光資源委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成18年11月6日(月曜日) 13時30分~16時

2.場所

三菱ビル 地下1階 M1会議室

3.出席者

委員

 飯吉委員、石田委員、唐木委員、深尾委員、加藤委員、高辻委員、萩本委員、藤嶋委員、松見委員、緑川委員、森永委員、安河内委員

文部科学省

 小田科学技術・学術政策局長、吉川科学技術・学術総括官、戸渡政策課長、生川計画官、大山資源室長 ほか関係官

4.議事録

(1)主査代理の選任について

 飯吉主査の指名により、加藤委員が主査代理に選任された。

(2)光資源委員会運営規則等の決定について

 委員会運営規則及び公開手続きについて、それぞれの案を資料3及び資料4に基づき事務局より説明後、案のとおり決定された。

(3)公開審議

以下のとおり。

【委員】
 それでは、ここで私から一言ごあいさつ申し上げさせていただきます。
 科学技術・学術審議会の分科会の一つでございます資源調査分科会の分科会長を務めさせていただいております。
 本分科会の今期の作業の一つといたしまして、光資源委員会を立ち上げるということになりました。本日はその第1回の委員会でございます。私は、プラズマ核融合の方が専門でございまして、光科学専門家ではございませんが、分科会長ということで当委員会の主査を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お引き受けいただいた委員の先生方、お忙しい中まことにありがとうございます。特に専門委員の先生方は、光科学がご専門の、第一線でご活躍の先生方ばかりでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 この光資源委員会でございますが、その性格が資料5にございます。光科学の近年の急激な進歩発達によりまして、-光を資源とする捉え方は今まではあまりなかったかと思いますが-、光の資源としての価値が多方面で再認識されてきているのではないかと考えております。今回、21世紀社会に貢献する持続可能な新技術としての光技術の役割を展望していただき、今後の我が国の科学技術の重要な発展分野として、国の施策にも反映させていただければと希望しているところでございます。何卒よろしくお願いいたします。
 以上、ごあいさつといたします。
 引き続きまして、科学技術・学術政策局の事務局から、一言、ごあいさつをお願いいたします。

【事務局】
 きょうは、各委員におかれましては、お忙しい中お出でいただきまして、委員をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。きょうは光資源委員会の第1回ということで、私の思いを少し述べさせていただければと思っております。
 自然科学を勉強してきた者にとってみますと、光というのは、e=mc2などというように、エネルギーそのもの。それから、あらゆる照明や太陽光、また植物などあらゆるものの生きる根源といったエネルギーそのもの。また、科学的にいうと光は電磁波であるという、とてもミクロな存在から、現実の生活面でもかかわる基本的なものでございますが、これを資源としてみようということでございます。
 日本は、中緯度にある国ですから、太陽光がそれほど多くないわけでございますが、そういう中で現代の産業や文化を支える基盤的なツールであるわけです。「照明」の段階から、ノーベル賞の人も出している「レーザー」とか、さらには「放射光」というような、新しい光を創出してきたわけでございます。
 私は、21世紀は物理の時代から生命科学の時代だといったようなことを、この五、六年前からしきりに言ってきたんですが、ここ数年でまた少し見方が変わってきました。というのは、一昨年ぐらいから光・光量子委員会といったもので、文部科学省で音頭を取って、ここにおられる何人かの方にも参加いただいて勉強会をやっております。私が30年ほど前に勉強したものから、ここら辺の領域-光・光量子-なんていうのは、技術的なものが大体終わったのかなと思っていました。が、さにあらずや、ナノテクノロジー等々いろいろな理論・技術の発達で、この分野は未だすごい勢いで変化しているということです。物理の時代、よりきめ細かく見ると、エレクトロニクスの時代からフォトニクスの時代だというような言い方もされており、光、光量子というものは基礎科学の中でも、とても発達してきている。
 それが生活、環境、産業に及ぼす影響はものすごく大きいのではないか。例えば、我々は今、次世代のスーパーコンピュータということで、計測コンピュータというものを考えていますが、そこでは光通信の技術が欠かせない。これがうまくいかないとだめだ、というような議論もある。あらゆる場面において光がキーワードになっています。また、きょうの委員の先生の光触媒といったものについても、10年前にはあまり考えられなかったような形で光触媒の原理が生活にも応用されてきているということであります。
 そういったことから、ここでまた改めて基礎科学の面を念頭に置きながら、光といったものを我々の生活、産業といった視点からとらえて、豊かな暮らしに寄与する光は何かとか、健康な暮らしに寄与する光は何か、また経済・社会の高度化、といった視点からビジョンを出していくことはとても大きな意味合いがあるのではないか。基礎科学の研究者にとっても大きな影響を与えるのではないかなと思っております。光をさまざまな可能性を秘めた資源としてとらえて、総合的な利用を図っていくという意味で意義があるでしょう。いろいろな点に発散していく可能性もあるなと思いつつも、どんな議論になるのかと楽しみにしております。ぜひこの委員会をそういった形にしていただければと思っております。
 研究者とか現場の者のみならず、こういった科学技術の最先端と光資源といった点でとらえて、国民の皆様に情報を提供していくことも、科学技術の振興を図る上で大変大事ではないかと思っております。活発なご議論をいただいて、ぜひユニークな提言として出していただければと思っております。資源分科会では、きょうお配りした文化資源の保存というテーマで、以前にこれもとてもユニークな議論がありました。文化資源なんていうのは、当初、文化を資源と考えることはおかしいのではないかとも言われたようですが、我々としては、こういった形で最初のインパクトを与えるものとして、それなりの価値があったのではないかと思っています。そういった意味でも、皆様の活発なご議論をお願いしたいと思います。
 ちょっと長くなりましたけれども、よろしくお願いいたします。

【委員】
 局長、どうもありがとうございました。
 それでは、光資源委員会での調査審議の進め方についてお諮りしたいと思いますが、まず事務局から説明をお願いいたします。

【事務局】
 それでは、資料5と資料6を一括ご説明申し上げます。
 資料5は、光資源委員会を設置しようという資源調査分科会でのご決定の文書でございます。目的のところにございますように、太陽光は、地球上の生命を支える基本的要素でもあり、また、人工の光も生活や産業を支える重要な要素になっている。
 このような光について、通常、我々は「資源」と意識することは少ないけれども、限りある鉱物資源、エネルギー資源等をより有効に活用し、あるいは、地球環境に配慮し、安全・安心かつ快適な生活と経済・社会の持続的な発展を図っていくためには、「光」全体を「資源」と捉えて、その総合的な活用を図っていく必要がある。
 特に、最近は光に関する科学技術が急速に発展してきている。その技術の発展という観点も踏まえて、「光」全体を俯瞰して、「光資源」として捉えて、利用方策について調査審議をすることとするということでございます。
 光あるいは光技術というものは、各方面でさまざまな研究開発がされております。また、その活用のポテンシャルも非常に広いと考えております。これから光の科学技術というものが、よい影響あるいは悪い影響を与える可能性があるのかといったポテンシャルを整理することで、国民の理解が深まり、翻って光技術の振興にも結びついてくるのではないかと考えているところでございまして、そういう観点で幅広く、第一線でご活躍の先生方にお集まりいただいたところでございます。
 資料6は「調査審議の進め方について」ということでございますが、最終的にはレポートとして、文化資源の報告書お配りいたしておりますけれども、そのような形でのレポートにまとめていきたいと考えているわけでございます。これは先生方のご議論にもよるわけでございますが、事務局として考えておりますのは、これから先生方から逐次プレゼンテーションをいただくわけでございますけれども、それを図表込みで10枚程度のレポートの形でまとめていただきまして、それを各論として整理をいたします。
 それとともに、そこから幾つかの提言と言いますか、今後の展開方向と課題、光科学技術についてのポテンシャルを現実のものとするために、どういうことが必要なのかとかいろいろな観点があろうと思いますけれども、展開方向とその課題について整理をすることにしてはいかがかなと思っております。
 この構成ですけれども、とりあえず光と地球環境、地球に降り注ぐ光が地球環境の根底にあるというところから始まりまして、身近な食生活なり住環境なりに寄与している光がある。その中でも、植物や動物に対する影響というところから、健康なくらしというところで、ヒトに対して光がどういう影響を及ぼしていくのか、さらには医療といった観点でどういう寄与がなされ得るのか、さらに、今まさに最先端でいろいろな研究が進められております光量子技術と言いますか、光関係の技術が経済・社会の高度化にどういう貢献をし得るのか。また、そういうものを達成するためにどういうことが必要であるのかといったようなことを整理していってはどうかと考えているわけでございます。
 その次のページにまいりまして、調査審議の進行についてということでございますが、とりあえずはこれから少なくとも月に1回ぐらいのペースで、お2人ずつぐらいプレゼンテーションをしていただいてはどうか。それから、最後に調査報告の原案について、調査審議をしていただきまして、報告書をとりまとめると。月に1回開催するとすれば、5月か6月ぐらいには報告書をまとめるという段取りではいかがかなと考えているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【委員】
 どうもありがとうございました。
 今、光資源委員会の設置についてということと審議の進め方についてご提案がございました。これについてご意見を伺いたいと思います。
 まず、設置について、こういう視点で光資源委員会を立ち上げて審議をしていきたいということでございますが、内容的に何かご意見がございましたら。こういうふうな視点も必要ではないかとかいうようなことがございましたら、どうぞおっしゃっていただければと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは、調査審議進め方についてはいかがでしょうか。光の地球環境、豊かなくらしに要する光、健康なくらしに要する光、経済・社会の高度化に寄与する光、こういう大きなフレームワークでまとめてみてはという提案でございます。それぞれご専門の先生方からお話を伺って、ディスカッションを行った上で、最後の提案にもっていきたいということでございますが、よろしいでしょうか。
 これも大変よくできていると私は思いますが。こういうフレームワークについては、最後にもう一度見直し、もっと適当なあれがあれば変更するということになると思いますが、とりあえずこういう形で進めさせていただきたいと思います。調査審議の進行につきまして、多分ご都合も伺ってのことだと思いますが、事務局で順番等を割り振ってございますが、これについて何かございませんか。
 特にないようでございますので、こちらもお認めいただくことにして。それでは、こういうことで進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、きょうの発表をお聞きしたいと思います。最初に「光触媒で快適空間をつくる」という題名でご発表いただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【委員】
 それでは、始めさせていただきます。
 光触媒というものを研究しておりまして、その概要についてまずお話させていただきます。すべての人の希望することは何かと言えば、健康で、-きょうのタイトルにもありますけれども-、快適で、天寿を全うすることではないかと思っております。このすべての人が希望することをかなえるようにする、これが私たち科学者あるいは技術者の任務ではないかと思います。何のために研究するのか、最終目的は何かというと、これに尽きるのではないかというのが、私がずっと考えていることであります。
 では、どうしたらいいかということで、天寿を全うするための科学技術の一つとして、今からお話する光触媒がその一つの例になるのではないかと思って研究してまいりました。きょうは光触媒についてお話申し上げますが、私、川崎市の教育委員もやっているものですから、去年、市民講座で連続5~6回、一般市民の方にお話させていただきました。それをまとめたものがこの本であります。もしよろしければ、10冊持ってきましたので、先生方、帰りの電車の中でもぱらぱらと読んでいただければと思いますので、後でお配りさせていただきます。
 「天寿を全うするための」ということの一つが光触媒です。どこで応用していただいているか。これは横浜みなとみらいMMタワーズです。このビルのすべてに応用していただいています。じっと見てもわからないんです。なぜかというと、光触媒というのは透明ですから。このビルのすべての表面に光触媒がコーティングされていて、汚れないビルになっています。このタイルは、TOTO(トト)と一緒にやったものですから、これはTOTO(トト)のタイルに限って申し上げます。全国いろいろなところですでに1万棟以上使っていただいているのが光触媒付タイルということになっております。
 これは、去年の2月、愛知万博の前にオープンしました中部国際空港です。オープンする1週間前に招待していただきまして、これを見させていただきましたが、ここにも光触媒を応用していただいております。これもずうっと見てもわからないですが、このガラスすべて光触媒でコーティングされていまして、汚れないガラス。汚れないだけではなくて、曇らないガラス。雨が降ったときに行ったことがあるのですが、普通のガラスとは全然違います。水滴が見えないのです。
 あとでまたご紹介しますが、光触媒ミュージアムというのを2年ちょっと前に私のいるKSPにつくりました。もしお時間があれば、溝ノ口からシャトルバスで5分ですから、簡単に来ていただくことができる場所にあります。そこの中庭のフロアに展示してあるテント材料を見ていただくと、光触媒がすごいなと評価していただける。後でもうちょっと詳しくお話しますが、東京ドームで使っているのと同じテント材料です。普通なら汚れてきますが、光触媒を使いますと、全然汚れない。また、これをガラスを通して見るわけですが、雨の日ですと、ガラスはふつう水滴がついて曇るところが、光触媒だと全然曇らないということで、このようにして使っていただけるようになってきました。
 これはまだ完全ではないんですけれども、がんセンター総長の垣添先生と学術会議で親しくさせていただいていまして、先生にお話をしました。がんの手術をなさった患者の方々が東京湾を見るのに、きれいな窓を通して、雨の日でもきれいにみたいということで、光触媒をつけていただいたものです。光触媒は、先ほどのように汚れませんし、雨が降っても非常に見やすいということなんですけれども、これは残念ながら窓が内側に入っていますから、雨がかからないんですね。そうすると、後で水をかけなければいけない。これはまだまだだと垣添先生に言われました。
 愛知万博に行かれた方は、夢見る山というシンボルをご覧になったと思います。大きなものでしたが、真っ白でした。これに光触媒を使っていただきました。夕方になると、中に赤いランプがともって赤富士になりました。これが、最初から最後まで本当にきれいなままでした。これは光触媒の一つの成果だと評価していただきました。
 去年の8月にオープンしましたつくばエキスプレスのつくば駅、あるいは、そのほかの駅にも使っていただくようになってきました。これは二子玉川駅で、この表面は全部光触媒がコーティングされています。汚れなくなりました。
 これはついこの間、9月24日オープンしました東横線の元住吉駅で、3階建てになりました。南北線がまだ開通していませんけれども、そのテント材料には、すべて光触媒を使っていただいております。今、田園都市線と東横線でどんどん使っていただくように工事中だそうです。
 これはもう2年前になりますが、光触媒で日本国際賞をいただくことができました。天皇、皇后両陛下もよく光触媒のことを知っていただいております。
 さて、光触媒というのは何かということです。これは「つい最近の中住社長」と書いてありますけれども、私は東大大学院のマスター1年生のときに、中住さんが酸化チタンの単結晶をつくっているということを聞きまして、神戸の中住さんに手紙を書いて、ぜひ結晶を使わせてくださいということをお願いしました。これが光触媒の発端です。中住さんとは今でもおつき合いさせていただいていますけれども、「中住さん、ことし幾つですか」、「いや、ことしは特別の年だよ、米寿だよ」とおっしゃっていまして、88歳になられるんですが、まだお元気でおられます。
 その中住さんが今でもやっていらっしゃることは何か、ダイヤモンドに近い結晶をつくっておられます。酸化チタンの単結晶をブリリアンカットしますと、単結晶がダイヤモンドに近くなるんです。これが中住さんのやっていらっしゃるものです。ちょっと皆様にお回しします。大きなダイヤモンドですけれども、これはルチル、すなわち酸化チタンの単結晶です。ちょっと黄色く見えます。だから、黄色いダイヤ。これがルチルの結晶であります。
 私はこれを昭和41年、1966年、大学院のマスター1年生のときに、中住さんが作っていらっしゃるというのを聞いて、直接お願いしたわけです。この結晶、これをブリリアンカットしますと、ダイヤモンドに近い宝石になるんですが、これを使うことができたんです。これが私の研究の最初の一歩でありました。
 そして、それをどういうふうにしたか。この単結晶は一番理想的な結晶ですから、それを使って、リード線を出して、電気分解の電極にする。そして、光を当てながら、水の電気分解の可能性を調べようという実験を行いました。その当時、まだ誰もこの結晶で、こういうような実験はしていなかったということであります。
 これはちょっと専門的ですけれども、電圧と電流、水の電気分解ということを考えていただきますと、水から酸素の発生する電圧はかなりプラス側です。ところが、酸化チタンに光を当てますと、光の強さに比例して反応が起こる。しかも、光のエネルギーを吸収することによって反応が非常に起こりやすくなり、マイナスの電圧でもおこりました。光エネルギーを吸収したことによって、水から酸素がでる反応が加速されたわけです。
 つまり、光エネルギーをうまく吸収して利用してくれたということです。水が光によって分解できるというのは従来にはなかったのですが、それを私は酸化チタンで行うことができたということです。酸化チタン以外にも光を感じるものはいろいろの半導体、例えばGe(ゲルマニウム)、Si(ケイ素)あるいはZnO(酸化亜鉛)であるわけですけれども、それらは全部水中で分解してしまいます。酸化チタンでは、安定で、それ自身分解せずに水を分解して酸素が出ます。私は酸素が出ることに非常に感動しました。
 なぜかというと、光を当てると水から酸素が出るということでは、植物がやっている葉っぱの表面で起こっている光合成反応に近い。葉っぱの表面で起こっている一番大事な光合成反応に近いということに感動したわけです。今でも植物の光合成は反応機構がわからないと皆さんいろいろ研究なさっていますけれども、葉緑素の代りに酸化チタンが似た作用をしているんだということに気がついたわけですが、これが一番うれしかったことでありました。
 今、お話している植物がやっている光合成反応は、2種類の葉緑素が太陽エネルギーを受けて、炭酸ガスを還元しながら水を分解して酸素、私たちが必要な酸素、を葉っぱの表面から出しています。これと似たことを酸化チタンと白金を使ってこんな簡単な装置で再現できた。炭酸ガスを還元することも大事なことですが、私自身も研究をずっとしてきましたけれども、水から水素を出すということも大事です。
 水素はクリーンエネルギーです。つまり、燃料電池とかいろいろなところに使われますが、燃やせばまた水に戻るだけのクリーンエネルギーです。酸化チタン(今お持ちしております単結晶)、そして白金、抵抗をつなぐだけで、光を当てると酸素と水素になるという論文を『ネイチャー』に発表したのが1972年でした。
 それを発表したのが、ちょうど第1次オイルショックの前の年であったものですから、世界中の人が「『ネイチャー』に日本人の出した論文があるじゃないか、石油がなくなっても大丈夫ではないか」と言ってくれていたようです。このことが朝日新聞の元旦の1面トップ記事として書いていただいたのが1974年で、32年前のことです。
 それから相当たってからですけれども、朝日賞をいただくことができました。私の先生の本多健一先生と私がいただきました。今、写真が出ていますが、私は司馬遼太郎さんと一緒にもらったんだなと気がついて、うれしくなった写真です。奥様の福田ミドリさんもここにいらっしゃいます。
 その後、水素をとろうというときに、高価な単結晶を使うわけにいかないので、安い材料で、しかも大量につくらなければ実際に使っていただくことができないということになりました。どうしたらいいか考えました。チタンの金属をバーナーであぶる方法を使いました。チタンの薄い金属はかなり安い。チタンは高いように見えますけれども、薄いものですと本当に安い材料です。それを買ってきてバーナーであぶって、表面に酸化チタン皮膜をつくる。これで十分なわけです。これで単結晶以上の効率が出るということがわかりましたので、非常に簡単につくることができました。1メートル四方の大きなものをつくりまして、太陽光の下で実際に水素をとる実験を続けました。
 それを、東大工学部の本郷キャンパスの屋上でやりましたけれども、夏ですと、1日7リットルぐらいの水素をとることができました。酸化チタンというのは太陽光の3パーセントしか吸収できません。でも、7リットルの水素を実際に発生させる事が出来ました。そういう点で一つの仕事はできたなと思いました。この研究をしたのが1975年ですから、もう三十数年前になってしまいました。
 この研究は今度また見直していただいています。特にアメリカのブッシュ大統領が、最終的には太陽エネルギーを使って水から水素をとるのが理想的なエネルギー変換技術ではないか、ソーラーハイドロジェンプログラムというのが一番大事だ、ということを言い出しました。去年ぐらいからアメリカを中心にして、私たちのこの研究が再度評価していただけるようになってきました。
 もちろん、エネルギー変換というのは難しいことです。水1モルというのは18グラムですけれども、18グラムの水を使って水素をとるのに幾つの光の数が要るか考えてみます。1モルというのはアボガドロ数6×10の23乗で、10の23乗というのはすごい量です。6×10の23乗ですから、ほぼゼロが24桁もあるわけです。これが難しいもとです。
 酸化チタンが感じる太陽光は光の数にしますと1秒間、1平方センチメートル当たり10の15乗個です。10の15乗でも多いんですけれども、水1モルは24乗ですから、9桁違います。9桁も違う、これがエネルギー変換の難しいん点です。そこで、どういうふうにしようかと考えました。すぐに使っていただくことができるのは、微量のものを相手にする事ではないかと考えました。例えば、大腸菌が10の6乗個、つまり100万個ある。1平方センチ当たり100万個の大腸菌があって、それを光子1個に対して1個の大腸菌が殺せるとすれば、光の数として10の6乗個あればいいわけです。光は10の15乗個ありますから、この場合では十分すぎる、つまり9桁も多いわけですね。
 だから、エネルギー変換は少し待って、まず表面にある大腸菌を殺す研究を始めました。あるいは、たばこのにおいなど、微量でも困っているものを相手にしようと考えました。微量なものを相手にして、これらを分解して快適空間をつくろうというテーマにしました。これが光触媒ということであります。そこでまずやりましたのが大腸菌を殺すこと。タイルの上に酸化チタンを透明にコーティングしていただきました。そして大腸菌を置きました。あるいは、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、緑膿菌も使いました。これらの菌が簡単に死んでしまったわけです。これが私たちの最初の光触媒の成果でありました。今から十五、六年前のことです。
 光触媒付きタイルを病院の手術室の床と壁に実際に使っていただきました。床や壁には蛍光灯の光あるいは太陽光が当たりますので、空気中の空中浮遊菌もなくなるという結果が得られまして、これは使えそうだということがわかりました。そして、今では、光触媒タイルがいろいろのところで使っていただいております。
 この写真は空気清浄機のフィルターです。これはセラミックでできています。酸化チタンが透明にコーティングされています。これを空気清浄機のフィルターに使います。私は、1週間に1回行くだけなんですが、JR東海の研究所長にもなっています。来年の7月から「のぞみ」はN700系の車両になります。今、試運転の最終段階ですが。今ののぞみでは3両だけたばこを吸うことができますけれども、来年7月からたばこを吸えなくなります。でも、たばこをどうしても吸いたいという方には特別な場所をつくらなければいけない。2人用、4人用の喫煙ルームをつくることになっていまして、この臭いをどうやってとるか。ここでも光触媒空気清浄機が使われる事になっています。装置も完成し、最終段階になり、今、試運転をやっております。
 さて、光触媒について簡単に説明しましたが、先ほどの手術室の床や壁に酸化チタンをコーティングしたケースでも、研究していますと、そんなにすぐにはできるわけではないんですね。この場合でもプラスアルファの技術がどうしても必要でした。酸化チタンだけを使うと効果が完全ではありません。どうしても欠点があります。欠点を克服することを考えなければいけないということであります。光触媒というのは光が当たっているときにしか効果はありませんから、暗いときはどうするんですか、夜はどうなるんですかと言われるわけです。
 それを保証しなければいけないということになります。その一つの例としまして、酸化チタンをコーティングした後に、硝酸銀の水溶液の中に入れて光を当てまして、酸化チタン上に銀をつけます。ナノサイズですから、見た目にはわからないんですけれども、表面に銀がついています。銀あるいは銅というのはどういう性質があるか。皆様ご存知でしょうか。100円玉、10円玉の表面は自動的に殺菌されています。銀とか銅は殺菌力がありますから。コインメタルは殺菌力があります。銀や銅を酸化チタン表面につけたことによって、光が当たっているときは光触媒作用で非常に効果があり、かつ暗いところでも金属によって徐々に殺菌ができる。暗いところでは銀が働き、光が当たれば酸化チタンが働くと、そういうような工夫がされています。
 その次にやりましたのは、高速道路のトンネルの照明器具への応用です。日本道路公団の方が来られまして、東名の大和トンネルのように交通量がたくさんあるところでは、例えばトラックがたくさん通ると照明器具の表面が油汚れしてしまうので困っていると言う話がありました。ガラスの表面に酸化チタンを透明にコーティングしましたら、油汚れがつかなくなりました。油がついても分解してしまいます。そういうことで、全国の高速道路のトンネルの照明器具に使っていただくようになってきています。
 このときも最初からうまくいったわけではなくて、試行錯誤しました。なぜかというと、普通のガラスはソーダライムガラスですが、ナトリウムイオンが入っています。酸化チタンを表面に透明にコーティングしてガラスの上につけるわけですけれども、常温では密着力がないものですから、300度ぐらいに熱します。そうしますとガラスの中のナトリウムイオンが酸化チタンに拡散してきて化合し、チタン酸ナトリウムというものになります。これは光触媒特性を示しません。そういうものができてしまうため、最初、幾らやっても光触媒効果がないわけです。理由が分からず悩みましたが、ナトリウムイオンが拡散してくるということが分かりました。ナトリウムイオンをブロックする層、いわゆる透明にできたシリカを下地層としてコーティングしてから、酸化チタンをコーティングし温めました。つまり、ナトリウムイオンに対するシリカによりブロック層を入れることによって初めて光触媒による油分の分解に成功することができました。この場合も光触媒プロセスにプラスアルファが必要であるということがわかったということになります。
 鏡が曇るという現象は一般的です。特にシャワーを浴びると鏡が曇る。これも、酸化チタンを透明にコーティングして光を当てたら曇らなくなったんです。曇るという現象は何かというと、小さい水滴がついている、その水滴の角度が大事ですね。これは接触角と言います。この角度が普通は七、八十度。水滴の表面がまんまるになるときは150度ぐらいの角度があります。この角度が限りなくゼロになりますと、全面を水が覆ってしまう。これを親水性と申します。水になじみやすい。しかも、この角度が10度以下のときに「超」の字をつけまして、、「超」親水性になるということがわかりました。
 この現象、表面の油汚れがなくなったことでおこることだと最初は思っていたのですけれども、前に述べた強い酸化力ではないらしいとなってきました。反応機構としては、まだはっきりしない面があります。私の後継者の東大先端科学技術研究センターの所長をやっている橋本和仁さんは今でも研究してくれています。酸化チタンは、安定で水に溶けないと思っていたのですけれども、表面第一層の酸素は脱離するらしい。そして、そこには水がつきやすくなる。しかし、その状態は不安定で、また徐々に安定な状態に戻るらしい。酸化チタンは水を分解したり、油汚れを分解できる。しかし、この強い酸化力に加えて、表面が水になじみやすくなるという超親水効果もあることが分かりました。しかし、これも不安定な状態ですから、また元の安定なTiO2(酸化チタン)構造へ戻っていくわけです。このようなおもしろい効果を酸化チタン表面は示すことがわかりました。
 この現象は、例えば車のサイドミラーに使っていただくようになりました。トヨタの新車は、90パーセントぐらい使っていただいているのではないかと思います。雨の日でも運転がしやすくなる。だから、交通事故が減っているのではないかなというのを私も期待しているわけです。このときもプラスアルファの技術が必要でした。酸化チタンプラスシリカをガラスの上にコーティングします。シリカが水を保ちやすいものです。そういうようなことで酸化チタンプラスシリカを鏡やガラスの上にコーティングしますと、常に水が表面を覆ってしまうような超親水性効果があって曇らないということであります。
 最初にみなとみらいのMMタワーズのことをお話申し上げました。光触媒、フォトカタルシスが応用されていました。光触媒特性の中でも、今一番皆さんに注目していただいているのは、セルフクリーニング効果があるということです。酸化チタンをいろいろなところに透明にコーティングしまして、太陽光が当たりますと、わずかの油汚れは分解して最終的にCO2(二酸化炭素)になる。もしたくさんの油汚れがあったらどうなるか、水をかければいい。あるいは、雨が降れば、水が全面を覆ってしまいますから、油汚れが浮いてしまうわけです。これが光触媒のセルフクリーニング効果、自然にきれいになってしまう効果です。
 これは松下電工の1ページ広告です。今、いろいろな雑誌にこの広告が出ています。汚くなるようなビルがあるんですけれども、酸化チタンを透明にコーティングしますと、非常にきれいになってしまいます。先ほどの例のようにいろいろなところに応用していただいています。最近、日経新聞の1面広告を見ていたら、パナホームが、エコ&クリーンホームということで、太陽電池を使って電気をつくり、建物全体は光触媒タイルを用い、汚れなくしましたということで宣伝しておられます。
 パナホームの方に聞きますと、これを宣伝するようになって2年になるということです。いろいろな種類のカラフルな、例えば31色のタイルに、透明に酸化チタンをコーティングしてあります。どんなタイルでも酸化チタンは透明にコーティングできて、そして汚れないということです。パナホームだけでも1年間に3,000棟はこれを使っていただいているということで私もびっくりしました。
 また、これもびっくりしたんですけれども、三郷にあるみさと公園パナタウンというのを発売したそうですが、全部光触媒をつけた家でできているということであります。常にきれいに保つことができるということになったということであります。
 光触媒は、これまでお話したように原理は非常に簡単です。キーワードはたった2つ、酸化チタンに光。空気がきれいになります。しかし部屋の中の空気をきれいにするのは光源の問題があって難しい点があります。部屋の中の特にシックハウスの原因物質を分解するために光触媒系をどうやって使うかというのが一番難しいところになっています。光触媒の可視光問題であとでも触れますが、NEDO(技術開発機構)のプロジェクトが3年間実施され最近終りました。既に大々的に報告されていますけれども、壁紙に応用したり、さらに部屋の中のもの全部に応用していこうと検討されました。例えばホルムアルデヒドの分解、あるいは、たばこの臭いの除去です。部屋の外ですと、NOX(窒素酸化物)の除去があります。水もきれいにしたい。これはまた難しいんですけれども、一生懸命研究されています。それから、殺菌ができる。特にウィルスを殺すことができる。アジアの鳥インフルエンザ問題、SARS(サーズ)問題のときには、本命は光触媒ではないかと言われ、今、アジア地区ではこのようなウィルス問題に対しても非常に効果があるということから、使っていただいています。それから、これもお話申し上げた、汚れない、曇らない、セルフクリーニング効果です。
 では、酸化チタンというのは特別なものか。そうではなくて、一般的な材料です。チタンはクラーク数が十位です。だから、資源的な問題は全然ありません。しかも、酸化チタンは、日本人は1人1年間で2キロ使っている一般材料です。今朝も皆さん使っています。歯磨き粉の中にも入っております。あるいは、白いペンキは全部酸化チタンです。衣服にも使っているし、紙にも使っている。そのような一般材料ですけれども、それをうまく工夫していただきますと、光触媒として有効利用ができるということになってきました。
 ところが、簡単そうに見えるものですから、これも光触媒製品、あれも光触媒製品と出てきています。一番ひどいのは造花です。光触媒付きなんて書いてあるのですが、ほとんど効果はありません。私たちがチェックしたら全然効果がない。そういう紛い物はやめてくださいとお願いしたこともあります。光触媒関連のJISがようやく確定してきました。私はこのJIS委員会の委員長をさせていただきまして、空気をきれいにする、水をきれいにする、表面が汚れない、殺菌ができるというJISを制定しつつあります。今、その最終段階になっております。
 次が光触媒をISOにもっていこうということです。今、ISOに対しましても国際委員会で検討されています。この光触媒のISO化ですが、日本がリードしてやっています。しかし、日本がリードしますと、今度はどうしても、韓国が一部を分担したいと言い出しますし、ヨーロッパのドイツなどが自分たちも担当したいということで、その辺は今折衝しているところであります。
 もう1つ大事なことは何かというと、酸化チタンは透明ですから、太陽光の3パーセントしか使うことができません。では、先ほど申し上げた部屋の中のシックハウスのもとのホルムアルデヒドなどをのぞくために壁紙にどうやって光触媒を応用するのかということになります。可視光も感じる光触媒をつくらないといけないということになりまして、これが今一番大きな話題であります。
 どうしたらいいかというと、酸化チタンを工夫しまして、TiO2(酸化チタン)のO(酸素)のところに窒素で少しだけ入れかえる。そして感じる光をもうちょっとエネルギーの小さなものにする。窒素をドーピングすることによってエネルギーの小さな、つまり可視光領域の光を使うことができるようにする。これが今一番の話題でありまして、もちろん日本が中心ですけれども、外国でも研究されています。白い粉だった酸化チタンが少し黄色になる、これが可視光効果なんですね。450あるいは500ナノメトールぐらいまで利用することができるような光触媒が研究されています。
 その1つの例ですが、これは松下電工の製品だったと思いますけれども、壁材、天井材に、普通の電球の光でも感じるような光触媒を使っています。
 先ほど光触媒ミュージアムについてお話申し上げましたが、光触媒ミュージアムをつくらせていただきまして、2年少しになります。この写真では、私が説明させていただいていますけれども、私が最初にやりました水の分解実験装置もあります。光を酸化チタン電極表面に当てると水が酸素と水素になるというのをご自分で体験していただけます。
 いろいろなものを展示させていただいております。これは全部、本当に光触媒効果があるかをチェックしてから展示しています。紛い物は展示しないということであります。
 私にとりまして一番うれしいのは、オープンして1年後に来館者が1万人になったことでした。あともう少しで2万人になります。皆さん、ラッキーだったらちょうど2万人目にあたります。今、お祝いをどうしようかと考えていますが、あと200人ぐらいで2万人になります。去年の8月4日にこの男の子が夏休みの宿題を私たちのミュージアムでやってくれましたが、この子が1万人目でした。今年も、夏休み光触媒コースを実施しました。二、三百人の小学生・中学生が来てくれました。ぜひ皆様お越しいただければと思っております。
 最初に申し上げましたように、このミュージアムの中庭にも展示材料を置いています。テント材料も最初は同じ白色だったんですが、光触媒の有無でどんどん差が出てきました。太陽光と雨だけの作用で、一方は真っ白で、最初と全く同じです。もう一方の光触媒なしのものは真っ黒になりまして、その差を見ていただくだけで、これは使えそうだなということを感じていただけます。
 どうもありがとうございました。

【委員】
 どうもありがとうございました。
 何かご質問等ございますか。どうぞ。

【委員】
 今、世界の方はどの程度になっているんでしょうか。

【委員】
 日本が中心ですけれども、アジア地区はどこも活発ですね。中国本土はすごいですし、台湾、韓国も非常に活発です。特に中国は人口も多いし、北京オリンピックを控えて、いろいろなところに使っていただいています。つい最近は天安門広場の横に、7,000人入る人民大劇場ができたんですが、その屋根に使われています。そのほか、中国でも光触媒の委員会ができたり、あるいは、JISに相当する中国の規格を日本にまねてやるようにしたりしています。ヨーロッパも非常に盛んです。私たちの最初のタイルもドイツがまず輸入してくれています。もともと光触媒はドイツ等が中心でしたけれども、酸化チタンの粉を使って水にきれいにするという光触媒の研究は今でも続けて行われております。酸化チタンはいろいろなものに透明にコーティングして使うのが有効でして、このような考えが外国でもようやく分かっていただいております。特にガラスが一番大事な分野でして、ガラスの場合ですと、世界大手では日本は旭硝子、日本板ガラス、セントラルガラスがありますけれども、フランスのサンゴバン、イギリスのピルキントン、アメリカのPPGが大手で、これらはすべて光触媒を始めています。

【委員】
 最近、抗生物質であまりきかないようなものが出ていますが、そういうものにも使えますね。

【委員】
 ええ、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などには抗菌性が出ますよね。ところが光触媒ではそういう現象は全然ありません。何でも殺してしまうというか、分解してしまうわけです。特に光触媒は大腸菌を殺すだけではなくて、そこにもし毒素があったら毒素も分解できます。例えばベロ毒素事件というのがありましたけれども、光触媒の場合は大腸菌を殺して出てくる毒素も分解できる、それが一番の特徴です。そして、抗菌性は出ないです。

【委員】
 皮膚とか生体材料に塗布はできるんですか。

【委員】
 ええ、それはできますけれども、皮膚を悪くしてしまうといけないので、私たちはあまり考えてはいません。皮膚科にはちょうどいいのではないかなと思って皮膚科の先生に「水虫に絶対いいですよ」と言ったことはありましたけれども、先生は「いや、今の水虫の薬で十分だ」とおっしゃって、それで終わってしまいました。
 きょうは話しませんでしたけれども、例えばがん治療にも有効ですし、特に抗がん剤を飲んだときの抗がん剤の副作用をとるのに一番いいのではないかということで、横浜市大の窪田教授と一緒に研究しております。そういう点でがん治療もできるし、抗がん剤に対して不要なときには副作用をとめることもできると、このような応用もあると思っております。

【事務局】
 細菌の分解の時定数みたいのはどういうことですかね。

【委員】
 光触媒反応は主に光の強さに左右されますね。光の強さが大事です。きかないなと思ったら光を強くすればいいということですね。

【事務局】
 普通の蛍光灯ぐらいで例えばこの床ぐらいのところの距離で効きますか。

【委員】
 幾つのフォトンがきているかによります。フォトンの数が大事です。今、カーペットとかカーテンとかでも製品が出てきているんですけれども、部屋の中だと、照明光では、ちょっと弱いですね。蛍光灯はいいんですけれども、特に普通の電球ですと、残念ながらあまり感じないですね。だから、先ほど最後に申し上げた可視光効果を使わなければいけないということでして。

【委員】
 いろいろなことにきいて非常におもしろいんですが、これの相性が悪いとか、これはだめというのは何かありますか。

【委員】
 相性が悪いというのはほとんどないんですけれども、別の事例では、例えば私の自宅は7年前に全部コーティングをして汚れない家になっているんですが、ある大手の業者が透明に酸化チタンをコーティングできるようになった、民間でやったことがないので試験させて欲しいと。ところが透明ですから、塗ったかどうかわからないんですね。それが1カ月か2カ月たってから、塗っていないところがバレる。今は塗ったかどうかを区別するためのテクニックもようやく確立してきました。このようなところで最初は不具合がありました。
 今、先生がおっしゃっている「これはだめ」ということでは、光が強くないとだめなんですね。たくさんのものに対しては応答しません。たくさんのものに対してフォトン数が少なかったら効果はないということです。それから、最終酸化物に対しては効果は出ません。それは分解できません。最終酸化物は分解もそれ以上できないからです。光触媒反応は酸化反応するものですから。
 ただし、それがまたいい面でもありまして、例えば、私たちは今、神奈川県の農業技術センターと一緒に研究しているんですが、トマトの溶液栽培ですね。トマト栽培の溶液は循環しています。その中には農薬も入っています。ただし、栄養分の窒素、リン酸、カリが入っています。窒素、リン酸、カリ、特にリン酸は最終酸化物です。それ以上酸化されませんから、その液を太陽光の下で光触媒させれば、悪い有機物だけは分解して、リン酸とかは分解しません。そういう点はいい面でもあるんですね。溶液を何回も使うことができるということに加えて、トマトの栽培量が増えるというようなことになっています。

【委員】
 家庭用の光、500ナノまで反応できるということでしたが。

【委員】
 今は窒素をドープしたりしまして可視光にも反応するものもあります。ただし、酸化チタンの色がちょっと黄色くなっています。

【委員】
 将来的には600ぐらいまではできるんでしょうか。

【委員】
 酸化チタンの場合は、600ナノメートルまで感じるようにすることができると思いますが、その一方で酸化力が弱くなるということです。その辺のバランスが難しいですね。窒素をドープしたり、硫黄をドープしたりして、色をつけていくということになるんですけれども、そのまま強い酸化力のレベルが維持できればいいんですが、その力がどんどん弱くなっていきます。その辺のかねあいが大事ですね。

【委員】
 家庭用照明が500よりちょっと高い方が、波長が長い方がいいと。

【委員】
 ただし、問題なのは酸化チタンコーティング層に色がついてしまうことですね。私はやっぱり透明の方がいいなと思っているんです。酸化チタン層があるかどうかわからないのに、光触媒が作用して、そこで一斉に殺菌したり、消臭ができたり、あるいは、汚れないというのがいいなと思っています。色がつくということは、もちろん、限られたものには応用できますね。空気清浄機の中に入れるならいいんですけれども。

【事務局】
 コーティング技術というのはなかなかとれないんですか。

【委員】
 それは基材の種類によりますね。例えば建材のタイルでは建物と同じ寿命を保証します。タイルは20年保証、あるいは30年保証、つまり、建物に使う場合にはそれだけの保証をしなければなりません。ただし、透明なフィルムにコーティングされたものも、例えばサイドミラーの場合、車につけたいというときは、透明のフィルムを売っています。それをはるということもできるんですが、それはフィルムの寿命によります。基材自身に直接つけた場合は、そのものの寿命で保証するということになります。

【事務局】
 これは知的財産というのはあるんですか。

【委員】
 知的財産は今一番大事なところでして、いろいろな企業から沢山の特許が出されていますね。日本の特許としては年間1,000件ぐらい各企業が出ています。私に対し、特許でもうけただろうと皆さん思われるんですが、私が出した最初の特許は40年前の特許です。特許は15年で切れてしまいます。超親水性効果の特許はまだ生きていますが、TOTO(トト)が主で、私たちは東大TLOにお願いしています。

【委員】
 今、主にタイルを使ってのお話が多かったんですけれども、さっきのお話で殺菌みたいなときに例えばマスクにコーティングするとか、ああいう布地みたいなものでもよろしいんですか。

【委員】
 ええ、布にもどんどん応用されています。例えば大手では東レも出しています。それも可視光で感じる酸化チタンを使ったもの、例えば看護士さんの着るものとか、カーテンがあります。介護あるいは病院関係、医療関係にどんどん使われてきております。

【委員】
 大変おもしろいお話ですが、ほかにございますでしょうか。
 どうも、先生、ありがとうございました。
 それでは、次に、「光と地球環境および環境測定」ということでお願いいたします。

【委員】
 ただいまの大変すばらしいご講演の後なので、大変緊張しております。こういう会議は初めてなので、少し聞き苦しいところがあるかもしれませんが、よろしくお願いします。
 私の担当は、「光と地球環境及び環境計測」ということで分担をさせていただきます。私は、大気化学の専門でして、地球環境を光資源として考えてほしいということで、まとめてみました。内容としては、あまり難しくない話をいたしますが、皆さんのご批判、ご助言をいただければ幸いだと思います。それでは、始めさせていただきます。
 まず、地球環境と光ですけれども、これを考えたときに2つの面があると思います。それは何かと言いますと、1つは地球環境問題にかかわる光、これは能動的な光の応用ということではなくて、地球環境に光がどのようにかかわっているのかという、どちらかというとマイナスの面の光の関与のことをお話しいたします。もう1つは、光で計測する地球環境ということで、これは積極的に能動的に光を使って地球環境の計測法の新しい展開に関して、どういうものがあるかということをお話しいたします。地球環境と言いましても、私は大気化学が専門なので、大気に関することがほとんどであります。
 地球環境問題というのは、皆さんよくご存じだと思いますけれども、例えばオゾン層破壊の問題、あるいは、地球温暖化の問題、光化学スモッグなど、こういう問題がありますが、すべて光が関連しています。例えば、大気中の光化学反応、あるいは、赤外線光吸収による温室効果などということで、光というのが地球環境問題の根源にかかわっているということであります。
 先ほど先生のお話もありましたけれども、太陽光のスペクトルの図です。波長強度分布ですけれども、太陽光は5,500度の黒体放射です。これを分光して、各波長での強度をとりますと、このような形になります。一番強いところは目で見える可視光の範囲ですね。可視光の範囲が目で見えるというよりは、一番強いところが目に見えるようになってきたと、人間の進化の過程で、動物の進化の過程で、ここが見えるというのが正しいのかもしれません。
 目で見える波長範囲以外にも紫外と赤外という領域があります。まず、オゾン層問題というのは目で見えない紫外光が重要であります。太陽光、先ほどの左半分、100、200、300、400、500ナノメートルなんですけれども、400ナノメートルから長波長が目で見えるのですが、それより短波長で目で見えない紫外光も太陽光にはあります。大気には窒素がほとんど、8割ぐらい、酸素が2割ぐらいですけれども、窒素の光吸収は非常に短いところに吸収があります。酸素の光吸収は100から250ナノメートルぐらいのところにあります。そうしますと、太陽光と酸素分子の光吸収の重なりが出てきます。この重なりが重要なわけであります。
 酸素分子が光吸収しますと、2つの酸素原子を出します。そうしますと、酸素原子はほかの酸素分子と合体しましてオゾンをつくります。これが成層圏オゾンの生成メカニズムであります。成層圏オゾンというのはオゾン層というふうに言われています。なぜ層かというと、ある特定の高度範囲、これは縦軸が高度で、0、10、20、30、40キロメートルですが、20~30キロメートルぐらいに存在します。層になっているのはなぜかと言いますと、下の方がないわけですね。横軸はオゾンの数密度ですから、こっちの方にたくさんあるわけですね。
 酸素の光吸収に有効な光、太陽光というのは上から降ってくるわけですね。酸素はたくさんあるわけですから、どんどん吸われて、途中でなくなってしまう。ということで、吸収され尽くして、低いところまでしか届かなくなるわけです。上の方は大気の濃度が薄いのでオゾンがないわけで、このようなオゾン層という形になっております。
 よくしたもので、酸素の吸収域と太陽光の重なりがオゾンをつくるのですけれども、一旦オゾンができますと、200~330ナノメートルぐらいまでの領域にオゾンの光吸収があります。そうしますと、地上に届く太陽光というのは、こういう短い波長の光がなくなりまして、300ナノメートルより長いところしか届かなくなります。
 オゾン層がこういう紫外光を吸っているわけです。この紫外光というのは生物に有害な光であります。これをオゾン層が吸収しているわけです。太陽からくるこういう有害な紫外線を大気が防いでいるわけです。紫外線というのは、生物が細胞増殖するのに必要な染色体の上の核酸に紫外光が当たりますと、核酸が分解しまして染色体にダメージを与えることになります。というわけで、紫外線は非常に有害で、がんになったりいろいろな障害を与えるわけであります。
 ところが、これは世界的なオゾンの全量の変化ですけれども、1965年から2000年ということで、年を追って見ていきますと、1980年ぐらいから急激にオゾン層の量が減少しております。こういう問題がオゾン層破壊の問題でございます。そうしますと、有害な紫外線を防いでいたオゾン層がなくなってしまうということで、例えば皮膚がんの増加が予想されます。本来、フロンの規制がなければ皮膚がんがどんどん増えていく。2050年ぐらいには倍増するだろうと考えられます。ところが、後でお話しますけれども、フロンの規制が行われることによって、こういう問題がほぼクリアされることになってきました。
 オゾン層破壊の原因物質というのは何かと申しますと、フロン、ハロンと呼ばれるような塩素化合物、臭素化合物、こういうものを人類が放出したためであります。例えばスプレーの中のガス、クーラー、冷蔵庫の冷媒、ICや精密部品の洗浄剤、あるいは、土壌の改良剤にフロン、ハロンを使っていたわけです。こういうものを使ったことによって、使うだけなら構わないのですけれども、こういうものが大気中に放出されるわけです。
 フロンは化学的に非常に安定なわけです。化学的に安定だったら、逆に非常に有用だったわけですね。どんどん壊れちゃうものでしたら、洗浄剤とか使えないわけですけれども、非常に化学的に安定です。大気中に出るとフロンがオゾン層まで拡散していくわけです。地球上でフロンを放出しますと、オゾン層まで届いてしまうわけです。
 フロン、すなわちCFC(クロロフルオロロカーボン)の大気中での寿命を計算しますと、フロンの代表的なCFC(クロロフルオロロカーボン)-11ですと50年、CFC(クロロフルオロロカーボン)-12ですと102年というような大気寿命を持っております。大気寿命というのは何で決まるかと言いますと、大気中には掃除屋さんがいます。何かと言いますと、OH(水酸化物イオン)ラジカルなんですけれども、OH(水酸化物イオン)ラジカルというのは大気中に化学反応過程で生成いたします。
 そうしますと、ほとんどの有機物はOH(水酸化物イオン)ラジカルが反応することによって、大気中から人類が放出したものを除去してくれるわけです。ところが、CFC(クロロフルオロロカーボン)、フロンというものはOH(水酸化物イオン)ラジカルと反応しません。水素が入った分子ですと、OH(水酸化物イオン)ラジカルが水素を引き抜いて反応して、ラジカルになると次々に反応していくので、大気中から除去されていきます。ところが、こういうCFC(クロロフルオロロカーボン)-11とがCFC(クロロフルオロロカーボン)-12というものは、OH(水酸化物イオン)ラジカルと反応しない。
 もう1つは、対流圏で光分解するかどうか。先ほどお話しましたように、大気の低いところでは300ナノメートルより長波長しかありません。そうしますと、300ナノメートルより長波長で光分解するかどうかというのが問題になるわけですけれども、こういう分子はそういう波長では光分解しません。というわけで、OHとも反応しないし、光分解もしないということで、地表付近では非常に長い寿命を持つことになります。
 長い寿命を持ちますと、高いところまで拡散していきます。高いところまで拡散していきますと、今度は何が起こるかというと、高いところで、先ほどのオゾン層のところまでいってしまうと、オゾンの光のシールドがきかなくなってきます。そうしますと、大気中の太陽光の光が波長が短いところまで強くなってきます。
 フロンの光吸収は大体200~300ナノメートルの範囲にあります。高いところまで上がっていきますと、こういう波長の光で今度はフロンが分解されます。低いところでは分解されないのですけれども、高いところでは分解されるということになります。フロンが光分解することによって塩素原子を出します。塩素原子が出ることによってオゾン破壊が進んでいくわけです。
 成層圏オゾン層の今後の課題としましては、規制によるフロンの減少とともに成層圏オゾンが復活するかどうか、こういうのが重要な問題となっております。それから、気候変動がオゾン層破壊にどのような影響を与えるか。今、人類がフロンを使うことをやめてフロンが減った分だけ、オゾン層が回復しつつあります。そういうときにまた別のファクターがあるわけで、地球温暖化という問題があります。温暖化で、成層圏の温度の低下をもたらすというようなことが起きます。そうしますと、オゾン破壊反応が進んできます。というわけで、そういう新しい地球環境の状況でオゾン層破壊がどうなっていくか、こういうことが問題になってきます。
 成層圏オゾン層の回復ですけれども、オゾン層が減ってきているのですけれども、今が一番減っている時期で、これから回復してくるだろうというふうに考えられています。南極のオゾンホールもフロンガスによってできるわけですけれども、今が一番激しいときで、今後50年とかいう年月をかけて回復していくだろうと考えられております。
 次は、地球温暖化のお話をいたします。温暖化というのは文字通り温度が上がることですけれども、これは横軸が1000年、1500年、2000年、西暦の年数です。1000年から2000年の間は、北半球の平均温度はそれほど変化はなかったわけですが、これから100年どういうふうに温度が変化するかというと、2100年には4度ぐらい上がるだろうと予測されています。温度が上がるということは大変なのですけれども、それだけではなくて、気候変動も引き起こすわけです。洪水が起きたり旱魃が起きたりするわけです。
 そこで、この地球温暖化問題と光との関連ですけれども、地球温暖化問題にも光が関与していて、中心的な役割をしております。先ほどの図と同じですけれども、目で見える範囲の外側、今度は長い波長の方、700ナノメートルより長い波長の赤外領域の光が主役であります。
 ナノメートルという単位は、ここはミクロン、ここは100ナノメートル、ここは1,000ナノメートルなんですけれども、ミクロンという単位に直っています。太陽光はこのように目で見える0.4ミクロンから0.7ミクロンの波長範囲が強いのですけれども、赤外の領域にも光があります。太陽光の光は5,500度の光ですけれども、地球も光を出しています。それは何かと言いますと、15度の熱放射であります。ずっと長いところに波長があります。太陽光は可視のところが強いのですが、地球の熱放射、15度ぐらいですと、10ミクロンぐらいの波長のところの光を出しております。
 地上の温度を決めているのは何かと言いますと、太陽から光がきます、可視の光が一番強いのですけれども、5,500度の熱放射です。太陽から地球にエネルギーが来っ放しになりますと、地球の温度はどんどん上がっていってしまいますけれども、何かが外に出ていくことによってバランスしているわけです。何がバランスしているかというと、先ほどの地球から宇宙への熱放射、15度の熱放射と、太陽から来る日射がバランスしているわけです。厳密に言いますと、大気の上面でバランスしています。これによって地球の温度が一定に保たれているわけです。ところが、いろいろな人間活動によってこのバランスが違う地表温度の状態でバランスするということになりつつあるわけであります。
 地球の熱放射を人工衛星で赤外探知機で見ますと、こんなスペクトルになります。先ほどお話したように10ミクロンとか20ミクロンとかいった波長の光が地球から出ているわけです。15度の熱放射です。人工衛星で撮りますと、緑色のスペクトルがとれます。ところどころ凹んでいます。それは何かというと、地球の大気に含まれている微量な物質がその波長を吸収しているからです。CO2(二酸化炭素)あるいは水、オゾン、メタン、フロン、そういうものが吸収します。
 これは二酸化炭素の光吸収です。二酸化炭素というのは、ドライアイスから出てくるガスなので、透明なわけです。可視のところは吸収がありません。紫外のところ、200ナノメートルが終わると電子励起による光吸収があります。もっと長いところですと、CO2(二酸化炭素)の核のO(酸素)-C(炭素)-O(酸素)が振動することによって光吸収が出てきます。うんと長いところに光吸収があります。この振動による光吸収が地球から出てくる光を吸収してしまう。
 温室効果というのは何かと言いますと、エネルギーバランスなのですけれども、太陽光が入ってくる、地球から黒体放射で出ていく、これがちょうど同じ量でバランスしているわけですね。もし大気がないとしますと、地球表面はマイナス18度でバランスします。ところが、現状ですと、地球表面は大体15度ぐらいでバランスしています。
 それは何かと言いますと大気があるからです。大気があるのですけれども、その大気が入ってくるものに対しては、透明なのでほとんど影響しません。出ていく方ですけれども、15度の熱放射ですと、一部、大気が吸収して戻します。それから、大気の上面でマイナス18度になって、ちょうどバランスするわけです。ですから、これよりはこっちの方が多いわけですね。戻ってくる分だけ多く出ていくわけです。
 多く出すためにはどうしなければいけないかというと、黒体放射の強度は温度の4乗に比例します。ステファン・ボルツマン則というんですけれども、温度の4乗に比例します。すなわち、温度を上げると出ていく赤外放射、出ていく熱放射の量が増えるわけです。ですから、温度を上げてやることによってより多くの赤外放射を外に出そうとします。一部は戻ってきてしまいます。さらに、温室効果気体が大気中で増えてしまうと、もっとたくさん出してやらないともっと戻ってきてしまうということで、エネルギーバランスするためには、戻ってくる量が多いためにさらにたくさん出さなければいけないということで、一生懸命温度を上げます。
 ということで、例えば地表面は30度になってしまうということで大気の上面ではバランスします。地球表面、我々が住んでいる領域では温度を上げることによってバランスするということで、地球温暖化が起こる。温室効果気体が増大すると温度を上げざるを得ない。上げることによってバランスするということになります。というわけで、地球温暖化問題というのも光が大きな役割を果たしている、中心的な役割を果たしているというわけであります。
 次は光化学スモッグですね、陽射しが強くて風が弱い日、目がチカチカする、頭痛がする、息苦しい、そういうのは光化学スモッグです。1970年ごろは非常にたくさん起こったのですけれども、しばらく下火だったのですが、最近また少しずつ光化学スモッグ警報の出る回数が増えております。
 光化学スモッグというのは何かと申しますと、人間が出している自動車や工場から出てくる炭化水素が酸化する過程でオゾンができます。オゾン(オキシダント)が光化学スモッグの原因物質であります。オゾン(オキシダント)の生成に必要なものはNOX(窒素酸化物)と呼ばれている窒素酸化物、炭化水素、太陽紫外線で、NOX(窒素酸化物)を使いながら炭化水素が酸化していくときにオゾンが出ていきます。
 これが反応式です。炭化水素が酸化していく中で、NO(一酸化窒素)がNO2(二酸化窒素)に変わって、NO2(二酸化窒素)が太陽光、400ナノメートルの短い波長によってNO(一酸化窒素)+O(酸素)になって、またO(酸素)がO2(酸素分子)と反応してオゾンをつくるということで、オキシダント(オゾン)、主要にはオゾンなんですけれども、オゾンが生成するというのが光化学スモッグということで、光化学スモッグの反応過程でも太陽光が中心メンバーであります。
 以上が、1番目の地球環境問題にかかわる光ということで、地球環境問題は光が主役として働いているというお話をいたしました。
 2つ目は、「光で計測する地球環境問題」ということで、「地球環境問題と光」というのはマイナスの方なんですけれども、こっちはプラスと言いますか、能動的に光を使って地球環境の計測をやっていくというお話であります。いろいろな方法があるのですけれども、今いるところから遠くの方まで測るという遠隔計測と、その場計測の2つがあります。
 まずは遠隔計測のお話をいたします。遠隔計測というのは何かと言いますと、まずは人工衛星があります。人工衛星で大気環境を調べるという方法があります。人工衛星、光を使って大気環境を調べるのですけれども、例えば太陽掩蔽法というのがあります。こちらに人工衛星があって、ここに地球があります。ここに太陽があります。大気を通して太陽光を見ることによって、この太陽光のスペクトルを見て、地球大気中にある微量成分を計測することができます。
 例えば、これは日本の人工衛星みどり1、2に載っていたILASというセンサーです。これが人工衛星ですけれども、ここにILASという装置が載っていました。1997年、2003年で、現在はとまっていますが、太陽光が地球大気を通して飛んでくる、太陽から来る光を観測していました。この衛星はオゾン、オゾン破壊に関連する物質を計測しておりました。
 太陽光のスペクトルをとりますと、大気を通してスペクトルをとりますから、大気中の成分の光吸収が見えてくるわけです。例えばオゾンとか硝酸、フロンガス、NO2(二酸化窒素)とか水、そういうものの吸収が見えてくるわけです。こういうものを測定することによって、オゾンあるいはオゾン破壊物質の地球上の濃度分布を測定することができます。
 もう1つ、衛星の例を挙げますと、GOSAT衛星というのがあります。2008年に上げられる予定ですけれども、これは地球温暖化の温室効果気体、CO2(二酸化炭素)の濃度分布を測定いたします。この衛星の原理は何かと言いますと、太陽光が地球に当たりまして、地球から反射してくる光を検出します。太陽光後方散乱検出法と、ちょっと長いのですけれども、そういう方法で衛星でCO2(二酸化炭素)の世界的な濃度分布を測定いたします。
 太陽の光が地上にはね返ってくるのですけれども、どういう波長の光を測るかと言いますと、赤外の光です。1.5ミクロン、1.8ミクロン、赤外の光なわけですが、そういうところの波長を分光して見ますと、CO2(二酸化炭素)の吸収とかメタンの吸収が見えます。ということで、世界中のCO2(二酸化炭素)あるいはメタンの温室効果気体の濃度分布を測定することができます。
 以上が人工衛星のお話です。ほかにも光を用いた遠隔計測で地球大気を観測する方法があります。例えばレーザーレーダーというものがあります。レーザーレーダーで大気の成分濃度を測定するものに、差分吸収レーダーというものがあります。オゾンとかNO2(二酸化窒素)を測定することができます。2つの波長の光をレーザー光で出します。
 先ほどオゾンの吸収が200~330ナノメートルぐらいの光吸収があるとお話しましたけれども、オゾンの光吸収がある波長、オゾンの光吸収がない波長、2つの波長の光をレーザーで飛ばしまして、返ってくるんですけれども、それは何かと言いますと、エアロゾルとが空気分子で反射して帰ってくるんですが、途中にオゾン層があります。そうしますと、どれだけ吸収のある波長の強度が減ったか、吸収のない波長の強度はオゾンによっては減らないわけです。ということで、オゾンの分布がわかります。飛んできて、帰ってくる距離が、時間によってわかります。
 これが実際の装置です。こういうレーザー光と、帰ってくる光を見る望遠鏡があります。高さが10キロ、20キロ、あるいは50キロ、そういう高いところのオゾンを測るわけであります。
 そのほかにも、遠隔計測としては地上で太陽光を分光して測定することができます。太陽光は大気の中を通ってきますから、その太陽光の中の光の成分が大気中の微量成分によって吸収されてくる様子を見ることによって計測することができます。
 例えば赤外地上分光によるオゾンの計測ということで、これは太陽光のスペクトルをとりますと、たくさんの光吸収が下向きにあります。そういうものを解析しますと、どのくらいオゾンがあるのか、あるいは、いろいろなオゾン破壊の物質があるのかということがわかります。
 地球環境計測と光ですが、遠隔計測、人工衛星あるいはオゾンライダー、あるいは、赤外分光、そういうお話をしましたが、その場計測という方法も光をたくさん使っております。光を応用した環境計測、その場計測ですが、広く用いられている計測技術としては、光吸収測定があります。、たとえば、オゾンの計測、その場でのオゾンの計測ですけれども、水銀の光吸収、水銀灯の253ナノメートルの光吸収で測定する装置が広く用いられています。CO2(二酸化炭素)の計測には赤外の吸収が用いられています。
 また、化学発光検出ということで窒素酸化物の化学発光、窒素酸化物にオゾンが出ることによって光が出てくるんですけれども、窒素酸化物の計測装置があります。硫黄酸化物、SO2(二酸化硫黄)に光を当てて出てくる発光を計測する。こういうのはJISで定められていまして、広く使われている方法で、光を応用した環境計測であります。
 そのほかにも光を応用した環境計測、その場計測の方法があります。大気環境の先端的な研究に用いられている計測技術としましては、新しい、これから使われようとしている、あるいは、先端的な研究に使われているような方法としましては、例えばキャビティリングダウン分光による計測、あるいは、長距離光路差分吸収法、あるいは、レーザー誘起蛍光法、エアロゾルの分析にレーザーイオン化による大気微粒子の個別粒子・イオン分析法、それから、真空紫外光イオン化法、このような方法があります。簡単にご紹介させていただきます。
 キャビティリングダウン法というのは、原理としましては、検出光はレーザーの場合が多いんですけれども、レーザーを非常に高い反射ミラーの中に入れます。パルスのレーザー光を入れてやりますと、中に何遍も往復するわけです。出てくる光を検出するわけですけれども、中に入るとなかなか出てこないので時間がかかるわけですね。中に吸収物質がありますと、減衰する時間が非常に短くなってきます。ということで、強度ではなくて減衰時間を見るということになって、物質の濃度を測定することができます。
 例えば、NO3(硝酸イオン)ラジカルというのがあります。これはNOX(窒素酸化物)と言われているNO(一酸化窒素)、NO2(二酸化窒素)以外にNO3(硝酸イオン)というのがありまして、夜間の酸化剤として非常に重要な、大気化学の上では重要なラジカルです。こういうものをキャビティリングダウン法で計測することができます。赤い光662ナノメートルの光をキャビティの中に入れてやって、キャビティリングダウン法で測定できます。ラジカルというぐらいですから、非常に反応性が高いんですけれども、濃度が薄いもの、pptv、それ以下のものを測定することができます。
 次はレーザー誘起蛍光法です。大気のOH(水酸化物イオン)ラジカル、先ほどOH(水酸化物イオン)ラジカルというのは大気の掃除屋さんだとお話しましたけれども、これもレーザーによって測定することができます。OH(水酸化物イオン)ラジカルというのはかなり計測が難しいわけです。なぜかと言いますと、反応性が高いので、非常に濃度が薄い。それと同時に、大気中にはオゾンがたくさんあって、レーザー光を当てるとオゾンが反応してOH(水酸化物イオン)ラジカルをつくってしまうということが起きます。高繰り返しで高分解能のレーザーを使うことによって、つい最近、五、六年ぐらいですけれども、OH(水酸化物イオン)ラジカルを測定することができるようになりました。これによって大気化学の研究が進んできております。
 大気中には、ガス成分だけではなくて、微粒子があります。エアロゾルと呼ばれるのですけれども、具体的には海水が風によって吹き飛ばされる、あるいは、波によって吹き飛ばされることによってできる海塩粒子、あるいは人間が出すSO2(二酸化硫黄)、あるいは海水から出てくる硫黄酸化物が酸化してできる、有酸エアロゾル、あるいは、スス粒子、有機物エアロゾル、土壌粒子というようなものがあるのですけれども、こういう粒子は環境に大きな影響を及ぼします。気候変動に影響を与えるし、人体に悪影響を与えるし、大気反応に影響を与えます。こういうものを測定する際にも光が計測技術として使われるようになってきています。
 これは私が研究している一つのテーマなのですけれども、微粒子を真空中に入れて、レーザー光をバチッと当てることによって、微粒子をアブレーションイオン化して、そのイオンを測定することによって大気中の微粒子1個1個の成分を測定することができます。
 次は、真空紫外光イオン化による有機物の検出です。こういう有機物分子というのは、真空紫外に吸収がありまして、そういう光を吸収しますとイオンになります。こういうイオンを測定することによって、有機物を高感度に検出することができます。そればかりではなくて、真空紫外の光を使いますと、分解することなく、親分子のままイオン検出することができます。イオン化するときに、普通の出量分析法ですと、イオンが粉々に分かれてしまって、何があったかわからないんですけれども、真空紫外レーザー光を使うことによって高感度に有機物を検出・分析することができます。
 以上、簡単でしたけれども、「地球環境と光」というお話をさせていただきました。1つは、地球環境問題にかかわる光ということで、比較的ネガティブな話ですけれども、光が地球環境問題に大きくかかわっていますという話で、もう1つは光で積極的に地球環境を計測するというお話であります。
 どうもご静聴ありがとうございました。

【委員】
 どうもありがとうございました。
 何かご質問ございますでしょうか。どうぞ。

【委員】
 大変難しいお話をわかりやすくお話してくださってありがとうございました。
 二、三お聞きしたいんですが、太陽光の吸収、あるいはレーザーレーダーの利用とか、あるいは、今、お話をされたんですが、高層帯域で大気そのものが発光するという現象がありますよね。ああいうものも光資源として考えられないかということなんですが。

【委員】
 そうですね、高層帯域での発光というのは確かにございます。酸素原子の発光とか、OH分子の発光というのがありますね。今回は私の研究している直接のテーマとちょっと違ったところにあったので、お話しませんでしたけれども、ぜひそういうものも入れていきたいと思います。

【委員】
 もう1つお聞きしたいんですけれども、フロンとか、それに代わるものの寿命が数十年という長いものがあるとおっしゃったんですが、ああいうものも一たん空気中にありましても、運動によって運ばれるということはありますよね。そうしますと、寿命は実質的に50年もなくて、もっと短いのではないかと思うんですが、その辺、実効的な寿命というものは誰が議論している方はいらっしゃるんでしょうか。

【委員】
 フロンガスは、先ほどお話しましたように、非常に反応性がない分子であります。一たん人間がフロンガスを外に出しますと、大気に漂っていって、なかなかなくならない。沈着するということがあまりないと思います。

【委員】
 でも、雨が降ったりするとまた地上へ戻ってきますよね。

【委員】
 雨にもあまり溶けないと思います。もちろん全くないわけではないと思いますけれども、そういうものが反応しないということで、沈着という過程にはなくならなくて、どうしても外に、外にというのは高いところまで拡散していって、そこで初めて太陽光で分解されることによってなくなるということです。だから寿命が長くなるんだということで、フロンガスの寿命を決めているのは、沈着過程ではなくて、むしろ高いところにいって光分解を受けるとか、あるいは、もっと活性なO(1D)(励起酸素原子)とか、酸素の励起状態と反応してなくなるというのがメインだと思います。

【委員】
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【委員】
 先ほどの先生の話とあわせての質問ですが、例えば、酸化チタンでいろいろなものが分解され、建物はきれいになるということですが、自動車の排気ガスや大気のスモッグも分解されているのではないかと思うんですが。

【委員】
 NOX(窒素酸化物)の分解とかいうお話は伺っております。

【委員】
 そうすると、道路とか建物などに、広範囲に酸化チタンを塗れば、それだけで空気がきれいになって、例えば東京の環境がきれいになるのかもしれない。多分、量の問題でしょうけれど、そのような可能性はいかがでしょうか。

【委員】
 難しいですね。光触媒のご専門家にお伺いできますでしょうか。

【委員】
 今、フォトロード工法というのがありまして、道路全体を酸化チタンでコーティングするというのは、各地方自治体が徐々にやってくれています。例えば環七の一部を地方自治体でやっています。そうすると、NOX(窒素酸化物)はとれるんですよね。NOX(窒素酸化物)は硝酸イオンになって、硝酸イオンになれば雨で下水へいって、硝酸イオンは無害ですから。というようなことは徐々にはやられています。
 例えば、先ほど申し上げたビルの壁面を酸化チタンでコーティングすると、汚れなくて、しかも、NOX(窒素酸化物)は一部とれるので、木を植えたと同じぐらいの大気をきれいにできますよという宣伝を企業は始めてはいます。ただし、地表というのは広いですから、一部のところをやっただけでもほんのわずかの効果、気休めぐらいしか今のところはできていないですね。

【委員】
 おっしゃるように、出たものをなくすということと、出ないようにするという、排ガス基準の強化とか、そういう両面で進めていけば、NOX(窒素酸化物)とかいう問題はこれから解決していくと思います。

【委員】
 ほかにいかがでしょうか。

【委員】
 先生が研究されて、それがフィードバックされて、発生源を抑えるというふうに、全体が回ればいいですね。

【委員】
 そうですね。

【委員】
 それと、大変難しい問題だと思うんですけれども、温暖化の効果を何で見ればよいのでしょうか。少なくとも今、先生がおっしゃったいろいろな計測法で大気の測定をして、それを少し長期にわたって測定していったときに、温暖化が本当に起こっているのかどうかという判断をできるような計測は含まれてはいないんですか。ちょっと難しいとは思うんですけれどもね。温暖化が本当に起こっているかどうかというのは確証はないですよね。あるんですか。シミュレーションとかいろいろなものを使って総合的に判断している状況ですね。

【委員】
 そうですね。北極の海氷とか、グリーンランドの氷とか、氷河の減退とか、いろいろ現象が起こっていて、多分、温暖化は進んでいるだろうと言われています。けれども、今回は温暖化の検証の計測に関しては用意しておりません。それを光によって確証的に調べる方法があるかということがご質問だと思うんですが、検討いたします。

【委員】
 どうもありがとうございました。
 ほかにどなたかいらっしゃいますか。はい、どうぞ。

【委員】
 いわゆる大気汚染からくる光化学スモッグですけれども、日本自体が出さなくても、特に私は福岡にいて黄砂を経験しているものですから、例えば中国のスモッグに、非常に危機感を感じているんですが、その辺の取組で何かございましたら、教えていただきたいんですが。

【委員】
 先生おっしゃるように、越境汚染、国境を越えてやってくる汚染物質の問題は非常に深刻な問題であります。東アジアで工業化あるいはモータリゼーションが急激に進行しますと、かなりの量のものが西風に乗って日本にやってくるわけですね。先ほどお話しましたけれども、光化学スモッグ警報が最近また比較的出るようになってきて、ひところほとんどなかったのですが、出るようになってきている。
 光化学スモッグの原因物質は何かと言いますと、オゾンなどのオキシダントなのですけれども、ベースとなるオゾン量、バックグラウンドオゾンと言っているんですが、それが大気化学反応、先ほどの炭化水素やNOX(窒素酸化物)によって起きる大気化学反応に、広範囲にベースとなるオゾンが増えてくる。それは何かというと、大陸で放出される大気汚染物質がオゾンを増やしているということで、それが原因であるという可能性も考えられております。
 すなわち、今までですと、局所的な限られたところで炭化水素やNOX(窒素酸化物)が出されて、そこだけで光化学オゾンが起こっていた。例えばロサンジェルスとか東京とか、そういう狭い領域だけで光化学スモッグが起きていたのですけれども、そうではなくて、より広い範囲で考えなくてはいけない、越境汚染の問題が最近非常に大気化学の分野では注目されております。

【委員】
 予報のシステムみたいなものは取組としては何かあるんですか。

【委員】
 予報のシステムというよりは、実際にどの程度日本の大気の質に、東アジアからくる大気汚染物質が影響を与えているかということを調べるということが現状の段階であります。

【委員】
 わかりました。

【委員】
 どうぞ。

【委員】
 今の質問に少し関係あるかもしれません。21ページの絵に、地球からの輻射を測定しておりますが、これはどのくらいの分解能がありますか。全体にCO2(二酸化炭素)やオゾン、メタンの吸収のクサビが見えているデータですけれども、これはどのぐらい地球上の地域分解能をもって測れるものか、漠と全体で測定が可能なのか、日本だとか海の上だとか。というのは、深海のメタンの対流が始まると一斉に吹き出すとか、いろいろSFチックな話もありますけれども。

【委員】
 先ほどお話しましたGOSAT衛星はCO2(二酸化炭素)やメタンを測定します。この衛星を環境省が打ち上げようとしているんですけれども、これは100キロ四方ぐらいの地表分解能であります。これはちょっと専門的になるのですけれども、太陽光が地表で反射してやってくる光を検出するということで、海はあまり反射がよくなくてあまりよく測れない。測定は陸地が主です。
 ですから、深海付近でどうなっているかということをこの衛星で見えるかどうかよくわかりませんけれども、難しいかもしれないですね。特にこれは、世界中のCO2(二酸化炭素)の濃度分布を調べることによって、それぞれの国が排出規準を守っているかどうか、どの程度出しているかというのを明らかにしてやろうという衛星なので、深海のあたりのデータはとれないかもしれないです。

【委員】
 分布とか強度の方は見られるわけですね。

【委員】
 そうですね。

【委員】
 黄砂は環境研でレーザーレーダーで測っているのではないかと思います。環境研が中国、韓国と連携してアジアレーダーネットワークを作り、中国で発生した黄砂が飛んでくるのがわかるというようなシステムがあると思いました。

【委員】
 はい、レーザーレーダーをいろいろなところに設置して、国立環境研究所のグループがやっております。

【委員】
 皮膚がんの図の見方なんですが、「倍増」と書いてあるところは、フロン規制なしで2050年までいくと倍増するということですか。

【委員】
 すみません、私、専門家ではないので、手元にあった図を引用してきたので、正確ではないかもしれませんが、どれだけ増えるか減っているかと。1,000ぐらいで倍増というふうなことは書いてありました。

【委員】
 ああ、そういうことですか。これは光の量でいうと、どのぐらい増えたら倍増するんですかね。紫外線が何パーセントぐらい増えると。

【委員】
 ちょっと資料がなくてわからないのですけれども、紫外線の減る量はここにはないですね。申しわけありません。規制をしないでオゾンがずっと減ったという場合にはこのように皮膚がんが増えるだろうということだと思います。あくまで予測なので、本当にそうかどうかはわかりません。

【委員】
 先生、どうもありがとうございました。

【委員】
 どうもありがとうございます。

【委員】
 それでは、きょうは2人の先生のお話を伺うことができました。また、次回はお2人の先生にお話を伺うという予定になっております。
 事務局から今後の日程などについてお願いします。

【事務局】
 今後の日程でございますけれども、次回、皆様のご予定をお伺いしましたところ、多くの先生方にご参集いただける日ということで12月6日、水曜日、午後3時から5時、場所はまた同じここで開催させていただきたいと思っております。正式には別途通知書をお送りさせていただきます。
 次回のプレゼンテーションにつきましては、委員おふたりにそれぞれご発表いただき、その後意見交換ということにさせていただきたいと考えております。
 また、第3回以降の日程調整は別途確認させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、資料は机の上に置いといていただければ発送させていただきます。
 私からは以上でございます。

【委員】
 どうもありがとうございました。
 それでは、きょうの会合はこれでクローズにしたいと思います。どうもご協力ありがとうございました。

午後 3時36分 閉会

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科学技術・学術政策局政策課資源室

(科学技術・学術政策局政策課資源室)