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総合政策特別委員会(第23回) 議事録

1.日時

平成30年12月21日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. これまでの論点整理
  2. 科学技術予測調査(科学技術・学術政策研究所)
  3. イノベーションデザイン活動について(理化学研究所)
  4. 研究力向上に向けた検討について
  5. その他

4.出席者

委員

濵口主査、庄田主査代理、新井委員、川端委員、新保委員、菅委員、竹山委員、知野委員、塚本委員、土井委員、冨山委員、西尾委員、橋本委員

文部科学省

山脇文部科学審議官、瀧本総括審議官、磯谷研究振興局長、松尾科学技術・学術政策局長、千原研究振興局審議官、渡辺科学技術・学術政策局審議官、勝野科学技術・学術政策局総括官、坪井科学技術・学術政策研究所長、赤池科学技術・学術政策研究所上席フェロー、木村開発企画課長、角田政策課長、井上企画評価課長、岸本調査役(理化学研究所未来戦略室)、小野山企画評価課課長補佐、ほか関係官

5.議事録

科学技術・学術審議会 総合政策特別委員会(第23回)


平成30年12月21日


【濵口主査】
  お時間になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会総合政策特別委員会を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 それでは、まず、事務局より出席者の紹介をお願いいたします。

【小野山企画評価課課長補佐】
  それでは、まず、事務局より出欠について確認させていただきます。
 本日は、大橋委員、小野寺委員、五神委員、白石委員、角南委員、永井委員、松本委員。それと、新井委員、橋本委員が御出席予定ですが、少し遅れております。その他の委員については御出席いただいております。
 以上になります。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 それでは、会議開催に当たりまして、事務局から配付資料の確認をお願いします。

【小野山企画評価課課長補佐】
  資料については、お手元の議事次第の裏にありますとおり、資料1、資料2、資料3、資料4をまとめたPDFと、参考資料1から4をまとめたPDFをお手元のPCの中に入れております。
 また、参考資料1、2について、机上ファイルにも資料を置いております。
 そのほか机上配付資料が2枚ございます。
 欠落等の不備等ございましたら、途中でも結構ですので、事務局までお知らせください。
 以上になります。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 本日は議題1としまして、これまでの論点整理として事務局よりまず説明していただきます。
 続いて、議題2、科学技術予測調査について科学技術・学術政策研究所より御説明を頂き、議題3、イノベーションデザイン活動について理化学研究所より説明を頂きます。
 また、議題4、研究力向上に向けた検討について御説明を頂き、最後に、その他として自由討議の時間を設けております。よろしくお願いします。
 それでは、事務局より資料1の説明をお願いいたします。

【井上企画評価課長】
  おはようございます。企画評価課長の井上です。
 それでは最初に、これまでの先生方に頂きました御意見を事務局なりに柱立てで整理したものを準備いたしましたので、議論の先立ちとして御説明させていただいて、進めさせていただきたいと思います。
 今回は今、濵口先生からございましたように、何件か御説明を頂きますので、コの字型にしまして、こういう形で前から説明させていただくという形をとらせていただきます。
 それでは、よろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
 資料1を御覧ください。これまでの論点整理というペーパーを準備させていただきました。
 最初の柱といたしまして、先生方にもまず、我が国がどういう状況になっているのか、世界がどういう状況になっているのか、その立ち位置というものをしっかりする。未来像もしっかり議論しながらまず進めていく必要があろう。それで、今後の方向性はその上で考えていく。そして、科学技術がどういう役割を担うのかという御議論を頂いたかと思います。そこで、その項目で論点を幾つかまとめさせていただいています。
 1つ目のポツですけれども、将来像や価値観が非常に多様化している社会になっている。そういった中で、持続可能な開発目標、前にありますけれども、SDGsですとか、第5期基本計画でも打ち出されましたSociety5.0等の推進が求められているということです。
 そして、2つ目のポツとして、科学技術が急速に、スピードをアップして進展していっているという中で、革新的技術の進歩がこれまで以上に経済や社会や政治に直接的に影響を及ぼすような状況になっているだろうという点です。
 そして、我が国の立ち位置と申しましたけれども、やはり我が国のことを考えた場合、課題先進国であるということ、その課題に対して、科学技術の力によって先導的な挑戦を続ける社会を構築して、そのモデルを世界に示していくというようなことがやはり求められているのではないかという点です。
 その次のポツですけれども、先端的、基盤的な科学技術やそのシステム、そして、科学的知見やデータといったものが社会生活に全く新しい価値をもたらしている社会基盤であるという捉え方をするということです。そして、国として、今後、より一層それを重点化すべきものであるということを、ぶれずに継続した視点で再認識をするとともに、科学を文化の1つとして、一層定着させていくという点を整理させていただいています。
 2つ目の大きな窓割りとして、今後の研究の在り方、科学技術システムへの転換という部分ですけれども、まず、アカデミックエクセレンスという言葉を使わせていただいておりますけれども、真理の探究、基本原理の解明、新たな知の発見、創出や蓄積など、研究者が卓越した新たな発想を追求して、創造活動する。そういったアカデミックエクセレンスが非常に重要であるということです。
 これらの多様性と厚みが社会に新しい価値をもたらし得る力の源泉となるのではないかという点です。
 そして、1ページ目の最後のところですけれども、ビッグピクチャーというところを示させていただいていますけれども、失敗を恐れずに、独創的、挑戦的な研究力に立ち向かうということが今こそ必要なのではないかという点です。挑戦、失敗の連続、蓄積というのは、消極的な意味ではなく、積極的な意味でも、それもまた成果なのではなかろうかという点です。
 それを生かしていくには、次のページの頭にありますけれども、適切に評価をしていく必要がある。そのことによって、次の研究に再挑戦できる環境を整えていくという点です。
 2つ目のポツといたしまして、研究者、特に若手の研究者が自らの研究に対してビッグピクチャーを描きつつ、社会をどうしていきたいかということもしっかり考えていただく。研究者自身が自己決定して突き詰めていくということが非常に重要ではなかろうか。そのためには、やはり俯瞰(ふかん)的、複眼的な視点を持った人材の育成というものが必要ではなかろかという点です。
 次のまとまりとして、柔軟性、即時性という部分ですけれども、先ほど触れさせていただきましたように、社会が急激に変化する。科学技術の進歩が非常に急速という中で、柔軟性、即時性を持って適応していくということが極めて重要ではなかろうかという点です。
 そのために、組織でありますとか、組織をつなぐネットワーク、科学技術システムというものを常に新しくしていくという仕組みによって多様な個性、能力の調和と共創が実現できるのではなかろうかという点です。
 そして、最後のまとまりの部分ですけれども、バックキャストとフォアキャストと書かせていただいておりますけれども、地球的規模課題でありますとか、我が国の課題であります超高齢化、地方の問題、地方創生等の社会課題や将来の未来社会ビジョンからのバックキャスト、そして、反対側の科学技術の潮流からのフォアキャストというものを関係者間で積極的に共有して、ビジョンをデザインする仕組みを作っていく必要があるのではなかろうかという点です。
 この点については、この後、科学技術・学術政策研究所、理化学研究所の未来戦略室の取組を紹介していただきますので、その貴重な御意見も基盤として議論を進めさせていただければと考えております。
 その2つ目のポツのところ、イノベーションといっても様々な対応がある。それに見合ったやり方というのをきめ細かに考えていかないといけないのではなかろうかという点。
 そして、最後にELSIの問題として、これは必ずこれから重点的に取り組んでいかないといけない問題ではなかろうかという御意見を頂いたかと思います。
 これらの諸点について、事務局の方で参考資料1の方になりますけれども、各機関が出している関連するデータを御紹介させていただいておりますので、簡単に触れさせていただきたいと思います。
 前にも表示してますけれども、1枚目、まさに最初に申し上げましたSDGs、そして、Sociey5.0の部分でございます。
 ここから4枚が、それぞれの科学技術の分野で非常に急速に展開していっている。大きな波によって移り変わっているという様子をJST/CRDSの資料をお借りして紹介させていただきます。人工知能、ビッグデータの部分、ロボティクスの部分、社会システム科学の部分、コンピューティングアーキテクチャの部分、それぞれ波があって、どんどん移り変わっているという様子です。
 そして、これが、ベンチャー企業の規模の変遷でございますけれども、3時点での変遷ですけれども、非常に入れ替わってきている、アメリカは特に入れ替わってきている。そして、プラットフォームを提示するようなGAFAを代表するような企業がどんどん台頭してきているという様子です。
 我が国での問題、先ほど少し触れさせていただきましたけれども、人口の減少、この縦の赤ラインのところが現在の部分ですけれども、今後、どんどん生産年齢人口が減少していくという問題があります。
 高齢化ですけれども、左が欧米、右がアジア、赤が両方とも日本ですけれども、やはり日本が先頭を走ってというか、まずそれに直面するという様子が分かりますけれども、各国もやはりその問題を今後抱えていく。アジアもやはり、アジアだと、日本よりも急激なぐらいのカーブで伸びていくというもので、必ず世界的な課題にもなるという様子がこれで分かるかと思います。
 これは社会保障の増大の我が国の問題です。人口ですけれども、これは2050年の様子。この紫色の部分が50%以上減少するという地域ですけれども、ほぼその色に染まっている。こちらの横棒グラフで見ると、44%が50%以下、20%近くが人口がいなくなる地域になってしまうという様子です。
 これがGDPに関するものです。これは、何回もこの会議でも御紹介しております論文、そして、優秀なトップ論文の順位の話。論文数と科学技術予算の変化の割合。微減していっている。政府の予算のカーブと似たカーブが見てとれるというところがありますけれども、そういう資料です。停滞する論文数と博士の課程の入学者が減少しているという問題というところですけれども、これに関して、科学技術政策に何を望むのか、何ができるのかというところかと思います。
 本日、まず整理をさせていただきましたけれども、前回を含め、かなり大きな議論を頂きました。是非今回、前回御報告したように、第9期総合政策特別委員会で論点の整理とその大体の方向性を1月をめどにしていただいて、その後、省内でも各部会、分科会で議論してくださいというお話をさせていただこうと思っておりますけれども、各分野の具体的なところはそこで議論されるかと思いますので、大きなピクチャーのところと、その個別の具体の間といいましょうか、まさに大きな方向性、具体的方向性のところについて、是非御議論いただければと思っております。
 先ほどアカデミックエクセレンスということも提示させていただきましたけれども、どういうことができるのか、何なのか、今、資料にあったように、論文数ということで今、それしかないかということで、皆ほかにもあるのではないかと思いつつ、論文数のことが話題になってしまいますけれども、そういったことも含めて、何かほかのことはないだろうか、具体的な方策はないだろうかという点についてもお知恵を頂戴できればと思っております。
 以上、まずの事務局からの御説明をさせていただきました。

【濵口主査】
  ありがとうございました。
 それでは、議題2について、科学技術・学術政策研究所から資料2について説明をお願いします。

【坪井科学技術・学術政策研究所長】
  科学技術・学術政策研究所の坪井です。
 当研究所で昨年度から来年度までの3年計画で進めている科学技術予測調査に関して、現在の状況を御説明いたします。
 資料2に基づいて御説明しますが、資料2参考資料には関係データなどを載せています。
 まず、1ページですが、当研究所の科学技術予測調査は、多数の専門家の見解に基づく科学技術の発展の見通しをベースとして中長期的な未来の可能性を展望し、科学技術イノベーションに関連する戦略や政策の立案に資する基礎情報を提供することを目的にしております。
 なお、日本語の予測という言葉は、予想と大差ないように受け止められやすいのですが、英語ではこのような予測活動はforesightと呼ばれております。
 当研究所のこの調査をしている実施部門は科学技術予測センターというのですが、この左下のロゴにもありますように、英語ではScience and Technology Foresight Centerとなっております。
 単に将来を予測するのではなく、将来何が起こり得るのかとか、将来に向けて何を目指すのかとか、そういったところを深く洞察していくという姿勢が大事ではないかと認識しております。
 この調査は、最近は科学技術基本計画の期間と同じ5年ごとに実施してきており、通算すると、今回は11回目に当たります。今回の予測調査では、2040年をターゲットイヤーとしつつ、30年後の2050年までの展望をするというものにしております。先を見通せるのはせいぜい10年、いや、5年ともいわれる昨今でありますけれども、あえてこれまでと同じように今後30年という期間を設定して活動を進めてきております。
 特徴のところにありますように、多様なステークホルダー、ICTの活用、多様な情報や研究成果を活用しながら進めております。
 今回、11回目の調査は、4部構成という形で進めております。1つ目は、将来社会に影響を及ぼす可能性のある科学技術や社会変化のトレンドや兆しを収拾するホライズン・スキャニングというものです。それから、望ましい日本の社会の未来像を検討するビジョニング、それから、実現が期待される科学技術を抽出し、その実現可能性や重要度を評価するデルファイ調査、そして、日本の社会の未来像と科学技術の未来像を統合させるシナリオ作りという構成です。
 特にシナリオについては、包括的な基本シナリオとテーマに特定した深掘りシナリオの作成予定しております。
 時間軸としては、先ほども申し上げましたが、2050年までを対象としつつも、2040年あたりの望ましい社会の未来像をターゲットとしつつ、望ましい社会の未来像からのいわゆるバックキャストと、科学技術に関してはデルファイ調査といういわゆるフォアキャストと、この2方向から検討しながら、シナリオという形で統合させていくアプローチをとっております。
 2017年度から2019年度まで3年間にまたがる調査活動で、先ほど申したパートをそれぞれ進めてきており、来年の6月頃に基本シナリオや重要科学技術領域の取りまとめ、また、深掘りシナリオ等については来年12月頃に取りまとめを予定して進めております。
 今年度は、主に科学技術に関するフォアキャストとしてのデルファイ調査を実施することとしておりますが、このために、科学技術予測委員会と、それぞれの分野の分科会を設置しております。この分科会にデルファイ調査を担当いただくわけですけれども、そこで取り扱う分野ごとの科学技術トピックを検討していただくというのが最初に分科会にお願いしていることです。7つの分野、合計74名の方に入っていただいております。名簿は参考資料に載せております。
 また、横断的な視点から調査の基本方針とか結果の取りまとめをお願いします科学技術予測委員会をこの上に設け、当委員会主査の濱口JST理事長に委員長、そして、産業競争力懇談会専務理事、内閣府プログラム統括の須藤さんに副委員長に入っていただきますとともに、分科会の座長もこの委員会に入っていただくという構成で、計11名の委員となっています。
 こちらのページは、改めてビジョニングというものについて、メインは日本の未来像ですが、それを検討するに当たっては世界の未来像というものを地域の未来像も考えながら進めていくアプローチにしております。
 地域のワークショップについては2016年から18年にかけて、全国6か所でいろいろなテーマでやってまいりました。また、世界の未来像という関係では、昨年の11月に予測国際会議のワークショップを開いて、こういった成果をつなげながら、今年の1月にビジョンワークショップで、約100名の方に参加していただいて、将来ビジョンをまとめました。
 この1月のビジョンワークショップでは、50個の日本社会の未来像を出していただきました。ここにはかなり多様なアイデアが盛り込まれている段階のものと理解しております。
 それらを幾つかの共通の価値観、ここにありますHumanity、Inclusive、Sustainability、Curiosityといった分類により、グループ化して見ているというものです。
 ここは言葉だけですと、非常に分かりづらいところがありますので、お手元の机上の資料には少し内容も書いたものをお配りさせていただいております。
 また、これより細かいものについては報告書でウェブ上でも公開しています。
 こちらスライドは、そういったもので出てきた情報についてまとめたものですけれども、これは分科会の場に提供している資料になります。ホライズン・スキャニングの成果として、先ほどの50の未来像の中でも出てきたいろいろな言葉を、人工知能を用いたキーワード分類の試みという形でまとめているものです。
 方法論は、参考資料の5ページに載せているものですけれども、頻繁に出てくる言葉が大きく、より近い分野のものは近くという形の、クラスタリングをやってみたもので、分科会にも提供して参考にしていただいています。
 また、50の未来像をちょっと違う形の4つのポイントとしてまとめてみたもので、これもとりあえずの試みというものでやってみたものです。
 ここまでがビジョニングに関連するものですが、ここからはデルファイ調査の方に移ります。
 これは専門家の見解をウェブアンケートでまとめる形にしています。前回からこの方法でやっておりますが、同じ質問を繰り返すことで回答を収れんさせるデルファイ法ということでは、従来やってきているものです。
 アンケートの予定時期は来年の2月から5月頃で、合計すると、大体700の科学技術トピックを質問させていただいて、その重要度、国際競争力、実現可能性や時期、そして、実現に向けた政策手段というあたりのアンケート調査をする予定にしているものです。
 科学技術トピックとはどういったものかというと、これもお手元の方に机上配付資料2という形で、現時点の非常に暫定版、かつ、A3の紙で非常に細かい字で恐縮ですけれども、これが今、まだ七百数十課題がある現時点のもので、今後調整予定のものですけれども、お配りさせていただいております。
 これを御覧いただきますと、末尾が何の技術とか、より社会実装を意識した何々のシステムだというものであったり、サイエンス的な何とかの解明というような、いろいろなパターンがありまして、多様なものをしているものですし、また、数値目標があったり、なかったり、この辺も多様なものということで、ただ、なるべくこの科学技術トピックを幅広く拾えるような形を考えております。
 7分科会の先生方が真摯に議論されて今、まとまりつつあります。
 ちなみに、前回は932トピックありましたが、今回は少し数を絞る方向です。
 今のところ、前回からの継続というトピックが3割程度、新規のトピックが5割から6割、微修正したトピックが1、2割という感じです。
 これをアンケート調査して専門家にウェブ上でお願いするわけですけれども、前回は専門家ネットワークという、NISTEPから定常的に2,000名ぐらいにお願いしているネットワークをコアとしつつ、学協会の方にお願いするということでやっておりましたが、今回は更に幅広く御意見を伺おうということで、JSTの御協力を頂いて、researchmapに現在登録されている12万人ぐらいの方々や、実は日本学術会議の学協会ネットワークからもお話を頂けるということで、こういった形で幅広い専門家に声を掛ける形でのアンケートをしたいと計画しているところです。
 ちなみに前回は5,300名ぐらいが登録された中で4,300名ぐらいから回答があり、今回はより多くの人数の方にお願いする予定にしています。
 科学技術トピックに関しては質問項目がこのようなものになりまして、まず御本人の専門性を聞く。それから、それぞれのトピックの重要度や国際競争力や、これは科学技術的な実現予測時期と社会的な実現時期、それから、政策がとるべき手段などをお伺いする。
 特に横断的にはやはりELSIの問題などもいろいろ、とる必要性について聞くということ。これは全てのトピックについて横断的に聞く形もとっております。
 また、今回は特に自由記述のところも充実させるべきではないかということで、こういったことで自由記述をお願いしますという5項目も明示した上で集めようと考えているものです。
 7つの分野と、その分野の中の細目という形で、この中に大体10の科学技術トピックがぶら下がっております。この細目はなぜ作っているかというと、飽くまでアンケートを回答される方が自分はどのトピックに専門性を持って答えられるかと選んでいただくときのためのもので、決して科学技術トピックを分野区分するためではないことに御留意いただければと思います。
 前回で言いますと、やはり1つのトピックだけに答えられる方が約半数、8割ぐらいの方は3つ以内ぐらいに答えられる傾向がありました。あくまでも、今現在は約60のトピックがありますが、その中で選んでいただく形です。
 今まで分科会を大体3回、予測委員会は1回開きましたが、資料のような意見が出ているところを御参考にしていただければと思います。各分野それぞれ意見が出ております。
 次が当面の目標とした基本シナリオの構成となるものですけれども、望ましい未来像というもの、今、価値観ということで先ほどのビジョンワークショップで出てきた4つをとりあえず設定しておりますけれども、こういうものを考えながら、いわゆる基本シナリオというものを複数設定していって、それにぶら下がる科学技術トピックは何か、またそこから出てくる中で重要な技術はどういうものがあるかという点をまとめていきたいと思っています。
 まとめになりますけれども、大体30年間を展望するものであるという点、あと、これまでやってきた活動、先ほど御説明した中には書いてありますけれども、来年度早々にアンケート調査を実施して、2019年前半、具体的には2月下旬にこの基本シナリオを検討するワークショップを予定しております。ここには今年の1月にビジョンのワークショップに参加されていただいた方、このデルファイ調査の分科会に入っていただいている方の両方が参加するような形のワークショップという形でこの基本シナリオの検討を進めたいと思っています。
 更にその年度の後半では、特定テーマに関する深掘りシナリオを作成する形で進めてまいりまして、是非次期の科学技術基本計画ですとか、科学技術政策、そして、いろいろな科学技術のイノベーションの戦略に役立つアウトプットをまとめていきたいと思っている次第です。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、御意見、御質問等ありましたら、10分程度ですが、挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

【新井委員】
  坪井所長の御発表に幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、デルファイ調査のことですけれども、researchmapに登録されている研究者の人数は26万人を超えております。資料に誤りがありますので、修正をお願いします。

【坪井科学技術・学術政策研究所長】
  失礼いたしました。

【新井委員】
  それで、researchmapに登録されている26万人の研究者につきましては、今年度からJSPSさんが科研費の申請の際にresearchmapの登録を強く奨励するという申請書の段階で出しましたので、そのことによって多くの方がそのresearchmapというものを認識して、業績を細かく登録されているというような状況になっていることは御存じだと思います。
 そのことで、しかも、researchmapの中にアンケートを実施するという機能が存在しています。ですので、メールアドレスが分かっている研究者、researchmapの登録の段階でメールアドレスを登録しますが、今現在のresearchmapは、御存じのとおり、来年の上期、多分6月までにはresearchmapバージョン2というものになりますが、その段階で全ての研究者はその肩書と雇用の形態、例えば有期雇用であるとか、クロスアポイントメントであるとか、博士課程の学生であるとか、ポスドクであるとか、そういうことが詳しく分かるような状況になります。
 そういう中で、ログインした後にアンケートを答えさせたならば、どのような肩書で、どのような身分で、どのような雇用形態で、あるいは、私学なのか、研究機関なのか、そういうような肩書とかバックグラウンドで、どのような意見を科学技術政策に対して持っているかということを細かく正確にとれるような状況というのがあるわけです。
 ですので、もちろんデルファイ調査については、これまで毎回やっていらっしゃった規定のフォーマットがおありだとは思いますけれども、JSTさんとその点で連携を強めることで、予算を少なく、そして、より多くの多様な方々からの科学技術政策に対する直接の御意見を幅広く聞くことができるかと思います。
 そして、その得た自由記述についても、先ほど自然言語処理を使った分析などもなさっていらっしゃると思いますので、例えばポスドク相当あるいは有期雇用相当である方はどのような御意見をお持ちかとか、そういうことをキーワードで分析するということも容易にできることかと思いますので、是非今の段階から御検討いただければと思います。これが1点です。
 2点目、世界の未来像のシンポジウムの中を少し拝見させていただきましたが、例えばAIの普及で所得格差、社会格差がなくなり、新たなユートピアが生まれるというようなキーワードが出てきています。
 これに関しては、私、外務省とJSTから依頼されて今年、国連のSTIフォーラムで基調講演をさせていただきましたが、多くの国々が実は、逆の印象を持っていらっしゃる。つまり、AIとIT、特にデジタライゼーションが進むことによって格差が生まれている。
 そして、GAFAのような一部のデータを急速に集約しているような企業のみが勝っていて、そして、それが租税回避のための国に富が流れているということを多くの国が問題と感じていて、私もそのような内容で基調講演をさせていただいたところです。
 どなたがこういうことをおっしゃったか分からないんですけれども、こういうプリントがいたずらにCSTIであるとか、内閣府に流れることによって、ああ、こうなんだというふうに思われるようなことがないように、こういうことについては特に、こういう意見もあれば、逆に格差が拡大してディストピアが生まれると予測されている方が、世界的に有名な方でピケティとか、いろいろな方がいらっしゃるし、EUでもそれを阻止するためにGDPRというようなものとか、ロボット税を検討しているというような世界的な動向があるわけなので、お一人が言ったことをこういうふうに出してしまうということが危険、リスクが大きいというふうに感じました。
 以上です。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 前半の点でちょっと引っ掛かりますのは、個人情報保護法との絡みで、了解をとるとかというアンケート。

【赤池科学技術・学術政策研究所上席フェロー】
  JSTさんとはこの調査の最初の段階から、御協力をいただいております。
researchmapにつきましては、まず、アンケートシステムとして新たにアップデートされる話は承知しておりますけれども、今回の私どもの調査の最初の部分、つまり、デルファイのアンケート調査には、残念ながら間に合わないという御予定でしたので、例えば、これから、先ほど申し上げた深掘りシナリオだとか、今後の展開のときに是非御協力させていただければと考えております。
 今、幾つかの、人数についても、26万人、広くというのは承知しておりまして、ただ、その中でも今の段階で利用できる名簿といいますか、カテゴリーが幾つかあるようなことを承知しておりまして、そういうことで今、12万人とお示ししましたけれども、それについても、私どもとしては是非広く新しいシステムでやらせていただくと非常に有り難いと思いますので、是非また綿密な調整をさせていただければと思っております。

【新井委員】
  濱口先生が御心配の個人情報の件ですけれども、researchmapは登録するときに、文部科学省等の機関にその情報を提供するということをアグリーしていただいていますので、NISTEPさんは文部科学省ですから大丈夫かと。

【赤池科学技術・学術政策研究所上席フェロー】
  もちろん慎重に対応しております。
 それと、あともう1点、先生御指摘のAIがユートピアということに対しては、当然国際的な議論で、例えばOECDのGoing Digitalだとか、様々な懸念と一緒に示されているというのは承知しております。
 この私どものワークショップのやり方が、例えばビジョンワークショップは100人の参加者を10のグループに分けて、そのうちで5つずつ未来像を考えましょうというやり方で出してきていますので。失礼しました。国際ワークショップです。
 国際ワークショップも同じように分けてやっていて、そのグループの中から出てくるものですので、そういうものが出てきてしまう可能性もあります。
 ですので、先生御指摘のとおり、この手法と、どういうふうに出したかだとか、こういう、例えば私どもGoing Digitalだとか様々な情報を持っていますので、そういうものと一緒に提供させていただくとか、誤解のないようにというのは是非気を付けさせていただければと思います。

【新井委員】
  こういうふうにまとまっていると、どうしても独り歩きしがちですので、前提なしにこの1枚が出るといけないという感じがしました。

【赤池科学技術・学術政策研究所上席フェロー】
  そうですね。はい、承知しました。

【坪井科学技術・学術政策研究所長】
  あくまでも出席者の見解という注意書きみたいなものをうまく書く形を考えてみたいと思います。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 ほか御意見ございますか。よろしいでしょうか。どうぞ。

【菅委員】
  先ほどの議論ですけれども、researchmapは本当に活用していただければすばらしいと思います。今、すごく大変な時期で、初めて入れる人たちはなかなか時間を費やしていて、研究者側からすると、またこんな時間費やすのかということですけれども、でも、将来は恐らく、例えば新しくグラントを申請したり、そのレポートを書いたりするときに、論文の発表とかとを一々書き込まなくてもよくなるというのが最終的なゴールだと思いますので、これが文部科学省関係のグラントだけではなくて、AMEDも含めた全ての研究の方に反映していってくれたらと思います。
 少しだけ気になるのは、研究者の人たちの、例えば、今、皆さん研究論文を何とかいいインパクトファクターのところに出すというのを非常に苦慮しているわけです。そうでないと世界的に評価されないという部分があって、その一方で、実は物すごくコストも掛かるというのを多分御存じだと思うんですけれども、例えば『Nature』の中でもそんなにインパクトファクターが高くないですが、それでも割と発表しやすい、ある程度のレベルに達していたら発表できる、例えば『Nature Communications』とかインパクトファクター12ぐらいですけれども、そういう雑誌は大体1回投稿すると、論文発表するのに5,000ドル、50万以上掛かるんです。
 それで、『Nature Communications』は週に1,000本論文をウェブサイトに掲載しているんです。アクセプトしているのが大体1,000本です。計算してください。すごいお金です。『Nature Communications』だけで年間25億円です。つまり研究者のグラントから出るわけで、国のお金がそこに使われているわけです。
 なので、これぐらいの、ただ単にパブリケーションするだけでも相当なコストが掛かっている。それはほかの『Nature』のシスタージャーナルも『Mature』も『Science』も全く一緒で、今、いいインパクトファクターの論文を出そうと思うと、相当なお金が必要である。論文を出すだけでそこまでお金が掛かるという現実をちゃんと文部科学省も含め、もちろん文部科学省、財務省も含め、認識しておいていただきたい。今、非常に我々の問題になっている科学技術の評価というのを、全部そういう論文数とかインパクトファクターとか数で判断しようと思っているところには相当なお金が必要なんです。
 何で中国がこんなに伸びているかというと、そこにふんだんにお金を使ってきているということもちゃんと理解した上でいろいろ議論していただいた方がいいかと最近、一現役の研究者としては思うところです。

【濵口主査】
  ありがとうございます。非常に重要なポイントを頂きました。
 長期的な評価の方法をもう少し多様化するという議論が必要な時期に入っていっているかというふうな気はしております。
 ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、よろしければ、次の議題3について、理化学研究所から資料3の説明をお願いしたいと思います。

【岸本調査役(理化学研究所未来戦略室)】
  理化学研究所未来戦略室の岸本と申します。本日は貴重な機会を頂きましてありがとうございます。
 きょうは、昨年の秋に理化学研究所で開始いたしましたイノベーションデザイン活動につきまして、少しお時間を頂いて御説明させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 先ほどNISTEPさんの方から30年ぐらいの先を考えておられるという話がありましたけれども、私どもは100年後の未来社会についてどういうふうにありたいか、どういうふうにしたいかというような、そういう未来社会の可能性について検討をいたしております。
 また、検討する目的についても少し違っておりますので、そのあたりも含めて御説明させていただければと思います。
 まず、導入といたしまして、理化学研究所の概要を簡単に御説明させていただければと思っております。
 1917年に創設されまして、主に自然科学の総合研究を行っている研究機関でございます。昨年100周年を迎えてございます。
 取り組んでいるところといたしましては、新しい研究分野の開拓ですとか、ライフサイエンス、あるいは、情報技術分野において国家的な要請に応えるような戦略研究、あるいは、SPring-8ですとか、スパコン系といった最先端の研究基盤の開発やその供用といったところに取り組んでいます。
 理研の使命といたしましては、理化学研究所法に科学技術水準の向上を図るために総合的にいろいろなことをやっていくということが定められておりまして、一昨年に特定国立研究開発法人に指定されましたけれども、引き続き理研の強みや特徴を生かしてこの目的を実現していきたいというふうに考えているところです。
 この総合政策特別委員会が今の科学技術基本計画や次期計画に向けた検討の論点を取りまとめておられるというふうに伺っておりますので、この場で理研の新しい取組を御紹介させていただくに当たって、これまでの科学技術基本計画と理研の関わりと、それから、その中でも特にそのビジョンとテクノロジーというところの観点に焦点を当ててお話しさせていただければと思っております。
 ここに書籍を挙げてますけれども、御存じの方も多いかと思いますが、1960年に科学技術庁が監修された40年後の未来というものでございます。この中には、機械が経営する時代だとか、長寿の退屈だとか、かなり先駆的なビジョンが書いてありまして、当時、原子力や宇宙開発の真っ盛りの時期だったと思いますけれども、非常に幅広い分野にわたってビジョンが出てきている。当時の第一線の研究者がこの編纂(へんさん)に関わったと聞いております。
 2013年にこの『21世紀への階段』の復刻版が出ておりまして、1960年当時の長官であった中曽根康弘さんがこういう文章を書かれておりまして、1960年のとき、経済成長に邁進する中で、将来的な国民共通の夢を持つということで社会的な前進を図りたいということが目的でありました。
 それをするために、ビジョンとテクノロジーを結合できる、ここではイマジニアーというふうに書いてありますけれども、そういった人材の出現を期待する。それが社会を前進するような大きな源泉になるのであると書いてあります。
 また、現代において、新しいビジョンとイマジニアーによる挑戦が求められていると書いてあって、これに関して我々も共感しています。
 科学技術基本計画と理研との関係ですけれども、その後、1996年に科学技術基本計画ができまして、いろいろな研究推進に関わるようなシステム改革でありますとか、それから、重点分野の推進などの面におきまして、理研は大きな役割を果たしてまいっております。
 ここにもありますとおり、例えばポスドク制度でありますとか、ライフサイエンス分野の戦略的推進、あるいは、課題開発型の研究推進などにおいて、理研は、いわば科学技術政策のサンドボックスとしての役割というものも果たしてまいったというふうに考えています。
 本題ですけれども、昨年秋に、これから御紹介しますイノベーションデザイン活動を行うための未来戦略室を理事長の直下に設置いたしました。
 これが松本理事長のビジョンとプランですけれども、ここに書いてありますように、今、研究者は未来の社会に対して責任を持つ。この責任を持つというところを具体化するためにできた仕組みとして未来社会のビジョンとそれを実現するためのシナリオの構築、シナリオを提案していく。これを専門的に行うイノベーションデザイナーという人材を育てていくというところです。
 これからの科学技術として、経済産業のみならず、社会の変革にどういうふうに科学技術が関わっていくか、あるいは、人類文明の行く末を考えたときに社会がどうあるべきかというビジョンがなければなりませんので、このための夢を語っていく、あるいは、将来を模索するということが重要です。
 イノベーションデザイナーは100年先の未来社会を考えまして、ビジョンとそれを実現するシナリオという形で表現してまいります。それを見た研究者たちが自らの進むべき道を考える。そういった流れを作っていきたいという考え方です。
 理研でこれを行う意義ですけれども、先ほども申し上げましたとおり、理研は研究分野の開拓だけではなくて、新しい方法や制度を考えて検討する、そういう試金石の役割があります。
 ここにありますように、技術革新が非常に急速に進んでいて、社会が大きく変化するとか、あるいは、長期的に未来を予測することが極めて難しくなってきている。あるいは、資本の大きさよりも夢を描いて実現するということが重要なのではないかという考え方が共有されてきている。そういった中で最先端の科学の現場で未来社会からのバックキャストを行う、あるいは、それができる人材を育成していくというところに非常に期待が高まっているというふうに感じております。
 何を目指しているかというところですけれども、これまで、現在を基点といたしまして、いろいろな科学技術の推進あるいは潮流を作ってきたわけです。そこを通しまして、技術革新のスピードを上げ、又は偶発的なイノベーションに期待してきたというところであります。
 これから100年後のありたい未来社会の可能性を考えていく中で、この未来のバックキャストで未来を描くアプローチと現在基点のアプローチを統合することによって、夢や希望を実現していきたいと考えております。
 描く範囲としましては、地球や社会の姿、科学技術の方向性、あるいは、研究テーマ、社会の実装に至るまでの階層を俯瞰(ふかん)的に見ながらこの階層をつないでいきたいと考えております。
 次もちょっと概念的な絵で恐縮ですけれども、理研の第一義、本分は、やはり世界一、世界初を目指す基礎研究を推進する。そのための豊かな土壌を作っていくというところかと思っております。そこに未来社会のビジョンを示すことによりまして、この種からこれまでにないような価値を生む事業であるとか、SDGs等々の課題を解決したり、あるいは、国家的に推進する事業を行っていく。そこで成果が出てまいりますので、そこから総合受粉が進み、新しい種が土壌に生まれる。こういったサイクルを回すために、この未来社会のビジョンを描いていくということが重要であると考えています。
 イノベーションデザイナーですけれども、ここにありますように、非常に幅広い分野で社会を俯瞰(ふかん)的に捉えようとしている人たち、あるいは、様々なセクターにつながっている人たちを今、集めております。今、分野や体制は拡充していこうと考えています。
 これが活動の様子でして、その一環として、イノベーションデザイナーが理研の第一線の研究者からいろいろなインタビューとかも行っておりまして、科学者が発想するような未来を変えるアイデアを未来社会の可能性につなげるシナリオという形でシナリオ作りに生かしていっているというところです。
 プロセスですけれども、いろいろなところで未来について考えておられますし、予断のないシナリオを集めまして、どうあるべきか、ありたいかというところの価値の整理を一旦行った上でビジョンとして定めて、それを実現するためのシナリオをブレークダウンして書いていって、これを実現に向けてつなげていく、そこにバトンタッチしていくというような流れを考えております。
 最後に、次の人類の100年のために我々は考えていこうと思っておりますので、御支援いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございました。
 それでは、御意見、御質問あります方お願いいたします。冨山さん、どうぞ。

【冨山委員】
  私の顔写真も写っていたので、一言。私が感じているのは、このアプローチは、ある意味では、あえてアカデミックドメインで行ってしまうと、やや社会科学的領域に踏み込んで物を考えていこうということになっているわけです。
 先ほどの新井先生の話ともちょっと連なるんですけれども、私はずっと自分がビジネスパーソンとして第一線で30年ぐらいやってきた中で、いろいろなディスラプティブイノベーションを近くで見てきましたが、実は技術革新、ある種のテクノロジーブレークスルーやインベンションがあって、その次にイノベーションが起きてくるんです。
 そのプロセスには、ある種の、私みたいな人間からすると、産業論的必然性があって、格差の拡大の議論も、なぜ拡大するかということに関しては、実はかなりインダストリアルエコノミックスで説明できてしまうんです。イデオロギーというよりは、むしろ産業構造的必然性があって、そうすると、これは思想論ではなくてある種の科学なんです。
 そうすると、先ほどの議論もそうですが、こういった議論をしていくときに、私は科学としてある種の社会の変化とか、あるいは、産業の変化とかをやはりもっと科学技術の議論というのは取り込んでいかなければいけない。逆に言うと、今、起きていることは社会科学領域、経済学もそうですし、実は今、言語学も自然科学的にアプローチにどんどんなってきているわけで、そうすると、むしろ社会科学領域がどんどん自然科学化してしまっているということなんです。
 そういう流れを見ていますと、このアプローチはすごく大事だと思って、私も手伝っているんですけれども、要は、科学技術の閉じた問題として議論するのではなくて、むしろ今、申し上げたような脈絡において、社会論であるとか、政治論であるとか、あるいは、経済論の部分と連続的なエコシステムとして物を考えていくという時代に移っているし。
 ちょっと余計なことを言いますが、私は今、東京電力の取締役をやっていて、廃炉の問題に対峙するわけです。では、原子力というものに関わるある種のブレークスルーやインベンションというものが、イノベーションとして何をもたらしたかということを考えると、これは当然正の部分も負の部分もありますし、本来平和利用で原子力を使っていたわけですけれども、すごくコストが掛かるということが分かってきたわけです。
 そういった問題というのは、結局のところ、やはりこれもインダストリアルエコノミックス的なアプローチで物を考えないといけないわけで、当然このエコノミクスが入ってまいりますと、純粋は物理的コストだけではなくて、社会的コストみたいなものも考えなければ、あるいは、政治的コストも考えなければいけないわけですから、これから対峙していくこの科学技術のテーマというのも辺縁がどんどん広がっているので、ここは理研はむしろそういう辺縁をやってきた研究所なので、更にこの後頑張ってもらいたいです。
 またちょっと余計なことを言うと、理研の活動領域は人文科学を除くということになっているらしいんですけれども、そういうことを定義すること自体ナンセンスな時代なのではないだろうか。
 もし法律にそういうことが書いてあるんだったら、あれは是非とも早く法改正をしていただいて、そんな19世紀のようなことを言っていないで、もう21世紀なんですから、ボーダーレスにしていく。そういうアプローチで理研の活動領域を広げていってもらったら、私はうれしいと思っております。
 単なるコメントです。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 新井先生。

【新井委員】
  理化学研究所が創立100年をお迎えになったのは大変めでたいことだと思います。そして、国の研究開発法人として、大学とは異なり、学部生あるいは大学院生等の人材育成や入試業務等の雑務を免れた中で研究開発に邁進できるという研究者としては非常に幸運な環境にいらっしゃるし、潤沢な予算をお持ちだと認識しています。
 であれば、当然のことながら、理化学研究所の研究成果も本当に投資しただけの効果があったのか、そろそろ検証のフェーズに入るべきでしょう。100年基盤研究をなさってきたということであれば、ノーベル賞が出ないのは研究環境に比して大変不思議な気も致します。
100年も経っているわけですので、単にページ数の多い広報用百年史を作成されるだけでなく、研究開発法人としての投資の費用対効果についてそろそろ科学的エビデンスを出していただくのがよろしいかと思います。
 以上です。

【濵口主査】
  今の御意見いかがでしょうか。

【岸本調査役(理化学研究所未来戦略室)】
  御意見として承っておきたいと思います。ありがとうございます。

【濵口主査】
  どうぞ。

【土井委員】
  御説明どうもありがとうございます。非常にバックキャスティングとフォアキャスティングをどう合わせていくかというところで、最後のシナリオになると思うのですが、そのシナリオライティングのところを、今、お話があった、いかに科学的にするかというところがすごく難しいと思っています。
 なぜかと申しますと、JSTでやっていらっしゃるCOIのところでも同じようにバックキャスティングという話はありますが、絵は描いてみた、けれども、それを本当に現場の研究者の皆さんが腹落ちしてシナリオになっているかというと、なかなかならないという難しさもあるので、科学的にシナリオライティングができるかという話と、その結果、本当に研究者がそのマインドをどうやって持つのかというところが非常に興味があるんですが、そのあたりを教えていただけないでしょうか。

【岸本調査役(理化学研究所未来戦略室)】
  ありがとうございます。先ほども御説明しましたように、まず、ビジョンを定めて、そこからシナリオライティングの作業に入っていくわけですけれども、ビジョンを描くところというのは、できるだけ未来社会の可能性を大きく広げたいと考えておりまして、客観性だとか、技術的妥当性だとか、いろいろな専門的見地からどこまでが実現可能かということを考えることは非常に重要ではありますけれども、可能性を広げるという意味ではそこの足かせになる場合もあると考えています。
 ですので、ビジョンを作る段階においては、もちろんそういうベースがある人間が取り組むわけですけれども、そういうところは一旦置いておいて、どのようにしたいかというところをたくさん書いていくということだと思います。
 問題は、やはりそこに共感できるかどうかということが非常に重要でして、幾つも書いたその可能性について、やはりこれはこういうふうにしたいんだという、その共感を持つ人間と一緒にそれを実現するためのシナリオを書いていく。そこにはもちろん私どもの研究者も入りますでしょうし、社会の話ですので、当然私どもの研究者だけではできませんので、いろいろな大学あるいは企業の方々に入ってきていただいて、それを作っていくというような枠組み作りを、今、進めようと考えています。
 以上です。

【濵口主査】
  どうぞ、知野さん。

【知野委員】
  今の御質問とも絡んでくるのですが、ありたい未来社会を描く。非常に面白い試みだと思いますが、1年たってどこまで進んだのでしょうか。いま一つしっくりこないのは、手法としては面白いと思っても、そこから何が1年たって出てきたのか、どういう社会が描かれたのか、そういった具体的なことをもう少し知りたいと思いますが、いかがでしょうか。

【岸本調査役(理化学研究所未来戦略室)】
  ありがとうございます。私どもとしても、非常に新しい取組で、しかも研究機関にありながら、先ほど申し上げたようなやり方をとっていくというところで、非常に生みの苦しみというか、そういうのは非常に感じているところですが、一方で、やはりそういう可能性を広げる取組が非常に重要であるということを研究者も一緒になって考え始めているということは非常に大きいことであると思います。
 今、今回もまだ完成には少し距離がありますので、具体的な事例として、資料としてはお示しはしておりませんけれども、非常に多くの人たちからの夢やビジョン、あるいは、実現するための断片的なアイデアみたいなものを集めてまいりますと、どういう方向を皆さんが創っていきたいかというようなところがだんだんと見えてきております。
 1つは、やはり機械と人間との関係、それが100年後まで見通した上で、どういう社会を創っていきたいかとか、あるいは、より自然というものの法則を理解して、それをベースにして、都市であるとか、社会システムを再構築していきたいであるとか、あるいは、いろいろな制約、例えばものの希少性みたいなものから開放されて、いろいろなコストを下げることによって、これまで実現できなかったような夢を実現していきたいとか、ほかにも幾つかありますけれども、そういった目指したい、目指すべき方向性が少しずつ見えてきているところです。
 ここから具体的なビジョン作りの作業に入ってまいりまして、シナリオというふうに移していきたい。
 どこかの時点で世の中にお示しして、皆さんの御意見も頂戴して取り入れながら作っていきたいと思っております。

【知野委員】
  議論に加わっている研究者だけではなくて、やはりある程度早い段階で社会に出していく必要があると思います。すごく精緻なものを時間をかけて作っていますということであっても、意義が伝わらないと思います。

【岸本調査役(理化学研究所未来戦略室)】
  ありがとうございます。承知いたしました。

【濵口主査】
  それでは、菅委員、お願いします。

【菅委員】
  私、理研の前の野依理事長のときから研究戦略会議のメンバーでして、そのときに出てきた1つにイノベーションデザイナーという言葉があって、野依理事長が退任された後に松本理事長になって、随分内容が変わって、研究戦略会議もなくなったんですけれども、このイノベーションデザイナーだけが残ったような感じがします。
 そういう中で、やはりイノベーションというのは、結構個人に依存してしまいます。研究者と、それと一緒に組んでやる個人に非常に依存しているので、この場合、イノベーションデザイナーという立場が、今、どういう役割を果たしているのか、まだ確定できていないのかもしれませんけれども、そのあたりをいずれ成功事例を見せながら説明すれば、みんな納得するのではないかと思いますけれども、今、何かそういう具体的なところまで行っている案件は幾つかあるんですか。

【岸本調査役(理化学研究所未来戦略室)】
  もちろん具体的な方向に進めていこうと努力しているところですが、どういう人間がやはりイノベーションデザイナーとして私どもが期待する人たちなのかということをずっと考えながら具体的に進めてきています。いろいろな社会のセクター、研究者とお話をしていく中で、やはり非常に高度な専門教育を受けられてきた方が周りにいっぱいいるわけですけれども、そういう方々は必ずしも長期的な未来像、あるいは、俯瞰(ふかん)的に社会を捉えていくという能力にすぐれているわけではないということも非常によく分かってまいりました。
 ただ、まれにそういう方が存在しておられて、そういう方々を我々の活動に巻き込んでいくということをしています。
 そういう意味で、発想としてやはりそういうことを考える専門家集団、そういうことを得意とする専門家集団というものの位置付けを作っていくということが今、非常に大事なのかというふうに思っております。
 それで、そういう活動がいろいろな研究者であるとか、あるいは、企業の方々、一般の方々とのコミュニケーションによって何がしかの情報を発信していけるということが重要かと思っております。

【菅委員】
  ということは、今は研究者の視点に加えて、そのイノベーションデザイナーといわれているちょっとソフトな起業を経験したような人が少し絡んでどうしたらいいかというのをサジェスチョンするという段階にあるという理解でいいですか。

【岸本調査役(理化学研究所未来戦略室)】
  一番初めにやはりよく社会につながっている人たち、ネットワークを持っている人たちを巻き込まなければいけないという発想はまずありました。今、だんだんとそこから、より専門性を持った人たちも仲間に加えていっています。
 例えば人間と機械との関係の100年を考えたときに、そういったような知見がなければ、やはり議論は全く進まないわけで、そういう各分野、これから大きく社会を変えそうな分野に専門的な知見を持っている方々を巻き込みながら、今、具体的にシナリオメークの方に入っていこうというふうにしております。

【新井委員】
  今、岸本調査役は「イノベーションデザイナーは100年先の未来社会を考えまして、ビジョンとそれを実現するシナリオという形で表現してまいります。それを見た研究者たちが自らの進むべき道を考える。そういった流れを作っていきたいという考え方だ」とおっしゃった。つまり、今資料で拝見している、またウェブで公開されている「イノベーションデザイナー」なる方たちに、「人類の次の100年のためにScience for Future Society」を考えていただいて、未来のノーベル賞を受賞する可能性のある研究者が「研究の進むべき道」を教えていただくという構図でしょうか?大変申し上げにくいことですが、それはアカデミズムの否定ではないかと思います。
大きく科学技術が動くとき、従来型の研究を批判したり否定したりする勢力が出るのが世の常ですが、アカデミアとしては、研究の基盤的スキルの継承や発展の先にこそ爆発的なイノベーションがあることを信じ、社会を説得すべきです。
例えば、NISTEPでは、日本の名だたる研究者にきちんとデルファイ調査をかけます。そして、NISTEPの未来予測というのは大体毎回当たる。そういう未来予測の基盤が文部科学省内にきちんとあるわけですから、こういうことは不要ではないかと私ははっきりと申し上げておきたい。別に答えは結構です。

【濵口主査】
  御意見ありがとうございます。

【川端委員】
  おっしゃる話、お聞きしていて、いろいろな意味で将来の社会に向けてという、今、キーワードでもありますし、やはり向かう先なのだろうとは私たちも思っていて、それを考えれば考えるほど大学と同じことをやられているという感じなんです。
 間違いなくデザインすればいいわけではなくて、それはコンサルタントが死ぬほどやっている世界なので、具体的に一体何がどうアウトプットしていくのかというのが、研究開発法人として、大学とは違うミッションとしてどう展開されるかが一番私たちは期待しているところなので、是非、お考えいただければと思います。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、どうぞ竹山先生。

【竹山委員】
  既にいろいろな意見が出て、部分的には話が出てしまったんですけれども、確かに大学に課されているところというものとほぼ100%といっていいぐらいオーバーラップしているのが現状です。
 それはそれとして、やはり日本の中の研究機関として大きな理研であり、経済産業省側だと産総研であり、ある意味、違いがないけれどもというぐらいに、でも、やはりそこの資するべき役割というのはやはり大きいと思います。
 この第4期中長期計画という期間の中で、シナリオの提案というのが一体いつになるのかというのは、やはり重要だと思います。
 本来であれば、早い時期若しくは18年4月からスタートはしているけれども、その前にシナリオはあった上での、実現するためのシナリオをこの時期の4期にやったら、では、25年以降のことをやるのか。ここはすごく私にとってよく分からなくて。そんなことを言っている間に多分世界はどんどん動いてしまっているときに、シナリオをこの期間に書きましたというのはちょっとおかしい気がするのですが、このシナリオというのは一体何を考えているのかというのがすごく分かりません。
 今回、多分ダイジェストでお話しされているから、しょうがないとは思いますけれども、もう少し多分私たちが理解できるような項目出しぐらいはあってしかるべきだし、これは多分時間的なタイムスパンがどこにもないので、この間に取り組むと言われていても、多分走りながらやるんだとは思いますが、もう少しここを、世界の理研であれば、私たちに、ああ、やっぱりねと思われるような何か具体性をもう少し示していただきたいと思いました。

【岸本調査役(理化学研究所未来戦略室)】
  ありがとうございます。

【濵口主査】
  よろしいでしょうか。御意見として賜っておきます。
 お時間押しておりますので。

【小野山企画評価課課長補佐】
  事務局から、今回の議事の構成について補足させていただきますと、今回、フォアキャスト、バックキャストという検討の取組の中で、政策研と理研と御紹介させていただいたんですけれども、まず政策研は非常に今回で11回目とかなり前々からいろいろな工夫を重ねて取り組んでおって、かなり多くの意見を取り入れながらやってきているというところがあって、それはすごく実効性とか、確実性という部分ではかなりいい面ではあるんですけれども、多くの意見を取り入れることによって、本当に少数の意見というのがまれにこぼれることがある。
 他方、理研については、本当に100年というような想像もできないぐらい先を目指して、優れた研究者の話を聞きながら今まさに検討しているところでして、逆にそういった理研については、まれにこぼれそうなとがった意見とか、そういった部分が期待できるのではないか、今後の科学技術を進めていく際にはそういった発想が重要ということで、今回の議論にも参考になるものと考えております。
 これまでいろいろな科学技術政策をずっとやっておりましたけれども、なかなか閉塞感が打破できないという部分があって、それはもちろん将来を描きながら着実にやる部分ともっととがった部分と、そういう議論がこれまでもあったかと思うので、今回、2機関から御紹介させていただきました。
 以上になります。

【濵口主査】
  どうぞ。

【冨山委員】
  簡単な質問なんですけれども、例えば情報通信革命の歴史を見ると、インベンションの予測はほとんど当たっているんです。だけど、GAFAみたいなビジネスモデルの登場は誰も予測してません。
 何が言いたいかというと、結論から言ってしまうと、要するに社会とか産業レベルのイノベーションは実は予測が当たらないんです。
 有名な社会学者の言葉に、社会予測の中で唯一当たるのは人口動態だけだというのがあって、これはそうなんです。
 私もビジネスの世界に何十年も生きてきて、正直言って、これは当たりません。GAFAが未来永劫なんて思っている人は本当は誰もいません。あれも僕個人的には衰退が始まっていると思っています。
 何が言いたいかというと、こういう議論をするときに、要はインベンションまではいいんです。テクノロジーブレークスルーまではいいんだけれども、社会とか政治とか経済とかという世界を含めた議論として、こうなるというふうに決めつける議論は極めて危険で、多分これは当たりません。
 そうすると、現実的なアプローチはこうなるかもしれないし、ああなるかもしれないし、そんないろいろなシナリオの中で、いろいろあり得るわけだから、そのいろいろなシナリオの変化の中でローバストなアプローチな何なんですかというのを見出していった方が僕はいいと思います。
 割とこの手の議論をするときに危険なのは、自然科学の世界は自然科学的真理があるので、ある意味では1つの解に収れんするのだけれども、人間はいい加減で、確かにちゃらい生き物なので、ジョブズさんはちゃらさの塊で、でも、彼が世界を変えたことは事実なんです。
 なので、そういう意味で言ってしまうと、当たらないので、そこはよくよく考えてアプローチしていかないと、先ほど申し上げたように、アプローチの領域がやや社会科学、人文科学的辺縁に行った瞬間に、いい加減な予測できない人間を相手にする世界になってしまうので、そこはちょっと発想を是非とも上手に調整しないと、多分これは100年後の議論をするのだけれども、10年後、20年後には既に痛い議論になってしまっている可能性があります。
 僕も理研に対してもそれはずっと言っているんですけれども、そこは是非頭に入れておいてもらったらいいと思います。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 では、課長。

【井上企画評価課長】
  事務局としても、今後取りまとめていくときに、すごく悩んでいるというか、悶絶しているところは、本当に未来をどういう形だということを描きながら議論していかないといけないという面と、これだけ急速に変わっている、予想もつかないほど変わっているという言い方を両方我々もすることがあって、その中をどういう形で落としていけばいいのかというのは非常に、これからも先生方の御意見をいろいろ頂戴したいという点でもありますので、また今後の議論も含めてよろしくお願いいたします。

【濵口主査】
  ありがとうございます。本当にこの複雑化してスピーディーな社会で科学技術政策をどれだけ的確に近未来に打てるかどうかというのがここの勝負すべきところだと思います。
 そういう意味ではいろいろな議論が必要だと思いますし、理研に人文社会的な発想が入ったことも、これは大歓迎のお話だと思いますので、引き続き議論させていただきたいと思います。
 お時間押していますので、次の議題4についてお諮りしたいと思います。
 議題4は、科学技術・学術政策局政策課から資料4の説明をお願いしたいと思います。

【角田政策課長】
  科政局政策課でございます。
 先般11月22日に総合科学技術・イノベーション会議が開催されまして、ノーベル賞を受賞されました本庶先生が御自身の研究、あるいは、科学技術政策について御講演をされております。その際に柴山文部科学大臣から今後の我が国の研究力の向上についてプレゼンをいたしました。その資料がこの資料4でございます。内容について本会議の議論にも資すると考えまして、御紹介させていただきます。
 最初のページですけれども、基本的な方向性といたしまして、目指すべき未来像の実現に向けて、科学技術システムを先手を打って改革すること。特に研究の人材、資金、そして、環境の3つの要素について改革を進めること。更に大学改革と一体的に推進することと述べております。
 次のページ、これは御案内の状況でございますが、我が国の現状、論文数あるいは研究領域、博士課程への入学者、あるいは、若手の教員数、海外への研究者の派遣、こういったデータを挙げまして、課題を述べたものでございます。
 3ページ目ですが、現在の取組状況ということで、先ほど申し上げました人材、資金、環境、改革等についての現状を紹介しております。人材のところをごらんいただきますと、マッチングの促進あるいは海外研さん機会の拡充。資金のところでは、競争的資金におきまして若手研究者への重点化、新興・融合領域への重点化、国際共同研究の強化等があります。また、研究環境については、研究費における申請書の統一化・手続の簡素化、あるいは、リサーチ・アドミニストレーターの充実。更に大学改革については、人事給与改革あるいは資源配分の改革等を挙げさせていただいております。
 その上で今後の改革の方向性ということで1枚にまとめたものが4ページ目でございます。先ほど申し上げました3つの要素プラス大学改革を、それぞれ進めていくということです。
 まず、人材では、左上の緑色のところの上の四角にありますように、若手研究者へのポストのシフト、流動性確保と支援の強化、海外での研さんを積み、挑戦する機会の拡充、また、大学院教育の改善を行うこととしております。
 右側に移りまして、青色のところですが、資金では、若手研究者への重点支援、あるいは、科研費改革の実行・検証等の改革を行うこととしております。また、新興・融合領域への取組の強化、ファンディング・エージェンシー間の連携を構築していくということです。
 更に下のオレンジ色のところですが、研究環境の改革ということで、施設・設備の共用の促進、大学・研発法人におけるラボ改革、研究支援人材の強化、また、研究者の事務負担の軽減ということを挙げております。
 真ん中の黄色のところですが、そういったものの前提といたしまして、大学改革を進める、人事給与マネジメント改革あるいは経営・教学の機能分担、そして、国立大学法人に対する評価・資源配分の抜本的改革というものを挙げております。
 こういった改革を進めることによりまして、統合イノベーション戦略における各政策目標の達成を目指すということです。
 今回、ここの総合政策特別委員会の方で御議論いただいているものを踏まえまして、文部科学省としても今後の我が国の研究力の向上に向けて取り組んでいくということで、11月に説明した内容を御紹介させていただきました。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、ただいまの件、御意見、御質問お願いしたいと思いますが。

【菅委員】
  これは全て正しいと思います。それで、これはやるべきことなんですけれども、実は1点、随分先般からいろいろなことをやって、つい今週の水曜日にも東大でシンポジウムがあったんですけれども、就職の問題です。何で研究費がそれなりのレベルを保っているのに、プロダクティビティーが減り、クオリティーが下がっているかというのは、要は、人が、前は学生さんが研究の主体なんです。その子たちがしっかり研究をしてくれていたから保てたんです。
 ところが今、ほとんど修士の1年生の終わりから2年生の初め、半年ずぼっと抜けます。これは就職活動でです。これは研究が、日本はどうしても今まで修士主体になってきているわけですけれども、それがしっかりできていた日本の科学技術だったのに、今、それが、激しいと本当に半年、下手すると、1年近く学生が抜けてしまうんです。
 これによる研究の滞りというのは計り知れません。特にこの10年間、私が帰国して以来、どんどんひどくなっていって、これは社会の変革をしないと、科学技術は発展しないという結論に僕はある程度至って、今、どう変えるかという提案をしてきているんですけれども、8大のあの会議で、まだ結論は出ていませんけれども、ほぼ皆さん大体同意してくださっているのは、私が言っている修士の2年生の12月までに学位を全部終えて、修士の2年生の1、2、3という期間だけで就職活動して、就職してもらう。
 だから、1年半以上、1年9か月をしっかりと研究にストレートに関与してもらって、完成した人物を評価してもらって、就職に行ってもらうというような社会変革をしないと、これはもう無理です。そこは文部科学省の人はしっかりと分かってほしいと思います。
 この間の経団連のあれがもうしませんと言った途端に、6月にやりますとかって経団連と同じようなことを言われても、やはり変わりません。なので、現実をちゃんと見据えて、ちゃんと学生さんたちがしっかり教育を受けて、日本の科学技術を支えられる人材に育って社会に出ていくというスキームにもう一度戻してほしいと思っています。
 それをしないといけないのは大学側なので、大学側はちゃんと決断してやらないといけないでしょうし、それを文部科学省もサポートしていただかないと駄目でしょう。これはもう限界に来ています。ここに書いてあることは今まで何回も議論して、さんざんやったことで、それでも落ちていくのは何か抜けているんです。それしかないです。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 新井さん、どうぞ。

【新井委員】
  柴山大臣のお考えは大変すばらしい。一方で、そのお考えが実現されるようなインセンティブ設計に失敗しているように思います。
まず、伸ばしたいのは海外の、まず、「1、海外研鑽するような研究者を増やしたい」が挙げられています。であれば、海外研鑽したならアカデミックポストを得るにしても、民間でポストを得るにしても有利になるように制度設計をしなければならない。私の知り得る範囲ではアカデミックポストに就くために、あるいは上級職を得るために、海外研鑽をしたら不利になっている。
 女性研究者を増やす上では目標値を設定し、その達成度を大学の評価指標に組み込みました。そのことが一定程度奏功しています。海外研鑽も同様の制度設計が不可欠かと思います。
 2点目。大学改革ですけれども、大学改革で、この間も財務省は傾斜配分を強めると言いました。これ以上傾斜配分を強められると、トップ大学以外は明らかに人件費に手を付けなければならないまで大学は追い詰められています。人件費を減らすということは、丸1 非常勤職員を削減する、丸2 正規教員が退職した後の補充が行われない、丸3 正規教員が担当するコマ数が増える、ということで、正規教員の数が減り多忙感が増えるが、悪化します。となれば、博士課程を出たにもかかわらず、非常勤で働くか、幸運にも正規ポストに就けたとしても高校の先生並みに授業コマ数が多くて研究どころではなくなる。
つまり、インセンティブに関する制度設計がセットになっていないのにゴール設定をすると破綻します。すばらしいゴール設定を柴山大臣は仰っているわけですから、それに対して、事務方は、そのゴールを達成するような制度設計や資源配分を適切に行っていただかなければ困ります。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。

【菅委員】
  間違っているとは思いません。全部が正しいわけではないかもしれないですけれども、間違っているとは私は思いません。
 それで、先ほどの博士課程に行かないというのは、私はいろいろやってきました。だけれども、自分の研究から資金を出し、いろいろなエンカレッジをしてきましたけれども、やはり行きません。行かない理由は、就職が先に決まるから、みんな博士に行かないんです。だから、社会的な問題です。これは就職の活動が先に来るので、だから、それを後ろにずらすというのは、実は博士人材を増やす1つの起爆剤になる可能性があると思っています。
 それから、海外に出た人が戻ってくるというのは、確かにそうです。でも、私なんかもそうですけれども、出ていって、最初から戻ってきたいと思っていませんでした。だから、別にそういう人が戻ってこられるような日本社会であり、研究環境であれば、たとえお金がなくても戻ってくる人たちはいます。
 なので、お金だけの問題ではないと思いますけれども、もちろん外国と競争しようと思うと、今、日本はその競争力はないと思います。それは事実です。それをどう変えるかどうかは今後、文科大臣も含め、いろいろな人と議論すべきことだろうとは思います。

【濵口主査】
  論点整理すると、課題として、これはずっと言われてきたことで、正しいと思うんです。ただ、問題は、そこに到達するためのメソッド、構造改革が明確になっていない。特にボトルネックになるポイントは何かという洗い出しが不十分だろうと思います。それを我々がもっと先鋭にやるべきなのかもしれないです。
 もう1つの課題は、その資金をどうするのかということです。これは文部科学省も苦しんでいることで、実は財務省と研究者がもっとフラットな議論をする時代になるのかもしれない。ただ、それでも財源はないという問題をどうクリアしていくかという、その次の問題があります。これを人文社会も含めて、総合的に、では、どうするかという点を我々が考えなければいけないということなんでしょうか。
 冨山先生。

【冨山委員】
  1点だけ。今、せっかく文部科学省の皆さんがいるので、先ほどの採用の問題ですけれども、この議論をするときに常に引っ掛かるのは、東大の、指定とかのレベルの大学院生に関しては全くそういう反応はおっしゃるとおりです。だけれども、学生の99%はそんなエリートではありません。大学の圧倒的多数は偏差値60以下の子供たちです。
 この問題の難しさは、そういう子たちの就職採用問題と、上位数%のエリートの問題を十把一からげに論じてしまうところに難しさがあって。要するに、経団連企業も両方とも雇っているわけです。うちは、どちらかというと、上の方しか雇わないかもしれないですけれども。平均的な企業は、東電だって、パナソニックだって、両方とも雇っています。大学もすごくスペクトラムをやるわけです。
 そうすると、そろそろそれを、全部同じ一律のルールで一律にやるという建前論は捨てないと、みんなが不幸になります。偏差値60以下の子たちも不幸になるし、偏差値75超えの子たちも不幸になります。
 これは、僕は上下で捉えるのは間違いだと思っていて、これは学力的多様性なのです。社会にとっては、平均的な大学の卒業生はすごく大事です。彼らが頑張ってやらないと、電力は普通に来ないんです。僕らは電気がつくのは当たり前だと思っているのは、はっきり言って、これは東大大学院生の成果ではないです。東電に入っている、むしろ平均的学力の子たちが日々真面目に、寒い日も雪の日も電柱の上に上がって頑張っているから来ているんです。だから、社会全体ではどちらも大事なので、この議論をするときには、そろそろ是非みんなが同じだという建前を捨ててください。そうでないと、この議論は前に進まないです。とにかく区別しないと、どっちも不幸になります。

【濵口主査】
  御指摘のとおりだと思います。
 川端さん。

【川端委員】
  違う話のはずだったのに、今の話をちょっとだけ受けて。今、中教審とかに入っていますけれども、少し前の話ではそういう話がありました。要するに、オリンピック選手と、それから、一般のスポーツ好きの人間を一緒に考えるなという。
 今はというか、今回の卓越大学院もそうですけれども、やはりボリュームゾーンをどうするかという問題です。ガウシアンを作ったときの上の10%、下の10%は、放っておいてもどうにかなります。下の10%は諦めてしまっているから、放っておいていいんです。上の10%は何もしなくたって、別に我々が何もしなくたって就職でも何でもします。真ん中のボリュームゾーンをどうするかという議論になっていて、それについての議論というのが、いろいろな意味でこの中にも埋め込まれるはずだと思っています。
 その上で2つの観点があって、1つは、例えばこの40歳未満の本務教員の割合を3割以上にするという話をしたときに、この人たちは五、六年たったら中堅になる。もう少したったらシニアになるんです。全部上に上がっていったときに、どんなグランドデザインになっているのかという話です。これを本当にピラミッドにするのであれば、では、上に行ってから、就職先はどこにあるのかという話だと思います。そういう話が全部いかないと、下だけ増やしたら、次に、昔のポスドク問題がまた起こりますという話です。
 もう1点は、細かい話はたくさんあるんだけれども、置いておいて、濵口先生が言われるみたいに、方法論をもっと、いろいろなバウンダリーコンディションの中で決めなければならないのだけれども、それ以上にいろいろなものを決定していく速度が速過ぎるんです。
 だから、議論する前に違うバウンダリーがまた入れられて、例えば大学連携の話、アンブレラの話だとか、連携保持の話だとか、いろいろものが考えられて、法制度があって、誰でも活用できますというのと同時に、そういうものが大学の評価の中に入ってきて、当然の方にそっちに向かって牽引されていく。
 一般の教員たちは、よく考えているのだけれども、ついついそういう話があったら、みんなそれはやらなきゃと引っ張られてしまう。では、ある意味ほとんど考える暇もなく、どちらかというと、何か感情論的にそっちに流れていっているという、そういう状態が一番問題だと思います。誰を批判しているわけではなく。

【濵口主査】
  ほかに言いたい人。どうぞ。

【竹山委員】
  皆さん不満だらけだからですよね。それぞれの所属しているところで、非常に課題が多過ぎてしまって、解決できない話です。ここ10年この課題はずっといわれているのに、先ほど濵口先生がおっしゃったみたいに、この課題を解決するためのボトルネックは何なのかということに関して、抽出はできるんですけれども、解決できないことばかりなんです。

【濵口主査】
  お金がない。

【竹山委員】
  お金がない。お金がないことに関しては、たしかもっと産業界が出せとかいう話もあったはずですけれども。個人的にはアプローチしています。産業界が出すべきだと思います。大学は文部科学省とか国に依存し過ぎです。私も個人ではそうしていますけれども、産業界もない袖は振れないと言われました。でも、ある程度は出せるんです。だから、個人の研究者が余りにも国のお金に依存すべきではないと思います。

【冨山委員】
  産業界ももう少し本当は儲けられるはずです。

【竹山委員】
  そうです。だから、分野によります。本当に基礎研究ですぐお金になるか分からないようなところに10年投資してくれといったって無理だと言われました。2年ぐらいでめどが立たないと厳しいので、単年度で契約させてくれなんて言われてしまったりするので。それは個人の話ですけれども。
 キャリアデザインの問題点がやはりあると思います。研究者として大学の研究者になるか、企業に行くかというのが最終になっていますよね。中に入ってから、企業と大学で半分ずつとか、どっちに出るとか多少やっていますけれども、そこの流動性が余りにも悪いので、今、若い人が上がったらどうするんだと先ほどおっしゃいましたよね。
 その人たちはやはり競争の原理だから、やはり競争して、残る人は残るでしょうし、大学を見捨てて企業に、もしかしたらアメリカの大学に行く人もいていいんです。そこが学生ばかり批判して、外に出ないと言っていますけれども、教員が縮こまってしまっていて、企業に途中で出るというのは、よほどのテクノロジーの人たちです。逆に企業から来るのは大学の籍をとるなというのはありますけれども、大学に入ってしまうと、皆さん文句は言いますけれども、多分居心地がいいんです。ハラスメントでも起こさない限りは首にはなりませんから。初めの5年間だけは頑張るけれども、あとは何もやらない。教授になったら終わりという、そこの思考がおかしいので、下ばかりどうのこうのとか、何だかんだ言うのではなくて、まずシニアになったら、シニアの考え方もあるでしょうし、キャリアアップというのはどこまでがキャリアデザインか、どこが終点なのかということはやはり考えるべきだと思います。
 だから、やはりそこで産業界の人たちと、そういう意味でも少し話合いをしながら、技術屋さんだけではなくて、ほかのところも、基礎研究をやりたいという企業は多いと思うので、そこのことを考えれば、初めいっぱいとったけれども、途中で減っていくというのは、自然減というふうになっていくには、もう少し人材のアウトプットのところに考え方が、社会として求めるべきではないかと思いました。

【濵口主査】
  西尾先生に御意見をお伺いしたい。

【西尾委員】
  今は第6期に向けての方向性のような意見も言って良い時間なのか、これは後にあるのか、どちらなのでしょうか。

【井上企画評価課長】
  全体に話が及んできていると思いますので、タスクフォースの報告というのはここで。

【濵口主査】
  終わって、実質的に自由討論に。

【西尾委員】
  では、申し上げます。学術分科会等の委員長を務めております者として、科学技術基本計画の第5期が持った大きな意義の一つは、学術研究という言葉が初めて基本計画の中に入ったということです。学術研究とは何なのかということは、研究のタイプを、学術、それから、戦略、要請の三つのタイプに分け、戦略というのは、CREST、ERATO等の戦略目標のもとで行うもの、要請というのは、災害等が起こった後に、国家的要請に基づいて行うような研究です。では、学術研究というのは何かというと、自らの考えのもとで、自らの責任でこつこつと進めていく研究です。もう一方では、基礎と応用と開発という三つの段階があります。
 例えば自然科学系のノーベル賞で日本から受賞者が出ているもののほとんどは学術研究の基礎研究からの成果によっています。そういうことを考えますと、学術基礎研究というのは国力の源です。これは本庶先生をはじめノーベル賞受賞者の方々の最近のいろいろな発言からも明らかです。
 第4期基本計画まで学術研究という言葉が記載されていなかったものを、第5期では是非ともその言葉を入れようということで、私自身もこの特別委員会等で申し上げて、何とか実現しました。
 きょうの文部科学省の最後の資料の4ページにも学術研究・基礎研究等を支えるという記述があり、現在では、いろいろな意味で重要視されています。
 学術研究・基礎研究を支えているのは何かというと、国立大学ですと運営費交付金、それと科研費です。ですから、今、そのような研究の苗床が本当に枯れつつあるという危機感が科学技術・学術政策を行っていく上で非常に重要であり、そういう点では、第5期基本計画においてある種のくさびは打てたと思います。
 では、第6期基本計画では何が重要なのかということです。やはり、タイミング的に言うと、日本は必ずSDGsの問題にどう対処するのかということは、第6期基本計画では必ず問われると考えます。大きな問題です。それと、超スマート社会を、今後、どうしていくのかという問題です。学術の分野で申し上げますと、デジタライゼーションが進んで、超大量のデータが産出され、研究の方法もどんどんデータ駆動になっているときに、その大量データをどこにいても有効利用しながら最先端の研究ができるようなプラットフォームをどのように構築するかというのは1つの大きな問題です。
 では、最初のSDGsの問題をどうするか。これは社会的に相当複雑な問題にチャレンジしていくわけで、そこのイニシアチブを握るプレーヤーは誰かというと、私ども自然科学系の研究者ではないと考えます。人文学・社会科学系の研究者がイニシアチブをとって、自然科学系の研究者を巻き込んで解決に向かうことになると思います。ところが、科学技術基本法には、それでは人文・社会科学系のみのものは対象ではないことになっています。そこで、科学技術基本法のこの部分だけでも改定するようなことをしないと、日本が社会的課題に関してどうアプローチするかということの認識が不足しているといわれても仕方がないように思います。
 第6期基本計画では、人文学・社会科学系と自然科学系の研究者がどれだけクロスして社会的な課題解決を行っていくのかという視点は必ず入れることが重要だと思っています。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。非常に重要なポイントを頂きました。
 課長、どうぞ。

【井上企画評価課長】
  西尾先生、ありがとうございます。議論全体のところに戻っていただいたということで、資料1、最初、私が課題整理をさせていただいたところにまた戻っていただければと思いますけれども、先生方に頂いた御意見を事務局なりに整理したものですけれども、今、西尾先生おっしゃっていただいたところは1ページ目、私どもアカデミックエクセレンスの追求と書かせていただきましたけれども、やはり文部科学省としてはここをしっかり訴えていかないといけないと考えています。
 先ほど先生からありましたように、第5期基本計画でこういう礎が、学術研究というところが入ったというところをやはりしっかり継承して、第6期基本計画でもやっていかないといけない。そこの理論武装といいましょうか、我々自身の考え方の整理もしっかりしていかないといけないと思っております。
 先ほど来、先生方から課題とその解決のヒントを頂いて、濵口先生にも少しおまとめいただいて、お金の話がありますということと、これはなかなか全体の中での話があるということと、あと、工夫で回していける部分。海外に出たとき、大体帰ってこられないかもしれない、うまく落ち着けないかもしれないというところの不安があってというのは、インタビュー、データでも出ているところですけれども、それに対して環境でありますとか、ポストの話でありますとかという具体的なお話を頂きました。
 そういった面で、なかなか課題が多過ぎて解決できないんだ、ずっと長く同じ課題が続いているんだというお話も頂きましたけれども、何か回転させるトリガーになるようなアイデア、具体的な考え方等がありましたら、是非先生方にも教えていただけたらと思うところでございます。

【濵口主査】
  あと10分ほどありますので、これだけはというポイントを短く挙げて。まずこちらから。

【冨山委員】
  制約要因、先ほどのお金の話、時価総額のリストがありました。私、産業界の人間ということになっているんでしょうけれども、私は産業界では超異端な人間です、自分の創った会社でしか働いたことがないので。
アメリカの変化を見てもらうと分かりますが、アメリカもかつては典型的なコーポレートアメリカの古くて大きな会社の社会でした。今、見てみると、そういう会社はなくなっています。日本は相変わらず古くて大きな会社を産業界と称しています。古くて大きな会社は構造的に儲けられません。
 ですので、先ほどの議論でいってしまうと、今、ぎりぎり自動車産業が残っていますけれども、結論から言ってしまうと、これも多分時間の問題です。
 要するに、もう産業界には期待しないでください。大したお金が出てきません。むしろ皆さんがGAFAを創ってください。まさに菅さんが言われたようにGAFAを創るような源を創ってください。僕はそこからしかお金は出てこないと思う。はっきり言って、国は貧乏です。国は毎年毎年何十兆円というお金を将来世代から借りています。僕らの子供たちや孫たちの金を食いつぶしているわけです。だから、国にも金ありません。既存の経団連的な産業界も金はありません。
 これは創るしかありません。僕はこの予見ははっきりした方がいいと思う。これは仕方がありません。だって、この辺を掘っても、日本はお金が出てきませんから。油が出てくる国はいいですよ。でも、出てきません。これは絶対的予見だと思った方がいいし、そこで何か四の五のやっても、先ほどのいろいろな制約条件はクリアできないでしょう。私はそう思います。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、新井先生。

【新井委員】
  まず、この大学改革というところですけれども、PlanとCheckのところの根拠資料を出すことに、実は非常に大きな負担が大学にかかっています。また、「選択と集中」の掛け声の下、基盤経費が削られて、競争的資金が増えている。研究大であればあるほど、トップ研究者であればあるほど、競争的資金に応募するための膨大な事務作業を抱えています。それがトップ研究者の研究時間を奪っている。科研費の審査にも膨大な時間がかかっている。
 何か申請をさせ、チェックするということ自体が、実は研究者の貴重な時間を奪っているという認識をもっと持っていただきたい。財務省が傾斜配分をもっとかけるといったら、もっと根拠を出せ、という話になる。そういう研究以外の時間がとられているというのが今一番大きな問題です。
 ところで、この10年を見ると、すごく大きな、巨大競争的資金というのがあったわけです。それはImPACTとSIPです。ImPACTとSIPはNISTEP的な観点からいって、本当にあれだけの金を投入しただけのインパクトがあったのか否かそろそろ検証するべきです。その結果、「結局は基盤公費と科研費基盤BとCが一番投資効率が良い」という結論になったなら、こういう巨大競争的資金はやめた方がいいというエビデンスになるでしょう。パブリックセクターが行う科学技術投資の、どのような形式が最も投資効果が良いのか、それは今こそ検証されるべきです。それをせずに、また新たにムーンショットなどということを検討すべき段階にない。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 新保先生は発言がない。

【新保委員】
  私は特にきょうは。

【濵口主査】  よろしいですか。
 では、川端先生。

【川端委員】
  1点だけ。資料1を見て、論点整理を見ていて、ど真ん中にやはりアカデミックエクセレンスといわれるがごとく、やはり基礎研究であり、多様であり。ただ、結局のところ、そのデータができていないという気がします。要するに、多様性というものをどう評価するのか。どういうふうに表現するのか。それが、例えばその前からNISTEPの先ほどの分析でもそうですけれども、どれにしても、大きくなったものとか、成果として見えてきたものというのは出しやすいけれども、では、多様性はその中でどれぐらい保たれているのか。多様な状況が。
 何かというと、まず出発は、若手、イコール、独創性、イコール、個人研究のはずなんです。そこにはビッグピクチャーなんて要りません。もしそれを言い始めると、彼らはまた要らない作業をしなければならなくなる。ビックピクチャーを描くために、夢物語を一生懸命、どこかで絵にならないものをまた描かなければならなくなってしまう。
 だから、そういう意味ではなくて、それは個人が持っていればいい話であって、それを求めるよりは、そういう独創性がどういうふうに、例えば今まで何年もやってきた分析の中で多様性はどういうふうに発展したのか。発展しながらも、確かに多様性は確保できているのか。それはシュリンクしていないのかというのが、僕もずっといろいろな研究所を見ていたときに、それを評価してデータにしたかったんですけれども、なかなかそれができなくて。そういうものがもっと表に出れば、ここは強く表現ができるのではないかと思いました。
 以上です。

【濵口主査】
  渡辺さん。

【渡辺科学技術・学術審議官】
  いろいろ御議論いただく中で、そういった点はありまして、前に西尾総長からも、これまでの基本計画で同じように科政研のデータを使ってその兆候を見てきました。大きな流れとしては1つの流れを表しているのですけれども、問題は、多様性、それから、今、出てきているもの、新しいパータベーションのシグナルが弱いので、そういうものを捉え切れない。それで、大きなところだけ見ていると、日本としては強いかもしれないけれども、世界的には、例えばそのときの日本はソフトウェアは弱かったんですけれども、ソフトウェアの中にAIとかがたくさん出てきていた弱い兆候は見切れなかったということがあったりします。
 それから、日本で研究者が少なかったりすると、そういう意見は、当然ながら、1つの意見としか出てこないので、埋もれてしまう。
 そこのところをどういうふうに、ありきたりの言葉で言うと、目利きになってしまうんですけれども、どういう兆候なのだということを拾い上げる仕組み、ゆとりがあれば、その遊びの部分で、表に出なくても、十分育つことがあったものが、そのゆとりの部分がなくなっているというのが現実だと思いますので、では、その弱い兆候だけれども、取り上げておくべきところの、それをどうすれば保てるかといったような議論はとても大事だと思いますし、その大きなデルファイは非常に確立された方法なんだけれども、見えていないものがあるということをきちんと自覚してくださいといって、政策研も自覚もしているんですけれども。
 では、どうすると拾えるのかというのはまた別の議論として必要なのだろうというふうに思っております。

【濵口主査】
  ありがとうございます。御指摘のとおりです。
 よろしくお願いします。

【井上企画評価課長】
  川端先生に御指摘いただいたビッグピクチャーのところですけれども、記述しているときに、我々も少し悩んだところなんですけれども、1人の研究者にビッグピクチャーを描く、自分の研究の位置をしっかり認識させる、してもらうということが必要ではなくて、この科学技術の世界全体でそういうことが機能すればいいのかどうなのかというところは私自身、少し悩んでいた部分がありましたけれども、川端先生はこういうビッグピクチャー自体の必要性を否定というか、ネガティブではなくて、研究者一人一人にそういうものを求めるのはちょっと現実的ではないのでないかという議論なんですか。

【濵口主査】
  これは単純に言うと、ビッグピクチャーを描く人が必要であると文部科学省が公式文書に出すと、全ての大学がそのビッグピクチャーを描くような人材育成ばかり発してしまうことの危険性をいっているのだと思います。
 それと、ビッグピクチャーを描ける人材というのをどう育てるのかというのが余りはっきりしていない段階で、一気に出してしまうと、大学もまたいろいろ変に動くリスクもあるということだと思います。
 全般的に、これはビッグピクチャーを描ける人が必要な時代になっているということだと思います。それをどう育てるかは次の議論が必要、センテンスだろうと思います。

【井上企画評価課長】
  理解いたしました。

【濵口主査】
  文章をもう少し。

【井上企画評価課長】
  私どもももう少し練ってみたいと思います。

【濵口主査】
  お時間になってしまいましたけれども、発言していただかなかった方、よろしいですか。お二人ほどまだ残っていますが、左側。よろしいですか。どうぞ。

【橋本委員】
  私自身は大学にいるわけではなくて、特にベンチャーですが、何回か申し上げているように、ここにもありますように、やはりこれから出てくる産業というもののその芽は大学です。大学にそのシーズがないと、新しいベンチャーなり、新しい産業は興らない。
 先ほど冨山委員もおっしゃったように、もう日本にはそれが今、なくなりつつある。だから、そういう意味で、やはり大学の基礎研究、学術研究というのは非常に大事で、そこをどう国としてちゃんとしっかり守り育ててインキュベートしていくかというところだと思います。
 そういうときに、やはりそこで担ってくれる若い学生さんにモチベーションを上げるためには、やはりそこにいたら楽しいし、それから、例えば自分の先輩なり、教官が楽しそうに研究をしているというのを見せないと、やはり本当に自分で自腹を切って大学院に5年も行くというのはなかなかそうならないわけです。
 ところが、例えば海外のベンチャー、ここに出ているようないろいろなベンチャーを見ると、例えばトップの方は、ほとんど皆さんPhDを持っていたり、MDを持っていたり、更にMBAを持っていたり。
 だから、やはりそういうアカデミックの研究バックがきちんとあって、そういう人がビジネスに行っているということが、ある意味で非常に尊敬もされるし、きちんとリコグナイズされる。
 ところが、日本の場合は、ドクターを持っていると、まず就職に不利になってしまうとか、仮にそれで就職しても、ほとんど何のインセンティブもありません。私自身昔、外資系におりましたけれども、日本ではそうでもありませんが、本国だと、PhDを持って入った人は全くルートが違います。普通の学卒と、更にはそれより下の人たちとも全くルートが違うし、お給料のレンジも違う。
 やはり研究をしたり、そういうバックを持っている人が、経済的にもちゃんとそういうインセンティブが持てるというようなこともないと……。

【濵口主査】
  そこは多分、一番のもとは大学院生を大量生産し過ぎたのだと思います。そこから設計し直さないと、優秀な価値のある人材を大学が出しているというエビデンスが出せないと思います。

【橋本委員】
  それで、その大量に作ってしまった学生さんたちも、将来大学にしかいられないという今、そういう絵しか見えていないのですが、外に行くと、そうやっていろいろ活躍できる場がある。

【濵口主査】
  今、大量にいる大学院生にジョブをどういうふうに設計させるかというアプローチがもう1つ必要だと思います。その辺の解決が具体的に示されていないから、何年も同じ課題が出てくるのだろうと思っています。マイナスのサイクルに入ってくるのではなくて、プラスのサイクルに入るための手をどう考えていくかという議論をもっと我々がしないといけないというように感じていますけれども。
 済みません、お時間がなくなりました。
 最後に事務局からお知らせをお願いしたいと思いますけれども。

【小野山企画評価課課長補佐】
  本日の議事録は後ほど事務局より委員の皆様にメールをお送りさせていただきます。御確認いただいた上で文部科学省ホームページに掲載させていただきます。
 また、次回、年明けまして、1月17日15時からを予定しておりますので、よろしくお願いします。詳細な議事につきましては、後日御連絡させていただきますので、よろしくお願いします。

【濵口主査】
  ありがとうございました。司会が稚拙で、大分議論が流れましたけれども、御容赦ください。
 それでは、きょうは本当に御参加ありがとうございました。


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科学技術・学術政策局 企画評価課

(科学技術・学術政策局 企画評価課)

-- 登録:令和元年05月 --