資料3 第4回学術の基本問題に関する特別委員会概要(ポイント)

 資料3
科学技術・学術審議会 学術分科会
学術の基本問題に関する特別委員会
(第7期第5回)
平成26年5月7日

第4回 学術の基本問題に関する特別委員会(4月14日)
概要(ポイント)

 

○ 「はじめに」の最初の文章が長いので、どこかで切ってもいいのではないか。
  2.で「学術研究の特性」について書いてあるが、1.のイノベーションの話の前にも、学術研究というものをここではどういうふうに扱っているのか、ということがあってもいいのではないか。

○ 学術サイドから見ると全体的にはかなり完成しているが、社会から見たときに、4.の「社会における役割を十分に果たすために」という部分について分かってもらえるかどうかは疑問。社会が学術に「分かった。頼む。」と言ってくれるのは、学術研究が子供たちを育ててくれるということが動機になる。
そういう面で、5ページのはじめに「国力の源」とあり、下の方に教育関係の記述があるが、関係が分かりにくい。4ページで、「国力の源」には知と人材が入っているが、5ページでももう少し丁寧に、社会からの負託は、「国力の源」というのは、知と同時に社会を支える次の世代を育てることだということが分かるように書くべき。
その前提で考えると、5ページ目の下から2つ目の○で、「なお、戦略研究・要請研究に係る振興策や、教育・管理運営を含む大学振興施策は、学術研究の振興と密接な関わりを持つ」とあるが、まさにこれが日本の今の弱点。大学振興施策と学術施策は密接な関わり合いがあるので一緒にやりますと行政側が意思表明しているのだと思うが、学術研究と大学の教育とが一体となっている実態まで踏み込んだ記述をすべき。あと、工学系のような一部の学術は、科学技術イノベーションとも一体となっていることを社会に説明すべき。ここで一体的な検討が必要であるという程度のレベルで済ませてしまうのは、今更そんなことを言っているのかと社会からも見られるおそれがある。社会から見たときに、人材育成や教育も学術振興策も一緒にやっているということが伝わるようにすることが非常に大事。
 そういう意味で、4ページまでのことも随所に入れ、学術研究のパフォーマンスが人材育成にも表裏一体的に影響するということが、社会からもっと危機感をもって分かってもらえるように書くべき。

○ 若手研究者の育成とあるが、これは学術研究者を作るということだけがミッションではなく、社会で活躍できる人を学術研究を通じて育てるということを強調する必要がある。社会で活躍するためにも、基礎的なバックグラウンドのないままでは後で伸びないのであるから、基礎研究・学術研究をちゃんとやっていることがまさに国力につながっていくような人材を養成することになる、ということ書く必要がある。
直接的・短期的には役に立たない研究でも、研究の過程で問題発見能力や数理的な解析能力を身に付けた人材が養成されているということは強調する必要がある。
 また、研究の面白さや大事さを伝えることは、国民が求めていることであり、それを双方向の対話型で伝えることによって、国民のまさに国力になるようなリテラシーは高くなるし、科学に対する信頼を取り戻すことができるのではないか。
国民に成果を積極的に伝える意思が我々にあり、それが税金から研究費をもらっている源泉だと我々が考えているということを書くべき。努力して取り組むという決意表明をすることが必要。

○ 1.から3.は、従来言われているような知的探求活動をベースにした学術研究を大事にしていこうというトーンで書かれていて、戦略的な、あるいは要請的な研究というのは別物であるという形になっている。それに対して、4.では、「社会からの負託に応える」、「未来志向の研究を推進する」、「研究者は常に目標意識を持ち、自らの研究課題の意義を明確にする」と書いてあり、1.から3.までの学術研究のトーンと少し不連続性を感じる。
  5ページの最後に、資源配分に当たって学術の社会的な役割の観点を重要視すると書いてあるが、この社会的役割と学術本来の知的探究心との関係はどうなっているのかが見えにくい。
3.までのトーンと4.の整合性をとる必要があるのではないか。その際、4.を3.までトーンに合わせて書くよりは、4.のトーンを3.までに反映させる方が、この答申の価値がより出てくるのではないか。

○ 5ページの下から2つ目の○のところで、「国は、基盤的経費と競争的資金の適切なバランス等に配慮しつつ、振興施策全体の在り方を検討することが必要」とあり大事だと思うが、ここの具体的な充実策がない。つまり、研究者も変わります、国も変わりますところが具体的に見えないと、訴えるものがない。したがって、後ろの別紙から、共共拠点や大大型プロジェクトなどの具体策を入れ込んだ方が、力強くなるのではないか。
また、学術界が作ったマスタープランを国がロードマップに基づき支援をするという、きれいな流れが少しずつ見えてきているものを強く出すべき。

○ 4.について、研究振興局と高等教育局と初等中等教育局というように分担が分かれているという発想ではなく、学術研究の進展を反映して知的社会の充実が図られるということと、それが教育に反映されて新しい研究者が輩出されるということの循環を積極的に書くべき。1.から3.は比較的教育について書かれているが、4.はトーンが落ちてしまっている。

○ 1.から3.までで書かれている学術的な危惧というのは、裏を返せば、全て人材育成とか教育面の危惧になる。3.までの中でも人材や教育に触れているところは意外と少ないので、そういう視点を充実し、それを4.で集約的に書くという形はどうか。

○ 第4節の3箇所について、具体的な修文を提案したい。
 第1に、一つ目の○にいきなり「社会からの付託に応える」という表現が現れることに抵抗感が在るようなので、三つ目の○の「次代を担う若手研究者の育成がとりわけ重要である」という文章の後に「学術研究がこの意味で『国力の源』として役割を十分に果すようにするため」と入れて吸収すれば、文章の主旨が明確になるのではないか。
 第2に、次の○のシニア研究者に関する部分が、シニア研究者は積極的な役割はまったく担っていないような表現になっているので、「シニア研究者は」の後に2行目の「学術界のリーダーとして」を挿入して、最後の箇所で「先導する役割を果たすとともに」として、「若手研究者の育成において」と繋(つな)げれば、シニア研究者と若手研究者の総合的な恊働の姿が表面に出るのではないか。もちろん、これはシニア研究者に期待される役割というべきもので、こうした役割を担わないシニア層に、いたずらに特権的な地位を保証する主旨でないことは当然のことであるが。
第3に、最後の○について、ここでは「資源配分に当たっては、学術研究の社会的な役割の観点から」といって、配分の優先順位に関する議論がなされているが、この部分は非常に微妙な論点であり、書きぶりに関しては慎重な検討が必要。当面の提案として、「資源配分に当たっては」という最初の行の表現が「学術研究の社会的な役割」に直結すると、「社会的な役割」が資源配分の優先性を決定する基準であるかのような印象を与えて、混乱を招きかねないので、ここは「社会的」を「本来的」と書き換えてはどうか。その主旨は、基礎的な学術研究の根幹には、社会的な要請にも先行して、純粋な知的好奇心を徹底的に追及するという重要な一面があって、稀少(きしょう)な資源の配分原則はこれらの両側面に衡平(こうへい)な考慮を払うべきだという点に帰着する。
もうひとつ、同じパラグラフの3行目に「適切な競争環境の下で優先順位をつけ重点配分する仕組みを整備することが必要であり」と書いた後で、学術界は実際に審査や評価に携わる、という書きぶりになっている部分については、読み方次第では「優先順位をつけて重点配分する仕組みの設計と選択」という機能と、「実際に審査や評価に携わる」という機能は別物であり、学術界が関与するのは後者のみだという印象を与える。しかし、前者の「優先順位をつけて重点配分する仕組みの設計と選択」という機能にも学術界が関わるべきだと思うので、この箇所では「必要であり」の後に「優先順位をつけて重点配分する仕組みの設計と選択と、実際の審査と評価の双方に携わる学術界は」と続けるような書きぶりにすべきではないか。

○ 教育の重要性を強調することと学術の重要性を強調することは非常に大事。学術そのものの重要性については全体的によく書かれており、国民もその重要性は理解していると思うが、学術に対する投資がどのように効率的に使われているのかということは、国民も気になるところ。4ページの「学術研究に対する厳しい見方」に書かれている「基盤的経費がいわゆるバラマキとなっており有効に使われていないのではないか」という指摘に対して、学術界はどういうふうに受け取っているのかが分からない。指摘はまさにその通りだと受け取って4.具体的な対策に盛り込まれるのか、それとも、指摘そのものが外れているのでそうではないということを書くべきなのか、非常
に曖昧模糊(あいまいもこ)としたまま4.の対策の方に生かされていないという印象があるので、そ
ういった点をもう少し議論すべきではないか。

○ 3.の厳しい見方に対しての答えを何か書かないといけない。それは、バラマキということと育成ということに関して二つある。
育成に関する問題点として、若手のポストが減少すると書いてあるが、これはシニアがいつまでも辞めないからだということであり、きちんとしたターンオーバーをどういうふうに大学ができるかということが、解決策として必要。その際、例えば、教育に特化して研究から身を引くというやり方など、色々な方法をそれぞれの大学で考えることはできるのではないか。
その上で、7ページにあるデュアルサポートシステムの再検証という話に持っていきたい。基盤的経費は、常にバラマキと言われるが、そうではなく、きちんとした大学の方針・戦略があり、若手を育てるという形で、必要なところに基盤的経費がきちんと回るような仕組みを各大学で考えるということを書き込むことが必要。
 また、投資に対する効率性という指摘に関して、いまの日本では、中央の共通施設みたいなものが非常に欠けているということがある。これについては、共同利用機関を利用するというやり方や、各大学で共通施設を持ち、そこに基盤的経費を投資するというやり方もあると思う。そうすれば、各研究室には基本的にはランニングコストを確保するという形で研究が継続できるし、効率のいい運営が可能になるのではないか。
このように、学術界が自分たちでできる具体的アイデアを幾つか挙げ、その中にデュアルサポートを改革して入れるということがいいのではないか。

○ 文章が抽象的で、こういうことだったら今までにも言われてきたこと。必要性、重要性については、具体的に我々はどうするのかということを、もう一回改めてきちんと書いた方が良い。

○ 科研費について、別紙の「科研費改革」については、研究費部会でも議論しているという説明があったが、科研費は学術研究の基盤の相当大きな部分を占めるものであるから、この特別委員会で、科研費はどうあるべきかしっかり出していただきたい。科研費は今年度、助成額で減少している。まだ決まっていないが、例えば、科研費の若手研究等々では、実質的な研究費は1割減ぐらいになるのではないかと思う。採択率を落とさずに全体の額が縮小すればそうなるわけで、基盤的経費が厳しい中、これが続くとどういうことになるかということを是非考えていただきたい。審査方法の見直し等々が書いてあるが、学術研究を支える研究費としての予算基盤が極めて脆弱(ぜいじゃく)になっているということを強調しておきたい。
  また、若手PIの養成が日本にとって極めて重要であるにもかかわらずなかなかうまくいかないのは、研究をやっているかやっていないか分からないようなシニアの研究者がポジションを占めているということがかなり大きいと思う。科研費に限らず戦略研究などについても投資効果の評価がほとんど行われていないのではないかと思うが、いずれにしても、サイエンスメリットできちんと評価できるように、JSPSもしっかり審査の仕組みや文化を築き上げていかなければいけないと思う。JSPS内部でも検討しているところであるが、若手・シニアに関わらず、応募された研究にどのようなサイエンスメリットがあるのかを、きちんと評価していくことが大事。それから、科研費については、長期的な視点に立ってどのような評価がなされるべきか、ということもJSPSにおいて検討を進めているところ。


○ 大学の問題に関しては、人事等も含めて大学が身を切って自分を正して前へ進んでいかないといけない。大学の基盤的研究が細っていることは事実であるが、資金と改革は車の両輪であり、改革だけをやればいいというものでも、資金だけを増やせばいいというものでもない。両方を進めていくことが大切で、それを具体的な形で書き込むことが必要。さらに、この基本問題に関わる方々が大学改革に関心を持ち、自分の研究だけやればいいんだということではなくて、研究組織が革新をしていかなければいけないのだと、それをどうやったら具体的にできるのかということを、身をもって考えて実行していただきたい。
 学術研究が変わっていくためには、学長のみならず一般の教員がそういう意識を持たないといけない。特別委員会のまとめが、大学改革に資するものとなってほしい。

○ 「社会的役割」という言葉が、短絡的に捉えられる可能性はあるのではないかと思うので注意が必要。

○ 科研費の助成額と予算額とは違うということも理解いただきたい。また、基金化の推進ということは、学術研究を進めるためには必須のこと。

○ シニアの方の硬直的な状況や人事に関係するところは聖域になっていて、今まで改革が進まなかったところだと思うので、そこに触れるのは大きな前進ではないか。

○ シニアな研究者には果すべき重要な役割があるが、その義務を担う意思と能力を欠く場合には、シニョリティは学術界において特権を保証しないということを重く考えるべき。

○ 現実的に基盤的経費のかなりの部分が人件費になっていると思うが、それだけ人件費に用いられているのだとしたら、教育と研究をきちっと進める上で、どういう組織がいいのかというのを、大学は考えていかなければいけない。常に基盤的経費が増えてくる時代ではないということだけは認識して進まなければいけない。これは、分科会長私案において、危機的状況であるということとともに自己改革が必要であるとしているうちの重要なポイント。
 シニアの位置付けについては、シニアは要らないという意味ではなく、重要な役割を分担してもらえるような体制がとれないのかということがポイント。
また、学術研究予算や教育予算を通して、単に若手研究者の育成というだけではなく多様な面で活躍できる人材育成をしているということを、エビデンスを含めて強く出すべきではないか。

○ 基礎教育の部分というのは共通的な課題として対応し、研究分野の教育さらに研究組織については根幹をなくしてはいけないが、変えるべきところは、学内で限られた予算や設備を効果的に生かすような対応が必要ではないか。

○ 学術研究の社会における役割という部分について、1.から3.の範囲においては、学術と社会との関係は余り誤解を招くようなことはないと思うが、4.では、それまでの記述との関連が見えにくいので誤解されやすくなるのではないか。
  今我々が抱えている現状と課題を3.に個別的に書いた上で、それをこうすれば先ほどの改革につながるという言い方の方が望ましいのではないか。
 それから、改革という言葉については、改革することが目的化してしまわないようなことにしないといけない。今まで行った改革の中には、失敗と思えることもあるのだろうけれど、そういう評価を一切我々がしてこなかったことが問題。大学の組織改革をすれば良くなると信じるのは、ちょっとまずいのではないかと思う。

○ 社会的役割云々(うんぬん)という部分について、3ページの内容はこれで結構だが、短絡的に斜めに読まれた場合に、明日の御飯にしてくれるのかと捉えられる懸念があるので、社会における真の役割というような書きぶりにした方が良い。
人材育成に関し、JSPSでは、特別研究員事業を進めてきている。ポスドクが全体で1万5,000人から1万7,000人ぐらいいるうち、特別研究員はその一部でしかなく、多くのポスドクは短期的な戦略的プログラムで雇用されている。後者の中にも優秀なポスドクがたくさんいる一方で、シニアの研究者は研究に邁進(まいしん)せずとも生活が保障されているということとの関係をどのようにしていくのかについては、サイエンスメリットで評価することが重要だと思う。この委員会として、学術研究の推進のために若手も必要だと言うのであれば、若手の生きる道をきちっとつけるということを責任持って宣言すべき。

○ 4.について、若手と言ったときに若手研究者にスポットが当たりがちだが、次世代ということを考えて若い人たちを育成するという観点が必要。
 また、若手研究者について安定的な研究の場が非常に重要なことは確かだが、若手はいずれ若手ではなくなり、ポストをずっと占めたままであれば循環をもたらさなくなるので、もう一つの視点として、人材の流動化ということも考えざるをえない。
 いま大学では、大学改革プランの要素の一つの、人事給与制度改革ということが非常に強く言われており、どこの大学も大変積極的に臨んでいるが、その人事システムの改革ということが人材の流動化にとっても重要であるということを、どこかに入れてもよいと思う。もちろん、それは若手の不安定化になってしまってはいけないが、学術分野の人材の流動化というようなことが三つ目の○辺りに記されてもいいのではないかと思う。

○ 改革に取り組むことは非常に大事なことだが、全体的な論調として改革だけをすればよいと読まれてしまうという可能性もある。そうすると、5ページの下から二つ目の○の「学術研究の振興に当たっては、研究者の自由な発想を保障し創造性を最大限発揮できる環境を整えることが極めて重要である」という表現が浮いてしまいそうな気がするので、これがなぜ重要なのかということを書いておかないといけない。つまり、研究者の自由な発想を保障し創造性を最大限発揮できる環境というのは、研究の多様性を保障するということと、その多様性が将来の発展を保障するということの二つの論点を入れておかないと、せっかく重要であると書いてあることが効果を発揮しない。

○ 全体として、最後に何を求めているのかというのが見えにくい。端的に言って、学術は非常に重要であり今後も学術に関する予算を維持し伸ばすべきであるというのが提言の目的だとすれば、それに向かって論理が構築されていて、結果としてそういう帰結になるという書き方がなされるべき。

○ 予算と言ったとき、直接的な予算と予算が講じる人事や施策というものがある。実際、お金に走るというのが非常に強く出るが、人事に対する施策をうまく織り込めるような言葉を入れられれば良い。例えば、テニュアトラックやキャリアパスなどについての研究者側の努力があり、それが国の予算措置によってできるというような道筋があると人事が見える形で動かせる可能性があり、そういうことができれば良いと思う。

○ 学術に関する予算を伸ばすべきと言う意見はもっともであるが、それと並んで、学術側にも優先順位をつけて重点配分する仕組みの設計及び選択と、実際の審査と評価の双方に誠実に携わることに、強いコミットメントを表明する義務がある。特別委員会の報告書の結論部分には、この両側面を2本の柱として書くことが、報告書の迫力に関わるのではないかと思う。

○ 1ページの一番下に、委員会の責務として「必要な自己改革の具体的方策等を提示する」と書いてあるが、4.については、先ほどから教育と学術をきちんと一体化して施策を進めていただきたいというような提案が出ているので、「はじめに」の一番下には「具体的な学術の振興、施策の在り方に関しても提案し、更に自己改革の具体的方策等を提示することがここでの責務である」というような書き方をして、最初と最後を合わせるようにした方がいいのではないか。

○ 例えば、EU圏において学術研究と社会との関係をどう捉えられているかということを調べると、最近は、社会の中における学術研究、つまり社会の負託に応えていく学術研究ということが強く打ち出されている。その観点から、学術と社会とのインタラクションをより高める必要があるという内容のレポートがいろんなところから出されている。4.の最初のところに、そのような潮流を参照しながらも、その両面を書いていく必要があるのではないか。

○ これから新しい施策を考えるときに、長期的な視点の施策にしないと大学がまた混乱することになる。短期的なプログラムをやって、終われば今度は次のプログラムだと言われて、これでずっと大学は振り回されてきたというのを、多くの委員も指摘されている。したがって、長期的な視点で何が積み上げていけるかという形で考えることが学術界や大学、人材育成など全てにとって大事なこと。

○ 日本と欧米を比べたとき、日本は、新しい分野や融合分野を作ってリードするという面がデータ的にもかなり脆弱(ぜいじゃく)。因果関係について明確なエビデンスがあるわけではないが、大学の構造や研究の構造が、どうしても伝統的な分野が先に立ち新しい分野はなかなか永続的な組織になりにくいというところはあるのではないか。融合研究というのは、単に伝統的な分野の人たちが寄せ集まればできるというものではなく、誰かが伝統的な分野から出てきてリーダーシップをとり、その分野の組織作りも含めて進めていかなければいけないもの。そういうことは大学人の役割だと思う。

○ 科研費やFIRSTの例があるが、大学の研究費を考える上で、無駄なものを購入しないという観点では、今後、様々なプロジェクト経費に関して年度単位ではなく複数年度にわたる基金形式にして運用していくことが有効ではないか。


(以上)

お問合せ先

研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)