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平成22年度の我が国における地球観測の実施方針

平成21年8月7日
科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会

はじめに

 地球観測推進部会は、総合科学技術会議の「地球観測の推進戦略」(平成16年12月。以下「推進戦略」という。)を受けて平成17年2月に文部科学省科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会に設置された。本部会は、地球観測の推進に関する重要事項について調査審議し、地球観測に対する利用ニーズや国際的動向を的確に踏まえ、「推進戦略」に沿って地球観測の推進、地球観測体制の整備、国際的な貢献策等を内容とする具体的な実施方針を毎年策定することとされている。
 また「推進戦略」では、実施方針とそれに基づく事業の進捗状況について総合科学技術会議が総合的な評価を行うこと等により、統合された地球観測システムの運用状況をフォローし、次年度以降の地球観測の実施方針の策定に反映させることとされている。さらに、実施方針は、平成17年の第3回地球観測サミットにおいて策定された「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」等の国際的な枠組との連携を確保するものとされている。
 「平成22年度の我が国における地球観測の実施方針」では、気候変動への対応が世界的な政策課題として浮上しており、気候変動に伴う地球環境の変化を具体的かつ正確に把握することが、社会からの要請の高い喫緊の課題であることにかんがみて、気候変動及びその影響の監視・予測に求められる地球観測体制の強化を重点事項として提示した。
 本部会の提言及び実施方針を踏まえて、各府省・機関においては、平成22年度予算などを通じて地球観測の推進を図ることを期待する。

第1章 気候変動への対応のために必要な地球観測の在り方

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書(AR4)(2007年11月)による指摘や、G8ラクイラサミット(2009年7月)における合意等から明らかなように、地球温暖化をはじめとする気候変動への対応が世界的な政策課題として浮上しており、温室効果ガスの排出抑制に代表される気候変動の緩和策に加え、適応策についても緊急な対応が必要な状況にある。
 気候変動への適切な対応のために、気候変動に伴う地球環境の変化を具体的かつ正確に把握することは必要不可欠かつ社会からの要請の高い喫緊の課題であり、気候変動の監視・予測や対策に寄与するための地球観測の役割はますます重要になっている。

 「推進戦略」では、国民の安心・安全の確保、経済社会の発展と国民生活の質の向上、国際社会への貢献の3つの観点から、国の地球観測推進において喫緊の対応が求められているニーズとして、地球環境保全、水資源管理、自然災害の被害軽減等を挙げ、「地球温暖化にかかわる現象解明・影響予測・抑制適応」、「水循環の把握と水管理」、「対流圏大気変化の把握」、「風水害被害の軽減」及び「地震・津波被害の軽減」の5つのニーズに応える重点的な取組が必要であるとしている。加えて地球システムの包括的な理解に向けて、「地球温暖化」、「地球規模水循環」等の15の分野において、体系的に取り組むべき課題を整理している。
 これら5つのニーズのうちの1つ「地球温暖化にかかわる現象解明・影響予測・抑制適応」では、人間活動に起因する地球温暖化が進むにつれ、その影響が顕著に現れると予測されており、そのため、地球温暖化にかかわる事象の全球的かつ包括的な把握を国際連携の下で行うことが必要であるとされている。

 気候変動は水循環や生態系・生物多様性などに影響を与え、さらに、風水害の増大を引き起こす可能性や、農業生産にも大きな影響を与えるなど、地球環境及び人間環境に与える影響は多岐にわたる。したがって、気候変動問題への対応のためには、気温・海水温の上昇、海面水位の上昇等といった気候変動の直接的な影響の観測のみならず、炭素循環、水循環、生態系・生物多様性など関連する分野における観測を密接に連携させ推進していく必要がある。
 そのため、「推進戦略」の15分野における「地球温暖化」分野の推進のみならず、「地球規模水循環」、「地球環境」、「生態系」、「風水害」などの各分野における観測を気候変動の観点から再整理し、分野を横断した観測体制の構築、観測データの共有を推進する必要がある。また、様々な分野における観測データと予測データ、さらに社会経済データをも含めた多種多様なデータの統融合によって、気候変動問題に関する行政の意志決定をはじめとする、一般社会の人々の生活に密接に関わる情報を提供していくことが重要であり、そのための研究開発を促進する必要がある。

 本章では、こうした状況を踏まえ、気候変動のプロセス・メカニズムの理解と気候変動への適応、そしてその方法としての分野横断的なデータの共有・統融合の3つの観点から、必要とされる地球観測についてまとめた。

第1節 気候変動のプロセス・メカニズム理解のための地球観測

 気候変動の監視・予測・影響評価・対策のいずれにおいても、地球温暖化による気温上昇量を正確に予測することが重要であり、このためには放射収支や炭素循環などの気候予測において不確実性が高いプロセス・メカニズムの解明に必要となる様々な物理量等を全球規模で長期継続的に観測することが必要である。
 雲物理過程や台風・熱帯低気圧、インド洋ダイポールの発生など、その科学的要因が充分に明らかでない現象については、科学的理解の不足が、気候変動に伴う影響予測に大きな不確実性をもたらしている。また、気候変動の温室効果ガス収支へのフィードバックに大きな不確実性が含まれることから、フィードバックの大きさによっては、現在検討されている排出規制の目標値を大きく変更させる可能性がある。
 したがって、これらの不確実性の低減は、精度の高い温暖化予測やその予測に基づく政策立案のために必要かつ緊急の課題であるため、今後より一層の推進が求められている。
 また、IPCCをはじめとする気候変動にかかわる国際社会へのこれまでの我が国の貢献、特に優れた気候予測モデルなどによる信頼性の高い成果を発信してきた経緯を考慮すると、引き続き地球シミュレータ等の世界最高水準のスーパーコンピュータを最大限に活用し、気候変動予測研究の取組をさらに推進するとともに、不確実性の低減などの残された課題に取り組むことは、「先進者」である我が国の責務である。

 すでに述べたようにこれら不確実性の大きな原因は、予測モデルにおける気候変動プロセス・メカニズムのインプットの不足であることは言うまでもない。本節では、気候変動のプロセス・メカニズム理解のために特に取り組むべき課題として、炭素循環の解明、雲物理・降水過程の解明、対流圏大気変化の把握、海洋変動の把握に焦点をあてて整理した。
 これらの課題への取組は、地球システムの理解に不可欠であるだけでなく、次節でまとめている、気候変動の適応のためにも必要とされるものであり、水循環、生態系等の分野とも深く関係するため分野横断的な取組が求められる。
 予測の高度化・不確実性の低減から適応のための影響評価、適応策の策定に関わる基本的課題の解決のために、これら予測の科学から意志決定までの一貫した研究体制を確立して、推進することが期待される。

◆ 炭素循環の解明
 気候変動を予測し、人間社会や生態系への気候変動の影響を評価する上で、炭素循環を正確に理解することが喫緊の課題である。
 IPCC AR4では、気候変動と炭素循環の間の正のフィードバックの大きさの不確実性のため、大気中の二酸化炭素濃度をある特定の水準に安定化させるために必要な二酸化炭素排出量変化の不確実性が増大すると指摘し、将来の炭素循環のフィードバックの大きさの決定が解決すべき課題として挙げられている。
 現在、温室効果ガス排出削減策の一つとしてREDD(森林減少や森林劣化の防止による温室効果ガスの排出を削減する方策)が注目されており、二酸化炭素吸収源となる森林の観測を含めた炭素循環の観測の重要性が増している。また、森林火災による二酸化炭素放出については、衛星観測のみで評価した地上バイオマスの喪失から推定されているケースが多いため不確実性が高い。現地観測によってその評価を正確に行い、森林保全が温暖化防止策として果たす役割を適切に評価することが求められている。また,農耕地における炭素貯留は、今後の地球温暖化対策として重要な役割を果たすことが期待されており、他の温室効果ガスを含めて、農耕地の条件とガス・物質動態のより正確な見積りと評価が求められている。
 こうしたことから、炭素循環の一層の理解と、現在のモデルで見落としている部分を探査することを目的とした観測を強化することが必要である。

 炭素循環の観測のうち、全球の温室効果ガス濃度分布の観測については、平成21年1月に打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による観測が始まったところである。現在、宇宙からの温室効果ガス(二酸化炭素・メタン)観測を主目的とした衛星は「いぶき」しかないため、本分野における取組については、これまでの地上観測や海洋観測等に加えて「いぶき」の衛星観測も活用し、我が国が国際的なリーダーシップを発揮し、推進することが期待される。
 また、生態系による吸収・放出量の寄与を明らかにするためには、海洋及び陸域生態系の生産量分布と、その長期的な変化を捉える必要がある。そのため、地球環境変動観測ミッション・気候変動観測衛星(GCOM-C)シリーズによる全球規模の生産量把握と長期変動監視の早期開始、及び陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)シリーズによる詳細な地表面観測の継続により、地上観測網による精緻な実測と併せてこれを広域化するためのデータを取得することが必要である。現在、LバンドSARで世界の森林を広範囲にかつ高頻度に観測できる衛星は世界でも「だいち」しかない。Lバンドも含め、様々なセンサを組み合わせて、森林状況を把握し二酸化炭素収支を推定する取組において、我が国が国際的なリーダーシップを発揮し、推進することが期待される。さらに、時系列のデータ取得の重要性から、「だいち」による観測を継続するALOS-2の開発の推進が必要である。

 なお、地球観測連携拠点(温暖化分野)は、ワークショップの開催等により、今後の連携施策の検討を行い、陸域炭素・水・熱収支に関する温暖化影響と生態系フィードバックを検出するため、以下に示す取組により、陸域炭素循環観測と生態系観測の統合を実現し、連携施策を推進することが必要であるとまとめた。

  • 炭素循環、水循環、生態系、衛星観測を長期的に行うプラットフォームの共同利用
  • 衛星観測との直接的な対比を行うために十分な空間代表性をもつ地上観測網の共同利用
  • 地上・衛星観測データの品質管理と統合解析を総合的かつ長期的に行う体制の確立

◆ 雲物理・降水過程の解明
 IPCC AR4において指摘されているように、気候変動予測に利用される気候モデルにおいて、雲・降水過程の扱い(特に熱帯域の雲降水過程)には不確定要素が多い。放射収支に関する雲・エアロゾルは、温暖化を和らげる(冷却する)効果を持つものの、その大きさが不確定であり、現在主流の気候モデルに内在する最大の不確定要因となっている。気候変動の予測精度向上のためにはこれらの全球規模での観測が必須であるが、現状は十分な観測が行われていない状態であり、GCOM-Cシリーズによる陸域も含めた全球規模のエアロゾル高精度観測、及び雲エアロゾル放射ミッション(EarthCARE)による雲の鉛直構造把握など、衛星による観測を開始することが必要である。
 熱帯の降水過程の再現は、大気大循環のエネルギー源の正確な再現にとって最重要であるため、全球気候の決定に大きな影響を持つが、現在の気候モデルにおいて不確実性の大きい問題として残されている。これを改善して気候モデル予測の不確実性を軽減するためには、熱帯降雨観測衛星(TRMM)の長所を生かして計画を発展させた全球降水観測(GPM)計画などの衛星観測による立体的かつ観測頻度の高い降雨観測の開始が必要である。

◆ 対流圏大気変化の把握
 近年のアジア地域の急速な経済発展に伴い、化石燃料の燃焼に伴う大気汚染物質の放出量が増大し、我が国を含む広範囲の地域の環境への影響が懸念されている。さらに大気汚染物質は、二酸化炭素以外の微量温室効果ガスの大気寿命に重要な影響を及ぼすことから、気候変動の観点からもその観測が求められている。
 大気化学の観測では、大気組成の空間的・時間的変動の常時監視が重要で、そのためには、互いを補完する衛星観測と地上観測の並行実施が不可欠である。静止衛星によるアジア地域の広域的な大気汚染・大気変化の監視が必要とされているが、欧米も含めてまだ実現していない。実現のためには、静止衛星への搭載を目指した、大気環境観測センサの研究の促進が必要である。同時に粒子状物質のような空間的変動が大きい物質の観測に対応した地上観測点の整備も必要である。

◆ 気候変動に直結する海洋変動の把握
 近年、海洋が直接的に気候変動を支配すると考えられる現象が報告されるようになった。その中でも、インド洋ダイポール現象は、東南アジアあるいはオーストラリアでの干ばつと直接的な関係があるばかりでなく、太平洋のエルニーニョ発生状況とも関連して、遠く日本の季節的な気温変化、降水量変化にも影響を与えていることが指摘されている。また、世界の各大洋で報告されている深層水の昇温に関しては、特に南極周辺での深層水形成量の変化と結びついていると考えられており、大気との熱交換変化を通じて人間の生活圏の気温の急激な変化や、人為起源二酸化炭素の海洋深層への移送量変化が引き起こされる可能性が指摘されている。
 これらの実態とメカニズムの解明、及び気候モデルへのインプットを可能とすることが早急に必要とされる。しかしながら、インド洋では、周辺国家の経済的状況もあり、いまだに現場の観測網は完成から遠く、また、太平洋の深層水が形成される南極周辺海域では、その環境の厳しさゆえに、有効な現場観測手法が確立されておらず、現場観測データの不足から人工衛星データの有効利用も制限される。そこで、これまでに日本で培われた定置ブイ、漂流フロート、荒天域での船舶観測等をはじめとする観測技術の高機能化、低価格化をさらに加速させ、これらの海域で現場観測網構築を促進することが必要である。加えて、海洋変動監視や大気・海洋相互作用の把握に必要な海面水温や海上風等の観測を、天候や海況に寄らず高頻度で行うことができる水循環変動観測衛星(GCOM-W)シリーズの観測を早期に開始し、上述の現場観測データとの比較検証することにより、広域で高精度に実現することが必要である。

第2節 気候変動への適応のための地球観測

 IPCC AR4において、『過去30年間にわたる人為起源の温暖化が、地球規模で、多くの物理・生物システムにおいて観測された変化に識別可能な影響をすでに及ぼしている可能性が非常に高い』と指摘されているように、気候変動の影響はすでに顕在化している。さらに、『最も厳しい緩和努力をもってしても、今後数十年の気候変動のさらなる影響を回避することができないため、適応は、特に至近の影響への対処において不可欠となる』と指摘されているように、気候変動に対する適切な適応策の立案が大きな政策的課題となっている。
 適切な適応のためには気候変動の影響を正確に知る必要があることから、そのための観測体制の構築、観測技術の研究開発の推進が求められている。総合科学技術会議が取りまとめている、「気候変動適応型社会の実現に向けた技術開発の方向性」(平成21年6月中間取り纏め)では、適応策の計画・実施に不可欠なモニタリング能力の高度化、気候予測モデルの高度化、国土基盤情報の整備共有化を達成し、在来技術と先端的な技術を統合する適応技術開発の推進が必要とされている。適応計画策定の際には、気候予測に内在する不確実性への配慮が不可欠であるため、不確実性の定量化と予測信頼性の向上のため、生物・化学過程の導入や高解像度化などにより気候予測モデルを高度化するとともに、不確実性を把握し、さらには人口変化や経済発展など人間社会側の変化も考慮した上での計画策定に資するための情報基盤整備が必要である。具体的な管理・統合化技術としては、気候変動対策の基盤となる観測予測研究に関する総合的な研究拠点の整備、産学官がそれぞれ進める対策を統合化する技術や成果共有のための枠組の構築、モニタリング技術に支えられた行動結果のフィードバックによる軌道修正や計画変更等の管理技術の構築、異なる分野のデータベースのインターオペラビリティの向上等が挙げられる。その他、今後急ぎ取り組むべき課題として、宇宙から海洋まで繋がった革新的地球観測技術が挙げられる。
 また、同取り纏めでは、国民一人ひとりが気候変動に適応し、自発的に行動することを支援するため、情報の共有化と国民参加への支援が重要であるとされており、温暖化・気候変動に対する地域における住民の視点からの最新の情報を提供し共有することが必要である。
 気候変動、地球温暖化の観測は、一義的には気温、水温、地表面温度などの観測が中心となるものの、その影響がいつ、どこに現れるのかなど未知な点も多い。したがって、影響が現れると考えられる項目(変数、時間・空間スケールなど)を整理した上で、観測システムの検討を進めることが必要である。また、適応型社会のための地球観測システムは、従来の対象を知る(理解する)ための観測とは違い、適応策の効果のフィードバックを考慮する必要があり、観測、モデル予測、社会還元を一つのサイクルとした定常的な観測システムを構築していく必要がある。

 本節では、特に社会的要請の高い、水循環変動・風水害及び生態系・生物多様性に対する影響を評価し、適切な対策を講ずるために取り組むべき地球観測課題を掲げた。

1 水循環・風水害

 現在、世界各地で水不足、水質汚染、洪水被害の増大等の水問題が発生しており、特に経済成長に伴い水・食料需要が急増しているアジア地域等の開発途上国では水問題は非常に深刻である。
 自然災害による人的・経済的被害の2/3は水循環の極端事象(風水害、渇水)によって生じており、これらの極端現象への対策は喫緊の課題となっている。我が国を含むアジアでは水害による人的被害が、またアフリカでは干ばつによる人的被害が極めて大きい。
 気候変動による降水分布や降水タイプの変化は、これらの極端現象の発生に影響を与える。IPCC AR4では、多くの地域で大雨の頻度や干ばつの影響が増加する可能性が高いと指摘されており、気候変動により激化する水災害の影響低減のための適応策の支援情報の提供が求められている。
 地球規模での気候変動予測の不確実性は改善されてきたものの、地域規模の水循環の予測には大きな不確実性が存在する。適応策の意思決定のためには、予測の不確実性の低減とともに、不確実性を定量的に評価する手法の確立が不可欠である。
 さらに、水問題は社会・経済問題であるため、自然科学的なアプローチに加え、産業や生活、環境に与える経済的な影響評価が求められる。生活や環境などへの影響については、人々の意識に深く関連しており、各地域の人々の意識調査を含む、社会科学的評価も実施も必要となる。
 このように、気候変動による水循環の変化に対する適応策支援のためには、渇水、平水、洪水の全段階を含む水量・水質の変化の評価、及び産業や生活、環境に与える経済的・社会科学的影響の定量的評価、さらには産業構造・社会の発展、政策、住民意識の変化なども考慮した包括的な影響評価が必要であり、地球科学的視点、河川工学的視点、水環境工学的視点、地域経済並びに人文・社会科学的な視点を実質的に補完、共有することにより、理学的アプローチ、工学的アプローチ、人文・社会学的アプローチを融合して推進することが必要である。

 このような観点から、水循環の実態を正確に把握するとともに集中豪雨等の極端現象の予報に結びつけることが求められており、以下の取組の推進が期待される。

◆ 水災害の軽減に資する水循環・気候変動・気象の統合衛星観測
 水災害による人的被害を減らすことは、我が国を含むアジア及びアフリカの安全保障上不可欠な課題であり、極端事象の予測(台風・前線等による豪雨の1~3日先程度の予測、集中豪雨などの1~3時間先程度の予測、少雨・高温傾向の季節予測)精度の向上、気候の変動傾向のモニタリング、及び地域的に生じる偏差の観測が不可欠である。
 そのためには、気象衛星観測の継続実施、水循環の衛星観測技術基盤の高度化(高頻度、高空間分解能)と統合的利用、数値気象予測モデル・気候予測モデルと衛星観測データの統合的利用、及びこれらと全球レベルの地球地図等による基盤的地理情報を関連づけた統合的利用などについての今後の推進が必要である。

◆ 集中豪雨などの極端降水現象の監視と発現メカニズムの解明
 極端現象の観測は、現在地上レーダ観測などが中心であり、今後も地上レーダによる観測網を広げていくとともに、高精度レーダ観測技術の開発や観測結果をもとにした高精度リアルタイム予測を進めていく必要がある。また、TRMMなどの、雨の高精度観測は極端現象を事例的に良く捉えるが、メカニズム理解のためには統計的な把握が必要であり、観測頻度が不足している。災害の減少のためにはリアルタイムの雨観測のみならず、豪雨などの極端現象を広域の気象状態に照らして予測できるような極端降水現象のメカニズムの解明が必要であり、メカニズムの解明に用いる数値モデルの入力として広範囲な観測データが不可欠である。
 そのため、GPM計画及びGCOM-Wシリーズの推進、衛星観測と地上観測及びモデル利用研究との連携に基づくメカニズム研究の充実などが必要である。
 また、水災害は気象条件とともに、河川や周辺の表層地質・植生など条件にも大きく支配される。観測・調査に基づいたハザードマップの作成・周知なども自然災害の抑制には必須である。

◆ 総合的水資源管理システムの構築
 水環境の保全、持続可能な水管理の実現、風水害の軽減等のために、気候変動に対応する、健康や生態系、エネルギー、食料生産をも包括する総合的水資源管理システムの開発が必要であり、その基礎となる流域情報の整備が求められている。
 そのため、地域性の強い現象にかかわる情報、特に数値モデル化が容易でない事象を、関連する国際的な枠組・組織との連携を図りながら、地球規模で収集していく必要がある。
 現在、基礎となる土地利用情報として、地球地図データが存在するが、今後、より詳細なデータ整備が期待される。特に季節や年代で大きな変化のある植生や農地・栽培作目などは、気候変動の影響評価や適応策の検討のために、多くの分野・関係者が共通して必要とする情報であり、これらの情報のための衛星と地上での長期継続観測やデータ整備が求められている。

2 生態系・生物多様性

 生態系・生物多様性に対する気候変動の影響はすでに顕在化しており、今後はその影響が加速することから、その影響変化をできるだけ時系列的に把握し対策を打つこと、及びその対策の有効性をモニタリングすることが求められている。特に、開発途上国における環境の変化が著しいこと、気候変動などによる影響が早期に顕在化する可能性が高いことなどから早急に観測体制を構築する必要がある。また、植林クリーン開発メカニズム(CDM)のクレジット検証や、REDDの基準作り、生物多様性条約における目標達成状況の把握などにおいても、生態系・生物多様性のモニタリングが必要となる可能性がある。
 平成22年に名古屋で開催される生物多様性条約(CBD)第10回締約国会合(COP10)では、「生物多様性の損失速度を 2010 年までに顕著に減少させる」という2010年目標に代わる次期目標が採択される予定である。次期目標の指標・監視のためにも地球観測の果たす役割は大きく、国際的な連携による生物多様性モニタリング体制の構築とデータの共用化が求められている。
 なお、生物圏に関する観測は時間スケールが長いことから、必ずしも短時間にその結果の評価を行うことができないため、適切な機関間連携を図ること等により、長期的な観測体制・評価体制の整備が必要となる。

 気候変動による生態系機能(海洋及び陸域の植物や土壌の炭素固定など)の変化については未知の部分が多く、また生物多様性への影響の陸域・沿岸域から外洋域にわたる観測はまだまだ不十分である。そのため、以下の取組の推進が期待される。

◆ 温暖化に伴う生態系・生物多様性の変化のモニタリング
 生態系の変動、生物多様性の減少の人間生活への影響と有効な適応策を順応的に確立するために、関連して劣化する生態系サービス(自然災害抑制、水、生物生産など)との複合的モニタリングが必要である。現在、二酸化炭素と生態系データ(とくに生産力)などは連携が進んできているものの、生物多様性、栄養塩循環、生態系動態などのほかの生態系データと合わせたスーパーサイト形成と連携が遅れており、その推進が期待される。
 また、生物圏の観測・調査は個別独立に行われることが多く、その知見が必ずしも集約化されていないことから、個別独立な観測を集約化して共有することが重要であり、まず、官公庁、大学、企業、NGOなどが所有しているデータの電子化、公開を進めることが求められている。さらに様々な観測ネットワークの連携や得られるデータの集約化・共有化を行うための実施主体としての拠点を作ることが必要である。

◆ 海洋酸性化のメカニズムの理解と生態系への影響評価
 海洋の酸性化は現在確実に進行している。これまでの実験室内における限定的な研究によれば、海洋酸性化が海洋生物に影響を及ぼすことで、種の多様性や,水産資源,さらに、海洋の二酸化炭素吸収能や生物分布にも変化をもたらす可能性が指摘されている。低水温の北部太平洋海域は海洋酸性化の石灰化生物への影響が急速に現れると考えられているものの、海洋現場での酸性化の実態と生態系変動との相互関連についての知見はきわめて乏しい。
 地球環境変動に対する将来予測、さらにはその適応策のために、速やかに海洋酸性化と海洋生態系の構造と機能の変化に関する観測研究を開始し、生物多様性、水産資源、及び炭素循環を含む物質循環の影響評価に向けての取組を始める必要がある。

第3節 分野横断的なデータの共有・統融合

 地球観測を推進するにあたっては、衛星、海洋、陸上観測などの様々な観測データを科学的・社会的に有用な情報に変換し、全人類的課題である地球環境問題の解決や自然災害の低減に有用な情報として広く社会に提供することが重要である。
 多様な地球観測・予測データの統合化と解析のための超大容量システムを構築して、温室効果ガスの地域排出量のモニタリング体制の確立、気候変動予測モデルの相互比較・統合化、地域気候変動の予測・影響評価の高度化、気候変動への緩和策と適応策の意思決定、人口減少下の効果的な国土管理など、最先端科学技術を応用した国民目線の成果を創出することが期待されている。
 具体的には、水-衛生-保健、気候変動-水-農業、気候変動-感染症-生態系、気候変動-災害-農業、気候変動-水産資源などの異分野間のデータに加え、地球地図等の全球的基盤データを共有・統融合し、河川管理、農業農村基盤整備、林業・水産業支援、生物多様性の保全、感染症対策、気候変動適応策、大規模災害軽減などに資する有用な情報を創出し、その成果を関係府省・機関の連携によって社会に還元していくことが求められる。
 なお、観測データから有用な情報を創出し、その情報を用いて政策決定を行うという一連のプロセスにおいては、それぞれのステップの間にモデルやデータ同化等を介して情報を変換している。そのため、同じ観測データを用いていても、得られた情報の相異次第で解釈の違いが生じ、最終的に選択される政策が全く異なるものになってしまうことがありうる。したがって、データを統合し高次の情報を創成していく過程では、利用するモデルのパフォーマンスに加えて、地球観測等で得られる多種・多様なデータの統融合結果の整合性を検証し、「現象解明・影響予測・抑制適応」に係る情報・施策の妥当性を評価するよう留意する必要がある。

第2章 地球観測の基本戦略に基づく地球観測等事業の推進

 「推進戦略」では、人類の持続可能性と福祉を確保するための健全な政策決定に資するものとして、また地球観測に関して先導的な立場にある我が国の役割を考慮し、「利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築」、「国際的な地球観測システムの統合化における我が国の独自性の確保とリーダーシップの発揮」、「アジア・オセアニア地域との連携の強化による地球観測体制の確立」の3つを我が国の地球観測の基本戦略として挙げている。

第1節 利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築

 利用ニーズ主導の統合された地球観測システムは、地球環境問題の解決や災害の軽減などに資するため、限られた予算や人材等の資源の下で持続的・効率的に効果的な地球観測を実現するものであり、その構築を進めることが重要である。
 第1章第3節で述べたように、地球観測データを用いて様々な社会的課題を解決していくためには、関連する分野間の連携による相乗効果によって、単独の分野のみではなしえない、新たな価値を創出していくことが重要である。
 こうした成果を生み出していくためにも、これまでに挙げた重要観測項目のモニタリングや長期継続観測を可能とする体制(予算、連携体制等)の構築、モニタリングや長期継続観測の重要性を示す啓発活動の推進、観測資料・試料に関するデータベースの構築、データ共有・流通の促進などを進めることで、必要なデータを継続的に取得し適切な形で利用できる体制を整える必要がある。そのためには、それぞれの地球観測システムを担っている府省・機関が相互に連携し合う必要があり、その手段として関係府省・機関間の連携を推進する機能を持った連携拠点の設置や、関係府省・機関による具体的施策を通じて連携がある。

 地球温暖化の分野については平成18年度に環境省及び気象庁が中心となって連携拠点(地球温暖化観測推進事務局)を設置している。また、地震・火山分野については、地震調査研究推進本部及び科学技術・学術審議会測地学分科会の事務局である文部科学省が連携拠点としての機能を果たしている。
 第1章において取り上げた、水循環・風水害や生態系・生物多様性の分野についても基礎的なデータや観測の手法などが共通している場合が多いことから、関係府省・機関において連携の促進に資する連携拠点の設置に向けた取組が一層進展することが期待される。
 各分野における連携の進捗状況は様々であるものの、現在、その取組が進んでいる分野において成功事例を創出していくことが他の分野の連携・データ共有の促進に繋がるため、引き続き、既存の連携拠点における連携の推進が期待される。

 第3期科学技術基本計画分野別推進戦略においても指摘されているように、環境研究において観測船、観測衛星、地上観測網は研究全体を支える重要な共通基盤であることから、長期継続的に維持されるべきであり、担当機関・担当スタッフの安定的な確保が必要である。特に、温暖化分野における観測は項目も多く、かつ長期間観測する必要があることから資金や人材の制約を受けるため、長期観測に係る資金の確保や人材の育成確保、さらに観測項目の重点化などが課題である。
 また、すべての観測装置は、経年劣化や災害等による故障、観測システム全体の陳腐化、観測施設の老朽化等の問題が発生する。精度の高い観測を継続して行うには、観測装置・施設の定常的な保守点検・修理、計画的な観測装置の更新が不可欠であり、観測装置・施設の維持管理のための人材の確保、計画的に観測装置を更新するための費用の確保が必要である。

 現在の地球観測において、衛星を活用した観測の果たす役割は非常に大きい。衛星観測は、紫外光から電波にわたる広いスペクトラムで地球を観測し、物理量に変換して、さらに観測成果に対する利用要求に沿った情報に変換していくというプロセスが重要であり、そのために必要な物理量やセンサ性能をEnd to Endで検討を進めることが必要で、地上や航空機などを用いた実験も含め、総合的に様々な分野を連携させて推進していくことが必要である。
 また、地球観測には、変化を迅速に把握するため、高精度のみならず高頻度の観測が必要であり、これを全球規模で実現するためには複数の衛星が必要である。多様な観測ニーズに応えるとともに全体の事業コストを抑えるためには衛星の小型化等を図る必要がある。
 さらに、衛星を活用した地球観測技術は地球科学とリモートセンシング技術の融合であり、研究開発要素が非常に大きい。そのため、長期にわたる定常観測の推進とともに、こうした新しい技術開発を推進することが重要であり、この観点から大学等との連携を含め、常に科学的・技術的研究開発に重点をおくことが期待される。

 なお、地球観測の成果を効果的に社会に還元していくためには、自然科学的データのみならず、社会インフラや経済・産業といった人間活動まで考慮に入れる必要があり、人間活動に関するデータ・情報も必要となる。そのため、地球観測の実施者側の府省・機関間の連携のみならず、具体的なニーズを持つ側の府省・機関あるいは地方自治体・事業者・企業等とも連携を図ることで、利用ニーズを意識したデータの取得・整備・情報化を進めることが今後、期待される。

第2節 国際的な地球観測システムの統合化における我が国の独自性の確保とリーダーシップの発揮

 我が国は「科学技術創造立国」を国家戦略として、科学技術の水準の向上を図り、経済社会の発展と国民の福祉の向上に寄与するとともに、世界の科学技術の進歩と人類社会の持続的な発展に貢献するため、科学技術の振興を図ってきた。また、国際社会における役割を積極的に果たすとともに、我が国の科学技術の一層の進展に資するため、研究者の国際的な交流、共同研究、科学技術に関する情報の国際的流通等、科学技術に関する国際的な交流等を推進してきており、今後とも地球観測に係る国際的な貢献に取り組んでいく必要がある。

 平成20年7月のG8北海道洞爺湖サミットでは、環境・気候変動が主要テーマの一つとして取り上げられ、首脳宣言において、地球観測データに対する需要の増大に応えるため、G8各国は、優先分野、とりわけ気候変動及び水資源管理に関し、観測、予測及びデータ共有を強化することによりGEOSSの努力を加速化することが合意された。本年7月のG8ラクイラサミットでは、洪水の増加、高潮、干ばつ及び森林火災といった、気候変動に起因する自然災害及び極端な気象現象の増大した脅威に対処するため、GEOSSで開発を継続中の作業を支援すること等により、リスクへの準備、予防、監視、反応時間を、特に開発途上国において改善するよう行動することが、首脳宣言において合意された。
 我が国はG8メンバー国として、GEOSSに関係する取組の推進をはじめ、GEOSSにおいて宇宙に関連する部分の構築を担っている地球観測衛星委員会(CEOS)の活動を推進する等、関連する国際機関・計画における地球観測に関する取組をより一層加速し、推進することが求められる。また、GEOSS構築にかかわる早期取組として、米欧の衛星による気候・気象観測の中核的計画であるNPOESS及びMETOP計画と、我が国の長期観測計画であるGCOMシリーズとの協力等が進められているが、このような連携を一層強化し、より効率的・相補的な全球観測網の構築に率先して参画することで、主体的な国際貢献を果たすことができる。
 また我が国は、GEOSS推進のための組織である「地球観測に関する政府間会合(GEO)」の発足当初より執行委員会メンバーを務めた他(平成20年11月のGEO第5回本会合にて当初の任期終了)、作業計画へのリード機関・貢献機関としての参加、事務局への人的貢献、常設委員会(構造及びデータ委員会)の共同議長、主要なタスクチーム等へのメンバー派遣を行っており、次回閣僚級会合(平成22年秋、アジアにて開催予定)へ向けたイニシアティブの発揮が期待される。

第3節 アジア・オセアニア地域との連携の強化による地球観測体制の確立

 G8北海道洞爺湖サミット首脳宣言では、地球観測における開発途上国の能力開発を支援することが合意されており、我が国と緊密な関係にあるアジア・オセアニア地域との連携を一層強化する必要がある。
 アジア太平洋地域におけるGEOSSの普及及びGEOSS推進に向けた情報交換を行い、共通理解を深めることを目的として、平成19年から毎年GEOSSアジア太平洋シンポジウムが開催されている。本シンポジウムでは各国におけるGEOSS推進の報告とともに、連携の取組の推進についての議論が行われている。本シンポジウムを契機にGEOSS推進に向けた具体的な連携の取組を推進し、アジア太平洋地域の取組を世界に発信していくことで、全世界的なGEOSSの推進に繋げていくことが期待される。

 また、「平成21年度の我が国における地球観測の実施方針」では、総合科学技術会議が平成20年5月に取りまとめた「科学技術外交の強化に向けて」などを受けて、「推進戦略」における「アジア・オセアニア地域との連携の強化による地球観測体制の確立」の考え方を発展させ、アジア・オセアニア地域のみならずアフリカ地域など、広く連携を図っていくことが必要であるとした。
 気候変動の問題や残留性の高い化学物質が国境を越えて影響を及ぼす問題など、グローバルな環境リスク問題への対応には、国際的な地球観測の共同研究が不可欠である。しかしながら、開発途上国においては、観測施設・拠点の整備、継続的な観測を実施するための現地研究者等の人材育成など、課題が非常に多い。我が国の高度な観測技術を活かし、積極的な科学技術外交の推進と研究協力を行い、開発途上国における観測技術の向上、人材育成に貢献していく必要がある。
 関係府省・機関は、引き続き科学技術と外交の相乗効果等の観点から、開発途上国との科学技術協力を強化し、開発途上国の観測ニーズの把握、開発途上国の能力開発を含めた国際共同研究を推進することが期待される。

第3章 分野別の推進戦略に基づく地球観測等事業の推進

 「推進戦略」では、社会的な要請に応える包括的な地球観測の全体像を明らかにするため、「地球温暖化」、「地球規模水循環」、「地球環境」、「生態系」、「風水害」、「大規模火災」、「地震・津波・火山」、「エネルギー・鉱物資源」、「森林資源」、「農業資源」、「海洋生物資源」、「空間情報基盤」、「土地利用及び人間活動に関する地理情報」、「気象・海象」、「地球科学」の15分野において現状、観測ニーズ、今後の取組方針等を整理した分野別の推進戦略をまとめた。
 本実施方針では、第1章において重点的に取り組むべき事項として、「地球温暖化」を挙げ、さらに関連する「地球規模水循環」「地球環境」「生態系」「風水害」などの各分野における観測を気候変動の観点から再整理し、分野を横断した観測体制の構築、観測データの共有を推進するための方策についてまとめた。
 その他の分野についても、関係府省・機関は「推進戦略」に基づき、引き続きその取組を推進することが期待される。

 地震・津波・火山分野については、連携拠点である地震調査研究推進本部及び科学技術・学術審議会測地学分科会において、日本国内における地震・津波・火山被害軽減に関する取組が着実に進捗しており、観測データの流通・公開についても、国内では一部未解決の問題があるものの、体制がほぼ整備されている。また国外においては、地震データのほとんどは公開され広く利用されている。
 このように、本分野においては、連携体制の構築が着実に進んでおり、第2章第1節で述べた他分野の連携の促進のためにも、引き続きの推進が期待される。
 なお、日本列島周辺海域の地震・地殻変動観測、太平洋地域における地震観測に関してはまだ不十分であり、今後の進展、観測点の増加が望まれている。また、観測研究の縮小が危惧される火山観測・監視体制についても、その強化が必要である。地震・津波・火山被害国における被害軽減に関する研究と成果の普及に関しては、科学技術外交の強化の観点からの国際研究協力の取組が進められておりその進展が期待されている。

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