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数学イノベーション委員会(第23回) 議事録

1.日時

平成27年10月30日(金曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省 17階 研究振興局会議室 東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 数学イノベーションに向けた今後の推進方策について
  2. その他

4.出席者

委員

若山委員、合原委員、今井委員、大島委員、グレーヴァ委員、國府委員、常行委員、中川委員、樋口委員、舟木委員、森委員

文部科学省

小松研究振興局長、生川大臣官房審議官(研究振興局担当)、行松基礎研究振興課長、粟辻融合領域研究推進官

オブザーバー

北海道大学大学院情報科学研究科 田中譲 特任教授
大阪大学数理・データ科学教育研究センター 内田雅之 センター長

5.議事録

【若山主査】
 定刻となりましたので、ただいまより第23回数学イノベーション委員会を開会いたします。本日は、御多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日、小谷委員、高木委員、長谷山委員、本間委員からは欠席との御連絡を頂いております。また、常行委員は遅れての御出席、それから、合原委員は4時50分ごろに退出の御予定と伺っています。
 きょうは北海道大学から田中先生、大阪大学から内田先生にお越しいただいてお話を伺うということにしております。また樋口先生にもお話を伺う予定になっています。
 それでは、本日の議事を進めるに当たり、事務局より配付資料の確認をお願いします。

【粟辻推進官】
 配付資料でございますけれども、議事次第の後に、委員名簿、それから、資料1は前回、前々回の人材育成関係の議論の概要という資料でございます。資料2が田中譲先生の御発表の資料、それから、資料3が樋口委員の御発表の資料でございます。資料4が大阪大学の内田先生の御発表資料、資料5が論点、それから、資料6が今後の予定でございます。あと、参考資料1が前回の議事録、参考資料2が関連するポンチ絵でございます。
 以上でございます。

【若山主査】
 ありがとうございます。前々回から数学イノベーションに必要な人材育成について審議しているところですけれども、本日は特にビッグデータ時代の数学の役割と必要な人材についてということを話題の中心にして審議していきたいと考えています。
 それでは、議題に入ります。まず事務局の方でこれまでの議論の整理を作成していただきましたので、御説明いただきたいと思います。お願いします。

【粟辻推進官】
 資料1をごらんいただければと思います。前々回の8月、それから前回の9月の2回にわたって数学イノベーションに必要な人材の育成に関して少し議論を頂きましたので、それを簡単に整理させていただいたものを御紹介いたします。
 大きな丸が幾つかございますけれども、1つ目がいわゆる数学と諸科学・産業との橋渡しになるような、数学コーディネーターなどと申していましたけれども、そういった人材に関係するものでございまして、例えば九大のIMIでそういった民間出身の教授を採用している例があるとか、あるいは、そういう大きな組織とかプロジェクトで少数採用するというような感じなのかといったようなお話。あるいは、どのように実績を評価するのかというのは数学関係の組織では難しいというような問題点などが指摘されています。
 また、数学のバックグラウンドをもって諸科学・産業に出ていこうという人を育成することが必要とか、あるいは、必要な人数を明らかにするのがよいといった御意見もございました。
 また、大学の数学教室などに数学コーディネーションというような講座を設けて講義があるといいのではないかというような御意見もございました。
 また、数学コーディネーターの定義は余り限定しない方がいいですとか、初めから数学コーディネーターを育成するというような感じではなくて、気がついたらそうなっているという感じではないかといったような御意見もございました。
 2つ目の丸は、数学以外の分野で活躍する数理的な人材に関するものでございまして、例えばアメリカのSIAM、産業応用数学会などでは、いわゆる狭い意味の数学者だけではなくて、コンピューターサイエンスや機械工学の人も入っていれば、ほかの分野の人も入っているので、ほかの分野で数学科出身の人がどの程度いるのかというのが重要ではないかというような御意見ですとか、あと、現行の数学さきがけには、数学科出身者以外の人が結構多くて、その一方で、数学出身の人の関心が必ずしも高くないというのが問題ではないかというような御意見ですとか、あと、バイオインフォマティクスでは、5年先にどういうデータが出てくるのかということを見通してやらなきゃいけない。そうでないと単なるお手伝いで終わってしまうという御意見もございました。
 企業で活躍する数理的人材については、自らニーズを見つけて、テーマを構想して実現する人材が必要で、数学だけができるというのでは駄目だというような御意見がございました。
 あと、その次の必要な人材像については、ニーズドリブンの必要性が高まっているという御意見もあれば、シーズから行った方が大きなことができるのではないかという御意見もございました。
 それから、裏をめくっていただいてキャリアパスにつきましては、数学の特に博士課程修了者の進路の多くが期限付きのポストなどであるというのが問題だという話、あるいは、企業ポスドクのような制度があるといいというようなお話がございました。
 あと、博士課程修了者の産業界でのポジションが非常に少ないというような問題、あるいはアカデミックポジションもなかなか増えていくことが難しいというような御指摘がございました。
 そして、数学専攻で学位を取った学生が、例えば産総研などにインターンシップに出ていくようなチャンスがあるといいのではないかというような御意見ですとか、その一方で、学生がインターンシップに出たがらないような状況があるのではないかといような御意見。それから、数学専攻の出身者が社会で活躍しているというロールモデルを若い学生に示すような仕組みがあった方がいいというような御意見がございました。
 あと、最後、大学教育に関係しては、いわゆる副専攻のようなものがあるとよいのではないかとか、あるいは、その一方で、数学専攻の学生のうち、ほかの専攻に進学したいと思っている人は余りいないのではないかという御意見や、社会人博士課程は非常に有意義ではないかとか、あるいは、産業界のCOCNの人材委員会などでは、数学とか物理の基礎教育が非常に必要だといった御指摘もございました。
 簡単ですけれども、以上でございます。

【若山主査】
 ありがとうございました。何かご自身の御発言でちょっと変だとかいうふうに思われるところがあれば、お申し出ください。

【國府委員】
 1枚目の中ほどの「さきがけ」のところですけれども、数学科出身者をどのように考えるかにもよるのですが、前のポンチ絵でいう数理科学出身者まで含めると、それなりに多いというのは確かだと思いますし、見かけ上全然関係ない人でも、個人的なつながりで数学にかなり触れていたというか、かなり数学的なトレーニングを積んだという方も含めると、それはやっぱり数学に関わった人がこういうのにアプライしているんだなというのは言えると思いますので、これの字面だけだと少し誤解を招くところがあるかなと思います。

【若山主査】
 むしろ、理学部数学科以外とかいうふうな形の方がいい。

【國府委員】
 そういう感じですね。いわゆる狭い意味での数学科出身者以外の人が多いのは今のところ確かだと思います。

【若山主査】
 そうですね。分かりました。これはまとめの意見ではないですけれども、気づいたところは修正していただければと思います。
 ほかにございませんでしょうか。
 私の発言ではないですが、特定分野の下の方の「バイオインフォマティクスでは」というところで、形式化ですかね、これ、定式化かなというふうな気もするんですが。

【樋口委員】
 そうですね。定式化。

【若山主査】
 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。続きまして、先ほど申し上げましたように、ビッグデータ時代において情報科学と数学の連携に必要な人材について、北海道大学の田中譲特任教授より御紹介いただきたいと思います。田中先生、15分ぐらいをめどにお願いいたします。

【田中特任教授】
 北大の田中です。この会議は初めてです。よろしくお願いいたします。
 最初の方は、ビッグデータの一般的な話を幾つか書いていますので、そこは少し飛ばして紹介させてもらいたいと思います。ビッグデータというのは、3V、4V、5Vというような言い方をよくされるんですけれども、今後非常に重要なのは、ミッション駆動型研究からデータ駆動型研究へのパラダイムシフトを象徴する旗印としてのキーワードとしてのビッグデータというのがすごく重要になってきているという点です。そういうことが起こった理由というのは、ここにありますように、こういった幾つかの技術の進歩がこういうパラダイムシフトを起こしたということで、これも後で読んでいただければいいと思います。
 管理検索の分析処理技術も随分進んでいまして、スケーラビリティ、大規模検索処理、分析・可視化、大規模シミュレーション、それぞれに進んできています。
 それともう一つは、機関によるデータの公開と個人情報の取扱いに関しての整備が進んできたということも要因になっているということです。
 今後これから非常に注目されるビッグデータ応用として、これもいろんなところでよく議論されていることなんですが、こういう安心・安全でサステイナブルな都市基盤サービスのためのビッグデータ分析であるとか、レジリアントな社会を構築するための分析、それから、防災、減災、災害対策、復興支援。
 それから、ヘルスケアの分野もそうですが、これには、大きく分けてコホート研究と臨床試験研究ありますが、日本ではどちらかというとコホート研究が今中心になっています。
 それから、創薬へのビッグデータアプローチですね。それから、感染症流行予測。
 それから、農業の効率化・高収益化と、サイバーセキュリティの分野も重要です。
 日本でまだなかなか大学で研究がされていないものとしては、設計ビッグデータというのがあります。例えば航空機のようなものを、最近、シミュレータを使って、数千種類のパラメータの組合せに関して、ともかくシミュレーションで結果を出してしまい大規模データベースを構築します。そして、機能に関してもシミュレーションで性能評価を行い結論を出すわけですね。そういったものをビッグデータとして扱って大規模データベースに一緒に格納します。そして新しい要求仕様を出した場合には、その仕様にできるだけ合うものをデータベースから検索をして得、あとは摂動でもって解を求めるというようなアプローチが採られています。超並列のマルチコア・システムの設計というのもゼロから設計するというのが非常に大変になってきているので、こういうものもビッグデータアプローチが適用されつつあります。
 それから、機能材料設計ですね。特定機能を持つ分子構造とか、メゾスコピック構造の設計をするというようなことに適用されつつあります。
 創薬もその一例ですね。
 それから、科学技術の基盤システムとしては、個別科学におけるビッグデータ応用というのもそれぞれ進んでいるんですが、もう一つは、共通基盤システム技術として、こういう仮設設定、仮設検定の繰り返し過程の支援をする分析法を見つけること自体が研究対象になるような分野がほとんどなので、そういう支援技術というものの研究も進んでいます。
 大規模な文献情報を推論可能な知識表現に直して、有益な知識を推論により発見するようなIBMのWatsonの発展型のようなものも今、研究対象として注目されています。典型的な例としては、トムソン・ロイターなんかは公表された文献とデータのみを用いて、ウエットラボを全く持たないで、ドライラボだけでいろんな新しい知見を求めようというようなことをやっております。
 こういう挑戦的ビッグデータ応用の特徴としては、従来のボリュームに重点を置いた単一種類大規模データの分析では、対象系はモデリング可能というふうに仮定されていたわけですが、そういうものから、バラエティーに重点を置いた多種類データを関連づけた分析による価値創生へと移りつつあります。対象系は、システム・オブ・システムズになっていることが多くて、個々の要素系というのは異なるモデルに従っています。単一モデルによる全系のモデリングは難しいというようなものが対象として多くなってきています。複数種データを関連づけた分析であるとか、異なるパターンや規則性に従う異種混合データの分析というようなものが重要になってきています。
 具体的には、例えば単一モデルでモデリング可能な対象というのは、POSデータとか、カード利用ログとか、ウェブ情報、グーグル検索ログ、こういうような従来の研究対象になっていたものから、あるいは確立している分析技術の対象となっているようなデータから、異種混合系と考えられる複雑系が対象になっているもの、例えば、個人化医療であるとか、都市規模の社会サービスの最適化というような、対象は非常に複雑なものに移りつつあるということです。
 そういったところでの典型的なアプローチとしては、数学モデリングが可能な場合は、異なる多数のパラメータ値でスパコンを使ってシミュレーションをします。実データとデータ同化によってシミュレーション結果を選択します。そのときに対象が動的システムの場合には予測という形になりますし、対象が静的な場合にはパラメータ値を同定していくという形で結論を出していくというような形になります。この場合、適切な数理モデリングが最も重要になります。
 それから、数学モデリングが不可なようなものに関しては、個々の対象を特徴づけるような特徴量集合を定義して、そして、個々のオブジェクトを特徴量の多次元ベクトル表現として、統計解析、クラスタリング、マイニング、機械学習など、よく知られた手法を適用可能な表現にして分析をするというアプローチが典型的なアプローチになっています。
 ここでは特徴量の創出に数学的モデリングによる対象現象の解釈というものが必要になってきます。
 現在、こういうビッグデータ応用とビッグデータの基盤技術を研究している立場の人たちの間にはまだまだ溝がありまして、実応用から本質的な課題を明確に抽出し、数学モデリングをするというところはまだ十分ではないという状況です。
 その原因は、対話の場が限定されているということもありますし、この会に非常に関係する話としては、数学モデリングを行える人材が不足しているという点が大きな原因です。それから、専門用語の壁ということも大きな問題です。
 実応用に即して、種々の最先端の手法の中から最適なものを選んで、最適な分析シナリオを構築して適用していくということが必要なんですが、データサイエンティストそのものが不足しているということで、じゃあ、どう教育をすればいいのかということ自体もよく分かっていない。各種分析手法の意味理解というものが必須なんですが、多くの教育の場合に、ハウツーは教えるんですけれども、意味理解までなかなか突っ込んで教えているケースは少ないということが問題になるかと思います。課題に即した分析シナリオ構築能力が必要になってくるかと思います。
 このスライドでは、ビッグデータ時代における情報科学と数学との連携ということで、私が今まで実際に出くわした議論であるとか、あるいはそれをやった先生とお話をして感じたものの例を幾つか挙げながら書いていますけれども、数学や数理科学の研究者が理論面で活躍をしているという例は結構あります。
 例えば河原林健一さんは、今、ERATOをなさっていますけれども、典型的な例だと思いますね。
 それから、非負行列分解とか非負テンソル分解による独立成分への分解とトレンド分析というのは、日本ですと例えば甘利先生などが始められたような研究が今非常に大きな話として発展しています。
 それから、これは私自身が言葉自身を知らなかったものですが、ポリトープというもの、当時は知らなかったんですけれども、私の友人のパリ2大学のMichel de Rougemontさんという人が、一般には充足問題というのはNPコンプリートなんですけれども、ある種の統計的な近似解を求めるという場合には、ポリトープを使うことによってコンスタントタイムで解を求めるというようなアルゴリズムを提案した例があります。これはその話を聞いたときには非常にびっくりしました。
 あるいは、日本の韓太舜先生の情報理論における情報スペクトル的方法なんかも非常に数学的なアプローチです。韓先生は数理工学の御出身かと思いますが。
 それから、非常に印象に残っているのは、Rissanenがやったミニマム・ディスクリプション・レングス原理を使った手法で、オッカムの剃刀の原理を使って、それを数学的に非常にきれいな形でモデリングすることによっていろんな分野に使えるような基本的な原理というものを出された例とか、日本では余りフォローする人がいなかったんですけれども、Naftali Tishbyさんが、イスラエルの方ですけれども、インフォメーション・ボトルネックという、これも関数論の非常に基本的なところをうまく使って、ある種のクラスタリングに対してきれいなフォーマライゼーションをした例ですが、非常に印象的なものです。
 それから、対象の数理モデリングのための数学としては、有用な指標の創出のためにやはり数理モデリングというのは非常に重要で、ここに書いてある本は、日本語訳も出ているんですが、アメリカにナンバーズというテレビ番組があって、これは数学者が犯罪の犯人探しにビッグデータ分析でもって協力をするというものですが、毎回、非常にきれいな数学モデルに基づいてそういう協力を行うわけですね。この本の中にはもとになっている数学モデルを提案した研究等に関しても参考文献が挙がっていますので、こういうのは非常に面白い例だと思います。
 それから、対象の本質を把握するためのモデリングとして私が非常に関心を持っているのは、Stuart Kaufmanのrandom binary networkなんですが、代謝ネットワークのような触媒反応ネットワークの非常に本質的な挙動の説明をするのに、単純なモデルを作られて、そこから非常に有用な結論を出されたという話ですね。
 それから、あるいは、Mathematicaの開発者でもあるWolframのNew kind of Scienceなんかも非常に面白い話かと思います。
 必要な人材の資質ですけれども、データサイエンスの基盤となる数学、数理科学の素養が必要なんですが、従来は、統計数学、組合せ離散数学、グラフ理論、線形代数といったところなんですけれども、多分さっきのような数理モデリングそのものによって新しい手法を見つけるのに役立てるとか、そういうことまで考えると、ほとんどあらゆる数学というものがその対象になってくるのではないかなと思います。範囲は限定されないのではないかなと思います。
 対象システムの数理モデリング能力なんですが、対象のマクロなモデリングとか、解明されている個々のミクロな機構のモデリングではなくて、複雑なシステムをメゾスコピックなレベルで把握して、それをうまく数学モデルに落とし込めるような、単純化した数学モデルに落とし込めるような、そういう能力を持った人材というのは非常に必要だと思います。機構は不明で、現象のみが観察可能な場合のアプローチ法です。
 例えば昔北大にいらして、今は東北のWPIに移られた西浦先生なんかは、現象そのものを実際の物理モデルに基づいて数学モデリングをされるのではなくて、それとは関係なく数学的に現象と同じような結果を出すような数理モデルを作るということをずっとやっておられましたけれども、そういうことがすごく重要になってくるかと思います。
 それから、対象ごとにモデリングの基礎となる数学理論は異なりますので、広範な数学の知識とそれを用いたモデリングスキルが必要だろうと思います。
 解析数学の素養もシミュレーションモデルの構築と解析のためには必要ですし、離散数学に基づくアルゴリズムが比較的多いんですけれども、解析数学に基づくアルゴリズムというものも今後ますます重要になってくるのではないかなと思います。
 必要な人材の教育なんですが、ちょっとこのスライドでは、スペルが、1st yearの後にtが付いていますが、私のところにたまたまスウェーデンのKTHの出身者が今2人いますので、そういう人たちに聞いてみると、1年間40クレジットの単位のうちの28.5が数学です。それから、2年次には40単位のうちの18とか19.6単位が数学です。やっぱり日本と比べてかなり多いのではないかなと思います。日本は少ないんじゃないかなと思います。それから、座学が50から60%で、演習が50から40%だそうです。集中講義形式が非常に多いということも重要です。
 私の友人がパリにいるんですけれども、その人の息子さんが、シュプレック、グランゼコールの1つですけれども、科学技術系のグランゼコールですが、そこの学生をしていたころに彼から聞いたことですけれども、週7時間以上、数学だけに集中して教育をするような期間があると。その直後彼は何をやっていたかというと、ある演習を与えられて、それをパソコンでちょこちょこっと簡単に解いているというような光景を何度か見ました。その演習の課題そのものが普通の研究レベルの課題なわけなんですね。
 このように、多様な分野への応用に関して最新の研究レベルに近い課題を設定して、ホームワークを含む演習形式の応用力養成がなされているケースもあります。
 それから、教える際にConceptとProof of Conceptをかなり重視して教えているというのが日本とはかなり違うところじゃないかなと思います。
 そのことに関してですが、日本では、理論や手法は学習するんですけれども、それらが提案された背景や理由など、応用にとって重要な意味や解釈に関する教育が十分なされていないと思います。先端研究のレベルに近い実問題への適用力の養成はほとんどなされていない。
 日本の場合ですと、研究室配属後に特定研究課題に関していきなり応用が始まるわけですけれども、卒研の場合では、どの理論を適用すべきかというものは先生が教える場合が多くて、自身で考えることが少ない。
 それとコンセプトに非常に関係することなんですけれども、重要な語をその概念を理解することなく我々、使用してしまうケースが非常に多くて、これは必ずしも数学の話ではないんですが、「知の地平」なんていう言葉はしょっちゅう訳本の中には出てくるんですけれども、その地平というのはhorizonなんですが、horizonの意味が分かっている学生というのはほとんどいないですね。日本では空と地を分ける直線というふうに理解してしまっているわけですが、それだと意味をなさないわけで、これをスコープだと分かっている学生はほとんどいない。
 それから、心理学用語でよく出てくる「感覚与件」。これは認知科学の方でも使うんですが、認知科学の専門家でもこれの意味がよく分かっている人が少なくて、ただ、言葉としてそのまま使っています。これはもともとの英語はsense dataなので、意味は非常に明らかなわけなんですが、それを「感覚与件」という言葉で平気で意味を理解しないで使っているケースが多いのです。
 それから、「情報」という、informationそのものもそうなんですが、「formを与える」とか、「formの中に置く」というもともとの意味が内在されているんですけれども、このformがshapeとどう違うかということとか、英語のformというのはイデアの意味で使われるというようなことがほとんど理解されていないということが問題なんだろうと思います。
 それで、提言なんですけれども、大学1-2年に数学を集中講義形式で教育する、週10時間以上やるようなことが重要なのではないかなと思っています。
 応用演習に関しては、先端科学技術分野の著名な研究者を講師として招いて、研究レベルに近い課題を学生に課して、数学によるモデリング能力と解析能力を養成する。コンピューターを用いた計算による分析を行うためのプログラミング能力も養成する。1課題について2週間以上を与えて、自身で考え解く力を養成していく。
 プログラミング・スキルの養成と、もう一つは、抽象概念の理解力を養い、異分野の研究を理解するための英語教育と、コミュニケーション能力を高めるための英会話教育を重視するということが非常に重要なのではないかなという気がしています。
 これは私自身、EUのがんの治験の大きなプロジェクトに参加したんですが、やはり英語で随分苦労しました。それも専門用語がそうだということもありまして、日本人を最初は一緒に何人か連れていったんですが、結局駄目だということが分かって、うちの外国人スタッフを一緒に連れていって共同研究をやるということでしかできませんでした。やっぱりこういうことをやるためには、しかも応用面に数学を利用していくということをやるためには、いろんな分野の文献を英語で読むケースが非常に多いですし、それからいろんな新しい概念を理解するときに、言葉の語源が分かるような素養がないと、新しい言葉に出くわすたびに全部辞書を引くというようなことでは時間のむだですので、そういうような教育も必要じゃないかなと思います。
 ちょっと雑駁(ざっぱく)ですが、私が感じたのはこういうことです。

【若山主査】
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの田中先生の御発表に関して、御質問とか御意見ございましたら、お願いいたします。

【合原委員】
 どうもありがとうございました。数理モデルのところでちょっとお聞きしたいんですけれども、メゾスコピックレベルは僕も重要だと思うんですね。ニューロンレベルだとホジキンハックスレーモデルというのがあって、これは実際のデータとぴったり合うような詳細モデルなんですが、西浦さん的なモデル、フィッツフュー-南雲の方程式というのが別にあって、そういうものを作れば数学的な解析もできて、原理もよく分かります。しかしながら、同様にして、脳みたいな複雑システムのモデル化をやろうとすると、なかなか難しいんですよ。
 今、ヨーロッパとアメリカで巨大プロジェクトが走っていて、ヨーロッパのヒューマンブレインプロジェクトというのは、スパコンを用いて、モデルをいっぱい集めたりとか、文献情報をもビッグデータとして集めるという、そういうアプローチを取るんですね。他方で、アメリカのブレインイニシアティブというのは、マウスの全てのニューロンを全部測ると。これはまさに実験でのビッグデータなんです。
 どちらもビッグデータなんですけれども、どちらもやっぱり脳に届かないんですよ。そこで重要なのはメゾスコピックな視点でして、どうやってメゾスコピックレベルの記述をするかというんですけれども、文献情報の例えばビッグデータがあるとして、若しくは実験のビッグデータがあるとしても、そこからどうやってメゾスコピックなモデルを作るかという、そこが多分両方のプロジェクトでも分かっていないんですね。その辺どうするかという問題に対して、先生の立場から見ていい方法論みたいなものは何かありますか。

【田中特任教授】
 北大の津田先生がやられたプロジェクトがありましたよね。新学術領域でしたっけ。あれはそのあたりを目指されたんじゃないかなと思います。もうちょっとミクロな方かもしれないですけど。

【合原委員】
 あれはむしろ脳と脳の相互作用に着目してというものですね。

【田中特任教授】
 ただ、本当にじゃあ、脳のメカニズムそのものに落としてという話でもないような気がしていましたので、特に津田先生自身がなさっている話は。

【若山主査】
 ほかにございませんか。最後には人材育成に関する提言をしていただいたわけですけれども。きょうは最後にこういう議論していきたいと思いますので、そのときでも構いません。
 それでは、続きまして、データサイエンティストの需要や育成について樋口委員より御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【樋口委員】
 それでは、私からビッグデータの利活用のための専門人材育成についてということで説明させていただきたいと思います。

 きょうのこの趣旨は、ビッグデータ利活用の人材育成そのものというよりも、新しいタイプの人材としてビッグデータを扱える人材、それを育成する仕組み作り、それについていろいろ議論しましたので、そこの仕組み作りの議論がきょうのこの後の議論等々の1つの素材等々になるんじゃないかということですので、そのあたりは誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
 この内容は、今年の4月ぐらいから7月まで、約4カ月間、6回にわたりまして、この次にお示しします出席者のもとに議論したものを報告書の形として7月30日にまとめたものです。それを既に委員の先生方には冊子体としてお送りしていますので、ひょっとしてごらんになった方もいらっしゃるかもしれません。きょうは、その仕組み作り、特に振興局の会議ですので、高度人材育成をどうやって育成したらいいのか、そのあたりに焦点を当ててお話ししたいと思います。
 出席者は、北川情報システム研究機構長を座長としまして、このようなメンバーで議論いたしました。私も参加させていただきました。民間の産業界からは、ヤフーCSOの安宅さん。安宅さんはデータサイエンティスト協会の理事でもいらっしゃいます。あと、ベンダーのアナリティックス系ということで、富士通研究所のお二人の方に参加していただきました。もちろんものづくり分野等々でもビッグデータの利活用は非常に重要なんですが、議論が余り拡散しないようにということで、ECサイト及びベンダーの産業界の方に参加していただきました。特に富士通研究所の岡本さんは、富士通グループのデータサイエンティスト育成のカリキュラム等々で取りまとめを担当されていらっしゃる方です。
 また、日本には残念ながら統計に関わる専攻、学科が総合研究大学院の統計科学専攻、基盤機関は統計数理研究所になるんですけれども、そこしかありませんので、長谷川総研大副学長にも出席いただきました。
 また、文部科学省からは榎本参事官、また、この議論の中身というのは高等局にも関わるということで、高等局の専門教育課の方々にも御出席いただきました。
 この議論の背景は、先ほどの田中先生の話とほぼ同じですが、先ほどの話との違いは、産業界からの直接な御要望というのをお聞きしたということです。ビッグデータの活用領域は、異常検出、予測、自動化、最適化など、非常に広範囲に重要なんですけれども、我が国のビジネスにおける現状というのは、いまだに勘と経験と度胸、KKDに依存しているということが指摘され、3番目の項目には、一方で、我が国の教育体制を見ますと、もちろんデータサイエンスにかかわる話ですけと、統計学は重要ですけれども、それだけではなくて、機械学習、自然言語処理、大規模データ処理、それの基盤となるような数理等々が広範囲に必要でしょうということがあげられています。
 それらの結果、現代に求められるのは、伝統的な統計学の枠を超えまして、さらには先ほどの田中先生のところでも話題が出てきましたけれども、T型、あるいはΠ型人材、そういう人材を育成しないと、あるいはしてほしいということがこの議論の背景にあります。
 この図は、データサイエンティスト協会さんがまとめられたデータサイエンティストに求められるスキルセットで、ビジネス力、データサイエンス力、あと、データエンジニア力、この3つが必要とあります。もちろんこの3つを1人で持つのはなかなか難しいわけですので、レベルに応じていろんな持ち方が考えられるということが改めて議論されました。
 産業界からは、要請としましては、大学でのデータサイエンティスト育成のためのプロフェッショナルな教育をしてほしい。さらには、中等・高等教育もてこ入れしてほしい。また、国家レベルでビッグデータ活用のフラッグシッププロジェクト、これをきちんと立ててほしいというのが産業界からの要請でした。
 アカデミアからの要請としましては、ビッグサイエンス等々でもビッグデータが非常に重要になってきていますので、そのあたりをきちんとできるような人材を養成してほしいというのがありました。
 また、近年、地方自治体、急速な人口減が予想されて、地方創成のためにデータサイエンティストが、地方自治体から非常に求められていますけれども、そのあたりでデータサイエンティストが欲しいという意見も出されました。
 ここからが重要な図の説明をいたします。これは新入大学生が大体50万人、そこからのスキルレベルを対数スケールで分かりやすく6段階で示したものです。50万人というのは、先ほど申し上げましたように、学部学生が大体50万人というスケール。また、5万人というのは、理系の修士入学者が大体5万人。5,000人というのは、資本金10億円以上の会社が日本は大体6,000社ありますので、各会社にデータサイエンティストが1人ずついれば5,000人と。また、この500人というのは、いろいろチームを作りますと、10人を1人の人が見るということで500人。それよりレベルの高い人を50人ぐらい。このように6段階に分けました。
 きょう一番お話ししたいのは、年間の育成数が500人のレベルです。データサイエンティスト協会の方ではこれを棟梁(とうりょう)レベルというふうに呼んでいます。棟梁レベルというのは、データサイエンティストのチームを率いて、組織におけるビッグデータ利活用を先導できる能力を持った人。ここを棟梁レベルと呼んでいます。
 現在日本はどうなっているのかを改めて確認しますと、ここの部分が抜けているのではないかと。先ほど申し上げたようなタイプの人材が抜けているのではないかということですので、それより高いレベルの人は、トップの教育研究機関が小規模に育成しています。ですから、ここを年間当たり500人ぐらい育成したならば、世界的トップランナー等も輩出しますし、またその下の方のこのレベルの人たちももっと効果的に人材育成ができるんじゃないかというふうな確認がありました。
 具体的施策は、レベルごとに幾つかありますけれども、きょうの中心になる棟梁レベルのところに主に時間を割きたいと思います。50万人、いわゆるエントリーレベル、大学生の方々には、例えば大学124単位のうち共通教育で4単位、専門教育では専門に応じて2から6単位をデータサイエンスに割り当てるというふうなことをやってはどうか等々が提言としてありました。
 これは2番目のレベルの5万人ですけれども、ここにおきましては、ダブルディグリー、あるいはジョイントディグリーの考え方。これは前回、この辺も少し御紹介がありました。あるいは、この後、内田先生の方からもあると思います。現在、これらの方式が先行してやられていますけど、ただ、前回の議論ですと、時間が短いと、そのあたりで大学院生のインセンティブを醸成するのはなかなか難しい等々の話もあったと思います。
 これは、3番目の5,000人の独り立ちレベルですけれども、重要なスキルとしてこういうのもありますが、大学院でPBL、プロジェクト・ベースド・ラーニング、これが大切だと。先ほど田中先生のところでも、レベルは違いますけれども、演習を非常に重要視しているということで、こういうふうな提言がありました。
 ここが一番重要な棟梁レベルですけれども、まず1番目、国家的な拠点を作ってほしいと。そこで応用の研究開発や、データサイエンスに精通した人材育成を行ってほしいと。
 また、2番目、棟梁レベルの集中的プログラムを開講してはどうかということ。参考例としては、情報学研究所、あるいは統計数理研究所のコースが例として出されました。
 また、活躍できるキャリアパスを見据えた再教育ということで、ポスドクの再教育等々にも資するのではないかと。このあたりのプログラムをやってほしいという意見がでました。これにより、上のレベルに、あるいは下にトリクルスケールアウトするんじゃないかということが議論されました。
 最後の指導的データサイエンティスト。これは系統的に育成することが難しいので、データサイエンスのハッカソンをやったり、いろいろ資金的な援助をして育てていってはどうかというようなことが議論されました。
 まとめとしましては、育成された人材はアカデミアだけではなくて産業界にも非常に役に立つような人材ですよということです。また、このデータサイエンティスト育成を受けた者がどういうふうなレベルになるのかのスキル認定を行って、産業界では、雇用する側(がわ)とデータサイエンティストのスキルのミスマッチが起こらないようにすることが大切ではないかということで、具体的な提案として先ほど言ったようなものが提言されました。
 この後のスライドは報告書の中身を改めてコンパクトにまとめたものです。
 短い時間でしたけれども、主にデータサイエンティスト育成の仕組み作りということを御紹介させていただきました。このあたりが数学・数理科学の高度人材育成を議論する上で何か材料になったらということで紹介させていただきました。以上です。

【若山主査】
 どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から何か御質問、御意見ございましたら、どうぞ。

【國府委員】
 ピラミッドの現状のところで、棟梁レベルというところが抜けているというふうにおっしゃったのですが、それはどういうことから、抜けているというのが分かるんでしょうか。

【樋口委員】
 きょうこの図には抜けていますけれども、いろいろな検定とか、あるいは認定とかというのが、少数ですけれども、1級、2級、3級というのがありまして、それらと現在の高等教育機関、大学等々で行われている教育コースのレベルを照らし合わせたところ、ここの部分を育成が抜けているというふうに判断しました。

【合原委員】
 検定とか受けていないような人たちはいるわけですよね。

【樋口委員】
 はい。

【合原委員】
 そこは取りこぼしていないですか。

【樋口委員】
 ここの部分ですか。

【合原委員】
 今おっしゃったのは、検定みたいなのがあって、それを。

【樋口委員】
 これは、現在、人材育成がどれぐらい系統的になされているのかという図です。ここのレベルが先ほど申し上げたレベルで、そのような教育をやっている仕組みが今こういうふうなところにありますよと。でも、ここの部分が、ここに相当するようなものがないですよと示しています。

【國府委員】
 そういう意味ですか。

【樋口委員】
 はい。

【國府委員】
 システマティックに育成するような仕組みが、そのレベルのところはないということですね。

【樋口委員】
 ない。

【森委員】
 これは目標ではなく、現状の説明をしておられるんですね。

【樋口委員】
 はい。

【若山主査】
 ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、大阪大学数理・データ科学教育センターの内田センター長により、データ科学、数理モデリング等の副専攻プログラムの現状、計画について御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【内田センター長】
 御紹介どうもありがとうございました。大阪大学の数理・データ科学教育研究センターの内田と申します。よろしくお願いいたします。

 センターの活動の紹介ということでお話をさせていただきます。まず数理・データ科学教育研究センターというのは何ぞやということなのでございますが、10年前にここにありますように、金融・保険教育研究センターが発足しまして、それが経済学研究科、基礎工学研究科、理学研究科、情報科学研究科の連携協力のもとで発足したわけです。専任はございません。兼任で賄っていたということなのですけれども、そこで、金融・保険に関する副専攻プログラム、いわゆるマイナープログラムを提供しまして、それを運営していました。それで、10年たちまして、抜本的な改革が必要であるということで、平成27年度の概算要求に応募しまして、それが有り難いことに採択されまして、今に至るわけですが、その抜本的な改革をするときに、現状のままではちょっとつらいということで、モデリング研究グループというのが大阪大学ありまして、それから、データ科学教育研究グループというのがございまして、この3つの研究教育グループというのを発展的再編しまして、数理・データ科学教育研究センターというのを、2015年10月1日にこのぐらいの人数で組織されたセンターを設立しました。
 ここにあるとおり、こういう教育目標があるのですけれども、具体的には何をしたのかというと、ここにある金融・保険部門というのは、先ほど説明させていただきました金融・保険教育研究センターがこの部門に入りました。それにモデリング部門ですね、モデリング研究グループの人たちがここの部門に入りました。そして、データ科学部門、データ科学教育研究グループの人たちがここに入りました。
 それぞれ、副専攻プログラム、副プログラムというのを提供しまして、最終的には複合領域型の副専攻プログラム群で、金融・保険数理、それから、数理モデル、データ科学というのを提供します。今現在は、金融・保険部門では副専攻プログラム「金融・保険」というのを運営しておりますし、データ科学部門では高度副プログラム「データ科学」というのを立ち上げております。これについてもまた後で説明させていただきますが、モデリング部門については、これは微分方程式のグループと、あとシステム数理のグループが中心となって、ここを運営しているということになっています。
 それで、学生に副専攻プログラム、メジャーではなく、マイナープログラムを提供する上で、いかに説得するか。いかに学生を集めるかということで、じゃあ、どのような人材を育てたいのかというのを学生に分かりやすく説明する必要があります。
 金融・保険センターのときは、もちろん金融・保険人材を育てたいということだったのですが、それに対して3つの部門ですから、あと、数理モデリング人材とか、データサイエンティストの育成をしたい。それが一体どのような位置づけにあるのかということなのでございますが、アメリカの求人情報サイトのキャリアキャストドットコムというのが、収入、将来性、労働環境、ストレス、体力消耗度、こういう指標に基づいて、2015年のベストジョブというのを発表しました。それがここにあります。
 1位が、ここに書いてあるようにアクチュアリーで、3位がmathematician、4位がstatistician、そして6位にデータサイエンティストです。じゃあ、この定義というのはおいておき、このトップ10の中に入っている4件、これに相当するような人材を育成したいというふうに学生に言うわけですね。そうすると、学生は、ああ、そうなのかという、少しでも興味を引くわけです。
 なぜそれが必要かというと、一言で言うと、マイナープログラムだからです。メジャープログラムではなくてマイナープログラムですから、学生にとっては卒業する上で別に取らなくちゃいけないものではないわけですね。ですから、少なくとも、今現状こんなふうになっているんだということをまず我々は、1つは説明するということですね。
 じゃあ、これ、一過性のものかというと、そうではなくて、2014年のベストジョブトップ10でもこのようにランクインしているわけですね。つまり、連続して非常に注目されているということをまず主張するということです。
 それから、数理モデリングの重要性とか、あと、データ科学の重要性、そして、あと、金融・保険というのがございますので、それに対するフィードバックとか、そういうのをいろいろ用意しているのですけれども、これは一応ごらんいただければと思います。
 特にデータ科学の重要性として、ずっと田中先生、樋口先生から説明がありましたので、細かく言う必要はないと思うのですけれども、日本の現状はどうかというと、先ほども樋口先生の方からありましたけれども、統計学科の概数ですね、大ざっぱな数ですけれども、アメリカがこのぐらいで、イギリスがこのぐらい。中国、韓国、アジアでさえもこのぐらいの学科の数を持っているにもかかわらず、我が国では、統計数理研究所が関係する総研大と言われるところなのですけれども、そこしか持っていない。要求があるにもかかわらず、それを教育する場がないわけです。大学院レベルですから、学科レベルはゼロです。じゃあ、どうやって大学で教育するかというと、統計学科がないので、あとは副専攻、副プログラムですね、マイナープログラムで教えていくしかない。まずはそこからスタートしなければいけないということで、我々は副プログラムのデータ科学というのを立ち上げているということになります。
 それで、大阪大学独特の制度なのでございますが、副プログラムには2種類の副プログラムを用意しています。それが、ここにあるように、高度副プログラムと副専攻プログラムというのがあります。違いは何かというと、単位数です。基本的には副専攻プログラムの方に移行したいと思っているわけですが、副専攻プログラムというのは、修得するための単位数が14単位以上。これはマイナープログラムとしてなのですが、ただ、ここに書いてあるように、所属研究科の課程修了に必要な最低単位数を超えて、7単位以上大学院開講科目の中から修得する必要がある。これは要するにどういうことかというと、卒業要件に関するような7単位は取得できるとして、それ以外の7単位以上を修得しなければいけない。だから、卒業には関係ない、大体2単位1科目ですから、4科目ぐらいは余分に取らなければいけない。それに対して、高度副プログラムというのは、プラス2科目取らないといけないということで、最初は高度副プログラムから始めます。それから、それが順調になると、副専攻プログラムの方で実践するということです。
 ちょっと分かりづらいかもしれないので、簡易版を用意しましたが、もう一度簡単に言いますと、大阪大学には2つの副プログラムがありまして、1つは、高度副プログラムという、比較的に修了要件が少ないものが46プログラムぐらいあります。副専攻プログラム、これがこちらのほうにやがては移行したいというものなのですけれども、これは5つのプログラムがあります。修了要件は14単位以上ということで、少しきつくなっています。
 それで、副専攻プログラムなどの副プログラムとして、数理・データ科学教育研究センターは3つのプログラムを用意しています。だから、皆さん、取ってくださいねというふうに言っても、それは見向きもされません。ですから、どうしたらいいかというと、例えば新年度に、これは今年度の話ですけれども、平成27年の4月8日とか4月10日に合同ガイダンスというのを実施して、こういうことをやっていますから是非見に来てくださいというふうにして集めるわけですね。ブースを用意して、学生たちに広報します。これは大学全体が用意してくれているブースというか、こういうガイダンスなんですけれども、今年の4月は金融・保険センターだったので、金融・保険センターのときは、金融・保険センター独自の説明会を用意して、それが4月のやはり同時期だったと思うんですが、それで学生を直接ある会場に集めます。そして、そこでガイダンスをして、こういうことで副プログラムをやっていますので、是非とも履修してくださいというお願いをします。
 これが、ちょっと見づらいんですが、修了証になります。これはセンター長と総長の名前が入ったものになります。こういうのを修了認定証として最終的には修了した人にはお渡しするということになっています。
 ここからなんですけれども、じゃあ、金融・保険とかデータ科学という副プログラムというのはどのぐらいのものかというと、実は今年度はエントリー者が197名。金融・保険の方が、副専攻プログラム、ちょっと難しい、修了要件がきつい方です。こっちが高度副プログラムのデータ科学です。金融・保険の方が合計で197。これは副専攻プログラムの中でトップのエントリー者数です。そして、データ科学というのは、副専攻プログラム及び全部の副プログラムの中でエントリー者数トップになっています。それが今年度の実績です。データ科学は昨年度から立ち上がりましたので、こういう数字ですし、金融・保険は10年続いていますので、こんなふうになっています。
 この数字を見ていただいて御理解いただきたいのは、これ、マイナーなプログラムなんだけれども、金融・保険という教育プログラムとデータ科学のプログラムが体系的に、学科を持ってないのですが、学生さんたちはその学問を受けたがっている、それに興味を示してくれているというエビデンスになるんじゃないかと思っているわけです。
 それからあともう一つ重要なところは、なぜこんなふうにうまくいったかというと、それは、全学にわたって広報して、それから、余り偏りのないようにバランスよくエントリー者がいるということです。これが金融・保険の方で、こっち側がデータ科学の方です。金融・保険は非常に具体的なものであるのに対して、データ科学というのは、どちらかというと横断的なものなので、非常に多岐にわたって、いろいろな種類の学科で受講者がいるということがこれで御理解いただけると思います。
 具体的な内容ですが、金融・保険はこのような3つのコースを立ち上げています。それで、こちら側は数理ファイナンスの方です。こちら側が金融経済の方です。これがアクチュアリーというか、インシュアランスコースの方です。そういうのを29年度には、金融・保険数理というのをもう1回再構築しましょうということで、それが具体的にはこういうプログラムを提供しようかということを考えています。
 高度副プログラムの数理モデルの方は来年度からなのですが、これは応用数学という、微分方程式グループが提供するコースで、それから、こっちはシステム数理が提供するコースですけれども、具体的な就職先はこういうのがありますよというふうに明示しておいて、具体的にはこんなコースを、こういうプログラムを提供するということを今予定しております。こちら側が数理モデルの応用数学コースで、こちら側がシステム数理コースです。
 最後ですが、データ科学の方でございますが、データ科学は、5つのコースを用意していて、28年度にはビッグデータ&データサイエンティストコースとStatistics-in-Englishコースという2つのコースを新設する予定でございます。
 ここのビッグデータ&データサイエンティストコースで、実際に現場でデータサイエンスを実践している、そういう方をお招きするというのが非常に重要なことだったのですが、幸いなことに、河本先生という大阪ガスのビジネスアナリシスセンターの所長をやっていらっしゃる方に招聘(しょうへい)教授として教鞭(きょうべん)をとっていただくことになりまして、今現在、ビッグデータというか、データサイエンティストに関する講義をしていただいています。
 あとは、国際化というのが重要なキーワードで、学科を持っていませんから、欧米の統計学科との連携は非常に重要であるし、あと、とにかく例えばこういう会社は、TOEICがこのぐらいあった方が望ましいとか、いろいろありますので、グローバル化というのは非常に重要なことで、それから、それに応じてイングリッシュコースを作りたいというようなことを考えております。
 実際にどんな科目になっているかというと、ここに書いてあるとおりでございます。このぐらいのコースをやろうとしています。
 それで、あと、新設するビッグデータ&データサイエンティストコースとこの英語のコースですが、こんなメニューを用意しています。
 簡単ではございますが、説明を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

【若山主査】
 どうもありがとうございます。新しい試み、今までの御経験による新展開で、詳しくどうもありがとうございました。
 それでは、御質問とかございましたらどうぞお願いいたします。

【今井委員】
 プログラムの中にコースがたくさんあるように見受けられるのですけれども、プログラムとコースの関係は、どのようになっているのでしょうか.学生はあるコースの中の科目を取るのでしょうか。

【内田センター長】
 複数のコースを取ってもいいということになっています。取れるだけ取ってもよいということです。

【今井委員】
 その中から指定された科目数を取ればいいということでしょうか。

【内田センター長】
 はい。

【若山主査】
 どうぞ。

【森委員】
 これはどなたに伺えば良いのでしょうか、樋口先生に伺う方がいいのかもしれないんですけれども、今伺った副プログラム、あるいは副専攻プログラムから輩出される人材というのは、樋口先生がここに挙げられたどこの段階になるのでしょうか。

【内田センター長】
 大学院レベルですね。

【森委員】
 人材輩出という面からいうと。

【樋口委員】
 5万人、あるいは5,000人レベル。

【内田センター長】
 一番下じゃないでしょうかね。

【樋口委員】
 いや、一番下はもっと簡単なレベルです。

【内田センター長】
 ああ、そうなんですか。

【森委員】
 5,000人のところ。

【樋口委員】
 5,000人ぐらいじゃないかと思います。

【内田センター長】
 大学院のマイナープログラムという位置づけですか。

【樋口委員】
 5万人と5,000人の間ぐらいです。

【若山主査】
 人数といえば、さっき紹介いただいたやつですね。アメリカのランキング、人気職業というやつですけれども、この5年から10年、大体同じ傾向なんですね。

【内田センター長】
 そうなんですか。

【若山主査】
 そうです。

【内田センター長】
 そうですね。だから、それは非常にいい。

【若山主査】
 それとアメリカの、ここでお話ししたことがあるかもしれませんけれども、労働統計を見ますと、マスマティシャンというのが3,500ぐらいのポストがありまして、スタティスティシャンというのが2万人ぐらいのポストがあって、学歴としては修士以上という、そういう、給与なんかもある程度わかるという。

【内田センター長】
 ありましたね。2014年はそれが明記されています。

【若山主査】
 そういうものがあります。ですから、そういうスケールで樋口先生の御発表にあったものも考えていくと、人口からいうと半分ですよね、日本はアメリカの。アメリカがいいかどうかは別として、そういう感覚だと思いました。

【内田センター長】
 はい。

【若山主査】
 ほかに。

【國府委員】
 このプログラムは修士段階が対象ですか。

【内田センター長】
 はい。修士以上です。

【國府委員】
 博士も履修できるのでしょうか。

【内田センター長】
 はい。

【國府委員】
 つまり、博士課程でも単位を認定して、修了証を出すということですか。

【内田センター長】
 そうです。

【國府委員】
 でも、基本的にはこれは何年でやるコースなんですか。

【内田センター長】
 それは提供しているコースによって違うのですけれども、3年ぐらいをめどにして、取ってくださいと勧めています。もし3年以内に取れなければ、もう1回仕切り直して、もう1回やり直してくださいということになります。

【國府委員】
 例えば修士1年で入って、先ほど4月1日にガイダンスを実施されたと言われていましたけれども、それで入ったら大体修士は2年ですよね。それで取ることを想定して学生はコースに登録するんでしょうか。

【内田センター長】
 そういうことになります。

【國府委員】
 そうしますと、恐らく修士で修了する人もいるんじゃないかと思うんですが。

【内田センター長】
 はい、そうですね。もちろんその人たちが大多数です。

【國府委員】
 大多数ですか。

【内田センター長】
 はい。

【國府委員】
 そういう修士で修了する人たちは、その後どういうキャリアパスをとるのでしょうか。例えば金融・保険ですと保険会社とかアクチュアリーを目指すのでしょうか。

【内田センター長】
 そうですね。クオンツとかアクチュアリーということですね。データ科学の場合は、製薬会社とか、あと、総研とか、そういうところに行きます。

【國府委員】
 もう一つお伺いします。いろいろな学部から様々なバックグラウンドを持った人たちが入ってくるように見えるので、バックグラウンドが足りないとなかなか講義についていけないということが起こるのではないかと思うのですが、バックグラウンドに応じて科目を選択して取れるので、そういうことには十分対応ができるというようなことなのでしょうか。

【内田センター長】
 いえ、すごくいい御質問で、これで説明させてもらった方が分かりやすいかなと思うんですけれども、ここに例えば統計的推測というのは私の講義なんですけれども、これは基礎工学で開講しているものですから、基本的には基礎工学部の学生さんを想定しているわけです。そこに例えば経済の学生さんが来たら、何か特別なことをするかというと、しないわけですね。うちは基礎工の授業ですからということで、それをやるわけです。そうすると、ついてこられない人ももちろん出てくる。となると、エントリー者数と修了者というのは実は1対1じゃもちろんないわけですね。だから、そこは確かに問題だと思っています。要するに、看板は掲げるけれども、全員がそれをちゃんとうまく修了できるかは別だということですね。

【國府委員】
 ありがとうございました。

【若山主査】
 ほかにございませんでしょうか。

【舟木委員】
 修了者数、今お話ありましたが、どれぐらいのパーセンテージで、エントリー者の数と比べるとどれぐらいなんでしょうか。つまり、前回もお話ししたんですが、東大でも理学部、これは学部の方ですけれども、それはダブルメジャーとしてやったので、単位数もはるかにこれより多いわけですが、修了者数はほとんどいなかったんですね。それから、この講義内容を見ますとかなり専門的で、今もおっしゃいましたが、PDEだとか、確率論だとか、かなり多分高いレベルの講義だろうなと見えるんですけれども、実際どれぐらいの方が。

【内田センター長】
 大変鋭い質問でございまして、金融・保険の例で、平成26年度、199名のエントリー者に対して修了者は実は20名です。

【舟木委員】
 結構多いですね。

【内田センター長】
 多いですかね。ありがとうございます。

【舟木委員】
 全体の単位数がかなり違うということもあると思いますが。

【内田センター長】
 多いですかね。

【舟木委員】
 東大はもっと、何単位か忘れましたけれども、何十単位とか。

【内田センター長】
 でも、それが本当の課題なのです。要するに卒業するために必要なものではないマイナーなものなので、最後、息切れしてしまう学生がすごく多いということなのです。せっかくエントリーしてくれているのだから、そこで興味を引かせて、引き込むようにどうするかというのが非常に重要なところです。今は、引き込むところまではうまくいっているので、あと、どうやって完全に最後まで修了させるかというのが大問題だと思っています。

【若山主査】
 1つ質問よろしいですか。そこで理学というのが39名と、金融・保険とかございますよね。理学というと、例えば金融・保険だと、数学の方からという人もいるでしょうし、例えばクオンツなんかというと、基本的に量子力学みたいなものなので、物理の人なんかも結構多いですか。

【内田センター長】
 来ますね。はい。多いと思います。やはり数学が圧倒的に多いですけれども、物理の方からも来ます。データ科学については、これについては、数学科だけでは確かにないですね。物理の方からも来てくれています。

【若山主査】
 ありがとうございます。ほかにございませんでしょうか。
 どうもありがとうございました。お忙しいと思いますが、あと45分ぐらいですので、最後までおつき合いいただいて、もし何かございましたら御発言お願いいたします。
 それでは、続きまして、事務局の方で論点を作成していただいていますので、御説明お願いします。

【粟辻推進官】
 資料5をごらんいただければと思います。ごく簡単に整理していますけれども、大きく分けて、今回の論点、全体として、ビッグデータ時代においてどういうふうに数学が役割を果たしていくのかということと、それに当たってどういう人材が必要で、どう育成していくべきなのかというのが大きな論点でございます。
 (1)と(2)に分けていますけれども、(1)が数学、あるいは数理科学専攻の学科とかいった組織などでの話。(2)がそれ以外の分野の専攻における話でございます。
 (1)について、例示として3つぐらい挙げていますが、1.が今ありましたような副専攻のプログラム。2.が、少し課外活動的ではあるんですけれども、ほかの学問分野や企業との交流の機会を設けること、例えばほかの分野や応用数学の研究室や組織などに数学専攻の学生を短期間派遣するというようなものが考えられるのではないかということです。
 3.は、かねて議論がありますキャリアパスの話で、ほかの分野の大学院への進学が少ない点や、特に博士課程修了学生の企業への就職が少ないといような点をどうしていくのかという問題がございます。
 (2)は、ほかの分野の専攻における話でございまして、これも同じように副専攻のプログラムですとか、あるいは、こういったところの数学・数理科学の教育をどうするかといった問題があろうかと思います。
 以上でございます。

【若山主査】
 どうもありがとうございます。それでは、あと40分ぐらい、この論点、整理をしていただきましたので、先ほどの3人の先生方に御紹介していただいた内容も含めて、意見の交換、審議をしてまいりたいと思います。ここでは、今、論点は、大学の数学・数理科学専攻における育成の1、2、3についてと、それから、そのほかの専攻におけるこういう時代における人材育成について御議論を頂くということです。もちろんビッグデータの数学というのもあり得ますので、それはそれとしてまた別に御議論いただく機会もあるかもしれませんけれども、きょうは、きょうの流れで御意見をちょうだいできればと思っています。
 それでは、特に順番は決めませんので、数学・数理科学専攻における育成の話を、御意見をいただけるときは、そのようにお断りしてくださって発言をお願いできればと思います。

【合原委員】
 時間がないので、言いたいことだけ言って帰りますけれども、データサイエンスの教育の重要性というのは僕も大賛成です。ちょっと気になる点は、例えば先ほどのアメリカの職業ランキングなんかを見ると、聴覚専門家とかバイオエンジニアリングとかいうのが上位に割って入っていますね。これ、日本でトップジョブかというと、全然そんなことないわけですよ。バイオエンジニアリングなんかは、職がないというのを前回議論したわけで、だから、産業構造との兼ね合いで考えないと、アメリカがこうだからといって楽観視すると危険だというのがまず1つです。
 それから、もう一つは、樋口先生のほうで、500人を教育するときに、それをどこからどう集めてくるかという、そこをきちんと考えないとうまく回っていかないかなという。そこもやっぱり産業界との絡みになると思うんですよね。だから、日本の産業構造を考えながらどうやって人を集めて、どうやって教育して、学生を就職させるかという、そこのうまい循環を考えるのが1つのポイントかなという気がしています。

【若山主査】
 ありがとうございます。

【グレーヴァ委員】
 それに関連して思っていたんですけれども、やはり日本の大学と産業界が余りに分断されていて、就職して、必要なものが分かったので、一回休みなどをもらって大学に帰ってもう1回勉強したいというときに、大学が受け入れる体制がない。それから、あと、学部ともある程度つながっていないと、もし大学院に行きたいときに、これこれを勉強していないと行かれませんよとか、副専攻も取れませんよということがよく知らされていない。その辺の産業界と学部教育と大学院教育をうまく連携していくことが非常に重要じゃないかと思っております。

【若山主査】
 ありがとうございます。

【中川委員】
 日本の企業は製造業の比率が多いと思います。製造業は現場現物主義なので、物理則をベースにして何かものを考えるという文化がありますので、IT主流のアメリカとはちょっと違うかなと思います。アメリカはソフトウェア中心という感じですよね。その辺が日本とアメリカの企業の業種の違いを感じます。

【若山主査】
 そうですね。この会議の前にも田中先生とお話ししていたんですけれども、コンピューターサイエンティストといったときにも、アメリカなんかだと、数学系出身の人たちがすごく多くて、日本だと、電気電子工学出身の人たちが多いという。ですから、非常にハード面では充実した時代があったわけですね。そこのところが少し違うという気がいたします。
 ほかにございませんでしょうか。

【大島委員】
 (1)の大学の数学・数理科学専攻における育成に関連したことなんですが、恐らく内田先生のお話と関係すると思います。先ほどの話ですと、副専攻として開講していて、エントリーレベルで受講者の数は多いが、修了者が20名ということでした。ハードな授業を修了した学生にとっては、進路の多様化など、受講前と修了した後では、キャリアパスとして多様化したのでしょうか。また、反対に企業からこのような教育を受けた学生に対して、通常の授業のみを履修した学生に対してとは違う新しい側面としてこのような学生を取り入れるということはあるのでしょうか。

【内田センター長】
 企業側からはそういうのはないですね。ただ、10年もやっていますと、修了者が結構いい位置に、いいポストについている可能性がありまして、リクルートのときに、自分もそれ取っていたよというOBの先輩たちがいて、学生が副専攻プログラムの金融・保険というのを今履修していますと言ったら、それ、僕持っていたよというような、そういうつながりがあることはあると思うんですけれども、特に優遇というのはない、今のところは聞いていないです。

【大島委員】
 学生に対してのインセンティブということになると思いますが、なかなか難しいですね。

【内田センター長】
 そのとおりです。おっしゃるとおりですね。

【大島委員】
 学生にとってのインセンティブ、副専攻としてのインセンティブは、就職活動に際して少し有利に働くということになるのでしょうか。

【内田センター長】
 有利に働くというようなことを宣伝には使っていますけれども、実際にそれがどのぐらい反映しているかはちょっとよく分からないですね。
 ただ、学生自身は、履修する前と履修した後では、例えばクオンツに対する印象とか、アクチュアリーに対する印象とか、現場の先生方に実際に集中講義で教えてもらいますので、現場はこういうのだという、そういうのはいろいろ得るところはあると思いますけれども、実際に就職に直結するかというと、そこは本当に課題のところですね。おっしゃるとおりだと思います。

【若山主査】
 ほかにございませんでしょうか。

【國府委員】
 多分アクチュアリーなどには明確な社会的なメリットがあるので、それを目指すという学生がいて、その人たちはこのような副専攻を十分活用できると思うのですが、データ科学はそういう意味ではまだそのような社会的位置づけが多分学生によく見える形になっていないと思います。
 また先ほど樋口先生が言われた棟梁レベルのところを、例えばこういう形の教育でやろうとすると、ドクターまで進んでしっかりと学んだ人がそういうレベルの人材になるのだと思うのですが、そのためにはもう少し教育内容をしっかりと考える必要があるのではないかと思います。データ科学だけでなく、数学のイノベーションのための教育や人材育成を考えようとすると、やはりドクターレベルのところをどうするかというのが重要なのではないかという気がします。それについては私もどうするのがいいのかよく分からないのですが、この委員会としては、そういうところをこれからどうしていくかというのが大事なところなのだろうと思いました。

【若山主査】
 何かございますか。

【内田センター長】
 おっしゃるとおりで、ドクターの確保も、確かにそれも1つの目標でございます。だから、興味を持ってもらって、もう少し深く研究をしてもらう。金融・保険については、ある程度その成果は出ていると思っています。10年やってきた中で。

【國府委員】
 それは、金融・保険でドクターに進んで、学位論文を書く人もかなり、あるいはある程度いるということですか。

【内田センター長】
 やらなかったときよりは成果は上がっていると考えています。データ科学と数理モデルについてはこれからなので、それはもちろん期待したいと思います。

【國府委員】
 それは副専攻で用意されているプログラムに、ドクターなので、研究指導が入ってくると思うのですが、学生の興味やテーマに応じて、それに対応する部局の先生が研究指導をされるということですか。

【内田センター長】
 実際は所属の指導教員だと思います。だから、自分のところだけのデータ科学だけではなくて、いろんなデータ科学がある。いろんなことを勉強してみたい。そうすると、どうしてもいろんなことをやりたくなる。そうすると、時間がかかるから、当然ドクターの方に行きたくなるという、そういう感じで持っていけると思います。

【樋口委員】
 今國府委員がおっしゃった棟梁レベルのことについてです。きょうはデータサイエンティストということを題材にお話しさせていただきましたけれども、その仕組みみたいなことを議論するときに、数学・数理科学のところをどのように当てはめる、考えていくかということについてです。國府委員がおっしゃったように、棟梁レベルって、やはりドクターをちゃんと勉強したような人たち、それがある意味で更に大きく育っていくというふうなところになると思うんですけれども、レベル感としては先生がお考えになったこと、私も同様だと思います。
 じゃあ、日本の問題点はどういうところかというと、グレーヴァ委員おっしゃったように、多分産業界で研究開発部門のある程度チームを引っ張っていく、あるいは引っ張っていきそうな人というのがもう一度学び直し的に大学に戻って、そういうことが今は勉強できる仕組みになっているのかと。そのあたりの仕組み作りとか、あるいは、産業界とアカデミアのキャリアパスの関係とか、そのあたりも併せて議論していくような、ちょうど棟梁レベルはそういうことが議論できるところではないかと思います。

【若山主査】
 ありがとうございます。

【森委員】
 今おっしゃったことについてですけれども、例えば統計数理研究所さんですと、実際にそういうニーズはもちろんあるわけですけれども、企業にいてそういう地位におられる方が再履修というんですか、そういうのはどのくらい例があるんですか。

【樋口委員】
 幾つかのタイプはあります。総研大に入られる人もいますし、公開講座というのを年間10から12ぐらいやっていますけれども、それをほとんど受講されて自学自習される人もいらっしゃいます。また今年から研究所にブースを作って、民間の人たちに活用してもらうというのも始めたんですけれども、その3つぐらいのパターンがあると思います。公開講座は、ちょっとこちらで何人ぐらいが分かりませんが、系統的に7割が今、社会人なんですね。非常にまじめに受講されている方がいらっしゃるので、その数を数えなければ(年間)数名程度です。

【森委員】
 ああ、なるほど。やっぱり難しい。東京にあってもやっぱり難しいわけですね。

【樋口委員】
 まず体系化。

【若山主査】
 ただ、数学とか統計は、実験のものが要らないので、そういう意味では、私のいるところでも、社会人ドクターというのが徐々に増えてきている気がいたします。
 それとちょっと質問なんですけれども、確かに日本には統計学科は学部段階でないんですが、例えば九州大学だと、理学部数学科が55名定員で、そのうち毎年10名ぐらいが統計で、最近はほとんど修士に行き、修了している気がしますけれども、全国的にはどんな感じなんですか。

【内田センター長】
 統計を専攻して……。

【若山主査】
 専攻して。

【内田センター長】
 少ないと思いますね。

【グレーヴァ委員】
 でも、経済学部も統計、経済統計はあります。

【内田センター長】
 計量経済を専攻している学生は比較的多いと思います。

【グレーヴァ委員】
 いろんな日本中の経済学部で、半分とは言わないですけれども、かなりのパーセントはそれを専攻している。修士行かない人は多いですけど、学部でやっている人は多いと思います。

【内田センター長】
 私が申し上げたのは数理統計という意味でということなのですけれども、それは各数学科に統計の先生がいらっしゃれば、それは当然そういう数字が出てくることを期待しますが、ちょっと私には分からないです。

【若山主査】
 非常に人気がありますね、九州大学では、統計。

【内田センター長】
 そうですね。

【若山主査】
 人気があります。数理統計からデータサイエンスという方向もあるし、それから、もともと日本だと、データサイエンスから統計学の深いところを学んでいかれて、よりほかのいい仕事をされる方というのが多いんじゃないかという印象を持っているんですけど、それは正しいですか。

【内田センター長】
 そうですね。今おっしゃったように、計量経済の方から数理統計のほうに入ってくる人が多いですね。

【グレーヴァ委員】
 はい。それは幸いに、日本の高校の数学教育がいいので、経済学部行った後でもそこに行けるんですね。1回、応用に行った人でも、もう1回数理統計に行くことが可能になる。

【若山主査】
 データ科学というと、本当にいろんなものに深く関わっているわけですけれども、そういう意味で。

【中川委員】
 大学と企業の関係ですが、産学連携という形態があります。企業の人が大学に行って学ぶというよりは、共同研究という形態で、お互いのチームが議論し合いながら新しい技術を習得するということは普通にやられていると思います。

【若山主査】
 そうですね。幾つかの例ですけれども、共同研究をされ始めて、それで社会人博士に入学されてくる方というのもそれなりにいらっしゃいますね。

【中川委員】
 もあるし、共同研究を通してお互いが学べると思います。

【若山主査】
 そうですね。それは本当にそうだと思います。ほかにございませんでしょうか。

【樋口委員】
 先ほどの話でもう一つ、産業構造、あるいは、ほかの外国の産業構造と日本のという話があったので、そこで意見を申し上げたいと思います。もちろん欧米の産業構造と日本の産業構造は違いますので、それをそのまま輸入し、そこで解釈するというのは不適切かもしれませんけれども、ただ、世界全体のグローバルな大きい企業というのが、やはりIT系、あるいはサービス業というふうになっていて、明らかに産業構造がグローバルにシフトしていると。また、ものづくり分野においても、例えばマテリアルインフォマティクスに代表されるように、従来のものづくりの研究開発からもう少しスマートにやる、効果的・効率的にやるということがどの分野でもどの産業でも重要になっているということを考えますと、そこを強化するのに資する学問というのは、この数学・数理科学、あるいはデータサイエンスであるのは間違いないと思うので、やはりそこの効果的な人材育成というのは、諸外国の産業構造も十分意識しながらやっていかないといけないんじゃないかと私は思います。

【若山主査】
 どうぞ。

【森委員】
 ばかな質問で恐縮ですけれども、内田先生にお伺いしたいんですけれども、データ科学をマイナー専攻ですか、取った中で、基礎工学がやっぱり一番多いですね。

【内田センター長】
 はい、そうです。

【森委員】
 大体その中の人はどういう方向に行くんですか。

【内田センター長】
 ドクターに進学してくれる人はわずかで。

【森委員】
 そうなんですか。

【内田センター長】
 そうですね。あとは、企業のほうに行きます。データ科学を取って、金融・保険の方のクオンツとかに行く、アクチュアリーの方に行く人ももちろんいますし、あと、製薬会社と、あとメーカーですね、そういうところに行く人もいます。

【森委員】
 じゃあ、別に統計の研究者になるわけではないけれども、例えば生命科学の研究者になるときに、そういう知識があるといいと思って取る学生はいないわけですか。

【内田センター長】
 今、データ科学については2年目なので、なかなか追跡調査ができないのですが、そういう人ももちろん取ってくれることを希望しています。

【國府委員】
 医学の学生は多いのでしょうか。

【内田センター長】
 多いですね。保健の方からですけども。やっぱり必要に迫られて取っていただいているという感じですね。保健コースがありますので。

【國府委員】
 保健コースがあるんですか。

【内田センター長】
 23ページですね。23ページの保健医療統計学コースというのがありまして、まさしくこういうことで、こんなに科目がないのです。だから、保健学科の学生で物足りないと思っている人はこのコースを取って、より深い勉強をしたいと。その後どうなるかというのは、まだこれからなんですけれども。

【國府委員】
 ということは、先ほど森先生が言われたことに関係するかと思うのですが、生命科学などで実験をして、いろいろデータが取れて、もっとデータの扱い方について学ばなければいけないという意識を持って来るというのとは少し違うということでしょうか。

【内田センター長】
 もちろんいます。つい先日質問があったのは、生物工学の学生さんが機械学習をやりたいが、自分のところにはないし、教えてくれる先生がいない。だけど、副プログラムの案内を見たら機械学習コースがありますが、取れるんですか?ということでした。どうぞどうぞ取ってくださいと、そういう感じです。

【森委員】
 田中先生に質問なんですけれども、必要な人材の資質というところで、メゾスコピックなレベルでモデリングするのは、ものすごく高度な能力のように思うんですけれども、それと提言の中とかなりのギャップがあるように思うんですけれども、そうではないんですか。

【田中特任教授】
 そこ、非常に難しいと思うんですね。だからこそ、いろんな分野のトップレベルの先生を招いて演習をさせるという、そういうことをやらないと、なかなか育たないと思うんですね。

【森委員】
 やっぱりかなり難しいけれども、目標はそういう目標を置いておきたいという感じなんですね。

【田中特任教授】
 ええ。というのは、今、我々、本当に必要としているのはそういう人じゃないかと思うんですよ。要は、データサイエンスも、リテラシー的なところもあるんですね。もうかなりいろんなツールはそろってきているんです。オープンソース・ソフトウェアもありますし、例えば有名なところ、Wekaというのがあったり、あるいは、さっきのWalframも、Walfram Alphaというライブラリを公開しています。どんどんどんどんそういうものが使えるようになってきているんですけれども、ただ、問題は、そういうものを使う前に、どういうふうにメゾスコピックレベルで全体を見るかという。例えばコストファンクションをどういうふうに考えるかとか、最適化の問題であれば、コストファンクションをどういうふうに見なせば最適化ができるかとか、そういったことが重要なわけです。

【森委員】
 つまり、最適化すべき関数は何かという。

【田中特任教授】
 そうです。そこをうまく作れるような人がいないと駄目なんですね。今、ビッグデータ時代だと、そんな1つの指標ではないわけですね。コスト関数1個デザインするという話じゃないので。

【森委員】
 なるほど。ちょっと分かってきました。

【田中特任教授】
 そういう人材が一番今不足しているんじゃないかなというふうに僕自身は思います。

【舟木委員】
 メゾが大事というのは、要するに、ミクロから見ると、やはりデータが多過ぎるので、ある程度。で、マクロに行くと、またそれは、先ほどフィッツフュー-南雲とかありましたけれども、それはマクロですよね、ある意味でね。

【田中特任教授】
 ミクロから完全に積み上げていけるようなものはそれでいいんですけれども、そういう分野もあるんですけれども、ただ、ミクロから積み上げていくというのはちょっと厳しい場合の方が多い。

【舟木委員】
 ちょっとデータ量が多過ぎて、なかなかまだそこまでできない。

【田中特任教授】
 データ量も多いですし、それから、変数の数もすごく多いし、サブシステムの数も膨大な数になるわけですね。ですから、従来のマクロ・モデリングの数十ぐらいの変数のものから、数百とか数千ぐらいの変数の構造をどういうふうに見るかというところがすごく重要になってくるんだと思うんですね。

【若山主査】
 何か研究対象というか、対象があって、ビッグデータというのはある意味じゃそこから発せられる、そこ上の信号の全体ですよね。関数環とは言いませんけれども。だから、そういうところはやっぱり数学的なアプローチも有効なのかもしれない、そんなふうなところもあると思いますけど。

【田中特任教授】
 だから、データサイエンスそのものの教育というのも非常に難しくて、例えばこの間もNSFに関係しているビッグデータ関連の人と話をしていて、ボストンでは実はK12でデータサイエンスを教えているという話を聞いたのですが本当ですかと聞いてみたのです。K12ですから、高校3年生までの間にそういうカリキュラムも入れているということなんです。
 そういう話をNSFの人と話をしたら、何を教えているんだろうねと彼は逆に聞くんですね。データサイエンスそのものが非常に教えにくいと。つまり、例えばどういうアルゴリズムがありますかということは教えられますし、アルゴリズムの原理がどうなっているかということも教えられますけれども、実際に必要なのは、問題が与えられたときに、どういうふうにそれらを組み合わせて使うかということですよね。

【森委員】
 それは難しいな。

【田中特任教授】
 それから、対象をどういうふうに捉えて、どういうパラメータのマイニングをするのか、どういう関係性をマイニングするのかというような話が非常に重要で、そうすると、先に数学モデリングがものすごく重要になるはずなんですよ。

【若山主査】
 常行先生、お聞きになっていて何か。

【常行委員】
 私、ちょっと一つ、内田先生に伺いたいことがあって、コース名を見ると、かなりレベル、名称を見ると、非常にレベルの高い講義名で、これは受ける方にとって必要とされるバックグラウンドというのは、どのレベルのバックグラウンドを期待していますか。

【内田センター長】
 例えば統計数理コースというのは、対象は数理系を、数学科、または情報でも数理科学コースの学生さんを想定しています。つまり、分かりやすく言うと、測度論はある程度分かっているもとでの講義です。

【常行委員】
 すいません、聞き方が漠然とし過ぎたんですけれども、要するにこれ、学部の各専門学科のものをバックグラウンド知った上でないと分からない講義だとすると、なかなかついていけないんじゃないかと思うんですけど、そういうふうにはなっていない。

【内田センター長】
 例えば統計数理コースが一番身近なのかなと思うんですけれども、例えば確率微分方程式なんていうのは、これはかなりレベルが高い話ですよね。だから、何もバックグラウンドがなしで、さあやりましょうというのはちょっと無理な話というか。

【常行委員】
 そういうバックグラウンドのない学生向けに基礎のところから教えるようなことはしないわけですね。

【内田センター長】
 しないですね。これはやっぱり大学院のプログラムなので、確率とはというところからやるということはないですね。

【常行委員】
 分かりました。ありがとうございます。
 それで、ちょっと戻って、この論点についてちょっと思ったんですけれども、結局例えば数学・数理科学専攻の学生に対しては、ほかの分野の交流の機会の提供が大事だと。ただ、実際に違う分野の話を聞こうとすると、そこはものすごい専門用語の嵐で、バックグラウンドを当然期待してみんな話をしている中で、数学の学生が溶け込んでいけるかというところがかなり問題で、逆に諸科学の方から数学の話を聞こうとすると、数学の全部を例えば知らなくても、ある部分を勉強したいというときに、いろんな学部の教育のバックグラウンドの上に話をされるとついていけない部分があって、同じようなことだと思うんですけれども、そういうことを考えると、大学院教育はすごく大事なんですけれども、もうちょっと下の本当の1、2年レベルの大学のリテラシーに近いところで、いかに広い分野を眺められるか。深くなくてもいいので、少なくともこの分野で今どういうことが先端で話題になっていて、例えばデータ科学がとても大事だとか、それでどんなことができるんだと、そういう最初に触れて、違う分野に将来大学院で接するときの障壁をなるべく下げるような教育が必要なんじゃないかなと。まずはそこが大事なんじゃないかなという気がちょっとし始めました。

【若山主査】
 まさしくおっしゃるところで、リテラシーというのもありますし、両方そうなんですけれども、数学専攻の人たちも、ほかの専攻の人たちも、そこから今回、先回から副専攻とかいうことについての議論を少し。

【常行委員】
 副専攻は、ただ、大学院ということですね。

【若山主査】
 副専攻というよりは、マイナーですね。メジャー、マイナーという意味でのマイナーが少し入ってもいんじゃないかという、そんな議論をやってきたわけです。そこで、きょうのこの議論と、それから、先回、今井先生、マイナーの話をしてくださったんですけれども、何か御意見はありませんか。

【今井委員】
 そうですね。やはり修士入って副専攻やろうと思っても、学生も忙しいと思います。ドクターに行こうと思っている学生にとってはまだ少しはいいかもしれないのですけれども、就職活動が始まると、修了しているわけではないので、取りましたという終了証を就活は利用できません。頑張る学生は、結果的に副専攻の修了証を手に入れることができるのかもしれないのですけれども、多くの場合には、就職活動が終わると、副専攻やろうとしていたことが生かせる会社に就職できないことが起こります。副専攻をなかなか生かし切れていないように思います。ただ、将来的にはもちろん、長い目で見ればやったことは生かせると思うのですけれども、今の学生はわりと近いところに目標を置いている気がします。そうすると、もう少しうまい仕組みを作ってあげられないと、副専攻を生かすことができないように思います。せっかく履修し始めたのに修了する学生が少ないのは私たちのところも同じ状況になっています。私たちの見せ方もいけないのかもしれないのですけれども、将来的に長い目で見ればちゃんと生かせるのだということを見せてあげられれば、多少思っていた業種に就職ができなくてもやり続けてもらえるのかもしれないと思います。その辺が、先ほどから出ているように、バックグラウンドが違う学生が来たときに上手に対処ができていないとか、今議論されているような問題点が全部積み重なってしまっているのかなという気はちょっとしています。
 これは知っていること、ここまで分かっているという前提で副専攻をやるのであれば、その方が割り切れていいのかもしれませんが、バックグラウンドの違う学生に同時に講義をするのは、学生も教員も両方で苦労している感じがしています。

【常行委員】
 もう一つ言い忘れたこと。学生の教育も大事なんですけれども、もしかしたら教員の教育が要るのかなと思って、例えば数学で今何が起きているのかというのを違う分野の教員が勉強するとか、その逆とかですね。教員が少しでもいいから状況が分かると、研究室の学生にそれが伝わるという、その辺大事かなという気もいたします。

【若山主査】
 ほかに。

【國府委員】
 さきほどからのお話に何度も出ていると思うのですが、副専攻プログラムとかマイナープログラムを、学部でも大学院でも、ちゃんと効果があるようにやろうとするときには、やはりバックグラウンドの違う学生にどう対応するかが重要だと思います。多分そういう学生向けに講義をすることにすれば、モチベーションを持った学生なので、もう一度学部教育、数学教育を全部やり直すようなことをしなくても、わりと効果的にいろいろ集中的にやれるところがたくさんあると思うのですが、それはなかなかやれないですよね。つまり、我々教員がもう既にいっぱいいっぱいなので、それに更に加えて、例えば特別に新たに講義をするとか、そういうことをやってくれる人が見つかれば、それはそれでいいんですけれども、そういう手当てもなかなかできない中で、精いっぱいやれる範囲でやろうとすると、どうしても例えば阪大のような形になるというのは非常によく分かります。そこのところが現状での大きな障壁なのかなと思います。田中先生のスライドに書かれている、集中的に数学の授業をやるというのも、やり方にもよるとは思うのですが、やはり今の大学での数学の教育のされ方と比べると相当に違う形になって、それを実現しようとすると、違った形の体制にしなければいけないし、必要になるたびにそれに対応しようとすると、それがエクストラのエフォートになるという構造をうまく打破できないと、この副プログラムというのもなかなかうまく回らないような気がしています。京都大学でもいろんなことを考えているのですが、実際にぶつかるのはそういうところの壁が多いので、それを何とか脱することができないかなというのは非常に強く感じているところです。

【若山主査】
 この委員会の1つの在り方にも関係しますけれども、一遍に日本全体でそれをやるのは無理にしても、やる気がある大学ですね、数学系でもいいし、ほかの分野で数学をというのでもいいですし、そういうふうな、例えばわりと安定したイニシアティブというか、そんなものを設定していただいて、それでもやっぱり持ち出しの時間は教員には出てくるし、学生たち自身だって、限られた時間でどれだけの勉強ができるかというのはありますから、難しいことは難しいでしょうけれども、国に対してそういう提案をしていくということは意義があるのかなと、そんなふうには思いますが、行松課長、何か。

【行松課長】
 今御議論いただいているところは、研究振興局だけではなく文科省全体として考えなければいけない問題も多く抱えておりますので、この委員会で頂いた御提言をどう実現していくか、是非我々としても考えていきたいと思っております。

【若山主査】
 どうもありがとうございます。

【舟木委員】
 時間も余りなくてすいませんが、私、ビッグデータ時代における数学の役割ということですが、余りよく知らないので、無責任なことを言うことになるかもしれないんですけれども、アメリカの、私、個人的な経験では、ミシガン大学の数学教室、アナーバーにある数学教室の方とお話ししたときに、大体80人規模の教室ですけれども、1人はデータサイエンティストがいるというお話をされていました。今、時代の流れとしてはそういう時代なので、そういう人を雇っていると。
 ただ、最後に言われたのは、ちょっと私気になるのは、自分の子供にはデータサイエンティストにはならせたくないと。つまり、要するに、時代の流れというのがなかなか見えないので、数学というのはもちろん長い歴史を持っていて、これをやらせることは自分としてはもちろん子供たちにつないでいきたい。ただ、時代の流れがどうなるか分からないので、それは勧められないとおっしゃったのが非常に印象に残っています。ただ、これはそれぞれの社会で違うことでしょうから、アメリカではそう思っている人がいる。ただ、私、これ、1人の人と話していただけですので、それがどうなるか、それが全体の意見を代表しているというふうには思いませんけれども、それは非常に印象に残っていることです。ちょっとつけ加えさせていただきました。

【若山主査】
 時間が迫ってきましたけれども、何か御発言、特に田中先生、内田先生は、きょう限りということですので、少しヒントになりそうなことがございましたら。

【田中特任教授】
 やっぱり応用に関しては、トップサイエンティストから課題を出してもらって演習をするというのがすごく重要だと思うんですね。副専攻の話、随分いろいろなところでおっしゃるんですけれども、もちろん今の制度の中でこういう応用演習というのはなかなか難しいかもしれませんけれども。さらに、やっぱり一番重要なのは語学力じゃないかなと思うんですね。語学力があれば、例えばバイオメディカルをやるといっても、まさかウエットラボまでやる話ではないので、語学力があれば、その分野の研究パートナーと組んでやれば、実際に分析をする場合というのは必ずそのパートナーと組むわけですから、全く問題ないと思うんです。ただ、そういう新しい分野の人たちの課題を果敢に考えるというような演習だけはやっておかないと、なかなかそれはできないと思うんですね。

【若山主査】
 演習をされる、演習を、そういうのを受講される学生というのは、今の例えば数学の専攻の学生とか、あるいは情報科学の専攻の学生というのを想定しているわけではなくて、それとは別にあった方が、最初から学部段階からそういうのがあった方がいいという感じ。

【田中特任教授】
 と思いますね。集中的に数学と語学をやって、それで時々外部から、あるいはもちろん内部にいる人でも、トップサイエンティストを呼んできて、いろんな分野の先生に演習問題を出してもらって学生に考えさせるという。もちろん出す方の先生は、数学的なモデリングとして非常に重要になるような、ある程度のソリューションが分かっているような人たちが出さないと駄目なんですが。それをあえて伏せて出して、学生さんに考えさせるというような、そういう形でやっていかないと、なかなか本当に必要な人材は育っていかないんじゃないかなという気はしますね。今、そこが一番人材育成になるように僕自身は思います。

【若山主査】
 ありがとうございます。内田先生、何かございますか。

【内田センター長】
 先ほども御意見があったように、先生がおっしゃったように、大学院どころではなく、学部、それから、統計リテラシーという、教養の、そこから組み直してというのは、まさしくおっしゃるとおりだと思います。徐々に徐々にそういうことを考えてやっていきたいと思います。
 それから、あと、先生がおっしゃったように、副専攻プログラムは受講するのだけれども、就職が決まったらもうやめてしまう。本当にそういうのがあります。モチベーションがなくなってしまうので。だから、持続可能で、最後まで修了して、ああ、よかったというふうになるようなインセンティブをちゃんと考えるというのも非常に重要ですね。だから、エントリー者数と余りにも修了者数がかけ離れているので、そこを何とかしないとうまくいかないんじゃないかと言われても致し方ないところがあります。だから、そういう教養の教育、学部の教育とか、あと、副専攻プログラムのインセンティブの問題、それは確かに常に考えていることでございます。どうもいろいろありがとうございました。

【若山主査】
 どうもありがとうございます。さて、時間が迫ってまいりました。樋口先生の方から。

【樋口委員】
 すぐ終わります。社会人に関わる数で、数名と言いましたけれども、誤解のないように、毎年新しく入ってくる人が数名ということで、今数名しかいないということではないです。ちょっと補足説明いただきます。

【若山主査】
 どうもありがとうございました。それでは、尽きないことは幾つかございますが、本日御議論いただいた内容を踏まえ、次回からの数学イノベーション委員会の検討につなげていきたいと考えています。
 最後に今後のスケジュールを粟辻さんの方から。

【粟辻推進官】
 資料6として付けておりますけれども、次回は12月22日の火曜日に予定しております。それから、注釈で付けておりますけれども、来年以降、月に1回程度開催して、3月にこの上の部会であります戦略的基礎研究部会がありますので、そこでこの委員会での検討状況を報告し、最終的に6月ごろに報告書を取りまとめたいという、そういうスケジュール感で進めたいと思っております。
 それから、あとは、机上の資料につきましては、封筒に宛先を書いていただければ、そちらの方に送らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【若山主査】
 どうもありがとうございます。それでは、これで数学イノベーション委員会、閉会いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局基礎研究振興課/数学イノベーションユニット

電話番号:03-5253-4111(代表)

-- 登録:平成28年01月 --