資料2 学術の基本問題に関する特別委員会(第6期第1回)における主な意見

【総論】

○ 学術はどういう力を発揮できるのか、誰のために何のためにあるのか、掘り下げて検討すべき。また、社会に向かってなぜ学術が重要なのかをアピールし、いかに信頼を得ていくかは重要な課題。文化としての学問の重要性を堂々と議論することが重要。

○ 研究者は条件を仮定して議論する。安全の条件も仮定に基づくものである。研究者はここまでは正しい、ここからは分からないということをきちんと示すことが重要。

○ 大変な危機に直面しているこの時期に、震災を目の当たりにし、そこからいかに脱出するかという議論が科学技術・学術の発展につながるという理念に立ち、災害をどう受け止め、学術研究をどう進めていくべきかの議論が必要。

【学術振興上の重要な課題の検討の視点】

○ 大震災について、想定外であった部分、備えがあって機能した部分も含めて科学的な調査を踏まえながら、検討を始めるべき。今後の学術振興を考える上で極めて重要な経験となる今回の大震災を生かさない手はない。研究ターゲットや研究スタイルについても、震災と関連づけて考えることが必要。

○ 「重要な課題」を議論する際に、震災は意識せざるを得ない。これまでの研究の在り方、進め方について、どのような問題があったのか、振り返るべき。

    震災関連では、科学技術の問題だけじゃなく、現在の社会システムそのものが弱さを露呈しており、社会の在り方を検討する上で、一つの大きな素材を提供していると言える。

○ 日本では、研究者が大学の中に閉じこもっていて、社会の中の大学ではなく、大学の中の研究となっている。そういう意味で、大学の在り方そのものが問われている。

○ 学術研究の内容まで踏み込んで議論するより、学術システムのボトルネックを解消するには何が必要か議論する方が有益。

○ 異なる分野の研究ターゲットを相対評価せざるを得なくなると思うが、学問的に重要かどうかの相対評価ができるのか危惧される。

【研究ターゲットについて】

○ ターゲットを「国際的趨勢を踏まえた」ものとすると、多様性がある意味絞られてしまう。「趨勢」や「影響力」をあまり重視すると、独創的な個人の学術研究の芽を摘んでしまうおそれがある。国際性も同様。

○ 国際的趨勢など取り組む必要があると分かっているものはGCOEなどで実施されている。今の日本でどうして劣っているのか、現状評価した上で議論すべき。

【研究スタイルについて】

○ 日本にも優れたやり方がある。日本の文化や習慣などを十分踏まえた上で、日本でどうするか、独自の手法、研究スタイルを出していくことが必要。

○ 現下の財政状況を踏まえると、連携型、協調型の研究スタイルが重要。

○ テクニシャンの育成など研究を支援するシステムを作っていくことが重要。研究費の配分の偏りにより地方の中小規模の大学ではそのようなシステムを作ることができない。日本全体の底上げのためにも、研究費の配分、システムの構築が必要。

【施策への反映について】

○ デュアルサポートについての理論武装が重要。なぜ必要か、どう配分すべきか、理論的根拠についての検討が必要。

○ プロジェクト研究助成の欠点は対象を断片化する点にある。限定性の強いプロジェクト研究助成をいかに包括化、継続化、構造化するかという検討が必要。

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