資源調査分科会(第45回) 議事録

1.日時

令和2年12月22日(火曜日)15時00分~16時00分

2.場所

Web会議にて開催

3.議題

  1. 日本食品標準成分表の改訂について
  2. その他

4.出席者

委員

宮浦分科会長、小長谷分科会長代理、白波瀬委員
石見臨時委員、安井臨時委員、渡邊臨時委員

文部科学省

梶原審議官、松本資源室長、松本室長補佐

5.議事録

【宮浦分科会長】  それでは、ただいまから第45回科学技術・学術審議会資源調査分科会を開催させていただきます。
 委員の皆様、御多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)の公表以来、5年ぶりとなります成分表の改訂について御報告いただくこととしております。
 今回の改訂に御尽力いただきました食品成分委員会の委員の皆様に心より感謝申し上げます。
 それでは、委員の出欠状況等につきまして、事務局からお願いいたします。
【松本室長】  こちら、事務局を担当しております資源室長の松本でございます。本日はウェブ会議での実施となっております。委員の先生方の出欠状況ですが、6名の委員の先生方、全員の御出席をいただいております。
 また、当省からは梶原審議官が出席しております。
 また、本日は少人数の会合となりますので、御発言の際は、ソフトの挙手機能は使わずに、順次、座長の許可を得て御発言をいただきますよう御協力をお願いいたします。
 私からの事務連絡は以上でございます。
【宮浦分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、まず梶原審議官から御挨拶を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【梶原審議官】  皆さん、こんにちは。文部科学省大臣官房審議官の梶原と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。本日は、第45回科学技術・学術審議会資源調査分科会の開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、年末の御多忙の中、本分科会に御参加、御出席いただきまして、厚くお礼申し上げます。本日、この第45回の資源調査分科会におきましては、日本食品標準成分表の改訂案について御報告、御審議いただきたく存じます。
 本日を迎えることができましたのは、第8期から現在の第10期の間の約5年間における、資源調査分科会並びに食品成分委員会の委員の皆様による真摯な御議論と数々の貴重な御所見を賜りましたことで、この日を迎えることができたということで、ありがたく感じております。取りわけ、本日御出席の安井主査、そして、渡邊主査代理をはじめ、食品成分委員会の各委員の先生方には、これまでの間、食品の各種データの検討から、今回の改訂案の原稿の作成に至るまで、細部にわたり御対応いただきました。委員の皆様の御尽力に対して、改めて深謝申し上げます。
 また、各食品の分析に当たり御協力いただきました団体、法人の皆様には、この場をおかりして感謝申し上げます。このほどの新たな各成分表の案については、このように多数の関係者の皆様の御理解と御協力を得て策定することができました。また、収載食品などの内容についても、我が国における昨今の健康志向の高まりなどに関するニーズを反映し、その充実に努めました。
 以上のことを踏まえ、これから、今日御説明申し上げる新たな各成分表の案は、約70年という成分表の歴史の中でも極めて重要かつ有意義なるものと考えております。今後ともこの成分表のさらなる充実に向けて、どうぞ忌憚のない御意見を本日も賜れますようにお願い申し上げ、簡単でありますが、私の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【宮浦分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【松本室長】  そういたしましたら配付資料の確認をさせていただきたいと思います。本日は、ウェブ会議ということで、画像で、画面で資料の共有を図ろうと思ったんですが、機材の不具合がありますので、事前に報告書(案)と一緒に郵送させていただいております会議資料をお手元に御用意いただければと思っております。会議資料の一番上に議事次第が入っているかと思いますが、そこに会議資料の一覧が掲げてございます。
 読み上げて確認させていただきます。まず資料1-1といたしまして、日本食品標準成分表の改訂についてという6ページの資料になっております。それから、資料1-2といたしまして、成分表2020年版(八訂)表頭項目(案)というもの。1枚紙でございます。それから、資料1-3といたしまして、目次(案)と書いてありますが、これが成分表本表の目次(案)になっております。報告書の中身がこういうことになっているということでございます。それから、資料1-4、これも目次と書いてありますが、その下、3行目にアミノ酸と出てきていることから分かるように、これはアミノ酸成分表の目次(案)になります。これが2枚。それから、資料1-5でございまして、これが脂肪酸成分表の目次(案)、これも2枚ということでございます。それから、資料1-6といたしまして、炭水化物成分表の目次(案)ということでございます。これが3枚組になっております。
 それから、資料2-1といたしまして、2021年度の計画(案)、それから、大きい資料になっておりまして、資料2-2といたしまして、A3判縦長の令和3年度分析食品候補(案)という形になっております。
 それから、各委員の先生方の事務所あるいは御自宅のほうには、配付資料といたしまして、2020年版(八訂)資源調査分科会報告書(案)、それから、先ほど申し上げましたアミノ酸、脂肪酸、炭水化物とそれぞれの報告書の印刷途上の(案)を配付させていただいております。報告書本体につきましては大部になりますことから、今回、ウェブ上の会議資料としてアップしておりません。この点、御了承いただければと思います。
 私からは以上でございます。
【宮浦分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に入らせていただきます。議題1、日本食品標準成分表の改訂についてでございます。食品成分委員会主査から御報告お願いいたします。
【安井臨時委員】  安井です。画像が送れませんので、声だけで失礼します。このたびの日本食品成分表の改訂について御報告します。
 既に御案内のとおり、日本食品標準成分表は、食品成分に関する唯一の公的データであり、学校や病院などの給食・調理現場での栄養管理はもとより、教育、研究、行政分野での基礎資料として幅広く活用されております。
 一方、本成分表については、2015年版(七訂)を公表させていただいて以降、食品表示の義務化や個人の食事管理需要などに対する便宜を図る観点から、毎年の追補等の公表を継続させていただき、また、この間、食品成分委員会のメンバーにも大変御熱心に検討をいただきました。
 今回の全面改訂につきましては3つの視点で御説明したいと思います。
 1点目が、この5年間に追加公表した食品数が延べ416食品、うち新規187食品となり、計算で成分値を求める食品への反映など、5年間の集大成として全体の整合化をしておくという編集者的な視点でございます。
 また、2点目としては、客観的な社会情勢として、七訂の際に参考資料として提示させていただいた、配食事業者のレシピに基づく調理済み食品の栄養価ですが、現に、スーパー等の惣菜コーナー、給食施設のセントラルキッチン化といった形で、実際の消費形態としてますます大きくなっております。この食の変化に対する成分表としての対応、関連情報の充実が挙げられるかと思います。それに伴い、18群の名称を調理済み流通食品と変更しております。
 最後に、3点目になりますけれども、これは私自身も長くテーマとしていました、最新の食品分析の知見に基づく栄養成分評価の科学的な妥当性の向上として、実測に基づく炭水化物の細分化、そして、エネルギー計算の変更、これを成分表としてどのように整理するかといった視点です。
 この3つの視点については、後ほど事務局から説明いただく概要資料にも、順不同で盛り込んでいただきました。
 このたびの取りまとめの検討に当たっては、新型コロナの影響によりまして、参集しての議論が大きく制限されるなど、制約が大きかったわけですが、さきに述べたような各視点から一定の取りまとめを得たものと考えています。
 このたび、食品成分委員会として、日本食品標準成分表2020年版(八訂)、それのアミノ酸成分表編、脂肪酸成分表編及び炭水化物成分表編をお手元の配付資料のとおり取りまとめましたので、御報告いたします。
 なお、これらの各成分表(案)の改訂の内容については、事務局より御説明をお願いいたします。
【宮浦分科会長】  ありがとうございました。それでは、各成分表の改訂の内容につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【松本室長】  そういたしましたら、資源室から改訂の内容について、資料に沿って補足説明をさせていただきたいと思います。
 まず資料1-1でございます。改訂の全容について6ページほどにまとめさせていただきました。先ほど主査から御説明があったとおり、今回の改訂の視点、大きく分けて3つ挙げられるのかなと考えております。
 1つ目は、1ページ目の下に「改訂の経緯」と書いてありますところの(1)でございます。個人の食生活や施設給食の変化から需要が増大している、冷凍、チルド、レトルトの状態で流通するような食品、これを、先ほど主査からもありましたとおり、「調理済み流通食品」というカテゴリーを新たに設けまして、大手事業者の原材料配合割合から算出した成分値を収載するということ。それから、関連して、素材からの重量や成分の変化についての情報についても充実してきておりますので、これも整理した参考資料をつけさせていただいているということでございます。
 それから、2点目といたしまして、糖質やエネルギーによる食事管理に対応するため、従来の炭水化物を、いわゆる「利用可能炭水化物」と成分表上、称しておりますが、でん粉と単糖類、二糖類の集合体と、ある程度、消化性の劣る炭水化物であります食物繊維や糖アルコールに分けるということをしております。成分表2010年からは、そのほかのたんぱく質や脂質の組成成分の充実も図ってきておりますので、これらと併せまして、利用可能炭水化物、食物繊維等の成分値からエネルギー計算するという仕組みを導入いたしまして、食品のエネルギー値の確からしさを向上させるという取組をしております。
 それから、3点目といたしまして、2016年以降取り組んできた毎年の追補による追加食品、これを全体に反映させる。具体的には原材料的食品の成分値が追補で変わりましたといった際に、成分表の中で、その素材食品から計算により成分値を求めているような食品が多数ございます。そういったものを全体に反映させて整合化を図るという役割があるかと思っております。
 2ページ目に移らせていただきます。成分表の公開方法でございますが、今回は、各成分表は文部科学省のホームページ上で公開し、皆様に情報提供させていただくということにしたいと思っております。
 なお、その公開したデータの書籍化あるいはそのデータ利用については、成分表につきましては、許諾は不要という扱いを近年しておりますので、この慣例に従いまして、八訂成分表についても民間事業者による書籍化、データ利用を推進していこうと考えております。下に書いてありますとおりに、電子データあるいは電子書籍。これは電子書籍と書いてありますが、PDF版でホームページに張りつけるというような体裁のものになってくるかと思いますが、こういった形で、各表についてホームページ上に公開したいと思っております。
 各成分表の公表でございますが、今のところ12月25日を予定しておりますという形でございます。
 それから、3ページ目に移らせていただきます。成分表の収載食品数の整理でございます。2020年版(八訂)につきましては、2,478食品ということで、前回より300弱の食品が増えている。収載食品が増えているという状態になっております。
 その内訳については、後ろの参考資料で概略を説明させていただいておりますので、省略いたします。
 次に、冒頭挙げさせていただきました大きな改訂の概要の3つのポイントですね。これについての資料が一枚ずつついていると思っております。改訂のポイントの1つ目といたしましては、調理済み食品に関する情報を充実させていただいております。ということで、従来、調理加工食品として一部の冷凍食品、20弱の食品を収載していた18群でございますが、これについて「調理済み流通食品類」という題名に改題いたしまして、配食事業者から収集した原材料配合に基づく成分値を追加で収載しております。
 具体的には、参考3に掲げてあるような、よく給食等で提供されるような惣菜の類いといったものが、その惣菜の喫食する状態での栄養価として表現されているということでございます。
 参考4には、さらには、ここの参考3に載せておりますものの一部、八宝菜というもの。八宝菜という調理がどういう素材食品から成り立っているか。これは逆に言うと、我々が成分表を編さんする際に、こういった素材からの栄養価計算をさせていただいた上で、料理としての栄養価を決めているということになっております。
 ここで見ていただくと分かるとおり、例えば生の食材からの重量変化とか、素材から調理済みへどれぐらい換算重量で変化しているかといったような調理の過程における変化も加味したような栄養計算をしていると御理解いただければと思います。
 続きまして、5ページ目に移らせていただきます。5ページ目は、ポイントの2点目といたしまして挙げさせていただきました、炭水化物の細分化とエネルギーの算出方法の変更という視点でございます。ここに掲げてありますとおり、これまで成分表の炭水化物につきましては、ヒトにおける消化性の低い食物繊維や糖アルコールから、一般的な栄養素であります消化性が高いでん粉、単糖・二糖類まで多様な成分を含むものの集合体として表現されていたということでございます。
 糖類の摂取量あるいは摂取エネルギーを正しく把握するためには、食品ごと炭水化物の内訳を理解し、把握していくことが重要であろうという考え方でございます。このため、2020年版では、これまで蓄積してきたでん粉、しょ糖や食物繊維の分析値に基づき、これまで炭水化物の中に含まれておりましたでん粉と糖類、いわゆる「利用可能炭水化物」と呼んでおりますが、それと食物繊維総量、糖アルコール、それぞれ別々に本表に掲載させていただきましたということでございます。
 また、成分表では、2010年版以降、アミノ酸、脂肪酸の組成についても、実測値を積み上げてきておりますということで、これらの栄養成分についても、今までのたんぱく質、脂質から推計するというよりは、アミノ酸あるいは脂肪酸の積算値として栄養素の実態を集計するということが可能になってきているということでございます。
 そういったことで、道具立てが一定程度充実してきたことを踏まえて、2020年版のエネルギー産生成分、エネルギーの換算につきましては、より実態を正確に捉えることが可能な組成成分をエネルギー算出の基礎とする方式を採用させていただいているということでございます。
 参考5に書いてあるとおり、従来までのエネルギー産生成分の考え方、例えば、たんぱく質でありましたら窒素から推定するたんぱく質からエネルギーを推計するというものから、アミノ酸からたんぱく質が産生するエネルギーを計算するという方法に変えていくというようなこと。
 一番下の炭水化物にあっては、今まで全体一つであった炭水化物について、利用可能炭水化物と食物繊維、糖アルコールといった消化性の低いものと分けて、エネルギー換算を……。すみません。私の手前の機種がダウンしました。それでは、説明を続けさせていただきます。
 エネルギー産生、エネルギー計算のやり方を変えましたということで、特に炭水化物の消化性の違いに応じた換算をしているということで、より実態に近いキロカロリー、キロジュールの表記ができるようになったと考えていただきたいと思います。
 5ページ目の一番下に書いてありますが、この取組は公的な参照データである成分表の科学的な確からしさの向上を目指すものでありますということでございます。実は、例えば食品製造の現場等においては、従来のたんぱく質、脂質を計測し、それに4:9:4という従来のアトウォーター係数という簡便な係数を掛けてエネルギー計算するという例も実際には多くございまして、成分表は成分表として、キロカロリー、キロジュールを精緻に出すという取組を進めますが、これが現場で行っているような4:9:4というアトウォーター係数を利用した簡便なエネルギー計算のやり方を否定するようなものではないということでございます。
 それから、6ページ目に移らせていただきます。6ページ目は追補の取組。食品成分委員会の先生方、それから、資源調査分科会の先生方に毎年お世話になって出させていただいておりますが、ここ過去4年間の追補で、延べ416食品の成分値を書き換えることができております。全体、今、2,478食品ということでございますので、それの5分の1弱のものが書き換わってきているということでございまして、こうなってくると、全体の整合化をこの時点でもう一回図っておいたほうがいいのだろうというのが我々の考え方でございます。
 参考7の一番上の箱に書いてあるように、例えば卵1つの成分値を書き換えるということになりますと、実は成分表の2,478の中には、卵を使って計算から出している食品というのはたくさんございます。ここに書いてありますとおり、だし巻き卵でありますとかカステラ、こういったようなもの、総計81食品の成分値が卵の成分値を書き換えたことによって、書き換わってくるということでございまして、今回、八訂の際にここら辺の見直しも行っておりますということでございます。
 そのほか、食品数の充実だけではなくて、一番下に書いてあるとおり、追補の過程で検討していただきました、例えばナイアシン当量といった成分、あるいは食物繊維の測り方の中で、低分子量のオリゴ糖などを含めて測定するような方式を導入といったことにも対応しておりまして、それぞれ各組成の成分項目の中でも反映させていただいているということでございます。
 すみません。長くなりますが、次に、資料1-2を御覧いただければと思います。先ほどの論点の2番目で申し上げました、炭水化物を細かくし、さらに、そのエネルギー計算の仕方を変えましたという方式でございます。
 本表の表と2020年版(八訂)が上の段、それから、これまでの成分表の表頭が下の段の形で、何が変わったかということを一番下の欄に箇条書をさせていただいております。
 まず1点目といたしまして、エネルギー計算の変更に伴って、その基礎とするアミノ酸組成によるたんぱく質とか脂肪酸のトリアシルグリセロール当量、利用可能炭水化物、食物繊維など、エネルギー計算により原則的に使われる成分について、エネルギーに近い側、左側に配置しましたということでございます。
 それから、利用可能炭水化物、先ほど来申し上げております、より消化性の高いでん粉、二糖、単糖といったような炭水化物につきましては、分析による単糖当量、質量計のほか、組成分析による成分が不確かな場合にエネルギー計算に使用する差引法による利用可能炭水化物というものを設けております。
 それから、3点目といたしまして、これまで脂質の中に収載していました飽和・不飽和脂肪酸につきましては、成分表自体は同じ食品番号の食品については一体としてみなすことができるのですが、脂肪酸の成分表のほうに、この項目は移しているということでございます。逆に言えば、より一体的に組成の成分表のほうも使っていただくような形になってくるのかなと思っています。
 それから、4点目といたしまして、食物繊維について、水溶性、不溶性の別に記載していたものを総量のみと本表上はしております。ただし、これもマル3と一緒で、詳細は炭水化物成分表に記載するという構造になっております。
 それから、5点目といたしまして、糖アルコール、有機酸につきましては、今回からエネルギー産生に関与させる仕組みといたしましたので、これまで炭水化物成分表だけに載っていたんですが、本表のほうにもこの成分値を収載するということにしております。
 それから、6点目といたしまして、アルコール、これも従来からエネルギー産生に関与する成分という形で整理されておりますが、本表に成分値を記載するということでございます。
 それから、7点目といたしまして、単位欄の下に新たに1行、欄を設けております。本表(八訂)の単位欄の下でございますが、黄色い行があるかと思いますが、そこはFAOの推奨するTagnamesいう食品成分の国際的な共通コードがあるんですね。これを引用した食品成分識別子というものを表記することにしましたということでございます。
 以上が表頭項目の変更でございます。
 各成分表の目次が資料1-3から1-6まであるわけでございますが、要点だけかいつまんで御説明させていただきます。先ほど来のポイントからいきますと、まず本表、資料1-3の目次を見ていただくと、1ページ目の中段に炭水化物の内訳がこういう形でいろいろ載っているということでございます。
 それから、2ページ目にいきますと、2ページ目の下3分の1ぐらいに調理済み流通食品を載せるということで、調理済みの情報を充実するということの一環として、調理に関する係数、食品、5)の食品の調理条件でありますとか、6)の調理に関する計算式、それから、7)で揚げものと炒めものの脂質の変化、それから、8)で調理による成分変化といったものを載せているということでございます。
 それから、3ページ目に参りまして、成分表本体でいきますと、安井主査からも御案内がありましたとおり、従来の18群が調理済み流通食品類という名前に変更されておりますということでございます。
 それから、一番最後のページでございますが、参考資料集といたしまして、食品群別の留意点、これもかなり詳細に書き込んでおるんですが、その下の2というところでございますね。食品成分表2020年版と15年版の計算方法によるエネルギー値の比較、2015年版で適用したエネルギー換算係数ということで、エネルギー計算の方法を変えましたということで、では、実際、七訂で算定していたエネルギー値とどれぐらい変わるんですかということを食品ごと、2,478食品ごとに比較した表をここに載せさせていただいているということでございます。昨年段階の試算では、大体100グラム当たり平均でマイナス12キロカロリーぐらい新しいエネルギー計算の方法のほうが下がるという試算をしておりますが、今回、若干その数値、計算式の当てはめのための峻別式を見直した関係で、100グラム当たり、全体でマイナス9キロカロリーぐらい、七訂のエネルギー値よりは下がるという格好になってくるかと思っております。
 以上が本表の内容でございまして、組成成分表につきましては、大体従来と同じような形で収載させていただいておりますので、説明は割愛させていただきます。
 私からは以上でございます。
【宮浦分科会長】  ありがとうございました。
 今回の改訂につきまして、安井主査から各成分表の取りまとめに係る経過と結果の御報告をいただきまして、また、松本室長からは、改訂内容のポイントも含めまして御説明をいただいたところです。
 続きまして、主査代理でございます渡邊臨時委員から補足説明をお願いできますでしょうか。
【渡邊臨時委員】  渡邊でございます。ユーザーの立場から成分表を見てみると、例えば、追補のときに値が変わったものを成分表2020での変更ということであると、うるち米の御飯、飯というのがあります。私たちが普通に食べている白米、白飯なんですけれども、それの食物繊維が100グラム中、成分表2015では0.3グラムだったんです。今度の成分表では1.5グラムになるので、大体、日本人が御飯を1日、平均で300グラム食べているので、そうすると、4.5グラムの食物繊維が摂取できるということになります。今まで白い御飯を食べても、あまり食物繊維は当てにならないみたいに思われていたところが、新しい成分表では食物繊維の分析法が変わって、それが反映されているので、白い御飯を食べても食物繊維が十分取れるということが分かるようになったりしています。
 また、お手元のこちらの食品成分表2020の横開きの表があるんですが、例えば、これの31ページの後ろから、調理方法の概要と重量変化率を一つの表にまとめたものがございます。横開きのA4の31ページの次のページからです。今までは、調理すると、例えば御飯は100グラムが210gになるとか、ホウレンソウをゆでると絞るから70gになるとか、その重量が変わるという表と調理方法の表がばらばらだったんです。成分表2020では、その表が一緒になったので、こういうお料理をすると、こんなふうに重量が変わるということが一覧で見れるようになり、そして、調理方法も今までより詳細に記載するようになりましたので、ユーザーとしても分かりやすくなったんじゃないかなと思います。
以上でございます。
【宮浦分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、各資料につきまして、御意見、御質問などございましたらいただきたいと思います。皆様いかがでしょうか。ミュートを外していただいて、お名前を言って、御質問ください。どうぞ。
【白波瀬委員】  白波瀬です。大変御苦労さまでした。ありがとうございます。いろいろ詳しく、毎年この報告が何か個人的にとても興味深くて楽しみにしています。2点質問させてください。
 正確さ、確からしさという言葉であるんですけれども、ここは再確認なんですけど、確からしさというのは細分化するということと連動しているという意味での確からしさということなのか。中身を細分化してもらうと、異なる材料間での組み合わせも可能となり、ユーザーとしては正確さが増えると、そういうふうに解釈してもよろしいでしょうか。
 あとは、こういうふうに毎年分析手法も精緻化され、いろんな意味で、計算方法も含めて、あるいは分解する機種も更新されていると思うんですね。すると、過去の結果との整合性というか、時系列的に一律な基準がないわけですから、過去との比較可能性はここでは優先事項ではないということになりますね。
 【宮浦分科会長】  ちょっと音声が一部切れておりましたが、安井先生あるいは渡邊先生からコメントいただけますでしょうか。
【安井臨時委員】  安井から、確からしさのお話をいたします。各成分についての分析方法は、妥当性が確認された方法で行うということで、その点での成分値の正確さ。それから、トータルとして、水分を除いた乾物量に対して各成分の質量を足したときに、それが乾物量の割合に応じて設定した範囲に入るかどうかということで、正確さの判定をしておりまして、その中に入る場合には各成分の値でエネルギーを計算していますが、それから外れる場合には、別の方式を使って、従来のエネルギー計算も勘案して計算するということで、エネルギー計算を2つの方法に分けて、より正確な値が出るような形で出しております。
 2番目については、渡邊先生、お願いします。
【白波瀬委員】  ありがとうございます。
【渡邊臨時委員】  すみません。2番目のほうがよく聞こえなかったので、もう一度お願いできますか。
【白波瀬委員】  ごめんなさい。やっぱり日進月歩で算出方法も精緻化されて、いわゆる正確さとか、測定対象の中身もいろいろ異なりますし、今回は調理法と一緒掲載していただいているというのは、ユーザーとしてとてもいいと思います。その一方で、計量の仕方がやっぱりこれだけ日進月歩で変わってくると、どんどん過去との違いが大きくなるような気がします。そこはもう最新のもので更新するということでもう割り切って、それぞれの数値を解釈してもいいということですよね。ですから、きっと、最新のものを使ってくださいということなんですよね、という確認です。
【渡邊臨時委員】  ありがとうございます。例えばサラダなどでも、家庭でやっている洗浄方法と、コンビニで売っているサラダ、あるいはキャベツの千切りとかは洗浄方法が違っています。そういったことについても成分表では、予備調査で調べたりしているんですね。世の中がやっぱりいろいろ変遷していくことに伴って、成分表も調理方法、例えば電子レンジ調理が増えたり、でも、電子レンジは家庭ではできるけど、給食ではできない調理なんですよね。
 そういったように、様々なものを工夫して、昔をたどれば、電気炊飯器がIH炊飯器になったりと、そういったところも成分では、比較しながら、これもこれに代用できるということも検討して収載しています。ですから、一番新しい成分表を使っていただければ、今、私たちが食べているものにほぼ合っているというふうに委員会としては考えていますので、新しい成分表を常に使っていただければ、策定しているほうとしてはうれしいです。
【白波瀬委員】  ありがとうございました。
【宮浦分科会長】  ありがとうございます。バージョンアップという意味では、これまで同様、今後も追補等で追加していくことになろうかと思いますので、これをもって終了ではなく、追加が行われると理解させていただいております。
 ほかに御質問、御意見いかがでしょうか。
【渡邊臨時委員】  私からの質問、いいですか。
【宮浦分科会長】  渡邊委員、どうぞ。
【渡邊臨時委員】  私から質問するのは変なんですけど、先ほど室長からお話があった成分表の公表方法で、ホームページで公開するほか、民間事業者による書籍化とあるんですけど、これまで全官報で出してくださっていた冊子の形での販売というものはどういうふうになるのかとお聞きしたかったので、お願いいたします。
【松本室長】  すみません。役所と民間事業者の関係について整理して御説明させていただきます。従来から審議会報告の完本といいますか、完全版につきましては、全官報さん。古くは印刷局の時代からお世話になっているということでございますが、今回、契約の方式を若干、現代的に見直しまして、いわゆる編集、原稿整理業務の部分について、実は全官報さんとの間で契約を結んで、整理業務を行っていただいております。
 その後の、いわゆる審議会報告の発刊という部分につきましては、もうこれは民間の業務ということになってくるかと思いますが、聞いているところによりますと、全官報さんのほうから、審議会報告にほぼ近いものを発行する予定だとは聞いております。
【宮浦分科会長】  よろしいでしょうか。
【渡邊臨時委員】  ありがとうございました。管理栄養士とか栄養士の養成校では教科書として使っているところもあるので、これが販売されないと困るなと思ったのでお聞きしました。どうもありがとうございました。
【宮浦分科会長】  紙媒体が有効な部分もあると思いますので、電子媒体はもちろん行き渡っておりますけれども、紙媒体につきましても今後も発刊いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 その他いかがでしょうか。御意見、御質問ございませんでしょうか。
【石見臨時委員】  すみません。石見です。よろしいでしょうか。
【宮浦分科会長】  はい。石見委員、お願いします。
【石見臨時委員】  今回、一番大きな点は、エネルギーの計算方法が違う、変更されたということで、先ほど室長から、全体でマイナス9キロカロリーというお話があったんですけれども、細かいことなんですけども、どんな食品で一番差があったのか。そして、最大と最小の振れ幅ですよね。平均でマイナス9というのは分かるんですけれども、どのぐらい変更があったのかというところを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【松本室長】  すみません。実はこの振れ幅については、安井委員あるいは渡邊委員と共有いたしまして、若干考察をさせていただいております。その中で、昨年度の段階での整理でいきますと、大体一番大きく下がるものといたしまして、お茶の葉っぱですね。これはお茶の葉っぱの成分値、いわゆる浸出液じゃなくてお茶の葉っぱ自体の成分値が載っておるんですが、この成分値の炭水化物のほとんどはお茶っ葉の中に入っておりますセルロースでございます。
 そういったことで、これが食物繊維として評価されることによって、従来そこに4の係数が掛かっていたものが2倍相当しか消化されないという評価になりますので、ここのエネルギー値が大きく下がるということが分かっておりまして、今回、いわゆる分析誤差の評価を少しきつめにして、12キロカロリーから9キロカロリーぐらいの従来からの下げに変わりましたという状態でございましたという報告をさせていただきましたが、この特異的に大きくなる、あるいは特異的に小さくなるという食品については、昨年度考察させていただいたものとほぼ変わりがないと理解いただければと思います。
 今、手元に数値を持っておりませんので、詳しくは昨年度の審議会資料あるいは学会誌に投稿させていただいておりますので、その情報を見ていただければと思っております。
 以上でございます。
【宮浦分科会長】  よろしいでしょうか。
【石見臨時委員】  ありがとうございました。もう一つあるんですけれども、食物繊維の分析方法が大きく変わったということも特徴的かと思うんですけれども、これについても低分子のオリゴ糖などを含めてということで、先ほど渡邊先生からお話あったように、めし食物繊維の値が0.3から1.5になったということで、かなり大きく変わったと思うんですけれども、大きく変わった理由としては、低分子のオリゴ糖、それから、レジスタントスターチも測れるようになったということで、ほかに大きく変わった特徴的な食品がありましたら教えていただければと思います。
 以上です。
【宮浦分科会長】  いかがでしょうか。
【松本室長】  ちょっとお待ちください。すみません。実はそこの比較につきましては、先ほど説明を割愛させていただきましたが、炭水化物成分表の中に、実は食物繊維の、いわゆる従来のプロスキー変法で測った数値、それと、新しく2018年から導入しております、いわゆる低分子水溶性のものまで測り込むAOAC法、2011年のAOAC法で測ったものの比較を載せております。ここには従来からプロスキー変法で測っております食品がもう1,400ぐらいありますので、その横にAOACの値があるものについては併記させていただいているという格好になります。
 その中で特徴的なものを挙げさせていただきますと、まず2018年に、たしかジャガイモについて検証しているかと思っておりますが、水煮のジャガイモで見ますと、大体プロスキー変法で測った場合に1.6グラム・パー・100グラム。新法で測り直した場合に、これが3.1グラム・パー・100グラムなりますということで、これも大体倍ぐらいの大きさになっているということでございます。
 その内訳を見ますと、いわゆる低分子量の水溶性というものが新たに液体クロマトグラフで測って足すような形になりますが、これが新しい方法で0.5グラム検出されておりますので、ここの部分は全く新しくアドオンされている数字、水準なのかなという構造でございます。
  それから、もう一つ例を挙げますと、たしか豆を測っているかと思うんですが、小豆の乾物についても検証しておりまして、これについては、従来法は15.3グラムに対しまして、新法では24.8グラムぐらい。ここも10グラムぐらい増えておりまして、これについては、低分子量水溶性が5グラムで、そのほかに不溶性の画分が大体、差分でいきまして3グラムぐらい増えているという構造になっているということでございます。
 いずれにいたしまして、ここら辺の低分子量水溶性の部分というのは、今まさしく分析を進める中で先生方とも議論させていただいているのは、糖アルコールみたいなものとどう分けていくかとか、かなりマージナルな部分も出てくるかと思っておりますので、そこら辺のいわゆる全体像の見方については、また、成分委員会の中でしっかり議論いただく必要があるのかなと思っております。
 以上でございます。
【宮浦分科会長】  よろしいでしょうか。
【石見臨時委員】  ありがとうございました。あと一つ、すみません。成分表は、今般、栄養成分表示が義務化になったので、新しい成分表を活用して表示することも多々あると思うんですけれども、食物繊維はかなり変わったということなんですが、従来の脂質炭水化物、そして、たんぱく質の値も出ているということで、大きな混乱はないと考えてよろしいんでしょうか。
【松本室長】  石見先生御指摘のとおり、従来からの古典的な成分値、これは継続して載せておりますので、食品表示法のガイダンスが変わらない限りにおいては、その古い成分値のところを参照していただくのかなと。先方の分析通知というもので測り方は規定されていると思うんですが、その規定に従って、従来のもの、あるいは新しいものに切り替わったという場合には、それに従って新しいものというものを見ていただくような構造にはなっております。
【石見臨時委員】  ありがとうございました。
【宮浦分科会長】  そのほか、御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、御意見ありがとうございました。今回の改訂につきまして、お手元にございます各成分表(案)のとおり、日本食品標準成分表2020年版(八訂)と、アミノ酸成分表編と、脂肪酸成分表編と、炭水化物成分表編につきまして、資源調査分科会報告として了承することとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 はい。ありがとうございます。
 なお、もし若干の修正が必要なことが発生いたしましたら、それにつきましては、安井主査に一任したいと考えますが、いかがでしょうか。
 はい。ありがとうございます。それでは、各成分表(案)につきまして、資源調査分科会報告として了承させていただきます。
 事務局は、本案につきまして、公表に向けて手続を進めていただくようよろしくお願いします。
【松本室長】  はい。
【宮浦分科会長】  それでは、よろしくお願いします。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。その他となりますが、事務局のほうで何かございますでしょうか。
【松本室長】  事務局から、資料2-1と2-2というものを用意させていただいておりますので、この説明を若干させていただければと思っております。
 具体的には、毎年度、調査予算をつけていただきまして、その範囲内で計画的に分析調査を進めさせていただいておりますということでございます。2021年度につきましても、調査予算をいただいておりますので、この中でどのような食品について調べていくかということについて、大筋を御説明させていただいた上で、具体的には、専門委員会の先生方と御議論させていただければと思っております。
 資料2-1にありますとおり、分析計画といたしまして、現時点では検討中のものもありますが、予算規模に応じて、毎年、大体100食品程度、来年度につきましても、大体それと同規模の予算を頂戴できましたので、資料2-2に具体的には食品名が載っておりますが、具体的に重点を置くようなものということで考えさせていただきますと、この(1)から(8)のような形態のものをお調べさせていただこうと思っております。
 それから、2点目といたしまして、食品成分委員会の運営でございます。これは実は2021年、科学技術・学術審議会の改選の時期に当たりまして、2月以降、また新たな資源調査分科会の先生方、あるいはその下で食品成分委員会の設置、専門委員会の設置をお認めいただけましたら、その中で具体的な運営方針、あるいは先ほど宮浦座長からありましたように、今後の毎年の追補をどうしていくのかといったようなことについて御議論いただいていくのかなと思っております。
 それから、脂質、脂肪酸等の分析方法の見直し、さらには、ここは具体的には新しい委員会の中でということになってくるかと思いますが、中長期的な論点の整理ということをしていく必要があるのかなと考えております。
 私からは、当面の作業計画について御説明させていただきました。以上でございます。
【宮浦分科会長】  御説明ありがとうございました。食品成分委員会の検討状況の御報告とともに、今後の方針等でございます。ただいまの御説明について、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
 それでは、令和3年度食品分析につきましては、分析予算も考慮しつつ、最終的に調整していただきまして、計画的に取り組んでいただくようよろしくお願いいたします。
 そのほか、何かございますでしょうか。
 では、事務局のほうでお願いいたします。
【松本室長】  それでは、私から最後に。各成分表(案)につきまして、本日の資源調査分科会で御了承いただきました。誠にありがとうございます。
 各成分表につきましては、今後、所要の手続を進め、12月中に文部科学省のホームページ上で公表を予定しておりますということで、先ほどの資料1-1でも25日予定という形で、今、調整中でございますので、そのタイミングで公表されるということを先生方には御了解いただければと思っております。
 また、本日御了承いただきました報告につきましては、しかるべく次回の科学技術・学術審議会総会の報告事項となりますことを御了解いただければと思います。
 以上でございます。
【宮浦分科会長】  ありがとうございました。それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。御協力いただき、誠にありがとうございました。
【松本室長】  ありがとうございました。


(科学技術・学術政策局政策課資源室)