研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(第2回) 議事要旨

1.日時

平成17年5月13日(金曜日) 13時~15時

2.場所

文部科学省F1会議室(古河ビル6階)

3.出席者

委員

 石井主査、坂内主査代理、伊賀委員、土屋委員、西村委員、細野委員

文部科学省

 松川情報課長、柴崎学術基盤整備室長、大山学術基盤整備室室長補佐、上田情報研究推進専門官
(科学官・学術調査官)
 西尾科学官、柿沼主任学術調査官、逸村学術調査官

4.議事要旨

(1)前回議事概要について、意見があれば5月20日(金曜日)までに事務局に連絡することとした。

(2)「国立大学法人及び大学共同利用機関法人における学術研究活動に対する当面の推進方策について」(平成17年3月31日 科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会)について、資料2に基づき、事務局から説明があった。

(3)各ワーキンググループの審議状況について、資料3から6に基づき事務局から説明があった後、各ワーキンググループ主査から説明があり、意見交換を行った。

(○…委員、学術調査官、△…事務局。以下同じ)。

○ コンピュータ・ネットワークワーキンググループを通して、いろいろな問題がほとんど上がってきた。中心は、補正予算で措置したコンピュータやネットワークの老朽化が始まっており、これを更新する定常的な施策を考えなければいけないということである。十分な予算はないので、上手に工夫した施策が必要である。あまり稼動していないコンピュータやネットワークで、共通に利用できるものは利用するといった方法により、コンピュータやネットワークが活発に稼動するようにすることが大事である。国立大学の法人化後は、コンピュータやネットワークの必要性について、法人として考えるようにしてもらわなければならない。

○ 大学図書館等ワーキンググループの中心の課題は、電子化の流れと、紙媒体による学術情報の蓄積・提供という2つの問題に図書館が直面しているということである。さらに、国立大学の法人化後、研究・教育に直接結びついた資源配分が進んで、一層問題が深刻化することが危惧されている。収蔵スペースの問題は深刻であるが、個々の論点ではデジタル派と紙派の意見の違いはある。大学からヒアリングを行ったところ、それぞれに深刻な問題を抱えており、その解決をあきらめてしまっているものもある。現在の問題だけでなく、置き去りにされている問題も遡って検討する必要がある。

○ 学術情報発信ワーキンググループでは、現在多くの議論が出されており、まとまっていない。問題の整理が必要だと考え、そこから始めている。

○ 学術情報発信の問題の相互関係をまとめるのは大変な作業であり、現在は委員間で情報の共有を目指している段階である。

○ 資料中にある「リポジトリ」という用語の意味は何か。

○ 「リポジトリ」とは、電子的に保存されている学術成果物を蓄積・発信するサーバーということであり、大学で行うもの、個人で行うもの、政府機関が行うもの等いろいろな種類がある。

○ 機関リポジトリは、各大学・研究機関が、その成果(論文、教材、知財等の教育研究活動の出力そのもの)を発信するものである。また、日本や世界の機関リポジトリを横断的に検索可能とし、価値を高めるというのが国立情報学研究所(NII)の役割である。個々のピークを連携させて日本として大きな出力として出していくことが、大きなフレームワークではないかと思う。大学図書館等は、それらを知のストックとして体系化させていくということである。機関リポジトリについてのNIIの重要なパートナーは、図書館、知的財産本部、情報基盤センターと大学によってさまざまで、必ずしも統一されていないが、それを理念的に統合するのが各機関のリポジトリであろう。

○ 機関リポジトリにおける著作権の取り扱いはどうなっているのか。

○ 著作者が著作権を保持している場合は、それぞれに許諾をとって処理をする。研究者等が学会論文誌や商業出版社の論文誌に論文を投稿する際には、慣行として著作権の譲渡契約をするので、著作権者は、著作者ではなく学会・出版社等になる。この場合も、最近の調査によると、92パーセントの学会・出版社等が、著作者の所属する機関のWebページ、著作者自身のWebページへの掲載を認めていることから、多くのものの権利関係は処理可能である。

○ 研究成果の発信は、論文という形だけでなく、ビデオやデータベース等多様化してきている。それらの広い意味での学術情報の発信について考えていくべきだと思う。

○ 「リポジトリ」という言葉の日本語訳がないということは、今まで日本にはそのような概念はなかったということか。

○ 直訳では「貯蔵庫」「保存庫」となるが、後ろ向きの語感でふさわしいものとはいえない。本来ならば、きちんとした日本語訳がほしいところである。

○ 英語圏でも「リポジトリ」という言葉の変更についてはよく話にでる。そもそもIBMが提唱した用語を、学術分野で使い始めており、現在では完全に世界共通語となりつつある。

○ 「情報蓄積発信基地」といったイメージか。

○ リポジトリは、情報処理センターあるいは図書館のうち、どこでやるべきものか。組織としての実態はなくてもよいのか。

○ 機関リポジトリは、大学が存在する間は維持しなければいけないこと、メタデータを整備して検索できるようにする仕組みを構築しなければいけないことから、図書館の機能と似たところがあり、図書館の業務としていく流れである。

○ 「リポジトリ」とは、一つの思想ではないか。図書館やさまざまなところで電子情報として発信していたものを大学という枠組みできちんと管理していこうという発想ではないか。

○ 機関が内部で発行していた大学紀要などは、リポジトリとしての意味はあったものの、競争に耐えられずにほとんど廃れてしまっている。

○ 大学において図書館とリポジトリは、完全には一致していないのではないか。これまでは、大学図書館が大学所属の研究者の研究成果物を体系的に蓄積するという考えがなかった。

○ 学位論文を図書館が体系的に収集することはあった。

○ 自分の書いた著書は、その所属の学部図書館に寄贈するというモラルはあったが、大学図書館が購入していない雑誌に載った論文は、大学に残らない。

○ リポジトリが発信機能を持ちうるのは、インターネットによって情報のアクセスのハードルが低くなったためである。サーバーに論文を置いておくだけではアクセスされないが、ネットワーク環境にあればアクセス可能となる。リポジトリは、インターネットが可能にした概念である。

○ 納税者に対する大学としてのアカウンタビリティの一環として、大学は、リポジトリのようなことをしなければならなくなってきている。

○ コンピュータ・ネットワークワーキンググループにおいて議論している、次世代の学術情報基盤の考え方は、ネットワークにより、大学が行う、1研究、2教育、3成果発信、4知のストックなどの活動を、情報面から支えていこうというものである。大学の活動は、社会との関わりにおいて、もっと多様性を高めなければならない。インターネットにより日本全体で持っている学術情報の利用価値をさらに高めることが可能となり、このために、どのような仕組みが必要かを議論するのが3つのワーキンググループの全体像であろう。ネットワークで、認証メカニズム、連携のためのグリッド等が動き、その上で機関リポジトリ、デジタルライブラリー等が構築され、研究分野ごとに支えていく仕組みの総体が学術情報基盤であり、これにより、国民、社会、産業界、国際的に貢献することにつながる。

(4)コンピュータ・ネットワークワーキンググループ中間報告(骨子案)について、資料7に基づき事務局から説明があった後、コンピュータ・ネットワークワーキンググループ主査から説明があり、意見交換を行った。

○ 「3.国家的学術情報基盤の実現にむけて」が、政策の提言になる。電気代が払えないというセンターなど、困っている問題もある。また、ネットワークのアップグレードが必要であるが、研究に直接関わらない部分なので、大学はなかなか人が割けず、また冷遇されたポジションになってしまう。長期的には、SINETが阪神大震災のときも通じていたという例を踏まえ、国家的ライフラインとしてのネットワークの在り方についても触れたい。日本学術会議がまとめた勧告には、大都市のライフラインとしてのネットワークの確保についての記載がある。文部科学省としては、NIIを中心とした学術分野のネットワークをライフラインの一つのモデルとして考えておく必要がある。引き続き検討していきたい。

○ 中間報告は概算要求を意識しているものなのでよいが、最終報告については、「学術情報基盤作業部会における審議の状況」の1.のような基本的な考え方を入れておくべきではないか。

○ 1.(2)の「環境の変化」には、研究・教育に対する具体的な影響について記載した方がよい。また、人材については重要であり、当面対応すべき事項にも入れた方がいいのではないか。

○ ネットワークの生活基盤としての浸透といったことか。

○ 次世代の人材養成についてみると、長期的な視点では少数精鋭でSEのような能力を持った人を養成し、全国の大学を見回るようなシステムも必要ではないか。

○ 当面はセキュリティに関する人材のニーズが急速に高まっているが、次世代を見据えたグリッドなどのネットワーク関連技術の人材に中長期のニーズが見込まれる。今の人事システムをシームレスにつなげていかなければならない。これは時間がかかることなので、当面の概算要求は難しいのではないか。

○ 人材の育成は、成果が出るまでに時間がかかるが、技術の進歩が非常に急速なので、どんどん遅れてしまうことになりかねない。やはり、ある程度は意識しないといけないと考えられる。

○ 各機関ですぐにやり始めなければいけないという認識はある。

○ 「組織体制の充実」の中で記載すべきではないか。

○ ヨーロッパなどでは、まず人材の育成から着手する。インフラとして重要である。

○ 人員の増加を求めても概算要求ではなかなか認められない。大学が抜本的なアイデアを盛り込んだ要求が必要であるということで、このような構成になっている。

○ 機関リポジトリの問題は、データベース管理などコンテンツに関する人材の問題にもつながる。

○ コンテンツの分野でも情報流通の分野でも、人材がキーとなる。情報基盤の重要な共通のレイヤーに人材がある。全分野に人を配置できる訳ではないので、どのように当面をしのぎ、今後にシームレスにつなげていくかが問題である。

○ 各ワーキンググループで、人材についての話題が共通するのであれば、まとめていくことも考えられる。

○ 資料7の3.(1)1)「新しい整備システム」とはどういう意味か。

○ この「システム」は、新しいコンピュータやネットワークのシステムを導入するということではなく、現在の状況の中で、いいアイデアでやっていくという「やり方」、「しくみ」という意味である。

○ 従来、補正予算で措置していたものを経常的に考えていくということである。

○ 資料7の3.(1)2)a「最先端の研究の障害とならない」は「研究を支える」とした方がよい。

○ 60年代後半からの、7大学の大型計算機センターには、国内コンピュータ産業育成という意味合いもあったと聞いているが、情報基盤センターは、そういう考え方からは脱却することになるのか。これだけユーザーのいる大型計算機システムは他にはないという特徴がある。情報科学技術に対する影響については言及する必要はないか。
 また、「ワーキンググループ等における意見」にはラストワンマイル問題があるが、学術情報ネットワークに各大学が接続する最後のアクセスラインが遅れており、小規模な私立大学がe-ラーニングをやろうとすると、非常につらいのが現状である。この問題は記述しておくべきではないか。
 なお、コンピュータ・ネットワークワーキンググループでの「学術情報基盤」という言葉の使い方について、全体として調整する必要がある。

○ ラストワンマイル問題については、柔軟なシステムを考える必要がある。具体的な記述は盛り込みたい。

○ 今使えるシステムのなかで、ベストなシステムを構築することが必要であり、ラストワンマイル問題も視野に入れておくべきである。

○ かつては国内コンピュータ産業の育成といった考え方があったが、今や国家戦略としてそういうものがある訳ではない。国際的にフェアな競争をすべきである。

○ かつては無理矢理にでも外国製品を買うというようなことがあったが、もうそういう時代ではない。スーパーコンピュータは、速さのみを競う指標で全世界が動いていたが、利用者にとっての使いやすさといった指標をもとに、国際的な競争をした上で、国内機が導入されるということであればよいのではないか。

○ 情報科学分野の大学附置研究所はないため、次世代の情報科学分野の研究開発・人材育成の拠点としての情報基盤センターの役割は重要である。また、国立大学法人化等により、7大学の情報基盤センターに、他の大学から大型の計算が委託されることが考えられ、また、認証基盤のテストベットを作成するというミッションなどもある。

○ 資料7の3.(1)は、「当面」ではなく「緊急に」としてはどうか。

○ 次世代のネットワークの整備については緊急性がある課題だが、「当面の課題」という分類では違和感がある。

○ 持続可能な整備計画ということでは、国立大学法人に企業会計の考え方が導入され、コンピュータやネットワークの減価償却について考えていくことが非常に重要である。

○ 大学の大型のコンピュータ・システムは、ほとんどがレンタルとなっている。

○ ミクロには、各大学がそれぞれ考えてほしいということであり、マクロには、文部科学省が少しずつでも面倒をみてほしいということである。

○ デジタルコンテンツの作成や管理技術の問題を取り上げる必要はないか。

○ 大学図書館等ワーキンググループ、学術情報発信ワーキンググループにも関わる問題なので、そちらで対処することとしてはどうか。

(5)大学図書館等ワーキンググループ中間報告(骨子案)について、資料8に基づき事務局から説明があった後、大学図書館等ワーキンググループ主査から説明があり、意見交換を行った。

○ ハーバード大学ロースクールの図書館のホームページを見ると、館長が、図書館の理念や方針をはっきりと打ち出している。もちろん、それを裏付けるだけの経済的なものがあるからで、日本の大学図書館は簡単には真似はできないだろう。作業部会、ワーキンググループでの議論に基づいて概算要求をすることも大事だが、各大学図書館が、戦略や理念をそれぞれ議論してもらわなければならない。それが前提で、はじめてそれぞれの概算要求が位置付けられるのではないか。現在、大学全体としてはそれぞれ理念を打ち出し始めているが、図書館ではそうしたものが見られない。何かの形で注意を喚起しなければならない。そうでもしないと、図書館の問題は解決しないのではないか。この辺りを踏まえて各大学図書館を刺激することが必要である。

○ 今まで言われてきた機能や役割について言い直すだけでなく、現在において大学図書館がどのような機能、役割を持ち、どのような理念のもとに展開すべきかを改めて明確に訴えるべきである。その理念に基づいて、それぞれ自分の課題を解決していくべきであるという訴えかけをすべきである。

○ 大学自体がそれぞれ特色を出そうとしており、大学図書館もそれと連動した動きがあるはずである。

○ 骨子案には研究図書館的な項目が多いので、大学に求められている教育的側面のアカウンタビリティを図書館としてどう担うかという観点は、入れた方がよい。特に私立大学は教育に重点がある。

○ より具体的に書くならば、例えば、3.(2)「電子化への積極的な対応」については、メタデータの整備の支援やマネジメント等を書くことが考えられる。

○ 機関リポジトリをどのように扱うかは別として、機関リポジトリにあるコンテンツのメタデータについては図書館が扱った方がよい。
 「大学の特色等を活かした貴重書等の電子化支援」とは、確かに業務としてはあるが、90年代の電子図書館プロジェクトのイメージがあるので変えた方がよいのではないか。

○ リポジトリについては、大学内の多様なところで多様なことが行われており、完全に捉えきることは難しい。

○ 各大学図書館が、それぞれ完璧なものを目指すことはできないので、国公私立大学を通じた各大学図書館の連携によって、日本全体として学術図書館体制を構築すべきである。

○ 以前、図書館長を務めていた時、顕在化していた問題が未だに解決されていない。目録の遡及入力にしても、全部やるのも予算面で無理がある。大事なことに重点を置くことが大事である。

○ 何を選択するかの問題があり、全部電子化した後から選択するのが理想である。

○ 今までの考え方を、全部実現しようとしても経済的な余裕がなく、戦略が必要なのではないか。

○ 最初に戦略を立てれば、問題が全体として把握できる。一方で望ましい理想像がある。その中で各大学が、何を重点的に扱うか決めるようにしないと、惨憺たる状態が更にひどくなり、問題は解決されない。

○ 商業的な情報検索サービスの発展により、図書館の役割が変化してきている。重点的にやらなければ負けてしまう。

○ 目録サービス自体が不要であるとする極端な議論もある。相当の危機感を持って戦略を考えるべきであるというメッセージが大事である。

○ 2.(5)にある、情報リテラシー教育については、かなりやってきているのではないか。1.(3)にある「学術論文誌の価格の上昇」は、大学図書館の問題というより、ほとんどの国立大学では、大学全体の負担の問題となっている。図書館は、自らの予算で学術論文誌を購入している訳ではなく、個々の研究者が自分の研究費で必要な学術論文誌を購入するのが普通である。

○ 私の所属する大学では、現在、学術論文誌の電子ジャーナルサイトライセンスの費用が図書館の負担になっており、経費の増大が問題になっている。

○ それは大学の予算の配分の仕方の問題ではないか。

○ 各大学の予算配分の仕方は千差万別である。図書館経費の配分も、各大学にとってそれぞれ最適なものとすべきである。

○ 図書館の問題として捉えると、電子化によって負担額が急増し、費用の上昇率はかなりのものであるが、全体としては実はそうではないのではないか。以前は教員が広く負担していたものが図書館に集まった結果ではないか。しかし、図書館には、必ずしもその認識がないように思う。

○ 外国雑誌センター館では少し状況が違うのではないか。

○ ワーキンググループでどの大学にも当てはまるような指針は作れないのではないか。

△ 3.(1)で、学内理解による共通経費化の必要性という観点を入れられればと考えている。

○ 学内の理解はなかなか得られないのではないか。不要なものは切り捨てていくという考え方が必要ではないか。

○ 電子ジャーナルのサイトライセンスはまとめて契約するという形になっており、不要な雑誌がなかなか切れなくなっている。

○ 情報リテラシーという用語の意味が、明確ではないのではないか。

○ パソコンによる情報教育のイメージが強いかもしれない。

(6)学術情報流通に関わる概念相関図について、資料9に基づき土屋学術情報発信ワーキンググループ主査から説明があった後、意見交換を行った。

○ 学術情報発信ワーキンググループは、まだ中間報告の段階ではない。学術情報流通に関わる概念相関図(素案)は、問題が錯綜しているので、基本的な考え方を相互理解するために作成している。さらに別のファクターについて、図を別途作成するつもりである。基本的な考え方としては、1どのような人が関わっているか、2情報の流れ、3それらを可能にしている資金源、を明らかにするものである。
 著者としての研究者が研究成果を投稿し、査読を受ける。この段階での学術団体の役割は大きい。それがさまざまな形態の手段によって出版され、読者としての研究者に流れていく。このサイクルには、さらに2次情報提供事業者や流通仲介事業者等も関わる。また、大学図書館における書誌ユーティリティや図書館間相互貸借の役割もある。かつては非常に重要だった紀要もある。出版者には、学会出版者、商業出版者、非営利出版事業者がある。この図は、特定の国の状況を示したものではなく、まだ日本の状況にも十分には踏み込んでいない。
 これらを支えていく資金は、国、民間助成団体等で、国立大学の運営費交付金が約1兆2,000億円、授業料が約3,000億円、研究助成が約5,000億円、科研費(出版助成)がある。
 電子化によって、この構図に何が起こったのかをさらに追加していきたい。オープンアクセスジャーナル等を理解するために、いろいろな図を試作している。
 この図中にあるのは、新たに政策を実施したときに影響を受ける関与者である。それぞれどのような波及効果があるかを確かめながら提案を行う必要がある。

○ このワーキンググループは、構造的に他のワーキンググループの上にあるような性質なので、現段階で中間報告をまとめるのは難しいのではないか。強いて言えば、機関リポジトリと大学出版局について書くことしかできないのではないか。

○ 個人的意見としては、文部科学省は学術情報流通に対する助成として、すでにかなりのことを行ってきている。機関リポジトリ以外に新しいコンセプトを出すことはなかなか難しいのではないか。

○ 海外に利益や知的財産が流れているという図が描けるのではないか。

○ 日本版のNatureのなぜできないのかというのが問題のひとつである。もうひとつは、STM(科学・技術・医学)出版分野では、外国の出版社が大もうけしているということである。この市場は、およそ1兆円規模で、7割が商業出版で3割が学会出版と聞いている。ある大手出版社の売り上げは約2,000億円といい、大手7社で利益のほとんどを占めている。このような出版社は日本にはない。こういう状況に対してどういう提言ができるかが問題である。

○ 大学図書館が問題を認識し解決を図らなければならないのと同様に、研究者が学術情報流通に関する問題をよく認識して、その解決方法を考えていく必要がある。

○ 最終的には、研究者が問題意識を共有することを啓蒙するような報告になるように思う。

○ 啓蒙する相手は誰になるか。

○ 研究者、大学、学会が対象となる。

○ 基本的にはSTM関係か。

○ 基本的にはそうだが、それ以外の研究者にも啓蒙は必要である。日本の人文科学系は電子化に遅れをとっている。

○ オープンアクセス、機関リポジトリによって大学の情報が一般に流れていくように、国民とのつながりを示したほうがよい。また、外国を意識した方がよい。

○ オープンアクセスでは、閉じていた情報の流れが、一般国民にも流れるようになる。助成についても、もっと複雑な流れになるだろう。

○ 大学出版局について扱わなくてもよいか。

○ 非営利出版事業者に含めて考えている。日本では学術情報流通への影響力はほとんどないので、現時点では書く必要はないのではないか。

○ これは教育の問題と関係が深い。日本では、大学出版局が多く扱う教科書が紙媒体中心なので、e-ラーニングはあまり普及しない。教員にも責任はある。

○ 学術情報流通という観点からは、情報化によって問題がどんどん広がっているというのが現状である。方向性は今後の課題である。

(7)中間報告の今後のとりまとめについて、参考資料に基づき事務局から説明があった。また、国立大学法人、大学共同利用機関法人の平成18年度概算要求作業の一助とするため、コンピュータ・ネットワークワーキンググループ、大学図書館等ワーキンググループの中間報告の考え方を5月末までに各法人に示すことが了承され、取りまとめの内容についてはそれぞれのワーキンググループ主査に、各法人への示し方については主査に一任することとされた。

(8)次回の開催予定について、6月28日(火曜日)15時からとした。

お問合せ先

研究振興局情報課学術基盤整備室

(研究振興局情報課学術基盤整備室)