今しております。縦糸と横糸みたいな関係ですね。
 ですから、ある自分の専門があっても、私は機械の中の専門は設計工学という分野ですけれども、研究はロボットの研究はしますというふうに言いなさいと。基礎分野が違っていても、それでみんなで合わせてロボットの研究をするというような感じでございます。

【金田委員】 
 ありがとうございます。

【西尾主査】 
 まだまだ議論は尽きないところでございますけれども、山崎学長、時間となりましたので次に移らせていただきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。

【山崎学長】 
 きょうはどうもありがとうございました。ちょっと用事があって失礼させていただきます。すみません。

【西尾主査】 
 それでは、若手研究者の観点から駒井准教授、石野准教授の順で、それぞれ15分間程度で続けて御説明をお願いいたします。

【駒井准教授】 
 ただいま御紹介にあずかりました奈良先端大学の駒井と申します。きょうは奈良先端大というよりは、日本学術会議の若手アカデミー委員会の委員長として参らせていただきました。きょうはよろしくお願いいたします。以後着席でお話しさせていただきます。失礼いたします。
 若手の状況についてということで話をということでお題を頂いたわけですけれども、たくさんの資料がありまして、各方面から、これは15分で大丈夫かという御指摘を頂きましたが、きょうはかいつまんでお話をさせていただきたいと思います。
 私、奈良先端大のバイオサイエンス研究科というところの教員をさせていただいておりますが、日本学術会議の若手アカデミー委員会というところで働かせていただいております。学術会議若手アカデミー委員会というのはなじみのない組織であると思いますので簡単に紹介させていただきますと、2011年の11月より、29人の若手、分野横断的に様々な大学から29名の若手、ここで言いますと金沢大学様では40以下ということでしたが、我々は45以下で、いろいろなディシプリンがありますので、学術年齢といいますか、博士取得後10年以下ということで定義させていただいておりますが、そのメンバーで始めさせていただきました。今年の10月から期が変わりまして、それ以降は40名、その3年後に60名という体制で進めさせていただくことになっております。
 きょうお示ししております資料の方は、2012年の12月に私ども若手アカデミーで取りまとめさせていただいたものを、やや改変して持って上がらせていただきましたけれども、それを御参考にお話しさせていただきたいと思います。まず、きょうの内容なのですが、こういった目次で示させていただきますが、そもそも若手というのはどういう対象なのかということをまず話させていただいた後、いろいろな観点でお話しさせていただきたいのですけれども、もう既にお金下さいとか、ポジションを下さいとか、そういったことになりがちなので、その点に関しては私どもは今回、話さないつもりでお話しさせていただきたいと思います。
 若手、若手と言うのですが、若手というのは誰だということで、ここでお示しさせていただきたいのですが、長寿化によりまして若手の範囲というのが広がっておりまして、先ほども申しましたように、私どもの定義としましては、学位取得後10年で、45歳以下ということなのですが、その中身としましては非常に多岐にわたり、任期制、任期なし、それから職種も様々で、ポスドクから教授に至るまでいろいろなメンバーがおります。若手を使うに当たってどの辺りの若手を支援するのかということをいろいろ確認しながら進める必要があるのではないかというのが我々の議論の末の結論であります。例えば、ポジションがないという話なのですが、保健学科とか、一部の領域では非常にポストが余っていて、人が足りないというようなことを伺うこともありますので、一概に若手だとポジションが足りないというのはちょっと違うこということであります。
 若手、若手と、若手のことばかり取り上げられるので、余り変に対立構造を作りたくないと私どもは思っておりまして、むしろいろいろな形で、いろいろなレイヤーの方々と協力していろいろな仕事ができればなというふうに思っております。特にここで問題なのは、女性の問題は一つあるかと思います。女性に限らず、育児、家庭環境を考えたときに、若手、我々の年代では子供が小さいということもありまして、いろいろな意味でなかなか研究を進めるのは難しいということは多分いろいろなところで話に上がっていることかと思いますので、ここら辺も多少紹介させていただきたいと思います。
 個人に対する支援の拡充ということで、各論にそろそろ入っていくのですが、個人の支援の拡充としておりますのは、先ほどちょっと話にも出ましたが、デュアルサポートのことを言っておりまして、いろいろな形で、いろいろなディシプリンの研究者をうまくサポートするシステムというのが必要なのではないかということであります。ですので、ここでは個人にお金を配ってくださいということではなくて、広くデュアルサポートのことを示しております。
 なぜにそういうことが必要なのかということで、ここでちょっと違う視点からお話しさせていただきたいのですが、お金ということなんですけれども、基本的にはいろいろな形でヒアリング等々をさせていただいておりますと、安心してリスクの高い研究に打ち込むことができる環境が欲しい、それからギャンブル的な要素が排除されたらいいなということをよく聞きます。申請の時間と労力、これは若手だけに限らず、ここら辺のことに関しましてはシニアの先生方等々も同じことだとは思うのですけれども、基本的には時間が欲しいということでよく話は聞きます。どれぐらい時間がないかということで、ちょっとこれ、字が小さくて大変申し訳ないのですが、これはない資料です。すみません。時間がないということをいろいろ示しているわけなので、ちょっと見えなくて申し訳ないので、ここ、パスさせていただきますが、どの職においてでも研究活動に充てる時間がないということです。どれぐらいないかというと、実際にないことプラスアルファ、実感的にはもっと状況は悪くて、これは我々のメンバーの1人の住井の書いたものを引っ張ってきたものなんですけれども、非常に多忙であると。特に若手は育児、家事をはじめとする日々の生活に追われて平均睡眠時間が3時間と、これは彼の個人的なことですので全てがそうかどうかは分かりませんけれども、こういう例もあるということであります。研究者は裁量労働制でありますので、実態が実は把握できていないのではないかということも考えられると思います。
 経済学的な言葉で、私はその専門ではありませんけれども、機会費用という言葉がありまして、前回の当委員会で話に挙がりましたヴァナキュラーな価値というのは、多分これに通ずるものがあるのではないかということで、研究者で様々な研究以外に費やされる時間というのが非常に大事であるということが若手の間でよく議論になります。是非、ここら辺の問題にタックルしていただきたいということで、研究者の時間がどのように消費されていて、どういうふうに使われているのかということについて議論していただきたい。それの提案の一つとしましては、例えばNISTEP等でどれぐらいの時間を研究以外のところ、若しくは研究のところに使われているのかという調査をしていただくということと、それぞれ各申請書等々の記入欄にどれぐらいの時間を要したかということを記入するようなことを試みていただければと思います。例えば、米国ですと、そういった行政書類に所要時間の記入をする場所があったりということが一つの参考例になるかと思います。
 これは今までの個人個人の若手の、ポジションが欲しいであるとか、お金が欲しいとかということに対しての若手のヒアリングの後の考えであるのですが、一つは若手の能力を発揮する攻略の一つとして、若手研究者間のネットワークを作るということを考えていただきたいというふうに思っております。これについては、実は若手アカデミーの方で既に着手しておりまして、実は日本学術会議というのは学協会との連携というのが余り密ではないということで、我々の方で実効的に、例えばアンケートであるとか様々な状況把握なんかを遂行するために、各学協会の若手の会員、代表の皆様に手を挙げていただきまして、8月1日現在、86団体の学協会の若手の会代表の方に登録していただいております。こういったことを通して、例えばアメリカで言うところのAAASみたいな形の活動ができたりとか、様々な若手の状況を把握するであるとか、例えば倫理の問題も相互に刺激し合ったりとか教育し合えるような状況というのを作っていくというのが一つ、大事なのではないかと考えております。
 人材の活用のためのより長期的な話についてこれから述べさせていただきますが、これは人材プールの問題でして、研究者は養成するのですが、研究者の周りのメンバー、これは山中先生もおっしゃっておりますが、研究者をサポートするようなメンバーを育成できる、若しくは研究者を育てる中からパラレルに移ることのできるいい人材プールというのを作るトラック制度というのか、こういった感じのアドミニのトラックであったりとか、技術者的にはマイスタートラックなんかというのが挙げられるかと思いますが、こういったトラック制度なんかをうまく作り込んでいただいて相互に乗り入れできるような、こういった感じですね、リサーチとラックだとかマイスター、それぞれの乗り入れができるようなシステム作りというのをお願いしたいと思っております。
 最後に教育の問題なのですが、私ども若手アカデミーとしましても、教育の問題は非常に大事なのではないかと考えておりまして、先ほど来、挙がっておりますイノベーションであるとか、中間報告にもありますように、挑戦性であるとか総合性みたいなところというのは基本的には研究者のキュリオシティーに基づくものであるというふうに考えておりまして、ここら辺のこととか、例えば横でつながるネットワークを作るということも、突然大人になってやってくださいといってもなかなか難しいところがありますので、高等教育を視点に入れた初等・中等教育を進めていただくということも大事なのではないかと考えております。こういった意味で、科学であるとか技術を文化のレベルまで落とし込むようなマインドセットの変化というのが必要なのではないかということで提案させていただきたいと思います。
 最後ですけど、3つのMということでまとめさせていただきたいのですが、時間、ヴァナキュラーな価値をうまく作り込むということプラスアルファ、モチベーションとマネジメントとメンターシップという3つが大事なのではないかと。モチベーションというのは先ほども言いましたように、キュリオシティーをもっていろいろなことにタックルできると。もちろん自分の教育研究もそうですけれども、教育、それから周辺の領域に興味がわかないと、そもそも連携、融合などということはまずあり得ませんので、そういったことが初等教育の段階で関与できるようなモチベーションを作ると。リーダーシップを取る人がいたら、その周りにはフォロワーシップというのがないと、チームとしてのアウトプットというのはなかなか出てこないということで、そのリーダーシップに対してもなにがしかの興味を持ってモチベートされてフォローできるような人材や文化というのを作り込むことができたらと考えております。
 その中で、マネジメント、お金や人材というのは限られておりますので、研究者一人一人もそれぞれマネージする力というのも大事であるということも考えておりますし、研究者それぞれが上も下もなく、横もそうですけれども、メンターシップをとって、縦横でネットワークを作り込むというような構図というのができれば、イノベーティブなことがどんどん出てくるのではないかというふうに考えられております。そういったものをもって科学を文化に落とし込むということをもって、戦略的に科学を通じた外交というものも進めていくことで、ただ、研究者を留学させるということだけではなくて、うまく返ってきていただくようななにがしかの形作りというのも考える必要があるんじゃないかなというふうに考えております。
 というわけで、ざざっとかいつまんで足早に進んでいかせていただきましたが、資料についての説明はこれまでとしたいと思います。ありがとうございました。

【西尾主査】 
 どうもありがとうございました。日本学術会議の若手アカデミー委員会等でいろいろ議論していただきましたことを含めてお話しいただきました。
 それでは、石野先生の方に進みたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

【石野准教授】 
 すみません、お待たせしました。愛媛大学プロテオサイエンスセンターの准教授の石野と申します。よろしくお願いいたします。
 私は、私の意見を述べるようにと言われて参りましたので、そのように体系的な、とてもすてきなプレゼンテーションじゃないかもしれないのですけれども、私の周りの人たちの、とても熱い思いを一生懸命連れてきたつもりですので、それについてお話しさせていただきたいと思います。
 その前に、まず、ちょっと自己紹介だけしたいなと思いました。私自身は東京の方の大学を出ています。大学院のときには研究の楽しさというのを知ってしまって、これが幸せなことなのか不幸なことなのか、不幸の始まりなのかよく分からないのですけれども、ここでとりこになってしまいました。1個強調したいのは、私の研究室は非常に大きくて、個々の人々は全く自由でした。大学の中でも有名なぐらい気ままに生きている人たちばかりの集団で、そこでこんな自由でいいんだということを学んでしまいました。これももしかしたら不幸の始まりかもしれません。その後、もうちょっと、生涯研究をするのだったらテーマを考えていきたいと思いまして、ここでテーマを大きく変えることにしました。それまでは、今はやりの再生をやっていたのですが、突然、熱帯医学、マラリアの研究をやり始めることにしました。ここで一生ものの研究テーマに出会えて、本当に幸せでした。ただ、ここでも雇われポスドク、プロジェクトポスドクだったにもかかわらず癖は直らず、全く自由にやっていました。新しいプロジェクトの立ち上げとかにも関わっていたので、なかなか、ボスには申し訳ないことをしたかなということです。
 それで、そんなに自由をさせていただいたにもかかわらず、日本の研究業界にとても閉塞感を感じることがありまして、じゃあ、出ていっちゃえということで、フランスのパスツールに行くことにしました。これは日本学術振興会の特別研究員というものに採択していただいて、それともう一つ、別の研究費用を足して3年弱行くことになりました。ここでは今度、一生ものの友人にたくさん出会いました。研究というのはこんなに楽しかったんだと改めて思い出させてもらって、この経験がなかったら、あの辺りでそろそろやめていたかなと思う状況を作ってもらいました。予想されるかもしれませんが、フランスという風土上、物すごく自由を満喫して、休みの日に働いていたら怒られるというような感じで、楽しい時間を過ごしました。
 今は愛媛大学で独立ではない准教授、教授の下で働く准教授なんですけれども、軒の下にいる猫みたいな感じに、やっぱり自由にさせていただいております。この平和な生活に水を掛けてもらっちゃったのが、一番下に書いてある、文科省の学術調査官就任ということなのですが、2年間、年間30回ぐらいこういう会議に参加させていただいて、ああ、伸び伸びと楽しんでいるだけではなくて、こういう人たちのおかげで今まで私はやってこれたんだということを素直に感謝することができました。このとき、ちょうど大きな地震の直後に就任したのですけれども、この就任の御報告を私の指導教官にしたところ、日本の地震に対する学術の動きというのが本当に不安だと。このままじゃあ科学立国を標榜(ひょうぼう)する日本はまずい。そこをちゃんと君は頑張っていらっしゃいというふうに送り出してくれました。こんなことが言える指導教官というのはすごいなと思って、私もまじめに取り組もうと思いました。
 ちょっと長くなりました。そんな人が話そうと思います。
 国際経験ということを主流に話したいと思うので、自分の経験をもう少しだけお話しさせていただこうと思うのですが、パスツールにいて悪かったことというのはほとんどありません。一つは、フランス全土の問題です。仕事の効率が極めて悪い。大体、お昼御飯に2時間使う国ですから、仕事が効率いいはずはない。でも、それも含めて全部が楽しくて、ちょっと悲しいなと思うのは、自分がプロジェクトに責任を取れない。もう最後まで見極めて挙げることができない。自分がいなくなればそれが終わってしまうというのは寂しいなと思いましたが、それ以外はほとんど問題なく過ごしました。先の不安は確かにありましたが、ここで成果を上げられなかったらやめちゃおうというのがずっとあったので、病むほどの不安ではなかったかなと思います。
 いいことは挙げれば数限りなくて、一々全部は申し上げられませんが、やっぱり研究が楽しいということを思い出したことが一番です。それはいろいろな環境、いろいろな考えを持つ方と触れ合って一緒に頑張れたことというのがすごく大きかったです。
 もう一つ、もしかしたらヨーロッパの特徴なのかもしれませんが、サイエンスというものが哲学の上にあるということを体で感じました。何か実験をして、結果が出て、論文を書くというのではなくて、何かそこにフィロソフィーがあるということをとても大事にしている。これを得たのはとても大事だったなと思います。
 まとめてしまうとこういうことで、心の余裕を持つことができた、とてもいい人脈ができた、あとは自信につながるかもしれない経験を得ることができた、こういう体験ができたことは貴重だと思っています。できれば、多くの今の若い研究者、と私が言うのも何なんですが、定義によって若手研究者になるかならないかの年代なのですが、皆さんに体験してもらえたらいいなと思っています。
 研究者のキャリアパスという、よくある図なんですけれども、説明することはないのですが、ここで数の議論だけしておきたいと思います。大学院生、博士課程ですが、年間1万5,000人の方が博士を取るらしいのですが、ポスドクが全体で1万5,000人、それに引換え、ポジションと呼ばれているアカデミアのポジションが17万、大学院生、卒業した人がみんななるとしたら10年でいっぱいになってしまうというところしかありません。当然ながら、このことはポスドクから定職に就くというところが厳しくなっていて、これは文科省のデータなのですが、正規職に1年間で移行できるのが一番いいところで7%という状況だそうです。これを自分事として考えている若手の研究者の人は一番分かっていて、例えば、海外なんて行っている場合じゃないよっていうふうになって、そもそも大学院とか行って何になるんだということで大学院に行かない人が増えてきている。これは先ほどのお二方が両方とも言われていたことですが、若手の人たちが夢を持てなくなっている、閉塞感を感じている、焦っている、そういう状況を生み出していると思います。
 現在、これをどういうふうにサポートしているかということなのですが、例えば学術振興会の特別研究員という制度がとてもよくできていますが、人数を見ていただくと、ごく一部の人しかサポートできていません。ただ、このサポートは非常にうまくいっていて、先ほどとは違ってプログラム終了後の就職、常勤職に就く率というのが60%前後ということで、とても功(こう)を奏していると言えます。ほかにもテニュア・トラック事業とか先端科学シンポジウム、これはもうごく一部のエリートを育てる本当にいいシステムだと思うのですが、若手の研究者たちが泊まり込みでいろいろなサイエンストピックスについて話し合うというものですが、私も行ったことはないのですが、こういうものを企画していただいて、それは非常にいいんじゃないかなと思っております。ただし、一部の優秀な研究者をよくしていることというところに限局されていると思います。それでも、例えば学振は2年間のサポートですが、もうちょっと長ければいいのにとか、独立しているんだったら、もうちょっとスタートアップの資金があったらもうちょっとチャレンジができるのにと、欲を言えばきりがないのですが、この辺りが十分にサポートできているのではないかと私は考えています。
 とすると問題はこちらです。次から次へと優秀な人材資源が入ってこない。Jリーグのない前のサッカーみたいなもので、新しい人たちが入ってこなければ、当然、裾野が広がらなければ上の方には来ないわけなので、この人たちにどうやって夢をシェアできるか、何が一番問題になって彼らが入るの嫌だねと言っているかということを考えなければならないのではないかと思っています。幅広い人材の確保とか、キャリアパスの拡充ということだと思います。
 周りの人たちにインタビューしてみました。本当に期間が短かったのですが、元調査官の同僚たち、あるいは私の近辺の一緒に研究を楽しんでいる仲間たちや、そのつながりで尊敬できる人たちというところの若い人というくくりでアンケートを採ってみました。驚いたことに物すごく回答率が高かったです。多分、95%ぐらいです。皆さん、本当に何かを伝えたい、何かを言いたいという気持ちがあったようで、回答期限は3日ぐらいしかなかったのですが、すごい反応がありました。一応、どんな人に答えをもらったかというのをリストしてあります。留学経験のある人が多かったです。特に聞きたかったのは、留学すれば若手の自立が促進できるのかとか、どういうふうに国際的に力を持つ若手を育てることができるのか、そういうことを聞いてみました。
 一例をここに示しますが、その人たちのポスドク経験、あるいは留学経験でよかったことで、1番は研究に集中できる時間が得られたこと、留学に関して言うと視野が広がること、交流関係が広がること。つまりこういうことを若い人たちは求めているということなんだなということが分かってきました。時間と視野ですね。
 両方の悪かった面というところなのですが、これはもう顕著に、次のポジションへの不安、あるいは留学の場合は日本とのコネクションがなくなることで日本で職探しができないという不安、これが統計を取るまでもない、1番でした。
 国際的なリーダーを育てるために国際経験を増やせばいいのかという質問をしてみたところ、ほとんどの人がそうだと思うという答えをしました。ただし、そのうちの半分が、それだけでは全然不十分だというふうに意見をしてくれました。今現在、私の留学体験とか人と聞いた話では、日本の研究環境というのは世界に全く引けをとらないと思います。なので、研究業績を上げるためにわざわざ海外に行く必要はないんじゃないかと思っています。じゃあ何をしに行くのかというと、多様性を感じたり、世界の動きを肌でちゃんと感じる、将来にわたって付き合える友人を作る、そういうところなんじゃないかと考えています。そうだとすると、ある程度成熟した研究者が外に行く機会を作ってあげた方がいいのかなと思うのですが、その頃になると雇用に対する不安とか、あるいは職に就いていれば通常業務というものを誰に押し付けるのか、そういうややこしい問題が出てきます。
 一概に解決はできませんが、一つは、日本の常勤職の公募システムをオープンにするということを提案したいと思います。国を出てしまうと、日本の職にアプライできなくなる、コネクションがなくなるというのは、みんなが持っている不安です。インターネットとかが盛んな時代に、ただただ国境を渡っただけでコネクションがなくなって就職できないというのは全くおかしな話だと思います。この辺りをオープンにする努力を重ねていくことで出やすくなるのではないかと思っています。
 もう一つは、最近なくなってきたのですが、国内のポジションを残したまま留学ができるようになるといいなと思います。昔の在外研究というやり方なのですけれども、帰ってこれるようにしてほしい。若手研究者の意見としては、自分の給料はせめてなくてもいい。ただ帰れる場所を作ってほしいというふうな意見があります。このときに、じゃあ、余った人件費をどうするかということなのですが、所属研究室に研究支援者等を雇うということで、補塡できないかなと考えています。つまり、みんながハッピーにならないとなかなか物事は推進できないと思うんですね。実際に若手研究者がいい経験を積んできて、それがみんなによくなるためにはボスや周りの人も幸せでないといけないと思うので、限られた資源を生かすためにはこういうシステムがいいかなと考えています。
 こういうことを重ねていくと、柔軟な発想、研究というのは発想が全てだと思っていますから、発想力を持つ若手の研究者が出てくる、あるいは夢を持てる若手の研究者が増える、大学院生もああいうことをしてみたいな、自分のチャレンジをしてみたいなと思えるようになればいいかなと考えています。
 ほかにも、どういうサポートが欲しいかということを聞いてみたのですが、みんな好き勝手なことを言います。先ほどと一緒なのですが、お金が欲しいというのは余りにも現実的ではないので省いています。教授からは自立したいという意見もあれば、メンターとして指導してほしいという、まあ、本当にわがままだと思うのですが、自立もしたいし、メンターとして意見も聞きたい、研究に集中できる時間が欲しい、研究支援者が欲しい、機械が欲しい、そんな話をしています。若手には責任というものを持たせるのが一番いいんだよという、結構いい意見があったりします。
 このようなことを解決していくためには、一つには安定的なキャリアパスを、雇用を作っていくということが大事だと思います。ポスドクが幸せに働けないと、上のポジションの人も働けませんし、ましてや上のポジションの人が不幸だったら、若手の研究者はそちらに行こうとは思わないと思います。実際に私たちが経験した例なのですが、ポスドクとして雇った人が実は研究支援者になりたいというふうに思っているという人もいます。実際にはそういう人は多いんじゃないかなと思うのですが、でも、実際に難しいことに、研究支援者のパーマネントの求人っていうのはほとんどないんですね。なので、ポスドクとして雇うしかないと。それで研究支援者の枠が空(あ)くのを待つという、よく分からない状態になったりもしていましたが、ポスドク、あるいは大学院を出てからパーマネントの支援者になれるという、そういうキャリアパスも考えてみていただければいいかなと思います。
 あとは、資金には限りがありますので、間接経費の使途を明確にしていただけないかなと思っております。大学が間接経費を自由に使ってもらえるのは私たちにとってもとても有り難いことなのですが、一方でそれが研究をよくするために使われているかどうか、せめてそこを教えてほしいなというふうに考えています。例えば、あの人は私たちの間接経費で雇われている人だよというのが分かったら、物事も頼みやすくなりますし、インセンティブというところにもつながりますので、ちょっと鼻が高い、そういう状況を作って、よい循環ができたらいいんじゃないか。
 研究支援者の配備ですね。やっぱり日本は一番、研究者当たりの研究支援者の数が少ないという統計が出ています。お金的なことを言うと、常勤の研究職を増やせというのは無理なのは分かっているのですが、研究支援者をせめて増やして、もう少し、時間がない、時間がないという研究者の悲鳴と言い訳を減らすことができないかというふうに考えています。
 あとは共通機器ですね。とにかく少ないお金を注(そそ)ぎ込むのだとすると、共通機器をいいものを買って、みんなで使えるようにする。これも研究者の悲鳴と言い訳を閉じ込めるということなのですが、機械があってできないはずがない。そうすれば、研究者たちみんなが自由と夢と誇り、何か古くさい言葉ですが、誇りを持って仕事ができるようになるんじゃないかなと。幸せが循環すればいいなというふうに思っていると。
 ちょっとごめんなさい、時間なんですけれども、もう一つ提案したいことが、自立したいと、自分で何でもできるという若手をインキュベートする場所として地方を活用していただきたいと思います。地方というのは、比較的場所とポジションが余っています。そこで自立をしたい、あるいは国際的にやりたいという人は別に中央にいる必要は全くないと思います。そこで自分の力を試す。周りの人はそれをサポートする。そういう循環を作ってほしいなと。そこにも書いていますが、地方というのは仕事と住宅を近くにするのが簡単なので、時間の限られている女性研究者などのインキュベーションの時間としてもっともっと活用したらいいと思います。地方は、畑に例えますと土壌が肥沃ではないかもしれません。ただ、その土壌が肥沃でないのは、多分、水を引くシステムがないからで、土自体に問題があるわけではないと思います。というわけで、提案としては、理系の話ですけれども、共通機器類を優先的に配備。優先というのは、ちょっと優先的にという意味ですが、優先的に配備や更新、そんなに人件費の掛からない研究支援者というのを少し優先してくれれば、水を引くところを政府やら文科省やらが手伝ってくだされば、広いところで若手を育てられるんじゃないかなと。自然豊かなところで自然科学をやってもらいたいといつも言っているのですが、そういう循環ができたらいいかなと考えています。
 以上です。ありがとうございました。

【西尾主査】 
 石野先生、どうもありがとうございました。非常に貴重な発表を頂きました。また、アンケートもいろいろ採っていただいて本当にありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。
 それでは、議論に入りたいと思います。お2人の御発表に対しましての御質問、意見等も含めまして御自由に発言いただければと思います。いかがでしょうか。

【小安主査代理】 
 最初の駒井先生にお伺いしたいのですけれども、ネットワークのことを随分強調されていて、それでいろいろ努力されているとおっしゃっていたのですけれども、私の感想では、きちんとした統計があるわけではないのですけれども、学生なんかと話をしていても、例えば異分野の人ともっといろいろと話をしたらいいよと言っても、みんな自分の仕事に忙しくて、異分野のセミナーを聞きに行けと言ったって行かない人がほとんどで、こういう傾向は非常に顕著になっていると思います。そこを無理やりつなげようとするのが本当にいいのかどうかという疑問も持ちます。本当だったら、好きな人は昔は何も言わなくたってそういうことをやっていたと思います。その背景にあるものをどういうふうに分析するか。やっぱり先ほどの問題と同じことがあるのでないかと思います。それが1点。
 もう1点は、きょうの御発表は皆さん理系の方だったのですが、先ほども鈴村先生から何で理系だというお話がありました。私が言うのも変なのですけれども、先生の資料の中に、文系学部における科学教育の軽視とか、そんなことが書かれていて、逆はどうなんだろうとちょっと私は思いましたが、これは、政策的なステークホルダーに理系の方が少ないということをおっしゃりたいのかなと、そんなことを考えてしまったのですが、そこら辺の本音をちょっとお伺いしたいと思います。

【西尾主査】 
 駒井先生、いかがですか。二つのことがあったかと思いますが。

【駒井准教授】 
 無理やり融合というのはやっぱり難しいと思っていまして、最後の教育のところで少し話させていただきましたけれども、理系と文系の融合、そもそも初等教育のところから理系・文系の融合というのも大事かなと思っておりますし、そもそも理系であろうが文系であろうが、もともとはキュリオシティーにオリエントしているものだと思いますので、我々、若手アカデミアでここ3年ぐらい、科学技術フェスタとかサイエンスアゴラとかに出向きまして、若手といいますか、高校生、大学生、本当はもうちょっと低いところからやりたいのですが、実験をやらない科学教室というのをやっておりまして、例えばよくやっているのは2050年に何があったらいいですかというようなことを学生さんに提示して、我々若手の研究者と学生さんといろいろ議論する中で、こんなものがあったらいい、あんなものがあったらいいみたいなのを友達と議論する、我々と議論する中で、より面白いものが出てくるということ自体を楽しんでもらうようなイベントをやっています。
 例えばどういうものが出てくるかといいますと、交通が発展してほしいというのは、通信技術の一つとしての交通。つまり、ITが盛んになって、モバイルネーティブの若い人たちなんですけれども、だからこそ直接会って話をすることがすごく大事だと思っている。全員が全員そうではないかもしれませんが、思っているが故に、交通が発達してほしいというようなことを言ってみたりとか、我々の思い付かないようなことがいろいろ出てきたりするので、そんな中すごく面白いことが出てくるというのを体験してもらうというのを持って、いろいろなところ、いろいろなイシューがあったら、それに関していろいろな見方があって、みたいなのを小さいうちから体験してもらうということを念頭にしております。それがあっての大人になってからの融合だと思っております。
 理系の中の文系教育というのは、先ほどお話にもありましたけれども、ステークホルダーというのも大事かもしれませんし、こういったことを議論する中でも、理系・文系の考え方というのはやっぱりいろいろ必要かと思いますし、私が民主党政権のときに総合科学技術会議に呼ばれまして、復興再生戦略協議会というものに参加させていただいたのですけれども、そのときに、そもそも復興予算でヘリコプターを作るとかっていう話になったりとか、バスのトランスポーテーションを作るというようなことを話しするのですが、確かにそれは大事は大事なんですけれども、そもそも現場の皆さんはどう思っているんですかというサーベイのデータを持ってきての議論がないのはなぜだというのを言い続けていたんですね。そもそもそういう文系的な考えの上に、それを実現するためのテクニカルな問題としての理系のやり方みたいなものもあると思うので、そこら辺のこともできるメンバーがいた方がいいのではないかなと。つまり、フィロソフィーといいますか、考えがあって、それを実現するためにテクニックがあるというようなイメージの人も作る必要があるんじゃないかなというイメージで話をしておりました。

【佐藤委員】 
 駒井先生、貴重な資料の準備をありがとうございました。若手の話ですけれども、分野によって大分違うんじゃないかと思うのですけれども、私は物理の分野なんですけれども、少なくとも大学院含めて各分野の若手活動は極めて活発で、研究の相互の議論もしているし、その分野のそれぞれの将来計画の議論もやっているし、若手としての発信も随分活発にやっていると思います。そういう意味で、それを多くの分野にまたがったところまで広げていったときに何ができるのかということですけれども、さっきおっしゃったような科学の普及とか、科学行政に関する発信だけでは、余り若手活動として魅力を感じられないんじゃないかと私は思います。学問という意味で若手としての視点というか、若手分野間連携といいましょうか、そういうことをやるのが大事じゃないかと思うんですけど、どういうところを主に目指しているのかもうひとつ分からないんです。

【駒井准教授】 
 若手アカデミーそのものとしての活動としてしかまだやってはいないのですが、学術交流というのも実はやっておりまして、おっしゃるとおり、物理学会の若手の人たちは盛んに交流されているのは、私も伺っていることでありますけれども、基本的に何が起こるか分からないというところがあるので、どこでどうつながっていたら何に有効なのかというのは明確な答えはないんですが、それはいろいろなことができるということを示せればいいなと思っていまして、例えばオランダとかドイツの若手アカデミーのメンバーのやっていることとしましては、例えばすごく抽象的な、例えば透明とは何かみたいな、すごく抽象的なことに関していろいろな研究者が集まって、いろいろ真剣に議論して、かなり大きめの本をパブリッシュしたりしているんですよね。我々、まだちょっと人数も少ないですし、そこまでできてはいないのですけれども、例えばメンバーの一人は、阪大にいるメンバーの方と、ドーナツの穴だけ残して食べる方法みたいな本をパブリッシュしていたりとか、それを工学の人だったらどういうふうに削るかとか、美学の人だったら、そもそも穴とは何なんだみたいなのを議論をしてみたりとかという、その中でいろいろ交流するという、それが実際に自分の研究にどういうふうに直接関係してくるかというのは、正直分からないのですが、なにがしかのことがどこかのタイミングで関係するかもしれないので、なにがしかのプログレスの手助けになればいいなというので、ネットワークを作って、いろいろな人がつながっている土壌というか、プラットフォームができたらというふうには考えております。

【佐藤委員】 
 そういう意味では楽しい話なんですけれども、やっぱり研究の意味で分野間の連携が進むような試みとかが必要なのではないでしょうか。それが研究という意味では若手の連携の意義があると思うのですが。

【駒井准教授】 
 研究に関しては、我々、何回かこれまでシンポジウムを若手アカデミーの主催でさせていただいているのですが、その直後に連動する形でポスターセッションを持たせていただいておりまして、各学協会の若手の会代表の方々に、いろいろそれぞれの専門の御説明を頂いた中でいろいろ交流するというような試みは進めております。

【佐藤委員】 
 ありがとうございました。

【亀山委員】 
 大学院になかなか優秀な学生が集まらない、特に理系ということがありましたけれども、大学院進学を避ける傾向というのは、それが本当に将来が見えない、キャリアパスが見えないということが最大の原因だというのが大方の議論だと思うんですね。ただ、本当にそうなのかなという思いが実はあります。実際、研究者たらんと人間は、大学院に入る時点で自分自身の将来のポジションなど本気で考えているのかという疑問があるのです。根本的な原因はもっと別のところにあるような気がします。つまり、ポジションを考える以上に自分自身の学問に対する情熱とか、あるいは学問そのものの楽しさみたいなもの、それに対する熱中というのがまず第一にあって、大学院に進学するということが多いんじゃないかと思うんですね。少なくとも私自身が大学院に進学したときに、将来就職できるかどうかということは全く考えずに進学しています。実際、大学院に入った時点で大学には自分が将来就けるポジション数が幾つくらいあって、自分はいつ、どこの教授になれるんだろうか、そういったところに想像力が及んで入る人間というのは、そう大した研究者じゃないんじゃないかなと思います。常識を覆すような革新的な研究成果を生み出せるエネルギーというのは、本能と情熱でもって無我夢中で研究に励んでいるところから現れる、就職というのは、その後についてくるものだと思います。
 この場では常に懐疑的なことしか述べられないのですけれども、やっぱり学問のすごさ、すばらしさというものに対する発見を早い段階で促すことが大切なんです。先ほど石野さんのおっしゃった、パスツール研究所の話ですが、たしかに客観的な研究環境といった点では、日本の方がすごいかもしれない。でも、例えば学問の中に、そして底支えとして哲学があるといったような実感、じつはそうしたものが根本にあってこそ劇的な発見や、革新的な成果が生まれてくる。暗中模索、数撃てばという発想も大切かもしれないけれども、やはり、真実を追究し、その存在を証明するひたすらな情熱が不可欠です。その情熱を育てるのが教育だし、そうした情熱の持ち主をシニアはしっかりと見抜いて育てていかなくてはならない。曇りない目で。
 さっきメンターの存在の大切さという指摘が出てきましたけれども、やはりシニアの存在は重要です。学部レベルから大学院レベルまで。学問の本当の楽しさというものをどこまで教えきるか、なおかつそれを受け止めるだけの能力を持った学生を発見し、エンカレッジするかという、ですね。シニアと若い研究者との信頼感に満ちた関係性を構築するということが、今後いっそう大事になっていくのかなということを考えています。統計的な関係から見ると、恐らく駒井さんが指摘された幾つもの問題が出てくるのでしょうけれども、教育の現場というのはもっともっと本質的なところで動いているのではないかという気がして、そんなことを一つ。しかし、問題の本質は、更に深いところに、日本文化全体に根差していると考えています。

【駒井准教授】 
 ありがとうございます。

【西尾主査】 
 どうもありがとうございました。
 石野さんの方としては、今の、どうですか。

【石野准教授】 
 ありがとうございます。私としては、その御意見、本当によく理解ができて、私が大学院に行くときに、生きていけるかどうかなんて考えもせずに入りました。自分のことを言うと、まず私は第2次ベビーブームの一番最後で生まれていて、競争にずっとさらされてきているんですね。就職のときにバブルが崩壊して、一番いい状態のバスを最後、見送った世代なんです。だから、よかった雰囲気というのを見ているので、右肩上がりの時代を知っています。ただ、自分には全く恩恵がなかっただけなんですけれども。最近の人たちは、もうそんな時代、とにかくそんなバスがあったことさえも知らないんですね。なので、ピュアな気持ちを、つまり情熱に動かされている余裕が余りないのかなというところを、少し気の毒だなと思うんですが、賢くならざるを得ないという時代であるのもたしかなんじゃないかなと思っています。だからといって、もちろん楽しみを伝える努力というのは常にしないといけないと思っていて、私自身はすごく頑張っているつもりなんですけれども、日本中の研究者の方がにこにこしながら研究を語れるようにするにはどうしたらいいかなというのを考えていきたいかなと思っています。

【亀山委員】 
 もう一つ、やはり地方大学の活用ということをおっしゃいましたけれども、本当にそれはすばらしい発想ですし、それをどう循環させていくかということが大切ですね。地方の大学に行って、ゆっくりと、じっくりと10年でも15年でも集中的に学ぶことが大切です。それが非常に大きな将来の成果に結び付くということもあります。

【西尾主査】 
 どうもありがとうございました。
 高橋先生、どうぞ。

【高橋委員】 
 貴重な御意見ありがとうございました。特に駒井さんの御発言に関して私もいろいろ思うことがあるのですけれども、私自身、若手の会に関して、プラスの面とマイナスの面があるとみています。あえてちょっと厳しくマイナスの面を言いますけれども、若手の中だけでしか発言できない若手が増えているような気がします。例えば、分子生物学会。すみません、小安さん、次の年会長ですよね、、、分子生物学会なんかも大きな大会で、昔は物すごく勢いがあったのね。ところが、今はなんとなく、質問する若手がゴマをすってるような感じがするのです。こういうのでは困るじゃないかと、私は以前からいろんなところで発言しております。もちろん、これが単に若手世代のせいだというつもりもありません。私たちのジェネレーションの責任かもしれない。ただ今あえてここでお聞きしたいのは、なぜ、シニアの前で若者ははっきりと意見が言えないのかということです。若手の中だけで意見を言うのって、子供やと思うんですよ。
 要するに、若手の会のマイナス面は、幼稚園や小学校で伸び伸び遊びましょうというような雰囲気がなきにしもあらずということです。むしろ若手は、厳しいプロの世界に入って、プロの学者の厳しさを真正面に受けながら育つことが肝要と考えます。私も30代の頃ぼこぼこにされまして、よく凹(へこ)みましたけど、それでも挑んでいく姿勢を評価してもらったときはとても有り難かったのを覚えてます。それが成長の糧になりました。そういうところの精神性って、今の若者はどう感じているのでしょう?せっかくの貴重な機会ですから、正直なところを聞かせていただければ有り難いです。例えばシニアの先生に何かちょっとでも反抗したら、科研費もらえへんくなるやろかというマインドが働いているのでしょうか。

【西尾主査】 
 できましたら駒井先生と石野先生の両先生から御意見をいただけると有り難く思います。

【駒井准教授】 
 全くないかと言われると、多分、ないことはないんだと思うんですが、でも、最近の私のイメージですと、ましにはなってきているんじゃないかなと思っていまして、やはり我々の親の世代は非常にうるさい世代だったというか、何でもかんでもぶっ壊せであるとか、という世代だったと思うんですね。それを聞いて育っているので、うんと言いながら、どこかの切り口を考えていくというふうに育ってきたのではないかなというイメージはありまして、なので、何というか、黙っているとか、内輪だけで話をしているのではなくて、切り込みの入っていくスタンスみたいなものを探りがちなジェネレーションであることは言えるのかもしれないと思っています。ただ黙っているという感じでは、私どもが活動している感じでは余り受けないというのが正直なところです。

【高橋委員】 
 駒井さんご自身はさすがにもう若手じゃないと思います。もっと若手の人たちを代弁していただければ有り難いのですがね。

【駒井准教授】 
 もっと若手、どうですか。

【石野准教授】 
 ごらんいただいて分かるように、私、そういうタイプじゃないのでよく分からないんですけれども、私が大学院のときに受けた教育は、上の人には何を言ってもかまわない、下の人に言うときは気を付けろというふうに教育をされました。つまり、自分は向かっていく側なので、胸を借りる側なので、上の人に何か言うときに遠慮をしたりしている余裕は与えられなかったですし、全力でバーンと向かっていかないと、それ以上の力でバーンってたたかれるので、まあ、胸を貸してくださる雰囲気はすごくありました。
 ということで、余り考えたことはなかったのですが、例えばの提案としては、ラボの中でとにかく掛かってこいと言い続けるということは一つの方法かなと思います。もう一つはやっぱり、若い人が妙に年寄りくさくて、諦めてしまうんですね。言っても駄目だと思ってしまうというところが。

【高橋委員】 
 そうそう。そこなんですよ、問題は。

【石野准教授】 
 私もすごくいらいらするところではあるんですけれども、それはもうしようがないから、成功体験を作っていってあげるしかないかなと思っています。何かちょっとでも、ただいいなという意見を10倍ぐらい褒めるとかいうふうに自分は頑張ってはいるんですけれども、成功体験というのは一つの教育のやり方にはなるのかなと考えています。

【西尾主査】 
 よろしいですか。

【高橋委員】 
 これはものすごく本質的な意見だと思います。さっき亀山先生がおっしゃったように、こういう仕事に入るときなんて、全くホープレスなのね、職に関しては。あの頃って、今よりも職がなかったわけ。今は、幸か不幸かへんてこな統計がどんどん出てきて、統計結果が先にありきになって、学問の本質とはかけ離れている感じもします。亀山さんがおっしゃったとおりです。そういうところを私たちはどう伝えていけばいいかについて、私自身も悩み中です。私はね、研究費を若者にジャブジャブ配るとか、そういう単に(若者を)甘やかせれば学問が進むなんて、そうは思っていないわけです。もっともっと本質的なところを、どうすればいいか。これは世代間で一緒に考えていければいいなと思うんですね。何かヒントがあれば有り難いですね。

【駒井准教授】 
 先ほどメンターシップの話もありましたし、責任を与えるっていうのもあったと思うんですけれども、やはり主役感というのがないんだと思うんですね、私より若い人たち。要するに自分たちが何かを動かしているイメージというのがそんなに持てていないのではないかなというのを常々思うところでして、それはやはり任せていないからというのが、自分のこともそうなのかもしれないのですけれども、すごく感じるところですが、そういう意味では、信頼して、信頼してても何かちょんぼするかもしれませんけれども、そこは受け止めてやるという意味でのメンターシップ、それから責任を付与するというようなことをやる必要があるのではないかなと思います。

【西尾主査】 
 どうもありがとうございました。

【高橋委員】 
 じゃあ、もう1点。もう駄目?

【西尾主査】 
 いいですよ。その後、濵口先生。

【高橋委員】 
 じゃあ、短く。最近、「若手、若手」ってよく言いますよね。そして5年間で評価でとか。私、ずっと1人で、これって本当にいいのかなと思っていたんですよ。私個人は昔のフル講座制が大好きで、教授1、助教授1、助手2というのが、私には成功体験として残っています、つまり私が大学院のときの先生たちはこの体制をうまく使って、すばらしいラボ運営をなさっていました。もちろんそうでないケースも近くのラボにみられましたが、、、、。フル講座がうまくまわっているときだと、駒井さんが言われたように、今も昔も、若手の助教授や助手はいろいろちょんぼするわけですが、そういうときでも、教授が守ってくれるわけ。だから思い切り、よい意味でちょんぼできるわけですね。そして私がちょんぼしたときに、どのようにして私を助けてくださったかを近くで見ながら、私自身も徐々に教授の在り方を学ぶことができたわけです。つまりラボ運営の極意みたいなものを身近で教わることができた。ひるがえって、今の若手ですが、5年プロジェクトの呪縛の中で、果たして彼らはそういう極意を学べるのでしょうか?すぐ出るデータだして論文かいて、それでも駄目ならぽいっと捨てられる、その不安が大きいんじゃないかと私はずっと思っているんです。ちょっとそういう議論もこれから展開していただければと思います。この会議で。

【西尾主査】 
 最後のところは本当に大事なところで、まとめていただきましてありがとうございました。今後もいろいろ議論していきたいと思います。
 濵口先生、どうぞ。

【濵口委員】 
 手短に。若い人が海外へ行くことがどんどん減っているように思いますけれども、何か策があれば。

【駒井准教授】 
 策ですか。文科省の方でも、飛び立て何とかっていうプロジェクトを持っていただいていると思いますし、外務省の方でも、最近、研究交流がどうこうというのが何かあったと思うんですが、そういった形で地味にはやっていただいていると思いますが、やはり研究、私も留学に行きましたけれども、それがどれだけ楽しかったかとかっていうことをしつこく伝えていくということが一番なんじゃないかなと思うんですけれども、どうですかね。

【石野准教授】 
 秘策はそんなにはないんですけれども、それなりに幸せだからなんだと思うんですよね。日本の環境、何だかんだ不満は言うけれども、自分が動かなければいけないというほど追い詰められていないから、外を見て考えようと思わないんじゃないかと思うんです。じゃあ苦しめたらいいかというつもりは全然ないんですけれども、なので、中途半端な情報がネットやら何やらで入ってきちゃうので、自分の目というのを全く信じなくなる。肌とかを信じなくなっていて、分かったつもりになる。まあ、年寄りくさくなるという言い方をさっきからしちゃうんですけれども、分かったつもりになっているところがあると思うんです。
 そこをいじるのは大変だなと思うんですけれども、これは甘やかしの一つかもしれませんが、無理やり連れて行くしかないんじゃないかと思っています。つまり、行くべきであるとか、行ったら何かその後いいことあるからとにかく行けと言ってでも行かせるほどの価値があることだと私は思っています。

【西尾主査】 
 鈴村先生、手を挙げておられましたが、御意見をどうぞ。

【鈴村委員】 
 質問というより感想に近いかと思いますが、一言申し上げます。ご討論の中で、若い世代は研究者キャリアの最初から右肩上がりの成長期は終焉(しゅうえん)を迎えていて、真っ向から競争の烈風に晒(さら)されてきたという主旨の発言がありました。私がお伝えしたいのは、学術の世界が競争に晒(さら)されているのはグローバルな視野でみればむしろ常態であること、若い世代からみて年長の世代が競争から隔離されているように思われたとすれば、その方がむしろ異常なことだったこと、そして競争の社会的作用をマイナス面だけに焦点を集めて考えるのは、正しくないということです。競争には、成功する機会を自由に追求する可能性を衡平に提供する社会的メカニズムであるという重要な機能があります。学術の世界でも、潤沢な研究助成や優れた研究職を競争的に獲得する《場》が公平で効率的に提供されるようになればこそ、閉ざされた伝統的な仕組みでは光が当たらなかった才能に飛躍の機会が拓(ひら)かれることになるというのが、私自身の実感です。競争的なメカニズムにマイナスの側面があることは十分承知しつつも、競争が持つ《発見メカニズム》としての機能をしっかりと踏まえないと、我々の議論はなかなか建設的には進まないと思います。
 振り返ってみますと、学術世界の閉鎖性をひしひしと感じる機会は、私自身のキャリアの中でも数多くありました。このような閉鎖された世界に閉じこもっていては、国際的な研究ネットワークの中では生きていかれないことになったのは、潤沢な研究助成や優れた研究職を競争的に獲得する《場》が公平で効率的に提供されるようになったからこそだというのは、私にとってはドグマではなく経験に根差した実感なのです。どの程度まで私の実感を理解していただけるか分かりませんが、世代の責任の一端としてこの実感をお伝えしておきたいと思います。

【西尾主査】 
 それでは羽入先生、最後ということで。

【羽入委員】 
 すぐにお答えいただける内容ではないと思うのですが、お二方に伺いたいと思います。私たちが議論しているときに、若手、女性というのが何故か並列的にいつも出てきておりまして、違うカテゴリーじゃないかなと、思うんですけれども。女性研究者の支援はとても重要だと私は思っておりますし、私どもの大学でも、支援をして、効果が上がるということも分かりますが、現状の女性研究者支援の考え方に対する問題意識のようなものがもし何かありましたら教えていただきたい。

【西尾主査】  
 すみませんが時間の関係で、手短にお答えをお願いします。

【駒井准教授】 
 我々がよく話をするのは、女性の研究者に聞いてみると、そもそもPIになりたいというメンタルが余りなかったりとかするというので、数値目標だけ決めて、このパーセントだけでPIにしようとかっていうのはちょっと違うんじゃないかなというふうに思っています。そうしたいのであれば、むしろ女性の人材とかを活用して、PIになれるようなという人を作っていきたいのであれば、もっと家庭教育であるとか、親の考え方とかっていうところから変えていかないと多分変わらないので、人数だけ決めてPIにしていくというのは、普通にテクニシャンになりたい人もたくさんいるんですよね。そっちの方が好きっていう人も結構いるので、そこら辺は違うのではないかなというふうに私は思います。

【西尾主査】 
 石野先生、いかがですか。

【石野准教授】 
 そうですね。数値目標は全くよく分からないなと。まあ、何かないといけないというのは分かりますけれども。それで、実際にどうしていきたいのかというところを詰めていないので、つまり女性の意見を聞きたいのか、幹部として採用したいのかという、大学やら政府やらの意図がきちんと反映されていない状態での小手先の、例えば支援者を付けるとか、そういうことが多く行われているので、一瞬幸せみたいな、そういうことが多く行われているような気がしていますので、実際には女だからどうのっていうことは、やっぱり脳みそ的にはそんなに変わらないと思うのですが、そこをどうやって浸透させるかということを工夫していけたらいいなと自分は考えています。

【羽入委員】 
 ありがとうございます。

【西尾主査】 
 それでは、質問等まだ尽きないところかと思うのですけれども、予定の時間となっております。駒井先生、石野先生、とても貴重な御意見を本当にありがとうございました。(拍手)
 今の拍手は両先生への激励の拍手ですね。
 本日はこの辺りとさせていただきます。どうもありがとうございました。今後のスケジュール等について事務局より説明をお願いいたします。

【中野学術企画室室長】 
 次回の特別委員会でございますが、9月30日の10時から12時でございます。場所は調整中ですので改めて御案内をさせていただきたいと思います。
 また、既に御案内しておりますけれども、学術分科会ですが、次回、8月27日、16時からを予定をしております。関係部会からの御報告等がございまして、先ほどありましたジャーナルの話等も含めて準備をさせていただきたいと思っておりますので、御出席のほどよろしくお願いいたします。
 また、本日の資料につきましては、封筒にお名前を御記入いただきましてお残しいただきましたら郵送させていただきます。

【西尾主査】 
 今、お知らせいただきましたように、本特別委員会の開催は約2か月の間空きますので、その点、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の会議をこれで終了いたしたいと思います。皆様、貴重な審議を頂きましたことに心より御礼(おんれい)申し上げます。本当にどうもありがとうございました。

── 了 ──

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