資料4 これまでの評価について

平成15年1月9日
 基本問題特別委員会天文学研究ワーキンググループ
 アルマ実施計画に関する評価についての概要 より抜粋

3.アルマ実施計画の評価について

(3)アルマ実施計画に関する総合的な評価

  • アルマ計画は、人類未踏のサブミリ波天文学の創設、世界的な規模での共同事業の点において人類史的に大きな意義のある計画。
    これに日本が相応の規模で参加することは、国際的に日本のプレゼンスを高める重要かつ絶好の機会。
  • 実施計画は、観測所運営の対等性の確保、日本の持つ科学的・技術的実力が存分に発揮できプロジェクトの遂行に十分な貢献可能の二点を実現しうる上で、その考え方及び装置等の構成は適切。
  • 早急に正式参加を決定することが日本のプレゼンスを示す上でも、また観測にあたっての適切な対等性を担保する上でも特に重要。

4.まとめ

(1)日本が相応の規模でアルマ計画に参加することは、国際的に日本の学術的及び文化的側面からのプレゼンスを高める重要かつ絶好の機会になり、「国民の夢」及び「国民としての誇り」を実現するものであり、その実現に向けて最大限の努力をすること。

(2)参加の時期に関しては、日本のプレゼンスを示す上でも、また観測にあたっての適切な対等性を担保する上でも特に重要であり、早期の正式参加の決定を実現すること。

(3)参加の規模においては、観測所運営の適切な対等性が確保できること、および日本の持つ科学的・技術的実力が存分に発揮できプロジェクトの遂行に十分な貢献ができること、の二点が不可欠であり、本来であれば共同事業計画全体の三分の一程度を日本が担当することが望ましい。しかし、我が国の財政事情等を考慮し、共同事業計画全体の三分の一には及ばないまでも、この二点が実現しうる適切な規模による参加を実現すること。

5.留意事項その他

 アルマ実施計画の推進に当たって、国立天文台に次の3点を要請。

(1)平成16年度に予定されている大学共同利用機関の法人化に当たって、計画を着実なものとするため、基礎研究開発や参加計画の運営に関して十分に、法人組織における理解と協力を得つつ推進すること。

(2)参加計画の柱となるアタカマコンパクトアレイシステム、受信機及び高分散相関器の研究開発、整備に当たっては、我が国の参加の意義を十分に踏まえて、研究開発の進捗状況、全体の運営計画も考慮しつつ、我が国の特色を活かした優先的整備を図ること。

(3)アルマ計画に参加するに当たり、計画の進展に並行して、将来的なアジア地域における運用・協力体制の構築に最大限の努力をすること。

参考

平成17年8月4日
総合科学技術会議 評価専門調査会
「大規模新規研究開発の評価のフォローアップ結果」より抜粋

3-3.アルマ計画

 平成15年度の事前評価における指摘事項への対応状況等は以下のとおりである。

(1)指摘事項への対応状況

1.参加遅れによる不利の克服について

 平成16年9月に自然科学研究機構、米国国立科学財団及び欧州南天文台の間において協定書を締結し、我が国の正式参加による日米欧三極の協力体制が構築され、共同建設がスタートしており、また、アルマ計画の最高意思決定機関であるアルマ評議会やアルマ科学諮問委員会等への我が国代表の参加、更に完成後は三極がそれぞれ地域センターを設置して対等の運用を行い、我が国の経費負担に見合った電波望遠鏡の使用時間を確保することで合意されており、指摘事項に沿った対応が図られている。

2.我が国の特長を活かした研究の推進について

 我が国が技術的に優位にあるACAアンテナ、受信機及び高分散相関器を担当し、開発・製造を開始、それぞれ既に高い開発成果を上げるとともに、新たな課題としての受信機システムの量産化についても対応しており、また、これまでの国立天文台野辺山宇宙電波観測所における成果やすばる望遠鏡による光赤外線の成果との相乗効果を活かすため、広範な天文学の研究グループを組織し、ワークショップ等の活動を活発に推進しており、更に今後は「アルマ東アジア地域センター」を拠点とした東アジア地域における地域協力を推進するなど、指摘事項に沿った対応が図られている。

3.国民への説明責任について

 アルマ計画のHPの充実や期待される科学的成果等を説明する講演会の全国各地での開催、また、新聞・雑誌への記事掲載、一般向け書籍の出版など、国民に対して積極的に情報を発信しており、また、今後も4次元デジタル宇宙シアタープロジェクトにおける立体イメージ映像の公開や移動型システムでの出前型公開など、成果について各種媒体を通じて国民と共有するための計画を進めており、指摘事項に沿った対応が図られている。

4.その他

 台長のリーダーシップと台内における十分な議論を踏まえて効率的資源配分とこれに伴う合理化を行い、アルマ計画の運営費を捻出できるように自助努力をし、これについては、台内、また、自然科学研究機構及び文部科学省からも十分な理解と肯定的な評価をされているとのことである。
 また、文部科学省としても引き続き、本計画を着実に推進することとし、本計画で得た経験や科学技術・学術審議会学術分科会学術研究推進部会における評価結果を今後行う大型国際協力プロジェクトに可能な限り活かす予定であり、指摘事項に沿った対応が図られている。
 以上のことから、アルマ計画については、指摘事項に沿った対応が図られていると判断する。今後も引き続き、同計画を着実に推進し、当初の目標が確実に達成されることを期待する。

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研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)