第3期ナノテクノロジー・材料委員会 (第6回) 議事録

1.日時

平成18年8月11日(金曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省ビル 10階 10F4会議室

3.議題

  1. 平成19年度新規・拡充課題の事前評価について
  2. ナノテクノロジー分野別バーチャルラボの中間評価結果について
  3. その他

4.出席者

委員

北澤主査、相澤委員、井上委員、魚崎委員、遠藤委員、大泊委員、岡野委員、長我部委員、片岡委員、川合(知)委員、岸委員、榊委員、田島委員、玉尾委員、難波委員、野田委員、横山委員

文部科学省

野口科学技術振興機構調査役

オブザーバー

★永研究振興局長、藤木大臣官房審議官、大竹基礎基盤研究課長、高橋ナノテクノロジー・材料開発推進室長、氏原室長補佐、宮本学術調査官、田村調査員、野田調査員 他

5.議事録

(主査:◎、委員:○、委員外:■、事務局:●)
(1) 平成19年度新規・拡充課題の事前評価について
先端研究施設共用型イノベーション創出事業(ナノテクノロジー・イノベーション・ネットワーク拠点形成)
  資料2について氏原補佐より説明。主な議論は以下の通り。
 
委員  先端ナノステーションとナノ融合センターの区別がはっきり分からない。地域型は先端ナノステーションということでよいか。

事務局  地域でのイノベーションに対応していく機能は先端ナノステーションで負っていくことを考えている。

委員  これまでの支援プロジェクトの本部はどう関係するのか。

事務局  特色ある拠点間をネットワーク化していくために、これまで行ってきた総合支援センター機能は引き続き必要になる。人材育成、研究者間のネットワーク構築、情報収集・発信機能を担ってもらう。

委員  各施設を有効に、新たな発展のために利用していく考え方は非常に重要だが、その一方で目的外使用についてはどのように考えるか。

事務局  基本的には運営費交付金等において購入された機器が中心になる。外部の競争的資金等で購入した機器の扱いについては経理面から詰めていくことが必要。でき得る範囲内で、広く取れるような方法を模索していく。

委員  大学の中で自己規制がかかって厳しくなり過ぎないように、サイエンスや技術の発展が許される範囲で融合させていく方向はあってよい。

委員  UCLAに新たに設立されたカリフォルニア・ナノシステム・インスティチュートはプラットフォームのセンターであり、ここに投下されるサポートの資金はこれを維持するために使われるのであって、メンバーは外部資金を獲得して自分たちの研究を行う。そういう形にせず縦割りで考えていると、先ほどの指摘のような問題が起こり得る。

委員  地域型ではその地域を支援することが第一目標であることは分かるが、もう少し広く考えるのか。

事務局  主に地域を見てもらうが、特色あるコアの機器については全国を対象に利用してもらう。

委員  計算や理論の支援も事業の中に含まれるのか。

事務局  そのような取組も積極的に提案されるような形にしたい。

委員  研究機関が有する先端機器を活用し、ネットワークを作って研究開発を進めることが強調されているが、先端機器の高度化や進化に関してどの程度十分な予算が供給されているかが明確でないのではないか。

事務局  最低限まずは運転経費を確保し、プラスアルファの部分は予算規模による。

委員  重要なのはブレイクスルーやイノベーションであるから、先端技術・機器の高度化はかなり本質的な問題である。前回の支援プロジェクトではそうした予算の手当てがあまりなされていないようなので、予算をとってもらいたい。

委員  支援に従事している者に研究のインセンティブを与えないと伸びていかない。先端的な研究もさせることのできるステーションやセンターにしないとよくない。

委員  有限の予算の中でバランスを取りながら進めるという基本方針は従来のプロジェクトと同様。

委員  支援プロジェクトの予算で雇われた者はファンドを受ける面で非常に大きな制限がある。

主査  当委員会にワーキンググループを設置し、ナノテク総合支援プロジェクトの支援機関の評価及びナノテクノロジー・イノベーション・ネットワークの詳細についての検討を行いたい。

委員  日本の場合は、よい機器や建物がなければできないような感じが出ているので、研究開発イノベーションプラットフォームを発展させるコンセプトをもっと入れた方がよい。

委員  ポスドクや研究者の人件費をエフォートによって支援からと大学・研究機関からとで仕分けてよいのかはっきりしない。支援機関で雇用したポスドクが干上がっているのが大きな問題である。

委員  エフォート管理はできる。東大では特任教員の人件費をエフォートで分けることで専従義務から解放し、自由度を高めている。

事務局  エフォート管理さえきちんとすれば、半日ずつの雇用とし、午前と午後で別の身分に切り替えることもできる。

ナノテクノロジー・材料を中心とした融合新興分野研究開発(元素戦略)
  資料3について田村調査員より説明。主な議論は以下の通り。
 
委員  本事業を産学官連携型で実施するのであれば、戦略元素の特性理解・有効活用や機能の複合化・最適化については基礎的であり、まだ産が関与するには程遠い状況も考えられるのではないか。

事務局  全くゼロからという萌芽的な視点ではなく、要素技術の検証や実用化への見通しを付けるために産が関係する。

主査  研究規模全体としては産学官連携だが、その中のある一つの細かいところを見ると必ずしもそうなっていないケースもあるなど、うまく組み合わせて行うということではないか。

委員  「機能の複合化と最適化」という表現については別の理解もあり得るため引き続き検討されたい。

委員  基礎研究サイドの人が資金を受けて基礎研究を楽しんで終わってしまうことのないよう、産がどれだけ最後まで残って実際に物になるかという視点を持ってもらいたい。

主査  元素戦略についてもワーキンググループを設置させ、公募に向けて具体的な検討を進めるようにしたい。

ナノ計測・加工技術の実用化開発(次世代の電子顕微鏡要素技術の開発)
  資料4について野田調査員より説明。主な議論は以下の通り。
 
委員  電子顕微鏡に関する文科省の他のプロジェクトはないのか。

事務局  電子顕微鏡の要素技術を束ねた形でのプロジェクトは本事業のみ。研究プロジェクトとしてはCRESTや先端計測機器プロジェクトで電子顕微鏡関係の課題が採択されている例がある。

委員  本プロジェクトは実用製品につながる最終段階に来ていると思うが、産側からの資金投入はどうなっているか。

事務局  産側の自己負担も入っている。学や官が持っているシーズに産の技術を合わせて実際に組み立てるイメージである。

委員  電子顕微鏡で見たいものは各自でかなり違うが、「高度自動化」にはどのような意図があるか。

事務局  電子顕微鏡の機能の中にコンピュータを組み込み、あまり手作業を行わなくても操作できるようにしたいというのが基本的なコンセプトで、抽象的な表現をしているが、これからさらに中身を検討していきたい。

委員  電子顕微鏡の操作には手作業の部分が多いが、生産現場で品質管理をしてフィードバックをかけるための高度な自動化や、三次元の細胞構造の観察のための自動化などが必要である。

委員  基礎研究サイドが取り組むべき未知の学はまだあるのか。

委員  ユーザーが必要とするものが分からないと、技術サイドがそれを反映して作れないという問題がある。欧米ではより高度化できる部分に取り組み始めて日本が慌てている状況である。

委員  技術項目自体は前から分かっているのだが、それを高度化するというだけでよいのか。もう少し定量化して、学問的にどのレベルまで持っていこうとしているのかが分かるような内容の方がよいのではないか。

環境調和型次世代エネルギー源の実現に向けたバイオ燃料電池の開発
  資料5について氏原補佐より説明。主な議論は以下の通り。
 
委員  この検討の段階で原理その他について十分に議論されている内容か。

事務局  まだ詰め切っていないが、持ち運び用の小型電源を目指すのであれば電流密度の向上といった方向性があり得る。まずは触媒の性能の向上が大きな課題になる。

委員  原理からきちっと検討しないと、狙いの実現が非常に難しい。

委員  バイオ燃料電池の定義自体が明確にはない。モバイル電源等の酵素を使ったときに、普通の燃料電池に比べて対面積、対体積のパワーなどが上がるのか、酵素の回転、触媒活性はそううまくいくのかという大きな疑問がある。本当にバイオ燃料電池で要求性能を達成できるのかという根本的な評価が必要である。

マイクロ・ナノ流路デバイスによるその場検診の実現
  資料6について氏原補佐より説明。主な議論は以下の通り。
 
委員  この種の研究は厚生労働省などいろいろな省庁でたくさんある。文科省としてはバイオチップの基本技術的なところに絞って実施した方がよいと思う。

委員  原理が抜けている。現在分散していろいろと動いているプロジェクトと差別化ができない。文科省として実施するならばどこかに特徴を出したプロジェクトに絞り込む必要がある。

主査  「バイオ燃料電池」及び「ナノ流路デバイス」については、評価結果はペンディングとしたい。

委員  この2つ以外の施策の候補はないのか。

事務局  現在は概算要求を行う上で審議会を通すなど手続きが増えている。今回示したものをすべて予算要求できるわけではないが、あらかじめ考えているものを事前に示しておかないと要求の可能性が阻まれてしまうため、準備不足ながらまずは意見を伺ったということである。今回審議いただいた課題が必ず予算化されるということではなく、特にこの2課題についてはさらに詰めていきたい。

主査  事前評価票(案)についてはさらにブラッシュアップし、研究計画・評価分科会に示していくことにしたい。

(2) ナノテクノロジー分野別バーチャルラボの中間評価結果について
  ナノテクノロジー分野別バーチャルラボの中間評価結果について、資料7により野口科学技術振興機構調査役から説明。主な議論は以下の通り。
 
委員  来年、ほぼ100を超えるプロジェクトが一斉に終わる。よい研究評価をするのであれば、それをきちんとフォローしていくのも文科省としては大事である。

主査  現在のナノテクバーチャルラボが一斉に終わり、皆が路頭に迷う状況にならないように、3年程度に渡って徐々にならした形でつながることを考えている。

委員  評価結果を見ると全体としてうまく行き過ぎており、逆にリスクをとっているのか心配されるのではないかと思う。

委員外  あくまで中間評価であり、よりよい形で終了するためにアドバイスを受けている。確かに厳しい内容もあったが、対応できるよう努力しているところ。

委員  ナノテクバーチャルラボ全体としての意義あるいは運用状況の中間評価はないのか。

主査  今のところないが、ナノテクバーチャルラボという形で大括りにするメリットとして、領域ごとの情報交換のためにシンポジウムや国際会議を開催したりしている。

委員  ナノテクバーチャルラボとして集約されている強みが対外的にアピールになっているかという点は運営上の問題である。
  以上

お問合せ先

研究振興局基礎基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室

(研究振興局基礎基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室)

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