研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(第47回) 議事録

1.日時

平成24年1月24日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.出席者

委員

有川主査、三宅主査代理、倉田委員、田村委員、土屋委員、中村委員、松浦委員、山口委員

文部科学省

(科学官)喜連川科学官
(学術調査官)阿部学術調査官
(事務局)吉田研究振興局長、岩本情報課長、鈴木学術基盤整備室長、その他関係官

4.議事録

【有川主査】  それでは、時間になりましたので、始めたいと思います。第47回の学術情報基盤作業部会でございます。雪の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、機関リポジトリ及びオープンアクセスに関する現状と課題につきまして、3名の方々から御説明いただき、その後で意見交換をしたいと思っております。

 まず事務局より、御説明いただく方々を御紹介していただくとともに、配付資料についての確認及び傍聴登録について御報告をお願いいたします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  御報告申し上げます。

 本日の御説明者として、名古屋大学から加藤信哉附属図書館事務部長、国立情報学研究所から安達淳学術基盤推進部長、日本学術振興会から小安重夫学術システム研究センター主任研究員・慶應義塾大学医学部教授に御出席いただいております。

 また、関連機関からといたしまして、科学技術振興機構の大倉部長、日本学術振興会の小山内部長、国立国会図書館の相原課長にも、引き続き審議に御参画いただきたいと考えております。

 また、1月6日付けで事務局に異動がございまして、新しく研究振興局長として吉田大輔が着任いたしました。

【吉田研究振興局長】  吉田でございます。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  なお、前任の倉持は、国際統括官に就任しております。

 配付資料でございますが、お手元の資料の一番上の議事次第に記載しております。資料1から資料6の六種類御用意しております。不備がございましたら、事務局へお願いいたします。なお、過去の配付資料ですが、お手狭で恐縮ですが、机上のドッチファイルに整理させていただいておりますので、御参照いただければと思います。

 本日の傍聴者は17名で、事前の撮影・録音の登録はございません。

【有川主査】  ありがとうございました。

 それでは、審議に先立ちまして、吉田局長からごあいさつを頂きたいと思います。お願いいたします。

【吉田研究振興局長】  先ほど御紹介いただきましたように、この1月6日付けで研究振興局長を拝命いたしました吉田でございます。よろしくお願いいたします。

 もう11年前になりますけれども、その頃、省庁再編がございまして、研究振興局ができ、私は初代の情報課長を務めさせていただきました。そのとき以来の先生方もちらほらと拝見させていただいておりますけれども、およそ11年ぶりに再び戻って参りましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 当時は、学内LANの整備、ネットワークの高度化、あるいは大学図書館では、電子図書館化の動きなどがございました。また、SINETも、お聞きしましたらもうSINET 4という第四世代になっているようでございまして、その先駆けのようなことで仕事をさせていただいた覚えがございます。

 その後、まさに目覚ましい進歩と発展が、この分野では進んでいるわけでございます。ただ、今日これから御議論いただきます学術情報の流通・発信ということは、当時から種々問題になっておりましたけれども、なかなかこれといった決定的な方策もなく、いろいろと悩んでおった記憶がございます。今回、また改めてその御議論を頂くということでございますので、先生方にはどうぞよろしくお願いいたしたいと思います。

 以上でございます。

【有川主査】  よろしくお願いいたします。

 それでは、本日は科研費の改善についてと、先ほど御紹介いただきました、オープンアクセス及び機関リポジトリについてプレゼンしていただき、議論するという予定になっております。

 まず、資料1として配付している件でございますが、「日本の学術情報発信機能を強化するための科学研究費助成事業(科学研究費補助金(研究成果公開促進費))の活用等について」は、前回、12月6日の本作業部会における御意見等を踏まえて整理させていただいた後で、各先生方のお手元にも事務局から送付いたしまして、御確認を頂いているものです。

 これにつきましては、本作業部会で完結しているものではもちろんなく、1月26日に開催される研究費部会に報告をさせていただくわけでございます。事務局の方から報告を行う予定にしております。折しも、今朝、別な会議の後で研究費部会長にもお会いいたしましたので、よろしくお願いしたい旨をお伝えしております。

 それから、資料2は、事務局において新たに整理していただきました概要です。特に何かございましたら御発言を頂きたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

 それでは、機関リポジトリ及びオープンアクセスに関する現状と課題について、先ほど御紹介いただきました3名の方々から御説明いただきたいと思います。意見交換につきましては、全ての説明が終わった後にまとめて行いたいと思います。

 まず、大学の機関リポジトリ等の現状と課題につきまして、名古屋大学の加藤部長から御説明をお願いいたします。

【加藤部長】  ただ今御紹介にあずかりました、名古屋大学附属図書館事務部長の加藤でございます。

 御報告いたしますのは、機関リポジトリについてです。全部を四つほどの部分に分け、御説明したいと考えております。最初に、世界の機関リポジトリ、二番目に、日本の機関リポジトリ、三番目に、私ども名古屋大学の機関リポジトリ、そして最後に、現状と課題ということで、簡単にまとめたいと思っております。資料は24ページございます。

 まず、世界の機関リポジトリでございますが、それに先立ち、機関リポジトリの定義と役割について御説明いたします。2010年に本作業部会でおまとめいただきました「大学図書館の整備について」の中で、機関リポジトリにつきましては「機関所属者の研究成果である論文等、大学及び研究機関等において生産された電子的な知的生産物を保存し、原則的に無償で発信するためのインターネット上の書庫」という定義がなされております。

 また、その役割については「研究者自らが論文等を掲載していくことによる学術情報流通の変革と同時に大学等における教育研究成果の発信、それぞれの機関や個々の研究者の自己アピール、社会に対する教育研究活動に関する説明責任の保証、知的生産物の長期保存の上で、大きな役割を果たす」ものであるとまとめられております。

 それでは、実際、今、世界中にどれくらいの機関リポジトリがあるのかということですが、資料の4ページ目を御覧いただきたいと思います。何種類かこの種のリポジトリのデータベースといいますか、要覧のようなものがございまして、OpenDOARという要覧の2012年1月15日現在のデータを見ますと、2,149のリポジトリがあると登録されております。上位から申しますと、米国411、英国203、ドイツ149、そして日本は135ということで、日本は明らかに機関リポジトリの先進国であるということになっております。

 5ページに参りまして、機関リポジトリの数の増加について、これも同じOpenDOARから引用しているものです。2012年1月15日現在で、少し図が鮮明ではなく恐縮ですが、このグラフは2005年12月辺りからの増加を示しているものであります。A、B、C、D、Eと示しておりますのは400、800、1200、1600、2000という刻みをつけております。2011年8月辺りには2,000を超える規模になっているということで、この6年間のうちに、かなり急速にリポジトリの数が増えているということが御理解いただけるのではないかと思います。

 では、そうした機関リポジトリにどのようなコンテンツ、中身が入っているかということについて、同様にOpenDOARのデータをとったものが6ページです。これは収録対象です。全世界のリポジトリにコンテンツが例えば100万件あって、そのうち何割がどういったコンテンツかというものではなくて、例えば一番目、ジャーナルアーティクル、雑誌論文については、先ほどの2,000を超えるリポジトリの中で1,426の機関リポジトリがそれを収録の対象にしている、というように御覧いただきたいと思います。

 上位を申しますと、雑誌論文、学位論文、未刊行の報告書及びワーキングペーパー、図書・図書の一部分、会議資料、これらが上位の五つを示しております。ちなみに雑誌論文は1,426の機関リポジトリ、学位論文については1,124のリポジトリが収録の対象にしているとなっております。

 資料7ページですが、これはオープンアクセスに関わることですけれども、セルフアーカイビング、著作者のウェブサイト又は機関リポジトリなどで、各出版社に投稿した論文の査読前あるいは査読後の投稿を認めている、出版社のリストです。これも2012年1月15日付のもので、1,057の出版社のうち、その65%に当たる出版社が、査読前及び査読後の論文をアーカイブしてよい、ということを認めているものとなっています。600を超える出版社が認めているということになっております。

 今まで御説明いたしましたのが、世界の機関リポジトリを数値的に、国別の割合、増加、収録しているコンテンツの種類、セルフアーカイビングという観点でまとめたものでございます。

 次に、日本の機関リポジトリに移らせていただきます。まず日本の機関リポジトリの数ですが、2012年1月15日現在で154となっております。これは国立情報学研究所の、学術機関リポジトリ構築連携支援事業のウェブサイトから採ってきたものでございます。内訳は国立大学が79と、51%を超えております。あとは、公立大学が12、私立大学が47といった状況です。

 10ページは、機関リポジトリの公開機関の推移を2006年度から見たものでございます。2006年度には57機関であったものが、2010年度末には211、昨年の12月には223ということで、これも非常な勢いで増加しているということがうかがえるかと思います。

 11ページに参りまして、それでは、こうした200を超える日本の機関リポジトリの中身、コンテンツの割合が一体どのようになっているのかということを、国立情報学研究所のIRDBコンテンツ分析システムで見たものです。91万7,837件のコンテンツが収録されており、15%というのはこれは学術雑誌論文で、約14万件です。その次の学位論文が3万5,000件で4%。52%を占めるものは紀要に掲載された論文で、約47万件です。日本の機関リポジトリにおいては、紀要論文、それから、学術雑誌論文の占める割合が多くなっております。それ以外では、一般雑誌記事が3万8,000件、研究報告書2万件弱といったものが占めております。

 12ページですが、これが正しいランキングかどうかは別にして、私の知る限り、世界中の機関リポジトリを対象にしてランキングをしているものと申しますのが、スペイン高等科学研究院のもの、これも1年に二回しか出しておりませんが、そちらから日本の機関リポジトリのランキングを採ってきたものです。

 スペイン高等科学研究院で取り上げている機関リポジトリの数は1,154で、そのうち上位五十番目までに入っているものから、日本の機関リポジトリを抜き出しました。図らずも10位、十番目までのものになっております。こうしたランキングと申しますのは、なかなか基準が明確ではございませんが、このような形で京都大学、北海道大学、岡山大学など、それから、JAMSTECとございますのは、これは独立行政法人海洋研究開発機構のリポジトリです。登録件数も記載しておりますが、必ずしも登録件数が多ければランキングが高いというわけでもないということで、資料として挙げさせていただきました。

 先ほど、世界中の出版社を対象にした、セルフアーカイビングを許可している出版社のリストをお示しいたしましたが、日本の学協会が、著作者のウェブサイトあるいは機関リポジトリ等で、査読前、査読後の論文の掲載を認めているかどうかということを、SCPJという筑波大学で運用しているデータベースから採ったものです。査読前、査読後、どちらでも読めるものが4.4%、査読後論文のみが読めるものが23.5%ということで、約28%のものがいわゆるグリーンとブルーとなっております。グリーン、ブルー、イエローなど、色の名前が付いておりますが、先ほどのRoMEOというデータベースと同じで、世界的にこういった色でアーカイビングのレベルを示すということをしております。

 続いて、名古屋大学の機関リポジトリについて御説明いたします。資料の15ページからです。私どもの機関リポジトリは、名古屋大学学術機関リポジトリ、NAGOYA Repositoryと申します。ソフトウエアはMITで開発された、日本でも一番よく使われるDSpaceというもので、2006年2月に一般公開いたしました。日本で七番目で、国立情報学研究所の事業で公開ができたものです。

 2012年1月15日現在で、1万2,727件のコンテンツがございまして、年におよそ1,600件ほどのコンテンツが増加しております。コンテンツの月間のダウンロード件数は4万4,100件です。これは2011年の月別の平均です。言及しておりませんが、ほとんど日本の機関からのものです。87%が日本からで、中国が3%、米国が1%というような数字になっております。

 もう少し統計を細かく見るということで、登録のアイテム、コンテンツの種別が16ページでございます。学術雑誌掲載論文が約22%、学位論文が10.5%、紀要論文が59.6%となっておりまして、先ほど、IRDBデータベースで日本の機関リポジトリのコンテンツの内容別の割合をお示しいたしましたが、それほどかけ離れておりません。

 また、登録件数と月別ダウンロード件数を、2010年4月から2011年12月まで2年間ほど示しております。コンテンツは順調に伸びておりますが、破線のダウンロード件数がかなり大きな段階がございますのは、ダウンロードの取り方、カウントの基準、またロボットなどもございますので、それを排除して整合性をとったということで、このような形となっております。

 なお、ここでは特に数値としては示しておりませんが、アイテム別のダウンロード件数を見ますと、学位論文はコンテンツの登録では10%ですが、ダウンロードでは25%ということで、学位論文の需要がかなり高いということがうかがわれております。

 次に、名古屋大学の機関リポジトリの取組の特徴ということで、17ページに幾つか記載しております。まず博士論文の電子的公開の実施です。よくコンテンツの義務化というような言葉も使われますが、執筆者の許諾が得られたものについては掲載するということで、それを平成22年度から始めております。若干データが古いのですが、平成22年度の論文は約40%のものがこの制度により、教育研究評議会で認められ、搭載することが可能になっております。

 また、研究開発も行っておりますし、とりわけ研究者の協力が得られませんとなかなかコンテンツが増えないということで、130名の教員の協力を得まして、研究者協力コミュニティを平成16年度から設けております。研究者コミュニティの方からは、コンテンツの提供を頂くとともに、メールマガジン等で利用統計をお送りするというようなことを行っております。

 あるいは、可視性の向上ということで、博士論文については、米国のNetworked Digital Library of Theses and Dissertationsという国際的な電子学位論文のデータベースがございますが、ここから検索できるような試みを行っております。その他については、大方の機関リポジトリでも取り組まれていることだと思われます。

 課題でございますが、コンテンツの収集については、なかなか学術雑誌掲載論文、紀要論文、博士論文も、生産されているアウトプットに比べて、捕捉率は高くございません。広報やアドボカシーも十分ではないと考えております。

 また、研究者コミュニティですが、実際のやりとりは電子的な手段で、皆さんにお集まりいただいて意見交換をするということでもございませんので、この辺りをどのように活性化するかということがあります。

 それから、オープンジャーナルシステムとSWORDというものを使い、オープンアクセスジャーナルを刊行するとともに、インプリントバージョン、いわゆる版下のレベルの論文をリポジトリに入れるというような実験も行っておりますが、例えばこれを研究紀要等の出版に活用するということなども課題となっております。

 資料19ページですが、学術論文について名古屋大学の状況を少し見ますと、Web of Scienceの約13年分のデータでは、年間3,000件ほどの論文のアウトプットがございます。このうち、助成金を受けている名古屋大学の研究成果を、同じWeb of Scienceで調べてみたのですが、48.3%くらいにいろいろな研究助成を頂いています。ただし、一つの研究論文に対して複数の助成もありますので、実際にどれくらいの数、平均して何件かということは分かっておりません。

 また、大手商業学術出版社であるエルゼビアのScienceDirectの、これも2000年以降の論文の掲載件数を見ますと、年間およそ1,100件です。さらに、国立情報学研究所のCiNii Articleの収録件数も調べますと、年間2,163件でした。このように、5,000件以上の学術論文がありますが、残念ながら捕捉率は一割に届くか届かないか、ということかと思います。なお、CiNii Articleで本文のあるものが60%ということで、かなりオープンアクセスの割合は高いと思っております。

 課題と今後の対応ですが、資料22ページにありますように、昨年閣議決定された科学技術基本計画でも「機関リポジトリの構築の推進によって、教育研究成果の電子化による収集と保存、オープンアクセスの推進」がうたわれております。

 具体的な課題と今後の対応ですが、22ページに素描と書かせていただきましたのは、ランダムにレベルも違いますので、そういうことにいたしました。オープンアクセスについては、収録コンテンツの網羅性を上げるということで、一つの方式として、コンテンツの登録の義務化などの促進が考えられます。

 パブリックアクセスと分けて記載させていただきましたのは、オープンアクセスがいわゆる研究コミュニティの自発的な意志の下に行われるものに対して、パブリックアクセスは公的助成を受けたものであるということで、こういったものは共用のリポジトリへの登録が考えられるのではないかと思います。

 eサイエンスや、プラットフォーム、研究論文等の研究成果について申しますと、大学の研究成果を把握する大学情報データベースとそのリポジトリの結びつきの見直しが必要ではないかということ、また、紀要論文、図書についても、このような形での対応が可能ではないかということで、素描ということで記載させていただきました。

 最後に、名古屋大学の場合は、図書館で名古屋リポジトリの運営をしておりますが、今までの大学図書館の業務が変わっていくだろうと、ボーンマス大学のデイビット・ボールという方が言っております。図書館は、今まで他の大学の研究成果を集めてきて配布してきましたが、逆に、所属する大学の学者の研究成果を集めて、広い学術コミュニティで使えるようにするというようなことが言われております。私どもとしても、大学の中で、機関リポジトリでより大学の研究教育を活性化するために、先ほど述べましたような課題を解決していきたいと考えております。

 以上、御報告いたします。ありがとうございました。

【有川主査】  ありがとうございました。世界の状況、日本の状況、それから名古屋大学の状況について御説明いただきました。

 松浦委員から補足はございますか。

【松浦委員】  討論のところでと思います。

【有川主査】  それでは、全体の討論は最後にいたしますが、今の加藤部長のプレゼンに対して、直接的な御質問等ございましたらお願いいたします。

 よろしいでしょうか。

 それでは、後ほど一緒に議論していただくことにいたしましょう。

 続いて、機関リポジトリ構築の促進方策及び国際連携の取組と課題につきまして、国立情報学研究所の安達部長から御説明をお願いいたします。

【安達部長】  ただ今御紹介にあずかりました、国立情報学研究所の安達でございます。どうぞよろしくお願いします。本日は、私どもの活動について御紹介する機会を頂きまして、誠にありがとうございます。

 オープンアクセスと機関リポジトリということでお話しいたしますが、機関リポジトリに関することについては、先ほどの加藤部長の御説明と重なる点が多いですので、適宜省略していきたいと思います。そして、国際連携及び情報発信についてお話ししたいと思います。

 資料2ページの機関リポジトリの数の国際比較は、先ほどの加藤部長の資料の10ページと同じものです。現在、我が国の機関リポジトリは223あるのですが、大学によっては国際的に登録していないため、数が少なく150と見積もられ、世界4位になっていますが、日本は実際は、恐らく2位だと思います。コンテンツ種別は、資料3ページのように紀要が多いという構造になっております。

 捕捉率を計算してみますと、まず紀要論文については、私どもは、機関リポジトリの活動が始まる以前に、大学の紀要の電子化というプロジェクトを行った経緯がありまして、現在、そのコンテンツは全て大学の機関リポジトリにお返ししております。その結果として、機関リポジトリに全体の46.3%まで入っております。大学図書館は、紀要を中心に努力されているということであります。

 次に、学位論文ですが、これは総件数約56万件のうちの6.2%が公開されているという現状です。

 雑誌論文に関しましては、Web of Scienceを基準にとりまして、2009年で見ますと、日本全体で約7万9,000論文ほど生産しているわけですが、そのうちの3.7%がオープンアクセスという形で、機関リポジトリで公開されているのが現状であります。

 私どもは、機関リポジトリの構築支援事業を平成17年度から行って参りまして、それによって触発されて機関リポジトリを作ったという大学が、4ページのグラフの青いところであります。その上にある茶色い部分は、自主的に作ったという機関です。支援事業に関して、数の増大についてはこのような効果があったということを示しております。

 もう一つの構築支援活動として、私どもは昨年度の補正予算を頂きまして、共用リポジトリサービスを始めました。概要としましては、現在のところまだ機関リポジトリを持っていない大学、つまり、自分でコンピューターを買い、ソフトウェアのインストレーションをしてなどということがなかなか困難な大学向けに、リポジトリのシステム環境を提供しようというものです。私どもで開発して参りましたソフトウェアを搭載して、リポジトリを作るということになり、今の言葉で申せば、リポジトリのためのクラウドサービスを始めたということであります。それにより、大幅に導入の容易化を図ろうとしております。

 進捗状況に関しましては、今年度は試行サービスと銘打っております。昨年秋に説明会を開催し、多くの方に関心を持っていただけました。現在、利用申込み受け付けをしておりまして、38機関が申請しているということです。私どもと協議しながら、準備出来次第、インストレーションに入るという状況でございます。来年度から本格運用として、このようなクラウドサービスを行っていこうと考えております。

 注目したいのは、最初の取っ掛かりとしてまだ機関リポジトリを持っていない大学を対象にして始めたわけですが、説明会では、既に機関リポジトリを持っておられる機関にも関心を持っていただいております。クラウドサービスですので、要は、コスト削減等、今後のことを考えると、いろいろな使い方が考えられると期待してのことだと思います。

 私どもは、構築を進めるに関して、資料6ページのような見積りをしております。博士課程を持つ大学は、全国に約400ございます。そうしますと、例えば機関リポジトリを通して博士論文をオープンアクセスにしてほしい大学のうち、約200機関はもう既にリポジトリを構築しているということになります。残り200ほどを対象にして、共用リポジトリをうまく活用し、平成27年度末までの4年間で機関リポジトリの構築を目指して頑張って行きたいと考えております。

 機関リポジトリ全体の展開に関する課題としましては、コンテンツの体系的収集が挙げられます。コンテンツの収集として、機関リポジトリは大きく二つの役割を担っております。一つは、大学が生産する情報の発信です。これは博士論文が典型的なものであります。二つ目は、Web of Scienceに載っているような学術論文を、世界に対してセルフアーカイビングで公開していくということであります。このうち、どこに重点を置いて大学全体として頑張っていくのかという収集方針、そして保存、更に先ほどの二つの課題についてのオープンアクセス推進のポリシーも絡んで参りますが、そのような課題が一つございます。

 次に、各機関での課題があります。私どもは、機関リポジトリの支援事業を進める際に、大学としてきちっとした実施体制をつくっていただきたい、それが大前提であるということをお願いして進めて参りました。その意味で、何の目的で大学の中でこのようなものを作って取り組んでいくのかという制度的な整備の問題や、継続的な運営資金の確保が、個々の機関での課題になってくるわけです。私どもの共用リポジトリは、クラウドサービスとして、このような活動の持続可能な運営をサポートできるのではないか、という可能性のもとに、いろいろな活動を進めているということでございます。

 その次は、コンテンツの捕捉率を上げるための方策であります。紀要論文については、半数程度、現状でも捕捉しているということでして、大学も努力しているとの証左であります。長く活動してきた経緯もありまして、これは今の形で更に進めていくということで行っていけるのではないかという見通しを持っております。

 学位論文に関しましては、国立国会図書館で過去分の電子化が進行中であります。学位規則というものもありまして、これと微調整しながら、電子的な形をどのように公開していくかという点について、コンセンサスを得ていく必要があろうと思います。

 研究者が最も努力して生産している、学術雑誌等に掲載された論文ですが、まず科研費に関しましては、平成21年度以降、研究成果報告書はPDFファイルで提出するということが義務付けられました。その記入要領としまして、報告書に記載する「主な発表論文等」という部分に「機関リポジトリで公開している場合は、論文等にアクセスするためのアドレス、URLなどを記入すること」というリコメンデーションが記述されております。現状は、このような形で進んでおります。

 先ほど、博士論文を出すのは400大学と申しましたが、科研費はもっと広くて、1,000機関以上に研究費を配分しております。これらの機関がオープンアクセスに対応していくためには、いろいろなシステム環境、運用体制の整備が必要かと思いますし、著作権処理についても十分な注意を払う必要があろうと思っております。

 資料8ページの表は、東京大学には大変申し訳ないのですが、2008年と2009年について、科研費の成果報告書に掲載された論文について、どのくらいURLなどを記入しているかという調査を行いました。2009年度で見てみますと、国全体で、成果報告書1万800件余りのうちの、9,400件余りに論文を発表したということが報告されておりまして、その総計は6万5,000論文ほどになります。このうち、東京大学に限りますと、機関リポジトリなどのURLの記入があるものがわずか420。更にそのうち、実際に本文にアクセスできるのは262となっています。私どもはKAKENというデータベースを公開しておりますが、それを使いますと、このような結果が出てきます。以上が、科研費の成果を公表していくという観点から見たときの現状でございます。

 さて、捕捉率を上げるための方策としまして、基盤的システムの整備、つまり、環境整備が必要であるということが考えられ、私どもは大学と協力しまして、そうした活動を行ってきております。最も典型的なのは、資料9ページに示しましたSCPJというプロジェクトで、先ほど加藤部長のプレゼンで、著作権のグリーンですとか、イエローという御説明がありましたが、それを主導しておりますSHERPA/RoMEOに相当する活動を、日本国内の日本語の学術雑誌について行った成果がこのデータベースです。日本の学会などが出している2,900件余りの学術雑誌の著作権ポリシーについて最新の情報を集め、オープンアクセスで公開するときに、常に参照できるように維持しているというプロジェクトであります。

 SHERPA/RoMEOは、イギリスのJISCがサポートして行っている活動でありますが、それに該当するものを、大学図書館と協力して取り組んできているわけです。このような環境整備をどのように行うかということも、機関リポジトリの安定的運用に大変重要であると思っております。

 機関リポジトリについてはこのくらいにいたしまして、次に、SPARC Japan、国際学術情報流通基盤整備事業について御紹介したいと思います。SPARCという名前は、アメリカ研究図書館協会で行っている、それに対応する活動の登録商標ですが、MOUを結んで活動していることもありまして、私どももこの名前を使っております。2003年から始めまして、日本の学会の発行する英文学術雑誌を国際展開し、強化しようというプロジェクトです。第1期、第2期では、重要な雑誌45誌を選び、電子化の支援を中心に行って参りました。第1期、第2期でおおむねこのめどがついたと判断し、このような活動から、セミナーや合同プロモーションのような活動に力点を移して現在に至っております。

 これまでの成果といたしましては、国際的に戦っている日本の学会が出す英文雑誌の電子ジャーナル化について協力して参りまして、これについては一定の成果を得たと思います。この過程では、電子投稿査読システムの導入支援、電子ジャーナルのパッケージ形成支援など、既にパッケージとしてビジネス展開しているものもございます。例えば数学系では、後ほど出て参りますコーネル大学やデューク大学と一緒に、Euclidというプラットフォームを展開しておりまして、この3月にも日本数学会にて、日本の優れた数学雑誌を更にプロモートしようという活動を行うことになっております。また、外国へ向けての宣伝活動なども行って参りました。

 今後の展開としましては、第3期の方針として、我が国の特色に合ったオープンアクセスの推進に注力したいとして、どちらかといいますと大学図書館の側に軸足を移して、学会出版を見るという活動にしております。具体的には、オープンアクセス推進のための機関リポジトリ事業との連携強化などを行って参りました。もう一つの側面は、大学図書館との協力による国際連携活動を進めてきたということで、これらに関係した様々なアドボカシー活動を継続しているところでございます。

 国際連携の具体的な活動を御紹介します。第一番目は、SCOAP3です。これはCERNが主導する、高エネルギー物理学関係のオープンアクセスジャーナルを目指す活動です。世界各国のいろいろな機関が集まってコンソーシアムを形成し、国単位で一元的に費用を負担することによって、一挙にオープンアクセスに持っていこうという活動です。機関が支払っている購読料を、出版料にリダイレクトするという考え方を採っておりまして、必要経費は約1,000万ユーロ、これを世界から集めるというものです。各国に求める財政支援は、対象雑誌の掲載論文数から求めるという形です。

 私どもは国公私大学図書館及び高エネルギー加速器研究機構と協力しまして、昨年8月31日付でこの三者の署名による関心表明、Expression of InterestをCERNに送り、日本としてもこれに対応するということで現在活動しております。具体的には、日本は世界で7.8%のシェアを持ち、ユーロ安が続くことが期待されますが、78万1,000ユーロの金額を拠出することが求められています。現時点の報告では、来年の1月1日をもってオープンアクセスに切り替えることを目指して、今年中にオープンアクセスに向けての契約を各出版社と取り交わすよう、現在CERNを中心に進んでいるところです。

 二つ目は、arXiv.orgです。これは非常に有名な、物理を中心とするプレプリントサーバで、1991年、最初はローレンスリバモアでポール・ギンスバーグが始めたもので、現在はコーネル大学図書館が運営しております。約73万件の物理、数学、コンピューターサイエンス関係のプレプリントを登録しているサーバであります。

 コーネル大学がこれをずっと運用してきたのですが、最近財政が厳しくなり、年間50から60万ドル要するというその経費について、大口利用の機関に支援を求めて参りました。私どもNIIは、SPARC Japanの活動の中でコーネル大学とは大変いろいろな形で協力してきたこともありまして、日本の窓口として、国内関連大学と調整して参りました。2011年は日本から10機関が支援して、総額3万6,000ドルほど支援しております。現在、2013年度以降のビジネスモデルについて検討する段階で、国際的に集まる機会を持ち、今後どうするかという議論をしようとしているところです。

 三つ目の課題は、学術情報発信流通の促進に向けた取り組みです。JUSTICE、大学図書館コンソーシアム連合ができまして、これと連携し、電子ジャーナルの確保と恒久的なアクセスの体制の整備を私どもも協力して行ってきております。

 一つは、NII-REOの電子アーカイブの強化です。私どもは、2003年頃から安定的かつ継続的な電子ジャーナル等のリソースの提供を目的として、このREOというシステムを大学図書館と協力して運営して参りました。現在、シュプリンガーやIEEEのコンピュータソサエティーの過去分の電子ジャーナルが、このサーバにございます。それをより強化していくということが基本的な考え方で、過去分の電子ジャーナルを国内のサーバに持つことにより、電子ジャーナルの供給ができなくなった機関などに対する、一つのセーフティーネットとして機能するわけです。

 このようなことを目的に、ROEを運用してきているわけですが、これを使いまして、今回、人文社会系の電子コレクションの共同整備をJUSTICEと協力して行いました。具体的には、イギリスの議会図書館の資料や、The Making of the Modern Worldという文献のデータベースを搭載しているところです。

 次は、CLOCKSSというダークアーカイブとの連携ですが、これはスタンフォード大学が中心として行っている活動です。出版社が破産してしまう、雑誌が会社から会社に買われる、などのことがありますが、そのような際に、雑誌のデータを保存できなくなってしまうということが起こり得ます。このCLOCKSSは、世界の大学図書館及び学術出版社との間で、そのような事態に対処し、きちんと未来永劫情報を保存できるようにしようというプロジェクトで、技術的には分散データベースのような構成を作るものであります。

 日本のNIIにもノードがあり、そこに文献が蓄積しております。64の出版社及び138の図書館が参加し、日本からは25の大学図書館が参画しております。このようなアーカイブの運営維持を日本で取りまとめて、JUSTICEとの連携のもとに活動しております。例えば学会がなくなってしまって、過去出版してきた電子ジャーナルなどの行き場がなくなるようなことが1年に何件も起きまして、そのような雑誌をずっと保存して公開するということを、既にかなり行ってきております。日本の大学図書館は、このようなことにも参画して進めているということございます。

 以上です。どうもありがとうございました。

【有川主査】  ありがとうございました。

 ただ今の御説明に直接的な質問がありましたら、お願いします。

 一番最後のところで、日本から25図書館が参加しているということでしたが、どのような大学なのでしょうか。

【安達部長】  申し訳ございません。今、手元にそのリストはないのですが、主として、国立大学及び私立大学の大きなところと思います。

【有川主査】  何か他にございますか。

 それでは、どうもありがとうございました。また後ほど、議論させていただきたいと思います。

 三番目に、欧米の研究助成機関におけるオープンアクセスの取組の現状と課題につきまして、日本学術振興会より、学術システム研究センター主任研究員の小安先生にお願いいたします。

【小安主任研究員】  それでは、よろしくお願いいたします。

 昨年、米国とヨーロッパに、ファンディングエージェンシーの在り方というようなことについての調査に行って参りました。その過程で、このオープンアクセスに関しても先方と情報交換をする機会がありましたので、それに関して、今日は御報告させていただきます。

 なお、NIHに関しましては、倉田先生から一度この場で御紹介があったと伺っており、そこは余り深くは触れない方向で今日はお話をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 背景は、ファンディングエージェンシーとして、そこのファンドを使って研究をした方にその成果を広く公開していただきたいという観点から、米国あるいは英国などで、オープンアクセスの義務化というようなことがしきりに始まっております。では、私たちはそれに対してどのようなことができるか、というような観点から、この調査に出掛けたということが私たちの立場であります。

 実際には、NIHとNSFに参りました。NSFに関しては最後に少しだけお話しいたしますが、余り議論が進んでいないという状況でありました。NIHは、National Library of Medicineという、非常に大きなリポジトリを持っております。あと、ヨーロッパのResearch Councils UKとDeutsche Forschungsgemeinshaftで調査して参りました。

 資料の2ページは、それぞれの特徴を大まかに記載したものであります。NIHあるいはResearch Councilsと申しますのは、実際には研究も行っている機関でありまして、ファンディングエージェンシーであり、かつ、研究も行っているということで、予算規模が大分違っております。

 それから、NIHは医学に特化しておりまして、残りの分野はNSFが対応しているということが米国の特徴であります。英国、ドイツの場合には、全ての分野を対象としているという、こういった違いがありますので、これがオープンアクセスに対しても少し温度差がある原因になっているのではないか、というように私たちは考えておりました。

 実際にオープンアクセスのポリシーは、資料3ページにありますように、NIHでは、NIH Public Access Policyが2005年に出ました。それが2008年から法律により、NIHのファンドを受け取った人間は、それを発表後1年以内にオープンにしなさいというようなことが義務化されたわけです。そして、英国、またドイツにおきましても、それぞれポリシーがございます。

 対象に関しては、NIHでは、査読付き雑誌論文の最終原稿を電子版で公開しなさいとなっております。英国やドイツでは出版物、データということなのですが、著書やモノグラフに関しては、かなり消極的であるというように伺いました。

 そして、英国と米国では義務化ということで、米国、NIHのグランド、また、英国ですとResearch Councilsのみならず、ウェルカム・トラストなど、かなりのところが、今、義務化をしていると伺っております。ドイツの場合には、強く推奨しているということで、義務化ということにはなっておりません。

 当然のことながら、どの程度オープンにされているかと申しますと、やはり義務化になると増えます。米国の場合は、義務化される前は2割程度だったのですが、義務化された後は7割くらいが公開されるようになったということで、やはりこれはかなり効果があったようです。一方で英国やドイツですと、非常に少ないというのが現状です。

 義務化するかどうかというときに、やはりいろいろと皆さん苦労されているのは、それを誰がチェックするのだという話です。捕捉率ということで、随分いろいろと統計はとられていますが、一々名指しで「あなたのところは」などとするのかどうかというと、やはり非常に難しいのではないか、というようなことが言われておりました。

 それから、ここに一つ書いてありますが、学会からの抵抗というものがあります。やはりその学会のジャーナルがかなり運営に貢献している場合には、オープンアクセスは非常に大きな障害になります。例えばアメリカ化学会は、オープンアクセスは一切しないといっているようです。アメリカ化学会は、非常に有名なジャーナル「Journal of the American Chemical Society」、JACSという非常に権威のある雑誌を持っているわけですが、そこがオープンアクセスをしないわけですから、若い研究者がJACSに論文を出すと、ファンディングエージェンシーにどう説明するのだ、というような問題が実際にあるということを聞かされております。こういった問題があり得るということです。

 そして、資料4ページですが、先ほどお話が出て参りました、グリーンオープンアクセス、ゴールドオープンアクセスに関していろいろと調べてみますと、ここにあるような数字が出て参りました。米国では411、英国が203、ドイツが151という、このような数字でありました。ですから、日本の223といいますのも、これを少し超えている数字ということです。

 一方で、雑誌に関しては、これは年々数が増えておりまして、今、NIH、NLMの場合には1,300などという数字になっており、英国、それからドイツも資料のような数字が出てきております。

 状況としては、医学は非常に意識が高い。物理、工学も意識が高い。しかしながら、そうではない分野があるという、やはり分野間のばらつきが非常に大きいということを感じました。

 例えば、誰が読むかということをNational Library of Medicineの人に聞いたところ、彼らが調査できるのは、どこからアクセスしているかということのドメインを調べるわけですが、そうしますと、半分以上は公的機関や大学ではない。つまりアメリカですと、.govであれば公的機関、.eduがついていると大体大学なのですが、そうではない。私も自宅から論文アクセスしたりしますので、そういった人がいるにしても、PubMedに関しては、かなりの一般の方がアクセスして論文を読んでいるらしいと言っておりました。これは、医学の場合には、やはり患者さんにとって自分の病気に関することには非常に関心が高いですから、そうして読んでいるのではないかということを、彼らは解説をしておりました。

 一方、日本の場合も、倉田先生のお話にもあったかと思うのですが、50%くらいの人が論文を読みたいということでした。でも、ほとんどは日本語の論文であって、英語でも読みたいという返答は、確か少なかったのでないかと私は記憶しております。ですから、言語の問題というのは、最後に少しディスカッションしますが、検討するべき問題があるのではないかと感じております。

 言語の問題に関しては、基本的には限定なしですが、やはり非常に特殊な言語の場合には、それを実際に扱うことはできるものとできないものがあるということを、National Library of Medicineの担当者の方はおっしゃっていましたし、それはほとんどの場合に当てはまるようなことではないかと思います。PDFをそのまま公開するのでしたら、元々の言語で公開できますが、NLMの場合には、原稿を送れば、それを自動的に向こうのフォーマットに換えて公開するようなやり方をしておりますので、非常に特殊な文字の場合には難しいということでした。

 そして、出版社との関係ですが、これは最初は、皆さんよく御存じのように、非常に険悪な関係であったわけですけれども、オープンアクセスをしても必ずしも出版社に大きな被害はないというようなことがだんだん認識されつつあるということで、現状では、おおむねどこも良好だというような答えをしておりました。

 著作権の問題に関しても、大方は問題ないのではないかということですが、ドイツでは若干それを心配しているようなことはありました。

 それから、研究者からの反発ということですが、NIHではほとんどないと言っておりましたが、これがNSFに参りますと、NSFの場合には医学以外の分野を全て持っているのですが、分野の間で非常に意見が違って、なかなか統一した見解が出せないというようなことを言っておりました。

 一方で、NSFの方は、むしろデータの公開の方に非常に議論の力を入れているようです。先ほど、arXivのお話がありましたが、例えば物理学の加速器を使った大規模なデータというのは、全員の共有物だというような考え方で、それをいかに速やかに皆が使えるように公開するのか、というような議論をしているというようなことを聞きました。

 それから、イギリスやドイツでは、一部には、やはり先ほど少し申し上げましたけれども、学会やジャーナルを主要な運営の資金源としているような場合には、非常に抵抗があるというようなことを言っておりました。

 また、先ほど申し上げるのを忘れましたが、資料5ページの出版社との関係のところで「投稿料」となってしまっているのですが、これは「出版料」です。実際に受理されて出版するための費用です。実際には、これを著作者が負担するというモデルがほとんどのわけですけれども、それが平均1,000ドルから2,000ドルです。ところが「Nature」などの商業雑誌になりますと1万5,000ドル。半端でない料金を要求されるわけです。

 ライフ系ですと、例えばNature Publishing Group、それから、Science、Cell Pressという、非常に権威のある雑誌社があります。Cell Pressが最近、「Cell Reports」という完全なオープンアクセスの雑誌を始めたのですが、そこも掲載料は5,000ドルです。ですから、50万円くらいかかるのですね。

 余談ですが、私どもの若手が、そこに論文が通って喜んでいるのですが、一方、「先生、これだけの研究費の中から50万円支払わなければいけないんです。」と言います。科研費の基盤Cを受けて研究している人でもこんなに支払わなくてはならない、そういうことでいいのかな、ということを感じさせるような額です。オープンアクセスを全体で、どのようにサポートしていくかということに対する感覚が、それぞれの国で少しずつ違うというような印象を持ちました。

 このようなことはいろいろなところで議論されているわけですが、アメリカの場合には議会主導で、要するに、タックスペイヤーに対するリターンというような観点から、とにかく税金を使った成果は公開しなさいというような議論から始まったわけです。ヨーロッパの方では、どちらかと申しますと、図書館やファンディングエージェンシー、あるいは情報技術の専門家の集まりの中で、こうしたことが議論されているというような状況になっております。

 最後に私の感想ですが、強く感じましたのは、誰のためのオープンアクセスかということが国によって少しずつ違う、あるいは機関によって違うという点でした。アメリカの場合には、タックスペイヤーに還元するということが非常に強く言われたのですが、よく見てみますと、こうした強いポリシーで始めているところは、ほとんどが英語圏です。カナダは一部フランス語圏がありますが、英語の方が多く、要するに、彼らの場合にはオープンアクセスにすれば、即、タックスペイヤーに対してそれが還元できると考えられているわけですけれども、他の国は必ずしもそうでない。

 特に日本は、先ほど申し上げましたように、本当に皆さんが英語の論文を読むのだろうかという疑問が拭えません。それよりも、科研データベースのようなところから、本当に必要なものを探している可能性もあるのでないか、というようなことを感じました。

 ドイツの場合には、DFGの人に聞きますと、国民に関してよりも研究者の間で速やかに共有することが大事だ、というスタンスのことをおっしゃっていました。ですから、その辺りの考え方が少しずつ違うのだなという感想を持ちました。

 以上で、終わらせていただきます。ありがとうございました。

【有川主査】  小安先生、ありがとうございました。

 それでは、何かご質問がございましたらお願いします。

 倉田先生、どうぞ。

【倉田委員】  一点よろしいでしょうか。資料3ページのNIHの御説明の部分で、オープンアクセス化率が担当者の感覚等ということで、義務化前は約19%、義務化後は約73%ということでしたが、この値はどこからのものなのかということを教えていただけますでしょうか。

【小安主任研究員】  これは実際に説明をしてくれた担当者が出してきた数字ですので、根拠となるものが何だったかということは、申し訳ありませんが、今、ちょっと記憶しておりません。

【有川主査】  他に何かございませんか。

 NSFのこともいろいろ触れていただいていたと思いますが、この表の中にあえて入れられなかったのは、調査の仕方が違うからということでしょうか。

【小安主任研究員】  そうですね。実はNSFに行って最初にその話をしましたときに、余り議論にならなかったというところがあって、それでまとまりませんでした。NSFは、複数の分野ごとの集まりになっているわけですけれども、その間で余り共有されていないというような説明があって、むしろデータの公開の方に興味があるということでしたので、あえて数字その他に関しては調査するということはしなかった、ということが正直なところです。

 それから、先ほどの倉田先生の御質問に関係する資料が出て参りましたので、これを少し御覧いただければと思います。

【有川主査】  他に何かございますか。

 三宅先生、どうぞ。

【三宅主査代理】  安達先生の御説明で、機関リポジトリとしてどれくらい収録されているかというお話がありましたが、収録されたものを誰が、どのくらい使っているかということ、また、やはり論文が増えてくると利用者も多くなっている、というようなデータもお持ちなのでしょうか。

【安達部長】  その点につきましては、そうした統計をどのようにうまく取るかというプロジェクトも行っております。先ほど、名古屋大学の統計が出て参りましたように、原文にアクセスしに行くときには、各大学の機関リポジトリにあるフルテキストを取りに行くという動きをしますので、各リポジトリシステムの統計を全て集めなければいけないということになります。そのため、正確な数値は今のところまだ集計し切っておりません。ただ、それを行おうとはしております。

【有川主査】  それでは、これまでのお三方の御説明をもとにしまして、これから意見交換を行いたいと思います。

 中村先生、どうぞ。

【中村委員】  オープンアクセスの小安先生のお話に質問です。最後に御感想を述べられましたけれども、なぜオープンアクセスということはあるのですか。それぞれのこの三か国で、オープンアクセスの際にはお金を支払うわけですね。多くの場合、著者が支払うのですけれども、どんな国で出版した、どういう出版社や、どの学会でも区別なく支払うことになっていますか。つまり、アメリカの予算だから、イギリスの出版社の方に支払ってはいけないというような、そういうような規則はないものですか。

【小安主任研究員】  それはなかったと思います。むしろNIHの場合には、National Library of Medicineの予算を相当使って、実際自分たちの方でリポジトリをしているというような感覚の方が強かったです。NIHの予算で掲載料を払うときに何か制限があるかといいましたら、それはないということだったと思います。

【中村委員】  今、なぜお話ししたかと申しますと、この作業部会では、日本の学術出版をいかに強くするかや、日本の研究をいかに強くするかという議論を行っているわけなのですよね。そうした点で、日本の雑誌というのは、収入がないために元々余り強くありませんので、実はオープンアクセスにしても余り困らないような感じもします。失うものが余りありませんから。でも、かと申して、ビジネスモデルが成り立たないとやっていけないというような論点もありますので、それで御質問したものです。

【有川主査】  他に何かございますか。

 山口先生、どうぞ。

【山口委員】  大変興味深い、国際比較に関する情報をありがとうございました。米国のNIHと、英国の研究機関のどちらもオープンアクセスを義務化しているにも関わらず、オープンアクセス率にかなり差異があるという点に興味を持ちました。米国の場合は、やはり研究成果を、説明責任として国民に伝えるという意識が強かったということをおっしゃっておられました。

 安達先生の御説明の中で、コーネル大学が中心となって運営しているarXiv.orgのリポジトリについてございました。ダウンロードの実績に応じた機関ごとの支援に加え、コーネル大学が運用の費用負担をしているということですが、これは大学が費用を負担してまで真剣に取り組むという、大きなモチベーションがあるのでしょうか。また、その何らかの長所が、米国がオープンアクセス化することの義務感とつながっているのかを、お聞かせいただきたいと思います。

 その理由は、大学の中ではリポジトリの運用の費用を学内予算で確保することすら難しい現状があるため、その意識の違いについて御意見をお聞かせいただけますでしょうか。

【有川主査】  安達先生、お願いします。

【安達部長】  今のarXivの件についてでしょうか。

【有川主査】  はい、arXivについて御説明いただけますか。

【安達部長】  このシステムは「アーカイブ」と読みまして、いわゆる普通名詞の電子アーカイブなどと混同しがちで、厄介です。arXivは物理学者に知らない人がいないというプレプリントサーバで、非常にたくさん使われています。どの物理学者に聞きましても、これがないと、もう研究を行っていけないという言い方をされます。

 一番古いプレプリントサーバでして、1991年、ローレンスリバモアで始め出したのですが、コーネル大学図書館がそれを引き受けたのには、いきさつがあると思います。私が状況を観察して得た推測を御紹介します。米国の大学の図書館は、厳しい財政状況の下に、いろいろな財団に財政支援を求めて参りました。例えばそれは、3年のプロジェクトで認められるなどのことになりますが、電子化の流れが進む中で、このようなプロジェクトで大学図書館がいろいろな電子化の取組も行って参りました。

 コーネル大学は、元々大学としてこのような取組に非常に熱心な大学であるとも言えますし、コーネル大学図書館では、大学からの学内助成と外部の財団からのプロジェクト経費のようなものを合わせて、プロジェクトとしてarXivを運営していくという企画を行ったのではないかと思います。その経費の中で人も雇用し、活動の幅を広げててきたわけです。スタンフォード大学図書館も大なり小なり似たような活動をしながら、経費を集めているようです。

 現在も財団からお金を受けているのですが、それが社会的な情勢変化の下で厳しくなってきたようで、一昨年からこのような形で、利用度のトップ200の大学、ちなみに東京大学は二番か三番目のユーザーですが、そういったところに支援を求めてきたわけです。一大学2,000ドルから3,000ドルくらいの金額を拠出するもので、これについては、いわゆる研究大学としてどのように国際的に貢献するか、という観点から判断していると言えます。しかし、実際にはこのようなプロジェクトの運営はかなり綱渡りのようで、米国内にあるいろいろな研究助成財団からのお金も得ながら進めているということであります。

【有川主査】  よろしいでしょうか。これは全体的には負担としてはそれほど高くない、研究者からの要望は極めて高いという、そういったものかと思います。

 松浦先生、どうぞ。

【松浦委員】  小安先生に二つ御質問があります。一つは、NIHはいわゆる最終電子版をオープンアクセスすることを義務化した段階で、73%が遵守されているという実感を持っている。ところが、イギリス、ドイツはそうではないというお話でした。73%と申しますのは、非常に高い遵守率です。それには、ただルールを作っただけではなくて、きちんと実行できるような仕組みが入っているはずです。イギリスの方は、できない理由を挙げてきています。するとアメリカは、イギリスが示しているできない理由を全て克服したと考えておけばよろしいでしょうか。それが第一点です。

 それからもう一点は、誰のためのオープンアクセスかというお話の中で、機関リポジトリは大きな役割を果たしているとお話になったわけですが、この過程で、大学やその他の機関が一体何のためにリポジトリをしようとしているのか、ということについてお聞き及びでしたら情報をいただければと思います。

【小安主任研究員】  申し訳ありません。後ろの御質問の、誰がと申しますのは、大学の機関でしょうか。

【松浦委員】  大学などのリポジトリの運営者が、どのような目的意識で取り組んでいるのかという点について、印象を教えていただけるとありがたいです。

【小安主任研究員】  後者のことに関しましては、現地の大学にも参りましたが、オープンアクセスに関しては調査をしませんでしたので、申し訳ありません。ちょっと分かりません。

【松浦委員】  それを伺った理由を御説明しますと、私は図書館長を務めておりまして、リポジトリ管理に関わっております。その場合に、ただ情報資源を集めて入れておけば、いろいろな人が見てくれるというレベルの感覚でリポジトリを運用する場合と、何か明確な政策目的を持って運用する場合とでは、恐らく集めるものも変わってきます。そこで、外国はどのように思っているのか、という観点から御質問した次第です。

 最初の方はいかがでしょうか。

【小安主任研究員】  National Library of Medicineは、自分たちの方でかなりエネルギーを使って、原稿から論文の体裁を持った形のものをつくるというようにしました。また、その過程で大手の出版社といろいろと交渉をすることによって、最終的には1年以内に公開せよというやり方にしました。直ちにということではないので、出版社も例えば6か月や1年の差止め期間を設けることでかなり譲歩してきましたので、要するに、研究者の方も、そうした雑誌に投稿して受理されれば、いずれは公開される、あるいは、その論文の原稿をNLMに送っておけば、NLMの方で形にして、契約に従った差止め期間の後に公開されるということで、結局のところは従いやすくなったということがあると思います。

【松浦委員】  追加でよろしいでしょうか。

【有川主査】  はい。

【松浦委員】  今のお話で、契約書の中でその旨記載されてあるという言い方がされていますね。ということは、NIHがファンディングするときに、定型的な契約書が用意されているのではないかと推測します。その方が著作者にとっても便利です。でも、同じことはドイツやイギリスでもできるはずであるのに、やっていないのはなぜかということも考えてしまいます。

【小安主任研究員】  ドイツとイギリスの場合には、統計の取り方がやはりかなり違うようで、かなり感覚的なことが強いような気がいたしました。

 それから、ドイツの場合には、出版社とナショナルライセンスを結ぶやり方を行い始めているようでした。ですから、少しアプローチの仕方が違うような感じは受けました。

【松浦委員】  ドイツでは、ナショナルライセンスで動いているから、別に個別の公開については、余りこだわらなくてもよいということかも知れませんね。

【小安主任研究員】  そういうことではないかと思います。ただし、これもちょっと確認はしておりませんので、申し訳ありませんが、これ以上は分かりません。

【松浦委員】  ありがとうございました。

【有川主査】  今のところは、NIHとイギリスにおいて、法律による義務化と、そうでない義務化の違いがあらわれていると考えてもよろしいのでしょうか。

【小安主任研究員】  そうです。ただ、法律による義務化に罰則規定があったかどうか、私は調べていないものですから、それがどのくらい強かったかということに関しては分かりません。これ以上は、きちんと調べておらず、不確かなことは申し上げられませんので、そこは申し訳ありませんが、きちんとお答えできません。

【倉田委員】  今の点で、少し補足をよろしいですか。

【有川主査】  どうぞ、倉田先生。

【倉田委員】  NIHの場合には、NIH自体は、もちろん研究者からの直接のサブミッションも受け付けておりますけれども、それ以上に、PubMed Central自体がオープンアクセスジャーナルを提供するためのプラットフォームの役割も果たしていると思います。先ほど、少し小安先生の資料を見せていただきましたら、やはりPMC、PubMed Centralのオープンアクセスジャーナルに投稿しているという割合が半分以上ありますので、そういった意味で、確かに仕組みとしてNIHの方がいろいろな選択肢、いろいろな形で進めているということが言えると思います。

 また、NIHの場合には、主な出版社と直接契約、こうした助成金に関してはこうしてほしいという事前の契約といいますか、ネゴシエーションですけれども、それがもう済んでいますので、その辺りは仕組みが少し違います。やはり医学の分野と、全ての分野で行っているのとでは、簡単な比較は少しできないと思います。

【土屋委員】  よろしいでしょうか。遅れて参りましたため、御発表を聞かないで発言するのは何ですが、それはネゴシエーションではなく、ボランタリーになっているはずです。現在、PubMed Centralに入っている、デポジットされている中で一番多いのは、エルゼビアのボランティアデポジットだという記録があるはずです。先ほど参りましたため、今、議論のポイントはどこか分かりませんけれども、事実関係としては、法律で義務化していくということ自体については、今のところ、出版社が一番従っているということのようです。著者は余り関心がないと考えられています。

【有川主査】  中村先生、どうぞ。

【中村委員】  今、ちょうど著者のことが出ましたから、著者としてコメントいたします。私もお金を支払って、オープンアクセスにした論文は幾つかありますけれども、簡単に言いますと、ただ面倒くさいばかりです。少し見ておりましても、引用がそれだけ急に上がったと思えません。なぜかと申しますと、私たちの論文を見るような人はみな大学から見ますから、別にオープンアクセスにしても何も差がありません。

 また、オープンアクセスのためにお金を支払おうと思いますと、研究費から支払いますので、またそれに手続が要りますね。つまりは面倒なばかりで、効果は研究者側にはおよそない。オープンアクセスにして悪いとは、誰も思わないと思うのです。どこか組織的に契約が行われて、この雑誌に出したら自然とオープンアクセスになるというようなことでしたら、何ら問題ありませんけれども、個々の研究者でオープンアクセスにすることには、ほとんどメリットがないですね。

 大学のリポジトリは全く同じで、大学のリポジトリに出したからといって、手間がかかるばかりで、何のメリットもこちらにありません。元々論文になっているわけですから、公開されているわけで、何も大学のリポジトリに公開する必然性は、当事者にとってはないわけですね。

【有川主査】  何かございますか。

【小安主任研究員】  私も研究者ですので、今、中村先生がおっしゃったことはもっともと思います。日本には日本なりのやり方があるのではないかということを、向こうで調査で話をしていて感じました。欧米では、英語をそのまま出せば誰でも読める。しかし、やはり日本はそうではないのではないかというところは、非常に強く感じました。そうしますと、研究の推進のためにオープンアクセスを進めるのか、それとも、納税者への還元という位置付けでオープンアクセスを進めるのか、どういう立場に立つかによってアプローチの仕方が違うのではないかと思います。

【有川主査】  一つは、まだ過渡期にあって定着していないから、新しいことを行うと、その分手間が増えるというような面もあるのだろうと思います。

 安達先生、何かございますか。

【安達部長】  中村先生のおっしゃっていることは、ミクロに見るとそのとおりなのですが、マクロに見ますと、SCOAP3で主張しているように、研究者の研究費は大部分が税金から来ておりまして、大学図書館がそのために、日本で申しますと300億円くらい、外国の出版社に支払っているということになります。先ほどの人文系などでも、非常に困惑しますのは、以前に日本の大学が、文科省からのお金を何百万円もかけて購入した大型コレクションの資料を、外国の出版社がスキャンし電子化してデータベースにし、それをまた国内の大学がライセンスフィーを支払って使っているという、いわば二重に支払っているというケースは往々にしてあるわけです。

 このように、マクロに見たときにどうなっているかという観点で考えますと、SCOAP3では、電子ジャーナルの問題をマクロに一遍に解決しようという話といえます。つまり、高エネルギー物理学分野にお金を支払っているのは主要な政府機関であって、結局そこからお金を集めて、出版社が出版している雑誌を全てオープンアクセスにしてしまえば、全部解決するというものです。商業出版で得ている非常に大きな利益を仮にもっと少なくすることができれば、コストは安くなるはずだというのが、大まかに申し上げたときのロジックになるわけです。ですから、うまく動いていくメカニズムをどのように作るかが重要になっていると思います。

 そのように見てみますと、セルフアーカイブでオープンアクセスにするというのはやはり大変だということがよく分かります。そこで出版社としては、オープンアクセスジャーナルを出版するという形で、ビジネスモデルを持ってきているわけです。例えばNIHの政策が成功して登録する割合が上がっているというのは、バイオメディカル分野では、そのようなオープンアクセスジャーナルが伸びてきていることと符合するわけです。PLosやBioMed Centralなどのオープンアクセスジャーナルに投稿すれば、NIHに対してもオーケーになってしまうわけですから、このような形できちんとお金を支払って、ビジネスとしてオープンアクセス出版が成立しているわけです。それはちょうど、大学の図書館が従来支払っていたものが、著者支払に、ちょうど反対にひっくり返したような形で動き出してきているということです。

 今後ともその二つのモデルは続くでしょうけれども、その中で、前回でしょうか、中村先生から、なぜ電子ジャーナルにオープンアクセスがあって、本にはないのかという御質問があったかと思います。それは当初、雑誌のコストの猛烈な高騰に大学などが耐え切れなくなってきたということが原因ですので、それを何とか正常な状態に持っていくということが、オープンアクセスの始まったときにねらいとしてあったのだと思います。

【有川主査】  中村先生、どうぞ。

【中村委員】  私の専門は化学なのですけれども、今のお話は高エネルギー物理ですよね。この分野は恐らく、使うお金に比べて研究者の数は極めて少ない。ソサエティーが小さいですよね。それに対して、化学といいますのは実は会社もたくさんあって、会社が論文を読んでいる率が相当高いです。アメリカ化学会のビジネス相手にも、会社がかなりあるかも知れません。つまり、大学がつくり出した化学系の情報は、大学以外の人がたくさん購入しているわけですね。分野によって恐らく収益構造が大分違うので、日本全体のことを考える場合には、なかなかその辺りもよく考えないと、バランスがおかしくなるかとは思います。

【小安主任研究員】  ジャーナルでも、完全に電子ジャーナル化しているジャーナルと、電子ジャーナルと紙媒体の両方を持っているジャーナルがありますね。両方持っているジャーナルは、今、ほとんどが半年あるいは一年すると公開されるような形になっていますので、そうしますと、投稿する側からしても余り抵抗がないように思います。オープンアクセスに対するスタンスも、分野によってそうしたジャーナルがどのくらいあるかということにもよるのではないかという印象を持ちました。

【有川主査】  喜連川先生、どうぞ。

【喜連川科学官】  お話をお伺いしていまして、NIHのポリシーはオープンアクセスで、NSFはそうではないという点に関してですが、やはり両者の予算規模が大きく違うというところに起因しているのではないかと考えます。アメリカの研究費というのはNIHが最大級で、NSFはそれに比べますと大変小さいのが実情です。つまり、NIHにとっては、オープンアクセスにするプラットフォームを作ることというのは、比較的余裕があって実現できるということではないかと思います。ですから、NIHの極端なケースと他のテールの学問ということなのですけれども、もう少し規模の小さな学問とを同じ土俵で議論しますと、バランス感覚として少々不適切な状況が生まれるのではないのかな、という気が個人的にはいたしました。

【有川主査】  ありがとうございます。大事な点を中村先生と喜連川先生から御指摘いただきました。

 他に何かございますか。山口先生、どうぞ。

【山口委員】  名古屋大学の発表について御質問したいと思います。登録件数が年々増えているということは、リポジトリに論文を掲載するための奨励策があるのではないかと思うのですが、その中で、研究分野によって登録件数の割合に顕著な差異というのはあるのでしょうか。また、登録件数が少ない分野に登録を奨励するような特別措置や、働きかけはなさっているのでしょうか。

 もう一点は、可視化の向上を目指しているという点ですが、やはり可視化を進めることによって、大学の中での機関リポジトリの運用の効率性が上がったり、登録数が増えるといった好影響はお有りになりましたでしょうか。

【加藤部長】  最初の御質問は、分野別のコンテンツに収録の差異があるかということですが、実は余り細かく分野がどうということでは、つかんでおりません。例えば紀要であれば、ほぼ万遍なく登録していただいているようにしております。ただ、博士論文については、理学部、工学部、農学部の方が、圧倒的に件数は何百という単位で多いということです。

 先ほど、中村先生もおっしゃっていましたが、先生方にとっては、やはり電子ファイルで送ると言いましてもなかなか煩わしいということもありまして、コミュニティを使って先生方にダウンロードの統計をお送りし、できるだけ投稿をとお願いしております。そして、その先生方が中核になって、学部の中でリポジトリの効用を訴えていただき、投稿に御協力いただくという程度です。例えばですが、大学情報データベースの中で一年間の研究論文を抜き出してきて、出版社版のPDFが登録できるものをまた調べて、メールを片端から出して載せるですとか、Web of Scienceを毎週検索して、自分の大学の先生が書いた論文を見つけて、先生にそれを「載せてください」というような、特にそうしたところまでは行っておりません。あくまでも自発的に登録していただくということでしか、まだ取り組んでおりません。

 それから二番目の、可視性を増すことによって学内の執行部や、あるいは先生方、研究者コミュニティがリポジトリの効用に気付いて支援をされるかということですが、どちらかと申しますと、リポジトリに載せられているコンテンツがいろいろなところからきております。リポジトリはやはり倉庫でして、それ自体、検索機能が弱いものですから、外にさらすことによって、グーグルやOAIsterなど、そういったものから引かれるという程度のことでございまして、残念ながら、直接的に何か学内的にというところまでは、まだ行っていないように思います。あとは、松浦先生、いかがでしょうか。

【松浦委員】  この機関リポジトリに入っているものの中心が、紀要です。つまり、自分の大学の構成員が日本語で書いた雑誌が、過去にさかのぼってデータになっているのです。これは定型的な作業ですので、徐々に分量は増えていきます。

 先ほど、中村先生が指摘された、他で出版し、高く評価された論文をもう一度リポジトリに持ってくるということになりましたら、二度手間になります。特に、多くの電子ジャーナルを購読している大学では、最初に公表された所で読むことができます。それをもう一度、なぜリポジトリに入れるのかということで、インセンティブは小さいのは確かにそのとおりです。

 一定の契約によって、例えば1年なり2年経ったら、商業ベースのデータベースで公表されたものが自動的に名古屋大学のリポジトリに収納される、ということであれば便利です。過去のデータであるアーカイブについても、そのデータは商業出版社にあります。そのアーカイブ利用権の値上げは可能でしょうから、商業的なアーカイブに入るもののコピーを大学のリポジトリで保管するのは、一つの方策でしょう。

 大学の機関リポジトリの持っているものは基本的に日本語データで、しかも、ユニークなものが含まれています。その発信ということからすれば、リポジトリを通して、日本語という制約はあるものの、それなりに実現しています。世界に対する発信という観点からは、リポジトリに載ったものを例えば英語に翻訳することが必要になります。質の高い翻訳は、これまで本作業部会で話題になったように、英訳とそれに関連するエディトリアルサービスがきちんとしていて、初めて可能になります。そのようなサービスを、大学の持っているリポジトリに提供することが、情報の幅広い発信につながると思います。

 また、先ほども申し上げましたとおり、リポジトリを構築する側の政策目的をどこに置くのかということは、もう一度問わないといけないことではないかと思います。

【有川主査】  土屋先生、どうぞ。

【土屋委員】  今のお話と似たような話になりますが、日本語の文献の流通ということに、現在、各大学が構築している機関リポジトリが貢献しているということに関しては、ほぼ間違いないだろうと思います。

  一番典型的には、NIIが提供しているNACSIS-ILLのデータを見ますと、今、全部で90万件弱ほどだと思いますが、日本語文献に関するILLのリクエストの方が、はるかではないのですが、6:4位で多くなっているという状況になっている。その中の3分の1位は、確実に紀要論文が占めているということです。

  本来であれば、紀要といいますのは、同じことを研究している人同士が送り合うことによって成り立っているはずですので、理想的には、紀要論文によって、図書館経由のILLが発生することがないはずなのですが、そうした理想は消えてしまっており、紀要は送りっ放しということが実態としてある。ないしは、送らないでそのままということが非常に多いということが、事実として、エピソディックな話としてはたくさんあります。

  ですから、それなりの検索ができる形で、実際、それはCiNiiを使ってできるわけですけれども、それで流通するようになり始めたということは、これは非常に大きな進歩です。これに対する貢献というのは、もう既に数字的にも出てきていますので、その辺りのところを、きちんと一つ目標としておく必要があるのではないでしょうか。何か世界的に大変なインパクトのある論文ということはないのですが、きちんとした論文を学部の学生が日本語で読むということも、教育活動としては非常に重要だと思いますので、その辺りのことに関しての成果は、上がっていると言っていいだろうと思います。

【有川主査】  安達先生、よろしいですか。

【安達部長】  私も先生方の御意見に全く賛成で、分野によって全く捉え方が違いますし、研究者のコミュニティの大きさ、また、社会的な認識とでもいいましょうか、投入された税金に関する責任というようなものも違っていると思います。

 機関リポジトリに関して、今の土屋先生の御意見を更に補足しますと、大学で作っているものの発信機能と、国際的な論文誌に発表したジャーナルのセルフアーカイブの機能の、二つのことが機関リポジトリでは一緒に議論されるのですが、それはやはり分けて考えて、個々の大学としての特色をどのように出していくのかという観点から、それぞれポリシーを決めていく必要があると思います。科研費などによる成果の扱いは、例えばアメリカのNIHのやり方、イギリスのウェルカム財団のやり方などと並べて見ながら、我が国としての研究助成の世界的な貢献という観点から議論していくことが必要で、この二つはかなり性格が違う話だと思います。

【土屋委員】  もう一つよろしいですか。

【有川主査】  はい。

【土屋委員】  名古屋大学の資料を拝見いたしましたが、一つ気になりましたのは、ダウンロードの実態についてのお話が、月間ダウンロード数というくらいしかなく、そこは結構大事かと感じますので、若干補足したいと思います。

 つまり、どういった人たちが機関リポジトリから読んでいるかということに関してのデータについて、実際にはダウンロードのカウントといいますのは、例えばサーチエンジンのクローラーが入ってきたりしますので、そういったものを排除するとか、ダブルクリックのカウントをどうするかなど、面倒なことはありますが、その辺りをうまく除いていきますと、例えば比較的印象的だと思われますのは、報道機関や地方自治体、特に地方自治体のダウンロードというのは結構多いのですね。

 ですから、ある種の学術的な知識に対する需要と申しますのは、決して学者間だけではないということは、機関リポジトリのダウンロードを見ますと、いろいろ分かってくるのではないかと思います。それらに対する情報提供としては、いわゆる大学の社会的責任ということになるのかもしれないのですけれども、十分機能を果たし始めていると言えるのかという感じがいたします。

 ただ、最初に申し上げましたように、ダウンロードのカウント自体の客観性と申しますか、保証というのはなかなか微妙なところがあり、その辺りについては然るべき方策が必要だと思いますが、既にいろいろなことはそうした意味で分かってきていますので、何かもう少し、きちんとデータをお持ちの方から説明していただいた方がよろしいかと思います。

【有川主査】  そうですね、私も同じようなことを感じておりましたが、もう少し詳しいデータに基づく分析ができるようになったのではないかと思います。機関リポジトリは、最初に取り組んだ頃というのは、申しましたら、これほどまでに人社系の人が加わってくるとは思われていませんでした。しかし、意外と人社系の人が加わってきて、しかも読まれているのはそちらの方が圧倒的に多いという状況が出てきております。そういうことで、紀要論文に非常に馴染むということになったのではないかと思います。これは、行ってみて分かったことでした。

 ただ、例外的には、機関リポジトリという言葉が出てくるよりずっと以前でしたが、確か慶應義塾で、法律関係の紀要を置くスペース、図書館内でのスペースの削減のために電子化を行ったという話を聞きましたので、そういう側面もあるわけです。それで、思わぬところから見られたりするわけです。

 それから、今、土屋先生がおっしゃったことで申しますと、ここは要するに、産学連携関係でマッチングする人を探したりするときに、結構適切に使われているのだと思います。日本語であろうと、紀要論文であろうと、自分が関心のあることに取り組んでいる人を見つけて、「やはりこの人だ」というようなアプローチをしてくるようなこともあるのだと思います。

 ですから、単に論文を書くためなど、そういったことだけではない使い方も、少なくとも国内ではされているのではないかという気がいたします。ただ、恐らくかなり詳細な調査を、北海道大学などでは少し行っていらっしゃったと思いますので、どこかでそういったことを分析してみる必要はあるかと思います。

【土屋委員】  北大は、クローラーは引かないのです。

【有川主査】  ノイズは若干入ってくるとは思います。

 何かございますか。松浦先生、どうぞ。

【松浦委員】  細かい資料は手元に持っていないのですが、その報告を受けましたとき、ac.jp以外からのアクセスが非常に多いということをまず言われました。それから、いわゆる大学の紀要ではなくて、教材系のものがしばしば読まれるということです。つまり、講演会で配ったような、かなり詳細な資料なども参照されているようです。

 雑誌論文の場合、ほとんど証拠や資料は、そのままの形では付いていません。注の中で言及されるのが普通でしょう。その証拠に当たるところの資料、例えば世論調査のようなものをしたデータは、その分析した結果とデータのポイントだけが論文に出てくることが多いのです。しかし、場合によっては、手に入れたいのはその元データのエクセルファイルか何かであることがあります。そのような観点から考えますと、本来、どこにも出版できないけれども、実は原資料として価値のあるものをリポジトリには入れようというようなことを考える余地があります。

 また、大学には、国際化でいろいろな留学生がたくさん入ってきています。情報は、英語だけではなく、各国の言語で入ってきます。多言語の情報で、広く世界に共有されていないものの、意味のある情報は少なくありません。そうしたものは、実はe-journalのような媒体で公表する状態ではないとしても、リポジトリ経由で発信することは、それなりに重要です。そういったものも考えていきますと、リポジトリは、最先端の研究論文以外のところでもっといろいろなことができそうな気がするのです。

【有川主査】  三宅先生、どうぞ。

【三宅主査代理】  最初にどういった人がどのように機関リポジトリを使っているか、データをどのように収集しますか、ということをお伺いしましたのは、そういうことです。機関リポジトリを構築している側からだけではなく、使い手の方から、この論文をどうしても手に入れたいといったときに、最近では、フルのタイトルをとにかく入れて検索してみると、誰かがPDFを上げていたりするものが出てくることがありますね。そうしたものが多くなってきますと、一体誰がどこに上げたかということとは余り関係がなく、欲しい情報が欲しい人の手に渡るルートというものが、ネットだからこそできてしまっているという部分があります。それと絡めて考えていきませんと、出す側からだけ見ていると、少しこれまでとは違うことが起きているのではないか、というようなことを感じておりました。

【有川主査】  どうぞ、岩本課長。

【岩本情報課長】  どうもありがとうございました。我々におきましても、余り論点を整理しないで御議論を頂いたものですから、様々な点が出てきたのだと思うのですが、やはりオープンアクセスについても、機関リポジトリについても、いろいろな基本計画などで言葉が挙げられているだけではなかなか、それが重要であるから何か施策を進めなければいけないという、そういった簡単な話ではないと認識しています。

 我が国においては、どうしてもそうした議論になりがちなところがありまして、一体何のためにそれをやっているのか、ということが議論されないものですから、どうも整理されないというところがあります。

 この問題もそうでございまして、最初から御指摘があったり、御質問の中にもありましたように、それぞれ機関リポジトリにしても、オープンアクセスにしても、外国の例も国内の取り組みもあるのですけれども、誰のための仕組みなのか、何の目的なのかということと、また、それをどのように機能させたいと考えているのかというところを、きちんと考えなければならないと思っております。

 そういう意味で、本作業部会で御議論いただく上で、限られた時間しかないと思うのですね。そのため、どういった観点で御議論いただいたくことがよいのかということについて、これからそれを議論しても時間が余りありませんでしょうから、また後ほどでも、御意見などを頂くようなことが必要なのかと思います。

【有川主査】  ありがとうございます。本日は、どちらかと申しますと、方向を余り持たずに議論しています。今回は、関連したところの方向性をきちんと見ておこうということで、主に三人の方からの御報告を頂いたわけです。あらかじめ設定せずに議論しましたので、そういう意味では非常によかったと思います。したがって、いろいろな角度からの議論ができましたので、結果的にはやはり何のために行うのかが大事だということになってきたわけでして、この辺りを少し整理していく必要があると思います。

 それから、このような議論ではいつも感じるのですが、大事なことは、きちんと調査しなければいけないけれども、調査というのは、既存のものの中にしかない、あるいは外国の中にしかないわけです。我々は現在のことを議論するというよりも、かなり先のことを議論しなければいけないわけでして、先の予測をするときに、すぐ近くのところしか予測が効かないというところがあります。これは主に政治家に求められることでしょうが、その辺りをどう見極めるかということが、科学技術を推進していく場合でも大事だろうと思います。

 そういったことの顕れが、今日、小安先生に説明していただきましたように、国によって少なくともあのようにまとめたときの見方、温度差、取り組みの違いが出てきているということにもなっているのだろうと思います。一方で、我々はもう少し長いスパンで、先のことも考えながら議論していかなければいけないと感じております。

 そうしたことで、本日は三人の方に非常に貴重な御報告を頂きまして、方向は定めませんでしたが、大事な議論はできたと思っております。

 時間になりましたので、議論はこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。特に三人の講師の方々、ありがとうございました。

 それでは、事務局にお返しいたします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  次回も引き続き、機関リポジトリとオープンアクセスについての御検討をお願いしたいと思います。

 本日の議事録は、委員の方々に照会申し上げた後、主査の御確認を得まして、公開をさせていただきます。

 次回の開催は、2月24日金曜日の15時から17時で、場所は文科省旧庁舎2階の第2会議室を予定しております。

 それ以後の日程につきましては、資料6に整理しておりますので、日程の確保について御配慮いただければありがたく存じます。

 本日の配付資料につきましては、机上にそのままお残しいただけましたら、事務局よりお送りいたします。以上でございます。どうもありがとうございました。

【有川主査】  それでは、本日はこれで終わります。ありがとうございました。

—— 了 ——

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