資料7 「人文系」の人材養成:大学院教育の現状と日本における学術研究
人文系」の人材養成:大学院教育の現状と日本における学術研究
高山博
(東京大学大学院人文社会系研究科教授・西洋中世史)
1.学問分野による違いと共通点
1.共通点: 教育制度(大学院教育)、ディシプリン内の競争
2.違い: 研究対象、目指すもの(人類の知的認識領域の拡大⇔具体的なモノ)、教育の仕方(大人数の講義⇔個人指導)、社会への影響(時間と広がり)、評価(軸、難易)、費用、就職先
3.人文学の特徴
2.大学院教育の現状
- どのレベルの研究者を育成するのか。
・国際的に活躍する学者か、国内向けの教育者か、趣味の大学院か?
- 西洋史学大学院生の現状
東京大学(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/seiyoshi/students/graduate.html)(※東京大学文学部ホームページへリンク)
OD:22名(博論執筆中15名)、
D3:16名、D2:5名、D1:0名、M2:10名、M1:4名
京都大学(http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/seiyoshi/introduce.htm)(※京都大学文学研究科ホームページへリンク)
OD:19名(博論執筆中不明)、
D3:5名、D2:1名、D1:0名、M2:6名、M1:3名
- 東大・西洋中世史の場合
参考資料(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~tkymh/6Jugyo-Hakushi.html)(※高山博 大学院生論文指導ホームページへリンク)
・教育方針(国際競争)、長期の教育、留学
・ポストの縮小、採用人事
- 国際競争力のある研究者養成の放棄?
3. 学術政策と助成のあり方
- どのレベルの研究者養成を想定するかで、対処法は異なる。
- アメリカの有名私大の場合、博士課程の学生全員が経済的援助を受ける。
- 日本の学問をリードすることを期待される若手研究者に対しては、定職につくまでのあいだのサポートが必要。
- 大学院生一律の補助は無理。選別・評価をどのように行うかが重要な問題。
- 異なる学問分野に優劣をつけるのは困難。各学問分野に対する配分は、政策的に判断?
- システムを維持・機能させるために必要な部分の経費には手をつけないことが重要。
- 基盤的なシステムの利益享受者は多く、その影響は広い範囲に及ぶ。
- この点を無視した経費の移動は、全体に壊滅的な影響を与える危険性がある。