総合政策特別委員会(第18回) 議事録

1.日時

平成29年12月6日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館3階1特別会議室

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 総合政策特別委員会の議事運営について
  2. 第9期総合政策特別委員会における調査検討の進め方について
  3. 最近の科学技術の動向

4.出席者

委員

濵口主査、新井委員、大橋委員、小野寺委員、川端委員、庄田委員、菅委員、角南委員、竹山委員、知野委員、土井委員、橋本委員

文部科学省

伊藤文部科学審議官、佐野科学技術・学術政策局長、信濃審議官(科学技術・学術政策局担当)、斎藤科学技術・学術政策研究所総務研究官、勝野科学技術・学術総括官、松岡科学技術・学術政策局企画評価課長、ほか関係官

5.議事録

科学技術・学術審議会 総合政策特別委員会(第18回)

平成29年12月6日


○主査には、科学技術・学術審議会運営規則第5条第3項の規定に基づき、濵口委員が指名された。

○主査代理は、科学技術・学術審議会運営規則第5条第7項の規定に基づき、庄田委員が指名された。

【濵口主査】
  それでは、本委員会の議事をこれより公開といたします。傍聴の方がいらっしゃいましたら、入室させてください。
  それでは、次の議題に移る前に、今回は第9期科学技術・学術審議会となってから最初の委員会でございますので、主査の私から一言御挨拶申し上げます。第8期総合政策特別委員会に引き続き、今期も主査を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。我が国の科学技術の競争力は総体的に低下しているというのは、いろいろなデータ、あるいは報道で今、周知の事実になりつつあります。この中で、文部科学省はじめ政府が一丸となって科学技術基本計画を着実に実施していくことが、以前にも増して重要な時代に入ってきていると思います。どうぞよろしくお願いします。
  前期の委員会においては、文部科学省における基本計画の実現に向けた取組の進捗状況の把握と分析を行うための新たな取組である、俯瞰マップを取りまとめました。来年は基本計画期間の中間年を迎えることから、本委員会においてこの俯瞰マップを活用して、基本計画の実施状況について把握するとともに、計画の後半に向けて、また、次期基本計画をも視野に入れた今後の方向性について議論を行えればと思っております。
  また、たくさんの委員会が科学技術審議会の中にありますが、この委員会同士の横串をどうやって通して、機動的に対応できる体制を作るかというのはかなり大きな課題であると思います。この課題についても、また後ほどいろいろ御議論を賜ればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  委員の皆様におかれましては、それぞれの分野において御経験と御知見を活用しながら活発な議論を引き続きお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、佐野科学技術・学術政策局長から、一言御挨拶をお願いいたしたいと思います。

【佐野科学技術・学術政策局長】
  今年の7月より、科学技術・学術政策局長を拝命しました佐野でございます。どうかよろしくお願いいたします。第9期科学技術・学術審議会総合政策特別委員会の開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げたいと思います。
  まず初めに、委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本委員会の委員をお引き受けいただきまして誠にありがとうございます。28年度からスタートいたしました第5期科学技術基本計画におきましては、重点事項の進捗状況を把握するための指標を定め、計画の進捗状況、課題の抽出、及びフォローアップを毎年行うこととされているところでございます。
  それを踏まえまして、これまで総合政策特別委員会におきましては、文科省における基本計画の実現に向けた取組の進捗状況の把握と分析を行うために、先ほど主査からも御紹介がございました、政策領域ごとに作られました俯瞰マップを総合政策特別委員会において作成していただいたところでございます。第9期の本委員会におきましては、この俯瞰マップを用いまして、基本計画の実施状況の把握と分析を行っていただくとともに、さらにそこから見えてくる重要な議論につきまして、幅広い御議論を賜りますよう、この場をかりまして深くお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願いいたします。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
  それでは、議題2、第9期委員会における調査検討の進め方について、お諮りいたします。事務局より説明をお願いします。

【宮澤企画評価課課長補佐】
  事務局から説明させていただきます。議題2、第9期委員会における検討の進め方についてという議題に入らせていただきます。資料2-1から2-7に基づいて、お時間を頂きまして、説明させていただきたいと思います。
  今期、第9期になりますけれども、今期から初めて参加される委員、多くいらっしゃると思いますので、総合政策特別委員会におけます今までの検討の経緯と役割というものを改めて御説明させていただきました上で、その後、この第9期委員会においての議論の進め方というものについて御議論いただければと思います。
  総合政策特別委員会の役割の大きな一つといたしまして、次期科学技術基本計画の策定に向けた議論を行うというものがございます。政府の科学技術政策の推進方策としましては、内閣府が取りまとめます科学技術基本計画というのがございます。5年に一度の計画でございますけれども、それを政府の科学技術政策の半分以上を占めますのが文部科学省でございますので、内閣府がその基本計画の策定の検討を行うに先立って、文部科学省として、次期科学技術基本計画、どういった内容を盛り込めばいいのかといったことを議論させていただいておりました。
  そういったことを次期基本計画に向けて、文科省としてどういった事項を盛り込めばいいのかということを議論し、取りまとめるということが、この総合政策特別委員会の大きな仕事の一つでございます。
  資料2-1を見ていただきたいと思います。これは、平成27年1月20日、2期前になります、第7期の総合政策特別委員会で御議論いただきまして、中間取りまとめという形でまとめたものでございます。この後、28年1月、1年後ですけれども、科学技術基本計画が閣議決定されました。
  このとき総合政策特別委員会では、その当時の基本認識、科学技術状況の変化と、科学技術イノベーション政策への影響でございますとか、今後目指すべき国の姿はどうなのかといったようなこと、その姿に対応して、具体的に何をやっていかなければいけないのかということを、御議論いただきました。中間取りまとめを内閣府に示しまして、そこから内閣府においても本格的に科学技術基本計画の議論が始まったというところでございます。
  資料2と2-2、2-3が実際の科学技術基本計画になります。こちらの総合政策特別委員会第7期で取りまとめていただきました、このポスト第4期科学技術基本計画に向けてといった内容が、実際にこの内閣府で取りまとめました科学技術基本計画に大半が取り込んでいただいているという状況になっております。こういったことを大きな仕事として、総合政策特別委員会は設置されているというものでございます。
  ここで言葉が行ったり来たりしますが、今の基本計画というものは第5期のもので、第5期科学技術基本計画という言い方をします。一方で、今この総合政策特別委員会、第9期という言い方をしまして、期というのがいろいろ出てきますけれども、総合政策特別委員会は2年ごとに任期を更新していただきまして、第9期という言い方をさせていただいています。実際に今、科学技術基本計画の方は第5期の基本計画が動いているという状況でございます。
  実際に28年1月22日に科学技術基本計画、取りまとまりました。その後でございますけれども、科学技術基本計画を着実に実施していくためにはどうするのかという議論がございまして、科学技術基本計画を作ったままではなくて、ちゃんとフォローアップをしていかなければいけないといったようなことが、科学技術基本計画本文にも盛り込まれているというところでございます。
  資料2-4をごらんいただきたいのですが、これは平成28年4月26日に、この総合政策特別委員会の親会になりますが、科学技術・学術審議会の総会に提出させていただきまして、御確認いただいた資料になります。簡単に説明させていただきますと、背景といたしましては、この総合政策特別委員会が取りまとめたポスト第4期科学技術基本計画に向けてというものについて、具体的な提案が科学技術基本計画に十分に盛り込まれましたということが書いてあります。
  一方で、科学技術基本計画におきましては、計画の進捗及び成果の状況を把握していくために、指標や目標値を定め、恒常的に政策の質の向上を図っていくといったような、具体的なフォローアップの仕組みが盛り込まれたました。これは初めのことになりますけれども、こうした状況を踏まえて、科学技術イノベーション政策の重要な役割を担う文部科学省が第5期基本計画を適切に推進し、CSTIでの各種検討にも資するよう、本審議会によって当該計画を強く意識した調査審議を進めていくことが肝要であるとしています。
  具体的には、その下に本審議会の進め方ということで、第5期基本計画が掲げる施策等の実施状況について、大学や研発法人といった研究現場における実態、定量的指標の推移等も含めて把握・分析を行いながら、文部科学省の政策・施策の改善や提案につなげていくと書かせていただいております。
  その際には、科学技術・学術審議会の各分科会においても、第5期基本計画を踏まえて、各担当領域にて当該計画を具体化・実行していくための調査審議を進め、その方向性や具体的取組をまとめ、フォローアップしていくのが望ましいのではないか、また、第5期基本計画の進捗状況を、全体俯瞰の観点からフォローアップしていくために、本委員会において機動的な調査検討を行っていくことが適当ではないかといったことを御確認させていだたいています。
  この資料のページをめくっていただきまして、2ページになります。この総合政策特別委員会と各審議会の分科会の役割のイメージということでございます。今、色分けで囲んでいるところがございます。例えば右にオレンジ色で科学技術基本計画の第2章、第3章といったことが書いてありますけれども、第2章、第3章に記載されている分野につきましては、科学技術・学術審議会の下にあります研究計画・評価分科会でありますとか、海洋開発分科会、緑で囲んでおりますところ、主に第4章、科学技術イノベーションの基盤的な力の強化という章になりますけれども、具体的に書かれていますのは、人材力の強化でありますとか、知の基盤の強化、基盤技術の強化といったことが書かれている章でございます。
  この4章については、具体的には人材委員会、学術分科会、戦略的基盤研究部会、先端研究基盤部会。実際今、その二つの部会というのは、基礎基盤研究部会という名称に変わっておりますけれども、こういった分科会でフォローアップしていただく。
  同じように、主に第5章、イノベーション創出に向けた人材、知、資金の好循環システムの構築の推進を担うという部分については、産業連携・地域支援部会、あと横断的になりますけれども、各省に記載されている国際的な記載については、国際戦略委員会がそれぞれフォローアップを行うといったことで、役割分担をしております。
  左に総合政策特別委員会の役割と書いておりますけれども、総合政策特別委員会の役割としては、科学技術基本計画の進捗状況を適切に把握、分析、各分科会が行うものを参考に把握、分析をします。マル2番目に、科学技術イノベーション政策推進の上で、文科省全体を俯瞰した上から課題を抽出するといったことが求められております。下の米印になりますけれども、総合政策特別委員会は、各分科会等の調査審議等を補完する役割として機能することが重要だといったことで、総合政策特別委員会と各分科会の役割というものをここで示していただいたということでございます。
  資料2-5になります。この科学技術・学術審議会での議論を踏まえまして、28年になりますけれども、総合政策特別委員会ではこういう検討をしていきましょうといったことを確認させていただいています。主には、調査検討事項としまして、マル1番ですが、第5期基本計画について、文科省全体を俯瞰した観点からの進捗状況の把握と分析。マル2番としましては、基本計画をする上で、特に重点的に調査検討すべき事項の抽出、それに関する具体的な政策、施策の方向性の検討ということでございます。
  総合政策特別委員会の性質としまして、各分野に落ちないようなものでございますとか、各分野に横断的な事項でございますとか、そういったものについて議論する場だろうということでございます。各分科会等に横串的に関連する事項について議論すべきではないかということで、主にこの2点について議論してきたということがございます。
  この2点について議論した結果ということが、資料2-6になります。このピンクの紙ファイルになります。これを開いていただきまして、これは前期、第8期の取りまとめをさせていただきました文章になります。概要がこういう形で入っておりますので、まずはこの紙に基づいて説明をさせていただこうと思っております。総合政策特別委員会では、特に重点的に調査検討すべき事項の抽出、検討を行うとされていたところでございまして、第8期の委員会におきましては、主にこの(1)から(4)につきましての審議をさせていただいたところでございます。
  具体的には、(1)第5期基本計画の着実やフォローアップと、効果的・効率的な指標・データの活用方策について。(2)科学技術イノベーションへの投資効果の検証と発信について。(3)超スマート社会(Society 5.0)の実現に向けた取組・推進体制の在り方。(4)オープンサイエンスの推進に関する取組の在り方といったことで、各分科会というのが横串的に関連する事項ということで、特に総合政策特別委員会で議論すべきだといったことについて議論させていただいたということでございます。
  このうち、特に(1)の科学技術基本計画の着実なフォローアップと効果的・効率的な指標・データの活用方策というところでございますが、こちらについては、委員の皆様にも御検討もいただきまして、俯瞰マップというものを作らせていただいたものがございます。このピンクのファイルのインデックスに俯瞰マップと書かれたものがございます。こちらが基本計画の進捗の把握を行うために、こういうものを作ったものでございます。
  大部に渡りますので1例で御紹介させていただこうと思います。40ページになりますが、付箋を貼らせていただいています。俯瞰マップ7、人材の育成確保・活躍促進というパートになります。この俯瞰マップなんですが、第5期基本計画の政策・施策体系を見える化するということを目的として、マップを文科省として作ったものでございます。この基本計画の章でありますとか節ごとに、全部で18の領域について俯瞰マップを作ったというところでございます。
  この41ページ、俯瞰マップ7、人材の育成確保・活躍促進と書かれているものでございます。一番上に、これは第4章の1節を図示したというものになります。第4章の1節につきましては、目的、科学技術イノベーションを支える人材個々の質向上、最大限かつ適材適所での活躍といったことが大目的として書かれています。それに対応して、赤のダイヤが幾つかあると思いますけれども、これが政策の目的でございます。
  例えば優秀な研究者の確保でありますとか、STIを担う多様な人材の確保、適材適所の活躍、企業技術者の活躍、下に行きますと、STI人材の持続的確保のための基盤構築といったものがございます。こういったものを、目的を達成していくということによって、一番上の目的でございます科学技術イノベーションを支える人材個々の質の向上、最大限かつ適材適所の活躍というところにつながるのではないかということ。
  この矢印で示しておりますのは、例えば左側、優秀な研究者、右側、STIを担う多様な人材の確保、適材適所の活躍ということに結び付けるに当たっては、その初等中等教育段階から学部・博士課程への教育、そこから二つに分かれて、優秀な研究者、多様な人材になるといったような、これは科学技術基本計画の文章を着実に再現しているものでございます。
  そういった中で、白丸で書かせていただいていますのが、それを行うに当たっての施策の方向性や具体的手段というものでございます。例えば、初等中等教育段階から学部・修士段階、博士段階に行くというところに吹き出しで書かせていただいていますのが、博士の質・量の確保でございますとか、博士以降の魅力の拡大といったことが基本計画にも書かれているところでございます。こういった施策の方向性や具体的手段というものが重要だということが、基本計画にも書かれているということでございます。
  一方で、こういった施策の方向性や具体的手段というのを行ったときに、具体的にそれがうまく機能しているのかどうかといったことを測ることも必要だという議論がございました。そのために、指標を設定して、その指標の変化を見ていくということが必要だろうと。
  その下のページ、42ページでございますが、その関連の指標について、この委員会でも御議論いただきまして、また各分科会においても御議論いただいた結果、この俯瞰マップに集約させていただいたというところでございます。例えば42ページで、指標がいろいろ張り付けられております。例えば博士段階から二つ矢印が分かれておりますけれども、ポスドク段階に行くに当たっては、博士号取得者数を主要として見ますが、博士課程修了者の就職率でありますとか、その上に行きますと卓越研究員制度の普及状況でございますとか、セクター間の移動状況、こういった指標を追っていくことによって、周辺の環境がどう変化しているのかといったようなこと、目標に向かってちゃんと機能しているのかということを追えるような形で考えているところでございます。
  水色の四角で囲っておりますのが既にデータとして存在するもの、既に追っていけるもの、黄色につきましては、こういう指標が必要だろうと思いながら、こういう具体的なデータというのがまだないといったものでございます。また、緑で囲んでおりますのが、こちらについては、単に学生数といった数だけを表す指標だけでは十分ではないということを考えておりまして、これはNISTEPの定点調査ということで意識調査でございますけれども、こういった意識調査も併せて見ていくことが必要ではないかといったことで、こういう定点調査も指標として使えるのではないかということで張り付けているというものでございます。
  ページをめくっていただきまして、俯瞰マップ7に関して、実際どういう議論が行われているのか、どういう施策があるのかといったことを示しておりますので、次のページになります。43ページからは、各分科会においてどういう議論がされているのか、45ページになりますけれども、その関連した事業というのがどういうものがあるかといったことを示しているものでございます。
  めくっていただきまして、50ページになります。これが具体的な指標に関する最新の数値ということになります。最新とその一個前の数値ということになりまして、これを毎年、毎年、更新していくということによって指標の変化を見る。指標の変化を見ることによって、周辺環境、何か環境変化しているのではないかといったことを感じ取ってもらい、その上で今の施策が有効であるのか、又は別の施策を考えた方がいいのではないかという形で、この各分科会でありますとか、各分野の担当課には俯瞰マップを活用していただいて、その上で基本計画を着実に実施していくといったことで活用してもらいたいということで作らせていただいたのが、この俯瞰マップでございます。
  この俯瞰マップにつきましては、前期の総政特の議論でもありましたけれども、本当にこの今設定している指標で十分なのかとかいうことも議論としてありました。これは、まさにこういうフォローアップをしていくという試みが、第5期基本計画になって初めての取組でございます。これは、5年間掛けて俯瞰マップというものを、より良いものに継続的にしていくといったことが必要だということもございまして、この俯瞰マップについてはまた各分科会とも協力をさせていただきまして、より良いものしていくといったことを考えているものでございます。
  以上、第8期までの総政特においての検討経緯等をやらせていただいたものについて、まとめさせていただいたものでございます。

【濵口主査】
  ありがとうございます。

【松岡企画評価課長】
  引き続き資料2-7について御説明させていただきます。ただいま、第8期の委員会での議論の経過を御説明させていただきました。それを踏まえまして、第9期、この委員会でどういう議論を進めていくのかということで、資料2-7に基づきまして説明させていただきます。
  資料1ページ目、1.でございますが、前期までの検討の経過。今御説明したとおりで、詳細は省かせていただきますが、主な取組としては、第5期基本計画に向けて総政特として中間まとめを行っていただいて、それが基本計画に反映されているということでございます。
  (2)にございますとおり、策定後は、文科省として現行基本計画を推進していくための機動的な調査検討を行うということでございまして、その方針の下で第8期委員会では、俯瞰マップを作成するということと、重点的に調査検討すべき横断的な事項について検討いただきまして、それを審議のまとめということでまとめていただいたということでございます。
  こういった経過を踏まえまして、今期における検討事項、2.でございます。第9期委員会においては、第8期の検討を継続するということと、平成30年度が現行基本計画の中間年になります。28年度から開始されまして、30年度は中間年に当たります。そういったことから、現行基本計画の後半に向けた政策・施策の方向性について検討をいただくということと、次の科学技術基本計画に向けて検討すべき論点を整理していただくということでどうかということで、議題を、その下に掲載していますマル1、マル2、マル3ということで、3つ検討いただいてはどうかということでございます。
  次のページ、めくっていただいて、議題の中身と進め方について書かせていただいております。2ページ目の3.でございます。一つ目の議題、現行科学技術基本計画の進捗状況の把握・分析でございます。これは、今ほど説明しました俯瞰マップを用いまして、文科省が行っている、担当しています基本計画の進捗状況の把握と分析を行うということになっております。これを各分科会と協力してやっていくということでございます。
  議論の進め方としては、進捗状況の把握・分析につきましては、1つ目に書いてありますが、各分科会等と協力して行う進捗状況の把握・分析に関しまして、各分科会ごとに取組に濃淡が出てくるとか、そういうのがあるといけませんから、共通してやっていただく基本方針について、次回委員会で検討して取りまとめていただく。次に、その基本方針を科学技術・学術審議会総会の方に報告しまして、総会から各分科会にそういった方針を提示いただくということを考えております。続きまして、それを受けまして、各分科会等で進捗状況の把握・分析を行う。それを受けまして、各分科会等からの報告を踏まえまして、本委員会において文科省全体を俯瞰した把握・分析を行う。その結果については、総会に報告するということでございます。
  俯瞰マップの改善。今御説明したとおり初めての取組ですので、実際に分科会等で把握・分析する中で改善した方がいいということも出てくると思います。そういったことも検討いただくということと、前期の委員会では課題が指摘されております。例えば括弧の中に書いてありますが、イノベーティブ、ハイリスク・ハイインパクトな研究開発など一般的なマクロ指標では測定することが難しいものについては、引き続き検討していく必要があるということが指摘されています。そこについては、引き続き検討をいただく必要があると思っております。
  それから、二つ目の重点的調査事項の検討でございます。基本計画を推進する上で、特に重点的な調査検討すべき事項について、この総政特で議論いただくことになっております。この重点的調査検討事項ですけれども、どういうものがあるかといいますと、括弧でありますけれども、例えば各分科会等に横串的に関連する事項ですとか、各分科会において取り上げられない事項、こういったものについて、マル1の進捗状況の把握・分析、それから、本委員会での議論も通じまして、そういった課題を抽出いただいて、現行基本計画の後半期間に向けた政策・施策の方向性について検討いただいて、これについては30年の夏頃を目途に中間まとめを頂くということでいかがかということでございます。
  この中間まとめを30年夏頃に行うというのは、施策を実施するに当たって予算ですとか、制度ですとか、そういったものの改正を伴うものもございますので、夏ぐらいを目途に取りまとめいただく必要があります。これも総会に報告するということを考えております。
  3番目の議題でございます。次期科学技術基本計画に向けて検討すべき論点の整理ということでございます。議題のマル1、マル2、それから内外の科学技術動向を踏まえまして、次期科学技術基本計画に向けて検討すべき論点、これを全体俯瞰の観点で整理を行っていただきまして、平成31年の1月、本委員会の任期が31年の1月までですので、それに向けて最終まとめを行っていただいて、これも総会に報告していただくということでございます。
  最終的に取りまとめていただきました論点については、次期、第10期の委員会に引き継いで検討をいただくということを想定しております。
  今申し上げました議題につきまして、時系列に並べたものが3ページの検討スケジュールのイメージでございます。今説明しました2.の進め方を時系列に、およその開催時期と主な議題を並べたものでございます。次回は、年を明けて1月頃を予定しております。ここでは把握・分析のための基本的な方針を検討いただきまして、取りまとめます。
  それを受けて、総会に報告し、分科会等で把握・分析を行っていただいて、来年の6月から8月頃にその報告を踏まえて進捗状況の把握・分析、それと重点的調査検討事項の抽出・検討をやっていただくと。これを二、三回予定しております。それを受けまして、30年夏頃中間まとめ。その後、30年の秋から31年の1月頃に向けまして、次期科学技術基本計画に向けて議論すべき論点整理を議論していただきまして、1月頃の最終まとめというスケジュールをイメージしております。
  このようなことで、今期の議論を進めていただいてはいかがかということで、事務局の案を御説明させていただきました。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございました。ただいま事務局から説明のありました内容につきましては、この後の議題と併せて後ほど意見交換をしたいと思っております。それぞれの御説明について、今確認しておきたい質問があれば、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
  1点、お伺いしたいこと。進捗状況の把握・分析のための共通の基本方針というのは、どういうものをイメージしているか、少し説明いただければと思います。

【松岡企画評価課長】
  俯瞰マップを活用して、進捗状況の把握・分析をこの総政特でもやっていただく部分もございますし、各委員会でやっていただく部分もございます。かつ、この俯瞰マップというのは初めての取組ですので、それをどうやっていくのかということを示す必要があろうかと思います。
  それと、文部科学省の取組全体を俯瞰するためには、マップ間の取組の濃淡があってはいけないだろうということで、そういう濃淡が出ないような分析をしていただく必要があろうと考えております。このとき、各政策領域に共通してやっていただくことを基本計画として定めていく必要があると考えております。
  盛り込むべき事項としましては、俯瞰マップを使ってどうやって把握・分析をするのかという手順ですとか、それから把握・分析の結果として、どういうことを報告していただくのか。例えば進んでいる部分はどこなのか、遅れている部分はどこなのか、それを改善するためにはどういう取組が必要なのか、そういったことを報告事項として定めなければいけない、それから、把握・分析を通じて出てきた検討課題とか、改善点とか、そういうことも報告いただく。
  そういった共通でやらなければいけないことを定めまして、それに実際に分科会の取組は政策領域ごとに独自の取組でもあるかと思いますけれども、共通の部分をこの総政特で議論いただいて、それを分科会等にお示しするということを考えております。定める事項として御意見があれば、後ほど頂ければと思っています。

【濵口主査】
  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
  最近ホリスティックという言葉をよく聞くんですけれども、ディジーズ関係等です。個別の課題というのはそれぞれ独立して単独で動くものではなくて、相互に連携し合って、全体として総合的な対応政策ができることが重要であるという時代に入ってきている。アメリカのNSFではコンバージェンスとかいう言い方も使っていますけれども、今の時代はイノベーションを起こすにしても、単一の分野、単一の科学だけではなかなかイノベーションが起きない時代になっています。
  そういう意味で、この分科会の御意見も共通課題にいかに抽出して、普遍的な価値を生み出す方向性を決めていくか。それから、それぞれが連関しながら1つの方向をしっかり見定めるような作業ができればと思っています。よろしいでしょうか。
  済みません、先生、何か御意見は。よろしいですか。ありがとうございます。
  それでは、御意見がないようでしたら、次の議題に移りたいと思います。本日は、議題3、科学技術関係の動向といたしまして、最近の科学技術調査に関して、科学技術・学術政策研究所より報告を頂きます。研究力の低下ということが指摘されておりますけれども、実際のデータとしてどうなっているのか、そのあたりを報告していただこうと思っております。科学技術・学術政策研究所の斎藤総務研究官、よろしくお願いいたします。

【斎藤科学技術・学術政策研究所総務研究官】
  それでは、お手元の資料3をごらんいただきたいと思います。これから、本委員会での調査・検討・審議に当たっての御参照、御活用いただけるのではと思うものを幾つかピックアップいたしまして、当研究所の今年度発行しました調査研究報告の中から、今日はハイライトを幾つか御紹介したいと思います。
  最初の項目は、1.指標が示す、我が国の研究開発の現状で、夏に発表いたしました「科学技術指標2017」、それから「科学研究のベンチマーキング」からの抜粋でございます。
  まず最初は3ページ左側に出ております、研究開発資源でございます。左上の国別の研究開発費の推移で見ていただくと、日本は英国、中国に続く世界第3位、金額にしてOECDの推計で17.4兆円という水準でございます。それに対して、右上は研究者数の国際比較です。既に世界の中では中国が最も多くなっておりますが、我が国は米国に次いでは第3位という水準でございます。
  これを部門別で見ますと、左下が研究開発費の内訳で、総額8割が企業部門ということになっております。右下は部門別の研究者数、これはフルタイム換算(FTE)のデータですが、我が国において一番多いのは企業の約50万人弱であるのに対して、大学においては約14万人の研究者ということでございます。
  続きまして4ページは人材のデータで、それぞれの国の学位取得者の比較でございます。左側が学士号(学部卒)で、これは各国とも人文社会系の人材が多くなっております。真ん中が修士で、日本においては自然科学系が多くなっております。それ以外の国では人社系が多いというのが違いでございます。2008年との比較において、日本は横ばいですが、その他諸国は一律に増加しているという状況でございます。
  右側が一番注目される博士号取得者です。これはいずれの国においても、日本を含めて自然科学がマジョリティーですけれども、時系列変化に大きな差があり、他の諸国においてはいずれも増加しているのに対して、日本については、2008年から13年にかけて減少しているのが現状でございます。
  続いて5ページ理工系人材の修士と博士、大学院卒に注目した進路分析です。まず修士は、約9割が就職ですが、ほとんどが無期雇用、つまり企業への就職者が多いというのが実情でございます。右側の博士課程修了者ですが、こちらに参りますと、就職者の割合が7割ですが、無期雇用の割合が5割と。特にこれは後ほど出てまいりますが、アカデミアへの就職者については任期制の雇用が多いのが現状です。
  続きまして、6ページは、今特に修士級の人材の大きな受け皿になっております企業における、左側がそれぞれの専門分野、すなわち現在の研究内容に基づいた分類です。右側が所属企業の産業分類、業種分類と言っていいかと思いますが、大きな特徴が見てとれます。特に日本で大きな割合を占める製造業の中でも、情報通信機械、あるいは輸送用機械については専門分野で見ますと、やはり電気・通信、あるいは機械・船舶・航空、これがマジョリティーとして大きなシェアを占めております。
  それに対しまして、左から見ていただくと、情報科学の専門家、これは特にSociety 5.0等々では注目される専門分野ですが、それの活躍先として、日本で見ますと情報通信業がメーンになっております。諸外国と比べて、その他いろいろな産業での情報科学専門家の活躍が少し少ないのかなという状況でございます。
  もう一つ、図の左で見ていただくと、ライフサイエンス関連、特に農学と保健は併せて6%弱と元々非常に小さいわけですが、そのほとんどの活躍先として、その他、あるいは医薬品製造業の研究者のキャパシティが非常に相対的に小さい状況です。結果として、製造業では工学系の人材が過半を占めておりまして、一方ではライフサイエンス、情報科学の専門家の活躍の場が限られているのが現状です。
  以降はアウトプットの分析に移ってまいります。7ページは、科学論文についての世界の中での日本の位置付けのグラフです。非常に残念ではありますが、論文の総数は、各分野で2000年代前半から2010年以降のランクを比較しますと、いずれも低下しております。特に計算機・数学の分野、あるいは工学の分野では国際的地位の低下は顕著です。特にトップ1%の引用度を示す、非常にクオリティーの高い論文で見ると、計算機、あるいは工学分野ではトップ10から外れてしまっているという、残念な状況もございます。
  続いて、これをセクター別、分野別に詳しく区分けしてまいりますと、まず8ページは、科学論文のセクター別の分析です。これは、それぞれの科学的成果に対する貢献度で見ようということで、分数カウントを用いております。このグラフはいずれも変化を表したグラフですが、赤い線のゼロから上の部分は増加、赤い線から下は減少を表します。
  まず論文の総量で見ますと、一番左の棒グラフは1990年代前半のデータで、次が1990年代後半です。90年代前半は、いずれのセクターにおいても大きな伸びを示しており、特に国立大学の貢献が大きかったのに対して、90年代後半になりますと、この伸びが縮小しまして、さらに2000年代半ば過ぎは、いずれのセクターもほぼ減少に向かっています。特に国立大学の増減の全体に対するインパクトは非常に大きいわけです。
  一方で、「企業」の項を見ていただきますと、日本の研究力低下ということが盛んに言われるようになった2000年に入る前、既に1990年代後半から企業の論文パフォーマンスは低下期に入っています。これは、基礎研究所の閉鎖や景気動向等のいろいろな影響もあるかと思います。こうした企業の研究パフォーマンスの縮小も、やはり国全体の論文パフォーマンスの縮小に影響しているのが現状でございます。
  それに対して、右側の方、トップ10%引用度の、質の高い論文で見ていただくと、左と右の対比で、やはり2000年以降の減少が顕著です。国立大学の減少幅は若干縮小しますが、特に2010年以降で見ますと、減少幅がより大きくなっております。ということで、特に最近の質的なパフォーマンスの相対的低下は、やはり非常に顕著であると言わざるを得ません。
  続きまして、9番のスライドは分野別の分析になります。これで見ていただくと、左側は論文総量、右がトップ10%論文です。先ほどのグラフと同様に、90年代後半から2000年に入りますと、各分野のマイナスが顕著になってまいります。ただ、全体の論文数で見た場合、特に減少が大きい分野として、かつて日本が強いとされていた物理学、化学、あるいは材料科学の減少が大きく出ております。それに対して臨床医学は健闘しておりまして、増加が顕著になっております。これは研究費の配分等の影響もあるのかもしれませんが。
  右側のトップ10%論文で見ますと、より減少の顕著な分野が、特に最近5年ほどで見えてまいります。増加していますのは、臨床医学と環境・地球科学で、後者はシェアとしては小さいですが、増加は非常にはっきり出ておりますこれらは健闘している分野と申し上げられるかと思いますが、この2つの分野の増に対し、化学、材料、物理、さらには基礎生命科学も減少しており、全体としてはマイナスになってございます。
  続きまして、10ページは特許について、単純な出願数ではなくて、世界的に出している特許をグルーピングした「パテントファミリー」という形でのカウントをしております。特にその中で特許における科学論文の引用、いわゆるサイエンスリンケージを分析したものでございます。まず左側のグラフは、整数カウントですが、各国の出願しているパテントファミリー数の中で、論文を引用しているパテントはどのくらいかという数字でございます。
  日本は世界で見ると第2位とで、アメリカに次いで科学的成果を多く引用していることは確かですが、パテントファミリー出願数全体の中で見ますと、論文を引用しているパテントファミリーの割合は9.0%で、先進諸国の中ではかなり低い水準です。つまり、科学論文を引用していないパテントも相当数存在することが分かります。
  右側は、見方を変えまして、パテントに引用されている各国の論文数です。これで見ても、やはり日本はアメリカに次いで第2位ということですので、依然として日本の論文そのものは世界のパテントからかなり引用され、使われているということが見てとれます。
  続いて11ページは、このパテントの論文引用状況を分野別に見たものです。これは世界における傾向を見たものですが、パテントファミリーに多く引用されている科学論文は基礎生命科学、化学、あるいは臨床医学と、特にライフサイエンス分野における引用が非常に顕著に見られます。
  続く12ページを見ていただきますと、これは日本の各分野の科学論文に注目しまして、それが世界のどこの特許で引用されているかという分析でございます。これで見ていただくと、赤い部分は日本の論文が日本の特許(パテントファミリー)で引用されている、「自国引用」と申し上げていい部分のグラフです。それに対して青が米国、緑がドイツでの引用を表します。これで見ていただくと、材料科学と物理では、日本の自国内での特許で引用される割合が多くなっています。それに対して、臨床医学、基礎生命科学については、先ほど臨床分野の論文は比較的頑張っていると申し上げましたが、引用先を見ますと、むしろ日本よりは米国やドイツ等、ライバル諸国と申し上げていいかもしれませんが、それらの各国で多く引用されています。つまり、日本発の知的成果はむしろ他国で形となってイノベーションにつながっていくということが、かいま見える状況です。
  13ページは、いわゆるスタートアップ、ベンチャーに関するグラフで、開業率、廃業率の国際比較です。日本は開業率と廃業率の比較で見ていただくと、開業率の方が高い傾向ですが、他国と比較して明らかに大きな特徴は、開・廃業率が、共に低い。つまり、諸外国においては、いわゆる「多産多死」の起業化という傾向があるのに対して、日本では「少産少死」、即ち1回起業しますとなかなか廃業しないという傾向が、このあたりのデータに表れていると申し上げていいかと思います。
  次からのスライドは、博士人材に焦点を当てた分析です。具体的には、特定の年に各大学の博士課程を修了した人材にアンケートを掛けまして、その現状はどうなっているかという追跡調査を行った、「博士人材追跡調査」の最新の結果です。15ページが今回実施した博士人材の調査の全体像で、青い点線で囲っております「28年度実施」の部分が、この夏に速報版を公表したものです。今回の調査は、2012年度の修了者の方が3.5年後にどうしているか、更に、新しいコホートとして、2015年の修了者に対して、0.5年後はどういう状況かを聞いたものです。
  それぞれ回答率は5割、あるいは4割という状況になっております。その回答で見ますと、16ページは、2015年の修了者について博士課程修了後のキャリア展開の修了者の現状です。大学で働いている方が半分強でありますが、公的機関が約9%、民間企業で約4分の1、25%の方が働いておられます。
  2012年の修了者の修了1.5年後の時点の調査を3年ほど前に実施しており、それと比較いたしますと、セクター間でどういうふうに動いているかという人材の流動が見えてきます。アカデミアの中で動いている方、あるいは留まっている方が9割、民間企業の中も8割となっており、流動性の向上という点で注目される、アカデミアから民間への人材の動きは全体の中ではわずか3%です。それに対して民間からアカデミアという流れは8%で、いずれも諸外国と比べると低い数字なのかなという状況です。
  続きまして、17ページは政策的な取組と進路の関係であります。因果関係を軽々に論ずることはできませんが、いわゆるインターンシップを経験した方と、そうでない方の進路を比較した場合に、これは2012、2015双方に当てはまることですが、いずれもインターンの経験のある方の方が民間企業に行かれる割合は高いです。これは、インターンを受けたから民間に行ったのか、あるいは、元々そういう適性、性向のある方がインターンを受けているのかは即断できませんが、両社の関係性は見てとれます。
  18ページは、特にアカデミアで就業した方について、先ほどの博士の進路の比較データで見ますと、有期雇用の割合が相対的に高いという結果がありましたが、2015年の修了者のうちに、アカデミアで雇用された方の職階と任期制の有無を聞いたものです。これで見ていただくと、職階ではポスドク、あるいはそれ相当と助教を合わせて全体の半数以上を占めています。さらに、任期制の有無で見ますと、テニュアトラック以外の任期制が約65%、テニュアトラックの7.5%と合わせますと、いわゆる任期制の雇用は全体の中で7割強と、依然として非常に任期制に偏っている状況ですが、これは前回調査の際とほぼ同様の傾向です。
  続いて、19ページはややセンシティブな質問になりますが、それぞれの方の所得階層を聞いております。これは非常に注目されるデータですが、全体の平均で見ますと、2012年修了者の方の前回の回答が青、今回の回答が赤線ですが、全体としては右側に少しシフトした形になっております。所得階層で見ると500万円から600万円前後の方が一番多く、これは標準的な水準かと思います。
  これを分野別に見ますと、非常に特徴的なのが1つは保健分野で、これは医学博士の方が多い影響もあるかと思いますが、2つのピークに分かれております。1.5年後の段階でもそうでしたが、3.5年後になりますと、より顕著に400万~500万前後の方のピークと、これは恐らく開業医の方が多いのかと思いますが、1,000万以上の方の2つのピークが出現しております。
  さらに特徴的なのは人文社会で、博士全体でピークを示していた500万前後に加えまして、3.5年後の段階では、200万円~300万円の層にもう一つのピークが出ている。これは生活水準で考えると大変厳しい数字と言わざるを得ませんが、このあたりに人文社会系の博士人材が置かれている非常に厳しい現状がかいま見えると申し上げていいかと思います。
  20ページですが、これは今回の追跡調査で初めて分析したもので、博士人材の地域レベルでの動き・分布を調べたものです。博士課程を修了した大学と、今現在どこでお仕事をしているかの地域分布を突き合わせてみますと、非常に粗い分析ですが、いわゆる3大都市圏(東京、首都圏、中京圏及び関西)とそれ以外の都道府県を「地方圏」としてまとめ、その間の動きを見ています。
  三大都市圏と地方圏の間の動きでいきますと、いわゆる都市圏から地方圏への人材の流出の方が多く、「流出超過」の状況でございます。地方圏の中で動いている方、要するに地方圏の大学を卒業して、地方圏で就職した方の約29%を合わせますと、博士人材全体の中で約4割の方が地方圏に留まって仕事をしている、あるいは生活をしているということになります。
  そういう意味では、地方においてこの4割の人材をいかに活用していくかが、これからの重要な課題になってくるのではないかということが見えてきます。分野別で見た場合、特に地方圏での活躍が多い分野として、これは当然かもしれませんが、農学系が多い状況です。逆に、三大都市圏への流入が多い分野として、これは大学のポストとの関係かもしれませんが、人社系は都市圏の割合が多くなっています。これについては、今後も継続して動きを追跡していくべきかと思っております。
  以降の3番目の項目は、当研究所の調査研究の成果ではありませんが、内閣府が7年ぶりに実施いたしました「科学技術と社会に関する世論調査」の結果がつい先日公表されましたので、そのハイライトを幾つかピックアップして御紹介いたします。
  まず22ページは科学技術に対する関心度を聞いたもので、過去の調査でも同様の質問をしておりますが、前回までと比べて、今回も関心ありという方は約6割強と、余り大きな変化はございません。注目されるのは、前回との比較で大きな変化が出たものとして注目されるのは、科学技術に関する情報の入手源です。
  前回と比べますと、テレビは若干の減ですが、大きく減少したのが新聞で、約6割弱から約4割に減少しています。それに対し、インターネットは2割から4割弱へ顕著に増加しています。ただ、インターネットで新聞を見ている方については、恐らくインターネットと回答されているので、そのあたりは少し割り引いて考える必要があるかもしれません。科学技術に関する情報源が変化していることを表していると考えられます。
  23ページは、科学技術政策の検討に一般の国民が関わるべきかどうかという一般的な質問です。これについては、前回の72%に対して今回は80%弱と有意に増加しており、前回72%に対して、今回80%弱ということですので、科学技術政策にはより一般の関わりが重要だという意識が浸透していることが見てとれます。
  右側の方は、「再生医療に関するイノベーションで、治療技術が進歩するか」という今回の新しい質問ですが、やはり割合としては非常に高く、9割超になっております。24ページは新聞でも見出しになりましたので、御覧になった方もおられるかと思います。前回と比べて大きな変化があったものとして、「科学技術の発展で不安に感じること」の一番大きなものとして、前回と比べて約20ポイント弱増加したのが、サイバーテロなど、IT犯罪への不安です。これは、世相と状況の変化を反映したものと言えるかと思います。本質問で2番目に多かった項目は、地球温暖化、自然環境等の問題についての不安です。
  続いて25ページは、科学技術が貢献する分野としてどういうものがあるかの質問ですが、地球環境の保全、生命科学、医療、あるいは資源エネルギーという回答が多くなっております。右側のグラフが注目されますが、政策的に見た場合に、科学技術の発展に必要な政策として多くの方が挙げておられるのは、「若手の科学者・技術者の育成」で、割合としては前回より減少しておりますが、依然として7割超という高い水準です。2番目は「研究開発資金の支援」が約6割弱となっており、このあたりが政府に対する主な期待と申し上げていいかと思います。
  26ページは、今回新しい調査項目として、「女性活躍社会」の重要性を踏まえまして、女性科学者の割合が低い要因、あるいは女性科学者を支援する措置が、どうあるべきかの質問を行いました。左側は、女性科学者の割合が低い要因を示していますが、回答傾向として「出産・育児等のライフイベントによって研究が中断すると復職が難しい」、あるいは、「科学者の職場では女性が孤立、苦労しそうだ」という、ちょっとステレオタイプのイメージが多くなっております。
  それに対して、女性科学者を増やすために力を入れるべきこととして、右側の図を見ていただきますと、「子育て・介護中でも研究が継続できるような支援」が7割弱と一番多くなっており、2番目は「一旦子育て・介護等の、ライフイベントで中断した科学者・技術者の再就職を支援する」も6割弱と高い割合になっております。
  さらに、分野的な偏りということで言うと、「従来女性が少なかった工学分野等への女性の進出を支援する」も4割超となっております。これら項目については、今回初めて調査したものですが、できれば今後も継続して調査をしながら、女性研究者支援や若手支援のための種々の政策の効果を見るべきであり、その際にこの国民の意識変化は大変重要な指標になります。このため、内閣府においてはぜひ調査を継続されることを期待しておりますし、我々も働き掛けをしていきたいと思っております。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございました。それでは、今の説明も含めまして、本日全体の議論を通じて御意見を頂ければと存じます。今回は、初めて出席の方もおられますことから、各委員の科学技術政策に対する思いについてざっくばらんに御意見を頂ければと存じます。
  特に、1番目として、進捗の把握・分析に当たって重点的に見てもらうべき観点、分析に当たって配慮すべき点、2番目として、現行基本計画の後半に向けて、本委員会において重点的に調査・検討していくべき分野横断的な課題について、3番目、少し早いですが、次期基本計画に向けて検討を始めておくべき課題など、そろそろ御意見を賜れればと思っております。
  初回ですので、皆様、御発言いただくように、どうぞよろしくお願いします。いかがでしょうか。それでは、お願いいたします。

【新井委員】
  新井でございます。幾つか俯瞰マップは本当にあのときには、完璧だなと思っていたんですけれども、やはり社会の動きというの
  非常に早くて、俯瞰マップでしたものだけでは足りないなと思われることもありましたので、少し気になった点についてお話をさせていただければと思います。
  まず、リカレント教育が実は抜けていたなというのを、最近非常に強く感じております。どうしてかといいますと、最近企業等に伺って、今後の大学、あるいは大学院にどんなことを期待するかとお尋ねするときなんですけれども、むしろ、例えばなんですけれども、農業機械とか工作機械を作っていらっしゃる会社さんなどが、この後、IoTとかAI化というのを進めたいといったときに、AI人材のような若い人を雇用する以上に、実は大学にリカレント教育を担ってほしい。
  つまり、何か大学のリカレント拠点のようなところを作って、そこで、今まで自分の会社は、例えば工作機械をやっていたと、I型の人材、例えば機械工学卒業とか、農学部卒業で修士をちゃんと持っているという方がいっぱいいると。その方たちがIoTとかAIとかをしなければいけないときに、そういうときに大学に支援をしてほしいというか、教えてほしい。教えてほしいもあるし、共に共同研究をする中でリアルなデータを使って、一緒に次の産業に変化するのを大学とともにできたらどんなにいいだろうというのを、各社から聞いております。
つまり、日本には企業の中に大変優秀な人材が実は多いんですが、I型人材が多いと。そのI型をT型とかπ型にするために、大学・大学院に支援をしてほしいと。これまで国大協さんに調べていただいたんですけれども、実は国大協がやっているリカレント教育というのはMBA型の文系がほとんどで、理系は実はそれほどないということが分かりました。ああ、抜けていたなというのは、すごく先日感じたことでございます。つまり1次産業の6次化のようなことを考えたり、2次産業の6次化ということを考えたときに、リカレントというのが俯瞰マップに抜けていたなと思っております。
  それと、今回やはり、次期に向けてPDCAサイクルを回すということになると思うんですけれども、PDCAというのは誰のためで、何のためなのかということがすごく問われていくと思うんです。今、NISTEP様から大変詳細な、様々な指標に関しての声が落ちているというお話とかもあったわけですけれども、落ちているときには、多くの論議が何とかして上げろという話に、ついなってしまいがちです。
  しかし、どうして落ちたのかという原因をフィードバックして、次の科学技術基本計画に、そこのところがいろいろ今回の第5期をやったにもかかわらず落ちているとしたら、それは何が理由なのかということを丁寧に調べていくということが、重要だなと思っております。
  その中で気づいたことの一つとして、第5期はImPACTであるとか、SIPであるとか、A-STEP、比較的大規模な競争的資金に注力をしたということがあったと思うんです。そういう中で、なかなか成果というか、大学のまず研究力が落ちているということもありますし、それ以外にも、やや最近そういう大規模資金に関わる余りよくないお話が幾つか出ていると。つまり、研究成果が科学的でないであるとか、あるいは昨日も報道があったようなこともございますので、そういう大規模資金に関して、どういうふうに第三者的にチェックをしていくかということが、もしかしたら抜けていたのかなと思いました。
  あるいは、そういう競争的資金を集約するよりも、むしろ国立大学等にきちんと基盤経費を配分している方が研究力というのは高かったのかもしれないとか、いろいろな観点から検討するということが必要だなと感じました。
  もう一つ、これが最後です。SSHが、たしか先ほどのピンクの人材育成のところの付箋がついているところの、人材育成・確保、活躍促進の開きの一番右下がSSHが入っているかと思います。このSSHについて調査をしましたところ、実はこのSSHで一生懸命やっているものは、伝統的な理科に非常に偏っているということが分かりました。つまり、今まで物理、化学、生物、地学というようなところの伝統的な先生方が、そこら辺の科学の甲子園とか、そういうところで一生懸命やっていらっしゃるということが分かって。
  実は、本来、もちろん情報もそうなんですけれども、スポーツ、保健体育であるとか、技術家庭というところをもっと科学化していくとか、全体として科学人材を育成するのではなくて、伝統的な科目としての理科人材というのを育成してしまっているし、審査もそのように行われているという実態がだんだん分かってまいりました。ですので、このSSHを、もしこの科学という枠組みの中で位置付けるのであれば、ここは理科増進ではなくて、科学増進に変えていくという仕組みというのが必要だなということを、調査して、感じているところでございます。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございました。御意見、いかがですか。リカレント教育、これ、本当に今ちょっとずれているなと。正直、大学をマネジメントしていた人間が第三者的に言うのはよくないんですけれども、今ひょっとしたら学部の半分ぐらいは、本当は情報でもいいくらいの時代になってきているんですけれども、情報学部そのものがすごく少ないんです。ない大学もあって、先生が言われるT型だとか、π型の1つは、情報になってくると思うんです。
  先ほど言われたSSHと同じもので、伝統的な分野で育ってきたスペシャリストが、そこに情報が入ることによってすごく新しいものが作れる可能性があるんですけれども、そこの養成のキャリアパスがちょっと弱いなというのはずっと感じているところなんです。

【新井委員】
  そこがすごく重要なポイントで、情報も、情報だけの人だと余り……。

【濵口主査】
  現場がないんですね。

【新井委員】
  余り重要ではなくて、結局日本が食べられているのは製造業であったりするので、製造業プラス情報になったときに、多分一番強いんですね。例えば医学プラス情報とか。

【濵口主査】
  そうですね。

【新井委員】
  なので、情報理論とかばかりやっていても、ややしようがないと言ったら語弊があるので、余り議事録には載せないでほしいんですけれども。そうではなくて、本当は情報は乗っかったときにすごく威力を発揮するんですね。

【濵口主査】
  現場ワールドのデータをいかに抽出するか。

【新井委員】
  そのときには、別に論文がいっぱいなくても、多分GDPは上がるだろうと思っています。なので、そこのところ、そんなに頑張らなくても、気持ちの持ちようで大分よくなるかもしれないという希望を最近持っております。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
  どうぞ。

【竹山委員】  
  会社人を対象としたAI/IT人材育成のプログラムが、大学等を中心として企業を巻き込んだコンソーシアムを作って、本年度がスタートしていますね。学生対象のプログラムも同様にスタートしています。また、各大学ではそれ以前から独自にAI時代に対応したデータ関連人材育成のためのセンター等を作るという方向に動いています。早稲田も同様です。
  どのような人材を育成するのかという点からすると、例えばビックデータを生産するバイオ系では、自分がだしたデータは自分で解析するという育成もしています。情報のための情報学よりもターゲットを例えば農学分野やエネルギー分野に置いたりすることも重要ですね。また、社会・文系での情報解析も必要で、経済、金融分野も含めた形で進んでいますね。この大きな動きは、スタートしたばかりで、どこに帰着するのか、その社会がどのように広がっていくのかは、ここ数年見ていかなければいけないと思っています

【新井委員】
  でも、俯瞰マップに入っていなかったなと、今見てすごくそう思ったものですから。

【竹山委員】
  そうですね。多分この動きというのは、本当に最近ですので盛り込まれていなかったのですね。

 【新井委員】
  そうですね。だから、大学の方も提供するとは思うんですけれども、データ、コンテンツとして企業も提供して、それを題材として、一緒にただお勉強するという感じではなくて、それを題材に本当に研究をしていきながら、T型、π型人材をつくるみたいな、そういうコンソーシアムというのが大学全体として本当に進むべき方向なんだなというのを、最近ひしひしと感じています。

【竹山委員】
  もう一点。進展具合の把握、そして評価をどのようにするかが重要かと思います。調査分析は、論文や報告書ベースになることことが多く、最新動向を把握するには即効性がない点が課題です。 中間での評価をする際の評価の方法論に関して議論が必要ですね。

【濵口主査】
  御意見はありますか。私、いつも感じているのは、サイテーションとかで見ていくと、例えば3年前のデータぐらいなんです。その研究がやられていたのは、さらに我々の分野というか、生物の分野だったら、さらに三、四年。だから、五、六年前のこの世をずっと洗っているだけなんです。場合によっては、消えてしまった人が、この人、すごいねという話をして、リアルタイムの今何がホットなのかというのがなかなかつかめない。それから、さらに近未来の勃興してくるであろうイマージング領域をどうキャッチアップしていくか、これが弱いんです。
  個人的な話ですが、JSTでもそれをどう戦略的に組み立てるかというのは、かなり繰り返し、繰り返し、議論しているんです。やっぱり若い研究者のネットワークをもっとしっかり組んで、そこからの生情報をもっと取らなければいけないんじゃないかと。パブリッシュされたデータで見ると、一番分かりやすいのはホットペーパーで、最近2年間にパブリッシュされたやつの最近2か月の引用件数、それぐらいの非常に早い段階で引用件数の高いのがざっと並ぶんです。
  そういうのを見ていると、例えば日本は少ないんです。少ないんですけれども、化学が物すごく多いです。それをどう判断するかとか、そういう議論が実に少な過ぎて、日本は5年前、10年前の状況をなぞっているような感じがしないでもないですね。もうちょっとそこを戦略的に立て切れないのかなという、歯がゆい思いをしますけれども、いかがですか。
  どうぞ。

【川端委員】
  私もそのように、本当にそう思っています。1点は、この基本計画を見た中で、時間的なものを切り分ける必要があって、あることをやって、レスポンスが出るものと、それから、すごい長い時間で――今の論文もそうですけれども、人材の話なんてもっともっと時間が掛かっていろいろなものが出てくる。問題は、それを細かく評価し過ぎて、切り返しをやり過ぎているんです。
  大きなものが、何か成果が出る前に次のことを言うから、また違う方向に動き始めて、また違う組織を作ってというのを大学の中で繰り返している。だから、ある方向、人材育成なんて大して変わらないはずなんです。大体思っているものは同じようなもので、高いレベルといったら、それは誰でも何となく分かる。そういう中でやるべき施策というものは時間が掛かって。
  ただ、財務的な問題があって、10年、20年なんて無理だから切ったりするんですけれども、そのたびに違う方向に、ここは問題だからこっちです、あっちですとやるから、わけが分からなくなっていっているというのが今の大学側の問題だなと、そんな気がしています。
  そういう意味で、評価自体は評価指標を考えるに当たって、ある部分では大きなお金を突っ込んで短期に出すやつ。要するに大きなお金を突っ込むということは、時間を買っている話ですから、時間を短くして何か成果を求めようとするものは、徹底的に成果を見るべきであって、そうでない人材だとか、長いスパンのものは、ある意味では鷹揚に見ていく必要がある。だから、こんなふうに落ちてきているから、じゃ、何かしなきゃと今やって、すぐ成果が出るわけがなく、もっと大きく見ている必要がある。一方では、お金の掛け方にしても考える必要がなるかなと思います。それが今、全体の話です。
  もう一点は、ここしばらく僕はずっといろいろなところで言っているんですけれども、5期計画にしても、組織型であったり、キーワードとしてこんなものが出てきたり、博士の話であったりという話をしたり、いろいろなことをするに付けて、大学の組織としての機能の強化を徹底的に図る時代に入ったかなと。
  要するに今までのファンディングが研究者個人に向けて与えられていて、その成果をどうやって上げていくかというライン。若しくは、オリンピックチーム型。あるすごい人たちを集めて、お金を突っ込んで何か成果を出す。でも、それは持続性がなくて、成果の刈り取りにはいいけれども、それが次のものをなかなか生んでいないと。それを生ますために必要なのは、今の86の国立大学だけではなくて、私立大学も含めてかもしれませんけれども、大学の機能自体をどうやって強化するかです。
  要するに組織的なマネジメントも含めて、組織としての機能強化、経営強化だとか、そういうものをもっともっとあらわになっていくような指標――裏返せばそういうファンディングがあってもいいのかもしれませんけれども、そういうものがいろいろな指標の中に表れてくるような形が是非あっていただければと思っています。以上です。

【濵口主査】
  多分今のお話を政策的にやったとすると、拠点型の研究推進のデザインというのは、相当コアになる課題かなと思います。

【川端委員】
  ごめんなさい、いろいろな意見が。個人的には、別に国立大学だけではなく、拠点型というやり方に関してもバリエーションがあっていいと思うんです。要するに大規模中心の拠点型もあれば、もっと中規模があったり、小規模が。

【濵口主査】
  だから3類型を。

【川端委員】
  3類型でも、5類型、どうでもいいんですけれども、いろいろな小さなところは、小さいなりの拠点の作り方があるはず。それを理解しないと、何となく最近のやつを見ていると、大きな大学しかやれないような施策の打ち方というのが結構大きくて。

【濵口主査】
  一発逆転狙い過ぎの。

【川端委員】
  そう、一発逆転できないような、貧民ゲームみたいな話になっていて。だから、そういう意味では、小さな大学であったり、中規模大学であったりというところが、地域だとか、いろいろなものとの連携の中で拠点化していく。その拠点のやり方はいろいろあると。それぞれがもっともっと経営だとかを考えながら、それを引っ張り出すような、ごめんなさい、これは別に5期計画ではないかもしれないです。済みません、こんな話で。

【濵口主査】
  菅先生、シークレットオフィサー。

【菅委員】
  いえいえ、そんなのはないです。論文のあれを拝見すると、論文数も衝撃的に減っているし、クオリティーも下がっている。この10年間、自分が研究室を独立して持って15年ぐらいたつんですけれども、何がその間に劇的に変わったかというと、ハイインパクトの論文ジャーナルの商業化、それから論文を1本発表するための、もちろん研究コストもそうですけれども、論文を発表するだけに5,000ドルとか、6,000ドルとか、わけの分からないお金が掛かるんです。
  商業化しているということは何かというと、これは一度、先生方と議論したことはあるんですけれども、商業化するということは、商業化している会社たちが売れるところにできるだけお金を取るために、そういう人たちを取り込んでいくという経営戦略があり得るわけです。それに多分、日本はついていっていないのではないかなと思うんです。だから、中国が伸びているという最大の理由はそこかもしれませんが、ドイツなり、ほかのところはしっかり伸ばしてきているというのは、恐らくそういう戦略に勝てるだけのことを打って出ているのかなという気はするんです。
  そこは、昔はピアレビューでやれていたジャーナルというのは、余りパブリケーションにコストが掛からなかったんですけれども、今は本当にコストが掛かって、私どもは年間にどれくらいジャーナルに払っているんだろうと思っているぐらい、本当にコストが掛かっている点が一つ。
  それから、博士人材なり修士人材の問題点を少しここで提案しておきたいんですけれども、きのうもとある学会の会議で産業側の方々と話をする機会がありました。私ははっきり、こう言いました。今は、修士の就職だとすると、修士の1年生の最後から短い子で3か月ぐらい就職活動をするんです。長い子だと半年します。東大の学生でも、それくらいの学生が出てくる時代です。
  全然教育ができていない状態で真ん中に抜けられて、それで結局中途半端に終わる修士というのが圧倒的に増えました。つまり研究力が総体的に下がっているんです。博士も就職活動の重りというのはすごく大きくて、決まる子は早いですが、決まらない子は遅い。もちろん、博士課程は協定も何もなくて、いつ就職活動をしてもいいんですけれども、博士課程は就職活動をするんだったら、1年生でやってもらって、1年生ぐらいで決めてもらって、あとゆっくりのんびりと研究を楽しみながらやってほしいなと思います。ただ、それは企業側がそれくらい早くコミットメントして、彼らも実際サポートを出しながらというスキームを作ってもらわないといけないです。
  修士が一番問題で、私は完全に2年生の12月までは就職活動をしたら駄目というふうにしてほしい。12月までしっかり研究して論文書いて、それで終わりにしてほしいんです。2年生の最後、3か月で就職してしまう。これをすれば、本当にちゃんと研究ができるようになるんです。今の状態だと、多分修士で研究をちゃんとさせることが不可能になってきていると思います。
  この現状を昔は我々、情報がなかったので、結構この会社でいいかといって入っていた場合も多かったと思うんですけれども、最近は情報が氾濫している分、学生は決められないです。たがら、3か月とか、半年とか掛けてだらだらやってしまう時代になってしまったので、むしろ就職活動とか、その辺をもう一度見直す時期が、本気で一気に変える時期が来ているのではないかなと思います。そうしないと日本の科学はどんどん低下するし、論文数も、先ほど言っていた単なるお金ではないかもしれませんが、そういう世の中の商業的な戦略についていっていないという気がいたします。

【濵口主査】
  ありがとうございます。

【角南委員】
  一応この下というか、国際戦略委員会にも属しているので、そちらの視点で次期科学技術基本計画を考えたときに、必ず出てくる二つのことだけを簡潔に述べさせていただきたいと思います。
  一つは、明らかにSDGsだと思います。これは、今年私が出た国際会議、COP23もそうですし、国連の会議、北極の科学技術大臣会合なんていうのもやられますけれども、こういった全てのSDGsの取組の中で、日本に対しては科学技術に対する期待が非常に高いということですから、多分次の基本計画の中に何らかの形でこれについては議論が必要だろうと。
  それから、恐らく近々官邸でも我が国のSDGsに対する取組という話もあると思うんですが、なかなか重点分野の中に科学技術というのは入っているようで、入っていないというか、ここはしっかりと議論があるかなと。
  もう一点、これは先ほど新井委員からの話で、我が国の製造業掛けるICTとか、Society 5.0の話になるのかもしれませんが、1つベンチマークしておかなければいけないのは、例えば2025ということであれば、中国製造2025、これは中国のメイド・イン・チャイナ、インダストリー4.0と書いていますけれども、とにかく我々、普通、いろいろな観点で我が国の競争力を考えていくと、こういった新しく出てきている国、特に中国の勢いというものをどうベンチマークしていくのか。中国製造2025も重点8分野とか、これはほとんど我が国日本の科学技術基本計画と同じことが書かれています。
  ですので、それをどう扱うかというのは別なんですけれども、やはりこういった諸外国で非常に日本にとって影響力の大きいところについては、今からベンチマークをしていきながら、俯瞰は日本の我が国の現状ですけれども、これに対して、それはどうなのという部分を、あるいはオープンサイエンスもそうですけれども、これはグローバル戦略を立てる上では非常に重要なので、ある特定の分野、特定の国、地域については、今からそのベンチマークをしていく必要があるだろうというふうに思いました。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
  知野さん。

【知野委員】
  ありがとうございます。研究費の話で、先ほど新井先生が大型になっているということを御指摘されましたけれども、かなり大きくなったことによって、逆に不正であったりとか、あるいは、これが研究成果かというようなものを研究成果と言っていたりとか、むしろマイナス面も目立ってきていると思いますので、その辺で1つ、第6期に向けて対策が必要だと感じています。
  あと、やはり一般側から見ますと、昨今、製造業でのデータ不正とかが続いて、日本のものづくりは大丈夫なのかという不安もあります。データ不正イコール安全性にそのまま関わるかどうか、ちょっと分からない状況ではありますが、そういったことがあるので、やはり信頼を担保するものが必要だなということを感じます。
  また、今のオープンイノベーションなんですが、これからこういう方向になっていくといわれて起案したが、長年、日本が大きなお金を掛けて行っていた航空分野の研究で、日本企業がアメリカのベンチャー企業を買収するそうです。それはオープンイノベーションではありますが、やはり、日本の研究に返ってくるというのではなくて、日本のものではないものを取り込んで日本の企業がやっていくということになります。となると今まで日本が研究費を掛けてやってきたものはどうなるのだろうという疑問も湧いたりします。そういったテーマへの視点も必要かなと思います。
  また、ここで随分いろいろな指標を挙げていて、確かに見るとき分かりやすいのですが、時間もたち、それから指標だけでは捉えられない、こういった今挙げたような問題もあるのではないかと考えられますので、何を指標に当てはめるかだけでなく、まず現場のヒアリングみたいなもの、一体何が問題だと思うかとか、これからの課題は何かというあたりを現場にもっと聞いてみる必要があるのではないかなと感じました。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。ほかに、いかがでしょうか。
  小野寺委員。

【小野寺委員】
  皆さんのお話を伺っていても感じることなんですけれども、今、産業界で全体的な話ですと、例えばグローバル化という話が必ず出てきます。そのときに、これは別に日本企業に限らずですけれども、企業から見ると、技術の源が日本にあろうが、海外にあろうが、使うものは使わざるを得ないというのが実態です。
  たとえ日本企業であろうとも、日本で開発された新技術よりも、海外がよければ、海外を使わないと企業は競争に負けてしまう。やはり、ここは学の皆さん、是非考えておいていただかないと、無理なんじゃないかと思うんです。産業界に対する希望はいろいろあるので、それはどんどんおっしゃっていただきたいと思うんですが、産業界の方から見ると、先ほど修士の就職の話もありましたけれども、私もおっしゃるとおりだと思うんです。
  これが2点目で、実は、産業界の方でも非常に問題だと思っているのは、いまだに4月の新卒採用、これがメインなんです。私、これでは企業も海外の企業に勝てなくなってくると思っているんです。ところが、残念ながら、いまだに4月がメインと。ごく一部、通年採用をやっている会社もありますけれども、例外ですね。
  私は、これは逆に学の方からもっと情報発信をすべきだと思います。これでは問題があると。いい学生を送り込もうと思えば、なおさらそれは問題なんだと。そこをどんどん言っていただかないと、申し訳ないけれども、産業界の方がそこは遅過ぎると、私は思う。
  そういう意味で、産業界と学の間のコミュニケーショがもっともっととれるような格好をどうやって作っていくかだと思うんです。産学連携だってまさしくそうだと思うんです。このコミュニケーションをどういうふうにとっていくべきなのか。ここは、学の方と産業界と、もっともっとディスカッションをしないと駄目なのではないかなと思うんです。
  3点目ですが、新井先生からちょっとお話のあった6次産業化という話と関連するんですけれども、ちょうど東工大の三島学長と、それから北大の名和先生なんかと、工学教育の改革の委員会をやらせていただいたんですけれども、「情報」は、情報科学を専門にやる人には当然必要なんだけれども、それ以外の学生、少なくとも工学部の学生には、「情報」の基本、少なくとも使えるということはきっちり教え込まないと。
  でないと、製造業にしろ何にしろ、全ての産業が今情報がなければできないところに来ている。新しいことというのは、まさしくそこをどう結び付けるかということになってきているので、そのためにも、やっぱり工学部の教育というのは早く変えないと駄目だと。これも、三島先生も、名和先生もみんな、私も全く同じ考えなんです。ここを、やはり申し訳ないけれども、もっと文科省に頑張っていただいて、そこを早く変えていただく必要があるだろうと思います。
  4点目になります。これは、ちょうど5年前、つまり今の第5期の科学技術基本計画を定める前のこういう議論をやっていたときと、今と比べてみると、やはり産業界の、ものすごくスピード感が当時に比べても速くなっていますね。先ほど、川端先生からもちょっとお話のあったことなんですが、産業界の方は、1年前のことが、今見ると、とてもじゃないけれども、これはまずいというので、3か月なり、半年なりで研究開発項目を変えますね。
  私は、先ほど川端先生のおっしゃったことに大賛成なんです。基礎研究のように、ある程度時間が要るもの、これは何としても学でやっていただかなければ、恐らく今の産業界にそんなことをやっている余裕がある会社はないと思います。ここの部分は圧倒的に学の方でやっていただかなければいかんので。その上の段階――何段階あるのか知りませんけれども、そこのところをもう少し切り分けて、国として、科学技術基本計画としてやらなければいかん部分、ここはマストだと。私は、そこは基礎研究じゃないかなと思うんですけれども。
  それをどう運用するかというのを何段階かに分けて、この段階は、例えば基本計画は5年ですけれども、これは毎年なり、極論を言うと、半年毎にローリングをやって、この部分については、先ほども中国の話がありましたけれども、中国が既に実用化しているんだったら、今さらこれを追っかけてもしようがないでしょうと。別のところに早く方向転換しなければいかんのではないかと。科学技術基本計画という5年計画に余りに縛られると、産業界の方から見ると、そんなのもうやらなくたっていいんじゃないのと思われるものが出てくるのではないかと思うんです。
  大変難しい問題だと思うんですが、やはり日本全体としての技術力アップのために、基礎研究力アップのために何をやらなければいけないのか。やはり、もっともっと議論する必要があるような気がいたします。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
  それでは、庄田委員、お願いします。

【庄田委員】
  俯瞰マップは、科学技術基本計画が章立てで示され、基本的には文部科学省の施策との関連が記載されていると理解しています。一方、例えば、人工知能戦略会議あるいは健康医療戦略本部等の国全体のプログラムも存在しますので、文科省の施策と国全体のプログラムの位置付け、関連を記載いただくとさらに役立つと思います、というのが1点目です。
  2点目は、各分科会、委員会における今後の俯瞰マップに基づいた進行状況の把握・分析についてです。私もいくつかの分科会に所属していますが、俯瞰マップに基づいた議論が進んでいないのが現状です。
  事務局から各部会・委員会に俯瞰マップをベースに議論することをお伝えいただけたら、来年の2月から6月に予定されている各分科会等において議論するという部分も円滑に進むのではないかと思います。

【濵口主査】
  ありがとうございます。ほかは、よろしいでしょうか。どうぞ。

【橋本委員】
  初めてですので、今まで既に議論されていることかもしれませんが、私が今思っていることを2点、まとめたいと思います。
  まず、1つは、先ほどの報告にもありましたように、日本の今の基礎研究力が非常に落ちているということに非常に危機感を覚えております。今の様々な研究資金の配分、特に独法化以後の大学への研究資金の配分の仕方、ここに様々な意味で問題、原因があるのではないかなと思います。論文を見ましても、2004年以降に特に急激に下がっているように見えるのです。
  そこで、将来何の役に立つかは分からないのですが、まずは基礎的な研究を行い、そこに適切に研究費を入れるというのも、その国の国力だと思うのです。ですから、特に30代、40代の若手の研究者が、安心して一つのテーマをずっと続けられるよう、少額の研究費でも確実に取れる研究費を是非確保していただきたいと思うのです。
  一方で、いろいろな大型のプロジェクトや競争的なある特定のテーマで短期間、例えば5年で成果出しますといったようなプロジェクトも必要だと思うのです。そのベースになるところに、やはり基礎研究をずっと支えていくような体制が必要かなと、常々思っております。
  それと、もう一つ、大型プロジェクトのいろいろ推進を横で見ておりまして、やはり、目標達成、進捗管理というのは非常に厳しいと感じております。そうすると、その中で実際に手足を動かす労働力として学生あるいはポスドクの人たちが採用されています。今は研究費で人件費も使えるようになりましたけれども、逆にそれが今、実はポスドクの人たちの派遣労働者化を招いているんです。
  結局ドクターを取って、でも、何となくまだサイエンスの周辺にいたい。そうすると、大体今行ける道というのが、派遣に登録をして、ある研究プロジェクトの研究員になる方向になっています。ところが、本人は研究をしているつもりですが、そのプロジェクトの中でこういう人たちは研究員としては認識されない。場合によっては、論文にも名前も載らない。それに後で気がついてショックを受けるということが、今結構起きているような気がしています。日本の大学で長い時間とお金を掛けて育成した人たちが結局派遣労働者になってしまって、しかも40歳ぐらいになって、将来どうしましょうというように迷っているというのは、すごくもったいない話だなと思います。
  それと、最初から理系、文系と分けてしまう今の教育体制の問題点として感じているのですが、現在、実際にいろいろな企業で仕事をしようとすると、本当にマルチディスシプリナリーな考え方が本当に必要なんです。ところが、「私は何とかの専門家です」という方が多いのが実際のところです。先ほどもありましたように、何とかとITといったような、複数の事がもっとできるような教育などが必要になってくると思います。
  特に現在、私は大学発ベンチャーの経営をしておりますが、特に少人数でいろいろなことをやらなければいけないときには、やっぱり一人の人間の守備範囲が広い。あるいは、複数の専門領域を持っているような人たちがいることが非常に大事だと思っております。私自身もずっとライフサイエンスに携わってきましたが、サイエンスのことも分かるけれども、一方でビジネスの話もできる。一人の人間が二つの違うレセプターを持っているような、そういうデュアルレセプターの人間が必要だというのを常々思っております。
  こうしたことから、大学のときにそういう教育も必要です。また、例えば大学でドクターを取った後に、研究しか道がないというのが大体、今皆さんが見えているところですけれども、そういうドクターがいろいろな研究を持ってビジネスに行くということが非常に強みになるということも、もっといろいろ今の若い方たちに示していきたいなと思っているんです。
  例えば、欧米の小さな、本当に10人ぐらいのベンチャーでも、トップはほとんど皆さんPh.D.とかM.D、そういう人たちがCEOになり、CSOになりビジネスを動かしているわけです。やはり、そういう活力を生み出すためにも、異分野の人たちが、また自分とは違う分野の勉強をしながら育っていく、そういう環境を作っていく必要があるのではないでしょうか。

【濵口主査】
  御指摘のとおりですね。
  土井先生、いかがですか。

【土井委員】
  皆様の御指摘、そのとおりだと思います。それで、PDCAということでも、今回、論文とパテントということで出していただいて、今までよりは、実際に社会にどのように貢献していくかという意味で、論文だけではなくパテントもあるということが明確に出ているんだとは思います。それ以外にも、先ほどから出ておりますような第6次産業化みたいな、そういうところのイノベーションにどのように貢献しているのかというのを、どう図るかというのはすごく難しく。それが、本当に研究者としての成果なのかと言われると、先ほど橋本委員も言われましたように、そうではないと。だから、論文に名前は出ないという話にもなり。
  ですが、確実にイノベーションに寄与している場合もあるわけです。そういう意味で、科学技術人材、博士の方も含めて、どういうふうにキャリアパスを作っていくかというときの実績の評価の仕方というのが、すごく難しいんだと思います。日本だと、Ph.D.を持っていれば研究者という位置付けですけれども、海外では、今、御指摘があったように、ビジネスでは技術部の部長さんにすぐなれるというキャリアパスが、ある意味、保障されているんです。
  ですから、そういう意味では、研究をやっていても、実は経営もやっているわけです、PIとして。というところを、きちんと博士課程の人材の方も認識しないといけないし、大学も認識しないといけないし、企業も認識しないといけないというふうに思います。そういうところがきちんとなっているから、大学でも、論文だけではなく、違うところでも評価されていくというところも、キャリアパスとして示していくということが重要だと思います。
  あと、先ほど小野寺委員から、工学と情報というお話がありました。私は、やはり情報は、これからデータドリブンの社会になってきているので、いわゆる人文社会の方も、情報を使わない限りは何もできない。だから、統計解析も、自分で別にプログラムを書く必要はなく、エクセルを使えばツールとしてできるわけですね。それのちゃんと統計の評価が正しいかとか、認識もできないといけないと。そうしないと、ビジネスにおいても相手に負けてしまうので。だから、最低限そういうところは教育をしていかないといけないと思います。
  そういう意味で言うと、もう一つが、これも情報の話になるのですけれども、先ほどの中で、セキュリティーに対しての不安感が多いという話がありました。今、不安感が多いと言っているだけで、誰も自分で防衛できるようになっていないんです。それはそれですごく大きな問題です。今、IoTデバイスということで、皆さんはそういうものをわんさか買っていらっしゃるわけです。なおかつ、音声認識してコマンドをやるような、ああいうものもどんどん家庭の中に導入されているので、やはりそういうところはきちんと自分たちで守れるように、リテラシーを高めていくということをしていかないといけないと思います。
  ですから、そういうことをやるという意味でも、少し教育が変わっていく。それが、まず大学の学部から変わるのかもしれませんし、それよりはもっと前の、生きていくための情報環境、セキュリティー環境という意味で、小学生からしっかり自分たちでできるというのをやっていくというのをやらないと、グローバルに生きていけなくなるのではないかなと思います。
  そういう人材が逆にグローバルで育っているので、そういう人たちと、日本からの人材も太刀打ちができないと生きてはいけないと思いますので、そこをどのように科学技術基本計画の中に入れていくのかというのはすごく難しいんですけれども、是非……。

【濵口主査】
  多分そこは中央教育審議会の方に、入試の問題なんですね。

【土井委員】
  そうなんですね。ですけれども、やっぱりそれがないと、もう負けてしまうというのが事実だと思いますので。

【濵口主査】
  ここでやれるのは、多分大学院教育だろうと思います。済みません。
  大橋さん、お願いします。

【大橋委員】
  もう時間もないと思うので、2点だけ申し上げます。まず1点は、俯瞰マップでございます。これは、作るときには、議論も含めて大変だったろうなと思って、事務局も含めて御苦労を多とします。この俯瞰マップというのは幾つか使い方があるのだと思うんです。仮に政策のPDCAを回すというと、若干これ、使いにくいなという印象を正直持っています。
  理由は、目標と書かれているところですけれども、仮に目標が達成できなかった場合に、どこに返ってくるのかという、返ってくる場所にたくさん矢印があって、どこか分からないのではないかと思います。つまり、PDCAという回す先がないということになるんじゃないかと思います。そうすると、施策のPDCAというと、もう少しこれを大づかみにつかむようなことができないと、この俯瞰マップは使いづらい。ロジックをもう少し粗い形で作られることなのだと思います。
  もう既にここまでできているので、どうかとも思いましたけれども、ちょっとそういうふうな印象を持ちましたというのが1つです。
  2点目は、今後、重点的に調査する事項として何かということに関連するかもしれませんけれども、私、今回初めて参加するものですから、誤解があるかもしれませんが、皆さん、お金の量の話を結構されているなと思って伺っていたんです。他方で、インセンティブというか、評価基準、例えば、論文の本数とか、そういうふうなものが研究者の活動の方向性を決めるのには、1つ重要なツールであると思いました。これは、お金の額を一定としたものですけれども。
  これというのはガバナンスの問題なのだと思います。ただ、今の政策で議論されているガバナンスというのは、理事会に外部の人を何人入れるかとか、そういう話で、余りインセンティブという観点は出てきたことがないのではないかと思っています。そういう観点も、もしかすると役に立つのかなという感じがいたしましたということでございます。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございました。司会がなかなか不手際で、時間が超過しておりますけれども、本当にたくさんの御意見を頂きました。いつも頂きながら、未消化のままずるずると行くようなところがありますが、しっかりこれをステップワイズに分析して進めるような会議体にしていきたいと思っておりますので、御協力をお願いします。
  お時間が来ましたので、最後に、今後の予定等について事務局からお願いします。

【宮澤企画評価課課長補佐】
  御議論いただきまして、ありがとうございました。次回は、今日お配りした俯瞰マップ、最近値の値を入れまして、更新をしますということで御報告をさせていただこうと思います。第5期基本計画の進捗状況の把握と分析について、進め方について、また御議論いただければと思っております。
  次回委員会、1月下旬から2月上旬ということで予定させていただいておりますが、詳細は追って事務局から連絡させていただきます。
  あと、本日の議事録、後ほど委員の皆様にメールでお送りさせていただきます。御確認いただきました上で、文科省のホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
  本日の資料につきましては、お帰りの際に封筒にお名前を御記入の上、机の上に残していただければ、後ほど事務局より郵送させていただきます。事務局からは以上でございます。

【濵口主査】
  ありがとうございました。それでは、第18回総合政策特別委員会をこれで終了させていただきます。本日は御出席、どうもありがとうございました。

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科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)