情報委員会(第33回) 議事録

1.日時

令和5年7月26日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 東館16階 16F1会議室 ※オンライン会議にてハイブリッド開催

3.議題

  1. オープンサイエンスの推進について
  2. 令和 6 年度概算要求について(非公開)
  3. その他

4.出席者

委員

相澤主査、天野委員、石田委員、尾上委員、小林委員、佐古先生、長谷山委員、引原委員、美濃委員、若目田委員

文部科学省

森 研究振興局長、奥野 大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、工藤 参事官(情報担当)、河原 計算科学技術推進室長、藤澤 学術基盤整備室長、原田 科学官、竹房 学術調査官、松林 学術調査官

オブザーバー

竹内 千葉大学副学長

5.議事録

【相澤主査】  それでは、定刻になりましたので、科学技術・学術審議会情報委員会の第33回会合を開催いたします。
 本日は、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策も行いつつ、現地出席とオンライン参加で御出席いただいておりますハイブリッドで開催することといたしました。報道関係者も含め、傍聴者の方にはオンラインで御参加いただいております。
 また、通信状態等に不具合が生じるなど続行できなかった場合、委員会を中断する可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。
 本日は、星野委員が遅れて御出席、青木委員、川添委員、湊委員、盛合委員が御欠席と御連絡をいただいております。
 また、オブザーバーとして千葉大学、竹内副学長に御出席いただいております。
 それでは、事務局に異動があったと聞いておりますので、配付資料の確認とハイブリッド開催に当たっての注意事項を、併せて事務局より説明をお願いいたします。

【植田参事官補佐】  事務局でございます。前回の委員会以降、参事官補佐として着任いたしました植田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の議事次第に基づきまして配付資料の確認をさせていただきます。現地で参加されている方は配付されている資料、オンライン出席の方はダウンロードいただいた資料を御確認いただければと存じます。まず、資料1-1としまして、「オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方」についての資料を添付させていただいております。また、資料1-2としまして、オープンサイエンスの推進について(一次まとめ)(案)をお送りしております。それから、資料2-1からは傍聴の方には非公開となっておりますが、資料2-1としまして令和6年度概算要求の方向性について、資料2-2としまして令和5年度情報科学技術分野における研究評価計画について(案)、それから資料2-3として情報分野研究開発プラン(案)をお送りしております。もし過不足等がございましたら御連絡いただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。もし何かございましたら、現地で御参加いただいている方は手を挙げていただき、オンライン出席の方は事務局までお電話で御連絡いただければと存じます。
 続きまして、ハイブリッド開催に当たっての注意事項を何点か申し上げます。1つ目ですが、発言時を除きマイクはオフにしていただければと思います。一方で、ビデオはオンにしていただければ幸いでございます。
 会議中に通信状況が悪化したような場合には、ビデオを停止していただければと思います。また、運営の都合上、現地出席の方も含めまして、御発言いただく際は「手を挙げるボタン」を押していただければと思います。相澤主査におかれては、参加者一覧を開いておいていただきまして、手のアイコンが示されている方を御指名いただければと思います。
 現地出席の方が御発言いただく際は、マイクが限られておりますので、少し大きめの声で御発言いただけますと幸いです。
 本日、議事録作成のため速記者の方に御同席いただいております。そのため、御発言いただく際、冒頭にお名前をおっしゃっていただいてから御発言いただけますと幸いです。
 傍聴者の方はZoomで御参加いただいております。
 その他、万が一トラブルが発生した場合には、先ほども申し上げましたが現地出席の方は手を挙げていただき、オンライン出席の方は電話にて事務局まで御連絡いただければと思います。
 事務局からの御案内は以上でございます。お返しいたします。

【相澤主査】  ありがとうございます。
 本日は、オープンサイエンスの推進について、令和6年度概算要求についての2件の議題を予定しております。まず、審議案件として、議題1においてオープンサイエンスの推進について御議論いただきます。
 審議に先立ちまして、昨年度までオープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会で主査を務めていただきました千葉大学の竹内副学長より御発表いただきまして、その後に行います審議のまとめの参考とさせていただきたいと思います。
 それでは、竹内先生、よろしくお願いいたします。

【竹内先生】  ただいま御紹介いただきました千葉大学の竹内でございます。本日は、このような機会をいただきましたことに対してお礼を申し上げたいと思います。
 情報委員会の下に昨年2月に設置されましたオープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会は、およそ1年をかけて8回の審議を行い、審議のまとめを本年1月に公にいたしました。本日はその要点について御報告いたします。また、そのフォローアップのための検討会がスタートしておりますので、これについても併せて御報告します。
 この検討部会の目的は、オープンサイエンスの時代、社会全体がデジタルトランスフォーメーションに向かっていく時代に、とりわけデジタルトランスフォーメーションを前提とした新しい研究システムや教育のデジタルトランスフォーメーションによってもたらされる変化に対応し、大学図書館が大学における教育研究と共にあるためにはどのような機能を有すべきかを検討し、それを実現するために国あるいは各大学はどのような方策を取るべきかを提案するというところにありました。
 また、2020年春以来のCOVID-19パンデミック下において物理的に大学図書館へのアクセスが制限され、教育研究に大きな影響を与えたことも、物理的な場所に制約されない大学図書館の在り方について早急に検討することを後押ししたということもあったかと思います。
 検討メンバーは、国公私立大学の大学図書館長の先生方と、図書館情報学、情報学、著作権法学など学術情報流通に関わる専門領域の先生方によって構成されておりました。また、国立国会図書館にはオブザーバーとしての参加をお願いいたしました。
 情報委員会の現メンバーのうち、大阪大学の尾上先生には主査代理をお願いし、また京都大学の引原先生、九州大学の石田先生には委員として御参加いただきました。後ほど補足していただけると幸いでございます。
 さて、今回の審議においては、大学図書館の変えるべきではない理念、言い換えれば大学図書館の本質は何かということを踏まえる必要があると考えておりました。配布資料に示されているように、大学図書館は情報、データ、知識が記録されることを前提として、大学における教育研究の文脈において、それらの発見可能性を高め、アクセスを保証し、また利活用できるようにすることで継続的に知が再生産されるようなシステムを維持するために存在していると考えております。すなわち、教育や研究という知の再生産の過程のためのコンテンツを支える基盤であるということです。
 伝統的な大学図書館は、刊行される図書や雑誌の収集、組織化、保存、提供をその役割としてきましたけれども、そのような役割を担ったのは、学術情報流通には紙に印刷したものを流通し、これを読み手が買うという形でコストを負担するという方法しかない中で、それがコンテンツ基盤である大学図書館のできることであり、また学術情報流通を担う他のプレーヤー、例えば出版社とか学協会と役割分担した最適化の結果であると考えます。このような機能がすぐに全部なくなるわけではありませんけれども、技術的な環境も変わってきており、それによってこれまでの前提が崩れていますので、今我々が目の前に見ている、あるいはこれまでの大学図書館の姿だけをベースにこれからの大学図書館の機能を説明することは適切ではないと考えております。
 このような認識の下、検討部会で議論を行いましたけれども、キーとなるのはデジタル・ライブラリーという概念で、これは2021年9月30日の科学技術・学術審議会学術分科会及び情報委員会による提言、「コロナ新時代に向けた今後の学術研究及び情報科学技術の振興方策について」において示されているものです。
 ここで言うデジタル・ライブラリーは、1990年代に盛んに議論された電子図書館構想をさらに発展させたものであり、コンテンツのデジタル化を経た結果として、運営やサービス、職員の知識やスキルを変革し、自らデジタルトランスフォーメーションを推進するような大学図書館のことを指しています。検討部会では、このデジタル・ライブラリーを次期の科学技術・イノベーション基本計画が終了する2030年度を目途に実現するものと位置づけました。
 その上で、コンテンツとそれに関わるサービス、サービス環境、人材の育成と確保、これらを実現する上で不可欠な大学図書館間あるいは他の学術情報提供機関との連携という4つの側面から検討いたしました。また、検討に当たっては、各大学図書館が目指すべき一つの理想と言える方向性の提示を目指しました。
 それでは、以下において、この4つの側面に係る審議内容について、主要な点を御紹介したいと思います。
 第1の点である今後の大学図書館に求められる支援機能や新たなサービスについてですが、ここでキーとなるのはコンテンツのデジタル化です。既存のコンテンツのデジタル化と、今後学術研究等の成果としてデジタルの形で生み出されるコンテンツのオープン化に分けて整理いたしました。過去の蔵書のデジタル化に関しては、既に国立国会図書館ほかの機関でデジタル化が進展しており、例えば国立国会図書館からは既に240万点以上の図書・雑誌の個人宛てのオンライン送信が可能となっています。大学図書館は、それらを相互補完するようなデジタル化を進めることで国としての統合的なデジタルアーカイブ基盤を構築し、それを利活用するという方向性を示しました。
 今後生み出される研究成果については、機関リポジトリ等を通じた学術論文等のオープンアクセスを積極的に進めるとともに、永続的なアクセスを保障する必要があることを明記いたしました。雑誌論文のみならず、図書等についても、商業流通がなじまない著作物を中心に大学図書館がデジタル化、オープン化を担う可能性についても検討すべきとしています。
 オープンサイエンスにおいては、従来の論文だけではなく、研究データが重要になっています。基本的な考え方として、研究者の立場に立った研究データ管理環境及びその支援体制の構築が求められているとし、その支援においては、研究のライフサイクルの各段階において様々な人材が必要で、大学図書館もそこに関与するという枠組みを示しました。これに関与する様々なものがそれぞれの役割を明確にした上で連携・協力し、利用者としての研究者にとって効果的な支援体制を構築することを目指します。
 そのためにまず大学図書館が果たすべき役割としては、公開されている研究データの発見可能性を高めることであり、そのためには、データ作成者、あるいは論文の執筆者たる研究者、そしてデータ、そのデータを用いた研究の成果としての論文に識別子が付与されることを前提に、それらをひもづけるようなシステムの構築が必要であると述べています。
 第2の点であるサービスを実現するための、情報科学技術及び「場」としての活用ということについてです。デジタル・ライブラリーの実現には、大学図書館機能を物理的な「場」に制約されない形で再定義することが必要となることから、ライブラリー・スキーマと名づけられた論理構造を明確にし、様々な利用者に適した図書館のサービスをデザインし、仮想空間上においても適切に図書館機能を実現できるようにすることを提案しています。
 しかしながら、デジタル・ライブラリーの実現によって物理的な場が不要になるわけではなく、物理的な場としての大学図書館は物理的な空間と仮想的な空間が融合する場として、あるいは仮想的な空間に対する高度なインターフェースといった付加価値を持つ場として発展するものと位置づけられました。
 第3に、求められる人材については、デジタル・ライブラリーを実現する上で必要な知識やスキルについて整理・検討した上で、その専門性を認定する制度の構築などを進め、専門職としての能力開発の促進、新たなキャリアパスの形成など構造的な課題の解消を目指すとしています。特に研究データの管理に関わることから、研究のライフサイクルの理解が不可欠となっています。
 これからの大学図書館には高度な知識やスキルが求められる業務が多くなっていくにもかかわらず、その専門人材は不足しており、また専門職として確立されていないという問題があります。専門人材のキャリアパスやポジションの確立など構造的な課題を解消するための仕組みを整備することについては、国の責務として明記しております。
 また、このような今後の大学図書館の役割の明確化と、それに基づく業務の再構築の考え方を踏まえ、各大学に対しては、大学図書館に専門人材を配置できるよう組織体制と人的資源配分を見直すことを求めています。
 第4に、大学図書館間の連携についてですが、デジタル・ライブラリーの実現に向けて、1大学1図書館という前提にとらわれず、複数の大学でコンソーシアムを形成するなど連携して対応するとしています。大学設置基準においては、大学に必要な施設として図書館が挙げられており、各大学が責任を持って大学図書館を設置し、適切な人材を割り当て、運営していく責任を有するということについては議論の余地がありません。しかし、大学図書館に求められる新しい機能やサービス、それに伴う人材の配置、育成を考えると、大学内における関係部署との協働や、1大学図書館だけで対応することは容易ではないので、1大学で完結する形で一つの図書館システムを整備するという前提にとらわれず、複数の大学図書館で対応することを有力な手段と捉えています。
 また、そのようなデジタル・ライブラリー構想を実現する過程で新たに生じる共通の課題等を検討する場を国において設置し、新たな支援方策等を検討するとし、国として推進すべきことを示しました。
 最後に結びとして、デジタル・ライブラリーは、大学図書館が主体となりつつも、大学執行部において全学的な取組として対応されるべきものであるとしました。
 また、大学図書館には、上記の4つの観点から述べられた具体化のための方策について、各大学のミッションに沿って優先的に扱うべき課題から取り組むことを求めています。連携・協力についてはモデルケースを明らかにして、その成果を共有する仕組みの構築には国としての支援が不可欠としています。
 このまとめでは、大学図書館の現状から見れば大きな飛躍が求められている部分もあり、大学図書館の現場には戸惑いもあるように見受けられます。本年6月に文部科学省研究振興局長の私的諮問機関としてスタートした「『2030デジタル・ライブラリー』推進に関する検討会」においては、審議のまとめに示される方向性を具体化し、2030年の大学図書館の姿を具体的に示すとともに、それを実現するために何が課題であるかを明らかにした上で、それをどのように解決していくかを検討していきたいと考えています。また、それに合わせてバックキャスト的にマイルストーンを置くことで、2030年に至る道筋を大学図書館あるいは大学の関係者の皆様に示すことができればと考えています。
 大変雑駁ではございますが以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【相澤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対して御質問がございましたら挙手にてお知らせください。よろしいでしょうか。
 若目田委員、どうぞ。

【若目田委員】  御説明ありがとうございます。
 内容が具体的にどういうものかというのが少し分かりにくかった部分があるので、補足をお願いしたいと思います。「場」としての大学図書館の効率的な活用についてのところになりますが、デジタル化され物理的な空間の位置づけも変わってくるがまだ役割が残るということでした。「物理的な空間と仮想的な空間が融合する、もしくは仮想的な空間に対する高度なインターフェースと付加価値を持つ場として発展」の部分についてもう少し具体的にどのようなことなのか、利用者目線でどのように変わるのかについて教えていただきたいです。
 もう1点、大学図書館の変革は、書店やレコード販売がレンタルにシフトし、さらに現在はデジタル化されサブスクが主流になり業界構造が大きく変化した流れと同様のインパクトがあるだろうと推察しております。民間でも大きな構造の変化があった点、また民間においても研究データに相当するデータや映像アーカイブ等のビジネスの検討が進んでいる点を踏まえ、民間との連携のイメージをお聞かせいただけたらと思います。
 説明をお願いしたい部分と2点になります。よろしくお願いします。

【竹内先生】  御質問いただきましてありがとうございます。
 今おっしゃっていただいたのは、スライドの順番で言うと9番目のところになるかと思います。物理的な空間と仮想的な空間が融合するということについて申し上げますと、実際、仮想的な空間を様々使うための仕組みというのは今つくられておりまして、例えばVR、AR、様々なものがあるかと思いますけれども、そういったものをうまくキャンパス内で活用していくような窓口というか施設のようなところとして大学図書館が機能し得る可能性というのは十分あるだろうと考えております。
 それにつきまして、具体的な例で申し上げますと、シンガポール国立大学の図書館におきましては、TechCentralという名前で新しいテクノロジーを活用したコンテンツの活用という観点からVR、ARを扱う施設、それから3Dのスキャナー、360度のディスプレーを設置して、キャンパス内のほかの所では活用できないけれども、図書館に行けば学生が支援を得ながら自由に活用できるようになっており、具体的にそういうものは既にできていると言っていいと思います。
 また、仮想的な空間に対する高度なインターフェースというのも、今申し上げたところとかなり重なってはくるのですけれども、皆さんのお手元にパソコンとかスマホとかがあって、もちろんそれによって仮想的な空間へのアクセスは可能にはなっているんですが、そこにあるインターフェースの機能は極めて限られているということが現実的な問題としてあると思います。例えば音の環境とか映像の環境ということを考えたときに、本当に仮想空間上に存在しているコンテンツをフルに活かしていくためのインターフェースとここでは申し上げましたけども、ハード、ソフトがどこでも自由に使えるかというと決してそうではないということがございますので、そういったことができるような場が図書館にならあるというイメージで捉えることができるかと思います。
 2つ目の御質問にございました映像等の問題、特に商業的なものがどのように変わっていくかということでございますけれども、これにつきましては恐らく2つあって、技術的にそれにどう対応するかということと、それからもう一つは、契約のような利用条件の部分でどのように対応していくかということがあるのではないかと思います。
 技術的なものにつきましては、先ほど申し上げましたようなテクノロジーエンハンストというようなレベルで様々なツールないし機器類が必要になってくると思いますので、そういったもののアクセスの場としての図書館というのは当然考えられます。契約に関しましては、既に大学図書館においては電子ジャーナルで経験してきたように様々な規模の様々な条件の契約というのがございますので、新たなコンテンツを大学といった場で利用していく上での最適な形は何かといったようなことを、大学の他部署と様々な協力が必要かもしれませんけれども、そういったことを追求していくということが考えられるのではないかと思います。具体的にアメリカなどで問題になっておりますのは、これまでは紙の本を買った場合には買い切りで、もうそれっきりお金を払わなくていいわけなんですけれども、サブスクリプションのモデルになってくると、一定の期間ないしは一定の利用があった後で契約をし直さないと利用できないというようなことです。このことは、コンテンツの安定的な提供ということを考えた場合に大きな障壁になる可能性がありまして、そういった制度的な問題に対して大学図書館がどう対応するのかといったことは非常に大きな課題だと考えております。
 以上でございます。

【若目田委員】  ありがとうございます。

【相澤主査】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、私から1点。最後のページでフォローアップ検討会のことを御紹介いただきまして、検討部会そのものも非常に精力的に御活動されていて、さらにフォローアップ検討会ということですが、この検討会自体の目標というか、検討会のマイルストーンはいつ頃までにまとめをするのか等はございますでしょうか。

【竹内先生】  大変僣越ではございますが、この検討会も私が主査として預からせていただいているのですけれども、一応私としてはなるべく早くしかるべきアウトプットは出したいと考えております。とはいえ、検討する課題が非常に多く、なおかつ大変に難しい問題が多いのも事実であります。今回の審議まとめについて、私個人として不十分と思っているのが具体化にやや欠けているという部分ですので、この検討会のほうでその具体的な方策を示していきたいと思います。私の個人的なコメントになってしまうかもしれませんけれども、今年度末というのは一つの目標で、なるべく大きな形で、何らかのものは出していきたいと考えております。
 事務局から補足していただければと思います。

【藤澤学術基盤整備室長】  補足させていただきます。
 今、竹内先生がおっしゃったように、実際報告書は出されたんですが具体化されてないというのも事実ですので、ある程度マイルストーン、方向性をできれば今年度中に示したいと思っております。ただ、そこも含めてまだいろいろ検討しているという段階でございます。
 また、今回の検討会ですが、研究者のみならず、メンバーの中に事務も入っています。ですので、実際の現場の状況も聞けると。その現場の状況も聞いて、2030年度に向け、我々としてはどうすればいいのかという問題もいろいろ取り上げていきたいと思っております。
 以上です。

【相澤主査】  ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、改めて、御報告いただきましてどうもありがとうございました。

【竹内先生】  ありがとうございました。

【相澤主査】  では、続きまして、オープンサイエンスの推進についての一次まとめを行いたいと考えております。資料1-2に基づきまして、事務局から案の御説明をお願いいたします。

【植田参事官補佐】  事務局でございます。
 これまで御審議いただいておりましたオープンサイエンスの推進につきまして、今御発表いただきました竹内先生の内容も踏まえまして一次まとめ(案)を作成しておりますので、御紹介させていただきます。委員の先生方には事前にお配りして内容を御確認いただいているかと思いますので、簡単な各項の概要と主な変更点について御紹介させていただければと思います。
 まず、1. はじめにということで、最初にオープンサイエンスの定義について記載しております。オープンサイエンスとは、論文のオープンアクセスと研究データのオープン化であるオープンデータを含めた研究成果の共有・公開を進め、研究の加速化や新たな知識の創造などを促す取組であるということで、オープンサイエンスの推進につきましては国際的な議論も進んでおり、本年5月に開催されたG7会合におきましても、「科学的知識並びに研究データ及び学術出版物を含む公的資金による研究成果の公平な普及による、オープン・サイエンスを推進する」ということが合意されております。
 我が国におきましても、総合科学技術・イノベーション会議を中心にオープンサイエンスに関する方針が検討されております。
 文部科学省におけるオープンサイエンスにつきましては、これまで科学技術・学術審議会等で議論いただきまして、その取組が進められておりますが、上述のように新たにオープンサイエンスに関する議論が出てきていることを踏まえまして、オープンサイエンスの実現に向けた現状の整理と課題の抽出が必要ということで、そのような記載をしてございます。
 この一次まとめ(案)に基づきまして、具体的な取組の検討や実践を進め、オープンサイエンスの推進を加速させることが必要であり、それによって科学技術及び学術のさらなる発展と、その成果を国民が享受することを期待するということで、1. はじめにのところに記載しております。
 2として、オープンサイエンスの意義について記載しております。オープンサイエンスは、「研究活動そのものの変容」と「社会に対する貢献・説明責任」の大きく2つの意義を持つ概念であり、「研究活動そのものの変容」につきましては、オープンサイエンスの実現により、研究者が必要な知識や研究資源に効果的にアクセスすることが可能となり、新たな協働による知の創出やデータ駆動型研究等の高付加価値な研究を加速させ、新たな価値を生み出していくことにつながるのではないかと。
 また、「社会に対する貢献・説明責任」の観点では、公的な研究資金による成果に国民が経済的な追加負担をすることなくアクセスできるようにすることで、研究プロセスの透明化や研究成果の早期の還元といった社会に対する責任を果たすことが可能となります。また、誰でもオープンな議論や研究データを活用できる環境を構築することで、市民参加など多様な主体が研究活動に参画できるようになり、新たな形での価値創造を実現することができるのではないかということで2項を記載してございます。
 それから、3はオープンサイエンスのプロセスの明確化ということで、オープンサイエンスを実現する主な手段としては、「論文のオープンアクセス化」と「研究データの共有・公開」の2つを記載してございます。
 3.1に論文のオープンアクセス化について記載しておりますが、まず、研究活動の中で得られた知見を論文の形式でまとめ、投稿した学術雑誌で論文の掲載が決定した場合、その学術雑誌がフルOA誌であればAPCを支払うことによってオープンアクセスが達成され、フルOA誌でない場合にも、APCを支払って論文単位でオープンにすることですとか、エンバーゴの期間が経過した後に著者最終稿を所属機関の機関リポジトリ等に掲載することでオープンアクセスを達成することができる。他方、査読を受けることと並行しまして、プレプリントサーバへのアップロードよるプレプリントの公開を検討するということで記載してございます。
 3.2で研究データの管理・共有・公開について記載しております。まず、研究活動において得られた研究データの保管場所を検討するとしております。このとき、サーバ等の利用に係る費用、手間などのコスト面や、システムのセキュリティといった安全面の観点で検討することが必要であり、保管場所の選択肢としましては、大学等の研究機関として管理方法が整備されたサーバなどが挙げられるとしております。
 次に、データの共有・公開について、保管した研究データを用いて論文を執筆した場合は、3.1に記載のプロセスをたどることで、当該学術雑誌の要求するデータの範囲において必要なデータの提供がなされ、研究データの公開が達成されます。
 一方、論文に記載されなかった研究データにつきましては、安全性や効率性、倫理、金銭的対価、科学全体への貢献等の観点で検討することが必要であるとしております。
 公開すると判断した場合には、分野別のデータリポジトリや機関リポジトリ等に掲載することで研究データの公開が達成されます。
 また、ほかの機関との共同研究やほかの機関の利用希望に応じて共有を可能と判断する場合、研究データをほかの方に共有するための利用規定等の整備が必要であるということも記載してございます。
 また、後続研究や研究公正のために必要であると判断した場合は、非公開としたまま適切にデータを管理、共有するということもあり得るということで3.2に記載してございます。
 4のオープンサイエンス実装のための取組としまして、各機関がポリシーを策定し、所属する研究者等の認識の共通化並びに運用体制の整備を図るとともに、研究成果のプラットフォームの整備を進めて共通的な事項に係る負担を削減するなど、オープンサイエンスを支える整備をすることが必要であるということを記載しております。
 4.1は研究機関のポリシーの策定について記載しております。研究成果の共有・公開のためには、論文をいつ、どのような手段により公開するべきかといった検討が求められます。こういったときに、大学等の研究としての基本的な考え方が示されることで、研究者自身による検討の手間を軽減するとともに、公開プロセスやデータの管理方法等の共通化を進め、支援を充実させることができるのではないかと記載してございます。
 それから、オープンアクセスに関する考え方を示すオープンアクセスポリシーと、研究データの管理・運用に関する考え方を示すデータポリシーを定め、研究機関としての基本的な考え方を示すことが必要であるということをこの項で記載してございます。
 4.2は研究成果のプラットフォームの整備につきまして、これまで、研究成果の共有・公開における共通的な事項を支援するため、NIIや科学技術振興機構において研究成果プラットフォームの整備が行われております。各プラットフォームはそれぞれ記載しております機能を有していますが、既に運用が始まっているところ、さらに国際的な基準への準拠や、著者最終稿を容易に作成・公開する機能など、研究者や研究を支援するため、利便性や有効性を向上させるための支援が必要ではないかということを記載してございます。また、役割分担や利用者へのアプローチの方法を再確認し、相互に補完するよう整備を進めることが必要であるということを記載しております。
 次の4.3のオープンサイエンスを支える体制の整備というところは、事前にお送りしておりましたところからの大きな変更点となっております。こちらでは、オープンサイエンスの実現に向けては、研究者自身が具体的な取組を進めることが前提ではありますが、それのみで実現するものではなくて、研究機関におけるオープンサイエンスに関係する部署間での認識の共通化や役割分担による支援の下で実現されるものであるということを記載しております。特に、大学図書館は、学術研究活動全般を支える重要な機能・役割を担っておられます。
 オープンサイエンスが実現されるまでの移行期間におきましては、購読型の学術雑誌に掲載される論文として出版された研究成果へのアクセスの提供が研究を遂行する上で不可欠であることから、これまでこの機能を果たしてきた大学図書館の役割が引き続き重要になるということを記載しております。このような取組等を通じて、各大学がそれぞれにとって合理的な学術情報提供環境を構築することが肝要であるという考えを記載しております。
 それから、機関の購読するタイトル群と、所属する研究者の閲覧需要のミスマッチというところも指摘しておりまして、ミスマッチのギャップを埋めるための取組も必要ではないかということを記載しております。まずは研究現場における実態を把握するための調査を行った上で、このような利用環境を整備する方策の在り方について検討することが必要であるということをこの項にて記載させていただいております。
 続きまして、5のプレプリントの利活用ということで、本委員会におきましては、プレプリント公開の意義についても御指摘がございました。研究成果の即時公開が社会に対する大きな影響を持つことが見え始めている中で、プレプリントによりさらに早期の研究成果の公開が可能になるということを記載しております。
 JSTがJxivの整備を始めたところであり、プレプリントに係る世界的な潮流を念頭に機能の拡充を進めていくことが必要であるとしております。あわせて、機関リポジトリを中心とするオープンアクセス推進の観点から、プレプリントをどのように位置づけるかといった戦略を持ち、またその基盤がどのような機能を有すべきかの検討を行うことが今後の課題と考えられます。
 最後、6としまして、オープンサイエンス推進に当たっての留意点を記載させていただいております。オープンサイエンスを進めるに当たっては、既存の研究活動に新たな活動が付加する、あるいは並走する局面になりやすく、また、論文執筆に利用した研究データのアップロードですとか、査読前論文のプレプリントサーバへの登録など、少し負担感を伴う活動となっております。オープンサイエンスの実現に向けては、それらの負担感の解消やそのための支援が必要と考えられます。
 最後に、「2.オープンサイエンスの意義」で示した意義を広く共有していくこと、また「4.オープンサイエンスの実装のための取組」により得られる成功事例を周知していくことが、オープンサイエンス実現のためには重要と考えられますが、これに加えて研究者による論文や研究データ等の研究成果の共有・公開が適切に評価される仕組みを構築し、研究者の受容性を高めることが重要であるということを指摘し、この文章をまとめております。
 簡単ですが以上です。お返しいたします。

【相澤主査】  ありがとうございました。
 それでは、議論に移りたいと思います。これまでの御発表を踏まえ、御質問や御意見等がございましたら挙手にてお知らせください。
 石田先生、お願いします。

【石田委員】  九州大学の石田です。御説明ありがとうございました。
 言葉尻だけの指摘かもしれませんけれどもお伺いさせてください。3のところで、オープンサイエンスを実現する主な手段として論文のオープンアクセス化と研究データの共有・公開とありますが、3.2のところは研究データの管理、共有・公開になっておりまして、ここは多分、3段落目は論文の根拠データのお話かなと思っていまして、その次はオープンデータとしてデータの公開の話なのかと思っています。質問としては、研究データの保存というのも、例えば九州大学では10年間保存するというようなルールがありますので保存も非常に重要だと私は考えているんですが、それはここの要素として含まれているのかということをお聞きしたいのと、管理の中に保存ということまで入っているのか、その辺りが明確ではないので教えていただきたいです。個人的な意見としては保存というのも重要だと思いますので、ぜひ含めていただけたらよいかなと思っております。
 以上です。

【相澤主査】  事務局、お願いします。

【工藤参事官】  石田先生、ありがとうございました。
 今御指摘の点について、基本的にはデータの中に保存という概念が入っていると捉えております。しかしながら、この報告書のつくりそのものがこれまでの政府文書等でやったほうがいい、やりましょうと書いていたことをある種エンドースする内容になっていまして、特にデータに関してはデータマネジメントポリシーをつくっていこうということをうたっておりますので、これはどちらかというと科学技術基本計画と、統合イノベーション戦略の中で触れられたことを踏まえて、各大学において、恐らく今、先生の九州大学の例をお示しいただいたと思いますけれども、ある種の粒度がありまして、大学ごとにどの程度やっていくかというのはその大学としてのポリシーを決めていただくということについて、今回、それを改めてデータマネジメントポリシーをやっていこうということを述べさせていただいているところなので、一律にこうだということもないですし、逆に言うとある程度粒度のある書き方をさせていただいていると、そのように捉えております。

【石田委員】  分かりました。

【相澤主査】  ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 尾上先生、お願いいたします。

【尾上主査代理】  大阪大学の尾上でございます。
 5ページ目の、先ほど竹内先生から御報告いただいたところとも関係するのですが、「加えて、オープンサイエンスが実現するまでの移行期間においては」というところの、これはこの段落を読むと、非常に字面的にはすんなりピッと入ってくるんですが、ここで何かデジタル・ライブラリーが実現した場合に解消しておくべき事象の一つとして位置づけられているものが、この閲覧需要とのミスマッチを解消するということは入っていたのでしょうかというところが少し気になりました。広く言う意味ではということではいいのかもしれず、すごくきれいな文字ですっと入ってくるんですが、そんなことはあったかなというのが少し気にはなっております。

【工藤参事官】  尾上先生、ありがとうございます。
 恐らくここの箇所については、我々だけではなくて、先生も御案内のとおり内閣府で進んでいるいわゆるリードの部分の交渉力強化構想がございまして、今回それを議論するに当たり、実はこの委員会でなかなかそこが消化し切れなかったという点も正直ございまして、その意味だと、今回竹内先生においで願ったのもありますが、最終的にはデジタル・ライブラリー化された暁に、デジタル・ライブラリーの概念は恐らくかなりセントラライズされたものになるという理解です。そのときに、では、個別のコレクション、これは各大学に分散している読み手側の多様な観点を踏まえたコレクションたちについて、デジタル・ライブラリーは扱わないのかというと、それは恐らく扱うであろうし、そういう意味だと、解消していくべき事象の一つと捉えております。かなり歯に挟まった書き方になっていますが、当然デジタル・ライブラリーがセントラライズされた形になったときに、そういった多様な需要を満たすコレクションも読めるようになっておくべきだろうと思って書かせていただいているので、もしここの書き方が少し踏み込み過ぎた、もしくは踏み込み不足だということであれば、御意見をいただけますと幸いです。我々としては当然デジタル・ライブラリーの実現まではまだ相当時間がかかりますし、内閣府がこれからまさに出版社と交渉しようと言っているところもまだまだ時間がかかるものだと思っていますので、その推移を見極めながらこういう書き方をさせていただいたところ、それが多少上滑りしているかもしれないというのは御指摘のとおりでございます。ありがとうございます。

【尾上主査代理】  ありがとうございます。

【相澤主査】  ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 引原先生、よろしくお願いいたします。

【引原委員】  引原です。御説明ありがとうございます。
 ちょっと声が途切れたりしているので正確に理解しているかどうか分かりませんけれども、最後のところで留意点が挙がっていますが、基本的に研究者を、あるいは研究を守るという視点というのが結構重要だと思うんです。その意味で、どの部分がそこに当たるかというのがちょっと気になっています。負担が増えるのは何とかしましょうとは書いてあるのですが、本来は負担が増えるというのではなくて、守るべきものが何かということではないかと思ったのですけれども、いかがでしょうか。

【相澤主査】  では、参事官、よろしくお願いいたします。

【工藤参事官】  引原先生、ありがとうございます。
 先生の御指摘のとおり、今回、そういう意味だと、これまでまとめられてきたことを再掲することを再構成して、オープンサイエンスを進めるに当たり理解しなければいけないことというのを前段からずっと述べてきて、最後になって、そこで解消し切れていないようなことについてはここで注記しておくというスタイルの書き方をさせていただいています。先生のおっしゃるところを逆に質問させていただきたく、これまで行政として言ってきたことを整理して、再びそれを分かりやすくしたつもりでつくってきているというところに、先生のおっしゃる研究者を守る視点というのを具体的に書くとするとどういったものになるのか、教えていただいてよろしいでしょうか。

【引原委員】  質問を投げ返されるとは思ってなかったのですけれども、研究者を守るというか、今までのいろいろなヒアリングやここでの議論の中で、いろいろなことをさせられて研究者はもう目が回ってしまうということが何回か出てきたように思っています。オープンサイエンスはいいのですが、それを実現するためにいろいろな規則に応じた要求を研究者がさせられていくということがやはり出てくると思います。それが負担感という意味で書かれているのでしたら、それはそれで正しいでしょうけども、同時に研究者がいなくなっては話にならないので、研究または研究者を守るというためにこういうオープンサイエンスが必要であるという視点があってもいいのではないかということを申し上げました。

【工藤参事官】  オープンサイエンスそのものが研究者を守っていくという御指摘という理解でよろしいでしょうか。

【引原委員】  いえ、もともとオープンサイエンス自身は、研究者は正しいことをしているということが前提だと思います。ところが、研究公正とかが入ってきたことによって、研究者が何か変なことをしているのではないか、うそをついているのではないかということで、オープンアクセス、オープンサイエンスというのが不正を暴くような話になってしまっています。そういう意識にこれが囚われないようにするというのが重要なのではないでしょうかということです。

【工藤参事官】  ようやく合点がいきました。オープンサイエンスの積極的な意義については、ここでサイエンスそのものの発展と社会に対する説明だということにしているんですけれども、先生の御議論で、やっぱりオープンサイエンスそのものが持つある種のトランスペアレンシーの拡大みたいなことが研究自体に対して正のフィードバックを与えるものなので、そういう論調も、留意点なのか、それとも、最初のほうの意義のところにもう少し書き加えるべきなのか、というお話かと思いますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

【引原委員】  はい、おっしゃるとおりです。それで、留意点だけ見ていると、どうも負担感を与えないようにしましょうという終わり方になっているので、本来のそういう重要なポイントが消えてしまうかと思って申し上げたので、その辺のバランスはどうかということです。

【工藤参事官】  ありがとうございます。そういう意味だと留意点は、確かに先生がおっしゃるようにオープンサイエンスそのものは意義があるし、それによって得られることも大きいはずではあるものの、それを進めていくことによって、先ほど先生がおっしゃったように研究者自身がやらなければいけないことが多くなっている、さらに言えば大学の図書館の職員たちに対してもかなりの負担がかかっている、こういったものに対して我々は、ここでは事業の話はほとんど書いてないのですけれども、いわゆるデータエコ事業で機関リポジトリの高度化という事業をやらせていただいておりまして、今年度についても現場を何とか成り立たせようとするような仕組みの人員配置とか、いろいろな負担を軽減するような施策というのをやらせていただいているということを書かせていただいたつもりです。書き方として意義と、そこはまた御相談なんですけれども、本当に冒頭のほうの意義として「さらに言うと」という形で何か、そもそもオープンサイエンスがもたらすトランスペアレンシーが非常にサイエンス界全体の信頼性をもたらすものであるとか、そういうことを書き足すことで、最後の留意点に当たって単なる負担だけではない効果についても皆が認識するべきである、みたいな書き方というのがもしできればよろしいかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

【引原委員】  おっしゃるとおりで結構かと思います。無理をさせるつもりはございませんので、何かコメントがあればよろしくお願いします。ありがとうございます。

【相澤主査】  コメントをいただきまして、どうもありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、小林先生、よろしくお願いいたします。

【小林委員】  東北大学の小林です。
 オープンサイエンスを進める上での必要なことが書いてあると思ってはおりましたが、この4.2のプラットフォームの整備に関して、このプラットフォームを整備する上で必要な要素技術というのは、これはほぼ出そろっていて、後はそれを整備するというイメージなのでしょうか。具体的には、これに必要な研究開発をより進めていくというような視点では記載されてはいないようにも思ったのですが、例えば支援を拡充させるというところにこの必要な要素技術の研究開発のようなものも入ってくるんでしょうか。

【工藤参事官】  ありがとうございます。
 現状ですと、NIIがインクレメンタルに続けてきているJAIRO CloudとかCiNiiというものについて、ある種の要素技術はその中で消化されているという理解がございまして、そういうように現状の研究の中で行われていることは読み込みつつ、それが整備されていくことをここで捉えております。ただ、Jxivにつきましてはまだ始まったばかりということもありまして、幾つか改善の要素はあると理解しておりますので、その辺も含めて書かせていただいております。ただ支援がどうこうということについてまでは、特にここでは触れてはございません。

【小林委員】  分かりました。では、そういった視点でも進めていただければと思います。ありがとうございます。

【相澤主査】  どうもありがとうございます。
 では、天野先生、よろしくお願いいたします。

【天野委員】  もしも何か理由があって書かないのでしたら、その辺を忖度できなくて申し訳ないんですけれども、やはり国際的な商業誌、例えば『IEEE』とか『Elsevier』等が高騰していて、一般的な研究者にとって非常に負担になっています。大学研究機関でも負担ですし、研究者でも負担で、このまま進んでいくとお金がない人は全く研究ができなくなるようなことになってしまう危険性があります。オープンサイエンスというのは、これに対するある意味では非常に強力な解決案でありまして、その辺のバックグラウンドは書かなくてよろしいのでしょうか。それはみんな分かっているだろうから書かないとか、あるいは書いてはまずいので書かないとか、そういう理由があればお聞かせください。

【工藤参事官】  ありがとうございます。理由としては、どちらかというと、もうバックグラウンドとして皆さん御案内のことだという理解なので、改めてオープンサイエンスの必要性の話として、いわゆるパブリッシャーの値段が上がっているという話を書くまでもないかなというように理解したものでございます。

【天野委員】  そうですか。いや、僕は一言、二言入れておいたほうがいいと思うんですけど、やはり深刻な関心というのがありますので。
 あともう一つは、5のプレプリントのところですが、「視認性は非常に高く」というのが非常に引っかかりまして、視認性というのはちょっと言葉が違うと思います。プレプリントに関しては、もう少し説明していただいてもよろしいのではないかなという気がします。これを読む方がどういう方か分かりませんが、もしかしてあまり御存じない方だと、この説明ではちょっと分からないのかなというように思いました。
 以上です。

【工藤参事官】  コメントありがとうございます。プレプリントについては、フッターの辺りに細かくいろいろなことを書いてありますけど、もう少し書き足させていただいて、説明が滞りなくできるような形にさせていただければと思います。ありがとうございました。

【相澤主査】  ありがとうございます。商用誌の価格沸騰とプレプリントの説明ということで御指摘いただきました。
 では、石田先生、よろしくお願いいたします。

【石田委員】  九州大学の石田です。
 先ほど私が質問しましたことを蒸し返すようで申し訳ないんですけれども、先ほどの御回答でデータの保存に関しては粒度があるということで納得はしておりますが、やはり管理、共有・公開というのが一緒に並ぶのはちょっと違和感があります。もちろん適切な研究データの共有・公開のために、まずは適切な管理があるというような形で御説明いただけるとよいかなと思っておりますし、ここで管理とは書いてあるんですが、何も説明されていないので、その範囲というのももう少し説明していただけるとよいかなと思いました。
 それと、これは追加でのコメントになりますけれども、ここに何が必要かとか、何をやるべきかということは書いてあり、要素は挙げられている感じはしますが、これは一連の流れといいますかフローになるのではないかなと思いますので、もしそういったことも含められるのであれば、研究データ管理全体のプロセスなり、モデルのようなものを設計、検討するということも含めていただくといいのかなと思いました。ただ、プロセスとかフローというのは別に一つというわけではなくて、それぞれの大学等によっていろいろあるとは思うので、各大学もしくは複数の大学においてどのような研究データ管理、共有・公開というのをどういうフローでやっていく、モデルでやっていくのがいいのかを検討するというようなことを含めていただけるとよいかなと思いました。
 以上です。

【工藤参事官】  ありがとうございます。前半の書き方、管理、共有が並んでいるところについては、御指摘のとおりまた修正させていただければと思います。
 フローについてなんですが、若干悩ましいのは、先ほども申し上げたとおり、「オープンアクセスポリシーをつくってください、データマネジメントプランをつくってください、しかしながら、それらは大学ごとの個性を持って」という形を許容してきた歴史がありまして、そういう形で既に同じところもあれば違うところもあるだろうというように私としては理解しています。その中で、恐らく標準モデルみたいなものをどこまでつくれるのかというのは現状よく分からないというのもございまして、御指摘はごもっともだと思いつつも、フィジブルにやれるかどうかというと、若干自信は持てないというのがあります。データエコ事業の中でデータマネジメントプランのモデルは名古屋大学様にお願いしてやっているようなこともございますし、その辺の進捗状況を踏まえて、そういうことができるかどうかはまた検討させていただければと思いました。

【石田委員】  分かりました。

【相澤主査】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、お時間となりましたので、質疑、議論についてはこちらで終了させていただきたいと思います。
 オープンサイエンスの推進について(一次まとめ)ということで、この一次まとめにつきましては、オープンサイエンスの実現に向けた現状の整理と課題の抽出ということで、現時点では一次のまとめということでございますが、本日御議論いただいて出たコメントを反映するとともに、おおむねの流れの中で大きな御指摘はなかったかと思いますけれども、ほかにも資料を御一読いただいてお気づきになられる点、あるいは追加のコメント等もあるかもしれませんので、この会議終了後、8月2日水曜日までに事務局までメールで、御意見がありましたらいただければと思います。事務局のほうで、提出された御意見をほかの方にも見られるようにして取りまとめの上、事務局と修正案を作成という形で進めさせていただきます。修正後の扱いについては主査預かりとして御一任いただければと思いますが、そのような形でよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【相澤主査】  では、御審議いただきましてありがとうございました。
 続きまして、次の議題2に移ります。本件以降の議題についてでございますが、非公開となります。傍聴の方におかれましては、ここで御退席をお願いいたします。

【以下、非公開】
 

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研究振興局参事官(情報担当)付

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