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3.科研費等競争的資金による研究成果のオープンアクセス化への対応について

a.オープンアクセス化の必要性

○ 学術研究の成果は、そもそも人類共通の知的資産として広く共有されることが望ましい。また、特に、公的助成を受けた研究成果については、広く国民に知らされ、利活用されるべきものである。そのため、ジャーナルに掲載された論文が出版者側の求める高額な購読料や著作権ポリシーにより、閲覧が難しくなる状況は望ましくないとして、利用者側が費用負担を伴わず制約なしで研究成果に接することを可能にするオープンアクセス化を進めるべきという考えが世界的な流れになっている。
 第4期科学技術基本計画においても、教育研究成果の収集、オープンアクセス化を推進すべきとされており、積極的に対応する必要がある。

b.オープンアクセス化の方法

○ 研究成果をオープンアクセス化する手法としては、大きく分けて2通りの方法がある。一つは、オープンアクセスを前提としたジャーナルに論文を発表する方法(購読誌に投稿するが、費用を支払い自らの論文のみオープンアクセス化を選択する場合を含む)であり、もう一つは、研究者が発表したジャーナルの許諾を得て、自らインターネット上で論文を公表する方法である。

(オープンアクセスジャーナルにおける公表)

  • ジャーナルは、これまで発行に要する経費を購読料で賄ってきたことから、利用者が無償で閲覧できるオープンアクセスにする場合、特段の財源がなければ、その費用負担を発表する研究者に求めることになる。そのため、研究者側に掲載費用を負担しても投稿したいという動機が必要になるとともに、ジャーナルによっては、ビジネスモデルの変更により、登載する論文の質的及び量的確保が難しくなる事態も想定されることから、我が国において、オープンアクセスジャーナルはまだ少ないのが現状である。
  • しかしながら、諸外国では、米国のPLoS One誌のように、ビジネスモデルとして成立する有力なメガジャーナルも存在することから、既に記載のとおり、科学研究費補助金研究成果公開促進費(学術定期刊行物)における助成内容を改善し、オープンアクセスジャーナルとしての評価を確立するまでのスタートアップ時期の必要経費を助成することによって、その育成を積極的に支援すべきとしたところである。
  • また、研究者側に発生する費用負担に関しては、競争的資金を受けている場合は、投稿料を当該資金から支出可能である旨を明確に示すことにより、論文のオープンアクセスジャーナルへの投稿を避けることがないように促す必要がある。なお、既に科研費を受けている研究者については、論文投稿料のような成果公開のための経費への使用が認められており、このことはハンドブック等で明記されている。

(インターネットによる公表)

  • 研究者自らがインターネットにより公表する方法については、発表したジャーナルの著作権ポリシー等に伴い、次の3つの観点による組み合わせが考えられる。

1.公表する場所

    • 研究資金を支援した資源配分機関におけるウェブサイトにおける公表
    • 研究者の所属機関におけるウェブサイトにおける公表
    • 研究者個人の設置するウェブサイトにおける公表

2.公表する時期

    • 最初に成果を発表した時点
    • 最初に成果を発表した時点から出版者側の認める一定期間を経過した時点

3.公表する文書の内容

    • ジャーナルが登載を承認し公式に発表したもの(出版版)
    • 出版版に至る前の著者最終原稿等
  • オープンアクセスを実現するための公表場所については、諸外国においても様々な取組がなされているが、我が国においては、大学等が有している教育研究成果を集積・保存・流通させる場として構築を進めている「機関リポジトリ」をオープンアクセス化の受け皿として活用することが現実的な方策と考えられる。なお、機関リポジトリを持たない企業等に所属する研究者に対しては、研究者自身による研究成果の発信を促す必要がある。
  • 研究者自身が行うセルフアーカイブにおける公表時期については、著作権を所持する出版者側が承認する時期となる。出版者側が著作権保護の観点から他での公表を認めるまでの猶予期間をエンバーゴと呼び、概ね6か月から3年程度までその期間は様々であるが、1年間としているケースが多い。エンバーゴの期間が長いことも問題であるが、著作権ポリシー自体が未定の学協会が多いため、研究成果を他の媒体で公表していいかどうかの判断ができないことが課題となっている。
  • 公表内容に関しては、出版者側は基本的にジャーナルに掲載した出版版の他への掲載は認めず、公表されるのは、著者最終原稿である場合が多い。一方、研究者の立場として、出版版以外の流通は、同じ研究成果に関して2通りの情報が存在することとなり、混乱を招く恐れがあり、好ましくないという意識もある。そのため、書誌情報の公表に留めるケースも多い。
  • 著作権を保有する学協会や出版社との交渉等により、ジャーナルの発表時期と近い時期、出版版に近い内容で公表できるように努めるとともに、研究者にはオープンアクセスへの積極的な対応を求めることが重要である。

c.その他の環境整備

○ 競争的資金を受けた研究の成果については、研究助成機関が支援と成果との関係を把握できるようにする必要があり、オープンアクセスへの対応を含め、支援した研究の成果にどのようにアクセスできるかを研究者側に報告させるべきである。
 科研費については、提出する研究成果報告書に研究成果論文が掲載されているWebアドレスを記載する項目を設けているが、その記載を強く奨励することにより、科学研究費助成事業データベース(KAKEN)とリンクした形での流通を進めるべきである。

お問合せ先

研究振興局情報課学術基盤整備室

(研究振興局情報課学術基盤整備室)

-- 登録:平成24年07月 --