研究評価部会(第30回) 議事録

1.日時

平成20年7月31日 15時~17時

2.場所

三田共用会議所 第三特別会議室

3.出席者

委員

 笹月部会長、相原委員、青木委員、有本委員、岩田委員、大泊委員、
 小川委員、諏訪委員、田島委員、中西委員、西島委員、野田委員、
 花木委員、平澤委員、広瀬委員

文部科学省

(科学技術・学術政策局)
 泉局長、岩瀬科学技術・学術総括官、戸渡政策課長、柿田計画官
 岡谷科学技術・学術戦略官、沼田計画官補佐、太田調整企画室長補佐

4.議事録

【笹月部会長】  定刻となりましたので、第30回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究評価部会を開催いたします。

 本日は、議事次第にありますように、「科学技術振興調整費による実施課題の平成20年度における評価の進め方について」、それから「評価システムの改革について」の2つのご審議をお願いいたします。

 議事に入ります前に、事務局に異動がありましたので、事務局よりご紹介をお願いいたします。

 

【柿田計画官】  前回の研究評価部会以降、事務局に人事異動がございましたので、ご紹介いたします。

 まず、7月11日付で科学技術・学術政策局長に就任いたしました泉紳一郎でございます。

 

【泉局長】  泉でございます。よろしくお願いいたします。

 

【柿田計画官】  それから、7月1日付で科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官に就任いたしました岡谷重雄でございます。

 

【岡谷戦略官】  岡谷でございます。よろしくお願いいたします。

 

【柿田計画官】  それから、7月11日付で計画官を拝命いたしました、私、柿田と申します。よろしくお願いいたします。以上でございます。

 

【笹月部会長】  どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは続きまして、配付資料の確認をお願いいたします。

 

【柿田計画官】  議事次第の配付資料一覧のとおり、資料を配付させていただいております。また机上資料といたしまして、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」、及び「科学技術振興調整費による実施課題の評価の進め方について」を配付させていただいております。大部になりますので個別には申し上げませんが、資料の欠落等、不備がございましたら、議事の途中でも結構でございますので事務局までお申しつけください。

 

【笹月部会長】  よろしくお願いいたします。

 それでは早速、議題1に入ります。「科学技術振興調整費による実施課題の平成20年度における評価の進め方について」であります。

 本件につきましては資料1-1から資料1-6までありますので、一括して事務局からご説明いただき、その後ご意見を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

【太田調整企画室長補佐】  それでは事務局のほうから説明申し上げます。私は科学技術・学術戦略官付の太田と申します。よろしくお願いいたします。本日は、振興調整費の評価の進め方についてご議論いただきたいと思っております。

 それでは、まず資料1-1をご覧いただきたいと思います。1-1には、振興調整費の評価の日程について記載しております。一番上ですが、本日7月31日、本部会におきまして振興調整費の評価の方法についてご検討いただきますれば、速やかに委員の選定作業に当たらせていただきまして、作業部会の設置、それから委員への説明、そして査読の開始を行ってまいりたいと思います。

 それから次になりますけれども、9月中旬には第1回の評価作業部会を開催しまして、ヒアリングの進め方を決定いただき、そして10月の上旬から11月の上旬でございますが、第2回作業部会でヒアリングを実施いただき、評価を決めていただくことを考えております。

 それから11月の下旬から12月の下旬にかけてまた評価部会を開催させていただきまして、そこで作業部会から評価結果案を報告いただき、ここで評価結果を決定いただきたく思っております。評価が決まりましたら、昨年同様ですが、総合科学技術会議に報告して評価結果の確認をいただき、評価結果の公表という流れでやっていきたいと思っております。

 それでは、資料1-2のほうをご覧ください。これは、昨年の評価部会におきまして議論いただいた内容について、そのときにあったポイントについて整理しております。

 1つ目ですけれども、左側の議論のポイントにございますが、その際に、ここにありますが、中間評価の結果を受けて、最終評価の目標が変更になった課題についてどう評価するのか。当初計画の目標を基準に評価すればいいのか、もしくは変更後の目標を基準に評価すればいいのかという意見がございました。これにつきましては、右側になりますが、評価は中間評価のときに審議されて見直すこととされておりますし、中間評価するものは継続課題になりますが、継続課題については中間評価の結果を踏まえまして、その後の予算についてもちゃんと査定しておりますので、こういう場合においては、変更後の目標をもとに事後評価をしていただくことにしたいと思っております。

 それからもう1つ、左側になります、目標変更の評価の基準を検討すべきということですが、これも右側になります、目標変更にもさまざまな理由等がありまして、こういう変更についてはこういう基準であるとか、評価であるとか、一律の基準を整理するのはさすがに難しゅうございますので、変更に至った経緯等を十分に踏まえて適宜判断いただければと思っております。

 それから、下の四角になります、作業部会の設置についてでございます。昨年も幾つか作業部会を設置させていただいて議論したわけでございますが、作業部会に割り当てられた課題が多岐にわたるということで、評価がなかなか難しかったという意見がございました。

 これを受けまして、右側でございますが、今年は評価対象課題の分野をなるべく細分化いたしまして、きめ細かい議論ができるようにということで作業部会の設置案を考えております。後ほど説明いたしますが、今年は計14個の作業部会を設置したいと考えております。

 それから、下になりますけれども、なるべく専門家の委員を配置するように考えたいと思っております。それから、18年度開始のシステム改革プログラムが入ってきておりますが、これはシステム改革ということでプログラムを動かしておりますので、課題が多くなるケースもありますけれども、1つの作業部会で設置したいと思っております。

 次に資料1-3をご覧ください。これは昨年の評価部会のときに了承いただきました「今後に向けて」ということについて整理したペーパーでございます。1番目でございます。評価制度におけるPOの役割ということです。POにつきましては、昨年から主査を補佐するということで対応させていただいておりました。今年においても、右側でございますが、昨年同様、中立性を保ちながら、しっかりと主査を補佐するという立場で当たらせていただきたいと思っております。

 その際に、昨年の反省を踏まえまして、要点を適切に整理した資料を別途作成するなり、十分な情報提供ができるように、審査経緯も含めた総合的な情報提供に努めるように工夫していきたいと思っております。

 続きまして、下の追跡評価の実施でございます。追跡評価におきましては、平成17年より試行的に行ってきたところでございます。3年間やってきましたが、今年度からは、右側になりますが、これまでの試行的という位置づけを取り払いまして、追跡評価を実施していきたいと考えております。これまでの試行を踏まえまして、こちらに書いてありますが、外部有識者から意見を伺ったり、アンケート調査かつインタビュー形式の調査を実施して追跡評価を行ってまいりたいと思っております。詳細はこの後ろにあります別紙に「追跡評価の実施について」ということで示しております。

 追跡評価の位置づけでございますが、下のほうになりますけれども、評価対象プログラムが果たした役割・成果を明らかにするとともに、今後のプログラムの設計や評価手法に関する改善事項を分析・提案できるように努めていきたいと考えておりまして、2ポツになりますが、幾つかのプログラムの中から、生活者の立場を重視した科学技術や生活の場としての地域の活性化に資する科学技術の振興を目指したプログラムを、対象として設定しました、生活者ニーズ対応研究と地域先導研究の2つのプログラムを対象として、今年は追跡評価をやらせていただきたいと思っております。

 下に各プログラムの概要を示しております。3ポツになります。各プログラムにおける追跡評価の方法でございます。3ページでございますが、生活者ニーズ対応研究プログラムにつきましては、生活者ニーズを踏まえた研究を進めることがそもそものプログラムの目的でしたので、まる1にありますように、生活者ニーズに対応した新たな研究分野の創生につながったのか、それが新たな課題の創出につながったか、また、こういった研究活動が、社会生活や日常生活の質の向上に向けてどのような活動につながってどういう変化を与えたかということを、先ほど申し上げましたインタビュー、アンケート等々を通じて分析しまして、どういう成果があったかを分析してまいりたいと思っております。

 それから下になります(2)の地域先導研究プログラムでございますが、これにつきましては、1新たな研究分野の創生や、地域に根差した研究分野が出てきたのか。次のページになりますが、さらに応用研究への展開や実用化につながっているのか。それからまる3ですが、そのほか、地域の特性の助長や創出、それから地域の活性化に影響を及ぼしたのか等々を指標に追跡評価を行ってまいりたいと思っております。

 少し飛ばしまして5ポツになりますが、追跡評価のスケジュールでございます。8月中旬から始めまして所要の作業を行いました後に、11月下旬から12月の上旬に開催させていただきます研究評価部会で報告させていただきたいと思っております。

 次のページの別添1に、生活者ニーズ対応、地域先導研究、それぞれのプログラムにある課題を示しております。地域生活者ニーズ対応では7課題、地域先導研究では14課題を対象に行うということでございます。資料1-3は以上でございます。

 続きまして資料1-4を説明させていただきます。これは振興調整費による実施課題の評価の実施についてということで、具体的な実施課題の評価の方法について書いたものでございます。1ポツでございますが、平成20年度の評価対象課題は82課題ございます。昨年が67課題でございましたので、若干課題数としては多くなっていると思います。

 評価の対象となるプログラムですが、下の括弧に書いておりますが、戦略的研究拠点育成、それから新興分野人材養成、産学官共同研究の効果的な推進、若手任期付研究員支援、重要課題解決型研究、科学技術連携施策群の効果的・効率的な推進、若手研究者の自立的研究環境整備促進、地域再生人材創出拠点の形成、アジア科学技術協力の戦略的推進、重要政策活動への機動的対応の10のプログラムが関与しております。

 2番のところに、評価の実施体制として書かせていただいております。(2)になりますが、先ほども述べさせていただきましたけれども、作業部会の構成につきましては、評価対象課題の取り組み内容や専門性、研究分野等を勘案して、下に示します14個の作業部会の設置を考えております。順に読み上げます。(1)若手研究者自立的研究環境整備評価作業部会、(2)エレクトロニクス研究評価作業部会、(3)情報通信研究評価作業部会、(4)社会基盤研究評価作業部会、(5)環境研究評価作業部会、(6)エネルギー研究評価作業部会、(7)先端検出研究評価作業部会、(8)ライフサイエンス研究評価作業部会、(9)医療・医科学研究評価作業部会、(10)国際交流推進評価作業部会、(11)地域再生人材・地域イノベーション評価作業部会、(12)情報・知財系人材養成評価作業部会、(13)ライフ系人材養成評価作業部会、(14)戦略的研究拠点育成評価作業部会の計14個でございます。表の下に7課題とか、例えば戦略的では3課題とかありますけれども、これが各作業部会に含まれる課題数を示しております。

 では、3番目に評価の実施方法について説明したいと思います。(1)のところですが、昨年同様、流れを書いております。簡単に説明いたしますと、まず(1)ですが、事務局のほうから作業部会の委員の皆様方に資料を送付させていただきたい。

 (2)、次のページの(3)につきましては、少し事務的なので飛ばしますが、(4)のところで、先ほどPOのかかわり方について説明させていただきましたけれども、そのことをここに書いておりますが、作業部会の進行・取りまとめは主査が行いますが、当該業務を主査補佐が補佐いたします。主査補佐については、作業部会における適切な審査に必要な情報を提供するということでございます。

 (5)が具体的な作業になりますけれども、基本的に2回程度、作業部会を開催することを考えております。それぞれの作業部会においては、以下に書いておりますが、第1回作業部会につきましては、評価の実施方法について意識の統一を図ることを目的としまして、さらに必要に応じ、ヒアリングにより明らかにすべき点等を整理して、必要に応じ課題実施者に資料の提出を求める。これは昨年と同じでございます。

 まる2ですが、メールレビューについて書いております。これも第1回のときにご議論いただきたいのですが、評価を実施するに際して、作業部会委員やPO以外の知見者から意見を聞く必要があると判断した場合には、対象とする課題と聴取すべき事項を整理しましてメールレビューをするということでございます。メールレビュー後に第2回作業部会を別途開催しまして、そこで作業部会で課題ごとに被評価者からヒアリングを行うという流れでございます。

 下の米印でございますが、本年度は先ほど申しましたように、課題ごとに作業部会を細かく設定いたしましたので、ここで示しておりますエレクトロニクス研究評価作業部会、エネルギー研究評価作業部会、先端検出研究評価作業部会、それから国際交流推進評価作業部会につきましては、そこに属する課題数が非常に少なく、1から3、4課題でございますので、先ほどご説明しました第1回作業部会、第2回作業部会に分けますと委員の先生方に必要以上のご負担をかけるのではないかということを勘案しまして、これらについては第1回、第2回の作業部会を合わせまして1日でやりたいと思っております。

 それが資料1-4の一番最後になりますが、別添3というところに書いております。別添3では、課題数の少ない評価作業部会の開催方法ということで書いておりますが、第1回、第2回を合わせて行うことにより効率的な評価業務を行うことができると思っております。

 簡単に流れをご説明しますと、作業部会の前に十分な委員の方への説明をした後、不明点等を事前に聞きます。いただいた不明点等を踏まえまして、それが事前確認事項なのか、ヒアリングのときに確認すべき事項なのかを判断しまして、事前確認事項であれば事前に被評価者のほうに報告して、資料を提出してもらう。それからヒアリング事項であれば、事前に報告しまして当日のヒアリングのときに報告してもらうということです。

 それから、下のメールレビューですが、同様に事前に資料を読んでいただいたときにメールレビューの必要性等々も伺いまして、必要があれば事前に連絡してメールレビューを行い、委員の方々に情報提供させていただく方法を考えております。一番下ですが、簡単ですけれども、当日は、午前中がいわゆる第1回作業部会的な位置づけ、午後に第2回作業部会的な位置づけで評価案を決定いただきたいと思っております。

 それでは、先ほどの前のほうに戻っていただきまして、4ページの(6)でございます。第1回、第2回の作業部会、または短いものについては1日で作業部会を終えて、(6)でございますが、評価結果報告書(案)をまとめていただきたいということと、それを年末に行います研究評価部会に主査のほうからご報告いただきたいと。それで、(7)でございますが、研究評価部会において報告のあった評価結果案を踏まえながら、研究評価部会としての評価結果をまとめていただきたいと考えてございます。

 続きまして4ポツでございます。利害関係者の範囲でございますが、これにつきましては昨年と同じでございますので説明を省略させていただきたいと思っております。

 別添1でございますが、細かいので恐縮ですが、今年の評価の対象となっている82課題の一覧を示しております。

 それから別添2でございますが、別添2につきましては、各プログラムごとにその評価の項目と評価のポイントを示させていただいております。複数分ありますけれども、これを踏まえて評価していただきたいと思っております。以上が資料1-4の説明でございます。

 続きまして資料1-5でございます。評価作業部会委員の選定基準についてでございます。おおむねの内容につきましては昨年同様でございますが、共通基準といたしまして、課題の代表者・参画者でないこと、バランスを考慮すること、原則として博士の学位を有する教授または准教授クラスの者、それから研究機関及び民間企業に属する者におきましては、プロジェクトリーダー等のマネジャークラスの者ということを基本に作業部会の委員方を選定していきたいと思っております。

 2ページ目、3ページに別紙とありますが、今回分類させていただいた作業部会ごとに対象の研究テーマとなるものの一覧を示させていただいております。

 続きまして資料1-6の説明に入らせていただきたいと思います。これは昨年、中間評価をいただきました戦略的研究拠点育成プログラムの東京工業大学の課題でございます。東工大統合研究院という取り組みでございました。昨年、評価作業部会で総合評価Bということでございましたが、個別評価についてはCの評価があり、その理由につきまして以下(1)、(2)、(3)に示しておりますが、(1)ソリューション研究の基盤とも言うべきシンクタンク機能が十分に発揮されていない、(2)ソリューション研究の方向性があいまいであるため、研究のサイクルがうまく回るとは思えない、(3)附置研改革をはじめとした統合研究院における組織改革を推進するための体制が不十分であるという指摘を受けていたところでございます。

 これを受けまして、評価作業部会の委員の方から、平成20年度の戦略的研究拠点育成評価作業部会の中で、この課題の進捗状況を確認する必要があるのではないかという指摘を受けました。こういった経緯を踏まえまして、昨年も九州大学のテーマで中間評価後にフォローアップ報告を受けたのですが、それと同様にこの課題につきましても、戦略的研究拠点育成の作業部会の中で、東工大のほうから適宜、取り組みをちゃんとやっているのかという報告をいただきまして、年末の評価部会にその結果を報告させていただきたいと思っております。

 一番下にヒアリングの観点ということで書いてありますが、イノベーションシステム研究センターをはじめソリューション研究体制が確実に機能しているのか、附置研究所の改革がどのように進展しているのか等々について視点を持ちながらフォローアップの報告を受けたいと思っております。説明は以上でございます。

 

【笹月部会長】  どうもありがとうございました。ただいま、科学技術振興調整費によって実施された課題の平成20年度の評価の進め方ということで資料の説明をいただきましたが、最終的には、これは評価作業部会を設置して、委員を決めて作業を行うことになるわけですね。去年も同じようなことを行ったわけですが、幾つかの改善点もご説明いただきました。委員の方々から、どうぞご質問あるいはコメントをよろしくお願いいたします。

 ここでPOが主査を補佐するということで出てきていますが、このPOというのはあらかじめ存在するPOなわけですね。

 

【太田調整企画室長補佐】  はい、存在するPOでございます。今JSTのほうで課題管理をしていただいておりまして、その方々からお願いしようと思っております。

 

【笹月部会長】  昨年アメリカの例を幾つか調べて勉強したのですが、POの役割、あるいはPD・POの役割が、ファンディングエージェンシーごとに必ずしも同じではなくて、例えば評価に関しましても、スタートのとき、すなわち採択するかどうか、事前評価から関与する場合、あるいは中間評価、事後評価、あるいはあまり評価には携わらないとか、いろいろな例があるようですが、そういうことも含めて何かご意見がございましたらどうぞ。

 今の続きになりますけれども、ここでいうPOの方々は、採択のときには全く関与していないわけですね。

 

【太田調整企画室長補佐】  人事異動などもあり、全部が全部そういうわけでもないですけれども、採択時の審査のときにもPOの方々に加わっていただいております。その後、選定した課題について、年間を通して課題管理等々をしていただいている状況でございます。

 

【笹月部会長】  いわゆる事前評価の委員として直接関与されたということですね。

 

【太田調整企画室長補佐】  はい。

 

【笹月部会長】  わかりました。

 何か特段ご意見……、どうぞ、西島委員。

 

【西島委員】  一般論ですけれども、こういう課題の場合には、課題を採択する委員がいますよね。それから中間評価があって事後評価があるという場合の考え方ですが、例えば中間評価の委員の中に、採択のときの委員を一定数加えるとか、中間評価のときの委員と事後のときはあえて全部変えてしまうとか、そういう大きな考え方とか方針とか、つまり、もちろん中間評価のときに、採択のときの資料を見ることがありますけれども、私の経験では、中間評価のときに1人か2人採択のときの委員がいると、ニュアンスというのがあると思うのですね。

 それから、先ほども言いましたように、評価が中間のときに変わって、事後評価するときは、中間評価のメンバーを事後のときにも1人か2人入れておくというような大きな考え方というのは何かあるのでしょうか。一般論で構わないのですが。

 

【笹月部会長】  これは非常に大事な問題で、私もいつもそれを問題提起して議論しているのですが、採択したときの採択理由と、もし全くその人たちがいない中間評価あるいは事後評価だと、なぜこういう課題を採択したのかという、逆に今度は事前評価者を評価することにもなってきて。

 

【西島委員】  私もそこまでは言えないですが(笑)。

 

【笹月部会長】  そこの情報がきちんと共有されているかどうかが問題ですね。

 

【西島委員】  文章に書くと、厳しくも読めるし、甘くも読めるので、1人か2人可能であれば。

 

【笹月部会長】  それに、事務局に質問ですけれども、そういうことに関して、議題2の評価システムの改革についてというところで議論できると思うのですが、それでよろしいですか。

 

【柿田計画官】  今ご質問があった件も含めて議題2のところでご議論していただければと思います。

 

【笹月部会長】  総合科学技術会議が、抜本的といいますか、根本的なところを議論していますので、その中で、ぜひもう一度先生方に提示していただければと思います。

 よろしいですか。ほかにどなたかご質問、あるいはコメントはございませんでしょうか。資料がたくさんございましたが、大きな点ではほかに、作業部会を少し増やして専門家がきちんと見られるような形にするというところが改善されて、それは非常によかったなと思いますが。よろしいでしょうか。

 それでは、事務局から示されましたこのような日程あるいはやり方で、科学技術振興調整費の本年度の評価は行いますということでご了承いただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

 

【笹月部会長】  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして議題2「評価システムの改革について」に移りたいと思います。本年3月から総合科学技術会議評価専門調査会におきまして、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の見直しの議論が進められてまいりました。既に7月9日の評価専門調査会におきましてその改定案が取りまとめられ、この秋には総合科学技術会議本会議の審議を経て、内閣総理大臣決定がなされることになっております。この新たな大綱的指針が策定されますと、本部会におきまして、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の見直しについて検討いただくことになります。

 本日は、この秋からの本格的な検討に向けて、大綱的指針の改定案の概要、さらに文部科学省の研究開発評価の現状などにつきましてご報告いただき、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の見直しの方向性について意見交換をいたしたいと思いますので、まず事務局から説明をよろしくお願いします。

 

【柿田計画官】  それでは、資料2-1から説明させていただきます。「国の研究開発に関する大綱的指針の改定について」という資料でございます。まず2ページ目でございますが、国の研究開発評価の構造ということでございまして、一番上の層の科学技術基本計画に基づきまして、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」が内閣総理大臣決定されております。

 そして、府省レベルという真ん中の層のところでございますが、この大綱的指針に基づきまして、それぞれの府省のほうで評価の指針を定めております。文部科学省におきましても文部科学省の評価指針を定めて評価を進めております。

 そしてさらに一番下のレベルでございますが、機関レベルといたしましては、例えば文科省でいいますと、この文科省の評価指針に沿って理研のガイドラインでありますとか、JSTのガイドラインといった形で、それぞれの機関レベルでのルールを決めて評価をやっているという構造になっております。

 3ページ目でございますが、日本の研究開発評価指針の変遷ということでございまして、科学技術基本法が平成7年に制定され、以後、第1期から第2期、第3期と科学技術基本計画が策定されております。それに合わせる形で評価の大綱的指針も累次策定されておりまして、現在、下のほうになりますが、平成17年3月に、内閣総理大臣決定の「国の研究開発評価に関する大綱的指針」が定められており、それを受ける形で、平成17年9月に、ピンク色のところですが、文部科学省における評価の指針を定めております。それにしたがい評価を実施しております。

 3ページの左側の吹き出しのところですが、これまで3回にわたって大綱的指針が定められたといいましょうか、順次改定されておりますが、それぞれのポイントでございますけれども、最初にできた指針におきましては、まず研究開発評価を導入するということ、外部評価の奨励、それから効率的な資源配分に活かしていくという方針が主なものになっています。

 次に、平成13年に改定された指針におきましては、公正・透明な評価、評価結果の資源配分への反映、評価に必要な資源の確保がポイントになっています。そして現行の指針におきましては、創造へ挑戦する研究者を励ます評価、信頼できる評価手法の開発、評価結果のより厳格な活用がポイントになっておりまして、順次進化しているということでございます。

 4ページでございますが、今回、総合科学技術会議におきまして、大綱的指針の改定に向けた作業が行われております。その経緯でございますが、平成18年4月に総合科学技術会議評価専門調査会におきまして、大綱的指針あるいは第3期の科学技術基本計画に掲げた評価システム改革に向けた取り組みの加速化を推進するための検討が開始され、以後、総合科学技術会議で各省庁ヒアリング等が実施され、今年の1月に、総合科学技術会議として大綱的指針を見直すことが決められております。そして、3月から改定に向けた検討作業を開始しているということです。

 そして下の評価専門調査会のところに書いておりますように、評価専門調査会で改定に向けた議論並びに作業が進められておりまして、現在、7月9日の時点で評価専門調査会としての改正案が取りまとめられている状況でございます。

 5ページが今後の予定になりますが、1ポツの総合科学技術会議での決定というところでございまして、今年の9月に総合科学技術会議の本会議で新しい大綱的指針が決定される予定であると聞いております。そして直ちに内閣総理大臣決定されまして、各府省に通知されるということです。

 3ポツでございますが、それを受けて文部科学省における評価指針の見直しをしていく必要があると考えております。具体的にはこの10月から年内いっぱいかけるような形で、当研究評価部会におきまして指針の改定に向けたご議論、検討を進めさせていただきたいと思っております。そして年が明けて1月ごろには、指針の決定に持っていきたいと思っております。

 6ページが、今回、総合科学技術会議で議論されております大綱的指針の改定のポイントでございます。1番目に改定の必要性ですが、ここに書いてございますように、いわゆる研究開発力強化法が今年の6月に制定されました。それを受けて研究開発強化への取り組みがさらに進んでいるということで、このようなことに対応して、より実効性の高い研究開発評価への取り組みの強化が急務であるということを必要性としております。

 そして改定の方向といいましょうか、ポイントとして、ここにまる1、まる2、まる3と3つございますので、7ページ以降順次ご説明いたします。まず最初のポイントですが、厳正で的確な評価の実施を通じて優れた研究開発の成果を創出し、それを次の段階の研究開発に切れ目なく連続してつなげ、研究開発成果の国民・社会への還元を迅速化する具体的な方策をとるということです。

 ポイントとしては、評価の項目や基準、評価結果の活用方法などの評価方法は、対象とする研究開発の性格や分野などに応じて設定するということで、以下が実施例として示されているものでございますが、例えば基礎研究、プロジェクト研究、それから次の8ページに国家基幹技術等の国家的プロジェクトの評価ということで、対象とする研究開発の性格、分野などを分けるということでございます。

 7ページの基礎研究の評価というところをご覧いただきますと、まず、事前の評価としては、発想、手法等の独創性と新たな知の創造への寄与の可能性を、研究計画の内容と過去の実績等の両面から判断するでありますとか、より課題にふさわしい評価項目、評価基準を被評価者からあらかじめ提示させ、それらの項目についての自己点検を行い、そしてそれを参照するということ。

 それから終了時の評価としては、自己点検結果を踏まえ、成果の国際的な水準から見た科学的価値を重視する。計画で示された方向性と異なっている場合であっても、科学的に卓越した成果が得られた場合には、自己点検を活用して成果として認知していく。それから、当該研究開発の今後の発展性を十分に見きわめ、継続的な支援あるいは方向性の見直し等、次につながる視点を重視していくというような視点が盛り込まれております。

 それからプロジェクト研究、応用研究、開発研究と言われるようなものですが、それについては、事前の評価としては、国際的なベンチマークに基づいて一定期間後に達成を目指す定量的目標の設定とその水準の適切性を判断する。それから、そこに達成するための手法、体制等の妥当性、目的及び目標の達成可能性並びに目標が達成された場合の実用化等の展望を見きわめる。それから終了時の評価としては、一義的には目的及び目標の達成度合いを基準とするとか、達成の成否及びその要因の分析をし、その後の研究開発の発展性を見込む視点を重視するということが盛り込まれております。

 8ページには、国家基幹技術等の国家的プロジェクトの評価ということで、事前の評価として、政策上の位置づけと定量的目標、機能等達成すべき使命を明確にし、計画内容、体制、執行管理、費用対効果等の妥当性、実現性を判断。それから終了時の評価としては、1つ飛ばしますが、当該技術の達成レベルが国際的に見て十分高いか、科学の発展への貢献、産業の国際競争力の向上等、他への波及効果等が得られているか等も重視するということが、これは実施の例でありますけれども、示されております。

 それから、目標の設定やその達成状況に関して、被評価者が自己点検を実施し、それを活用して外部評価を実施するということで、最初の丸ですが、研究開発施策、また研究開発課題、研究開発機関についての評価は、外部の専門家等を評価者とする外部評価を原則化するということが示されております。現状の大綱的指針では、外部評価を積極的に活用するという表現になっておりますが、ここでは外部評価を原則化すると記述されております。

 次の項目ですが、副次的な成果や学術の進展に与えたインパクトなどにも着目した成果を幅広くとらえた評価を実施ということで、基礎研究等においては定量的な評価手法の画一的な適用が挑戦的な取り組みを阻害している場合もあるということで、当該学術分野の専門家による学術進展へのインパクト、新たな発展の可能性など、このような定性的な評価手法を併用するということでございます。

 それから、成果に係る評価結果が次の研究開発の事前評価に活用されるよう評価の実施時期を設定ということで、研究開発施策や研究開発課題の終了時の評価は、優れた研究開発成果を次の段階の研究開発につなげていくために、研究開発の終了の前に、例えば5年で終わるプロジェクトですと、現行では通常、事後評価は翌年度に評価することになりますが、完全に終了する前の年度にやるということでございます。それから、追跡評価の一層の定着を促進するということです。

 9ページの、2つ目の項目ですが、研究者の研究開発への積極・果敢な取り組みを促し、また、過重な評価作業負担を回避する、機能的で効率的な評価を実施する具体的な方策をとるということで、被評価者が自己点検を実施してそれを活用するということ。それから、評価結果を誰がどのように活用するのか、その主体ごとの役割や責任をあらかじめ明確にし、関係者に周知しておくということ。それから、1つ飛ばしますが、階層的な構成となっている政策評価や独法評価においては、1つの研究開発に対して重複した評価が行われないよう、評価結果を有効に活用していくということが示されております。

 10ページですが、3つ目の項目になります。研究開発の国際水準の向上を目指し、国際競争力の強化や新たな世界的な知の創造などに資する成果の創出を促進するよう、国際的な視点から評価を実施する具体的な方策をとるということで、研究開発成果の評価は国際的な水準に照らして実施することを基本とし、国際的なベンチマークを積極的に取り入れるということでございます。

 それから、国の内外や年齢を問わない優れた評価者を養成・確保するために、これらの者の積極的な評価者としての参加要請や、評価者となったことを履歴として認定する取り組みを推進するということで、評価を実施する主体は、海外の研究者や若手研究者を評価者として積極的に参加させることなどにより評価者確保のためのすそ野の拡大を図る。それから大学等、研究開発法人等の研究開発機関は、研究者の任用において、研究開発に評価者として参加したことを履歴の1つとして認定するなど、評価者となることのインセンティブを高めることにより、優れた人材の参加を確保するということが主なポイントとして盛り込まれております。

 以上が概要でございまして、資料2-2が、現時点での総合科学技術会議で検討されております大綱的指針の改定案の本体になります。

 大綱的指針の改定に関する概略の説明は以上でございまして、続きまして資料2-3でございますが、今後の大綱的指針の改定を受けて文科省の評価指針の改定作業に移っていただくわけですけれども、それに資するといいましょうか、ご参考として研究開発評価に関する現状等についてということで、文科省が実施している評価について概略をまとめた資料でございます。まず、3ページからは評価の枠組みでありますとかスキームをまとめております。これらにつきましては、本日は時間の関係もございますので説明は割愛させていただきます。

 9ページから、これまでの評価システムに関する審議会等委員の皆様からのご意見ということで幾つかご紹介させていただきます。9ページでございますが、この研究評価部会でのご意見の一部でございますが、1つ目の丸ですけれども、困難な目標に挑戦したいが、目標が達成できなかった場合、評価結果が悪くなるため、困難な目標に挑戦しないほうがよいという意見が研究者の間に広まっている。困難な目標に挑戦した場合、最終的に目標が達成できたかどうかだけでなく、どのような成果が得られたかという部分も業績として評価できるようなシステムとするべきであるというご意見がございました。

 それから、事後状況結果を被評価者へフィードバックすることは非常に有用なことだが、事前評価の評価者へもフィードバックすることで、事前評価、特に競争的資金の事前審査が適切であったかというチェックにもつながり、ひいては事前評価の質の向上につながることにもなるというご意見がこれまでにございました。

 10ページですが、独法評価委員会の科学技術・学術分科会で出た意見でございます。イノベーション創出のためにはひらめきや新たな発見などが必要となるが、研究開発では、しっかりと努力をしていても成果があらわれないことのほうが多い。研究開発評価は、研究開発活動を最大限活性化することが目的であるという原点に立ち返り、成果の有無だけでなく、プロセスなども考慮して評価を実施することが重要である。評価結果を予算に反映させる際、評価結果が悪い研究について予算を一律削減するという反映方法では、誰も困難な目標に挑戦しなくなる。数値目標を立てることについては慎重に検討されるべき問題であり、安易な導入は逆効果になることを認識すべき。例えば論文数について数値目標を立てると、論文に直接関係しないことは行われなくなる、論文数を増やすことが目的となり、論文の質の低下を招く危険性があるというご意見がこれまでに寄せられております。

 11ページからは私どものほうで委託調査を行った結果の概要でございます。評価システムに関する研究者等の意見、アンケート調査でございます。これもかいつまんでご紹介いたします。12ページからになりますが、研究開発評価の研究者への影響という項目についてですけれども、これはそれぞれ独法とか大学とかの研究者、あるいは評価をやっている人たちに対するアンケートの結果でございまして、回答として多かったものを一部ご紹介しますが、評価者、研究者ともに、公平な競争的環境が形成されつつあるとか、一つ一つの研究成果の質を強く意識するようになってきているなど、よい影響を多く挙げているものの、研究者らが評価へ対応するために必要以上の時間が割かれているとの意見が多く、一方、挑戦的な研究を奨励する環境が形成されつつあるというのが少ないという結果が出てきております。

 研究開発評価で改善すべき点という項目で、13ページは評価者に対してのアンケート、14ページは研究者に対してのアンケートですが、ほぼ同じような結果が得られておりますので13ページでご紹介しますが、事前、中間・事後評価ともにプロジェクトの大きさやプロジェクトの分野などに応じた柔軟な評価方法の構築というのが最も改善すべき大きな点でございます。次いで、研究者の意欲や挑戦も積極的に評価する仕組み、評価を行う評価者の充実等の意見が多くなっているという結果でございます。

 15ページ、16ページも同様に評価者と研究者に聞いておりました項目でございますが、プロジェクト(課題)評価を行った感想ということで、これも研究者、評価者、おおむね同じような結果でございましたので15ページでご説明いたしますけれども、評価基準はほぼどの評価も明確に設定されていた、評価の方法はほぼどの評価も明確に公表されていた、それから評価に対応することで研究計画の質が向上したというポジティブな意見が多い。一方で研究者の評価にかかわる時間が多くなり、研究者が研究に割く時間に影響があったと、先ほどもこのような意見が出ておりましたけれども、そのような意見が多いということでございます。

 17ページは、機関評価において改善すべき点でございます。評価結果の活用を促進し、必ず機関の改善に結びつけていく仕組み、組織でありますとかシステムが必要というのが最も多い項目でございました。次いで、機関評価に必要なデータをあらかじめ取得・蓄積しデータベース化していくことが必要であるという項目が高い結果となっておりました。

 18ページでございますが、研究者業績評価の実施状況でございます。円グラフ左側から、国立大学等、公立大学、私立大学、独法研究機関と示しておりますが、国立大学等はほとんどが研究者の業績評価を実施していると。円グラフで見ていただきますと、全学・全体の教員を対象に実施しているというのが62%、それからほぼ全学・全体の教員を対象に実施しているというのが13%ということで、これらを足しますと、大体7割以上が実施している結果になっております。それから、公立大学と私立大学は、国立大学等と比較して半分ぐらいの進捗状況になっているということかと思います。独法研究機関につきましても、国立大学とほぼ同様に7割以上が研究者の業績評価を実施しているという状況がアンケートでわかりました。

 19ページは、研究者業績評価の課題でございます。まず大学等における課題です。実施あるいは方法という観点については、大学の特徴的な点としまして、教育活動の評価手法の確立というのが最も多い。研究活動については一定の評価手法というものがありますが、教育活動についてどのように評価するかということでございます。評価の効果としては、下から2行目ですけれども、業績に結びつかない能力や努力が評価できないということが課題として挙げられております。

 20ページは同じく研究者業績評価の課題で、こちらは独法研究機関に対してのアンケート結果でございますが、実施あるいは方法という観点については、独法の特徴的な点として、短期での研究成果の評価、要するに短期のスパンで見て、その成果が出た、出ないとかいうようなことを評価するのはなかなか難しいということです。それから、基礎研究と応用研究の比較というのが大きな課題として非常に高い割合で出ております。効果としましては、やはり間接業務など目立たない仕事がなかなか評価されにくいということが挙げられております。以上がアンケートの調査結果でございます。

 最後は、22ページになりますが、評価人材の養成・確保に関する、私ども文科省における取り組みの概要をお示ししております。まず1番目に、研究開発評価研修を年数回定期的に実施しております。これは研究開発や政策の評価等の概念、枠組み、手法、課題等を教示する。それから、海外から講師を招聘して、評価をめぐるフロンティアな課題の議論を深めることを目的といたしまして、平成19年度は5回実施し、参加者も225名でありました。20年度も引き続き実施してございます。

 2番目には、研究開発評価のワークショップが年1回の実施、それから3番目には同じくシンポジウムも年1回やりまして、ケーススタディーや情報交換を通じてスキルアップ、あるいは評価関係人材間の交流を推進することを目的としてやっております。平成19年度の実績としてはここに書かせていただいたとおりでございます。

 以上、大綱的指針の改定に向けた動きと評価の現状ということでご説明させていただきました。以上でございます。

 

【笹月部会長】  どうもありがとうございました。「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の改定ということで、それを受けて文部科学省としてもまた対応しなければいけないということだと思いますが、この大綱的指針の改定についてというところで幾つかご意見があろうかと思いますので、ぜひご自由にご発言をお願いいたします。

 

【柿田計画官】  先ほど西島先生からご意見がございました点でございますが、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」という白い冊子を配付させていただいていると思います。その9ページをお開きいただけますでしょうか。

 文科省の指針の9ページになります。「2.3.4 評価に当たり留意すべき事項」、「2.3.4.1 評価活動の継続性」という項目がございまして、「評価実施主体は、必要に応じて過去に評価を行った者を評価者に含めるなど、評価の考え方の継承に努め、継続性を確保する」ということで、一応この指針の中ではこのような形で、評価者を事前・中間・事後ということで関与させながらきちんと評価の継続性を図るという考え方については現行の評価指針の中にも盛り込まれております。ただ、ここに書いてございますように「必要に応じて」ということでありまして、その点を今後、これからさらにどのように評価といいましょうか、適切性を図っていくかというところは、まだこれからのご議論でいろいろアドバイスをいただきたいと思います。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。どうぞ。

 

【有本委員】  今ご説明がありました資料2-1です。総合科学技術会議の方向性が大体出始めているようです。一番のポイントは従来からの問題で、評価作業の過重な負担の軽減です。これが理念レベルでは、今度の研究開発強化法案でもうたわれたし、総合科学技術会議の冒頭の理念でもあるはずですけれども、現場に行ったときに、大きな作業の負担になっている。その点で、総合科学技術会議でどういう議論の積み上げがあって、「現場ではこれぐらい合理化しろ」とかいうのがはっきり出ているのかどうか。ますます負担をかぶるのではないかという気がします。

 

【笹月部会長】  事務局からよろしいですか。

 

【沼田計画官補佐】  総合科学技術会議では具体的な合理化の議論はされていないと思います。

 

【笹月部会長】  それは逆に言えば、総合科学技術会議は憲法のようなものを決めて、各省が具体的に行うことにそれをどう、今有本先生がおっしゃったようなことを解決しながら、しかもクオリティーは高めていくのかということになるのですか。各省でそこは、逆にいえば今度、それに基づいてやろうとするならば、その点が1つの大きな課題だと思いますので、検討すべきことだと思います。

 

【沼田計画官補佐】  総合科学技術会議評価専門調査会には中西先生と平澤先生が入られておりますので、もし何かございましたらご発言いただければと思いますが。

 

【中西委員】  今回の改正の大きな点は幾つかございましたが、被評価者の立場を強くしようということが根底にございます。過重な評価の負担を少なくするということはもちろんですが、まとめのところに、研究者を励ます評価と書かれています。この研究者を励ますという言葉はこういう文章にはあまり聞きなれない表現ではないかと思います。とにかく、評価される人、研究者を励ますというスタンスで、過重な負担を減らすとともに、被評価者の立場に立った評価項目をつくっていこうということが根底にある改訂です。

 もう1つは、政策評価、プロジェクト評価、課題評価、個人評価という評価の多重構造、これらには重なるところ、無駄が多かったので、その無駄を減らしていこうということもいろいろな角度から話し合われております。表現法はいろいろあるのかもしれませんが、精神としてはこれらの点はかなり議論されましたが、平澤先生は。

 

【笹月部会長】  どうぞ、平澤先生。

 

【平澤委員】  私は3月まで委員で、議論が始まるところまでいて、任を離れたわけでありますけれども、離れるに当たって幾つか疑義を残したわけですが、それは今のご発言にも通じているところなのですが、例えば具体的に申しまして、2-1の7ページのところで、改定案の概要として3種類に対象を分けています。基礎研究、それからプロジェクトの研究、それと大方の国家的なプロジェクトというように分けているわけですけれども、このこと自体は評価の負担を減らしていく1つのアプローチだろうと思っているわけです。ただし、ここではあまり明示的に書かれていないわけですけれども、基礎研究とプロジェクトの研究については、通常公募型で、1件当たりの金額が少ないというものの評価になるわけなので、それについての個々の評価というのは、それほどの力を注がないで、全体として制度、あるいはプログラムといったほうが正確ですけれども、それの評価に重点を移していったらどうだろうと。

 つまり、木を見て森を見ないような今の評価制度を、きちんと森を見て、その森の良し悪しを評価しようという方向にすれば、被評価者と評価する側の両方にとってより本質的なアプローチができるのではないかということを非常に強く申し上げたのですけれども、このことについてはあまり触れられていないのではないかと思います。

 ちょうどご説明の中で読み飛ばされた9ページの中ほどのところに、複数の個別課題から構成される研究開発施策を対象とした評価を実施する場合には、施策の目標と個別課題の目標との関連づけの適正さを重視するということになる、それで木を評価するわけですが、その目的自身が適正であるかということは、森を評価する話になって、ここのところがやはりうまくかみ合えば、評価の負担というのは減るのではないかと思っています。これが1つです。

 それからもう1つ、戻って7ページのところですけれども、例えば2のプロジェクト研究の終了評価で、終了評価は達成度合いを基準にするとなっていますけれども、達成度評価だけで評価してしまうと、どんどん目標を低く設定する話になってしまうわけです。それで通常、評価をするときには、もちろん達成度については確認しますけれども、そこへ書かれた目標自体が価値的に見て適正であったかということを、中間・事後では主に議論をしているわけです。ですからここは、価値評価の視点を入れるということをやはり書き込んでいかないといけないだろうと思います。

 私が担当しましたスーパーCOEの評価の場合も、評価項目をご覧いただければと思いますけれども、最初述べた計画に照らして適正であったかどうかというのは、個別項目の中の1つであって、あとはそれにとらわれないで組織改革が有効であったか、あるいは運営改革は有効であったかということを、いわば全体的な価値の面から評価し直すという評価構成になっています。議論をしてみると、そのセグメントに対して達成していたかどうかだけで評価したのでは、非常に甘い評価になってしまう。本質的な改革自身を目指すというプログラムの趣旨に合う形にはならないと思っております。

 以上です。

 

【笹月部会長】  ありがとうございました。今の先生のご意見は、私も納得するところもありますが、達成度、度合いで評価すると甘くなるとか、あるいはそもそも目標の設定を初めから低くすればよろしいというご意見ですけど、そこをきちんと見るのが事前評価で、目標が低ければこれは採択してはいけないわけですよね。

 

【平澤委員】  本来、事前評価が適正に行われていればそういうことですけれども、事前評価は予測的な評価になるわけで、中間や事後はある程度経過していて、実績があるので、その設定した目標が低いか高いかということは、よりよくわかることになります。ですから、事前評価で設定した目標だけで全体を最後まではかってしまうというのは、やはり危険だろうと思うのです。

 

【笹月部会長】  研究者の応募する側に立ちますと、やはりやや高目に、ここまでやれるのだという夢を描くというようなところもあって、むしろ目標は高目に設定するのではないかと思いますが。ですから、事後評価のときにむしろ設定した目標が必ずしも達成されていないではないかというのがこれまでの我が国における評価ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

【平澤委員】  今想定しておられる内容に関しては、まさにそういうことだと思います。だから第3期の大綱的指針の見直しのときに、挑戦型というのを重視する評価システムにしようということは、総合科学技術会議評価専門調査会でも非常によく議論した点でありまして、ですから挑戦型の部分を、事前にリスク等を勘案して、ちゃんと評価してあげれば、挑戦的な目標設定というのはもちろん重視して構わないわけです。ですから中間・事後においても、そのようにして設定された挑戦的な目標であったならば、達成度だけで十分だろうと思います。

 

【笹月部会長】  そのときに、目標を設定して、それが非常に理想的で、本当にこれが達成されればすばらしいということで、ただそれだけで評価されては困るので、私はここに1つ抜けているのは、その目標を達成するための準備がどこまでできているのかという項目をぜひ入れてほしいと思います。日本の評価の場合は大抵、これまでのその人の実績とか、言うなればパブリケーションリスト、『ネイチャー』『サイエンス』『セル』、評価者はすぐにそれに目がくらんでしまう。それは過去の実績であって、これからやりましょうという目標とはもちろん無関係ではありませんけれども、必ずしも直接的なものではない。アメリカの私の友人といつもそういうことを議論しており、質問しますと、彼らは何を最も重視するかというと、やはり準備状況だと言います。目標を設定して、それが本当にフィージブルであるということが評価者にわかるような準備状況、準備がどこまでできているのかということをしきりに言うのです。この大綱的指針の改定案を拝見しても、あまりそういうことが出てこないので、そこをやはりぜひ検討すべきではないかと思います。

 日本の場合は複数の人が評価して、わりと評価が、わりと、というよりも非常に良く一致します。5人なら5人が評価して、なかなか凹凸がなくて、フラットである。それはやはり私は過去のパブリケーションリストに迷わされて、『セル』とか『サイエンス』とか『ネイチャー』があると、ついいい点数をつけるみたいなところがあるのではないかという気がしてしようがないのです。ですから、今度の新学術領域における評価ではアノニマスにして、それからパブリケーションリストも伏せておく。そして評価をしてもらう。私は、それは非常にいいトライアルになるのではないかと期待しているのですが。

 

【西島委員】  今先生がおっしゃったことは大変重要だと思います。私も目標の設定が一番かなという気がします。それで8ページの目標の設定のところに、外部の専門家等を評価者とする外部評価を原則化ということですけれども、この原則化という表現が少し気になりまして、その前はどういう表現でしたか。あまり変わらないかなと(笑)。私たちの感覚からすると、原則というのはかなりの例外を見込んでいるということですけれども、そういう解釈でよろしいですか。

 

【柿田計画官】  先ほどの冊子になりますが、冊子の後半のほうに大綱的指針の現行版が入っておりまして、ページ数でいいますと、括弧で参考資料19というページが振ってあるところですが、現行での書きぶりは、3の「評価者の選任」の3行目になりますが、外部評価を積極的に活用するというのが現状の書き方です。

【西島委員】  積極的に活用すると。それを一歩踏み込んで、「外部評価を原則化」ですね。これは本当に一歩踏み込んで、考え方になったのかどうかというのはいろいろ考えなければならず、言葉じりを言うのではなくて、先ほど部会長がおっしゃったように、目標の設定のところでやはり、これはいいか悪いかはわかりませんが、例えば目標を下げているわけではないのですが、その中に、例えば産業に役立つとか、そういう一文やそういう目標を入れたほうがいいということで入れるのですが、意外と産業界の意見を聞くことなく入れているのです。

 私は個人的には、あまり産業界に役立つということを言っていると、目標が小さくなってしまって、産業界に役立つなら放っておいても産業界みずからやりますから、むしろ産業界が、重要だがリスクが高くてなかなかできないので、そこをこういう資金でやっておいてと。それは、産業界はどう思いますかという意見を聞かれて、産業界が私どもだって必要と思っているけれども、そういう基本にかかわること、あるいは本質にかかわるがリスクが高いものはできない。しかし産業界としては、先生がおやりになることについてはぜひお願いしたいと。

 こういうことと、目標に、産業界に役立つということとはニュアンスが違うと思うので、その点を考えると、やはり外部の専門家を入れるなり、目標設定は重要だと感じます。その点を、間違えているとは言いませんが、少し勘違いしている先生が非常に多くいらっしゃるのではないかと思っています。

 もう1つ、一般論として産業受けするテーマというものは、私たち産業から見ると非常に小ぶりのテーマで、これでいいのかと。大学の先生は利益を追求するわけにはいかないので、そういうことを時々思っているので、そんなことないとは思うのですが、少し気になりました。

 

【笹月部会長】  今の西島先生のご意見は、いわゆる大学の学術的な研究対開発研究ということとの差といいますか、あるいはすみ分け――もちろん大学自身がそういうことをやってはいけないということではないのですが。組織とか手持ちの大型の機器とが、例えば創薬の場合、企業はケミカルライブラリーを数百万の単位で持っています。そこへ大学が5万とか10万のライブラリーをつくろう、あるいは構造解析をやりましょうというと、大企業のメガファーマーの方から見れば、そんなことは自分たちのほうがよほど効率よくやれるので、もっと本当にベーシックなところをやってくださいというような。

 

【西島委員】  例えばの話ですね。

 

【笹月部会長】  例えばですけれども、そういうこともありますので、今の、まさに安易に企業、産業界に寄与するとか活性化するとか、そういう目標が求められているということ、そういうことを書くように求められること、あるいは社会のニーズにどう応えるかということを書かされるということ自体が、本当の自由な発想に基づく多様性に富んだ学術研究の推進ということからは少しずれる点があるのではないかと。それは私もいつも感じるところですので、今のご意見も確かに大事だと思います。

 どうぞご自由にご発言お願いいたします。はい、どうぞ。

 

【有本委員】  2つほど総論的なところ。今からの議論の出発点になると思います。先ほど笹月先生がおっしゃいましたが、この部会の中の議論は、非常に大事になると思います。総合科学技術会議からあのような大きな指針が出て、それを現場につなぐ、ここが転轍機になります。そのときに同じようなものでまとめたら、例の研究資金の不正使用の是正対策のときにも同じことが起こったと私は思うのです。研究現場のマイクロマネジメントまであれこれ介入するということで、今は過重な負担が現場にかかっていると思います。この部会でちゃんと切りかえて、合理化することを議論した上で、最後はガイドラインということで文章として、具体的にどのようなプログラムをつくるのか。研究者への過重な負担を予算や人で支えるということで、詰めて欲しい。これは第4期に向けて大事なところだと思います。

 もう1つ、この総合科学技術会議の指針には載っていないと思いますが、第3期の課題として、あまりに個人の創造性とか、個人を競争環境に置くということに焦点が当たった。それでは次の世代を育成するために、大学の研究室、組織についてどうあるべきか、少し議論は出かかったのですが、ほとんど捨象されてしまった。それで今研究室の中では何が起こっているのか大学院生、ポスドクについてみるとデータ生産、研究労働者という形になっているのではないか。その点で、指針を今からつくるときには、研究者個人とともに、次の世代を育てるという組織の評価も、メタレベルできちんと議論をしていただければと思います。

 以上です。

 

【笹月部会長】  それもまた非常に大きなテーマで、私もいつも考えておりますが、もう一方、今度は日本における大学院教育、あるいはポスドクの教育のあり方、そういう点が非常に大きく出てくると思います。優れた研究者ほど、とにかく世界の第一線で本当にいい成果を挙げ続ければ、その組織にいる人たちはそれを見て育つのだというけれども、それではやはり非常に狭い範囲のことしか学べないということで、本当に幅広い深い研究をするための広さをもった若手をどう育てるかというのが大きなテーマだと思います。

 よく異分野の融合、分野間の融合と言われますが、日本ではなかなかそれはうまくいきません。うまくいかない理由は、個人のレベルで融合がなされていないからで、個人のレベルで幅広いものがあれば、初めて融合も可能になりますので、これは教育も絡んで非常に大きなテーマだと思います。ありがとうございました。

 ほかにどなたかありますか。

 それから、今の大きなテーマである、研究者が、評価、評価ということで、不必要な時間を割かされる、エネルギーをとられるという問題ですが、それをきちんとするための資源をどう準備するかは、予算措置に係ることだと思いますが、文科省としては具体的な新たな構想を既にお持ちでしょうか。

 

【沼田計画官補佐】  現在評価推進室で持っている予算につきましては、評価システムの改革ということで、人材育成や新しい評価手法の開発・改良の関係で予算が措置されておりますが、今回改定がございますので、それを踏まえて新たにその指針に沿って考えていきたいと思っております。

 

【笹月部会長】  それから、新たな取り組みで、被評価者が何か評価基準を設定して事後点検すると。私はそのプリンシプルがよく理解できないのですが、もう少しご説明いただけますか。

 

【沼田計画官補佐】  今の独法通則法の機関評価では、独法がその目標をどの程度達成できたかを自ら評価し、その結果について独法評価委員会が評価するという仕組みがとられております。研究開発評価につきましても、実際にその研究を実施した人間が目標に対してどの程度達成したかについては、まず自分で評価をし、その結果を外部評価していく、というのが今回の改定の案になっております。評価者に非常に大きな負担がかかっているということで、その目標が達成できたかどうかは実際に研究している人が一番わかるはずであるから、研究者の責任とプライドをかけて、自ら律して評価をするということが今回の改定の内容になっていると聞いております。

 

【笹月部会長】  いかがでしょうか。はい。

 

【岩田委員】  評価をしている側と評価をされる側で非常に疲れるのは、評価がどのように使われるかがいつも見えないためです。だから、それさえしっかりしてきたら、今後の研究者としてのキャリアとして役にたつとか、将来の研究費に反映されるとか、そういうことが明確になればそれほど疲れないのですけれども。評価する時も評価される時もとても疲れます。例えば、このようなことを言っていいかどうかわからないのですけど、大学の中期計画、中期目標の評価は将来どのように使われるかが、いまだにやっている人間に見えません。だから、そういうところがもう少し明確になるような施策はないでしょうか。

 

【笹月部会長】  いかがでしょうか。

 

【沼田計画官補佐】  新しい評価指針の改定案ですが、資料2-2でございます。そちらの9ページに、対象別評価の課題評価というところで、評価結果の取り扱いというところがございます。課題評価の評価結果の活用、(1)でございますけれども、こちらでは研究開発課題の評価結果については、評価を実施した主体及び研究開発を実施した主体が、それぞれの特性に応じて予算、人材等の資源配分への反映、研究開発の質の向上のための助言等に活用する。さらに研究開発の施策、政策等の企画立案や効果的・効率的推進に活用するという形で、今回改定の案に入れられているということでございます。

 

【柿田計画官】  今の項目の関連ですが、同じく5ページになりますが、真ん中辺の(2)で、評価の実施、活用等に関する責任主体の明確化という項目がございまして、その2つ目の段落ですが、評価を実施する主体は、誰がどのような目的で評価を実施するのか、また、評価結果は誰がどのように活用し、どのような効果を生じるのか等に関して、それぞれの主体、その役割と責任などをあらかじめ明確にし、それを関係者に周知した上で評価を実施するということを、これからの取り組みとしてやっていくということです。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。

 委員の先生方には、資料は前もって提示されておりませんでしたので、今日初めてご覧になったと思いますので、お持ち帰りいただいて、十分に検討していただいて、またご意見をいただきたいと思いますが、まだ時間がありますので、今日ご説明いただいたこと、あるいはこの資料2-2をご覧になりながら、大事な点について、課題を提示していただければと思います。あるいは細かなことでも結構ですので、どうぞご自由に発言をお願いいたします。

 

【大泊委員】  2つほど申し上げたいと思いますが、1つは資料2-1の3ページ目で、平成13年度に、吹き出しのところに書いてありますが、評価結果の資源配分への反映というものがございます。これが全く反映されていないという結果も実はあるのです。そういうことに関して、誰がどう責任をとるのかというところが気になっていまして、非常に具体的に申し上げますと、ナノテクノロジーの全国ネットをつくろうという動きがあって、これは総合科学技術会議ではたしかS評価を得たと我々は理解しているのですが、実際に翌年度からの予算編成を見ますと、別の大きな予算、つまりこれは国家プロジェクトと言われているものであったのですが、それにほとんどがとられてしまって、事実上予算が減ってしまったのです。これは関係者の意欲を失わせるのに十分であったということで、全く理解できない結果であったという事例が1つございます。

 それからもう1つは、こういう一連の評価指針等も変遷し、どんどん進化してきているわけですが、事前評価も含めて、評価にあずかる人たちが、どの程度進化に付いていっているのか。つまり、例えば融合だとか、いろいろな新しいアイデアが出てきて、それをほとんど理解しないで事前評価等に携わっているのではないかと思われる節があります。ですから、要するにシステムを構築するときに、関係者がどの程度そういうものを配慮してつくっていくのかというところに、大きな疑問を感じております。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。今の点は、大きなプロジェクトから小さなプロジェクトまで共通だと思いますけれども、公募要綱というものが非常に大事になっているのです。公募要綱にそのプロジェクトのプリンシプルが述べられているはずですし、どういうものを期待しているかということも述べられているはずで、ですから、応募する側はもちろんそれを一生懸命おそらく読むのでしょうけれども、今のご指摘は、審査する側が公募要綱をしっかり、本当に存分に理解しているかどうか、そういうご指摘だと思います。評価委員会をつくった場合に、このプロジェクトの評価をお願いしますという際に、そのプリンシプルといいますか、大きなところから小さなところまで委員の人たちにきちんと周知徹底するという作業は、どんな形で行われているのでしょうか。

 

【大泊委員】  現場レベルでないとわからないのではないですか。例えばJSTの担当者とか、それこそ先ほどのPDとかPOという立場の人たちが、実際には外部評価委員を決めますよね。ですから、今日お話があった14の課題についても、多分これからJSTで検討していくはずですよね。そのとき、そういう委員がどうやって決まっていくのか。しかも決められた人というのは、どれだけ今申し上げたようなことを理解しているか。その点が問題だと思います。

 

【有本委員】  よろしいですか。

 

【笹月部会長】  はい、どうぞ。

 

【有本委員】  今、JSTにいるものですから。

 JSTというのはご存じのように、研究支援のシステムをいっぱい持っている。長いイノベーションの課程の中で、上流の基礎研究側から下流の産学連携、企業化側まで持っている。それでは、PD、POの方々が本当にそれぞれのファンディングシステムのポジショニングなりミッションステートメントをはっきり認識した上でやっておられるのかというと、これは改善点が相当あると思います。

 

【笹月部会長】  そうですね。大変いいご指摘をいただきましたので、それを本当に周知徹底するというところを工夫していただければと思います。

 

【田島委員】  今の先生方のご発言にも関連して、ずっと同じようなことを考えておりましたけれども、私は6年前に日本に来る前はずっとアメリカにおりまして、NSFのグラントを随分多数取りましたけれども、私の分野のジオフィジックスの場合は、プログラムディレクターがもう20年ぐらい続いています。ですからどのようにプロジェクトが発展してきたかということを、ちゃんとプログラムディレクターが押さえているわけです。

 ですから、最初のほうでも西島先生がおっしゃいましたけれど、評価の継続性、それから評価にあずかる人たちのインテグリティー、それと効率です。本当に日本で驚いたのは、プログラムディレクターとか、要するにJST等から連絡をとってこられる方がころころ変わられるわけで、もちろん任務につかれた方は一生懸命ミッションステートメントとか何とかを読んでらっしゃると思うのですが、それで、なぜそのように頻繁に変わるかがよくわからない。全員がずっと同じ状態で組織が硬直してしまうのはよくない一方で、やはり全体の流れをきちっと押さえておく、評価にインテグリティーを持たせる、責任ある立場にある方は、そのように頻繁に変わるべきではないというのが私の感想です。

 

【笹月部会長】  ありがとうございました。大変貴重なご意見だと思います。

 どうぞ、平澤先生。

 

【平澤委員】  私も全く同感でして、評価の現場の前に、まずは制度設計があるわけです。先ほど公募要領とおっしゃったわけですけれども、制度設計、これはプログラム設計と言ったほうがいいと思いますが、JSTを例にとれば、プログラム群というのが全体の方向を決めているわけです。そのプログラム群のバランスがどうなのかとか、特色がうまく発揮できているのかとか、こういうことは最も重要なわけですけれども、先ほどのように個別のプロジェクトしか評価しないという、ここを改めないといけないわけです。

 それで、プログラムを評価するという立場に立つと、プログラムの責任者、プログラムマネジャーですけれども、それが今おっしゃったように、長年培ってきて、それでプログラムを効率的に運用するという方式を、分野に合わせてつくり上げていくわけです。そういう知恵が非常に重要なわけです。

 私は行政の中で人事異動が起こるということは、ある意味でやむを得ない面があるだろうと思いますが、ファンディング機関までそういうところに合わせて変えてしまうこと自体が、よくわからないです。ファンディング機関こそ専門性を持っている人を育て、そしてそのエキスパートになっていただく。こういうことに意を尽くしていただきたいと思っているわけです。有本さんにはそのようなことはよく理解してもらえると思いますが。

 

【笹月部会長】  ありがとうございます。大変貴重なご意見だと思います。

 

【田島委員】  もう1つよろしいですか。

 

【笹月部会長】  どうぞ。

 

【田島委員】  先ほどアメリカのNSFのプログラムディレクターのお話をしましたけれども、今のプログラムディレクターは、本当に20年ぐらいずっとこのプロジェクトの流れを見ていらっしゃいますけれど、その前にはあまり研究者の側から見て、どうしても広い視野に立って適切な判断をしているとは思えないディレクターがついたことがあります。そのときは研究者の側から批判をどんどん出して、本当に短期で解任されました。ということも、要するに、ちゃんとしたインテグリティーのある評価に基づいて、組織は柔軟であるべきだということです。

 

【笹月部会長】  はい、どうぞ。

 

【有本委員】  かなりシリアスな話になりました。日本のサイエンティストのコミュニティーのカルチャーにもかかわる話です。PD・POについて、1.5流のPOなんかに、自分たち一流の研究者がマネージ、支配されるのは困ると。日本は、多分かなりの研究者がこういう認識なのではありませんか。

 アメリカのPD・POは、そのコミュニティーの中で、研究の現場からは離れているかもしれないけれども、NSFの特にパーマネントの人は。そういう方たちもきちんと研究者と対話ができコミュニティーからリスペクトされているはずです。日本の研究者コミュニティーにはこれがないから、PD・POのキャリアに参入することについてのインセンティブがうすい。これは、根本のところまで変わらないとうまくいかない。

 

【笹月部会長】  そうですね。それと、いわゆるPD・POを非常勤でやらされているというところもありますよね。あれが本当に非常勤でよろしいのかどうかということも、大きなテーマだと思います。

 あと、先ほどご説明いただいた中で、何か気になったところがあったんですが。

 

【野田委員】  少しいいですか。

 

【笹月部会長】  どうぞ。

 

【野田委員】  確認ですけれども、事後評価を終了前に行うというお話をどこかでされたようですが。

 

【笹月部会長】  ええ。

 

【野田委員】  それはどこであったか、少し確認を。

 

【笹月部会長】  資料2-1の8ページの下から2番目の丸です。

 

【野田委員】  8ページですか。要するに、例えば5年の計画で中間評価が3年目にあって、その前にやるとなると1年ぐらいしかないということなのですが、どうなるのでしょう。

 

【笹月部会長】  早くやりたいということは、そのプロジェクトの継続性、すなわち評価の結果を今度は次の事前評価に生かしたいという精神だと思います。ですから、その精神は理解できますので、それが現実の問題として、何かテクニカルな意味で問題があればまた改善すべき、あるいはつくる必要があろうかと思いますが。

 

【平澤委員】  よろしいでしょうか。

 

【笹月部会長】  どうぞ。

 

【平澤委員】  継続性自体は非常に重要であると思いますが、ちょうど列車が連結器でつながるような継続性ではなく、のりしろがある継続性がむしろ重要だろうと思います。ですから、例えば5年のファンドをもらって研究しているときに、3年目が終わったところで中間評価を受ける。それは4年目にかかっているわけですが、その中間評価結果を見て次のプロジェクトの申請が通っていくとかいう感じならば、うまく展開できると思います。

 

【笹月部会長】  ここに書かれているのはそういう精神だと思います。

 

【平澤委員】  そうですね。それから3年ぐらいであれば、ここにあるように中間評価なしで、前倒しで評価をした結果という、これは研究者の申請に応じてでいいと思いますが、それでつなげていくということはあり得ると思います。

 

【笹月部会長】  ほかにございませんでしょうか。

 それでは先ほど事務局からご説明がありましたように、これを受けて作業を進めるということですので、またいろいろご意見、ご協力をお願いすることになりますが、何か事務局からありますか。

 

【柿田計画官】  先ほどのご説明の中で、最初のほうにお話ししましたけれども、10月ぐらいから、できればこの評価部会で改定に向けた議論を進めさせていただきたいと思います。それまでにこちらのほうでも準備をいたしますし、また本日の資料をすべて、特に大綱的指針の改定案本体についてはご説明は省略させていただいておりますけれども、ぜひ委員の皆様方にもお目通しいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。

 

【笹月部会長】  それでは、時間が少し早いようですが、評価ということをもっと大きな立場に立ってどうかということで、何か日ごろお考えで、ぜひ一言という方がありましたら、最後にお伺いしたいと思います。どうぞ。

 

【平澤委員】  私ばかり発言して申しわけありません。

 私が関係しているというか、経験している評価の現場を見ていて、この間、非常に進歩してきている点もあるわけです。今回は自己評価を中心にするシステムに変えるというような、かなりこれは発想自体が変わることになるわけですけれども、その前に今までやってきている、そして定着しつつある、あるいはスキルがある程度磨かれてきている部分を、どのように生かしたらいいかといった視点も重要ではないかと思っております。

 ですから、この指針それ自体をどう受けるかという議論もさることながら、ゼロベースとは言いませんが、もう少し広い立場から、ぜひご議論を進めていただきたいと思います。

 

【笹月部会長】  それから一方では、評価、評価で研究者の研究をする時間が割かれているという大合唱がありますが、また一方の見方からすれば、額が大きくなればなるほど、やはりきちんとした評価を受けることが、支援を受けている人にはその義務があるわけです。ですから、最近やたらに評価が悪の権化みたいになっていますが、それは評価のやり方、クオリティー、あるいは評価結果の応用の仕方で工夫すべき点はあろうかと思いますが、研究者というのは、お金をもらったからには、お金を受けたということと評価を受けることは一体のことで、当然のことだという意識も、また一方では啓発していかなければいけないのではないかということも最近逆にしきりに感じるところであります。

 それでは、少し時間が早いようですが、本日の会議はこれで終了とさせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。

 

【柿田計画官】  事務局から3点ばかりご連絡事項がございます。今回の議事録につきましては、部会の運営規則に則りまして、議事録の作成後に各委員の皆様方にご確認をいただきました後に、文科省のホームページにて公表させていただきます。次回の部会につきましては、10月ごろに開催させていただきたいと思いますので、また改めて日程調整をさせていただきます。本日の資料につきましては、机の上に置いておいていただければ後日郵送させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

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