食品名称の見直しについて(事務局提案)

1.食品名称(食品名・別名)に関する問題点

 昭和25年に初めて日本食品標準成分表が発刊されて以来、長い年月の間に、食品の流通をめぐる事情の変化などから、収載されている「食品名」がユーザーにとってわかりにくくなったものが多い。(※は現行成分表に未収載の名称)

1) 別名の方が多用され知名度が高いもの

食品名 別名
きょうな みずな
ライプオリーブ ブラックオリーブ*
かざみ わたりがに 等

2) 地域によって全く異なる名称で呼ばれるようになったもの

衛生ボーロ(たまごボーロ※・乳ボーロ※)、今川焼き(大判焼き※)等

3) 似た名前の食品が普及し、混同されやすくなったもの

もろこし、タルト、塩せんべい、いそべせんべい 等

4) 食品名として十分定着していないもの

パフパイ(クッキー状のパイ。業界用語の「パイ(パフ)」とも異なる)

5) 制度変更に伴って新設した食品区分で見直しが必要なもの

清酒の「上撰」(任意表示事項であり一部商品にのみ適用)

2.名称に関するルール(案)(アンダーラインは現行の「食品名」。※は未収載の名称)

1) (1)標準和名などの学術名と、慣用名の知名度に大きな差がない場合には、学術名を「食品名」として優先。(2)知名度が高い慣用名があり、正確性に問題がない場合は、慣用名を優先(メディアで使われる名称、料理関係書籍での名称、店頭での名称等を参考に検討)、(3)慣用名で収載されている食品については、最もわかりやすい慣用名を優先。
例)(1) つるあずき(学術名):別名たけあずき
例)(2) ブラックタイガー(慣用名):標準和名うしえび
例)(3) しょうゆせんべい※:塩せんべい

2) 慣用名の知名度が高い場合でも、一部の商品を示すブランド名であったり、別の品種も同名で流通している等、正確性に問題がある場合には、学術名を優先。慣用名は別名として収載。
例)スイーティ:イスラエル産のオロブランコ(柑橘の一種)の通称。カリフォルニア産はオロブランコの名称で流通。
空心菜・えんさい:ようさいの別名だが、個人が商標登録を取得。
日高昆布※:みついしこんぶのうち、主産地である日高産の通称。渡島産は「渡島塩干し昆布」として流通。
 あかうお:アラスカめぬけの商品名だが、その他の赤い「めぬけ類」も同名で流通。
わたりがに:がざみの商品名だが、イシガニ、タイワンガザミも同名で流通。

3) 異なる名称での検索が可能となるよう、学術名や主要な慣用名は備考・索引に記載。その際、現行の成分表では備考欄の表記がバラバラ(別名・通称など)であるため、「別名」に統一し「標準和名」の場合は、その旨が分かるよう記載。

4) 総称で収載されている食品については、代表的な種の学術名を備考・索引に記載。(学名も同様の考え方で別表に整理)
例)えい:標準和名 あかえい等

5) 特に一般の人にわかりやすい慣用名については、食品名欄に→付きで記載。
例)のりのつくだ煮→ひとえぐさのつくだ煮

6) 食品名がわかりにくいものは、例示的な別名で補足。
例)米みそ 赤色辛みそ:秋田みそ※、仙台みそ※等

7) 知名度が高くても優良誤認などの観点から不適切とされた名称は、別名としても避ける。
例)マジェランあいなめの別名:○メロ、×銀むつ※

8) 個別メーカーの商品名は、別名としても避ける。
例)かつお・まぐろ缶詰の別名:○ツナ缶※、×シーチキン※ 

9) 電子媒体上では「あいまい検索」が難しいことから、異音表記も記載。
例)シイクワシャー:シークワーサー※ 、シークヮーサー※ ルコラ:ルッコラ※

10) 他と混同しやすい食品名については、表記や備考を工夫することを検討。
例)タルト→タルト(郷土菓子)
いそべせんべい→磯部せんべい   備考:鉱泉せんべい・炭酸せんべいに類似

11) 名称を変更する場合でも食品番号は変えない。

3.今後の進め方

 食品成分委員会で合意した「名称に関するルール」に沿って、各食品群ごとに見直すべきものがないか事務局と食品担当委員で整理。
 各作業部会で検討した上で、食品成分委員会で最終決定。

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科学技術・学術政策局政策課資源室

(科学技術・学術政策局政策課資源室)