研究環境基盤部会 議事録

1.日時

平成22年7月7日(水曜日) 15時30分~17時00分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.議題

  1. 大学共同利用機関法人及び大学共同利用機関の今後の在り方について
  2. その他

4.出席者

文部科学省

倉持大臣官房審議官(研究振興局担当)、山脇振興企画課長、舟橋情報課長、勝野学術機関課長、飯澤学術基盤整備室長、小山学術機関課研究調整官、その他関係官

5.議事録

【白井部会長】
 それでは、ただいまから第48回の研究環境基盤部会を開催する。きょうの主な議題であるが、大学共同利用機関法人及び大学共同利用機関の今後のあり方ということである。ここで、まず事務局から配付資料の確認をお願いする。

【俵学術機関課長補佐】
 配付資料については、議事次第に資料1-1から資料3まで、それと参考資料の1から3まで記述させていただいている。もし不足があれば途中でお申しつけいただければと思う。

【白井部会長】
 それでは議事に入るが、大学共同利用機関法人等の今後のあり方に関して、これは前回の部会において委員から国立大学の法人化の検証を参考にして、大学共同利用機関についても、同様の観点から、成果・課題の分析と改善方策の検討をすべきだというご指摘があった。そこで、きょうは、これまでのご意見、データに基づいて、法人化後の大学共同利用機関の成果と今後の課題、在り方についての論点例を事務局でまとめていただいたということであるので、それをもとにして検討を進めるのが適当かと思う。では、関連資料について、事務局から説明をお願いする。

【勝野学術機関課長】
 それでは、資料1-1、1-2、1-3、資料2、これを中心にご説明をさせていただきたいと思う。今、部会長からお話があったように、前回委員からのご指摘もあったので、大学共同利用機関法人について、平成16年の法人化、機構化以降の成果と課題というものをもう一度整理して、それらを俯瞰的な観点から見ていただいた上で、今後の方策についてご検討いただくという趣旨で資料を準備させていただいた。まず資料1-2と1-3であるが、これは今までも出している資料、あるいはこれまでの議論において出していただいた、ヒアリングも含めてご意見等をまとめたものである。
 まず、資料1-2のほうで審議経過と意見聴取の概要ということで、1枚目にまとめているけれども、昨年の4月にこの議論を始めて以降、昨年の4月から6月にかけて各共同利用機関法人からの意見聴取を行った。それからその後、各委員の先生方に分担していただいて、16の大学共同利用機関への訪問調査を行っていただいた。これを踏まえて、昨年の秋にこれまでの議論の整理というものをいったん取りまとめていただいたところである。その後、10月以降今年の3月まで関係機関、関係の有識者等からの意見聴取を行っていただいた。また、これとは別に国立大学法人の法人化の検証の一環として、86大学と合わせて4機構法人についてもアンケート調査を今年の4月に行っていて、これらも今回のこの資料の中に17ページ以降、具体的なご意見等を記載しているところである。また、6月、前回は大学共同利用機関4機関からの意見聴取も行ったということで、これまでのこの部会において聴取していただいた意見をほぼ網羅できているのではないかと考えている。
 それから、資料1-3は、具体的な法人化以降を主として対象にした教育研究の活動状況であるとか、あるいは、組織、人事、財務といったような、法人制度の運用状況についてのデータをまとめている。ここにはご紹介できないが、資料1-2、1-3を参考として、主な成果と課題をまとめたのが資料1-1である。全体的に教育研究の活動状況と大学共同利用機関法人制度の運用状況、この2つを大きな柱としてまとめている。
 まず、1つ目の柱の研究教育活動の状況についてであるが、大学共同利用機関の最も大きな使命である共同利用と共同研究についてということで、まず1として共同利用であるけれども、主な成果としては、共同利用の件数等を見ても、全体的に共同利用の増加傾向、それから利用体制の整備・充実ということが進んでいるかと思う。また、複数の機関が1つの法人を形成したということで、法人内で複数の機関の研究データ等の資源の共有化というようなことが法人化によって進んだというような成果も出ているかと思われる。
 一方、課題としては、特に大学共同利用機関は、コミュニティのニーズにこたえるという点では、従来からそういう活動をやっているわけだけれども、近年の傾向として、コンソーシアムの形成、あるいは研究機関との協定締結といったような、個々の研究者だけでなくて、組織的な研究組織との連携の充実、そういったようなことが1つ課題としてあるのではないかという傾向が出ているかと思う。
 また、共同利用という点に関しては、利用方法の情報の充実など、外部に対する情報発信の充実、ユーザーオフィスの機能強化というようなことの必要性も指摘されているところである。
 それから、共同研究について、2ページである。これについても、成果としては、共同研究の実施件数等を見ると、全体として増加傾向、活動の充実という傾向が出ているかと思う。また、特に法人化を契機として、研究分野をまたぐ活動の展開による新たな学問領域の創成、分野融合型の研究というようなことも進んでいるという実態が出ているかと思う。
 また、4つ目の丸であるが、ニーズに応じた組織改編とか機動的な予算配分、そういったような柔軟な対応によって研究活動の活性化が促進されたという成果があらわれている。
 課題としては、これは法人化が直接の契機とは必ずしも言い切れない部分もあるけれども、例えば大学や研究者との連携強化によって、さらに新しい分野を創出することであるとか、新たなコミュニティの育成を中心になって担っていく、そういう課題が引き続きあるのではないかというような課題が出ていると思っている。
 それから、3ページのほうにまいって、2つ目の丸にあるけれども、運営費交付金の減額が続いているわけであるけれども、業務運営の効率化等の自己努力だけではかなり限界に近づいている。研究活動への支障が生じていること。さらには、短期的な研究成果が優先されがちで、長期的な基礎研究が軽視されているのではないかというようなご意見も出ている。
 それから、3として、研究成果の発信であるが、全体としては、法人化を契機として、成果の発信、広報活動の充実、そのための体制整備・強化ということが図られている。
 また、研究者だけでなくて、社会や国民に向けた活動の活発化というようなことも盛んになってきているという傾向がうかがわれる。
 それから、5つ目の丸であるけれども、受託研究、あるいは共同研究を推進するために、民間企業等に対する働きかけ、そういうようなことも法人化を契機に活発になっているというような成果が出ているかと思う。
 続いて、4ページのほうであるが、4として、大学院教育への協力と人材育成への寄与である。まず成果としては、総研大の学生のほか、幅広く国公私立の学生の受け入れを実施しているということ。
 それから、各機関の学問的な広がりを活用した、大学ではできないような人材育成が実施できているということで、これは必ずしも法人化を契機ということではないけれども、複数の機関が1つの法人を形成したという点では多少こういったような成果にもつながっているかと思われる。
 それから、主な課題としては、特に法人化以降、各大学における大学院生の囲い込みということが顕著になっている関係で、総研大に対して優秀な学生の確保ということが困難になっているのではないかというような課題が指摘されている。
 それから、私立大学の学生も含めて、より多くの大学、大学院との教育上の連携を強めていくべきではないかというご指摘もあった。
 それから、5つ目の丸として、大学院教育の充実を図るという点は異論はないけれども、そのためのハード面の整備、教育環境の整備が必要であるというようなご意見もあったかと思う。
 それから、社会貢献のところであるが、先ほどの研究成果の発信とほぼ同じような成果が出ている、成果が指摘されているかと思われる。
 一方、5ページのほうにまいって、課題という点では、研究者だけでなくて、国民、社会に対する働きかけということも行っているけれども、まだまだ大学とは異なって、多くの国民に対して大学共同利用機関の役割、意義、活動の実態というようなことが十分理解されていないのではないか。そういった面でのさらなる工夫が必要ではないかというご指摘があった。
 それから、人件費の削減の中で、専門性の高いスタッフの確保が難しくて、こういったような社会連携に対する資源の配置ということが難しいというご指摘もあった。
 それから、6の国際交流の関係では、特に1つ目の丸にあるけれども、機構という組織になったことによって、より幅広い包括的な学術協定の締結が可能になったというような成果のご指摘もあった。
 以上が研究活動面での成果・課題であるが、法人制度の運用状況ということが2番目の柱である。まず1として、組織の管理運営ということであるが、2つ目の丸にあるように、業務に応じた理事の配置によって、意思決定の迅速化、責任体制の明確化、さらには3つ目の丸にあるように、機構長補佐体制の強化というようなことが成果として挙げられている。また、法人経営の効率化・最適化への意識が高まって、研究機関間の壁が低くなったというような成果も指摘がされていた。
 それから、次のページであるが、引き続き成果という点では、組織の改編が自由に行えるようになって、いろいろなニーズに対応した組織の最適化がタイムリーかつ柔軟に行えるようになったというご指摘。それから、特に事務組織については、機構の判断で機動的に事務組織の編成が可能になったというようなご指摘もあった。
 一方、課題という点では、1つ目の丸にあるけれども、複数の機関が1つの法人を形成したということで、大学以上の大きな改革であったわけだが、そういう点で一体的な運営は徐々には高まってきているけれども、まだまだ大学に比べると法人運営というものが難しい。法人内部のガバナンスをさらに強化していく必要があるのではないかというご指摘があった。
 また、場合あるいは状況によっては意思決定のプロセスが複雑化していて、迅速な判断ができない、あるいは重複的な事務処理が負担となっている。そういうような場合というものも中にはあるのではないかというご指摘もあった。
 それから、大学との関係という点では、下から2つ目の丸になるけれども、大学との教授職の兼任、サバティカルの活用促進など、大学がより活用できるような仕組み、環境の整備が必要であるということ。それから、大学との組織的な連携を高めるための例えば意見交換の場の積極的な設定というようなことも必要ではないかというご意見があった。
 それから、人の面では、2のほうになるけれども、人事についてであるが、成果という点では、多様な雇用形態がとれるようになったということ。特に民間からの職員の登用であるとか、あるいは法人内部でのめり張りのある人事、そういうようなこと、さらに研究者については、特任制度であるとか、年俸制の導入というような形で幅広い人材登用が可能になったということ。そういうような成果のご指摘があった。
 それから、機構本部と各機関との人事交流、これは事務職員であるが、そういうような人事交流の活発化、さらには共同での研修による研修の充実と。また、能力評価、業績評価による評価の視点の多角化というような成果もご指摘されていた。
 一方、課題という点では、共通的な点であるが、人件費の削減に伴って優秀な研究者の確保が困難になっているということ。それから、各大学での人材の囲い込みによって人事の流動性が低下しているというようなご指摘もあった。特に事務系・技術系職員の国立大学との人事交流ということがなかなか十分できていないのではないかというようなご指摘もあった。
 それから、8ページのほうにまいって、法人化に伴って、例えば2つ目の丸にあるけれども、非公務員化したということで、労働基準法への対応など、公務員制度時代にはなかったような新しい業務への対応ということが求められてきており、人が増えない中で、現有勢力でそういったものもやっていかなきゃいけない業務負担の増加というようなご指摘もあった。
 それから、機構採用の職員については、今後のキャリアパスを考えていく必要があるというご指摘もあった。
 それから、3は、財務会計関係であるけれども、予算措置という点では、1つ目の丸にあるけれども、交付金自体は減少傾向にあるわけだが、競争的資金の獲得などの努力によって、これまでのところ、何とか主要経費については一定水準を確保できているのではないかと。今後の見通しは不透明だけれども、これまでの成果としては、こういうような成果もあるのではないかということ。
 それから、予算の執行という点では、2つ目の丸にあるけれども、機構長裁量による資源の重点配分であるとか、3つ目の丸にある教育研究の進捗状況に応じた機動的な予算配分、さらには自助努力による施設整備が可能になったというような、そういうような成果についてもご指摘があった。
 それから、主な成果の下から2つ目であるが、契約の事務の簡素化であるとか、調達の迅速化、あるいは複数年契約の可能化というような点で、特に予算の執行面でのメリットも指摘があった。
 一方、課題という点では、先ほども指摘したけれども、交付金が減額される中で、自助努力が限界に近づきつつあるというご指摘があった。また一方、固定資産税とか損害保険料というような法人化に伴って新たな支出が出てきているというようなことであるとか、企業会計原則が導入されたことによる業務の複雑化、あるいは専門知識が必要になっているというようなご指摘もあった。
 最後に、中期目標・中期計画、評価の関係であるけれども、9ページ、4である。まず成果としては、年度評価ということが、結果が出ることによって、それぞれの年度の課題を的確に把握して、それを組織運営の改善に結びつけていくというサイクルが確立しつつあるというようなご指摘が全般的にあったところである。
 一方、課題という点では、1つ目の丸にあるけれども、評価の負担が大きいというようなご指摘があった。また、いろいろな評価があって、そういうものが過重になっている、あるいは重複しているのではないかというようなご指摘、さらには、特に基礎研究については、評価基準がなかなかあいまいで、評価者、あるいは被評価者、それぞれが納得できるような評価が難しいのではないかというご指摘。特に人文系の研究については数値目標の設定が非常に難しいというような今後の課題についてのご指摘があった。
 以上、これまでの法人化の成果の課題ということで、主に法人化を契機としている成果、あるいは課題を事務局のほうで整理させていただいた。それも踏まえて、法人化以外の成果・課題についても、これまでこの部会においてご議論いただき、また関係の団体等からも意見聴取をいただいたわけであって、今後こういったような議論を踏まえて、この部会としての議論を整理していただくに当たっての論点を資料2のほうで事務局のほうでたたき台ということで用意させていただいたので、これについても説明をさせていただきたいと思う。
 資料2のほうであるけれども、今後のあり方を検討するにあたって、まず1つ目の柱として、大学共同利用機関の位置づけ・役割をどのように考えるのかということがあるのではないかと思っている。学術研究機関という位置づけがなされているわけであるけれども、学術研究については、研究者個人の多様性あるいは独創性を尊重した研究推進ということは重要であるわけだけれども、それとともに、そういった研究者の知を結集して、それを組織立てて飛躍的な発展につなげていく、そういう観点からの学術研究の体制整備を図っていくことが今後重要になるのではないか。こういう観点から、大学共同利用機関という研究機関の位置づけ、あるいは役割を考えてはどうかということである。
 それから、2つ目としては、そういったような共同利用機関の位置づけ、役割というものを踏まえつつ、その目標達成に向けてどのような観点に立って、またどのような方向で大学共同利用機関の機能の強化を図っていくべきなのかということが2つ目の論点としてあるのではないかということである。機能強化の方向ということで、その下の例としては、幾つかに分類してみたけれども、研究面における方向性、大学との関係における方向性、教育・人材育成面における方向性、運営面、人事、会計等も含めてであるけれども、運営面における方向性、それから社会・国民との関係における方向性、この5つの面における方向性を整理してみた。
 まず、研究面においては、研究者の多様性、独創性に立脚しつつも、知を結集して学術研究の飛躍的な発展につなげていく、そういう基盤機関としての役割、これを今後とも充実させていく必要があるという観点から、共同利用機関みずからがこういう基盤機関であり続けるためには、COE機能の一層の向上を図っていくこと、あるいは、共同研究体制の整備・充実を図っていくことが必要ではないかということである。
 それから、大学との連携という点では、これは研究面、教育・人材育成面、両方にかかわるかと思うけれども、大学の共同利用の研究所という本来の役割に立ち返って、例えばこれまで行っているような研究資源の提供、これはもとよりであるけれども、大学、あるいは大学の研究組織とのネットワークの形成であるとか、大学の教育研究に対する支援の充実、こういうような方向性で大学との組織的な連携をさらに強化していく、そういう方向を考えてはどうかということである。
 それから、教育・人材育成面については、すぐれた研究環境を最大限活用して、大学の大学院教育への協力はもとよりであるけれども、若手研究者の育成、こういう面でも積極的に貢献していくという方向を考えてはどうかということである。
 それから、2ページにまいって、運営面での方向性ということであるが、先ほどの成果と課題にもあったように、法人運営について一定の進捗は見られるわけだけれども、さらにそれを法人制度の創設のねらいに向けて近づけていくために、各法人のガバナンスの一層の強化を図る方向を考えてはどうかということである。
 それから、国民社会との関係、あるいは社会における大学共同利用機関のあり方ということになろうかと思うけれども、コミュニティ、あるいは大学に立脚した組織であるという点はもちろん重要ではあるけれども、大学あるいは研究機関の活動に対する国民的な関心の高まりであるとか、あるいは共同利用機関の活動そのものが公的資金によって支えられている、そういう状況にかんがみて、大学共同利用機関にとってコミュニティ、あるいは大学だけでなく、国民社会というものは非常に大きなステークホルダーである、そういう認識に立って、国民・社会とのコミュニケーションの一層の充実を図っていく、そういう方向を考えてはどうかということである。
 以上のような幾つかの方向性を具体的に実現するための方策としてどのようなものが考えられるのかというのが2ページの3以下である。それぞれの5つの方向の中で具体的な方策というものを例示という形でお示しをしているけれども、いくつかご紹介すると、例えば研究面においては、新たな学問領域創成、あるいは異分野融合的な研究の推進という観点から、例えば新しいコミュニティの育成を積極的に進めていくということであるとか、領域融合の将来像を共同利用機関がいわばリードする形で検討するというようなことなどが考えられるのではないかということである。
 それから、共同利用機関でなければできないような、例えば大型プロジェクトなどについては、今後の効果的な推進について打ち出してはどうかということで、これは大型プロジェクトの作業部会のほうとも連動するけれども、作業部会の議論も踏まえつつ、方向性を打ち出していってはどうかということである。
 それから、(2)の大学との連携ということでは、先ほども一部触れたけれども、ネットワークの形成という意味で、大学共同利用機関をハブとして、大学の附置研究所等とのネットワークを形成するような、そういう取り組みをさらに進めてはどうかということ。
 また、大学の附置研究所が共同利用・共同研究拠点になっているわけであるけれども、こういった拠点との関係については、相補的、あるいは協働的関係に立って拠点との連携のあり方を検討してはどうかということである。
 それから、大学との組織的な連携を進めるための定期的な協議の場の構築であるとか、技術指導、あるいは研究者の受け入れというような面で大学の教育研究に対する支援の充実を打ち出してはどうかということである。
 それから、教育・人材育成面では、総研大との連携について、総研大の抱える課題を踏まえつつ、連携のあり方についてどういう方向を出すのかということは少しご議論をいただく必要があるのではないかと思っている。
 また、総研大に限らず、幅広い大学からの学生受け入れを進めていくという方向も1つ提案としてはあるものと考えている。
 それから(4)として、組織運営・人事・財務の関係であるけれども、まず機構法人の運営体制の強化ということでは、機構長の裁量を強化する、あるいは補佐体制の強化、さらには役員構成等の検討、機構本部の事務体制の整備、こういったようなことが考えられるのではないかということである。
 また、管理業務について、さらに事務の一元化・集中化を進めてはどうかということ。
 それから、運営体制にコミュニティだけでなくて、大学のニーズを適切に反映できるような、そういう運営体制を構築していくという方向性があるのではないかということ。
 それから、機構の運営を支える事務職員については、大学との人事交流の活発化、あるいは各機関との人事交流、それから機構本部の採用の充実、キャリアパスの構築などを通じて人事そのものの充実を図っていくことが必要ではないかということである。
 それから、最後になるけれども、社会・国民との関係については、さまざまな広報活動の充実、それから、特に大学だけに限らず、中学・高校生レベルに対する教育に対する協力というようなこともさらに進めるということを打ち出してはどうかという提案である。
 事務局のほうで考えられるいくつかの例示を盛り込んだので、これを参考にご議論いただければと思う。
 最後になるけれども、参考資料の1ということで、今後、この部会としてこの件について議論をまとめていただくことになろうかと思うけれども、おおよそこれまでの議論を踏まえると、全体のまとめに向けての議論を整理するとすると、こういうような構成になるのではないかと考えている。本日お示しした資料は、この中で特に4番のところと5番のところにかかわるかと思っている。2番、3番等についてはこれまでも既に昨年秋の議論の整理などでも整理されているので、本日、4、5のあたりを中心にご意見等をいただければと考えているので、よろしくお願いする。以上である。

【白井部会長】
 ありがとう。それでは、きょう、かなりいろんなものが整理されて、材料が出てきたと思うけれども、議論を続けていただければと思う。どなたからでも結構であるが、今提示された資料に基づいてでも結構であるし、それ以外のことでも。

【横山専門委員】
 この議論の流れというわけではなくて、確認というか、質問であるが、先ごろ予算のシーリングで大学の運営費が8%削られるというお話が出てきて、これは科研費なども含まれるということで、かなり大きな不安を呼び起こしているのではないかと思うが、この部会としてはこうしたご議論はどのように触れていかれるか、あるいはどういう位置づけで文科省の中で対応されるのかというのをお伺いしてよろしいか。

【白井部会長】
 突如耳慣れないやつが出てきたけれども、文部科学関係の、まず我々関心が深いのは大学関係の予算、これは国立大学、それから私立大学の配分と、それから研究費そのものがどういうふうになるのかということである。正直言って、選挙が終わらないとよくわからないと思うけれども、もし何か勝野さんのほうであれば。

【勝野学術機関課長】
 この部会だけでなくて、ある意味では、大学、それから科学技術、学術にかかわる文部科学省の関係部局、それから関係の審議会、そしてまた大学、大学共同利用機関、いろいろな研究機関に広範にかかわる非常に大きな問題だと思っている。事実関係だけ申し上げると、6月に中期財政フレームを含む財政運営戦略というものが閣議決定されて、その中で、今のような、財政フレームでそこまではっきり、マイナス8%という数字が出ているわけではないけれども、中期財政フレームの考え方を踏まえて推計すると、今ご指摘のような、そういう数字が出てくるということだと思っている。これについては、先日開かれた国立大学、それから大学共同利用機関の学長・機構長会議でも文部科学省のほうからご説明したところであるし、またこのような審議会、あるいは関係の会議等の場でもご説明しているところである。まだ、今、部会長からもご指摘があったように、それを踏まえた具体的な政府内のさらなる検討がそれ以降進んでいるという状況ではないので、おそらく推測になるけれども、選挙が終わった後に、7月中には従来のシーリングのようなものが示されるという情報もあるので、そういうものが決まっていく過程の中で、さらに具体的な姿が見えてくるのではないかなと考えている。いずれにしても、厳しい予算要求の枠になるということは変わらないと思っているので、もちろん経費の節減、あるいは不要不急な経費を見直すという取り組みは必要なのだけれども、一方で、私立大学、国立大学を含めた基盤的な経費、そして競争的資金も含めた大学の研究・教育を支える経費が重要であるということは変わらないと思うので、そういったようなことの重要性を我々としてもいろいろな機会に訴えていかなければいけないと思っている。また、関係の先生方のほうでもぜひそういったことについてご理解、ご対応をお願いしたいと私としては思っている。

【白井部会長】
 私も全然まだ何の情報も、というか、多分ほとんど具体的な情報はどこにもないと思うけれども、結局財政の方針を立てたとすると、既存の例えば高齢者とか福祉関係、そこは固定だと。それをとっていくと、残ったところはマイナス8にしなきゃいけないという話であろう。それは理屈としてはそうなんだろうけど、マイナス8とは、全部をマイナス8にするということではないだろうから、そのめり張りをどういうふうにするのか。ただ、現実の問題として、我々が恐れるというか、いきなりマイナス8と出てきているから、ある意味では前の骨太方針より激しいわけだよね。全体をもしやるとすると。そうすると、非常に急なので、要するに、各箇所の、大学もそうだし、研究機関もそうだけれども、人を抱えているわけだから、人件費をそんなやたらと減らすわけにいかない。そうすると、そこをそんなに減らさないで全体の予算を減らせば、当然研究費にしわ寄せが来るわけで、そこのところをめちゃくちゃにやるということが現実にできるのかどうか。これはこれから、多分7月11日が終わって、12日ぐらいから猛烈に頑張らなければならないと覚悟している人は何人かいるかと思うけど。そんな状況かなと。注目していただきたい。ここの部会でそういうことを問題にして、部会から何か出るということはないかもしれないけど、何かの形で研究者グループが声を上げなければいけないということはあり得るとは思う。それのときに、委員会のペースをどういうふうにするかとか、どういうふうな形で皆さん方に声を上げていただくのかとか、そういうことはもしかしたら問題になるかもしれない。
 本題について立ち戻らせていただいて、深刻ではあるんだけれども、今説明いただいた資料1、あるいは2を基本にしながら、何かご意見があったらどうぞ。

【北川専門委員】
 資料2の第2項の今後の機能強化のあたりに関連するかと思うけれども、法人、第1期をやってみての感想としては、各研究所は法人化による自由度を活用して、組織を変えたり、いろんな努力はして対応してきたと思う。また、機構も、限られてはいるけれども、新しいセンターをつくる等で、従来の所属する研究所だけではできなかったようなことをやってきたと思うけれども、もう一段上から見ると、その結果として、国語研は別として、新しい共同利用機関ができたわけでもないし、著しく研究のダイナミズムに欠けるようなものがあって、閉塞感が感じられる。ドイツのマックス・プランク研究所等は、小規模ながら、非常にたくさんの研究所がある。そういうものがかなり機構の判断でできていくようなシステムになれば、今後さらによくなると思うが、その辺がなかなか難しい。機構の努力でセンターをつくっても、それが共同利用機関になるわけでもないし、その辺をうまくやっていただければと思う。最近いろんな形で競争資金で新しいことができるようになりつつあるけれども、残念ながらそれが大学共同利用機関のほうに直接は反映してないというのがあるのではないかと思う。

【白井部会長】
 今のご意見、要するに全体の学術研究を統御していくような運営機関というか、そういうものがどこだかよくわからないというか、メカニズムはできているけれども、現実にそう簡単にそれがどんどん動くわけではないということからいうと、学術関係の、ここではあまり表現ははっきり見えているわけではないけれども、研究機構を統合していくような、何かそういったものがないと、現実にはダイナミズムは生まれないと。マックス・プランクみたいなイメージは確かにあると皆さん思っているんじゃないか。

【海部専門委員】
 よろしいか。今ちょうどそういうことを言っていただいたので、もうちょっと後で申し上げようと思っていたのであるが、法人化後のこういう取りまとめをする場合に、法人化がすべて正しかったという基本に立つのは私は間違いだと思う。果たして法人化というのは、何がよくて、何が悪くて、その先に何があるのかということである。前々からここで議論があるように、4機構に分かれたというのは、これは私は非常に中間的なものだと思っている。その4つに分かれた機構のガバナンスをそれぞれ強化するということが果たして正しいのかというのは、私はかなり根本的に疑問を持つわけである。私はこういう視点もこの中に入れていただきたいと思うが、今後の科学、あるいは学術というものは、非常に広い、理系、工系、文系、社会系を問わず、全体的に総合的な視点を持った研究なり政策なりを立てていかないと、今後の社会が対応する非常に大きな問題への対処ができないわけである。今の社会は、学問の総合ということが非常に強く求められつつあると思うが、その中で、大学共同利用機関の状況は非常に中途半端。この4つという話も必然性のない形で、機構はできたけれども、私は、個々の機構のガバナンスを強化しろということを大学と比べて言うのはちょっとまずいことで、むしろこの中では、私、幾つか意見があるが、機関法人が大学法人と違うのは当たり前である。だから、名称も違う。法律的にも違う位置づけになっているわけであるから。だから、それはむしろ分野が異なり、あるいは違うコミュニティに支えられて活動している各大学共同利用機関の特性を殺すことなく、しかし、統合をせっかくしたわけだから、その共同をいかに有効に進めていくかという、いわば大学共同利用機関の特質を踏まえたガバナンスの強化という、例えばそういう表現が必要なんだと。大学と比べて独立性が強いからいけないというふうにこの文章は読める。しかし、それは違う。大学共同利用機関はもともと大学とは在り方も違っているわけだから、むしろ各分野で大きなコアになってきたものだから、そういうことを踏まえて、私としては、先ほど申したような、科学、学問、あるいは学術の将来的にもっと大きな統合ということを視野に置きながら、例えばこの中に全く触れられていないけれども、機構間の協働ということをもっと触れるべきだと。それが将来どういうふうになるか、どこまで具体的に我々、それをここで触れるかは別として、しかし、ここには機構間の協働ということは一切出てこない。それは非常にまずいのではないか。という2つのことを申したい。具体的には、学問のより広範な共同・統合ということを最初にボンと出すべきだと思うし、それを踏まえて、例えば現在の4つの機構のガバナンスをそれぞれに強化してしまうということを強く言うのではなく、むしろ、4つの機構間の協力を進めるということをこの中に盛り込むのがよろしいのではないかという意見である。

【稲永専門委員】
 おっしゃられることはよくわかるが、せっかくいいチャンスだと思う。何のチャンスかというと、大学共同利用機関というものをきちっと日本の科学技術・学術研究のどこを担うのかというのを位置づける一番いい機会だと。それでこれまで議論してきたと思うが、きょう資料2の学術研究を推進する上で大学共同利用機関の位置づけ、役割をどのように考えるかと、ここはまだすっきりとしてないというか、そのためにいろんな議論が出てくる。法人化がよかったのか、悪かったのかというのは、まだやったばかりで、今、法人化はどうのこうのと急いで言う必要もないと思う。プラスの面もあるし、マイナスの面もある。だから、その中で大事なのは、大学共同利用機関の位置づけ、役割をもっと明確にする。大学とどう違うのか、独立行政法人の国研等とどう違うのかというところを明確にして、それがないと日本の学術研究の推進上困るんだというようなところにもう少し絞って議論をしないと、それ以降のところは、どういうふうにしていったらその役割が達成できるのかとういところの手段、ある意味では手段みたいなもので、その手段も、そこに位置づけ、役割にシャープに絡んだ手段が出てくるんじゃないかと思うが。長くなって申しわけないが、位置づけ、役割をより一層明確にする必要がある。それがないと議論がなかなかしにくい。法人化とか何かはおいといていいことだと思う。

【海部専門委員】
 「法人化後」という書類だったので、それで私は申し上げた。

【白井部会長】
 海部委員のおっしゃられたのは、機関法人をつくったけれども、それは必ずしも、今稲永さんが言われたような意味で、日本の学術の研究体制というのは、もちろん伝統もあるから、いきなりめちゃくちゃに変えることはできないけれども、そういうものを踏まえながら、ある程度理想を追った上でつくったものではないということである。そういうことをおっしゃっている。だから、ここである程度実績を踏まえた上で、少し整理して先に進んでもいいだろうと、そういうご意見であるね。あまり違ったことは言ってないと思うけれども、アプローチの違いはあるかもしれない。

【金田臨時委員】
 今の論点にかかわることであるが、私のような人間文化研究という、文系のすべではないけれども、文系の研究機関の立場からいうと、文系の研究は、ほかの場合にもよく似ている面があるとは思うけれども、より一層プロジェクトに適した部分と、プロジェクトに適さない部分があって、プロジェクトに適さない、恒常的な形で、非常に息の長い形で続けないとしようがないとうい部分が強いと思っている。そういう点からいうと、まずは6年間で制度を見直すというのは早過ぎるというのが基本的な意見で、もう少し息長くやらないと、制度をいじくった途端にいろんな努力が全部御破算でなくなっちゃうと感じる。それが1つである。したがって、基本的に稲永先生のお話には賛成なんだけれども、ミッションをきちんと設定する、あるいは位置づけを再認識するということは非常に重要だと思うけれども、今文科省だけに言っているんじゃないけれども、世の中全体が短期的な結果を求める方向へ強く流れているので、それをどうするかという責任も我々のほうにはあるのかもしれないけれども、もっと息の長い政策を進めないとだめなんじゃないかというのが基本的なところの感覚である。そんなことばかり言っていてもしようがないんだけれども、それに関連していうと、この書類の中で大学共同利用機関としての位置づけを考えるときに、日本の高等教育や研究体制にとって大学共同利用機関というのはどういう役割を果たすのかということをもっときっちり書き込んでいく方向を考えたらいいんじゃないかと思っている。ともかく何でもやればいいというものじゃないので、例えば大学院教育だけじゃなくて、学部の大学、あるいはさらにもっと下にまでという形を示唆しているが、初等・中等教育がそんな簡単にできるものじゃないし、そんなことを簡単にやろうという発想を展開するというのも、いいことではないんじゃないかなと思う。もっと責任の持てる範囲をきちっと打ち出すべきだろうと思う。

【白井部会長】
 ありがとう。

【有川委員】
 先ほどの海部先生の話だけれども、1つは、全体で1つといった考え方も、おそらく設計されたころにはあったんだろうと思うが、それはあまり大き過ぎるとか、分野が多岐にわたるということはあるんだろうと思う。大きな国立大学というのは、実はすべてのところをカバーしているわけであって、そういうことで考えると、1つにしたほうがすっきりするという面があるだろうと思う。それは1つのやり方であろう。そうすると、北川先生がおっしゃったように、その中をうまく再編することによって、新しい研究所なりをその中からつくっていくということなども可能になってくるのではないかという気がする。今回はそういうことは書いてないが、6年たったということで、その辺も視野に入れてもいいのかもしれない。
 それからもう一つは、比較的まとまりのいいような格好で4つにくくったということもあるので、そういうことからすると、機構としてのガバナンスを強化するということよりは、むしろ、もうちょっと緩くして、存分にそれぞれのところでやっていただくという、両極端の2つのやり方があるのではないかと思う。その辺はちょっと考えてみる価値はあるのではないかと思う。それから、大学共同利用機関法人ということであるので、大学とこの法人の中での研究所等の基本的な役割の違いというのは、自然科学系というのは相当大きいのを扱っているからわかりやすいが、金田先生がおっしゃるようなことだと、前半のほうでおっしゃったことは、これはむしろ大学に当てはまるようなことかもしれない。そういう意味では、人社系でも、大学でできないようなことを研究所等でやるんだというような、そういった整理の仕方もあるのだと思う。
 そういうことで、今の4人の方の議論を聞きながらそんなことを思ったが、もう一つ、資料1-1で、4ページの主な課題のところの、最初の丸だけれども、大学院生の囲い込みという表現がある。それから、もう一つ7ページに、今度は人事系のところで、各大学の人材の囲い込みというのがあるが、大学側の立場で見ると、囲い込みということが今ほとんど意識されてない。学生も行きたいところにどんどん行くし、それはだめということは言えない。先生方も、学生が行きたいと言ってきたとき、それはだめだというところは今はないと思う。だから、学生のほうも先生たちのほうに対しても、囲い込みという言葉に違和感を感じているけれども、どうだろうか。つまり、学生も先生たちも行きたいところに行ってしまっていて、行くなと言ったって言うこと聞かないという状況である。

【白井部会長】
 一部分、そうでないようなところは確かにあるというご意見はこの前の発表の中でもあったよね。

【有川委員】
 はい。

【白井部会長】
 ほか、いかがか。

【江崎専門委員】
 ガバナンスの強化というのが、学術が中心だから、学術のガバナンスでないと意味がないので、共通してできるようなことがないかということである。例えばうたっている中で幾つかある。ユーザーオフィスの機能強化であるとか、同じような考えで何かできるとか、1-1の中でうたわれていることの中の具体的なことというのが、じゃあ、実際やろうとしたときに、4つの機構を超えて何か共通してできるようなことがある。そういったことを探っていくというのがむしろ大事で、ガバナンスとかいう以前の問題としてあるのではないかなという気がした。それと、いろんな人事的な新しい中間職のような方の設計を一緒にするとか、そういったことも一緒にやっていくことで道が開けてくるかもわからないという気がした。
 それと、大学に置かれている拠点と共同利用機関との関係というのが、学術とかコミュニティという意味で、何か新しい将来像を見据えた連携というか、何かを協議したり、一緒の方向性を考えていく場のようなものをつくってやっていくことによって新しい分野、芽生えつつあるようなそういう分野をどういうふうにしたらいいかとか、新しいコミュニティをどうしたらいいかということが機構のほうから支援できる、提案できることもあるだろうし、ばらばらに活動することによってなかなか育ちにくいようなことが実際にはうまく育っていくということにつながっていくかもしれないから、うたわれてはいるが、何か具体的に大学と機構との関係をどうするかというプラットフォームのようなものを、考え方、デザインを早くしたほうがいいのかなという気がする。

【白井部会長】
 今江崎委員が言われたことも、先ほどの北川委員が言われたことも関係するものがあろうかと思うが、私、基盤部会に出させていただいてから、だんだん議論がそういうところが非常に強調されてきていると思うけれども、一方で、伝統的に、特に人社系などでは、非常に長い期、同じ研究者がある程度まとまってやっていかなきゃ到底できるものじゃないという分野があるというご意見はもちろんある。ただ、それを一大学がずっと抱えていなきゃいけないのかというと、そういうわけでも確かにないというのも大体コンセンサスになってきて、ネットワークなんていうのが生まれてきた。だから、今回のレポート、事務局、この資料にはあちこち気を遣って書いていると思う。非常に気を遣っているので、例えば総研大のことが問題になるような書き方じゃまずいから、総研大をどうこうなんていうことは書いてないし、そういう意見もあったけど、そういう書き方で、事務方がまとめるのは今のところ、この段階ではきついと思うので。今出てきたご意見等々を踏まえて、内容についてはもうちょっと踏み込んでレポートはまとめても構わないかと思う。要素はいろいろ、大体どこかに書いてある。今言われたようなことの方向性を持った意見というのは大体出てきていたから、この中に散りばめられていると思うけれども、それを事務局で今方向づけで書くことは、ここではなかなか優秀な書き方だと思うけれども、それを我々これからきっちりと明確にしたほうがいいと思う。

【草間専門委員】
 まず資料1-1の法人化以降の成果と課題を見させていただいて、多分これはヒアリングとか、さまざまな結果、こういう形になっているのだろうと思うけれども、成果であり、また課題でありという形で、それぞれ結構裏腹である。そういう意味では、資料2がそれを反映して、今、先生も言われたように、あらゆるところに多分気遣いをしていたんだろうと思うけれども、争点という形で、総花的に挙げていただいていて、だから、これを見ると、私はどこの機構にも所属しているわけではないからわりと自由に言えるんだけれども、国民目線から見たときに、この争点だったら、6年たった今、新たに出てきたことって何なの、こういうような印象を持つ。来期の中期目標を立てるときも、若干経験を経て、表現等が違ってきたとしても、第1期の中期目標を立てるときも、多分同じような争点だったのではないか。だから、争点として挙げるとすれば、やっぱり解決に向けて何らかのアクションをとり、それが解決に向かうとならなきゃいけないとすれば、あまりにも総花的で、何がほんとうの争点で、何を解決したらよいのか。法人化してまだ6年しかたってないわけだから、成果がどうかということはゆっくり見ていかなきゃいけないと思うけれども、前に向かってうまく国民にも理解してもらいといったときに、何が一番解決の、それこそさっき言われたガバナンスなのかもしれないし、総研大も、囲い込みという言葉がさっきどうこうと言われたけれども、実際にヒアリングなんかに行ってみると、結構聞かれる。大学が囲い込んでいるために、なかなかいい学生が来ないという言葉も聞かれたりするので、文科省はそういったもので使われたんだろうと思うけど、もう少し目玉になるような。総花的過ぎて、これを全部どうやってやるのか。6年したときにまた同じことが出てくるのではないかというような印象である。だから、少なくともこれを解決すれば、少し前に学術研究の推進という意味で行くのではないかというようなことが見えない。だから、その辺をぜひそういった形で書かないと、いつも同じことの争点の繰り返しのような印象を強く受けてしまう。

【白井部会長】
 おっしゃられるとおりだと思う。目指す方向は、前のあれだって、ある段階として、さっき過渡的だと言われたけれども、そういう方向性はあったんだと思う。それも今度は次の一歩を進めなきゃいけないということであれば、そういう結論を明確に出さないといけない。ほかにいかがか。

【岡田臨時委員】
 何人かの先生方、いろんなご意見を出されていて、うなずけるし、これまでのところと同じだとおっしゃったご意見もあって、そういうこともあるかとは思うが、今後の課題として重要な点は、これまでと違って、日本の科学の研究のレベルを維持し、さらに進めていく上で、様々困難が予想されるので、それに対してどう対応するかという点である。先ほどの8%の件もあったけれども、たちまちお金がどんどん減っていきそうだよと言われている。大学も様々な状況で、大きな大学などの力のある大学はかなり頑張れるというか、状況に耐える力があると思うけれども、そうでないところはどんどん力がなくなっていくし、学生がとれないから、留学生で何とか数を保っているというようなところも出てきている。研究者や大学の教員のほうも何となく気持ちが浮ついてきて、研究がなかなか進まない。特に長い期間をかけておこなう研究をやっていくことが非常に難しくなっているという状況だが、これは、この数年間に始まった危機だと思う。それがまだみんな見えていない。予想していた人はいたかもしれないが、まだまだ危機感は不充分で、そういう状況をどう対応して今度に備えるかという準備がまだまだ足りないところがある。日本の研究のほんとうの芽のところをしっかりやっていくということは、これまで大学や大学共同利用機関が担ってきたが、これからも頑張っていかないといけないと思う。それが難しくなってくるという予想があるので、大学共同利用機関と大学がより一体化して、この部分をちゃんとサポートしていく体制が必要になってくると思う。

【白井部会長】
 今おっしゃられたことは、現実そうだと思う。これはヨーロッパなんかでもそうなって、既にそういう動きが完全に起こっているわけだし、例えばフランスでも、国立大学はある地域では統合を幾つかして、研究所は大学と連携したものとしてつくられる。そうなってしまっているから、世界中、お金がないということもあるだろうけれども、一層人材をある程度集めて、強力なものにしていくということもあるんだろうね。いろんな趣旨があるんだろうけど。だから、日本が今までのままでいいかと言われると、これだとなかなか戦えないねという、これは我々研究者自身がそういうことも感じているところだと思う。

【青木専門委員】
 この前の会議でも問題になったと思うが、大学共同利用機関が解決しなきゃいかんことの一つに一般の国民の関心が低いという話題があった。国民への認知度の点からいえば、法人化は、かえってマイナスに作用したんじゃないかなという感じがする。僕の理解は間違いかもしれないが、海部先生がよくおっしゃるみたいに、大学共同利用機関はコミュニティが作り上げた。どちらかというと、日本のすぐれた学問の集団がつくってきた。例えば遺伝研とか天文台とか。遺伝研とか天文台がそのままの名前で残っておけば国民がわかりやすかったのが、何とか機構となって、もやもやとなっちゃってきて国民にはわかりにくくなった。大学病院の診療科名がわかりにくくなったとよく言われる。昔は、内科、泌尿器科、産婦人科などとわかりやすかったが、近年は診療科目が機能別になって、例えば、侵襲防御学、循環病態学などわかりにくい名がついた科がみられる。それと同じようなことが起こっているんじゃないかなと僕は心配する。そこで、僕は、昔の名前を残したほうが良いと思う。もう1点、海部先生がおっしゃったみたいに、確かに今は学問の統合が進んでいる。学問が進んだから、統合ができるようになったと僕は理解している。医学と工学が結びつくとか、文系と医学が結びつくとか、いろんなことで新しい切り口がいっぱい出てきてどんどん進んでいる。このような新しい道を開くその核になるのは、大学ではなくて、大学共同利用機関じゃなかろうかなという感じがする。多くの人材を集めていらっしゃるし、規模が大きい。そういう面から見れば、できれば国民にわかりやすいような組織にして、かつそれを大学と大学共同利用が統合できるような組織にすれば、おそらく日本の国民は大学共同利用機関が日本の学術の研究を引っ張っている、ドライビングフォース、機関車になっているということを理解できるんじゃなかろうかなと思う。そうしたら、大学共同利用機関とは国研とは違うこともわかる。国研とは、国が、例えば日本の国は特に絶対これだけ守らなきゃいかんということを行う研究所と理解する。大学共同利用機関はあくまでも学術だから、学者の遊びと言ったらいいすぎだけど、遊ばせておくとその中から何か優れた研究成果が出てくる、そのようなほんとうの学術の面が見えてくるんじゃないか。そういう整理をされたらいかがかなという感じがする。

【白井部会長】
 イメージは何となくできているような気もするけど、ほかに、飯吉先生、何かあるか。

【飯吉専門委員】
 一言だけだけど、もう大分古い話なので、私どもの共同利用機関ができたころというのは勢いがあった。新しいものをつくるという。そういう勢いが今はちょっとなくなってきて、むしろ、現状をいかに少しずつ発展させながら維持していくかという、そっちのほうに力がいっているのではないか。だから、新しいものをどうやって加えていくかという、それに若い人たちのアイデアをどれだけ取り上げるかということである。あのころは、若い人たち、みんな、1人の個人研究者として参加していたけれども、今はサラリーマン的になってきて、大きなものの中の1つの部分を自分たちは受け持っているのだというような、そんな印象も受ける。だから、そのためには、一方で何か新しいプロジェクトを立ち上げていくというグループがあって、将来、機構の中で、新しい共同利用機関みたいなものができるということも非常に大事だと思う。また、大規模計画というのを今度つくったから、そういうものの中から育ってきて、共同利用機関が新しくできるとか、そういうような形になると、元気が出るのかなと思うが。あまりお金がないときにこんなこと言っても申しわけないけれども。共同利用機関の特徴というのは、新しい学問を自分たちでつくっていくことだと思う。この辺は小林さんも同じような意見じゃないかと思うけれども。

【小林委員】
 せっかくだから、共同利用機関の役割とか、いろんな定義をするというような議論もあるけれども、それぞれのところで共同利用機関の持っている意味というのは非常にバラエティーがあって、違う。どちらかといえば、形式的な枠組みの中にそれぞれの分野が勝手なものを盛り込んで、結果としてこういうものができてきたのだという印象をどちらかといえば持っているわけで、今さら共通項で定義をしてみても始まらないような気がする。あまり生産的ではない。こういう枠組みの中にもっと新しいものを盛り込むことが、分野が出てくれば、むしろそのほうがいいのではないかという気がするので、ある意味、あまり難しい議論をしないほうがいいのではないかという気もちょっとしたんだけど。

【白井部会長】
 ここで言っているガバナンスというのは、各機構の運営上の問題点を必ずしも言っているわけでもない。そんなにガバナンスが問題になっているとはあまり思えない。ただ、今おっしゃられているのは、新しいものが生まれてくるかとか、そういうようなところでいうと、実はあまり明快でない。つくるのにものすごく、よっぽどエネルギーと手間がかかる。だから、我々、若いサラリーマン年代ぐらいになっちゃうと、やる気がないというか、自分の好きな範囲、やれる範囲でとどめておこうというような、そういう雰囲気が若干あるのではないか。

【海部専門委員】
 皆さんおっしゃっていること、私はそれぞれ非常に賛成しながら聞いていたのであるが、特に青木先生、非常にうまくまとめていただいたと思う。大学共同利用機関の特徴とは何かというと、これは従来ずっと議論してきて、分野コミュニティに支えられているということは非常に大きな特徴なわけである。これが大学との違い。分野コミュニティに支えられ、その分野で世界トップレベルの仕事をするために生まれてきたものである。そのことと同時に、これは日本が開拓してきたいいシステムである共同利用と。これが非常にうまく結びついて発展してきたのが大学共同利用機関と思っている。だから、そのことこそ大学共同利用機関とは何ぞやというときに真っ先に言うべきことだと思うし、それをいかに、現在の日本状況、これは世界的にそうであるが、財政緊縮の中でどううまく最先端、かつ広範な学問をやるかというときには、非常にすぐれたシステムなわけである。まさにそういう意味でも、大学共同利用機関が大学とかコミュニティともっと結びついてくれということを期待されているという、私はそうだと思う。
 それと、先ほど青木先生も言っていただいたけれども、分野が大きく協働していこうと考えたときに、今の形はとても中途半端である。だから、コミュニティというものが今の4機構の中ではきっと埋没している。むしろ我々が考えたのは、昔、大議論をやったけれども、全体として大きな大学共同利用機構法人をつくったことによって、むしろ今度は逆にコミュニティも生き、自由な統合もできる方向に行くのではないか。これは私がさっきから申し上げていることである。ただ、誤解を解くために申し上げると、私はこれをすぐやろうとは言っていない。そんなことはすぐできるわけではない。しかし、少なくとも今の4機構を固定する方向には行かないほうがいいですよということを私は申し上げているし、将来に向かってそういう可能性を開くようなこともこの際いろいろ考えてはどうかなということを申し上げたい。

【白井部会長】
 まだ結論めいたことを言うべき段階でもないかもしれないけれども、あまり長く議論していてもしようがない。各機関法人からのご意見というか、それは自分のところで勝手に自分がこうしたいとか言ってみても始まらないからという意味では、やる研究内容については、いろいろおっしゃったけれども、機構そのものの組織についてのご意見を必ずしも言ったわけではないかもしれない。しかし、ここでは、そこら辺を斟酌して、かなり明快なことを出す。でないと、また次の6年がたっちゃうから、それはいかにも耐えがたいだろうと思う。
 今ご意見を伺っていて、これは1つは、例の第4次の科学技術基本計画に関係するが、あそこでの議論は、研究開発法人というような名前を使ったかもしれないが、そういうものを1つつくって、ある程度全体の基礎研究から成長戦略のイノベーションまでつなげていくようなものをトップダウン的にやっていくんだと。そういう統御するものをつくっていきたいというのが基本的に、1個のものであるかどうかはわからないが、そういうイメージを強く持っていると思う。そのことが大事だと。大事だと思うんだけれども、大事だということを非常に強く主張する側からすると、今議論されているような自由な研究をやっていくような、それにふさわしい場所と。かといって、ばらばらで、一人一人でできるわけがないので、それをどういうふうにつくるのかというものと、今議論されてきている第4次科学技術基本計画みたいなところで議論されているものとは極めて異質だということだけは間違いないと思う。これを2つ分けてくれということを私自身は非常に強く主張していて、大体そういう方向性になっている。だから、ここは大体勝負はついたのかなと思っている。
 したがって、きょうご議論いただいたものは、学術側の組織は、差し当たって理想としてはこういうふうにしたらいいのではないかということを明快に申し述べれば、そんなに混乱は起こらない。もちろんトップダウンでやっていくような政策的研究というのと学術研究というのは全く無関係なんていうことはないわけだから、それをどういうふうにやっていくかというあれは必要だろうけれども、それはまた別に考えればいい。今でも別に必ずしも1本のものでやっているわけではありませんから、分けて考えればいい。そうすると、海部委員や有川さんも非常に明快に言われたけれども、1つの学術研究の体制というものが、ガバナンスというのか、何というのか、統御機構としてはイメージされてもいいのかもしれない。海部委員はいきなりそんなもの持っていっても無理があるのではないかというご意見だったかもしれないけれども、それによって今存在する共同利用機関法人を、中身をいきなり手を突っ込んで変えるようなのは、多分必要がないということになると、この研究のやり方からいって、今、きちっと動いているコミュニティに支えられている状態を壊す必要はないけれども、それをそれぞれにあって、だけど、全体としては効率的に動いてもらえる、あるいは外から非常に見えやすくする、そういうようなやり方が必要だと。だからといって、第1内科、第2内科というやり方は必要ない。これは全くそのとおりで、天文台は天文台で見えるようにする。そういうようなイメージというのは皆さんはっきりしてきているんじゃないかなと伺った。そんな方向性はかなり明確に出してもいいんじゃないかと。どういうふうにその中を想像して書くかということはあると思う。
 次は、大学が持っている共同利用機関とか附置研究所とかいうものをどんなぐあいのところにして、場合によってはネットワークのあったほうがいいかもしれないし、それは1つでやってくれよという場合もあるだろうし、そういうものをどういうふうにシステムとして位置づけるのかと。大体今、位置づいているんだけれども、予算立てのところからしても、片一方、附置研は運営交付金の中でやられているとか、そこら辺をどうするのかということはある。ファンディングのやり方というのは。

【金田臨時委員】
 部会長がせっかくおまとめになっているのに、横から発言するようで恐縮であるが、この場にいるのは機構長では私1人なので。共同利用機関のあり方ということでもあるんだけれども、私は、機構という法人がスタートしてからわずか2年余り前に機構長になったばかりなので、その段階から機構長として感じていたことを参考までにご発言させていただきたいと思う。個々の研究からは離れるけれども、機構として何が望ましいのかというときには、大学共同利用機関を、大学共同利用機関のミッションを伸ばす方向がどうあるべきかというところが一番重要だと思って臨んでまいった。その点からいうと、私は以前が京都大学というもうちょっと大きな組織におったので、そこでの段階からいうと、それから、ガバナンスという言葉を使うのは、私はあまり片仮名が好きではないので、なじまないんだけれども、その分野と一体性の確立した大学という組織と、それとそうではない、大学からいえば、究極のたこ足で、本部だけがこのすぐ近くにあるという、そういう状況の組織というのは、ほんとうに不思議な組織なんだけれども、その不思議な組織へ、何のことかわからないけれども、急に飛び込んだという状況の中で感じていることがある。そのときに感じている、私は文系しか知らない、機構長間のいろんな意見は聞いているけれども、実際の運営をしているのは文系の機構だけであるわけだけれども、そのときに一番大事なのは、非常にきめの細かい、それこそインキュベーションとか、研究の芽とか、そういったものを育てるという立場になれば、いけないと思っている。大きな動きがあると、そういう小さなものは一たん押しつぶされる。必要なものは押しつぶされてもそのうちまた出てくるという楽観的な見方もできないことはないんだけれども、ただ、それにはものすごくタイムラグがあって、そこがおくれちゃう。したがって、大きければ、集中投下をすればいいという、集中投資、あるいは一定の方向性に強力に向ければいいというものもあるかもしれない。ただ、私どものような文系のところからいうと、そうでなくて、その小さな芽を非常に細心の注意で見守る必要がある。見守るときに、必要な規模はどんな規模なのかということは、十分考えておくべきだろうと思う。だから、何となく大きければわかりやすいんじゃないかという話になりそうなんだけれども、大きいとかえってわかりにくくなるという部分があると思うので、適正な規模というのは何か。私は4機構という形が理想の形であると思っているわけでは決してないけれども、私自身はいつ首切られてもしようがないんだけれども、そうではなくて、ミッションを一番有効に使うためにはどの規模がいいのかということは考えるべきだろうと思っている。

【白井部会長】
 僕のイメージは、4機構の1機構ずつ、機構によって大分ニュアンスが違うので、別にどれがばらばらになったほうがいいか、どれが1つのほうがいいのか、それはそれぞれの事情があって一向に構わないと思うが、さっき青木委員が言われたように、個々の、もしかしたら顔がはっきり見えたほうがいい、1つがね、というものもかなり多かったんじゃないかという事実ね。例えば天文台という、天文学というようなもの1つが何かいろんなものともっと一緒になってやる意味もあるよね。あるけれども、その顔が見えたほうがいいのかもしれないという。どっちがいいのかわからないけれども、そういうようなつくり方をしたほうが、確かにテーマごとによく見えるということはあるんじゃないだろうか。ガバナンスというのは、ほんとうによくわからないのだが、何をやるんだか、ちょっと意味がよくわからないんだけれども、そういうものを例えば文科省的にというのか、要するに国民の側から税金を使う仕組みとして見たときに、それがばらばらでやれよと言われたら、結局文科省が直接、あんたのところにこれだけ配るよと、それをやるような合理的な配分機関をこういうところにつくっておくという以外にやりようがないよね。それは必ずしも研究のよきガバナンスにはならない。研究の中身をどうこうするわけじゃないけれども、やるべきだといったある研究をどういう体制でやったらいいのかとか、人はどういうふうに集めたらいいのかとか、どのぐらい投資したらいいのかとか、そういうことはだれかが考えないとできないわけで、そういうことができる機関というのはやっぱりあるんじゃないかと。それをたくさんつくる必要があるかどうか。私は、文科省かやっているような意味でいえば、1個あればいいと、そういう意味で申し上げた。だから、決してその中での個々の、例えば各利用機関が持っているような、幾つかの研究所というのか、そういうものはそれぞれのオートノミーというのは相当持って、外から見えるようなほうが私はいいんじゃないかなと想像する。マックス・プランクなんかでもものすごく小さな研究所がたくさんある。それはそれで名前がちゃんとついている。別にマックス・プランクだって、名前は、マックス・プランク第1研究所とか第百何十研究所なんて言ってないよね。だから、そういうほうが私はいいんじゃないかなと思って、さっき申し上げた。もちろんそれはこれからも十分議論していただければよろしいかと思うけれども。そうしないと、こういう学術研究というのはだんだん押しつぶされていっちゃう。先ほど言われたように、この研究所の組織というのは、日本のこれからのアカデミアというのか、研究体制というものを明確に引っ張っていくものじゃないといけない。これがすべてだとは言わないけれども。そうでないと国立大学法人がだんだん厳しい状況に置かれてきているわけで、どこかをしっかり守らないといけないと思う。そういう強い発信をやっていくべきだと。今回第4次のあっちのほうがかなりやるんだと、こう言っているのだったら、こっち側はこっち側でこういうふうにやるんだという体制を明確に出さないと、今までのものをできるだけしっかりやりますよという程度では発言にならないと私は思うんだけれども。まだまだいろいろご議論いただいて結構だと思う。
 それと大学との関係だけど、これは逆に私、総研大学を通さなきゃいけないとか、そういうよりは、コミュニティが中心になるんだったら、各大学の、場合によっては大学院、特にドクターコースは、どこかと必要に応じて結びついているのがいい。そうでないと、研究機関というのが我々のアカデミアの中のシステムとしての中心にはならない。それから、非常に弱小な、3人しかドクターコースがいないという大学院はちょっと無理なんだよね。そこでレベルを上げろといったって、たまたま上がる方もあるだろうけれども、やっぱりいろんなところと交流しながら上がっていく。その上がるシステムというのをつくっておいてやったほうが学生にとってはいい。もちろん日本の大学だけじゃないかもしれないけれども、そういうものも全部含めて開放されていくという方向を大学につくってあげたほうが、囲い込みなんていう変な言葉もはやらないと思う。
 そんな仕組みはそんなに難しくなくて、各大学がドクターコースを開店して窓口になっている。自分のところに来たある学生があそこの研究所に行ってあの先生たちのグループと一緒にやったらいいと思ったら、そこに送り込めばいいだけの話。だから、そういうメカニズムをつくればいいわけである。それはそんなに難しくなくて、僕らは大体そういう傾向だよね、どっちかというと。もちろん自分のところで立派にドクターコースまできっちりやるんだというところは、そうおやりになればいい。そういうようなイメージが研究機関等はあるんじゃないか。また、あと、細かい小さなところはネットワークをつくればいい。そんなようなイメージを作文できないのかなというのが、リコメンデーションとしては、そう思うんですけど、もちろんまだまだ私自身、現場を完全に知っているわけじゃないので、いろんなご意見を言っていただきたい。

【有川委員】
 もう時間がないが、全く同じようなことを私もふだんから感じていて、特に大規模装置等を使いながらやるようなところは、大学だけではやれないわけなので、そこの機構の、あるいは研究所の先生たちと一緒になって初めて教育が成立するだろうと思う。教育に関してはそういったやり方があるということと、もう一つは、コミュニティとのことというのはしっかりしているわけだが、今のことも含めて大学との関係をもう一つ踏み込んでいけば、非常にいい相補的な関係ができるのではないかと私は感じている。

【白井部会長】
 1つだけ宿題が残るのは、装置を持っていて、それはトップダウンの研究の研究所もかなり使う。例えばSPring-8みたいな、そういうような種類のものはどういうふうな利用。別に矛盾するものではないけれども、両方まざってくるような接点があるようなところはたくさんある。そういうのをどういうふうに今後国として組織をつくっていくのかというのはある。これは宿題としてまだ出てくる。純粋学術研究だけだといいんだけど、必ずしもそうじゃなくて、今学術研究と言っていても、相当ないろいろな応用に使える装置とかがたくさんあるから、そういうものをどうするか、あるいはその中で起こってくるインタラクションをどうするのかということだろうね。

【飯吉専門委員】
 1つ、質問も含めてであるが、今国立大学では、第2期の中期目標、中期計画に入って、今度は機能分化を少しずつ明確にしていこうと。要するに、この次の6年後にはかなり大きく変わる可能性があるというような状態の中で、共同利用機関はどう変わるという考え、機能統合でもいいんだけれども、とにかく共同利用機関のほうも変わらないと、今の大学の変化とマッチングしない部分が出てくるんじゃないかと思う。だから、ぜひ機構が中心になって、要するに4つの機構がほんとうにこのままでいいのか。最初できたときは、みんな文句を言っていた。どうしてこの4つが一緒にならなきゃいけないのか。ところが、最近はそれも言わなくなってきた。それで満足しておられるのかというと、僕はそうは思わない。ですから、何が抜けているのか、何か新しいものをつけ加えなきゃいけないのかということも含めて、機構、それから各機関がどういうふうに変わっていかなきゃいけないのかというのは、ぜひ。

【白井部会長】
 これはきょう申し上げたのは、若干突っ込んだ具体的なことを申し上げたんだけれども、事務局だけですぐそういう作文は難しいだろう。そういう意味で、今までの中のご意見、全部ではないかもしれないけど、そういうもので言わせていただいたけれども。あと、実際非常に重要になってくる内容、4機構だから、そこでもいろいろまた細かく検討していただいて、ご意見を寄せていただければと思う。
 それでは、大体これできょうの仕事は終わったんだが、次はこの先の議論ができると思うので、きょうの意見交換を少し踏まえた資料、修正なり何なり、つくっていただければ。何かほかに報告あるか。

【勝野学術機関課長】
 手短にご説明申し上げるが、参考資料2と参考資料3である。参考資料2のほうは、6月18日に政府のほうで決定された新成長戦略の資料である。今後2020年までを視野に入れた我が国全体の成長をどのように図っていくかという政策のパッケージであって、参考資料2と横書きに書いた資料の後ろに文部科学省の関連部分の抜粋というのがあるので、また後ほどごらんいただければと思うが、特に関係の深いところを申し上げると、8ページのところで、7つの戦略分野があるわけだが、その中の1つとして、7ページから8ページにかけて、「科学・技術・情報通信立国戦略」というものが打ち出されていて、この中でも、大学等の改革を加速するだとか、あるいは世界からすぐれた研究者を引きつけるような魅力的な研究環境の整備、基礎研究の振興、さらに8ページの中ほどになるけれども、研究開発投資をGDP比で4%以上にするというようなことがうたわれている。
 それから、もう一つは、16ページのほうになるけれども、7つの戦略分野と同時に、新成長戦略の中で21の国家戦略プロジェクトというものが位置づけられていて、16ページのところで、その1つとして、「『リーディング大学院』構想等による国際競争力強化と人材育成」というものが1つ打ち出されておる。
 また、17ページのところの17番になるけれども、「研究開発投資の充実」ということで、4%以上にする。そのため政府の関与する研究開発投資を第4期基本計画に沿って拡充するというような方向性が出ている。今後、これが来年度以降の予算措置だとか、政府全体の政策として実現されてくるということになるのではないかと思う。
 それから、参考資料3のほうは、「科学技術基本政策策定の基本方針」というもので、第4期、平成23年度から始まる第4期の基本計画を策定するに当たってのいわば基本方針というような位置づけのものである。後ろに1枚紙のカラー図で概要をおつけしているので、こちらを見ていただくと、大きな特徴として1つ、中ほどからちょっと上のところに緑の部分で、2として、「国家戦略の柱としての2大イノベーションの推進」ということで、グリーン・イノベーション、ライフ・イノベーションというものが強く打ち出されている。
 それから、下のほうの右下になるけれども、4のところで、「我が国の科学、技術基礎体力の抜本的強化」ということで、本部会にもかかわるけれども、基礎研究の抜本的な強化、あるいは人材の強化、それから国際水準の研究環境の形成といったような部分で、大学、あるいは共同利用機関にかかわる内容が出ているので、また詳細はごらんいただければと思う。
 今後のスケジュールであるが、今回の基本方針の案というものを踏まえて、ことし中に総合科学技術会議のほうで基本政策専門調査会の答申を得て、23年の3月までには第4期の基本計画を閣議決定するということで、この基本方針に沿った議論がさらに深められていくという予定になっている。
 以上である。

【白井部会長】
 何かご質問あるか。そんなような状態なのに、8%マイナスというのは意味不明であるが、意味不明なことが今起こってきている。何かあればまた、緊急のことがあったら、委員の皆さんに連絡をさしあげたい。
 次回はいつでしたっけ。

【俵学術機関課長補佐】
 今後のスケジュールということで、次回であるが、先生方に7月下旬について日程のお伺いをしたのであるが、次回は8月3日、火曜日にお願いしたいと思う。その次は、8月27日の金曜日。次の次は8月27日の金曜日にお願いしたいと思う。よろしくお願いする。

【白井部会長】
 先ほどの予算は多分7月の終わりぐらいに大体方針が決まるのだろう。だから、何か恐ろしいが、しようがない。しようがないと言うとまたいいかげんなんだけど、できるだけのことはお互いにやりたいと思うので、よろしくお願いする。
 それでは、後、8月になるけれども、8月でぜひきょうの続きをきっちりやっていただく。どうもきょうはありがとう。

―― 了 ――

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