資料1 学術情報基盤作業部会(10月19日(金曜日))における審議の概要

学術情報基盤作業部会(10月19日(金曜日))における審議の概要

(千葉大学アカデミック・リンク・センターの取組を踏まえた整理)

 能動的な学修環境を効果的に整備するためには、組織的には、図書館、情報系センターと教育を担当する部局教員が協力して推進する体制が重要であり、内容面では、学習空間、コンテンツと人的サポートの有機的な連携が必要である。

 【学習空間】 開放性、透明性の高い空間とすることが重要。もともと自主的な学習スペースを必要としている学生はハイエンドの優秀な学生と想定されるが、「見る」「見られる」という空間の中で、熱心に学習している姿が一般の学生の学習意欲を刺激することによる指導・教育効果を期待。
アクティブ・ラーニング・スペースの設備としては、無線LANの整備と教育用端末を配置するとともに、図書館カウンターでは、PC、プロジェクター等を貸出し、空間の効果的な利用環境を整備。
 
 【コンテンツ】 学生のニーズに応え、電子媒体、印刷媒体でも迅速に入手できるようにすることが目標。特に、授業に対するサポート、連携強化の観点から、授業の関連資料を図書館の書架に配置するとともに、電子化を推進。
e-learning環境の整備、授業の保存、電子的教材の作成についても、共用ソフト「ムードル」の活用等により着手。オープンコースウェアによる授業公開等が増加しているが、オンライン教育の環境構築については米国の進展状況なども踏まえ今後の検討課題。
著作物の電子化に関しては、日本では著作権が出版社に譲渡されていないことが多く、図書1点であっても複数の権利者の許諾を必要とするケースがあるとともに、出版社が電子化による収入確保に対して懐疑的なこともあり、進んでいないのが現状。合理的なビジネスモデルができれば進展も期待。

 【人的サポート】 大学院生による「学習支援デスク」、図書館職員による「レファレンスデスク」、教員による「サポートデスク」をアクティブ・ラーニング・スペースに配置。昼休みには、教職員が講師となるオープンなショートセミナーを開催。
特徴としては、大学院生による学習支援は、理系は数学、物理、化学の基礎科目、文系はレポート作成が中心。教員による学習支援については、センターの兼務教員と特任教員が担当してきたが、教職の授業に関するサポートを開始するとともに、学生相談室のスタッフによる昼休み相談も実施するなど拡大。

(アクティブ・ラーニングを支える図書館人材の役割・確保)

 アクティブ・ラーニングの促進において重要な人的サポートに関わる人材については、直接学生に接する部分で学生、教員、図書館職員があるが、その役割分担として、図書館職員に対しては、これまでのサポート機能を整理、見直し、学習支援に対してよりシフトすることを求めることが適切である。
 新たな学習環境の構築を支える専門職については、各大学で設置が進みつつある中間的な専門職としてのと同様の位置づけを期待するが、プロジェクトの企画は、教員と図書館職員とが協力して行っていることから、その過程で、図書館職員の中から育つことを期待する。
 図書館職員は、電子化やネットワーク社会の進展により、役割が縮小していると捉える風潮もあったが、学習支援として図書館の役割が変化しており、そのための専門性から、教員や他の職員とも異なる職種としての人材確保が重要とすべきである。

(アクティブ・ラーニング・スペース(図書館)と教育(教員)との関係)

 アクティブ・ラーニング・スペースがもたらす教育効果、教育プログラムとの連携に関し、図書館の機能は、新しい学習環境を整え、授業を行う教員に図書館を活用する可能性を提供する役目であり、教育のデザインは、あくまでも教育担当教員からのアプローチにより行うべきものである。図書館としては、学内の教員に対して、新たな学習空間を作ったことで、授業に関するアイデアの構築を奨励・支援する。
 教員に対する啓蒙活動として、学習空間を学生に利用させるためのアサインメントの出し方や成績の一部として勘案することなど、学内のFD関係機関と協力して、教育現場でのICT技術の活用に関するFDを推進することが重要である。

(学生の動向を反映させた教育の展開)

 MITでは、学生にパソコンを安価に配布しているが、その目的は、利用状況に関するログを集め、活用することである。大規模データの分析・利活用に関しては、教育に関する部分が一番遅れている。学生の意向とコンテンツの検索、学習に関わる情報の把握及び分析が重要である。
 学生の学習到達度などを含めた情報が集まる仕掛けが構築できれば、教育の仕方や教材の内容も変化すると考えられ、新しい側面が期待できる。アカデミッククラウドやビッグデータの活用においても、教育への対応が課題になると位置づけ、検討する意義がある。

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研究振興局情報課学術基盤整備室

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