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研究環境基盤部会(第99回) 議事録

1.日時

平成30年10月18日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15階 15階特別会議室

3.議題

  1. 大学共同利用機関の今後の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

稲永忍部会長、相田美砂子委員、井本敬二委員、小長谷有紀委員、小林良彰委員、佐藤直樹委員、藤井良一委員、八木康史委員、山内正則委員、横山広美委員

文部科学省

磯谷研究振興局長、千原大臣官房審議官(研究振興局担当)、西井学術機関課長、錦学術研究調整官、早田学術機関課課長補佐、江戸高等教育局高等企画課課長補佐、吉居学術機関課連携推進専門官、その他関係者 
 

5.議事録

【稲永部会長】  おはようございます。ただいまより科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会(第99回)を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。まずは、事務局から委員の出欠、配付資料の確認をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  本日は、松本部会長代理、勝委員、天羽委員、伊藤委員、瀧澤委員、永田委員、松岡委員、観山委員、森委員、龍委員、そしてフクシマ委員が御欠席でございます。
 配付資料の確認をさせていただきます。配付資料は、議事次第にございますように、資料1から資料7、そして参考資料1から参考資料3と、机上配付資料としてこの緑色の大学共同利用関係資料を配付しております。もし不足等ございましたら事務局までお申し付けください。以上でございます。
【稲永部会長】  ありがとうございました。現在、中央教育審議会において、今後の高等教育のグランドデザインについての審議が行われています。本日は、その答申案について、本部会に関わる内容もございますので、紹介したいと思います。事務局より説明をお願いします。
【江戸高等教育局高等教育企画課課長補佐】  ただいま御紹介にあずかりました、高等教育局の課長補佐をしております、江戸と申します。グランドデザインについて御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。御手元に資料1から3を御用意させていただいております。大変大部な答申案になっておりますが、頂いたお時間は10分ということですので、大分駆け足になってしまいますけれども、そこは御容赦いただければと思っております。それでは、御説明させていただきます。
 今御説明させていただきました、今回の答申案ですけれども、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」という題名にさせていただいております。本件につきましては、中央教育審議会に対しまして、昨年度の3月に文部科学大臣より諮問を行い、それ以降に、中央教育審議会の大学分科会という会議の下に将来構想部会という部会を新たに立てまして、2040年を見据えて目指すべき高等教育の在り方、それを実現するための制度改正の方向性など、高等教育の将来像について議論させていただいているところです。
 ちなみに、今回の将来構想部会で議論させていただいておりますが、そこの部会長は、この部会の委員にもなっていただいている筑波大学の永田学長ということでございます。
 昨年12月に論点整理をおまとめいただきまして、本年6月には中間まとめを取りまとめております。このたび、10月5日に中央教育審議会総会が開催されまして、答申案につきまして御審議いただきましたので、その中身につきまして御説明させていただければと思っております。
 まず、本答申の具体的な内容について御説明する前に、本答申の位置付けや実現すべき方向性について少し御説明させていただければと思います。まず、資料3の2ページ目、冒頭のところでございますけれども、本答申を「2040年の高等教育のグランドデザイン」と位置付けました主目的というのを書かせていただいておりまして、高等教育で学ぶであろう様々な学修者の方に対して、我が国の高等教育はこれからどう変化していくのかというのを提言することを目的とさせていただいております。
 また、2040年というのは、今からちょうど22年後ということになりますので、本年生まれたお子さんが大学を卒業する年ということで一応設定させていただいている年度でございます。
 次に、3ページをおめくりいただいて、本答申は、これからの高等教育改革の指針として位置付けられるべきものとさせていただいておりますが、その実現すべき方向性を大きく3つ提示させていただいております。
 まず1つ目は、学修者――高等教育で学ぶ方が何を学んで身に付けることができるのかということを明確にしていく。あとは、学修の成果を学修者自身がちゃんと実感できる教育を行っていく高等教育に変えていきたいということでございます。
 2つ目でございますが、2040年には18歳人口が88万人。現在120万人ですから、3割程度減るのですけれども、その規模になった場合に、高等教育の規模といったものをどのように考えていけばいいのかということ、併せて社会人や留学生の受入れについてどう考えていくのかということでございます。
 最後、3つ目でございますけれども、地域における高等教育ということで示させていただいておりまして、地域における高等教育で、きちんと地域のグランドデザインが議論される場が地域に設定されていくような姿になっていっていただきたい、そのために高等教育機関間での連携・統合等を積極的に行っていただきたいということが大きな3つ目でございます。
 以上、その3つの方向性を踏まえまして、具体的な内容について御説明させていただきます。資料は、資料1にお戻りいただきまして、これからはこれを中心に御説明させていただければと思います。
 まず1つ目、2040年の展望と高等教育が目指すべき姿というのを書かせていただいております。ここでは、2040年に必要とされる人材像と高等教育の目指すべき姿といったもの、あとは2040年頃の社会がどのように変化しているのか、それを踏まえて高等教育と社会との関係といったものを整理させていただいております。
 まず、左側の上の方に書いてある「予測不可能な時代を生きる人材像」というところでございます。社会の姿というのが見えない中で、どういう人材を養成していかなければいけないのかといったことになりますと、従前から言われていることではあるのですけれども、普遍的な知識・理解と汎用的技能というものをしっかり身に付けていただく。更にそれを文系と理系に分けることなく、文理横断的に身に付けていただきたい。そういった人材が、時代の変化に合わせて積極的に社会を支え、社会を改善していくことが必要であると、人材像を書かせていただいております。
 これに加えまして、Society5.0などの到来を見据え、特に数理、データサイエンスなども基盤的なリテラシーと捉えさせていただきまして、こういったものは文理を超えて身に付けていくことが必要であるということを今回追記させていただいております。
 このような人材を養成するために高等教育が目指すべき姿についてですけれども、学修者本位の教育への転換というのを書かせていただいております。何を教えたかということから、何を学んで身に付けることができたのかということに転換し、個々人の学修成果の可視化、学修者が生涯学び続ける体系への移行などが重要であると書かせていただいております。これにつきましては、大学の先生が教えたい内容を教えるというのではなくて、高等教育で学ぶ学生がどのようなものを身に付けて外の社会に出ていくのかといったことを中心に考えていっていただきたいというところでございます。
 このように必要とされる人材像と高等教育の目指すべき姿を示させていただきましたけれども、ではそれを達成するためにどういった教育研究体制が必要なのかということで、御説明させていただければと思います。赤で「II. 教育研究体制」と書かせていただいている部分でございます。ここは、個々人がその可能性を最大限に生かして、先を予測できないようなAI時代やグローバル時代を生きていくような能力を獲得していくためには、画一的な教育、大学などの教育を提供する側(かわ)が考える教育といったものから脱却していただいて、高等教育は、多様な価値観を持つ多様な人材が集まることにより新たな価値が創造される場になることが必要だと書かせていただいております。
 具体的には、「多様性」と「柔軟性」という言葉をキーワードに、学生、教員、プログラム、ガバナンス、強みといった5つの観点で整理しております。
 1つ目の多様な学生というところでございますが、リカレント教育の充実や留学生交流の推進、高等教育の国際展開といったものを書かせていただいておりまして、現在の18歳で入学する日本人学生を対象として想定しているというモデルから脱却していただき、社会人や留学生を積極的に受け入れるような体質転換を進める必要があるとしております。
 次に、多様な教員の部分でございますが、実務家、若手、女性、外国籍など様々な人材を登用していく必要があるということと、必要な教員に対する研修や業績評価、教育研究活動を行うことができる環境の整備といったものが行われる必要があると整理しております。
 3つ目、多様で柔軟な教育プログラムですが、ここは、文理横断・学修の幅を広げる教育が実践できるということで、そういった教育プログラムを編成することができるよう、学位プログラムを中心とした大学制度に変えていきたいと書かせていただいております。そういったことに加えまして、複数の大学の間で人的・物的資源の共有ができるような制度改正とか、ICTを利活用した教育の促進といったこともここでは提案させていただいております。
 次に、4つ目の多様性を受け止める柔軟なガバナンスにつきましては、各大学のマネジメント機能や経営力の強化に加えまして、そういったことができるように、大学の連携・統合を円滑に進めることができる仕組みを整備する必要があるとさせていただいております。ここでは、具体的に、国立大学法人の1法人複数大学制といったものや、国土交通省を通じた連携といったことで、大学等連携推進法人――これは仮称でございますが、こういった新しい制度の導入といったものにつきましても提言させていただいております。
 最後、5つ目に大学の多様な強みを生かしていくことが必要だということで、各大学全ての機能を全ての大学が担うというものではなくて、自らの大学の強みといったものを今まで以上にちゃんと認識した上で、どういった教育を展開していくのかということを検討していく必要があるということを言わせていただいております。
 こういった多様で柔軟な教育研究の体制をとっていただきたいといったことに加えまして、今度は3番目でございますが、教育研究の質の保証と情報公表のところの説明をさせていただきます。緑色の部分でございますけれども、まず大学が行う教育の質の保証と情報公表につきまして御説明させていただきます。
 第一義的には、教育の質を保証するのは、まず大学自らが率先して取り組むことが重要であると書かせていただいております。そのためには、3つの方針、ディプロマポリシーとかカリキュラムポリシー、あとはアドミッションポリシー、そういったものを各大学でしっかり体系付けていただいた上で、それを教学面においてしっかり反映させていっていただきたいということでございます。それに各大学でしっかり取り組んでいただいた上で、国におきましても、各大学においてどういった取組を進めていただければいいのかということを提案するような形で網羅的に取りまとめるような教育マネジメントに係る指針といったものを今後検討して御提示していきたいと考えております。情報公表につきましても、各大学における積極的な情報公表のみならず、国としては、全国的な学生調査や大学調査を通じまして、各大学の情報を比較し、一覧化して公表するような取組も進めていきたいと考えております。
 あと、国が行う質保証システムにつきましては、今後の議論になりますけれども、現在大学におきましては大学設置基準といったものがございますけれども、そういったものを時代の変化に合わせて柔軟に対応できるように、設置基準の抜本的な見直しといったものも提案させていただいております。
 次に、4番目でございますが、18歳人口の減少を踏まえた高等教育機関の規模や地域配置、右側の青色の部分でございます。冒頭でも申し上げましたが、専門学校等も入れました高等教育機関への進学者数は、現在約97万人おりますけれども、将来推計で2040年には74万人になるという推計になっております。23万人の減少でございます。そのうち、大学進学者数は63万人から51万人ということで、12万人減少するという形になっておりまして、今の大学の規模をそのまま維持するということは、18歳だけを考えていくと、非常に難しいという状況になっております。
 そういった推計を受けて、全体の規模をどう考えていくかということですけれども、18歳中心主義と言わせていただきますけれども、18歳の日本人学生を受け入れていくという従来のモデルを維持したままでは、現在の規模をそのまま保つことはできないだろうといったことは認識した上で、まずは教育改革をきちんと進めていただいて、そのために現在の大学の規模というものが適正なのかどうかということを各大学でしっかりお考えいただきたい。加えて、社会人や留学生の規模ということに関しましては、多様性の観点から拡大することが期待される、ということにさせていただいております。
 次に、国公私の役割は、歴史を振り返った上で設置者別の役割を記載しておりますが、特に国立大学だけについて述べさせていただきますと、18歳人口の減少を踏まえまして、定員規模の検討を行うとともに、大学院の機能の重視とか、文理横断的な学士課程の見直しなどをやっていく必要があると考えておりまして、今後、国におきまして、国立大学と議論を図りながら、学士課程教育、大学院教育において、それぞれの大学で強み・特色や地域の事情なども留意しますが、どのような規模で役割を果たしていくのかということにつきまして一定の方向性を出させていただきたいと考えております。
 あとは、少し上に戻りまして、地域における高等教育といったところでございますけれども、ここは将来像を示す際には、国として全体的なものを示すだけではなく、地域におきましても是非議論していただきたいということを示させていただいております。地域の中でそういった議論をする場であるプラットフォームなどを構築していただいて、しっかりその中で高等教育も含めた地域全体の在り方といったものを議論していただきたいと考えております。
 6番目でございますが、高等教育を支える投資でございます。ここは、最初に、公的支援の確保が必要だと書かせていただいております。その上で、国としては寄附文化は醸成いたしますし、大学としても、公的な資金だけに依存することなく、民間企業や地方公共団体や個人からの投資なども意欲的に確保して、財源を多様化していくということを引き続き進めていただきたいと書いております。
 併せまして教育・研究コストの可視化や、高等教育全体の社会的・経済的効果を社会に示していくということを通じまして、公的支援も含めた社会の負担への理解といったものを促進していくことも必要だと、ここでは書かせていただいております。
 長くなりましたが、最後、今後のスケジュールなんですけれども、この資料には書いておりませんが、現在、パブリックコメント等を開始しておりまして、各種団体の方からも御意見を伺っております。そういったものも踏まえまして、最終的には11月26日に中央教育審議会総会におきまして答申という形にさせていただきたいと思っております。本答申を踏まえまして、引き続き中央教育審議会におきましては、設置基準の改正や教学マネジメントに係る指針などを検討していただくとともに、国におきましては、新しい大学等連携推進法人といった法人制度とか、あとは国立大学の1法人複数大学制といったものに関する法改正等につきまして、必要な措置を始めていきたいと考えております。長くなりましたが、以上です。よろしくお願いいたします。
【稲永部会長】  ありがとうございました。時間があれば、いろいろ御質問があるかと思いますが、それはまたの機会ということにさせていただきます。本日はありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。前回の研究環境基盤部会では、9つの大学共同利用機関からお話を伺いました。本日は、残りの10の大学共同利用機関等からそれぞれ説明いただきたいと思います。
 ヒアリングに入る前に、本日のヒアリング関係の配付資料について、事務局より説明をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  それでは、御手元の資料4を御覧ください。資料4につきましては、本日お越しいただきました各大学共同利用機関からの説明者の一覧でございます。資料5につきましては、各大学共同利用機関に照会した事項についての回答を機関別にまとめたものでございます。資料6につきましては、それを照会事項ごとに整理したものでございます。なお、照会事項につきましては、参考資料2として配付しております。参考資料につきましては、あとは、「大学共同利用機関の在り方に関する意見の整理」としまして、先日9月21日の研究環境基盤部会で配付したものを参考資料1として配付するとともに、前回のヒアリングを実施した9機関分の回答一覧につきましても参考資料3として配付させていただいております。以上でございます。
【稲永部会長】  ありがとうございました。
 それでは、ヒアリングを始めたいと思います。国立歴史民俗博物館から順番に各機関の概要と照会事項への回答を、大変短いですが、7分以内で説明をお願いします。7分を経過しますと、ベルが鳴ります。御説明を終了していただき、次の説明者に交代願います。委員からの質問・意見については、10機関からの説明が終わった後、まとめて行います。
 それでは、最初に国立歴史民俗博物館の久留島館長に説明をお願いします。
【国立歴史民俗博物館(久留島)】  国立歴史民俗博物館の久留島でございます。
 まず1枚目のポンチ絵を中心に当館の概要について説明するとともに、アンケートの質問1への回答に代えます。
 当館は、日本の歴史と文化に関する総合的な研究を組織的かつ持続的に推進するために、1981年に設置されました。国内外の多分野の研究者を組織した共同研究を行うだけでなく、約27万点の多様な歴史文化資源を収集・整理して、文理連携に基づく調査研究に供するとともに、研究の最新の成果を展示という形で可視化して、研究者コミュニティのみならず、国内外に広く発信するという一連の博物館機能を有する点に特色があると考えています。私たちは、研究資源、展示を有機的に結合させた研究スタイルを博物館型研究統合と呼び、この歴史系博物館を持つ大学共同利用機関としての強みを生かして、大学等研究機関の研究・教育の機能強化に貢献するとともに、日本の歴史文化研究のナショナルセンターとしての役割を果たしてまいりました。
 第3期には、この博物館型研究統合の研究スタイルに磨きをかけて、日本の歴史と文化に関する国内外の大量かつ多様な資料を人文情報学の研究者とともに総合的にデジタル化して研究するメタ資料学研究センターを設置し、様々な学問分野からのアプローチによる日本歴史の再構築と異分野連携・融合等を図る総合資料学の創成を目指しています。そして、国内外の大学等研究機関と協定を結んで、日本歴史文化に関する研究資源の共同利用基盤ネットワークを拡大し、研究・教育の両面で大学の組織的な機能強化に貢献することを大学共同利用機関の責務だと考え、実行しています。当館は、このような特色ある活動を進めており、またこれらが大学共同利用機関としての当館の備えるべき要件だと考えております。
 アンケートの質問の2については、大学共同利用機関を定期的に検証する仕組みは必要で、今後、特に海外の研究者を含めた検証評価が不可欠だと考えています。同時に、日本学術会議などの意見を反映させた人文学ならではの評価基準・評価システムを構築することは、私たち自身にとっても急務の課題だと考えています。
 質問3の総合研究大学院大学(以下、総研大)については、歴史系博物館を持つ大学共同利用機関の強みを生かした独自の教育を実施してきました。多くの大学で修士課程での十分な教育が困難になりつつあるという状況こそがむしろ問題で、特に修士課程を持たない大学共同利用機関にはこの面での協力が求められています。
 質問4と6は、回答に書いたとおりでございます。
 質問5については、関連する分野で大学の共同利用・共同研究拠点などのネットワークを広げるということが重要だと考え、当館では、そこに例示させていただいたような様々な試みを始めております。長期的な展望を持ち、その成果を長続きさせるためには、財政的に保障されたネットワークを作ることが必要だと考えています。
 質問7について、私たちは、企業・地域社会・大学・博物館などをネットワークで結び、人と人、人と社会の新しい関係を構築して人間そのものが持つ力を再生・強化できるようにすることが人文系の学問にとってのイノベーションだと考えています。大学共同利用機関においても、大学や他の機関はもとより、産業界や地域社会、博物館などと連携し、優れた学術研究の成果をイノベーションに結び付けていくことは必要です。当館でもこの観点からポンチ絵2枚目の右側のような事業を展開しています。
 大学共同利用機関の枠組みについての見直しという点について申し上げると、質問8では、1大学共同利用機関法人として統合する利点として挙げられている柔軟な資源配分及び効率化が図られるという点は、同じような論理で進められた2004年の国立大学法人化の経過やその結果としての現状を見ると、必ずしも納得できるものではありません。特に第3期には、どの機関でも他の大学共同利用機関や大学などとの間で組織間の協定に基づく新しいプロジェクトを始めており、まずはその成果を見届けてからでも遅くはないと考えます。ただし、情報・システム、施設、図書業務など、各機関が共通に扱えるものについての検討は必要だと思います。
 質問9・10については、現在の人間文化研究機構は、人間文化研究の基本的で重要な分野のナショナルセンター的な役割を果たしていると考えています。不足している分野の補強など、今後の課題もありますが、機構と機関が一体となって、国内外の大学や博物館を含む研究機関と積極的に連携し、各種研究資料の集積・研究とその提供など、学術的・社会的要請に応える国際的共同研究の組織化と成果の国際共同研究としての発信などに努めてきました。人文系に関して言うと、現在のまとまりを大きく変える必要はないと考えています。
 質問11については、質問8と同様に、重複する事務の効率化や、情報セキュリティなどの補強が可能になるという利点はあると思いますが、こうして形成された連合体についての制度設計が不透明で、機構及び機関における意思決定が更に複雑化し、これまで各機関が学会コミュニティ内で果たしてきた役割や機能が低下するのではないかと心配しています。
 質問12については、連合体が緩やかな結合ではなく、人事権や予算権を有すると、三重構造になり、現在の大学共同利用機関の多様性に対して公平公正で透明度の高い評価と、それに基づいたスムーズな運営ができるのかどうかが懸念されます。時代の要請や研究者コミュニティの意見に沿う形で、組織の自己点検・自己改革を実施する必要はあります。また、例えば日本関係の研究分野では、国際的な評価ができるような仕組みを自ら構築する必要もあります。しかし、少なくとも第3期になって大学共同利用機関相互のネットワークは確実に進展してきており、第4期への展望が期待できると確信しております。現在の枠組みを大きく変更することには慎重であっていいかと存じます。以上でございます。
【稲永部会長】  ありがとうございました。それでは続いて、国際日本文化研究センターの小松所長に説明をお願いします。
【国際日本文化研究センター(小松)】  国際日本文化研究センターの小松和彦でございます。ポンチ絵を中心にお話させていただきたいと思います。
 国際日本文化研究センターは、30年ほど前に設置されました。当初、2つの目的を掲げておりました。1つは、大学では行いにくい学際的・国際的な共同研究を進めるということでございます。もう1つは、海外の日本研究者たちへの様々な形での支援ということでございます。ただ、30年ほど前は、日本研究の中心というのは欧米でありました。しかしながら、この30年の間に大きく状況が変わっておりますので、この海外の日本研究者の支援という中身は時代に合わせて変化しております。しかし、当初のミッションは変わっておりません。特に変わった部分は、ソビエトの崩壊による東欧圏、中央アジア等々の国々が独立して、そこで日本研究者が生まれつつあるということでございます。特に日本語を研究して、これは経済との関係、日本の企業等々の進出もあるかと思いますけれども、更に日本の文化をより深く理解して、それぞれの国に日本文化を紹介するというような方々の成長ということが挙げられるかと思います。そういう意味では、当初の役割から拡大いたしまして、東欧圏あるいは開発途上国等への支援も任務として拡大しております。そういう意味では、当初のミッションは変わっておりませんけれども、中身は大きく変わってきているということが言えるかと思います。
 加えてもう1つ、ミッションとして挙げておりますのは、グローバル化の状況の中で日本文化は、欧米の研究者が日本の文化を研究するだけではなくて、グローバル化の中で様々な多くの若者たちが、これはアニメやそういうものも関係してくるのですけれども、本当に同時に日本文化を吸収しております。そういった背景もあるため、グローバル化の中で日本文化の魅力をどのように発信するのか、それも正確に伝えていくという役割もそのミッションの中に含められております。
 私どもはこの3期になりまして大きく2つの役割を設定いたしました。1つは、国際日本研究とか国際日本学と呼ばれるような、当初、30年前には一体何で日本研究が国際なのかと言われていたのですけれども、そのような国際日本研究という名前を付けた大学コース・大学院等々が設置されるようになりました。そういう大学共同利用機関としての役割として、束ねるような協議会等々を作るようにしております。これがコンソーシアムという、これは非常に重要なもので、様々な問題を抱えながら、留学生も増えているということもありますけれども、それぞれの大学等々の問題をそこで相談しようということで、我々のノウハウも教えるということでございます。もう1つは、先ほど申しましたように、グローバル化の中で日本文化に対する関心の変化に対応するため、大衆文化研究を国際的な観点から推進しております。我々の場合には、単に研究者の交流だけではなく、学外へ出掛けていって、それぞれの国の日本文化に関心を持っている学生・大学院生たちへ講義も実施しております。 とりわけそのような海外の研究者たちが求めるような教科書作りにも、現在取り組んでおります。そういった意味では、当初のミッションを尊重しつつ、時代に合った大きな機能を担って、2つの大きなプロジェクトを進めているというところでございます。
 私どもは、大学共同利用機関の在り方に関しては、大きく申し上げますと、研究機関としての機能を損なわず、研究力をアップするような形での改革を切望しております。大学共同利用機関は、予算が削られてきておりますけれども、求められている業務は増えてきております。私どもとしては、できる限り、予算面とか人材の配置についてバックアップ体制が整えていただくことも必要であるかと思いますし、そういった経済的・効率的なことも念頭に置きながら、研究力を高めていかなければ、日本の文化の魅力あるいは正確な情報の発信はかなわないだろうと思っております。どのような今後の在り方であろうと、その点を特に重視した改革にしていただきたいということが一番のお願いでございます。
 特に大学教育でございますけれども、総合研究大学院大学(以下、総研大)あるいはほかのところとの様々なサポートをしておりますけれども、総研大に関しましては、私どもは、国際日本という、あるいは日本文化というようなことに対する国内外の学生の関心が高まってきておりますので、応募者も増えておりますし、また就職状況も極めてよろしいので、今、ある意味では総研大の役割というのは大変重要であると認識しております。今後も、総研大の大学教育等々は、時代に合った形での国際日本研究もその一つと私たちは認識しておりますけれども、そのようなものを踏まえた独自のコースを設置して、時代に対応していくべきではないかと考えている次第です。
 産業界との関連でございますけれども、私どもは京都にございますので、文化庁が移っていることもあり、そういった機関との連携もありますけれども、例えば地元の美術館と私どものコレクションを連携して展示するというようなことを進めておりますし、特に私どもは映像を重視しておりますので、撮影所等々の資料を受け入れるということも検討しております。簡単ではございますけれども、以上でございます。
【稲永部会長】  ありがとうございました。続いて、国立民族学博物館の吉田館長、説明をお願いいたします。
【国立民族学博物館(吉田)】  大阪、千里にございます国立民族学博物館、長いので民博と申しておりますけれども、民博の吉田憲司でございます。
 まず機関の紹介から始めさせていただきます。お手元の照会事項への回答、18ページを御覧ください。民博は、文化人類学・民族学とその関連分野の大学共同利用機関として1974年に創設されました。その機関が、研究資料の蓄積と研究成果の公開の回路として博物館機能を持ち、また総研大の2専攻を通じて大学院教育にも従事しているという機関です。
 分かりやすく御説明するために、あえて研究機能と博物館機能に分けて申し上げますが、民博には現在、専任教員が52名おります。それぞれが世界各地でフィールドワークを展開し、人類学関係の単体の教育研究機関としては、世界全域をカバーする研究者の陣容と研究組織を持つという点で民博は世界で唯一の存在と言えます。民博には、また世界全域の人類学・民族学の学会組織IUAES――国際人類学民族学連合の本部が置かれております。ですから、文字どおり、民博は世界の人類学・民族学研究のセンターになっていると言えるかと思います。
 一方の博物館機能について申しますと、民博がこれまでに収集してきた標本資料、物の資料は、現在34万5,000点。これは、20世紀後半以降に築かれた民族学コレクションとしては世界最大のものです。また、博物館施設の規模の上で、民博は世界最大の民族学博物館となっています。
 次のページですが、民博では現在、館を挙げて特別研究「現代文明と人類の未来」という国際共同研究を展開しています。このプロジェクトは、人類の抱える課題を、分野を超えて多角的に検証し、未来への指針を探ろうというもので、年次計画で8年をかけて実施しているものです。
 他方、博物館としての機能ですけれども、民博では目下フォーラム型情報ミュージアムというプロジェクトを推進しています。これは、民博の所蔵する標本資料や映像音響資料について、資料を現地に持参したり、あるいは現地から民博に来ていただいたりして、関連情報を現地の人々とともに充実させて共有し、そのデータベースを国際共同研究に生かすとともに、人々の記憶の集合体として、将来に継承していこうというものです。
 それから、展示の分野では、情報統合型メディア展示の構築を進めて、展示場とサイバー空間を結ぶ新たな展示ガイドシステムをパナソニックと共同開発しました。来年度、本格導入いたします。さらに、今年から、こうして開発した情報機器を用いた展示手法、メディア展示を大学博物館等で活用していただけるように、支援を希望する展示企画の公募を大学等に対して対象に開始したところです。
 大学共同利用機関の在り方について頂いた質問ですが、幾つかの点についてここでお答えいたします。
 まず質問1の大学共同利用機関が備えるべき要件ですが、簡潔に言えば、共同研究を推進し得る制度、それを先導できる人材と研究組織、そして個々の大学では保持できない研究施設、それが民博の場合は世界最大規模の博物館機能ですが、これらが要件になると考えます。
 質問2の大学共同利用機関を定期的に検証する制度、これは必要と考えます。ただ、その時期は、大学評価・学位授与機構による評価等と連動する形で設定されるべきだろうと考えております。
 質問3の総研大の教育ですが、民博においては、次世代の研究者育成に大変有効に機能していると評価しております。
 質問4、5、6では、共同利用・共同研究拠点との関係について御質問を頂きました。言うまでもなく、共同利用・共同研究拠点は、個々の大学の内部組織で、設置目的・人事・予算とも大学の裁量下にあります。一方、大学共同利用機関は、時間外の研究者コミュニティの代表が半数を占める運営会議で人事・年度計画を含めた機関運営が決定されるという、共同利用を前提とした組織です。目的も設置形態も全く異なりますので、どちらかからどちらかへの移行といったことは軽々には考えられないと認識しております。もちろん、両者の間で研究領域が重なる場合もあり得ると思います。そのような場合には、大学共同利用機関として、共同利用・共同研究拠点の研究活動を支援する、あるいはネットワーク化を図るといった形で連携することも必要だと考えます。
 質問8で、大学共同利用機関の1法人化について御質問を頂きました。1法人化というのは、各機関の研究の自律性が十分に担保されるのであれば、一つの選択肢だと考えます。ただ、極めて多様で独自性が強く、しかも全国に散らばっている大学共同利用機関に対して、一元的に学術的マネジメントを行うには大変な困難とコストが予想されます。むしろ、質問の9で触れられているように、分野ごとに大学共同利用機関法人を構成する方が、研究の進め方、評価の方法など、学問的文化を共有している機関がまとまって運営を行うという点で、これはこれまでの経験もありますし、現実的な選択肢ではないかと考えます。他方、そのままでは、分野横断的な新領域の開拓に結び付き難(にく)いことも考えられます。機構間あるいは機関間での研究面での連携が必要になると思います。
 この機構間の連携という意味では、質問11にあります複数の法人の連合体を創設するというのはあり得る選択肢だと思います。ただ、その場合に、新たな組織の編成が屋上屋を重ねて、意思決定や予算編成において複雑さを増すだけに終わることのないような制度設計を行う必要があると考えます。
 質問12のこの連合体に人員・予算を配分する権限を付与することについては、やはりその権限の行使に公平性がどこまで担保されるのか、見極めが付きかねます。いずれにしましても、そうした一元化・連携に当たりまして、特にあらゆる学術的探求の基盤となる人間文化研究が、経済的な効率性や即効性を求める中で軽視されることがあってはならないと考えております。以上です。ありがとうございました。
【稲永部会長】  ありがとうございました。続いて、分子科学研究所(以下、分子研)の川合所長、説明をお願いします。
【分子科学研究所(川合)】  分子研の所長をしております川合でございます。よろしくお願いします。
 研究所の概要は、お手元の資料に書いてある通りでございますが、私どもの研究所は、1975年に設置されておりますので、もう既に43年が過ぎております。この間、分子科学という定義は時代とともに変わっておりますので、具体的な中身については時代とともに変遷しているということをまず御承知おきいただきたいと思います。
 中核拠点としての機能は、ポンチ絵の右上の方にありますように、化学・物理・生命科学の境界領域というところに分子科学は位置しておりまして、この境界領域の在り方というのは、先ほど申し上げたように、そのときそのときでウエイトが変わっているので、それに対応しております。
 大学共同機関としては、大きな設備を2つ有しております。これは、極端紫外光研究施設という名前で呼んでおりますが、ソフトエックスレイの施設でございます。主にスペクトロスコピーが中心でございますが、分子科学の研究者の大事な施設の1つとして、長年利用いただいております。もう1つは、大きなスーパーコンピュータがございます。これは「京」のような大きさではなく、むしろプラクティカルに使いやすい大きさで、分野の先生方に提供しているというところでございます。
 2枚目、裏側を見ていただきますと、共同研究の中身でございますが、施設の提供だけではなく、共同研究をやっていることはもちろんでございますが、国の事業としても幾つか受け入れてございまして、その左側の方に黄色で示してあるように、ナノテクノロジープラットフォーム事業の特に分子を作るところあたり、それから大学連携研究設備ネットワークに関しましては、私たちは要の機関として、どうやったら設備が公開しやすいかといったような指導を含めて、共用の仕事をさせていただいております。
 提供しているいろいろなメソドロジーに関しましては、その右上に最近導入したものを書いてございますが、分子科学の一つで材料の典型でございますけれども、有機金属のフレームワークをうまく使って、結晶スポンジ法という考え方で、結晶ができないたんぱく質をこの中に取り込むことによって周期性を見い出し、そして構造解析ができるようになるという新しい方法を東京大学の先生が開発されまして、共同利用の場所として分子研の中でそのやり方を提供し、今大変多くの方たちに利用いただき始めてきております。こういうことで、分子研としては、時代に即し分子科学を発展させてきました。
 いろいろなアンケートを頂いて、何のためなのか、最初は分からなかったのですけれども、先ほど2040年に向けての大学の改革の話を聞いて、これと対を成すことを検討される中でいろいろな質問が出ているのだなと理解いたしましたので、提出しているもの以外に少しコメントをさせていただきたいと思います。
まず、質問の1は、先ほどもうお答えをさせていただきましたし、書いてある通りでございます。質問2に関しては、余り短期間で見直しするのは得策ではないと思っています。例えば、学習指導要領は10年に1回改訂されるものですし、10年、20年の長期策をきちんと考えていただくのがベストです。それから、先ほど大学の改革は、地域を中心に、かつダイバーシティ、グローバリゼーションといった、どうやってこの大学の機能をベースとして提供するかということが中心で考えられたということでございます。それに対して、大学共同利用機関というのはむしろ分野ごとに立っておりますので、横串の機能でなければいけない、要するに大学とは等距離にいつもあるべきで、その学術の分野を全てのところが共用できる、そういうシステムでなければいけないと考えております。ですので、その後の人材育成その他に関しては、そういう視点で少し追加コメントをさせていただきたいと思います。
 総研大との関係なのですが、これは少し悩ましいかと思っています。大学と等距離にあるということと、総研大のところからしか指導する学生が受け取れていないという事実は、実は相反することでございまして、大学がこれだけ大きく地域ごとにもしリフォームするのであれば、それに見合ったような形を考えるのが適切ではないかと考えています。すなわち、総研大の考え方を変えるということも含めて、大学共同利用機関法人が全ての大学にその機能を供与することができるということの裏側として、大学共同利用機関法人の教員があらゆる大学の中に入り込んで教育を担当することができる可能性を是非検討していただきたいと思います。理由は、地方大学によっては、非常に特化した改革をした結果、ある種の分野にきちんとした教員を置けなくなっているところがあると聞いております。きちんとした教員というのは、大体きちんとした研究ができる方でございますので、研究環境を求めて大学を動きます。その結果、大きい大学に集中してしまって、なかなかいろいろなところに教員を配置できない。大学共同利用機関法人をうまく使って、研究の方はそこでサポートすることによって、津々浦々とまでは言いませんけれども、そういう機能が担保できるのではないかと考えております。
それから、共同利用・共同研究拠点との考え方ですけれども、これは先ほどお隣からもありましたけれども、共同利用・共同研究拠点は、大学の附置研究所がベースですので、それぞれの大学につながっていることというのが基本で考えられた組織だと思っております。私たちと分野を共有するところは共同して研究することは可能ですので、共同利用研の在り方が決まった後に、そこと共同することを考える、これがよろしいかと思います。
 最後に、総研大の置き方でありますけれども、いつも我が国の中では、大学は縦割りで、お互いに競争するという関係で設置を考えられています。一方、ヨーロッパに目を向けますと、ピサ協定に始まり、デュアルディグリーであるとか、大学を超えて一緒に学生を育てるというシステムをもう確立して長いです。グローバリゼーションの考え方の中で、海外から学生を持ってくるときに、日本だけは一大学でしかできないというシステムはもう既に時代遅れであり、どうにか考えていただきたいと思います。一方で、縦割りをやっているところでいきなり横串を大学の教育機能に刺すのは難しいのですが、総研大というのはインターユニバーシティシステムですので、この大学のこの機能を使って、デュアルディグリーのシステムや大学を超えての様々なポジティブな国際競争力のあるシステムを考えていただくのがよろしいかと思います。以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。
 それでは続いて、素粒子原子核研究所の徳宿所長、説明をお願いします。
【素粒子原子核研究所(徳宿)】  高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所の徳宿です。
 研究所の内容に関しましては、29ページにたくさん書いてありますが、そこの上の黄色いところで一言で言いますと、この高エネルギー加速器研究機構(以下、KEK)の中で素粒子原子核の研究を担う研究所が素粒子原子核研究所(以下、素核研)です。
 次のページのと下ですが、基本的に我々は研究するわけですけれども、研究するために分析装置を作るわけです。そのときに素粒子原子核というのは非常に大きな装置が必要で、かつ世界に一つしかないものを使いますので、我々の研究というのは、分析装置をどこかから買ってくることができないというのが基本で、全て自分たちのところで作っていきます。それをやるには素核研だけでは不十分で、各大学あるいは海外との協力、そしてもう1つは、研究機構の中にあります2つの施設、加速器研究施設と共通基盤研究施設のところのいろいろなテクノロジーを基に分析装置を作っていくというところから始丸というのが重要です。そのため、現在のKEKの中での機構にある2つの施設の上に研究所が成り立つという形は非常に重要です。2つの施設なしで素核研だけがあるというのは、僕にはなかなか考えられないという状況です。
 もう1つは、次の32ページのところにありますように、実験が大型になっておりますので、日本国内だけではなくて、海外との研究というのが非常に大きくなります。今、海外とは、もちろん非常に競争しながらやるという一面もあるのですけれども、どちらかというと、それぞれのところにユニークな装置を作って、そこへ向けていろいろな国の人たちがそれぞれ、日本にも集まり、日本からも集まるという形になっています。これはKEKでやっている実験の例ですけれども、全体で750人程いて、日本は133人、素核研は20人ぐらいという形の実験になっていますし、今、人件費削減がありますので、日本よりもドイツ人の方が多いという状況にもなっています。
 こういう環境でやるというのが我々の研究であるというのと、一方、外国に行くに当たっても、大学からたくさん行っているわけですけれども、KEKがある意味で、素核研がハブとして、全体の大学をまとめるといった役割も担っていると思います。
 33ページのところにありますのは、分野を分けまして、将来計画というのをきちんと考えなくてはいけないわけですけれども、それは特に我々は大型計画ですので、学術会議で全て大型計画のマスタープランに実施しているおります。その中で、枠でいろいろな色で描いてあるうち、現在やられているものという区分2の記載箇所で進めていますし、将来計画についても、ほとんどのところで将来計画として出しており、しかもその中で重点領域に作られているという形になって進めております。
 回答ですが、1つ1つについて説明している時間はありませんが、質問1から入りますと、大学共同利用機関というのは何かというのは、最初に戻りますが、大学だけではできないものというのを1つ取り出してきて、その研究を進めるために作られたものだと思います。その定義というのは今でも非常に重要なものだと思っています。
 大学というのはユニバーシティであり、ひいては1つの宇宙であり、何でもあるところです。別の会議で少し言いましたけれども、ある意味では、大学というのは駅弁で言ったらば幕の内弁当なわけです。何でもそろっているというのが非常に重要で、その何でもの中からいろいろな新しいものが出てくるのが大学だと思います。それだけでは足りないから、どこかとがったところを作るという形で、我々はこういう研究所ができているのだと思っています。駅弁に例えれば、それはカニ飯とかマスずしとか牛タン弁当とか、そういうものだと思っています。だから、そういうものを作った上で、では今そういうのが集まったのがこの大学共同利用機関法人ですので、牛タンとカニ飯とマスずしを一緒にした幕の内弁当を作るかというと、それは設立の形からいって間違っているのではないかという気がします。
 質問2に関係しまして、定期的にいろいろなものを見直すのは大事ですが、そのときに大学共同利用機関だからそれを全部一律にある会議で見直すということが、今の話でもありましたように、現実的だとは僕は思いません。各分野できちんと見直すべきであり、大学共同利用機関に限らず、共同利用・共同研究拠点あるいはほかの法人等も含めた形で議論するというのが一番重要な点ではないかと思います。
 総研大に関しましては、我々のところはかなり学生も来ており、非常に活用させていただいております。いろいろな報告の中に「ほかの大学でやれないことをやれ」と書いてありましたけれども、先ほども言いましたように、大学というのは何でもやれるところなので、「それがやれないところをあなたたちはやりなさい」という提議をするのはかわいそうであるとも思いました。
先ほど言いましたように、従来共同研究を積極的に進めている共同利用・共同研究拠点拠点とは、今でも共同研究をやっています。つまり、法人の枠組みについては、加速器研究施設・共通基盤研究施設というのがある機構の中で素粒子原子核に特化した仕事を進めていくというのが非常に重要だと思っています。
 新しい分野を作るというのは、私も非常に大事だと思いますが、新しい分野を作るためには、そういうとがったところがなくては駄目で、それを我々は維持することがまず一番重要なことだと思います。本当に新しい分野を超えたところというのは、理想論にはなりますが、基本的には大学から出てくるべきだと思います。大学から出てきて、それを引き上げるときに、それに関連した大学共同利用機関が助けるというのは、少し理想論になるかもしれませんが、ベストではないかと考えます。以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。
 それでは続きまして、物質構造科学研究所の小杉所長、説明をお願いします。
【物質構造科学研究所(小杉)】  物質構造科学研究所――物構研の小杉です。資料は38ページからになります。
 物構研は、22年目に入っておりますが、大学共同利用機関の17機関では、素核研と同時にできましたので、15、16機関目になります比較的新しい研究所です。もともと、KEK、研究所の時代は、それぞれの加速器から出るビームを使った、それぞれコミュニティを持った組織、放射光、中性子、ミュオンとか、大きなコミュニティの中で研究が展開されてきたわけですけれども、物構研を造ったことによって、分野横断的にコミュニティもつなぎながら新しい分野を作っていくというミッションを持って創られた研究所と理解しております。
 20年を振り返ると、ようやく、もともとなかった分野でもありますので、それぞれの分野はありましたけれども、それぞれしかなかったので、准教授ぐらいがようやく全ての分野をカバーできるフェーズになっています。教授はまだ昔の各ビームに張り付いた研究者です。だから、もう少しこの物構研の特長を生かすには、教授が入れ替わるぐらい、あと10年ぐらいはかかるかなと思いますが、それを目指して研究所はやっております。
 39ページに現状と将来の方向性を書きましたけれども、こういう新しい、国際的にもこういう加速器の一つのビームを使っている感じの施設・研究所はいっぱいあるのですけれども、こういう総合的にできる研究所は唯一ですので、海外からもうらやましがられている研究所ではあります。
 最近の学問の流れとしては、純粋な資料から実在の資料に今、学術の方も移っておりまして、そういう意味では産学連携が非常にしやすい研究所で、多分、大学共同利用機関の中で産学連携が進んでいる一番よい位置にいるのだとは思います。いろいろな分野をやっておりますが、物質科学、生命科学、材料科学、いろいろなソース、1つの運営費交付金でやっているというよりは、いろいろなソースを探しながら、分野を切り開いているというところです。
 注意しなければならないのが、産学連携を学術が圧迫してはいけないので、学術を圧迫しないような形での産学連携の収入を稼ぎ、産業に応用しているというようなところを注意しながら活動しております。
 国内・国際的にも、量子ビームをまとめる機関としては特徴を持っておりますので、国内をまとめるミッションもありますし、海外からも、加速器の部分も含めて協力依頼は結構来ています。
 アンケートは、代表的な答えのところを御説明いたします。まず質問2、定期的に検証・再編・統合の議論ですけれども、法人化になる前にいろいろな議論がありました。ある意味、期待を持ってこのような組織になったのですが、その結果何が起きたかといいますと、なぜこういう機構を作ったのか、機構の意義は何なのかと、そういう評価ばかりがあることによって、機構自身、それぞれの機構で内向きの方向ばかりが割と強調された部分があります。もともと大学共同利用機関というのは全体にそれぞれ単科大学的ですので、それぞれ広く共同はできたのですけれども、この法人化で機構にまとまって、評価軸が機構としての組織のところに向いてしまった結果、もともとあった大学共同利用機関全体でというのが意識的に最初は出なかった。最近は出ておりますけれども、そういう問題がありますので、今後検討される場合も、そういう評価軸で全体の評価、組織を作ったから、その組織の内側の評価をするのではなくて、全体として評価するようなところをやっていただかないと、同じことが繰り返されるのではないかと危惧しております。
 実際、ここには書いておりませんが、パリ大学というのは、第1から第13まで単科大学的に運営されていたのが、この1月から再編・統合されて、これは場所で分けているのですけれども、パリ市内はソルボンヌ大学、それから南の方の郊外にあるのはパリサクレー大学というようにまとめられました。その結果何が起きたかというと、もともとパリ市内とパリ南大学とかの連携が進んでいたところが、一切できなくなって、新しい大学の枠の中で連携しなさいとなり、似たようなことが起きているなというのがあります。
 それから、質問3の総研大のところですけれども、もともとは博士の後期課程のみだったのですけれども、修士相当の5年一貫を作ったことによって、大学と同じような形になってしまったため、総研大としての特徴が出なくなったのではないかと思います。後期課程でドクターを取って研究者となるというところをかなり意識しながら、特徴ある大学で本来はあるべきだし、そこに定員を埋めなさいとかではなくて、いかに優秀な人材を育てるかというのが重要であると思っております。もし修士の前半の課程を付け加えるのであれば、例えばヨーロッパではエラスムス・ムンドゥスといって、半年間4つの国をまたいで、いろいろな多様性を持った教育をしながら後半のドクターの3年に結び付けるといったことをしております。総研大は大学と違う形で特徴を出せる大学ですので、そういった点は重要であると考えます。
 それから、最後、質問11に書いておりますけれども、いろいろな意味で共通化しようというのはあるのですけれども、実はフィンランドでは、国全体で大学は共通化されております。ただ、各大学で特徴ある取組のところはそれぞれの大学に事務を置く必要があるということで、10年前から実施されておりますけれども、そういうところも参考にしながら、今後考えるのがいいかなとは思っております。以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。
 次は、国立極地研究所(以下、極地研)の中村所長、お願いします。
【国立極地研究所(中村)】  国立極地研究所の中村でございます。よろしくお願いします。
 資料の45ページです。国立極地研究所は、南極観測で昭和基地が設置されてから16年後の1973年に設置されました。そして、その18年後の1991年には北極のスヴァールバル島にも基地を建設しまして、南北両極に関する観測、それから研究を全国の大学の研究者と行っています。年間予算は約36億円で、そのうち3分の1、約13億円が、基地の運営なども含めた南極の予算です。北極のプロジェクトは、これに対して年間約3億円の補助金を中核機関として頂いております。
 資料の47ページです。極地研究は、地球の温暖化が進む現在では、極域を通じて過去の変動、それから現在の変化を詳細に調べるということで今後の地球の変化を知ることが重要なテーマとなっております。
 48ページですけれども、南極観測は現在、観測課題が公募制となっています。6年ごとの中期計画で運用されています。一方、北極の方は、2011年から5年ごとの文部科学省主導の補助金プロジェクトで運用されております。
 次に、50ページですけれども、当研究所では広報室を設置しまして、南極・北極を通じた中高生向けのアウトリーチを積極的に進めておりまして、また観測データを国民の皆さんや研究者に分かりやすく公開することにも尽力しております。
 それでは、アンケートの回答をかいつまんで説明いたします。1つ目の質問、大学共同利用機関として備えるべき要件についてですけれども、1つは、国際水準の先端的研究を全国の大学等の研究者と共同研究で推進すること、それから2つ目には、大学では所有することが困難な大型の研究基盤、プラットフォームや施設・設備を有して、全国の大学の研究者等と共同研究を推進すること、この両者が重要であると考えております。
 4つ目の質問、大学共同利用機関と共同利用・共同研究拠点の違いについてでありますけれども、双方とも共同利用・共同研究を実施する点は共通していますけれども、大学共同利用機関の持つプラットフォーム、それから研究設備・施設は規模の点におきまして共同利用・共同研究拠点とは一線を画すると考えております。国際的にも日本の顔となるような施設・設備の提供が大学共同利用機関の役目として重要であると認識しています。独立の予算配分を受けて独立した機関として国際的に日本の代表となるべき拠点として活動できるといったことが大学共同利用機関の意義でありまして、その責任は大きいと思っております。
 5つ目の質問です。大学共同利用機関が中心となって、関連する研究分野の共同利用・共同研究拠点その他の研究機関とネットワークを形成することについてですが、既に当研究所では、大学間連携の取組としまして、メタデータベースのプロジェクト等の中核機関となってきていました。また、ネットワーク型の共同利用・共同研究拠点のメンバーともなっておりまして、今後もそういった形で積極的にネットワーク化に取り組んでもよいと考えております。
 6つ目の質問、共同利用・共同研究拠点から大学共同利用機関への移行、またその逆ですけれども、大学共同利用機関の要件を満たすのであれば、原理的には可能だと思われます。ただ、共同利用・共同研究拠点は大学の一部ですから、例えばその人件費や組織といったものの考え方が独立した機動的な運用をする大学共同利用機関とは少し異なるために、移行は単純ではないと考えます。
 (4)の大学共同利用機関法人の枠組みについてですけれども、8つ目の質問です。4大学共同利用機関法人を1法人に統合することについて、1ですけれども、様々な特徴をそれぞれに持つ各大学共同利用機関の個性がより発揮できるような法人化であれば、方針としては理解できると思います。ただ、大小様々な17機関、それぞれに異なる活動形態を持つ17機関を取りまとめて一つの法人にするには、かなりの準備が必要であるのではないかと思います。
 9番目、分野ごとに複数の大学共同利用機関法人を構成することについてですが、2です。各大学共同利用機関の方向性や、どういうディシプリンで研究を行うのかという大学共同利用機関の目指す分野の方向性が明確になるという意味で、あるべき姿であると思います。ただし、各機関の現在においての分野でのみ考えた法人のくくりをするということは、今後の発展や融合研究に向けた取組としては不十分で、今後の各研究機関が目指す方向性というものを重視して法人を構成すべきと考えます。
 10番目の質問です。2つ、3つの大学共同利用機関法人に再編するということですけれども、結論から言うと、賛成しにくいかと思います。2004年の法人化のときに議論を尽くして現在の4法人の構成となり、法人内のガバナンス強化も次第に成功してきているのが第3期の状況です。法人構成のリセットは、これまでのエフォートを無駄にして、かつ再編成に多大なエフォートが必要になり、各研究機関の研究アクティビティは一時的に低下するのではないかと懸念します。極地研の場合は、半世紀前の設立時には極域における真理の探究が課題でしたが、現在では人類の持続的発展や我々の住む地球の将来ということが中心課題となっています。情報を収集分析して、情報を基に複雑なシステムを理解するという意味で、情報とシステムを扱う現機構に属することは好ましいと考えています。
 11番目、複数の法人で構成する連合体の創設ですけれども、移行に関する負荷は比較的軽いと考えますが、現在、目一杯の状況で業務を走らせながらの移行となりますので、できる業務から順次となるのではないかと思います。
 このほか、これまでの大学共同利用機関法人内における機関間の連携の指針、特に事務の統合を現在行っているのですけれども、あとガバナンスの強化等の経験を踏まえると、法人の再編にはかなりのエキストラな人員等をつぎ込む必要があるのではないかということを1つコメントしたいと思います。以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。
 続きまして、国立情報学研究所(以下、情報研)の喜連川所長、御説明をお願いします。
【国立情報学研究所(喜連川)】  ありがとうございます。情報研の所長を拝命しております、喜連川でございます。
 御手元の資料ですと、55ページにその最初のページがございますけれども、次のページに、情報研の歴史が書かれております。1976年に情報図書館学の研究センターとして東京大学の中に設置されまして、その後、学情――学術情報センターとしてNACSISという名前になり、2000年に国立情報学研究所(NII)ができたということでございます。
 本日は共同利用でございますので、私どものサービスの中で最も広く利用していただいていますのが、74ページにございますSINETと呼ばれているネットワークでございます。これは、100ギガビット/秒ということで、非常に高速のネットワークなのでございますが、皆様の御家庭で光、FTTHを導入されておられても大体100メガビット/秒です。ということは約1,000倍速いという、プロバイダのメニューにはないようなネットワークを、ダークファイバーを利用しながら手作りで作っているということでございます。
 こんなに速いネットワークを誰がお使いになるのだろうということは、ページを繰っていただきますと、77ページにございますが、既に御発表いただいておりますが、高エネルギー物理をはじめとするビッグサイエンスがこれをフルにお使いになるということで、今年も対応回線、これはグローバルなアクティビティがございますので、ヨーロッパ回線を100ギガ化するということも進めているわけです。
 少し前後して恐縮ですが、もう一度74ページを見ていただきますと、889という数字が上の方にございます。これは、現在、日本の大学並びに研究所約900の機関がこのSINETのネットワークに接続されて御利用いただいているという、まさに全国規模でございます。本日は地方ということが非常に繰り返し指摘されておりますが、見ていただきますと分かりますように、北海道の端っこから沖縄まで、裏日本も含めて全部のノードが全県にわたっております。これは無駄をしているというわけではなくて、3.11の東北震災のときに東北回線が切れました。この交代回線を裏日本側にするというようなネットワークデザインから、地方をイコールフッティングするというようなデザインまでしているということでございます。
 これ以外にもいろいろなサービスを行っておりまして、78ページを見ていただきますと、CiNiiという、これは日本の学術文献の検索エンジンとお考えいただければ結構でございますが、年間4億ページビューを持っております。こんなにアトラクティブなコンテンツというのは、学術系ではこれが最大ではないかと思っておりますし、学生さんはほぼこれを毎日使っておられます。
 それから、最近始めたサービスといたしましては、81ページにセキュリティのサービスがあります。私は、NIIの所長になりましたときに、何がしてほしいですかということを申し上げますと、ほとんど全ての大学の先生が「セキュリティをやってください」ということで、今ほぼ100の大学がこれに参加しておられまして、ここにおられる研究所にも参加いただきまして、トラフィックモニタリングをして、大変好評を頂いているところでございます。
 これからやるサービスとしましては、その裏側の82ページでございますが、今年の6月の半ばに統合イノベーション戦略がCSTIで出ましたが、そこの大きな目玉はオープンサイエンスでございまして、研究データをどうこっちで作っていくかということで、これの基盤ソフトウエアを今作っておりますけれども、2020年にこの運用開始を予定している。このように、ITは、ほかの分野ももちろんそうでございますが、とりわけ動きが速い中で、時代の要請に応じながら更に新しいサービスを御提供するということでございます。
 ここで国立情報学研究所が大きく異なる特徴として申し上げたいことは、情報学研究所ですので、情報学を研究する研究者に対してサービスをするという部分もないわけではございません。しかしながら、今御説明をさせていただきましたように、この全てのサービス、我々が御提供申し上げている共同利用的なサービスというのは全学問でございます。こういうところが少しほかの研究所さんとは違うフレーバーになっているかと存じます。
 アンケートに関しましては、ほとんど書いたことでございますので、省略する部分を多くさせていただきたいと思いますが、1大学共同利用機関法人にするということに関しましては、どこかの組織が特別に大きくて、その周辺にあっていろいろジオグラフィカルにディストリビュートする場合はあろうかと思うのですが、粒の大きさがそれほどは変わらないものが非常に広域に分散するというのを管理するのはそれほど容易ではないのでないかなというのが、私の方の第1問への回答でございます。
 それから、構造をどのように見直すかということに関しましては、2004年にこの大学共同利用機関法人というものができている。IT感覚から言いますと、2006年にクラウドという言葉が初めて生まれました。2007年にiPhoneが出ました。ということは、2004年というのはIT的には大昔という感じがいたしますので、少なくともそういう見直しをするということは自然な発想ではないかなと考えます。
 それ以外に関しましては、例えば総研大というものがございましたが、これは66ページを見ていただくと分かるかと思います。総研大の中で一番大きな専攻は情報学の専攻でございまして、67ページは、各大学から来られております連携大学院の学生さんでございます。このIT系に関しましては、とにかく御希望がすごく大きいということがございまして、総研大の機能は十分に御利用させていただいているかなと考えております。
 それから、産業界との連携に関しましても、国立情報学研究所は非常に積極的に行っておりまして、86ページを見ていただきますと、IBMやLINEから相当大きな御予算を頂きながら共同で研究を進めておりますし、最近では、その下のところに書いてありますAMED、医学界と連携いたしまして、全国の病院からいわゆるそのメディカルイメージング、画像を頂きながら共同システムを作っております。既に1,000万画像に達しておりますけれども、日本で最大の規模に今なろうとしているかと思います。このように、IT系に関しましては、とにかくなくてはならない必需品ということで、いろいろな御希望を頂いている中で、いかにその中から重要なものを選んでサービスとして提供するか、日々これに悩んでいるところでございます。以上でございます。
【稲永部会長】  ありがとうございました。続いて、統計数理研究所の樋口所長、お願いします。
【統計数理研究所(樋口)】  統計数理研究所の所長の樋口でございます。
 全体ページでは93ページを御覧ください。なお、真ん中にもページを打ってありますので、そちらの方を見ていただければと思います。研究所の概要の資料が15ページにもなっておりますけれども、アンケートの回答内容に沿った資料にもなっておりますので、主にその資料を御説明いたします。
 次のページ、2ページを御覧ください。本研究所は、終戦直前の1944年に設立され、来年が創立75周年になります。その間に1985年に文部省の直轄研究所から大学共同利用機関に改組されました。また、総研大の創立当時から、統計学専攻の基盤機関として参加しております。今でも、この統計科学専攻は統計学を体系的に学べる国内唯一の専攻です。私どもの研究所は、スパコン以外に大規模な設備を持っておりません。したがいまして、先端研究と非常に多様な分野との共同研究、そしてデータ算出に関わる人材育成が主たる活動となります。
 次、3ページを御覧ください。このスライドと次のスライドで、統計数理の特性を御説明させていただきます。まず、統計数理の基礎研究の側面としましては、評価されるまでに時間がかかるが、一度評価されると、長期間にわたり引用される特徴があります。このグラフは、元所長の赤池先生の代表的な論文の年ごとの引用数を示したものです。決して累積数ではないことに御注意ください。様々な分野において、データを活用した知識発見とイノベーションが進みつつあり、統計数理がその基盤となっていることを物語っていると思います。
 次、4ページを御覧ください。統計数理のほかの特性としまして、分野横断的であること、学術及び社会における喫緊の課題に対応できることが挙げられます。この特性を生かして、本研究所の研究戦略は2軸体制をとっております。横軸は先ほどの基礎研究の軸で、全ての教員は3つの系のどれかに属しております。一方、課題解決のために設置している組織が縦のネットワーク・オブ・エクセレンスセンター群になります。教員は、各々の専門性と興味に応じて、1つあるいは2つのNOEセンターに所属します。この2軸体制を活用することにより、学術の発展や社会変化に対応した多様な要請に応えるよう努力しております。
 次、5ページを御覧ください。柔軟な体制作りとともに、教員構成の多様性の増加にも力を入れております。私の所長任期の間、常勤の女性教員率をそれまでの4%から17%まで増加させました。
 次、6ページを御覧ください。この図は、NOE体制の変化を示したものになります。NOEセンターは、運営会議やNOE顧問会議、国際アドバイザーの意見などを受け、絶えず体制を見直しています。第2期中期目標・中期計画には5つのセンターを設置していましたけれども、2つを発展的に廃止し、昨年度以降2つのセンターを立ち上げました。息長く基礎研究を続ける重要性は言うまでもありませんが、世の中のニーズを常に先読み的に酌み取り、中期的時間スケールで柔軟に研究体制を変更してきたのも本研究所の強みであると言えます。
 次、7ページを御覧ください。このスライドが、昨年度の7月に設置しましたものづくりデータ科学研究センターの概要になります。
 次、8ページを御覧ください。このスライドは、今年度の4月に設置した医療健康データ科学研究センターの概要になります。
 次、9ページを御覧ください。NOE形成事業の結果、海外の機関との組織的連携も着実に強化されてきております。
 次、10ページを御覧ください。国内の組織レベルの連携に関しまして、2012年度からの5年間、全国の8大学と連携しまして、数学コミュニティと諸科学及び産業界との協働体制作りのお手伝いを本研究所は中核拠点として行ってまいりました。また、数学関連以外の共同利用・共同研究拠点とのNOE形成事業を通して学術協定を結び、機関レベルのお付き合いをしております。
 次、11ページを御覧ください。データサイエンティストの人材育成に関しましては、左に示しました情報・システム研究機構からの報告書の効果もあり、文部科学省においても様々なレベルで強化策が進んでおります。本研究所は、その専門性から棟梁レベルと呼ぶトップレベルの人材育成に特に注力しております。
 次、12ページを御覧ください。本研究所の人材育成プログラムは、総研大教育以外は全て統計思考院と呼ぶ組織が担当しております。棟梁レベル以外にも、様々な対象に即したプログラムを提供しております。
 次、13ページを御覧ください。これは、昨年度から新しく始めました事業になります。研究開発法人や産業界から、トップタレントのデータ算出レベルを上げてほしいという要請が膨れ上がっております。そのために、リーディングDATと呼ぶ養成コースを開始いたしました。
 次、14ページを御覧ください。このように産業界との接点も急速に増えつつあり、その結果として、民間との共同研究の数・額もうなぎ登りです。研究内容の質から、1件当たりの額は大きくありませんが、長い付き合いにより信頼関係を築いていくことは大切だと考えております。
 次、最後になりますが、15ページを御覧ください。地元地方自治体である立川市とは、平成27年に連携・協力協定を結び、立川市の住民意識調査を共同で行うなど、密に協力関係を進めております。
 以上、アンケートの回答の内容を一部取り込みながら研究所の概要を説明させていただきました。これ以後はアンケートの回答の中で強調したい点をお話ししたいと思います。
 このアンケートの中で頻繁に出てくるスモールサイエンスという言葉ですが、それはビッグサイエンスではないという意味でして、それ自体を定義付ける意図はありません。ビッグサイエンスは、長期間にわたり丁寧な議論と国際的な協議と約束に基づき、大規模な予算を長期間にわたり計画的に執行します。一方、私どもの研究所の特性としまして、学術及び社会的要請に応じて柔軟に体制を変更し、その結果として、異分野を融合し、新分野の創造に貢献してまいりました。したがいまして、マネジメントの観点から、我々の研究所はビッグサイエンス系の研究所とは異質である点を大変気にしております。以上です。
【稲永部会長】  どうもありがとうございました。最後に、国立遺伝学研究所(以下、遺伝研)の桂所長、よろしくお願いします。
【国立遺伝学研究所(桂)】  遺伝研の所長の桂と申します。よろしくお願いいたします。
 国立遺伝学研究所は、我が国の遺伝学の中核拠点として、1949年に設立された研究所です。静岡県三島市にあり、約400名の職員、すなわち承継職員約100名、有期雇用職員約260名、大学院生約40名が、運営費交付金約26億円を含む約40億円の経費で、研究、共同利用・共同研究、教育、人材育成、産学連携、地域連携を行っております。
 共同利用では、3つの大きな基盤整備事業を行っています。その内訳は、第1に、DNAデータベースとゲノム解析用のスパコンを提供するDDBJ事業、第2に、DNA塩基配列の決定とデータ解析を行う先端ゲノミクス推進事業、第3に、実験用系統生物の開発・収集・提供を行うバイオリソース事業です。最初の2つはもちろん、バイオリソース事業でも、系統生物のデータベースを整備・公開しているので、これらの3事業はデータサイエンスに関わる事業とも言えます。一方、研究では、数多くの生物種やヒト個人のゲノムが解読されたため、それらを基盤として遺伝学を再構築すること、そのために情報学やシステム科学の方法を強化することが重点課題となっています。2004年の法人化のときに情報・システム研究機構の一員となったのは、このような理由によるものです。
 次に、アンケートの回答の要約を述べます。大学共同利用機関は、高い研究力を持ち、共同利用で大学などの研究を支援し、すぐれた研究環境を生かして人材育成を行うことがミッションです。また、大学とともに歩むために、大学と同様に、研究者の自由な発想と自主性に基づく研究を行うことが求められます。
 大学共同利用機関の在り方を定期的に検証するのは当然ですが、数字だけでなく、現地調査などで実態を知ること、また改革の前にそれが改悪にならないか十分な検討をすることが必要で、机上の議論のみによる拙速は禁物です。
 総研大は、博士レベルの人材育成に特化した大学院教育を推進するべきです。これからの社会では、アカデミアの世界はもちろん、それ以外の多くの場所でも、深く幅広い問題提起、問題解決、説明の能力を持つ博士レベルのグローバル人材が必要とされるからです。
 大学共同利用機関は、研究者コミュニティ全体の利益を考えて、中立的な立場から共同利用を行っていますが、大学の一部である共・共拠点は、研究者コミュニティと大学本部の間で利益相反が生じるのが欠点です。この問題がありますが、大学共同利用機関が共同利用・共同研究拠点とネットワークを作り、研究コミュニティへのサービスを向上させること自体は好ましいことです。しかし、大学共同利用機関が共同利用・共同研究拠点に移行するのは、公正で中立的な共同利用ができなくなる危険性があるので、特に厳密なチェックが必要です。1大学共同利用機関法人への統合は、結束して大きな力になる点では理想形ですが、多様な研究所をうまくまとめるガバナンスの問題が全く未解決で、まだ理想に留(とど)まっています。
 一方、現在の4大学共同利用機関法人を存続する場合は、これまでに築いた対外的な信頼が保たれるだけでなく、法人設立時の目標を引き続き追求できるのが長所です。特に、情報・システム研究機構は、情報とシステムというキーワードの下に、現実の世界からデータを取り出し、社会に役立てる極地研、遺伝研と、データに関する方法論や技術に長(た)けた情報研、統数研が縦糸と横糸のように交差し、これまでにない活動を展開することを目的に設立されました。その後、情報・システム研究機構本部に新領域融合センター、リサーチコモンズ事業、データサイエンス共同利用基盤施設が設置され、研究者間の交流・協力が着実に進展しているので、これを継続する利点は大きいと思います。
 これに対し、分野ごとに2つから3つの大学共同利用機関法人に再編するのは、1法人化のような理念もメリットもなく、また再編のために余分の予算と労力が取られ、現在の窮乏状態が更に悪化するおそれが大きいと思います。大学共同利用機関法人間でネットワークを作ることは利点があります。可能なら、総研大をネットワークに取り込むのがよいでしょう。しかし、予算や人事権を持つ連合体を作るのは、実質的な1法人化です。きちんとした準備の下の1法人化を行わずに、そのようなことを行うのはまやかしのように感じられます。
 アンケートの設問に「分野ごと」という言葉が出てきますが、既存の分野の枠を前提とした構成は、異分野融合やそれによる新分野創成を志向する現在の方向性に逆行するものであり、避けるべきでしょう。一般的には、大学共同利用機関法人を作る目的がはっきりしていれば、分野が少し異なる研究所が、互いに学ぶことが多いと考えられます。以上です。
【稲永部会長】  ありがとうございました。
 ただいま10機関から御説明いただきましたが、これから御質問、御意見等をお受けしたいと思います。どなたかございますか。では、小林委員、どうぞ。
【小林臨時委員】  御説明、ありがとうございます。いずれの研究機関もすばらしい研究をしていらっしゃることはよく分かりました。法人の見直し、枠組みの見直しについては、幾つかの研究機関からは一定の前向きなお話もございましたが、多くの機関からは今のままがいいという御回答だった印象を受けました。どういう見直しをするかというのと、そもそも見直しをするかどうかというのは少し分けて考えたいと思いますが、その見直しの議論がそもそも始まった契機というのは、4大学共同利用機関法人の方から、例えば施設が老朽化しているとか、電力料金の高騰化で運営経費が足りないので、稼働時間は削らざるを得ないとか、そういう要望があったということがあります。あるいは、新分野研究を創成しても、機関レベルを設置できないとか、機構の枠を超えた融合研究をやりにくいとか、あるいは情報セキュリティに不安は情報・システム機構はもちろんないと思いますが、ほかは情報セキュリティの不安がないのかどうか。そういったことを踏まえての議論の出発点であったと理解しています。
 本来であれば、それぞれの4大学共同利用機関法人の予算を増やして対応すべきところではあるのですが、やはり厳しい財政環境の中で運営費交付金の増額は現状、望めないと考えております。そういった中で、各機構の予算だけでは対応できないような施設の補修とか、電力料金の変化に応じた対応などを検討してはどうかというところから議論が始まっていたと思いますが、本日お話を伺っている限り、その必要がないということであるならば、例えば今のまま、予算が増えない中で、どのようにして施設の老朽化あるいは電力料金の高騰に対応されていくのか。何も困っていないとおっしゃるのであれば、そもそも何も考える必要はないと思いますが、その辺はどのようにお考えなのかを伺えればと思います。
【稲永部会長】 それでは、お願いします。
【国立民族学博物館(吉田)】  大変困っております。法人化前の民博の予算は大体40億だったのですが、現在は30億、4分の3に減っております。法人化前に63人いた研究者が今52人、御報告いたしましたけれども、これは当然、予算の減少に伴って、どうしても人件費の部分を圧迫せざるを得ない。ただ、最初に申し上げましたように、全世界をカバーする研究者の陣容というのは、これはどうしても死守したい。そうすると、50人というのは限界だろうと思っております。当然、それを維持すると、事業費、研究プロジェクトへの費用を圧迫してくるという状況があります。更に民博の場合は、今、小林委員からお話がありましたように、老朽化というのが大問題になっておりまして、もう喫緊の課題です。概算要求でずっとお願いをしておりますけれども、当然、国の財政状況からなかなかそうはいきません。
 更に今年度に関しましては、6月18日の大阪府北部地震の結果、1億7,000万円ぐらいの被害がございました。文部科学省からの施設の復旧費というのは、施設だけですので、3,800万。最近、補正を頂きましたけれども、それで440万。1億2,000万ぐらいは我々の運営費交付金の中から見ていかないといけないという状況で、何とか工面したかと思ったら、この間の台風が参りまして、また2,600万の被害が出てしまいました。そういう状況で全体の、特に施設に関しましては、喫緊の課題です。結局は運営費交付金の中から部分的に、例えばエレベーターだけ改修する、屋上だけを改修するという形で対応せざるを得ないのですが、当然、そうなりますと、研究プロジェクトの事業費を圧迫するという状況で、文字どおり大変困った状況です。ですから、全体のパイが大きくなるということによって、特に経費を必要としている機関への配分というのが増えるという見通しがあるのならば、当然、この一元化あるいは連携推進法人のようなものは、回答でも申しましたけれども、1つの選択肢だと思っております。
 ただ、同時に、これだけそれぞれ独自性があって、それぞれの分野でとがった研究をしていて、しかも全国にまたがっている。大学の場合は、建学の理念とかというようなものの中で様々な機関が生み出されていくのだろうと思うのですが、これだけもともと創設の理念そのものや目的が違うものを1つのガバナンスでマネジメントしていくというのは、大変困難が予想されます。その部分が我々の立場からはなかなか見極めがつかないというのが、正直な我々の立場です。
【稲永部会長】  では、素核研の徳宿所長。
【素粒子原子核研究所(徳宿)】  素核研も、大規模な実験をやっていく上で、もちろん電気代の高騰も含めて、大変困っており、予算を是非拡大してほしいというのは、常に文部科学省にもお願いしているところであります。
 しかし、大学共同利用機関を新たに組織することや、改組することによって、そのような予算に関する問題は解決しないのではないかというのが、私の意見です。同じ分野の中で、大学共同利用機関に限らず、いろいろなところも含めた全体を御覧になっていただいて、その上で現在、重要とされる研究に対して大きく予算を付けて頂くというのが非常に重要なのではないかと思います。
【稲永部会長】  では、川合先生。
【分子科学研究所(川合)】  先ほど小林先生がおっしゃった、老朽化した施設や設備の対策という問題と、もう1つは、大型施設を必要とするところ、また、新しいことを試みると、巨額の予算が必要になり、現状、予算のパイを中で割っていくのは、既に限界にきているといった気はします。それに関しては、私は頂いたアンケートの「その他」に勝手ながら書かせていただいたのですけれども、研究推進に関しては、どんなものも全て文部科学省の中でやっているような気がいたしております。とはいえ、これは情報・システム研究所といった、他省庁が関わるようなものまでも、基盤は研究所内の大型施設で供給しているところもございます。例えば、大型計算機などは、当然、研究者の使う対象は大学の人が多いのかもしれませんけれども、総務省での情報セキュリティなどを考えますと、環境省、国土交通省など、本来は複数省庁がお金を出し合い大型施設を造るべきではないかと思います。また、極地研然(しか)り、歴史的なところも全部含めて、我が国を支える文化まで文部科学省で全て担っているような気がいたします。もう少し国全体で、省庁を超えた協力体制の中で、必要な大型施設を造るということが担保されれば、たとえ全大学共同利用機関が1つに統合となっても文部科学省の傘下であることには変わりございませんので、1法人化することの危機感は、私自身はそれほど大きくは持っておりません。しかし、分野ごとの組織再編という考え方については、「分野」の定義が決定された当時の考え方で固定されてしまうため、非常に危険であると思っております。
一方で、今後、縦横無尽に柔軟性をもって対処しなければいけないとなった際に、枠組みが設定されることのメリットは感じておりますので、組織再編をするのであれば、1法人化し、更に他省庁まで含んだ、影響力のある形にしていただきたいと思います。
 総研大に関しては、先ほど申し上げた通り、今後、国内全体で学生数が減り、個々の大学は非常に難しい状況にあります。私たちが全大学に対して統合的に支援する、ということを考えたときに、現状のままとはいかず、今後に向けよい形を考える時期が来ているような気がいたします。また、個々の大学でできない大学の教育システムを総研大で担っていただくというのは新しい考え方ですので、少し検討いただく余地があると思います。
【稲永部会長】  ありがとうございました。では、喜連川先生。
【国立情報学研究所(喜連川)】  川合先生からも情報学研究所という名前を頂きましたので、何か発言しないといけないかなと思った次第ですが、例えば、私どもは、先ほど御紹介いたしましたように、セキュリティのサービスを昨年の7月から開始しております。それ以前、各大学はいろいろなベンダーと固有に各々がサービスを受けていました。全ての大学に対して情報研が提供すると申し上げるわけではないですが、この際のサービス量のトータルアマウントと、昨年の7月以降の私どもとを比べますと、明らかにコストセービングとなっています。それから、ネットワークの構築も、各大学単位で行うと圧倒的に高いお値段になるため、極度にコストセービングをさせて頂いていると思っております。そういったこともございますので、何か国家全体のポートフォリオとして、もう少しレイヤーの高いところで認識していただくことが必要であるという気がしております。
 川合先生がおっしゃられましたように、我々のサービスを受けたいという文部科学省以外のところが随分おいでになってきておられます。ネットワークは、既に経済産業省あるいは厚生労働省やいろいろなところから御利用になっているわけですけれども、現行のやり方ですと、文部科学省の研究振興局内にあるということもございまして、ほかにサービスを売るというようなことがややもどかしい状況もございます。繰り返しになりますが、制度改革も含めながら、国家レベルのポートフォリオとしてどうするのかというところも御検討いただければなと希望している次第です。
【稲永部会長】  委員より質問はありますか。では、相田委員。
【相田専門委員】  人材育成機能の強化の観点から少し御質問をさせていただきたいのですけれども、先ほどの2040年に向けたグランドデザインの中にもありましたが、これからは教学ガバナンスとか、それから大学との連携・統合に関してのそのような指摘もあるのですけれども、そういう面で、先ほど川合先生のおっしゃられた、いろいろな大学と教員を共有するという仕組みというのは非常によいと思います。
 それと、資料6の5ページ目ですけれども、全部一目で見られるようになる資料を見ていますと、総研大との関係が、研究所によって、非常によく、協力体制は十分に整えられていると書いてあるところもあれば、非常に問題点を指摘しているところもあるわけです。そもそも、前々回だったか、総研大からの御説明を受けたときも、教学マネジメントという観点から言うと、本当に成り立っているのかどうか、少し心配な感じがしたのですけれども、今回のこのアンケートの結果を見ても何となく、これだけばらばらの答えが出ているということは、何か補足するようなことはあるのでしょうか。この行間を読むのが結構困難なアンケート結果なのですけれども。
【稲永部会長】  どうぞ。
【分子科学研究所(川合)】  恐らく、皆さんの頭の中には、今の総研大のシステムがなくなって、何もなくなってしまうという前提で書いていらっしゃる方と、私どものように、今の総研大のシステム以外に補完するものを考えて、それで立ち直れるかと考えているところで、書き方が大分違っているのではないかと想像しています。
 私は、大学がこれだけ改革していくときに、少し方針を考えなければいけないという立場に立っておりまして、横串を刺している分野を牽引(けんいん)する共同利用の研究所としては、一つの大学と結び付くのでは附置研究所と同じになってしまうので、そうではなく、いろいろな大学にいろいろな教員が入り込んで、そしてそのディマンドをきちんと考えながら動かしていくという新しい方式をもし考えられるのであれば、教育という観点ではもっとオールジャパンに展開できるチャンスかなと思って、前向きな言葉を出させていただいています。
【稲永部会長】  よろしいですか。では、どうぞ。
【国立遺伝学研究所(桂)】  総研大は、専攻によっていろいろとばらばらな点があるのですけれども、今回、高等教育局の説明を受けたようなことを先取りしている種というのは少しあります。設立のときから複数指導教員制というのをやっていて、学修者本位の指導ということを考えています。例えば、我々の遺伝学専攻は、学生がやってくると、主任指導教員以外に、この人の助言を受けたいという人を4人指名して、チームで1人の学生を指導し、学生は年1回、ポスター発表をします。そこには研究所の中にいる教員だけではなく、ポストドクターやいろいろな人たちが来て助言をいたします。今までの大学にはないそういった試み等を大学に広めていくのがよいと思いますし、現在の総研大の幹部、特に学長は、そういった点を認識しているのではないかと私は理解しています。
 また、川合先生がおっしゃったように、既に大学共同利用機関の教員の多くは、いろいろな大学の非常勤講師をしております。私も教授のときは、年間多分5単位ぐらい、講義をやっていましたが、授業を与えるだけといった、先ほどの高等教育局でおっしゃったいわゆる古い形態です。それを学生主体の方にどう転換していくかというのはなかなか難しいことで、遺伝研のことばかり言って申し訳ないですが、我々は、どこの大学でも英語で科学の論理を教えることはやっていないということで、教科書を作ってしまいました。現在、当機関のURAが駆け回って、いろいろな大学にそれの宣伝をしに行っております。そういったな、先ほどの高等教育局のおっしゃったことを先取りしているような種が総研大の中にあるため、学長と相談してそれを広めていくということは可能ではないかと思っています。
【稲永部会長】  では、お願いします。
【国立歴史民俗博物館(久留島)】  先ほど実は少し申し上げたのですけれども、アンケートの方には「十分にやっている」と書いて、今のままでいいかのように読めるのですが、実は先ほど申し上げたように、人文系で言うと、もう大学院のマスター課程がかなり厳しくなっております。要するに教員の数が減っているということと、それから進学する学生も実際に減っていまして、それは結局、ドクターに行く学生が減っているということだと思うのです。ここで言っているように、本当に高等教育を変えるのであれば、マスター課程のところを人文系の場合はもう少し充実させなければいけないと思っています。私たちのところはドクター課程しかおりませんが、もうドクターに来る学生というのは数名、しかも定員割れをするぐらいしか来なくなっており、レベルも少し落ちております。それを、もしたくさんの教員が教えるということになると、結局、実は逆転現象が起こって、本当によい教育にはならなくなってしまうと私は思います。ですから、本当に必要な教育を個人にきちんと個人の資質や希望に応じてするような体制を作るためには、実はマスターぐらいの課程から見直さないといけない。そういう意味では、この2040年の高等教育のグランドデザインに期待するところもあるのですけれども、総研大はそういう意味で、そういうものに柔軟に対応しなければいけないということを実は学長には申し上げてきましたし、ダブルディグリーとかデュアルディグリーというのも当然のことで、単位の互換とか、授業を教えに行くのではもう駄目だということは、もうはっきりしているわけです。だから、総研大がもし可能であれば、そういうものを総合化するような改革ができればいいと私も思っています。
【稲永部会長】  ほかの機関からございますか、樋口所長。
【統計数理研究所(樋口)】  総研大の関係で、我々はベースとしては、総研大の中で個人教育をやっていくことはうまくいっていると思っておりますが、その中で本研究所が特徴的であることとしまして、博士課程の後期課程ですが、8割が社会人となっております。それが、本研究所は、リカレント教育等々は国全体としても重要だと言われていますけれども、その先取り的にいろいろうまくやっている先例ではないかと思います。
【稲永部会長】  ありがとうございました。では、小林委員。
【小林臨時委員】 人材育成から元に戻って恐縮なのですが、前回のヒアリングあるいは今回のヒアリングで、人間文化研究機構の方々が、大学共同利用機関法人の見直しというのが、何か自分たちがのみ込まれてしまうというか、あるいは前回のヒアリングでは、自分の機関が潰されるのではないかという不安をおっしゃった方がいらっしゃいましたけれども、そういうことを考えているのではないと思うのです。それぞれの機関でどういうことを研究されるかというのはそれぞれの機関がお決めになることで、そこの話ではなくて、それぞれの4大学共同利用機関法人には、それぞれ長所・短所があると思います。人間文化研究機構であれば男女共同参画というのは明らかに進んでいるところはあると思いますし、自然科学研究機構やKEKであれば知財とか契約とか、あるいは産学連携ではそれは明らかに進んでいますし、情報・システム研究機構であれば情報セキュリティが進んでいるし、そういうところが本来であれば、見直しをするまでもなく、機構長協議でお互いにシェアし合うべきところだったと思うのですが、少しそこが必ずしも進んでいない部分があるのではないでしょうか。
 それから、川合先生がアンケートの「その他」で書かれたことは、私は全面的に心の中ではとても拍手を送っているところなのですが、おっしゃるとおりで、例えば計算機の開発とか、あるいは喜連川先生がおっしゃったようなSINETというのは、本来国策でやるべき話ではないのかなと。文部科学省の中の研究費予算でやることなのか。このことによって産業界も利益を得ている部分は随分大きいと思います。そういうところと交渉していくためには、今の体制で十分な交渉力が持てるのかどうかというところが1つあるわけです。ですから、それは法人格を持つか持たないかは、それぞれもまたどうやるかということになると思いますけれども、1つの枠組みで、文部科学省として大きな交渉力を持つということも1つ検討に入れていただければと思っております。
【稲永部会長】  この部会は、共同利用・共同研究体制が日本の学術研究の発展を支えており、その中核が大学共同利用機関法人とそれが設置する大学共同利用機関法人であり、大学がカバーしていない世界レベルの研究分野、そこにおいて日本を代表する組織であるという認識を持っていると思います。今回の議論は、それらの組織に更に機能を発揮していただくためには今後の在り方をどのようにしたらよいかということで、議論しています。もし特段の御発言がなければ、本日のヒアリングは終了し、今後また意見交換を続けていければと思います。 本日頂いた御意見につきましては、事務局にて取りまとめていただき、次回以降の議論の参考にしたいと思います。最後に、今後のスケジュールについて、事務局から説明をお願いします。
【早田学術機関課課長補佐】  次回は、11月7日の10時から文部科学省内で、本日のヒアリングを踏まえた議論を引き続き進めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
【稲永部会長】  ありがとうございました。本日の会議はこれで終了とさせていただきました。どうもありがとうございました。

――了――


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