第4期科学技術基本計画の策定に向けた意見のまとめ【論点例】(案)

○ 学術は、真理の探究という人間の基本的な知的欲求に根ざし、これを追求する自律した研究者の自由な発想を源泉とした知的創造活動とその所産としての知識・方法の体系であり、その対象はあらゆる学問分野にわたるものである。具体的な活動は、未知の現象や新しい法則・原理の発見、分析や方法論の確立、新しい知識や技術の体系化とその応用、先端的な学問領域の開拓、これまで人類が蓄積してきた精神文化の継承などを目指して進められる。このような学術の研究活動の中心となるのは、基礎研究から応用研究にいたるまで、一定の水準を有する研究者の集積や、学問の自由に基づいた研究者の自主性の尊重等の条件を備えた大学であり、大学における学術研究の発展等に資するために設置されている大学共同利用機関である。

○ 大学・大学共同利用機関で行われる学術研究は、新たな知の創造や幅広い知の体系化を通じて、人類共通の知的資産を創出するとともに、重厚な知的蓄積の形成に資する。その成果は、人間の持つ可能性を拡大させるとともに、産業活動における活用・展開、生活習慣や社会規範への反映等を通じて、新たな価値を創造し、我が国の国際競争力や文化力を高めるものである。

○ さらに、人文・社会科学から自然科学まで、幅広い分野にわたる学問を継続して維持・発展させ、人類全体の英知を生み出す基礎研究に貢献することや、そのために必要な人材を輩出することは、先進国たる我が国が果たすべき国際的な責務でもある。

○ 科学技術基本計画は、科学技術基本法に基づいて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下この段落及び次の段落において同じ。)の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、その振興に関する基本的な計画を策定するものである。科学技術基本法は、我が国の科学技術の水準の向上を図ることにより、我が国の経済社会の発展と福祉の向上に寄与するとともに、世界の科学技術の進歩と人類社会の持続的な発展に貢献することを目的としている。第1期から第3期までの科学技術基本計画においては、人文科学も含めあらゆる学問分野を対象とする学術については、個々の学術研究が必ずしも我が国の経済社会の発展と福祉の向上に寄与することを意図して行われるものではないこともあり、明確な位置づけがなされてこなかった。

○ しかしながら、第4期科学技術基本計画において科学技術・イノベーション政策を推進するに当たっては、上述のような観点から、学術について、個々の学術研究は研究者の知的好奇心を源泉としていながらも、その全体の進展が科学技術の基盤を形成し、かつ、イノベーション創出の糸口となる大きな可能性を有していることを明確にする必要がある。そして、学術の発展に向けて必要な施策を講じるべく、当該計画に以下の事項を盛り込むべきであると考える。

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