資料3-1 第7期研究費部会における検討課題について

1.研究費部会報告等において引き続き検討すべきとされている事項

(1)研究費の在り方について

○ 基盤的経費と競争的資金双方による支援(デュアルサポート)の重要性を踏まえつつ、我が国の研究力の強化に向け、研究費制度はどう対応していくべきか。
○ 調達システムの効率化や国産先端機器の開発支援等、限られた研究費の効率的・効果的な使用に向けた改善方策について。
○ 論文不正等に関する研究者倫理の向上と研究費の在り方について。

<参考>「第6期学術分科会における主な審議経過及び今後の検討課題」(平成25年1月10日科学技術・学術審議会学術分科会)P9~P11

○ 大学等の研究を支えるデュアルサポート等の基本的な枠組みの重要性を認識しつつ、長期的な視点から、明確なビジョンを持って学術研究を推進していくためには、「学術研究の推進について」(平成23年1月17日、第5期学術分科会)で提起された、基盤的なシステムの整備、研究環境の改善、学術研究職の魅力の確保、国際化の推進、学術研究と社会との関わりといった現状と課題について、継続的に検討することが必要である。
その際、学術研究を巡る国際的な評価軸、学術研究を国際的にどのように進め、発展させていくのかといった視点が重要である。
○ 国際的に進展する学術の動向を見据えながら、さらに魅力的なグラントとして育てていく視点から、審査の改善に加え、研究費の効果的な使用、成果発信など科研費制度の更なる充実改善を図っていく方策についても検討が必要である。
○ 研究活動における不正行為については、研究者に厳格な自己規律が求められ、大学等においては教育研修が求められるが、それとともに研究費を配分する機関における研究者倫理の向上を促すための方策等について検討する必要がある。

<参考>「第7期科学技術・学術審議会への申し送り事項」(平成25年1月17日科学技術・学術審議会総会)

○ 研究開発に用いる機器等の一層の開発や、調達、普及促進を適切に行うために、海外事例の調査を行うとともに、研究費の在り方や、自ら機器を開発しそれを使って実験することを促進す仕組み等についての検討を進めるべきである。

(2)科研費制度の検証及び効果的・効率的な配分の在り方について

○ 科研費による研究成果の把握、分析。
○ 学術研究の多様性・独創性という基本理念を踏まえ、分析結果に基づいた科研費制度の検証。
○ 検証の結果及び研究種目の在り方に関する議論も踏まえた効果的・効率的な配分の在り方の検討。

研究種目の在り方に関する議論の例

  • 「基盤研究」を構成する研究種目の応募総額・構成及び研究期間の在り方。
  • 人文・社会科学系等研究分野の特性に応じた支援策。
  • 若手研究者のグループ型研究の支援。
<参考>「科学研究費助成事業(科研費)の在り方について(審議のまとめ その2)」(平成24年7月25日科学技術・学術審議会学術分科会研究費部会)P15
○ 学術研究は、必ずしも短期間に明確な成果が現れるとは限らず、また、研究分野により研究成果として捉えられるものが異なるという特性があるため、画一的・短期的な指標による評価にはなじみにくいという性質を有している。しかしながら、国費を投入して行われる事業については、可能な限り科学的根拠に基づく指標を用いながら政策立案及び評価を行い、その結果をわかりやすく説明するという社会的責任がある。科研費により行われた研究についても、一般的に研究活動に関し論文数や論文の被引用回数などの定量的な指標が用いられることが多い現状において、科学的根拠に基づく政策立案という観点から、どのような指標を用いて評価を行い、対外的に説明をしていくことが適当であるのか、そのためにどのようなデータ構築が必要であるのかについて、今後引き続き本部会において検討を進めていくこととする。
<参考>「第6期学術分科会における主な審議経過及び今後の検討課題」(平成25年1月10日科学技術・学術審議会学術分科会)P10
○ あらゆる分野にわたり研究者の自由な発想に基づく学術研究を振興する科研費について、学術研究の多様性・独創性という基本理念を重視しつつ、我が国の将来の発展を見据えた効果的な支援を継続的に図ることが重要である。そのため、研究分野や研究種目毎の研究者のアクティビティなどを把握・分析し、その結果を踏まえて、効果的・効率的な科研費の配分の在り方等について検討を行う必要がある。その際、研究分野により研究成果として捉えられるものが異なるという特性や、大学等の基盤的経費の削減等の我が国の学術研究全体を取り巻く状況を踏まえる必要がある。

(3)その他

○ 学術研究の国際化に対応した科研費による研究成果の効果的な発信について。

2.第6期研究費部会第9回(最終回)における主な意見

(1)学術振興上の課題について

○ 若手研究者を支援するためにも、研究者の「時間の劣化」について議論する必要がある。
○ 研究費制度を効率的・効果的に運営するためのシステム整備が欠けている。イノベーションを生み出すためには、大学改革のための総合的なガバナンスの改善やURA、インターンなどを含めたトータルの人事制度の改革が必要。
○ 科研費制度とともに研究機関が基盤的経費により何を整備すべきなのかについても議論が必要。科研費の在り方については、研究費全体の在り方とパッケージで議論をする必要がある。

(2)科研費制度について

○ これからの学術の在り方については、「知の創造」という根幹を踏まえながら、社会や世界との「知の循環」をいかに構築していくかということが非常に重要となる。そのために科研費制度において、地球規模の課題から発した研究を支援すること、人文・社会科学と自然科学との融合を促進することが重要になるのではないか。
 また、若手を学術の世界に向かせるという視点から科研費の在り方を検討していく必要がある。
○ 従来の科研費の制度設計は若手対象種目を除けば研究費の規模による区別となっていたが、今後は、金額と研究期間の二次元の制度設計について議論してほしい。
○ 研究期間と配分のピークを含めた予算配分の在り方について検討する必要がある。
○ 基金化の成果についても引き続きフォローアップが必要。
○ 科研費の制度としての統一性は重要であるが、一方で、使い勝手を良くし、成果創出を促す上で分野により異なるニーズに対応できるようにする必要がある。
○ 公平性、競争性を重視するあまり評価に時間を費やし、研究者が研究に専念する環境を損なうことのないようにするという視点も重要である。

3.第7期研究費部会における検討課題(案)

(1)研究費の在り方について

○ 他の競争的資金や大学等の基盤的経費などを含めた中での科研費の在り方及び他の研究費制度との連携について
○ 調達システムの効率化や国産先端機器の開発支援等、限られた研究費の効率的・効果的な使用に向けた取組について
○ 研究活動における不正行為をなくすための研究費制度における取組について
○ 人材養成の観点から見たファンディングの在り方について

(2)科研費制度について

○ 科研費制度の検証のための指標について
○ 検証結果及び下記の観点を踏まえた効果的・効率的な配分の在り方について
  ・基盤研究等における研究期間と研究費の適切な設定
  ・分野ごとに異なる特性
  ・若手研究者の支援
○ 社会の要請を踏まえた研究や、分野融合的な研究の支援を促進するための改善策について
○ その他今後の科研費制度において対応すべき課題について

(3)科研費の成果の発信、活用について

○ 国際化への対応等、学術研究をめぐる環境の変化に応じた科研費による研究成果の効果的な発信、活用のための取組について

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