第6期研究費部会(懇談会) 議事録

1.日時

平成23年6月2日(木曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律の成立について(報告)
  2. 今後の議論の進め方について
  3. 科研費予算について
  4. その他

4.出席者

委員

平野部会長、小谷委員、小林委員、佐藤委員、深見委員、岡田委員、北岡委員、小安委員、家委員

文部科学省

倉持研究振興局長、戸渡大臣官房審議官(研究振興局担当)、渡邊学術研究助成課長、岸本学術研究助成課企画室長ほか関係官

オブザーバー

独立行政法人日本学術振興会 学術システム研究センター村上主任研究員、小山内研究事業部長

5.議事録

(1)本日の議事運営について

【平野部会長】時間となりましたので、会議を始めたいと思います。
 お手持ちの議事次第のように、本日は、「独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律の成立について(報告)」と、「今後の議論の進め方について」、「科研費予算について」、「その他」という順番で進めていきたいと思っております。
 お断りをしなければいけないのは、事前に第2回研究費部会として本日の会議をご案内しておりましたが、残念ながら出席人数が定足数に達していないということでございます。大変残念でございますが、そういう意味では、規定によりまして正式な研究費部会ということにはならず、懇談会という形で進めざるを得ないわけであります。しかしながらせっかくここに時間を割いて委員の先生方に出席いただいておりますので、きちんとした議論をしていただき、議事の公開及び議事録の公表については、通常の部会と同様の扱いをさせていただき、今日の議事録をご欠席の委員の方々に速やかにお送りをして、そして次回の委員会までに、先生方からもご意見を寄せていただいて整理をし、次回の部会に備えていきたいと、こう考えておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

(2)「独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律の成立について(報告)」

事務局より、資料2「『独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律』関係資料」に基づき説明があった後、審議が行われた。

【平野部会長】  ただいま説明をいただいたところでありますが、この件につきまして、ご質問等がございましたら是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【小安委員】  これが実現したのは、非常にありがたいというか、待ちに待ったことだと思います。
 それで、国会において全会一致で可決されたということ、それからこの附帯決議を見ますと、さらに前に進めろということが書いてあるので、非常にありがたいことだと思います。
 質問を1つと、コメントが1つあります。この附帯決議の1番にあるようなことに基づいて、先ほどの資料を各機関に配ってくださったと思いますが、前回もお願いしましたように、この運用に関しては、十分に周知を、是非よろしくお願いします。きちんと書いていただいているとは思いますが、これは本当に実行されなければ意味のないことだと思いますので、是非よろしくお願いします。
 それから、一部だけが補助金の中で基金化されたということで、資料を見ると「助成基金」という名前にはなっていますが、研究費そのものは今までと変わらず「科学研究費補助金」として大学に交付されていると思います。やはり、新規採択分と継続分と、どうやってきちんと区別をつけるのかなというのは若干気になりますので、やはりその辺をきちんとしていただきたいということがあります。
 それからもう一つは、この附帯決議の2番目ですが、これはかなり大事なことが書いてあると思います。執行状況等を踏まえて基金化による効果を検証して、さらに拡大せよと書いてありますが、この検証をどのように行って、誰がやるのか。やはりきちんと検証してどんどん先へ進めるという方向に私たちとしてはいってほしいと思いますが、ここをどうとらえていらっしゃるのか、ちょっと教えていただきたい。この2点です。

【平野部会長】今、大変重要なご指摘をいただきましたが、事務局、何か説明していただけますか。今ご発言いただいたことについては、この後、今後を踏まえてという検討項目の中にもご意見をいただくようになっておりますが。

【小安委員】  そうですか。失礼いたしました。

【平野部会長】  いいえ、今の段階で、周知等を含めて回答をいただけるところがあったら、よろしくお願いします。

【渡邊学術研究助成課長】  周知に関してですが、制度は作ったけれども、きっちり年度末に使えるようにしないと意味がありません。今後、説明会をやり、基金の部分については、特にしっかり周知していきたい。

 特に、同じ基盤研究(C)でも、基金の部分と補助金の部分があるので、補助金でも繰越が自由になったというふうに誤解されている研究者も多いと思います。そういったことで、また何か不正であるというようなことが生じてはいけませんので、そこのところの周知は、今年は徹底してやってまいりたいと思っております。

【平野部会長】 今、ご質問のもう一つ、どのように今年から始まったか、またこれまでのものと区別をして、きちんと伝えているかという点について。周知をきちんとしているということでしょうか。

【渡邊学術研究助成課長】  通知ではそういった旨を書いておりますけれども、多分、それだけでは十分ではないと思いますので、先ほど申し上げましたように、説明会においてわかりやすく、きっちり伝えてまいりたいと思っております。

【平野部会長】   検証した上で拡大を図るように努めることは重要なことだと思いますが、これについては、この後のところで皆さん方からご意見をいただいて、是非研究者の方が対応できるように持っていきたいと思っております。これは、ここの部会の重要な務めだと思っております。今後、引き続きずっと議題にしながら進めます。

(3)「今後の議論の進め方について」及び「科研費の予算について」

事務局より、資料3「今後の議論の進め方について」、資料4「最先端研究開発支援プログラムにおける基金の活用に関する調査結果」及び資料5「科研費の執行に関する『研究機関における現状』の調査集計結果」に基づき説明があった後、審議が行われた。

【平野部会長】 大変丁寧にアンケート等をとっていただいておりますので、この部会で討議する上でおおいに参考になると思っております。
 まず資料だけについて、ご質問があったら、お受けしたいと思いますが。資料については、よろしいでしょうか。

 それでは、資料3を見ていただきたいのですが、資料3の一番最後、例として、あまり話が拡散してもいけませんので、主にこの3点のところから議論をして、収斂できるところについてはきちんとまとめていきたいと思っております。先ほどもご質問がありましたように、基金化の検証については、1件、科研費関係ではありませんが、報告をいただきました。科研費については、今年度、始まったところでありますので、また次年度以降、さらにこういうようなアンケートをとって、検証のあり方を含めて見ていただきたいと思っております。
 まず、第1番目に、平成24年度科研費予算において優先的に取り組むべき事項について、皆さん方のお考えをお聞きしていきたいと思います。これは、先ほども冒頭にお話がありましたように、うまくきちんと説得力あるような形で提言ができるならば、次年度の予算のほうに反映して持っていきたいということを背景に含んでおります。
 当然、基金化については、執行、運用のこと、あるいは不正防止にどう役に立つのであろうかとか、あるいは検証を含めてどう見ていくかということについては、またその後にでも、議論を引き続いてしたいと、こう思っております。
 まず、ここに(例)として挙げてありますが、採択率の向上あるいは配分額の拡充、すべて基金というよりか予算そのものに関わってくるのですが、以前からよくこういう会で意見がありますように、増やしてくれ、増やしてくれだけでは、通りようがないものですから、説得力ある説明が必要だと思います。正直言って、以前から比べると、よくここまで持ってきていただいたなというのも、実際、一緒にやらせてもらった者の1人としては感謝の気持ちであります。
 もう一つ、実は、ここでありますように基金化は3種目にとどまっていますので、この要望にもありますように、種目を増やして、かつその種目間での事務的な手続をあまり差別なく、より統一化をしてくれということもあるわけでありますが、その基金化の対象種目をどう拡大するか、まずどういうようなものを対象としていったらいいかということに、ついてご意見をいただきたいと思います。

 ちょっと1番目としても議論すべき点が多いのですが、まずご自由に発言をいただきたい。よろしくお願いします。

【北岡委員】まず、最初の採択率の向上と配分額の拡充というのは、これはリンクしていまして、例えば今年度は、基盤研究(C)と挑戦的萌芽研究、若手研究(B)の採択率が30%いったと。ところが、平均配分額を見ると、500万が上限なのに大体半分ぐらいであると。それはトレードオフの関係があって、この採択率の向上あるいは配分額の拡充というのをどういう視点でやるかというときに、やはりこのデュアルサポートが難しい現状で、運営費交付金の減る現状の中で、全体の科学研究費を含めて研究費の底上げという意味では、額は少なくても採択率の向上を中心に、平均配分額の上昇ではなくて、まず採択率の向上を目指すという視点があります。
 よりグレードの高い基盤研究(B)がボーダーで、そこについても、あるいは採択率の向上をさらに上げて、その配分額の拡充をちょっと犠牲にしても採択率の向上を上げるとかですね。
 さらに、基盤研究(A)とかかなり金額の高いものに関しては、やはり、ある程度配分額の拡充を目指すとか。そういう、ちょっと全体の限られた予算の中をどう割り振っていくかということを踏まえた議論をしたほうがいいのではないかというのが、私の意見です。

【平野部会長】まさに、どんどんと総額は増えてくることを望みますけれども、あるところの制約がかかってくることも間違いありませんので、そういう中で、今のトレードオフには行かないようにしたいと希望しますが、まあ、それを少し頭に描きながら、どこを重視するかということも考えなければならないと思います。まさに、今、ご指摘いただいたようなところを、ここで、この2点については議論をしていきたいと思っておりますが、今の点についていかがでしょう。

【小谷委員】トレードオフといいますか、配分率と採択率のバランスということですと、こちらの資料3の1ページ目にありますように、研究分野の特性が生かされていないということもあるかと思います。研究分野によって、採択率のほうを上げてほしい、配分額を上げてほしいと随分違いますので、その辺、24年度に反映できるかどうかは難しいと思いますが、含めてご議論いただければと思います。

【平野部会長】基本的には同じようなご意見だと思いますが、そのほか、この点についていかがでしょうか。

【小安委員】私も、今の点に関して、やはり分野によるニーズというのをもう少しきちんと精査するということは、どこかでやはりやったほうがいいと思います。ただ、それが来年度に反映できるかどうかというのはかなり疑問だと思いますが、いろいろな分野の方からご意見をいただくということもやって良いのではないかと思います。

【深見部会長代理】今、採択率拡充、そういうお話がありますけれど、まず基金化との関係で質問です。今回行われた基金化には、おおむね非常に賛成意見が多いということで、全種目についても、こういう形で基金化したいという要望だと思います。
 ただ、その前に検証をどういうふうにやっていくかということにもなると思います。まず今のアンケートを行ったものが、最先端研究開発支援プログラムという、ある意味、ちょっと特殊な環境でのアンケートですが、今回、基盤研究(C)、それから若手研究(B)ということで、全体的な意見を反映できるような仕組みが整ったわけですけれども、検証に当たっては、そういったところの検証が必要なのかどうか。例えば、今のこの最先端研究開発支援プログラムのこういうような検証結果があるから進めていっていいのかという、そのあたりの方向をちょっとはじめに少し決めたほうが。例えば予算化するときに、基金化というのはすごくお金を要することなので、ほかの採択率拡充などと並行してできるのか、そこのところのバランスというのを、先にどういうふうに考えていったらいいかというところを、ちょっとお願いいたします。

【平野部会長】  私は部会長で、あまり発言をしてはいけないと思いますけれども、ちょっと整理をしながら話を進めたいと思っています。
 今の深見委員のご発言、もっともでございますが、今、話を見ていくときに、こういうふうでいかがかと思うのですがいかがでしょう。まず、基金化の対象について、基金化の検証をしながら拡充を求めるということは当然必要であります。そうしなきゃいけないのですが、今、その基金化に持っていく段階の中で、どうしても採択率だとか、その中にある種目の上限といいますか、配分額の問題もありますので、全部相互に関係はあるわけです。関係はありますけれども、1つ、このような考えはいかがかと思うのですが。基金化との関係も含めてということの上で、採択率の向上と、配分額の拡充について、種目ごとに、アンケートをとるかどうかは別にして、種目ごとの検討を含めて、もう少しきめ細やかに対応したらいかがかと、こういう意見ではないかと思いますが、まず、それについてはいかがでしょうか。

【深見部会長代理】大体わかりましたけれども、要するに基金化を来年度やるということは、それだけで、例えば今年度と同じような採択率で、配分額も同じようにしたとしても、予算の拡充がかなり必要なわけですよね。
 ですから、そういったものをあまりいじらなくてもやっていくのか。要するに、先に基金化というほうを優先していくのか、それとも、基金化というものはもう1年待つというところで、ほかの採択率、充足率、そういったものをもう少し考えていくのかという、ちょっとどちらにウエートを置くのかなという、そこがわからなかった。

【平野部会長】  わかりました。失礼しました。
 今のところで、これ、部会長としてちょっと私の思いが強過ぎたのかもしれません。
 まず、なるたけ基金化の方向で動けないかという思いがずっとあったものですから。今、その種目は限られておりますけれども、その基金化の対象種目をなるたけ拡大をしていきたいと。
 ただ、先ほどの附帯決議にありましたように、「検証しながら」となっておりますので、この拡大要求をするときに、金額も含めてですが、拡大をしようと思うと、検証が必要なのです。今、検証はこの最先端研究開発支援プログラムの1件だけであり、科研費ではない1件をきちんとまとめていただいておりますが、本来の科研費の中での検証ということになると、まず1年経ちませんと検証実績は難しいかなと懸念しますが、そこをどういうふうに、理解いただくように、予算の増額の、あるいは種目の追加のお願いをするかというのは、ここで同じように議論していただきたく思います。
 しかし、採択率の向上というのはずっと前から、ここの部会でも議論されておりまして、20%を超えていきたい、30%に持っていきたいと要望されています。
 今、お話がありましたように、本当は基盤的経費が十分充足されながら競争的資金に行くべきでありますが、残念な状況にもあるところから見ると、少し基盤に近いような部分の、今のご発言は基盤研究(C)だとしますと、その部分は、採択率を少し上げるような努力をしてはいかがかというご提案でありますが。
 完全に議論が分かれているわけじゃありませんけれども、ちょっとそこを詰めていきたいと、思っております。どちらも同じ方向だとは思いますが。いかがでしょうか、今の点についてご意見をお願いします。

【岡田委員】ちゃんと今のご議論をフォローしているどうか、ちょっと怪しいのですが、採択率か配分額かというふうなことになりますと、それはやはり今、全体のお金が十分あるとはもちろん言えないような状況で、ますます将来的には拡大されるかどうかも危ないというふうになってくると、やはり採択率というのは、日本の全体の研究者の不満を、ある意味、抑えながら、若手の人たちの、特に研究者という職に対する不安そのものをできるだけ和らげるというふうな意味でも、採択率を上げるということは、私はまず大事だと思います。むしろ、配分額の拡充よりも、そちらのほうが大事なのではないかというふうに、何度か申し上げており、そのように思います。
 それで、もっと前に、早い時期にお話し申し上げるほうがよかったかもしれませんけど、科研費全体が、特に、この平成24年度になりますと、今の震災の問題とかいろいろありますし、その影響で、ダイレクトな震災対応のお金がたくさん要る。どれだけ要るかわからないというふうなこともありますし、あるいはそれの二次的な影響として、日本の税収が来年度以降どうなるかというふうなことで、なかなか、あまり増大するという見通しがないようですし、そんなことになったときに、科研費全体の枠というのは、23年度は非常に上げていただいたわけですけど、それを死守するというか、そこを是非とも、まず確認するのが必要ではないでしょうか。そこのところは、文科省の関係の方々が体を張って、やっていただけるのではないかと期待しているのですけれども、まず、それを是非とも確認をというか、依頼をした上での話だと思います。

【平野部会長】  わかりました。重要なご指摘だと思います。総額が減ってくると、かなり難しい状況になることは事実でありまして。

【佐藤委員】ただいまのご議論と関連いたしますけれど、私、この前から科学技術・学術審議会の総会に出ていて、少し心配をしていますが、野依会長は、このごろいつも、こういう学術研究についても、ある程度、目標を定めて、それに応じた資金の用意をしていくという方向が必要ではないか──私、ちょっと誤解をしているのか、真意がよくわかっているのかどうか自信がありませんけれども。つまり、学術研究についてもある程度国家的な目標のようなものを作っていって、資金を確保していかないといけないのではないかと私には聞こえるんですね。それは、科学予算を確保するためにさんざん苦労された野依先生の思いとしては、理解はできますけれども、我々のこの科学研究費というのは、どちらかというと、それぞれの研究者の自発的な発想、自由な発想というものをサポートしていくものですから、その論理でいってしまうと、今のご心配のようにシュリンクしていくおそれがあって、それじゃ困るということを言うのが、この部会の役割かどうか、私にもそれはちょっとわかりにくいところがありますけれど。少なくともこの部会では、その大切さということを強調するということがないと、科学技術・学術審議会全体の議論の中で、ちょっと難しい方向に行かないのかという心配をしております。

【平野部会長】今のご発言の関係のところから言いますと、研究費のあり方といいますか、学術の基本的問題の特別委員会ができておりまして、たまたま私がそこの主査をしていますので、今、皆さんと一緒に議論が始まったところでありますが、当然、こういう政策的な研究としてのトップダウン的ではないところにおいては、研究者の自主的な、自立で、かつ多様な研究を担保しながら、というところからであります。そこへ、今の野依会長の話もあるものですから、その委員会の中では、そういうことを踏まえた上で、何か課題があるとしたらどうあるかという検討を、今、しているところであります。
 少なくとも私は、今、ここの部会長を仰せつかっている立場としては、科学研究費補助金による研究では、主としてきちんと社会に説明ができる形で、例えばボトムアップ的な科学研究費については、今後とも難しい財務環境でありながら増額をし、かつ日本の科学技術、学術の振興の基盤にしていくという思いは変ってはいけないと考えますので、そこについては、文部科学省も大いに努力をしてくださると理解をしております。現実、努力の上で、今、基金を含めて2,600億になったのですが、その実を言うと、恐らくそう簡単に、今後とも理解されて増額されると楽観できません。来年度は。もしかすると、現実の部分は、一部、基金のところで食われていく──いや、基金が悪いわけじゃないんです。基金化は大いに進めるべきですが。それ以外のところが全体に、基金じゃない部分がぐっと伸びるというようなことがないとその他の部分が減ることになりそうです。ここで、今、確認をしてという委員のご指摘がありましたので、ちょっと文部科学省の審議官のほうにご説明をお願いしたいと思います。ここで言質をとるわけじゃありませんので、背景の説明をお願いします。

【戸渡大臣官房審議官】  現実には、先ほどご指摘があったように、大震災の復旧・復興関係が相当な金額がかかると。どうやって財源を確保するのかという議論もなされている中で、来年度の概算要求というか予算編成については、今年度以上に、既存経費については非常に厳しい状況になるのではないかというのは、今、一般的に言われております。
 そういう中で、我々、学術研究、特に科学研究費補助金については、その確保に全力を挙げていきたいと思っておりますが、どうなるかというのはわからないというのが正直なところでございます。z 特に基金化の部分については、今年、基金化するためには非常に大きな増額が必要ですので、それを確保いただいたわけですけれども、来年度以降、さらに基金化は拡大できるのかというと、そこについては、また非常なお金も必要になるという意味では、いろいろな工夫なり必要性というのも、今まで以上に言っていかないとなかなか厳しいというのは正直なところだろうというふうに思っております。いずれにしろ、確保には全力を挙げていきたいと思っております。
 それから、先ほどご指摘がございましたが、私ども、学術の基本問題に関する特別委員会のほうでもご議論いただいておりますのは、あくまで学術研究についての多様性あるいは自主性というものを尊重した取組というのがあると。そういう中で、政策課題対応型の課題を設定するという政策課題対応のほうからの課題設定という視点ではなく、学術研究、学術の世界そのものの中に、学術研究としての課題というものを考えていく必要性はないのかという、そういうご指摘をいただいているというふうに受けとめておりまして、そういう観点を含めて、先ほどご紹介いただいた特別委員会でご議論をいただいていると、そういう状況かと思っております。

【深見部会長代理】  予算で、22年度は2,000億円ぐらいだったのが、2,600億円ぐらいになった。その600億円というのは、この基金化の予算だというふうに、大体、私としては理解していましたけれども、このまま、例えば基盤研究(C)と若手研究(B)も、要するにまだ基金化になっていない部分が、今後、基金化のほうに移動していくわけですけれども、それがそのまま、この種目だけが基金化になるためには、やはり計算上は同じくらいの増額がないとやれないという理解でよろしいのでしょうか。

【渡邊学術研究助成課長】  基金化の予算の構造というのは非常にわかりにくいので、この青いファイルの中に、前回の第1回の配付資料の中の、ちょっとページが振っていないのですが、30枚ぐらいめくっていただきますと、横長の参考資料1という、カラー刷りのポンチ絵がございますでしょうか。右下に、黄色と緑で積み木のようになった図でございます。 これをちょっと見ていただきまして、右側の黄色い箱と緑の箱になったものが、今年の予算のイメージということでございます。これは何を意味しているかといいますと、まず左側で見ていただきたいと思うのですが、今までの予算で単年度の補助金であると言っていますのは、新規マル1、継続マル2、継続マル3、継続マル4という積み木が4つ乗っていますけれども、今年採択する新規課題の1年目分、去年採択した課題の継続の2年目分、おととし採択したものの3年目分、それがその年度に全部積んであるという、こういう縦に4つ積んだような予算構造になっております。
 これに対しまして基金でございますけれども、基金を今年スタートしたわけですけれども、スタート時点におきましては、このような緑と黄色のL字型になっているということです。
 まず基金分ですけれども、23年度に採択するものの1年目はこの新規のマル1という緑のマル1のお金ですけれども、来年分、再来年分、24、25、26年度分の研究費、継続のマル2、マル3、マル4という緑のところですが、それをすべて今年の予算で措置したという構造になっております。
 それで、基金以外の予算というのが、この継続のマル2、継続のマル3、継続のマル4。これは、要するに22年、21年、20年に採択したものの今年の分の予算ということであります。
 それが24年度になるとどういうことになるかということですけれども、その基金分の予算を同額確保しますと、24年度も同じように緑の横の長いものが4つ連なるということになります。
 それに対して、来年度は、少なくとも基金分の3種目については、継続の2年目という予算は、この黄色いような形で積む必要はない。それは今年の予算でもう基金の中に含まれているので、来年度の補助金の予算といいますか、そちらでは継続のマル2というのが必要なくなるわけです。そうしますと、ここで言いますと、継続のマル3とマル4プラス緑色の横長のバーという形になる。
 そうしますと、要するに継続マル2に当たる部分、これは基金にした3種目の継続マル2に当たる部分ですけれども、この予算が不要になるといいますか、空きが出てくるという構造になります。
 それで、今年の基金化もそうですが、基金化をするに当たって、この3種目を基金化して、さらに採択率も伸ばしたのですけれども、3種目基金化するのに約400億余計にかかっている。それは、この緑色のマル2、マル3、マル4という部分に余計にお金が必要だったということです。
 したがいまして、来年も何かの種目を基金化する、例えば基盤研究(B)というのが次の種目だとすると、それを基金化するためには、やはり数百億程度のお金が必要かというふうに考えております。
 そうしますと、来年度予算が大幅増額をしていかないとできないのかということですけれども、来年度は先ほど申し上げました黄色の継続マル2、ここでかなりの額、百数十億円の額が出てきます。つまり、差し引き何十億かのプラスがあれば、基盤研究(B)を基金化する、そういった方法は考えられます。
 ですから逆に言うと、継続マル2の部分が、非常に厳しい予算状況でございますのでつかないというふうになると、百何十億の減額になる。それでも今年と同じ水準を科研費は保つことができるということは言えます。しかし、今度、何かを基金化する際には、また200億増やさなければならないということになります。
そういった予算構造の中で、来年度の科研費としてどういったところを重点的に、優先的にやるべきか、というのを、是非ご議論いただきたいということでございます。

【家委員】  理解を正しくしているかどうか確認したいのですけど、今のご説明で、来年度、仮に基盤研究(B)を新たに基金化するというようなことは別にしても、既に基金化の対象になった種目を継続するだけでも、継続のマル2の部分は既に手当てされているからいいとしても、来年度、新規採択の分の継続マル3とマル4の分は新たに積み増さないとキープできないのではないですか。

【渡邊学術研究助成課長】  ここの継続マル3、マル4というのは、基金でない部分で、以前、採択したもの。そこには基盤研究(C)もありますけれども、基盤研究(B)とか特別推進研究とかいろいろなものが入っております、その3年目。ここでは、単純に言うと、基金化する前の3種目の3年目、4年目だけ積めば、基金化する前の3種目の2年目は要らなくなるということをあらわしています。

【家委員】  2年目は要らないですけどね。

 だから、来年度新規採択分も基金として先の分まで積もうと思うと、3年目、4年目の分を増額しないといけないということではない、それは私の誤解でしょうか。

【戸渡大臣官房審議官】  補助金で毎年出している部分と基金で積んだ部分というのは、ちょっと性格が違いまして、基金で積んだ部分というのは、そこの部分に853億、基金で積んだ部分は、学振のほうに全額出しますので、言ってしまえばぽっかりあいているような形になっていますから、今年と同じ予算額を来年措置すれば、また来年新規に採択する基盤研究(C)とか、今年基金化した分は全部基金化できる。

【家委員】  わかりました。いや、私の疑問は、今年度、従来の2,000億から大体2,600億になりましたよね。その2,600億をベースに今後も考えてよろしいのですかということです。それなら、安心しました。

【戸渡大臣官房審議官】  我々は、それをベースに考えたいと思っていると。ただ、世の中がどうかというのは、また別だという状況だと思います。

【小安委員】  基金のことは後だとおっしゃったから言わないでおりましたが、結局、今のお話を伺うと、要するに、今年と同じ姿でいくと必ず減額になるというわけです。ですから、それを我々はどうとらえるかという、そういうことだと思います。そうすると、減額しないということで今年と同じでいって、要するに今年のつくりをそのまま持っていくと、黄色のマル2の部分がすぽんと抜けて、減った額でいくということになります。そうじゃなくするのであれば、減った分を採択率の向上や配分額の拡充に回すのか、それとも基盤研究の(B)まで基金化を一生懸命頑張ってやっていただくのかと、要するにそういう議論をしないといけない。

 ですから、どうしても基金のことに触れざるを得なくなってきてしまって。

【平野部会長】  わかりました。そういう意味で、関係がないわけじゃないけれどもと言いながら、議論がハッピーなほうだけに考えられるといけないと思って意見交換をしていただきました。このままいくと減額になるおそれがありますのでという説明を、今、いただいたところであります。

 基本的には、増額が認められるといいけれども、今、説明がありましたように、基金化については、より効果が高いような方式であるということを、皆さんがご認識いただいていますので、例えば、今、話が出たように基盤研究(B)を基金化するといたしますと、そのときには、きちんと説明をして、増額を次にとれるように努力しないと、その他の部分が減額となるという非常に難しい状況でもあると、こういうことであります。よろしいでしょうか。

 その中で、今、全部が上へ上がればいいのですが、私どもの部会としては、当然、増額をお願いしたいということには恐らく間違いはないと思うのですが、そう簡単に口だけではいきませんので、何かより効果的な対応策があれば、それをここで議論をして提案をし、かつ、それを踏まえた上で増額の要求に持っていきたいということであります。

【北岡委員】  もちろん、これは政治が絡むこともあって、非常に前向きな附帯決議があって、その二ですね。「基礎研究の更なる充実を図るため、科学研究費補助金をはじめとする研究予算の確保に努めるとともに」ということと、四ですけど、「将来を担う若手研究者の育成の重要性に鑑み、若手研究者を対象とする科学研究費補助金の研究種目については、採択率の向上に努めること」ということが書いてあるので、例えば、予算の、ともかくこの国難であるからこそ、科学研究費あるいは人材の育成ということが、やっぱり日本の国力にとっては基盤になるということをロジックにして、例えば基盤研究(B)と同じような金額の若手研究(A)をともかく基金化すると。そのための予算増額ということを要求するというのも1つの方法かと思っています。やはり科学研究費というのは国の基盤の、要するに国を支える国力の源であって、自由な発想を持ってやる研究に対するお金なので、やはり増額というよりは、そういう必要性をちゃんと言って、特に若手に対する科学研究費の種目、若手研究(B)を基金化できたわけですからさらに若手研究(A)を充実させるとか、そういうロジックで予算要求するということも必要かなという気がしたので発言しました。

【小安委員】  基金化するということは、その年は余分にお金がかかるけど、一人一人がもらうお金を増やしてくれという要求ではないですよね。ですから、やはり基金化するということは、結果として同じシステムを走らせるけれども、要するに使い勝手がよくなって、非常に研究そのものが進むということになります。

 しかしながら、その過渡期であるために、どうしても一時的に余分にお金がかかってしまうというロジックはいけないのですか。つまり、全体の増額、増額と言っているのではなく、要するに、基金化をするために、どうしてもこの過渡期にはお金がかかってしまうということです。それは、私は正当なロジックではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

【平野部会長】  わかりました。私の言葉を入れるのは、今、ちょっと抑えまして、事務局の方で、もしも私どもがそういう希望を出したときにはいかが戦えるか、説明ができるかということについてはいかがでしょうか。

【戸渡大臣官房審議官】  今、ご指摘いただいたロジックは、当然、あると思います。

 ただ、相手方には相手方のロジックなり世の中のロジックがあって、つまり基金で積んでいるということは、当該年度に直接執行しないお金が、ある部分、滞留しているという形になりますので、そのある部分、滞留させてでも積み、資金運用の柔軟性を増すことが、より必要があり、効果があるのだと判断するのか、それとも、お金というのは回っていればいいのであってということに重点を置くかと、まさにそこの価値をどこに置くかというやりとりで、それでも積むことが、学術研究、我が国の研究水準の向上にとって必要であり、効果が高いということを我々がしっかり言えるかどうかということが、今、先生がおっしゃったようなロジックをどれだけ補強していけるかということにつながるのかなというふうに思いますが、そこはなかなか難しいところということでございます。

【平野部会長】  まさに、今のようなところをきちんと説明をしながら要求をしていくということも、基金化の良さを出しながら、かつ採択率は少なくともキープし、配分をしていくということがまず第一段階ですね。

【小林委員】  質問をよろしいですか。基金化する場合は、初年度に全年度分を積まなければいけないのか、そうでなくても基金化ということだけをスタートすることはできるのか。

【渡邊学術研究助成課長】  それは、なかなか興味深い質問というか。

 今年の結果で申し上げれば、全部積んでこそ基金であるということになります。ただし、基金というものは、法律的に必ずそういうものであるという概念が別にどこかで決まっているわけではないので、それは、いろいろな考え方をとるということはあると思います。

 一方において、今年できた基金は、これは非の打ちどころのない基金というか、今年採択したものは確実に全部予算を確保するということは、要するに来年度予算において、今年度採択した分の後年度負担というものを全く考えなくていいということなので、非常にいい形になっています。それが、要するに後年度分を少しけちるというか、完全な基金でなくなれば、やや自転車操業的なところを覚悟しながら基金運営するということになります。それが、予算がこういう時期だから、財務省なりも、そういった形でも基金として認めるかどうか、それはまた別問題かなというふうに思います。

【戸渡大臣官房審議官】  ちょっと違うことを言うようですけど。

 法律で、基金というのはこういうものであるということがどこかに書いてあるわけではありませんけれども、基金という概念の考え方というのは、基本的に、ある事業に必要なお金を、トータル全部積んであるというのが原則だというのが考え方としてあるというのは、これはもう間違いのないことです。

 ただ、その何とか基金といっても、何とか被害救済みたいに、これからどれだけ物事にお金がかかってくるかわからないようなことについて、当初から全額積むということはできませんので、それは、最初にある程度積んで、他の年の予算で必要な追加額を再度出資するというような、そういう形の基金も確かにあります。

 ただ、それは非常に例外的だという取扱いが原則としてあるという中では、やはり基金をつくるといった場合には、当初のやり方としては、特に科研費等の場合は何をどれだけ採択して幾らかかるというのがはっきりわかっているわけですから、わかっている分を全部積むというのが基金の本則だろうというのが、今年の概算要求等の中でも話としてあったということです。それが原則だということは、どこかに書いてあるわけではないですけれども、そう扱われているというのは事実でございます。

【平野部会長】  小林委員は、よくわかった上で今の質問をされておりますので、大変微妙なところを突かれて、言っていただいているなと、こう思っております。

 今の基金の重要性については、これまでの思いからして、十分基金化による効果を出してこられると信じておりますが、そういう上で、基金化の対象種目の拡大に向けて、私どもは、この部会として、是非きちんと訴えていけるような提言を取りまとめていきたいと、こう思いますが、いかがでしょうか。

 ただ、どちらも努力をしていかなければいけない。例えば、その種目として、先ほどちょっとお話がありましたのは、これは、国民の方々にも若い研究者の育成という点で理解いただけるのではないかと思って、言わせていただきますと、例えば若手研究(A)を基金化のほうに、まず次の段階でお願いしたいというような考えはどうかとと考えます。また、予算からすると難しいことは事実でありますが。基盤研究(B)でもいいかもしれませんけれども。

 ということで、方向としては基金化の良さについては、別な項目ではありますが、ここで皆さん方から、そういうアンケート回答もいただいておりますので、今年の1年の、あるいはいただいた方の喜びの気持ちも伝えながら、時間はないのですが、この部会として訴えていくということではいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 ただ、どの種目を置くかというのは、これはもうちょっと議論して、予算のこともありますので、総予算も見ながら動かなきゃいけないとは思っておりますが、そういう方向をとっていきたいと考えますが、よろしいですか。

(「はい」の声あり)

【平野部会長】  ありがとうございます。

 その中において、難しいのですが、採択率の向上と配分額の拡大と、一方では、両方とも拡大じゃなくてトレードオフ的なことがないように、どう努力をするかということであります。

 1つご提案があったのは、採択率の向上を図りながら、例えば種目ごとに少し配分額の上限を見直して、採択率の向上の努力をし、研究者が責任を持って活動できるような場を、この科研費として提供したらいかがであろうかと、こういう提案でありました。これについて、いかがでしょうか。基本的には、そういう考えでよろしいでしょうか。

 あとは、先ほど数字も出していただきましたが、これについては、次回ぐらいにもう少し細かく、どのぐらいならば、皆さん、少し我慢しながら、研究は充実し、かつ採択率の向上が図れるかいう点についてご意見を頂きたいと思います。これは、少し予算全体を計算すればすぐわかることでありますが、事務局に、ちょっと配分額を抑えれば何%ぐらい採択率が上がるかというのも、数字として、これは残す資料じゃなくて、委員の方々が議論できるような、そういう資料を出していただけませんか。それを参考にして、ここで決めてしまうわけではないし、基盤研究(C)はこれだけの金額であったのをここまでにおろすとか、そんなことを言うつもりは毛頭ありませんが、考えるもととして、そういう資料を次回、出していただければありがたい。よろしいでしょうか。

【渡邊学術研究助成課長】  その資料は承りました。
 本日配付している資料で、この「報道発表」という参考資料、23年度科研費の配分についてという資料がございまして、その中でも、現状、どうなっているのかというのが大まかにつかめる資料がございますので、ご紹介をいたします。
 その6ページでございます。これは、4月時点での、今年の23年度の科研費の新規採択分の状況です。特別推進研究や基盤研究(S)がまだこの時点では内定が出ていませんが、基盤研究のほとんどの部分が入っているということで、この4月時点でまとめたというものです。
 それぞれ、採択率、上の括弧書きが昨年、下が今年の数字。配分額も、そのような形になっています。
 それで見ていただきますと、例えば今回、基金化いたしました基盤研究(C)、挑戦的萌芽研究、若手研究(B)、ここの採択率は29.9%ということで、30%をほぼ達成しているという状況が見てとれるかと思います。
 また、例えば基盤研究(C)の1課題当たりの平均配分額「1,618」というのが書いていますが、今年は161万8,000円だった、昨年は138万7,000円だったということで、この部会でもご議論いただきましたように、若手研究(B)よりも低いという状況を、正常化したというような配分額の増加もしたということでございました。

 基盤研究(B)でありますとか基盤研究(A)、この辺が、採択率が25.数%、こういったような状況にあるということです。 一番上が、科研費の採択率というのが、平均が28.7%となっていますけれども、これは、基金化した種目が、圧倒的に数が多いということですので、ここを30%近くに引き上げれば、全体としては、これまたほぼ30%に近くなる、そういったような状況が見てとれるかと思います。

【平野部会長】  当然、総額を採択数で割れば平均として80万くらいのを70万にしたら何%ぐらい上がるかというのは、すぐ計算はできますけれども、例示していただければ、議論しやすいと思います。
 ということを背景に考えて、基金化をしていったらよいであろう、していったほうが効果的に動けるであろうと思う種目があるとしたら、その種目を拡大に向けていく方向で議論したいと思います。ただ、先ほど議論がありますように、このまま置いておくと、基金化して、最終的にはネットが減ってくるということはあり得ますので、それは注意した上であります。その対応をとった上で詰めていただきます。
 それから、加えて、今、お話がありました若手研究(A)をとってみますと、採択率が24.1%であります。ここを、もし採択率を上げながら、かつ基金化をするとしたらどうなるかと。そのあたりのシミュレーションも、ちょっと出していただけませんでしょうか。それを含めて、もう少し。あまり細かい数字をここで議論するつもりはありませんけれども、議論をするために、たたき台となるような、基礎資料をいただけませんでしょうか。よろしくお願いします。

【家委員】  この表が出たので、ちょっと考える1つの点として申し上げたいのですけれども、この6ページのほうに、新規採択の採択率、これで多くの種目でようやく30%に近い数字が出て、非常に喜ばしいと思います。
 7ページのほうには、新規、継続を合わせた分の採択率がありますけれども、基盤研究(B)とか(C)あたりは50何%というか、これが、新規採択が今後も30%というのが安定的に続けば、新規、継続を合わせたものが6割にいくだろうと思います。
 一方、その若手研究(B)というのは、新規採択30%で、継続を合わせたものが5割になります。これはなぜかというと、研究期間が2年から4年。だから、2年の申請が多いからですね。確かに、そのために単年度の配分額が相対的に多くなっているわけですけれども。その若手の研究費の採択率を増やすという意味では、少し、その配分額という意味からは後ろ向きかもしれませんけれども、例えば研究期間を3年にすれば、全体として科研費の恩恵を受ける割合は増えるのかなと。これがいいかどうかは、いろいろな議論があるかと思いますけれども。

【平野部会長】  大変重要なご指摘のところだと思います。今の期間については、家委員、よくご理解いただいているように、少し短くできて、次にまたチャレンジしていったほうがいいとか、いろいろあったのですが。わかります、非常に重要なところだと思います。そのほか、いかがでしょうか。

【小安委員】  すみません、少しずれてしまうかもしれませんが、基金化するという意味でいえば、やはり、ある程度、採択件数の多いものをやらなければしようがないと思います。
 アンケートに基づくといっても、今の最先端研究開発支援プログラムだけのアンケートで良いのかという反論はあると思いますが、附帯決議の中にもある不正の問題、これは常に指摘されることですが、もしも基金化することで、自由な繰越ができ、それで不正が減るということを、皆さん納得するのであれば、件数が多いものを基金化するというのは当然のロジックだと思います。
 やはり、ある程度の大型のものに関しては、それほど年度末に皆さん困るということは、あるとは思いますが、それよりも、金額の少ないもののほうが、皆さん、やりくりに非常に苦労されているということを考えますと、やはり若手研究(A)だけではなく、基盤研究(B)に広げるという方向を、やはり我々は考えなければいけないのではないかと思います。

【平野部会長】  その他、いかがでしょうか。今のご意見は、先ほど確認をいたしましたように、努力をして基金化の対象種目の拡大に努めるということであります。文章で書くと1行でありますが、その意味するところは、細かい、難しいところはありますが、努力を積み重ねるということだと思います。
 それの関連でも、その他でもよろしいのですが、意見がありましたらお伺いしたいと思います。よろしいでしょうか。

 では、次の段階ではもうちょっと具体の話に、次回、進んでいきたいと思います。

 では、研究種目の見直しについてはいかがでしょうか。いつも、この部会では大変難しい議論が起こるのですが。しかし、見直していって、我が国の学術が進むということならば、大いに、そこは皆さんと努力しながら進めていかなきゃいけないと思います。いかがでしょうか。

【小安委員】  これに関しては、特別推進研究に関し、採択件数をもう少し伸ばせないかというようなことが、日本学術振興会から上がってきたのではないかと思いますが、その議論の中で、特別推進研究と基盤研究(S)の間にギャップが非常に大きいのではないかという議論があったと思います。ですから、その辺を少し考え、どういうやり方をするかということは考えていく必要があると思います。基盤研究(S)を伸ばすのか、それとも特別推進研究との間を埋めるような種目をつくるのかというようなことに関しても、少し議論があっても良いと思います。

【小山内研究事業部長】  今のご意見に関して補足をさせていただきますと、本会の審査を押し並べて拝見させていただきますと、特別推進研究の人文・社会の分野でございますね。今、テクニカルに言いますと、採択目安件数が0.7件というのが、毎年、人文・社会の分野の特別推進研究で出ているのでございますけれども、人文・社会の分野に関しては特に、少額でもよろしいから、もう少し採択件数を増やしてくれないかという意見は出ておりました。

【平野部会長】  今のご意見を参考に、次の段階に、次回にそこを深めて、特別推進研究との関係あるいは採択を含めて議論をしていきたいと思っております。

 大変いろいろ活発なご意見をいただいておりまして、そろそろ、自由にご意見をいただくような時間が迫ってきましたが、私は、その次の、この資料3のところで、ポツの2番目、3番目、基金化のメリットを生かすということで、執行・運用に改善すべき点があるかどうか。あるいは、不正使用の発生防止に、この基金化がどのようにいい形で影響してくるだろうかと、これについて、是非ご意見を、今度、賜りながら──先ほど、特別推進研究のほうの資料をいただいておりますが、想定されること、あるいは柔軟運用をするためにどのようにしたらいいのか、ということについては、是非、議論をしていきたいと思っております。こういう場ですべて、限られた時間で承るわけにはいかないものですし、また、今日はご欠席の先生も多いものですから、事務局のほうから、先生方に、この点についてご意見があったら、是非あらかじめお伝えいただきたいということで、ご意見を出しておいていただければと思っております。それを整理した上で、次回、この点について意見交換をし、取りまとめに入っていきたいし、皆さん方にお伝えできることになるならば、きちんと関係の方々に、事務局のほうから周知をしていただければと思っておるところでありますが、そのようなやり方でよろしいでしょうか。

【小安委員】  1つよろしいですか。事務局のほうに、もし資料がうまくそろえられるならお願いしたいことがあります。この調査は非常に役に立つと思いますが、ある意味、なぜ基金化をしなければいけないかといった際に立てた論理が、そのとおりだったというだけでは、その先へ進めるのは非常に難しいと思います。
 お答えのかなりの部分は、ある程度、想定されたお返事が返ってきたような気がしますが、自分たちが思いも寄らないことで、これだけいいことがあったというのを挙げていただかないと、先へ進める力にならないと思います。
 このアンケートに、もう少しそういうところが入っているといいなと思っています。事務局のほうで拾ってみて、最初に事務局で想定したよりも実はいいことが書いてあるというようなことがあったら、是非、そういうのを抜き出していただくと、我々としては見るのが楽になりますけれども、お願いできないでしょうか。

【平野部会長】  事務局、いかがでしょうか。もうちょっと深く中をみて、何かピックアップして、特徴的なところがありましたら、それをまた皆さんに送って、お伝えいただきたい。その上で、先ほどの後の2点でありますが、より改善すべきところがあるかということについて、意見をお聞きしていこうと思っておりますが、これはまとめたすべてだということでしょうか。いかがでしょうか。

【岸本企画室長】  一応、資料の4、5ともに、いただいた回答から、すべてではないのですけれども、こちらで是非ご覧いただきたいと思うような個別の回答については、ほぼ載せさせていただいている状況でございます。小安先生のご趣旨は、もう少し追加で調査をしてほしいということでしょうか。

【小安委員】  いや、必ずしもそうではありません。例えば事務局でもあまり考えていなかったようなお答えがあった、これだよとか言ってくだされば、ああ、なるほどということになると思います。もちろん、いただいた資料は後で読みますけれども、そのような出し方をしていただけると、さらに議論が膨らむかなと思ったものですから。

【岸本企画室長】  この結果をさらにピックアップして、ご覧いただきやすい形で送らせていただくようにしたいと思います。

【平野部会長】  基本的には、ここの資料にもまとめながら、箇条書きで出していただいているところについては、これはもう結構だと思います。これは、皆さんおわかりだと思いますので。ああ、やっぱりという、もうちょっとインパクトがある回答があればお知らせいただきたいと、こういう内容であります。

【渡邊学術研究助成課長】  二、三、ご紹介するような形で言えば、8ページの一番上にちょっと書いてありますけれども、要するに、この最先端研究開発支援プログラム、これは30名のみですので、かなり以前から非常に活発に活躍されていた先生ばかりですが、そういった先生方でも、新年度を待たずに研究が始められると従来に考えられないスピードで進んでいるというような感想を持たれている。かなりの研究費をそれまでも獲得されていたけれども、年度で縛られているから、来年度までやりたいことを待っているというような状況があるということです。
 また、国際プロジェクトをやる上で、やはり海外のほうが年度の縛りがなくて、ある程度、裁量がきくと。こちらの裁量がなかったというところの不利があったけれども、基金になってこちらも裁量が大いに発揮できる。そこで、かなり有利に働いているというようなご回答があります。
 結局は、年度に関係なく使えるというメリットなのですが、繰越とかそういうようなものだけではなくて、実際の研究にかなりいろいろなところで影響するなということが、今回、わかったかなと思っております。

【平野部会長】  あと、これは非常に難しいことなのですが、研究費の出所が違うと手続が違うという事務処理の問題ですね。これは、本当に難しい問題ですが、ここでもう出ておりますように、柔軟な対応してもらいたいということもありますので、もう一度、これを委員の先生方に見ていただいて、この科研費関係を中心とした場合に、共通的にどういうメリットがあり、あるいは改善をすべきところがあるかということについては、次回、詰めてご意見を賜りたいと思っております。
 それでは、今日ご欠席の委員の先生方には、別途、ご意見を賜りたいと思っております。
 また、今日出席の先生方におかれましても、是非、事務局からお願いをいたしますので、本日、ご意見をいただけなかったことについて、また気づいたことについて、ご意見を寄せておいていただきたいと思います。それを整理していただいた上で次回に臨みたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

(4)その他


 事務局から参考資料についての説明があった。

【平野部会長】  本日の委員会を終えるにあたって、金額の増加、それから基金化、この科研費の費用あるいはシステムの充実に努めてくださった関係者の方々に感謝したいと思います。
 今日予定したところは以上でございまして、宿題ばかりお願いをいたしましたが、何か加えてご意見がございましたらお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、事務局のほうから委員の先生方にお願いが行きますので、ご意見がありましたら是非お寄せいただきたいと思いますし、今日ご都合で出席されなかった委員の方々からは、特に今日のようなご意見を踏まえた意見をいただきたいと、思っております。次回には、それを整理した上で、また続いて議論を進め、次の会は7月7日、是非多くの委員に出席いただきまして、充実した討議ができるように努めてまいりたいと思います。

(5)閉会

 事務局より資料6に基づき次回以降の日程の連絡を行い、閉会となった。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課