原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第16回) 議事録

1.日時

令和5年6月2日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 第12期原子力研究開発・基盤・人材作業部会について
  2. 原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の動向と第12期の活動について
  3. 「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉について
  4. その他

4.出席者

委員

寺井主査
黒﨑主査代理
秋山委員
石川委員
尾崎委員
小澤委員
高木委員
中熊委員
松浦委員
和田委員

文部科学省

林 研究開発局 審議官
新井 原子力課 課長
竹之内 原子力課 課長補佐
髙倉 原子力課 課長補佐

オブザーバー

和田 日本原子力研究開発機構 新試験研究炉推進室 室長

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第16回)
令和5年6月2日

【髙倉課長補佐(事務局)】  定刻になりましたので、第16回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。
 今回の作業部会は、オンラインにて開催しており、これに関して確認事項がありますので、議事に入る前に事務局にて進めさせていただきます。
 まず、オンライン開催に際して留意事項をご説明いたします。
 委員の皆様におかれましては、現在遠隔会議システム、Webex上で、映像および音声の送受信ができる状態となっております。
 ご発言を予定される場合は、挙手ボタンを押していただくと、画面の左上に挙手マークが表示されますので、順番に主査よりご指名いただきます。もう一度ボタンを押すと、挙手マークが消えますので、ご発言をいただいた後は、挙手ボタンを押していただき、手を下ろしてください。
 会議中にビデオ画像および音声が途切れた場合は、その時間帯は、ご退出しているものと、みなします。
 遠隔会議システムの接続の不具合等が生じた場合は、随時、事務局宛にお電話でお知らせください。
 傍聴されている方におかれましては、ビデオ画像および音声をオフとしてください。
 議事進行の妨げとなる行為を確認した場合は、遠隔会議システムからご退出いただきます。
 議事録につきましては、事務局にて会議を録音し、後日、文字起こしをいたします。
 事務局以外の方の会議の録音録画はお控えください。
 以上が、本日の進行に当たっての留意事項となります。
 
 続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 今回は、委員の皆様、および傍聴の登録をされた方宛にメールにて配布資料をお送りいたしております。お手元に議事次第を配布しておりますが、本日の議題は4点ございます。
 1点目が、第12期原子力研究開発・基盤・人材作業部会について
 2点目が、原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の動向と第12期における検討事項について
 3点目が、「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉について
 最後4点目が、その他です。
 配布資料といたしましては、七つ準備しております。お手元の資料を確認いただき、不備等ございましたら事務局宛にご連絡ください。
 本日の議題は今申し上げた通り、時間は15時30分までを予定しております。委員の皆様のご出席状況につきましては、開始前に事務局にて確認させていただいております。
 本日は、10名の委員にご出席いただき、運営規則の第3条に規定されている定足数の過半数を満たしておりますので、ご報告いたします。
 また、本日は、議題3における報告のため、日本原子力研究開発機構新試験研究炉推進室長、和田様。オブザーバーとして、同じく日本原子力研究開発機構経営企画部、市川様にご出席いただいております。
 続きまして、事務局参加者についてご連絡いたします。文部科学省からは、林研究開発局担当審議官、新井原子力課長、竹之内課長補佐、そして、私、髙倉が出席しております。
 本日は、第12期最初の作業部会の開催となりますので、文部科学省研究開発局担当審議官林より挨拶をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【林審議官】  ご紹介いただきました、文部科学省研究開発局担当審議官をしています、林でございます。
 第12期において、第1回目となる、原子力研究開発・基盤・人材・作業部会の開催に先立ち、一言ご挨拶申し上げます。
 主査の寺井先生をはじめ、第12期の原子力研究開発・基盤・人材作業部会の委員をお引き受けいただきました皆様に、まず深く感謝申し上げます。
 原子力を取り巻く、近年の状況は変化をしております。エネルギーのカーボンニュートラル、エネルギーの安全保障、こういった観点から、エネルギー利用の原子力の期待も高まるとともに、エネルギー利用のみならず、様々な分野における、原子力の多様な価値発現を通じて、新たな社会的な課題に向き合っていくことも期待されています。
 こうした、昨今の国内外の大きな状況変化を踏まえ、2月には、GX実現に向けた基本方針の閣議決定、また原子力の基本的な考え方の改定を原子力委員会で行っております。
 さらに4月には、今後の原子力政策の方向性と行動指針が原子力関係閣僚会議で決定されるなど、原子力政策に係る議論を進められているところです。
 文部科学省としては、こうした政策を踏まえながら、基礎・基盤的な研究開発や、原子力分野における人材育成などについて、中長期的な観点に立ちつつ、推進をしてまいります。
 本部会におきましては、国際原子力人材育成イニシアティブ事業、原子力システムの研究開発事業、もんじゅサイトに設置する新たな試験研究炉等について、今後の推進方策のご議論をいただければと考えております。どうぞよろしくお願いします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  ありがとうございました。
 続きまして、第12期の委員としてご就任いただきました皆様のご紹介に移らせていただきます。
 資料の1-1、原子力研究開発・基盤・人材作業部会の委員名簿をご覧ください。
 第12期の委員としてご就任いただきました皆様を、上から順に簡単にご紹介させていただきます。
 まず、東京大学名誉教授、寺井委員です。
【寺井主査】  寺井でございます。よろしくお願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  京都大学複合原子力科学研究所所長、黒崎委員です。
【黒崎主査代理】  黒崎です。よろしくお願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  大阪大学大学院工学研究科准教授の秋山委員です。
【秋山委員】  秋山です。よろしくお願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  東京大学工学系研究科教授の石川委員です。
【石川委員】  石川です。よろしくお願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  神戸大学大学院経営学研究科教授の尾崎委員です。
【尾崎委員】  尾崎です。よろしくお願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  日本電機工業会原子力部長、小澤委員です。
【小澤委員】  小澤でございます。よろしくお願いします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  エネルギー広報企画舎代表の高木委員です。
【高木委員】  高木です。どうぞよろしくお願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  電気事業連合会原子力部長、中熊委員です。
【中熊委員】  中熊です。よろしくお願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  福井工業大学工学部教授、松浦委員です。
【松浦委員】  松浦でございます。よろしくお願いします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  日本原子力産業協会企画部総括課長、和田委員です。
【和田委員】  和田でございます。よろしくお願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  今期は計10名の方に委員を務めていただきます。よろしくお願いいたします。
 寺井委員には、当作業部会の親委員会にあたる、原子力科学技術委員会の主査からの指名を既に受けており、前期に続いて、主査を務めていただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。
 また、主査代理に関しましては、主査から予め指定をすることになっており、寺井主査より、黒崎委員が主査代理に指名されておりますのでご報告いたします。
 それでは、寺井主査より、一言ご挨拶をいただけますでしょうか。
【寺井主査】  寺井でございます。どうぞよろしくお願いします。
 前期から引き続きまして、今期も主査を仰せつかりました。私自身は、東京大学を3年少し前に定年退職いたしまして、今は一般財団法人のエネルギー総合工学研究所というところで、非常勤で仕事をしておりますけれども、本作業部会につきましては、東京大学名誉教授という立てつけで、肩書きで参加をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 先程、林審議官からございましたように、原子力につきましては、昨今極めて重要な事柄になってきておりまして、研究開発、あるいは基盤研究、人材育成、この辺りも次世代の原子力ということを考える上では、極めて重要な案件になってきていると思います。
 本作業部会での審議内容につきましては、この後、資料1-4ですかね、そこでご紹介がございますので、ここでは詳しくは述べませんけれども、教育研究とか、人材育成、システムの集約化であるとか、基礎・基盤研究の推進、あるいはもんじゅサイト炉等の試験研究炉に対する今後の取り組み、こういったところが重要な議題になるかと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは拙い主査ではございますけれども、どうぞ審議にご協力よろしくお願いいたします。以上です。よろしくお願いします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  ありがとうございました。
 続きまして、今期より、本部会の委員に新たにご就任いただきました、京都大学黒崎委員、神戸大学尾崎委員、エネルギー広報企画舎高木委員、福井工業大学松浦委員より、それぞれ一言ずつご挨拶をお願いしたいと思います。黒崎委員から、今お呼びした順番でお願いいたします。それでは、黒崎委員、お願いいたします。
【黒崎主査代理】  京都大学の黒崎です。よろしくお願いいたします。
 専門は核燃料をやっております。少しでも貢献できるように頑張りますので、よろしくお願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。尾崎委員、お願いします。
【尾崎委員】  神戸大学の尾崎でございます。
 専門は経営学事業で、ベンチャー経営、オープンイノベーションなどに取り組んでおります。
 大学発ベンチャーの研究を20年ほどやっておりますが、原子力発電もイノベーションや人材育成が重要になるので、ぜひ産学連携の観点から貢献したいと思います。よろしくお願いします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。高木委員、お願いいたします。
【高木委員】  エネルギー広報企画舎の高木です。
 電力会社の原子力発電部門で、発電所や広報などの業務に従事した経験をもとに、現在、出前授業や実験教室などを通じた、原子力やエネルギー、放射線についてのコミュニケーション活動を行っております。
 また近年では、国際原子力機関による、アジアでの原子力科学技術教育の普及活動にも少し携わっております。そういった視点から、少しでもお役に立てればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  福井工業大学の松浦です。
 専門は、核燃料と原子炉の熱流動、安全に関わる分野でございます。3年前に福井工業大学に参りましたが、その前は核燃料の民間のメーカーに勤めておりました。産学の両方の立場から、本作業部会に貢献できればと思っております。よろしくお願いします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。
 それでは、これから議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。
 また、第6条に基づき、本日の議事録につきましても、ホームページに掲載いたします。事務局からは以上です。
 ここから、寺井主査に議事の進行をお願いしたいと思います。
【寺井主査】  ありがとうございます。
 それでは、ここから、私の方で司会進行させていただきます。
 本日の議題は、お手元の議事次第にございます通り、議題1から4まででございます。時間は15時30分までを予定しております。
 それでは、早速でございますけれども、議題の1番目、第12期原子力研究開発・基盤・人材作業部会について、をお願いいたします。
 それでは、文科省さんから、ご説明をよろしくお願いします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  資料1-1は、先ほどご紹介いたしました委員名簿になります。
 資料1-2をご覧ください。
 先日、5月11日に行われました原子力科学技術委員会で、以下の作業部会の設置について決定いたしました。
 本部会の原子力研究開発・基盤・人材作業部会、原子力バックエンド作業部会、核不拡散・核セキュリティ作業部会です。
 続いて、資料1-3をご覧ください。科学技術委員会の運営規則を参考に添付させていただきました。第11期から大きな変更はございません。
 続いて、資料1-4をご覧ください。当部会の運営規則についてです。前期の際にご指摘をいただきましたワーキンググループという名称を、タスクフォースという名称に変更いたしました。その他に関しまして、大きな変更等はございません。
 簡単ですが、以上になります。
【寺井主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、委員の皆様方からご意見・ご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 実は、この資料1-4が(案)と書いてありますけれども、これを今日ご審議をいただいて、ご承認をいただくというプロセスが入ってございますので、よろしくお願いします。
 ご意見のある委員におかれましては、オンラインシステムの挙手機能をご活用いただきまして、私の方から指名いたしますので、ミュートを外してご発言いただきますようお願いいたします。それでは、いかがでしょうか。ご意見、コメントある方は挙手でお願いをいたします。
 松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】  すみません、今回初めて参加させていただいたので、ちょっと教えていただきたいのは、名称の変更だと思うのですが、ワーキングをタスクフォースに変えられたというのは、どういう経緯だったのかなというのを、ちょっと細かいことですけれど、ちょっと教えていただければなと思いました。
【寺井主査】  はい、これは新井課長、いかがですか。
【新井課長】  原子力課長の新井です。
 前期の部会において少し議論があったのは、ワーキンググループと言いますと、作業部会とちょっと名前が被るのではないかということで、階層構造がより明確に分かるようにする方がいいのではないかと、そういうご議論がありまして、タスクフォースとしております。機能については変更はございません。
 
【松浦委員】  ありがとうございました。
【寺井主査】  よろしいでしょうか。作業部会というものを英語にすると、ワーキンググループになってしまうので、同じような意味のものが二つ重ねますと、色々ややこしくなるということで、名称を明らかにするために変えたということでございます。
よろしいでしょうか。その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、特にご意見がないようでございますので、案の通りに決定されたということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして議題の2に移ります。原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の動向と第12期の活動について、ということで、最近の経緯あるいは背景をご説明いただいた後に、本12期のデフィニションについてご説明いただきます。それでは、新井課長お願いします。
【新井課長】  資料2をご覧いただければと思います。まず、政策的背景についてご紹介したいと思います。
 3ページでございますが、GX実現に向けた基本方針でございます。これは、今年の2月に閣議決定しておりますけれども、エネルギー政策につきましては、令和3年に、第6次エネルギー基本計画が閣議決定されていますけれども、それから色々国内外の変化、変動、大きな動きがあるという中で、GXの議論というものが昨年来ありまして、今年の2月に閣議決定されたということでございます。
 冒頭、審議官の林からもお話がありましたが、カーボンニュートラルの実現、それから、エネルギー安全保障と。これを経済成長とともに、しっかり実現していくといったところで、グリーントランスフォーメーションを起こしていかなければならないということで、再生可能エネルギーに並び立つ形で、原子力についても最大限活用していく必要があるということが、この基本方針に書かれているということでございます。
 3ページ、4ページは、原子力の利用といったところの記述について抜粋したものでございます。
 一つ目のパラグラフに、福島第一原発事故の反省と教訓を一時たりとも忘れることなく、「安全神話からの脱却」を不断に問い直し、ということがございますけれども、他方で、二つ目のパラグラフですけれども、やはり、原子力というものがCO2を排出しない、出力が安定的で自律性が高いという特徴を有するということで、進めていくということが、記載されているということでございます。
 2030年の原子力の比率20%~22%、電源構成に占める割合と、確実な達成に向けてということでございまして、これが第6次のエネルギー基本計画にも書かれている目標数値でございます。
 その下に、黄色い線でマーカーにありますけれども、特に新しい話としては、新たな安全メカニズムを組み込んだ、次世代革新炉の開発・建設に取り組んでいくと、こういったことが記載されております。その関係で、研究開発・人材育成等についても、支援をしていくのだということについて書かれているところでございます。
 この閣議決定も踏まえまして、GXの関連の法案の推進を、いわゆるGX推進法案と言っている、GX経済移行債を規定するような法案と、あとGX脱炭素電源法案ということで、これは、エネルギーの安定供給と脱炭素電源の利用促進を図ると、こういった関連法案ということが、本国会でも審議がなされておりまして、脱炭素電源法案については、5月31日に成立したということでございます。また、推進法案の方は、4月に成立しております。
 GX脱炭素電源法案については、詳細は割愛しますが、参考資料の方の23ページにも、参考資料を入れておりますので、ご参照いただければと思います。
 それから5ページ、6ページですが、高速炉関係の動きであります。原子力関係閣僚会議、これは文科大臣もメンバーとなっておりますけれども、高速炉開発の戦略ロードマップがございます。
 2016年に、「もんじゅ」の廃炉を決定した後に、高速炉の研究開発の支援方針を明確化するということで、ロードマップが2018年に決定されていたということでございます。それに沿って、今まで進めてきたということで、当初2018年から、当面の5年程度は、民間による多様な技術間競争を促進するというステップがロードマップに書かれていて、その後2024年以降、採用可能性のある技術を絞り込み・重点化していくと。
 その後にステップとして、研究開発課題及び工程について、さらに検討していくという段階があったということでありますけれども、この多様な技術間競争というところで進捗があったということで、去年の夏に専門家による技術的評価により、冷却材については、ナトリウム冷却が最有望と評価されたという動きがありました。それも踏まえて、高速炉開発の戦略のロードマップを改訂するという動きが昨年12月にございました。
 内容ですけれども、6ページ、次ですが、冷却材についてはナトリウム冷却といったところですが、今後の開発の作業計画ということで、今年の夏、炉概念の仕様を選定する。それから、2024~2028年度に、実証炉の概念設計・研究開発をする。その間の2026年頃に、燃料技術を具体的に検討すると。2028年頃に実証炉の基本設計・許認可手続きの移行判断をするということで、よりロードマップが深化したと考えております。
 文科省の関係では、原子力機構、JAEAの高速炉サイクル技術をしっかり活用していくということでありますとか、JAEA、そして大学が連携して、人材育成の役割を果たしていくといったことについても、この戦略ロードマップに記載されているということでございます。
 次のページは、今までのところは、全体的な原子力政策の大きな動向の話をしましたけれども、文科省関係の取り組みということで、予算の資料をつけております。
 文科省では、基盤的な研究開発、それから人材育成を推進するということが役割であります。
 予算の関係で言いますと、スライドの右上に数字がありますが、今年度の予算が1470億円と書いてあります。このうち大部分、1300億円余りが、原子力機構、JAEAの運営費交付金ということになっておりまして、大きな部分はJAEAにおける研究開発の取り組みということになっております。
 その下、概要の下のところにいくつか四角がありまして、これが、取り組みがカテゴライズされたものでありますけれども、左の上、革新的な技術開発によるカーボンニュートラルへの貢献ということで、JAEAにおける高温工学試験研究炉(HTTR)こちらの取り組みを進めて、水素製造に必要な技術開発を進めていくということでありますとか、あとは高速炉、核燃料サイクル関係で、特に高速実験炉「常陽」の運転再開に向けた準備を進めると、こういった取り組みをしているところです。
 その下は、エネルギー以外も含めた、医療用RIなど、幅広い多様な原子力科学技術の推進といったところ、あるいは人材育成をしていくということで、RI製造技術の開発でありますとか、後ほど出てきますが、「もんじゅ」サイトにおける試験研究炉の設計、それから人材育成事業について取り組んでいくというカテゴリーでございます。
 その下が福島第一原発の廃止措置等を進めていくための研究開発の取り組みということで、これもJAEAの取り組みについてやっていくということでございます。
 それから右に行きますと、バックエンド廃止措置関係ですけれども、特にJAEAの施設である「もんじゅ」「ふげん」それから東海再処理施設などについて、廃止措置を着実に進める取り組みということとなっております。
 その下が、原子力安全性向上に向けた研究ということで、主に原子炉規制庁との連携などを含めて進めていくのですけれども、安全性向上に向けた色々なデータの取得等の取り組みを行っているということでございます。
 それから復興特会関係での取り組みもございます。以上が予算であります。
 その次が、この人材基盤作業部会の審議に関連するバックデータで、少しご紹介ということでスライドを入れております。
 8ページですね。一つは、人材の状況であります。原子力関係学科・専攻の入学者数の推移ということで、折れ線グラフを出しております。これは赤線で書いたものが合計で、緑が学部、青の点線が修士、紫の点線が博士ということで、横軸が年度で、縦軸は入学者数ということで、学校基本調査に基づくデータとなっております。学科系統分類表における、中分類というものがあるのですけども、その分類のデータを基に、グラフにしたものでございます。
 ちょっとこの数字が、入学者数と書いてあるのですけれども、数字そのものというか、傾向をちょっとご覧いただければと思いますが、平成の若いところくらいまでから、平成の10年あたりまでグッと減ってきているというような状況。それから、震災が平成23年にございましたけども、その前に少し増えてきて、それから震災のあと少し漸減していると、そのような傾向が見てとれるかと思います。
 これは社会的な状況、あるいは、例えば、原子力関連の事故があった時期とか、それから大学における経営判断、そういったところで、特に平成の若いところから減ってきているような状況があるのかなと考えられます。
 これから、震災前、原子力ルネッサンスなどの動きなどもありましたので、この辺での社会的状況ということでもあるかと思いますけども、増えてきたと。しかし震災後については、なかなか原子力に対する見方というところも大きく変わったという中で漸減している状況であると。これは、確立した解釈があるわけではないないのですけれども、そのような状況ではないかと考えているところでございます。
 それから、次のページが試験研究炉の現状でございます。日本の中で、今このプロットしてありますのが、青で書いてあるものが運転中の炉で、赤が停止中の炉、黒が廃止措置中ということで、かなり今現時点で運転が行われている試験研究炉というものは、少ない、今六つということになっております。
 1990年代は、20動いていたということと比べると、かなり人材育成・基盤研究を行う上での役割を果たす試験研究炉の数というものが減ってきて、脆弱な状況になってきているということかと考えております。
 目下のこういう状況を踏まえつつも、人材育成、それから原子力イノベーションを目指した研究開発は、日本全体の力を使って進めていかなければいけないということで、我々、主に二つの事業を行っております。それについて、順番にご説明したいと思います。
 一つは、「国際原子力人材育成イニシアティブ事業」でございます。こちらでありますけれども、国内の原子力人材の育成機能が、個々にはなかなか力が落ちてきているのではないかと、脆弱化しているのではないかということがありますけれども、そういった中で、その力を維持する、ポテンシャルを維持するというところで、やはり共通基盤的な教育機能を補っていくことが大事ではないかということで、複数の機関が連携したコンソーシアムの形成をする事業を行っております。これをANECと言っておりますけれども、いま我々が取り組んでいるというところでございます。
 ここでの取り組みですけれども、特にマル1 からマル4 をご覧いただければと思うのですけれども、このネットワークを組みつつ、四つの大きな活動をしているということで、一つは、構成機関の相互補完で、体系的な専門教育カリキュラムを作って、共用していくと。
 二つ目が、大型実験施設、原子力施設等における実験・実習を実施していくということ。
 三つ目が、国際的な活動ということで、海外の大学と組織的に連携を図って、国際研鑽の機会を作るということ。
 四つ目が、産業界や他分野と融合・連携の取り組みを進めていくと。
 こういったことについて取り組んでいるということでございます。
 次のページが、その主に四つの取り組みのところについて参加している関係の機関について書いてございます。
 この四つの取り組みを大きくやっているのですけれども、他にも、こういう取り組みが大事だよねということで、少し個別に取り組んでいるような大学についても支援を行っておりまして、それは左側にピンクで書いてあるところです。個別課題といったところで、廃止措置マネージメント人材とか、社会課題解決、メーカーの実践とか、異分野融合、それぞれ取り組んでいただいている機関がありますので、こちらについても支援をしつつ、ANECの活動と緊密な連携を、ということで取り組んでいるところでございます。
 次のページが、これは参画している機関を列挙しております。国立大学、あるいは国の研究機関のみならず、私立大学、高専、それから民間企業、団体、そういった皆さんにもご参画いただいて、このネットワークを進めているということでございます。
 次のページが、この事業の予算の関係の情報ですけれども、毎年大体2億円余りで、支援活動を行っているということであります。今年度、特に事業のPD,POの先生方の中間フォローアップ、ヒアリングも踏まえまして、取り組みを充実していくということ、より多くの教育機会を提供する、国際経験の機会を増やすということで、教材のオープン化のための費用とか、学生の海外旅費、企業のインターンシップ費を充実するという予定で、今、関係の方々と検討を進めているという状況でございます。
 次が、二つ目の事業で、「原子力システム研究開発事業」ということでございますけれども、これは経産省との連携であります、原子力イノベーション創出するといったところで、基礎・基盤的な研究開発と産業界の技術開発、これを繋いで、イノベーションを創出していくという取り組みが必要ではないかということで、NEXIPイニシアティブというものの中で、この事業も行っているということであります。
 次のページで、これがこの原子力システム研究開発事業、原シスと言っておりますけれども、概要ということで、三つの型の事業で公募をしているということであります。
 一つが基盤チーム型ということで、割と大型の研究プロジェクトですが、産学官の知見を結集して、チームで取り組むプラットフォーム型の研究開発といったところ。
 それから真ん中が、ボトルネック課題解決型ということで、特に経産省、エネ庁の方で支援している産業技術のプロジェクト、原子力の技術開発支援プロジェクトがありますけれども、そこの参画されている企業の方々から見た時のボトルネック課題、これを基礎的な研究機関、大学であるとか、原子力機構が解決していくような、産業界の人も入ってもらってという、社会実装を目指す上で具体的なボトルネックとなっている課題を基礎・基盤に立ち返って、研究開発を実施する、こういったプロジェクトもあります。
 三つ目が、新発想型ということで、これは、挑戦的・ゲームチェンジングな研究開発を実施するということで、まさに読んで字のごとくですけれども、新発想のものを取り上げるような事業ということで、大きくこの三つをやっているということでございます。
 本年度の新規公募については、2月から4月にかけて公募して、今審査中ということでございます。
 次のページが、具体的な研究の例ということで、令和5年度の研究で、これで公募していて、まだ個別課題は今審査中ということですけれども、主に四つ、燃料・材料分野、プラント分野、システム分野、再処理、核変換分野ということで、公募をしているということでございます。特に本年度は、この黄色い線でありますけれども、インフォマティクス、あるいは、1から4の分野がありますけれども、一つのテーマに捉われない横断的な提案について期待するということで公募をしているところでございます。
 次のページが、特にボトルネック課題解決型のNEXIP参画企業からの要望といいますか、問題意識を踏まえた上での公募というところについて、アンケート、ヒアリングを参画企業からしまして、このマル1 からマル4 のテーマが抽出されるということで、公募しております。DX技術を用いたプラントエンジニアリング、それから二つ目が、安全評価に向けた解析コード、三つ目が免震技術・免震評価、四つ目が原子炉を用いたRI製造/活用ということで、こういったテーマに基づいて公募がされているというところでございます。

 ここまでが背景情報でありまして、こういった状況の中で、今期の検討事項として、こんなものがあるのではないかということで、お示しをしたいと思います。
 一つは、原子力の活用というものは非常に幅広いわけですけれども、エネルギーの関係で言いますとGX基本方針が取りまとめられ、次世代革新炉を開発していくといったところ。また、その幅広い放射線利用を推進する、こういったことの、幅広い出口を考えた時の人材育成、研究開発の方策の検討、引き続き行っていくといったことで考えております。
 今申し上げました二つの事業について、原シス事業、それから人材イニシアティブ事業の充実方策どうしていくのがよろしいかと。
 それから、二つ目の小さいポツですけども、主に我々文科省も関係する研究機関、原子力機構、それから大学、こういった研究機関において、研究開発・人材育成機能の役割分担、あるいは連携方策というものが、どうあるべきなのか、というところですね。
 原子力機構は、我が国の総合的な原子力研究開発機関ということで、産業界のニーズも踏まえた上で、知の集約拠点として、大学と産業界との間の橋渡し機能を果たしていくといった役割も重要ではないかという議論もございます。こういったことの検討なども含まれるかと思っております。
 二つ目の大きなカテゴリーが、我が国の試験研究炉を取り巻く状況を踏まえた今後の取り組みの検討ということで、国内試験研究炉の状況が脆弱化しているという中で、今後どうしていくのかということでございます。
 今、一つ「もんじゅ」サイトにおける新試験研究炉の設置に向けた設計も進められているということで、これについても、どういう形で進めていくのかということについても、検討の一つの事項になるかと思っております。
 資料についてのご説明は以上になります。参考資料の方にも、少しバックグラウンドになるような資料を入れておりますので、ご参照いただければと思います。以上です。
【寺井主査】  新井課長、詳細なご説明をありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、委員の皆様方からご意見・ご質問等ございましたら、よろしくお願いをいたします。
 本件につきましては、報告事項でございまして、特に審議の対象にはなりませんけれども、12期の実際の作業部会を進めていく上で、極めて重要な背景情報ということもございますので、どうぞ、ご質問・ご意見ございましたら、ご遠慮なくお願いしたいと思います。
 ご意見ある方は、挙手にてお願いをいたします。小澤委員どうぞ。
【小澤委員】  小澤でございます。ありがとうございました。
 冒頭、第1回ですので、二つほど、スライド2枚ほどですね、一言ずつコメントだけしておこうかなと思っております。
 最初の3ページ目のところですね、GX実現に向けた基本方針についてですけれども、GX電源法の国会審議においては、エネルギーとしての原子力の利用にあたってのところで、立地する地域に加えて、大消費地である都市の住民というのが追加されたと認識しております。
 それは、後ろに続く理解と協力を得るための取り組みと、こういう文章の中に大消費地である都市の住民というのも加えられたと思いますので、この場の議論ですね、研究開発行為、それから、人材育成についても少し意識をしておいた方がいいかなと思っております。
 それから二つ目、21ページ目の資料については、一番上の小さいポツですね。原子力システム研究開発事業、それからイニシアティブ事業の充実方策ということでは、大学を中心にした、当事者の提案を尊重して、応援していくことが重要かなと思っておりますので、ここは私達自身も興味を持って応援することが必要だろうと思います。
 その下、二つ下の最後の「もんじゅ」サイトについて書かれておりますけれども、これはもっと前のページの9ページに、今の試験研究炉を取り巻く状況に書かれました通り、随分といろんな炉が廃炉されております。
 これは、50年前と状況はガラッと変わっておりますし、今後のことも考えて、広く戦略的な検討をしていくべきかな、と思っております。以上です。ありがとうございました。
【寺井主査】  ありがとうございました。
 二件いただきましたけれども、新井課長、何かございますか。
【新井課長】  ありがとうございます。
 まず一点目の法案の審議についての関係のコメントをありがとうございました。やはり、人材育成においても、原子力の見方というものは、色々あるといったところ、あるいはステークホルダー、場所によっても、状況が違うとか、そういったことも踏まえた上で、どういう人材が必要なのかといったところも、我々しっかり関係者と議論した上で、またその人材育成を担当する機関組織とどういった取り組みをしていけばいいのかということを検討していく必要があるということを、この法案審議を通じても、その問題意識を持ったところです。しっかり取り組んでいきたいと思います。
 それから、二点目のコメントをいただいた点、審議事項についてのところですけれども、今、国の研究機関ということで、原子力機構あるいは大学の役割が非常に大事だといったところで、完全にボトムアップの研究については、科研費の支援といったところもあるわけですけれども、そういった中で、イノベーションといったところを考えた時に、新発想を捉えるという、原シス事業の中でボトムアップ的な支援という仕組みもあります。今後、そのテーマを決める時にあたっても、PD,POの先生方を中心に議論をしておりますけれども、産学官の関係者の色々な、最近の動向なども踏まえて、どういった研究開発というものが必要なのかといったところの議論の中で、そういうボトムアップ的な取り組み、新発想のところをどうしていくかとか、そういうところも議論になるのかなと考えております。
 資料の27ページ、参考資料ですけれども、これは、局長の私的懇談会で、革新炉の開発に必要な研究開発基盤、あるいは人材について検討させていただきました。その中で、研究開発をどういう風に、基盤的研究開発をどう進めていくかという中の議論ですけれども、一つ目のポツですが、研究開発の知見とかノウハウを産業界に効率的に接続し、実証炉の開発・建設に活かすといったところで、産業界のニーズも踏まえた上で、原子力機構が知の集約拠点として、大学と産業界の間の橋渡しをしていくことが重要だと。こういったような議論がありましたけれども、その中で、技術分野ごとに、定量的な指標を用いて、どういった技術というものがホットで、原子力機構や大学が役割を果たしていくのかというのを明確化した上で、事業を進めていくということが大事ではないかと、そういった議論があったということでございます。
こういった全体的な技術状況とかニーズの中で、基盤的・基礎的な研究を行っていただく研究者をどういうふうに支援していくのか、といったところを考えていく必要があるなと思っております。
 それから「もんじゅ」サイトのところで、試験研究炉関係ですね。これについても、これも参考資料の29ページに、前期のこの部会で、この試験研究炉の取り組みをどうしていくのかということをご議論いただき、中間まとめをしていただいております。
 人材育成、あるいは原子力の基盤研究をされるといったところで、特に照射炉、ビーム炉を念頭に置いてご議論をいただきました。今取り組んでいる課題、それから中期的な課題、それから長期的な課題、色々あるのではないかということで、今後の取り組みの方向性のところでも。このポンチ絵の下ですが、三つにカテゴライズして整理をいただきましたけれども、今取り組んでいるもの、仕掛かっているもの、これはしっかり進めていくということかと思いますけれども、国の原子力政策の中で、将来的に、例えば、高出力照射機能をどうするのかとか、そういった課題もあるといった中で、リソースの配分などをどうしていくのかというのは、全体の政策動向も見た上で、引き続き検討していくということが大事だということは、我々としても認識しているところでございます。
 また当部会でも、今後ご議論いただくこともあるかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  新井課長、ありがとうございました。小澤委員、いかがでしょうか。
【小澤委員】  ありがとうございました。
【寺井主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、その他にご意見等ございますか。黒崎委員、お願いします。
【黒崎主査代理】  黒崎です。ありがとうございます。人材育成の方と研究開発の方で、それぞれコメントがあります。
 まず研究開発の方ですけれども、イノベーションというところを実現しようとするのに、一番効果的な方法は何かと、普段よく考えているのですけど、私は、若い人、異分野、しかも、ある程度自由に、というこういう環境で、若手・異分野・自由というものが揃うと、イノベーションというものに近づくことができるのかなというふうに思っています。
 なので、そういう若手、あるいは異分野融合というところに力を入れたような施策をとっていったらいいのではないかなと。ただ、自由という話もあるのですが、これは税金なので、あまり何でもかんでも自由にやられると困るというのはあるのですけれども、そうは言っても、ある程度自由に研究をするというのが、非常にイノベーションに効果的ではないかなと思っています。これが研究開発の方のコメントです。
 次が人材育成の方ですけど、人材育成に関しては二点ありまして、一つが、ダイバーシティの話です。ダイバーシティ推進というのがよく言われます。ダイバーシティというのは女性だけではないのですけれども、それでもやっぱり、原子力分野は女性が少ないというところがありますので、こういったところをどう補っていくのかというところが、人材育成の一つのポイント、課題かなと思っています。
 もう一つが、今回は文科省さんがやられている、ANECという、人材育成事業のお話を聞かせていただきましたが、実は、国全体を見てみると、原子力人材育成に関するようなプロジェクトは、結構横並びで走っていまして、例えば、規制人材育成とか、あるいは産業界が行っている人材育成とか、あと最近経産省さんが、サプライチェーン人材育成みたいな、そういったものを立ち上げようとされていると。そういう形でもって、いくつかのプロジェクトが同じ原子力人材育成という名前でもって走っていますので、我々、中にいる人は、それなりに区分けできるのですけれども、そうではない一般の人が見た時に、どういう役割分担でやっているのかというのが、ちょっと見えにくいのではないかなというような感想を持っています。
 なので、そのあたりを、マップではないですけれども、一目で分かるようなものを作っておくというのは、重要ではないかなと思います。以上です。
【寺井主査】  ありがとうございました。非常に貴重なご意見かと思いますが、新井課長、何かございますか。
【新井課長】  ありがとうございます。まず、研究開発の取り組みについて、若手・異分野・自由というキーワードをいただきました。原シス事業ですね、今後とも進めていくという中で、どういうふうにそれを捉えていくのかといったところも検討していきたいと思います。
 それから人材育成について、でございますけれども、ダイバーシティのところですね。色んな、特に工学分野、理工系の分野がダイバーシティの話というのは、共通的に話題になっているかと思いますけれども、原子力分野は、特に女性が今まで少なかったのかなということもあるのかなとは思います。
 アウトリーチ活動も非常に大事ではないかと思っておりますけれども、このANECの事業で個別の取り組みの支援というものはあるのですけども、アウトリーチなども念頭に、毎年度1回シンポジウムの開催をしたりしております。人材育成のアウトリーチをしていかなければいけないなといったところにダイバーシティも含まれるかと思いますけれども、そのような取り組みも活用して進めていければなと思います。
 それから人材育成事業で、色々な取り組みが文科省、ANEC以外にもあるよね、といったこと。これは我々も認識をしております。このANECの取り組みというのは、割と最近、令和2年度から、我々の人材事業の見直しの中で作ったものでございますけども、産業界の方、原産協会、原子力機構などが、今まで取り組んできた原子力人材育成ネットワークとか、あるいは大学の方では、元々随分伝統的にやられているような人材育成の取り組み、グループの取り組みがあるとか、規制庁、経産省関係での、それぞれの政策ニーズに合った人材育成の取り組みと。歴史的背景とか、いつから始まったのかとか、まちまちだと思います。それぞれのネットワークに、それぞれの目的はあるということだと思いますので、何か全部一つにまとめてという必要は必ずしもないと我々としては思っておりますけれども、お互いの動きを認識した上で、進め方とか、そういったものを、よく関係者で情報交換をして、重複を排除するとか、より効果的な取り組みとか、そういう取り組みは必要だと思っております。
 経産省、あるいは規制庁の取り組みについて、これは昨年度の人材育成事業、ANECのシンポジウムでも、規制庁、経産省にも来てもらって、一緒にパネルディスカッションをするといったこともしております。良い形で連携ができればいいなと思っております。
 その上で、先生の方からご提案のありました、マッピングについて。これは、特に外から見た時に分かりにくいというところは、やはりマッピングがあると非常に分かりやすいといったところかと思いますので、今、ANECの取り組みは、特に大学の先生方、PD,POの先生を中心に、企画運営をしていただいているかと思いますけれども、そういった関係の先生ともよく連携して、そういうマッピングの取り組みは、ちょっと検討してみたいと思います。
【寺井主査】  ありがとうございました。
【黒崎主査代理】  ありがとうございました。
【寺井主査】  黒崎委員は、確かANECのPOをされているので、直接そこに関係されていると思いますので、よろしくフォローアップお願いいたします。
【黒崎主査代理】  そうですね。そういうことも考えていきたいと思います。
【寺井主査】ありがとうございました。
 神戸大学、尾崎委員から手が挙がってございます。お願いいたします。
【尾崎委員】  はい、ありがとうございます。資料の16ページについてです。
 NEXIPについて説明いただいておりまして、非常に素晴らしい取り組みだと思います。このページにJAEAのイノベーションハブ機能の強化について書かれていますが、具体的にどういう機能を強化されるのでしょうか。大学や企業がこの取り組みに興味を持っても、どのような機能が提供されるか分からないと、なかなか参画しづらいと思います。
 JAXAも同様の機能を持っていますし、核融合でも同じようなことが検討されています。それら二つと原子力は状況が違いますが、原子力の場合は、一体どんなハブ機能が期待できるのか。活動によっては既存のJAEA職員だけで対応できないと思われるので、外部から人材を採るとか、外部機関のサポートが必要になると思うので、その点について教えていただけますか。
【寺井主査】  はい、新井課長、お願いいたします。
【新井課長】  ありがとうございます。
 今、イノベーションハブというところで、JAXAのお話もありましたが、実はJAXAのイノベーションハブは非常に先行して、産学官の取り組みでJAXAが核になってということで、従前からあったかと思います。そういった動きも見て、原子力機構も国の総合的な研究開発機関として、特に人材とか、原子力機構が持つ資機材、研究基盤、これを国内の研究者のですね、研究を行っていく上での、中核的な場所として活用してもらうということも大事ではないかと。そういった意味合いで、イノベーションハブという言葉を使っていると認識しております。
 このスライド自体は、割と数年前に作ったスライドでありまして、原子力システム研究開発事業をNEXIPのイニシアティブのもとで経産省と連携していくというものが開始される数年前に作ったものでありますけれども、ちょうどその時に、原子炉機構の第4期の中長期目標期間が昨年度から始まっていますけれども、こういったイノベーションハブの機能というものも大事だということも踏まえて、中長期目標にも位置づけたということでございます。ということで、イノベーションハブと申し上げているのは、原子力の色んな分野ですね、人材もいる、それから核物質を使えるような研究基盤ですね。これがあるということで、これをしっかり使ってもらうということができると良いよね、ということでございます。
 あとは、その上でイノベーションハブ、基盤を使って面白いイノベーション、原子力以外の人たちとの連携をして、面白い成果を出していくと。そういうものも促進していったらいいのではないかと。これは別途、原子力機構の独自の取り組みとしては、やられていると認識しております。そこは、原子力機構の人材だけではなくて、外部人材なども採用して、繋ぐ機能なども果たしていただいていると認識しております。以上です。
【尾崎委員】  ありがとうございます。
 このイノベーションハブとは、ちょっと位置づけが違いますが、多くの大学が持つ産学連携の歴史が本件の参考になります。産学連携の仕組みができた15年から20年前はあまり機能していなくて、ようやく最近機能するようになってきました。新井課長が仰った人材の問題、基礎研究の事業化に即したルールや仕組みが整備されるのに時間がかかったため、動かなかったと思います。JAEAという組織に、こういった産学連携を支援する文化があるのか、そういうことに積極的に取り組む人が多いのかなど、検討するべき項目は多いので、ぜひ柔軟にご対応いただければと思います。
【新井課長】  ありがとうございます。
 産学官連携を促進する、原子力機構が支援、あるいは人材として、完全に期待される機能を果たしていたかどうか、そこは色々議論が分かれるところだと正直思います。その上で、しっかり産業界と大学の間に立って、繋ぐ機能というものが期待されているということではあるかと思いますので、このNEXIPの中でも、原シス事業、あるいは人材育成事業というものを進めていく中で、原子力機構が果たすべきハブ的機能なども含めて、機能をより発揮してもらうような仕組み作りというものも検討していきたいと思っております。
【寺井主査】  ありがとうございます。
 多分、具体的にどうしていくかというのは、この第12期での検討課題の一部になり得るかなと思いますので、その辺りは、今後またご議論いただければと思います。ありがとうございます。秋山委員、お願いいたします。
【秋山委員】  ありがとうございます。
 11ページ目の人材育成のところで、少し質問というかコメントですけれども、マル1 番のところで、体系的な専門教育カリキュラムで、基盤的なところを共有していくということですが、そもそもその原子力という分野が、どういう学問体系なのかというのが、マッピングされているのかどうかということが、私ども教員自身も、ちょっとよく分かっていない部分もありますし、そうすると学生も分かっていない部分もあるので、そういう何かカリキュラムマップ的なものが、原子力分野に存在するのかということと、もし無い場合は、何か作っていくと、何が絶対に必要かとか、その上に乗っかって、どういう分野があるかということが、外向きにも明確になるかなと思いました。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  どうぞ、新井課長、お願いします。
【新井課長】  ありがとうございます。
 まさに、原子力を、原子力学科とか、その関係学科で、コースワークに乗っている方は、乗っている学生さんは、コースワークがあるので何となくイメージがあると思うのですけれども、原子力は総合的な部門という中で関係がある他の分野ですね、機械とか、電気とか、化学とか、他の学科の皆さんとか学生さんなども、原子力に入ってきて欲しいと、原子力の人材のことを担当している我々としては、考えているところでありまして。
 このANECのマル1 の取り組みの中でも、ANECのカリキュラムですね。原子力を利用していくというところに、こういう分野の学問分野がありますよねとか、あとは、共通基盤技術としては、こういうものも学ぶ必要がありますよねとか、そういったものについては、マッピングをして、学生さんが見えるような形にして、自分たちがどういう勉強すると、こういう知識が身に付いて、体系的に学べるというところを、ちょっと見える化が必要ではないかと。これは、ANECのカリキュラムグループの機関の皆様にご検討いただいているといったところでございます。まさに先生の問題意識と同じような形で、ANECのカリキュラムグループの方でも動いていると認識しております。
【秋山委員】  ありがとうございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。石川委員、お願いいたします。
【石川委員】  ありがとうございます。
 先程、新井課長からアウトリーチという言葉が出てきたのですけれども、小中高生へのアウトリーチというのはおそらく、原子力分野におけるダイバーシティの促進にも繋がるし、原子力を学ぼうとする学生の増加にも繋がるし、あと小澤委員の仰っていた、大都市とか、大消費地の市民の方の理解の促進にも繋がるのではないかと思いまして、せっかく高木委員が新しく加わられたということで、こういうようなアウトリーチについても、今回の作業部会で議論できるといいのかなと思ったのですけれども。
 今回作業部会の人材育成のところのスコープには、アウトリーチも入るのかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。
【新井課長】  ありがとうございます。
 この21ページですね。主な検討事項というふうに、事務局として、このような事項については考え得るのかなということで提示させていただいておりますけれども、これはあくまで例みたいなものでありますので、アウトリーチ活動について、その中で人材をどうするかとか、そういったところについてもご議論が必要ということの場合に、この検討事項に入り得ると考えております。
 原子力について、アウトリーチということで、これは、政府全体の原子力政策の中でも、旧来から一つの政策的な課題でありまして、その中で特に今年度といいますか、今回のGXという中で、原子力を最大活用していくという中のところ、あるいはバックエンドも含めた環境整備といったところでのアウトリーチ活動をしっかり進めていくことの重要性により一層、光が当たっていると考えております。大学あるいは高専、原子力機構、産業界の方々、こうしたANECに入っていただいている機関で、どういったことがアウトリーチに資する取り組みができるかというのを、できることと、できないこともあるかも分かりませんけれども、そのポテンシャルを最大限生かすという観点から検討するということを考えたいと思っております。
【石川委員】  ありがとうございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。
 多分、アウトリーチ活動の具体的なところは、今新井課長からございましたように、人材育成イニシアティブ事業の中で一部行われている部分があります。例えば、小中高生を対象にした色々な事業であるとか、あるいは企業人、それから一般社会人。こういう方も、少し裾野を広げながら、対象を増やしていっているという、そういう状況かなと思いますので、その辺の成果も睨みながら、今後の政策等をお考えいただくといいのかなというふうに思っております。
 その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特にお手は挙がっていませんので、時間の制約もございますので、議題2はここで終了させいただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして議題の3に移らせていただきます。議題の3は、「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉について、でございます。
 まず、原子力機構より新試験研究炉計画の進捗状況について、ご報告いただきます。それでは、和田室長からご説明をお願いいたします。
【和田室長】  はい、原子力機構の新試験研究炉推進室長の和田でございます。
 新試験研究炉の検討状況について、説明させていただきます。
 1枚めくっていただきますと、本日説明する内容でございますが、大きくは六つに分かれてございます。一つは経緯でございます。二つ目が概念設計の活動でございまして、三つ目が建設の候補地に係る検討でございます。四つ目が利用設備関係で、五つ目として今後の話。最後に、まとめというような流れになってございます。
 ページをまためくっていただいて、ページ番号1ページとなっているところでございます。こちら、経緯でございますが、平成28年度の12月に、原子力関係の閣僚会議におきまして、「もんじゅ」を廃止するということが決定されたことに伴いまして、「もんじゅ」サイトに新たな試験研究炉を設置するということが決定されております。
 また、先程の議題にもありましたように、施設の高経年化とか、施設を廃止するという流れになっておりましたので、我が国の研究開発、人材育成を支える基盤が脆弱化しているというような状況にありました。
 また、試験研究炉の役割でございますが、試験研究炉を利用した、高度な原子力人材の継続的な確保、育成強化が重要となり、また中性子利用の需要に対応した研究基盤の維持整備が重要という、そういう状況でありました。
 そうした状況から、人材育成、中性子の利用を基盤とした、試験研究炉の重要性が増加して、「もんじゅ」サイトに設置する新たな試験研究炉の在り方について、文科省の審議会等を通じて検討したところ、中性子ビームを主とした10MW級の中出力炉に絞り込まれたということで、令和2年から検討を開始したという流れになってございます。
 ページをめくって、その検討した流れでございます。2ページになります。真ん中に検討した項目が書いてございますが、その外枠の色に対応したものが、右左の四角で括っている色に該当する項目になります。
 まず、最初に性能の目標を設定して、基本仕様を策定した後に、原子炉の性能を検討して、その後に原子炉の成立性を検討、また制御手法を検討しました。今後の流れですけれども、原子炉設置許可申請に向けて、専門企業の協力を得て、今後より詳細な検討の活動を進めていくと、そういうような流れになってございます。
 また、この資料の右の上のところに、敷地内の調査、地質の調査という項目がありますけども、現在そちらも進めているような状況になります。
 3ページに移っていただきますと、核的な検討の状況になります。新試験研究炉としては、目標としておりました、最大熱中性子束10の14乗[n/㎠/s]以上、また400日の連続運転を満足するようにして、また多様なニーズ等に対応できると判断したce20炉心と、資料の右のところにそれを載せていますが、その炉心をベースに検討しました。
 解析する上で検討すべき項目としては、炉心の配置ですね。反射体や実験孔、制御棒要素、炉心の冷却、照射利用を検討してございます。資料の右の炉心ですけども、二重丸で斜線が横に入っているのが標準燃料要素で、これが16体になっています。四角で横線になっているのが、下のところに書いています制御棒付フォロワ燃料要素4体ということで、合計燃料要素が20体で構成してございます。炉心中心と四隅に、照射孔、さらにその燃料領域の右隣に、追加で照射孔を設置すると、そういう検討をしてございます。さらにその他に、制御棒としては、板状のものを検討材料として考えてございます。炉心の周りには、直径2mの重水タンクというものもセットして解析等をしていたということでございます。
 解析した結果、フォロワ型で炉心を制御できるというのは確認してございます。また、燃焼中期213日運転時でございますが、炉心の停止に必要な反応度価値というものも得られているというのを確認しております。
 続きまして、熱的な評価ということで、4ページに移っていきます。
 新試験研究炉で使用する燃料としては、板状のものを想定しておりまして、こちらでは、JRR-3のモデルを載せてございます。燃料につきましては20%濃縮のウランとシリコンを混ぜたものをアルミニウム合金でサンドイッチ構造にしたものを燃料板としては並べて、側板で鉸めているものを使っております。
 冷却材の流れですけども、右の方にモデルを示しておりますが、上流から下流に向かって流れる、下降流と呼んでいるものを使って解析をしております。冷却材の流量ですけども、400から2000㎥/hとして、冷却材の温度や、燃料板の表面温度、そういうものを解析したところ、燃料の上端から約50cmくらいのところで最大になる。例えば1600㎥/hの時には約78℃。冷却材温度につきましては、燃料の下部のところで、同じく流量で1600㎥/hの時に47℃と。燃料芯材最高温度につきましても、同じ流量1600㎥/hの時ですけども、約80℃。冷却材が増加することに伴って低下すると、そういうところも確認してございます。
 冷却材の流量が、600から2000㎥/hの範囲であれば、燃料最高温度と炉心出口温度におきましては沸騰することがないということも確認してございます。そういった解析の結果から、炉心の冷却材流量が600㎥/h以上であれば、熱流束は限界熱流束が半分以下で、定常状態としては十分条件を満足することを確認し、さらに燃料芯材最高温度は設計条件である400℃を十分に下回ると、そういうことも確認してございます。
 ページの5ページにおきましては、今ご説明した、核的なところと熱的なところについては、「1.炉心概念設計」の一つ目のレ点のところですけども、制限値を満足することを確認してございます。二つ目のレ点でございますが、こちら制御手法としては2種類で、フォロワ型と平板型の場合の配置というのも検討しております。三つ目でございますが、反応度係数の解析でございますが、こちらは解析したところ、得られた結果JRR-3の安全解析で用いた係数と比較して、ほぼ同じような数値が得られたということで、評価が妥当であるというような結果を得ております。
 「2.運転計画に向けた予備的検討」ということで、炉心の寿命などを解析したのですけども、新燃料で構成した場合は約300日の運転ができるということを確認してございます。その後、燃料燃焼度の低い、40%を超えたものについては再配置を行い、50%を超えたものは新燃料と交換するということで、プラス150日、450日運転できるということは確認してございまして、その150日というのは、燃料要素10本分に相当するということで、燃料の効率性が良いというような結果を得ております。
 もう一つ、メンテナンスに必要な期間でございますが、こちらは、原子炉等規制法に基づいて、年1回検査をしなければいけないのですけども、機器設備に応じて、必要な点検補修をすることになりますけれども、当然ながら機器点検は並行してできるものもございますので、それをすることで3か月くらいでできるのではないかと。その後、自主検査や定期事業者検査が2週間ずつということで、4か月は停止期間で必要であるというような整理をしてございます。
 シートの一番下でございますが、「3.新試験研究炉の完成予想図」イメージ図になります。右下のところに建屋の名称を載せています。緑の屋根でございますが、こちらが原子炉建屋になります。その左隣が、多くの実験ができるようにということで、ビームホールという建屋を隣接し、原子炉建屋の右隣が、原子炉建屋で照射したものを使うホットセルの建屋、そういうレイアウトにしています。
 6ページに移りまして、地質調査の話になります。令和2年度と令和3年度におきまして、100mと200mのボーリングの方を実施しております。その結果でございますが、7ページになります。
 一つ目としては、コア観察した結果、ボーリング孔の内壁面のカメラ観察の結果から、深度200mの範囲におきましては、小規模な破砕帯が分布するものの、大規模な破砕帯やすべり面となるような脆弱性は確認されていないと。二つ目として、コア観察の結果から、花崗岩風化部の厚さは数m程度の可能性があると。サンプリングによる岩級区分やPS検層の結果から、候補地の岩盤は構造物の支持の基盤となり得る硬さを有している可能性が高いという結果になってございます。
 こちらについては、専門的知見による妥当性を確認するため、令和4年1月17日に、地盤工学、地質学、地質変動学や地震工学の有識者で構成する技術検討会というものを設置しまして、ご意見をいただきました。
 その結果を受けた対応が、一番下のところになりますけども、追加的なボーリング調査等に先立ち、地すべりや土石流についての調査や工学的対策、その技術的成立性や所要コスト等についての検討をすること。また、万一、建設候補地が適切でないとの判断に至った場合に備えて、もんじゅサイトで追加的な土地造成等を行うことなどにより、用地が確保できるか予備的検討を並行して行うことをしております。
 8ページでございます。現在の候補地の位置でございますが、マル1 と書いてあるのが、当初検討した候補地になります。追加したものがマル2 とマル3 になります。マル1 、マル2 が山側になります。マル3 はもんじゅの駐車場になります。詳細については、次のページからご説明していきます。
 9ページになります。マル1 ですけれども、地点Aとなってございます。地点A´というものも山側ですけども、その違いについて、まずご説明しますと、右の上から水色の矢印がありますが、こちらが沢からの水が流れ、さらには赤く点線にしたがって、沢水や土石流が流れ、その系統のところに原子炉があるということで、それを回避するためにA´については原子炉を尾根のところに移設したところになってございます。こちら、地点AとA´ですけれども、それぞれ山側にあるために、土石流のリスクがあり、またアクセス道路が盛土斜面にあるために、大規模な改良工事が必要となりますので、そういったものの対策が必となります要。またA´については、背後斜面の対策が必要になります。その他、マル2 の液状化対策ですが、これは地下排水の補強になります。土石流の対策等も必要になります。AとA´でそれぞれの対策のコスト等ですけども、180億円と200億円となってございます。
 続きまして、地点Bについてご説明していきます。こちらは場所としては、もんじゅの駐車場として考えてございます。当初予定していたスペースが60mの55mということで、場所としてはちょっと狭いということで、海側の方にちょっと拡幅するような形になります。土地の拡幅の造成等の対策としては、約130億円必要になります。その他、課題のところにも書いてございますが、もんじゅ近傍なので、地下埋設物の状況や基礎基盤安定性を確認等をしなければいけない。また、もんじゅが廃止措置中であり、搬出の工程や搬出の調整が必要になるということになってございます。
 11ページに移りまして、検討の結果のまとめになります。こちらは、もんじゅサイトの想定される設置場所につきましては、文科省の委託事業におきまして、山側資材置き場として使用される高台の土地を候補地として、令和2年度から概念設計において地質調査の詳細な情報を収集してきたところでございます。
 原子力機構としては、有識者による技術検討会を踏まえて、盛土斜面の安定性や土石流などについての調査や工学的対策、その技術的成立や所要コスト等の評価に関する検討をサイト内の複数地点において実施するとともに、サイト内で追加的な土地造成等を行うことにより、同規模の用地が確保できるかの検討を進めてきたところでございます。
 その結果でございますが、地点Bを建設候補地として追加し、これを含め検討することが妥当と判断しております。当該地点は、当初の建設地候補地である盛土斜面の地点Aよりも敷地造成及び建屋基盤掘削工事における盛土斜面の安定性対策のコストや技術的成立性等の観点から有利であると。また、当初建設地と同規模の敷地を確保できる見通し等を得ております。この場合ですが、より詳細な地質調査、追加的な土石流対策の必要性の検討および、もんじゅの廃止措置に干渉しない工程策定が必要となります。
 今年度、令和5年度以降は、追加の候補地を含めた地点を中心に、より詳細な地質調査等を実施することにしております。
 次のページからが、利用の装置関係の話になります。4-1がビーム装置関係でして、こちらは汎用性や利用頻度の高い四つの装置を優先して、新試験研究炉の存在意義のアピールが重要として考えております。一つ目としては中性子の小角散乱装置、二つ目としては中性子イメージング、三つ目が中性子の反射率計で、四つ目が回析装置になっております。
 こちらがビーム装置でして、次の13ページが、照射関係の話になります。一番優先しなければいけないというものが、放射化分析の設備でございます。その他、医療用のRI、温度制御付きの材料照射、陽電子ビームや、中性子捕捉療法のための基礎的研究をするための照射設備が必要であると考えてございます。
 ただ、一番下にも書きましたように、そういう照射場だけではなくて、それを扱える施設、ホットラボであったりとか、分析等の付帯設備も当然ながら必要であるということでございます。
 今後のスケジュールが、14ページになっております。令和2年度から令和4年度までが概念設計でして、令和4年度末からが詳細設計のIというところで、現在作業の方を進めてございます。原子炉を作るにあたって、規制庁の許認可等が必要になるわけですけれども、まず一番最初は設置許可が必要になります。その申請時期ですけれども、上のところに書きましたように、令和6年、来年には見込次期を提示できればと考えてございます。
 次、15ページでございますが、こちらが利用装置の検討でございます。京都大学の複合原子力科学研究所におきましては、新試験研究炉に設置すべき利用装置の検討をしている状況でございます。黄色に塗っているのが中性子のビーム利用関係で、緑が照射関係になります。
 新試験研究炉の稼働開始時期に最新の知見を反映した装置を導入するため、京大の複合型研究炉開発・利用センターを中心に、専門家と広く連携しながら、総合的なプランを練っております。
 また、新試験研究炉の稼働時期には、最先端の利用をいかに実現するか、最先端の研究をいかに地元貢献に展開するか、これらに留意しつつ、関係のコミュニティを巻き込んで、活動していきたいと考えております。
 16ページが、今年度以降のステークホルダーを交えた検討の在り方になってございまして、下のところに、それが分かりやすいような体系図にしてございますが、今までがコンソーシアム委員会というものがありましたのですけども、引き続き事業の在り方を伺う場として、名称を変えて、今度は「コンソーシアム会合」というような形になります。
 また、ワーキンググループ1と2というのは、主査が機構と京大でしたけれども、引き続きそれは同じ機構と京大が引き継いで、コンソーシアム会合に報告するような流れになってございます。ただ一方で、ワーキング3につきましては、伴走型の連携や人材育成の在り方などを検討することのみならず、新試験研究炉の利用に向けた複合的な研究拠点の整備とか、利用促進の検討をより具体的に進めるために、地域関連施策検討ワーキンググループと名称を変更して進めていくというような形にしたいと思っています。
 また、原子力機構、京都大学、福井大学に加えて、地元自治体からの参画も要請して、関係の教育研究機関や企業等にも参加を要請して、利用の促進法人の決定後には、当該法人も加える形にしたいと考えています。
 17ページが、5月8日に我が国の今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる、中核的拠点として整備していくために、原子力機構と京都大学及び福井大学におきまして、協力協定を締結したものでございます。写真がその時の写真になってございます。
 最後、18ページまとめでございますが、一つ目として、炉心設計の概念設計が終了しましたので、詳細設計Iの方に移行しております。
 二つ目として、汎用性や利用頻度、社会的ニーズを踏まえて、新試験研究炉に最優先として設置すべき、利用装置も検討しております。
 今後は、原子力機構とともに詳細設計を進める企業を選定して、設計活動を進めるとともに必要な地質調査等を進めていくことにしております。
 10MWの新試験研究炉に高性能冷中性子源装置と広いビームホール、優先4装置と関連先端装置で研究のコアとして、産業利用展開を目指すなど、最先端の研究がいかに地元貢献に展開できるかに留意しつつ、関連コミュニティを巻き込んで、実施主体として活動を行っていくことにしております。
 また、今後もコンソーシアム会合において、活動報告するとともに、学術界、産業界、地元関係機関等から幅広く意見を聴取して、その意見を取り入れながら事業を進めていくことにしたいと思っております。以上になります。
【寺井主査】  和田室長、どうもご説明ありがとうございました。
 ご質問いただく前に、資料3-2、もんじゅサイトの新試験研究炉計画の検討状況についてということで、文科省さんからのペーパーを新井課長の方からご説明お願いいたします。
【新井課長】  ありがとうございます。
 ただいま原子力機構の方から概念設計の状況についてご報告をいただきましたけれども、この概念設計は文科省からの委託事業ということでやってもらっていました。それが一定の成果が出たということで、これからの進め方、経緯も含めて、1枚にまとめております。
 経緯のところですが、もんじゅサイトに設置する試験研究炉の炉型および今後の検討の進め方についてと、これは令和2年の9月に文科省から政策ペーパーを出しております。そこでは、人材育成、あるいは研究機関の拠点として、再度試験研究炉を作っていくということで、三つのポイントを書いておりました。
 一つは炉のタイプですね。中出力ビーム炉という話。二つ目が設置場所ということで、もんじゅサイトの中で、当時、文献調査も踏まえた上で、今日もちょっと説明がありましたけれども、高台部分にということで、これからさらに詳細な検討が必要ということを書いていたということでございます。三つ目が運営体制ということで、原子力機構が大学、企業、それから地元関係機関と連携して進めるようにと。そういったペーパーを出していたということでございます。それを踏まえて、原子力機構の方で、京大、福井大が中核的機関ということで、概念設計を進めてきたということかと考えております。
 今年の3月に、関係者のコンソーシアム委員会で、概念設計の報告をして、詳細設計に入ったと。前期のこの部会でもご議論いただいたことを踏まえて、JAEAが今後の詳細設計段階では実施主体となっていくということでありますけれども、引き続き、京大、福井大と連携をしていくということで、協力協定が締結されたという経緯でございます。
 今後の進め方ですけれども、二つあります。一つ目が、引き続きこの詳細設計段階以降も実施主体のJAEAは、京大、福井大と連携をして協力をしながら、幅広いステークホルダーの意見を、地元の皆さんの意見も含めて集約して、設計を進めるべしという話と、それから、この設計の概念設計の一環で、建設候補地についての議論があったわけですけれども、新たに、もんじゅ近傍の既設駐車場周辺が建設候補地として追加されたということで認識しておりますので、この結果を踏まえて、必要な地質調査等を進めていくということをすると認識しておるということで、途中状況ということで整理した紙を1枚出させていただいております。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  どうもご説明ありがとうございました。
 それでは、今ご報告がありました2件ですね。資料3-1と3-2につきまして、ご意見・ご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 多分15分くらい、時間は余裕があると思いますので、お願いいたします。どなたでも結構でございます。ご意見等ございましたら、挙手にてお願いいたします。小澤委員、お願いします。その後、松浦委員にお願いします。
【小澤委員】  ありがとうございます。応援する立場でコメントしたいと思います。
 1ページ目のところで、緑色の字のところで、原子力人材の継続的な確保、育成強化が重要というところは、ぜひとも教育目的にもしっかりとやっていただきたいと思います。それから、中性子利用需要に対応した研究基盤というところも、需要といいますか、要望が結構強いところだと思いますので、ここはしっかりやっていただきたいと思うのですけれども、冒頭の理解というところに関連しては、例えば、医療のRIでしたら、今までできなかったことができるようになるのか、海外に依存していたものが国内でできるようになるのか、また別の要因があって日本国としてメリットがあるのか、みたいな視点も整理してやっていったらいいのかなと思います。
 一つ参考になるのは、この資料をいただいてからちょっと勉強したのが、日本アイソトープ協会の流通統計なるものがあって、色々多岐にわたった統計があってびっくりしたのですけれども、そういうものも見ながら、貢献等を考えていったらいいのかなと思います。
 もう一つは、施設の設計についてですけれども、だいぶ設計の検討が進んでいると思うのですけれども、研究者目線の他に、実際に設備管理をする人とか、運営管理する人たちのことも考えて、使い勝手の良いというのですかね、何かあった時にも修理して、運転を継続しやすいみたいな、そういう視点も重要かなと思いますので、JAEAさんの総力を挙げて、そういった検討もされると良いと思っております。以上です。
【寺井主査】  ありがとうございました。コメントをいただきましたが、これは和田室長、いかがでしょうか。
【和田室長】  ご質問ありがとうございました。
 仰る通りに、人材育成や、中性子利用というのは必要であるという認識は十分持っておりまして、当然ながら、そのコンソーシアム委員会の先生方にも、そういう知見の人を入れていただいております。例えば、中性子科学会になります。また、医療用のRI関係ということで、今原子力委員会の方でモリブデンを検討しています。病院ではテクネチウムを使っていますけれども、その前に親の核種ということで、モリブデンの99を国内で約3割製造する、目指すというような流れになっています。今原子力機構としては、JRR-3で主体的に実施するということになっておりますが、原子炉で製造するとなると、どうしてもメンテナンスのために停止期間が発生します。そうすると、その期間をどう確保するかというところで、研究炉としては、今新試験研究炉をもんじゅサイトで作ることになっていますが、複数あると安定供給できますし、そういう認識は当然持っていますので、そういったところで貢献できると思ってございます。
 あと最後に、設備管理ですが、メンテナンスしやすいようにという温かいコメントを受けたと思ってございまして、当然ながら、そういうものは必要であると。私推進室前は、JRR-3を管理する部署におりましたので、そういった観点で、大きなメンテナンスはメーカーさんにお願いするような流れだと思いますけれども、簡易な補修は、原子力機構の職員が自前でできるように、自分たちが技術力を持ってできるようにというようなところは、使い勝手とか、当然ながら考えながらやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
【寺井主査】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 多分色々、まだこれからも課題はたくさんあるでしょうし、実際に例えば、医療用RI製造をやろうと思うと、ホットラボをどういう風に作るかという問題もあるし、その辺、色々また今後検討しないといけないところはあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。松浦委員、どうぞお願いします。
【松浦委員】  敷地候補について、ちょっと質問ということで教えていただきたいのですが、最初の候補としては、山側の土地が挙がっていて、地点AとA´というものがあるのですが、それから考えると、最初は追加で入ったBというのが候補に入ってなかったということだろうと解釈しているのですけれど、これはもう素人目で見た考えなので、色々事情があるかと思うのですが、山の斜面とかの辺りに作ろうとすると、資料に書いてあるように、盛土斜面の安定対策とか、土石流対策とか、そういうことが必要なのかなと。一方、地点Bについては、「もんじゅ」の傍であるので、地質調査とか、それなりにされていて、平坦な場所だというふうに解釈、理解していたので、それにも関わらず、地点Aが最初の候補として挙げられていたということは、それなりの利点があったのかなと。逆に、また地点Bは候補に最初入っていなかったのか、例えば廃炉の作業とかに影響がありそうだなとか、そういう理由、事情があったのであれば、その辺りお教えいただければなと思っております。
【寺井主査】  ありがとうございます。これは和田室長、お願いできますか。
【和田室長】  はい、ご質問ありがとうございました。当初検討していたのは、8ページのこのマル1 というところになります。追加したのは、実はマル2 とマル3 になってございまして、先程説明をしたのですけれども、9ページに載ってございますが、左側のAのところの右の上ですね、ちょうど、頂点のところから、水色の矢印が左下にあると思うのですけれども、これが沢水、土石流が流れる。その下流側に原子炉がどうしてもあるということで、規制庁に許認可を取る時に、こういうところにあるとリスクが高いだろうということで、原子炉の方は、そういう沢、土石流がないところというところで、尾根のところですね、A´というのを追加検討しました。
 その他にないのかということで、Bというものも追加しました。ただ、Bというのは、当初入っていなかったのは、スペース上の観点です。スペースを確保する観点で、Aというところを検討したというのが流れでして、Bは海側の方のところに整地しなければいけないというところで、スペース上、海側に拡幅するとスペースが確保できるということで、Bの方を追加で、ということで検討したという流れでございます。
 さらに仰る通り、AとA´というのは、ボーリングを、基準地震動を選定する時に、ボーリングの数がグリッドボーリングといって、数をたくさん掘らなければいけないのですけども、そういった観点でいいますと、地点Bというのは、もう既にもんじゅがございますので、ボーリングした数もございますので、そういった観点で、それらを有効活用できると思っています。ただそうは言っても、スペースとしては駐車場になりますので、新たに追加するボーリングというのは、必要な数はまた別途ございます。説明は以上になります。
【新井課長】  ちょっと補足をさせていただきます。
【寺井主査】  どうぞ、新井課長、補足をお願いします。
【新井課長】  
 今、和田室長が説明した件は、その通りですけれども、元々文科省の方の委託調査で文献調査を別途しておりまして、この概念設計に入る前にやっておりました。その際には、地質調査は当然行っておらず、当時ある情報を基に、文献的にスペースの確保などを考えると、高台部分というものが候補になるのではないかと。ただ、その際も、さらに詳細な調査が必要だという、そういった但し書き付きで、概念設計に入っていただいたということでございます。
 概念設計に入って、さらに技術的検討の深掘りをしていただく一環の中で、土石流、地すべりの対策というものがおそらく必要になるだろうということで、コスト面の評価というものをしてもらったわけですけれども、その時に、地点Bですね。これについては、元々はスペースの話、それから、「もんじゅ」そのものの廃止措置が進んでいるということの関係の中で、候補には入っていなかったのですけれども、場所の確保というものが、海側に拡幅することでできるといったところの目処がついたことと、あとは、「もんじゅ」の廃止措置を進めていることとの関係での取り合いのところ、干渉がないように整理するということで調整をし得るのではないかと、そういった時点修正的な、新しい情報もあったということで、追加候補地として、これは考えられるのではないかと、我々としても今考えているといったところでございます。以上です。
【寺井主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【松浦委員】  分かりました。最初は多分、敷地面積的なところが大きかったのかなというような印象で、その後、色々技術的な検討が進められて、より安全性とか、コストを含めて、総合的に検討されて、今の候補になっていると理解しました。ありがとうございました。
【寺井主査】  ありがとうございます。それでは、手がたくさん挙がっています。和田委員、お願いします。
【和田委員】  ありがとうございます。ご説明ありがとうございました。
 詳細な設計段階に入られたということで、ご説明にもございましたけれども、ぜひ設計段階から、産業界のニーズを取り込んで進めていただきたいと思っております。
 また、人材育成や技術継承のために、試験研究炉の役割というのは、非常に大きいものだと思っておりますので、実施主体となるJAEAさんには、しっかりとオーナーシップをとっていただき、文科省さんにはスポンサーシップを大いに発揮していただいて、円滑に進むことを期待しております。
 また、そのためにも、規制対応というものが非常に大事になってくるかと思いますので、 グレーデッドアプローチによる合理的な審査認可を目指していただければと思います。以上でございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。激励の言葉そのものですけども、新井課長、何かございますか。よろしいですか。
【新井課長】  ありがとうございます。仰る通りだと思いますので、JAEAと連携して、しっかり取り組んでいきたいと思います。
【寺井主査】  ありがとうございます。
 今の件でちょっと気になっているのは、規制委員会、あるいは規制庁とのやり取りですかね。手戻りがあると、これどうなのという感じがあるのですよね。ボーリングを既にいくつかやっているのですけど。ちょっとその辺り、規制庁との情報交換といいますか、その辺りは何か、これはJAEAさんですか。では、和田室長、お願いできますか。
【和田室長】  はい、規制庁との情報交換ということでございますが、実はまだ、そこまでの情報交換というのは実施してございません。
 ある程度のところになってから、進めていかなければいけないと思っておりますが、まだ候補地が確定してございませんので、そういったところを早急に進めるというところとか、あとは主体となる企業さんですね、建設していただくところの企業さんを早く決めて、より詳細な設計を進めていって、ある程度の情報などが出てきた段階で、規制庁と情報交換等を進めていければなと思っております。
【寺井主査】  ありがとうございます。
 適切な時期に遅滞なくということかと思いますので、ぜひ、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、高木委員、お願いします。
【高木委員】  ありがとうございます。
 現在、具体的に進んでいる技術・設計の方について、ご報告いただいたかと思います。資料3-1の1ページの、下の赤文字のところ、我が国の研究開発や人材育成を支える西日本における中核的拠点としての機能の実現ですとか、地元振興への貢献といった、そういった観点がありますが、今後情報発信の拠点となるような、そういったことも、ぜひ意識していただきたいといいますか、ご検討いただきたいと思います。
 広報とか、情報発信といいますと、一つは地元の方や国民の不安を払拭する、理解をしていただく、受け入れていただくという目的もありますけれども、先ほど他の委員の先生方からのコメントにもありましたように、小中高生や異分野の方に、この原子力科学技術に対するわくわく感というようなものも、発信できるといいなと思います。そうしますと、小中高生とか異分野といったところの人材も、やってみたいとか、関わってみたいというふうになって、活性化されていくのではないかなと期待しております。以上です。
【寺井主査】  ありがとうございます。これも、和田室長にお願いできますかね。
【和田室長】  温かいコメントだと思って受け止めてございます。人材育成というか、地元とのそういう教育みたいなところですけども、実はワーキング3というものが、福井大にお願いしておりますけども、そういったところの活動を実はやってございまして、昨年度は、福井県との共催みたいな形ですけども、オープンキャンパスというものを通じて、高校生を対象とした概況説明ですね、試験研究炉の概況説明とかもさせていただいてございます。また、同じように学生向けということで、こちらの福井大学とか、福井工業大学とか、福井の県立大学などございますが、同じように概況説明や、BNCTという中性子捕捉療法の利用の成果等のご説明をしているということで、高校生とか、大学生、若い時からそういうところに、研究炉とはどんな風ですよと、地元の方々に広く勉強していただいて、人材育成に繋げていければなという取り組みはしてございますので、引き続きそういう活動は、今年度も必要だと思っていますので、併せて、そういう広報活動を、一般の人に向けて継続していきたいと思っております。以上になります。
【高木委員】  ありがとうございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。中熊委員、お願いします。
【中熊委員】  ありがとうございます。
 この試験炉は、人材育成の本当に重要な拠点になると思っていますので、先ほどから議論にありますように、手戻りのないように、できるだけ早く運転開始をしていただきたいなと思っています。
 我々は商用炉側ですので、試験研究炉とは全然規制基準も違いますけれども、一番は我々も苦労していますけれども、福井県内もクリアしている発電所もありますので、もし情報等必要でしたら、ぜひ連携をしていただければ、最大限協力させていただきたいと思います。
 それから、一つちょっと質問させていただきたいのですけど、先程も小澤委員からメンテナンス性の話が少し話題になりましたけど、私の聞き間違いではなければ、年間メンテナンスのために停止必要期間が大体4か月くらいだというようなご説明があったと思うのですけれども、JRR-3を参考にと仰っていますので、試験研究炉だと当たり前なのかどうか、ちょっとユーザー目線で、使い勝手という観点で、この4か月というのは、本当に妥当な期間なのかということを、ちょっと教えていただければと思います。以上です。
【寺井主査】  ありがとうございます。和田室長、お願いします。
【和田室長】  はい。今、メンテナンス期間が、4か月が妥当なのかというところと、あとはユーザー目線でというところがございましたけれども、大学のユーザーのニーズとしては、JRR-3で言いますと、4月に学生が来ます。課題等、卒研のテーマとかが決まるのが5月くらいからということで、5月くらいから運転していただければというような形になっているのが実態でございます。また、東大ですと、秋口入学というものがございます。ですから、入学時期としては、4月と10月で、そこから約1か月ずれた形で運転していただきたいと要求されています。年度末の、2月とか3月、年度当初の4月は、まだ募集というか、課題のテーマというか、そういうものも決まっていないので、そういったところは停止していただいていいですよというような形で言われています。そうしたことから時期は、5月くらいから12月くらいとか、1月くらいまでは運転していただければいいというのがニーズになります。
 ただ、その4か月が停止期間として妥当かと言いますと、試験研究炉は出力に応じて停止期間が違います。原科研のNSRRは、出力が低いですが、パルスにより発電炉用の燃料被覆の照射試験を実施しています。セル等の準備もあり4か月必要となっています。JRR-3は出力が大きいところもございますので、やっぱりメーカーさんが入っていただいて、場所や期間を調整する形になってございますので、大体3か月くらいが停止期間というようなことになってございます。説明は以上になります。
【中熊委員】  よく分かりました。ありがとうございます。
【寺井主査】  ありがとうございました。
 中熊委員は、多分発電炉のことを想定されて、そういうご質問をされたのだろうと思います。ありがとうございました。
 その他はいかがでしょうか。特にお手は挙がっていないようですが、よろしいでしょうか。
 それでは、予定をしておりました時間がまいりましたので、議題3については、本日の意見交換も踏まえまして、実施担当者には、引き続き計画を着実に進めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、本日予定をしておりました議事は以上でございますけれども、その他にご意見等ございますか。
 特に特段お手が挙がっていないように思いますので、引き続き、この作業部会でご意見をいただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、事務局から連絡事項等、お願いいたします。
【髙倉課長補佐(事務局)】  本日の議事録に関しましては、出来次第メールにてご確認いただいたのち、ホームページに掲載させていただきます。
 また、次回の作業部会については、改めて日程調整を行いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
【寺井主査】  ありがとうございます。 それでは、これで、第16回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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