参考資料 学術情報基盤作業部会(第30回)で出された主な意見

学術情報基盤作業部会(第30回)で出された主な意見

(1)大学図書館の役割、機能、位置付け

○ 最近、全ての大学図書館が研究、教育、学習を支援することについて、相当意識し始めたのではないか。学術情報の発信について、機関リポジトリにより学術情報をつくることにも深くコミットするようになってきており、社会、地域連携にもいろいろな形態がでてきている。

○ 大学図書館に関する学内での位置付け、財政的な問題、狭隘化している施設の整備などが共通の課題として挙げられる。

○ 大学図書館の基本的な役割として、1.教職員・学生のための学術情報の収集・整理、保管、2.教育支援としての情報リテラシーのアドバンストな指導、3.研究支援としての文献検索支援、文献提供、雑誌編集委員会への参画、研究実績管理、4.業務支援としての知的財産関連の情報提供、5.医療関連では、可能になれば非常に有用と思われる診療に関する情報提供が考えられる。

○ 情報検索のスキルアップとともに、アドバンストな情報検索ガイダンスの充実が重要になってくるため、今後の大学図書館の存在意義は重要性を増してくるのではないか。

○ 今後、教職員や学生の知的交流活動の活性化への支援が、大学図書館として重要になってくるのではないか。

○ 公共図書館に関しては、司書が市民に対してどのような蔵書を構築するかという考え方である一方、大学図書館に関しては、教員、学生から情報を得て、それを基に選書するという考え方であり、その違いを明確化していく必要がある。

(2)大学図書館職員の育成・確保

○ 大学図書館職員に求められる資質も変化してきた。サブジェクトに関する知識を有する者の配置も含めて、各々の大学で考えなければならない時期なのではないか。

○ 専門性を有する職員の育成について、大学間で交流しないと一大学内で育成することは難しい。また、大学全体のバランスを考えると、特定分野の専門性のみを有する職員の配置は難しい実態がある。

○ 大学図書館職員は、教員とのコミュニケーションを密にすることによってレベルアップを図ることが重要である。研究経験を有する人材、大学の有する研究分野の専門知識を有する人材(修士、博士の学位を有する人材)も必要とされる。

○ IT技術の進歩によって学術情報量が急速に増加しており、大学図書館運営に携わる職員や、管理職については、人文科学、社会科学、自然科学、図書館情報学にわたるバランスのとれた人材の登用が、今後は重要になるのではないか。

○ 大学図書館職員に医学系の人材を得ることは不可能であるが、司書資格を有していなくても、自然科学系の大学あるいは大学院を卒業した者など、自然科学系のバックグラウンドによって医学には対応可能ではないか。

○ 大学図書館職員の専門性については、専門知識と専門分野の教員とのコミュニケーション以外に、特定の分野に対して実感、シンパシーを持つことも非常に重要なのではないか。

(外部委託)

○ 常勤職員、非常勤職員、外部委託など、多様な雇用形態の中で、全体として多様化した、高度なサービスをどのように提供していくか、人材の研修や育成を含めて考えていかなければならない。

○ ルーチン業務であるから外部委託できるというものではない。大学図書館職員は、例えば目録でも、専門性を発揮して、仕事の質を維持して高めている。そのようなマインドが教育支援や、機関リポジトリの構築などにも生かされてきている。

○ ルーチン業務であっても、大学図書館職員が完全に携わらなくなった場合、クオリティチェックができなくなるため、破綻するおそれがある。大学図書館職員によるチェック体制を確保した上で、一部を委託業者に担わせることが考えられる。

○ 大学図書館職員の業務は、教員・学生との専門的なコミュニケーションを基盤として、研究・教育と関連性の高い業務と、裁量性の少ないルーチン業務とを明確に区分して、大学図書館としての専門的なサービスの提供内容の充実を図ることが重要ではないか。

○ 大学図書館職員は、研究、教育に必要な学術情報を駆使して教員の研究支援、学生の学習支援を担う人材を専門家として、キャリアパスも含めて大切に配置していく必要がある。それに対して、ルーチンワークとして資料管理や閲覧業務を担う人材は、場合によっては業務委託も可能ではないか。

○ 専門業務としては、1.図書委員会運営、図書希望調査、選書、書誌管理という資料整備、2.研究業務に直結するレファレンス・ガイダンス業務、3.大学の研究成果の管理・発信としての機関リポジトリ、4.学生・教員との専門的なコミュニケーションを図る場を提供するホームページの内容管理、5.学生・教員の間(研究者間)の学問的交流の場を図書館として提供するラーニングスタジオ、ラーニングコモンズの管理などが挙げられるのではないか。

○ ルーチン業務としては、1.資料整理、閲覧関連業務としての契約、受入れ、所蔵データ・書架管理、2.カウンター業務(自動化貸出・返却装置の利用)、3.ILL業務、4.ホームページの更新業務、5.館内の整備、図書館システムの管理などが挙げられるのではないか。

(3)その他

○ より効果的な情報検索システムの実現により、書誌と雑誌記事索引のデータベースの厳格な一元的維持管理が可能になれば、利用者にとっては非常に良いことである。同時に、国立情報学研究所(NII)と国立国会図書館(NDL)とが密に連携を図り、全体をカバーするようなオーガナイズドシステムが望まれる。

お問合せ先

研究振興局情報課学術基盤整備室

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(研究振興局情報課学術基盤整備室)