第9期基礎基盤研究部会研究基盤整備・高度化委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成30年12月26日(水曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省15階 15F1会議室

3.議題

  1. 共用プラットフォーム形成支援プログラムの中間評価【非公開】
  2. 今後の課題・検討事項について【公開】

4.出席者

委員

佐藤主査、西島主査代理、尾嶋委員、原田委員、知野委員、網塚委員、飯島委員、江龍委員、大竹委員、岡本委員、金澤委員、木川委員、杉沢委員、高橋委員、田沼委員、中村委員、野村委員、横山委員

文部科学省

渡邉課長、黒川課長補佐

5.議事録

今回の議事は、審議の円滑な実施に影響の生じるものであるため、基礎基盤研究部会研究基礎整備・高度化委員会運営規則第4条第三号に基づき、議題1については非公開とされた。

【佐藤主査】  第5回の委員会を開催したいと思います。きょうは全員出席ということで、ありがとうございます。お忙しいところ集まっていただきありがとうございます。
 今日は、前回長丁場で議論していただいたプラットフォーム形成支援プログラムの中間評価に関してと、それから今後の課題・検討事項についてということで、2つの議題について議論させていただきたいと思います。
 最初に事務局から。

(事務局より、配布資料の説明)

【佐藤主査】  よろしいですか、資料等は。大丈夫ですか。それでは、もう早速議題に入っていいですね。

【黒川課長補佐】  はい、お願いいたします。

(議題(1)は非公開)

【黒川課長補佐】  ここからは公開ということでよろしいでしょうか。

【佐藤主査】  はい。

【黒川課長補佐】  議題2として、第6期の基本計画に向けた課題ということで、お手元に資料3、4、5という3つの資料を御用意いただければと思います。資料3が、科学技術・学術審議会の中に総合政策特別委員会ということで、第6期の科学技術基本計画に向けた検討をする組織が置かれておりまして、その検討状況の御説明資料です。それから、先生方から事前に頂いた御意見をまとめさせていただいたものが資料4で、資料5が提出頂いたオリジナルの資料ということでございます。
 資料の3から簡単に御説明させていただきます。総合政策特別委員会の検討の進め方について、11月15日に配布されたものですけれども、現在の審議会の委員の先生方の任期が来年の2月の真ん中に切れるということもございまして、6期の科学技術基本計画に向けた検討の論点を1月中に取りまとめて、2月以降に具体的な方策を検討し、9月を目途に論点を取りまとめというのが全体のスケジュールになっております。全体の流れの中の2ポツですけれども、総合政策特別委員会では、その論点を取りまとめた段階で各分科会・所管課等へ具体的な方策の検討を依頼すると。それから各分科会・所管課において具体的な施策を検討して、6月の総合政策特別委員会に報告をするとなってございまして、具体の検討というのは、2月以降6月までに各委員会でやるということになってございます。他方で、ここの委員会の期限も2月の真ん中ということになりますので、現体制のうちで来年に向けた引き継ぎ事項といいますか、検討事項というのを是非御議論いただきたいというのがこれからの時間ということでございます。
 1枚おめくりいただいた今後の進め方(案)の横の線表が、今申し上げた内容がポンチ絵に落ちている内容になっています。総合政策特別委員会では、真ん中辺りですけれども、11月、12月、1月、3回ぐらい議論しまして、1月の第25回に論点を取りまとめて、その後、2月に各課・分科会へ具体的な方策の検討依頼があり、6月に報告をするということですけれども、その前段階でもある程度意見を反映できるように、是非意見を出していただきたいということでございます。
 資料4を次に御覧ください。事前に5名の先生方、西島先生、木川先生、中村先生、野村先生、横山先生から資料を頂きまして、頂いた内容等々を1枚にまとめさせていただいたものでございます。大きく2つに分けてございまして、1つが先端研究施設・設備・機器の共用ということで、まず野村先生から全体像の整理ということで、共用の割合だとか対象に応じた議論が必要ではないか。あるいはどういう施設・設備があるのかが一覧できるようにということで、データベース技術の活用なんかも含めて検討してはどうかと。それから2つ目の、国としての戦略的な整備ということで、西島先生から共用プラットフォームの施設が有する先端機器群、支援スタッフ、ノウハウの維持というのが重要と。それから木川先生から、イノベーションシステムの一翼を担う存在としての位置付け、サステイナブルな共用モデルの構築が必要ではないかと。また野村先生からは、科学技術の効率的・効果的な発展の観点から、共用が望まれる施設・設備の洗い出しが必要ではないか。中村先生からは、分野別のどういうところを伸ばしていくかというのも検討が必要ではないか。また野村先生から、一定程度の国費を投資したものについては、一定程度の共用というのを原則化してはどうかと。また、西島先生からは、この下にも関係しますが、シンプルな利用手続あるいはリーズナブルな価格設定ということもしっかり念頭に置かないといけないのではないかと。また、各機関での組織としての整備ということで、こちらは新共用事業なんかで取り組んでいるものなどが対象になってくるのかと思います。ここは先生方からの事前の資料にはまだ出てきていないですが、私どもとして思っていますのは、経営・研究戦略と一体となった設備・機器運営の更なる促進あるいは大学・法人間での広域的な連携の促進というのも今後考えていけないかと思ってございます。
 また、人材育成に関しましては、横山先生から、機関を越えたまとまった技術者養成が必要ではないか。また、私どもとしては、技術支援人材の評価だとか、キャリアパスの明確化が必要ではないかと思っております。また、野村先生から、利用者の責務ということで、成果の出版ですとか利用に対する謝辞等を明確化してはどうかという御意見を頂きました。
 2.が機器ですとか共通基盤技術の開発ということで、こちらはまず全体として、西島先生から、ユーザーのニーズ、意見を反映できる場の構築が必要ではないか。野村先生からは、どういう機器の開発が必要で、国としてどう戦略的に進めていくかの検討が必要ではないか。中村先生と野村先生から、グローバル社会を積極的に牽引していくためのプラットフォーム、データベース構築、標準化等の検討が必要ではないかと。
 また、データの利活用に関しては、幾つか特出しでコメントを頂きまして、木川先生からは、データ駆動科学時代の到来を見据えた計測・測定の質の向上、組織間の垣根を越える知のプラットフォームの整備、あるいは技術のクラウド化・バーチャル化に関する技術開発が必要ではないかと。また、野村先生からは、共用の拡大に対応したデータ解析の環境の充実ということで、ユーザーインターフェース、データのフォーマットの統一、ストレージの充実等々が重要ではないかという御意見を頂きました。
 うまくまとめられていない部分もあろうかと思うのですけれども、事前に御提出いただいた御意見、あるいは御提出いただけなかったけれども、是非ということを中心に議論いただければと思います。

【佐藤主査】  ありがとうございました。第6期の科学技術基本計画に向けて、今の行っている研究、先端研究施設設備・機器の共用とか、あるいは新しい基盤技術の開発だとかいうことに対してどういう提言をしていけばいいかということをこれからやっていかなくちゃいけないのですけれども、その辺の意見を何人かの先生方に出していただいたんですけれども、説明していると時間がないので、事務局の方でまとめてもらいました。これでまず出していただいた先生がこのまとめで良いかというのをちょっと確認しておかなきゃいけないのですけど、それと、それ以外の先生方、意見がいろいろあるでしょうから、今はざっくばらんでいいね、これはね、ざっくばらんに意見を出していただきたいなというふうに思います。どうでしょうか。野村先生、大体こんな感じでいいですか。

【野村委員】  まあまあ、これだけの分量にしようとするとそうなるかなと。要するに、いろいろと共用といっても状況が違うのをみんなごっちゃにしちゃうと、話が複雑になるかフォーカスがぼけるので、そこは整理してやっていくべきじゃないかなと思います。

【佐藤主査】  うん。西島先生、どうですか。

【西島主査代理】  おっしゃるとおりで、ざっくりまとめてこうなるかもしれない。いいと思います。やっぱりここでは余り議論にならないと思うけど、共用促進法の大きなものというのは、比較的スタッフもそろっているし、それから共用促進法の大きなものを使うときは、ここに書きましたけど、企業としてもそれを使うときは、かなり予算を組むんですよね。で、テーマも絞っている。一方、そこまで行かないんだけどトライアンドエラーで使ってみたいというのがこの共用促進だけど、企業の研究現場からすると、そのレベルのものを利用するには、かなりのノウハウが必要であり、製薬会社の大手から見れば、800MHzクラスのNMRを購入することは価格的には可能ですが、問題は買って保有すればいいというものじゃなくて、そのノウハウとか重要です。対象サンプル、測定法が異なれば、1台だけじゃ済まないので、一定額を支払って複数の公的機関のNMRを使った方がいいという発想で利用しているのです。そういう意味では、僕は共用プラットフォームの施設というのは自立化を目指すから重要なんだけれども、国策としてやっぱり準共用促進法みたいな形でちゃんと守ってあげないといけないんじゃないかなと思います。つまり、SPring-8の場合分かりやすいですよね。初期の建設費を含めて、その後の利用者が負担となれば、あまりに高額すぎて、おそらく誰も使わなくなりますよ。でも、そこから実際にビームラインを作って、そこから先の部分については利用者負担であれば現実的です。実際、ビームラインが必要だから建設しましょうという合意で我々企業20社がビームライン建設・維持に資金を投入して、多分10年間で人件費等を含めて20億ぐらい投入したんです。十分よかったので、その後、今は一定額を投入して種々のビームラインを使っています。そういうステージがあるので、そういうふうにNMRとか何か、さっきの風と流れもそうだけれども、いくような話をやればいいんじゃないか。自立化を目指すというプレッシャーも重要だし、そういう努力はもっと必要だと思うんだけど、でもそうはいっても、いまは利用する企業、産業界としてもそんなに設備運用に資金を投入できない。昔と違うんですよ。だから各社は本気で公共施設の共用利用をやるということです。そこで、利用する企業として、企業のために働いている人のスタッフ等人件費は企業が負担すべきとの覚悟はあると思います。私たちが保有したSPring-8専用ビームラインの人件費(4~5人)は全てコンソーシアムが負担しました。そういうふうにした方が結果的にはいいわけだから、いろいろ手はあると思うんですよ。
 ただ、余りにも共用促進法と、それ以外の施設の維持費を含めた予算に差がある。そこへ持ってきて自立化という何かこう指標をちらつかせてやるのもちょっとかわいそうと私は思いました。

【渡邉課長】  ちょっとだけ事務局から。おっしゃるとおり、SPring-8であるとかスパコン京とか、ああいう国家プロジェクトで整備しているものがあり、片や、今新共用とかでやっているような、大学の中でうまくやるもの、もしかすると研究費で大きいものがあれば買える規模のものとあるんですよ。その間ぐらい、まさにNMRとかプラットフォームにするようなものを整備、維持するお金というのは、実は余り差がないなということは、省内でも、ちょっと今課題になりつつあって、そこの議論は必要だなというふうに思っています。そういう意味では、今のこの共用のプラットフォームは空白地帯をうまく使っているんだけど、今度、維持発展という意味でどうしたらいいのかということは次の重要な課題だろうなと思っています。

【佐藤主査】  そうですね。ちょっと時間が余りないので、木川先生、どうですか。

【木川委員】  非常によくまとめていただいて、西島さんには僕の苦しいところを代弁していただいて大変助かりました。
 いろんなこういう施策はともかくとして、大事なことは多分、今までって自分たちのものを自分たちで抱え込んでいたんですけど、これからは、他人(ひと)の物、他人(ひと)の知識、他人(ひと)のデータ みたいなものもうまく使って、みんなでもっと国力を上げましょうということを真剣にやらないと、厳しい時代になってきたということで、それをどういう仕組みを作って、どうやってやりやすいようにしてというのを一生懸命みんなで考えてやっていきましょうということだと思います。で、プラットフォームというのは一つそういう意味では隣の機械とか向こうの機械もスムーズに使えるようにしたいという表れなんですけど、いろいろやってみると、意外と各組織による部分、例えば秘密保持契約とか、結構そういうところは非常に大変になってきて、結局隣に行くとユーザーはまた秘密保持をしなきゃいけない、MTOしなきゃいけないというのは組織間なので、そういう意味で、本当の意味で地続きで使えるようにはなっていないので、そこをどうやっていくかというのは、多分いろんな組織論、それから契約の部分を含めて考えなくてはいけなくて、それがうまくできるようになると、みんなのものをみんなでうまく使いながら、みんなでどんどん頑張ってレベルアップしましょう、稼ぎましょうということになっていくんじゃないかと思うので、そこをもうちょっと共用という観点から議論すべきときなのかなというふうに。

【佐藤主査】  ありがとうございます。

【飯島委員】  今御意見が出た秘密保持のところが、結構ネックになるんじゃないかと思われるようなプロジェクトも確かにあったので、その辺のところをどういうふうに整理されていくかということと、技術的な展開があったら、それはこちらに取り上げる、取り上げるという言い方は変ですけど、というような仕組みをうまく作らないと、穴だらけのマップみたいな感じになっちゃうといけないので、これはすごく重要だと思うんですよね。
 それと、やっぱりここにも書いてありますけれども、技術支援人材のキャリアパスって、このプロジェクトが年限があることがとても私は気になっていますけど、最初から。キャリアパスを作ろうと思ったら、かなり長い時間のスパンで物事が見れないと難しいので、それを、プロジェクトは単位単位でやるとしても、どこにパスを作っていくかというところが、結局その人たちが支えていると思うんです、プラットフォームって。そこのところをもうちょっと。だから、この報告書を見ても、皆さん警戒して1人とか2人とかしか採らないですよね。というのは年限があって、その後どうするかがまた問題になるからですよね。だから、そこのところをもっとスムーズにしたかったら、そこをどうしたらいいか、ちょっと工夫のしどころがあるんじゃないでしょうかね。

【佐藤主査】  そうだね、現場の課題は確かに大きいね。
 知野委員どうですか、ちょっと違う観点から見て、これからの事業を今後どういうふうに考えていくか、第6期に向けて。

【知野委員】  一般的にはまだ余り知名度がないと思います。

【佐藤主査】  知名度のない。

【知野委員】  はい、知名度がないと思います。やはりそれによって何が出来てきたかというそこのところが大事なんだと思います。この枠組み自体が一般に広く知られるというのはなかなか難しいのかもしれません。

【佐藤主査】  広げていかなきゃいけないと思っているのですけどね。

【知野委員】  はい。

【佐藤主査】  広げないと、なかなか使って、利用して、科学技術ポテンシャルを上げていけないという思いが皆さんあるものだから。

【西島主査代理】  ということは、成果は成果の広げた広報活動も。

【知野委員】  広報活動もそうですね。この間も申し上げましたけれども、やはりもうちょっと簡単に使えるようなイメージもあったので、そことのギャップをどう埋めていくかという意味でこの全体像の話、データベースなどがまさにとても重要だと思いました。

【佐藤主査】  そうなのですね。

【野村委員】  もう一つよろしいですか。先ほども技術支援人材という話があったんですけれども、ここでもちょっと話していたんです。物事って、最初はサイエンスで新しい研究手法が出来てきますけれども、ある程度成熟すると、かなりエンジニアリングが重要になるんですよね。で、今ここでもお話ししていたんですけど、例えばこのビッグデータをやるという話、これ、サイエンティストがやって論文になるかといったら、多分ならない。けれども、こういうもの環境が整備できるかどうかというのはサイエンスの発展には物すごく重要で、そういう場合にファシリティーの人を技術支援といっているだけではなかなかいい人は集まらないので、もうちょっとやっぱり研究パートナーとしてちゃんと位置付けて、お互いがウイン・ウインの関係を作れるような文化を創っていかないと難しいんだと思うんです。これまでスモールサイエンスでは、研究段階は研究者がやって、あとは会社がいい商品、使いやすいものを作ってくれて、あとは研究者がそれを使っていればよかったんですけど、この辺でやっているものはそれで済まない。すごくいいサポートができない限り、多分エンドユーザーはいい成果を出せないんだと思うんです。そこの仕組みと、支援体制という言葉がいいかどうかあれですけれども、なかなか日本はやっぱりハードは投資しても人がいなくて、初期段階はすごくモチベーティブなサイエンティストを使うだけだからいいんですけれども、発達してくると、それはすごく今問題として見えてきているかなと思います。

【佐藤主査】  そうだね。ほかに御意見ありますか。

【尾嶋委員】  よろしいですか。今、6つの中間評価をやっているわけなんですけれども、日本の科学技術のプラットフォームとして何と何と何が必要で、要するにニーズとシーズがうまく合うのとしては何が必要で、という議論が余りなくて、ぽこぽこっと出てきている、という印象です。まあはっきり言うと、例えば風と流れというのも、これ、プラットフォームになるの?と思いましたが、意外と頑張っておられるなというのはあるんですけども、やはりプラットフォームというと、ヨーロッパのNMRプラットフォームが一つのプロトタイプというか参考になると思うんですけどね。そういう観点から言うと、何かスケールの小さいものを集めてきてやっている、まあ予算規模も小さいんですけれども。もちろん、やれば成功するのは分かっていても、いやそうじゃなくて、ニーズとシーズがうまく合うようなものを日本に必要なのはこれとこれとこのプラットフォームなんだよという、大きな議論が必要。それが何か議論の中心に余り入っていないなという、ちょっとその辺の物足りなさを感じますね。

【佐藤主査】  それは我々全員の責任ですけど、まさにそこをやらなきゃいけないのですよ。

【尾嶋委員】  そういう意味では、ナノテクプラットフォームは、僕は非常にうまくいっているケースかなというふうには思っています。

【西島主査代理】  ちょっと文科省的立場で言い訳じゃないですけども、もともとこれを、はるか昔は産業界も使ってみたい、共用施設として持っているものを挙げて、そこから39拠点があって、その39拠点で育った人材とか、それからつながりを持ってプラットフォーム化しようという部分があったので、その39拠点の中で集まってうまくいったのが選考されて選ばれたという、そういう経緯なんですね。そこで人材を十分生かしていこうという流れは一応生きていたというふうに思って、一応主査代理として言い訳させていただきます。

【尾嶋委員】  きれいにまとめていただいて。

【佐藤主査】  余り時間がなくなってきたので。はい。

【杉沢委員】  今の尾嶋先生とかなり似ているんですけれども、もう全体的に出てきた項目については、もう本当にそのとおりだと思っているので。
 ちょっとあともう一つ、今の尾嶋先生と同じで、国際競争力の観点から、日本が持つべきプラットフォームは何で、それはどういうふうに持つべきかというのも、もしあれでしたら議論の観点に加えていったらどうかなと思います。例えば、極端な話でいうと、これは日本ではやるべきだけど、他国ですごく強いのであればここはちょっと落としてもいいかなとか、あるいは逆に、ここは他国と連携するので連携を中心にやろうとか、あるいは人材をこういうふうに交流するというようないろんな観点で議論する観点もあっていいのかなと。特に一番私が興味を持っているのは、中国なんですよね。中国はものすごい御存知のように投資されているので、もちろんヨーロッパ、アメリカの先進国もありますけど、中国の投資に対して日本はどういうところで競争できるのか、していくのか、もう諦めるのかというのがあるのかもしれないですが。

【佐藤主査】  諦める。

【杉沢委員】  まあそれは言い過ぎかもしれませんけれども、そういった観点も少し議論したらどうかなという話ですね。

【佐藤主査】  科学技術予算がどんどん減って、論文数が減って、日本はどうなっちゃうのだろうというのを盛んに今世の中で言われているわけですよね。だからそれに対して、単に予算が増えれば、じゃあできるのかという話でもないし、だから、今までの皆さんの話からすると、もうちょっと俯瞰的に見てどうあるべきなのかというのを考えないといけないということだと思うのですけれども、一つの例は、私がいつも授業なんかで挙げる例は、プラットフォームというふうに言っていいんだと思うのですけれども、例えばIBMが、これは国じゃないけれど、まあ国の援助をもらっているからあれですけど、IBMが今のコンピューターのアーキテクチャーを1968年ぐらいに作っている。それもしかもそれまでのお金を9兆円ぐらい掛けている。そのアーキテクチャーを作って、それがコンピューターの標準になって、全部そのアーキテクチャーを開放して、それに準じてコンピューターを作れば、全部同じように使えますよという、そういうプラットフォームを彼らは作ったわけですよ。それが今のいわゆる情報化社会をだーっと促進して作ってきた契機になっているのですよね。だから、そういうプラットフォームというものが、本当の俯瞰的に見ると人類に対してどれだけの価値をもたらすかということにその土台が出来れば、価値を生み出すことに多分なるのだろうというふうにいつも私は授業なんかでよく使うのですけれども、この場合もそういう見方をして、科学技術的に全体としてどういう大きな価値を生み出せていけるのかということをそれなりにシナリオを描かないと、多分国の予算は付かないと思うのですよ。個別の、ここでいっているのは物すごく大切、現場でいっているものもものすごく大切で、これもやらなきゃいけない。だけどこれだけでは予算が付かないのですよ、やっぱり。全体的に俯瞰的にそのビジョンを描いて、それを国に対して示さないと多分だめなんだろうなということと、今やっぱり注目すべきことは、IoT社会になってきているので、じゃあIoT社会においてこのプラットフォームというのはどうあるべきなの、どういうふうに価値を生み出していけるのということを考えなきゃいけないというのが1点。
 それから、IoT社会で本当に持続可能な社会ってできるのですかと。どうあれば持続可能な社会になるのですかということを考えて、その上でこのプラットフォームがどう効果をもたらすかということを言わないと、多分だめだと思うのですね。だから、IoT社会というのはまだ中間段階だから、でも人類は本当に持続可能社会ができるのかということが本来の目的なので、そこは科学技術でなきゃ多分解決できないと思うので、そこにどうやって結び付けていくのかということを考えていかなきゃいけない。そういう観点で見て、例えばNMRだったら、ヨーロッパとかアメリカのやっていることに勝てますかと。それが勝てるようになれば、持続可能社会に多分つながっていくでしょうという話になるので、そういう視点でもってもう一回見直しながら第6期―第5期に更新の話はいろいろ出しているのですよ。施設の更新とかなんかもちゃんと重視しなきゃだめというのを挙げているのだけど、予算はなかなか付かないのです。だから、もうちょっと大きい視点で、だからといってそんなに簡単に付くとは思わないのだけれども、そういうのをまず出していって、やっぱり日本は科学技術立国でやっていかなきゃだめなんだということを多分何回も何回も言わなきゃいけないのだと思うのですよね。そういうことを踏まえてもう少し議論して充実させたいと思っていますので、ちょっと飲みながらやらないと、こういうのは多分無理じゃないかと思うのだけどね。是非そういうことで出したいなというふうに思っていますので、ちょっとそういうところで主査はまとめたいのですが、よろしいですかね。ここに掲げていることは非常に重要なので、これも踏まえて第6期にどういう提言をしていくかというのを是非やっていきたいということであります。よろしいですか。

【佐藤主査】  あと何か課長からありますか。

【渡邉課長】  私から。本日の議題は以上ですけれども、次回の委員会を1月23日の水曜日に行う予定です。最後、言い足りなかったこともたくさんあろうかと思いますので、次期基本計画に向けての、資料4をブラッシュアップした形でもう一度御議論いただきたいと思っております。本日まだ言い足りなかったこと、後で思い付いたこともあれば、更に事務局の方に御意見頂ければ、この資料を少しバージョンアップしたものをお出しして御議論いただきたいというふうに思っておりますので、またよろしくお願いいたします。

【佐藤主査】  いいですか。皆さん言い足りなかったこといろいろあると思いますけれども、時間が来ましたので、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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