第9期基礎基盤研究部会研究基盤整備・高度化委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成30年11月26日(月曜日)14時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 5階 5F3会議室

3.議題

  1. 平成31年度概算要求の報告
  2. 共用プラットフォーム形成支援プログラムの中間評価

4.出席者

委員

佐藤主査、西島主査代理、尾嶋委員、原田委員、知野委員、網塚委員、飯島委員、江龍委員、大竹委員、木川委員、高橋委員、田沼委員、中村委員、野村委員、横山委員

文部科学省

渡邉課長、黒川課長補佐

オブザーバー

(共用プラットフォーム形成支援プログラム代表者)
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 小杉 信博
国立大学研究法人北海道大学 圦本 尚義
株式会社日立製作所 品田 博之
国立研究開発法人理化学研究所 木川  隆則
国立研究開発法人海洋研究開発機構 浅野 俊幸
公立大学法人横浜市立大学 平野 久

5.議事録

【佐藤主査】  ちょっと時間早いですけれども、今日は長丁場になりそうなので、早めに始めたいと思います。第4回の委員会を開催いたします。
 人事異動等もあって、時間がちょっと空いたのですけれども、今日は議題としては二つありまして、平成31年度の概算要求の報告と、それから、共用プラットフォーム形成支援プログラムの中間評価ということでありますので、それについて審議をしたいと思います。
 概算要求の方は事務局の方から説明してもらいますけれども、これまで少し勉強会を開催し、検討した結果を反映させてもらって要求をしていただいているので、その辺のことを考慮して審議いただければと思います。
 あと、中間評価の方は、書面審査という結構重い課題を委員の先生方にお願いしましたが、今日はヒアリング審査ということで、委員の先生方の評価確定をここでしていただくということにしたいと思います。最終的には、次回の委員会でそのまとめたものを出してもらう予定でいます。
 長丁場になりますが、良い機会であり、色々評価してもらった結果、先生方の、私自身も具体的な取組内容の理解と問題、課題等を含めて、それなりに議論できるような状況になったのではないかなと思います。但し、先生方には大変なご苦労かけてしまったことに、
ここで改めてそれに対してお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。
 それでは、最初の議題の方、概算要求の報告、その前に、出席者と配布資料の確認ですね。黒川さん、お願いします。

【黒川課長補佐】  前回の委員会から事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 まず、研究開発基盤課長に、村上の後任として渡邉が着任いたしました。

【渡邉課長】  渡邉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【黒川課長補佐】  また、課長補佐に、田村の後任として私、黒川が着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、委員の先生方の御出欠でございますけれども、本日は、岡本委員、金澤委員、それから、杉沢委員が御欠席でございます。

(事務局より、配布資料の説明)

【佐藤主査】  よろしいですか。皆さん、大丈夫ですか。
 では、続けて、議事に入りたいと思います。最初の議題で、31年度の概算要求の報告ということで、これは課長の方からお願いします。

【渡邉課長】  先ほど、佐藤主査からも御説明がありました、本日の中間評価、短い期間でありがとうございました。事務局からも御礼申し上げたいと思います。
 では、資料1に基づきまして、概算要求の概要について御説明したいと思います。当課では、先端研究基盤共用促進事業という事業を行っておりますけれども、昨年、16億500万円だったのに対しまして、今年度は15億4,200万円の要求をしているところでございます。
 こちらにつきましては、イノベーションを進めていくための先端的な研究施設・設備の整備・共用化が必要ということで、やっているわけでございます。その事業の概要といたしましては、左下のような絵がございますけれども、当課で、このような感じで共用事業を位置付けてございまして、真ん中にあるピンクのものが、SPring-8であるとかSACLA、J-PARC、京といったような我が国で一つしかないような、そういう先端的な施設・設備の共用で、これは別な事業でおのおの支援をしておるわけでございます。
 その外側に共用プラットフォーム、まさに今日、中間評価をしていただくものでございますけれども、右上にございますように、産学官が共用可能な研究施設・設備について、各大学ではなかなか持ち得ないけれども、広く使うと意味があるような、施設・設備・機器について、研究機関間のネットワークを構築する共用プラットフォームの形成を支援するというものでございます。昨年、4億2,400万円でございましたが、今年度も同額の要求をしておるというところでございます。
 そして、この共用プラットフォームの外側に当たる水色のところでございますけど、新たな共用システム導入支援プログラムというものでございます。右にございますけれども、昨年、10億9,400万円のところ、7億4,900万円と、これはちょっと減額になってございます。この内容につきましては各研究室等で分散管理されている研究施設・設備・機器を一つのマネジメントで運営するということで、まず、各大学でございますとか、研究機関の中で研究施設・設備・機器を有効に活用しようというものでございます。
 こちらは3年間でやっておる事業でございますけれども、3年にわたって公募してございまして、来年度でその最初の3年のものが終わりますので、その分、予算が減っているということになってございます。
 そして、最後に、先ほど佐藤先生からも少し言及がありましたけれども、こちらの委員会での意見も参考にいたしまして、研究機器相互利用ネットワーク導入実証プログラム(SHARE)というものを新規で3億円の要求をしてございます。こちらは研究機器の遠隔利用システム導入などにより、今度は大学、企業、公設試など、一つの機関にとどまらず、近隣の機関、企業などと連携した形での研究機器相互利用ネットワークを構築するためのものでございまして、こちらは全国的にいろんなところにやるというよりは、実証試験ということで、現在大体6拠点を選ぶということで3億円の要求をしているところでございます。
 事業スキーム、規模といたしましては、共用プラットフォームが大体1か所は7,000万円、新たな共用システムは2,000万円、そして、新たに要求しているSHAREは5,000万円程度で事業をしようということでございまして、事業期間はプラットフォームは5年、新たな共用システムは3年、そして、SHAREについては来年度から2年ということで予定をしてございます。
 現在、予算、かなり大詰めのところではあるんですけれども、何とか満額の予算が取れるように頑張っているところでございます。
 以上でございます。

【佐藤主査】  ありがとうございます。
 ただいまの課長の説明に対して、質問等ありましたら、皆さんの方からどうでしょうか。
 この新しい事業というのは、極端に言えば、新たな共有システムの導入支援で少し減る分を新たな発展した形でやろうというということですね。

【渡邉課長】  まだまだ減った部分の財源が多少あるかなと思いまして、そこで、こちらでの御意見を基に、全国展開するには少しお金がないんですけれども、モデル事業ということで、いい事例が出れば、その成果をまた何なりか普及啓発をしていくことを考えていきたいと、そういう事業でございます。

【佐藤主査】  なかなか予算的には厳しいのですけれども、少しプラットフォームという今まで進めてきている、1か所では価値がなかなか出せないところを、複数拠点で大きな価値を出せないかと。その環境、基盤を作ろうということがもともとの趣旨ですから、それに対する予算化をお願いしているという状況でございます。何か皆さん、意見等ございませんか。

【西島主査代理】  ここで聞くのはあれですけれども、ちょっと考えると、やっぱり対象となるのは、その上の共用プラットフォームと新たな共用システムに採択されたところが入ってというような可能性なんですか。というのは、真ん中のピンクの部分を対象とは考えていませんよね、もちろんね。

【渡邉課長】  そうですね。

【西島主査代理】  6か所ですもんね。

【渡邉課長】  はい。そういう意味では、例えば新たな共用システムで今やっているところが、学内などにおける……。

【西島主査代理】  生かせるようにというシステムですよね。

【渡邉課長】  はい。周辺のものを巻き込んでということはあり得るんじゃないかなと思っております。

【佐藤主査】  これ、新たな共用システムに関しては、終わった時点、3年間で終わった時点に関して、何か評価をするのですか。

【渡邉課長】  そこは、3年事業ですけど、この事業全体とすると、何らかの形でやっぱり評価、取りまとめをやっていかなくちゃいけないんじゃないかなと思っております。個別の評価もありますし、事業の評価もあるというふうには考えております。

【佐藤主査】  今回の共用プラットフォームの中間評価をやってみて、新たな共用システムについても評価は要るかなと。それはかなり新しい価値を生み出すにはどうしたらいいかとか、課題は何だとか、どういう方向性を見出せばいいかということをある程度共有して議論するという意味ではね。

【西島主査代理】  真ん中ですか。

【佐藤主査】  真ん中の事業。

【西島主査代理】  事業評価は要るでしょうね。

【渡邉課長】 ということだと思います。いわゆる研究評価とは違うんですけれども。

【西島主査代理】  というのは、最初、特に最初の3年間で終わったところは、恐らく考えると、人件費の確保が難しいので、本来ならば自分のところで賄えればいいんだけれども、それが現実にはできるのか、できないかというような形を含めて、人材育成とかいうシステムにとっても、ここの部分をどうするかというのは考えておかないと。

【渡邉課長】  そういう意味では、今お話があったように、この成果というものをどうまとめて普及していくかというところが多分一番重要であろうと思うので、そういう点で、それを評価と呼ぶのかというのはありますし、研究評価とはちょっと違うんですけれども、何らかそういうことは必要ではないとかいうふうに思っております。

【佐藤主査】  何か緊張感を持って次のステップに、知恵を出して、どういう知恵を出すかということをやって、その実績をそれなりに踏まえながら、予算要求していけば、ちょっと強力なバックアップになるはずだから、そういうのが要るかもしれないね。
【渡邉課長】  そういう意味では、こちらも、単に予算だけの話だけではないですけれども、事業が閉じていくに当たって、その次に必要なものは何だろうかということは課としても考えていかなくてはいけないと思っておりますので、先生方のお知恵をいろいろと拝借しながらというふうに考えております。

【佐藤主査】  そうですね。
 じゃあ、皆さん、よろしいですか。こういう予算、概算要求しているという状況です。
 分かるのは大体12月いっぱいだね。

【渡邉課長】  そうですね。大体クリスマス後ぐらいに政府予算が来ますので。

【佐藤主査】  分かりました。どうもありがとうございました。
 じゃあ、次の議題に入りたいと思います。

(各プラットフォームよりヒアリング資料の説明と、委員による質疑をおこなった)

【佐藤主査】  最後に、全体、今日の中間評価をやって、その上で、全体のこの共用プラットフォーム形成支援事業としてどうかというのを、もうあと10分ぐらいしかないのですけれども、議論したいと思います。

【黒川課長補佐】  先生方に、事業全体への御意見ということで記載いただいたものを要約した形で机上配布資料4ということでまとめさせていただきました。
 大きく三つに分けて整理しまして、まず、プラットフォームの位置付けについて、最終的なプラットフォームの在り方を明確にすべきではないかとか、今後10年、20年を展望しての議論が必要ではないか。あるいは、いろいろな今後の方策が必要ではないか。
 それから、国費の投入の必要性について、各機関に任せれば運営できるものは、それで任せていけばいいんだけれども、他方で、特殊な技術のプラットフォームが集まっていて、自立のイメージが個々に異なるのではないか。重要なプラットフォームで、利用料収入のみでは運営に至らない場合には、公的資金の持続的な投入が必要なんだけれども、そういう継続をしていくに当たっては、その明確な目標設定とコミットメントが必要ではないか。
 また、人材育成というのも重要ではないか。
 こういった記載を事前に頂きましたが、今日のヒアリングも踏まえて、更に御意見等を頂ければと思っております。

【佐藤主査】  ありがとうございます。

 皆さんの方から、ちょっと全体の、多分、最後に全体について、記入していただいていると思うので、それもそれぞれ踏まえて、皆さんの方から意見を言っていただければというふうに思いますけれども、どうでしょうか。特に意見が言えなかった木川先生、野村先生。多分言いたかったのだと思うのだけど、是非。

【木川委員】  やっぱりそのプラットフォームの在り方と、それから、もう一回、国の研究開発における位置付けってやっぱりもっと明確にする必要があるんじゃないかと。三層構造っていいんですけど、その一番真ん中とちょっとその外側二つはかなり、国からの支援のされ方が全く違うので、一番その内側じゃないところの存在、立場としては、そこら辺、非常に苦しいんではありますが、やっぱり必要なんだと思うんですよ。真ん中だけではないので。そこの位置付け、やっぱりもう一回ちゃんとする必要があるんじゃないかと。
 それで、その部分の役割をしているのは、この共用プラットフォームだけじゃなくて、いろんな、実際にはいろんな形でいろいろとあるんで、そこの事業との連携とかも踏まえて、ちゃんとやっていく必要があるのかなというのは、これはやっている側の意見だけじゃなくて、ユーザーからやっぱりいろんな制度はあるよねと、色々。あれ使うとこれがいいけど、あれ使うと、これ、駄目だよねっていうのを色々言われると、こっちも非常に大変な部分があるので、ユーザーから見ての分かりやすさというのも何か必要なのかな。
 特に、これから自立という、自立じゃなくても、少なくともユーザーが使いやすい形を作っていくことが必要なときに、分かりやすさというのは、僕らだけでできる話ではないと思うので、その部分は是非考えてもらいたいと思うんですね。
 やっぱり何年かやっていくと、少しずついい成果が出てきて、皆さん、場合によっては、自分たちの装置をシャットダウンして、プラットフォーム使おう、使う、もう移っちゃおうかなと。でも、ところで、何年、この先、やってくれるんですかと言われて結構困ることが多いので、そこら辺が研究基盤というのは1回始めたら止められないという部分も考えながら、というのも、国の施策の中で考えていきたいかなと思います。というところでしょうかね。
 あと、やっぱりデータの蓄積とかは、ちょっと我々もちゃんとできてないところで、そこは宿題いただきましたが、そこら辺、どうやっていくかは、実際には今、物材機構ではMI2Iと言っていたかな、情報科学と材料の活動は既に始まっていると思うんですね。
 そういういろんなところとの連携も踏まえながら、有効にみんなでどうやって、限りある知財、知見からどうやって有効に新しい知識を生み出していくかというのは、もっと広い分野での議論が必要かなというふうに思います。

【佐藤主査】  ありがとうございます。どうぞ、お願いします。

【野村委員】  今の御意見と似たようなことを前から思っているんですけれども、これまで、この先行事業を含めて、ある意味で、装置はあって、各研究者の努力と、あとは、1機関の努力で装置はあって、それを共有していこうと。さらに、それをネットワークにしていこうということでこれまで来たと思うんですね。
 ただ、それぞれのこのプラットフォーム、私も全部は分からないですけれども、多分、プラットフォームに加わっている機関と、比較的似たようなものをお持ちだけれども加わってない機関とあったりして、それを本当に国全体として、予算、限られたときに、どうミニマムの予算がうまく回すような施策にしていくのかということを上手く考えないと、まずいんじゃないかなというふうに。ちょっと範囲を超えちゃうかもしれないですけど。
 上手く回して、多分どこも装置の維持、それから、更新、運転経費、我々のところも運転経費で当初考えていたのより予算が3分の2以下になっちゃっているようなケースもあって、だから、そういう中で本当に国としてそういう研究基盤をどうやっていくのかというのをちゃんと整理しないと、ちょっと競争的資金だけで整備した、してやっているだけでは無駄が出るのかなというのは非常に感じています。
 そういうところをどう長期的に戦略というんですかね、どうやるか。スタートアップとして非常にこういうのが良かったと思いますし、先行の個別の支援も多分スタートアップとしては非常に良かった。この先、それをどうやってサステイナブルなものにしていくかということと、今の日本の状況はやはり右肩上がりでは必ずしもないので、いかに効率的にそれを成果に結び付けるかというのは知恵を絞りながら考えていかなくちゃいけないなということですね。
 海外の状況も必ずしも全て分かっているわけじゃないですけれども、非常にやっぱりヨーロッパなんかはストラテジックに攻めているかなというふうに思って、非常に危機感を感じます。

【佐藤主査】  私の印象は、すごく大きな大型の国家プロジェクトを起こして、いろんなものを作って、それから、NMRも一部、あと、小さいものも含めて、MSもそうなのだけれども、小さいものも含めて、揃えてきていると。それがばらばらに存在しているうちは、そんなに、宝の持ち腐れみたいなもので、対して効果は出てないよねと。出てないのじゃないのという、そういうニュアンスから、このオンリーワン、ナンバーワンの技術をある程度集約して、いろんな人に周知させて、そこから新しい、もちろんニーズがないと駄目なのだけれども、いろんなニーズが、イノベーションを起こすニーズがあって、それに食らい付いた形で、非常に大きな価値を生み出せるよねという、そのための環境作りをまずしましょうというのが今回の事業だと思うんですよね。
 もっと発展的に言えば、そこから本当は、本当の意味での社会実装に向けたイノベーションを起こせられるようなものにどうやって寄与できるようにしていくかということが次の段階で多分来ると思うので、第一段階というか、第二、もう第二段階ぐらいになっているのかな、今は。そのぐらいの段階としてはいいところに来ているのかな。
 だから、野村さんが言われた、あちこちにもっとあるよねというのは、この部分だけと、今、これだけの共用だけやっているだけという話はちょっとやっぱり小さいのかなというふうに思うので、そこまで、じゃあ、どこまで広げてどういうふうにやるのというのは、これはかなり、仕組みも含めて考えて、予算措置もしないと駄目なので、結構ここの金でできるかどうかは、僕、分からないんだけれども。

【野村委員】  そうそう、そうなんですよ、全く。

【佐藤主査】  それぐらいの話になっていかないと、多分本当の意味での日本のイノベーションはなかなか起こせないかもしれないということで、そういう捉え方で今は、この段階でどこまでやれるか、やれないかという課題を抽出して、次の展開にどうやって持っていこうというのを上げようということをやっている段階かなと思っているのだけれども、そういうニュアンスでよろしいですか。

【野村委員】  ええ、全くそうです。この先、やっぱりこれで終わっちゃうとかでなくて、どう本当にサステイナブルなものにしていくかという。
 もう一つ気になっているのは、これまでは基本的に研究者が、自分たちが使いたいというモチベーションの上で装置整備をしてきたけれども、共用がどんどん広がっていったときに、どういうミッション定義をして、そういうことに携わる人たちをどういう評価をしてキャリアパスを作っていくのかというのは、ちょっとサイズが小さいうちはサイドワークでもいくんでしょうけど、そうじゃなくなってきているんじゃないかなと、本当にやろうとすると。
 そこが本当に、実際に携わってくれる人たちにとって、やっぱり生きがいのある、きちんと評価される形を作っていかないと、なかなかサステイナブルにならないかなという懸念をちょっと持っています。これも次の次か、その次の。

【佐藤主査】  そうですね。そこはまた鶏と卵の関係で、新しい価値、大きな価値を生み出せないと、なかなかキャリアパスが形成できないとかいうことになるので、そこは両方の課題だろうなという気はしますね。
 あと、田沼さんのナノプラットフォームの経験から、何かプラットフォームに対して、今やっているこういうことに対して、何か意見。

【田沼委員】  そうですね、大体一緒です。一つは、さっき出た利益相反というか、ああいう外部機関をどう使うかというのは非常に難しい問題です。特に問題になったのは、結局おっしゃっていたように、1か所の機関に集中させていいかということ。あれが完全にオープンでたくさんある会社が自由に使えるんならいいんですけど、1社と組み合わせるのは問題だという意見があります。
 あと、一つはデータの共用です。データベース化して公表するというのは、非常に皆さん、賛同はするんですけど、じゃあ、実際にどうするかというと、特にユーザーがいる場合、すごく難しい。ナノプラセンターが調べた限りでは、いわゆるいろんな計測は権利としては向こうがお金を払ったとしても、頼んだ方と測定した方ではフィフティー・フィフティーの価値、権利は持ちますが、実際問題、そうはいっても、やっぱりユーザーの方が強くなっているのが現状であり、非常にその辺のバリアが高い。
 あと、もう一つ、将来をどうするかというのは、ナノプラセンターを中心にして、今、考えているんですけど、やっぱり明確なビジョンが持てないんですね。結局、さっきおっしゃったように、基盤的であればあるほど、もう作ってしまった以上はやめることはできない。しかし、やめることはできないといって、全部の事業がカバーできるかというと、そうでもない。あとは、分野によって、共同研究がすごく多い分野と、本当に装置を貸すだけ、例えば半導体の素子を作るといっても、多分本当にもう装置を貸すだけ。
 そこで問題になるのは、貸して、本当はそのチップが1個か2個あればいいんだけど、実際には1万個とかできちゃう。1万個できたとき、商売しちゃいけないというと、残りはどうするんですかと、捨てるんですかと。それもあるし、あとは、そういうことができなくて、一品主義で、共同研究しかできないので、もう料金は高くすると来ないから、どうしても安くする。そうすると、そういう分野別の料金差が出てしまうので、そこをどういうふうに調整するか。
 事業全体としてはいいんですけど、一個一個を見たときに、そういうでこぼこ感がすごいんですね。そういうところで、今、将来構想を考えているところです。

【高橋委員】  今、データのお話も少し出てきたので、データのことについてちょっと今、懸念事項があることをお話ししたいんですけれども。
 分野によっても大分違うかとは思いますが、非常に大きなオンリーワンに近いところの施設を使って出てくるデータというのが、国のプロジェクトでやっていますと、それなりの予算で使って出てくるんですが、それが基本的、自分たちで使いたいというのはもちろん研究者だったらよく分かるんですけれども。
 やっぱり欧米、ヨーロッパやアメリカの方のことまで考えると、そのデータをコントリビューション、研究者それぞれの個人の立場でそこにコントリビューション、要するに持っていくというか、アップロードするとすると、ヨーロッパやアメリカのデータベースをちゃんと集めているところ、お金を出して、国家的にお金を出してちゃんと集めているところにどんどん日本の財産が流れていくというようなことまで少し私たちの分野では始まっていまして、あそこに行けば場があって、非常にいろんな方々と共用をできるような解析機器を、解析の場を共有できるような、そういったプラットフォームが実際あって、そこにどんどん来てくださいねというような誘い方を欧米ではしているんですね。
 そうすると、そこに行った方が研究も進むし、それから、自分のプレゼンスも上がるしという研究者個人個人の、やっぱり、何ていうんでしょうかね、インセンティブをかきたてるようなところもあるので、そこら辺のところが、日本としては、どういうふうにデータベース、あるいは、データのオープン化とか共有というものを進めていけばいいのかというのは、分野によっても多分違うかもしれませんけれども、ある程度、こういう大きなプラットフォームで出てくるデータというのをどう考えていくのかというのは、非常に今後考えていくことが必要なんではないかなというふうな気がしています。

【佐藤主査】  それはメリットがあるからでしょう。メリットが、自分たちの研究にメリットがあるから行くわけでしょう。

【高橋委員】  あるから行くんです。はい。

【佐藤主査】  そのメリットがあるものを日本の中に作らなきゃいけないのですよ。

【高橋委員】  作らないといけないと思う。

【佐藤主査】  それができてないということはもう事実なのですよ、そういう意味ではね。 日本の文化からすれば、秘匿主義というか、要するに、もう自分のやっていることはこう守るというね。

【高橋委員】  秘匿、その自分で持っているということで。

【佐藤主査】  そういう文化がすごく強いから、それはもう2年か3年したら、もう陳腐化するのだよね、自分の研究なんて、大体。


【高橋委員】  先生がおっしゃったとおりですね。

【佐藤主査】  うん。だから、それをオープンにするということをもう決めていかないと、多分駄目かもしれないなという気がして、一方で、日本としては、日本の国のデータが海外にどんどん、GAFAみたいなところでどんどん行っているじゃないかと。あれはもう大変な財産の損失だと言っているのだけれども、そういう仕組みを作っているから、行きますよね、みんなね。

【高橋委員】  行きますね。

【佐藤主査】  便利だから。

【高橋委員】  はい。

【佐藤主査】  それは日本でそういうのを作ってないからで、そこの仕組みをやっぱり作らなきゃいかんなと思って、さっきの臨床の質量分析装置なんかを本当にどうするのだと。それを、そのデータを、財産だから、それをうまく活用してオープンにして、日本の医療に貢献できるようにするという仕組みができれば、すごく大きな価値を生み出すのじゃないのという気がしたから言ったのですよ。何かそういう展開に何か持っていかなきゃいけないという気がするのですよ。
 次回の委員会までに、皆さん、考えてもらって、色々意見があると思うので、考えてほしいので、よろしくお願いします。
 もう一点だけ、じゃあ。

【知野委員】  研究者ではなくて、素人の目なんですけれども、最初このプロジェクトを聞いたときは、高額な装置を共用するというのは非常に面白いし、有意義ではないかと思いました。ただ、今回、読んでみますと、みんなが自立は難しいということを一斉に書いているように見えます。
 そういう中で、その装置の利用に関して何かもっと敷居を低くできないのか、つまり、こういうプロジェクトだけではなくて、研究者が使いたいと思ったときに使えるような、そういう仕組みを作りなど、ここに関わっているかどうかに限らず、使えるようにならないかなと思いましたというのが一つ。
 それから、装置というのはやはり老朽化していきます。補修や買い替えなどの事態になってくるときに、全部維持し続けることは難しいのではないでしょうか。今後は社会的意義とか将来性を見込んで選択していかなきゃいけない、それは大きな問題だと感じました。以上です。

【佐藤主査】  まさにそのとおりです。
 じゃあ、時間もないので、皆さん、多分、いろんな意見を今持って、今回の中間評価を踏まえて、いろんなことが今、沸き上がってきていると思うので、是非、意見をまとめて、事務局に送ってください。
 じゃあ、今後について説明お願いします。

【黒川課長補佐】  先生方、長時間、ありがとうございました。
  まず、今日記入いただいた評価票は机上に残しておいていただければ、事務局で回収させていただきます。
 次回の委員会は、12月26日水曜日、15時から17時で予定しています。案件が2点、一つが、本日の中間評価結果について、資料2の別紙という、プラットフォームごとの評価結果と全体の評価結果を御審議いただくというところ、これはまた改めて事務局の方で案を作成をして、事前に御相談させていただきます。
 もう一点が、科学技術・学術審議会の方でも、第6期の科学技術基本計画に向けた検討がスタートしておりますので、その辺りの状況も御紹介させていただきながら、また、今日の御議論も踏まえながら、更に議論を深めていただければと思っております。よろしくお願いします。

【渡邉課長】  そういう意味では、その後半の議論では、まさに共用といった部分がこの委員会に課せられた使命でありますので、全部結論までは出ないかもしれないですけれども、論点である課題というものは、次回、議論を是非熱心にしていただいて、次の委員会、また、将来的には科学技術基本計画などの政策文書につなげていければと思ってございますので、次回、更に御議論いただければと思っております。

【佐藤主査】  結構タイトなスケジュールで、第6期の科学技術基本計画に向けて、この分野をどういうふうにコミットしていくかということを議論する必要があるので、多分、回数が毎月1回ぐらいになるかもしれないのでよろしくお願いします。

【渡邉課長】  そういう意味では、ちょうどこの改訂の時期なので、この期のうちに、ある程度課題の洗い出しぐらいはしておいた上で、次の期にまたつなげていければいいかなというふうに思っております。

【佐藤主査】  じゃあ、そういうことで、ちょっと時間オーバーしましたけど、これで会議は終わりです。どうもありがとうございました。

【渡邉課長】  長い時間、どうもありがとうございました。

―― 了 ――



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科学技術・学術政策局 研究開発基盤課

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課)