学術情報委員会(第12回) 議事録

1.日時

平成26年6月20日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.出席者

委員

西尾主査、羽入主査代理、上島委員、岡部委員、加藤委員、喜連川委員、倉田委員、後藤委員、竹内委員、辻委員、美馬委員、吉田委員、

文部科学省

(科学官)美濃科学官
(学術調査官)市瀬学術調査官、小山学術調査官
(事務局)小松研究振興局長、山脇大臣官房審議官、下間参事官(情報担当)、長澤学術基盤整備室長、松本学術基盤整備室長補佐

オブザーバー

安達国立情報学研究所副所長

4.議事録

【西尾主査】  おはようございます。今日、御参加を予定いただいている委員の方々、全員おそろいでございますので、少し時間は、早い状況でございますけれども、ただいまより第12回学術情報委員会を開催いたします。
 本日、御多忙のところ、委員の皆様方には御出席を頂きまして、ありがとうございました。
 本日は、これまで様々な意見を頂いてまいりましたが、審議のまとめの最終的な取りまとめを行いたいと思っております。
 それでは、事務局より配付資料の確認及び傍聴登録等についての報告をお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  それでは、議事次第に基づきまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 まず、資料1-1、教育研究の革新的な機能強化とイノベーション創出のための学術情報基盤整備について、審議まとめ(案)でございます。それから、資料1-2、審議まとめ(案)の基礎資料でございます。それから資料2としまして、今後の学術情報委員会の日程について。それから参考資料としまして、6月3日に開催されました科学技術・学術審議会総会の配付資料の抜粋でございます。それから、資料番号をつけておりませんけれども、机上配付資料としまして、6月18日以降の審議まとめ(案)の見え消し版をお配りしてございます。それ以外にも、机上の方に過去の審議まとめ、それから過去の本委員会の資料を準備してございます。
 不足等あれば、事務局へお申し出いただければと思います。
 なお、本日の傍聴者登録者数ですが、28名となっております。
 以上でございます。
【西尾主査】  ありがとうございました。
 それでは、早々でございますけれども、審議のまとめ(案)の議論に入りたいと思います。この審議のまとめ(案)につきましては、前回の委員会及び、その後に頂きました多くの貴重な御意見や具体的な修正案を踏まえまして、事務局で取りまとめを行った後、改めて御意見を紹介させていただいた上で、本日配布の案を作成してきております。これまで皆様方には、御多忙のところ、様々な観点から御協力を頂きましたことに対しまして、心よりお礼申し上げます。
 これまで頂きました皆様方の御意見等については、今回お示ししております審議のまとめ(案)に集約できているかとは考えておりますけれども、その案につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【長澤学術基盤整備室長】  それでは、御説明をさせていただきたいと思います。集約したところで意見照会を行った見え消しで机上配付させていただいたもので、簡単に御説明をさせていただきたいと思っております。
【西尾主査】  そうしましたら、資料1-1ではなくて…。
【長澤学術基盤整備室長】  はい。この見え消し版を、御覧ください。
【西尾主査】  資料番号がついていない見え消し版を見ていただきたいということでございます。
 どうぞ。
【長澤学術基盤整備室長】  では、説明いたします。まず初めの構成のところでございますけれども、まとめの階層構造が複雑で、分かりにくいという御指摘を頂きましたので、その整理をしている部分でございます。1、(1)、マル1程度のところにとどめておるということでございます。
 変更点のところで、「支援」というところを「基盤」という形で、少し幅広い形に修正しております。それから、3のところの「その他」というのを、正確に「人材の育成等」という形で書いておるというのが、構成の変更点でございます。
 次は本文の方でございます。まず、「はじめに」というところで、一番初めに、基盤が立ち後れているというところについては、要らないのではないかということで削除してございます。それから、学術情報基盤というところの説明が、学術情報ネットワークという形の御説明にかえさせていただいてございます。その以外のところは、細かい修正という形で御覧いただければと思っております。
 本体におきましては、簡単な説明については欄外のところにも御説明をできるようにするということと、専門用語につきましては用語解説を別途つけるという形にしてございます。それはまた後ほど御説明させていただきます。
 2ページでございます。2ページのところは微修正でございますけれども、前回の仕様との違いということでしますと、3番目のパラグラフのところで、情報量の増大している状況、教育に関する状況ということを御説明している。その下が、情報技術に関する情報を追記しているということが、前回の資料より新たに追加している部分でございます。
 3ページのところでございます。これは様々な政策提言等に関する記述でございます。3ページの一番下のところで、日本学術会議情報学委員会の提言の説明を若干、内容を詳しく書いているところでございます。
 それから次の4ページでございますが、学術分科会の中間まとめも出ておりますので、その内容を更に追記してございます。4ページのところは、説明をすっきりさせたというふうなイメージでございますので、それほど大きな修正になっていないということでございます。
 次の5ページのところですが、クラウドの意味について、分かりにくいと言うところがございましたので、クラウドの意義について、定義文とかそういったものを参考にしながら、分かりやすく書いておるということでございます。そのときに、前回、御議論がありましたような一般的なコンピュータ資源の使用状況といった内容、それから更新需要に対して、個々で対するのは難しいといったことも入れながら、最終的にはクラウド化によってもたらされる圧倒的な効率化に対する期待が寄せられているということで、まとめているところでございます。
 その二つ下のパラグラフのところで、アカデミッククラウドの導入というのは、大学等におけるクラウドの導入というところにおきまして、そのメリットとして一番最後のところに、研究者の方々の負担軽減につながるというようなことを書いてございます。
 6ページのところでございます。主な変更点としましては、現状の方向性を詳しく書くということで、教育支援というところは、教育・学習基盤という形になっております。その内容として、より詳細に、こういったオンライン教育とか学習管理システム(LMS)、それから個別指導のポートフォリオといったものが、進みつつあるというふうな説明にしてございます。
 7ページでございます。最後の三つ目のパラグラフでございますけれども、そのときの課題等について詳しく説明するということで、分かりやすい表に書くという形で追記しておるところでございます。
 その下の部分につきましては、授業との代替性につきましては修文を頂いておりますので、そのような書き加えをしておるところでございます。
 それから8ページでございます。研究基盤のところでございますが、中身が余り無いということでございましたので、現状と方向性につきまして詳しく説明しておるところでございます。そのときに、2番目のパラグラフのところで、デジタル・ヒューマニティーズとか社会科学におけるビッグデータといったところにつきましても、詳細に書かせていただいているところでございます。
 9ページのところは、特に大きな修正点という形ではなく、整理をしておるということでございます。
 10ページでございます。そういった観点で、アカデミッククラウドの環境構築に必要な事項というところで整理しておりますが、ネットワークの性能の強化とともに、2番目はセキュリティとプライバシーの確保の高付加価値化ということで、クラウドによってセキュリティ、プライバシーの確保ということが効率化されるというふうな形で、個々の対応では厳しいので、そういったものをしっかりとやっていくことが可能になるということで書いてございます。
 それから11ページのところでございます。データの共有のルール化というところは、下の「その他」のところから移しておるということでございます。その3番目のところは、「人材の育成等」という形で、「その他」というと分かりにくいので、かえておりますが、12ページを御覧いただきますと、人材育成と理解の向上が必要になるということでございます。
 ここまでがクラウドの御説明で、その後、次期SINETの整備につきまして、SINETにつきましては、整備の方向性という形で、まず現状と、今の情報量が増えていることというような対応の内容をもう一度書いてございまして、そういった観点で、情報量が増えているんですけれども、情報量が増えているということに加えて、それを効率的に行うためのクラウド化というものも含めて、SINETの強化が全てネットワーク上で進められますので、SINETを強化していく必要があるということでございます。
 その際のNIIの役割ということが2番目でございます。NIIは、各機関の意見を取りまとめというのではなくて、共同してやっていくというふうな視点が重要だということでございますので、そこは変更してございます。
 その次のSINET4の現状のところにつきましては、特に大幅な変更はございませんけれども、トラフィックの関係で本当に困っているのかというところにつきましては14ページでございますが、4行目のところに「実際の運用状況に関しても」というところで、東京─大阪とか日米間といったところで、実際に窮迫している状況がありますので、追記しておるところでございます。
 それから(4)でございます。海外の学術ネットワークの状況につきまして、情報が不足しているということで、これは日本学術会議の提言にございました内容につきまして、そこから引用する形で追記してございます。北米、欧州、アジア、国際ネットワークという観点で、日本との対比ができるということでございます。
 15ページはSINET5の整備でございます。このあたりにつきましては、これまでの方向性と同じでございまして、全国的に100Gbpsでの整備を進めていくというふうな形の整理でございますので、おおむね変更はしておりません。
 それから、その回線のところは変わっておりませんけれども、その後の17ページのネットワークの技術につきましては、最新のクラウドに対応するようなSDN、NFVというふうな対応をしていくということでございます。
 それから、先ほどもございましたけれども、セキュリティとしては、サイバーセキュリティという視点と認証の機能が、どうしてもクラウドでは重要になってきておりますので、その辺も詳しく書いているところでございます。
 18ページのところは、コンテンツの流通環境ということで、これは、書きぶりはそんなに変わっていないと思いますけれども、より分かりやすく書いているところでございます。
 それから、クラウド環境の普及促進への取組として、クラウドゲートウェイというふうな機能の重要性ということが分かるように、分かりやすく書き直しているところがございます。
 あと、「まとめ」のところですけれども、社会の対応の中で、情報基盤の重要性ということにまず初めに触れた上で、こういったデータの流通に対するニーズに応える。それからNIIとしての役割。大学としてやるべきことが、アクセス回線の整備に努めていただかないといけないというふうなことを書いてございまして、その後、追記しているところで、ネットワーク基盤というところの様々な重要性とか、人材育成というふうなところの必要性、さらには教育との関係におきまして、今後、適切に情報基盤の在り方を検討して高度化していくというふうなイメージで追記をして、まとめさせていただいてございます。
 説明は以上でございます。
【西尾主査】  今、御説明いただいたのですけれども、バージョンのことで説明しておかなければなりません。昨日メールで配られておりますのは、資料1-1で、ある意味の最終版です。
 今、見え消し版で御説明なさいましたけれども、見え消し版の意味しているところは何かというと、6月18日正午まででしたか、コメントを求められたと思います。そのコメントを求めたバージョンから、18日の正午までにコメントを寄せられたものを踏まえて、どのように変更したのかというのが、今回の見え消し版です。ですから、今回の見え消し版が、前回の本委員会からの差分の見え消しではありません。資料1-1が最終版ですので、議論は資料1-1をベースにして行いたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。全体の構成が資料1-1の1ページ目に書かれております。それにつきまして、今日、例えば1章、2章ということで分けてではなくて、もう全体的に御意見を頂ければと思いますので、何かございましたら、挙手をしていただければと思います。
 それと、皆様方から頂きましたコメントが、きっちり反映されているかということの確認も、併せてお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。
【倉田委員】  それでは、2点ほどございます。1点目は8ページで、表現の問題なので。よろしいでしょうか。
【西尾主査】  どうぞ。
【倉田委員】  デジタル・ヒューマニティーズ云々(うんぬん)というのの少し手前のところです。8ページ目の5行目からですね。「さらに、貴重書、古典、各種印刷物など」云々(うんぬん)の「大量なデジタル化とアーカイブの構築が進むと同時に、デジタル化されたコレクションの共同での分析を可能にする各種ツールやシステムが開発されている。このようなオリジナルと最新の研究成果を結びつけるなど」で、よろしいのではないかと思いました。表現の問題ですけれども、このままでは分かりにくいと感じた次第です。
【西尾主査】  先生、後で具体的にまた御提言を頂けますか。
【倉田委員】  はい。それと、次は、それがいいかどうかは、よく分からない点なのですけれども、12ページの「次期SINETの整備について」の(1)「整備の方向性」の「以下のことを踏まえる必要がある」ということで、これがまとめだという意味で入れられているんだろうとは思うのですが、ここまでの議論でいろいろと述べてきたことをこの段落だけでまとめるのは、逆に言えば舌足らずかなという感じがして。それでいて、内容は重複感があるので、これはあった方がいいという御意見もあるのではないかとは思いますが、私は、ここは思い切ってなくしてしまっても、いいのではないか。「ここまで述べてきた教育、学習及び研究基盤における新しい動向を踏まえ、アカデミッククラウドの構築を念頭に置く必要がある」だけで、いいのではないかと思いました。
 その後は、「学術情報ネットワークは高速、安全安心」何とかかんとかというふうに続けてしまうことは可能なのではないかと思いました。これは絶対ではなくて、そういう考えもあるかなということです。
 もう一つ、前に戻るのですが、11ページ、「人材の育成等」のところで、アとして、「運用を支える人材の育成」の最後に、「管理者及び利用者への適切な教育を実施する」というのは、かなり上から目線で、しかも人材の育成ではないような感じがしまして。別に、ここはそこまで言わなくても、次の「理解の向上」のところで、そういう管理者、利用者への啓蒙活動とか広報活動も必要であるということを一文付け足した方が、すっきりするのではないかと思いました。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。1番目のデジタル・ヒューマニティーズのところは、ここは前回も倉田先生の方から非常に重要な点を指摘いただいておりますので、具体的な修正文を後から御提供いただくということで、対応したいと思います。
 それから12ページのところにつきましては、「整備の方向性のまとめ」のところが、どちらかというと中途半端になっている可能性もありそこに至るまでに同様のことを述べてきていることが多分にあるので、簡潔にしてしまうという御提案ですが、委員の皆様には反対であるとか、ここは重要なのだというような御意見はございませんでしょうか。
 主査代理をお務めの羽入先生からも、ここの記述については重なりがあるという御指摘を頂いておりますので、できましたら簡潔にしていきたいと思っております。その方向性でよろしいでしょうか。
【羽入主査代理】  確かにそう思います。今ちょっと確認ができていないのですが、研究活動に関する様々な状況のことが少し書かれていると思うんですが、これを削除してしまっても、どこかに書かれていますでしょうか。
【西尾主査】  研究活動ですか。
【羽入主査代理】  はい。「特に、大型実験装置や観測装置」ということがありますよね。
【西尾主査】  そのことですと、7ページのところなのですが…。
【羽入主査代理】  7ページに書かれていますよね。
【西尾主査】  これはアカデミッククラウドのことですかね。
【羽入主査代理】  そこと、ほぼ重なっていますよね。大丈夫ですね。ありがとうございます。
【倉田委員】  1点だけ、オープンアクセスという言葉と、オープンデータという言葉だけがないので、もし必要でしたら、7ページから8ページにかけてのところで入れることは十分、可能なのではないかと思います。
【西尾主査】  オープンデータ、オープンアクセスという言葉ですね。
【倉田委員】  言葉だけが、ちょっと足りないので。言っている方向性は、全くそこに当たると思います。
【西尾主査】  それから、人材育成に関しますところは、確かに倉田先生がおっしゃいますように、目線の問題と、人材育成なのかというところがございますので、御提案いただいた方向で持っていきたいと思いますが、よろしいですか。
 美馬先生、どうぞ。
【美馬委員】  今回、後ろの用語の説明と本文との整合性について、まず1点、簡単に直るものは、21ページに出てくるアクティブ・ラーニングの用語説明のアクティブ・ラーニングのところ、今まで本文のところは全部、ナカグロ入っていましたよね。
【西尾主査】  そうですね。
【美馬委員】  それは簡単なこととして、後は記述ですが、本文のところで例えば2ページの一番下にSDNでSoftware-Defined Networkingと脚注にあって、用語の解説にもそれが載っています。これ、両方必要ですか。あと、6ページのLMSというのがあって、こっちに載っていると。LMSの場合には、用語解説ではLMSを引いても出てこなくて、これは学習管理システムという言葉で22ページに載っていて、(LMS)となっていて、どれが、そもそも用語解説で載っているのか。その記述の統一性を、もう1回、全部見渡していただければと思います。
【西尾主査】  用語解説に関しましては御指摘のとおりで、まだ精査されていません。例えばe-ラーニングという言葉自身も、ラーニングを片仮名で本文を書きかえているのですけれども、それも反映されておりません。美馬先生がおっしゃいましたように、用語解説に関しましては、今後、精査をしまして、改定したいと思います。またアクティブ・ラーニングに関しては、この委員会で以前出した審議のまとめがありまして、そこでナカポツを使っているのか、使っていないのかとか、この委員会としての整合性もあると思いますので、今後、そこも気をつけていきます。御指摘どうもありがとうございました。
 ほかにございますか。辻委員、どうぞ。
【辻委員】  大変見やすく読みやすくなっているかと思います。どうもありがとうございます。それで、1点、言葉の使い方として気になった部分で、1ページ目の第1段落のところで、4行目、「知的インフラ」という言葉が使われておりまして、それに対して、それ以降では「知識インフラ」というような言葉で、ずっと使われておりますので、こちらは「知識インフラ」で統一をされるのがよろしいかと思いました。
 それとあと1点、大変申し訳ございません。29ページの名簿の方で、私、所属が委員の途中でかわっておりますので、そちらの方を修正いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【西尾主査】  所属に関しましては大変失礼なことになっておりまして、御容赦ください。それと1ページ目の書き出しの「知的インフラ」という言葉については、御指摘のように「知識インフラ」にしたいと思います。どうしてかといいますと、ここに書いてあります学術情報基盤としてだけではなくという意味が、広く社会のためにも有用な情報のインフラとして考えるという趣旨をここで記述しようとしているからです。第4期の科学技術基本計画において、情報系では知識インフラということがキーワードになっていまして、それは一般市民の方々においても、何か調べたいこととか、あるいは、政府でどんな施策が行われているのかというようなことまでも含めて、いつでも、どこでも検索できるような知識インフラを作ることの重要性をうたっています。そのことにも関連するような形の言葉にしたいので、ここは知識インフラにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。岡部先生、昨日、貴重なコメントを頂いておりますが、これでいいですか。
【岡部委員】  はい。丁寧に対応していただきましてありがとうございます。
【西尾主査】  ありがとうございます。
 どうぞ。
【羽入主査代理】  すみません。2ページ目の2段目のNISTEPの調査のところ、「その理由については」という段落ですが、3行目に「充分度に関する指数」とありますが、これ「充分度」でよかったのか、確認しようと思って忘れました。
【西尾主査】  日本語として「充分度」という言葉があるのかということについてでございますが…。
【長澤学術基盤整備室長】  資料1-2の2ページを御覧いただければと思うんですけれども、これがそういう言葉が…。
【羽入主査代理】  分かりました。ありがとうございます。
【長澤学術基盤整備室長】  使っていたので、そのまま使わせていただきました。
【西尾主査】  分かりました。そうしましたら、一応、定点調査2013というのを参照してございますので、そこで使われている言葉として、「充分度」という言葉を使ってよろしいでしょうか。
【羽入主査代理】  使っていれば、いいですね。
【西尾主査】  はい。
 ほかに御意見等ございますでしょうか。どうぞ。
【上島委員】  7ページのところです。マル1の「教育・学習基盤のためのアカデミッククラウド」というところですけれども、中身は確かにこれをアカデミッククラウドに載せるんだろう。例えば遠隔講義というの、MOOCであるとかを調べたということですけれども、それはそれで想像がつくのですけれども、ここは具体的にアカデミッククラウド、あるいはクラウドという言葉が一切出てこないので、このあたりを少し工夫していただければと思います。つまり、SINETを高度化して、アカデミッククラウドとして発展させたりということだと思いますので、実際の利用形態であるMOOC、OCW、遠隔講義、LMSといったところは、クラウドという言葉で明示的に書いていただければ、よりつながりが、はっきりするのではないかと思います。
 実際、18ページにSINET5の方の「コンテンツの流通環境整備」のところには、具体的に例を挙げてJAIRO Cloudという、NIIがやっておられる機関リポジトリの名前が明示的に出ているので、これも非常に分かりやすくなっていると思いますので、先ほどの前のところも同様に、少し言葉を明示的に出してはどうかと思っております。
 以上です。
【西尾主査】  上島先生、具体的にどこをどのように修正したらよろしいでしょうか。
【上島委員】  7ページのところのマル1というところで、初めの方のOCWやMOOC、遠隔講義、LMSと書いてございますけれども、これが一つのクラウド化する対象だと思うんです。何ですけれども、そういうクラウドという言葉が、余り明示的に書かれていないように思うので、その辺、少し書いてはどうかと思っております。
【西尾主査】  6ページですか。
【上島委員】  ごめんなさい。違う資料で。
【西尾主査】  ですね。
【上島委員】  私、昨日お送りいただいた資料で見ていました。すみません。資料1-1で申しますと、6ページです。
【西尾主査】  分かりました。
【上島委員】  失礼しました。
【西尾主査】  6ページのマル1の下あたりですか。
【上島委員】  マル1の一つ目の段落のところですね。
【西尾主査】  クラウドということが、より明確化するようにという御意見ですね。
【上島委員】  はい。クラウドということをできるだけ明示化して、SINETの上で、こういったものをクラウド化するというのが、明らかになるような形に論述していただければと思いまして。
 以上でございます。
【長澤学術基盤整備室長】  少し確認させていただいてよろしいでしょうか。今のところは、マル1の2パラグラフ目に、これらの情報資源についてクラウド化することによって、共有が進展するというふうな、軽くは書いてございますけれども更にもう少し詳しく書いた方がいいということでしたら、その辺も教えていただければと思っております。
【西尾主査】  上島先生、ここの流れが多分、OCWとかMOOCとかLMSとかいろいろあるのですけれども、こういうシステムそのものは、クラウド化ということにはダイレクトに関係ないのであるけれども、これらの情報資源をクラウド化することを書くべきだと言うことですね。
【上島委員】  そうですね。今後、クラウド化していくということですよね。今、事務局の方から言っていただいたとおり、書いてあることは書いてあるのですけれどもね。おっしゃる意味はよく分かります。
【西尾主査】  それをもう少し明確にするということ…。
【上島委員】  はい。私は明確にした方がいいと思いますが、十分であるということであれば…。
【西尾主査】  では、検討させていただきます。
 ほかにございますでしょうか。吉田委員、どうでしょうか。
【吉田委員】  すみません。クラウド視点で少しコメントさせていただきます。
 5ページ目なんですけれども、ここら辺でクラウドの話が出てくるんですが、「アカデミッククラウドの導入においては、大学等の外部のデータセンターが提供するパブリッククラウドサービス」、ここのパラグラフでございます。ここを読みますと、パブリッククラウドサービスはあるもののセキュリティやサービスの継続性に問題があると読め、その次に、「そこで」とありまして、「全国の学術情報基盤を担う組織が一体となってアカデミッククラウドの構築を推進する」と書いてあります。そうすると、パブリッククラウドというのは、セキュリティやサービスの継続性がよくないから、結局、それとは別にクラウドを作るというふうに読めてしまうんですよね。これはかなり大きい話であると思います。
 まず、前半について言いますと、パブリッククラウドだから、セキュリティやサービスの継続性が問題だということはありません。パブリッククラウドでも、例えば第三者認証をいろいろ取得しているとか、ITサービス管理をきちっとやっているとかで、この課題には当然それなりに対応しております。むしろパブリッククラウドで大規模なものというのは、規模の経済でコストを下げていますから安く使えるわけで、今回、効率化という目的を考えるときには、何らかのパブリッククラウドの併用ということも考えることが重要だと思います。事実、17ページに、パブリッククラウドサービスもクラウドゲートウェイから使えるようにするという記述があり、そことも矛盾してくると思います。
 そういうことで、ここの箇所を記述するに当たっては、アカデミッククラウドとして、どういうものを実現するか、アカデミッククラウドの実体は何かということのイメージをもう少し明確にされておいた方がいいと思うんです。今、各大学等でプライベートクラウドを構築しておられる。あるいは、NII等でいろいろなサービス提供しておられる。そういうものは当然、今後も維持拡充していくということが必要だと思います。それと、更に効率化ということを考えて、外部のパブリッククラウドなんかも併用できるようにする、そういったもの総体のハイブリッドがアカデミッククラウドの将来像かなというふうに理解しているんですけれども、このような将来像をはっきりされた上で、例えばパブリッククラウドに対する記述とか、あるいは今後、構築・運営していくアカデミッククラウドが何であるかと書かれた方が、いいのではないかなと思います。
【西尾主査】  確かにここの記述は、パブリッククラウドに何か問題があるようなイメージを与えてしまうということが懸念されます。後半の方で、パブリッククラウドとの連携をしていくことが大事だという記述もしておりますので、むしろ、今おっしゃっていただいたように、ここの部分をパブリッククラウドとの比較として書くのではなくて、アカデミッククラウドの構築を目指すことによって、どういうメリットがあるかというのをまず書いて、その上でパブリッククラウドとの連携もしていくことが重要であるというような記述にするということを考えてみたいと思います。吉田委員としてはそういう趣旨でよろしいですか。
【吉田委員】  はい。どのようなクラウドを使うにしても、セキュリティとサービス継続性の問題、SLAの話は出てまいりますので、クラウドを利用する際の全般の問題として、これは言っていただいた方がいいと思います。
【西尾主査】  よろしいですか。
 美馬先生、どうぞ。
【美馬委員】  用語のところは今後、精査するということですが、とても重要だと思いますので。22ページのクラウドの用語説明には四つ、アカデミッククラウド、パブリッククラウド、プライベートクラウド、インタークラウドというのがあります。これについては、アカデミックは共有するためのクラウドで、パブリッククラウドはサービス、プライベートクラウドは形態、インタークラウドも形態となっています。これは、誰による誰のためのどういったサービスかという形で、それぞれ特長を生かして説明するのがよろしいかと思います。ここ、とても重要なところだと思います。
 以上です。
【西尾主査】  誰による、誰のためのサービスかということですね。
【美馬委員】  どういったサービスかという視点があると、よろしいかと。
【西尾主査】  ほかにございますか。後藤委員、何かございますか。
【後藤委員】  今の吉田委員と美馬先生のお話の関連です。前回も申し上げましたが、このアカデミッククラウドというのは、手段ではなくて、目標像に近いものだと認識しています。つまり、学術会議で、こういうクラウドを目指すべきだという目標像がアカデミッククラウドであって、その手段として、例えばコストを意識する場合はパブリッククラウドを使いましょう。パブリッククラウド上のプラスアルファとして自分たちでセキュリティ機能を生かして使いましょうという使い分けだったように記憶しております。これが今の資料では、アカデミッククラウドが導入するものとして手段の一つになってしまっているのは、ちょっと変かなと思います。用語集のところでも、クラウドの説明の中にアカデミッククラウドを並べるのは、ちょっと変ではないかなと思いました。プライベートクラウドは、もう一般的な技術用語として使われているのですが、例えば、プライベートクラウドやパブリッククラウドをうまく使いこなして、我々が目指すアカデミッククラウドはこうあるべきという口調がいいかと思います。
 そういう意味で、アカデミッククラウドについては、導入するものというよりも、目指す対象として、提言を書いた方がいいのかなという意見でございます。
【喜連川委員】  まずその前に、学術情報基盤と学術情報ネットワークをどこで定義されているんですか。
【西尾主査】  ネットワークは「はじめに」の最初のところですね。
【喜連川委員】  これと先ほどのクラウドとの関連が、はっきりしていないということだと思います。それ以降の文章も微妙に、どっちがどっちなのかが、よく分からない構図になっている気がするんです。学術情報基盤と言葉のカバレッジをどこまでとるのかというのが、はっきりしません。ここがはっきりしないので、先ほどから出ている議論が、いろいろなところで、上島先生の議論も出てきていると感じます。
【西尾主査】  今回、明確に気づいてなかったのですけれども、「はじめに」の、最初は「学術情報基盤とは」という書き出しでした。それが多分、委員の皆様方からのコメントがあって、「学術情報ネットワークとは」と書きかえられているので、ここで混乱が起きているのかなと思います。
 学術情報基盤ということにすると、そこにはネットワークがあり、多様なサービスがあり、コンテンツの整備があり、運用がありということで、学術情報基盤の中に根幹としてネットワークがあるのだということが明確に出せるのですが…。
【喜連川委員】  根幹としてネットワークがあり、クラウドがあるという位置付けですね。ですから、私もちょっとこのネットワークにあえて変えられた経緯が、よく分かっていないんですけれども。
【西尾主査】  どうぞ。
【長澤学術基盤整備室長】  学術情報基盤という概念は、こういったネットワークと、図書館とかジャーナルとかそういったものを全て含む概念だという整理をこれまでしてきておりまして、それとSINETというものの役割ということからすると、SINETというのは、回線だけではなくて、その上位のサービスを含みますということからすると、SINETというここの御説明は、学術情報基盤ではなくて、SINETとしての学術情報ネットワークの御説明になっているというふうなことで、基盤ではなくて、ネットワークの定義として使っていると。その学術情報基盤の一部が学術情報ネットワークであって、学術情報ネットワークの中に通信回線とサービスその他、そういったものを含んだSINETというのが存在しているというふうな構成だと理解しております。
【喜連川委員】  ちょっと曖昧に感じます。ですから、クラウドはどちら側に入るか。学術情報基盤に入るか、学術情報ネットワークに入るかどちらでしょうか。
【長澤学術基盤整備室長】  ネットワークでサービスを出すのが、クラウドも含まれるという形で考えております。
【西尾主査】  今のことで、安達先生にお伺いしたいのですけれども、SINETということをいった場合に、これはネットワークまでのことであって、SINET上でいろいろなサービスが提供されていくと考えたらよろしいのでしょうか。
【安達副所長】  ネットワークのみならず、その上の中間にあるセキュリティに関する機能、そして更に上のコンテンツ・サービスまで含んだものを、例えば日本学術会議の提言をまとめた際に、学術情報基盤SINETという表現で使っております。過去からのいろいろな説明の経緯で、そのような意味づけになっています。
【西尾主査】  今、三つの言葉が、つまり、学術情報基盤、それから学術情報ネットワーク、単なる通信回線のネットワークがあったときに、最初の書き出しが、「学術情報ネットワークとは」という書きぶりは、間違っていないのでしょうか。
【安達副所長】  はい。
【西尾主査】  間違っていないのですね。そうすると、学術情報基盤と学術情報ネットワークは、どう区別していったらよいのですか。
【喜連川委員】  そうではないのではないですか。西尾先生の言われた学術情報基盤と学術情報ネットワークとネットワーク、そのディファレンシエーションをしましょうと。学術情報基盤といったところ、学術会議の提言では、学術情報基盤の中にネットワーク・プラス・サービス・プラス・コンテンツ、全てを入れると。ここでは、学術情報ネットワークとは、通信回線を基底にサービスコンテンツも含めたものであるといっていることになっています。
【西尾主査】  そうすると、学術情報ネットワークという言葉は、ネットワークだけではなくて、そこのいろいろなコンテンツ、サービスも含むのですよね。
【喜連川委員】  この定義によれば、そうなんです。
【西尾主査】  そうすると、日本学術会議からの提言における場合はどうだったのですか。
【喜連川委員】  提言は、学術情報基盤です。
【西尾主査】  分かりました。学術情報ネットワークという言葉を使わなければ良いということでしょうか。
【喜連川委員】  そうです。
【安達副所長】  もっと以前には、「研究ネットワーク」という言葉もあって、そのようなものの一つの表現として、「学術情報ネットワーク」という言い方をするように、別の文献では区別した例もあります。
【西尾主査】  そうしましたら、この審議まとめの全文において、学術情報基盤という言葉を使って、学術情報ネットワークという言葉を使うのをやめるということでよろしいですか。SINETは学術情報基盤であるという考えでよろしいですか。
 どうぞ。
【下間参事官】  すみません。学術情報基盤は、この委員会としてずっと使ってきている用語でありまして、お手元にある先日の審議まとめにおいても、その3ページにおいて、学術情報基盤の意義ということで、学術情報基盤の定義をさせていただいているんです。コンテンツと、それを流通させるためのシステム、情報のネットワーク、それから先ほど御紹介した図書館といった様々なものを含む概念として、学術情報基盤を定義しておりますので、そのような扱いで、ここでも使っていきたいと思っております。
 そこの定義が、ここで不明確で不十分だということであれば、その部分に言及させていただく中で、様々な学術情報基盤を整備する中で、今回は学術情報ネットワーク、それを特にSINETはSINETの通信回線だけではなくて、それ以外に各大学がそこに接続するための通信回線といったものもございますので、ここで、学術情報ネットワークは、SINET及びそのSINETに接続するための通信回線などを含めたネットワークとして、学術ネットワークを定義させていただいているということですので。学術情報基盤と学術情報ネットワークということの違いを明確にしながら、SINETが通信回線のみ、ネットワークのみという議論が一方にあるものですから、そこは通信回線を基底として、その上で提供される多様なサービスやコンテンツの整備運営を含むものであるということをはっきりとうたわせていただいた上で、学術情報ネットワークという用語をここでは使わせていただきたいと考えておるのですけれども、そこは委員の皆様の御理解と少しずれていますでしょうか。
【倉田委員】  今の議論は、趣旨は分からなくはないのですけれども、余計混乱を招くのではないかと思います。私はむしろ、学術情報基盤そのものを基底から支えるものこそネットワークであり、SINETであるという議論の方が、ストレートに伝わるのではないかと思います。学術情報基盤には、デジタル化されていないものや、組織そのもの、システムそのものが、もちろん含まれますし、そこを忘れていただいては、確かにちょっと困るので、そういう意味ではもう一度、学術情報基盤とはという定義は入れていただいた方がいいかなとは思います。
 その中で、今やネットワークなしに、学術情報基盤を今後、発展させることはできない。なので、そこのネットワークを中心としてというところに焦点を当てて、今回、これは取りまとめたということを述べれば、むしろSINETの重要性をより主張できるのではないでしょうか。
 しかも、最初の段落は「学術情報ネットワークとは」から始まりますが、その次の段落では「我が国の学術情報基盤においては」で、また変わってしまいます。ここは物すごく混乱してしまいます。もしも、今、下間さんがおっしゃったような形で言うなら、ここの報告書の中の言葉は基本的に全部、学術情報ネットワークに変えないと、おかしな話になって、そうなると、タイトルからも学術情報基盤はなくなるということになってしまうと思いますが。
 それは、逆にわい小化する可能性があるのではないかと思います。
【西尾主査】  どうぞ、羽入先生。
【羽入主査代理】  まだ頭の整理できていないんですけれども、「クラウド時代の学術情報ネットワークの在り方」というサブタイトルをつけております。つまり、学術情報基盤について考えるということをまず「はじめに」の最初のパラグラフで書いて、その中で、この学術情報ネットワークというのがどういう位置付けにあるかということを少し示して、その後、学術情報ネットワークを中心にした議論にしていきますというふうに、少し最初に説明しておくと、読みやすくなるかなと思います。
 学術情報基盤のことを問題意識として持っている。今はクラウド時代のネットワークのことを考えているんだということが、ここの報告書の真意なのではないかと思うのです。その方向性を示しておくことが必要かなと思います。
 私も実はここの出だしでつまずきまして、この審議はどういう方向で、何のためのものかということをまず書く必要があるかなと思ったのと、2段落目で最初にNIIのことが出てきていて、NIIを上手に登場させる方法をもう少し考えたらいいかなと思っていたんです。したがって、「はじめに」のところを工夫すれば、今の話は少し整理できるかなと思います。今、代案がないので、後で考えてみます。すみません。
【西尾主査】  今までの話ですと、学術情報基盤という言葉と学術情報ネットワークという言葉が、この審議のまとめの中で両方出てくることにありますが、倉田先生、そこはそれでよろしいですか。
【倉田委員】  そうしますと、2のところの学術情報基盤整備の必要性で述べられていることは、これ学術情報ネットワークで大丈夫なんでしょうかという疑問がでてきます。
【西尾主査】  これは、重要なことですよね。
【倉田委員】  はい。ここが全部、学術情報ネットワークでいいのであれば、いや、分かります。全部、それで分かるんですけれども。
【羽入主査代理】  多分、機械的に取りかえるということではなくて、学術情報ネットワークと学術情報基盤の使い分けをもう一度見れば、ここの2は多分、学術情報基盤でいくんだと思うんです。
【西尾主査】  学術情報基盤ですね。
【羽入主査代理】  学術情報基盤が大事だということをずっと言っていて、でも、今はネットワークが非常に重要ですよねという話にだんだん流れていっているんだと思うんです。それで最後にSINETが来ているのではないかと私は思っているのですが、正しいかどうか分かりません。
【西尾主査】  もう一度はっきりしておかなければならないことがあって、学術情報基盤と学術情報ネットワークと、もう一つ学術情報がつかないネットワークという三つの言葉が、この審議まとめの中で出てくることになったときに、それら三つを明確に区別することが大切です。最後のネットワークは通信回線そのものでいいと思うのですけれども、学術情報ネットワークと学術情報基盤の区別をどうするかというときに、何か明快な答え方がありますかということかと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
【美馬委員】  そこを考えるのでしたら、ここもきちっと押さえておく必要があるという。1ページの脚注のところに、コンピュータ資源となっていますね。ここは「ネットワーク、サーバ、ストレージからアプリケーション、サービスまでを含む」といって、これネットワークとあるのは情報ネットワークだと思うのですが、本文のそれに当たるところを見ると、3段落目で、「コンピュータ資源をネットワーク経由で利活用する形態」である。要するに学術情報基盤といったときに、今、学術情報ネットワークかどうかというときに、さっき倉田委員がおっしゃったコンピュータの利用と、利用でないものまで含むということであれば、ここをもうちょっと明確化する必要があるということです。同じように、4ページの脚注のところで、アカデミッククラウドとはということの説明について、コンピュータ資源を大学間で共有するためのクラウドとあるので、先ほど後藤委員からの御指摘もあったように、今後の方向性として、コンピュータ資源をうまく学術の活動の中に利用していくためにどうするのかということですから、ここあたりは今のことと含めて、コンピュータ資源というものと学術情報というものを整理していく必要があると思いました。
 以上です。
【西尾主査】  全文を通してなんですけれども、コンピュータ資源という言葉については、1ページの脚注の意味で、その整合性は全部チェックしました。
【美馬委員】  そうですか。ここは情報ネットワークというのは要らないのですね。ネットワークでいいのですね。
【西尾主査】  ネットワークで良いと考えます。
 美馬先生、どうもありがとうございました。そこも、もう一度は精査したいと思いますが、要は、学術情報ネットワークと学術情報基盤をどう明快に区別するか、ということですが…。
 どうぞ。
【岡部委員】  1ページの最初の2行の学術情報ネットワークの定義が、ちょっと広過ぎて、混乱しているのではないかと。まず、学術情報ネットワークは通信回線だけではないというのは、非常に大事なことだと思うんですけれども、一方で「サービス、コンテンツの整備・運用も含めた」と、ここまで言ってしまって、コンテンツそのものも学術情報ネットワークの一部であるようにも読める表現なので、恐らくサービスとかコンテンツを流通させる仕組みはネットワークなんですけれども、コンテンツそのものはネットワークとは別である。ただし、それは学術情報基盤には含まれると解釈すべきだと思うので、この最初の2行をもう少し丁寧に書き直していただくと、二つの言葉がきれいに使い分けができるのではないかと思います。
 以上です。
【西尾主査】  ということは、「はじめに」のここで書かれているのは、学術情報基盤であると、考えてよろしいですか。
【岡部委員】  いや、ここは、ネットワークはいいんですけれども、例えば「コンテンツの流通」ぐらいにしておくと、おさまりがいいかなと思います。もうちょっと丁寧に考える必要がありますけど。
【竹内委員】  今の学術情報基盤と、それから学術情報ネットワークの区別ですが、今ざっと見ておりまして、4ページの3の直前に出てくるパラグラフに書いてある「我が国の大学等の教育研究活動を支え切る学術情報基盤を実現するためには、クラウド化への対応を含む学術情報ネットワークの高度化が喫緊の課題」という、この辺が一番分かる説明なのではないかと思います。このトーンで前半の部分を直していただければ、今、議論されてきた問題は解決するのではないかと思います。
【西尾主査】  4ページの3の上ですか。
【竹内委員】  はい。3の直前のパラグラフです。
【喜連川委員】  私が、言葉の定義を明確にするといいますか、ややアンビアンスに使われているのではないかなと申し上げましたことの背景は、まず我々が学術情報のインフラを今後どういうふうに見据えていかなくてはいけないかということをきっちりと皆さんで合意をとってから、言葉をどうするかと進んだ方がいいと思ったからです。
 先ほど、当方の安達教授から御紹介しましたように、SINETは、もとは純粋なネットワークから始まったのは事実です。そのころには、コンピュータとネットワークとストレージという分類だったわけですけれども、今日において、ここで課題になっておりますアカデミッククラウドというようなものが登場した中では、全部ぐじゃまぜになっているわけですね。したがいまして、先頭のところで学術ネットワークというものだけを切り出しますと。特に日本は、はっきりしなくなります。世界で、ネットという言葉を使っているところって、どこにもない。皆さん、飛行機に乗られたときに、海外の路線に乗られると、ワイファイと書いて、ワイファイアベイラブルと書いてある。日本だけネットがアベイラブルです。インターネットが利用できます。つまり、ネットワークという言葉が多義に使われていて、アンビアンスな表現を醸しやすいような状況になっている。
 原則、学術情報基盤というものを考えたときには、そこにはネットワークもコンピューティング資源もクラウド資源もコンテンツもある。というか、それを丼にしないと、学者は使いやすくならないわけで、大学の先生がサービスとしてほしいのは、丸ごとのサービスですから、そこをきっちり定義してあげた方がいいと思います。コンポーネントをきっちり定義する必要よりも、むしろユーザーにとって何がサービスになるのかという側面で見れば、学術情報基盤がクラウドもネットワークもストレージも入っている。そういうふうなところから入っていた方が、読む方としては読みやすいし、訴えるところも大きいのではないかなと。
 いかがでしょうか、西尾先生。
【西尾主査】  そのときに、もう一方で言葉の使い分けを具体的に考えなければならないので、そのときの学術情報ネットワークは、どう捉えたらよろしいですか。
【喜連川委員】  よく分からないですが、学術情報ネットワークとは、この基底に何々を乗せたものでありというのをやめてしまえばいいのではないかと個人的には思っているんです。ネットワークは、もうネットワークというふうにしてしまえば…。先ほどの岡部先生の御指摘にもあるかもしれないですけれども、岡部先生のはマイルドな変化で、流通という言葉を入れると、ネットワークのところにまあまあ入れ込めるのではないかという御回答だったと思うんですけれども。
 ここでネットワークを拡大解釈しても、余り意味がなく、ネットワークをネットワークにして、アッパー概念として学術情報基盤というものを全部インクルードすると言ってしまった方が、はるかに分かりやすい。倉田先生がおっしゃっていることそのものではないかなと思います。
【西尾主査】  学術情報ネットワークという言葉を使わないということですね。
【加藤委員】  今の喜連川先生と同じ意見なんですけれども、最初のパラグラフがなくなるだけで、すっと行くような気がするんです。申し訳ないです。言っちゃいけないかもしれない。ここがなくなるだけで、後、すらっと通るような気がするんですよね。学術情報ネットワークを規定する必要はないのではないかなと思って…。すみません。
【喜連川委員】  そう言われればその通りです。
【西尾主査】  その1段落目をとったとしますね。そこで、先ほども倉田先生からも御指摘いただきましたように、「我が国の学術情報基盤においては」を「基幹としたこの学術情報ネットワークが整備されている」と、すっとこのまま流せば良い、ということでしょうか。
【加藤委員】  はい。コンテンツの流通とか共有の推進ということで、整理・運用という表現もなくなりますし。そんなもんで、すっと通るのではないかなと思います。
【喜連川委員】  ここで学術情報ネットワークが入ってしまうんですね。
【西尾主査】  入ってしまう。これはもう学術情報ネットワーク…。
 どうぞ。
【倉田委員】  いや、もうネットワークでよろしいのではないかと思います。
【喜連川委員】  システムにしたらいいかな。
【倉田委員】  まあシステムでも。要するに言葉をかえてしまうという。ここでは…。
【西尾主査】  分かりました。システムですね。
【倉田委員】  ですから、学術情報基盤という大きな概念があって、その中でネットワークプラスアルファ、そのネットワーク以上の何かという点を強調なさりたいというのは、すごくよく分かるのですが、それをこのまとめでは、アカデミッククラウドで代表させているのではないのかというのが、私の考えだったのですが。ですから、学術情報基盤とアカデミッククラウドとSINET、この三つの、三大話ではないですが、その三つをうまくつなげるということを一番の目標にして、余計な似たような用語はできるだけ排除する方が、いいのではないかという意見です。
【西尾主査】  そうしますと、学術情報ネットワークという言葉は、この審議のまとめの中では使わないということですね。
【岡部委員】  よろしいですか。タイトルも含めてかえるということですか。
【西尾主査】  はい。
【岡部委員】  私はそれに対しては若干、抵抗感がございまして。というのは、この文章の目的は、最終的にSINET5に予算をつけてほしい。そのSINET5というのと、各大学が整備するSINET5につながる部分と合わせて、学術情報ネットワークと呼んでいるというのが、私の理解で。そこにお金をつけたいというところが、学術情報ネットワークという言葉を抜いてしまうと、かえって曖昧になってしまうような気がいたしました。今回は、ある程度、SINET5を意識して、この文章を書いているという理解ですので。皆さんのおっしゃることはよく分かるんですが、そこをそうしてしまうと、逆にSINET5とのつながりが、ぼけてしまうのではないかというのを若干、危惧いたします。
【西尾主査】  例えばなんですけれども、一番上のタイトルが「学術情報基盤整備」ですよね。学術会議の提言のところでも、副題でSINETという言葉を使うのは構わないということでしたので、「クラウド時代の学術情報基盤SINETの在り方」と書いてしまったらいかがですか。
【岡部委員】  それについては、以前から議論ありましたように、SINET5だけの整備をするのではなくて、各大学でそれに対応することをちゃんとしてもらわないといけないよというのが、これまでのずっと流れで、そこがぼけるのではないかというのをちょっと危惧しております。
【西尾主査】  どうしても、混乱しますね。
【喜連川委員】  ネットワークのときも、大学の中のネットワークの問題はあったわけですよね。
【岡部委員】  問題があったとおっしゃるのは…。
【喜連川委員】  つまり、これ学術情報ネットワークと書いたところで、それはそれぞれの大学の内部のネットワークの部分も、学術情報ネットワークだという話はあるわけですね。先生の今おっしゃっている、二つが渾然(こんぜん)一体になっているという現象は出ているわけですよね。ですから、私は西尾先生の今おっしゃった学術情報基盤、SINET5というのをサブタイトルに入れていただくということで。
【西尾主査】  「学術情報基盤SINETの在り方」なのかな。
【喜連川委員】  ええ。寛容な御解釈をしていただければ、それで有り難いのではないかなと思うんですけど。
【岡部委員】  いや、以前から、この文章はSINET5を整備すると同時に、きちんと各大学でそれにつながるところを整備しないと、整合性はとれませんよ。学長に向けた文章にしましょうといっていたものを、そういうことで、財務省に向けた文章では、必ずしもないということなので。「SINET5の在り方」といってしまうと、あ、SINET5の話か。関係ないなと思われてしまうのが、ちょっと心配かなと思います。
【西尾主査】  ここでお聞きしたいのですが、本文に関しての細かな点も含めてなんですが、コメントに関しては、ほぼ出尽くしたと考えて良いですか。要は、ここのところに全部が集約されているということでよろしいですか。ここの部分で審議時間を使ってしまって、後で、他にいろいろあるのですと言われても、時間的に対応できませんので。
【後藤委員】  最後の17ページのマル5の「クラウド環境の普及促進への取組」のところですが、普及促進というよりも、これ利活用促進が良いと思いました。これはクラウドサービス利用、シングルサインオンなどを使うことによって、サービスを使いやすくするという意味で、利活用促進かなと。
【西尾主査】  利活用促進、あるいは利活用の促進への取組ということですね。
【後藤委員】  はい。
【西尾主査】  分かりました。
【後藤委員】  それに関連して、最後で、「こうした取組は既に欧米で進みつつあり」のところを「クラウドを適切に導入する」よりも「クラウドサービスを適切に導入する」が良いかなと。
【西尾主査】  クラウドサービスですね。分かりました。ありがとうございました。
 ほかはよろしいですか。
 そうしましたら、もとのところに。どうぞ。
【喜連川委員】  細かい話で、11ページの上の方にあると思うんですけれども、「運用上のリスク管理」ですが、イ、「単一技術に依存するリスクを軽減する観点から」と書いてあるんですけれども、分かりづらい表現になっているなと思いまして。「単一事業主体に依存するリスク」というような表現が妥当とおもいます。最近、アメリカでクラウドベンダーが破産する事態が発生しております。破産しますと、どうなるかといいますと、二、三週間ぐらいでデータを取っていってください。その後、我々、全部ビジネスをクローズしますというようなことが起きています。これは技術ではなくて、要するにエコノミッククライシスなんですね。そういうことをちょっと入れておいた方がいいんですが、ここの中にはちょっとそういうものがありません。どちらかというと、自然の方ばっかりに、主体になっています。
【西尾主査】  単一事業主体ですか。
【喜連川委員】  はい。
【西尾主査】  分かりました。
 ほか、よろしいですか。
 そうしましたら、もう一度、根幹のところに戻りたいと思います。岡部先生のおっしゃることで、SINETという言葉だけが副題に出てきますと、各大学内における、あるいはいろいろな研究機関等における情報基盤整備に関しても、この審議まとめがクラウド化ということも含めて、大きな啓もう書になっていく観点からすると、学術情報ネットワークという言葉があった方が良いのではないかということなのですけれども、岡部先生、そのSINETという言葉を使わなくて、学術情報ネットワークという言葉も使わないような何か妙案はないですか。
 どうぞ。
【美馬委員】  ここも、アカデミック時代の学術情報ネットワークの在り方って、結局、学術におけるコンピュータ資源をいかに利活用していくか。そのためにハードとしてのSINETが必要ということなので、はっきりここに、「クラウド時代の」と言わないで、「アカデミッククラウドの在り方」というふうにしてしまって、「アカデミッククラウドとは」というので、我々の理想とするアカデミッククラウドのさっきの後藤委員の話を持ってくるのはどうでしょう。
【西尾主査】  アカデミッククラウドですね…。どうぞ。
【岡部委員】  ちょっとそれに対して異議がありまして。今回、我々はアカデミッククラウドの予算要求をしているわけではなくて、アカデミッククラウド全体にSINET5の整備をしましょうと。
【美馬委員】  岡部さん、それはさっきSINETを出すと、それは何かほかのことと言う。
【岡部委員】  そうなんですけれども、アカデミッククラウドの在り方というと、ではアカデミッククラウドに予算をつければいいのであって、SINETにはお金は要らないですねという議論に逆に誤解されてしまうことを私は危惧…。
【美馬委員】  それは書き方の問題ではないですか。アカデミッククラウドを推進していくためには、もうSINETは不可欠であるというふうに最初に。
【岡部委員】  ただ、タイトルは、その中身を一番表すものにしたいので。
【美馬委員】  そうすると、さっきSINETを入れるのはとおっしゃった…。
【岡部委員】  私は、SINETと各大学のネットワーク整備をきちんとやってください。そうすれば、アカデミッククラウド時代に対応できますということが、この文章の基調ではないかと私は理解しておったんですけれども。
【倉田委員】  では、中間をとって、「アカデミッククラウドの構築」、若しくは「アカデミッククラウド時代におけるSINETの在り方」。
【羽入主査代理】  「アカデミッククラウド時代の」でも、「クラウド時代」でもいいんですけれども、「のネットワークの在り方」というのでは、違うんでしょうね。
【岡部委員】  ここの文章では、言葉の定義として、ネットワークというのは通信回線の意味で使っていて、それだけではなく、もう少し上位のコンテンツとかサービスを流通し、つなげる仕組みも含めて学術情報ネットワークと呼んでいると、私はそういうふうに用語をこれまで理解して、それで読んできたので、皆さんが言葉の定義が違うとおっしゃると、私の理解とは、ずれてしまうんです。私はその自分の解釈で、できるだけ何とかおさまらないかなという基調で主張しているので、皆さんとちょっと違う立場になって、申し訳ないんですけれども。
【羽入主査代理】  だとしたら、メーンタイトルに学術情報基盤の整備の話があるわけですから、当然、学術情報基盤整備のためのネットワークであることは大前提なわけですね。だから、それはわざわざそこで言わなくても、ここはネットワークだけでいいような気がしますが。
【岡部委員】  ネットワークというのが、単なる通信回線ではないということをお分かりいただけるかなというところが、危惧しているところです。
【羽入主査代理】  我々が言いたいことは、学術情報基盤をイノベーション創出のためにどういうふうに確保するかということであり、そのための要素は二つあり、一つは、クラウド時代にどう対応するかであり、そのためのネットワークをどう構築するかであるということが、メーンタイトルとサブタイトルで言われているのではないかと考えまして、先ほどのようなことを言いました。
【西尾主査】  学術情報基盤ということに、岡部先生がおっしゃっている多様な面が入っていて、アカデミッククラウドの構築に向けてのネットワークの在り方とかそういうところで、今度はSINETということですか。
【岡部委員】  それであれば、ネットワークとするよりはSINETとした方が、私は分かりがいいと思います。4章で主張しているのは、次期SINETの整備で、次期SINETでは、従来の通信回線の意味のネットワークではなく、もう少し上位レイヤーのサービスに踏み込みましょうということが書いてあるので、そこにつながらないといけないので、ネットワークの在り方といってしまうと、タイトルとしてミスリーディングだと思います。タイトルに挙げられないかもしれませんけれども、この文章は、SINETにつながる各大学の固有の部分である、私が思っている学術情報ネットワークの整備もきちんとやってくださいよということが、どこかに分かるように。前文に、分かるように書いていただけると、有り難いと思います。
【喜連川委員】  では、タイトルはSINET…。
【西尾主査】  一つの候補として、例えば「アカデミッククラウド時代におけるSINETの在り方」とか、「アカデミッククラウドを構築するためのSINETの在り方」とかが候補として出ておりますけれども、何か御意見ございますか。
【竹内委員】  今、岡部先生が御指摘になった各大学の役割については、18ページのまとめの第4パラグラフに「大学等は」ということで、はっきり書かれているので、それを参照するということでよいのではないかと思います。
【岡部委員】  ここまで読んでいただけるかというのが、一番気になっているということです。
【西尾主査】  今、副題をそのようにした場合には、「はじめに」のところに、もう少しその誘導的なことを書くということですよね。
 副題というのは今後、政策的にも非常に大事だと思いますけれども、事務局の方で何かコメント等ございますか。
【長澤学術基盤整備室長】  事務局としましては、学術情報ネットワークというのは、岡部先生が言われたようなSINETと大学のアクセスの部分を含めたネットワーク環境であって、その中には当然、コンテンツの流通のサービスも含まれる。単に回線を借りるだけではないのですということを説明してきておりますので、事務局といたしましては、このままで良いのではないかというのが…。
【小松研究振興局長】  いろいろな考え方があると思いますけれども、一旦、はっと我に返って、最も素人的に、これは分からないといけないと思うんです。今のお話でいきますと、学術情報基盤整備の具体的な議論はSINETの在り方なのだという理解で、本当にいいのかということは、ちょっと不安はありますね。皆さんが本当にそうなんだということであればいいんですけれども、今までの使い方、全体の使い方としてみると、例えば今ここで行われている議論は、今後のSINETの在り方といったときに、SINETとそれ以外の様々な各大学で、今、岡部先生がおっしゃったことですけれども、それとの関連性を時代に合うようにしっかりすることも含めてだという意味だと思いますけれども、今日の御議論を伺っていると。ただ、副題で「SINETの在り方」といったら、そこまで入るんだというふうに読めるかなというのは、ちょっと不安があって。事務方には別に都合はないんですけれども、トータルとして見ると、今後も学術情報ネットワークという言葉を使われると思うんです。それからSINETという言葉も使われると思うんですけれども、それとの間で、SINETということに副題を絞ってしまって大丈夫かなという感じがいたします。
 そこは大丈夫かということですね。
【後藤委員】  単に、併記してはいけないのでしょうか。
【西尾主査】  例えば。
【後藤委員】  例えば「クラウド時代に向けたSINETと利活用環境の在り方」と、両方を並べるのはどうでしょうか。
【西尾主査】  多分、副題としてSINETという固有名詞が出てきてしまった場合に、広く捉えられるのでしょうかということだと思うのですが。
【後藤委員】  では、学術情報ネットワークを残した方がいいということですか。
【西尾主査】  そうですね。
【小松研究振興局長】  中身については、私どもが余りいろいろ言うべきではなくて、御議論を伺って、まとめていくべきことだと思いますけれども、今ちょっといろいろな御議論が出てきていますので、試しにということですが。
 先ほどの御議論の中で伺っていて思ったんですけれども、4ページ目の(3)の一番おしまいに、比較的、学術情報基盤と学術情報ネットワーク──今、SINETの話は外れますけれども──学術情報ネットワークとの関係が、割とうまくまとまっているのではないかという御議論がありました。もし、そうだとしますと、これは当面の方向性を書いていますけれども、その前提として、ほとんどこれと同じことを、方向性というのではなくて、例えば学術情報基盤、定義はしないですけれども、我が国の大学等の教育研究活動を支えている学術情報基盤といったものを実現するためには、クラウド化への対応を含む学術情報ネットワークの高度化が喫緊の課題、あるいは、それが枢要な役割を果たしているという認識を一番頭のところに、定義のかわりに持ってきていただいて。つまり機能の関係ですね。学術情報基盤ということなんだけれども、それにはネットワークがそれを支えるような決定的な部分を担っているんだと書かれている4ページ目のところを、今後の方向性の前に認識として書いていただいて、その次の第2段落へ、多少の修文は要るかもしれませんけれども、そのままつなげていただいて。もし必要なら、その利活用環境において、ほかの大学等も含めて、トータルでそういうものをやっていくことが大事だというのを「はじめに」というところですから、書いていただくと。
 作文技術的な話で、かえって混乱させるといけないんですけれども、今日の御議論でいけば、この定義の話よりも、今の4ページみたいなものを頭に持ってきて、そのまま今ここに書いていただいた、今までの御議論の積み重ねにすっと入れるのかもしれないというようなことも、ちょっと考えていたんですけれども、いかがでしょうか。
【倉田委員】  やはり認識の違いだと思います。学術情報ネットワークといったときに、本当にそれだけで一般の方たちが、各大学でも整備しなくてはいけないものというような広い概念に本当になるのかということ自体が、疑問だということです。
 先ほど美馬先生からもありましたように、コンピュータ資源といえば、さすがに各大学でも、もうちょっと何かしなくちゃいけないんじゃないかないと思っても、ネットワークという言葉が出た時点で、それはもう回線だ。それはどこかがやってくれるもの。それを借りればいいと思うのが、一般的な見方だと思いますが。
 それがいいといっているわけではなくて、そういう認識があるので、私は学術情報ネットワークの在り方といって、それがSINET以上の、各大学が全部整備しなくてはいけないことだというところまで、本当に認識が広がるのかということ自体に疑問を投げかけているということです。
 ですから、ここがSINETでは駄目だということであるならば、全体でSINETは言わない方がいいということですし、逆にこのまとめで言うべきことは、SINETではないのかということを前提にすれば、先ほどのアカデミッククラウド構築に向けてのSINETの在り方では、なぜ駄目なのかが、私にはよく分からないということです。
 これはもう認識の違いなので、学術情報ネットワーク云々(うんぬん)という話を入れるか、入れないかは、ここで決めるしかないと思います。学術情報ネットワークという言葉を入れるのであるならば、一番最初のところで、きちっとした定義を入れない限り、それは無理だと思います。
【小松研究振興局長】  念のために申し上げたいと思いますけれども、SINETと書くのがいけないかどうかというのは、私どもとしてはちょっと判断しかねるんですね。ただ、先ほど来の御議論を聞いておりますと、様々な大学の中で、これはすなわち学術情報基盤整備、教育研究の革新的な機能強化とイノベーションを創出するための学術情報基盤整備というのは、クラウド自体のSINETのことなんだという主題と副題の関係にはなりますので、それで大丈夫ですかということは、不安があるので、確認していただきたいということが一つ。
 それから、学術情報ネットワークという言葉は、今までも使われていますし、これからも使われるであろう。学術情報基盤ということも、そうだろうと。それとの関係、なかなか整理されていない気が確かにするので、整合性といっても難しくて、今までも、そこはかなりオーバーラップしたまま使われていますから、はっきりとした整理までは行かないんですけれども、それとの関係で、ここだけの社会ではなかなかできないということはありますというのが、チェックしていただくときの一つの、これを使ってSINETの予算要求をする武器にするという、率直なことを言えば、そういうことがありますので、私どもとしては、ある意味、焦点がはっきりして、SINETならSINETと書かれていた方が、むしろはっきりしていいという、やりやすい面もあるんですが、ただ一方で、下手をすると、岡部先生がおっしゃっておられるように、各大学とか機関の、つまりお金のない中での戦いになりますから、その優先順位、学校を絞るということですかみたいな議論になるのも、危ないなという。
 そのあたりが、もうちょっとチェックしていただいて、どうされるかをお考えいただきたいとは思います。
【西尾主査】  では、岡部先生。
【岡部委員】  私、NIIの客員をしておりまして、喜連川先生の前でこれを言うのは、けんかを売っているような話なんですけれども、学術情報ネットワーク運営連携本部というところの客員を仰せつかっておりまして、そこでいう学術情報ネットワークというのはSINETだけではなくて、例えば学術認証フェデレーション(学認)、無線LANのローミングの仕組み、eduroam、あるいはセキュリティポリシーの共通化、そういうものを全部含めて学術情報ネットワークとNIIは呼んでいるというふうに私は理解しています。
 その言葉が十分、認知を得ていないのではないかという倉田先生の御指摘は、そのとおりだと思いますし、それはNIIの努力不足だと思いますけれども、少なくともNIIは過去8年ぐらい、そういうターミノロジーでやってきているので、余りふらふらしない方がいいのではないかなと思います。
 以上です。
【西尾主査】  ということは、倉田先生の御意見も重要なのですが、要は、学術情報ネットワークということをここで使うのだとしたら、一旦それを明確にしておく必要はありますね。
【岡部委員】  それを書いていただく必要はあると思いますし、それは今までのいろいろやってきたことと整合するように書く必要があります。今の定義がきちんとなっていないというのは、御指摘のとおりだと思います。
【西尾主査】  それは、書くという前提です。
【岡部委員】  はい。
【加藤委員】  私、さっき頭のパラグラフを切るといいのではないかと申し上げたんですが、それは、学術情報ネットワークという言葉をなくすという意味で申し上げたつもりではなくて、学術情報ネットワークというのは、日本語でいうと学術情報のネットワークですよね。学術情報のネットワークの定義自体が、時代を追ってどんどん変わってきているというのが実態でございまして、最初の段階で、学術情報ネットワークとはということではなくて、最終的にクラウド時代の学術情報ネットワークはこうあるべきだというようなことになるわけでございまして、最初に結論を出す必要はないのではないかということで、最初のパラグラフを外した方が、さらっと行くのではないかということでございます。
 学術情報ネットワークが、最初はネットワークだけでした。これからはコンテンツの流通整備、それから各大学のいろいろなコンピュータ資源を共同で活用するときに、そういうネットワークに変貌しつつあるということで、その中でSINETが重要な役割を果たすのだという整理だと私の方は考えておりまして、学術情報ネットワークが入っているところを各所で見ていきますと、まずは8ページから9ページのところで、学術情報ネットワークの基幹であるSINET、それから12ページ目のところで、同じように学術情報ネットワークの基幹であるSINET、それから、これらの活動は学術情報ネットワーク上で進められると。
 それから海外の学術情報ネットワークの状況、海外の状況について書いてあるのはネットワークの部分だけですが、そういうネットワークが、学術情報ネットワークというのは海外においては、まだ回線の部分のところが中心になっているということですけれども、全体としては、学術情報ネットワークはこうあるべきだということで、最後の18ページのところで、「『はじめに』でも述べたように」と書いてありますけれども、ここの段階で、「『はじめに』でも述べたように」ということを削っていただいて、学術情報ネットワークとは今後こうなっていくんだということで、整理がついているのではないかというのが、私の意見でございます。
 すみません。学術情報ネットワークって、普通の日本語でも別に定義しなくてもよくて、定義するのであれば、用語解説の中に学術情報ネットワークという定義をしていただいて、そこが変化をしつつあるということも、定義の中に入ってもいいのではないかなと私は考えています。いかがでしょうか。
【羽入主査代理】  時間の問題で結論を出すのは、いけないのかもしれないですけれども、一つ提案です。1ページ目の第1段落は削除し、最初に「学術情報委員会では」ということから始め、その次に「我が国の」と、2番目と3番目の段落を逆にし、そこでNIIのSINETが出てくるわけですが。そこで、その後、2につなげていくというので。あとは今までの議論を少し念頭に置きながら、用語の使用を精査していくというふうにするのでよいのではないかという気がいたします。
 場合によっては、先ほど4ページの「情報通信技術が急速に進展し」というのがありますけれども、それを「はじめに」の部分に少し持ってくるかどうかは、また考えればいいのかというふうな気がいたしますが、いかがでしょう。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 美濃先生、どうぞ。
【美濃科学官】  岡部先生がいろいろ言ってくれたので、余り言うことはないかなと思っていたんですけれども、今回、SINETで整備するのは大学間の回線ですよね。大学がSINET接続までのお金を払うという話なので、できる全体としてのネットワークというのは、SINETではなくて、学術情報ネットワークと呼ぶ方がいいのではないかと思います。
 アカデミッククラウドというのが、ぼやっとして、定義がきっちりされていないような気がするんですけれども、学術情報ネットワークの上に構築できる、先ほどパブリックとアカデミックがどう違うのだという話がありましたが、クラウドの話というのはすごくややこしいので、基本的な定義としては、学術情報ネットワークを利用してできるのをアカデミッククラウドという。それ以外のものを使ってしまうと、もうパブリックだというような考え方。大学内でクラウドを作るのはプライベートだというふうに一応整理し、それが一般的に正しいかどうかは別にして、ここではこの概念でいきますよというふうにまとめた上で書くと、すかっとするのではないかという気がします。
 言葉の整理のところで、ネットワークの構造と物理的な話と、どこを予算要求して、実際はどの議論をしているんだという話を明確にする方がいいのではないか。私は、こういうふうに整理すればいいのではないかなと思います。
【西尾主査】  そうしましたら、最終的に当方の判断としまして、倉田先生の貴重な御意見を先ほどから拝聴させていただいておりますけれども、一応、今回の資料の審議のまとめの整理の中で、今、美濃先生におっしゃっていただきましたように、SINETの拠点のところまでつないでいく各大学側からのいろいろな関わりも、それなりに必要なところでございますので学術情報ネットワークという言葉を使うということで、今回は行かせていただきたいと思います。
 今、羽入先生の方から御提案いただきましたような、段落を入れかえたりするとか、学術情報ネットワークという言葉の使い方に関しては再度、全体を通して見直すということで、この審議まとめがSINETの機能強化に関しての財政支援を導くものであり、各大学における情報基盤整備に外から力を与えるという観点で役立てるものとして、世に出していきたいと思っております。
 最後、美馬委員。
【美馬委員】  最初のタイトルにある「教育研究の」というところ、これナカグロ要らないですか。教育研究というと、普通は教育の研究になるのですけど。教育と研究という意味ですよね。そうすると、「教育・研究」かな。どうですか。
 そうすると、すごくこのタイトル、長くなってしまうので、次の「革新的な」は、次、「イノベーション創出」とあるから、そこダブるので、「教育・研究の機能強化とイノベーション創出」ぐらいで、いいのではないでしょうか。
【倉田委員】  教育研究はこれまでも多分、ナカグロなしで、全部来ていると思いますけど。
【美馬委員】  そうですか、それでは結構です。
【西尾主査】  今、大学関連では多分、教育研究ということで、両方含めた意味になっていると考えます。
【美馬委員】  そうですか。わかりました。
【西尾主査】  そのときに、研究を前へ持ってくることは、ほとんどしないと思います。
【美馬委員】  それなら結構です。
【西尾主査】  できましたら、タイトルには「学術情報基盤整備」という言葉を入れたいので。
【美馬委員】  分かりました。
【羽入主査代理】  「革新的な」をとるのね。
【西尾主査】  「革新的な」が要らないということですね。
【羽入主査代理】  イノベーションと。
【西尾主査】  はい。「教育研究の機能強化とイノベーション創出のための学術情報基盤整備について」ということでよろしいですか。ここは、喜連川先生にとっては大事だと思いますので。「教育研究の機能強化」というときに、「革新的な」という言葉をとっても良い。
【小松研究振興局長】  これも、私どもとしては、どちらでもあり得ると思っておりますけれども、念のためですが、この「革新的な」というのは、ある種、特別の含意を持っているかどうかだと思うんです。例えばアクティブ・ラーニングとかそういった、以前の審議まとめでおまとめいただいた、ぐっと進めたものがありますけれども、ああしたものに特に力点を置いて、やるんだということをもし言うというのであれば、そういう意味で、符号としては残しておいた方がいいかなと。
【西尾主査】  美馬先生、私は、この「革新的な」ということは、学術情報基盤整備をすることによって、教育研究の革新的な機能強化が図られるということなので、できましたら残したいのですが。
【美馬委員】  分かりました。そんなにこだわりません。何か長くなってしまうなと思ったので。
【西尾主査】  分かりました。
 そうしましたら、委員の皆様にはこれまで有意義な御意見、御審議を頂き、本当にありがとうございました。改めてお礼申し上げます。
 それでは、この審議のまとめ(案)についての審議としましては終了といたしまして、事務局の方から何かございましたら、お願いいたします。
【下間参事官】  すみません。その結果として、いろいろ御意見を賜って、整理をしなければいけない点がございますけれども、その点については、主査に一任を頂くということで、よろしいかどうかを確認…。
【西尾主査】  皆様方、よろしいですか。当方に御一任いただきまして、先ほどの用語集のこと等も多々ございますが、今後進めさせていただきたいと思います。
 では、事務局の方から、是非、一言お願いいたします。
【長澤学術基盤整備室長】  本日、最後までいろいろ御意見いただきまして、本当にありがとうございます。また、直前までメール等でやりとりをさせていただきまして、大変感謝申し上げます。
 この審議まとめ(案)につきましては、先ほど主査からも御説明ありましたけれども、本日の頂いた御意見等を踏まえまして修正を行って、主査に御確認いただいた上で確定して、また先生方にも御送付はさせていただきたいと思います。その後、関係各省へ速やかに発信できるように準備を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
【西尾主査】  では、松本補佐の方から、一つ報告があるようでございますので、どうかよろしくお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  簡単に御報告だけさせていただきます。参考資料の参考1でございます。6月3日に開催されました科学技術・学術審議会の総会で配付された資料の抜粋でございます。
 1枚目でございますけれども、総合科学技術会議が総合科学技術・イノベーション会議へ改組されたということでございます。
 2枚目から3枚目にかけましては、科学技術イノベーション総合戦略2014の原案でございます。こちらにつきましては、来週中にもCSTIで決定されて、閣議決定をされるという予定になっているものでございます。
 それから、4枚目でございますけれども、科学技術・学術審議会におきまして、新たに総合政策特別委員会が設置されているということでございます。
 最後のページでございますけれども、そちらの検討スケジュールについての御紹介でございます。第5期科学技術基本計画の策定に向けた検討が本格化するということでございまして、そちらの議論に資するように総合政策特別委員会においても、このようなスケジュールで議論が行われていく予定となってございます。
 簡単でございますが、報告は以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、今後の予定等についても、続けてお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  本日会合の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で、公開とさせていただきます。
 次回の本委員会でございますけれども、少し間が空きまして、9月3日水曜日の開催を予定しております。時間は13時から15時、場所は3階の3F1特別会議室となってございます。
 次回以降につきましては、第5期科学技術基本計画策定の検討が本格化していきますので、その議論に資するような学術情報基盤の役割等についての御審議をお願いしたいと考えております。
 9月3日以降の会議日程等につきましては、また改めて日程調整のお願いをさせていただくと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【西尾主査】  それでは、この委員会としまして二つ目の審議のまとめが、今日までの皆様方の積極的な、また献身的な御議論によって何とかめどがついたということで、心よりお礼申し上げます。貴重な時間を多々頂きましたことを心よりお礼申し上げます。
 それでは、閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

── 了 ──

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