資料1 今後の科研費の在り方についての基本的な視点について(素案たたき台)

 科学技術・学術審議会学術分科会「学術研究の推進方策に関する総合的な審議について」(中間報告)(平成26年5月26日)に提示された「改革のための基本的な考え方」(※)等を踏まえ、今後の科研費の在り方については、研究者としてのステージや学問分野の特性などにも配慮しつつ、次のような視点で検討することが必要ではないか。

○ 「挑戦性、総合性、融合性、国際性」といった現代的な要請に着目しつつ、学術研究の多様性を進化させ、卓越した知の創出力の強化や学術研究の本来的な役割の最大化を図るために、科研費の審査や応募分野を、(1)多様で水準の高い学術研究の推進の観点とともに、(2)そのような質の高い多様性を基盤とした分野・細目にとらわれない創造的な研究を促すといった観点も踏まえて見直すことが求められるのではないか。

○ 女性や海外の日本人、若手を含む優秀で多様な研究者が、学問的水準に基づく審査の評価を得て、自ら構想と創造性に基づいて学術研究を持続的に発展・展開することができるという観点から、科研費の仕組みや審査の在り方等を見直すことが求められるのではないか。

○ 成熟社会である我が国の学術研究が国際的な研究者コミュニティ―をリードし、国際社会における我が国の存在感を維持・向上するためには、若手研究者を中心として、国際的な研究者ネットワークの形成や国内外における国際シンポジウム等の企画や中心メンバーとしての参画を積極的に支援し、質の高い国際共同研究や海外研究ネットワークの形成を促進するという観点に留意することが必要ではないか。

○ 大学の強みや特色を活かした学内外の資源の共有・再配分や教育研究組織の再編成を促す「国立大学改革プラン」をはじめとする大学改革と連携・連動して、科研費以外の競争的研究資金についても学問的卓越性を踏まえた研究水準の向上、若手人材の育成やそのキャリアパスの確立といった観点を横串とした制度設計を促しつつ、「デュアルサポートシステムの再構築」という文脈の中で科研費の意義や役割を明確化することが必要ではないか。

 なお、科研費改革に当たっては、

(1)平成23年度から導入された「学術研究助成基金」について、分野横断型・創発型の丁寧な審査の導入等により必要となるアワードイヤーの実現や、海外研究者との国際共同研究等の推進において日本側の会計年度の制約が共同研究上の支障になることのないようにするなど、研究費の成果を最大化する観点から、その充実を図ること、

(2)将来の科学技術イノベーションに広く貢献する成果を継続的に生み出していくための戦略的な基礎研究の在り方について審議している「戦略的な基礎研究の在り方に関する検討会」の議論等を踏まえ、学術動向調査などの大学・学術政策や科学技術政策への反映、イノベーションにつながる科研費の研究成果等を最大限把握・活用するためのデータベースの構築等、

が求められていることに留意が必要。



(※)「学術研究の推進方策に関する総合的な審議について」(中間報告)(抜粋)

(科研費については)これまでも審査体制の充実や基金化の導入など学術研究の発展の観点から様々な改革を行ってきたところであるが、さらなる充実を図るため、
・より簡素で開かれた仕組みによる多様な学術研究の推進とそれを基盤とした分野・細目にとらわれない創造的な研究を促すための分野横断型・創発型の丁寧な審査の導入や応募分野の大括り化(その先導的試行としての「特設分野研究」の充実)等
・学術動向調査などの学術政策や科学技術政策への反映、イノベーションにつながる科研費の研究成果等を最大限把握・活用するためのデータベースの構築等
・グローバル・リサーチ・カウンシル13等学術振興機関間の交流や連携も活用した国際共同研究や海外ネットワークの形成の促進
・卓越した若手や女性、外国人、海外の日本人など多様な研究者による質の高い学術研究支援の加速
などのための改革に、研究者としてのステージや学問分野の特性などにも配慮しつつ取り組むことが必要である。なお、平成23年度から導入された「学術研究助成基金」については、上記のような丁寧な審査の導入等により必要となるアワードイヤーの実現や、海外研究者との国際共同研究等の推進において、日本側の会計年度の制約が共同研究上の支障になることのないようにするなど研究費の成果を最大化する観点から、その充実を図る。

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研究振興局学術研究助成課企画室企画係