第八期食品成分委員会(第11回) 議事録

1.日時

平成28年2月12日(金曜日)

2.場所

科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 今後の課題と対応方向について
  2. 平成28年度分析食品について
  3. 有機酸の分析について
  4. その他

4.出席者

委員

安井(明)主査、渡邊主査代理、東委員、生駒委員、石見委員、小河原委員、齋藤委員、佐々木(啓)委員、佐々木(敏)委員、鈴木委員、関谷委員、長尾委員、野村委員、本田委員、村田委員、安井(健)委員

文部科学省

河合資源室長、猪股補佐、他

オブザーバー

岡崎元委員、高橋文人氏

5.議事録

科学技術・学術審議会 資源調査分科会 食品成分委員会(第11回)

平成28年2月12日

 

 

【安井(明)主査】  それでは、時間になりましたので、ただいまから第11回食品成分委員会を開催いたします。委員の皆様には、御多忙の中、御出席いただきましてどうもありがとうございます。

本委員会の議事については、全て公開となります。後日、議事録がホームページに掲載されますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。

本日は、これまで食品成分委員会の委員として在籍されました岡崎先生にオブザーバーとして御出席いただいておりますので、皆様に御紹介いたします。

また、オブザーバーとして日本食品分析センター多摩研究所の基礎栄養部ミネラル分析課の高橋課長に御出席いただいておりますので、皆様に御紹介いたします。

それでは、委員の出欠状況、配付資料の確認について、事務局からお願いいたします。

【猪股補佐】  はい。本日の委員の出欠状況でございますけれども、大坪先生、久保田先生、瀧本先生におかれましては残念ですが、所用のため御欠席となってございます。それから、佐々木敏先生におかれましては、今、所用のため少し遅れているようでございます。

それでは、配付資料の確認をいたします。お手元の議事次第に配付資料を掲載してございます。まず、資料1としまして「日本食品標準成分表の更なる充実に向けた今後の課題と対応方向について(案)」、資料1別紙としまして、「今後の課題と食品分析の見通し(案)」、それから、資料2としまして、「平成28年度食品分析について(案)」、その後ろに、A4横書きで、資料2-1「既収載食品の分析(案)」、資料2-2としまして「新規収載食品の分析(案)」、そして資料3「有機酸の分析について(案)」、その後ろに別紙としましてA3判の「食品群ごとの有機酸の含有レベル」の表がついております。その後に参考資料1としまして「収載依頼食品の受入れについて」、参考資料2としまして「主要な栄養成分の摂取量順位(平成24年度調査)が、つけてございます。そのほか、議事次第の中に書いてありますとおり、机上配付資料を、資料1から資料2-1、資料2、机上配付資料3ということでつけてございますので御確認いただければと思います。もしも欠落しているものがございましたら事務局の方に言っていただければすぐにお持ちいたしますのでよろしくお願いいたします。以上でございます。

【安井(明)主査】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。

それでは、議題に入ります。議題1、資料1、資料1の別紙、それから参考資料1について、事務局より説明をお願いいたします。

【河合室長】  それでは、まず、資料1に沿いまして説明をさせていただきます。「日本食品標準成分表の更なる充実に向けた今後の課題と対応方向について(案)」ということで資料をまとめました。

この中では、短期的課題として、早速、今から、そして来年度、28年度に着手するものと、28年度中に十分に戦略を検討して、それ以降、次の成分表に向けて作業をするものということで、短期的課題と中期的課題に分けて整理をしております。

まず、短期的課題の方から御説明をさせていただきます。平成28年度から着手をしたいものの1番目としては、新しい食物繊維の分析方法、AOAC2011.25に対応した分析の妥当性検証と食物繊維の再分析を行う食品の選定を考えております。28年度の調査事業において、どういったものについてこの新しい分析方法を適用していくべきなのか、そして、はっきり申し上げると、この新しい方法は非常に高価な方法になっておりますので、全部やるととても大変ということで、どういったものを最低限、しかし必要なものは必ずやるということで食品を絞り込みたいと思っています。この調査事業の成果を踏まえて、29年度以降、該当する食品の食物繊維を再分析していきたと考えております。

ちなみに、ほかの理由で再分析が必要なものも、一遍に収集して一遍に分析をした方が効率よくいきますので、食物繊維を多く含むもので、しかも新しい分析方法でなければ分析できないと考えられるようなものは、優先順位が高いものでも29年度からの分析とさせていただきたいと考えております。

次に、次期改訂に向けた質の高い食品成分データの蓄積ということで、(1)から(5)までに書いてあるものです。当然この先も新規食品を増やしていく、あとはやはり調理後の食品もまだ課題があるものもありますので、「焼き」や「ゆで」などを追加したほうがいいというものもあれば積極的に対応していきたいと思います。

それから、有機酸の組成を含む炭水化物の組成、アミノ酸組成、脂肪酸組成の収載値の増大ということで、今はまだ推計値で埋まっているものもかなりありますし、消費量が多いのに対応できていないといったものもございますので、こういったものについては積極的にやっていきたいと思っています。また、既収載食品の再分析として、成分値に疑義があるものが今後あればということと、今までの2015年版の作業で三訂までのデータは全てもう置き換えが終わっているのですけれども、四訂のデータであっても、例えば脂肪酸などは測定している項目が少なかったり、品種が大きく変わっているものであって、変えたいといったものも当然あると思いますので、古いものや、特に重要な食品については分析をして見直しをしていくといったような作業が必要ではないかと考えております。

それから、加工食品で、最近は減塩が進んだり、甘さも大分控えめになっているということで、今、流通しているものが収載されている成分と本当に合っているのかという目で見ていかなければいけないと思います。一方で、加工食品は、ナトリウムを食塩相当量にしたものの表示が義務化されますので、実際に栄養計算をするときにはその表示を見ればいいという考え方もありますので、どれぐらいの優先度があるのかというのは適宜、御判断をいただければと考えています。

それから、今、別途の調査事業で脂肪酸の分析方法、それからヨウ素の分析方法、特に魚介類が中心となっておりますが、それについて分析方法から見直しをすることをしております。ここで新たに妥当性が確認された方法があれば、必要なものから再分析をしていくことも必要かと思います。

それから、だんだん細かい話になりますが、今、炭水化物成分表ですと、でん粉の中にグリコーゲンが含まれたかたちで収載しています。グリコーゲンを多く含むもので分析をしていないもがあれば、分析をしていった方が、これから単糖当量を積み上げるときに正確な計算ができると思います。グリコーゲンを多く含むものは、一つはキノコ、もう一つは動物性の食品で、レバーのようなものが考えられますが、今まで動物性食品は、フライ等以外は炭水化物組成を分析したことがないのですけれども、必要なものがあればやっていきますので、先生方からも御意見を頂ければと思います。

それから、もっと細かくなりますが、酢酸と有機酸を多く含む食品で、酢酸でHPLC(高速液体クロマトグラフ)で量っていないものはやり直さなければいけないのではないかといわれています。ただ、酢酸と有機酸を同時にすごくたくさん含む食品はそんなには多くないかもしれませんが、少し気をつけて見ていきたいと思います。

それから、あとは微量5成分が未測定の食品で重要度の高いもの、あるいは、これは先ほどの組成の成分にも重複しますが、推計値で出ているけれども、分析値でもう一度きちんと確かめたいものというものは追加分析をしていきたいと思います。

それから、5番は要検討食品なので中期的課題の方なのかもしれませんけれども、成分表で果たしてこれをやるべきなのかということも含めて御意見を頂ければと思います。利用度の高い栄養補給食品、商品名はちょっと挙げづらいのですけれども、黄色いパッケージのものを想像していただければと思います。それに類似のもので何とかバーといった食品も大変消費量が多くなっているものをどうしていくのか。

それから、今回は余りたくさんできなかったのですけれども、地域独特の食品、伝統的な食品、それから、少数民族の食品ということで、これは国際的にもインディジナスフードということで、土着の食品について栄養的な価値の高いものというのは残していった方がいいのではないかということで、御提案を頂いています。伝統食品と言えば、ふなずしのような発酵食品がまだ余りカバーされていないので、そういったものも挙げられると思いますし、少数民族の食品ということですと、オオウバユリのでん粉とかヤブマメの地中果などが例示として挙げられます。後半は、今、文化庁の方にもちょっと問合せをしているのですが、もし問題があるとすれば試料が調達できるのかどうかという実現可能性の話もありますので、少し事務局で預からせていただければと思います。また、該当する作業部会の中で御意見を伺っていきたいと思います。

繰り返しになりますが、28年度は食物繊維が余り差し障りにならないようなものから分析をスタートできればと考えているところです。

2ページ目に行きまして、その他、もし御了解がいただけるなら着手を考えていきたいということを書かせていただきました。まず、毎年度データの公表の扱いということで、既に27年度の調査事業におきましても、前半分析したものは2015年版の成分表に載せているのですが、後半に分析した食品、例えばチューハイなどがこれに挙げられるのですが、今、続々と分析値が上がってきております。また28年度についても分析をすればそれが上がってくるのですが、せっかくできたデータを2020年まで事務局が持ったままでいいのだろうかと思うと、せっかく分析したのなら出してもいいのではないだろうかということを考えております。例えば、暫定版という形で、今までと同じような形で作業部会で内容を御検討いただいて収載値案をつくっていただいて、書籍ではなく電子版で追加版という形で毎年出していって、5年間の分をまとめて、またそのときにはエネルギー、そのほかいろいろな検討課題があると思いますので、本にするときに集約するという形の方を、一遍に5年分をまとめて成分表にするのはとても大変だということがよく分かりましたので、御了解いただけるのであればやっていきたいと思うので、これも御意見を頂戴できればと思います。

それから、メールで御相談をさせていただきましたが、ビオチンの0の定義の見直しということで、今まで最少記載量の10分の4未満、又は検出されなかったことが0の定義だったのですけれども、今、分析の方の検出限界の運用が10分の3になっておりますので、そのほかの微量成分と合わせて、これを10分の3に改正したいと考えております。

それから、脂肪酸等のクロマトグラムにおける未同定ピークの扱いということで、これは脂肪酸とか糖、有機酸でも、当初、オーダーしていなかったものでピークが大きく出る場合があります。これは、実は、きちんと何なのか突き止めておかないと、例えば、単糖当量ですとか、トリアシルグリセロール当量を計算するときに、低い値にアンダーエスティメートされてしまいます。こういったものについては、まず未同定ピークが、ある程度あれば分析機関から報告をもらう。それをどうするかということをまた検討していただくというような形にできればと考えているところです。

それから、4番目は、ちょっと長い、いつ終わるとも知れない宿題になりますが、収載値の根拠となるデータをもう少し体系的に整理したい、できれば電子的に整理したいと思っています。ある食品の何という成分は、どのデータを使って決定したのかというところが紙で残っているものばかりで、私たちも毎度大変苦労しているので、できるものからこれは整理していきたいと思っています。

それから、国際協調ということで、LanguaL(ランギュアエル)という食品を記述するコード、国際的なシソーラスを食品につけていったりとか、翻訳をしたり、国際的な情報共有を一層進めるといったことをしていきたいと考えています。

6番目、これは栄養関係の先生方の御意見を是非お伺いしたいのですけれども、今、可食部100グラム当たりの成分表が出ているのですけれども、これを100キロカロリー当たりとか、あるいは、よく食品交換表(一般社団法人日本糖尿病学会編:Food Exchange Lists)で使われる80キロカロリーとか、たんぱく質何とかグラム当たりの成分値みたいなものを、事務局が持っている生の四捨五入する前の数字を持って計算をして公表をしてもいいのではないかという御意見を頂いているところです。計算すること自体は、最少記載単位さえ決めていただければそんなに難しいことではないのですけれども、それを国が出す必要があるのか、出すとしたら何が必要なのかということについて、是非、御意見を伺えればと思います。別に出すのが嫌だというわけではないのですが、せっかくでしたら、役に立つものを出したいと思っています。あるいは、この類いのものは、今もう既にエクセルデータが世に出ていますので、そこで計算してもそんなに大きな誤差は出ないから、その程度でいいよということであれば、それはそういう御判断もあろうかと思いますので、是非、御意見をお願いします。

7番は、外部からの分析値提供に関する取決めの周知ということで、これは参考資料1に一昨年、第9回の食品成分委員会で決めた「収載依頼食品の受入れについて」という1枚紙を参考資料1としてお配りしています。これは、既に委員会で決まったことということで、委員会の資料としてはネットに載っているのですけれども、特に積極的に周知はしていなくて、聞かれたら渡すような形にしておりました。2015年版で運用をしてみて、そんなに変なことにもならず、質の高いデータを提供していただけていると思っていますので、例えば、資源に関する取組のホームページに載せて、誰でも見ることができて、私たちも積極的に御案内できるようにするべきなのか、それとも、まだ聞かれたら答える程度にするべきなのか、これについてもまた御意見を頂戴できればと思っています。ここまでが短期的な課題です。

次に中期的な課題、これは関係の作業部会、特に企画作業部会などを中心に御意見をこれから伺っていくことになると思いますが、この場でも御意見がありましたら、是非お知らせください。

「Key Foods approach」という久しぶりに出てきた言葉なのですけれども、例えば、外国では、全部の食品をモニタリングする、あるいは細かく分析すると大変なので、よく使われる、よく食べられる食品であって、主要な栄養成分の主な摂取源になっている食品をKey Foodsということで指定して、それを重点的にお金を掛けるというアプローチをとっています。USDA(United States Department of Agriculture:米国農務省)では、主な成分の75%の摂取源となる食品をKey Foodsとして特定して、定期的にモニタリングをしているというような情報が得られています。ただし、米国のKey Foodsを見てみたら、ピザとかバニラアイスとか、日本で想像しているものとは割と違うものが入っていまして、なかなかお国柄を感じさせる加工食品が多い内容になっていました。

私たちの成分表2015年版においても、厚生労働省の食事調べのデータが、平成24年度から食品番号別に申請をすれば使えるということが始まっていますので、エネルギー産出栄養素についてはこれで一度、主な摂取源となる食品を調べて、アミノ酸成分表や脂肪酸成分表の作成にあたっては、これを大いに参考にしたところです。この先も、毎年の食事調べのデータがやはり同じように手に入ることが分かりましたので、ほかの成分も含めて、Key Foodsをリストアップして、特にデータをとり直した方がいいものとか、あるいは、新しく測った方がいいものというものの検討に資するのではないかと考えています。

今はまだ作業が全部間に合っていないのですけれども、参考資料2として、平成24年度の調査を基に幾つかの栄養成分についてランキング、これは75%をカバーする食品までを切り出してみました。このデータに弱点があるとすれば、食事調べが、ある一定の季節に偏っているので、季節的なバイアスがなくはないのですけれども、大きく見ればかなり食品の摂取源になっているものを把握するにはいいデータになっていると思いますので、是非、こういった仕事をもう少し複数年のデータで積み重ねていければと思っています。

ちなみに、机上配付資料の2-1、2-2、これはエネルギーやそれぞれの栄養成分別になっていますけれども、延べでKey Foodsっぽいものを作ってみると約2204食品になりましたので、お知らせします。今回選んだ食品成分は、事務局が勝手に決めたので、いやいや、これではなくてもっとほかにKey Foodsがあるでしょうというものがあれば、どんどん追加することはもちろん可能です。今のところ、栄養士さんがよく使われるとされている栄養成分を主に選んでみましたので、ほかの成分表も必要ということであれば、御意見をください。

ただ、一つだけ、ヨウ素のような微量成分は測っている食品数が少ないので、このKey Foodsで同じ仕事をしようとすると漏れてしまう食品がたくさんあります。ちなみにヨウ素だけは、この後の作業もあるので机上配布資料の3で出してみました。ただ、ヨウ素は、ほとんどのものを昆布が持っていってしまって、そのほかの食品を量ることの栄養的な意味について、やや、事務局としても物悲しい気分になっているところではありますが、こういった結果になっています。

こういったことを今後、作業部会の中でも見て、例えば、先ほど申し上げた古いデータを見直していくものは、このKey Foodsの上位にあるものから、プライオリティがあるのではないかという考え方もできるのではないかと思っているところです。

それから、エネルギーの再計算についてです。これもしばらく前からずっと議論があったところなのですけれども、現行のエネルギーの算出方法の課題を整理すること。それから、あと、諸外国とか国際機関がどのように対応しているか、情報収集をして、異なる算出方法で試算を行ったり、今後の方向性を検討する必要があるのではないかと思っています。

若干、復習をしますと、FAO(国際連合食糧農業機関)では、技術レポートで、たんぱく質についてはアミノ酸によるたんぱく質で計算をし、脂質についてはトリアシルグリセロール当量で計算をし、炭水化物については差引きではなくて利用可能炭水化物を単糖当量にして計算して、それぞれの係数を掛けてエネルギーを出した方がいいのではないかという推奨レポートが出ておりました。ただし、炭水化物については多くの国がそのやり方をもう採りつつあるのですけれども、アミノ酸によるたんぱく質で計算をしている国というのは、私はまだ一つも見つけたことがなくて、トリアシルグリセロール当量についても、私はまだ見つけたことがなくて、どうもこれは予算的な問題とか実現可能性の話だと思うのですけれども、世界の潮流にその方法がなっているかというと、まだそこまでは行っていないと思います。そのかわり、同レポートで推奨はされていないけれども、許容されている今までどおりのたんぱく質とか脂質を使った計算というのが主流になっていて、コーデックス(FAO及びWHO「世界保健機関」により設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格(コーデックス規格)の策定等を行っている。)でもそれが使われているというような状況です。

世界のエネルギー換算係数をちょっと調べてみたのですが、まず、FAOで提案されているのは、3ページに載っている表で、Atwaterのほかに、More extensive General Atwater factorsということで、例えば、食物繊維や有機酸、糖アルコールであるポリオールを計算に入れたような係数も推奨されているところです。世界中、どんなことをやっているのかを世界の成分表と、あと、表示の方はルールが違う場合もありますので、見つけられる範囲でざっと調べてみたものが、資料中の米国からニュージーランドまで書いたやり方なのです。皆さんかなり、こう言っては何ですが、自由にというか、いろいろなやり方をやっていて、どれが国際スタンダードなのかというのは、ちょっと今、にわかには分からないです。もう少しきちんと調査をして整理をしてみたいと思います。

非常にユニークなのは、ニュージーランドでは、食物繊維のエネルギーを考慮しない場合とする場合とか、あるいは炭水化物を、差引き法を使った場合と積み上げを使った場合とか、いろいろなバリエーションを持って、全部で4パターンぐらいの計算方法を併記して四つ並んで書いてあるものもあります。ただし、四つ並べて書くとかえってユーザーの方は混乱しますので、私どももどんなやり方があるのかということで計算はしてみますけれども、どれを使っていくのかということについては、やはり議論をしていかなければいけないのではないかと思っているところです。

それから、新たな成分項目の収載の是非ということです。これは、是非、栄養関係の先生方に御意見を伺いたいと思います。1番目は割と簡単な、ナイアシン当量についてです。今まで、成分表では、ナイアシンで出しているのですけれども、食事摂取基準の中ではナイアシン当量、トリプトファンの60分の1を足しなさいということになっています。ただ、ここからが食事摂取基準の大胆なところで、たんぱく質の1%ぐらいがトリプトファンの量だとみなされるので、たんぱく質をグラムで表したものを6で割ったものがトリプトファンの由来のナイアシンのミリグラムに相当するから、それで簡単に計算してしまいますよと、そういう計算式を出して運用しているので、実質、誰も困ってはいないようです。一方、トリプトファンは、もうアミノ酸成分表の中で分析はしていますので、出そうと思えば、これは算出できるものです。出す必要があるのであればそういうこともしていきたいと思っていますので、是非、御意見をお聞かせください。

それから、諸外国で取り組まれている項目ということで、例えば、植物ステロールですかと、カテキン類であるリコピン、ルティン、ゼアキサンチンなどが挙がっています。全体をまとめて言うとフィトケミカル、ファイトケミカルと言われるようなものについても取り込んだ方がいいのではないかというような議論があるのですけれども、適正な食事摂取基準がないものについて、成分表の値だけを載せても使う側も困ってしまうので、どうしましょうかという意見ももう一方であると思います。ただ、成分表に載らないと適正な摂取基準も逆に設定されないのかもしれないので、ニワトリが先なのか、タマゴが先なのかはよく分かりません。

一方、農林水産省が今年度末に機能性成分についてデータベースを公表するという情報がありますので、実際にそれを見てみて、ある程度カバーされているのであれば、リンクしてしまえば、うちでお金を掛けなくてもいいのではないかという案もあります。これについては、どういったものが大事だということで、例えば、厚労サイドでどのようなものを取り込もうとされているのかということについて、もし情報があれば今後ともお知らせいただければと思います。

3番目は、トコトリエノール類ということで、ビタミンEです。今、成分表の中ではトコフェロールだけを量っています。本当はトコトリエノールというのも計算していくということで、FAOの中ではビタミンEの計算をする式として、この書かれたようなものが挙がっています。ただ、一方で、トコトリエノール自体が食品中にはかなり微量であるということと、α-トコフェロールのみが人間でエビデンスがあるのではないか、といった話もあって、実際、世界中でトコトリエノールをそんなに一生懸命に測っているのかということについて、余り情報は得ておりません。

日本人の食事摂取基準でも、トコトリエノールはおろか、α-トコフェロールだけ使っているみたいな、そのような状況なので、これを積極的にやっていくべきなのかどうかということについても、是非、御意見を伺えればと思っております。ここに書いてないものでも、こういう成分、今でなくてもいいから将来的に考えた方がいいのではないかということがあれば、是非、教えてください。

それから、その他の検討項目ということで、計算値の取扱いということです。現行では、このオレンジの本(日本食品標準成分表2015年版(七訂))では、計算で出したものも、そうではないものも、特に括弧もつけずに収載しているのですが、組成の成分表の方では括弧つきの数字になっています。これはどうしたらいいのかということも今後検討していきたいと思います。

それから、18類の扱いで、廃止すべきとか、そう菜項と統合すべき等の意見もあるので、これは今後、調理作業部会の方で御検討いただければと考えております。

それから、たんぱく質のアミノ酸組成分析法の見直しということで、加水分解時間を検討すべきではないかという御意見があって、これ、もし本当に分析表を見直すのであれば、調査事業を組む価値もあるのかなと思っています。これも引き続き情報収集をしていきたいと思っております。

長くなりましたが、以上でございます。

【安井(明)主査】  はい、ありがとうございます。今後の課題と対応について、短期及び中期について説明していただきました。また、御提案も頂いているのですが、これについて皆さんの方から御意見を頂きたいと思います。ただし、全体で話をするとばらける可能性がありますので、まず、短期的課題のところから行きたいと思います。

短期的課題の1番目、新しい食物繊維の分析法の妥当性検証と食物繊維の再分析を来年度から着手したいということです。これについて御意見等がある方はお願いします。はい、どうぞ。

【石見委員】  以前に食物繊維学会の方からこの新しい方法を使うことについて意見出しをしたと思うんですけれども、そのあたりの対応はどのようになっているかというところなのですけれども、レジスタントスターチがたくさん含まれていないものは、必ずしもこの新しい方法でやる必要はないのではないかというような意見だったと思いますけれども。

【安井(明)主査】  事務局からお願いします。

【河合室長】  お答えし切れるかどうか分からないのですけれども、まさしく御指摘のとおりで、先ほど申し上げたように、非常に値段の高い方法でもありますので、この調査の中で再分析が必要なものと必要ではないものの仕分もできたらと考えているところです。それで、不要なものについては今の値を使っていきたいと思っているところです。

【安井(明)主査】  ほかにございますか。あと、レジスタントスターチについては、その種類によって、加熱により減少あるいは増加するという話もあるので、実際に我々が食べる状態を考えて、検討した後でということになると思います。

【石見委員】  ありがとうございました。

【安井(明)主査】  よろしいですか。はい、ありがとうございます。これは28年度に調査事業という形で進めることになります。

それでは、2の次期改訂に向けた質の高い食品成分データの蓄積、項目が幾つかありますけれども、全体にわたってで結構です、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。このような形で進めさせていただいてよろしいでしょうか。はい、どうぞ。

【安井(健)委員】  (5)の要検討食品の利用度の高い栄養補給食品の部分なのですけれども、これは、例えば、特別用途食品とか、そういうものも含めてと恐らくは考えていると思うのですけれども、そのときに個別の商品名が出てきて、それとその成分値がくっついてくるというものが多いと思うんです。それは、今まで食品成分表では、個別の商品名がまともに表に出てくるものはない。実際には個別の商品を分析しているものはあるのですけれども、そことの整合性というのはどういうふうにとったらいいのでしょうか。

【河合室長】  まさしく、要検討食品というだけあって、先生方の御意見を是非伺いたいのですけれども、個別の食品というのは、それぞれのメーカーが責任を持ってフューチャーしたり、成分を表示しているものでもあるので、成分表に載せなくてもいいのではないかという考え方はあるのだと思います。さはさりながら、消費量が多いから無視できないという考え方もあります。事務局は、実はここはニュートラルよりは、ややちょっと腰が引けていて、こういう食品をやると切りがないと思っている点もございます。皆さん、いかがでしょうか。

【安井(健)委員】  実際に、例えば、全卵型のマヨネーズと卵黄型のマヨネーズ、それぞれメーカーがくっついている部分が昔から入っています。それから、2010年版では、でん粉めんということで某メーカーの製品がそのまま入っている部分が実際にはあるんですよね。

【河合室長】  はい。

【安井(健)委員】  それで、確かに製品自体についている栄養表示では、ある範囲の成分値は載っているわけですけれども、その他の部分についての情報が全くない。ただ、消費者はそれを買って食べているとなると、我々の立場としては、その他の部分を知るために、そういうものも入れておいた方がいいのではないかと私は思うんですが、どんなものでしょうか。

【安井(明)主査】  はい、どうぞ。

【渡邊主査代理】  私も少し前までは成分表に載せなくてもいいのではないかと思っておりましたが、うちの学校でも自販機にそれを常時置いて、すごく売れている状況で、とてもよく食べられているという現実を見ると、表示以外のものについて、ほかの栄養素の計算が全くできなくなるので、やはり、あった方がいいのではないかなと最近は考えるようになりました。

【安井(明)主査】 ほかにはいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【佐々木(敏)委員】  恐らくこれは調理加工品の延長線上というふうに考えるのが現実的ではないかなと。要するに、人為的に作られているものであって、自然界が作ったものではない。すなわち、本来は対象とならないけれども、現状を鑑みると、利用者の便を考えると含めたほうがよいのではないか、そういう整理になるかなと考えています。調理加工食品の延長線上という位置づけをするということです。

【安井(明)主査】  ほかはいかがでしょうか。これは、先ほども中期的課題かというようなコメントもありましたように、次期からの委員会で、企画作業部会なり何なりで少しもんでいただいてどういう方向にするかということで進めたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

【河合室長】  分かりました。では、どういったものが市場に出ているのかを見て、シェアが圧倒的に高いものがあれば逆にやりやすいような気もいたします。ただ、それが、実は100種類ぐらいあるとかいうと、もう諦めた方がいいような気もいたしますので、そういった情報も含めて、少し、企画作業部会の方に提出をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

【安井(明)主査】  ありがとうございました。2の次期改訂に向けた質の高い食品成分データの蓄積で、ほかに御意見、よろしいでしょうか。

【佐々木(敏)委員】  一つ、確認をよろしいですか。(4)のマル1の微量5成分が未測定の食品なんですけれども、これ、食品摂取基準の活用の面から見ると、できるだけ、早くかつ信頼度の高い情報が欲しいというところです。その一方で、食品間の含有量のばらつきが非常に大きいとか、測定法が難しいというような技術的問題があろうかと思います。そのあたりを十分に考えていただいて前向きに進めていただければ有り難いなと思います。

【河合室長】  はい、分かりました。

【安井(明)主査】  よろしいでしょうか、はい、どうぞ。

【石見委員】  今の御発言に関連するのですが、やはり、国民健康栄養調査におきましても成分表で分析されていない食品があるということで、実際はデータとして出せないという状態になっておりますので、是非、網羅的に分析していただければというふうに思います。以上です。

【河合室長】  はい、了解しました。

【安井(明)主査】  ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。

それでは、3)その他に入ります。いずれでもよろしいですので、コメント等がありましたらお願いいたします。

私の方から、最初の毎年度データの公表の扱いですけれども、毎年、調査事業ではなくて、実際に分析する予算を取っていただくような話になっておりますので、収載値の決定というのを、それぞれの、また作業部会でこれまでと同様に決定した後、この委員会にかけて収載値を決定したものについてはホームページ上で毎年公開していくという方向がよろしいと思いますけれども、これについて特に御異論がなければそのように進めたいと思いますが、御意見がある方がありましたら、よろしいでしょうか。では、そういった形で(1)については進めたいと思います。

それから、(2)は、0定義の見直しで、これは既に各委員に回ったんですかね。

【河合室長】  メールを差し上げております。

【安井(明)主査】  はい。それで、この方向で進めるということで落ち着いておりますので、これはこのまま、この改正案で進めさせていただきたいと思います。

3番目のクロマトグラムにおける未同定ピークの扱いについては、これから依頼分析をするときの仕様書に、これまでの説明、記述を加えるということで対応していきたいと考えておりますけれども、特に御意見があればお願いいたします。よろしいでしょうか。では、そのように進めさせていただきます。

4番以降は、皆さんから御意見があれば頂きたいと思います。はい、どうぞ。

【渡邊主査代理】  6番についてですけれども、100キロカロリー成分表とか80キロカロリーとかたんぱく3グラム当たりとか、いろいろな目的で各出版社が成分表を作ってくださっていますが、実際はこの丸めた数値で作業しているので、どんどん数値が、そこで丸めて、また最終的に数値を丸めるというふうに2回丸めて数値が変わってきてしまうので、できれば、成分表の元データで作った表をインターネットで公開していただければ、各出版社がそこから必要なものを選抜して本にしていくのではないかと思うので、できれば、こういう成分表をつくっていただければと思いました。それで、ここにお願いいたします。

【安井(明)主査】  2回丸めたときに、それほど違いが出てきますか。

【佐々木(敏)委員】  これね、先生おっしゃるように、どれぐらいずれるかをちゃんと分布計を見ておく必要があるんです。つまり、むしろ恐ろしいのは、その数字は真であるというように信頼されては困るように、これ自身が測定値で信頼区間をもつものですから。

【渡邊主査代理】  そうです、そうです。

【佐々木(敏)委員】  ですから、それを丸めによる誤差よりも小さければ、むしろ丸めによって数字が動くということを知っていただいて使っていただく方が重要ではないか。なので、その分布計を見てから決定というか、検討するというのはいかがでしょうか。

【渡邊主査代理】  分かりました、はい。

【本田委員】  たんぱく質3グラム当たりのとか、エネルギー80キロカロリー当たりとか、各出版社だけではなく、医学会等で検討して作成しているものもありますが。これらは成分表ではなくて食品交換表(Food Exchange Lists)です。例えば、糖尿病の食品交換表は、その丸めの原則が学会のオリジナリティーとして著作権をもっています。その丸めに当たっての誤差値などもオープンにしており丸めによる誤差は十分に認識され食事療法の実践にあたり簡便であることを重んじています。なので、成分の丸めの作業をした成分表をインターネットで公開し、そこから出版社や学会が使うように便宜を図ることは、むしろ越権行為になるかもしれない。つまり、それぞれの治療目的で作られているものの原則とは別のところで、単に数字で丸めるだけのことをすることは。

【佐々木(敏)委員】  それは越権行為にはならないです。

【本田委員】  ならないでしょうか。丸めにした根拠を示さなければならないのではないですか。

【佐々木(敏)委員】  オリジナルはこちらですから。

【本田委員】  そうではなくて、越権行為というか、数十年にわたり先行して社会に存在している食品交換表は、ユーザーに対応した丸めの原則や特有な食品分類のオリジナリティを持っている訳です。その原則とは違うやり方で行うならばその根拠や方法を公表する。そういうことが必要になるのだと思います。

【安井(明)主査】  丸めの原則というのはJIS (日本工業規格)にあるんですよね。

【本田委員】  いえ。食品分析値の扱いのJIS とは異なります。

【安井(明)主査】  いやいや、それと違うということでしょう?

【本田委員】  単に数字をサラサラと丸めているのではなくて、摂取頻度や成分寄与率など、何と言ったらいいんでしょうか、食事調べデータなども使いながら丸めを作っているわけで。

【安井(明)主査】  それは余りいろいろ拡大はしない話だとは思うんですけれども、この辺は。

【渡邊主査代理】  さっき佐々木先生がおっしゃってくださったような作業をして、それで検討するということでいかがですか。

【佐々木(敏)委員】  いずれにしても、この方法で、この目的のためにこんなふうにしたという記述はきちんとしておくということが原則だと思うんです。そうすれば、もう自由であると。

【渡邊主査代理】  そうですね、自由ですね。

【本田委員】  それでおやりになっておいた方がよろしいと思います。

当然、同じ食品であるのに、数字が違ってくる場合があり得ると思うんです。

違いがあった場合に双方を目にしてユーザーが混乱をすることも考慮して、作成の目的や活用の原則論を明確に示しながら行うことがいいのではないかと思います。

【河合室長】  私が思ったよりも大変な話になってしまったのですけれども、私は栄養士ではないということで堂々とこの質問をさせていただきますが、そもそも100キロカロリー成分表などが、何のために、本当に要るのかというところがよく分かっておりません。計算したり、四捨五入したものを割って、もう一回四捨五入したものと、丸める前の数値で計算したものを四捨五入したものでどれぐらい差があるのかというのはできるんですけれども、何をしたらいいでしょうか。

【本田委員】  この議論は、「渡邊主査代理の6番について、100キロカロリー成分表とか80キロカロリーとかたんぱく3グラム当たりとか、いろいろな目的で各出版社が成分表を作って2回丸めて数値が変わってきてしまうので、成分表の元データで作った表をインターネットで公開し、各出版社がそこから使うために」との渡邊主査代理の御提案からです。食品成分表は食品100グラム当たりの成分であることで活用の価値を高めているものと認識しています。それを逆に、加工、つまり、100キロカロリーに今度加工するわけですよね、加工というか、データそのものは動かさないにしても、100キロカロリー当たりで加工したものを出す意味が何なのか意味があるのかが私には疑問なことから先ほど来からのの発言です。

つまり、使う側のニーズがあるからこれを求めているように聞こえるのですが。

【河合室長】  はい。

【本田委員】  本当にニーズはあるのですかという疑問です。今回エクセルファイルを作成しホームページで公開し、一方でユーザーはITやパソコンを日常的に使っていますのに、本当に意味があるのかどうかということですけれど。データベースとしての食品成分表へのニーズ、栄養指導媒体としての食品交換表へのニーズで整理していただきたい。

【渡邊主査代理】  ほかの国を見ても、計量カップとか計量スプーンあたりでデータを出している国もありますよね。それぞれの利用者が使いやすいようにということを元の数字でやった方がより正確ではないかというふうに考えたことと、エネルギーで食事計画を立てるという考え方もあるので、そういった意味では100キロカロリーの成分表があると便利ではないかということで提案させていただきました。

【安井(明)主査】  これについては、いろいろ御意見がありますので、調理あるいは企画作業部会で。

【河合室長】  合同でやるかもしれません。

【安井(明)主査】  はい、合同の作業部会の方に一度下ろして。

【河合室長】  分かりました。では、その作業部会に向けて、先ほど佐々木敏先生から御提案のあった試算をちょっとやってみたいと思いますが、とりあえず何でやりましょうか。100キロカロリーとたんぱく質3グラムでよろしいですか。何がいいですか。

【安井(明)主査】  たんぱく質3グラムというのはあるの?

【本田委員】  たんぱく質を3グラムにする意味は何なんですかね。

【渡邊主査代理】  食品交換表のときに使っていらっしゃいますよね。

【本田委員】  たんぱく質3グラムでするというのはかなり問題があると思われますが。

【渡邊主査代理】  問題というか、たんぱく質3グラム当たりというのは腎臓病なんかでよく使っていることですよね。ですから、その値をあらかじめ元データで作ってあげた方が使う方が便利なのではないかということなのです。ですから、それがどのぐらい数値のずれがあるかということは1回確認してから、やるかどうかを決めたらいいのではないかという佐々木先生の御意見だったので、私もそれに賛成です。

【佐々木(敏)委員】  単位となる数字、すなわち、エネルギーは何キロカロリーを単位とするのか、たんぱく質何キロカロリーを単位とするのかというのは、恐らくガイドラインに沿わない数字を使った方がよいでしょう。

【渡邊主査代理】  分かりました。

【佐々木(敏)委員】  すなわち、ガイドラインが変わったらこれが連動して変わるというのでは食品成分表としてはむしろ使いにくい。それよりも100という。

【渡邊主査代理】  そうですね。

【佐々木(敏)委員】  ええ、非常に無機質で後の計算がしやすい分母を使うほうが、想定される目的に対応しやすいのではないかと考えます。

【渡邊主査代理】  了解しました。

【河合室長】  そうすると、とりあえず100キロカロリーだけでいいですか。

【渡邊主査代理】  はい。

【佐々木(敏)委員】  たんぱく質も100グラムでやったらどうですか。

【本田委員】  たんぱく質も100グラムとか10グラムとしたらどうですか。

【河合室長】  私は、実はたんぱく質100グラムは余り賛成ではない理由があって、たんぱく質0.1グラムみたいなものがすごくたくさんあるじゃないですか。

【佐々木(敏)委員】  ああ、そうですね。

【河合室長】  1000倍になりますけれども、よろしいでしょうか。

【佐々木(敏)委員】  それは全てをやるのではなくて、主要な摂取源となる食品に従ってやっていただく。

【河合室長】  では、たんぱく質がある程度多いもので。

【佐々木(敏)委員】  そうなんです。

10の方が現実的だと思いますけれども。

【河合室長】  それでやってみるという形にしましょうか。細かい点はまた御相談させていただきます。ありがとうございました。

【安井(明)主査】  7番の外部からの分析値提供に関する取決めについては、先ほど中期的課題、要検討食品に入った伝統食品とか少数民族食品と絡むと思うんですけれども、これまでの取決めで決めた参考資料1にしたものをホームページなり何なりに公表したらどうかという提案があったのですけれども、私はそうしていただくのがよろしいかなと思うんですが、これについて御意見があれば頂きたいのですが。

【渡邊主査代理】  私もいろいろなところで聞かれるので、是非、ホームページに掲載していただきたいと思います。

【安井(明)主査】  御異論はございませんか。まだ早いとか、よろしいでしょうか。それでは、そのようなことで進めていただきたいと思います。

【河合室長】  了解いたしました。

【安井(明)主査】  時間が押してきておりますが、中期的課題については。

【安井(健)委員】  その他で、先ほども少し話が出ていましたけれども、毎年度、委託調査というのを資源室の方でやっているのですけれども、それの結果の報告書をやはりホームページに公開していただきたいのです。ただし、実際の収載値を決める段階で影響のあるものもあると思うので、そのようなものは、しかるべき期間を置いてから公開するようなことにして、例えば、30年前とか、20年前、10年前のものぐらいは公開しても問題は何もないと思うんですが、どんなものでしょうか。

【河合室長】  すみません、申し上げるのを忘れていたのですけれども、ホームページで公開できるPDFの容量が非常に小さくて、技術的にできるかどうかがちょっと今、自信がないんです。今、それでやむを得ず、国会図書館に入れるという形で対応をしているところです。あとは生の数字を外に出して、今まで来歴とかを外に出していないものを出すのかどうかということは、皆さんにもう少し御議論いただければと思うんですけれども。

【安井(健)委員】  あとは、今までやった調査の一覧表を公開するとか。

【河合室長】  なるほど。

【安井(健)委員】  そうすれば、こういうのはあるというのは分かりますから、必要ならば問い合わせれば、例えば、PDFで送ってくれるか何で送ってくれるか知りませんけれども、提供すると、そういう仕組みはどうでしょうか。

【河合室長】  どうでしょうか。

【安井(明)主査】  御意見がある方、さっき20年前とか30年前という話をされましたよね。

【安井(健)委員】  しました。というのは、例の、と言っては非常に問題があるのですけれども、四訂のときに各栄養素について介入試験をやりましたよね。その結果とその解釈を公開しておいた方が、いろいろ議論がしやすい面があるというふうに思うのです。今のデータの解釈と違うような解釈もしている部分があるんです。統計的な処理がちょっと甘いとか、そういうのも含めて。

【河合室長】  そちらの方の委託調査ですね。わかりました。今、とりあえず企画作業部会の方に一覧をまずお出しします。もともとPDFでもらっていないファイルを紙からPDFにすると、すごい容量になってしまうという非常に技術的な問題もありますので、何ができるか、ちょっとお時間を頂ければと思います。まずは過去の委託調査の一覧作成をさせていただくことでいかがでしょうか。

【安井(明)主査】  ありがとうございました。では、そのようにしていただきたいと思います。はい、どうぞ。

【渡邊主査代理】  その他のところで何ですけれども、今回の成分表で、だし類のところで、昆布だしのほかに、カツオと昆布のだしにもヨウ素が入りました。ヨウ素は食事摂取基準で耐容上限量が決まっているので、混合だしを、大人の場合は200グラムで耐容上限量になってしまうんです。子供の場合、もっとかなり少ないんです。そうしたら、いろいろなところで、やはりそれまではこれを食べるように指導していたという事例があったのです。実は、昆布茶はヨウ素の量が横棒になっていて計算ができないことになっています。本当は昆布から推察すればいいんですが、一般的にはなかなかそういうふうにはしてもらっていないので、昆布茶のヨウ素を早めに値を分析して公表していただければ非常に有り難いなと思いました。

【安井(明)主査】  分析値が必要であるかどうか、計算値が出るのだったら計算値で対応ができるのだと思いますけれども、事務局の方で検討していただけますか。

【河合室長】  28年度食品分析について資料2の方で、昆布茶は28年度の候補に入れておきましたので、大丈夫です。

【安井(明)主査】  はい。短期的課題についてはよろしいでしょうか。

それでは、2の中期的課題について、全体まとめてにしますけれども、御意見がある方、お願いいたします。Key Foodsについては新しいデータも入ってくるということですので、摂取量と、もう一つ、含有量が多いものについては、それにも注目しながら進めていくことになると思います。エネルギーの再計算についてはいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【石見委員】  栄養標準の方との関連も重要かなと思っておりまして、特に食物繊維については0、1、2ということで発酵分解率によってそれぞれのエネルギーが決まっているのですけれども、そのあたりのところも食物繊維の取扱いについて御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。

【安井(明)主査】  これについては、企画部会の方で検討するときに一緒に含めてやればよろしいかと思いますけれども。

【河合室長】  今、消費者庁に聞いたところでは、消費者庁の方では、食物繊維の新しい係数を考えていないというふうに伺っているのですけれども、逆に何かそちらの方でこういう動きがあるというような情報があれば、教えていただけると助かります。

【石見委員】  新しいのは恐らくすぐにはならないと思うんですけれども、現時点でそういう表がありますので、それで使っているんですね。現時点で、今、食品表示基準になりましたけれども、それぞれ個々の食物繊維についてエネルギーの換算係数が決まっておりますので。

それを更に新しくするということは今のところはないと思うんですけれども、現時点で決まっているものがあるので、それもちょっと考慮を。

【河合室長】  はい、了解いたしました。

【安井(健)委員】  今の確認なんですけれども、今のは、食品に添加する食物繊維について、評価されているのはそれが主ですよね、違いましたか。

【石見委員】  その食品に含まれているということです。

【安井(健)委員】  添加して含まれていると。

【石見委員】  添加してもそうです。

【安井(健)委員】  そうですよね。

【石見委員】  はい。

【安井(明)主査】  添加だけじゃないですよね。

【石見委員】  だけじゃないです、含まれているものもそうです。

【河合室長】  炭水化物から引いて計算していいんでしたか、表示の方は、すみません、不勉強で。

【石見委員】  表示の方は、糖質と食物繊維というふうに表示もしてよくて、そういうときは食物繊維の値を。

【河合室長】  計算に使ってもよいということになっていますね。

【石見委員】  使ってもよいということで、単に差引きで表示してもいいんですけれども、糖質プラス食物繊維という表示もできるので、そのときにということだと思います。

【河合室長】  分かりました。こパターンは何パターンでも計算はできますので、幾つかやってみたいと思います。

【安井(明)主査】  新たな成分項目の収載の是非については、いかがでしょうか。ナイアシン当量は必要でしょうか。

【佐々木(敏)委員】  いや、これは食事摂取基準の方から、河合さんがおっしゃったように、タマゴとニワトリです。こちらが、成分表がないから、こういう60分の1という数字を書かざるを得ない。その一方で、体が使うのはナイアシンではなくナイアシン当量であることは明らかですので、こういうナイアシンプラス60分の1のたんぱく質ということをしないと、食品摂取基準としては成立しないという事情がありました。それで、理想的には、トリプトファンの摂取量が分かれば計算ができてしまいますので、現在としては、これを表記してくれればユーザーは有り難いと思います。けれども、計算できるよね? と言われれば、計算できますので。ほかの当量が入っているものと同じような感じになるのかなと。

【河合室長】  分かりました。

【渡邊主査代理】  でも、先生、多分、本編にトリプトファンが載っているわけではないから、別な成分表を見なければいけないですよね。だから、本編の一覧表の中に隣に並んでいた方が使う方は有り難い。

【佐々木(敏)委員】  そうですよね、有り難いですね。

【河合室長】  まずは計算をしてみますので、エクセルで追補版が出せるのであれば。

【渡邊主査代理】  すごいですね。

すごくうれしいと思います。

【河合室長】  では、一度計算をしてみて皆様に数値をお示しすることでいかがでしょうか。

【佐々木(敏)委員】  ありがとうございます。

 

【石見委員】  すみません、安井先生に質問なんですけれども、食品成分表では、この60分の1トリプトファンを今まで載せてこなかった理由というのがあると思うんですけれども。

【安井(明)主査】  結局、栄養的な評価というのは変化しますよね。成分表自体は物質量を載せればいいと、私はずっとそう思っていたのです。だから、例えば、今のビタミンEについても、要するに、α、β、γ、δ、全部載せていますけれども、実際に使っているのはαだけ。それは、そういうふうに使っていただいても結構ですけれども、物質量としてはこれだけ入っていますよということを示している。だから、当量とか、そういうところは、またそのときの時代によって変わる、まさにビタミンEは変わったのですけれども、そういう変化をするから、それは別に置いておいて、成分表は物質量だけ載せておこうと。レチノール当量も、極端なことを言えば入れなくてもいいかなというのが私の考えだったので。今まで大体そういう流れで来ていたんです。実際に使う方で、あった方がいいということだったら、それでしていただければよろしいかと思いますので、事務局の方でやっていただいて、エクセル版には多分すぐ載っかると思いますので、そういう対応をしていただきたいと思います。

【河合室長】  分かりました。まずは計算をしてみます。

【佐々木(敏)委員】  何から何が作られたのか、何がオリジンなのかは使う側が知っているべきものですよね。

【安井(明)主査】  それ以外のところで新たな成分項目、よろしいですか。諸外国で取り組まれている項目は、先ほどありましたように、摂取基準が設定されていないということに留意して、農水省が今年度末に出るというものを見てからの判断でもよろしいと思いますので、これはこのままにしたいと思います。

トコトリエノールについてはいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【長尾委員】  トコトリエノールが実際に含まれている食品は非常に限られていると思うんです。米ぬか油、米と、小麦胚芽とか、パーム油とか非常に限られていると思うので、余り価値はないかなと思っています。

【安井(明)主査】  ほか、いかがでしょうか。トコトリエノールについては、今回については扱わないということでよろしいでしょうか。はい、どうぞ。

【安井(健)委員】  これも考え方によるのでしょうけれども、トコトリエノールについてビタミン活性があるということが、人に対してという意味ではないですけれども、実験動物に対してあるということで、人に対するビタミン活性があるのか、ないのかを、まず検討して、佐々木先生に聞けばいいのかもしれませんけれども、それで、ないとなったら考えなくてもいいだろうと思うことは思うんですけれども、別の点として、例えば、原料的な食品が主ですけれども、このデータを使って、例えば、飼料の栄養価を調べるというのもあり得るわけなので、そのためには、その動物にとってはビタミン活性があるかもしれないということもあるので、まずは人間でいいと思いますけれども、その波及する部分もあるということ。

【佐々木(敏)委員】  それで、コメントで、直接お答えにならないのですけれど、こういう換算式、ヒューマンエフェクトを考えた研究はいろいろありまして、けれども、ある一つの式で落ち着いているという状況ではないように考えます。その立場に立ちますと、こういう式が存在するということを参考文献つきで紹介しておくのはよいことだろうと。その一方で、それを計算した値を表に掲げるのは時期尚早ではないかと私は考えています。長尾先生がおっしゃったように、ごく一部の食品に香料に含まれているんです。そのために、その食品を使った研究が随分今、進められているようです。そのために、この食品成分表で全体のところにそういうものを扱うのがなじむかどうかは、要検討だと思うんです。

【安井(健)委員】  また別の情報として、例えば、ダイズの育種の現場で機能性のダイズということで、ビタミンEを増やしたダイズというのを育種している部分があるんです。そのときにトコトリエノールが大幅に増えているんです。そういうものを育種していまして、情報は提供して、人に対してはα-トコフェロールだけの摂取基準しかないよという情報は提供しているんですけれども、一般の栄養学というのは、またちょっとよく分からない部分があるのですが、ビタミン活性があるという情報が一方であれば、それを増やすという育種をする可能性はあるので、情報提供をはっきりきちんとしておけば問題はないとは思いますけれども、現実にそういうプロジェクトが走っているところもあるということです。

【河合室長】  これは小河原先生にお聞きしたいのですけれども、トコトリエノールというのは簡単にお安く測れるものでしょうか。

【小河原委員】  絶対にやりたくない感じ。(笑)そもそも、ビタミンEを4種類やって、トコトリエノールを4種類やって、少なくとも8本の分離がちゃんとできるHPLCの条件がないと無理ですし、そこにほかの夾雑物(きょう雑物)が大体入ってきます。特に、米油だと結構いろいろなものが入ってきたりして、もちろん上手に分離したりマス(ICP-MAS:マススペクトロスコピー分析)を使ったりしてできると思いますけれども、通常のHPLCだと、今、私どもでは1本3時間ぐらいかけて分離しているような状況で、分析はかなり難しいと思います。

あと、恐らく栄養表示、香港か台湾かオーストラリアか、どこかの栄養表示でビタミンEの中にα-トコトリエノールを入れるというのがあったとは思いますけれども、分析は非常に難しい。

【河合室長】  分かりました。では、今お伺いしたような話も含めて、もう少しバック資料をそろえて企画作業部会の方に出させていただきたいと思います。

【安井(明)主査】  はい、そのようにお願いいたします。

その他の検討項目、一番後ろになりますけれども、これについて御意見がありましたらお願いします。なければ、企画の作業部会の方にそのままもっていってということにいたしたいと思いますけれども、よろしいですか。はい、そのようにしたいと思います。ありがとうございます。

それでは、議題2に入りたいと思います。資料2、資料2-1、2-2、机上配付資料の1、2-1、2-2、3、それから参考資料2、大分ありますけれども、事務局から説明をお願いいたします。

【河合室長】 これは平成28年度食品分析について皆様から御希望を頂いたものについて、案を出させていただきました。あと、29年度以降にやっていきたいというものも、今の時点のものでありますけれども、一応リストになっております。特に28年度分析については優先度の高そうなもの、それから、先ほど申し上げたように食物繊維の影響が少ないものを選んでおります。もし、これでよろしければ、この後、御担当の委員に細かい成分について御指定を頂いて、例えば、今まで炭水化物組成を測っていなかったようなものでもグリコーゲンがあるから測りたいとか、この後の議題になりますけれども、有機酸について今まで量っていなかったけれども、是非、測ってみたいというようなものがあれば、その中で追い打ちをかけてマルをつけていただいて大丈夫でございます。

実際に予算の中で若干出し入れをさせていただく可能性がありますけれども、基本線としては、28年度については今、挙がっているものを中心に検討していただきたいと思います。それから、29年度については、まだ頂いたものをリストにしているだけなので、これをやるとか、やらないということではないのですけれども、また1年間置いて同じような作業をこの委員会で来年やることになると思います。

そのときに考えていただく材料として、本当はもっと早くお出しできればよかったのですけれども、机上の配付資料1ということで、ちょっと個別のメーカーの食品もあるので机上配付資料にさせていただきましたが、今まで資源室に問合せがあったものの食品の一覧をお出ししています。これを見ていただくと、網かけがしてあるものが既にもうリストの中に入っているもので、そうではないものの中に、正直、玉石混淆なリストなのですけれども、実はやらなければと思っていたけれど忘れていたというようなものが出てこないとも限らないので、これはこの先、すぐにでもいいですし、また、来年度、同じ作業をするときに向けてでもいいので、是非、今後の29年度以降の分析食品として、御検討いただくときのお考えの材料にしていただければと思っているものです。

そのほか、Key Foodsの中などを見ていただいて、これをやり直したい、既収載のものについてももう一回やり直したいといったものは、事務局の方でもリストは作りますけれども、是非、先生方、今後の分析食品を考えるときの材料にしていただければと思っているものです。雑駁(雑ぱく)ですが、以上でございます。

【安井(明)主査】  はい、ありがとうございます。皆さんの方から御意見等がありましたらお願いいたします。28年度、来年度、分析する食品については担当の委員の方には検討していただいているものでございます。よろしいでしょうか。では、この後、もしもコメント等、要望する食品等がありましたら事務局の方に連絡していただくということで、このように進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

【河合室長】  ありがとうございます。

【安井(明)主査】  それでは、議題の3に入りたいと思います。資料3、資料3別紙について説明をお願いいたします。

【河合室長】  資料3でございます。有機酸の分析について御相談をさせていただきたいと思います。今回初めて炭水化物成分表を作りまして、その別表として有機酸の成分表をつけました。ただ、この有機酸の成分表については、最初に情報が十分なかったということもあって、ドイツですとか、あるいは米国のシュウ酸の情報を参考にして作ったのですけれども、十分測り切れているのか、あるいは、この項目、本当に測る必要があったのだろうかとか、様々、もやもやしたものが事務局にございまして、一度、今まで測ったものと、文献で簡単に拾えたもの、分析機関の経験を聞いたものを取りまとめました。今後どの有機酸を何の食品について測っていくべきなのかということを考える材料にしていただければということでお示しするものです。

まず、有機酸を測定する目的なのですけれども、過去の委員会の整理の中では、有機酸は、たくさん含まれていると、炭水化物を差引法で出したときと、積み上げていった場合の乖離(かいり)の原因に一番なるのではないか。もし将来、炭水化物のエネルギーを差引法ではなく積み上げた値から計算するということになったときには、有機酸をきちんと把握しておく必要があるのではないか。特に有機酸については、糖とはまた違うエネルギー換算係数が提案されているということもございますので、きちんと量っておくべきではないかというのがスタートラインだったというふうに承知しております。

今後も、もしそういう目的で測るとすると、エネルギー計算に影響を与えるよう一定量以上のものを測れば、ある程度、用は足りるので、例えば、0.1グラム、0.1グラムでもカロリーにすると0.3キロカロリーなので、本当は1グラムでもいいのかもしれないのですけれども、一定量以上の有機酸を測っておけばいいのではないか、そういうことでよろしいかということを、いま一度確認させていただければと思います。

研究では、有機酸というのは非常に味を左右する重要な成分で、実際、分析をしようと思えばもっと細かい単位まで量ることは可能なのです。そういったものを測りたいということであれば全然別のことになると思うんですけれども、一方で、微量なレベルのものでは、例えば、酸っぱいミカンと甘いミカンがあるように、すごく個体差が大きいですし、あと、季節によって微量なレベルであれば倍半分違うことは当たり前に起きますので、標準値は決め難いものだという、そういう性格の成分だということも頭に置いて、どれぐらいのレベルのものをターゲットにしていくのかということを、いま一度御確認していただければと思います。

それから、2番目、有機酸を測定する食品と項目について、今回、成分表を作ってみて、結局、ほとんどTrだったり0だったりという項目が意外とたくさんありまして、特に先ほどの0.1グラム以上というようなことを考えると、この別紙、A3判のカラー刷りの表で、これは非常に雑な表なのですけれども、この中にピンク色で示してある部分というのは、多くの食品で0.1グラム以上含まれているような、たば、イモ類のシュウ酸とかリンゴ酸とかは、大体0.1以上はこういうのは入っているというものです。黄色で示したものというのは、ごく一部の食品に入っている。例えば、酢酸などは植物性であれば発酵食品の漬物とか納豆みたいなものにしか出てきませんというもの。それから、乳酸なども植物性では余り出てこなくて、実は動物性食品は出てくる。うちの成分表では測っていないのですけれども、牛肉にも乳酸は結構入っていたりもします。酒石酸のようにブドウにしか出てこないといったような、いろいろ酸によって随分違うのだなということが、整理してみると改めてわかってきました。

成分表には載ってはいるのですけれども、ほとんどの食品に余り含まれていない成分が、この成分項目にグレーの網かけをしているもので、ギ酸とかマロン酸とかα-ケトグルタル酸などは余り力を入れて分析をするようなものでもないのかなというふうに正直、感じています。

また、成分表には入っていないのですけれども、ピログルタミン酸やプロピオン酸のように特殊なもの、例えば、プロピオン酸だとチーズに出てくるというような知見もありますので、そういったものについては必要があれば測っていってもいいのかなというふうに考えているところです。

基本的には、よく出てくるものは、乳酸、リンゴ酸、クエン酸ぐらいで、そのほかのものはその食品の特性に応じて担当員に御指定を頂いて、万が一、予見できぬピークが出てきた場合には、もう一回腰を据えて考えるというような形でもいいのかなと思っておりますので、御提案としては、よく出てくる乳酸、リンゴ酸、クエン酸、それからあとは、特定の食品で出てくると、もう最初から見当がついているものを指定項目にしていただいて分析項目を担当委員からお決めいただければなと思っているのですけれども、いかがでしょうか。

【安井(明)主査】  ありがとうございます。御意見、お願いいたします。はい、どうぞ。

【安井(健)委員】  基本的に事務局の考え方に賛成で、有機酸はエネルギー計算に影響するかどうかの基準で収載するか、しないかを決めればいいと思います。それで、ここで0.1グラム/100グラムと出ていますけれども、この数値で私はいいと思います。

【安井(明)主査】  はい、ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

【河合室長】  東先生や生駒先生にお伺いしたいと思っているのですけれども、本当は有機酸は食品ごとに大きくばらつくじゃないですか。特に果物なんかはそうなのかなと思っているのですけれども、こういう単位で標準値を本当に決められるものなのかということにいつも悩むんですけれども、どうなんでしょうか。

【生駒委員】  ミカンなんかを例に取りますと、確かにばらつきますけれど、やはり、食べるということには一定の、例えば0.5から1の間ぐらいですよね。それは、外れはほんとまれにはあるかもしれませんけれども、それぐらいの範囲には入ってくると思いますので、大体これくらいというのは言ってもよろしいのではないかと私は思います。

【河合室長】  ありがとうございます。

【生駒委員】  ただ、過熟になるとか、可食期を外れた場合にはかなりずれるかもしれませんけど、それは一般的に食べるような状況ではないと思いますので。

【河合室長】  分かりました。

すみません、もう一つ伺ってもいいですか、これは佐々木啓介先生にお伺いしたいのですけれども、動物性食品って、今まで炭水化物組成は加工品以外はやっていないのですけれども、乳酸が出るときが、出るといっても0.1とか0.2ぐらいの範囲なのですが、あるというのがドイツの成分表などでありまして、もしそうであれば測っていくべきなのか、どうなのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。

【佐々木(啓)委員】  量的に意味がある量なのかどうかということをもう一回ちょっとよく見ないと分からないのですけれども、基本的に肉のpHは弱酸性ですけれども、それは乳酸の酸性なので、グリコーゲンが分解して乳酸になってしまう、と畜の後にですね、そういうことが起きているので、乳酸は、出るのは出るだろうなと。あれ自体は、別に、ああ乳酸あるよねという感じではあるんですけれども、なので、量的に意味があるようであれば、それは測らないといけないのかなと、今ちょっとドキドキしながら思っていたんですけれども。(笑)

【河合室長】  私が調べた範囲でまたちょっとデータを報告しますので、成分項目を特定するときに、少しそこを加味していただければと思います。

今ちょっと日本語の文献で、しかも無料で検索できるものしか調べていないので、もし先生方の方でも、こういったものについては、ある程度、今、安井健先生の方からも言っていただいたような、0.1以上ぐらいはあるようなものがあるのであれば、今後の炭水化物成分表に向けてはプラスの情報になっていくと思いますので、是非、御指導をいただければと思います。

【安井(明)主査】  マル3の特定の食品で0.1グラム/100グラム以上の報告があるが未収載のものとして、ピログルタミン酸、プロピオン酸、イソクエン酸とシキミ酸がありますが、この有機酸についてはどうですか。特に取り扱う必要はないということでよろしいですか。食品群の方で特別にこれは量らなければいけないという項目になっているのでしたら出していただくということでよろしいでしょうかね。今、お調べいただいて、これは必要だというものがあれば出していただくということで、マル3については対応していただきたいと思います。よろしいですか。はい、ありがとうございます。

それでは、最後の議題となりました、その他について、事務局からお願いいたします。

【河合室長】  今回の七訂成分表を作るに当たって先生方には本当にたくさんの作業をしていただいて、おかげさまでいい成分表ができて感謝しているのですけれども、そのお願いついでにもう一つだけ七訂成分表に関してお願いしたいことがございます。先ほど国際的な情報発信ということで翻訳を進めていきたいということを申し上げたのですけれども、今、成分表の、いわゆる第2章、表の部分については既に英語版でネットに載っております。これの第1章とか第3章の部分も重要な情報ですので、できるだけ計画的に英訳をしていきたいと思っているのです。幸い、今回、27年度の予算の中で、第1章について翻訳をするくらいの経費がありまして、翻訳を頼んでいるところなのですけれども、専門用語が非常に多いので、実際に英語が得意な人が見たものと学術的に使うべき用語が異なっている場合がございます。それで、大変恐縮なのですけれども、英語原稿ができましたら、一度皆様のところにお送りするので見ていただいて、返していただいて、それをネイティブチェックに掛けるというような手続で、できれば進めさせていただきたいと思います。

この2月は皆様がとても忙しいのはよく知っているのですけれども、本表とアミノ酸成分表編は2月15日に原稿が来ますので、2月29日、2週間でサッと見て返していただけないかということです。それから、脂肪酸成分表と炭水化物成分表は2月25日に原稿が来ますので、3月7日、10日間ほどで見てお返しいただけないかということを、まず1点、お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。英語については、ネットに出すものですので、その先も修正は可能ではありますので、是非御協力していただければと思います。

それから、もう1点、28年4月以降、異動の時期でございますので、各委員が、役職が変わられる、あるいは組織の名前が変わられるといったようなことがありましたら、これからまた私どもの事務局の方からお伺いさせていただきますので、新たな役職や、新たな組織の名前などの情報を事務局にお知らせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。

【安井(明)主査】  はい、ありがとうございます。事務局からのお願いがありましたとおり、各成分表の第1章のチェックについて、忙しい時期だと思いますけれども、御協力のほどを、よろしくお願いいたします。

それでは、きょうの資料全体にわたって言い残した御質問、コメント等がありましたらお願いしたいと思います。

私の方から、資料1の別紙なのですけれども、作業の見通しがあって、グリコーゲンを多く含む食品であって、酵素法によるグリコーゲンの定量をしていない食品、平成28年度にグリコーゲンを多く含む食品の再分析とあるのですが、その29年度がブランクになっているのですが。

【猪股補佐】  申し訳ございません。線を引き忘れていました。

【安井(明)主査】  28年度からやっていただくということでよろしいですね。

【猪股補佐】  はい、そのとおりです。

【河合室長】  申し訳ありません。ホームページに載せるときには訂正します。

【安井(明)主査】  はい。皆さんの方から、きょうの資料について、よろしいでしょうか。皆さんの方から、そのほかということではいかがですか。よろしいでしょうか。

それでは、最後になりますけれども、今回の委員会をもちまして小河原委員が退任されます。任期途中なのですが、皆さんにお会いできるのは本日が最後になりますので、残念ではありますけれども、この場をおかりして小河原委員の方から御挨拶いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【小河原委員】  はい。恐らく約5年間、こちらの委員をさせていただきまして、本当にお世話になりました。いつも全然お役に立てていないなということをひしひしと感じていて、それはつらい状況ではありましたけれども、先生方の御議論を聞いているだけでも非常に興味深くて、楽しくて、委員をさせていただいて本当に有り難いと思ってさせていただきました。今後も資源室の皆様と先生方のお力で日本の成分表が、食に携わっている人たちにとって本当に役に立つものにどんどんとよくなっていくことを確信しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。

【安井(明)主査】  本日まで本当にお疲れさまでした。今、5年間というお話がありましたけれども、第6期から、ビタミンの専門家としてこれまで御尽力いただきまして心から感謝申し上げます。食品成分委員会の専門委員としての職責は離れられますけれども、日本食品成分表の更なる充実に向けて、今後お気付きの点がありましたら、多少にかかわらず、是非とも御教授のほどを頂きたいと思います。今後のますますの御健勝と御活躍をお祈りしたいと思います。ありがとうございました。

【小河原委員】  どうもありがとうございました。

【安井(明)主査】  それでは、本日の議事は終了しましたので、本日はここまでとしたいと思います。

皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。

 

── 了 ──

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