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第9期基礎基盤研究部会(第1回) 議事録

1.日時

平成29年7月5日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 部会長の選任について(非公開)
  2. 運営規則等について(非公開)
  3. 部会の審議事項及び委員会の設置について
  4. 世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の実施状況について
  5. 戦略的創造研究推進事業及び未来社会創造事業における平成29年度及びテーマと今後の方向性について
  6. その他

4.出席者

委員

岸本部会長、栗原(和)部会長代理、雨宮委員、有信委員、宇川委員、長我部委員、尾嶋委員、片岡委員、菊池委員、佐藤委員、竹山委員、西島委員、波多野委員、原田委員、山本委員

文部科学省

科学技術・学術政策局長 伊藤洋一、大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)真矢正人、科学技術・学術政策局総括官 勝野頼彦、科学技術・学術政策局人材政策課長 塩崎正晴、科学技術・学術政策局研究開発基盤課長 村上尚久、科学技術・学術政策局研究開発基盤課課長補佐 田村嘉章
研究振興局長 関靖直、大臣官房審議官(研究振興局担当)板倉康洋、研究振興局基礎研究振興課長 岸本哲哉、研究振興局基礎研究振興課基礎研究推進室長 斎藤卓也、研究振興局基礎研究振興課基礎研究推進室室長補佐 田川博雅

5.議事録

今回の議事は、部会長の選任等があったため、科学技術・学術審議会基礎基盤研究部会運営規則第5条の規定に基づき、開会から議題2までは非公開。

【議題(1)部会長の選任について】
岸本委員が部会長に、栗原(和)委員が部会長代理に選任された。

【議題(2)運営規則等について】

【岸本部会長】  それでは公開の議事に入りたいと思いますが、部会長の岸本でございます。改めてどうぞよろしくお願いいたします。
 第1回の基礎基盤研究部会につきまして、これより公開の議題に入りたいと思います。委員の皆様におかれましては、これから2年間どうぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
 それでは、引き続き議題3の委員会等の設置について事務局より説明をお願いいたします。

田村研究開発基盤課課長補佐より、資料3-1に基づき説明があった。

【岸本部会長】  それではただいまの説明につきまして御意見・御質問ございますでしょうか。研究基盤整備・高度化委員会を設置しようということでございますが、御意見ございますでしょうか。
 それでは了承していただいたということでよろしいでしょうか。

 ありがとうございました。この委員会の分属につきましては、この部会の規則でございます。それに基づきまして部会長である私で人選させていただきたいと思いますので、御一任いただければと思います。よろしいでしょうか。

ありがとうございます。それでは議題4に移ります。これからは委員の皆様の御意見をたくさん頂きたいと思いますので、まず事務局から説明を頂いて、その後いろいろな御意見を頂ければと思います。まず議題4ですが、事務局から御説明お願いいたします。

斉藤基礎研究推進室長より、資料4に基づき説明があった。

【岸本部会長】  ありがとうございました。それではただいまの御説明につきまして御質問・御意見ございますでしょうか。西島委員、お願いします。

【西島委員】  私、よく知らないので教えてほしいと思います。小ぶりになったということですから、WPIに掛けるお金そのものが減額の方向に向かっているという印象ですが、そういうことではないのでしょうか。小ぶりになっているという、減額されたという背景について教えてください。

【斉藤基礎研究推進室長】  まずWPIの本体です。今走っているもの、及び今審査をしているものについても、当初に比べると多少規模が小さくなっている傾向がございます。当初、1拠点当たり14億円程度で始めておりましたが、今走っているものは7億円の規模になっております。こちらは10年間の支援が終わった後に、そのホストをしている大学なりが、組織内のものとして自前で維持していただく前提の事業になっておりまして、余り規模が大き過ぎますと10年たった後になかなか中で自立させるのは難しいということで、もう少し規模が小さい方がいいのではないかということで、7億円規模で小さくしてきたという経緯がございます。しかしある一定の組織の大きさが必要であるという御指摘もありますので、それは7億円規模ということでなるべく維持したいと思っています。

【西島委員】  それと関連して、その後のWPIアカデミーという、これに認定されるメリットは何でしょう。名誉だけでしょうか。

【斉藤基礎研究推進室長】  まずかなりの部分は名誉だと思っておりまして、国が指定します世界トップレベル拠点ということで、実は終了する拠点からもいろいろお話を伺っておりまして、国が認定する世界トップレベル拠点だというブランド名によって、従来できなかった海外の高いレベルのところと組織間の連携ができるようになったという話もございまして、是非名前だけは使いたいという要望があったというのが1つございます。ただ、それだけですと、例えば国際頭脳循環を進めるとか、ある程度経費が必要なものもございますので、ほかの事業と連携しましてある程度の支援はできるようにということでいろいろ工夫はしておりますけれども、従来と比べると非常に支援は少なくなっているというのが実態でございます。

【西島委員】  名誉も大変重要だと思うのですが、産業界の立場から言わせていただければ、こういったすぐれた大学には実は基礎研究を継続的に続けてもらいたいということで、アカデミー拠点になったところには名誉プラスの実質的な、整備する、高度化するようなものも考えていく必要があるのではないでしょうか。というのは、委員会で何か認定できなかった場合はアカデミー拠点の認定を取り消すことができると、取り消すことができるのであれば続けているところにはそれなりの恩恵がなければいけないのではないかと思ったので、是非基礎研究を続けるという意味では、アカデミー拠点についても、そうしたことも考慮してあげるべきではないかということは、大学の先生はなかなか言いづらいと思いますので、あえて産業界から申し上げました。

【斉藤基礎研究推進室長】  ありがとうございます。10年終わるときに高い評価をいろいろなところで頂きましたので、なるべくその機能が急速に小さくならないようにということで様々な工夫をしております。額的には十分ではない面もあるのかもしれないのですが、1つは、ホストする大学として、引き続きWPIの拠点を維持したいということで、別途文部科学省の高等教育の仕組み、基盤的な経費の要求があった場合にはある程度優先的に付けて御支援をするとか、我が研究振興局の中でも、研究大学強化促進事業といいまして、大学全体の研究マネジメントを強化していこうという事業の1つのオプションとして、WPIアカデミー拠点には、額はかなり少ないですけれども、インセンティブとして支援を申し上げるとか、様々な制度と連携して機能を維持するべく応援するということはやらせていただいております。もともと、先ほど申しましたホスト機関、大学の方が10年たったら中で自立させるという約束でずっと始めてきた事業でございますので、それはそれで努力はしていただきつつ、日本の顔の拠点として、文部科学省として必要な支援もなるべくさせていただく工夫もしている状況だと思っております。

【岸本部会長】  他、いかがですか。山本委員、お願いします。

【山本委員】  初年度採択のWPIなのですが、5拠点ともすばらしいという評価を受けながら唯一東京大学という、ここの一番のポイントは何だったかをお願いいたします。

【斉藤基礎研究推進室長】  全てA評価以上ということでトップレベルに達していたのですが、どこを延長するかという議論が起こったときに、特にすぐれたS評価のところだけ通過させようということで、プログラム委員会で御議論があったということがまずございます。さらに、限られた財源の中で次の拠点を採択して、こういう新しい取組がより幅広く、次の組織なり次の機関でもこのような改革が行われていくべきであろうということで、ある程度新陳代謝を促す必要があるだろうということで、非常に絞り込まれた、特にすぐれたところだけを通過させたという経緯でございます。

【山本委員】  そうしますとS評価の理由としてのポイントは何でしょう。

【斉藤基礎研究推進室長】  これがSでAでという、明文化されたものが必ずしもあるわけではないのですが、そこの議論で出ていたと伺っていますのは、特に東大のIPMUにつきましては、当初この拠点、WPI事業が採択されるまでは何もない更地の状態からスタートして、ゼロからスタートさせてここまで立ち上げたということがございます。ほかの拠点についてはある程度ベースとなる研究活動があって、その一部を発展させたところが多かったりしまして、ゼロから始まった割には一気に立ち上がって、世界的なところまで行ったというところが特に評価されたポイントの1つだと伺っています。

【山本委員】  ありがとうございます。

【岸本部会長】  栗原委員、お願いします。

【栗原(和)委員】  私、3月までAIMRのメンバーでしたので、そこで研究に参画した者として大変感謝している点を幾つか紹介させていただきます。一つは、拠点に来ている外国人のPIの方は非常に一流の方で、分野の異なる研究者と本当に日常的な共同研究が進んだことはよかった、幸いだったと思っています。もう一つは、外国の拠点と私どもも共同研究しているのですが、契約が終わっても、今回は向こうのセンターにポスドクの人が雇用されて、今でも共同研究が続いていまして、今後とも是非続けたいということで、日常的にディスカッションするような関係での、国内外を分けないような共同研究ができたことを大変幸いだと思っています。そのような場を作っていただいたことに感謝しております。それに関しては、外国の一流大学とのネットワークはプログラムの終了とともに消えないように、より関係性が強くなるような活動が続けられれば大変幸いだと思います。これは日常活動に基づいたネットワークですので、関係としては強いものだと思います。
 もう一つプラスすると、バイリンガルの環境で、外国の人が大勢いたということで、若手の研究者は非常にハッピーな環境で研究できたということがあると思います。彼らの仲間が大勢いて、場合によってはどんどん研究提案してきて交通整理できないぐらい、あれがやりたい、これがやりたいということもありました。参画させていただいた者として現場からの声は、いろいろ聞かれていると思うのですが、この場で委員の方に紹介させていただきました。私としての注文は、外国とのネットワークは是非いい形で維持していけたらと思っています。以上です。

【岸本部会長】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。では尾嶋委員から。

【尾嶋委員】  このWPI、10年間大変大きな成果を上げられて、すばらしいプロジェクトだったなと思っています。一方で、日本のこういうプロジェクト型の研究というかファンディングは、成果は上げるのですが、それが終わると途端にシュリンクというか、フェードアウトしてしまうケースが非常に多くて、先ほど産業界から代表して西島委員の意見もあったと思うのですが、問題はこれからでありまして、10年間やって、非常に大きな成果が上がった。この次の10年は、例えばファンディングが少なくて、自立しろという厳しいコメントもありましたけれども、その10年間で彼らがいかに次の新しいネタを生み出していくか、次の新しいファンディングを取っていくかという、そういうフォローを、10年にわたって事後評価をきちんとやっていく姿勢を国全体として持っていかないと、やっておしまいということになりがちです。これはJSTのプロジェクトもみんなそうだと思います。そういう方向ではないということを、このWPIはせっかく世界にネットワークを広げていかれたので、そのフォローを是非やって、これから5年後、10年後に事後の事後評価的な、必ずそれを見ているよというので、周りから厳しい目と温かい目でこれを育てていくという姿勢が非常に大事ではないかと思っております。以上です。

【岸本部会長】  ありがとうございます。波多野先生。

【波多野委員】  WPIに関しましては、終わったアカデミー拠点をもっと発展させるために、拠点間を融合して世界をリードする動きが必要だという議論もあったと思いますが、その辺ができるような余裕と、拠点間がそう思っているかというと、非常に私としては懸念しています。やはり、例えば東北大のトップの数学の力を阪大の免疫に入れていくとか、物材の材料に入れていくとか、もっと拠点間で大きくして、日本の拠点として、今東北大、京大という拠点ではなくて、日本のWPIという、象徴になるような動きになってもらえればと思っています。今後また特定の分野、随分小粒になっていくのだなという印象は否めないところです。

【岸本部会長】  ありがとうございます。片岡委員、有信委員の順番でお願いします。

【片岡委員】  各委員の意見の延長線上にあるのではないかと思うのですが、意外と難しいと思うのはアカデミー拠点の取り扱いというのでしょうか。名誉という話がありましたけれども、ただ一方において、ある大学が新しいWPIに応募するときに、アカデミー拠点に対する支援もきちんとやっているかというのは大きく評価する。これはこれでいいと思うのですが、一方において、これを10年やって、その後3年ごとにやっていく。ある意味では始めたときは分野融合で新しいのですけれども、それをずっと同じパターンでやっていくと、気を付けないと既得権益になってしまうのですね。そこをどうするのか。アカデミー拠点はアカデミー拠点である、ここはちゃんと面倒を見なければいけませんよと。面倒を見る代わりにほかをやってもいいですよということは、常にこれは対になってしまいます。ですから、アカデミー拠点自体が新陳代謝という意味で変わっていかなければいけないと思うのです。どんどん分野が変わっていきますから。名前はそのままでいいかもしれませんけれども、中身はどんどん変えていく必要がある。それをどのように設計するのか、意外と難しいのかなと。何もないところから作るのは簡単なのですが、一方にアカデミー拠点があって、それの位置付けが、資金的な支援も含めてまだはっきりはしていないですよね。そのあたりをどう考えるのかが今後重要な1つの議論ではないかと思います。

【岸本部会長】  ありがとうございます。有信委員、お願いします。

【有信委員】  今の片岡委員のお話とも関連するのですが、もともとWPIが成功した大きな要因として、従来の大学の中の仕組み、制度とは違うやり方で、なおかつ必要な人材を世界中から集めてきて、クリティカル・マスを十分超えた研究体制が組めた。それから1つの頂点に向かって様々な登り口から人がアプローチできるような構造も出来たということがいろいろ成功要因としてあると思うのですね。前回の基礎研究部会でも議論の中に出ていましたけれども、結局従来の大学ではやり得ないような新たな制度をどのように埋め込んでいくか。つまり今回のWPIの1つの重要なファクターとしては、大学の制度改革的な側面があると思うのです。この制度改革的な側面をアカデミーの中でどうやって生かしていくか。今片岡委員が言われたように、10年間やった目標が、この先10年間も同じような研究内容が同じような形で重要であるという保証はないわけで、それは常に乗り越えられないといけないわけです。そういう中で、十分成果を上げた本質的なものは何か。それを具体的に制度として大学のシステムの中に埋め込んでいけるかという観点で、もう少し議論を詰めた方がいいと思います。中でも重要なのは人材育成という観点で、これも少し議論されましたが、今のように特別な研究、プロジェクト的な組織を作ると、従来の大学の教育組織と完全に浮いた格好になっているわけですね。それをいかに大学の中の人材育成システムと結び付けて継続的にやっていくかということも含めて、制度改革的な議論を深める必要があると思っています。

【岸本部会長】  ありがとうございました。菊池委員、お願いします。

【菊池委員】  今の御意見にも関連するかと思いますが、このWPIの活動が本当にすばらしかったということを、この質の高い論文という形で今表示されていますが、基本は人材育成のところ、質の高い論文を出し続ける研究者をいかに作るかということだと思っておりますので、もしできればこの成果を、この研究拠点で育った若手の研究者が今現在どういうところで研究を続けているかという後追い調査がちゃんとされると、もっとこの活動の意味合いとか課題がもしかしたら浮き出てくるのではないかと思いますので、できればそういった情報も開示していただければと思っております。

【岸本部会長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

【宇川委員】  私自身、WPIにも関係しておりますので、その観点も含めて一言二言申し上げたいと思うのですが、WPI自身は4つ大きなミッションがあると。1つ目はもちろんトップサイエンスということであります。それと併せて、単に既存の研究をひたすら進化させてトップサイエンスをやるということだけではなくて、新領域開拓、新しい方向性の開拓という意味でフュージョン、分野間の融合、新しい分野の創出というのが2番目のミッションになっています。これは研究上のミッションですけれども、それと併せてグローバリゼーションですね。国際的な環境の中で研究していくという体制作り。併せて、研究をする場所としての組織改革、システムリフォーム。この4つが大きなミッションとなって今まで走ってきたわけです。
 最初の5拠点、それぞれこの4つのミッションを達成されて、プログラム委員会でWPIステータスに達したという評価を受けたわけで、結果的に1拠点だけ支援が延長することになったのですが、それを考える上では、この4つのミッションを達成したということの上で、特にエクセプショナルにすぐれた成果を上げたところはどこかという観点で評価がされたと思っております。結果的に東京大学1校だけ残ったということになっていると思います。
 何人かの先生から意見が出たとおり、一過的なものであっては困るわけで、プログラム自身が研究プログラムではなくて拠点形成プログラムなのですね。ですから、研究をする組織、機関自身をどうやって作っていくかが一番だったわけです。そうすると10年たって補助金の支援が終わってその後どうするか。これも一つ非常に大事なところだったと思うのですが、当初から、10年終了後は各ホスト機関がそれを維持することを考えて運営していってくださいと。もちろん、この10年間運営費交付金の減少ですとか、全体的に大学にとっては非常に厳しい状況になる中で、一方的にそれを言うだけでは各大学ともそれをやるのはなかなか難しいわけですよね。その10年終了時点での議論として、併せて10年終了後、どうやってこの拠点を最先端のものとして維持することができるのか、その仕組み自身も考えなければいけないだろうということが真剣な議論になったと思います。
 アカデミーというのはそれに応える一つの枠組みとして設置されたと私は思っていまして、確かに名誉は大事なのですが、同時に名誉だけでは維持することは難しいということも事実、両方の側面に真実があると思います。しかし各拠点が非常に強く言われたことは、トップレベルの、先ほどの4つのミッションを達成することをやる機関として、WPIというのがそういうものだと。WPIと一言言えばそういうブランドのものだと、そういう位置付けが非常に大事だと。その意味でアカデミーとしてメンバーになるということは、もちろんいろいろな支援が施策としてあればいいということはあるけれども、それと、いわば独立に、WPIメンバーであることがブランディングの維持、ひいては大学の中でこれを維持していく上で大事だと、そういう観点があったと思います。
 そうは言っても、私自身、個人的には10年間の支援期間というのは拠点形成ですので、それはそれでいいのですが、終わった後は、研究施策上の観点としてどうやってこのアカデミーメンバー機関を支援していくか考えていただくことが必要だと思いますし、重要ではないかと思っています。
 アカデミー自身は出発したばかりですので、まだまだこれから、どのようにすればこのアカデミー機関の研究面での革新性、それから組織改革での革新性、さらには人材育成ということもございますけれども、それを実現していくための施策が打てるかということは、これから作っていかなければいけない点ではないかと思っております。

【岸本部会長】  ありがとうございます。佐藤委員。

【佐藤委員】  委員の皆さん、なかなかいい意見を言うので、私は辛口の意見を言いたいのですが、この基礎研究を促進するとか、あるいは人材育成をするという意味では非常にいい施策であったのではないかと思うんですね。だけど、最終的に何を目指すのですかという、今の世界の状況を見ると、科学技術イノベーションという意味で日本の置かれた状況は非常に厳しいものであって、ビッグ4とかビッグ5というのがアメリカとかでどんどん進行していて、それに本当に太刀打ちできるのかというのは一方では進んでいるわけで、このままいくとIoTイノベーションとかいろいろなことが本当にできるのだろうかというのが、半導体の日本の衰退も含めて非常に懸念されるのですね。ほかのプロジェクトとか、経済産業省の委員会の評価委員とかも私はやっているものですから、非常に懸念を感じていて、こういう拠点を作って促進するというのは大賛成で是非やってほしい、もっと予算を増やした方がいいのではないかと思うぐらいなのですが、問題は、ここに出ている評価のところが、最初の事業の評価もそうだと思うのですが、どういう評価関数で評価してプロジェクトを選定するのでしょうかということをもっとやらないと、最終的には科学技術イノベーションを起こしたいのでしょうと。そこに最終的につなげたいのだから、そこにもっていくための評価関数は何ですかというのをもっと考えて打ち出さないと大変なのではないかという気がします。最近、私は盛んに、世の中でよく言われている収穫加速の法則とか、半導体がこれだけ進歩して、IT、IoT社会が出来つつあるというのはそういうベースのものが出来ているわけで、それが急速に発展したおかげでここに来ているのですが、今現在、さらにビッグデータとかAIとかを含めてどんどん加速度的に進化しています。そういうことにつながっていくような科学技術イノベーションを起こすようなプログラムなのでしょうねというのを評価する関数を作らないとだめなのではないかとあちこちで言っているので、是非そこのところを考えたプログラムにしていってほしいなと思っての要望です。そういうことで、終わります。

【岸本部会長】  ありがとうございます。もう一つ大きな議題がありますので、栗原委員で最後にしたいと思います。

【栗原(和)委員】  すみません。私は回答がないのですが、気になっている点を1点申し上げたいと思います。今このWPIの拠点というのは分野に対して大体1件ということで、本当に国内のトップの人が、全員ではないかもしれないけれども主に関与できるような形は、ここで育った人たちが波及効果としていろいろなところで活動を広げるという形しかないのか、もう少し国内的な関係性を広げるような、国内の研究を引っ張っていくような視点は、その活動を見るということではあると思うのですが、何か積極的な形とか工夫とかはあり得るのかどうか気になっています。回答がないので意見として申し上げるだけで、その点申し訳ありません。

【岸本部会長】  ありがとうございます。委員の方々からたくさんの御意見を頂いたと思いますが、WPIのアカデミー拠点という仕組みをどのようにしていくかがこれから大事なポイントかと思いますので、委員の皆様の意見を組み入れながら、評価とか支援とかも含めて作っていっていただけるといいのかなと思いました。
 それではどうもありがとうございます。まだまだ御意見あろうかと思いますけれども、もう一つ大きな議題がございますので、そちらに移りたいと思います。
 もう一つは、この部会の主な検討事項でございます戦略的な基礎研究及び基盤的な研究開発における研究開発テーマをどのように設定していくかという点に関しまして、まずは戦略的創造研究推進事業と未来社会創造事業、現在進めているものですが、そこにおきます現在のプロセスや、現在文部科学省内で進められている議論の状況につきまして文部科学省から説明を頂きまして、今後の方向性等について御意見を頂きたいと思います。それでは事務局より説明をお願いいたします。

田川基礎研究推進室室長補佐より、資料5-1に基づき説明があった。

【岸本部会長】  ありがとうございました。資料の説明を続けてお願いしたいと思います。次は資料5-2になりますが、よろしくお願いします。

塩崎人材政策課長及び田村研究開発基盤課課長補佐より、資料5-2に基づき説明があった。

【岸本部会長】  ありがとうございました。2つの資料で現状のテーマ設定の進め方についてお話しいただきました。続いて資料5-3で、こちらで皆様から御意見頂きたいということになります。資料5-3の説明をよろしくお願いします。

塩崎人材政策課長より、資料5-3に基づき説明があった。

【岸本部会長】  ありがとうございました。以上で資料の説明は終わりになりますけれども、最後に御説明がありました6ページの、3つの観点について委員の皆様から御意見を賜りたいと思いますし、もともとは研究開発テーマをどのように設定していくのかという改革を考えているということですので、そもそもの話ということで御意見を頂いてもよろしいかなと思います。時間が少し限られていますので、御意見は簡潔にできればと思います。まず竹山委員からお願いします。その後有信委員からお願いします。

【竹山委員】  まずテーマ設定のことなのですが、今まで文部科学省主導でいろいろな委員会が入っている中で、注目するべきところはどこかということを今回もいろいろなデータから抜き出してくるということは、そこに2つあると思います。1つは、もう既に走っていて、これはもう社会のインフラとかいろいろなものに重要になるだろうと思っていて、そこそこ研究者もいて論文も出てきて、日本が例えば海外に比べて遅れているけれども頑張らないといけないという部分と、全く今までにないのだけれども、新しく創造して、日本の価値から世界の価値に持っていこうという戦略を持って広げていくところと多分2種類あって、このことは今までの委員会でいつも論議になっていて、どっちをやるのかという話だったと思います。
 この2つに関して、先ほど企業の話も出たのですが、企業は5年間で、リスクヘッジをとってやっていくというのはなかなか難しいから国プロでやっていくみたいな話もあったと思います。ただその中に、真実の中に1つあると思うのは、世の中の技術は5年でもう次の技術に変わってしまって、遅いということもあって、だから5年のタームが必要だということもあると思います。そこで、国が出すから10年やりますよという話とはまた分野によって違うと思うのです。ですので、もう少し本当は整理が必要で、どちらを見て戦略を立てるのかは全く違うので、そこをどう考えて話をするべきなのか。多分両方必要なのです。両方必要なときに同じプログラムの中で考えること自身がそもそも論からして無理があるというところがありますので、それをもう少し考えていただいて戦略作りをしてほしいなということがまずあります。

【岸本部会長】  ありがとうございます。有信委員、お願いします。

【有信委員】  非常によく考えて検討されていると思います。ただ、どうも一部隔靴掻痒なところがあって、例えば戦略的基礎研究のところで、これも随分議論した結果ですが、科学的価値と社会・経済的価値を両立させるということでずっといろいろな検討をされて、具体的な形が出来上がってきているのですが、ただ社会・経済的な価値の尺度がほとんど見えていないのです。それからその後の説明のところでも、社会・経済的なニーズという言い方で、それを例えば公募でという試みをやっていますが、これも極めて安易な気がします。ここで言っている御議論いただきたい論点、テーマの最初のところに、科学的な潮流と社会・経済的ニーズと書いてあるのですが、社会・経済的なニーズというのは顕在的に現在あるものがそのまま本当に必要なもの、顕在的に分かっているニーズについて言えば企業がとっくに取り組んでいる話なのです。だからこれを一生懸命聞いても、実は基礎研究と結び付けてどうこうするという話にならない。しかも、例えば企業から意見を聞くと書いてあるのですが、これも一体誰から聞くのかということです。企業の研究開発の担当者から意見を聞くのであればほとんど変わらない話になるし、例えば事業をやっている人たちから聞いたら極めて直近のことしか出てこない。本当に社会・経済的なニーズというのは、今現在経済的な価値そのものが、例えばタンジブルからインタンジブルに、先ほどもイノベーションということでIoTの話が出ましたが、必要とされる価値そのものが大きく変わってきていて、したがって基礎研究の成果をイノベーションに結び付けるという考え方自体を見直して、実は最後の説明の絵を見て感心したのですが、基礎研究の途中からいろいろなものが出ていますよね。つまり基礎研究の目的のところ、基礎研究の途中で得られる様々な知識が実は途中からどんどん新たなものに結び付いていくのがイノベーションの構造なのです。いわゆるリニアモデルで基礎研究の成果があって、その結果を踏まえて応用研究をやってということではなく、基礎研究をやる人たちは彼らの目標があって、それは新たな知識の体系をきちんと作るということで、それはそれで極めて重要な話なのですが、イノベーションに結び付けるというのは知識の体系があろうがなかろうが、必要な知識をそれぞれ総動員しながら新たなものを作っていくというスタンスなのです。それがこの中に取り込まれて回るようになっているというのは非常にいいことだと思います。こういう方向で是非ファンディングして、もう少し詰めていただければと思うのですが、社会・経済的な価値に関して言うと、やはり社会学者も含めて、資本主義の構造そのものが大きく変わっている中で、将来本当に何が経済的な価値として回ってくるのかというところを、これもいわば研究の部分です。それを見据えながら、今のいわゆる科学技術というサイエンスで分類されるような知識とどう結び付けて、将来的な新しい社会を作り出していくかという議論を詰める必要がある。かなりいい線まで行っているのですが、どうも隔靴掻痒という感じになってしまうので、そこを是非、議論をもう少し詰めていただければと思います。

【岸本部会長】  ありがとうございました。そうしましたら西島委員の後に山本委員、お願いします。

【西島委員】  今有信委員が言ったことで尽くされているのですが、産業界によって、生命科学を扱うような産業と半導体とか燃料とか、産業から見た基礎研究が違うと思いますので、改革後のイメージ、こういうふうに進んでいくのは大変よいのではないかと総論としては思うのですが、一方、ハイリスクであってハイインパクトなものが、先ほど言いましたように最初から分かっていたらみんなやっているので、そういうものが分からないので進むところがおもしろいところもあるし、逆に言うと、産業界から見れば、ここはおもしろいかもしれないが、私のような業界から見れば余りにも生命科学的なこと、製薬企業としてそこまで突っ込む必要があるのか、どこかの先生がやってくれるのを待とうというのもあるわけです。そういう意味では現行の構成でうまくいく産業界もありますので、全て切り替えてしまって、気が付いたら企業のミニ版のようなことをやって、小ぶりのテーマをいじくって、皆さん余りにも出口志向になるのはいかがなものかという気がしますので、現行の構成でいく産業界的に受けるテーマと、早い段階からフェーズに取り組むものという2つを両立させる必要があると思います。むしろここで考えるのは、例えば基礎研究フェーズから成果発展、こういうフュージョンした将来ビジョンを描けるような、絵に描くのはいいのですが、この中にいく、例えば一番重要な知財戦略があって、そういう人材がどれだけ日本にいるか、こういう情報を取り扱える人材が本当に日本で育っているのか、そういう部分の、現行から移すに当たっての人材育成というものをうまく文部科学省が先導して、そこに対して産業界は、その面に関しては確実に公言できるのはできると思っています。

【岸本部会長】  ありがとうございます。それでは山本委員、お願いします。

【山本委員】  事務局に質問です。イメージとしては科学的な潮流と社会・経済ニーズを両立させるテーマを設定してやっていくということで理解いたしました。これをJSTのファンディング改革として取り組むのでは、戦略創造と未来社会創造を連動させていくというイメージなのか、もっと踏み込んで統合させるというものなのか、それによってどのようにテーマ設定をするかというイメージも変わってくると思いまして、よろしくお願いします。
【塩崎人材政策課長】  ありがとうございます。イメージとしましては、戦略基礎と未来社会事業を1つの事業にするということではありません。基礎研究というのは非常に重要ですので、戦略基礎は戦略基礎としてやっていく、POC研究はPOC研究としてやっていく。ただそこの連動をきちんと途切れなくできるようにしたいということ。それでテーマとしては、今まだ検討中ではありますが、ある程度今の戦略創造事業で言う戦略目標は余りにも細か過ぎるということで、もっと大くくりにしていく。その中で、基礎研究を実際に行うもの、それからそのテーマの中でもう少し具体的な、サブテーマという形になるのかもしれませんが、ある程度絞り込んだテーマの中でPOC研究を行っていくということ。ですから、テーマはある程度粒度は大きくて、それ全体をカバーするような基礎研究を行い、その基礎研究を裾野としてPOC研究に引き上げるような、そういったPOC研究のテーマをもう少し絞った形で設定する、そんなイメージで今考えているということです。

【山本委員】  ありがとうございます。

【岸本部会長】  菊池委員、お願いします。

【菊池委員】  よろしいでしょうか。私は産業界の1人の代表かなと思うのですが、私たちからしますと、例えば5ページのテーマ候補に自動運転とあるのですが、本当に私たちが先生方に期待するのは自動運転そのものの研究ではなく、この自動運転を可能にする認識技術。画像処理をいかに速くするか、さらにその画像のデータをいかに速く安全に飛ばすかという、そういう基礎技術、基礎科学の方です。そういうものがあれば、実はそれを統合してある種イノベーションに導くことはできると思っておりまして、むしろ文部科学省さんにも同じです。この電気自動車の長航続距離と書いたときに、これを可能にするものは、例えば本当に斬新な制御技術、それもその機械の中でできる、セル1つ1つのところでできるような制御技術が欲しい。そうなってくると、もっと本当は日本の一番得意とする基礎科学、基礎技術の方に振っていただいて、社会・経済ニーズから出てくるいろいろなアイテムがありますが、そこに必要な基礎技術が何かというのを明確化して、それを先生方に投げていくプロセスの方が、もしかするともっと有効に社会・経済的ニーズの方にはね返ってくる結果を研究の方から出していただけるのではないかと思っております。左側のテーマ候補例は非常に納得性が高いのですが、右の方にいきますと、実は私たちが必要なのはこれを可能にする上位概念にある基礎科学、基礎技術、そこのテーマを明確化してテーマ化する方ではないかなと思ってしまいました。産業界からの意見として聞いていただければと思います。

【岸本部会長】  ありがとうございます。ほかにどうぞ。佐藤委員。

【佐藤委員】  今の件に関しては、産業界側からのいろいろな基礎科学に対するニーズを明快に、応用から出てくるニーズを明快にアカデミアに伝えられているかが結構問題で、いろいろな委員会で、例えば学振の委員会でも4,000名ぐらいの研究者が、アカデミアも含めて絡んでいるのになかなか産業界のニーズが伝わってこない。あるいは伝えられているのかという話になって、それが非常に大きな問題だなと感じるので、それは是非こういうテーマ選定をするときに取り入れていけばいいのだろうという気がします。
 この議論したい内容ができていれば今のようなファンディングにはなっていないのです。できないから大変な状況で、日本は生産性という意味では先進国で最下位に近いぐらいの非常に効率の悪い社会になっているわけで、それをどうやって基礎科学から生産性のいい形に結び付けていくのかということをやりたいとここで言っているのだと思うのですが、それができたらすごいよねという感じになるわけですが、有信さんが言ったような話で、なかなかそれに対する回答はないのですが、1つは、社会・経済的な価値という観点をどう捉えるのかというところが、私はアカデミアでもやってきたし、企業でも事業もやってきたのでよく分かるのですが、例えば1つ基礎科学から量産までもっていくのにどのようにもっていくのかということでやってきた経験からすると、明快なのです。例えば今電気産業の産業界はめちゃくちゃになっているのですが、それは量産技術が明快にできない、そういう目標設定がされて、そこに基礎科学も含めていけていないところが今問題になっているので、そこをきちんと科学的なマニュファクチャリングのようなことがテーマ設定できればいけるはずなのです。声の大きい人がこういうものをやるべきだと言うと、大体それに従うのでみな行ってしまうので、それではなかなかうまくいかないというのが今の日本の現状で、私が1つ提案したいのは、先生方のいろいろな視点・観点で見るといろいろな案が出てくる。当然出てきてしまう。自分の経験からも、科学的なポテンシャルからも含めて出てくる。昔は人工知能でエキスパートシステムのようなものをすごく期待して、ある分野に関してはこういうものがいいのではないかと期待してやったのですが、エキスパートの問題だからなかなかそういうテーマが出てこないという話になり、それもなかなかうまくいかないということになってきたのですが、最近感じるのは、人工知能の技術というのは少し今までと違う、飛躍的な発展をする可能性が出てきていて、私も調べたりいろいろやっていくと、これはすごいなということを大体、コンピューターの性能で、1,000エクサスケールぐらいの性能が将来的には要求されるぐらいのものが出来れば人間を超えるかもしれない、超えないまでも近付くかもしれないという話が出てきていて、人間は死んでしまうので、持っていけないのでしようがない。それを全部集約していって、こういうことに対しては、こういう社会的な価値を生み出すためにはこういうことが必要なのではないかという人工知性的なものを、ファンディングのテーマを設定するときに少し文部科学省も観点を変えて、今までのやり方はやり方で当然進めないといけない、人間中心でやらないといけない。やりながら、一方でそういうことを意識した、科学技術だけではなくて、ファンディングテーマを選定するのにそういう人工知能的なものを利用していくようなことを考えないと欧米に勝てないのではないかという気がするので、そこまで含めて、こういうテーマを選定していくという課題に対してどう取り組んでいくのかということを文部科学省の中でもんでほしいと思います。これは要望です。

【岸本部会長】  ありがとうございます。波多野先生。

【波多野委員】   先週サマーダボス会議に参加し、その興奮がまだあります。議論はSDGsなどに、世界的な社会課題をどう達成していくか、産業界はサステーナビリティとイノベーション、そして利益とどのように両立していくという難しい議論がなされていました。シェアリングが進み、製造業が利益を出しにくくなるのかな、と思います。世界を先導するトヨタさんでさえも今後の課題であろう、と察します。そこで社会的なニーズの設定の際には、分野を超えた俯瞰的な議論が必要になってくると思います。社会科学の研究者も含めて議論し、社会的なニーズを先取りして研究テーマを具体化することも必要と思います。文科省さんには、世界の課題を先取りしてサステーナブルにイノベーションを生み出していくようなファンディングを期待します。また私は産業界におりましたが、基礎研究と応用研究には明確な区切りがないと感じております。サイエンスの発見がダイレクトに製品化につながる研究も多々あります。

【岸本部会長】  どうぞ。片岡委員。

【片岡委員】  3ページに端的に表れていますけれども、非常によく考えられている仕組みだと思います。1つは、従来の、基礎研究をやっていると応用が生まれるというリニアモデルから明確に脱却した。これは非常にいいことではないかと思います。それからもう一つは、テーマを設定するときにエビデンスベースで行うと。これも非常にいいことではないかと思います。
 もう一つ、これをやっていったときの懸念というか、こういうことも考えた方がいいなと思うのは、イノベーションとインベンションは明らかに違うということ。インベンションというのはいいものを作るということですが、イノベーションというのは社会が対象ですから、常に境界条件があるわけです。言ってみれば境界条件が定まっている中で社会をどう変革していくかという問題になりますから、そうすると、特にだんだん実用化にいくに従って社会システムが、こういう新しいテーマが生まれて新しいものが出てくると同時に、それを受け入れる社会の仕組みとか規制とかも同時進行で変わっていかないと難しいかなと。特に医療の分野というのは自由競争ではないので、本質的に規制があります。規制というのは人間が作ったものですから、自然法則とは違う。そうすると規制改革とイノベーションが一体化してくるのです。恐らくこうやってファンディングをしてやっていっても、必ずどこかでそういう問題に突き当たるので、それは文部科学省の役割ではないとなるのかもしれないのですが、それでは多分済まなくなる。そのあたりの手当をどう考えるのかが1つかなと思います。
 もう一つは、こうやってエビデンスベースでテーマを設定してやっていっても、例えばスマートフォンとかが果たしてそこで抽出されてきたかというと、そうとも限らない。ですから、そういうところで類推できないようなものが出てくる可能性もあります。それは科研費がやればいいと言ってしまってもいいのですが、一方においてそれがここで設定するビジョンに合致していて、特に競争になっている場合は早くやることが大事だと思います。それをいかに抽出してくるというか、その仕組みも一方においてファンディングとしてあってもいいのかなと。こういうビジョンを決めてテーマを設定して、ビジョンからミッションにおろしてくるファンディングのシステムと同時にそういった仕組みも必要ではないか。これは科研費でやりますというとそれでもいいのかもしれないのですが、やはりその間にかなりギャップがあるわけです。そのあたりのギャップをどう考えるのかも考えていただくといいと思います。

【岸本部会長】  ありがとうございます。

【尾嶋委員】  コメントさせてください。私は企業で基礎的な研究をやっていた立場から、大学に来たのですが、この下にある改革後のイメージというのは我々から見たら当たり前の話です。ところが大学に移ってきたら、ファンディングは基礎から実用化ときれいに分かれている。非常に不思議だなと思った。やっと普通の形になりつつあるなと。ただし、先ほどから意見が出ているように、社会のニーズということを余り大きく言い過ぎると、ここにある未来社会創造事業で超スマート社会、持続可能社会、安全・安心、低炭素社会と、これは当たり前の話ですが、では具体的にどういうテーマがフィットするのかというのが全然分からないような形になっていて、何でもありのような形になってしまう。そうなってくると右からの圧力でどんどん基礎研究が侵食されてしまう。JSTは、先ほどどなたか経済産業省と変わらないという話をされましたけれども、何かそういう方向に行って、日本の大事な基礎研究がシュリンクしてしまうのではないかと非常に懸念していいます。実は我々、先端計測ということをやっていて、それがなくなってしまったのですが、そういう大事な技術、大事な分野がどんどん侵食されてなくなってしまっている。先ほど自動運転を求めているのではなくて認知技術、レコグニション、コグニション技術が大事だとおっしゃったのですが、末端の出口のところばかりが強調されて基本的なところがどんどんおろそかになってしまう、そういう方向に行くのではないかという懸念を非常に持っております。社会からのニーズが大事だというのは百も承知ですけれども、本当に大事な技術を、サイエンスを守っていくのが文部科学省の役目ではないかと思います。以上、コメントです。

【岸本部会長】  ありがとうございました。そろそろ時間が終わりになりますので、栗原先生のところで終わりにしたいと思います。

【栗原(和)委員】  私も他の先生方と似た意見なのですが、今回描いていただいた下の絵は、研究者に、テーマをどこまで考えなさいという意味で啓蒙するとか、もう少ししっかりしろという意味ではきちんと描かれていて、これは研究者がよく考えなければいけないことだと思うので、大変貴重な図だと思います。
 ただ、従来戦略的創造研究推進事業は、大変成功していたと理解しています。それの成功の1つの、従来言われていたキーワードは、すぐれた基礎研究とか、従来の発想や流れにとらわれないものという赤字で書いていただいた部分が、名伯楽と言われるような研究総括によってサポートされて、しかも研究進捗の把握などをきめ細かくミーティングを行うという形で伸ばしていくという、運営そのものが非常に基礎研究にとっても大事な、他にない形だと理解しています。
 それで運営として、基礎研究というのは本来はたくさんのニーズに応えられるものであるはずなのですが、どうして応えられないかというと、ニーズをうまく研究者がキャッチできないことが大きいと思います。それで、例えば下の図で言いますと、先ほど有信先生もおっしゃったのですが、知財ベンチャー創出の事業化支援、例えばアドバイザーの人たちにその基礎研究はどう使えるのかをもう少し積極的にコメントするような方々を、従来にもまして入れていただくとか、そういう機会を早い段階から増やすとか、こういう人たちと一緒にやったらより応用につながるとか、運営的なところでも随分工夫できるのではないかと思います。改革後のイメージというものを余り真面目にやり過ぎて、従来のよさがなくなると困ると思うので、従来のこのプログラムの研究推進に対するメリットを維持しつつ、研究者コミュニティが社会に応えていくことは今後ますます大事になっているということはみんなよく分かっていると思いますので、それをいい形でキャッチボールできるような運営のところ、こういう、みんなをある程度リードしていくのは非常に貴重なので、従来の名伯楽と言われている人たちの良さも大事にしながら運営していっていただければありがたいと思います。以上です。

【岸本部会長】  ありがとうございました。まだ御意見あるかと思いますけれども、時間ですのでこのぐらいにしたいと思いますが、雨宮先生。

【雨宮委員】  制度設計としてはよく考えられていると思いますけれども、これを具体的にどう落とし込むか、その後のフレキシビリティですね。これを実践していく人の運用にかなりかかっていると思います。私はそこの下の概念でやるということが、尾嶋先生から見れば昔から当たり前というかもしれないですが、こういうコンセプトが重要だということを明示することの意味はすごくあると思っています。きちんきちんと分離するのではなくて、不離不即というか、そういうものなのだと、建前上分けているけれども不離不即なのだというところを共有しながら、余りかちかちにならないというところは重要なのかなと思っています。

【岸本部会長】  ありがとうございました。ここの絵については皆さん方向性としては御賛同いただいたように思いますけれども、人間がこれを作っていくので、誰がどういう仕組みでこれをやっていくかについて、非常に大事ではないかと思いますので、こういう方向に行ったときに誰がどのようにやっていくかについてもう少し詰めていただいて、よい方向に行ければいいかなと思いました。御意見、いろいろな形でありがとうございました。
 それでは最後に今後の予定について事務局から御説明をお願いしたいと思います。

田村研究開発基盤課課長補佐より、今後の予定についての連絡があった。

【岸本部会長】  ありがとうございます。本日の議題は以上ですが、伊藤局長がお見えになりましたので一言御挨拶頂きたいと思います。よろしくお願いします。

伊藤科学技術・学術政策局長より挨拶があった。

【岸本部会長】  それでは以上をもちまして第1回目の部会になりますけれども、閉会させていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――


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-- 登録:平成31年02月 --