第5期研究費部会(第11回) 議事録

1.日時

平成21年10月29日(木曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省第2講堂

3.出席者

委員

 有川部会長、小林委員、佐藤委員、鈴木委員、深見委員、三宅委員、井上(一)委員、甲斐委員、金田委員、鈴村委員、水野委員、宮坂委員

文部科学省

 山脇振興企画課長、勝野学術機関課長、小谷技術移転推進室長、山口学術研究助成課長ほか関係官

4.議事録

(1)意見のまとめ(案)について

 資料1-2について事務局より説明があり、「第4期科学技術基本計画の策定に向けた検討と科学研究費補助金の在り方について(意見のまとめ)【案】」について審議を行った。

【鈴木委員】
 まず、2ページの最初の○の二段落目、「特に、第2期基本計画においては、競争的資金を活用し世界の先頭に立っている米国を参考とし」という部分は、これでも意味は通じると思うが、米国は何の世界の先頭に立っているのかという「何の」がないので、文章を完全にするために、やはりここには「何の」ということを入れなければはっきりしないと思う。それから3ページの一番上に、「競争的資金の効果を最大限に発揮させるためには、評価を中心に、以下の改革が不可欠」とあるが、この中には、少数のトップクラスの大学等に資金が集まっているということが出てくるので、「審査と評価」というように「審査」も入るのではないかと思う。その意味で、「審査と評価を中心に」と修正してはどうかという気がする。
 また、8ページ目の上から3行目、「また、基礎研究による文化力の発展や科学技術の発展」とあるが、「力」は発展しないと思う。科学技術の発展という表現は良いとしても、「力」は大きくなったり小さくなったりはするが、発展するということは余り聞いたことがないので、ここはもう少し違った表現がいいのではないかと思う。

【有川部会長】
 最後のところは、「力」を取って「文化の発展」ということで良いと思う。

【鈴村委員】
 6ページの新たに赤字で加えられている、「さらに、研究者の自由な発想に基づく研究、特に基礎研究の地道な積み重ねは、グローバル化している経済に打ち勝つため」というところについて、「経済に打ち勝つ」という表現は、あまり馴染みのない表現だと思う。前との関わりもよくわからないので、このあたりは文章を追加したことで少しわかりにくくなっているのかもしれない。

【有川部会長】
 1ページ目の3つ目の○の「科研費の意義」という部分だが、これは「位置づけ」というような表現のほうがいいのではないか。それから、最後の「紹介する」という部分も、もう少し強い表現のほうが良いと思う。それから、6ページの最初の○の一文目、「については異論はない」という表現は、後ろのほうに異論を期待してしまうが、特に何か異論を言っているわけではないので、ここの表現ももう少し直接的な表現のほうがいいのではないかと思う。それから8ページ目、先ほどの「文化力の発展」ということ。さらにその下の○の一番下、「極めて大きいと言えよう」というところは、「役割は極めて大きい」と断定してもいいのではないかと思う。
 次に、10ページから14ページにかけての「科研費が果たす役割等について」の部分のご意見をいただきたい。ここの役割等については、資料やデータに基づいて記述している。13ページは前回ご指摘いただいたことを踏まえて、平成21年1月に出された学術分科会の人文学及び社会科学の振興についての報告等を使いながら、人文学、社会科学の特色やその重要性ということを書いている。ここは少し工夫の余地があるのではないかという気がするが、何かご意見をいただきたい。

【鈴村委員】
 11ページの若手研究者の育成のところからまず発言させていただきたい。11ページから12ページにかけて、若手研究者に対する助成がこれだけの効果を発揮してきたということが書かれていて、まさに若手研究、若手育成に力を入れているときに、このタイミングで若手研究(S)の募集停止という発表があった。先週、学術会議の総会を開いたが、総会での強い意見として、若手研究に対して力を傾注しなければならないにも関わらず、なぜこのようなことが起こっているのかという発言が相次いだ。そのようなこともあるだけに、ここで若手研究の実績を書いているので、それと矛盾する若手研究(S)の募集停止が、どのような発想に基づいて出てきているのかということを書いておかなければ、募集停止のことを知っている人がこの文章を見た場合に、メッセージを読み取りにくい気がする。その点、もう少し踏み込んでいただけたらということがまず1点。
 それから、部会長が指摘された13ページの人文学、社会科学のところであるが、これは何か参考になる資料を引用したり、背景にしたりしてこのような書き方になっているのか。人文学、社会科学の立場から言うと、もう少しウエートを置いて書いていただきたいと思うような点が表面にあらわれていない気がするので、もし時間が許されるのであれば、ここについてはもう少し踏み込んだことを提案させていただきたい。

【有川部会長】
 ここは前回、水野先生にご意見をいただいて、それをわかりやすくした形になっているが、全体が必ずしもすっきりしていないところがあるので、かなり手を入れたほうがいいのではないかという気がする。水野先生に、ご意見をいただくなり、案をつくっていただけたらと思う。

【水野委員】
 見え消しの前の文章では、まるで人文学、社会科学が非常に古い、地道な文献調査しかないようだったので、そのようなものではないと申し上げて、随分と工夫していただいた。鈴村先生のお知恵も拝借して、もう少しこのあたりは修文してみたいと思う。ただ、前の文献調査だけではなくなったので、基本的にはこの方向で修正いただいてありがたかったと思う。

【有川部会長】
 ここは人文学、社会科学の重要性を言っている部分であるが、13ページの「なお」のところから、「研究を支援の対象としているが、人文学や社会科学などの場合、その研究の成果が特に目に見えにくいのではないかと考えられる」という導入の仕方になっていて、それを受けた形になっている。ただ、何か文章がすっきりしないところがあるので、もう少し整理したほうが良いと思う。

【鈴村委員】
 今の書き方では、人文学、社会科学は孤立した世界のような書き方がされているが、人文学、社会科学と生命科学、理工学とのインタラクションの役割の重要性が増してきているということを書いておく必要あると思う。前回から前進しているので、それに加えてという意味で申し上げた。それを提案させていただけるとありがたい。

【有川部会長】
 全体のことを考えながらやっていただければと思う。日程的には、今回のものについて審議をしていただくのは今日が最後になると思う。これを報告する委員会が11月12日に予定されているので、11月4日くらいまでにご指示をいただければ反映できると思う。

【鈴村委員】
 全体のトーンとできるだけ整合的な形で提案をさせていただきたい。

【有川部会長】
 ここだけ具体的になりすぎてもバランスが悪いので、ほかのところとのバランスも考慮していただければと思う。

【深見委員】
 10ページのアンケート調査は、科研費のサポートとしてはとてもいいアンケート結果であるが、一見すると恣意的に都合のいい統計を載せているのではないかと疑われかねない気がする。アンケートの信頼性というところに対して何か言われたときに、それに対応できるような客観的な統計データは他にはないのか。

【山口学術研究助成課長】
 前回、11ページの被引用度上位10%論文だけでご審議をいただいて、これだけでは少し弱いのではないかということでいろいろ探してみてほしいという依頼があったので、いろいろ探してみた。その結果、科研費の役割自体について統計をとったものはなかなか見つからなかったが、財団法人松尾学術振興財団が以前アンケート調査を行った中で、このデータがその趣旨に合ったものではないかと思い資料として入れている。前回のご審議の中では科研費の役割として、特に基礎的なところでは大きな役割を果たしているのではないか、それがわかるようなものはないだろうかという話だったので、そういう観点で探した結果である。

【井上(一)委員】
 10ページの2つ目の○の最後に「科研費については、基礎研究段階での支援への期待が高くなっている」という部分があるが、科研費は基礎研究として大きな成果を出していくことについても重要な役割を果たしているので、技術革新や社会問題の解決が先に意識されていることに対するロジックとして、「基礎研究段階」というように「段階」が入るのは少し変な気がする。向いていく先に応用もあるし、基礎研究、学術研究そのものの成果を出していくことも非常に重要であるが、「基礎研究段階」という表現では応用のための手前の段階というように読めてしまうことが少し気になる。

【有川部会長】
 ここの部分は「基礎研究への支援への期待」という感じで良いのではないか。ここでは、松尾財団のアンケート調査に対して1つの解釈をしているが、一方で、科研費は基礎から実際の応用までを支援しているということも書いているので、そういう表現とも整合させるためには、「基礎研究」というぐらいでとどめておいたほうが良いと思う。
 それから、先ほど鈴村先生がご発言された、11ページで「科研費の一つの大きな役割として若手研究者の育成があげられる」と言いながらも、若手研究(S)を中断せざるを得なかったということについて、その理由とそれに対する遺憾の意を表現しておくというようなことを加えておくべきだと思う。大きく貢献しているということを言いながら、それを中止せざるを得なかったので、表現は考えさせていただきたい。

【三宅委員】
 13ページから14ページにかけて人文学や社会科学の話をしているが、14ページに「新しい学問分野を開拓する最新の研究分野などのように、人文学・社会科学、自然科学のいずれもが学際的に密接に連携しつつ、新しい領域を構築していく場合もある」というところがあって、最後に「このような人文学及び社会科学の分野においても」と書いてあるので、この真ん中の部分は人文学、社会科学の話ではないかのような気がする。人文学、社会科学だけが頑張れば自然科学が来て融合できるということではないので、本来、この部分はここにあるべきではないのではないかと思う。

【鈴村委員】
 ○の中で少し議論を整理させていただきたいということで、人文学、社会科学だけを取り出して議論するというよりは、このようなコラボレイティブなものがもともとの性格の中に入っているということを書くことが1つのポイントだと思う。先ほどの部分は、むしろ人文学、社会科学について触れる場合でも、何か別の箱に入れるということは余り適切ではないのではないかというニュアンスで申し上げた。
 それから前半のほうのことで、確かに社会に対しての情報提供という側面はあるが、やはりサイエンスである以上それ自体としての分析がどこかに行ってしまっているような気がする。そのことも、バランスのためにも、せめて一言、二言書いておかなければ、このような文章の中での位置づけとしてやや必要な目配りを欠いていることになるのではないかということを申し上げた。

【有川部会長】
 ここは融合ということと、人文学、社会科学自体の重要性に触れて、さらにほかの諸科学を進める上でも大事なので、きちんと支援しなければいけないというような調子でまとめるのではないかと思う。
 それでは、「科研費の将来の規模等について」ということで、15ページ以降についてご意見をいただきたい。
 15ページの最初の○について、「伸び率は鈍化しており」となっているが、ここは少しつながりが悪いので、「伸び率は鈍化している。」で良いのではないかと思う。それから、17ページの2つ目の○は、「国立大学や私立大学の基盤的経費は減少している」となっているが、ここは「国公私立大学の基盤的経費も減少している」と、公立についても触れておく必要があると思う。さらに、その下に、「法人化以降減少している」とあるが、基盤的経費については、単に「減少」というよりも、「極端に減少している」など、強いメッセージを入れたほうが良いのではないか。それから、19ページの一つ目の○、「間接経費30%は満たしておかねばならない必要な条件」という部分は、「重要な条件」のほうがいいのではないかと思う。それから、その下の「まとめ」のところの、「条件の実現」という表現は、文章としての意味はわかるが、「条件を満たす」という表現のほうがいいのではないか。また、その下の2つの文章だが、「科研費の拡充は極めて重要である」というところから「我が国における」というのではつながりが悪いので、「これにより」として、段落をわけずにつなげてはどうかと思う。

【鈴木委員】
 19ページ一番下の「知の開拓」という言葉は初めて出てきた。「知の創造」というのはよく聞くが、「知の開拓」というのは余り聞いたことがないので、新しい言葉使いはいいが、整合性を考えたほうがいいと思う。
 それから、17ページの2つ目の○について、先ほど部会長も言われたことは非常に大事なポイントだと思う。デュアル・サポートは重要なことなので、かなり強い表現が必要だと思うが、「このような状況の中で…減少しているとの指摘もある」という表現は、これを根拠にデュアル・サポートが必要というのには弱いので、ここは、例えば、「各研究室に配分される教育研究経費や教員一人当たりの研究経費が、研究遂行のみならず、研究室運営にも支障を来している」など、もう少しはっきりした調子で言った上で、このデュアル・サポートが必要だということにしてはどうかと思う。

【有川部会長】
 これはいろいろなところで実際に聞いている話なので、断定的に表現しても良いのではないかと思う。

【深見委員】
 所要額の具体的な数値が20ページに出ていて、詳細は資料2参照という形になっているが、本文の中の4,100億円や4,600億円という数値がどこに対応するのかということが、いま一つわからない。もう少し資料のどこと対応しているのかということをわかりやすくしていただけるとありがたい。

【有川部会長】
 それは、もう少しポイントで指し示せるような表現にすれば良いと思う。

【井上(一)委員】
 15ページの最後の○のところに、平成19年度と比べて平成20年度の採択率が低下していると書いてあるが、予算額としては増えている。これは、1つ1つの課題の研究期間が伸びたからこのようになったのか。

【有川部会長】
 ここは幾つかの要素があると思う。予算としては少し増えているように見えるが、間接経費込みで増えているのであって、直接経費のみでは少し減っている。

【鈴村委員】
 17ページから18ページにかけての科研費の配分の偏りというところで、「トップクラスでない大学等の研究者が」という表現はやめておいたほうがいいと思う。やはり、「すべての大学が公平に」というような趣旨で書くべきところだと思う。

【有川部会長】
 そのような表現は2カ所にあると思う。最初のほうは少数の大学等に集中しているということで、単に「トップクラスの」というのを取ればいいのだと思う。

【鈴村委員】
 私が申し上げたのは、3行目から次のページにかけてのところでの「トップクラスでない」という表現はやめたほうがいいのではないかということで、前のほうは差し支えなければ残しても構わないと思う。

【有川部会長】
 「機会を広げ」ということがあるので、この後ろのほうは「多くの」などで良いと思う。最初の鈴木先生のアメリカのことに関しては、どこかの文章を引用しているのか。

【山下企画室長】
 先ほどご指摘いただいた、2ページの「世界の先頭に立っている米国を参考とし」という表現は、この下の「第2期科学技術基本計画」の最後の行にある「世界の先頭に立っている米国を参考とし」というくだりをそのまま引用している。

【三宅委員】
 4部構成になっていて、目次のようなものをつくるとすると、2ページ目の一番上の四角、6ページ目の一番上の四角が、それぞれの章のタイトルになるのか。

【有川部会長】
 そうであるが、探して回らなければいけないので、「以下のような要領でまとめた」というように、1ページ目の下に構成がわかるように書いておけば良いのではないか。

【三宅委員】
 ここの文章だが、科学技術基本計画が第1期から第3期まで、今どうなっているかという現状を分析して、その次に6ページの上がタイトルのような形になったほうがいいのではないか。
 科研費が何を大事にしているかということが6ページに書いてあって、10ページに「科研費が果たす役割等について」とある。6ページにあるのは、科研費がサポートすべき研究理念というような話で、その理念の上に科研費がどのような役割を果たしているのかという話が次に来て、最後に将来的にどの程度の規模があったら良いかという話が来るという構造になっているが、科研費がサポートすべき研究理念と、科研費の役割はどちらが先に来るのがいいのだろうか。基本計画がこうなっていて、科研費の果たす役割がこうなっていて、特に科研費が大事にすべき研究理念というのがこれであるから、規模としては30%の採択率が必要であるという話に持っていくのであれば、科研費がサポートすべき研究理念と科研費の役割が逆でもいいのかもしれない。

【山口学術研究助成課長】
 事務局としてこのような構成にしたのはなぜかということを少し説明させていただくと、6ページから8ページまでの考え方の整理の部分、特に8ページの学術研究の振興と科学技術基本計画ということについては、さまざまな審議会でも議論になっていて、科学技術基本計画の中に学術そのものという形でとらえられていないので、科学技術基本計画との関係を考える場合には、まずその考え方を整理した上で、それから科研費の話に入るのではないかということでつくってみたものである。
 したがって、ここの8ページ、9ページあたりが少し煮え切らない形になっているのは、学術と科学技術基本計画との関係が、まだ同時並行的に議論をしているところなので、そういう意味で問題提起をしているという形で書かせていただいている。

【有川部会長】
 そのようなことだが、1期、2期、3期のそれぞれにおける科研費の位置づけを調査した際に、3期に「自由な発想に基づく」ということが明確に出されてきた。そのコンセプトは、6ページで「異論がない」となっていて、これは非常に大事なことだと押さえている。さらに1月に出された提言も踏まえて科研費のあり方ということを第4期に向けて提案する。そして、第4期を議論する中で、8ページにあるように学術のとらえ方について他の委員会などで議論されていることについても触れているということである。9ページでは少し踏み込んで、科研費ではなくて「学術研究費補助金」としての位置づけということも少し触れている。つまり、1期、2期、3期と押さえて、その中で4期をこのようにとらえると言っておいて、そして役割について示しながら、過去と未来について根拠データを示しているというように考えればいいのではないかと思う。

【三宅委員】
 なぜそのような話になったかというと、基本計画はあっても科研費の役割は比較的厳然としたものがあるので、その中で学術にさらにフォーカスを当てるとか、採択率30%を確保するというのは提言のように聞こえたので、そのようなベースの上に、ここを役割として大事にしていく、これだけお金をつけるということを提言しようと持っていくのだとすると、科研費がサポートすべき研究理念と科研費の役割が逆になるのではないかと思った。

【有川部会長】
 確かに役割を先に書いたほうがいいかもしれないが、今度は第4期の基本計画なので、これまでどうだったかということを踏まえて、まずその方向性を出しておくという入り方をしたということである。役割については、過去のこととは独立して言うことになると思うが、それほど科研費の歴史は浅くはないし、基本計画の中に科研費のこともしっかり位置づけてくださいというメッセージを我々は出そうとしているということである。

【井上(一)委員】
 科学技術基本計画に向けて、大型プロジェクトなどの議論も行われていて学術としての大型プロジェクトのありようということが考えられているが、ここにも学術としての大型プロジェクトのようなところに結びついていく科研費の役割というようなことも書かれなければならないのではないか。学術としての基盤的な研究があり、科研費があり、大型プロジェクトがあるというような、学術として大きな成果を出していくということについて非常に重要な役割を果たしているという筋のようなものが、もう少しはっきりあれば良い気がする。

【有川部会長】
 今回は「科研費のあり方について」というまとめなので、科研費のことを中心にして、基盤的経費には触れているが、それ以外のことには余り触れていない。それ以外の政策課題型のものなどもあるので、そこへつないでいくためにも非常に大事なのだということはどこかに書いてもいいと思う。

【山口学術研究助成課長】
 少し紹介させていただくと、お手元のファイルに、第8回の議事次第があるが、その資料3をご覧いただきたい。これは学術の基本問題に関する特別委員会で、今、学術の問題を議論している資料である。そのターゲットとしては、第4期の科学技術基本計画の策定に向けて学術をどうとらえるかということである。資料3の論点例というところで、学術の意義やこれまでの科学技術基本計画における位置づけ、あるいは第4期に向けての考え方ということがあって、その先に学術研究の振興方策としてどのようなものを考えていくべきかということがある。
 1つのあり方として、財政支援の拡充ということで、おそらく、この中に科研費の問題等も入ってくると思うし、その先にほかの要素として大型プロジェクトの問題、あるいは、研究支援体制の強化、研究基盤の充実といったようなことも入ってくる。学術の基本問題に関する特別委員会として、第4期に向けてこれを学術分科会に報告していくという動きになってくると思う。
 私どもは、そういった面から言えば、最初の1の科学技術基本計画策定に向けての学術の基本的な考え方の部分と、2の学術研究の振興方策の【1】学術研究への財政支援の拡充といったところを中心に、今回の中に盛り込んでいくととらえている。
 先ほど話があった大型プロジェクトの問題、あるいは研究設備等々の問題というのは、学術の基本問題に関する特別委員会の中で議論されて、出ていくという形にはなると思っている。それに加えて何らかのものをここに書くかどうかということではないかと思う。

【有川部会長】
 今の資料は研究環境基盤部会等から上がってきたもので、それについては、先日学術分科会で報告させていただいた。今回は科研費に焦点を当てたまとめということになっているが、先ほど基盤的経費ということに触れたのと同じような感覚で、大型プロジェクトに関して少し触れておくということはやってもいいのかもしれない。

【佐藤委員】
 26ページの資料2の上の四角の中に、「第4期科学技術基本計画の最終年度にあたる平成27年度」と書いてあるが、次も5カ年計画ということはどこかで決まっているか、法律で書いてあったか。5カ年計画であればいいが、根拠がなければ書き方は少し工夫が必要ではないか。

【山下企画室長】
 確認をさせていただきたい。

【金田委員】
 18ページに科研費の配分の偏りを指摘するためのグラフが載っているが、その偏りには所属する研究者の多さなどが当然反映されているので、そのようなことを指摘されると根拠として崩れてしまうのではないかということが少し気になる。

【有川部会長】
 これは確かにそうで、サイズが異なるところはあると思う。

【鈴木委員】
 13ページの○の2つ目の黒字のところ、「なお、科研費は、研究者の自由な発想に基づく研究を支援の対象としているが、人文学や社会科学などの場合、その研究の成果が特に目に見えにくいのではないかと考えられる」という部分の問題設定がよくわからない。支援しているということと、研究成果が見えにくいということは、何がどう関係しているのか。それから、研究成果が特に見えにくいというのは本当に一般論なのか。人文学や社会科学というのは十分成果が見えていると思うので、ここで取り上げて言う必要もないような気がする。なぜこの文章ができたのか、よくわからない。

【有川部会長】
 私も同じような感覚で、この部分はかなり手を入れなければいけないと思う。今言われたように必ずしも見えにくいということはなく、自然科学などよりわかりやすい部分もあると思う。

【鈴村委員】
 この部分も含めて、先ほどの修文を提案させていただければありがたい。
 それから、とりわけ基礎研究の「基礎」が消されているが、人文学、社会科学にも、やはり基礎研究に当たるところがあるので、それも含めて提案をさせていただければと思う。

【有川部会長】
 よろしくお願いしたい。基礎が消されていることについては何か意味があるのか。

【小林委員】
 それは前回私がコメントしたところだが、今までの科研費が基礎に限定されたものでないはずだという意味で消したのだと思う。

【有川部会長】
 人文学、社会科学でも基礎だけではなく応用といった側面もあるので、ここは基礎を取って一般化したということである。

【鈴村委員】
 ここのところも含めて検討させていただきたい。

【有川部会長】
 先ほど申し上げたように、これは11月12日の学術分科会で報告することになっているので、11月4日までに、さらにお気づきの点、あるいは改善のためのご意見等があればお寄せいただきたい。それから、先ほどの13ページに関しては、鈴村先生、水野先生から案がいただけると思うので、それも含めてメール等で一度見ていただくことになると思う。いずれにしても11月4日までにこの作業を終わるということで若干の調整等はあると思うので、そこについては事務局と部会長の私にご一任いただければと思うが、よろしいか。

(「異議なし」の声あり)

(2)その他

 事務局から、次回の研究費部会は12月3日(木曜日)13時00分から開催予定である旨、連絡があった。

(以上)

お問合せ先

研究振興局長学術研究助成課

(研究振興局長学術研究助成課)