原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第17回) 議事録

1.日時

令和5年12月7日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況について
  2. 原子力システム研究開発事業の中間評価について
  3. 今後の原子力科学技術に関する政策の方向性について
  4. その他

4.出席者

委員

寺井主査
黒﨑主査代理
秋山委員
石川委員
尾崎委員
小澤委員
高木委員
松浦委員
和田委員

文部科学省

竹之内 原子力課 課長補佐
髙倉 原子力課 課長補佐

オブザーバー

日本原子力研究開発機構 経営企画部 岩元様

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第17回)
令和5年12月7日

【事務局】  定刻になりましたので、第17回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。今回の作業部会はオンラインにて開催しており、これに関連して確認事項等がありますので、議事に入る前に事務局にて進めさせていただきます。
まずオンライン開催に際して留意事項をご説明いたします。委員の皆さまにおかれましては、現在遠隔会議システムWebex上で画像および音声の送受信ができる状態となっております。ご発言を予定される場合は挙手ボタンを押していただくと、画面の左上に挙手マークが表示されますので、順番に主査よりご指名をいただきます。もう一度ボタンを押すと挙手マークが消えますので、発言をいただいた後、挙手ボタンを押して、手を下ろしてください。
会議中にビデオ画像および音声が途切れている場合はその時間帯はご退室されているものとみなします。遠隔会議システムの接続の不具合が生じた場合は随時事務局宛にお電話にてお知らせください。
傍聴されている方におかれましては、ビデオ画像および音声をオフとしてください。議事進行の妨げとなる行為を確認した場合は、遠隔会議システムからご退室いただきます。
議事録につきましては、事務局にて会議を録音し、後日文字起こしをいたします。事務局以外の方の会議の録画、録音はお控えください。
以上が本日の進行にあたっての留意事項となります。
続いて、本日の配布資料の確認をさせていただきます。今回は委員の皆さまおよび傍聴を登録された方宛にメールにて配布資料をお送りさせていただいております。議事次第を配布しておりますが、本日の議題は4点ございます。1点目が「原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況について」、2点目が「原子力システム研究開発事業の中間評価について」、3点目が「今後の原子力科学技術に関する政策の方向性について」、4点目が「その他」です。配布資料といたしましては、資料3つ、参考資料を3つ用意しております。お手元の資料をご確認いただき、不備等がございましたら事務局までお知らせください。
またその他に何かございましたら随時事務局にお申し付けください。本日の議題は今申し上げた通りでございまして、時間は17時までを予定しております。
続いて、委員の皆さまのご出席状況については、事前に事務局にて確認させていただいております。本日は9名の委員にご出席いただき、運営規則の第3条に規定されている定足数の半数を満たしていますのでご報告いたします。また本日オブザーバー参加として日本原子力研究開発機構経営企画部の岩元様にご出席いただいております。
事務局の参加者について、本日は文部科学省から研究開発局原子力課課長補佐の竹之内と私、髙倉が参加しております。
それではここから議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。また第6条に基づき、本日の議事録につきましてもホームページに掲載いたします。事務局からは以上です。ここからは寺井主査に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【寺井主査】  主査の寺井でございます。本日はよろしくお願いいたします。
本日の議題はお手元の議事次第にあります通り、議題1から議題4まででございます。
 それでは本日、最初の、1番目の議題でございます。原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況について、でございます。文科省殿より説明をお願いします。
 
【文科省】  ありがとうございます。本日は内局事業の原子力システム研究開発事業と、国際原子力イニシアティブ事業の活動報告と公募の話がメインとなっております。
 まず2ページ目、こちらは令和6年度の概算要求となっております。今年度予算としては1,470億円であり、令和6年度は1,883億円、そのうち1,703億円がJAEAの交付金になっております。概要に関しましては、カーボンニュートラル・エネルギー安全保障に資する革新原子力に係る技術開発、原子力科学技術による多様なイノベーション創出や研究開発・人材育成の基盤の強化、東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ確実な廃止措置に係る研究開発・人材育成に取り組みつつ、日本原子力研究開発機構の施設のバックエンド対策を着実に推進すること。加えて、被災者の迅速な救済に向けた原子力損害賠償の円滑化等の取り組みを実施する内容になっております。以下、詳細は割愛させていただきます。
 3ページ目、こちらは原子力関係学科・専攻の入学者数の推移になっております。ご覧の通り、博士課程も含めまして全体的に原子力入学者数が減少しているということがうかがえます。
 4ページ目、我が国の試験研究炉の現状としまして、原子力分野の人材育成を行う上で重要な試験研究炉については、その多くが建設から40年以上経過するなど、高経年化が進んでおります。新規制基準への対応等により、これまで通りの運用が困難な状況になっており、1995年では20基運転していたものが、現在では6基。運転再開予定を含めると、我が国の試験研究炉は茨城県で5施設、大阪府で3施設となっており、国内での研究用に使用できる試験研究炉が減ってきていることから、人材育成の観点からも重要な問題であります。
 5ページ目以降、ここからは原子力システム研究開発事業の話になります。文部科学省では基礎・基盤研究開発、経済産業省では技術開発支援としており、開発に関与する主体が有機的に連携し、基礎研究から実用化に至るまで連続的にイノベーションを促進するNEXIPイニシアティブというものを経済産業省と共に推進をしております。そのうち文部科学省では、原子力システム研究開発事業のなかで基盤チーム型、ボトルネック型、新発想型の3つの型式で委託公募を行っております。
 7ページ目は令和5年度の公募概要になります。
基盤チーム型は、産学官の知見を結集してチームで取り組むプラットフォーム型の研究開発事業になっており、研究期間は4年間、年間当たりの予算は1億円程度のものとなっております。
次にボトルネック課題解決型は、社会実装を目指す上で具体的なボトルネックとなっている課題を基礎・基盤に立ち返って研究開発を実施する事業になっており、期間は3年間、予算は年間3,000万円程度のものとなっております。
新発想型は、一般と若手に分かれており、特定のテーマを決めず、挑戦的・ゲームチェンジングな研究課題を推進する事業となっており、研究期間は3年間、予算は一般で2,000万円、若手が1,000万円になっております。
 8ページ目には具体的なテーマを示させていただきました。令和2年度から令和4年度までの公募における応募実績のテーマと部会等でのご意見を参考に、PDPOによる検討を踏まえた上、これらテーマを示させていただきました。(1)燃料・材料分野、(2)プラント分野、(3)システム分野、(4)再処理、核変換分野、これらの分野において、計算科学技術を活用した研究開発の加速という基盤チームの趣旨に則ったテーマを推奨し、1つのテーマに縛られない横断的な提案を期待してテーマを設定させていただきました。
 9ページ目、ボトルネック課題解決型については、これまで具体的なテーマ設定はしておりませんでしたが、今年度からNEXIP参画事業からのアンケートとヒアリングを行い、PDPOのご意見を踏まえ、産業界が有する実用化ノウハウ・的確なニーズを把握する能力と、学術界が有するより先端的・基礎基盤的な研究開発能力を融合し、将来的な炉型コンセプトにつながる、より具体的なテーマとして、丸1 DX技術を用いたプラントエンジニアリング、丸2 安全評価に向けた解析コード、丸3 免震技術・免震評価、丸4 原子炉を用いたRI製造、この4つを示させていただきました。
10ページ目は公募結果となっております。基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型(一般、若手)の4つのテーマで計26件の提案がございまして、審査を踏まえそのうち8件が採択されております。
内訳としては、基盤チーム型:1件、ボトルネック課題解決型:1件、新発想一般:5件、新発想若手:1件となっております。以上の採択課題は10ページ目11ページ目のスライドに示させていただいております。
 12ページ目、こちらは現在予算要求中のものですが、来年度の公募概要を示させていただきました。基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型についてはそれぞれ今年度と同様ですが、これに加え、特定課題推進型というものを設けさせていただく予定となります。こちらは各種の原子力政策で示された、重点的に取り組むべき課題に対し、解決の糸口となる基礎・基盤研究開発を実施するテーマとしております。期間は3年間、予算4,000万円程度としております。
 13ページ目、原子力システム研究開発事業の公募方針としては、NEXIPイニシアティブの一環として、原子力関連技術のイノベーション創出につながる新たな知見の獲得や課題解決を目指し、引き続き現在の研究課題を支援していきたいと考えております。黄色のところで書かせていただきましたテーマ例としましては、基盤チーム型、ボトルネック型は燃料・材料分野、プラント分野、システム分野、再処理・核変換分野等の幅広い分野を横断的に活用した研究開発、将来性、炉型コンセプトにつながるシミュレーションや安全評価等の実用化に向けた研究開発といったように、今年度と同様のテーマとしております。また、来年度より、令和5年度の2月28日に閣議決定されました原子力利用に関する基本的な考え方として、令和6年度ではその中で示された重点的に取り組むべき個別課題に対し、新たな特定課題推進型を設け、基礎・基盤研究が確立されていない研究を支援することしています。具体的には核燃料物質の有効活用や迅速かつ容易な処理を実現するための安定化処理技術や、令和4年にアクションプランが示された、医療用ラジオアイソトープの製造に関する研究等を推奨しております。
 続いて、14ページ目以降は、国際原子力人材育成イニシアティブ事業についてです。
15ページ目、近年、単独の機関で維持できなくなってきている教育、また教育基盤、施設・装置、技術等の資源を結集し共通基盤的な教育機能を補い合い、拠点として一体的に人材育成をする体制を構築し、複数の機関が中長期的な視点で我が国の原子力分野の人材育成機能の維持・強化を図る目的で令和3年にANECが立ち上がりました。こちらそのANECの中の5つの柱になっております。丸1 体系的な教育機関のカリキュラムの共用、丸2 原子力施設等における実習・実験の実施、丸3 国際機関や海外の大学との連携、丸4 産業界との連携、丸5 マネジメントシステム、この5つになっております。
 具体的な体制としましては、16ページ目に示しております。カリキュラム、国際、実験・実習、産学連携グループがあり、これらの下にワーキンググループが設置されております。またこれらの他に、ANECと緩やかに連携する、個別課題というものも設定させていただいております。
 17ページ目、こちらは参考になりますが、今年度の12月現在で59機関がANECの参画機関となっております。
 18ページ目、本事業に関しましては、令和5年度は新しい公募は行いませんでしたので、原子力関係学科が減っている中で、部会等でもご意見をいただきました、大学よりもより若い世代の学生へのアウトリーチ活動として「集まれ高校生!原子力オープンキャンパス」というものを開催いたしました、これは、近畿大学の原子炉を用いた高校生に向けたアウトリーチイベントであり、今年の8月24日に実施しております。高校生の参加者は30名、参加機関としてANECに参加していただいている大学、企業、機関を中心に計21機関から参画をいただきました。イベントでは第一部として、中性子ラジオグラフィ等、近畿大学の有する原子炉を使用した実験を通して原子炉に触れる機会を提供し、続く第二部ではオープンキャンパスとして、ANECの参加している大学を中心に原子力を体系的に学べる大学、および大学卒業後の進路である企業・研究機関をブース形式で紹介。原子力を学べる大学の紹介から卒業後の就職をイメージし、直接対話ができる場を設けさせていただきました。
イベント終了後、参加した高校生に対しアンケートを行った結果、「満足・とても満足」という回答が100%得られ、次年度以降もこのイベントを継続してほしいという意見から来年度以降も継続することに決定いたしました。
 19ページ目、こちらについても現在予算要求中ですので、予算が決定の後に詳細が決定いたしますが、来年の公募の方針になります。丸1 カリキュラムグループ、丸2 国際グループ、丸3 実習グループ、丸4 産学連携グループのANECの一部として実施していただく課題を公募する予定になっております。例えば、求める人材を的確に把握し、産学官の関係機関の連携による、原子力分野の人材育成体制・基盤の整備や教材・実習プログラムの開発といった、機関横断的な取り組みを支援いたします。テーマ例としましては、丸1 放射線、医療用RI、社会科学といった原子力の応用領域・関連領域における人材育成プログラムの構築、丸2 核燃料物質等の管理に係る専門人材の技術継承のための体制・基盤構築や、リスキリング・リカレント教育等、学生以外を対象とした人材の育成プログラムの構築を推奨しております。
 これ以降は参考資料になりますため、以上で説明を終わります。
 
【寺井主査】  髙倉補佐、どうもご説明ありがとうございました。それでは今回いただいている話は研究開発、人材育成に関する現在の取り組みと、この委員会絡みの話の背景ですね、それから原子力システム研究開発事業の令和5年度および来年度の計画、それから国際原子力人材育成イニシアティブの今年度の実績と来年度の計画というような内容でお話をいただきました。それではご自由にご意見、コメント等いただければと思います。ご質問でも結構ですが、いかがでしょうか。Webex上で挙手をお願いいたします。小澤委員、どうぞ。
 
【小澤委員】  小澤でございます。どうもありがとうございます。全体としてちょっと去年と同じような感じかなと思うのですけれど。GX実行会議でかなり変わってきたのだと思っております。ですから気持ちは切り替えていかなければいけないなという思いで少し話をさせていただければと思っております。
 2ページ目の予算のところも冒頭からカーボンニュートラル、エネルギー安全保障と書いてありますので、前からの研究開発モードとともに、2050年のカーボンニュートラルに向かって高温ガス炉とか高速炉もいかに世間に貢献できるかという目で研究開発の計画を練っていただければいいのかなと思っております。
それから4ページ目の我が国の研究炉の現状については、これは前からも申し上げている話ではありますけれども、日本全体として欠けている機能というものがやはり出てきているのだろうと思いますので、その辺も見捨てずに検討を続けていただければと思います。あとこのページの右下のところに「民間企業の研究炉は」となお書きで、注意書きのように書いてありますけれども、これも過去、私の生まれる前になりますけれども、原子力平和利用研究補助金でしたか、国の全体の費用として使わせていただいたり、昔の動燃さん、原研さんの技術者の育成だとか、RI製造だとか、そんな研究をやってきていただいたりしたものですので、ぜひともこの日本地図の中に入れて全体として議論した方がいいのかなと思っております。いずれにしても各企業とか個別の学校が施設を持つ時代ではなくなってきていると思っておりますので、全体の設備の構築というのも大事な論点だと思っておりますので、今後の議論かと思っております。
それからNEXIPにつきましては、これも毎回お話していることではありますけれども、どちらかというと経済産業省が民間といいますか、ビジネスとしてやっていこうと、そこに左側の基礎・研究基盤ということで、どちらかというと研究機関が中心になってやっていく話かなと思いますので、ぜひとも研究機関、大学が率先してやって、そこに民間企業がビジネスとして協力していける、ビジネスをやっている立場で協力していくようなうまい連携ができていけばいいのかなと思っております。私からは以上です。ありがとうございました。
 
【寺井主査】  どうもありがとうございました。ほとんどコメントだったと思うのですけれども、文科省さん何かご回答などございますか、いかがでしょうか。
 
【文科省】  ありがとうございます。原子力課の竹之内でございます。3点いただいたかと思いますけれども、まず全体の予算の見せ方についてはご指摘の通り大きな枠組みは前回と変わっていないわけですが、このあと議題3でも扱わせていただければと思っておりますけれども、今後の方向性については今、昨年度からGXの方針ということで政府全体の方針も示されておりますので、それを踏まえて文科省としても取り組むべき方向性というのを示した上で予算の枠組みについてもそれに沿った形にできればと考えております。当然次世代革新炉というところでは、大きなポイントになってきますので、特にガス炉、それから高速炉については経産省とも連携をしてしっかり取り組んでいければと思っております。
 次の試験研究炉の部分につきましてはご指摘の通りで、今なかなか1つの大学ですとか、企業で維持していくのは難しい状況になっているというところがありますので、特に原子力機構の方でもいろいろな要求がある中、すべてを一気にやっていくということは難しい状況ではありますけれども、昨年にはこの作業部会でも今後の試験研究炉の方向性というところもご議論いただきましたけれども、優先順位を付けつつ必要な機能が効率的に補えるような、そういった方向性を打ち出していければと考えております。
 それから原シス事業の方、これはもう長年やってきている事業ではありますけれども、昨今の政策の動向ですとか、そういったものを踏まえながら、せっかくこの経産省と一緒に取り組んでいるNEXIPイニシアティブという枠組みがありますので、そこでうまく接続してつないでいけるよう、常に仕組みを変えながらより良い具合にできればと考えております。以上です。
 
【寺井主査】  ありがとうございました。それでは高木委員、お願いいたします。
 
【高木委員】  ありがとうございます。では私の方からは、資料1のスライド18枚目の令和5年度国際原子力人材育成イニシアティブ事業の活動についてお伺いしたいと思います。こちらは高校生30名に対し参加機関が21機関もあって、第一部の原子炉実験に加えて、第二部の大学や企業、それから研究機関についてブース形式で紹介するということで、アンケートでも満足との結果が100%というもの非常にうなずける、非常に濃密で素晴らしいプログラムだと思います。
そこでお伺いしたいのですけれども、参加した高校生はどのエリアから参加しているのかということと、参加にあたって例えば旅費等の補助はあったのかということです。というのは私も地方出身ですので、こういった機会にアクセスしたくても距離的に難しい学生がいるということが想像できます。この点については、近畿大学でのプログラムと全く同じでなくても、独自のプログラムでよいと思いますので、こういった受け入れ機関を増やして、少しでも近い地域で参加できる機会が増えればと期待します。
先ほどのご説明で、これも公募ということなので公募がなければ成り立たないのかもしれませんけれど、いろんなところが手を挙げやすいような、そういう働きかけをしていただけるといいなと思います。また、保護者の方で、原子力の分野に進ませることについて不安のようなものをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。今回の写真からはわからなかったのですが、保護者の方の見学の受け入れ、同行・付き添いというか、そういう受け入れもあると、そういった不安を払拭することに寄与すると思います。
就職活動の就活セミナーというのは、おそらく学生本人だけで参加すると思いますので、こういった機会に保護者の方を巻き込むというのも、学生の原子力分野に対する興味関心やモチベーションの向上、ひいては高めで安定化することに有効なのではないかと考えております。以上になります。ありがとうございます。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。いくつかご質問が出ておりますので。これは髙倉さんお願いします。
 
【文科省】  ありがとうございます。参加されている学生に関しましてはやはり関西地方の近隣の高校生がほとんどでしたが、中には関東から参加されている方も数名いらっしゃいました。高校生ですので保護者同行で参加されている方も結構いらっしゃいまして、実験に関しては一緒に中に入れなかったのですけれど、オープンキャンパスのブースには、保護者の方もそれぞれ、興味のあるブースに参加して、活発に保護者の方も質問されていたなという印象があります。
旅費に関しましては、今回学生の費用の補助はしておりません。来年度、関東でやる計画になっており、今後は各地方でできるような形で計画を進めております。今回は、どれくらいの学生がどれくらいの規模で来るのかというのを試験的に一回行いました。
 
【高木委員】  わかりました。ありがとうございます。
 
【寺井主査】  どうもありがとうございました。それでは石川委員お願いします。そのあと黒崎委員お願いします。
 
【石川委員】  ご説明ありがとうございます。少し確認なのですが、原シス事業で基盤チーム型とボトルネック課題解決型はテーマ例みたいなものをもともと定義してあったということなのですが、新発想型はもう全く名前の通り自由な発想でということで募集をしたのでしょうか。
 
【文科省】  ありがとうございます。仰る通り、基盤チーム型とボトルネック型に関してはテーマ設定をさせていただいたのですけれど、新発想に関しましてはそれぞれ自由な発想で公募していただくという主旨ですので、テーマの設定はしておりません。
 
【石川委員】  ありがとうございます。採択課題もなかなかユニークな研究テーマになっていると思いまして、こういうところからイノベーションとか学生を惹きつけるような新しい原子力科学技術が生まれてくるのではないかと思いますので、引き続きこういう研究者の自由な発想で申請ができ、提案ができるような仕組みがあるといいと思います。以上です。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。それでは黒崎委員、お願いします。
 
【黒崎委員】  ありがとうございます。私の方からは2つございまして、1つが原シス事業の話です。こちらは先ほどの話と同じなのですけれど、新発想型の若手の話について少しお伝えしたいことがあります。やはりこれからの原子力業界は若手がすごく重要ということで、まずこういった枠組みで若手の支援をしてくださっていることは、非常にありがたい話だなということを感じています。特に金額としては1,000万円以下、年額ですね、間接経費込み、3年以内ということで、若手にとっては比較的大型の予算というので、そういったものを自分で管理しながら自分の裁量で研究ができるという、非常に良い機会を与えてくださっていると思っています。ただ一方で、若手に関して前回応募者の数が出ていましたけれども、そんなに応募者がいなかったということで、少し残念だなというふうに思いました。せっかく良い制度を作ってくださっているので、やはりたくさんの人に応募していただくということが重要だと思いますので、その辺りのアナウンスというのをしっかりやっていただければなと思いました。これが1つ目です。
2つ目が、試験研究炉の話がありました。試験研究炉の数がどんどん減っていっているということはまさにその通りで、しかも原子力の人材育成にとって、こういった実験できる場としての試験研究炉は非常に重要です。特にこれは自身のことにはなるのですけれども、京都大学のKURも2026年には運転を停止するというようなことにもなっており、そういった危機的な状況というのがきちんと分析されているなと思いました。一方で我々はこれからなのですけれども、こういった試験研究炉の運転を停止したあとは廃止措置というのに入っていきます。この廃止措置というのも非常に実は重要な場になると思っていまして、もちろん粛々と廃止措置をしていくということに加えて、廃止措置絡みの研究、人材育成というところもできる場だと思っております。ですから廃止したらそれで終わりというのではなくて、継続的にこういった試験研究炉については文科省さんの方でもウォッチしていただく、あるいは廃止措置のサポート・バックアップをいただけると非常にありがたいと思っています。私の方から、以上2点でした。
 
【寺井主査】  どうもありがとうございました。黒崎先生は確か人材育成の方の事業のPOをされているのですよね。ありがとうございます。いずれにしても若手へのアナウンスをお願いしますということと、試験研究炉の現状を踏まえての話と、廃止措置ですね。これに関する学術化という、その辺りのコメントかと思います。文科省さん、いかがですか。
 
【文科省】  ありがとうございます。若手に関しましては、今年度、公募の件数が少なかったので、何名か若手の先生方にヒアリングをさせていただきました。この1,000万円というのが多いという意見や、3年間が長いという意見、逆に3年間は短い、1,000万円では少ない等々、多様な意見がございました。今回も1,000万円では多いという方にとってはなかなか手が出なかったのかなという感じがいたします。アナウンスとしては、若手の研究者の方にアンケートとヒアリングの際、原シスの新発想型の紹介をしましたので、来年度、今年よりは応募があるのではと期待をしております。引き続き学会等でもアナウンスをさせていただこうかなと思っております。
また、試験研究炉につきまして、京大のKURもそうですけれどもこれから廃止措置になっていくもの、それからもうすでに廃止措置に入っているものもたくさんありますが、その中で廃止措置に関わる研究開発がこれから重要になってまいりますので、なかなか1つの大学でできないところもあると承知しておりますので、文科省としてもどういう手立てがいいのかというところを検討しながら、今まさにもんじゅサイトの試験研究炉の方では京大の先生方にも大変ご尽力いただいているところですけれども、その辺りを合わせて取り組みを進めていければと思っております。ありがとうございます。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。廃止措置の話というのは極めて重要で、これは廃止措置を実際にやるということと同時に、やはり文科省さんですから特に大学との関連の中で廃止措置を学術的な領域まで高めていくという辺りも重要なのかなと思います。私も黒崎先生と同じような意見を持っておりますので、ぜひその辺の施策も含めてよろしくお願いをしたいと思います。ありがとうございます。
その他には特に手は挙がっていないようです。ありがとうございました。
それではこれで1番目の議題を終わらせていただきます。こちらにつきましては、令和6年度の原子力システム研究開発事業と原子力国際人材育成イニシアティブ事業ですね、これのご提案が今日あったところですが、特にこれについて大きなご反対はないと受け取りたいと思いますので、この方向でこの事業を継続していただいて、ということかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは次に2番目の議題に移らせていただきます。次は原子力システム研究開発事業の中間評価についてということでございます。先ほど今年度と来年度の計画がありましたけれども、この原子力システム研究開発事業というのを事業としてどういう形で評価するかということでございます。実は本件は先ごろ第34回の原子力科学技術委員会にて審議・決定をされておりまして、その内容のご紹介ということになります。すでに決まった話ですけれども、今後の原子力システム研究開発事業を考えていく上でご参考になるかということで、今日文科省さんからご説明をいただきたいと思います。それでは髙倉補佐よろしくお願いいたします。
 
【文科省】  ありがとうございます。表紙を飛ばして3ページ目をお願いします。
原子力システム研究開発事業は平成17年から開始しております。本事業は終了時期というものが決定していない事業になりますので、5年毎の中間評価を行っております。前回は平成30年に行いまして、今回令和5年度ということで中間評価を行いました。本事業の目的としましては、エネルギーの安定供給を図るため、脱炭素化の観点から世界的に加速する革新炉の開発に我が国の国際競争力を維持、向上するため多様な原子力システムに関し、革新的な技術開発を進めることを目的として設置されております。この下は平成30年度の評価になっておりますので、5ページまで進んでいただければと思います。体制としまして、全体的な課題の管理をPDが行いまして、POによる各課題の進捗管理を行いまして、PDPOの運用のもと課題管理を行っております。その下の今年度の採択課題に関しましては先ほどご説明しましたので割愛させていただきます。次の7ページ目、その他というところに、各関連省庁との連携の状況としまして、年に1回NEXIP交流会として本事業の関係者と資源エネルギー庁の関係機関での意見交換会を設ける場を開催しております。
9ページ目、こちらが中間評価票になっております。プログラム全体に関連するアウトプット指標として学会での発表件数、論文数等。アウトカム指標としましては、中間、事後評価のうち、研究計画通りに成果があげられたものを「A評価」として、その件数を割合で示しております。平成元年から令和3年まで、A評価以上の割合90%以上を維持しておりまして、高い評価をいただいております。
次のページが課題の進捗状況になっております。ちょうどご説明させていただきました基盤チーム型、ボトルネック型、新発想型を設けております。その研究成果につきましては、国会図書館への納本、学会、論文等での発表を通じ広く公開することに努めており、また令和3年度からは産学官の連携の場としてNEXIP交流会を開催し、関係者の情報交換や意見交換の場を設け、さらなるイノベーションにつなげております。
次のページから必要性、有効性、効率性を示させていただいております。必要性に関してはエネルギー基本計画を踏まえた事業であり、社会ニーズを的確に反映しているという判断をさせていただいており、原子力システムに係る研究開発は国が主体的に取り組むべき事業であるという判断をされており、社会ニーズという面では直近5年間における公募の平均倍率は5倍と、本事業のニーズが高いことを示しております。有効性に関しましては、外部有識者の事後評価委員会において研究成果を評価し、当初の目的にあった成果が達成されていると認識されており、成果目標に十分に見合ったものであると評価をいただいております。効率性に関しましては、事業の実績にあたっては外部有識者による評価に基づいて、優れた提案の採択を行う競争的資金制度の1つとして運用しており、PDPOの管理のもと各課題を有効的、経済的に推進することで、原子力システム研究開発事業の効率性を確保しているという判断をいただきました。その結果、研究開発が我が国の生活や経済を支えるエネルギーの安全で安定な確保につながるものである、社会競争力の確保に寄与することから本事業は、継続して実施するべきである、という判断をいただきました。以上になります。
 
【寺井主査】  どうもご説明ありがとうございました。通常、最近の事業は期間が決まっていて途中に中間評価が入ったり、終わったあとに事後評価が入ったりするのですが、これは終了期間が決まっていないものですので、5年おきに中間評価を行うということになっているということでございます。結論は先ほどありましたように事業の継続は妥当であるということでございますが、今日のご説明につきましてご質問、ご意見等ございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。特にご意見はございませんでしょうか。
この事業はずっと以前から継続してきておりますし、特に経産省とのコラボレーションでNEXIP事業という位置づけで近年は運用してきているということで、成果も非常に上がっているということです。そういうこともあり、最終的に研究計画評価分科会で、これは適切な事業であるというふうに審査をされたということでございます。
松浦委員どうぞ、お願いします。
 
【松浦委員】  ありがとうございます。本事業はぜひ今後も継続していっていただきたいのですが、最後に説明をされていた今後の研究開発の方向性ということで、理由の最後に国際競争力の確保に寄与してきたところであるというような文言があって、個人的なことではあるのですが、なかなか最近は日本と海外との原子力の分野での競争力の差というのが広がっていくのではないかなというところを心配しておりまして、そういうところで具体的にこの審査の中で、どういうところが国際競争力の確保に寄与してきたという話があったのかなというのを、知っておきたいなと思いまして。質問させていただけますでしょうか。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。私も全部を知っているわけではないのですが、いろんなところで新しい技術開発をやってきたというあたりかなというふうに思います。個別の内容については、今日は触れられておりませんけれども、それぞれの具体的な課題の中で最先端の研究を実施されてきて、それが将来的な産業の国際競争力にもつながるだろうと、非常に研究のクオリティは高いというところがベースになっているのかなという理解をしております。文科省さん、いかがですか。
 
【文科省】  ありがとうございます。具体の事例は、今回は評価票の中にはあまり多くはないのですけれども、ひとつ12ページの新しい知の創出への貢献というところで、ARKADIAというものを挙げさせていただいております。JAEAが進めている高速炉の設計をシミュレーションで行っていくというものでして、これは実際JAEAの方から今年の8月にプレスリリースでも出ていますけれども、この原シスで始まった取り組みが、こうした今の次世代革新炉の取り組みにもつながっていくということで、世界的にも通用するような研究成果が出ているというところがあります。この事業は本当に幅広く進めていますので、一概にこの部分だけ、というわけではありませんけれども、この事業の主旨としてそれぞれの、なかなか直接的に出口までつながらないところもありますけれども、こういう事例としては国際競争力の強化にもつながるようなものも出てきているのではないかというふうに考えております。
 
【寺井主査】  松浦委員、いかがでしょうか。
 
【松浦委員】  ありがとうございます。具体例も示していただいてわかりました。どうもありがとうございました。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。たぶんこの事業で行われた研究の成果についてはすべて公開になってございまして、先ほどは国会図書館というお話でしたけれども、それぞれの学会の研究発表会あるいは論文の形で公開されていますので、広く使っていただける結果が得られていると理解をしてございます。ありがとうございます。
それではその他の方なにかございますか。特に手は挙がっていないようですが。よろしいでしょうか。いずれにしましてもこの事業は継続ということで先ほどの議題1でありました令和6年度の概算要求もまとまりつつあるという、そういう状況かと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
それでは3番目の議題です。今後の原子力科学技術に関する政策の方向性についてということで、これも今日はまさにキックオフというタイミングでございまして、実際に今後文科省さんの原子力政策はこの後かなり具体的なものをご検討になられるわけです。それはたぶん次回以降の作業部会のところでまたご提案されると聞いております。今日はそのキックオフということで2ページだけの資料ですけれども、ご説明を竹之内補佐からお願いいたします。
 
【文科省】  ありがとうございます。それでは資料3をご覧いただければと思います。今後の原子力科学技術に関する検討の進め方でございます。寺井先生からもご紹介いただきましたけれども、文科省として今後の原子力科学技術に関する検討を議論していきたいというふうに考えております。まず背景と基本的な方針のところですけれども、昨年来GX実現に向けた基本方針ですとか、原子力関係閣僚会議の方で今後の行動指針というものが決定されたという経緯がありまして、日本の原子力政策に関する政府としての方針が示されてきたという背景がございます。一方、文科省としましてもエネルギー利用という部分だけではなく、原子力科学技術全体を所管する省庁としまして、こうした政府全体の方針に基づいて、今後どういう方向で技術の推進を進めていくかというものを議論していきたいと考えております。
まず、スケジュールですけれども、当面の検討課題についてはこの後ご説明したいと思いますけれども、この原子力科学技術委員会のもとでこうした議論を進めていく、特に人材作業部会ですとか、バックエンド作業部会といったものがこの原子力科学技術委員会のもとにあるわけですけれども、その枠組みを通じて、来年の夏前くらいまでに議論を進めさせていただければと考えております。
次のページ、こちらは議論のたたき台という形で、基本的な方針をとりまとめております。まず基本的な考え方ですけれども、原子力はGX、カーボンニュートラルの実現、それからエネルギー・経済安全保障等に資する重要な技術であります。文科省としてはこうした基礎・基盤的な研究ですとか、大型の研究施設の整備、利活用の促進、また人材育成、これも重要でございますけれども、こうしたものを始めとする幅広く原子力の科学技術を積極的に推進していくべきというのが基本的な姿勢でございます。その中で、当然ですけれども、丸1 安全(・安心)の確保、これを大前提とした政策の推進、また丸2 原子力科学技術に関する中核的な基盤の構築・発展、丸3 課題対応に向けた社会共創に関する取り組みの強化といったものを基本的な姿勢としまして、この1~5というところで書かせていただいていますけれども、こうした部分に関しての検討を進めていきたいと思っております。
1つ目は、新試験研究炉の開発・整備の推進というところでございます。これはまさに今、「もんじゅ」サイトを活用した新試験研究炉の開発・整備に取り組んでいるところでございまして、またJRR-3の安定的な運用・利活用というものが重要になってくる、これは基盤の整備だけではなくて人材育成にもつながる大変重要なものということで1つ目に掲げさせていただいております。それから2つ目ですけれども、次世代革新炉の開発に資する技術基盤の整備・強化でございます。これは最初の議題1の時に予算の資料でも掲げさせていただいていますけれども、まさに今、次世代革新炉ということで、高速炉、高温ガス炉についての取り組みを進めているところでございます。今「常陽」については運転再開に向けて鋭意作業を進めているところでございますけれども、今後の運用の方針ですとか、また「常陽」については運転再開できたあとも、それに使う燃料が数年でなくなってしまうといった問題がありまして、燃料をどうやって作っていくのか、確保していくかといったところが大変重要な課題になっております。せっかく運転再開が果たせてもその後運転継続がままならないということになってしまっては、元も子もないわけでございまして、その辺り具体的にどういう確保の方向性があるかといったところを1つの柱として検討していきたいと考えております。3つ目でございますが、これも先ほどご指摘いただいた部分もありますけれども、廃止措置を含むバックエンド対策の抜本的強化でございます。(1)、(2)、(3)とありますけれども、(1)の部分で「主要施設以外の廃止措置促進に向けた仕組み整備」と書いております。主要施設というのは具体的には原子力機構の場合には、「もんじゅ」、「ふげん」、「東海再処理施設」がございまして、こうした3つの大きな施設については、それぞれ個別の予算の柱を立てて、措置しているわけですけれども、実際原子力機構にはこれ以外にも36の廃止措置が決まった施設があります。その部分への予算の確保ですとか、どういう優先順位付けで進めていくかといったところを早急に検討していかなければいけないという問題意識を持っております。この廃止措置が進まないとなかなか本来やるべき研究開発の部分にリソースを割けないといった問題もありますので、そこをいかに効率的にやっていくかということが大きな課題になっております。4つ目が原子力科学技術に関する研究・人材基盤の強化ということでございます。これはまさにこの作業部会のテーマでもありますけれども、(1)原子力科学技術・イノベーションの推進、それから(2)人材育成機能の強化というところです。この2つは非常に密接に結びついているところでもありますけれども、基盤を持っていなければなかなか人材育成も進めていくことはできないというところもありますし、また先ほど廃止措置の話の時もさせていただきましたけれども、やはり次の、原子力分野での研究開発の柱をどういうところにもっていくか、というところをそろそろ議論していかなければならない時期にあると考えておりまして、この検討を進める中でそうした次の目標といったところも見いだせればと考えております。それから5つ目が、これは東京電力福島第一原子力発電所事故への対応ということで、これは廃止措置に伴う研究開発の推進ということがひとつ大きな柱になっております。これは原子力機構の方でも廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)がありまして、そちらでも研究開発に取り組んでおりますし、また2番目のところは原子力損害賠償の関係でもありますけれども、これはこの委員会で直接議論するというところではありませんけれども、非常に重要な問題でありますので、掲げさせていただいているところであります。こうした5つの柱を立てておりまして、特にこの中でも重点的に議論していかなければいけないと思っているのが、3つありまして、1つは「もんじゅ」サイトの試験研究炉の整備に向けた取り組みでございます。2つ目が先ほど申しました「常陽」の燃料製造に関するところ、それから3つ目は廃止措置、特に主要施設以外の部分といったところを重点的に議論していきたいと、その中でもバックエンドの部分につきましては原子力科学技術委員会のもとにバックエンド作業部会がございますので、そちらの方で中心的には議論になるかと思っておりますが、特に「もんじゅ」サイト、それから「常陽」の燃料といったところにつきましては、この作業部会の中でも特に年明け以降、集中的に議論ができればと考えております。
1ページのところに戻っていただければと思うのですけれども、12月20日には原子力科学技術委員会が次回開催される予定でございまして、今日はこの2枚の紙しかお示しできませんけれども、先ほど寺井主査からもありましたように、それぞれの論点についてもう少し深掘りし、それぞれの現状をまとめた資料を今作成しているところでございますので、それをお示しさせていただいた上で、来年は少し、これまでに比べると開催の頻度を上げて、先生方にぜひご議論いただきたいと思っておりまして、必要があればそれぞれの議題に応じてその専門家ですとか、実際に取り組まれている方々からの話を聞くと、そういう建付けにできればと考えております。資料全体のご説明としては以上ですけれども、本日の主旨としましては、まずは今後こういった検討を進めていきたいということをお伝えすることと、これを進めていく上でもっとこういう観点があるのではないかというところですとか、進め方や内容についても幅広くご意見を頂戴できればそれを反映した上で議論を進めていきたいと、このように考えております。私からは以上です。
 
【寺井主査】  どうもご説明ありがとうございました。それでは先ほどのご説明につきまして、ご意見あるいはご質問等ございましたらよろしくお願いいたします。詳細な議論は次回以降、さらに詳細な資料をご提示いただいて、それに沿ってということになりますけれども、本日は今日いただいたこの5つの論点以外に重要なことがあるかですね。あるいはこの5つの論点の中で特に強調すべきところが何かあるか、そういったところかなと思いますけれども、いかがでしょうか。ご意見ございましたら挙手にてお願いいたします。和田委員どうぞ。
 
【和田委員】  ありがとうございます。原産協会和田でございます。今回いただいた5つの検討課題の中に人材基盤の強化が挙げられていますけれども、こちらはやはり我が国の原子力科学技術の維持・強化にとって非常に重要な課題であると思っております。原産協会では毎年会員企業を対象に原子力産業動向調査を行っておりまして、今年のアンケートでは原子力人材の採用配置を拡大するとした企業が21%ございました。一方、原子力産業の課題として人材確保、育成をあげた企業は25%で、前年比で6%増となっておりまして、こちらは大きな課題となっていると感じております。
そのような中で、コメントというか、要望2点ございまして、まず1点目ですけれども、若者に原子力の分野に入ってきてもらうには大学進学や就職を考える時にエネルギー分野に関心を持ってもらうことが大切だと思っております。原産協会でも全国各地の大学ですとか、高専に講師を派遣してエネルギー問題を自分ごととして捉えてもらうために出前講座を行っております。今回の政策のスコープには入らないかもしれないのですけれども、文科省として教育におけるエネルギー問題の取り上げ方を強化していただければと思っております。
あと1点ですけれども、若者を原子力の分野に惹きつけるためには、新たな可能性を示すということが効果的ではないかと思っております。今年4月に原産年次大会を開催しまして、黒崎先生にはモデレーターを務めていただきましたけれども、JAXAの深宇宙探査など原子力の新たな可能性というものをプレゼンしていただき、学生さんに大変好評でした。ぜひ文科省さんが行われているいろいろな研究開発のプログラムについても、ぜひ将来世代にわかりやすく知的興味を刺激するような広報というものも行っていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
 
【寺井主査】  どうもありがとうございます。ご要望を2点いただきましたが文科省さんいかがでしょうか。
 
【文科省】  ご指摘いただきましてありがとうございます。どちらも大変重要な点だと思います。まず1つ目の点ですけれども、企業の方々のニーズとして、どれくらい今後将来的に、この原子力分野に人材が必要になってくるのかということも大変重要だと思っておりまして、この辺りにつきまして経産省さんの方とも連携をしながら、まずは把握をしていくと。それに対して必要な人材をどうやって確保していくかということを考えていく必要があると思っております。まず若者、若手ですね、これからの人材に原子力の分野に入ってきてもらうために、このエネルギー分野に関心を持ってもらうというのは非常に重要なことだと思っておりまして、先ほど人材育成イニシアティブ事業の中での取り組みについても紹介がありましたけれども、ああいう形もそうですし、教育の中にどうやってエネルギー分野を入れ込むかというところは、なかなか我々だけではできない部分もありまして、教育部局との連携というのも必要になってくるかと思いますけれども、いずれにしてもエネルギー分野に関心を持ってもらうと、若手にどんどん入ってきてもらうということをどうやったら進めていけるのかといったところも検討を進めていきたいと思っております。それからやはり新しい可能性ですね、単に集まってくださいと言っても、入ってはきませんので、やはり若者たちを惹きつけるためには、新しいプロジェクトですとか、楽しいこと、そういったものをどうやったら示せるかというところですので、これまでなかなか新しい、新規の炉ですとか、プロジェクトが立ち上がらなかったところではありますけれども、今ですと「もんじゅ」サイトの試験研究炉、あとはJAEAの方でも理事長のイニシアティブで、リニューアルブル×ニュークリアというような形で原子力の新しい活用ですとか、イノベーションといったところも前面に出してきておりますので、そういったところで新たな観点から若者を引き付けるといった取り組みを進めていければと思っております。
 
【和田委員】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。人材育成のところは極めて重要で、文科省さんもしっかりとしたプログラムでやっておられますし、原産協会さんも人材育成をしっかりとやっておられる、それから規制庁も人材育成をやっておられるのですよね。人材育成ネットワークというのがあってワークショップもされておるようですけれども、お互いどういう分野を強化するのかということと、それぞれの分野、対象者をうまく共有すること、それから連携することが大事だと思いますので、その辺も含めて引き続き、人材育成あるいは広報ですかね、これについてはよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。それでは手が挙がっていますので、秋山委員、黒崎委員の順でお願いします。まず秋山委員どうぞ。
 
【秋山委員】  ありがとうございます。よく理解できるものだったのですけれども、2ページ目のところで少し気になりましたのが、安全・安心のところでカッコ書きで安心が書いてありますのは、何か意図があるものかなと思ったのですけれども、この安全と安心は全く違うもので、個人的にはむしろ、安全も重要なのですけれども、安心というか市民が安心して親しみやすい分野として原子力を捉えていただくというのが人材育成をやっていくにも必要かなと思いますし、それから1、2、3の課題を推進していくにも市民の理解というのが重要かなと思いますので、むしろ安心の部分もしっかりと学問としてやっていくべきかと思っておりますので、その辺りの意図がありましたらぜひ教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【文科省】  ありがとうございます。ご指摘の通りでこのカッコ書きをつけているのは何か大きな意図があるというわけではないのですけれども、第一の取り組みとして安全確保というところがあって、今「(・安心)」と書いておりますけれども、安心の確保というのは当然重要でございまして、これはまさに理解増進のところにもつながっていくところだと思います。安全対策というのはまさに取り組みとして、事故が起きないようにどうしていくかというところがありますけれども、その上で社会的に受け入れてもらうためにはそれがどのようなメカニズムで安全が確保されているかですとか、そういったところもしっかりと打ち出していかなければなりません。カッコを書いているからこの部分が弱いというわけではございませんで、そうした社会学的なアプローチもあるかと思いますけれども、どのようにすれば世の中に受け入れられていくかといったところもしっかりと考えていかなければならないと思っております。
 
【秋山委員】  ありがとうございます。
 
【寺井主査】  秋山委員よろしいでしょうか。では黒崎委員お願いします。
 
【黒崎委員】  ありがとうございます。私の方からはまずこれからの政策の方向性について議論のたたき台ということで、ここに挙げられていることで、大きな方向性としては、私はまったく異存ないということできちんと過不足なく出されているなと、そういう印象を持ちました。ちょっと細かな話とか、若干ちょっと脱線するかもしれないのですけれども、1つ目の試験研究炉の開発・整備の推進のところ、こちらは私自身が京大ということで、関わっているということもあるので、あえて発言させていただきます。JAEAと京大、福井大で3者で連携して進めていますが、それぞれの役割というのをきちんと明確にして連携強化しながらやっていくというのが非常に重要なのではないかなと思っています。これが1つ目です。2つ目は次世代革新炉の開発のところも絡むのですけれども、やはりこういう話をする時は経産省さんとの連携、先ほど人材のところでの連携の話で他省庁とのということがありましたけれども、この2.のところでも非常に連携が大事なのではないかなというふうに感じています。言わずもがななのですけれども、あえてそういうコメントを出させていただきました。最後が人材のところなのですね。これは先ほど和田委員の方からもご発言がありましたが、これはやはりすごく大事でこれからの若い人たちにこの分野に入ってきてもらうというところをどう戦略的に考えるかというところが非常に重要で、原子力の魅力、必要性、あとは明るい未来というのを上手に示すというところが本当に大事だと思っています。どういうやり方がいいのかなというのは前からずっと考えているのですけれども、例えばずいぶん昔、1960年代とか1970年代の原子力これから推進という時は、ちょうど大阪万博を今やろうとしているじゃないですか、70年の大阪万博の時に原子の灯というような形で非常に大きなイベントといいますか、キャッチーな形でもって原子力の未来というのを上手に見せながら若者が集まったと思うのですね。あるいは鉄腕アトムみたいなものもあって、今はそれを何が担うのかなというようなことを考えながら、なかなか難しいなというのが私の考えなのですけれど、ひとつは皆さんもうご承知だと思うのですけれど、米国は、ミスアメリカが非常に原子力の明るい未来というのをある種、ロールモデル的な話としてうまく動いているみたいなところもあって、アメリカはアメリカなので、日本でそれと同じことができるとは私は思わないのですけれども、そういう海外のやっている方向性なんかも見ながら原子力の明るい未来、魅力というのを見せることを考えていく必要があるのかなというふうに思っています。ということで最後は若干脱線した話になりましたが、そういう感想を持っているというお話です。以上です。
 
【寺井主査】  どうもありがとうございます。感想を3件いただきましたけれども、文科省さん何かございますか。
 
【文科省】  ありがとうございます。3点とも大変重要なご指摘だと思って受け止めておりました。まずもんじゅサイトのところですけれども、これは本当に京大さんにも当初から深く尽力いただきまして今進めておりますけれども、まず3者の役割分担というところでJAEA、京大、福井大、これは委託事業の時から協力しながら進めてきたところでありまして、今詳細設計段階に入ったあと今年の5月にはこの3者での協定も結ばれまして、より一層この連携が強くなっていくと思っておりまして、まさに炉の設計部分、それから施設の利活用、また人材活用と、この3つは非常に大事な3つの柱になっておりますので、ここはうまく連携強化をしながら、運転開始までしっかりと進めていければと思っております。
それから2つ目の次世代革新炉のところでの経産省との連携です。こちらは役割分担のところでは、いかにつないでいくかというところがネックになってきます。高速炉の部分でも特に先ほど「常陽」の燃料製造の話をしましたけれども、実証炉を作っていく中でもやはり燃料確保というところはひとつ大きな課題になってきますので、連携できるところでは両者が連携しながらいかに効率的に進めていくかといったところは重要になってくるとかと思っています。高温ガス炉では今まさにHTTRが動いていまして、そこの先の水素の製造の施設の部分ですね、ここについては、エネ庁が製造を進めるというところで橋渡しになっています。実証炉を作る上でもこのHTTRで得られた知見をいかにスムーズに受け渡していくか、今海外でもイギリスのプロジェクトもありますけれども、そうしたところでもHTTRの知見を活かしながら次の実証炉につなげていくというところでうまくやるためには両者の連携が大変重要だと思っております。経産省の方でも原子力小委員会での議論もありますし、我々はこの委員会を使って議論を進めていくわけですけれども、その中でも両省が連携している姿というのも見せられればというふうに思っております。それから人材育成のところ、ここは本当に大きな問題で、今先生からも指摘いただいたように、アメリカの確かスタンケさんと仰いましたか。原子力専攻の方がミスアメリカになられたということで、確か日本にもいらして、いくつか施設を回ったと聞いております。これは大変注目も集めますし、そうしたところで特に若手の学生への影響力というのは非常に大きいものだったと思っております。日本で同じようなことがどこまでできるかというところはありますけれども、どうやって広報・周知していくか、人を惹きつけていくかというところは非常にこれから重要になってくると思いますので、今回の検討の中でもそうした良いアイデアがあれば取り入れて進められればというふうに思っております。以上です。
 
【寺井主査】  どうもありがとうございました。なかなか難しいけれども、非常に貴重な新しい考え方が大事なのかなというふうに感じました。それでは続いて松浦委員、それから尾崎委員の順でお願いします。まず松浦委員どうぞ。
 
【松浦委員】  「常陽」の燃料の問題を説明していただきましたが、私はちょっと不勉強で知らなかったのですが、研究炉の燃料についてはひょっとしたらいずれも結構共通的な話があるのではないかなとふと思いまして、例えば以前のKURの先生にお聞きした時に、濃縮度が変わった時に低濃縮度の燃料を新たに準備されるのに結構ご苦労なされていたというお話も聞きますし、私は前職が燃料メーカーなもので、高温ガス炉の燃料でしたら一度製造すればなかなか次の注文がこないということなので、技術をメーカー側が維持するというところも難しいところがある。これはおそらく研究炉共通の問題ではないかなと思っております。ですから研究炉もやはり動かしていくらかというところがあるので、そのための基盤として今後の「もんじゅ」サイトの新型炉も含めて燃料の技術をどう維持するか製造の環境をどう整備していくかという点も非常に大事になってくる観点ではないかなと思いました。ちょっとコメントというか私の感想です。以上です。
 
【寺井主査】  どうもありがとうございました。いかがでしょうか、研究炉の燃料というのはなかなか出ないというところで、どういうふうに技術を維持していくかというところもなかなか難しいのかなと思うのですが、たぶんその辺がひとつの重要な論点かと思いますけれど。文科省さんいかがでしょうか。
 
【文科省】  ありがとうございます。燃料製造施設の維持ですとか、どうやって技術を継承していくかという問題は非常に悩ましいところでして、やはり動いていなかった期間がかなり長くて、その間消費もされなくなってしまうと、次の燃料製造の需要がないと、企業としてはそこの施設を維持していくのが難しくなってしまうということがあります。高温ガス炉についてもHTTRはもう1サイクル分あるようですけれども、実証炉を考えた時に今の体制で作るのはなかなか難しいと。これは昨年、次世代革新炉の検討会というのを文科省の方でも立ち上げてご議論いただきまして、その中でも燃料メーカーの方からご発表いただいたのですけれども、やはりHTTRの時代から時間も空いてしまいましたし、施設で新しい新規制基準のもとで維持をして運転していくというのが、なかなか先が見通せない中で難しいといったご指摘がありました。これはいずれも試験研究炉・実証炉に共通する課題かというふうに思っておりまして、HTTR、ガス炉については、例えば今イギリスとの連携プロジェクト等もありますので、そういったところでうまく海外の事業等も活用しながらといったところもあるかと思いますけれども、いずれにしても新しいプロジェクトがないと次につながっていくことができない、またその技術をつなげていくことが難しいという状況になってしまいますので、そこをうまくつなげていくために、これは試験研究炉1つだけではなくて、例えば今エネ庁さんの方で考えられている実証炉の部分もそうですけれど、うまく連携できるところについては連携しながらうまく技術を先の時代につなげていく、こうした対策が必要になってくるというふうに思っております。
 
【松浦委員】  わかりました。海外との連携の話も少し出していただきましたけれど、やはり国内だけでは難しいこともあるので、いろいろな手段を考えていただいて進めていただければと思います。ありがとうございます。
 
【寺井主査】  それでは尾崎委員お願いします。
 
【尾崎委員】  このページの4ポイントのうちバックエンド以外の3ポイントに関係することなのですけれど、これからいろんな研究開発が行われて、技術が作られ、知財が生まれるということになると思いますけれど、それらを原子力発電だけではなくて、他の産業用途にも広く使ってもらうという、そういった体制作りというか仕組み作りが重要なのではないかなと感じます。と言いますのは、ご存じの通り原発をめぐっては、再稼働するのかしないのかという、非常に単純で、何と言いますか、よくない議論に傾きがちになりますが、すそ野が広くていろんな産業用途に使えるということがわかってくると、それだけ社会実装を通じて、社会にも貢献できると、そういった認識が広がってきますし、従来から原発に関わっている企業だけではなくて、新しい新規参入者、新規参入企業も迎え入れるということができると思いますので、その点世間からの需要量も上がるのではないかと、このように考えます。以上です。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。ちょっと軽水炉と研究開発の話は若干違うかもしれませんが。いかがでしょうか、文科省さん。
 
【文科省】  ご指摘ありがとうございます。まさに原子力の分野の大きな問題としては、なかなか他分野との連携というのが進んでいないというところが大きな課題だと受け止めております。仰る通り原子力のサプライチェーンの問題でも再稼働するかしないか、それが企業の側からするといつまで続くのか、またいきなりなくなってしまうのではないかといった心配は大変多いのではと認識しておりまして、それがなかなか設備投資ですとか、人材を供給するということが難しいという状況につながっているのではないかと思います。ご指摘いただいた通り、原子力の分野の成果は幅広く、原子力以外の分野にも使えていくのだと、その応用性が高いということを示して、また新たな産業ですね、分野の企業が一緒になって連携して進めていくような体制ができれば、その辺りはかなり安定的に原子力分野の産業も推進していけるのではないかと思いますので、その辺り我々のスコープだと原子力の技術をもとにしたイノベーション創出という観点になるかもしれませんけれども、まさに他分野との連携というところを少し念頭において今後の取り組みを進めていければと思っております。ありがとうございます。
 
【寺井主査】  尾崎委員よろしいでしょうか。
 
【尾崎委員】  はい、仕組み作りと言いますか、メッセージ効果が伝わるような仕組み作りが非常に重要だと思いますので、これから議論されるのだと思うのですけれど、その点ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 
【文科省】  ありがとうございます。
 
【寺井主査】  ありがとうございました。それでは石川委員お願いします。
 
【石川委員】  今の尾崎委員のコメントに関係すると思うのですが、逆に原子力人材、学生とかですが、原子力は非常に幅広い分野の学問が必要ですので、原子力工学科の数とか、そこに入ってくる学生の数というところだけで、一喜一憂するのではなくて、それこそ物理とか機械とか、化学とか、人工知能分野とか量子技術分野とかまで含めても良いかもですが、他の分野の若い人にも原子力分野に興味を持ってもらおう、自分のやっていることが原子力分野で活用できる、さらには様々な産業分野あるいは社会に貢献できるというところを、そういう他の分野の人材にも原子力科学技術に興味を持ってもらうというような、引き付けるというようなことも念頭に置きながら議論していくのが良いかなと思いました。以上です。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。文科省さんいかがでしょうか。
 
【文科省】  ありがとうございます。まさに仰っていただいた通りでして、原子力を進めていく上では、炉物理等の分野の専門家は必要ですけれど、それだけではなくて幅広い分野の人材が必要になってきます。ですから原子力人材を増やしていくという中でもなかなか学生数全体が増えない中で原子工学科だけを大きく増やしていくというのは限界があるかと思っておりますので、そういう意味では、今、原子力人材イニシアティブ事業、ANECの枠組みを我々も進めておりまして、その中では原子力工学科だけではなくて、ある意味副専攻ではないですけれども、物理、化学、量子、材料といった幅広い他の学生たちをいかに原子力の分野に目を向けて興味を持ってもらえるかと、そういった枠組みを作るためにはどうやったら一番効果的かというところを今後検討していければと思っております。ありがとうございます。
 
【寺井主査】  石川委員よろしいでしょうか。
 
【石川委員】  はい、ありがとうございます。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。それでは小澤委員、どうぞ。
 
【小澤委員】  ありがとうございます。検討課題、項目案についてはその通りだと思いますし、賛成であります。2つほど、こんな視点もあるのではないかというところを指摘しておこうと思います。
1つ前の議題のところで国際協力に寄与というキーワードのご質問があったと思いますし、その答えの中に最先端というキーワードがあったかと思いますけれども、もうひとつ実際に使うというのですかね、先ほど1つ目の議題でも申し上げた2050年に実際に使われる、社会に貢献するという視点も重要かなと思っております。先ほど中国の高温ガス炉が商用運転に入りましたというニュースを見ました。発電は2年前からやっているみたいで、温度が低いかもしれませんけれども、やはり運転経験、モノを作って運転を経験しているというのは侮れないし、実際に使われているというのは世間の注目も浴びやすいのではないかと思っています。
2つ目は特にバックエンドと福島第一に関するかなと思っているのですけれども、社会の理解を得るということが研究開発のゴールに大きく影響するのではないかなと思います。ですから理解が得られれば研究は進むし実際の事業も進んでいくというのが、実際、ALPS処理水でもあったかと思います。ですからいかに世間に理解していただくのに、発信できるか、どういう説得力を持って発信できるかというのもひとつの重要な論点として取り上げていただければなと思っております。以上です。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。文科省さんお願いします。
 
【文科省】  ご指摘ありがとうございます。中国の高温ガス炉のニュースは私も本日見まして注目しておりました。実際に世界でも、動いている・実機を持っているのは中国と日本だけということですけれども、中国は実際にもう実証炉が動いていて、商業運転開始につながったということで、これは大きな注目になってくるかと思います。日本としましても、やはりHTTRはありますけれども、海外との協力の観点、イギリスですとかポーランドの実験炉の協力というのもありますけれども、そういったところでもプレゼンスを発揮しながら日本の技術を世界にアピールしていく、また標準作りといったところにも活かせていければと思っております。
それからもうひとつのところで、社会の理解を得ていくことの重要性というところはご指摘の通りだと思っていまして、まさに今バックエンドの問題ですとか、福島第一の廃炉作業ですとか、そういったところでもいかに社会から受け入れられるかというところが、今後の原子力の将来には大きく左右する部分だと思っておりまして、なかなかすぐにこれをやればいいのではないかというところを今すぐに示せるところではないのですけれども、まさにこれから来年にかけてこの原子力科学技術に関する政策の検討をしていく中では、そういった観点も常に念頭において取り組みを進めていくことができればと思っております。ありがとうございます。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。本日いろんなご意見をいただきましたので、それも踏まえまして、引き続き原子力政策の検討をお進めいただければと思います。どうもありがとうございました。他にご意見はございませんね。はい、ありがとうございます。以上で議題の3は終了ということにさせていただきます。その他議題につきましては特にはございません。本日予定していた議事は以上でございますけれども、その他に何かご意見等ございますでしょうか。特にお手は挙がっていないようでございますので、それでは最後に事務局から連絡事項等お願いいたします。
 
【事務局】  ありがとうございます。本日の議事録につきましては、出来次第メールにてご確認いただいたのち、ホームページに掲載させていただきます。また次回の作業部会については改めて日程調整を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
 
【寺井主査】  どうもありがとうございました。迅速な議事進行と言いますか、意見交換にご協力いただきましてありがとうございます。それでは以上で第17回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。
 
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