総合政策特別委員会(第19回) 議事録

1.日時

平成30年2月28日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館3階1特別会議室

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 科学技術政策を取り巻く最近の動向について
  2. 文部科学省における第5期科学技術基本計画の進捗状況の把握・分析について
  3. 今後の重点的調査検討事項について

4.出席者

委員

濵口主査、新井委員、大橋委員、小野寺委員、川端委員、庄田委員、菅委員、角南委員、竹山委員、知野委員、塚本委員、土井委員、西尾委員、橋本委員

文部科学省

戸谷事務次官、藤野サイバーセキュリティ・政策評価審議官、佐野科学技術・学術政策局長、松尾審議官(科学技術・学術政策局担当)、坪井科学技術・学術政策研究所長、松岡科学技術・学術政策局企画評価課長、ほか関係官

5.議事録

科学技術・学術審議会 総合政策特別委員会(第19回)


平成30年2月28日


【濵口主査】  それでは、お時間になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会第19回総合政策特別委員会を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、まず、事務局から、出席者の紹介をお願いいたします。

【中澤企画評価課企画官】  事務局より出席者を御紹介させていただきます。
 本日は、五神委員、白石委員、新保委員、冨山委員、永井委員、松本委員が、御欠席となってございます。
 そのほかの先生については御出席でございますが、新井先生のみ、遅れている状況でございます。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 それでは、会議開催に当たりまして、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【中澤企画評価課企画官】  毎回、資料、ボリュームがありまして、大変恐縮でございますが、お手元の議事次第がございます。この議事次第の裏に、資料番号を振ってございます。資料1-1から資料3-6まで配付がございます。
 もう一つ、机上に、いつもの基礎資料ということで、このドッチファイルも置かせていただいてございます。
 それから、資料2-1は、このピンクの紙のファイルが資料2-1でございますので、この点も御留意ください。
 もう1点、資料番号は振ってはございませんが、急遽机上配付で、右上に資料2-7とあるのですが、これは、12月6日、前回の総合政策特別委員会での今後の議論の進め方ということで使った資料でございますので、これも適宜参照する可能性がありますので、改めて配付させていただいてございます。
 何か足りないものとかありましたら、今、あるいは途中でも、係の者にお伝えいただければと思います。

【濵口主査】  はい、ありがとうございます。
 本日は、議題1としまして、「科学技術政策を取り巻く最近の動向について」を報告させていただきます。
 また、議題2の「文部科学省における第5期科学技術基本計画の進捗状況の把握・分析について」では、第5期科学技術基本計画の実施状況について、報告とそのフォローアップの基本方針を御審議いただきます。フォローアップをしっかり確実にやりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 議題3の「今後の重点的調査検討事項について」は、前回委員の方々から御意見のありましたSDGsや人材政策を巡る最近の状況について、報告をさせていただきます。
 それでは、議題1に入ります。まず、事務局より、科学技術政策の最近の動向及び平成30年度予算等について御報告いただきます。よろしくお願いします。

【中澤企画評価課企画官】  資料1-1から1-4、続けて私から説明させていただきますが、いずれも、これは、ほかの政府の委員会会議等の公開の資料でございますが、総政特、この委員会の議論とも、今後連携、密接な関連があるかと思いまして、御説明させていただきます。それでは、資料1-1について説明させていただきます。
 資料1-1、「統合イノベーション戦略の策定のプロセス」についてご説明させていただきます。
 現在、こういった政府の動きがありますという御紹介でございますが、毎年CSTI、総合科学技術・イノベーション会議で、科学技術イノベーション総合戦略を、毎年6月に閣議決定してございます。今年は、この「統合イノベーション戦略」という形に名前を変えて策定する動きになっております。
 一番大きな趣旨といたしましては、これまで科学技術のイノベーションの基礎の部分から科学技術全体を見ていたところですが、今後、その出口であったり、社会実装も含めて、CSTIの下でその議論をしていこうという動きがございます。
 如実にそれが表れてございますのが、左のボックスに「イノベーション戦略調整会議」がございますが、こちらは、官房長官をヘッドにした議長の下で、これまでCSTIに入っていた科技担当大臣、総務大臣、財務大臣、文科大臣、経産大臣に加えて、現業官庁、厚生労働省だとか農林水産省、あるいは国土交通省とか、そういったところも合わせた形での委員会で、改めまして出口だとか社会実装といったところも意識した統合戦略を作っていこうという動きが、今出ております。
 1枚めくっていただきますと、では具体的にどういった項目をということが、ここに書いてございます。時間の関係で省略させていただきますが、「当面の重点(案)」を見ていただくと、「Society 5.0の基盤構築」、丸2番が「大学改革/若手活躍推進/産学連携/研究力強化」、丸3番「新SIP/PRISMを通したイノベーションの創出」に加えて、4番以降は、例えば、「知の基盤の整備」、エビデンスベースの施策の推進のためのデータベースといったものの話だとか、「政府予算イノベーション転換の施策」、更には6番「創業」だとか、7番「社会変革」、「国際展開」といった、社会にどう実装するかについての項目を出して、その項目ごとに、局長級の会議を、横断的にCSTIの下で今やっている状況でございます。
 具体的な項目等については、3ページと4ページに記載がございますので、こちらについて適宜御参照いただければと思います。
 続きまして、今度は予算という観点でございますが、こちらについては、資料1-2から1-4について説明させていただきます。
 前回、総合政策特別委員会が12月6日でございましたが、今回、政府予算、年をまたぎまして、今年1回目でございますので、政府予算は決定してございますし、国会の審議に入ってございます。資料1-2でございます。1枚おめくりいただきますと、政府予算全体の数字が入ってございますので、こちらを見ていただければと思います。
 1ページ目でございます。毎年、このCSTIで、政府予算全体を取りまとめしてございます。今年、平成30年度当初予算案につきましては、1ページ目の左上の数字でございますが、3兆8,396億円という数字が、この科学技術関係予算合計額でございます。これは、対前年で見ますと、一番右側でございますが、2,504億円の増となってございます。
 今回、30年度の予算に関しましては、CSTIで二つ特殊なことを行っております。それについて御説明させていただきます。
 一つは、資料1-3でございます。資料1-3をおめくりいただきますと、二つ、今回ポイントがあるうちの一つでございますが、科学技術関係予算、こちらについては、集計方法を変更してございます。
 誤解のないようにという意味で言うと、科学技術関係予算そのものを何かルールを変えたということでなく、従来の考え方は踏襲してございます。課題といたしましては、1ページ、2ページ全体でございます。各省が、これを科学技術予算だというところで登録していたのですが、おおむね内容について並びは取れているものの、ばらつきが一部にあったので、一定のルールをCSTIで定めて、そのルールの下で科学技術関係予算を再集計している状況でございます。
 具体的なプロセスといたしましては、1ページ目の右下にございます、「行政事業レビューシート」がございます。これは、政府の、全ての予算については、事業ごとに1枚行政事業レビューシートを、必ず、政策の評価も含めた、そういった形のために使うものがありまして、これは公開されている資料でございます。こちらを、総合科学技術会議、イノベーション会議事務局が全て見ながら、事業目的・概要、その他、いろいろなことが書いてございますが、そのレビューシートの中で、主要な行為、内容、予算でどういうことをやるかという具体的な行為、内容といったところと、その予算で何を狙っているか、すなわちアウトカム、この二つに着目して、全ての事業を分類して、新しい整理をしたという状況でございます。
 資料が行ったり来たりで大変恐縮でございますが、資料1-2を御覧いただけますと、資料1-2の3ページ目でございますけれども、従来方法と新方法で、計算を、リセットしている状況でございます。
 資料1-2の2の3ページ目、この左側の表に、新方法で、先ほど私がお話しました「38,396」、3兆8,000億円という数字が左下にございます。これは新方式で計算してございますが、ちなみに、これを従来方式で計算するというところが、その表の右にございます「37,591」という数字がございます。すなわち、集計方法の変更で805億円、右側の差額はありますというところについて、補足させていただきます。整理を、改めてしっかりしていくというところがございます。
 もう一つは、今回の政府予算全体におきまして、1つ新しい取組で、科学技術イノベーション転換をやっています。2点目の御説明です。
 具体的には、資料の1-4を御覧いただければと思います。資料1-4でございます。こちらは、まず多分絵で見ていただいた方が分かりやすいと思いますので、3ページ目を御覧いただけますでしょうか。「科学技術イノベーション転換の代表例」です。
 すなわち、これまで、政府予算の中でも、科学技術関係の予算ということでやってこなかったものについて、まさに社会実装、特に社会実装という観点で、今までやっていた予算に、科学技術の色を入れてやるという部分について、予算の内容面を変えるという行為を行ってございます。
 具体的には、3ページ目の下、民間の、例えば、例3でございます。「民間への先進技術の普及・促進」については、農林水産省関係でございますが、農業に関する補助金の一部について、ロボットだとか、先進のIoT機器を導入する内容に変えるということ。あるいは、国交省などでいうと、最近よく話をされています、i-Constructionということで、橋梁だとか、例1でございますが、いろいろな土木のメンテナンスにICT、IoTを入れていくと、予算の中身をシフトしたものについて、科学技術イノベーション転換ということで、中身を変えてございます。
 そのまま1ページ戻っていただくと、この科学技術イノベーション転換により、平成30年度の政府予算案として、2ページ目の右下でございますが、66事業認定してございまして、1,917億円という数字が、科学技術イノベーション転換で、新たに科学技術予算として登録されている状況でございます。
 以上になります。

【濵口主査】  ありがとうございました。

【松岡企画評価課長】  補足で説明をさせていただきます。
 資料1-2の3ページ目を見ていただきますと、文部科学省の新旧の予算が掲載されておりますが、文部科学省の新方式と従来方式の差ですね、「変更による増減 (A)マイナス(C)」という欄ですけれども、2,000億弱マイナスになっております。これにつきましては、注3を見ていただきますと、今回計算方法のルールが統一されましたので、その方式に従って検討してきたのですが、大学の、国立大学運営費交付金ですとか私学の大学助成金の部分ですね、ここについてどういうルールで計算するか、研究の部分、教育の部分、その他の部分と分けて議論してきたのですけれども、研究の部分は、従来どおり科学技術関係予算に入るだろうと整理をしましたが、教育部分については、大学院の教育の部分は、今回科学技術関係予算に入れております。学部教育の部分については、今後Society 5.0の位置付けに向けた科学技術イノベーション政策の範囲については検討するという、政府全体で検討することになっていますので、今回の集計では、その部分は算入していないと、変更、そういったルールの変更がありましたので、減額化、2,000億弱マイナス、計上額が2,000億弱マイナスになっていると補足させていただきます。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 今の説明も含めて、御意見ございます方は。土井委員、お願いします。

【土井委員】  ありがとうございます。
 今御説明していただいたところで重ねての質問です。学部教育の分を除かれているということですが、学部教育に携わられている教員の方の人件費も、一緒に除かれているということでしょうか。

【松岡企画評価課長】  説明が不足しておりました。
 従来方法は、従来の計算方法は、大学の決算額から、支出から、研究にどれだけ支出していたかという推定をして計算をしてまいりました。
 今回、新しい方式は、教員の活動時間が、研究に活動していたのか、教育に活動していたのか、その他社会貢献に活動していたのかもベースに、どの部分が科学技術に該当するかということで、教員の活動時間で計算をしております。
 従いまして、教育に携わっている教員の方も研究をしていれば、その時間の部分は統計上入ってきますので、研究活動部分は算入されている、計算に入っていることになります。

【土井委員】  ありがとうございます。

【濵口主査】  大まかな図が、これ、1-3の24ページで出ていますね。

【土井委員】  まだ追い切れていない。

【濵口主査】  もう少しこれから、これが改革されるということですか。

【中澤企画評価課企画官】  1-3の24ページと、全体を見ていただく意味で、19ページ、1-3の19ページを見ていただくと、大体直感的にも、あれが分かります。
 運営費交付金全体におきまして、74.1パーセント。これは、今、課長、松岡から説明させていただきました、一定のエフォートのルールで計算したこの数字を、今は採用させていただいている状況でございます。

【濵口主査】  どうぞ、知野さん。

【知野委員】  ありがとうございます。
 この科学技術イノベーション転換事業予算ですけれども、これはそうすると、今年以降、毎年この形でやっていこうというのが、政府の方針でしょうか。

【松岡企画評価課長】  平成30年度から、この科学技術イノベーション転換、各省取り組んできておりまして、これは、今後も3年間続けていこうという方針でやっております。

【知野委員】  というのは、これから科学技術予算を増やすのだという話が出ていますけれども、中を開けてみると、実際に科学技術で使っているとはいえ、何となく、研究とは違って、社会実装とおっしゃっていましたが、割と研究予算は削られていく傾向にはないのだろうか。むしろ、いろいろな公共事業関係とか、いろいろそういうところに、適用していくにしても、研究に影響を及ぼすことがないのかというのが、1点気に掛かりまして、その辺の見通しなどを教えてください。

【松岡企画評価課長】  今回の科学技術イノベーション転換につきましては、先ほど中澤から説明させていただきましたけれども、既存の事業に科学技術観点を入れて、現場への実装していく。あるいは、それによって事業が効率化していくことを目指したもので、研究開発、正味そのものではないということですが、そちらも努力をしないということではなく、今回科学技術イノベーション転換で増額されている金額が1,900億でございまして、全体の増額が2,500億ですので、従来から科学技術予算に含まれていた部分も、増額に努力していくということで、その結果が出ているということだと思います。

【知野委員】  分かりました。

【濵口主査】  どうぞ、庄田委員。

【庄田委員】  同じく、科学技術イノベーション転換について質問です。
 資料1-4の最後のスライドに、科学技術イノベーション転換の代表例が示されていますが、旧来どういう項目の予算であったものが転換された事業なのか、代表的なもので結構ですので、教えていただけますか。

【中澤企画評価課企画官】  一番代表的なもので言いますと、左下だと思っておりまして、資料1-4です、「民間への先進技術の普及・促進」といった、農林水産省は、実は今回、前のページも見ていただくと、農林水産省、31事業で422億円という数字がイノベーション転換になってございまして、補助金の中で今まで農業支援をやってきたところについて、社会実装の観点で、ロボットだとか、先進のIoTを導入するというところに、色を変えているところが大きいかと思います。
 先ほどの御質問にも関連するところでございますが、このイノベーション転換は、かなり厳しく中身も見てございまして、同じ資料1-4でございますが、1ページ目の下に、3つのメルクマールが書いてございます。これは、全てアンド条件でございまして、29年度から30年度に、実際に明確な事業について、科学技術の要素をどのくらい入れたか、明確な変化があるかとか、あるいは、先進技術の導入というのがふさわしい内容なのか、これは予算全体の中で、例えば全体の予算の中で、この一部分のプログラムだけ科学技術イノベーションの色を入れました、内容を変えましたという場合は、その部分のみを切り出して計上しているということで、各省とCSTIでかなり調整をしました。かなり厳しくここは見てございます。
 それから、先ほどの話の補足にもなる状況でございます。政府予算全体が、御案内のとおり、約100兆、具体的に言いますと一般会計97兆円の中ですけれども、地方交付税交付金、国債償還費、社会保障費、こういったものを除いた一般の歳出という数字は、25兆800億という数字がございます。この部分、裁量的な部分でございます、この部分は、全体で370億円という増額の中で、いろいろなやりくりの中で、科学技術関係費はこういう状況になっていると、繰り返しになるのですが、従来からの科学技術予算にもしっかり確保しつつ、更にはイノベーション転換といったところも、その中で、ほかの予算について、科学技術の中身を入れていく行為を行っている状況でございます。

【濵口主査】  ほか、よろしいでしょうか。
 大橋委員、お願いします。

【大橋委員】  どうもありがとうございます。
 このイノベーション転換ですけれども、今いただいた、例えば農水省の事業でいった場合に、今後、この事業の評価あるいは予算額の配分は、CSTIがやられるということなのか、あるいは単に、各省から上がってきたものを、イノベーション予算という枠に入れたということなのか、そこの辺りを教えていただければと思います。

【松岡企画評価課長】  今回のイノベーション転換は、CSTIから政府の方針として条件が示されまして、条件は、先ほど説明にもありましたけれども、三つ条件があります。その条件に合うものを、各省から提案のあったものを、CSTIと各省で協議をして、それで最終的に特定されている状況で、今後もそういう方向で進められると考えられます。

【濵口主査】  ほか、よろしいでしょうか。
 どうぞ。

【川端委員】  今の話が、ど真ん中だと僕は思っていて、要するに予算の枠組みを変えただけなのか、それとも、これをもって誰がどのようにプロモーションしようとしているか、そこがよく分からないので、多分そういう質問がずっと続いているのだと思うのですけれども、いかがですか。誰がこれをプロモーションしていこうとしているのか。
 それとも、これは統計的にこういうものが必要だから、これを切り出して数字上集めましたという話なのか、その辺はいかがですか。

【中澤企画評価課企画官】  全くもって、何か統計上切り出したということよりも、明確に、これまでもやっていた事業に対して、このイノベーションの色の中身を、予算上、事業上も変えていることを整理しております。
 そこは、CSTIでも選定作業はしっかりやりましたし、そういう意味では文科省も、幾つかの予算について登録してございますが、かなりそこはマネジメントをしっかり、政府全体としてはやってございます。
 更に、今回私の方で御説明させていただきました資料1‐1でございますが、この項目の一つに、まさにイノベーション転換が入ってございます。この資料1-1の3ページ目でございますが、この項目の中に、政府イノベ転換、これは略していますが、イノベーション転換、社会変革、すなわち文脈としては、社会変革、社会実装をいかに起こしていくかという観点で、イノベーション転換も、先ほども言いましたイノベーション戦略調整会議、これは官房長官ヘッドの会議でございますが、この下部組織で局長級の会議、打ち合わせをセットして、イノベーション転換も進めていく話でございます。

【濵口主査】  ほか、よろしいですか。
 新井委員どうぞ。

【新井委員】  遅れてきたのに申し訳ありません。今、大橋先生から、少し御様子を聞いて。
 幾つかありますけれども、OECDの中で科学技術予算に対して、あるいは高等教育に対しての投資が、日本は非常に低いという御指摘があって、それでGDP比1パーセントというのを、数値目標を達成しようというために、この科学技術イノベーション転換が出てきたとして、1パーセントは達成しましたねという数字合わせをされて、実は国立大学とか研究開発法人に対する予算が減るのは一番最悪。
 それは、本当に最悪なので、絶対に文部科学省としてはきちんと守っていただきたいと思います。まずは、それが1点です。
 そのようなこと、そういう目先のことで、例えば、1次産業の6次化とか2次産業の5次化は、喫緊必要なことですから、それに対して、今までの公共事業みたいなものを高度化することについては、どなたも反対はしないと思うのですけれども、そのことと、きちんとした基盤的な研究費に対して減らさずにやっていきましょうということは別儀であることは、きちんと内閣府に釘を刺していただきたいということがあります。
 次です。この科学技術関係予算の新たな集計方法ですが、これも、まだ多分、ERPとかと呼ばれている辺りの話かと想像していますけれども、これで、また研究者全員に、入りと出は何ですかと、交付金でどの論文を書いて、この競争的資金でどの論文を書いたのですかを、全部紙にして、シートにして出しなさいみたいな話になると、もう研究者の多忙感が更に増すので、この総政特では、JSTが来年4月くらいにリリースするリサーチマップの、次回に進捗状況を御説明させていただく予定ですが、それで研究の業績と競争的資金との紐付けというのは出しますと申し上げているので、屋上屋みたいなことはしないでくださいと。文部科学省としては、それをきちんと把握していますと。内閣府には、それは、提出できる状況、マクロ情報として提出できる状況にあるので、そのようなことは別に内閣府に心配していただくことはないですということは、きちんと、それも押し返していただきたいと思います。
 以上です。

【濵口主査】  ありがとうございます。ほか、ございますか。西尾先生。

【西尾委員】  今いろいろ貴重な意見を言っていただいたことも踏まえまして、従来の科学技術関係予算という面とは異質なので、今後こういう予算の表を書かれるときに、イノベーション転換の部分を、絶対にこういう枠として別に書いていただかないと混乱しますので、今後も科学技術イノベーション転換事業の額はきっちり明示をしていただかないと、いろいろな意味での、先ほど知野委員のおっしゃった意味の誤解を招いてしまう可能性があるので、そういうことは今後継続的にお願いしたいと思うのですね。そうでないと、うやむやになってしまうことが、非常に懸念することです。

【濵口主査】  持続的にウォッチングしていかないといけないということですね。
 塚本委員、では、お願いします。

【塚本委員】  ありがとうございます。
 皆様とおおかた同じですが、資料1-4の、事例の、3ページの例1、会社と親和性の高い話なので、一言具体的な話をさせていただきます。
非常にi-Constructionという政策は意味のあるもので、アナウンスメント効果もあり、いいことをやっていると思います。
今、一番普及が必要なのが、中小の事業者の方や地方への浸透なので、やらなければいけないエリアだと考えており、中小企業振興予算ですとか地域振興予算等でカバーする方が馴染むように思います。これを科学技術の方に持ってくるのであれば、その分費目変更、積み増していただくなどがないと、科学技術予算の本来の趣旨が見えづらくなるのではないと考えます。
以上です。

【濵口主査】  橋本委員、お願いします。

【橋本委員】  大体皆さんと同じ意見ですが、基本的な科学技術予算は、これは確保していただきたいと思っております。
 例えば、私どもの会社も、大学発ベンチャーでございますが、その大学の研究予算そのものがだんだん絞られてきて、しかも大きなプロジェクトが終了してしまうと、そのシーズになるものが出てこなくなってきてしまいます。私たちベンチャーの場合は、シーズは大学から出てくる前提で、それをいかに製品化するかで事業活動をしているわけですが、シーズが枯渇してしまうと、次の製品が出てこなくなります。実際に、今そういうことが起こっております。
 最終的には、大学で今まで大きなプロジェクトで採用していた人たちの研究費もなくなるので、「おたくで採用してくれないか」といったことが起きてきてしまうわけです。十数年前に大学発ベンチャーを促進された政策があって、そういう企業もたくさんできたわけですが、そこが生き残れない。そこに更にシーズがなくなってしまうことが起こるのではないかというのが、これを見ながら、非常に懸念をするところです。
 あと、イノベーションということで、いろいろ各省庁の予算を入れてらっしゃいますが、本当に、最初の技術とは、アカデミア、大学を中心としたところからの技術が出てきて、それが波及していくわけですから、最初の根幹となるところの研究レベルは落としてはいけないと思っております。

【濵口主査】  皆さん、御懸念されることは共通項が多いと思いますけれども、持続的に作業を進める中で、問題が解決できるかどうかを、よく考えていかないといけないと思います。
 少しお時間押しておりますので、よろしければ、議題2に移りたいと思います。
 まず事務局より、文部科学省における第5期科学技術基本計画の実施状況についてと、そのフォローアップの基本方針について説明いただきます。よろしくお願いします。

【中澤企画評価課企画官】  はい。資料2-2と2-3を使って御説明させていただきたいと思います。それとともに、机上配付資料で、前回12月6日の資料も、適宜引用するかもしれません。
 前回の総合政策特別委員会の場で決まったことの一つが、第6期科学技術基本計画に向けて、夏以降、本格的な検討をこの委員会の場でやっていく形になりますが、それに先立ちまして、今回この俯瞰マップ、第5期科学技術基本計画に則り作った俯瞰マップの進捗状況、進捗状況と言っても、第5期が始まってまだ2か年という状況なので、数字で追えるところ、追えないところ、いろいろございますが、フォローアップ自体を、各科学技術学術審議会の他の関係する委員会に落として、そこの中でいろいろな状況を分析したものを、再び総合政策特別委員会にフィードバックをするという一連の行為をすることについて、前回の委員会の場で、方針について決めていただきました。
 では、具体的なやり方であったり、現在の数字、いろいろな指標の状況について、御説明させていただきたいと思います。
 そちらが、資料2-2になります。資料2-1は改めまして、このピンク色の資料になるのですけれども、こちらの中からいろいろな指標を抜き出したものを、資料2-2とさせていただいてございます。
 資料2-1で、俯瞰マップの中には、かなり指標がたくさんございます。その状況についてでございますが、文科省企画評価課で、いろいろな公開資料を、それぞれの出典、関係する出典の部分を拾いまして、資料2の数字については、データを取ってございます。これは全部説明するのは厳しいと思いますので、代表的なところを説明させていただきたいと思います。
 まず、資料2-2の、それぞれめくっていただくと、俯瞰マップごとの数字の指標の状況がございます。数字、分かりやすくするために、単純ではございますが、数値が増加したものは青い網掛けにしてございまして、数値が減少したものは赤い数字で書いてございます。
 幾つか基本計画の中でも代表的なところを御説明させていただきます。3ページ目でございます。マップ7、これは人材関連でございます。よく言われます「セクター間の移動状況」、下から二つ目でございます。このセクター間の移動の状況については、赤色のところと青いハッチ、同じぐらいというか、赤いところが多い状況でして、依然としてそのセクター間の移動の数という中については、なかなかまだ進んでいないところが、引き続きあるかというところがございます。
 それから、代表的なところを幾つか見させていただきます。6ページ目を見ていただくと、女性の研究者の割合です。これも、基本計画の本文の中でも、こちらを30パーセントに近づけるという記載がございますが、6ページ目を見ていただくと、これはいずれも青い色のハッチが掛かっていますが、すなわち増えているということでございます。これは、新規で採用する女性研究者の割合が増えています。
 そのすぐ上のところにもありますが、女性研究者のそもそものマス、全体の数自体なところも、数値的には増えている状況が伺えます。
 それから、またこれもいろいろなところで引き合いに出されますが、10ページ目でございます。最近、研究力低下の話なども、幾つか御指摘を、いろいろなところで出てございます。10ページ目は、学術研究・基盤研究でございますが、下から2つ目、よく我々「Q値」という言い方もすることがございますが、被引用回数がトップ10パーセント論文、トップ10パーセント論文あるいはトップ1パーセント論文が、全体の総論文数の中に占める割合という数字でございます。
 日本は、大体ここにありますとおり、トップ10パーセントだとQ値どれぐらいの割合かというと、8.5パーセント、8.4パーセントですが、横ばいと、数字的には青色を掛けています。微増という形になってございます。
 あるいは、代表的なところを。14ページになります。これは、昨今オープンイノベーションというところがかなり言われている、産学連携です。いろいろなところで産学連携、オープンイノベーションの必要性については言われておりますが、数字的には右肩上がりになっているところが多いです。
 具体的に、右、一番下から二つ目でございますが、大学、国立研開等へ民間企業が、どれぐらいお金を共同研究費として出しているかという数字でございます。つい先立って文科省の産学連携等実施状況調査が出てございますが、最新の数字ですと、大学に対して民間が出す数字が、この上でございます52557、526億円という数字になっていまして、これは、単調増加、単調と言いましょうか、着実に増加してございます。
 更に、16ページでございます。大学発ベンチャーの設立数でございます。先ほどベンチャーのお話もございましたけれども、こちらについても、16ページの上でございますが、設立自体は着実に増えている。あるいは、上から2つ目のIPOしたベンチャー、これの中で研究開発自体を積極的にしている会社も、トレンドで言いますと、2016年から2017年にかけては順調に増加している数字もございます。
 少々雑駁ではございますが、今回、こういった総合政策特別委員会の俯瞰マップで、たくさん、多く重要な指標を挙げていただいてございます。その指標の全体の状況を、今調べられる範囲で調べているものが、こちらでございます。
 一方で、資料2-3でございます。今後こういった指標も使いまして、各科学技術学術審議会のほかの各分科会で、どういったものをフォローアップしていただくかという基本方針について、こちらのペーパーで定めてございます。
 この右上に、まずクレジットが「科学技術・学術審議会」と、まだこれは決まっていませんが、こういった形にさせていただいてございます。今後、この委員会で踏まえた意見なども踏まえて、3月中を予定していると聞いていますが、科学技術・学術審議会にこちらを上げさせていただいて、そこで議論いただき、その上で、基本方針について、各分科会で、フォローアップをお願いするものでございます。
 具体的には、このページの1ポツ以降でございます。俯瞰マップの中でも、全体をフォローアップするということではなくて、この俯瞰マップ1から俯瞰マップ17までございますが、そのうち、もともと俯瞰マップを作ったときに、特に文科省が、ある意味単独でフォローアップできる内容というところをもともと定義してございましたのが7から16なので、こちらについてフォローアップしましょうとなってございます。
 具体的な方法でございまして、めくりまして2ページ目でございます。2ページ目と、もう1つ資料2-4という様式を見ていただければと思います。この様式、資料2-4を埋めていただくことを、各分科会にお願いすることになります。
 方法でございますが、(1)にもありますとおり、各俯瞰マップのうち、各分科会等が関係する部分につきまして、特に主な指標を二、三個、重要な指標というのを挙げていただいて、その指標の状況をモニタリングしながら、ではその指標が上がったか下がったかが、どういった要因分析になっているかを、方法の(2)から(3)でやっていただこうと考えてございます。
 特に御留意いただきたいのが、(2)にも書いてございますが、現行の基本計画の進捗状況について、内部要因、これは文科省が講じた政策、施策というものも含めて、そういったものがどういう効果を与えるのかもさることながら、一部、多分外部要因、例えば、人口減少だとか、あるいは経済というのはあれかもしれませんが、明らかに外部の要因についてどういったものがあったのかも、1点意識して分析を、現状分析それから原因分析をしていただこうと考えてございます。
 ということが、この2ページ目に書いてございます。
 スケジュールでございます。3ページ目に移っていただきまして、平成30年2月、今回、今日でございますが、ここで俯瞰マップについて、フォローアップのための基本方針も御審議いただいて、これに御意見を頂ければと思います。この後、科学技術・学術審議会に報告、決定して、それ以降、各分科会に「こちらをフォローアップしてください」ということをした上で、もう一度、平成30年6月頃、夏ぐらいに向けて、総合政策特別委員会に、各分科会からフィードバックをもらおうという形で考えてございます。

【濵口主査】  はい、ありがとうございます。御理解いただけたでしょうか。
 エビデンスベースドで政策の決定に貢献していくこと、これは、かなり大事な作業だと思うのですけれども、先生方、各分科会にも参加しておられると思いますので、是非分科会でも積極的に御意見を発していただいて、このデータをそろえる作業を進めていただきたいと思うのです。
 いかがでしょうか、今のお話に関して、御意見、御質問等ございますでしょうか。
 庄田委員、お願いします。

【庄田委員】  各分科会において俯瞰マップを用いて分析するという進め方は大変重要なことです。第5期科学技術基本計画の中で文部科学省が行っている施策のPDCAを回すために俯瞰マップを作成したという経緯からすると、あまり俯瞰マップに重点が置かれていないと感じているのが1点目です。特に資料2-3の2ページの留意点にあるように、過去の施策や取組の累積によって指標の値が動く中、基本計画のこの2年間に、文部科学省の関連施策がどのように実施され、効果をチェックするのが俯瞰マップであったと、理解しています。
 2点目は、同じ2ページの、「2 方法」の(4)と(5)についてです。(4)には、各分科会等の担当課が総合政策特別委員会へ報告をするとなっていますが、各分科会等が実際に議論したものを担当課が報告いただきたいと思います。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 今の点踏まえていただけると思いますので、よろしくお願いします。
 はい、新井委員、お願いします。

【新井委員】  この青と赤の付け方が、私、意味が、数学者として分からないのです。このパーセントが、例えば、微増とか微減とかで、そういうことを言うことで「下がった」という言葉が独り歩きしたり、「上がった」というのが独り歩きしたりすることは、数字の扱い方として不適切だと思うのです。せめて何か検定をして、これは下がったとか上がったとかと言ってもらわないと、この34.4パーセントが35.1パーセントになったら上がったとか、そういうのは非科学的ではないかと思います。
 文部科学省はそういうことは分かるかもしれないけれども、内閣府はそういうことが分からないかもしれないので、それをそのまま上げて、非科学的に考えられると困るので、もう少し、赤と青とかではなくて、何かないのですか。

【濵口主査】  ピンク色とか、緑色とかで。

【新井委員】  これだけで「上がった、下がった」といわれてはあまりに非科学的で困ります。
西尾先生、どう思われますか。

【濵口主査】  検定ですね。西尾先生、やった方がいいですか。

【西尾委員】  おっしゃることは、よく分かります。何か……。

【新井委員】  ねえ。意味がよく分からない。

【西尾委員】  2つだけの色でね。程度とか何か、分からないですものね。

【濵口主査】  これ、今日に合わせて、事務局が、メジャーなところ、ずっと洗い出していただいて、上がっているか下がっているかを、まずこの指標を作っていただいたところですけれども、改善の方法を、負担のない形であればということですね。T検定などできますか。

【中澤企画評価課企画官】  全くもって御意見のとおりだと思っております。
 今回は、こういった形でお出ししていますが、この数字を見ても、全体の俯瞰が、なかなかこれだけはできていませんし、数字のプラスマイナスの話、全くもっておっしゃるとおりですので、もう少し全体の形が見えるような、可視化も含めて、考えていきたいと思いますし、今日の場でも、また、今日の場以外でも、御意見頂ければと思います。

【濵口主査】  どうぞ。大橋委員。

【大橋委員】  先ほどの庄田委員と似た論点ですが。
 先ほどの座長から、エビデンスでこういうことをというお話もあったと思うのですけれども、そもそも、エビデンスベースドのポリシーメーキングのはずなので、そういう観点で言うと、政策立案なのですよね。だからどのような政策課題があって、その課題のためにエビデンスを集める、あるいは、そのエビデンスを見て、最後は政策目的に返ってこないといけないと思うのですけれども、お話を伺うと、この指標が上がったとか下がった理由を考えると、指標を見ているだけで、いわば尾っぽで体が振り回されている感じが若干して、そこが違和感を持つかなと。
 ポリシーメーキングが重要なので、ポリシーメーキングのための指標だという、そういう扱いにした方が、本来政策目的にも合うのではないかという感じがいたしました。

【濵口主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【中澤企画評価課企画官】  今御指摘の、大橋先生の御指摘のとおりでして、そこは、私の説明不足だったところがございます。
 それから、そういった考え方を、今回の基本方針、あるいは、この様式の書き方などにも、そういったことのエッセンスを入れていきたいと思います。
 大変恐縮でございます。

【濵口主査】  私の実感としては、これ、文科省のやり方としては、画期的な転換だと思いますけれども。
 従来、ディスクリプティブな文章がずっと並んでいたのですが、これは、データを少なくとも見ましょうという、すごい大転換だと思って、私、すごくポジティブに解しているのですが。

【大橋委員】  批判するものではなくて、更にいいものという意味で、コメントしているものですから、そういうことです。

【濵口主査】  ありがとうございます。ほか。どうぞ。

【竹山委員】  今の数字に関しては、振れ幅の中の差だったら差ではないということを、多分おっしゃりたいところがあって、それは、私たちサイエンティスト皆そうなので、確かに数パーセントが振れ幅の中かというのは疑問がある。でも、先生がおっしゃったみたいに、それでも前進だということだったら、次をお待ちするということだと思いますけれども。
 この俯瞰マップです。私も分科会に出ていて感じるのですけれども、すごいショートでやらされていて、数値を集計したりとかすごい作業があるので、その作業との追い付きで、結構しんどいというのはあります。委員会自身も、数回の中でデータが突然出てきて、ただ見て、次という感じなのですね。
 分科会だけに出ている委員の方とこことでリンケージして、感覚をお話するのですけれども、なかなか追い付いていない感じがあります。
 ですので、あと、それぞれの俯瞰マップが独立事象になっているので、実は、でも、独立ではないということは、いつもここの中でありますね。この俯瞰マップとあちらの俯瞰マップでは、総合性があるのかとかという話が出てくるのですが、委員会の中は、ほかの俯瞰マップがどうなっているか全く情報がないので、独立独歩でやっていって出てきてしまうのですね。
 それは、文科省の担当の方が全部俯瞰して見ていらっしゃることを期待はしているのですけれども、それがすごい突貫工事でやっているので、突貫工事の結果が、いきなりここに出てきたときに、またたたかれて戻るという、そこら辺のプロシージャが、非常に私としては不安定でよくないというのはありますので、それをどのようなプラニングで、そもそもスタートが遅かったことはあると思うのですが、どのような感じかは教えていただきたいのですけれども。

【濵口主査】  どうでしょう、中澤さん。

【中澤企画評価課企画官】  スケジューリングについては、こちらの資料、1の、2-3で書いてある形になっています。
 すなわち、分科会、審議会総会で、3月中に方針を出していただいてという形になってございますが、既に我々でも、役所の中の、文科省内の各担当課には、今後こういう作業が発生するので、前もってこういう分析を始めてほしいということは、大まかには始まってございます。
 あとは、終わりでございますが、この夏に、フォローアップは一旦取りまとめてとなってございます。当然、もともとの俯瞰マップの趣旨自体が、試行的に作ったものだと認識してございまして、第5期基本計画の期間内にも、このフォローアップは引き続きしますし、俯瞰マップ自体の変更も、前回御議論いただいたと認識してございます。1回、夏をめどにとなってございますが、それから先も、でききれなかったところは、先生のお話のとおり、続けていくべきかと思っております。
 いずれにせよ、作業のスケジュールと、ボリュームというところについては、うまくやりたいと思っております。

【濵口主査】  はい、土井さん。

【土井委員】  ありがとうございます。
 今までの皆様の意見と重ねるようですけれども、俯瞰マップという言葉からすると、全体をきちんと見渡せるということですよね。見渡すために、エビデンスベースということで今回データを取っていただいて、これは、すごく、それぞれの分科会の皆様、今竹山先生が言われたように御苦労されて出てきており、だから、これはこれですごく画期的なことだと思うのです。出てくると、先ほどからお話があるように、数字が上がった下がったとか、本来の筋から外れた方に、どうも人間の目は行ってしまうのですね。
 なので、俯瞰マップに出てきた数値を、どう使って俯瞰をすべきかを、そういう意味では最初に考えておけばよかったのかもしれませんが、そこまで考え切れていなかったので、そこがすごく重要だと思うのですね。
 見える化すると、電力消費でも何でも見える化しただけで、皆「使い過ぎているな」と思って10パーセント減るという効果もあるので、では一体これで何が俯瞰できるのか、次の政策立案に対して何が分かるのかを、きちんと考えられるようになると、このデータを元に、末端の数字の大小ではなく、全体、政策がどう生かされていっているか、どこを見直すべきなのかに結び付くはずですよね。だから、多分そこに、もう一つ知恵を絞らないといけないかと。
 せっかくデータが出てきていますので、先ほど御指摘があった俯瞰マップ間の関係とか、ここは比例してそう、関係してそうとか、何か見えてくるといいと思うのですけれども、これを突っ込んでディープラーニングできるわけでもないので、そこは人間が知恵を絞らないといけないと思います。

【濵口主査】  西尾先生。

【西尾委員】  この俯瞰マップだと、新井先生がおっしゃったように、全部がブルーにならないと、なかなか納得いただけないと思います。
 先ほど庄田委員がおっしゃられたことが、私も大事だと思っていて、俯瞰マップを今回作って、それで何をするかは、先ほどの予算とも関わるのですが、もう第5期科学技術基本計画の期間も中間点に到達というか、過ぎるというか、そういう時期に、先ほど施策とおっしゃったのですけれども、これは出口ばかり見ているのですよね。
 そうではなくて、本来この第5期の基本計画を達成するための目標的なバジェットで、どのくらい投入しますということも、最後に1文入れていただいているわけですね。だから、基本計画を作った、それに対して施策としてどういうものを立てた、各々の施策でどのぐらいの予算を積んだ、その結果として、出口として、どういう結果が出ているのかを見て、足らなければ、もう少し予算を投入しないとこれは達成できないから、31年度の予算ではそういうものをきっちり積まないと、国として決めた基本計画は達成できませんとか、そういうところをストラテジックに使っていく重要なマップだと思うのですね。
 ですから、単に出口で、数値が、例えば、ここでも赤があるのですけれども、今の財政状況からいったらもう赤になるのは当然だとか、そういう分析も必要で、もう少し入り口と出口ということできっちり見ていかないと、今後の後半期に向けての、我々が、例えば財務当局に対して訴えていくための資料にはならないのではないかと思っておりまして、そういうことを、もう少しこの中に盛り込んでいただきたく思っています。

【濵口主査】  本当、夏頃にそういう議論をしないといけないのではないか。データをずっと見てみた上で。
 多分、今日は、今どうなっているか、まず把握する、最初のステップかという気がしております。

【西尾委員】  というのは、今まで基本計画が作られて、目標額はあるのですけれども、そこまでなかなか到達しないのです。
 だけど、5期はそうではなくて、きっちりやるのだと……。

【濵口主査】  やらないといかんというのはあります。

【西尾委員】  そういうところを強く出せるものにしていくべきではないか。

【濵口主査】  あと、全体の総合政策に、うまく入れ込んでいくアイデアも、もう少し議論した方がいいかと思うところがあります。
 例えば、見ていると、ICT関係、意外と厳しいのですね。これ、2ページ目で、情報関係技術者の合格者の統計情報とか、市場規模と雇用者数などは下がっていて、これはSociety 5.0と完全に逆行している状態になっていて、どうするのというデータです。こういうのが、今まで、余りきちんと分析しきれてなかったかというので、もう少し、これ、多分先生方お帰りになってからも見ていただいて、じっくり考えていただく必要があるかと。

【松岡企画評価課長】  補足をさせていただきます。
 先ほどから指標ばかりに目が行っている、あるいは指標の赤と青の付け方が技術的ではないと御指摘いただいて、あくまでもこれはポリシーメーキングのための指標であるという御指摘を頂いています。
 それで、議事の効率化のために説明を省いているのですが、資料2-1です。ここに、基本計画ができて、これまで何をしてきたか、一応整理をされていて、指標について一覧性を、ざっと俯瞰するために、2-2という整理をしております。
 ピンクの資料の、例えば、40ページから、人材育成のマップがございます。41ページ、42ページ、これが施策のマップ、あるいは指標が、こういう関係だろうと示されたもの、これがいつも議論でマップと使っています。
 その後、43ページから、マップに関して、これまでの検討状況が整理されています。委員会ですとか、その他の分科会ですとか、その他の委員会で議論されている状況が整理されています。
 めくっていただいて、45ページから、これに対して、インプットとして、施策としてどういうものがあって、どれだけの予算を使っているか、どういう事業をやっているか、概要という形で出しています。
 こういったものをやった結果として、指標がどうなっているのかという分析、今の状況が示されている。これがマップ、フォローアップ全体の情報ということ。これを受けて、先ほどから御説明しています基本方針に従って、各分科会ですとか、担当課題といったことを、全体を見て分析していただくということでございまして、初めての取組ですので、こういうものを使って、どういい分析ができるかと、それぞれ分科会、検討いただいて、それを集約して、またまたここで議論していただくことを想定しております。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 それでは、竹山先生。

【竹山委員】  西尾委員が言ったこと、ほとんどオーパーラップしていて。なので、プラスアルファですけれども、一応中間的な評価をするために、現状での目標値と実際を比べるということで、今俯瞰マップをやるに当たってデータを取ってきて、修正をしていこうところだと思うのです。
 現状、分科会では、前に作ったものを、もう1回見直して、やっているだけのところも若干あって、実は感じるのは、ここでやるべきことかもしれないのですけれども、5年間の中で、すごく大幅に急激に変わる分野と、非常にベースのところで変わらず、実際の長期戦略の中でお金を投入していって上げていかなければいけない部分と、結構違うのですね。俯瞰マップの中に、一旦5年間、今回、5年間のために作ったものの即効性と、そうでないところがあるので、それをどう変更していくかも、相当考えていかなければいけない。
 あと、先ほど、このデータ、数値どうのこうのではなくて、費用対効果を考えながら、予算の再配分とか、先ほど一番初めに、ここにどのくらいお金があって、先に見せられて、これ後から言われても、もう決まったものに対して配分される状況ではしようがないというところがあって、とりわけ補正予算以上に変革ができる予算の動かし方が、どの程度できるかも考えないといけないところが、非常にあります。
 なので、数値が出口ではなくて、目標に対してどうしていくかというための評価だということと、あと、よく文科省で、どのような研究分野にこれから投資していくかと、いつも結果のない論議がいつもあるのですが、分からないわけですね。
 それを、ここから、こういうのも、同じ、全く同じことで、数字から、ここはこのぐらいの費用対効果で、伸びしろがどうも社会の中であるのではないかということを、どれだけキャッチできるかなのですね。無理やりお金を入れて数値を上げるのではなくて、費用対効果ですね。社会の成長具合との関係で、もう少し、俯瞰マップだけではない違う考え方、もっとソフトに入れてほしいのはあります。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 ほか、どうぞ。

【小野寺委員】  今回、この俯瞰マップ、非常にいい取組をしてきたと、私は思っています。
 その中で、皆様方、いろいろな御意見があるのは、そのとおりだと思うのですが、次の問題として、来年からは、第6期の科学技術基本計画を考え始めるのだろうと思うのです。そこにどう結び付けていくのだという議論を、どういう形で今後やっていくのか。そこの方法論を考えておかないと、第5期の結果はこうでした、でおわってしまい、次に結び付かないのではないかと思うのですね。
 そういう意味で、今回、数値について、いろいろ指標を出していただいて、これはこれで非常に重要ですし、非常にいいことだと思います。
 一方で、このピンクの資料では、指標に表せない項目を幾つか書かれています。指標が、ないものもあると。では、そこについて、どのように穴埋めして、トータルとして見ていくのだということを考えないと、指標だけで判断して、間違った判断になりかねないのではないか。また、次の計画への反映のやり方が、うまくいかないのではないかという気がするので、その辺是非お考えいただければと思います。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 本当、この指標を見ていただくことは、現状を把握することと、第6期へ向けてのスタートアップの部分を見やすくして入っているようにも思います。で、いいですよね。
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【川端委員】  何か答えを持って言えばいいのだろうけれども、答えなく。
 この指標自体が、さっき、人材育成のところ、3ページとか見ていてもそうですが、機関数であるとか大学全体を1個と捉えて表現していたりとか、いろいろあるのですけれども、もう一方で、今までの政策という、文科省の政策もそうですが、だんだん大規模化していて、採択される件数が減っていって、要するに当たるところは前に進むけれども、当たらないところは当たらない。あと、それが追い掛けていくという。
 そうすると、何となく、なんちゃってこういうもの導入していますみたいな話になって、機関数としては増えていくけれども、実態が全然動いていない。そういう、国全体が、事業自体が大規模化して集中投下型になって、オリンピックチーム型になってと、成果が見えやすいからその方向に動いたのだけれども、結局、86大学だとか大きい全体を見たときに、一体それがどう動いているかが、この数字だけでは多分足らないのだろうと思っていて、それをどう表現していくのがいいのか。
 もう1点は、最近のはやりは、いや、国は、各大学がやりたいことを支援するのですという立ち位置を、もう前面に出して今動きつつある。だから、この事業費で何かするのではなくて、大学が本当にやろうと思っていることを国としては支援するから、お金は足らないかもしれないけれども、あとは自分たちでどうにかしてねみたいな動き方をやっているという、大きい政策の作り方が、基本計画の中だけでも変わってきている。
 だから、そういうものがあるから、では、それをどう、こういう数字で捉えていくのがいいのかが、さっきからずっと気になっていて、予算の配置の仕方も変わってきているし、捉え方も変わってきているし、機関自体が個性化に向かって動いているという動き方も変わってきているし、そういう中を、こういう指標、当然指標としては必要だけれども、この指標以外に、一体何を加えながらやっていけばいいのか。最初の議論に戻るのですが、そういうことを考える必要があるかと。
 あともう1点は、前も言ったかもしれませんが、この期間だけではなくて、人材育成系であれば当然4期だとか3期だとかをずっと積み重ねてここまで来ている意味では、ただ事業名だけは変わっていくから、中身は変わらないのだけれども、事業名だけが変わってきているので、そういうものをどう表現して捉えていくか。ただ、先ほども言いましたように、テニュアトラック制の普及状態で、これを導入している大学みたいな表現では、多分すまない。若手育成をどうやっているかというのを、大学ごとにやり方が違うので、それをどうここで表現していくかという普及の程度を、是非この中に。
 ただ、答えを持っていなくて言っています。

【濵口主査】  大学によって、かなり実態が、差が出てきているのではないかという御指摘。

【川端委員】  だと思います。

【濵口主査】  それは、NISTEPが、大学を3類型に分けてデータ、論文の引用件数とか見ていると、グループによって大分差が出ているところがありますね。ああいうデータも、少し加味して見ていた方がいいかという気がしますね。今の御意見を頂くと。
 新井先生。

【新井委員】  まず明確にしたいのは、第5期の科学技術基本計画は、内閣府が責任を持って作ったことになっているので、状況が悪化したなら、それは大学や文部科学省ではなくて、内閣府の政策が何か間違っていたかもしれないということではないかと考えるのが筋だろうと思います。
 まず、政治主導になってから、大学等のアウトプットは悪くなっているのは、それは明確に、多分誰が見てもそういう状況になっていると思うので。だから、政治主導の何がいけないのかは分析しなくてはいけなくて、そうするとどういうことですかと、例えば、政治主導で始まった第5期に関係することで、例えばImPACTとかSIPとかAMEDとかがあるわけですが、それに投下されたお金と出力を割り算したときに、この投下量に対してアウトプットとは適切だったのですかというのは、それは計量的に分析ができますので、そういうものと、普通の基盤(S)みたいなものと、どちらが効率がいいのですかというのは、比較可能ではないでしょうか。その上で、現状のような状況に陥っているか、考えたほうがよいと思います。

【濵口主査】  どうぞ。

【土井委員】  非常に基本的なことで申し訳ないのですけれども、第5期が始まったのは2016年ですね。今、これ、指標を割り出す基になっている統計とか見ていると、それぞれのもので皆別ですが、最後の年が2010年とか2015年というのは、幾らなんでも違うのではないか。IT人材がそうなのですね。
 なので、政策を実施して、それを評価するということであれば、少なくともその年か1年後、一番いいのは、最近、2017年がいいのですが、その辺りはもう少し考えないと。それで数値が下がっているとか上がっているという判断をしてしまうと、間違い。
 特に、先ほどからお話があるように、人材とか、長期戦略として必要なものもありますので、その辺りは、数値を出すためには何か欲しいというのは分かるのですが、一番最後のところは、政策を立案した以降であるべきだと思います。

【濵口主査】  これは、どうでしょうか、データが取れるソースがあるかどうかという問題で。

【中澤企画評価課企画官】  はい、データは、もともとこの俯瞰マップを決めたときに、どこのデータを取るということも含めて、一旦フィックスをしているところがあるので、そこのデータを使っていると、一応、今出しているのが、出ている最新の数字になってしまいます。
 一方で、川端先生からもありましたように、一つの指標だけを見て何か判断することは、まずできませんので、複数の指標で何とかカバーしてございます。
 更に、土井先生がおっしゃったところについては、なかなか限界もあるのですが、また別途、各担当か各分科会で、これ以外の指標を追加していくことは、この俯瞰マップのメカニズムの中には内蔵されているものなので、ほかのデータを随時追加していくことになるのかと。我々にしても、企画評価課自体もそういった機能がありますので、随時そこはトライできればと思います。
 また、その他、全ての意見について、全くもって反映させていくべきところだと思っております。資料の、今回の方向性、基本的な方向性についての、資料自体にも反映させていただきたいと思いますし、あるいは、今後のプロセスの中で、各分科会との間で、我々事務局という形で間に入りますので、その中でも、今言ったところ、すなわち、指標が目的ではない、中身だという話だとか、予算というインプットというのも、抜けている部分があったと思いますので入れたり、あるいは長期的に見る指標、短期的に見る指標というところだとか、費用対効果の話、お話いただいた、文科省だけでなくCSTIの部分もあるようなところもありましたが、その点については、むしろもっと言うと、文科省、CSTIというよりは、もうちょっと外部要因で、実はこの数字は動いているのだというところは、きっとあると思います。そういったところも、分析としてはできる形にしていきたいと考えてございます。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 角南委員、お願いします。

【角南委員】  多分、文科省さん、今いろいろな先生から御意見があったのは当然分かっていていろいろやってらっしゃるのだと思うのですけれども、私の質問は、そのやり方の問題で、リソースをどう考えてらっしゃるのか。
 つまり、各分科会の担当課にお願いをして、こういうことでやってくださいとおっしゃって、だけど文科省の担当課が現況をやりながら、ここをどこまで本当に期待に応えられるだけのデータを集めたり、外部のリソースも含めたデータを取って情報を取ってというので、各分科会を、今度連携していかないと、国際の、例えば国際協調データは、それだけ見ても分からないわけで。当然、そもそも論文の生産、そのものの生産力とか、いろいろなことが影響しているわけだから、各分科会に出ていかないと、担当部会、担当課だけだと分からないし、ほかの分科会の議論も。
 そうすると、忙しいのに誰かが全分科会に出席をして、全体的な俯瞰マップを作るための作業を専任してできる人が、どれぐらい今割かれるのか。結局は、最後は文科省自体のリソースの限界が、これのどこまでできるか、あとはスピード感との戦いになるのかという感じがするのです。分析をしなければいけないのは、もう重々分かってらっしゃると思うので。
 そのときに、どうやってそれ以外のリソースを張り付けて、今後やっていくのか。それをいっぱい巻き込んで、文科省の中だけでやるのではなくて、その辺は、どういうお考えがあるのかを、NISTEPももちろんありますし、JSTもありますけれども、分科会に来て、この俯瞰マップの議論をしているときに、そういう方が来ているのを余り見たことがないので、誰がデータを収集し、分析し、ここでの分科会の意見を、各分科会に出て、それをまとめて、全体的な俯瞰マップの作成に生かして、科政局さんの仕事にしっかりとフィードバックというか、これをやっていくという、リソースの使い方は、もし何かあれば、教えていただければと思います。

【中澤企画評価課企画官】  非常に重要で、厳しい御指摘だと思っております。
 まず2点ほどあると見て、1点目は、企画評価課が、最初そういったデータに基づく分析については、省内の窓口と言いますか、取りまとめのところがあるので、うちの課で、ある程度、そこは横串を通すというところを見ていきたいと思っております。
 今日は、坪井所長にも来ていただいておりますが、既にこういったデータの統計を取ったり、あるいは分析については、企画評価課とNISTEPで連携を取りながらというところも、一部始めております。今後引き続き、そういったところもさせていただければと思っております。
 答えになっていないかもしれませんが、重要な御指摘だと思いますので、フォローしていきたいと思います。

【角南委員】  応援をしたいので。大変だろうと思って、多分。担当課の方が、夜遅くまで、こういう作業をされて、どんどん増えていく。でも、これは物すごく重要だと思うのですよね。
 あと、もう一つは、文科省の問題ではなくて、先ほど内閣府の問題であったり、いろいろな省でまたいでいくところになったときに、文科省の方だけでやっていると、ほかの省からどう見られるかもあるので、うまく外の人とかいろいろな方を巻き込んで、それこそ大学のリソースを使うとか、もう少し発展的に考えていくのも1つかという気はしたということです。

【濵口主査】  どうぞ。

【竹山委員】  実際分科会に出て思うのですが、情報の集め方がランダムで、そのときに取れるものを何とか取ってこようみたいな感じを、すごく受けているのですね。
 でも、国とかいろいろな機関でできている情報は、確かにあるのですけれども、それ以外どうやって情報を取ったらいいのだろうというのは、割と戦略性が、実はないのですね。
 というのは、誰々さんがこういう論文を出しているから、そういうのも集めましょうみたいな。私からすると、今はいいけど、では来年集めるときに大丈夫かとか、論文ベースの集めたものから、誰かが集約した、文系の方が、こういう科学政策に関してたまたま出している論文が、その年は10個あるけれども、次の年は1個だとか、それをベースにしているところはあるのですね。
 だから、分からないのですが、もうちょっとストラテジックな手法論をしないと、3年後、例えば毎回やっているときに、同じような評価、比較が、本当にできるのかというのがあって、そこを公的な機関でやっているものだけでも足りない部分を、どうフォローアップするのかは、もう少し違う次元で考えていただけると、私たちは出てきたデータを見るときに齟齬がある。いつもきちんと取っているデータベースを毎回比較するのだったら安心できるのですが、そのときにたまたま出したAさんの論文にこのような集計がありましたと、ポンと出てくるわけです。そうなると、そこの安定性が、私としてはよく分からないのです。これは、是非検討していだきたいと思います。

【濵口主査】  NISTEPが持っておられるデータは、結構、深く、幅広くやっておられて、意外とこういうところで使い切れてない気がするのですけれども、分析も非常に安定して、長年やっているデータが結構ありますので、一度そういうデータなども紹介していただけるといいですね。
 はい、新井さん。

【新井委員】 大学の執行部でご苦労されている西尾先生とか川端先生はアグリーしてくれると思うのですけれども、例えば、大学で購入できている国際雑誌の数は、もう年々、どこの大学でも減っている。減っているのですから、読めるわけがなく、読めなければ、投稿できるわけがありません。そういう非常に当たり前のことをまず把握すべきです。そのようなデータはすぐに取れるでしょう。あるいは、個人の、例えば基盤公費で旅費幾らですかというのが、出ます。それは、出たら、それは、これはどう考えても海外出張できるお金ではないですねというのが明確に分かります。そうすれば、この予算で国際交流増やせと言われたても無理ですねということは分かるということはあるわけですね。
 無理な話というのを、実は、本当は資料として積み上げておいて、これで何か国際的に戦えとかと言うのは、まるで「B29に竹槍」でしかない、ということをデータから明確にしたほうがいい。

【濵口主査】  反論はありません。どうぞ。

【菅委員】  何も発言していないので、少しだけ。
 反省的な感じかもしれないですが、俯瞰マップとかで評価していくのだったら、最初から実はそれを評価にしまして、どこに目的を持っていきますというのが、クリアに明確に出ていると、多分皆評価しやすいというか、こういう進捗があるのだと分かりやすい。
 だから、それが最初にないと、なかなか数字だけ見て、上に上がっているかどうかと見ても、何か意味を成すのかどうか、私にはよく分からないですね。
 多分次の基本計画を作成するときは、最初からこういうふうに評価していきますというのをクリアに出して、目標がここですというのを明確にした方が、我々としてもフォローアップしやすいし、本当の意味での見える化ができると思うのですね。
 それが、どこかきちんとあれば、教えていただきたいと思うのですけれども。

【濵口主査】  どうぞ。

【中澤企画評価課企画官】  改めてでございますが、非常に難しいということを前提の上でお話です。
 今、例えば、ピンク色の資料でございますけれども、ピンク色の資料の41ページ、俯瞰マップ見ていただければと思います。
 俯瞰マップ自体は、改めてでございますが、文科省において、総政特において、第5期基本計画を図示して、見える化しているものでございまして、そういう意味で言いますと、この目的、41ページの一番上の「目的」があります。これは、必ずしも第5期基本計画の目的ということで明確に書いてあるわけではないのですが、第5期基本計画を、こう図示してみると、書いてある内容はこう分析できるという意味で、この目的がございます。
 一方で、この目的、「科学技術イノベーション人材を支える人材個々の質の向上、最大限かつ適材適所での活躍」、一旦ここを目的としたときに、そこがどのくらい進捗していくかというところを、数字で、一定程度追える数字、類似の指標で追える数字、あるいはずばり終える数字というところが、マップだと、それはもうなかなか難しいところがあって、そこは、まさに今の議論があったとおり、既に追えている指標でモニタリングするもの、今追えていない指標でモニタリングするもの、それから、そもそも数字の指標では追えないというところをどう見ていくか。更には、目的だけではなくて、当然ながら目的に達するプロセスとして、どのような施策がどういう効果を持って、その目的に対して有意に、費用対効果の面も含めて、効いているのか効いていないのかを、やっていくというところが、最終的な目的であるのですけれども、なかなかそこも難しい面がありますが、今回この中でやっていくのかということでございます。かなり試行錯誤も、引き続きしていく部分があるかと思いますが。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 全体の、第5期の計画の全体像が大きいために、なかなか短時間に、もう1回思い直して、今どうかというところへ議論が入りにくい問題がありまして、こういう状態になっているところがあります。
 どうぞ。

【知野委員】  ありがとうございます。
 指標の難しさという話が随分出たと思うのですが、特に、最初から指摘をしてきましたけれども、社会との関係の、この指標というのは、かなり難しいのではないかと思います。
 というのは、137ページに指標の例が挙がっていますけれども、これから読めるのは、世論調査と、科学コミュニケーターを増やしたかとか、その人がどのような経歴だったのかという内容に限られてしまって、非常に狭い社会との関係になってしまうのではないかが懸念されます。
 むしろ、こういうことについては、例えばアウトリーチとか研究者自身の活動とか、いろいろあるのだと思うのです。そういうのは数ではなくて、記述式になるのではないかと思います。それを読んで判断するような仕組みがないと、大事だと言いつつも、世の中とは関係なく、コミュニケーターの数などだけになってしまう気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。

【中澤企画評価課企画官】  全くもっておっしゃるとおりだと思います。
 指標で見えること、指標で間接的に見えること、指標では見えない部分を、冷静的な、いろいろな部分で見ること、そういったことも総合的に評価をしていくということだと思います。
 口で言うのは簡単かもしれませんが、実際にやるというと、なかなか難しいのですけれども、知野先生がおっしゃるとおりで、確かに今の指標だけで見ていくのは、今の社会とか技術の関係のところは、かなり矮小化された話になってしまいますので、おっしゃるとおりだと思います。

【濵口主査】  多分、この分野だと、ここ一、二年、オープンイノベーションの話が始まって、オープンサイエンスをどうするかという、それも入ってくるのですね。

【知野委員】  そうですね、そうですね。確かに、はい。

【濵口主査】  まだ視点が、検討する必要があるかと思いますけれども。
 西尾先生。

【西尾委員】  先ほどの御意見で、今回ある種の中間的な段階における全体のサーベイをするときに、最初から、それでもって、インパクトを持って訴えるところが何かあって、それに向かってデータを集めたり何とかするという方法もあるのではないかという御意見だったと思うのですけれども、私は、多分今回のは、2段階的に、まずはいろいろな分野を見るのでしょうけれども、その後、文部科学省から何らかの中間的な報告を出すのだとしたら、それが、今後大きな影響を持つものであってほしいのですね。特に、財政当局等に対して。
 今、我々、第5期で言われたことの基礎基盤経費の枯渇と、それから、科学研究費等のそういうところの予算が、もともと書かれていた形では伸びていないとか、あるいは、JSTでやっておられる戦略的経費が、本当に伸びているのかとか、そういう科学技術という観点ですね。
 ですから、あるところまで全体的なサーベイをしつつも、そこから、我々は、もう少し報告書を出すときに、この委員会としての何かのインパクト、意志を表示していく形で、第5期の後半部分を、より実りあるものにしていくという、そこにある種の、相当戦略性を持たせた方がいいと思いまして、単にサーベイしただけでは、余りインパクトがないので、そういう観点で、今後進めていただけるとありがたいと思います。

【新井委員】  賛成です。

【濵口主査】  前期のデュアルサポートも、もっときちんと……。

【西尾委員】  デュアルサポートも、全然、あれは、もうデュアルサポートは崩壊しています。

【濵口主査】  崩壊していますね。主張はかなり強くしたはずですけれども、財務省に届いていないですね。

【新井委員】  むしろ「疲弊する科学技術」とかというぐらいのタイトルで、エビデンスをきちんと出してしまったらいいのではないかと思うのですよ。
 それで、さっき言ったみたいに、国際論文を買えていませんとかというような、もう本当に、どれだけ辛いかをエビデンスとして出して、6期はこういうことをやめてくださいということを言わないといけないところまで、私たちは追い込まれていると思います。実は、数学は、そういうことが1回あったのですよ。NISTEPが「忘れられた科学-数学」というタイトルで、いかに数学が科学として忘れ去られていたかにフォーカスしてくださった。昔それをきっかけに、数学は、拠点作りもされたり、数学が科学の基盤になっていることが見直されました。
 「忘れられた科学-数学」というようなタイトルには、もちろん負のイメージがありますよね。ですが、「頑張っている大学」というよりは「疲弊する大学」とか「疲弊する日本の科学技術」というタイトルで、メッセージ性のあるものを出してしまった方が、もういいのではないかという気がしております。
 文科省の事務方の方々はお困りになるかもしれませんが、そうして情報公開した方が、国民に対して、直接、ある意味科学コミュニケーションができるのではないか。どれぐらい大学が困っているかを、きちんと伝えられるのではないかという気がするのですけれども。

【川端委員】  ラジカルにしたいわけではないのですけれども。
 今の、これは独立事象だとよく言われますけれども、SIPにしても、異常に大きいお金が集めて、集約的に、産学連携も入って、早く成果を取ろうという形の動きがあるわけですね。
 独立だと言われても、結局、我々から言うと、何となく、我々の伸びは、全部そこに吸い取られている感覚を持っていたりする。そのようなことはないのだと皆さん言うのだけれども、そう理解している。
 だとすれば、前もお話をしたのですが、この指標とか何とかと言うときには、徹底的にお金を突っ込んだところは、そういうマネジメントとして指標を徹底的にやるべき。その代わりではないですけれども、逆に言うと、その考え方を、人材育成とかそちらの方の指標に持ち込むから訳が分からなくなって、上がった下がったということが大騒ぎになったりしていくというのが、前もお話をしたのですけれども。
 集約的にお金を突っ込んだところは、徹底的にもっともっと、指標を追い掛けて、本当にそれが成果が出ているのかどうなのか。今これだけではなくて、もっと前のFIRSTから始まって、もういろいろなことをいろいろやられているわけで、それは一体どうだったのかという。
 昨日、ちょうどNISTEPの会議があって、それに出させていただいて、そこで定点観測の結果から出てくると、科学技術の、非常に高いレベルの技術者という人たちに、では今科学技術は進んだと思うのですかということに関しては、否定的な答えが出ている。
 要するに、科学技術を客観的に見ている我々自体が、そういう動きに対して、なかなかポジティブに見ていない結果も出てきたりしているので、私たちが本当に見たいところとして、当然疲弊しているという部分はあるのだけれども、一方それに、反対側に施策を打たれている集約的なお金の使い方に関して、本当に成果が出ているかを、一番指標として取り入れやすいのだから、そこに関しての話を、もっと明確にしていただけると。

【濵口主査】  そこは、内閣府がやらなければいけないことなのですよね、自分たちの政策の検証というのは。

【川端委員】  それも捉えて、これは、成立すべきもの。

【濵口主査】  だから、そこへ切り込むとしたら、これは議事録に入れてほしくないのだけれども、オウンリスクを掛けて、個人ないし民間の立場で意見を出さないと、これは、長期的に難しい問題がいろいろあるだろうというのを感じるのですね。
 ですから、ここでやることは、文部科学省の科学技術政策の妥当性、今後の課題をしっかり洗うこと、まずそこをやらないと。
 あと、全体としては、これは、予算、財布のところでグッと絞められているので、それがいいか悪いか正しいかということもあるのですが、それがありつつ、例えば、セカンドチョイスで何人やれるかと言ったら、もう少しスクラップアンドビルドをやることも考えなければいけないフェーズに入ってくるのか、そういうことも含めた議論が、本当はいるかもしれないというのは、私個人が感じているのですけれども。

【川端委員】  今、スクラップアンドビルドというのは、非常に、マネジメントが、サイドから言う、アドミニストレーション側から言うと、言いやすい単語。
 でも、それが、本当にその領域にとって幸せなものかどうか、長期的に見たときにという意味で、ではそこに指標は何が存在してと、やればやるほど、スクラップアンドビルドする場合に、いわば大学ごとのアドミニストレーションのやり方であったり個性化であったりというキーワードになってきて、それは国全体が見ているものではなくてという。
 いや、ごめんなさい、これまた個人的な会話になっているかもしれない。ただの意見です。

【濵口主査】  新井先生、まだ。

【新井委員】  内閣府が文科省や国立大学に対しての「効率性」やエビデンスを求めるのであれば、当然内閣府が決定した科学技術投資の枠組みが本当に機能しているのかというのは、自ら厳しくエビデンスを出してもらいたいし、出してくれないと同じ土俵に立てない。こんなにお金がないけれども結構頑張りましたみたいな話ではなくて、何が疲弊している原因かというのが、因果が、明確なものに関しては、指標は絶対に6期のためにとっておくべきだと思うのですよ、私。

【濵口主査】  それは分かるのです。
 私は、個人としては、だから、予算が伸びていないことが、科学技術政策の新しい進展には一番原因になっていることは、かなり発信しているつもりです。
 ただし、よく考えてみると、複合要因があって、例えば人口減少、18歳人口から30代の人口がどんどん減っていって、科学技術を担う現場の人材がどんどん減っていることとか、それから、その分野ごとに、例えばどれぐらい実際にリアルに人材がおるのかどうかというデータも余り見えていない状態で、全体の投資があっても、それを生かすシステムが、今日本にどれぐらい効率的にあるかとか、そこら辺、まだ見えてない、もう1つのファクターがあるのですね。
 そういうことも見ながらやっていかないと、多分、この文部科学省という組織の中の、科学技術政策の制度は何かというところが見えてこないのではないか。私たちは、まずそこをやらないといけないのではないかと思うのです。

【新井委員】  それは、もちろん、全体を、様子を、感覚として、数字的な感覚として、この分野に何人研究者がいるね、それの人口分布が、ピラミッド型になっているのか、実はつぼ型になっているのか、逆三角形になっているのかとか、そういうことは把握することは必要なことだと思いますし、リサーチマップでも、それは把握していこうと思っています。
 それで、競争的資金と、インプットとアウトも、来年以降、順調に取っていく予定ですと。ですけれども、それと、その全体を、文部科学省自身が把握すること別に、多分西尾先生がおっしゃったのは、それを把握していますというだけでは、メッセージにはならないので、それとは別に、戦略的なメッセージは考えないといけないのではないですかということです。

【濵口主査】  それを考える大前提として、まずきちんとサーベイをやって、定量的に見て、それから、その後しっかり議論ができる環境を整えましょうという、今はフェーズなのではないかと。

【新井委員】  でも、時間が間に合わないのではないかと思うのですよ。
 来年度並行して、それは、何らかの形で調べておかないと、第6期のときに、文科は、ただこういう調べた、いっぱいあるようなデータがありますという状況になってしまっては、データをいいように使われるだけという気がします。

【川端委員】  あのね、サーベイするのも大切で、それはそうだけれども、僕は、さっきからずっと気になっているのは、今各大学は個性化に向かおうとしているのですよ。
 サーベイして、統計量を出すと、皆それに引っ張られ始めるのです。全国の国立大学だとか大学を一律で見ている時代は、それがよかったのだけれども、今それを、サーベイではなくて、各大学の個性化に向かって動いて、人事制度、財務制度、いろいろ回そうとしているときに、それを平均値的な……。

【濵口主査】  分かります。指標を出すと、それが誘導してしまうということですね。

【川端委員】  そう。だから、内部資料として作るのは、僕は大賛成だけれども、これが公開されていくことに危惧を……。

【濵口主査】  そこは、大学に問い合わせてはいけないと思います。

【川端委員】  それは、いいのだけれども、まとめて出して新聞発表されることが、余りいいことではないという。

【濵口主査】  課題がいろいろです。どうぞ。

【竹山委員】  私、勘違いをずっとしたのかと思ったのですけれども、文科省のこの会議ですが、私たちは、日本における科学技術政策をうたっていたのかと思っていて、内閣府は治外法権だとだとなると、内閣府というか、もらう立場の現場は、内閣府だろうがどこのあれだろうが、お金は皆同じで、とにかく頑張って取ってきて、それで成果を上げるということなので、ImPACTだSIPだ、何だかんだかというのも、大学の予算としては中に入ってくるのが同じで、文科省で何を取ろうが、もうそれも一括して、そこからのアウトプットとして、皆書いているわけですよね。
 だから、それで、全体で日本の科学力とかという話になっていて、ここが、例えば、今先生、言いづらい話で、内閣府には言いづらいよねという話を言っても、現場は同じなので、そこから、多分数値ここで出てきたやつは、皆何らかでお金をもらったことに関しても全部入っていると思うのですね。まして、その研究成果などは。皆内閣府でもらっているお金だけで生きているわけではないので、ほかのを掛けて、両方に、アクノレッジ書いているわけだから、それは多分、ここ、何の差別化もないというところで、懐を、お財布をもらうところを変えるのは、ほとんど不可能な話。そうすると、ここから、内閣府は内閣府の、要するにすごく大きなお金ですよね。お金の、バジェットの大きいもの同士の、費用対効果を見ていくべきだし、特に拠点化の大きいお金に関しては、それは確実にやらなければいけなくて。拠点化に向かっているのは内閣府のお金なので、それはするべきですし、科研費のいろいろな薄いやつから大きいからというのでやるのだったら、本丸をたたかないと、なかなか、全体の科学技術のこれからの方針を、内閣府が決めているわけでは、私はないと思うのですね。

【濵口主査】  結局、1つは、だからCSTIにメッセージを送らなければいけないと思うのです。それをどういう形で送るかは、かなりじっくり考えないといけないと思います。

【竹山委員】  戦いを。

【角南委員】  多分、データの使い方の問題で、これは政策の、過程の話だと思うのですけれども、これは俯瞰マップで、今どこに問題があるかを、あらあら把握していって、課題を抽出していく考えなのか、ただ、新井先生ではないけれども、もう課題が分かっているのだから、その課題を解決するためにエビデンスを必要としているのだという考え方と、全然プロセスが違ってくるのだと思うのですね。
 多分、今回のCSTIの有識者議員の人事などを見ていても、結局現場からどんどん遠ざかっていく、非常勤の議員しかいない中で、どういうふうに現場の中から課題を見つけて、現場の中に解決を見出すかは、ますます難しくなっていくのではないか。
 これは、日本の強み、ものづくりとか言いますけれども、一番の企業がやってきたことは、現場をずっと見つめてきたことだと思うのです。工場が、そこに課題を、トヨタを代弁するわけではないけれども、工場の中に課題を見つけ、その場で解決を目指す。
 そういう意味を考えると、文科省が現場を持っているわけですから、文科省が考える課題は、現場から上がってくる課題で、しかもそれに対するエビデンスは、現場にあるのだろうから。ですから、そういう意味では、新井先生がおっしゃるとおりだと思うのです。
 ですから、もう時間の限られている中で、課題が分かっているのだったら、それに向けたエビデンスを、どうやって集めて、それをどうやって出していくかという話になってくるし、効果的なやり方という議論になる。
 俯瞰的なマップは、今どういう第5期全体のところの、これを客観的に見ましょうという話ですが、内閣府の中で、行政事業レビューとか何とかで、これをエビデンスベースポリシーという話になってくると、これは、どちらかというと、無駄を省くということもあって、政策の効果を評価することで、上がってないものをやめさせようという話になるのですけれども、そういう話のエビデンスの使われ方は、科学技術にとっては、物すごくマイナスになると思うのです。
 というのは、エビデンスを、そういう場合の科学技術は、成果を見せられなくなってくるので、本来ならば、科学技術がやっているかどうかというのは、そういうことだと思います。

【濵口主査】  お時間がもはやなくなってしまいました。
 ずっと出ているお話は、基本的に文部科学省に対して強いエールを送っている、我々はサポートに動きますという話だと思うのです。それをどうやったらいいかを、もう少し、頭を冷ましながらやらせていただきたい。水入りにさせていただいて、残りの議題がまだございますので。
 前回委員会において、議題3でございますが、移りたいと思います。
 前回の委員会において、委員の方々から御意見を頂いた、SDGsと人材政策を巡る最近の状況について、報告をお願いしたいと思います。
 まず、SDGsについてお願いします。

【中村科学技術・学術政策局専門官】  失礼します。
 SDGsに関しまして、文科省内の検討状況について、簡単に御説明したいと思います。
 前回の本委員会でも、SDGsにおける科学技術の貢献についての期待が高まっていることについて、御指摘がありました。
 今日、資料3-4としてお配りしていますように、昨年の本委員会でも、濵口主査から、SDGsに関する資料を配っていただいてございます。
 こうした背景も含めながら、文科省において、科学技術イノベーションが、どのようにSDGsに貢献していくのか、議論をしてまいりました。
 背景として、資料3-3で、簡単に政府の今の動きを御説明したいと思います。
 資料3-3の1ページ目、御覧ください。これ自体、平成29年12月に、政府のSDGs推進本部で配られた資料でございます。その1ページ目に、これまでの工程表が記載されておりまして、2016年5月に、SDGs実施本部が政府によって設置されて、更に12月に、実施指針が策定されました。
 そして、まさに今お配りしているこの資料3-3が、昨年12月に、この推進本部において決定された、アクションプランでございます。
 2ページ目が、政府の実施指針の概要でございます。この中で、丸3に、科学技術イノベーションを、優先課題の1つとして取り上げてございます。
 更に1枚おめくりいただきまして、3ページ目でございます。これは、アクションプランの概要でございます。左上のオレンジの枠に、「SDGsと連携する「Society 5.0」の推進」がございまして、その下に、今後SDGsのための科学技術イノベーション、推進に関するロードマップを策定していくことが示されておりまして、今この策定に向けた作業が、政府内で進められている状況でございます。
 こうした状況も踏まえながら、資料3-1でございます。資料3-1に、これが文科省におきまして、科学技術イノベーションを通じてSDGsにいかに貢献していくべきかという、基本的な考え方をまとめた基本方針の素案でございます。ただ、省内的に、まだ議論の途中段階でございますので、今日頂く御意見なども踏まえて、今後ブラッシュアップしていきたいと思いますけれども、簡単に今の内容について御説明申し上げたいと思います。
 1ページ目の1ポツに関しましては、今申し上げた国内外の動向というところにほとんど重複しますので省略いたしますが、今SDGsに向けた機運の高まりとか、その中でも科学技術イノベーションに対する期待の高まりがあることを書いてございます。
 次に、2ページ目にまいります。2ポツにおいて、文科省として果たしていくべき役割を記載しております。その2ポツの最初の丸で、特に予算面でありますとか、関係の研究機関を多く所管している文科省というものが、「STI for SDGs」と言っていますけれども、科学技術を通じたSDGsの貢献に率先して取り組んでいく必要があるだろうということ。
 そして、更に次の丸に書いておりますが、単に国際的な動向ということだけではなくて、科学技術自体の在り方が、SDGsを軸に変わっていくのだと、そういう転換点にあるという認識をしっかりと持ちながら、イノベーションのシーズの創出だけではなくて、バックキャスト・デザイン思考の視点も、効果的にしっかりと組み合わせて、今後施策を推進していくことが重要であろうということ。
 また、それに当たっては、関係者との連携や、関係のセクター間をつなげていく人材の育成も重要であろうということを書いてございます。
 そして、次、3ページ目でございます。3ポツ以降が、今後具体的に取り組んでいく事項として掲げております。
 まず(1)に記載しておりますけれども、STI for SDGsに係る施策パッケージを、しっかりと作っていきたいと考えておりまして、これは、またこの中身を具体的にこれから検討していくところですが、STI for SDGsに係る施策がいろいろありますけれども、それらは単に羅列するのではなくて、それぞれのSDGsの各課題であったり、政府の実施指針における優先課題とか、そういったものを、また施策相互の関係性をしっかりと体系的に捉えて、またロードマップ、先ほどお話しましたが、そうした議論もありますので、時間軸のようなものも意識したものとして作っていきたいと考えております。
 次に、また1枚おめくりいただきまして、4ページの(2)でございます。今申し上げたような施策パッケージを早急に作りまして、それができた暁には、4ページの(2)でございますが、1つ目の丸に書いていますように、今後予算にしっかりと反映していくとともに、次の丸にも書いていますように、そのSDGsの実施指針において掲げられている主要原則を踏まえたフォローアップをしっかりしていくこと。そしてまた、文科省自体は、教育やスポーツ、文化等他の施策も所管しておりますので、こうしたところの効果的な連携も、しっかり進めていきたいと考えております。
 最後に、5ページ目の4ポツでございます。「推進体制」で、今申し上げたことが、一過性の議論に終わるものではなくて、しっかりと省内で、こうした、今申し上げたことに基づく施策の推進が図れるように、体制整備にも取り組んでいきたいと考えてございます。
 以上でございます。

【濵口主査】  ありがとうございました。
 SDGsは、科学技術政策に直結する課題だと思っていますので、よろしくお願いします。
 続きまして、人材政策を巡る最近の状況について、手短にお願いします。

【宮地人材政策課課長補佐】  失礼します。人材政策課でございます。人材委員会の事務局でございます。
 人材委員会の状況について、御報告差し上げます。
 人材委員会におきましては、科学技術基本計画や、あとは文科省でとりまとめた基礎科学力の強化に関するタスクフォース報告書、また、人材委員会の第8期までの議論といったところを踏まえまして、検討を進めていただいてございます。
 第5期科学技術基本計画の目標達成に向けて、具体的に方策を進めるという前提の下で、研究人材のキャリアパスを、学部・修士段階から一貫して俯瞰し、我が国として目指すべき姿を念頭に置きつつ、現行施策を含め、関係施策を体系化し、総合的に推進することが必要なのではないかという議論の中、検討を進められております。それを、研究人材育成総合プラン(仮称)としてまとめていこうというのが、今のところの動きでございます。
 その際、機動的な対応、長期的視点に立った対応等々で、ビジョンをどう共有していくのか。又は、キャリアステージの連動や、基盤的な取組と改革的な取組の連動。エビデンスの共有といったところに注意しながら検討を進めていくべきというところが、前提として議論されておりました。
 それを踏まえまして、資料3-5と3-6でございます。そういったところを踏まえまして、前回の人材委員会で、こういった論点で議論が行われました。
 1つ目のポツとしては、「研究人材の育成・確保の意義の再確認」で、研究人材が取り巻く環境が大きく変化する中で、研究人材の育成・確保の意義を再確認する必要があるのではないか。
2つ目のポツとして、そのような点についてどのように対応していくのかについて5つの部分から論点を整理しております。
まず、「国際的な動向」ということで、博士号取得者の状況。研究ネットワークの状況。あとは、博士号取得者数や、企業の研究者に占める博士号取得者といった動向。
 次に、「博士課程の進学状況」として、進学率及び進学数の状況。あとは、若年人口の状況。
 裏面に行きまして、「研究人材のキャリア形成状況」で、就職率、社会人学生の状況、あとはポストドクターの状況。
 「研究・雇用環境の状況」としましては、40歳未満の若手教員の割合の低下。任期のありなしのポストの状況。あとは、研究時間の状況。
 「多様性・流動性の状況」ということで、社会人学生、女性教員、外国人学生、あとは、海外への派遣状況、そういった多岐にわたる論点があるかと思って、こういった形で、議論を進めていただきました。
 そういったところを議論していくに当たりまして、次の資料3-6でございます。科学審だけではなかなか解決が難しい課題であろうと思ってございまして、中央教育審議会の大学分科会大学院部会との合同部会を設置してはいかがかということで、今審議中でございます。
 人材委員会では了解を得られているところですけれども、大学院部会では現時点で了解が得られていないため、日付が入っていない状況でございます。
 審議事項、2ポツでございます。特に大学院、中教審と一緒になって議論を進めていくべきというところは、科学技術イノベーション人材のキャリアパスの問題、つまり大学院教育からポスドク等、大学教員になるという、一連のキャリアパスを経ていくところ。あとは、大学の人事システム改革といったところを中心に議論を進めてはいかがかということで、人材委員会、大学部会の合同設置で検討を進めてございます。
 以上でございます。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 これもすごく画期的なことで、中央教育審議会と科学技術・学術審議会、人材委員会が、議論をするということでありますので、推移をよく見守りたいと思っています。よろしくお願いします。
 議論します。もう時間なのですけれども。

【新井委員】  どうしても一つ言いたいことがあります。

【濵口主査】  1分。新井先生。

【新井委員】  SDGsのことですけれども、これは、SDGsに対しての、日本の文部科学技術政策として、これがSDGsの施策マップとして出てきましたというのは、これは非常に不適切だという認識です。
 どういうことかと言うと、SDGs、今、日本でSDGsとして一番重要なのは、あらゆる人々の活躍の推進であるとか、それはどういう意味かというと、これだけ、日本というのは、人口が減る、極めて減少する等、あるいは所得の中央値がどんどん下がっているとか、持続不可能な状態に、まさに陥っている先進国だと思うのです。
 その課題解決をするのをどうするのですかという視点が抜けている。もうこれは、AIが入ってきたときに、ホワイトカラーの仕事が中抜きされることによって、格差が広がって、それでもって、下の所得の方が、もう結婚ができないとか、家庭が持てないとかという状態になるでしょうとか、高等教育への投資が、ハイリスクハイリターン、今まではローリスクハイリターンだったのですけれども、高等教育への投資がハイリスクハイリターンになって、皆、なかなか、それは、高等教育にお金を払わなくなるでしょうとか、それが、例えば借金でやったら返せなくなるでしょうとか、そういう状況です。その人材育成の本丸である文部科学省が、自分たちは、壊れにくい建物を造ることに関して研究をしていますとか、水とか衛生とか、極域における取組、それも大事ですが、余りにも、そういう、現状の非常に厳しい認識、持続不可能に陥っている日本の認識から……。

【濵口主査】  先生、それ、御指摘のとおりだと思うので、もっと深掘りして議論を継続させていただけませんでしょうか。

【新井委員】  分かりました。では、もう少し。

【濵口主査】  日本自体が、もう本当SDGsの対象国になっているという実感をしている。

【新井委員】  そうですね。

【中村科学技術・学術政策局専門官】  申し訳ございません、一言だけ。
 私の説明、端折りすぎて、申し訳ございません。
 ここにお配りしている施策マップは、とりあえず今のところまとまっているイメージということでございまして、これだけで全てではございません。人材の問題も重要な問題と意識してございます。

【新井委員】  もう少し、よく根本を考えて。。

【濵口主査】  お時間が来てしまいましたというか、もう時間が5分過ぎているのですけれども。

【新井委員】  済みません。

【濵口主査】  残りの議論は次回ということでさせていただきます。
 最後に、事務局から事務連絡をお願いしたいと思います。

【中澤企画評価課企画官】  非常に貴重な御意見を頂きまして、どうもありがとうございました。
 1点だけ、今日は、資料1-1シリーズで、政府全体の予算の動き等々については御説明させていただいていたのですが、文科省の科学技術関係予算の資料が、大変恐縮でございますが、用意できていませんでしたので、これは別途、皆様に、文科省の科学技術関係の予算については、郵送させていただきたいと思います。
 また併せて、資料については、非常にボリュームがありますので、持って帰っていただいても構いませんが、置いていただければ、郵送でお送りさせていただきたいと思います。
 また、議事録については、いつものとおり、確認させていただいた上で、ホームページにアップさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

【濵口主査】  ありがとうございました。
 時間がなくなりましたが、戸谷さん、佐野さん、何か一言、迷走している議論に、アドバイスを頂けますでしょうか。

【佐野科学技術・学術政策局長】  大変貴重な御議論、ありがとうございました。
 今回、総政特の先生の皆様方には、この俯瞰マップと指標に基づきまして、今後、日本の政策、科学技術政策、文科省のみならず、全体の政策をどうしていくかについての、非常にトライアルで、非常に挑戦的な件を御議論いただいているかとも思っております。
 この御議論が、ひいては他省庁、内閣府を含めた他省庁に対しても、非常に影響を大きく、大きな影響を与える御議論を、今していただいていると思っておりますので、事務局といたしましては、本日の議論も踏まえまして、最大限、また資料等を用意して、皆さんに今日のような貴重な議論をしていただけるように、準備していきたいと思いますので、引き続き御指導御鞭撻、それと、今日のような議論、活発な議論を、またよろしくお願いいたします。

【濵口主査】  ありがとうございます。

【戸谷事務次官】  文部科学省の科学技術政策と、それから、日本全体の科学技術政策をどう考えるかというのは、ずっと悩みながら、恐らく来たと思うのですけれども、先ほどここの中でも御議論がありましたように、研究機関なり大学は、文部科学省が大半を、ある意味では所管しているわけで、どこからお金が来ようが、現場は文部科学省の関係のところが非常に多いということを踏まえて、何ができるかを、今後具体的に出していくことが大事だということを、改めて認識をさせていただきましたので、また引き続き御議論よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。

【濵口主査】  ありがとうございます。
 本当にお時間が超過してしまいましたが、長時間のタフな議論、ありがとうございました。また、次回もお願いいたします。


お問合せ先

科学技術・学術政策局 企画評価課

(科学技術・学術政策局 企画評価課)