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戦略的基礎研究部会(第5回) 議事録

1.日時

平成27年11月13日(金曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. 戦略目標及び研究開発目標策定プロセスについて
  2. 世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)について
  3. その他

4.議事録

【大垣部会長】
  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第5回科学技術・学術審議会戦略的基礎研究部会を開催いたします。
  冬が訪れてまいりましたけれども、本日は、御多忙のところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。
  では、まず、事務局より、配付資料の確認をお願いいたします。

【浅井室長補佐】
  配付資料については、一番上が議事次第となっておりまして、資料1-1と1-2、資料2-1から2-3までと、資料3、また、参考資料は、1から5までとなっております。さらに、議題2の関係で、黒木WPIプログラムディレクターより追加の参考資料としてNatureの「Nature Index 2015 Collaborations」の抜粋と、各国のResearch Excellence Initiative (REI)施策についてまとめた資料が参考として机上に配付させていただいております。
  欠落等ございますでしょうか。万が一、欠落等ございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお知らせください。
  なお、本日は、阿部委員、角南委員、長我部委員、片岡委員、小山委員、鈴木委員、柳川委員につきましては、欠席の御連絡を頂いております。
  また、事務局として、10月7日付の人事異動により、基礎研究推進室長が交代しておりますので、紹介いたします。

【斉藤基礎研究推進室長】
  基礎研究推進室長になりました、斉藤でございます。よろしくお願いいたします。

【大垣部会長】
  それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題ですが、まず、戦略目標及び研究開発目標策定プロセスについて、審議を行います。本日は、科学技術振興機構研究開発戦略センター(CRDS)から、津田憂子フェローにお越しいただき、諸外国における研究評価の例として、英国研究会議(RCUK)の研究グラントにおける「Pathways to Impact」の考え方について、御説明を頂きます。
  次に、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)について、審議を行います。本日は、WPIプログラムの今後の在り方について議論を深めるため、黒木登志夫WPIプログラムディレクターにお越しいただき、先月開催されたREI国際ワークショップ及びWPIプログラム委員会における議論の結果について、御報告を頂きます。なお、黒木プログラムディレクターは、別の用務のため、14時頃にこちらにいらっしゃる予定となっております。
  以上が、本日予定している議題です。質疑・意見交換は、事項ごとに行いたいと思います。積極的に御意見を頂くとともに、議事の円滑な進行に御協力をお願いいたします。
  それでは、最初の議題であります、戦略目標及び研究開発目標策定プロセスについて、審議に入ります。前回は、目標策定プロセスの更なる発展に資する観点から、現在JSTで実施している評価活動の実態及び実際の研究において戦略目標がどのように意識され、マネジメントが行われているのかについて、説明を受けて、議論をしたところであります。今回も引き続き、目標策定プロセスの更なる改革に向けての議論を進めてまいります。
  まず、事務局から、本日の議論の論点案を説明していただきます。その後、CRDSの津田憂子フェローより、英国における「Pathways to Impact」について、御説明を頂きます。
  それでは、事務局から説明をお願いいたします。

【斉藤基礎研究推進室長】
  資料1-1に沿って、簡単に御説明させていただきます。
  今、御紹介いただきましたとおり、戦略目標及び研究開発目標策定プロセスの更なる改革に向けてということで、前回に引き続き、今回も御議論いただきたいと思っております。資料にありますとおり、(1)の現在の評価活動の実態と(2)の研究マネジメントと評価につきましては、前回第4回のときに、JSTの戦略研究部推進部及びJST・CRDSの上席フェローに御説明をいただいた上で、委員から様々な御意見を賜ったという状態でございます。本日は、(3)の評価に関する国際的動向ということで、この後、津田憂子フェローより御説明いただきます英国の事例などを聞いていただいた上で、評価に関する様々な御意見を賜りたいということが、本日の位置付けになってございます。
  以上です。

【大垣部会長】
  ただいまの説明に関しまして、御不明な点、確認すべき点など、ありましょうか。
  よろしいでしょうか。
  それでは、ないようですので、早速、津田憂子フェローより、英国の「Pathways to Impact」について、御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【津田フェロー】
  皆さん、きょうは、お忙しいところをお集まりいただき、どうもありがとうございます。科学技術振興機構研究開発戦略センターの津田と申します。どうぞよろしくお願いします。
  私は、きょうは、「英国の研究評価における社会的・経済的インパクト」ということで、研究評価そのものではなくて、そこにおけるインパクトについてイギリスはどのように考えているかということを少し情報提供できればと思います。
  それでは、お手元の資料の2ページ目を御覧ください。まず、そもそもイギリスにおけるファンディング制度とはどうなっているのかというところを、最初に概略をお話しさせていただきます。主に研究のファンディングの流れは三つありまして、一つは大学に対するものですね。これは、高等教育機関、一番左下のところに書いてありますけれども、HEFCs(高等教育資金会議)から来ているものと、あと研究会議から競争的資金として大学が獲得しているもの、それからチャリティから来ているものということが、一つの大きな流れです。それから、真ん中のところですけれども、ここがきょうお話しする研究会議になるのですが、ここは日本で言うとJSTとJSPSを合わせたような機関でして、基礎から応用まで幅広く、大きなものから小さなものまで、研究のファンディングを行っていると。研究会議自身は、ファンディング機関でありながら、幾つかの研究機関は中に、傘下に自身の研究機関も備えています。これについては、次のページで詳しく御説明させていただきます。三つ目は、Innovate UK。これは、昔の名前は技術戦略審議会というもので、TSBと呼ばれていました。これは、日本で言うとNEDOに当たるものでして、基本的には産業界を中心にファンディングを行っているというものです。
  それでは、1枚めくっていただいて、3ページ目にお進みください。では、研究会議とは何かということなのですけれども、ここに書いてありますように、青色の英国研究会議協議会(RCUK)というものが取りまとめる形で、七つの研究会議があります。それぞれ分野ごとに分かれておりまして、バイオ・生物、医学、自然環境、芸術・人文、科学技術施設、工学・物理科学、経済・社会といったものに分かれています。星のマークが付いているものは、その傘下に自身が研究所を抱えているというところです。きょうお話しする「Pathways to Impact」は、上の取りまとめ機関、RCUKと呼ばれている機関が出したもので、この機関は、他の七つの研究会議が最良な形で連携できるように支援することが、一番の主目的としています。というミッションを持っていて、右の方に予算の配分を書いたのですけれども、一番多いのは工学・物理系の研究会議でして、実は、RCUKに流れているお金というのは、そんなに多くはないのですね。ほとんど少ないと言ってもいいぐらいで、ここでは、各リサーチカウンシルズの取りまとめ以外に何をやっているかというと、力を入れているのは、研究会議の横断型のプログラムはここで管理をして、やっていると。ただ、七つの研究会議自身もそれぞれ、いろんな研究会議、それから大学、先ほど述べましたInnovate UK等々と、あと産業界と交わりながら、かなりの確率でプロジェクトはコファンディングということで行われています。大体、研究会議自身の予算は、全てで年間30億ポンド。これは日本円で大体5,500億円ぐらいです。これが大体、公的資金として、毎年、国から出されていると言われています。
  それで、いよいよきょうの本題なのですけれども、4ページ目にお進みください。研究成果のインパクトということをイギリスはどう考えているかということなのですが、基本はやはり、イギリスは伝統的に、研究成果の卓越性、つまりエクセレンスを重視するということは徹底しておりまして、これはこれまで続いてきた評価の中でも最重要項目として位置付けられていました。イギリスは、例えばトップ1%論文等、トムソン・ロイターのデータを見ると、アメリカ、それから、今はちょっと中国に抜かれてしまいましたけど、次ということで、非常にアウトプットはいいのですね。ただ、インプットに関しては、下のところに少し書きましたように非常に、そこに投資しているお金は実は少ないと。アメリカの10分の1以下、日本だと5分の1程度しか、そもそもR&Dには出していないと。そうした中で、やはりどうしても、いい研究にもっと政府はサポートするということで、よりエクセレンスを重視する形で、例えば、ケンブリッジ、オックスフォードといった優れた大学、それから研究会議の一部にお金を集中と選択で選んで投資して、結果をということをこれまでやってきました。ただ、最近、財政的に非常に厳しいという中で、単にエクセレンスだけに投資していくのではなくて、そこから何かしらのインパクトを国としても得なければいけないという見解が出てきまして、そこで、例えば研究会議、それから高等教育資金がお金を配分する際の選定基準に研究のインパクトを含めるべきではないかという議論が出てきまして、これは実際に、例えば、HEFCs、下の方は去年から新しい評価制度(REF)が導入されまして、この基準の、アウトプット、インパクト、環境という三つの項目を立てているのですけれども、そのうちのインパクトに関しては全体の20%の比重を占めるということで、そこで社会的・経済的なインパクトということを重視して、それを踏まえた上で、国が大学にどれだけのお金を配分するかということが決められています。それから、きょうお話しするリサーチカウンシルズの方は、そうした評価の制度というわけではなくて、各個人の研究者が研究プロポーザルを出すときに、期待されるインパクトについて、必ず記述の中に入れなければいけないということが定められています。このインパクトについての調査検討、それから情報公開を行うという目的で、RCUKによって、ある意味これはステートメントなのですけれども、「Pathways to Impact」というものが5年前にできました。
  5ページ目を見ていただくと、じゃ、そもそもこの「Pathways to Impact」って何なのでしょうということなのですが、これはRCUKが主として大学関係者との間で協議した結果まとめたもので、プロポーザル、それから、それに対していいものにお金を出すというときに、やはりインパクトの要素を必ず踏まえろと。これを考慮しなければ、たとえエクセレンスにおいて非常に優れたプロポーザルにおいても、お金は出さないよということを明確に言っています。こう言っているのですけれども、じゃあ具体的にどういうインパクトなのですかということはステートメントの中では言及してなくて、これはプロジェクトごとに非常に特定的で、一般化されるものではないと。非常に柔軟性に富んでいて、先ほどの研究会議は分野別に分かれているというところも示しましたけれども、各研究会議によって非常にプロジェクトにも特徴がありますので、それによって将来あり得るべき研究のインパクトを変えていくということは許されています。こうした声明を7分野の各研究会議というのは同意しまして、我々も支持すると。必ず、申請の際には、この点については考慮に入れますと。
  ちょっと飛びますけれども、6ページ目の下のところには、ちょうど今年の4月1日以降、七つある研究会議のプロジェクト審査委員会で検討される全ての研究提案は、この「Pathways to Impact」の内容を必ず検討する、しなければいけないということが義務付けられたということです。
  済みません、もう一度、6ページの最初のところになりますけれども、じゃあ、この「Pathways to Impact」がもたらしたインパクトというのは、そもそも何なのでしょうかと。これは大きく四つほどありまして、研究者が勝手に自分の研究だけを考えていてはだめですよと。それは誰が使うかということと、ステークホルダーを必ず特定して、彼らとの積極的な連携の中で、プロポーザルにそこを盛り込みなさいと。また、そうした彼らが持っているニーズは何なのかというのを必ず具体的に検討していきなさいということですね。それから、研究のタイミング、人材、スキル、予算等々、そうしたものの様々な研究において重要な要素も必ず、それをプランニングする形で入れ込んでいけということ。それから、最終的には、研究成果のエンドユーザー、これは恐らく国民になると思うのですけれども、こうした者とのこれまでの既存の連携を取り込みつつ、プロポーザルに反映させなさいということです。
  済みません、7ページ目に行っていただいて、今、ふわふわした議論だけで分かりにくいかもしれないのですけれども、どういう分野、どういう事例においてこのインパクトを考えなければいけないかということで、リサーチカウンシルは四つの場面を挙げています。政策、ボランティアとチャリティ、産業界、パブリック・エンゲージメントですけれども、例えば政策だと、私自身、知り合いの研究者、ブラッドフォードに以前いた研究者が平和研究をそこでやっていたのですが、この「Pathways to Impact」は申請をするときには非常に考慮しなければならなかったとおっしゃっていて、具体的には例えばどういうことかというと、平和研究だと、彼らがある研究の成果でこういう提言を出したと。それを、例えばある国の政府が自分たちの平和の声明の中に盛り込んだと。その中で、その政府から更にこういうことを研究してくださいといってお金が彼らのところにおりてきたということは、一つの政策上に彼らが何かしらのインパクトを与えていることの成果で、それを例えばプロポーザルの中に入れて、より自分たちの研究が優れているというものをアピールすると。それ以外は、例えば、産業界といかに連携して、そうした社会的な成果というのが見込めるかというのを書くか、どうか。それから、イギリスは非常にチャリティによる研究開発の推進が盛んでして、そうした第三セクターとの関連性、協力の可能性について、プロポーザルの中で触れる。これは非常に社会的なインパクトの大きい一つの事例になっているというふうに指摘されています。最後はやはり、一般の大衆、国民と研究者との関わり。それは、日本でもおなじみの言葉ですけれども、パブリック・エンゲージメントという中で、この分野に特化した形でということで、幾つか例は挙げています。ただ、これは余りにも膨大にリスト化されていますので、これはホームページに行くと簡単に御覧になれますので、御関心のある方は見ていただければと思います。これは四つの分野の事例を挙げているのですけれども、ただ、インパクトということを考えた場合には、RCUKは2種類のインパクトがあるというふうに分類しています。
  それが8ページ目なのですけれども、一つは、やはりアカデミックなインパクトは考えなきゃいけないと。もう一つは、社会的・経済的なインパクトを考えなければいけないと。という中で、それを考えるための道筋として、オレンジのところは、例えば世界レベルの科学技術の前進を踏まえた上でとか、幾つかコメントが書いてあるのですけれども、そうした学術の前進に貢献し得るような研究をやっていくというところのインパクト。それからもう一つ、右の半分の方ですが、こちらは社会的・経済的なインパクトで、どのような道筋がそこにあるのかということが細かく書かれています。例えば、世界的な経済パフォーマンス、イギリスの経済的な競争力の強化等々、ここで最終的に導かれるものとしては何があるかということを少し挙げました。
  ここでRCUKの「Pathways to Impact」は終わりなのですが、最後、スライドが2ページ残っています。これは、国から一番たくさんの助成金をもらっているEPSRCにおける「Pathways to Impact」の取扱いということを御説明させていただきます。先ほど申し上げたように、そもそも「Pathways to Impact」というのは七つの研究会議を取りまとめているRCUKが出したステートメントでして、それは各研究会議が自分たちは守りますよと言ったのですが、そもそもそれぞれの研究会議にも独自の評価基準があって、彼ら自身も独自のシステムの中でプロポーザルは評価しているのですね。なので、必ずしもそれが義務として課せられているわけではなくて、例えば七つのファンディング機関があるとお考えいただいたらいいと思うのですけど、それぞれ七つの分野ごとのイギリスのファンディング機関が、そうした上からの声明を考慮しつつ、自分たちで独自にプロポーザルに関してインパクトの領域というのを決めていると。例えばEPSRCに関しては、研究から派生するものとして、社会、経済、人々、知識といったものがあるのではないかということを提示しています。この領域に関するインパクトをプロポーザルの中に入れていけと。プラス、先ほど申し上げたように、アカデミックなインパクトのパスウェイについても必ず言及しておけということを、プロポーザルの中の執筆の条件にしています。
  最後、10ページなのですけれども、実際にこうして出てきたプロポーザルを最終的に評価する場合、これはきょうの議論とは少しずれるので参考例とさせていただきましたけれども、例えばEPSRCの場合は、評価の基準としては三つの主軸を立てています。一つは、社会的・経済的なインパクトが実際どうなったかということを評価すること。それから、エクセレンス/能力が研究においてどうあるかということを評価する。最後は、研究のリーダーシップ性ですね。これを三つの柱として掲げています。このそれぞれの柱の中に更に細かくサブの基準を10個ほど設けていまして、例えば社会的・経済的インパクトのところを見ると、下のところに少し書きましたけれども、文化的、商業的、技術的な進歩を促すような、研究基盤と研究の使い手間の知識のやりとりの程度がどの程度だったか、そうしたものを幾つか程度に挙げて、実際の評価の際にはそれを見ていっているということです。
  きょうお話ししたのは、「イギリスの」と書きましたけれども、これはリサーチカウンシルの中のインパクトをどう捉えているかというお話なのですが、ただ、政府全体で見ても、やはり英国政府としてもインパクトを重視するというのははっきりと戦略の中に述べていまして、昨年12月に出た新イノベーション戦略の中でも、国としてイギリスの研究の効果的なインパクトというのを強めていくということで、至るところにインパクトの文言が出ていると言えますし、また、個人的に少し着目していますのは、最近、リサーチカウンシル(研究会議)の研究支援制度をもう一度見直そうという動きがイギリスの中でもありまして、今、王立協会の会長のポール・ナースさんが研究会議と一緒にインディペンデント・レビューを作成中で、その評価が出ると、またこうした評価におけるインパクトにおいて何らかの影響が出るのではないかというふうに考えております。
  以上です。

【大垣部会長】
  どうもありがとうございました。
  それでは、津田フェローからの御説明に対する質問や、それから先ほどの資料1-1の論点案について、御議論いただければと思います。御意見のある方は、お願いをいたしたいと思います。20分ほど、時間をとっております。よろしくお願いいたします。
  いかがでしょうか。どうぞ。

【有信委員】
  非常に興味深い話、ありがとうございます。ちょっとよく分からないのは、インパクトということの意味が余りよく分からないということなのですけど、つまり、評価のところも、インパクトを評価するのに「インパクトの程度」と書いてあったり、エクセレンスを評価するのにエクセレンスの評価、あるいはリーダーシップを評価するのにリーダーのと、こういう同じ言葉を繰り返して評価をしているので、つまり、そもそもイギリスの場合は、例えば、インパクトにせよ、エクセレンスにせよ、それぞれ、ある種の評価の指標というか、基準のようなものがあるのでしょうか。

【津田フェロー】
  全体でということですか。

【有信委員】
  いや、例えばインパクトというのは一体どういうことではかれるのかという。要するに、インパクトをはかるのにインパクトの程度と書いてあるものだから、よく分からない。

【津田フェロー】
  これは実は、イギリスの中でも、研究会議は7分野あると申し上げましたけれども、それぞれ、インパクトというのは自分たちで決めています。なので、例えば、ここは具体例として、最後は評価のことで書いたのですけれども、EPSRCは、社会的・経済的インパクト、我々はこう考えるというふうに投げていますけど、また別の、例えば人文・社会学系のESRC(経済社会研究会議)というのはまた違う指標を挙げていまして、それぞれの研究会議で、そこは統一性を図ってないのですね。なので、研究者は、自分たちはどこの分野に研究を出すかということで、その分野に特定されるインパクトを想定して書いていくということが、今、研究会議のプロポーザルではそういうふうになっているということです。

【大垣部会長】
  どうぞ。

【波多野臨時委員】
  波多野でございます。きょうの議論の中での今の御説明の位置付けなのですが、これは日本に比べて進んでいるので参考にしましょう、ということでしょうか?今御紹介いただいたのだったら、私個人的には視点を変えれば日本の方が進んでいるか、と感じますが、そういう位置付けできょうは議論をすればよろしいのでしょうか。

【浅井室長補佐】
  日本が必ずしも全て進んでいるというわけではないと考えています。イギリスにおけるインパクトを評価する手法は個別の研究の評価として、戦略創造の事業においてはよりよい目標を策定するものとしてという違いがあるのですが、今回、議論をお願いしたいと考えていましたのは、戦略目標を策定する際に当たって、イギリスで実施されている手法から何かしら取り入れることができないかという観点で御議論していただきたいという趣旨です。

【波多野臨時委員】
  そうしますと、最後の10ページ目に相当するものは、戦略目標の評価ではなくて、研究そのものの評価を位置付けられているのですね。

【津田フェロー】
  ええ。

【波多野臨時委員】
  本日の議論は、戦略目標の評価の仕方の一例を御紹介いただくということと認識していますが、研究の評価ではないですよね。

【浅井室長補佐】
  紹介頂いたのは、研究自体の評価です、実際、戦略目標を作るに当たっては、その研究がどういうふうなつながりを持つかというのを考えながらやっているのですけれども、その際に、こういう研究評価のやり方の道筋の作り方というものが、実際、戦略目標を作っていくときにフィードバックして、何か論点として、道筋として考えることができないかなということで、議論をしていただきたいと思っております。

【大垣部会長】
  津田さん、今のに対して何かコメントは……。

【津田フェロー】
  いえ、もう浅井さんが。

【大垣部会長】
  特にいいですか。
  ほかには。どうぞ。

【川上臨時委員】
  京都大学の川上です。質問は、「Pathways to Impact」の中でパブリック・エンゲージメントが書かれているのですけれども、実際にどうやって一般大衆からのインパクトに関する声を聞いているのかということを教えていただきたい。
  もう1点は、多分御存じだと思うのですが、イギリスは、国の研究費としては確かにインプットは少ないのですが、ウェルカム・トラストとか、幾つかの民間のお金が結構入ることによって、研究を実施していますよね。

【津田フェロー】
  ありがとうございます。1点目ですけれども、例えば、イギリスは、サイエンス・ミュージアムという大きな博物館がありまして、そこは単に博物館というだけではなくて、積極的にそこに市民を呼び入れて、科学技術を一般の人の言葉で分かるような形で説明を、定期的な形でワークショップを開いたり、子供も含め、そこで少し教育的なことをやったりということをしています。あとは、科学技術のそういう発信するセンターみたいなのもありまして、そこから本当に難しいことを軟らかく易しく言うということをやっていると。そういう例がありますので、例えばサイエンス・ミュージアムなんかは東工大とそうしたパブリック・エンゲージメントで非常に協力をしていまして、来月、英国大使館でそのセミナーがあるということですので、海外とも協力しつつ、一般大衆を巻き込みつつ、やっていると。
  二つ目の点は、まさにおっしゃるとおりで、イギリスはチャリティによる研究開発がアメリカと並んで非常に進んでいると。大体、研究開発の15%ぐらいはチャリティで賄われているというふうに言われています。それはもちろん御指摘のとおりで、ただ、少し分野が特化していまして、今おっしゃったようなウェルカム・トラストとか、英国キャンサー・リサーチなんかは、医療なのですね。チャリティは、アメリカは基本的に割と宗教関係のところが多かったりするのですけど、イギリスの研究開発はやはり医療が中心ということで、その他の部分も少しはあるのですが、そういった、ちょっとバランスが悪いということもあります。ただ、御指摘いただいたように、チャリティによる研究開発の推進ということでは、イギリスは日本よりは割合大きいのではないかと思っています。

【川上臨時委員】
  ありがとうございます。

【大垣部会長】
  ほかにはいかがですか。どうぞ。

【貝淵臨時委員】
  ちょっと違和感があったところがあったのでお聞きしたいのですけれども、これは個人の研究者が申請するときにこういうことを考えるということなのでしょうか。それは研究費のサイズによって全然違うと思うのですけれども、例えば、私がやっているライフサイエンスでは、イギリスのメンバー、ICRFなんかのメンバーだとそこの能力が非常に小さいので、とても個人で対応しているとは思えません。例えばCRESTでやるサイエンスであれば、これは十分考慮してやれるかなと思うのですが、イギリスはそういうのをどういうルールでやっているのでしょうか。

【津田フェロー】
  これ、実際にEPRSCの方に評価のシステムの話を聞いたときに、プロジェクトは非常に多岐にわたると。例えば、同じ物理科学の分野であっても、小規模のものから大規模な研究室でということを言ったのですが、それに応じて審査のアドバイザリー委員会のメンバーを変えて、やはり基準となるトピックを変えていくと。例えば、大規模なプロジェクトにはこういう点の条件を入れていく。そこは多分、個別に、プロジェクトを一つ一つ見ていかなければいけないと思うのですけれども、非常に柔軟性に富んで、例えば、プロジェクトの規模で変えていく、それから種類で変えていくというふうに、かなり柔軟に対応しているというふうには聞きました。

【貝淵臨時委員】
  これは自分の印象ですけど、例えば、イギリスの王立がん研究所ぐらいだったら、研究所単位では全てやっていると思いますけれども、個別の研究者は、10人以下のグループなので、とてもやっていないと思います。CRESTの場合も多分、一つのグループではとてもこれ全部は無理だと思うのですけれども、例えば、これを無理やり評価基準にすると、全ての人間が対応できないことになると思います。

【津田フェロー】
  これは一つの参考例ということで、イギリスではこういう形でということで聞いていただければと思います。

【大垣部会長】
  ほかにはないですか。どうぞ。

【小谷臨時委員】
  当然のことながら科学の研究は社会との関係をしっかり見ていかないといけないですが、社会へ影響を与えるまでにかかる時間という観点がとても大切ですね。これは申請時にプロポーザルの中に社会へのインパクトを書くということになっているのですが、その社会へのインパクトはその研究期間に達成することになっているのか、それとも、将来にわたってインパクトを与える、その、例えば、ファーストステップを行うというようなことなのか、また、研究期間が終わった後にフォローアップ的にそれが社会へのインパクトにつながっているかを、時間を追って追跡するのか。どのようにそれを評価されているのか、お聞かせいただきたい。

【津田フェロー】
  御指摘いただいた点、もっともだと思います。時間について個々のプロポーザルがどういうふうに書かれているのかというのをまず見るべきことかなと思うのですが、今回は大きな枠だけを書きましたので、ちゃんとしたお答えになっているかどうか分からないのですけれども、例えば、私が最後に例を挙げたEPSRCなんかはプロポーザルのときに、まず、研究自体が、例えば、2年で終わるのか、3年で終わるのか、どの期間でできるのかというのは、必ずそこに。それは当然ですよね。日本でもそのとおりですけど、その後のインパクトについては、どういったステージで、どういった形で出ていくかということを明記しろということは、書いてありました。ただ、フォローアップについては、恐らくこれはプロジェクトの内容にもよると思うのですけれども、そうしたフォローアップが必要なもの、あるいはそうでないものがあるとしたら、そこはやはり、プロジェクト一つ一つに差異があるのではないかと思います。ただ、済みません、一つ一つは今回見ていませんので、こうしたお答えしかできないのですが。

【大垣部会長】
  よろしいですか。
  じゃ、土井委員。

【土井委員】
  済みません、理解ができてないのですけれども、9ページと10ページのこれがよく分からないのです。9ページのところにはインパクトの4領域ということで四つ書かれていて、10ページのところでは、インパクトは社会と経済的になるのでソサエティーとエコノミーだけになって、エクセレンスとリーダーシップというのは、これとはまた別なのですよね。この関係と、先ほどから御質問のタイムスケールと、どれくらいの大きさのものを評価するかという話で、10ページの下のところに書いてあるのがものすごく大きな、研究者の流動性の程度とか、学術界とユーザー間の関係の程度とか、これは、ここで言う戦略目標で考えようとしても、一つの戦略目標だけでちょっとこれははかれないですよね。だから、EPSRCはいろんなプロジェクトを評価されていると言われたのですが、どれくらいの規模のものを評価されているかという、何か一つでも例がないでしょうか。これを使って、今、私たちが抱えている戦略目標とWPIを評価せよと言われても、済みません、全く規模が違い過ぎるような気がするのですが。

【津田フェロー】
  ありがとうございます。1点目についてですけど、9ページ目と10ページ目は、時間軸で言うと、9ページ目の方は、申請者がプロポーザルを書く、出す前に検討すべき領域として、インパクトは4領域ありますよということをEPSRCは言っていると。なので、EPRSCの競争的資金に応募したい研究者であれば、この四つの領域のインパクトを必ず網羅した形でプロポーザルを出しなさいということをEPSRCは、上のRCUKが出した「Pathways to Impact」に基づいて、彼ら自身がインパクトの4領域というのを定めているということで、申請する前の段階で研究者が考えておくべきことということが、9ページです。参考例として最後は付けたのですけれども、その後、プロポーザルが始まる、それから、中間、最後のあたりで評価をする場合の、EPSRCが考えている、これは必ずしも全ての、今おっしゃったように規模の問題とも関係してくるのですけど、彼らとしては大きく三つの主軸を設けているということで、社会的・経済的インパクト、エクセレンス、リーダーシップを評価する際に、これを柱として考えていると。なので、これは基準の問題なので、インパクトではない。つまり、プロポーザルで考えるべきインパクトとしては、彼らは9ページに挙げるようなものを提案してくださいと研究者に投げていて、さらに、それが終わった後、また途中の評価のときには、この三つの主軸にしてから、これだと物すごく大きいので、さらにサブを設けて、それでも物すごく大きいので、プロジェクトの規模によっては更にサブサブを設けて、段階を設けていっているということですので、済みません、きょうは10分ということでかなり大ざっぱな枠を出したのですけれども、流れとしては今言ったような形で、もちろん、今おっしゃったように、学術界とユーザー間の関係の程度って物すごく幅広いテーマですので、さらにそれを細分化した形で、じゃあ社会的・経済的インパクト、このプロジェクトに対しては、ここの部分はどういうふうに評価しようかということを、プロジェクトを特定して決めているということです。

【土井委員】
  ありがとうございます。そうすると、プロポーザルには書くけど、KnowledgeとPeopleというところは評価されないという理解でいいのですか。文科省だと、人を育成しますって書きますよね。だけど、評価するときには、育成したかどうかは問われず、ちゃんと育成するということに対してリーダーシップをとれたかとか、そういうのが問われると、そういうふうに見るのですか。

【津田フェロー】
  ただ、必ずしもここに書いてあるインパクトの4領域と評価の票が1対1で対応しているというわけではありません、イギリスの場合は。そこが少し複雑で、再度、評価するときの基準は、主軸はこの三つを置いているということは変わらない。ただ、これはEPSRCだけの基準ですので、ほかの研究会議の場合にはまた違った基準を彼らが設けていると。その中で、例えばリーダーシップのサブサブの項目の中に一つ人材育成に関するものが入っているというふうに、何らかの形でインパクトをそもそも4領域として設定したものは、評価の際には言及される形にはなっていると思います。

【大垣部会長】
  参考、これはあくまでも情報としてという。
  若山委員、お待たせしました。

【若山臨時委員】
  もう既に同じような質問が出ているので短くしますけど、最初は私、10ページの研究会議の評価システムという大きな字を見たとき、研究会議を評価するシステムかなというふうに思ってしまったのですね。でも、今お聞きしていて、前提が違って、いろんな御質問も出ているのだと思いました。ですから、サブのサブだという言い方もあったかと思います。
  それで、9ページにしても、インパクトの4領域、EPSRC、これは工学・物理というやつですね。これだけを見ていると、ほかの会議でもそれほど違わないようなことが書いてあるような気もするのですけれども、例えば下の「研究プロポーザルに特定の、想定されるインパクトを列挙」とか「学術的インパクトのPathwaysについての記述も重視」、これは抜くわけになかなかいかないような気もするのですね。そういう意味ではそんなに違わないように思うのですけど、いかがなのでしょうか。

【津田フェロー】
  おっしゃるとおりで、根本として、大もとの前提となる、考えなきゃいけない項目というのは、やはりどの研究開発も似たり寄ったりだと思います。ただ、例えば、バイオと社会科学、人文、それから、更にそれの施設というような、非常に多岐にわたる分野において、やはりプロジェクトの内容も非常に多岐にわたると。そうした中で、大枠のインパクト、例えば、Peopleということを、人材を載せたとしても、分野ごとに少し、書き方が必ず違ってくると思うのですね。なので、そこはやはりプロジェクト一つごとを見ていかないと何とも評価は言えないのですが、ただ、今おっしゃったように、どこも外せない重要な項目がやはり書いてあるということで、その部分ではかなりの重なりはあるのではないかと思います。

【大垣部会長】
  ありがとうございます。
  竹山委員。

【竹山臨時委員】
  もう少し踏み込んだ話をお伺いしたいと思います。評価後のフィードバックの仕方についてです。日本であれば、WPIというものをどう選定するか。進行中のものも含めて、評価のフィードバックの仕方、考え方にもかかわります。プログラムを立ち上げたのち、イギリスはどう評価をフィードバックしているのかに関して、もし御存じだったら、教えていただければと思います。

【津田フェロー】
  済みません、フィードバックについては、きょうはそこまでは調べておりませんで、今後の課題とさせていただければと思います。ただ、有益な御意見、ありがとうございます。是非、次回は答えられるようにしたいと思いますので。ありがとうございました。

【大垣部会長】
  どうぞ。

【浅井室長補佐】
  フィードバックの関係なのですが、5月にイギリスに行く機会があり、RCUKの職員と若手の研究者に話を聞く機会がありました。イギリスでは、研究のプロポーザルを書き、インパクトの部分が不十分な場合、その部分の書き直しをさせる仕組みがあり、それによって、研究者としては、インパクトというのはどう考えるのかを常に考えさせられ、研究を行うように方向付けられているような気がすると伺いました。

【竹山臨時委員】
  プロポーザル(申請書)はたくさん来ると思いますが、申請書の内容を指導して採択するということでしょうか?

【浅井室長補佐】
  そうです。例えば、方向性として、インパクトについてもう少しきちんと記載しなければならないなどと指摘されているとのことです。

【竹山臨時委員】
  例えばCRESTの申請書の評価をするときに、採択までは至らなかった場合、改善点を指摘して再度申請を促すことをよくいたします。今のようなことはあまり日本では聞かないですね。
お伺いしたいことは、採択するときの評価ではなく、研究がスタートしたときの評価に関してです。中間や事後評価を通常行いますが、個人へのフィードバックだけでなく、特にプログラム、領域への評価に関して伺えればと思います。例えば、CREST事業では、採択した個々の研究評価以外に、領域としての評価があります。うまくいかなかったら、そもそも戦略目標の立案があまり良くなかったということにもなるかと思います。それはここの中でどのように行われているのでしょうか。

【大垣部会長】
  中間評価みたいなときのフィードバックの。

【竹山臨時委員】
  そうです。

【大垣部会長】
  それはまた何かの機会に。

【宇川臨時委員】
  よろしいですか。

【大垣部会長】
  じゃ、簡潔にお願いします。

【宇川臨時委員】
  簡潔にしますけれども、ちょっと違った時点からの情報提供ということになるかと思います。この資料の2ページですけれども、本日はリサーチカウンシルにおけるインパクトの御紹介があったと思うのですが、5月に理由があってイギリスに行くことがありました。高等教育資金会議(HEFCs)の評価制度はREF(Research Excellence Framework)と呼ばれているようですが、そちらの方でのインパクトの中身について、少し勉強する機会がありました。HEFCsは、日本で言うと恐らく運営費交付金に対応するのだと思います。いろいろと面白い面があったと思うのですけど、インパクトに関しては定義が非常にはっきりしていて、大学の外へのインパクトだと。つまり、HEFCsのフレームワークでは、研究が進んだとか、そういうことはインパクトに入れない。なおかつ、非常に幅広にインパクトの範囲をとるのだと言っていました。
  やり方としては、ケーススタディーズと言っていましたが、各大学、6年に1回、REFをやっていますが、インパクトを与えたと言うのであれば、その具体例をケーススタディーズとして提出しなさいと。それには当然、インパクトを与えたことの証拠も、定量的なものもあると思いますけれども、全部書いて出しなさい。それが全部で7,000近く出てきたというふうに言っていました。それの評価は、ピアレビューで行う。学術的な成果の方はアウトプットと呼ばれていて、アカデミアで完全にやるのですけれども、こちらのインパクトの方は、弁護士さんとか、当然、企業の方々等もいらっしゃると思いますけれども、社会の人たちが入って行う。その評価基準自体はレラティブなものだと、担当者が明言していました。絶対的なものというのはないと。実施にあたっては、そんなことをやって意味があるのといった大変な議論があったようですけれども、やった側の言っていることなので少し差し引く必要はあるかもしれませんが、やってみて非常によかったと言っていました。担当者に聞くと、大学における研究がどこまで社会の中にインパクトを与えているのかということを、多数の例をピアレビューでしっかり見ることによってよく分かったというのが、非常によかったことだと言っていました。これから、このやり方というのはずっとやるのだろうというふうに言っておりました。
  以上です。

【大垣部会長】
  ありがとうございます。
  それでは、波多野委員、簡潔にお願いします。

【波多野臨時委員】
  先ほど強調された3ページ目の研究会議横断型のプログラムに関して、これの評価とか目標の設定というのを、日本はそこら辺が少し遅れているのかなと思っていますので、イギリスで進んでいるところがあったら、教えてください。

【津田フェロー】
  横断型プログラムは、今、6分野作っていまして、例えば、健康とか、食料安全保障等々、幾つか分野をリサーチカウンシルズが、単体の研究会議だけでは解決できないような問題についてRCUKが取りまとめ的に行って、3個、四つぐらいの研究会議が一緒に入る形で研究を行っていく。ただ、これは研究会議だけに閉じているわけではなくて、例えばそこに、これは優れている点かどうかは分からないのですけれども、アカデミーの人が来たり、あと産業界の人等々、いろんなセクターの方を巻き込みつつ、分野横断型、例えばバイオロジーであっても、人文学的な知見を入れて、そこでプロジェクトを進めていくということ。今、6分野、ちょうど作っているということです。分野設定はもちろん、RCUKが取りまとめて、行っていると。

【大垣部会長】
  よろしいでしょうか。ありがとうございます。
  ほかになければ、時間も来ましたので。
  それでは、どうもありがとうございました。次回以降の審議では、今回と前回の議論を踏まえ、戦略目標等の策定プロセスの更なる発展のために、戦略的基礎研究部会として行うべき点はないかという点について、議論をしていくことといたします。
  津田フェロー、どうもありがとうございました。
  続いて、世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラムについて、審議を行いたいと思います。WPIにつきましては、第1回から第3回にかけて、議論を行ってまいりました。その議論を踏まえた論点については、資料2-1のとおりであります。その後、東京大学Kavli IPMUへの視察とWPIプログラム委員会の後、議論を再開することとしておりました。視察の概要については、参考資料として配付させていただいております。10月14日から16日の3日間にわたり、REI国際ワークショップ及びWPIプログラム委員会が開催されまして、WPIプログラムの今後の在り方についての議論が行われました。その結果につきまして、本日お越しいただいております黒木プログラムディレクターより、御報告を頂きたいと思います。
  それでは、黒木先生、よろしくお願いいたします。

【黒木PD】
  日本学術振興会においてWPIのプログラムディレクターをしている、黒木でございます。きょうは、紹介する機会を与えていただき、ありがとうございます。
  まず、資料2-2を御覧いただきたいと思います。今お聞きしますと、既に3回にわたりこの会でWPIのことを議論されているということで、皆さん、非常によく御承知だと思いますけれども、お話ししたいと思います。
  2ページ目ですけれども、これは、現在走っております九つのWPIの拠点について、分野別にまとめたものであります。一番左側に、宇宙・地球・生命の起源に関する、二つの研究所があります。そのうちの一つは、この前訪問していただきましたkavli IPMU、東京大学柏の葉キャンパスにある拠点であります。それから、2012年にWPI Focusというカテゴリーとして創られたのが、東京工業大学にありますELSIというところであります。この二つは、宇宙・地球・生命の起源ということで、イノベーションとかアプリケーションには直接結び付かない分野であります。しかし、我々は、この三つの分野というのは、多くの人の知的好奇心を満足させるようなテーマを研究していると思います。宇宙とは何か、地球はどうしてできたのか、生命はいつ誕生したのかといったような問題をやっている。そういう意味で、アプリケーションやイノベーションには直接関係ありませんけれども、国民の知的好奇心というものを高めて、結局、それが基になって我が国のサイエンスが育っていくのだろうと思っています。そういう意味で、我々、この二つは非常に重要な拠点だと思っております。
  残りの七つの拠点は、生命科学とマテリアル・エナジーにまたがっております。生命科学としては、大阪大学の免疫に関するiFReC、2012年できましたのは、筑波大学のIIIS、睡眠に関する研究所です。京都大学のiCeMSというのは、マテリアルと生命科学の両方にまたがっております。名古屋大学のITbMという研究所は、世の中を変えるような(トランスフォーマティブ)生理活性分子を作ろうということで、化学と生命科学にまたがっております。マテリアル・エナジーの問題としましては、東北大学のAIMRで、きょうは小谷先生がここにいらっしゃいますけれども、数学によるマテリアルサイエンスを新しく作ろうとしているところです。それからMANAは、物材機構の研究所でして、ナノテクノロジーの研究所です。I2CNERという九州大学の拠点は、民主党政権のときのグリーンイノベーションという政策に基づいて創られたもので、カーボンニュートラルエナジーに向けてのいろいろな、水素問題とか、燃料電池などの研究を行っております。
  WPIは、創設当時から四つのミッションを掲げております。1番目は、言うまでもなく世界最高レベルの研究を進めることです。2番目に、WPIが非常にユニークだと思いますのは、融合研究によってブレークスルーあるいはパラダイムシフトを創出して、新しい科学の領域を開こうということであります。それから3番目に、世界に開かれた国際的研究センターを設立するということ。そして4番目に、研究組織の改革、大学の改革、あるいは研究文化の改革の一つの核となっていく、いわば大学の中の特区というような形でWPIを作っていき、それによって大学自身が変わっていくということを期待しているわけであります。
  その四つのミッションのうちの幾つかについてお話ししますと、トップ1%論文の比率は、これは2007年から2013年までの論文を昨年トムソン・ロイターにお願いして分析したものでありますけれども、トップ1%の論文が、五つのWPI拠点、つまり、2007年に選出されて、それから7年間にわたった研究の成果は、ロックフェラー大学、MITに続いて、3番目の位置に付けております。これは非常に高い数字であります。
  それから、2番目の融合研究については、パワーポイントは用意しておりませんけれども、これは戦略的な融合あるいはボトムアップ的な融合の二つのアプローチがあると思っています。戦略的な融合としては、小谷先生の数学と材料科学のように、研究所として新しい戦略を立てて、それに向かって進むというものです。それからもう一つは、ボトムアップ的な融合というものがあると思います。ボトムアップというのは、大学院学生とか若い研究者とかがフリーにディスカッションをしながら、そこでお互いにインスパイアしながら新しい学問を生み出そうというものであります。
  本日、机上配付として、『nature』プリントがお配りしてあります。実は、これはけさ村山先生からメールで送られてきたもので、ちょうどきょうの会議にタイミングよく届いたものですから、お配りしました。ここにあります写真は、Kavli IPMUのお茶の時間です。ここでは、毎日3時からティータイムを設けて、物理学者、数学者が黒板の前でお茶を飲みながら議論をする。ここに字が書いてありますが、タックスペイヤーはお茶代を出すということは快く思ってないだろうけれども、しかしそれは非常にやる価値があるのだということを言っています。お茶菓子は別に研究費で買っているわけじゃありませんで、近くのボランティアの方が届けてくれるお菓子だそうです。そういうことで、ブレークスルーとパラダイムシフトに向けて融合研究を行っております。
  それから、もう一つ大事なことは、世界に開かれた国際的な研究センターを創ろうということで、現在、このパワーポイントの右側にありますけれども、WPI拠点の外国人PIの比率は31.6%です。これは、我が国の大学が4~5%というのに比べますと、ほとんど8倍ぐらいの高い数字になっております。拠点に常駐する外国人PI、100%そこで研究するPIというのは、ELSIの場合は、19人のPIのうち4人が、アメリカから、アメリカのポジションを捨てて、東工大のこの拠点に移ってきております。それは、ELSIに生命科学と地球科学の二つを融合するという、非常に魅力的な研究環境が整っているからということです。PI以外の外国人研究者は、ポスドクを含めますけれども、全部で41.4%です。WPI拠点は、ポスドクにとって誇るべき研究機関となっております。例えば、Kavli IPMUの場合は、43人のうち41人が、CERNとか、プリンストンとか、京都大学、東京大学などの有名な研究機関にポジションを得ております。つまり、WPIの研究機関拠点は世界のグローバル・ブレイン・サーキュレーションの中に完全に位置付けられているということを強調しておきたいと思っております。
  WPIは、最初の募集要項の中で、支援期間は10年である、しかし卓越した成果を上げた拠点は更に5年間の延長があり得る、ということを書いております。この方針に基づきまして、昨年のプログラム委員会でWPIの2007年の拠点が更に5年の延長をできるかどうかということの審査をいたしました。そのときに、五つの拠点は全て、プログラムの要求するワールド・プレミア・ステータスに達しているということを認めました。そして、WPI拠点は国際的な頭脳循環のハブになっている。しかし、新しい拠点を加えて代謝を活性化してWPI拠点全体を活性化することは必要であろうということが、議論されました。トータルの予算が変わらないのであれば、そのための予算のスペースも作らなければならないということもありまして、5拠点のうちの1拠点だけ、Kavli IPMUだけが2021年まで延長することになったわけです。したがいまして、残りの四つの拠点、AIMR、iCeMS、IFReC、MANAは、2016年度で支援を終了することになります。
  WPIの場合は、拠点側が終了後もちゃんと拠点を維持するということを最初から約束しております。そのことは、毎年のプログラム委員会に、ホスト機関の長、総長先生などに来ていただきまして、確認しておりました。今回、四つの拠点が終了することになりましたが、今年のプログラム委員会でも、四拠点の総長は、ちゃんと維持しますと約束をしてくれました。研究者、ポスドク、研究スタッフのポジションを用意する。施設の維持のための費用を、大体6億円ぐらいまでだと思いますけれども、用意する。そして、ホスト機関の組織の中にWPI拠点をパーマネントの一つの組織として組み込むということを言っていただきました。しかし、それに加えて、ホスト機関長としては、国際的拠点を維持するためには、ある程度の支援が欲しいということを要望されました。このようにホスト機関の長がWPIを維持するということを宣言しましたのは、これまでの拠点形成プログラム(次ページ)が維持できなかった事実と非常に対照的であります。
  文科省による拠点形成プログラムとしては、1990年代にいわゆる新プロというのがありました。その後、最初のCOEが1995年からそして、スーパーCOE、21世紀COE、グローバルCOEと、COEがずっと続きます。その中にあって現在でも続いているのは、先端融合領域のイノベーション拠点です。こういう拠点形成事業というのは、拠点の支援が終わった後もきちんと大学あるいはホスト機関が支援するというのが、原則になっております。しかし、残念なことにCOEは必ずしも後に残っておりません。WPIの一つの理念というのは大学が終了した後もきちんとそれを維持するということでありまして、その約束がここに確実に実行されようとしているわけであります。
  そういう中にありまして、今年10月のWPIのプログラム委員会は、リサーチ・エクセレンス・イニシアチブ(REI)は世界中あちこちで行われておりますけれども、その人たちを集めまして、ワークショップを開きました。きょうテーブルにお配りしてあります『nature』の記事も、WPIをREIとの関連で取り上げております。、この記事にありますように、REIは、ボーダーとバリアを越えて新しい研究を進めるというものであります。2ページ目に、日本、中国、ドイツ、チリ、オーストラリアのREIの拠点が描いてあります。REIを作り、そしてサイエンスを進めるということは、世界の一つのトレンドであると言ってもいいと思います。昨年、OECDは、このページの右側にありますように、「Promoting Research Excellence」という報告書を出しました。この中で、WPIプログラムはREIの一つのロールモデルとして、紹介されております。
  10月14~16日、ちょうど1か月前ですけれども、プログラム委員会におきまして、ドイツ、フランス、イスラエル、カナダ、米国、英国、それからドイツのマックスプランク、北京大学から招待しまして、世界のREIがどうなっているかという議論をしたわけであります。それぞれのREIは、それぞれの国の抱える問題を解決するために、非常に特徴的な運営がされております。その後でプログラム委員会が、10月17日の最後に、長い議論を経て、WPIをどういうふうに今後続けていくかという結論を出しました。9ページは、それの仮訳であります。なお、WPIは全て公文書を英語で出すというのを原則にしておりますので、原文は次のページに書いてあります。
  『WPIプログラムの継続。2007年度拠点は、科学的業績においても、WPIミッションの実行においても、“World Premier Institute”を樹立した。WPIプログラムはミッションと支援スキームを再設定し、継続するべきである。支援スキームというのは、例えば、サイズとか、期間とか、そういういろいろな形をもう一回考え直そうということであります。2014年度プログラム委員会で同意されたとおり、WPIプログラムは拠点の“代謝“によって、さらに推進されるべきである。』
このことは既にこの委員会でもコンセンサスを得ていると、聞いております。そのために、2017年度には新たなWPI拠点の公募を実施するべきである。これが最初の、WPIプログラムの継続に関する、プログラム委員会の一つの結論であります。
  2番目の結論は、補助金期間終了拠点に対する支援をどうするかです。その仮訳を読み上げますと、
『ホスト機関長は、施設、研究者ポスト、拠点運営費の供与など、ホスト機関の努力により、WPI拠点を持続することを約束した。WPI拠点が達成した卓越性に鑑み、補助金期間終了拠点に対し何らかの研究資金スキームを整備し、WPIブランドを維持することを、プログラム委員会は推薦する。WPI基準を満たした拠点によって構成される“WPI AssociationまたはWPI Academy”システムを樹立することを推薦する。これらのWPIセンターは定期的(例えば3年毎)に、WPI基準に沿って、活動状況を評価されるべきである」
という推薦が出ております。
  最後に、プログラムディレクターとしての一つの提案をここにさせていただきたいと思います。まず、私の立ち位置を明確にしておきたいと思います。これはスライドの17ですけれども、今、左の下に戦略的基礎研究部会があり文科省にWPIの今後について推薦をされるということを聞いております。来年の春には、文科省はそれに基づいて概算要求をすることになります。そのための考え方をプログラム委員会がまとめるわけです。そのプログラム委員会に対して、私はプログラムディレクターとしていろいろな提案をすることをしております。同時に、REIのワークショップで学んだことも入れて、プログラム委員会が戦略的基礎研究部会と文科省に提案するわけです。
  次の2枚のパワーポイントは、プログラムディレクターとしての私案です。まず、長期計画としては、第1期の10年、第2期の10年とするのはどうだろうかということを提案したいと思っています。第1期の10年が終わると第2期の10年が始まります。、2017年には四つの拠点が終了しますので、ある程度、お金の余裕ができますので、新しいWPIセンターを公募します。そして、2022年には、Kavli IPMUも終了しますし、Focusの現在走っているのは全て終了しますので、予算の余裕ができますので、新たなWPIの拠点を公募するということはどうだろうかと思っています。
  こういうふうにしていくとどんどんWPIが増えていってしまうのではないかということが、御心配かと思います。規模とか、サイズとか、大学の負担を考えますと、日本で作れるWPIの総数というものは、僕は15から20ぐらいの範囲だろうと思っています。ですから、第2期でそのくらいの数ができましたら、後はメンテナンスということになるのではないかと思います。
  最後に、支援の必要性について、プログラムディレクターとしての提案を申し上げます。今、WPIはホスト機関の支援に移ろうとしています。ちょっと青の色が薄くなっているというところを注目していただきたいのですけれども、6億とか7億になりますので、現在の半分ぐらいになるかもしれません。しかし、現在の大学の置かれている状況を考えますと、例えば運営費交付金は10年で10%減少しています。消費税は上がろうとしております。電気代は、大地震以来、25%以上増加しております。特に大学にとって、割引の電気代を取ってもらっているわけですから、40%以上の上昇になっております。輸入品は、円安によって値上がりし続けております。非常に苦しい中で、大学としては、教育に優先権を置いて、学生を教育しなければならないということがあります。したがいまして、国際化というのは後回しにされがちです。そういう中で、政府の何らかの財政的な支援がなければ、国際頭脳循環のハブであるWPI拠点を維持することはできなくなるのではないかということを、非常に恐れているわけです。私としては、ここまで世界の代表となるようなREIとなったWPIを何らかの形で援助するということを是非お考えいただきたいと思います。もちろん、それを決定するのは政府であり文部科学省でありますけれども、その文部科学省の決定はこの委員会の推薦・示唆によって決まるものだと理解しております。そんな大きい、今までと同じような十何億なんていう予算を考えているわけではありませんので、その10%とか、その程度の予算でも多分、国際的なグローバル・ブレイン・サーキュレーションのハブとしての維持は十分できるものだと理解しております。
  以上、私から、WPIについて説明させていただきました。

【大垣部会長】
  ありがとうございました、黒木先生。
  この後、少し事務局から追加の説明を頂いて、その後、審議に入りたいと思います。

【斉藤基礎研究推進室長】
  資料2-3を御覧いただきたいと思います。今、黒木WPIプログラムディレクターから御説明いただいたのですが、黒木WPIプログラムディレクターの御説明と本部会できょう御議論いただくことの関係、今後のスケジュールについて、簡単に全体像を御紹介させていただきます。
  一番上にありますとおり、10月14日から16日にWPIプログラム委員会が開かれました。内容につきましては、今、黒木WPIプログラムディレクターから御説明いただいたとおりでございます。それを受けて、きょうこれから御議論いただくという位置付けでございます。我々といたしましては、先ほどプログラム委員会の結論にもございましたとおり、今後、平成28年度で4拠点が終了するということを受けまして、新規の拠点公募をどのようにやっていくべきかというお話と、支援が終了した4拠点について、その活動のアクティビティーといいますか、位置付けをどのように維持していくべきかというお話と、大きく二つの論点があるだろうと考えております。それらを含めて、WPIの2期計画といいますか、今後の基本的な将来構想案を来年の概算要求に向けて考えていく必要があると考えております。それぞれ、新規拠点の公募につきましては、今後、関係者からの意見聴取や、様々な議論を行っていきたいと思っております。既存拠点の支援につきましても、具体的に、今までどのような財政構造でやってきたか、どのような支援が考えられるか等、まず基本的な考え方を年内を目途にまとめていきたいと思っております。もちろん、本日の御議論も参考に、考え方をまとめていきたいと思っております。年明けの次の本部会において、その基本構想のたたき台のようなものについて御議論いただく予定です。また、WPIプログラム委員会の日本人作業部会も年明けにございます。そちらでまた様々な委員等の御意見を頂いて更に中を具体化させていきまして、来年の3月の本部会で更に御議論いただき、6月頃の部会で文科省として考える基本構想のたたき台のようなものを決めていただきたいと考えています。それを受けて8月末の概算要求で次の新しい形のWPIを要求していくというのが、今考えております全体のスケジュールでございます。
  以上でございます。

【大垣部会長】
  ありがとうございました。
  それでは、審議を行いたいと思います。プログラム委員会から文部科学省へ示された提言も踏まえ、資料2-1にまとめられております論点について、追加で検討すべき項目や各論点についての具体的な御意見を頂ければと思います。全体として40分ぐらいの時間を想定しておりますが、御質問、御意見のある方、いかがでございましょうか。
  どうぞ、有信委員。

【有信委員】
  WPIについては今までもいろいろ議論をしてきていますけれども、基本的に、WPIが成功であるということに対しては、誰も異論はない。ただし、成功も、いろんな要素に分解して考える必要があると思っています。一つは、WPIの制度設計あるいはシステム、これは従来の日本の大学のシステムと大きく違っていて、それが新たな研究の形を作り出した。これが結果的にすばらしい研究成果に結び付いているという部分があるわけですね。
  それからもう一つは、すばらしい研究成果がいろいろ出てはいますけれども、基本的に同じ研究内容・同じ目標が10年以上続くというのは本当に正しいことなのか。つまり、常に環境も変わってきますし、もちろん研究内容によってそれぞれ違いはありますけれども、常に研究の目標とか、やることは変わってくる。これは許容されなければいけないということと、それが効果的にいい成果を出すというシステムと、これを多分併せて考えなければいけないので、支援をするにしても、同じ内容の支援を延々としていたのでは固定化してしまう。それから、WPIのシステムが例えば大学に吸収されてしまうと、これが従来の日本の大学の研究システムの中に埋没してしまうと、本来、WPIが持っていた良さというか、ボーダーレスで様々な、例えばIPMUのような、ああいう在り方が例えば東京大学の通常の研究システムの中で成り立つかというと、成り立たないのですね。ですから、そこはよく考えて、ああいうシステムにいわばシステム改革をしていくという視点が非常に重要だと思います。したがって、支援の仕方も、そういうシステムがいわば大学の研究システムとしての主流になっていくような、そういう支援の方向にするということと、もともと同じ内容の研究テーマを支援するという支援の形ではない方向に持っていくことが重要ければと。追加に新しいWPIを募集するときも、基本的にはシステム改革ということを継続的に進めるという視点だろうというふうに私は思っていますので、その辺を議論していただければと思います。

【大垣部会長】
  ありがとうございます。
  特にコメントはありますでしょうか。お願いします。

【黒木PD】
  この前、延長評価のときも、延長したときに何をするかという、新しいプロポーザルを受けました。そこで一つ、一番大きな評価基準というのは、新しいものにチャレンジするかということであります。したがって、免疫の研究室が循環器に突然変わるということは絶対あり得ないわけなので、同じ中でどういうふうに新しいチャレンジをしていくのかということを考えていくことだろうと思っています。例えば、今まで基礎免疫学だったのが、臨床の方に、ワクチンの方に行くとか、そういう方向の転換というのは、当然あると思います。10年というのは、先生おっしゃるように、かなり長い時間でして、その間に中も外も変わっているわけですから、それに合わせて新しいものを作っていくということを、今度、ただ支援するだけじゃなくて、そこでちゃんと次に何をやるかということを出していただいて、それのチャレンジの内容の評価で、もしチャレンジがないようだったらどうするかというのは、そこのところで打ち切るのか、お金を減らすのか、そういうことはいろいろ考えなければならないと思いますけれども、チャレンジということを非常に重要視したいと思っております。
  大学に埋没するというのは、大学の中の一つになってしまうといろいろ新しいことをやらなくなるということは考えられますので、それは、今やっているPD・POシステム、あるいは、評価システム、サイトビジットというものを、1年に1回ということはないと思いますけれども、先ほど言いましたように2年とか3年に1回行って、きちんとそれをモニターする、それで評価していくという体制は、整えなければいけないと思っています。

【大垣部会長】
  ありがとうございます。
  それでは、西尾委員。

【西尾部会長代理】
  今、有信先生の方から10年ということに関してのコメントがあったのですけれども、私は、10年ということに関してはポジティブに捉えております。どうしてかと言いますと、WPIの申請におけるおのおののプログラムは相当野心的なテーマでありまして、達成するにはバリアの高いものを設定しております。それが黒木先生のおっしゃるチャレンジであるとしたら、相当高いレベルのチャレンジ目標を掲げて、プログラムが推進されてきたと思います。私自身も現場にいて、もともと目指していた目標が10年間という中でどんどん消化されてきて、後半、特に七、八年たった頃に達成されつつあります。特にこのWPIではインターディシプリナリーな領域の開拓を求めておりますので、どうしても10年ぐらいはかかってしまうとも言えます。別の見方をすれば、10年という期間において、世界トップレベルの新たな融合領域の分野が開拓されたとしたら、それは大変大きな成果であるのではないかと私は考えております。
  また、今回、黒木先生の委員会の結論として、「補助金期間終了拠点に対し何らかの研究資金スキームを整備し」と記述いただいておりますことは、特にWPIのブランドを維持するという観点からも私自身は歓迎いたしております。もちろん、大学内において自助的あるいは自律的にWPIを継続するということに関しましてはお約束として推進しますけれども、政府としてもWPIの重要性に鑑みて何からの支援をしていただけますと、大学サイドにとりましては、大層なインセンティブになります。さらに、WPIそのものを一層発展させ、ブランドイメージを維持向上させるための実際的な経費確保という観点からも、非常に重要なものだと考えておりまして、このような結論を出していただいていることに関しましては感謝をいたしております。
  とりあえず、以上です。

【有信委員】
  済みません、ちょっと論点がずれないように……。

【大垣部会長】
  どうぞ、有信委員。

【有信委員】
  私、別に10年が長過ぎると言っているわけではなくて、もちろん、10年間ということで来て、成果が今挙がっているということは、みんなが認めていることですし、時間がかかるということは分かります。だけど、次に考えるときに、同じようにまた延々と続けるという、こういう視点の考え方ではやっぱりまずいということと、それから、分野ごとに多分タイムスケールは違うので、競争的環境に移ったときにそのタイムスケールを同じような感覚で考えるのも多分議論の対象になるということなので、済みません、ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが。

【大垣部会長】
  小谷委員。

【小谷臨時委員】
  今、有信先生がおっしゃられた観点は非常に大切です。何度もこの委員会で繰り返されているのでもう誤解はないと思うのですが、WPIプログラムは研究プロジェクトではない。普通のほとんどの研究資金というのは、リサーチプロジェクトであり、ある研究者が予算を獲得しその研究者の研究を推進するためのものですが、WPIプログラムはそうではなく、研究所を創るものためのものです。特にシステム改革がミッションとなっています。
  システム改革の中で、私が一番魅力的であると思っており、また大学に継続支援を求めるときに総長に申し上げたことは、フレキシビリティーがあるということです。東北大学のAIMRは材料の高等研究所です。すばらしいシステムと世界的な環境をWPI補助期間に構築しました。しかし、そこで行う研究に関しては、そのときの世界の研究動向、大学の持っているビジョンに照らし、その時々の最適な研究をできるような柔軟性を持つ組織です。メンバー総取り替えも可能です。これは、今の大学のシステムでは絶対できないので、維持すべきであるというふうに総長に申し上げました。実際、AIMRは、最初の5年で研究戦略を大きく変えました。機構長も変わりました。ニューディレクション、ニューディレクター、ニューメンバーと言っていますが、10年たったプログラムですが、PIの平均年齢はほとんど変わっていません。つまり、ほとんどが入れ替わっているということでございます。こういうことができることがWPIのシステム改革の中で最も魅力的だと、私は思っています。
  ですので、有信先生が言われたことは非常に大切で、WPIプログラムを継続するといったときに、何を継続するかといえば、そこでやっている研究を維持するのではなく、WPI研究所をどのように維持するかという観点で御議論いただければと思います。

【有信委員】
  ありがとうございます。そういうことです。

【大垣部会長】
  ありがとうございます。
  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【土井委員】
  ちょっと気になった点がありまして、スライドの2ページのところで御説明いただいたときに、IPMUとELSIは知のためにやっていてイノベーションではないというお話もあったのですが、私は、例えばIPMUであれば物理と数学のところから何か新しい基礎的なイノベーションは生まれると思っているので、そこはちょっと違うのかなあと思ったというのが、1点目です。
  2点目は、拠点の在り方なのですが、6ページのところの文科省による拠点形成プログラムって、確かに今見えなくなっているものがありますけれど、でも、それはそれぞれの大学が学科とか学部の構成をリストラクトするためにこれを使われているので今は見えなくなっているというのは当然で、それとは違うのがWPIなので、そういう意味で6ページにある拠点形成プログラムとWPIを比べるというのは違うのかなあと。6ページは研究をするための拠点の話であり、WPIは、今お話があったように、拠点自身を創る、融合するという拠点を創るということなので、ちょっと比較するのは違うのではないかなあと。逆にWPIは、継続するときに、いわゆる大学の体制の中に取り込まれずに拠点としてどうやって残り続けるかというのは、すごくエネルギーが要ると思うのですね。だから、そこは、確かに資金的な援助というのも必要なのだと思いますが、拠点長、機構長がずっと10年やり続けて、またその後10年やり続けなさいというのはすごく大変だと思うので、はっきり言って、そういうことをやり続けられる拠点長に係るのだと思うのですね。だから、そういう方がいらっしゃればいいのだと思うのですけれども。ですから、テーマとしては多分、今、2ページにあるマッピングとは違った形で残るのだと思いますが、拠点自身は例えばAIMRを使っているけれども、でも、やっている内容は違います、拠点長も違いますという形になって、ですから、もしかすると全部入れ替われば新規のWPIとして応募するということも可能なのではないかというふうに私は理解しているのですけれども、もしその理解が間違えていたら、教えていただきたいのですが。

【黒木PD】
  2ページのIPMUとELSIであえて知的好奇心というのを強調しましたのは、もしかしたらここでアプリケーションとかイノベーションに関係ないのではないかと怒られるのではないかと思いまして、そのときの言い訳のために知的好奇心というのも大事ですよということを言ったわけで、もちろん全てのこういう科学の技術というのはいろんなところで応用が可能です。例えばカミオカンデのホトニクスの技術というものはいろんなところに応用が可能であるということは、当然です。
  それから、文科省による拠点形成プログラムのうちの、例えば21世紀COEとかグローバルCOEというのは、教育に関する拠点だったわけです。研究拠点とはちょっと違うわけなので。もちろん、この全てが残っていないわけじゃないです。大学によっては、非常に大事に育てているところがたくさんあります。だけど、全体として見ると、やはり何も残ってないということをいろんな方から言われておりますので、それに対してちゃんと我々はやるのだということを証明するということで、きょうお話を出したわけです。

【大垣部会長】
  竹山委員。

【竹山臨時委員】
  小谷先生のお話は非常に具体的だったと思います。WPIにはいろいろな拠点があり、組織の状況、システムも違うと思いますので、プログラム終了後に求めることも異なるかと思います。ですので、資料には余り具体的なことはお書きになれなかったと推測します。支援の必要性のところを見ますと、5.までは問題点を提起していて、6.には、だから支援をとなっています。困窮度の説明が先にあるのですが、できればもっとポジティブな点から導入点があって、そのうえでのリクエストの説明の方がよいかと思いました。
多くのWPI機関で、そのための研究棟が建設されており研究の場がすでにあり、組織として存続するためには個々の機関内での人事権も含めて制度改革が必要かもしれません。国立大学でいえば、今後様々な運営的な改革が行われる中で、このような拠点の継続を資金の面からもその大学自身がサポートするための体制が必要だと思います。大学としてプログラム終了後も大学の全面的なサポートで維持するという約束事の履行を可能とする体制ですね。
  先ほど小谷先生がおっしゃったように、研究費の支援をというのが中心ではないのであれば、国からということではなく、大学自身の姿勢が大きいかと思います。それぞれの機関での事情が異なると思いますので、一様なやり方では進められないと思います。特に交付金が減少している国立大学に関しては、産業界からの支援も入れてアウトプットをきちんと考えた形で運営する、ということもあり得るかと思います。今後、WPIの制度を続けることはもちろん賛成ですし、新しいWPIを採択し、かつ今あるものがどのような形で進んでいくのかということは、それそれの機関で異なり、一様な論議で片づけることは難しい思います。

【大垣部会長】
  どうぞ。

【黒木PD】
  今、国立大学の運営費交付金というのは、御承知のように袋で来ます。ですから、その袋の中身をどういうふうに使うかというのは、大学に完全に委ねられております。その中で、例えば、教育とか、研究とか、いろんなものに使っていく。ただ、その袋の中身が小さくなっているということをここでお話しして、しかもプライオリティーというのはやはり教育の方にあるという、それは全ての大学に共通したことですけれども、そのことを強調したいと思います。今までのWPIの予算には、研究費は入っておりません。全て、人件費とか、そういうものです。研究費は十分、今のWPIのPIの人たちが取ってきます。しかし、場所も運営費も出すのですけれども、何が足りないかということを考えていって、何が国の政策と一致していて、国が集中的にやらなければならない政策と一致しているかということを考えると、グローバル・ブレイン・サーキュレーションという一つのキーワードで表現される国際化ということじゃないかと思っています。それが、この『nature』にもありますように、このタイトルは「OPENING BORDERS AND BARRIERS」と書いてあるのですけれども、ボーダーとバリアを越えていくということがWPIの一つの任務だろうと思っています。バリアは融合研究であり、ボーダーというのは新しい国際的な拠点を作っていく。その国際的な拠点を作っていくところを国の施策の中に組み入れて、応援していただければありがたいという意味です。

【竹山臨時委員】
  全く否定するつもりはありません。個々の大学がそれぞれのレベルでみんな同じことを考えていて、そのレベルに合わせて一生懸命やっていると思います。その中でWPIという象徴的なとんがった研究を進めることができている点は評価しています。当然、それは継続されるべきだと思っていますが、独自の努力というものを各大学のレベルに合わせてやっていくべきだということです。それぞれの機関では、このWPIだけでなく様々なプログラムを推進しているかと思いますので、それらを含めて融合的に新たに推進していく形もあるかもしれません。国に頼るばかりでなく、機関が独自性と認識を持ってやることが重要だと思っています。

【黒木PD】
  大学にはいろいろやらなくちゃならないことが山のようにあるわけで、国際化も全ての部局がやらなければならないと思います。ただ、WPIの場合は、10年の助走期間があって、かなり高いところに到達している。ですから、今、ここを援助するということは、特にグローバル・ブレイン・サーキュレーションで援助するということは、非常に効率がよく、それを維持して国際的な外に見える顔を維持できるということで、それが一番効率いい方法ではないだろうかと思っているわけです。

【竹山臨時委員】
  援助する必要がないというつもりはありません。言い方を間違えると、周囲からは「またか」みたいな反発がかえってきてしまうかと危惧します。ですので、バランスをとった文章の書き方も必要かと思います。自己努力を一番とした上での、援助かと思います。ですので、自己努力としての改革に対しては意見を述べていく必要があるかと思います。そうでないと、今までと何も変わらないと思います。多分、小谷先生が一番、その点は分かっていらっしゃるのかなと思います。

【大垣部会長】
  私の個人的な意見を差し挟んでよければ、一般的なブレイン・サーキュレーションということに対する支援ではなくて、既にWPIというものが存在した上で、それを国家としてどう育てていくかということで、議論が一つあるのではないかと思うのですね。日本語という言語で全ての科学から全ての学術分野を話せる、そういう国ですので、言語の障害が逆にあるわけですね。それと、地理的にいわゆる今までの先進国からは離れたところに存在している。そういう意味でいろんな、ブレイン・サーキュレーションのためには国家が援助しないと、それぞれのアクティビティーはやや不利な状況にあるのがこの国じゃないかと思うのです。大げさなことを言うとそんな感じを議論で受けたものですから、ちょっとコメントを。 どうぞ、若山委員。

【若山臨時委員】
  私も、最後に出てきたところが随分重要なところで、WPIを始めたときに優れた研究者はたくさんいたことは事実でしょうけれども、それが最初から、きょうも焦点になっている、ボーダーズ・アンド・バリアーズのオープンに向かっていくには行ってなかった。ここまで来たわけですね。ここで、大学、例えばWPIを持っているホスト機関は、研究に対するチャレンジというのももちろんあるわけですけれども、大学がやるべきことはやはり、システム改革とか、そこに対するチャレンジで、しかもここまで行っているから、効率よくできる。説得もできるわけですね、大学の中における。そういうところは大事だと思います。
  先ほど、グローバルCOEとか、COEとかっていうふうな話もありましたけれども、私の実感としまして、GCOEをさせていただいた後、マス・フォア・インダストリ研究所というものを大学の支援によって設立いたしました。今、29人の専任教員がいるところですけれども。そして、大学の研究所として建てたのですが、2年後には共・共拠点としてお認めいただいて、今期また、次に認められるという形になりました。そういうものもやはり、ある意味での大学のチャレンジだったわけですね。そういうチャレンジを促すといったときに、やはり経済状況もありますから、様々な意味での、研究そのものではないけれども、大学がやるチャレンジに背中を押すと、そういうことはやっぱり必要なのじゃないかと。今はどちらかというと既に終了が決まっているという拠点についてお話し申し上げたわけですけれども、私は、実際に拠点が幾つ日本の大学にあればいいのか分かりません。15なのか、20なのかは分かりませんけれども、これは明らかに日本の国の大学のシステム改革を促したと思います。ここは貴重だと。そして、レベルも高い研究ができている。やはりこれは継続して、WPIプログラムというのが存在することは、日本にとって大いなるプラスになるというふうに考えています。

【大垣部会長】
  ありがとうございます。
  どうぞ。

【川上臨時委員】
  川上です。私も、皆さんの意見に基本的に賛成です。京都大学では、松本前総長のとき、私は、理事補を拝命していたのですけれども、WPIは、一つの組織に二つの異なる組織ができるようなもので、人事あるいは国際的な関係における部署においても、ちゃんと規定を持たなければいけなかったのですね。これは大変なことで、それをやるためには、事務人員を大分切り出して支援体制を置かなければいけなかったと、認識しています。
  そういった中で、そういった試行錯誤が本当に大学にとって、より一般化還元して大きくしていける可能性があるのであれば、大変いいことだと思うのですね。ただ、それをずっと続けるとなると、試行錯誤が必要なので、やはりある程度の支援がないと、その分に事務人員を二重で割いているわけですから、研究体制だけの問題ではないと僕は思っていました。ですので、極めて大きな額とは言わなくても、支援があった方が、各大学が今後自助的に発展するための礎になるのではないかと思います。
  以上です。

【大垣部会長】
  ありがとうございます。
  どうぞ。

【波多野臨時委員】
  皆様の御意見に賛成で、WPIはすばらしい拠点だと思いますし、世界でも認識が高まっている中、継続すべきだと思います。
  非常に印象的だったのは、今後は10%ぐらいの予算でいいのではないかというところです。定量的なご提案はインパクトがあったのですけれども、10%ぐらいでいいというのは、そうすると年間10億ぐらいで継続すべき拠点にサポートすれば、あとはそれぞれの拠点が維持できる程度のものかどうか。小谷先生が先ほどおっしゃっていたように、各拠点は初期に建物を造っていらっしゃるのでそこには予算がかなり使われているかと。継続・発展にはどの程度でいいものかどうか、その規模感が重要と思います。研究費は自分たちで獲得する、とおっしゃっているので、固定費みたいなものでよいのでしょうか?それを運営するための事務の方とか、海外から研究者にきていただく費用、など具体的に何が必要か。予算の規模感と内訳をもう一度教えていただきたいと思います。

【大垣部会長】
  お願いします。

【黒木PD】
  私は非常に遠慮深い人間ですので10%と言ったのですけれども、この前のプログラム委員会では15%と言っています。15%というのは、大体2億円です。いろんな方に話を聞くと、そのくらいの予算があれば、国際的な例えば、サテライトを維持するとか、外国からPIを呼ぶとか、日本人の若い人を外国に送るとか、そういうことはきちんと維持できるし、事務の方もちゃんと円滑に運営できるだろうということになっています。ただ、ここで大きく予算額を言うのは私の役割以上のことですので余り具体的には話したくないのですけれども、いろいろ調査をして積算して、それに基づいて文科省が財務省と交渉して決めるだと思います。一つの考え方は、マッチングファンドというやり方があると思っている。大学がどのくらい出すかということで、それの何%ということもあると思いますし、そして、マキシマムは2億円で、僕は十分だと思っています。そういう意味です。

【波多野臨時委員】
  もう一つ重要な点は、拠点間の連携をさらに進めて、固定の削減を努力すべきかと思います。継続すべきだと思いますけれども、やはり、同じものを続けるのではなく、拠点長や研究分野を見直して再構築するような、スクラップ・アンド・ビルトまでとは言いませんけれども、そういう考えも必要かと存じます。

【大垣部会長】
  ありがとうございました。
  ほかにはよろしいですか。どうぞ。

【竹山臨時委員】
  全体的に、支援をするということにネガティブな人は、誰もいないと思います。私もネガティブではありませんが、支援をする内容というのは個々の大学のやる気度に合わせるべきかと思います。その点を強調していただきたいと思っております。先ほどの意見の繰り返しになりますが、分野は研究ステージによっては、社会実装まで進む実用的なプログラムもあるでしょうから、大学内だけで行うだけでなく、社会への還元を考えて拠点の維持に産業界も参画してもらうことも考えられるかと思います。やり方は大学の規模、大学の方針等で違ってくると思いますので、やる気度を評価しながらのサポートを是非してほしいと思います。サポートの方法に関しては相当踏み込んで話し合いが必要かと思います。そうでないと、他の機関は納得しないかと思います。

【大垣部会長】
  どうぞ。

【黒木PD】
  現在サポートを受けているのは、KavIi IPMUはカブリ財団から、基金として、7億か8億ぐらいが入っています。その利子はアメリカで運用して、年間四、五千万は入っていると思います。それから、東工大のELSIには6億5,000万ぐらいがジョン・テンプルトン財団から入っております。別な拠点には、ある製薬会社からかなりのお金が入るということを聞いております。ただ問題なのは、例えば製薬会社とか、そういうところが10億、20億出して自分の会社のようにしちゃってもいいのかということには、我々としてはかなり抵抗感があります。つまり、国がこれだけお金を出して作ってきたものを丸ごと製薬会社に売ってしまうようなことにはならないように、やはり国は国として、それを国のものとして引き止めるということも大事だろうと思っています。ただ、みんな努力はしています。物すごい努力をしています。

【大垣部会長】
  若山委員。

【若山臨時委員】
  産業界とかございますけれども、来年度から文部科学省のいろんな経費については3割の間接経費を付けようということになっているわけですが、例えば研究費として稼いでくるというのはWPIの、国からであろうが、外国からであろうが、産業界であろうが、それは自らの問題だと思うのですけれども、そこに付いてくる一般管理費、間接経費というものは、まだまだ文部科学省がお考えになっている3割というところには行かないわけですね。ですから、そういう意味でのサポートの具合というのは、この委員会はもちろん関係しますけれども、もっと国レベルでの話になっていくと思います。間接経費というものがもし、国によって違いますけれども、かなりの額が入ってくるという、その大学の努力と社会の構造がうまくマッチすれば、それを拠点の運営に資していくということは大学としても判断できると思うのですけれども、現時点ではまだまだ、日本では難しいというところもございます。

【大垣部会長】
  ありがとうございます。
  どうぞ。

【竹山臨時委員】
  構造改革を文部科学省でも進めようとしていると思うので、このような機会に推進していただければと思います。

【若山臨時委員】
  そうですね。

【大垣部会長】
  ありがとうございます。
  ほかにはよろしいでしょうか。特によろしいですか。
  それでは、長時間、御審議いただき、ありがとうございます。文部科学省におかれましては、本日の議論も踏まえ、WPIプログラムの今後の在り方について、具体的な検討を進めていただければと思います。
  それでは、時間も迫ってまいりましたので、本日は以上とさせていただきたいと思います。
  最後に、今後のスケジュール等について、事務局から説明をお願いいたします。

【浅井室長補佐】
  資料3として、今後の予定について配付させていただいております。次回の戦略的基礎研究部会につきましては、年明けの1月7日を予定しております。次回は、WPIプログラムの今後の在り方について審議を行うに当たり、先ほど議論の中で出てきましたが、8月に視察を行った東大のKavli IPMUの村山斉機構長にお越しいただきまして、WPI拠点の実情とこれからのWPIプログラムに求められる改善等について、御説明いただく予定です。また、先ほど資料2-3にありましたが、文科省素案を提案させていただき、審議をしていただく予定としております。さらに、次々回の戦略的基礎研究部会については、3月9日を予定させていただいております。
  また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様に御確認いただき、文科省のホームページに掲載させていただきます。
  なお、本日の資料につきましては、封筒に入れて机上に残していただければ、事務局から後ほど郵送させていただきます。

【大垣部会長】
  それでは、以上をもちまして、第5回戦略的基礎研究部会を閉会といたします。皆様、本日は、どうも長時間ありがとうございました。

─了─

お問合せ先

基礎研究振興課

電話番号:03‐5253‐4111(内線4244)

-- 登録:平成28年02月 --