研究環境基盤部会(第106回) 議事録

1.日時

令和2年12月23日(水曜日)14時~17時

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 大学共同利用機関の外部検証結果(案)について
  2. 「連合体」の検討状況について
  3. 第10期における各作業部会の審議状況について
  4. 令和2年度第3次補正予算案及び令和3年度予算案について
  5. その他

4.出席者

委員

観山正見部会長、栗原和枝委員、勝悦子委員、小長谷有紀委員、家泰弘委員、小林良彰委員、竹山春子委員、鍋倉淳一委員、松岡彩子委員、山本佳世子委員、大滝義博委員、佐藤直樹委員、橘・フクシマ・咲江委員、徳宿克夫委員、八田英二委員、樋口知之委員、藤井良一委員、森初果委員、八木康史委員、龍有二委員

文部科学省

塩原学術機関課長、小久保学術機関課学術研究調整官、吉居学術機関課課長補佐、山本学術機関課連携推進専門官、その他関係者

5.議事録

【観山部会長】  今日はどうもありがとうございます。ただいまより科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会(第106回)を開催いたします。
  委員の先生におかれましては,本日も御多忙のところ,御出席いただきまして,ありがとうございます。
  本日は,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,Web会議により開催することとしておりますけれども,音声など不都合はありませんでしょうか。
  よろしいですかね。委員の皆様におかれましては,円滑な会議運営に御協力いただきますようよろしくお願いいたします。
  また,本日の会議は,文部科学省のYouTubeチャンネルでも配信という形で公開での開催としていますので,よろしくお願いいたします。
  それでは,まず事務局より本日の委員の出欠,配付資料の確認をお願いいたします。

【小久保学術機関課学術研究調整官】  失礼いたします。事務局でございます。まず委員の出欠状況ですけれども,本日,井野瀬委員,それから永田委員が御欠席というふうに承っております。また,山本委員,フクシマ委員が途中御退出予定です。
  なお,フクシマ委員ですが,今遅れて出席される旨,御連絡いただいているところでございます。
  続いて,配付資料の確認をさせていただきます。議事次第に記載のとおり,資料1-1から資料5まで,それから,参考資料1,2の各資料を配付してございます。
  併せまして,この場をお借りしてですが,この部会,今年の3月以来,そして3月も書面審議となっておりましたので間があいていました。このような時期となり大変恐縮ですけれども,事務局の異動について御紹介をいたします。
  今参加が遅れておりますが,4月1日付で学術機関課長に塩原誠志が着任をしております。それから,同じく連携推進専門官に山本武史が着任しております。
  それから,申し遅れました,私ですけれども,学術研究調整官の小久保でございます。改めましてどうぞよろしくお願いいたします。
  それから,本日他用務により途中参加,若しくは退出という形になっておりますが,7月28日付で研究振興局長に杉野剛,そして,8月1日付で大臣官房審議官に塩崎正晴が着任しておりますので,御紹介いたします。
  最後にですけれども,いつものお願いでございます。本日,Web会議により開催と。そして,先ほど観山部会長からもお話のあったとおり,公開での開催ということでございます。
  委員の先生方におかれましてですけれども,発言の際,画面に映りやすいように挙手をしていただきまして,部会長から指名のあった後,御発言いただければと思います。
  それから,御発言の際,大変お手数ですが,御発言の都度,お名前をおっしゃっていただき,発言については,聞き取りやすいよう,はっきりお願いできればと思います。
  それから,発言をなさらないときにはマイクをミュートにしていただければと存じます。
  資料を参照して御発言いただく際は,資料番号やページ番号等,該当箇所をお示しいただければと存じます。
  事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

【観山部会長】  ありがとうございました。それでは,議題1,大学共同利用機関の外部検証結果(案)について取り扱いたいと思います。
  大学共同利用機関の検証については,昨年度にこの部会で取りまとめた「大学共同利用機関検証ガイドライン」に基づき,本年の8月末に各機関から「自己検証結果報告書」が提出されました。この自己検証結果に対する外部検証結果について,大学共同利用機関改革に関する作業部会において,私が作業部会の主査として検討を進めてまいりました。去る12月2日の作業部会において,主査一任として,その後,作業部会としての案を取りまとめました。まず事務局よりこれまでの検証の経緯と作業部会において検討された「外部検証結果(案)」について説明をお願いいたします。

【小久保学術機関課学術研究調整官】  失礼いたします。事務局でございます。それでは,私の方から資料1-1から1-4,それから参考資料2,ちょっと資料が多いですけれども,これまでの経緯等々について御説明したいと思います。
  ちょっとこの部会の開催がしばらく間があいていたこともありまして,経緯の振り返りも含めて,少し御説明が長くなりますが,どうぞ御容赦いただければと思います。
  資料,具体的な話に入ります前に,大学共同利用機関の検証につきましてですけれども,平成30年12月の本部会においておまとめを頂きました「第4期中期目標期間における大学共同利用機関の在り方について」,いわゆる審議のまとめというものでございますけれども,こちらに基づいて実施をしたものでありました。その際の問題意識として,審議のまとめでも触れられていたとおり,近年我が国の研究力が諸外国に比べて相対的に低下しているのではないかといった中で,我が国の中核的な学術研究拠点である大学共同利用機関がその特徴を最大化し,今後の我が国の研究力をけん引していくということが求められている。そういった中で,大学共同利用機関の教育研究活動が,学術研究の動向に対応して,大学における学術研究の発展に資するものとなっているか等を定期的に研究すると。その検証結果に基づいて,大学共同利用機関の在り方を検討することが必要ということとされたところでございました。
  検証に当たっては,審議のまとめの際に大学共同利用機関として備えるべき要件として考えられる事項というものをお示しいただいて,そして,この備えるべき要件というものは法令等で具体的に定めるということが必要だという指摘を頂いたところでありましたので,これを文部科学省において告示という形で「大学共同利用機関の教育研究等の検証に関する指針」として整理をいたしますとともに,本基盤部会において,今年の3月だったわけでありますけれども,検証の観点や参照すべき指標等を示した「大学共同利用機関検証ガイドライン」,参考資料2としておつけをしておりますけれども,これをおまとめいただいて,これに沿って実施をしてまいりました。
  告示について資料1-3を御覧いただければと思います。ここに告示という形で示しました検証に関する指針というもので概要を御説明したいと思います。
  一番上の枠の中は,策定の趣旨ということで,先ほど申し上げたことと重複しますので,割愛をいたしますけれども,枠の真ん中の部分でありますが,大学共同利用機関の検証の観点というものを示しています。先ほど備えるべき要件というふうに申し上げましたが,ちょっと法制的な整理をする中で,観点という言葉で整理をいたしましたけれども,観点としまして,1の「運営面」から7の「社会との関わり」までの7つの観点を設定いたしまして,まずは大学共同利用機関がこのような観点に即して適切な指標を自ら設定して,自己検証を実施すると。その際,検証ガイドラインにおいては,設定する指標の例は示しましたけれども,各機関の判断で独自の指標を設けることも可能としてまいりました。
   自己検証結果については,本日参考資料1として,非常に大部なものでございますけれども,おつけをしているものでございます。
  その上で,自己検証の結果について,各機関がどのような強み,弱みを認識しているかなど,専門的かつ客観的な見地からその妥当性を検討するため,この枠の真ん中の下のあたりですけれども,科学技術・学術審議会,実際にはこの基盤部会の下に大学共同利用機関改革に関する作業部会を設けて検討,これが外部検証と言っているものですが,これを行うこととしたところでございます。
  一番下の水色の枠ですが,結局結果の活用については,第3期の中期目標期間終了時における組織・業務見直しの検討,そしてまた第4期の中期目標の策定や組織の再編等に反映していくこととしたものでございます。
  なお,今般の検証につきましてですけれども,別途国立大学法人法に基づきまして,各大学共同利用機関法人が中期計画,年度計画の達成状況等について評価を行う法人評価というものがございますけれども,これとは異なり,大学共同利用機関ごとに,自らの強み,特色や課題を自ら設定した指標に基づき振り返るということで整理をされていたものでございました。
  それから,検証の周期については,ガイドライン上,中期目標期間に合わせて6年ごとというふうに整理をされていたところでございます。
  続いて,資料1-4を御覧いただければと思います。先ほど部会長からも少しお話ございましたけれども,検証の実施プロセスについて示したものでございます。この一番左のところにございますが,各機関において自己検証を8月までに実施をしていただきました。その後,外部検証の実施に当たりましては,一番下の緑のところになりますが,各分野の専門家から御意見を頂きまして,そちらを参考にしていただきつつ,改革作業部会の各委員の先生方に全ての機関の自己検証報告書を御確認いただいて,所見を執筆いただきました。それを事務局で集約をいたしまして,作業部会を3回行って,合議を行いまして,作業部会としての外部検証報告書(案)をおまとめいただいたものでございます。
   その後,各機関に意見申立ての機会を設けた上で,本日研究環境基盤部会に外部検証の報告書(案)としてお諮りをさせていただくものでございます。
   外部検証報告書(案)の本体については,資料1-2でございます。時間の関係上,網羅的に御説明するのは難しいですが,全体の構成だけ簡単に御説明させていただきます。
   1ページ目から人間文化研究機構の歴博についての記述がありますけれども,1ページおめくりいただいて,2ページから4ページ目までにかけまして,先ほど申し上げた7つの観点ということで,7つの観点ごと,それから,自由記述による所見をまとめています。
  それから,1ページ目に戻っていただいて,総合所見というところを2ポツに設けておりますけれども,7つの観点も踏まえつつ,各機関としての優れた点,それから,課題,改善を要する点等について記述を頂いたものでございます。
  それから,総合所見の最初の数行の記述ですけれども,これは,以上を踏まえた機関としての全体的な状況について総括的な記述を頂いたというものでございます。検証の結果,7つの観点に照らして十分な活動を行っているのかどうかといった点,それから,今後さらなる取組が求められる点について記述をしてございます。
  なお,大学共同利用機関,17機関ございますけれども,高エネルギー加速器研究機構につきましては,設置をする2つの大学共同利用機関の研究活動等を支える存在である加速器研究施設及び共通基盤施設につきまして,機構からの御意向も踏まえまして,別途自己検証報告書を作成していただいて,大学共同利用機関の検証に準じた形で確認を行いましたので,報告書(案)の数としては18になっています。
  構成については以上でございます。ちょっと資料を後ろから戻っていくような形になりますけれども,資料1-1を御覧いただければと思いますが,個別の内容については触れる時間がありませんが,外部検証の結果と今後の課題について全体的な御説明をしたいと思います。
  資料1-1でございます。資料1-1の2ページ目以降には,先ほど申し上げました総合所見の中の更に各機関の総括的な記述について17プラス1の機関等について抜粋をして記載をしてございますので,御覧いただければと思いますが,説明につきましては,主に資料1-1の1ページ目を用いてさせていただければと思います。
   まず上の枠内,全体的な検証結果と外部検証結果というところにつきましてでございます。四角の1つ目。全ての大学共同利用機関について検証を行いました結果,自己検証のとおり,大学共同利用機関として備えるべき要件に照らして十分な活動を行っているものと認められるといったところでございます。
  それから,四角の2つ目ですけれども,全体として,各分野の中核的な研究として,研究資源の維持・発展に努め,共同利用・共同研究の発展に貢献していると。それから,研究資源のデジタル化や異分野融合・新分野の創成に向けた取組が積極的に行われている。それから,組織の改編等についても,多くの機関で行われているといった形で,全体的な状況をまとめております。
   四角の3つ目ですけれども,「他方で」ということで,なお一層の取組が必要なものとして,開かれた運営ですとか,国際的な研究動向のさらなる反映,産業界との連携等々,他の機関との連携強化等々について記載をしてございます。
   また,次の段落ですけれども,研究費の不正使用等が発生している機関がございましたが,こちらについては,再発防止策を含めたコンプライアンス確保の取組について,改善を要する点ということで指摘,記載をしたところでございます。
   それから,下の枠の中でございます。今後の課題ということで,作業部会で御議論いただいた内容をまとめさせていただきました。大きく2つ,(1)のこの検証を通じて浮かび上がった大学共同利用機関の在り方についてと,それから,(2)については,検証を初めて実施したことを踏まえた検証の実施そのものの在り方についてということでまとめさせていただいたものでございます。
 (1)の大学共同利用機関の在り方につきましてですけれども,ポツの1つ目は,記載のとおりでありますけれども,改めて大学共同利用機関の意義といったものの確認ができたということ。それから,異分野融合・新分野創成の推進ということが今後重要になるということが確認をされたというものでございます。
  2つ目につきましては,いわゆる若手研究者とか女性研究者,外国人研究者等の割合を高めていく必要性があるとか,多様性の向上とまとめをさせていただき,挙げております。
それから,ポツの3つ目ですけれども,コミュニティの意見を適切に反映して,学術的・社会的な要請に応えていく観点からは,今申し上げた研究者の多様性のみならず,機関の運営面におきましても,例えば会議等の構成の多様化ですとか,情報公開,活性化に取り組む必要があるといったような御議論があったところでございます。
  それから,4つ目は記載のとおりであります。人材育成,それから,教育面への貢献の重要性が改めて確認されたということで ございます。
  それから,5つ目でございますけれども,研究の進展,高度化が進むにつれまして,必要な機器等も高額になっていくと。一方で財政状況が厳しいという現実もあるといった中で,予算の確保については私どもとしても努力をしていく必要があるわけですけれども,それと同時に,もう少し関係する機関,これは身近なのは,同じ法人内の他の機関,それから,大学や研究開発法人を含めたほかの機関との組織的なレベルでの連携強化によって,研究資源の共有ですとか,効率的・効果的な運営を進めていく必要があるのではないかといったような御指摘があったところです。類似の分野のデータベースの連携とか,機器の運用等が考えられるのではないかというところでございます。
  それから,ポツの6つ目でございますけれども,この点は,既に個別の取組としては実施が進んでいるような異分野融合・新分野創成に向けた研究の取組ございますけれども,そういったことのさらなる発展ということを進めてまいりますとともに,基盤部会の審議のまとめでもお示しを頂きました法人の枠組みを超えた連携の推進と,連合体の取組を含めてということで,この検証結果を踏まえて適切に対応していくことが重要であると考えてございます。
  それから,下の(2)でありますけれども,初めて実施した検証につきまして,検証のやり方,今後の在り方につきましても,作業部会において大変様々な御議論,御指摘いただきましたので,そういったことをここに挙げさせていただいております。
ポツの1つ目については,この検証において,各大学共同利用機関が設定した指標に基づいて検証を行ってきたということでありましたけれども,資料に記載のとおり,各機関や分野の特性というものは十分備えながらであるわけですけれども,自らの特色や強みをしっかり可視化をすると。それから,研究者コミュニティ,社会,分野以外のところからも理解を得られるようなものが大事なのではないかというところで指摘があったところでございます。
  括弧書きにありますけれども,例えば人文・社会科学分野へのどういった考慮,工夫をしていくべきかとか,それから,データの整理の在り方とありますが,これは実施における細かいことかもしれませんが,今般,検証を実施するに当たって,各機関間の相対的な比較を行うものでないといった前提もあって,自己検証結果報告書の記載について,余り統一的な記述の仕方は求めてこなかったものでありますけれども,そうはいっても,各機関における基礎的なデータについてはある程度見やすい形で示した方がいいのではないのかといったような御指摘も頂きました。これは今後の課題かなと思ってございます。
  それから,ポツの2つ目ですけれども,特に国際的な共同利用・共同研究の推進機関としてこの役割を果たしている大学共同利用機関がございますけれども,こういったところについて,関連する分野の国際的な研究機関とのベンチマークの必要性ということについて御指摘を頂きました。ガイドライン上も各機関の判断で独自の指標やベンチマークを設定することは可能としておって,機関の中には,自己検証の過程で国際的なアドバイザリーボードからの意見を取り入れるなど,工夫した取組も見られたところでございますが,今後引き続きその在り方について課題ではないかと考えているところでございます。
  それから,ポツの3つ目でございますけれども,今回検証の対象としたのは17の機関ということであったわけですが,先ほど申し上げたとおり,高エネ研については追加で確認をさせていただきました一方で,同機構におきましては,2つの大学共同利用機関と,それから施設について,一体として役割を果たしておるので,機関ごとに検証するのは難しいという御指摘も作業部会で頂いたところでございました。
  それから,昨今,各共同利用機関法人におきましては,学術的,社会的動向を踏まえて,法人の直轄の組織として,様々な組織を設置するなどの取組も行われております。そうした組織についても,実態に応じて検証の対象としていくことも考えられるわけではありますけれども,その辺の整理をどうするかというのは今後の課題なのではないかというふうな議論があったところでございます。
  それから,ポツの4つ目ですけれども,現在,国立大学法人及び大学共同利用機関法人の第4期の中期目標・中期計画の議論というのは別途進んでおります。この中では,いわゆる評価の実質化,簡素化という観点から,年度計画,年度評価について廃止してはどうかという議論も持ち上がっているところでございます。具体的な今後の評価の在り方につきましてはまだ議論が始まったところでございますけれども,法人評価とこの検証との関係の整理をどうするかといったところも作業部会において課題として指摘をされたところでございます。
  ちょっと御説明が長くなりましたが,いずれにしましても,この検証につきましては,ガイドライン上,6年ごとということをされておりますが,今回の成果と課題を次回にしっかりと引き継いだ上で,必要に応じてガイドラインを改定することなども含めてブラッシュアップを行っていきたいと思っております。
  今般の検証の結果については,冒頭申し上げましたけれども,第3期の中期目標期間終了時における組織・業務見直し,それから,次期,4期に向けた中期目標を策定等にも反映させていくこととなります。
  年明け以降,こちらの動きも本格化してまいりますけれども,各大学共同利用機関,それから大学共同利用機関法人が,自らの強み,特色と課題を可視化して,さらなる機能強化,発展につなげることができるように我々としても取組を進めていきたいと考えてございます。
  事務局からは以上でございます。長々と失礼いたしました。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。関係機関,外部検証を受けるところ,並びに外部検証をお作りいただきました作業部会の委員の先生には本当にありがとうございます。
  それでは,ただいまの説明に基づいて,大学共同利用機関の外部検証結果案につきまして,御意見などありましたら,お願いいたします。家委員。

【家臨時委員】  家です。ありがとうございます。ちょっと今更という質問になるかもしれないのですけれども,私の理解が正しいかどうかちょっと確認させていただきたいのですが,検証に関しては,今御説明いただいたように,7つの観点に即し,適切な指標を設定してということがうたわれています。この指標という言葉は,一般に,特に英語でインデックスなどと言いますと,定量的,数値的なものというニュアンスが強く出てしまうわけですが,ここで言っている指標というのは必ずしも数値的,定量的なものであることを絶対条件とはしないという理解でよろしいでしょうか。

【観山部会長】  ありがとうございました。資料1-3の指針の概要,適切な指標を設定し検証を行うというところで,7つの項目で評価,検証したわけですけれども,今言われたとおり,数値目標とか,そういう形で,絶対評価なのですけれども,どれぐらいのレベルに達すれば大学共同利用機関として適切であるかどうかというような形では今回は実施いたしません。今後,積み重ねていくことによって,そういう適切なものがあれば,数値的な指標というものも考えられるかと思います。
 その面でいうと,しっかりとしたベンチマークですね,特に理系の場合には,海外の同様の研究機関,全く同じというレベルはないかもしれませんけれども,同様な研究をしている研究機関がありますので,そことの比較ですね,ベンチマークを出していただければ,もうちょっとそういう形でそれぞれの研究機関のレベルというのが分かるかなと思っていたのです。しかし,時間が少し限られていたこともありまして,多分各機関は基礎データをお持ちだったとは思うのですけれども,そういうものを明らかにして自己検証されたところはありませんでした。今後は,多分いろんなデータを蓄積されていると思いますので,資料1-1に書きましたように,ベンチマーク等についても提出していただいて,国際的なレベルの中でどのようなところにあるのかということは少し把握していくことが必要ではないかと思っているところです。

【家臨時委員】  ありがとうございます。評価する側(がわ),される側(がわ)で,共同作業として,よりよい評価になるというものを考えていくというふうに理解しました。ありがとうございました。

【観山部会長】  はい,どうも。勝先生ですかね,どうぞ。

【勝委員】  ありがとうございます。今言われた,定量的にKPIを示していく,それで評価をしていくということは非常に重要な点ではないかと思います。また,この情報開示の在り方なのですが,今回,外部検証結果についてということで頂いた資料の1-1なのですけれども,やはりこれがこのまま出ていくということになると,それぞれの機関,共同利用機関の部分の評価というのはなかなか見づらいというところもあるので,その辺はやはり工夫していくべきなのではないかなと思うのが1点です。それから,この1-1の中に研究費不正のことがあったのですが,これは特定の研究機関の名前等は出ていないですけれども,これは特に情報は開示しないということなのか,プラスのところと,それからマイナスの部分とあると思うのですけれども,これはどのような形で開示されるのか,教えていただければと思います。以上です。

【観山部会長】  ありがとうございました。事務局,まずどういうものを公表するかということを御紹介いただけますか。

【小久保学術機関課学術研究調整官】 失礼いたしました。先に申し上げておけばよかったです。今般の検証の結果につきましてですけれども,検証というのは,各大学共同利用機関が行った自己検証,それから,本部会において決定いただく外部検証,2つから成っており,両方とも公表という形になります。資料という形で申し上げれば,自己検証は参考資料1,各機関分がありますけれども,それ全てということになりますし,外部検証結果については,今日,資料1-2ということで,すいません,先ほど,私,構成しか御紹介申し上げませんでしたけれども,資料1-2が17機関プラス1の外部検証結果案となりまして,これそのものが公表という形になります。資料1-1につきましては,すいません,説明のため,少し総括的にまとめさせていただいたというものございましたので,最終的には公表されるそのものというのは,本日の会議自体が公表であるわけですけれども,検証の結果という意味においては,資料1-2と参考資料1ということになります。
  もう一つ,研究費不正のところについて御指摘を頂きました。資料1-1上,機関名は明示していませんが,該当する2機関について,資料1-2の方で該当する機関に記載しており,1件は,人文機構の中の地球環境研究所,もう1件は情シス機構の極地研でございましたが,いずれの機関におきましても,再発防止策についてしっかり取り組んでいるというところも併せて確認をしたところでございます。
  以上でございます。

【観山部会長】   いかがでしょうか。勝先生,それでよろしいでしょうか。

【勝委員】  ありがとうございます。1-2が外に出ていくということになるとすると,もう少し見やすいような形にしてもよいのかなと思いました。これはコメントでございます。ありがとうございます。

【観山部会長】   ほかにいかがでしょうか。鍋倉先生,どうぞ。

【鍋倉臨時委員】  1-2が表に出るということでしたけれども,各機関の運営というのは,コミュニティとの連携と,それから,機関長のリーダーシップというのが非常に重要だと思いますけれども,後者について,機関長のリーダーシップについてコメントされているところが2機関しかないということで,コミュニティの意見を集約して,強いリーダーシップで共同研究,また研究を運営していくという,その観点の何かコメントが全体としてもあれば,運営としてコミュニティが分かりやすいかなと思っています。
  以上です。

【観山部会長】  ありがとうございました。私は資料1-2と参考資料1,要するに,自己検証結果と,それから外部検証結果ですけれども,まとめとして,やっぱり資料1-1の1ページ目みたいなものがあってよいかと思います。その中に,今鍋倉先生が言われたような項目を付け加えるということは可能かと思います。

【鍋倉臨時委員】  どうもありがとうございます。

【観山部会長】  栗原先生。

【栗原部会長代理】 まとめを拝見しまして,個別の評価を読ませていただいて感じていたようなことが,非常に短く簡潔に要領よくまとめていただいて,ありがとうございます。
  それで,この評価そのものについてではないのですけれども,例えば総合所見の一覧,1-1のところに,他機関との連携強化やそれぞれに対して独自性をどういうふうに特化して考えていくのかというような将来の方向性が,どの機関に対しても書かれているので,この点については,今後をどう考えておられるのかというのが1点の質問です。
  それから,もう一つ,先ほどの評価のことなのですが,観点は比較的大きく見た中で,表というのを今後インデックス的な数値的なものにするのか,あるいは,どういう活動をやったかというような,例えば何か新しいデータベースを作るための活動を幾つかに分けて考えるとかという,活動の具体的なもの,定性的なものまで表に加えるのかということについて,英文に訳すとインデックスという意味でも,今後少し丁寧に定量的なものと,具体的な定性的なものとが組み合わせられるように考えたらいいのではないかと思います。後半は意見です。

【観山部会長】  ありがとうございます。最初の他機関との連携の部分に関しては,後で出てくる機構連携,連合体の話の中で,機関同士,他の機構内の機関同士の連携みたいなものも今いろいろ考えられておりましょうから,そういう中で打ち出されるのではないかと思います。
  各機関の独自性,どういうことをやっているのかということをアピールしていくのは非常に重要だと思います。私の個人の感想では,今回,自己検証結果報告書を作られる方も大変だったと思うのですけれども,読む方も大変でして,19機関,結構じっくり読ませていただきました。非常に勉強させていただきました。特に,私の印象で申し訳ないのですけれども,国立国語研究所というところ,これは随分後から大学共同利用機関になられたところでございますけれども,コーパス日本語学という部分で大変発展性があって,例えば自動翻訳,日本語の性格を取り入れた自動翻訳だとか,そういうものについても大きな展開がされているということを知りました。随分私の以前の印象とは変わった活動もされているのだなということも分かりました。それぞれ特色があって,こういうものをもっと一般の方のところにもアピールされると,それぞれの研究所は,よりまた独自性が発揮できていいのではないかなと思いました。もちろん関係されているコミュニティにとってはよくよく分かっているところだとは思うのですけれども,違う分野の方にもいろんなアピールを図ることが非常に重要だと思います。
   ちょっと問題をすり替えたかもしれませんけれども,そういう形で,今後もこういうことは重要な作業ではないかと思います。

【栗原部会長代理】  ありがとうございました。拝見していて,どの機関も非常に多面的な活動をされていて,人数に比べてこんなにできるのかしらと思って拝読したものが多かったので,どんどん広げた注文も良いのですが,少し気をつけて意見を出していくことが大事かなと思いました。

【観山部会長】  これはやっぱり日本独自の共同利用・共同研究という,所内の者だけではなくて,大学や関係機関の研究者が一緒になって研究成果をつくり上げるというところなので,大学の研究者の成果も取り込んだ形になっているので,確かに研究所の人数割りにするとすごい成果であろうかと思います。
   インデックスに関して,新しい項目も付け加えたらどうかということでございますが,これは検討させていただきたいと思います。大学共同利用機関というのはやっぱりボトムアップの組織ですので,共同利用研究者がこういうデータベースを作ることが非常に重要だということから始まっているのだと思います。ただ,既存のデータベースだけではなくて,新しいものをどれだけ作ったとか,どれだけ独自な物を作るかというのは重要な観点ではありますので,参考にさせていただきたいと思います。

【栗原部会長代理】 後半は,例として申し上げたので,データベースを作るということではなく,評価のための指標という観点の中に,いわゆる定量化できるものと,具体化できるけども,数値ではなく活動としての具体的な言葉の例として申し上げたものです。

【観山部会長】  ありがとうございます。大滝先生。

【大滝専門委員】  栗原先生と意見としては同じなのですけれども,やはり国立大学と違って,大学共同利用機関に関してって,意外と一般の人,どういうことやっているのかというのが余りよく分からないということの中で,今回も非常に定性的なというか,文章で,例えば論文数がどうなった,国際共著論文がどうなったとか,これは頑張っているとか,それから,女性の研究者が非常に伸びているとか,そういう定性的な言葉で実際には書かれているのですが,実は指定国立大学,これも完全に決まった様式ができているわけじゃないのですが,各年度でどういうふうに伸びてきたか。要するに,目標値はこういうところで,それに対して各年度でどのぐらい伸びてきたかという実はグラフを作っていらっしゃるのですね。これを見ますと,やはり頑張っているところ,それから,ちょっと実際には進んでいないなというのが一目で分かるというところがあるのですね。全てもちろん定量的な数字で表せない部分というのはあると思いますけれども,そういう流れの中で,定量的に数値として努力が認められるような,表とかという形で数値が出せるものに関しては,そういうものも実際には作って,各の機関がどれだけ頑張っているかというものも評価してあげるということが重要じゃないかなと感じます。
  以上です。

【観山部会長】  どうもありがとうございます。小林先生,どうぞ。

【小林臨時委員】  まず,部会長,御苦労さまです。総合所見を全部書いていただいて,大変だったと思います。これが,分野が違いますので,相対評価をするものではないという前提で申し上げますが,ただ,総合所見がKEKの2つの研究施設を除いては全て十分な活動を行っていると認められていると書かれているために,絶対評価としてもみな横並びな印象を受けるのです。どこも頑張っているのですが,頑張りの度合いがかなり違うと思うのです。非常に頑張っているところもあれば,これぐらいなのかなと思うところも正直言ってなくはないので,総合所見で十分な活動を行っていないとは書けないと思うので,例えば総合所見の行数ですが,別に今回ではなく,今後の話ですが,行数が,非常に頑張っているところはたくさん書いているけれども,余りそうでないところは数行しか書いていないとか,あうんの呼吸で少し分かるような区別があってもいいのかなという気がします。
  あと,KEKの2つの研究施設は,非常に頑張っているので,ここだけ「十分な」という3文字がないので,研究活動の基盤を十分に支えているとか,何か入れとかないと,ここだけ少し低い評価のような誤解を招かないかなという気がします。
  以上です。

【観山部会長】  ありがとうございました。確かに書いていて,だんだん困ってくるのですけれども,小林先生が言われるところは,議論の中では随分検討いたしましたし,レベルの違いがあるので,少しニュアンスが分かるような形の,今回,KEKの施設に関しては,十分支えているという言葉を入れたいと思いますけれども,今後の参考にさせていただきたいと思います。
  それから,大滝先生が言われた,確かにそれぞれの機関は性格も大分違います。分野も違いますので,相対評価ではないのですけれども,個々の研究所がどういう年次変化になってきているのかというのは,絶対評価をする上で非常に重要な指標でありますので,全てではないですけれども,幾つかの機関では,いろんな研究論文数の推移だとか,そういうものについては書かれているところはありますけれども,確かにダイバーシティだとか,それから,国際的な協力関係とかという,そういうものについての年次変化みたいなものは出していただいて,それぞれの研究機関が過去に比べてどれぐらい伸びてきているのかというのは,重要なインデックスというか,指標になると思います。それは参考にさせていただきたいと思います。
  ほかに。家さん。

【家臨時委員】  私もあるのですけど,先ほどから徳宿先生が挙手をずっとされていますので,お先にどうぞ。

【観山部会長】  徳宿先生,すいません。

【徳宿専門委員】  すいません。どうもありがとうございます。大部の報告書,本当に短期間に,多分きちんと読まれて,非常に有効なジャッジメントをしていると思っております。しかもこの短い時間の間に一度意見申立ての期間というのも置いていただけたというのは非常によいことだと思います。それで1つ質問なのですが,意見申立てで何か特に際立ったこととか,何かそういうものというのはありましたでしょうか。評価をやっていく上で,評価をする側(がわ)とされる側(がわ)で意見をぐるぐる回して改善をすすめていくのが重要だと思いますので,もしそういうので特筆することがあったとかいうことがあるのならば,ちょっと参考のために知りたいと思います。

【観山部会長】  私の印象では,もちろん基本的に意見交換は事実確認というところでありましたので,確かに我々が誤解して記述しているところは,そういう事実の誤解を確認して,修正したということはありますけれども,基本的な項目というか,基本的な外部検証で変えたところというのはたしかないように思いますけれども,事務局,何かそこら辺についてコメントありますか。

【小久保学術機関課学術研究調整官】  失礼します。事務局でございます。今の点でございますけれども,今観山部会長からもお話しいただきました,少し自己検証報告書からは読み取りづらかったデータに関する議論があったところについては機関から補足をしていただいて,それに基づいて修文したというのは確かにございましたけれども,おおむねそういった対応だったかなと認識してございます。

【徳宿専門委員】  分かりました。ありがとうございます。

【観山部会長】  家先生。

【家臨時委員】  特にKEKを読んでいてちょっと気になったのですけれども,今回はこれ,研究所単位で記述されているのでやむを得ないところもあるのですけれども,機構全体の取組ではないのかというものが,KEKの場合は主に素核研のところに記載されているという感じを持ちました。これを今更変えるとかいう話ではないのですけれども,次回もしこういうことをやるのだったら,機構全体のこと,特に新分野創出とか,そういうものは機構としてのリソースを集めてやるようなケースも多いと思うので,機構全体としての取組を記述できるようなフォーマットの工夫があるとよろしいのではないかと思います。例えば素核研の47ページの新分野創出のところに,「ミュオンを用いた物質科学研究は特筆すべき」とありますが,これはむしろ物構研の方に書かれるべきものではないかということがあって,ちょっと目立ちましたので。
  以上です。

【観山部会長】  ありがとうございました。KEKに関しては,この作業部会の委員は共通してそういう認識を持ちました。わざわざ2つの研究施設と機関に分けて評価というか,大学共同利用機関としての在り方を見るのが本当にいいのであろうかと。つまり,例えば加速器であると,加速器のいろんなビームを提供している部分というのは施設ですけれども,そこのプロポーザルを選択したりするというのは機関がやっているわけで,それをわざわざ分けているというのはちょっと奇異な感じがしました。ほかの研究機関とはちょっと違う取扱いをうまく,また次の6年間で考えていかなければという認識は確かに持ちました。
  それから,ほかの機関とは歴史も違いますから,機構全体として,共同利用とか,そういうものに関していろんな活動をされていて,それから,新分野の創成についても,機構全体として考えられているということも,ちょっと機関単位とは大分違うところがあるのではないかと認識しております。
  ありがとうございます。じゃあ,竹山先生,どうぞ。

【竹山臨時委員】  ありがとうございます。評価が文章だけというのは,高い評価なのか普通なのか受け止め方によって理解が変わるかと思います。
   数値化に関しては,分野によって難しいというお話でしたが,全部数値化をする必要はないですけれども,例えば女性比率などダイバーシティへの取組に関しては評価を数値化できるのではないかと思います。文章で評価を記述することとA,B,C等のランクをつけることを織り交ぜることによって達成目標を明確化することも重要だと思います。

【観山部会長】  ありがとうございます。非常に重要な指摘で,人間文化研究機構に関しては,随分女性比率に関してパーセンテージ高い研究所があります。一方で,自然科学においてもハードな分野については,決して努力をされていないことはないと私も知っておりますけれども,いまだにずっと低いところもあって,そこら辺を単純に,これはAランク,Bランク,Cランクとするのがいいのか,ちょっと考えるところです。先ほど大滝先生が言われたとおり,各機関での目標値を出してもらって,厳しいところは厳しいなりにいろんな努力をしていただく。ダイバーシティに関しては,単純に雇用とか,そういう問題では解決できなくて,高校時代ぐらいから相当いろんな分野で働きかけて,そういう分野に研究者というか,いろんな方に入っていただくように努力が必要であるとおもいます。自然科学研究分野の機関でも,努力をされているというのは,自己検証の中でも書いてあるのですけれども,実際的に効果が出ていないところというのは結構たくさんあります。だから,そういう面は今後のことだと思います。
   それから,私が言うのも何ですけれども,今回の自己検証,外部検証した初期条件として,次回,3年後,6年後にどう変わってくるかということを,次期の自己検証,外部検証するところの機関並びに検証委員がしっかり見ていくというところではないかと思っております。
   どうもありがとうございました。大滝さん。

【大滝専門委員】  ちょっとお聞きしたいのですけれども,ここの中で今度はベンチマークということがちょっと今回入っているのですけれども,基本的にはベンチマーク大学というのは,指定国立大学の方で,各々の大学に,今,世界の中で自分たちが目指すべき大学を挙げてくださいということで実際には書いていただいたのですが,まだ残念ながら,今,評価委員会で,じゃあ,そのベンチマーク大学に対してどこまで進んだかというような評価はまだ実は指定国立でもやっていないのですね。各々がベンチマークとして出しただけ。大学の場合って,実際にもちろん利用機関も同じなのですが,ぴったり同じところがあるわけではないので,自分たちの中で目指すべき目標となる大学なり研究機関を挙げればいいかとは思うのですけれども,これはやっぱりどの部分を目指すのかということが明確でないと,各々大学名だけ書かれても,相手の大学にもいろいろな学部から,いろいろあるわけで,今度,かえってベンチマークはあるけれども,そこに近づいているかどうかがどうも評価が難しいというのではないかなと私自身は思っていて,まだ実際には評価していないので分からないのですが,やはりベンチマークというものを入れるという場合には,どういう根拠でそういうベンチマークを実際に決めて,それのどこを目指すのかということまで明確にした上でないと,ただ単に研究機関だけの名前,目指すべき研究機関を書いてみても余り意味がないのではないかなというか,まだ結論が出ていないのですけれども,ちょっとそこについて,私自身は非常に悩んでいるので,逆にここをどうお考えなのか,ちょっとお聞かせいただければと思います。

【観山部会長】  非常に重要なポイントで,大学の場合には,ユニバーシティですので,例えばどこかの大学とどこかの日本の大学がベンチマークをやるというときに,非常に多様になって,なおかつ,研究と教育というような形で,インデックスも非常に多数になるので,なかなか難しいのではないかと思いますが,研究機関によって特色はありますけれども,今回のKEKの施設も含めた19の機関や施設は,ユニバーシティとか大学全体に比べれば,分野というのは割と狭いですので,それぞれ海外にある同様の研究所というのは,競争相手ですね,は大体認識しております。したがって,そういうところとの,例えば,先ほど竹山さんが言われたダイバーシティの問題だとか,それこそ論文数,それから,論文の質に関するベンチマークというのは,資料をお持ちと思います。私も前国立天文台に関係しておりましたので,その頃から基本的に各機関は,多分理系の機関は,ベンチマークというのはお持ちだと思うのですね。いろんなところに頼んで,いろんな指標を調べて,内部的にどういう分野が世界的に重要だということも分かっておられるので,多分お持ちだと思うのですが,今回はちょっと出してこられなかったということになって,今後は,それぞれの機関が自己検証の中で,どういったテーマについてベンチマークを行ったのだとかということを示しながら,自己検証の材料としてベンチマークを使っていただくということは非常に重要だと思って,全体で書いた次第です。

【大滝専門委員】  はい,分かりました。ですから,比較する項目もある程度絞って出していただいた方がいいかなと実際には指定国立のときには思っておりましたので。ただ,今の御説明のとおり,研究機関の場合,ある程度競合するところというのは,非常に少ないというか,限られていると思いますので,そういう意味では比較はしやすい。できれば定量的にそれが比較できるような仕組みとしてのベンチマークをつくっていただければというふうには考えます。

【観山部会長】  多分徳宿先生のところなんかは,随分そういうデータはお持ちなのだと思いますけれども,いかがですか。

【徳宿専門委員】  できるだけそういうのも文章の中には入れ込んだつもりではいるのですけれども,単純に比較するのはなかなか難しい。

【観山部会長】  難しいですか。

【徳宿専門委員】  はい。

【観山部会長】  ほかに。大体時間もいい時間になって。じゃあ,松岡さん。

【松岡臨時委員】  松岡です。ありがとうございます。これだけの書類の取りまとめ,大変お疲れさまです。ちょっと拝見して,全体に課題,改善を要する点のところ,非常にきめ細かく記述いただいているのですけれども,非常に大局的な,機関の,組織の根本に関わるようなことから細かいことまでが大変きめ細かく書かれているのですけれども,ちょっとそれが横並びで,出口が大局的なことと細かいことでは少し違うと思うのですけれども,ちょっとそれが一緒に並列になっているということが少し気になりました。先ほど書き方がというような議論もありましたけれども,そういう中で,少し工夫をしていただければなというようなことを感想としては思いました。
  ちょっとそれに関連してなんですけれども,中には資料を見えるようにしろとか,そういう結構短期的にすぐできるようなこともありまして,そういうものについては,この結果を各機関にフィードバックをどのようにされているのかというのがちょっとよく分かっていないのですけれども,もし短期的にそういうのが回せるようだったら,各機関がそれはやりますと言っていることだったら,そういうことも併せてちょっと記述いただけると,もうこれはすぐ改善されるのだなということが読む方にも伝わって,よりよくなるのではないかと,そういう感想を持ちました。
  以上です。

【観山部会長】   ありがとうございました。確かに非常に大きなことと小さいことが,そんなに多くはないと思うのですけれども,ところどころ載っているところがあるというのは分かっておりまして,その辺は,訂正できるところは少し考慮したいと思いますが。私も機関の長(ちょう)をしていましたので,改めて調べてみて特にびっくりしたのは,大学共同利用機関,17機関全て,コミュニティが入って一番重要だと思われる運営会議の議事録を公表していないのですね。ちょっとびっくりした。複数は公表しているところもあるのではないかと思ったのですけれども,全部公表していなかったので。これ,人事案件がたくさんあるので,公表しづらいのかもしれませんが,でも,それは人事の過程は公表する必要はないと思いますけれども,結果だけでよいと思います。特に,どういう共同利用の方針を議論しているのかとかということは,コミュニティにとって非常に重要なものなので,それはすぐにでも公表していただきたいということでございました。
   ありがとうございます。八木先生,どうぞ。

【八木専門委員】 大学共同利用機関って,やっぱり日本の科学力をいかに高めるかという,そこへの貢献が一番求められている場所でしょうし,そういう組織に対する外部検証,評価ということを考えていくと,その部分がうまく強調されるような中でできる方がいいのかなという気はいたします。
  言いたいのは,いろんな評価の観点があるけれども,何となく横並び的にあるので,どのポイントが一番重要かというのは少し見えにくいのかなという気が若干いたしました。先ほどの御意見とも同じなのかもしれませんが。やっぱり一番大きいのは,日本の研究力を自ら高めることもあれば,また共同利用として高めることもあるし,それから,そこに集めた資料が後世活用されて,日本の研究力を高めることもあるでしょうし,やはり科学力というところにこの評価の観点が見えてくるといいかなと思った次第です。
  あと,ベンチマークというのを考えていくと,組織によって,海外とうまく相対する大学とか,組織がないところも多くあると思うのです。これは多分大学共同利用機関だけでなくて,附置研とかでも同じような問題が出てくるし,共同利用・共同研究拠点の方でも同じ問題が起きてくるので,少しうまく考えてやらないと,シャープに1つの狭い領域をやっているところは比較的やりやすいけれども,そうでないところとか独自性があるところというのは表現がしにくいことになるので,うまく考えていく必要があるかなとは思います。

【観山部会長】   ありがとうございます。後段に言われたベンチマークの危険性というものも十分我々も認識,共有させていただいていると思っております。確かに非常にユニークな研究所は,比べても余りいい結果は出ないかと思いますので,それは我々も強制ではないとは思っています。
  横並びに関しては,気をつけたいと思いますけれども,なかなか各自,非常に独特な部分があるので,外部検証という形で,同じ委員が見てしまうと,そんなふうになってしまったところは,反省すべきだと思いました。

【八木専門委員】  その意味で,本来ならば,各機関の方が自らの独自性の下にここを是非してほしいということを強く言ってもらう方が本当はいいのかなという気がするのですね。
【観山部会長】  もちろんそれぞれの機関に関しては,複数の3人ぐらいの専門家の意見を聞いてこのペーパーをまとめたことにはなっております。そこでは結構独自の意見とか,非常にユニークなところをピックアップされたという点もあります。
ありがとうございます。

【小長谷委員】   小長谷です。御苦労さまでした。2つあります。1つは,検証結果の活用です。いろいろな評価がある中で,これは最もインターバルの長いものですから,書いた方は,取りあえずほっとしていると思います。これだけしっかりいろいろと指摘されたことが必ず次の計画,中期目標の計画を立てるときに盛り込まれているということを確認するというプロセスを忘れないで進めていただきたいというのが1つです。
  もう一つは,研究環境が先端的であるということも必要だと思います。研究の中身が先端的であるだけではなくて,日本の学術の環境で非常に残念なことに世界に誇れない点を率先してここで克服していただくという,研究環境の欠陥の克服ということも大きく担うべきだと思います。
  具体的には,最も今問題なのは,女性の研究者の割合が非常に少ないという点です。先ほど竹山委員からありましたように,これは最も簡単に数字で示せることです。いろんなところでお話を聞いていると,学会の平均値を計算して,その学会の平均値並みにうちはやりますというふうにおっしゃっているところもあって,それではいつまでも低いところにずっととどまることを目標にするということで,何にも目標になっていないわけですね。日本全体を引っ張っていく役割があるはずですので,そういう課題も引き受けていただきたいと思います。
  以上です。

【観山部会長】   ありがとうございます。1番目の活用に関しては,先ほど事務局からありましたように,まず,中期目標,基本的にはこれは機関が文部科学省と相談してつくるところですが,1つは,重要な指摘に関しては,中期目標の中に文部科学省の観点として入り込むというところがあるのではないかと思います。
  それから,私,作業部会には,今日は藤井先生1人ですけれども,作業部会には機構長全部,それから総研大の学長もおられましたので,この検証については,6年後ではなくて,機構の責任として,3年後がいいのか,2年後がいいのか知りませんけれども,しっかりと機構内で見ていただきたいと思います。各機関として,課題として指摘された部分は,6年後じゃなくて,各機関の責任で,各機関というか,各機構の責任でしっかりと検証していただきたいということは申し述べました。そういう形で効果が出てくるのではないかと思います。
  藤井先生,何かありますか。

【藤井専門委員】  どうもありがとうございます。今の点ですが,今現在,次の第4期の中期目標及び計画を各機関,法人は作成しておりますが,その中で,特に情シスですと,各機関が今回の結果を受けて,そこでサジェスチョンされたものを中期の中に入れていくということを現在考えております。
   まず入り口としては,中期の目標,計画の中に入れて,当然4年の時点で評価が入りますので,その前に機構としてもしっかり見ていきたいと思っております。また,4機構法人にもこの点をお知らせしたいと思っております。どうもありがとうございます。

【観山部会長】  ありがとうございます。それでは,まだあるのかと思いますけれども,議論はここまでで終了させていただきたいと思います。
  今日は大変有益な御意見を頂きまして,ただ,大筋ではこの方向で御了解いただいたということでよろしいでしょうか。
(「異義なし」の声あり)

【観山部会長】  どうもありがとうございました。今日頂きました意見を踏まえて,必要に応じて修正を図ることとして,最終的な外部検証結果については,部会長である私に御一任いただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
(「異義なし」の声あり)

【観山部会長】   どうもありがとうございました。
それでは,そのように進めさせていただきたいと思います。今後のスケジュールについては,事務局から説明をお願いいたします。

【小久保学術機関課学術研究調整官】  失礼いたします。事務局です。栗原先生。

【観山部会長】  栗原さん。

【栗原部会長代理】  すいません。今のまとめに異議はないのですが,この評価を始めるときに,余り評価疲れにならないように,なるたけ負担を少なくというような議論があったと思います。今後,今までの意見を入れていくと,どんどん報告書が大きくなっていくと,少し大変かと思うので,そのあたりに関してのまとめられたお立場での御意見と,今後,やはり評価する側(がわ)も少し抑制的な部分も必要だと思うのですが,いかがでしょうか。

【観山部会長】  それでは,まず自己検証を書かれた鍋倉先生と徳宿先生にお聞きしたいと思いますが,いかがですか。鍋倉先生。

【鍋倉臨時委員】  鍋倉です。生理学研究所でまとめたのですけれども,我々の中でやっぱりURAという力が非常に重要で,非常に有能なURAにまとめ,原案というか,データを出していただいて,そして我々がまとめるという作業でした。そういう意味では,非常に大変だったのですけれども,URA制度というのが非常に役に立ったというのが今回よく分かりました。
  ただ一方で,求められているものが,非常に大きなものから小さなものまで,いろいろ多様でして,これがすぐにできるのか,できないのかというのが,なかなか,もう少し詳しく分析していかなければいけないと思っています。
  ついでですけれども,1つ,これは機関課の方にお願いしたいのですけれども,非常に求められていることが多様でして,それを達成するために各機関が非常に次の6年頑張ると思います。そのときに,予算的なものが右肩下がりだと,逆に運営自体が疲弊してしまうということがありますので,是非予算的なところで努力していただければ,我々も頑張りがいがあるかと思っています。
 以上です。

【観山部会長】  是非頑張っていただければと思いますので,よろしくお願いします。

【徳宿専門委員】  最後の点につきましては私も同感でございますので,よろしくお願いします。
  鍋倉先生の話を聞いてうらやましいと思った。我々のところでは,結局,所長の周りの者でまとめるという形にしました。ただ,その前に,中期計画の方のまとめの方もやっていましたので,それとできるだけ同じところは使えるような形という形でやったという意味では,2つのレビューが重なったという意味では大変でしたけれども,2つ別々にやるよりはよかったかなと思っております。以上です。

【観山部会長】  当初から検証の資料に関してはなるべく他の評価と同じものを使ってという記述は,それぞれの機関の評価ですので,適切に資料を使い分けてくださいという意味でした。その点は,結構大変だったと思いますけれども,今後の参考にさせていただきたいと思います。一方,外部検証する方は,例えば小林先生,いかがでした?

【小林臨時委員】  ちょっとすいません,聞こえなかったのですが。

【観山部会長】  外部評価をする側(がわ)として負荷はどのようだったでしょうか。

【小林臨時委員】  もちろん大変でしたけれども,非常に意義のあるものだったと思います。もう一つは,4機構の法人評価がありますが,あちらはどちらかというと業務運営と財務が中心になります。教育研究は学位授与機構ということになっていますので,今回の評価の方は,肝腎の研究の方を見ることができましたので,そういう意味では非常に大変に勉強になりましたし,大変ではありましたが,でも,やりがいのあることだったのではないでしょうか。6年に一度であれば,やる側(がわ)はこれでいいのではないかと思います。

【観山部会長】  ありがとうございます。佐藤先生,何か感想ありますか。

【佐藤専門委員】  ありがとうございます。いま小林先生がおっしゃったことは,私もかなり同じように感じています。ただ,1つ,やはり考えているのが,前から申し上げていたことかもしれませんけれども,今おっしゃった,もう一つの評価の方は業務運営と財務ということについて,財務,特に予算などは,将来計画などと本当に緊密につながっているものですので,そこを余りクリアに分けすぎると,適切な評価にとってはかえって難しい問題が出てくるおそれもあるのではないかという気がしております。
  ですから,そこをどういうふうに2つの評価に割り振るというか,必要によってはある程度オーバーラップも含めて評価をした方がもしかするといいのかなと思います。では具体的にとなると当然難しい点があると思いますので,その辺をこれから考えていただく必要があるように思います。
  それから,もう一つは,今回もそれぞれの研究機関で,将来計画というのでしょうか,それをしっかり立てていらっしゃるところ,これは少なくなかったとは思いますけれども,一方で,報告書からはそうした計画や構想が読み取れるというか,うかがえるところがなかったような機関もあったように思いました。ですので,やはりそういった将来計画,特に研究の方向性とか,機関として目指すものを報告書の中でよりはっきりと示していただけるよう,その点については是非今後というか,次回にはお願いしたいと思います。
  以上です。

【観山部会長】  ありがとうございました。いいところは,我々としては,伸ばしていただきたいということは言いたいところです。予算的な面もあって難しいところなのですけれども,是非機関課,文部科学省,頑張っていただきたいと思います。
   ありがとうございました。

【栗原部会長代理】   やっぱり状況把握は基本だと思うので,少し手間がかかってもやるということは非常に大事だと思います。それで日常の活動の中でうまくまとめていけるようなものになっていくといいのかなと思います。皆様,御意見ありがとうございました。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。

【八木専門委員】  よろしいですか。私も先ほどから栗原先生の御意見にすごく賛同しまして,やっぱり変化というのは,本来,国の予算を使っているので,それに対してきっちりしないといけないというのはありますけれども,それによって本来やるべき研究に割かれる時間が大きく割かれてしまうというのは非常に惜しい話なので,やはり評価の基準を1個増やせば1個減らすぐらいの気持ちでそぎ落としていって,各機関が本来自分としてはこういう基準でしてほしいというところを,例えば例で言えば,この5つのポイントで評価してくださいという具合に出して,するぐらいにした方がすっきりするのではないかなという気がします。横並びの評価ができないということですから,そういうすっきりさすことの方が有効ではないかと思っております。

【観山部会長】  貴重な意見ありがとうございました。次回に向けて,自己検証+外部検証に関して,検討の段階で考えたところですけれども,評価疲れにならないような形,評価の観点に関しても,各機関の特色が出るような形を是非考えたいと思います。
   どうもありがとうございます。大分時間がかかってしまいましたので,それでは,今後のスケジュールについて事務局から御説明をお願いいたします。

【小久保学術機関課学術研究調整官】   失礼いたします。事務局でございます。先生方から大変貴重な意見を伺いまして,ありがとうございました。次回の検証に向けて検討してまいります。それから,実は今日,午前中に国立大学法人評価委員会がございました。次期の中期目標・中期計画の在り方についてこれから検討が進んでまいります。また本日の議論も踏まえながら検討を進めてまいりたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
  スケジュールについてでございますけれども,先ほど観山部会長からもお話しいただきましたが,本日頂いた御意見等を踏まえて,部会長と事務局の方で御相談の上,最終的な精査をさせていただければと存じます。各機関による自己検証結果と併せまして,検証の結果ということで公表させていただきます。年明けになると思いますが,速やかにさせていただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
   どうもありがとうございます。

【観山部会長】   どうもありがとうございました。それでは,今ありましたような形で責任を持ってまとめさせていただきたいと思いますので,この点に関しては,作業部会の委員の方々,いろいろ今日も御意見ありがとうございました。
  それでは,続きまして,議題2,連合体の検討状況について取り扱いたいと思います。連合体の具体化に向けては,現在,4機構及び総合研究大学院大学において検討させていただいているところですが,この議題は随分前にいたしましたけれども,ずっと時間があいてしまったのですが,現在の検討の状況について,委員であります情報・システム研究機構の機構長であります藤井委員より御説明お願いしたいと思います。

【藤井専門委員】  どうもありがとうございます。情報・システム研究機構の藤井でございます。
  それでは,連合体の検討状況について御報告いたします。連合体については,今観山部会長がおっしゃいましたように,4機構と総研大から成る5法人で設立準備委員会を作りまして,その下に,組織の検討,研究力強化の検討,大学院検討,業務運営検討の4つのワーキンググループを置いて検討と準備を進めてきております。定期的に開かれる機構長・学長ミーティングでも,毎回設立準備委員会の進捗や課題について検討しておりまして,本年度だけでも機構長・学長ミーティングを4月から7回開催しております。設立準備委員会も2回開催してきております。
  前回の御報告はかなり前でしたので,まず連合体の設立理念と役割について簡単に述べさせていただきたいと思います。縦長の資料2-2を御覧ください。最初のページに連合体の基本的な設立理念が記してあります。
  大学共同利用機関が社会の変化や学術研究の動向に対応しながら,その機能を十分に発揮し,我が国の学術の発展と共同利用の拡充に資するため,4大学共同利用機関法人と総研大で構成する連合体を創設して,異分野融合,新分野創成,国際化の促進,産学連携の促進,大学共同利用機関の特色を生かした大学院教育の充実と若手研究者の養成を行うと。そして,そのための運営の効率化を図るということを設立理念としております。
  具体的にはその下の丸のところに書いてございますが,同様でございますので,特に注意することとして,委員の皆様方からも何回も御指導いただいておりますけれども,共通化することで効率が図れる業務のみを,屋上屋を課さない形のもののみを移行させて,真(しん)に効率化させるということを肝に銘じながら進めていくということでございます。
  課題につきましては,その下の表が続きますけれども,1番目に組織運営,2番目に研究力強化,3番目,大学院教育,そして業務運営について,各々の項目を抽出して,それに対して,連合体,法人,そしてその機関,また大学では専攻ですけれども,役割分担を明らかにしつつ,取り組むべき項目を挙げております。
  具体的な項目については右端の方に入っておりますが,例えば2の研究力強化を見ていただきますと,基本方針に続きまして,新興・融合分野の創出,次のページにはデータサイエンスの推進等が挙げられております。具体的な例も含めた課題が挙げられているのを見ていただけると思います。
  これが大学院教育,業務運営についてもずっとございまして,このマトリックスに従って検討,準備を進めてきております。それについてこれから簡単に御説明させていただきたいと思います。
  それでは,資料2-1のパワポの資料を御覧いただきたいと思います。2ページ目を御覧ください。「連合体」組織の検討についてでございます。これについては,前にも1度御報告いたしましたけれども,名称としましては,前は長かったのですが,今回は仮称でございますが,大学共同利用研究教育アライアンス,といたしております。
  組織形態は,任意団体との比較等も行いまして,その結果,一般社団法人とすることを考えております。
  ここにありますように,組織としては,4機構1大学を社員とする社員総会,それから,理事会を置き,それに対して外部有識者で構成されるアドバイザリーボード,これは評議会のようなものでございますけれども,それを設置して,連合体の運営等に関して御意見を頂くとともに,左側にありますけれども,監事を置くことを計画しております。
  このアライアンスでは,研究力強化,大学院教育,業務運営についての事業を行います。そのために,下の方に書いてありますけれども,各々担当する部会を設置して,また,その運営のための事務局を置く体制を考えているところでございます。これが現在の組織体系の案でございます。
  続きまして,次のページの研究力強化(1)を御覧ください。今御説明しましたけれども,研究力強化部会の下で実施される,資料2-2の方で設定いたしました研究力強化の課題のうち,新興・融合分野の創出,大学連携,IRによる研究機能強化,分野横断データサイエンスの推進の3課題について検討状況を簡単に御説明いたします。
  そのほかの課題も含めて,項目ごとにチームを作り,実施することを考えておりまして,現在,担当業務,予算規模,必要人員,それから,予算等の利用資源について検討を進めているところでございます。次回に御報告できると思います。
  まず新興・融合分野の創出に係る事業企画として検討中の具体例としましては,ここに書いてございますけれども,異分野研究者の交流の場の構築,研究者マップによる情報発信がございます。特に強調したいのは,次期の中期の中盤までをステージ1としまして,広い分野の公募による萌芽的新興・融合分野の支援,そして,その後の中期の後半では,オープンラボを設置して,研究者を集約することによって,新分野の育成・支援等を考えているところでございます。
   現在同様のことを進めており,その状況と検討状況でございますが,第3期の中期期間において,下の方に書いてございますように,4機構連携による異分野融合・新分野創成委員会の下で活動を行っております。その場合,機構間をまたぐ異分野融合研究とスタートアップ研究を4機構で募集して支援しており,また,約1,000万規模の計画を数年支援するスタートアップの支援も行っております。これは外部も含めた方によって審査・採択をしておりまして,遺伝学と考古学を結びつける異分野融合研究など,新学術研究事業に発展している研究もあるなど,新分野創成を目指して効果があるということが分かっております。今後アライアンスではこの事業を総括し,更に拡大し,広く大学も対象とした公募型の事業を立案すべく現在検討,設計をしているところでございます。
  次ページの研究力強化の(2)を御覧ください。大学法人との幅広い連携構築とIRによる研究機能強化でございます。具体的には,まず共同利用・共同研究の推進と関連する課題解決を図るため,大学執行部の意向を反映させる全国的な大学連携プラットフォームを立ち上げて運営するということがありますが,2番目としましては,共同利用・共同研究が我が国の研究力強化に大きく貢献しているということを総合的にIRで見える化して,大学の執行部の方々等と組織的対話を通じて,大学共同利用機関のさらなる活用を促進させるということでございます。
  現状,自然科学研究機構のNICA事業では13大学の研究担当理事との意見交換の場を設けておりますけれども,アライアンスでは,ステークホルダーとの意見交換の場として,同様の組織を現事業と統合して拡大・構築することを考えているところでございます。
  次ページの研究力強化の(3)を御覧ください。分野を横断する共通知であるデータサイエンスの推進でございます。情報・システム研究機構(ROIS)のデータサイエンス共同利用基盤施設,DS施設と呼びますが,そこをコアとして,アライアンス,各機構,機関の各分野において生産される多種で多様な,大型の学術データの共有と解析を推進する学術データサイエンスセンターを組織整備し,分野横断的なデータサイエンスを推進することを検討しております。ROISを連合体のアライアンスの中に持ち出すということでございます。
  また,各機関において学術データを集約するデータアーカイブセンターのような組織を作り,ROISのDS施設と連携させることも検討しております。
  その中で,人材育成としては,データサイエンスを総研大の共通科目として情報の素養を持つ研究者の育成を図ることも考えているところでございます。
  現状ROISでは,ROISの各機関が保有するデータを中心にデータサイエンスを展開しておりますけれども,同時に人間文化研究機構と共同で文理融合課題に取り組んできております。
   さらなる新たな試みとしては,自然科学研究機構の国立天文台と連携して,観測データの処理・解析への情報処理手法の導入支援,人材育成を開始しております。
   今後,4機構傘下の機関はもとより,より広く大学等とも連携して,幅広い分野のデータを対象とするべく働きかけを行うことを検討しているところでございます。
  続いて,大学院教育ですが,次ページを御覧ください。大学院教育については,先ほど資料2-2でお示ししましたが,国際・国内共同学位プログラムの設置等々,様々な課題の検討が進められております。ここではその中で,博士研究者人材育成の新戦略として,機関共通の制度として導入を検討しております若手研究者人材養成のための特別研究員制度について御説明したいと思います。
  事業概要と検討状況ですけれども,この制度は,総研大の学位プログラムと基盤機関における雇用を組み合わせて,優秀な若手人材を雇用することによってより安定した社会的身分,経済的状況の下で研究に専念できる環境を整備して,基礎学術分野の優れた博士研究者人材の輩出を目指すものでございます。
   具体的には,博士課程の後期3年間と学位取得後の2年間を合わせた5年間について,共同利用機関に任期5年の特別研究員ポストを設置するということでございます。募集は,基盤機関ごとの定員等は設けずに,優れた方の採択・採用をアライアンスが一括して行います。
  規模でございますが,確保できる予算にもよるところでございますが,総研大の定員は100名でございますので,まずは20名程度の採用を考えております。
  採用された者は,社会人学生として総研大に在席し,学位取得後は共同利用機関研究員として残りの任期を務めることになります。もちろんその間にほかの職が決まれば,そちらに移ることを妨げるものではございません。これは学振の特別研究員と似ていますが,それとの違いは,学振が奨励金を支給する制度であるのに対して,本制度は共同利用機関による雇用であるということです。それから,博士課程の後期3年と学位取得後の2年間を一体とすることで,若手人材の継続的な支援と育成が可能になるという点でメリットを持っていると思っております。
  なお,2021年度から,お聞きするところによりますと,本事業と趣旨が類似した文部科学省の科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業が開始されるという見込みであるとお聞きしております。その指定分野となります情報・AI,マテリアル等の領域については,本事業の5年間の特別研究員ポストの設置ということを,3年間の総研大フェローシップを2年間の研究員ポストに接続するという方式に変更して実施することをアプライすることを検討しております。
  2022年からは,フェローシップ制度に加えて,連合体事業として特別研究員制度を併置することで,このフェローシップがカバーしない,4機構が持つ更に広い分野を対象とする博士人材育成の強化を図ることを計画しているところでございます。
  続いて,業務運営について次ページを御覧ください。4機構で実施している業務内容を一覧化した「業務共通化検討対象事項リスト」とアライアンス設立までの工程表を作成して,共通化可能な事業を検討してきております。これも資料2-2の後ろの方に載っておりますけれども,業務運営の効率化に資する取組の各々について,人員,予算について調査検討を行い,それに基づき早急に実施できる事項について試行を開始しております。今後,更に共通化可能な業務の範囲,種類を拡大して,アライアンスに移行し実施していく予定でございます。
  今年度に実施されている事項としましては,下の方に記してございますが,個人情報や利益相反研修会の統合等は既に開始しておりまして,今後,新規採用職員研修,知財,安全保障等,会計実務等についても統合して実施することを考えております。
  そのほかに,一番下の欄でございますけれども,男女共同参画,共同契約,広報,施設等に係る業務について,一部実施を既に開始しているとともに,さらなる拡大を検討しております。いずれの場合も,機構法人の業務と重複しない部分で行ってまいります。
  最後のページでございますけれども,今後のスケジュールを記させていただきました。上はここの基盤部会でございますが,2段目以降に設立準備委員会関係を記させていただきました。委員会開催予定,4つのワーキンググループについて記してございます。
  例えば組織検討では,本年度中に組織,業務実施体制を検討して,法人実施事業の決定を行う予定です。来年度は,定款の作成と法人設立準備を行うとしております。
  そのほか,例えば研究力強化では,本年度中に実施事業及び実施体制の検討と決定を行い,来年度には実施準備と試行をする予定となっております。
  今後も,この連合体といいますか,アライアンス設立に向けてしっかりと検討していきたいと思っております。
  準備状況の報告は以上でございますが,最後に是非御検討,御教示いただきたいことがございますので,一言申し上げたいと思います。現在,次期の中期目標や中期計画の策定に入ろうとしているところでございますが,法人については今後文部科学省から考え方や方向性について御教示いただけると思います。私たちのアライアンスの中期の目標と計画をどのように位置づけ,どこに書き込むか。事業評価のように各法人と総研大で共通の項目を設けて,そこに記すのか。そうではなくて別に作るのかということですね。また,予算要求として,アライアンスに関わる分,これは先ほども御報告しましたけれども,現在,法人で行っている事業の抽出をそちらに移し実施するものもありますが,新規項目もございますので,そういうものを含めてどういうふうに行っていくのかということです。あと半年しか時間がございませんので,できるだけ早く文部科学省のお考えをお聞かせ,御教示いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
  以上でございます。

【観山部会長】  どうも藤井先生,ありがとうございました。最後は,これは文部科学省への質問ですかね。

【藤井専門委員】  そういうことでございます。

【観山部会長】  それについては,いずれ後で述べてもらおうと思います。まずこの連合の協議についていかがでしょう。御意見いただきたいと思います。
  では,まず文部科学省,先ほどの中目・中計にどのように表現すればいいのかということについてはもう既に検討はされていますでしょうか。

【塩原学術機関課長】  法人評価の中でこの連合体の取組をどのように位置づけていくかということでございますが,先ほど小久保からもちょっと紹介しましたとおり,本日,午前中に国立大学法人評価委員会も開かれておりまして,第4期以降の中期目標・中期計画につきましては,まずは文部科学省が中期目標の大枠をお示しした上で,各法人がその大枠の中から自らの大学の目指すミッションを一応位置づけて,そこから幾つかそういったセレクションする形で目標,計画を具体化していくという,そういう仕組みにしていきます。
 その大枠の中でですが,まずはそういった連合体の取組についても,文部科学省としては,各法人にお考えいただきたい項目としてお示しすることを今考えております。これは近々,各法人に意見照会という形で大枠についての御意見を頂く機会も設けたいと思いますので,そのように進めていきますが,いずれにいたしましても,法人評価という枠組みでございますので,どうしても法人ごとにそれぞれ目標及び計画をつくっていただくこと,そのフォーマットにはなります。
   ということでございますので,場合によっては,それぞれの法人,総研大も併せて一緒に御検討いただければと思いますが,ある部分はそういった5つの法人が共通的な目標を立て,そして,その上で更に分担関係のようなものもあろうかと思いますので,一定の部分はまた更に法人ごとに少し特色が出てくると。そのような目標,計画というものが今後それぞれの法人の中から出てくるのではないのかなという,我々の最初の想定としてはそんなイメージのものとしてまずは大枠をお示しさせていただきたいと思っておりますので,今後の意見照会,意見を頂く機会等も含めて,引き続き一緒に御検討させていただければと思っております。
 また,最後の予算の立て方についても,これも来年度の概算要求に向けて,我々としてもきちんと検討していかなければいけないかと思っております。基本的にどうしても国立大学運営費交付金の中で処理するものでございますので,法人ごとの措置という形になっていくかと思いますけれども,じゃあ,どこの法人が何を措置するのかというような,何を要求し,どこでつけるのかみたいなことというのは,学術機関課と法人間できちんと連携を取りながらうまい形をつくっていきたいと思っておりますので,この部分について,第4期の運営費交付金の大きな枠組みから今議論しているところでございますので,そういった大きな流れを横目ににらみつつ,一緒に検討していければと思っていますので,どうぞよろしくお願いいたします。
  以上でございます。

【藤井専門委員】  どうもありがとうございます。感謝いたします。

【観山部会長】  それでは,委員の方から御質問,御意見ありますでしょうか。家委員。

【家臨時委員】   どうもありがとうございます。連合体,何をやるか,どういうものにするかということで,大変緻密にお考えいただいているようで感心しました。これから申し上げることは,お話を聞いていて思いついたことの2点ですので,採用するかどうかは全くお任せいたします。
  1つは,大学共同利用機関と似たような,あるいは相補的な役割を果たすものとして,いろいろな大学にある共同利用・共同研究拠点(共共拠点)というのがあります。それらの全国組織として共共拠点協議会というものがあります。それとの連携というのを連合体のミッションの1つとして視野に入れていただいてはどうかなというのが1つです。
  それからもう一つは,今日の最初の議題であった検証でいろいろ指摘事項がございましたけれども,そういうもののフォローアップというのも,場合によっては連合体で全体を見るというのも1つのやり方かなと思いました。
 以上,2点です。

【藤井専門委員】  家先生,どうもありがとうございます。実際に共共拠点との連携は非常に重要であると考えておりまして,対話の中でも共共拠点の方にも入っていただいて行うということになると思っております。是非よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございます。

【観山部会長】  勝委員。

【勝委員】  御説明大変ありがとうございました。非常に緻密に練られた案だと思います。ちょっと質問なのですけれども,今お話を聞いていて,かなり緩やかな連合体だなというような印象を受けたのですが,様々な事業での効率化というのはもちろん進むと思うのですけれども,研究の方でも異分野の研究者が集まって付加価値を高めるということも目的に入っていると思うのですが,ただ,今ある共同利用機関というのは,場所は別々にあるので,この辺はどのように考えているのかなというのがお聞きしたい点と,それからもう1点は,特別研究員なのですけれども,これ,20名を新たに採用するということで,予算規模として5億円ぐらいあるかと思うのですけれども,これはプラスアルファとして予算措置をするのか,あるいは,共同利用機関内での予算措置なのかということと,それから,任期がどれぐらいなのか。基盤機関ごとの定員は設けずということで,その人たちの身分というか,これは特別研究員ということだと思うのですけれども,任期制であるかと思うのですが,この辺についてのキャリアパスみたいなものはどのように考えているのか,ちょっとこの2点をお伺いできればと思います。

【藤井専門委員】  どうもありがとうございます。非常に重要なポイントで,連合体というか,アライアンスで行う役割と,法人,それから機関の役割というところの御質問かと思います。研究の主体は当然研究所でございますので,その中で専門性を高めてどんどん行っていただくと。ただ,もう少しふかん的に見て,A研究所のアイデアとB研究所のアイデアを合わせるといろんなことができるということをアレンジしていく場がアライアンスということでございます。現在もやればできるのではないかというふうに言われるわけですが,実際にはやはり壁が大きくて,なかなか進みません。そういう状況中で,今,4機構法人で試行的に行ったところ,そういう融合研究はかなり成果を上げております。こういう方法で行うと新たな分野の研究ができるのだ。効率的なのだ。ということがだんだん分かってきましたので,これを拡大することで,融合研究はかなり進むのではないかと期待しているところです。
  実際の実施拠点であるオープンラボを設けるのは研究所になります。ですから,主たる研究所のところに物理的空間を設けて,他大学の先生たちが使用できる,又は他機構の先生方が使用し共同研究ができる場を実際に設けることで,バーチャルとはかなり違う親密な協働が可能になると期待しているところでございます。
  それから,特別研究員でございますけれども,予算措置は,これは長谷川学長にお答えいただいた方がいいと思うのですが,当然概算要求を行うものだと私は理解しております。ただ,教育ですので,学術機関課なのか,高等局なのか,そのようなこともまだ議論されている段階だと思います。
  一方で,これは非常に重要ですので,予算が余り付かなかったときの進め方について,例えば人員を削減するなど様々なオプションも検討をしているところでありますが,現段階で余りそういうことを申し上げない方がいいかなと思っております。
  支援する期間は5年間。後期3年とその後の2年間でございます。現在はポスドクを行うのが普通になっておりますが,その間が非常に不安定であるために,博士後期課程に行く人が少ないという現状もございますので,安定した5年間をギャランティーすることによって,しっかり研究を行うとともに,次の職や常勤職等の立場を得るための準備をそのシステムの中で行っていただくことを考えております。
 ということで,キャリアパスとしては,そこで十分研さんを積みしっかりと研究をしていただいて,社会に出るなり,研究職を得るということを考えているところでございます。
  以上です。

【勝委員】  ありがとうございます。そうすると,それぞれの特別研究員は,インスティテュートというか,共同利用機関に所属する身分であって,アライアンスは特にそういった組織ではないという理解で大丈夫ですか。

【藤井専門委員】  はい。そのとおりでございます。ただし,例えば,募集は一括してアライアンスが行うということになります。

【勝委員】  分かりました。ありがとうございます。

【観山部会長】  ほかにいかがでしょうか。

【フクシマ専門委員】  フクシマです。もともと連合体の議論が始まった委員会に参加していたものですから,個人的にこの連合体には思い入れがあり,今日の御報告を大変楽しみにしていました。2点あります。一点目は,正に期待どおりの方向性に進行していらして,藤井機構長のリーダーシップ,本当にすばらしいと思います。是非この方向性で進めていただきたいというのが1点です。
  もう1点は,先ほど勝委員の方から御指摘もあったと思いますが,連合体は非常に「緩い関係」だということで,どこが統括するのかという点です。連合体の目的は「研究を拡大するということと業務の効率化を図る」ということで,研究拡大は,企業であれば売上げを伸ばし,業務の効率化はコスト削減という活動になると思いますが,文理融合のための研究拡大に向けては,民間との共同研究が重要になるかと思います。その際,幾つかの機関を巻き込んで活動する必要がある場合は,機構のどこと協働するのか,つまり,まず民間はどこへコンタクトしたらよいのかと言う点です。まずは,アライアンスへコンタクトして適切なチーム作りをしていただくのか,何かその辺のお考えがありましたら教えていただければと思います。

【藤井専門委員】  どうもありがとうございます。私が的確にお答えできるか分からないのですが,まず研究もそうですが,各研究所だけで公表していますと,その範囲の限定した情報しか出てまいりません。アライアンスでは,IRも含めて,4機構,総研大全体の課題とか,人員,ポテンシャル等をまとめて皆さんにお示ししたいと思っております。
   ということで,産学官連携の場合も,資料2-2のところの最後のところに,研究の最後になりますが,産学官連携,ポテンシャルの可視化と活性化というのをまず行ってまいりたいと思っております。それをアクティブに企業の方が産業界の方にお示しして,是非コンタクトを取りながら進めていければと思っております。

【フクシマ専門委員】  どうもありがとうございました。

【観山部会長】  八木委員,どうぞ。

【八木専門委員】  これはさっきの藤井委員からの御説明の確認だけなのですけれども,予算措置の中で見ていると,大学院学生を研究員で雇用するときには,700万,これは額面で700万という想定をされているということですよね。

【藤井専門委員】  700万でしたでしょうか。全体で7,000万だったと思います。20名に対して,初年度は7,000万として,300万程度の給与と研究費をつけたいと思っています。

【八木専門委員】  これ,僕,この間人材委員会でもちょっと言っていたのですけれども,日本のいろんなポスドクとかの支援って,たかだか月額20万とか,ほとんど生活できないお金しか配っていないと。この仕組みが学生さんを博士にどんどん行く仕組みにするのなら,少なくとも企業の初任給並みは保障できるような仕組みをつくった方がいいと思うのですね。そうすると,5年いる人も働く気を起こすと思うのですよ。是非金額は,ミニマム,企業の初任給並み,それこそ手取りで四,五百万ぐらい,組織が払う社会保険料を入れると六,七百万を想定した仕組みにされることを是非お考えいただけると,これが先駆的な取組になって,また国全体のこういう若手育成の考え方が変わっていくと思うのです。是非藤井先生にはお考えいただきたい。

【藤井専門委員】  分かりました。長谷川学長に是非そのこともお伝えして,検討中のアライアンスの中でもそれを支援していきたいと思っております。非常に重要なことだと思っております。御意見どうもありがとうございました。

【観山部会長】  大滝委員。

【大滝専門委員】  先ほどの実際の組織図を見て,もちろん既にもうお考えになっていると思うのですけれども,基本的には場所も異なる研究所群を,例えばオープンラボを作ったから,それで研究者が集まったら,何か異分野融合が起きるのではないかという,実はそんなに思ったほど動かないのではないかというのが私自身は気になっておりまして,やはり司令塔はしっかりしていることと,戦略的な研究マネジメントチームを,それが伴走者としてついていくような,そういうトータルのシステムをつくっておかないと,実際には研究者が集まったら何か新しいことができるのではないか,イノベーションが起きるのではないかとか,オープンラボを作れば,それで皆さん手を挙げて研究を始めるのではないかといっても,実はそう簡単には動かないというのが現実じゃないかと思いますので,むしろ戦略,それから,システムを考える部会も1つ本当は作っていただいた方がいいのではないかと私は思います。そこは非常に重要です,成果を上げるためには。

【藤井専門委員】  どうもありがとうございます。実は最初に記載しております部会のところに代表者等が入る委員会を設ける予定になっておりますので,こちらで大滝先生に御意見いただいたような戦略的な面,マネジメントを含めたPDCAが回っていくような形のシステムを是非考えたいと思います。どうもありがとうございます。

【大滝専門委員】  ちゃんと研究の進捗をフォローして,うまく進まないときには指示を与えるという,そういうものは,異分野の人たちが集まるが故に,誰が引っ張っていくか分からないような状況になって,結局止まってしまったりすることもよくあります。ですから,そういうときに,伴走者も,どちらもよく分かっているような伴走者,そして,あとは実用化に向かうものであったらば,企業の経験者とかが一緒になって進めてあげるということをやらないと,異分野の研究者がただ集まったから何かイノベーションが起きるという期待をしても,実際にはそんなに大したイノベーションは起きないということがありますので,そこら辺を考えていただければと思います。

【藤井専門委員】  どうもありがとうございます。そのような方向で検討させていただきます。

【観山部会長】  竹山委員。

【竹山臨時委員】  基本的にどの組織でも,URAがいるかと思います。今回のようなバーチャルな連合体においても運営等を機能化するためにURAを配置することを期待します。本日,URAが重要だというお話が出ていたかと思いますが,URAの実力次第で組織運営やイノベーション創出が成功するかと思っています。
  人材育成の面でもURAは,1つのキャリアパスとして認識され始めています。人材の育成をしながら組織運営にも貢献していただくというような総合的な視野を考えていただければと思います。

【藤井専門委員】  どうもありがとうございます。現在URAの組織については,例えば広報等の統合のところで考えているのですが,竹山先生のおっしゃったような形で積極的に取り入れる計画はまだ検討されておりませんので,是非検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。

【観山部会長】  樋口委員,短くお願いいたします。

【樋口専門委員】  短くですか。結構あるのですけれども。

【観山部会長】  じゃあ,結構です。どうぞ。

【樋口専門委員】  細かく端的に言います。樋口です。特別研究員ですが,似たような名前,制度というのはたくさんあります。効果的にするというのは非常に重要ですので,名前はもう少しお考えになった方がいいのではないかと思います。
  また,制度設計する上で,十分気をつけていらっしゃると思いますが,奨学金等々が急に全部返さないといけないとかになると大変ですので,そのあたりも気をつけてください。
  あと,次,広報ですが,ここに書かれていますけれども,私もいろいろ,当事者でしたので,非常に苦労したのですが,なぜかというと,各研究所,機構法人,またこの連合体,全体で皆さん一生懸命やっていらっしゃるのですけれども,でも,結果として,このすばらしい大学共同利用ということが一般の方々に伝わらないので,是非いろいろ工夫していただきたいと思います。
   また,教育なのですが,今のコロナ禍でオンライン化がかなりいろいろ進んでいるという,そのオンラインのITの活用というのがちょっと全体的に見えていないので,そのあたり,今まで場所が離れていたというデメリットがあったのですけれども,むしろそういうものが解消される絶好のチャンスだと思いますので,もう少しその辺を考えていただければと思います。
   全体としては,確実にできるところをきっちり具現化し,しっかり踏み出したということで,高く評価いたします。
   以上です。

【藤井専門委員】  どうもありがとうございます。2点だけお答えさせていただきます。特別研究員については,これは雇用でございまして,奨学金ではなくて,給与等として支給することを考えております。

【樋口専門委員】  いや,違います。雇用されたら,これまでもらっていた奨学金を全部返さないといけないことになりますので,いい制度がかえって敬遠される場合がありますので,制度設計はきっちりとしてくださいということです。

【藤井専門委員】  分かりました。誤解してすみませんでした。
  それから,あともう1点,ITですが,これは大学院教育の中での複数指導員や,それから,分野を超えた指導ができるように今後していくという方向です。その場合には,今おっしゃったように,場所が異なるということもございますので,正にITを利用した教育,指導がエッセンシャルになるのではないかと思っていて,今回のコロナ禍でいろいろ整備が進んでおりますので,それを有効に利用して拡大していきたいと思っております。どうもありがとうございます。

【観山部会長】  様々な御意見ありがとうございました。それでは,今まで頂いた御意見を十分考慮して,今後の設定に役立てていただければと思います。連合体の検討状況については,引き続き基盤部会,今期はこれでおしまいになりますけれども,適宜状況の確認をしてまいりたいと思います。
   私の方からちょっと感想ですが,これは前にも言ったことなのですけれども,私も以前の委員会におりましたから,連合体で一生懸命一緒にやられるというのは非常にいいことで,うまく進んでいるなと,議論が進んでいるなと思いますが,基本的に4つの機構と総研大は独立のまま残るという状況がどうして必要なのかということを一緒に入れながら検討しないと,この連合体の先にすぐ融合したらいいのではないのかというふうになるかもれません。それでよいのでしたら,それでよいのですけれども,そこのところをよく考えながら,大前提の部分を組み立てないと,皆様の御苦労に沿う形になるのかどうかなという感じをちょっと持ちました。

【藤井専門委員】  どうもありがとうございます。そのためにマトリックスの中で各々の役割を明確にしつつ,やはり法人が必要なのだということも強調しながら進めさせていただきますけれども,更にその議論をしっかりとしたものにしていきたいと思っています。どうもありがとうございます。

【観山部会長】  よろしくお願いします。
  それでは,どうもありがとうございます。議題3,本部会に設置された主な作業部会の検討状況について取り扱いたいと思います。どうもお待たせしました。学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会について,まずは御説明を頂きたいと思います。その後意見交換を行いたいと思います。まず主査の小林委員より御説明をお願いいたします。

【小林臨時委員】  それでは,本研究環境基盤部会における学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会の審議状況について御報告をさせていただきます。
  第9期から引き続き,今期,第10期,本作業部会の主査を務めて,大規模学術フロンティア促進事業のマネジメントとロードマップ2020の策定に当たらせていただきました。
  まず大規模学術フロンティア促進事業のマネジメントについては,年次計画に基づいて,大型光学赤外線望遠鏡「すばる」の共同利用研究及び30メートル光学赤外線望遠鏡TMT計画推進について,進捗評価を実施し,評価報告書を取りまとめました。
  また,ハイパーカミオカンデ計画の推進に関して,概算要求に当たり,事前評価を行って,評価報告書を取りまとめたところです。
   更に現在,フロンティア促進事業の年次計画の策定,変更を始め,これまでに本作業部会で定めた事前評価,進捗評価,期末評価の方法や年次計画終了後の各プロジェクトの在り方に関する移行手続等の新たな設定等を包含した大規模学術フロンティア促進事業のマネジメントを検討しているところです。
  それでは,ロードマップ2020の策定について,資料を用いながら説明をさせていただきます。資料3-1,ロードマップ2020を御覧ください。表紙と目次をめくっていただいて,1ページ目を御覧ください。
  「はじめに」として全体を取りまとめております。本作業部会において,2010年以降,学術研究の大型プロジェクトの推進に努めてきたところですが,日本の研究者コミュニティにおける科学的目標と周到な準備に基づく計画のうち,大型プロジェクトの推進に当たって優先度が高いと認められるものを選定し,ロードマップとしておおむね3年ごとに策定してまいりました。このたび,5つ目のロードマップ,ロードマップ2020を策定しましたので,簡潔に報告させていただきます。
  飛ばして4ページ,(3)「『ロードマップ』の策定意義・効果」を御覧ください。本項目では,ロードマップの策定意義・効果に関してまとめております。その中で,一番下のパラグラフから次のページにかけてロードマップの果たす役割を整理しております。大型プロジェクトは,長期間にわたり多額の経費を要することとなるものであり,その推進に当たっては,国内外の学術研究の全体状況はもとより,公財政支出の現況や将来見通し等にも留意しつつ,長期的な展望を持って戦略的・計画的に推進していく必要があります。
  続いて6ページ,(2)ロードマップ策定の方針を御覧ください。本ロードマップの策定に先立つ令和元年12月,本作業部会において独自の方針に基づき作業を進めるため,学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想,ロードマップ策定方針を策定いたしました。この策定方針は参考資料としても掲載しておりますので,御参照いただければと思います。
  続いて,7ページ目から8ページにかけて,(3)「『ロードマップ2020』に掲載すべき研究計画の審査」を御覧ください。今回のロードマップ2020においては,申請があった60計画について審査を実施しました。書面審査の結果,17計画に対してヒアリングを行い,結果として15計画をロードマップに掲載すべき計画として決定をしました。
  評価の観点については,ロードマップ2017策定時の評価における7つの観点に計画の学術的意義に係る観点を新たに加え,8つの観点により本作業部会としての審査を実施しました。
  8ページ,下から3つ目のポツにありますとおり,特に計画の着手,具体化に向けて,緊急性及び戦略性が認められるものを厳選した結果ですので,これらが様々な形で今後予算化されることを期待するものです。
  何枚かおめくりいただいて,別表になります。14ページから19ページにかけて,今回選定した15の計画のプロジェクトについて掲載しております。本当作業部会においては,各計画に対し,計画推進上の基本的な要件に関する評価1と,計画推進上の優先度に関する評価2,並びに主な優れている点,課題及び留意点を取りまとめて,各計画提案者に伝えたところであります。
  選定した15件のプロジェクトは,1枚紙になりますが,資料3-2に一覧として整理しておりますので,そちらも御参照いただければと思います。
  資料3-1の13ページに戻っていただいて,最後に(3)「今後におけるロードマップ策定と大型プロジェクトの推進」に触れたいと思います。本ロードマップは,予算措置を保障するものではありませんが,これまでロードマップに掲載された大型プロジェクトは,関連予算である大規模学術フロンティア促進事業ほか,国の支援による着実な推進が図られています。今後本作業部会においては,ロードマップの継続的な見直しを行い,更に発展をさせることで研究者コミュニティと学術行政の連携を進化させていくことが肝要であることから,ロードマップの策定効果に関する検証の在り方を検討するなど,大型プロジェクトの推進のための効果的な方策について,引き続き模索をしていく予定でございます。
  以上,簡単ではありますが,ロードマップ2020策定について報告をさせていただきました。
  以上です。

【観山部会長】  どうも小林委員,ありがとうございます。大変な作業,ヒアリング並びにロードマップの作成,ありがとうございました。何か御質問,御意見ありますでしょうか。
  よろしいでしょうか。

【小林臨時委員】  一言付け加えさせていただきますと,従来のロードマップに比べまして分野がかなり広がっていると思います。物質材料科学であるとか,生命科学であるとか,そういうところからも非常に優れた計画が出てきておりますので,そういうことも含めて,選定の分野としては従来よりも広がっているということを付け加えさせていただきます。
  以上です。

【観山部会長】  藤井委員。

【藤井専門委員】  小林先生,どうもありがとうございます。小林先生への質問ではないのですが質問がございます。これはフロンティアとかなり強いリンクのあるロードマップなのですけれども,ここに選ばれなかった中にも非常に重要な研究そして今まで継続して行ってきた重要な研究があるわけですが,是非そのような研究の継続性や今後の進展を図れるようなシステムが導入されるといいと思っております。ここに入らなければなかなかフロンティアの方に選ばれないとかということもあるかもしれませんので,是非その辺りのところを文科省も含めて検討していただければと思っております。
  以上です。

【小林臨時委員】  私からも文科省にお願いがあります。1つは,大型研究機器の額がだんだん高くなっていきます。当然それだけ高度化をしていきますから,特にKEKさんはそうだと思いますが,毎回,申請の金額が大きくなっていきます。その一方で,従来であれば,大きな国立大学の総長裁量経費が5億くらいあった時代であれば,そこで購入できたようなものが,なかなかそうはいかなくなってきている中で,フロンティア促進事業の予算が横ばいであると,どうしてもなかなか厳しい状況になります。なかなかそこは難しいところあると思いますが,補正も,予算も含めて,いろいろと御検討をいただければと思います。是非よろしくお願いいたします。

【観山部会長】  これは学術会議のマスタープラン,並びにそれを踏まえて,それを参考にしてのロードマップの検討ということで,文部科学省としては,ボトムアップの仕組みをしっかりつくっていただいたということで,非常に感謝しております。以前に比べれば随分,研究者の意向,研究者による評価をしっかりしていただいて,小林先生,御苦労していただいて,このロードマップを作っていただきましたので,是非とも文部科学省に御努力いただいて,これを選んだものを,是非順調に進めていただくよう頑張っていただければと思います。これは部会長としても是非よろしくお願いしたいところでございます。なかなか答えにくいところかとは思いますけれども,頑張っていただければと思います。
  それでは,よろしければ,次に共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関する作業部会について御説明を頂き,その後意見交換を行いたいと思います。八田委員より概要の説明をお願いいたします。

【八田専門委員】  主査を務めさせていただいております八田でございます。共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関する作業部会の審議状況の概要について御報告をさせていただきたいと思います。
   今期の作業部会は,平成31年2月から約2年間,10回開催をいたしました。審議の主な内容としては,既に認定されている拠点の期末評価要綱や新規認定要綱に関することが中心で,前期の第9期に実施された中間評価からの継続性を意識しながら,これまで課題と指摘されてきたことを取り上げ,可能な限り,具体的に反映できるよう,審議を進めてまいりました。
  具体的には,期末評価については,従来ございませんでしたAマイナス,この区分の新設によりまして,評価区分をS,A,Aマイナス,B,Cの5区分としたことや,人文・社会科学の特性を踏まえた項目の修正,そして,評価項目を整理し,減らしたこと,このようなことが挙げられると思います。
   また,第4期中期目標期間からの新規認定については,拠点ネットワークの推進に関する方向性の議論とともに,拠点認定の数について,第3期の拠点数を基準とすること,国際拠点の公募は第4期の中間年度とすること,これらがございました。
  なお,今年の4月,第5回作業部会からは,新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえまして,会議も書面やWebによる開催となりましたが,委員の先生方からは従前と変わらずきめ細やかな御意見を頂戴でき,また,Webの開催により,全国の関係者からの傍聴も増え,より透明性を確保した議論となったのではないか,そのように思っております。対面の会議のときですと,傍聴される方,文科省に30名程度でございました。Webになっておりましてからは,200名を超える傍聴者,つい先日も開かせていただいた会議には160名ぐらいの傍聴者ということで,傍聴者の数が増えた,透明性が高まったのではないか,そのように感じております。
  事務局から適宜,少し補足の説明もお願いしたいと思います。

【観山部会長】  それでは,事務局,お願いいたします。

【吉居学術機関課課長補佐】  事務局です。補足の御説明をさせていただきます。お手元の資料4-1を御覧ください。まず4-1の2ページですが,この拠点の作業部会の審議経過です。第1回から2ページ目の第10回まで開催しております。第5回以降に赤線が引かれた事項がございますが,こちらは作業部会で決定を頂いたものです。
  これらの内容につきまして1ページにまとめておりますので,1ページにお戻りください。大きな項目としましては,丸で4つほど挙げています。
  1つ目,第4期中期目標期間における共同利用・共同研究拠点の推進の在り方ということで,チェックの1つ目,ネットワーク型拠点(拠点ネットワーク)の整備の推進ということで,第4期中期目標期間にはネットワーク型拠点(拠点ネットワーク)を進めるという方向性の御審議を頂きました。
  ここで拠点ネットワークという書き方をしておりますのは,ネットワーク型拠点を一つ一つ構成しております研究施設が単独型の拠点と同様の内容を持つもの同士がネットワークを結ぶという考え方に基づくものです。
  それから,チェックの2つ目,認定の対象となる研究施設の要件等の明確化ということで,それらの一つ一つの研究施設が大学の基本的な組織として学則等に記載されていること,それから,ポツの2つ目,研究施設の一部について認定を受けることを可能とすること,これらについて御議論いただきました。
  それから,丸の2つ目,今ほど八田主査からもお話がございましたが,期末評価の関係です。チェックの1つ目,評価の観点の見直しということで,Aマイナス区分の新設による5段階評価。4段階が5段階の評価となりました。
  それから,研究不正,研究費不正等のコンプライアンスへの対応に係る評価の観点の追加。
  チェックの2つ目,評価調書の見直し。人文・社会科学の特性を踏まえた評価調書の見直しということで,人文・社会科学の先生方にもヒアリングをお願いいたしまして,意見交換をしながら議論を深めたものです。
  それから,多様な拠点活動に関する自由記述欄の充実。できるだけそれぞれの研究所の個性がきちんと評価に反映できるように自由記述欄の充実を図りました。
  それから,記入項目の整理・削減ということで,かなり項目が多くなってまいりましたので,思い切って減らすところは減らすというような見直しを図りました。
  それから,用語の定義の明確化,外国人研究者,外部利用などなど,いろいろ理解がきちんと定義できておりませんでしたので,こういったことの明確化を図りました。
  3つ目の丸,国際共同利用・共同研究拠点制度関係としまして,期末評価の実施方法につきましては,国際共同利用・共同研究拠点の制度が平成30年に始まったばかりですので,まずはこの制度を始めてみてどうだったかという制度自体の評価を行おうということです。
  それから,チェックの2つ目,第4期における新たな国際拠点の公募時期ということで,今ほど申しました制度自体の評価,振り返りがあった上で新規の公募を考えるべきだろうということで,まずは第4期の中間年度,第4期の初年度ではなくて中間年度に実施するということを御議論いただきました。
  それから,丸の4つ目,第4期における拠点認定関係ということで,拠点の認定数ですが,第3期の拠点数を1つの基準として適切な規模で検討するということで,拠点の数が右肩上がりに増えていくというようなことがないように厳選するという御議論を頂きました。
  それから,チェックの2つ目,認定の時期及び回数ということで,第4期の開始年度に合わせた公募を基本とするということを御議論いただきました。
  それから,参考ですが,認定規程ということで,文科省告示の改正をいたしまして,ちょうど本日付で官報に掲載されて,告示の改正を行っております。
  第11期ですが,一番下ですけれども,令和3年2月26日に各拠点からの評価調書の提出期限の締切りとしております。本日12月23日から開始をして,2月26日に締切りということです。令和3年3月から6月に期末評価,それから,新規認定の審議をしまして,来年の6月から7月頃には評価の結果,それから,新規拠点の結果の決定と進めていきたいと考えております。
  事務局からは以上でございます。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。いかがでしょうか。森委員,どうぞ。

【森専門委員】  非常に丁寧な御説明,御検討の上での御説明をどうもありがとうございました。特に共共拠点から申し上げたいのは,中間評価での共共拠点からの申出を受けて,期末評価では特に人文・社会学系に関して評価基準の見直しをしていただいたということ,どうもありがとうございます。
  次期共共拠点申請に関して1つ質問ですが,ネットワークというのはやはり理解が難しくて,確認のためにお聞きしたいと思います。ネットワークという場合には,単独拠点が大学や研究機関などの他組織と連携をする場合から,複数の拠点が組織的にネットワークを組む場合でも,緩やかなものから組織的なものまで,幅広いネットワークの理解があると思うのですが,このような広範なネットワークまで含めるのかということが質問です。現場としては,ネットワークはとても重要なことだと思いまして,広い解釈でのネットワーク,つまり連携から組織的なネットワークまでを検討するということは非常に意味があると思っております。ネットワークに関する質問です。

【八田専門委員】  補完的なネットワークというか,それぞれの持っている強みを生かしていくというような意味でのネットワークを私はどんどん進めていくべきであろうと考えております。
  議論になったのが,予算面で1足す1が2にはならないのではないかということが大きく委員の方々から問題になりました。そこに関しては,やっぱり連絡とか調整費用が,ネットワーク,必ず要るから,その分の手当てもしてほしいというような要望も受けております。
  事務局からももし補足ありましたらお願いをします。

【吉居学術機関課課長補佐】  事務局です。ありがとうございます。今八田主査からお答えいただいたとおりですが,様々なネットワークが考えられますので,まずはそういった研究所同士が手を組むという取組を推進するということが重要かと考えております。その組合せにつきましては,実際にはいろんな形があると思いますので,広く研究所の方々には学術機関課の方に事前に御相談してくださいと申しておりますので,個別に相談しながら進めてまいりたいと考えております。
  以上です。

【森専門委員】  どうもありがとうございました。

【観山部会長】  ほかにいかがでしょうか。

【八木専門委員】  ネットワーク型拠点ということなので,発言せなあかんかなと思って,私自身は,ちょうど平成22年の頃から5大学のネットワーク拠点の中核拠点の代表附置研としてやっていました。正直な話,先ほどおっしゃったように,実際に組んだときの予算は,5拠点分の予算ではなく,3拠点分程度したので,なかなか大変でした。ただ,我々,5拠点をスタートする前から,2拠点,3拠点,4拠点と,ずっと長く連携をしてきた関係で,お互いに気持ちがつながっていたので,何とか動き出せましたけれども,やはり全体の運営を本当に円滑にしようとすると,気持ちだけではやっぱり難しいので,5拠点が固まれば,やっぱり5拠点を動かすための予算をちゃんと措置していただくということを意識する必要があると思っています。これもやっぱり拠点のタイプにもよると思うのですね。やっぱりネットワーク型が本当に運用という観点で5拠点が連携して全国にサービスを提供し,共同研究を実施するようなところはきっちりとサポートしないと,やっぱり後々は疲弊していきます。
  一方で,5拠点が緩やかなアライアンス的連携をつくるだけであれば,これはまた違う話になってくると思うのですね。
  そういう意味で,ネットワーク型拠点の在り方に応じた予算措置を是非御検討いただけると,実際にやる側(がわ)としては非常に有り難いなと思っております。
   やった者からの感想です。

【八田専門委員】  ありがとうございます。これも資料で今後の課題というところで強く書かせていただいておりますので。

【八木専門委員】  ありがとうございます。極めて重要です。

【観山部会長】  私も委員をしておりましたけれども,この計画に関しては,委員で非常に共鳴するところで,せっかくネットワークを形成したのに,1足す1が2じゃなくて,随分配分経費が減っているのは問題です。先ほど言われたコーディネーション機能というのがやっぱり重要で,そういうところが考慮されるべきではないかということは,委員の中で共有しているところであります。
  ほかにいかがでしょうか。
  どうもありがとうございました。それでは,続きまして,議題4,令和2年度第3次補正予算案及び令和3年度予算案について事務局より関係の資料について説明をお願いいたします。

【小久保学術機関課学術研究調整官】  失礼いたします。事務局でございます。それでは,私から資料5に基づきまして,12月15日に閣議決定されました令和2年度第3次補正予算案,それから,12月21日に閣議決定された令和3年度の当初予算案について,関連部分の概要について御報告申し上げたいと思います。
  早速ですが,1ページおめくりいただきまして,2ページ目,3ページ目,通しページは真ん中の下のところにあります。ちょっと違う数字も入っていますが,真ん中の下のところを御覧ください。
  上が教育関係全体予算のポイント,下が科学技術関係予算のポイントという資料,文科省全体のポイント資料となってございます。
  2ページ目の左下のところでありますけれども,大学からの社会変革を目指し,「新たな日常」に向けた教育研究の推進,基盤的経費の確保云々(うんぬん)とありますが,これの下に黒丸の1つ目があります。国立大学改革の推進等とあります。これが国立大学法人運営費交付金等の予算の全体ということであります。総額1兆838億円となっております。
  右の括弧内,対前年度比は16億円減となっていますけれども,令和2年度までの経費の当然減というものがあるようでして,これを踏まえると,実質的に対前年度27億円の増といったことになっております。
  次の3ページですけれども,これは科学技術関係予算の全体ということであります。科学技術予算全体,総額としては左上に書いてあるとおり,9,768億円ということで,対前年度6億円の増ということになってございます。
   これは全体的な資料であるわけですけれども,4ページ,5ページにおいて,このうち私どもに関連する事項ということが挙げられてございます。4ページを御覧いただければと存じます。4ページの左の真ん中のあたりであります,研究力向上改革の推進と枠内に記載をしておりますけれども,太い字プラス下線で2つ項目の記載がございまして,上の1項目目,大学の枠を超えて知を結集し,学術研究を効果的に推進する共同利用・共同研究の強化のために必要な経費といたしまして,令和3年度当初予算に69億円を計上しております。これによってコロナ禍に対応した研究等の促進等も図ることといたしております。
  また,最先端の研究設備の整備に必要な経費として,3年度当初予算には3億円,ちょっと明朝(みんちょう)体の小さい字で書いてありますけれども,3億円を,そして,令和2年度第3次予算案においては2億円,これは紫色の字で隅付き括弧で書いてありますが,を計上しておりまして,これらによって学術的・社会的要請の強い研究課題の取組に向けた研究環境の整備を図ることとしてございます。
  それから,太字の2項目目でありますけれども,世界の学術フロンティアを先導するための重要な役割を果たしている学術研究の大型プロジェクトを戦略的・計画的に推進をするため,令和2年度第3次補正予算において100億円,これ,紫の字で書いてあります。それから,3年度当初予算に総額として331億円を計上しています。今,331億円と申し上げましたのは,これはこの資料の赤い文字で記載をしている国立大学運営費交付金での206億円の計上と,下に書いてありますが,明朝(みんちょう)体の小さい字で書いてあります最先端研究基盤の整備等と書いてある125億円の合計でありまして,これらを大規模学術フロンティア事業として整備をしてございます。
   資料の6ページは,今申し上げた2つの項目のみをちょっと詳しく書いたものでありますが,更に7ページを御覧いただければと思います。大規模学術フロンティア事業について,1枚もので具体的な内容を整理したものでございます。右上に額の記載をしてございますけれども,先ほど申し上げた,総額としては331億円と。前年度と比べると10億円増ということで,予算案という形で計上してございます。
  加えまして,これも繰り返しですけれども,2年度の3次補正で100億円ということで計上をしてございます。
  学術研究の大型プロジェクトについては,先ほど予算に関する先生方からの御指摘も頂きました。世界の学術研究を先導し,国際的な研究拠点を形成,そしてまた国内外の研究機関,研究者に対して研究活動の共通基盤を提供するものでございます。
  具体的には,令和元年度から着手いたしましたハイパーカミオカンデ計画を含めた14の事業を最長10年間の年次計画に基づき,着実に推進をいたしますとともに,コロナ禍における研究教育のデジタル・トランスフォーメーションを支えるSINETの高度化など,最先端の学術研究基盤の整備やイノベーションによる生産性向上に資する研究インフラ等の整備を推進し,計画を加速してまいりたいということで考えてございます。
  以下は図等でお示しをしてございます。
  最後に8ページ目でございますけれども,これは公私立大学の共同利用・共同研究拠点の特色ある取組を支援いたしますため,補助金事業として実施しているものであります。令和3年度当初予算には約2.7億円ということで計上してございます。令和3年度につきましては,令和2年度に行わなかった新規の共同利用・共同研究拠点の公募を行いまして,スタートアップ支援を行うとともに,共同利用・共同研究活動,リモート化など,コロナ禍に対応した体制整備を含めた機能強化を推進することといたしてございます。
  ちょっと概括的な御説明になりましたけれども,私どもといたしましては,我が国の研究力向上を加速的にしていくために,大学の枠を超えて知を結集して,各分野の研究を重点的に推進する全国共同利用・共同研究体制の支援等,この研究環境の充実に関係部局等との連携の下,引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  事務局からの報告は以上でございます。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。それでは,御質問,御意見いかがでしょうか。
  どうも厳しい環境の中,頑張っていただいて,第3次補正も含めて,様々に考えていただきまして,有り難いことだと思います。予算というのは,幾ら頂いてもみんな満足しないというのがあるもので,申し訳ないのですけれども,今後とも是非是非頑張っていただきたいと思います。研究というのは,連携してやるということが一番効果があって,大学の総長なんかは,自分の大学の研究者をどんどんどんどん成果を上げてほしいということは期待はあるのですけれども,それでも個々の研究者というのは,国内や国外の横の連携をいかに強くして新たな研究を組織するというところ,展開するというところが重要で,そういう中で,大学共同利用機関とか,共同利用・共同研究拠点というのは非常に重要なファンクションでして,そこがうまく動かないと問題です。今は大学という縦割りの中ではなかなかうまく動かないので,そういう面では各機関や拠点が是非是非頑張っていただいて,文部科学省の研究振興局としても頑張っていただければと思います。
  よろしければ,本日の議題は全て終了にいたしたいと思います。
  今回は第10期最後の研究環境基盤部会となりますので,せっかくですので,塩原学術機関課長から一言御挨拶いただきたいと思います。塩原課長,どうぞよろしくお願いいたします。

【塩原学術機関課長】  学術機関課長の塩原でございます。研究環境基盤部会の出席,私,本日が初めてなのでございますが,まずは第10期の最後の御挨拶をすることになってしまいました。
  第10期研究環境基盤部会の委員の先生方におかれましては,今期,2年間にわたり様々な貴重な御意見を賜りました。誠にありがとうございました。
  昨年度は,本部会におきまして,大学共同利用機関検証のガイドラインをおまとめいただきまして,今年度はこのガイドラインに基づきまして,各機関における自己検証,さらにはそれを踏まえた審議会による外部検証を進めていただきまして,本日の部会をもちまして,外部検証結果,一通りの方向性をまとめていただきましたことに改めて御礼(おんれい)を申し上げます。
  この検証によって,各大学共同利用機関の強みと弱み,そして今後の課題等が明確となりました。令和4年度からの第4期中期目標期間に向けて,今後,各法人,機関におきまして,この検証結果を踏まえた取組が行われるものと期待をいたしておりますし,文部科学省としましても,この検証結果を踏まえた機能強化に向けた必要な予算の確保につきまして,最大限努力してまいりたいと思っております。
  また,とりわけ今期は,新型コロナウイルスの影響によりまして,急きょ書面審議という形での開催とさせていただきましたり,また,今回のように,オンラインでの開催とさせていただいた会議がございました。慣れない状況におきましても柔軟に御対応いただきました観山部会長を始め,精力的に御審議を賜りました各委員の皆様に改めて御礼(おんれい)を申し上げます。
  今期の部会としての開催はこれで最後となりますが,先生方には引き続き今後もそれぞれのお立場から御指導,御鞭撻(べんたつ)を賜りますよう,お願いを申し上げまして,私からの御挨拶とさせていただきます。
  誠にありがとうございました。

【観山部会長】  ありがとうございました。それでは,最後に事務局から連絡事項があれば,お願いいたします。

【小久保学術機関課学術研究調整官】  失礼いたします。事務局でございます。先生方,本日も大変長時間にわたり,御議論いただき,ありがとうございました。また,ただいま課長からも申し上げたとおり,本日,10期最後でございます。改めまして御礼(おんれい)申し上げます。
  なお,本日の会議の議事録につきましてですが,本日公開の会議でございますので,議事録につきましては,先生方に確認をさせていただき,後日公開をさせていただくということになりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
  ありがとうございました。

【観山部会長】  本日の会議はこれで終了したいと思います。もう少し早く終わるかなと思っておりましたけれども,休憩もなしに2時間45分ぐらい頑張っていただきまして,どうもありがとうございました。
  委員の皆様,第10期,2年間にわたり,本当に御協力ありがとうございました。私も肩の荷を下ろしてしております。どうも本当にありがとうございました。

―― 了 ――
 

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