第8期地球観測推進部会(第6回) 議事録

1.日時

令和2年8月28日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

委員

小池部会長,春日部会長代理,赤松委員,岩谷委員,上田委員,浦嶋委員,河野委員,三枝委員,佐藤委員,神成委員,関根委員,中北委員,中田委員,平林委員,堀委員,武藤委員,村岡委員,六川委員,若松委員

文部科学省

堀内大臣官房審議官,土居下環境エネルギー課長,石川環境科学技術推進官,葛谷課長補佐,堀川地球観測推進専門官

4.議事録

【小池部会長】 第8期の第6回目の地球観測推進部会会合を開催させていただきます。
本日は、大変お忙しい中、このウェブシステムに御参加いただきまして、どうもありがとうございます。本日は、議題にありますように、実は前回、4月はこのウェブ会議すらできなくて、書面審査、書面審議ということでやらせていただきました。そのときの主要議題は、私どもの今後10年の我が国の地球観測の実施方針のフォローアップ報告書の内容で、皆様の御意見を反映したものに対していろいろなところに意見を求めてきたわけです
その間に、コロナが拡大いたしまして、先般皆さんにお尋ねいたしましたように、ウイズコロナ・ポストコロナの社会の中で地球観測をどういうふうにすべきか、ということを加えてフォローアップ報告書をまとめたいということになりました。本日はそれが主要の議題となります。加えて、今年度の地球観測の実施計画並びに、本日の主要擬態と関係しますが、地球観測データを用いたCOVID-19の解析状況等についての情報を皆さんと共有させていただきたいと思っております。
今日の今回の部会から、宇宙航空研究開発機構の平林様が委員となられました。平林委員、一言御挨拶をお願いいたします。
【平林委員】 ありがとうございます。JAXA第一宇宙技術部門宇宙利用統括をしております平林でございます。前任の舘に替わりまして、本部会の委員会委員を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
ごく簡単に自己紹介させていただきますと、私は主に衛星の開発に携わってきておりまして、最近ですと、GOSAT2、温室効果ガスを観測するいぶき2号の開発時のプロジェクトマネジャーをしておりました。その後、昨年の11月から衛星利用を担当するようになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
【小池部会長】 よろしくお願いいたします。
続きまして、事務局に人事異動があったということですので御紹介いただき、また、続けて委員の出欠と資料の確認をお願いします。
本日、オンライン会議ということで、進行に当たっての留意点もございますので、事務局のほうから併せて御説明をお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 では、事務局から、研究開発局の人事異動について御報告させていただきます。
研究開発局審議官に堀内が、環境エネルギー課長に土居下が着任しております。堀内審議官、土居下課長から一言ずつ御挨拶をいただきたいと思います。堀内審議官、よろしくお願いします。
【堀内大臣官房審議官】 千原の後任で研究開発局の審議官になりました堀内と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、小池部会長はじめ皆様方、この地球観測推進部会に御参画いただきましてありがとうございます。私、宇宙の担当課長であるとか、それから海洋の担当課長などをしておりまして、この地球観測の重要性というものは非常によく認識しているつもりであります。前職が内閣府で科学技術イノベーションの担当の審議官をしておりましたときも、今、政府の中がコロナでその議論ばかりで大変ですけれども、いろんな方々の意見を聞く中で、環境、気象であるとか防災であるとか、こういったところも含めて、忘れてはいけないというような議論もされる方が多かったというふうに、コロナだけじゃなくて環境問題も忘れてはいけないというようなことをよく聞きました。そういう意味で、ここの地球観測の必要性、重要性というものが非常に高いものだというふうに認識しております。
一方、その議論の中で時々聞いたのが、ばらばらやっているのではないのというようなことを聞いております。今後、この部会などを通じまして、まとまりのよい、チーム一丸となって課題に取り組むような分野になったらいいなというふうに思っています。今後ともよろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 ありがとうございます。
続きまして、土居下課長、よろしくお願いいたします。
【土居下環境エネルギー課長】 私、8月3日付で環境エネルギー課長を拝命いたしました土居下でございます。前任の横地課長に引き続き、農林水産省から出向でまいりました。地球観測の分野、初めての経験になりますけれども、早くキャッチアップしまして、皆さんと一緒に御議論することを楽しみにしております。どうかよろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 ありがとうございます。なお、既にメールにて御挨拶させていただいておりますが、4月1日付で池田の後任で着任をしました堀川と申します。よろしくお願いします。
では、続きまして出欠確認ですが、通信状況の確認も兼ねまして、委員の皆様1人ずつから御挨拶をお願いしたいと考えております。こちらからお呼びいたしますが、御所属とお名前のみで結構ですので、御挨拶をお願いいたします。
それでは、小池部会長。
【小池部会長】 国立研究開発法人土木研究所のICHARMにおります小池と申します。よろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 ありがとうございます。
続きまして、春日部会長代理。
【春日部会長代理】 春日文子です。よろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 ありがとうございます。
続きまして、赤松委員。
【赤松委員】 国際航業の赤松です。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、岩谷委員、よろしくお願いします。
【岩谷委員】 気象キャスターネットワークの岩谷です。どうぞよろしくお願いします。
【堀川地球観測推進専門官】 ありがとうございます。
続きまして、上田委員。
【上田委員】 京都大学工学研究科の上田佳代といいます。よろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 では、続きまして、浦嶋委員。
【浦嶋委員】 MS&ADインシュアランスグループの浦嶋と申します。どうぞよろしくお願いします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、河野委員。
【河野委員】 海洋研究開発機構の河野と申します。よろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、三枝委員。
【三枝委員】 国立環境研究所の三枝です。よろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 続きまして、佐藤委員。
【佐藤委員】 東京大学大学院理学系研究科の佐藤薫と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 お願いします。
続きまして、神成委員。
【神成委員】 慶應大学の神成です。よろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、関根委員。
【関根委員】 早稲田大学の関根でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、髙村委員につきましては、本日は欠席の御連絡をいただいておりますので、中北委員、いらっしゃいますか。
【中北委員】 はい。京都大学の防災研究所の中北と申します。よろしくお願いします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、中田委員ですが、本日は途中参加の御連絡をいただいておりますので、続きまして、平林委員。先ほど御挨拶をいただきましたが。
【平林委員】 平林です。よろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、堀委員。
【堀委員】 海洋研究開発機構の堀でございます。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、武藤委員。
【武藤委員】 武藤と申します。地球環境部から今、緒方貞子平和開発研究所に移っております。よろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、村岡委員。
【村岡委員】 岐阜大学の村岡です。よろしくお願いします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、六川委員。
【六川委員】 東京大学の六川でございます。よろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
続きまして、若松委員。
【若松委員】 リモート・センシング技術センターの若松でございます。よろしくお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 よろしくお願いします。
ありがとうございます。本日は、中田委員の途中参加も含めまして、19名の委員に御出席いただいております。過半数11名に達しておりますので、部会は成立となります。本会は、部会運営規則により公開とさせていただきます。
次に、資料確認です。資料は、8月26日の夜にメールにて資料を送付しておりますが、御覧いただいておりますでしょうか。議事次第のほうに配付資料一覧を記載しておりますので、御参照ください。
配付資料についてですが、資料1-1、令和2年度「我が国における地球観測の実施計画」(案)、資料1-2、令和2年度「我が国における地球観測の実施計画」(案)集計概要、資料2、地球観測衛星データを用いたCOVID-19に対する解析状況について、資料3-1、地球観測の実施方針フォローアップ報告書(案)【概要】です。資料3-2、今後10年の我が国の地球観測の実施方針のフォローアップ報告書(案)、最後に参考資料としまして宇宙基本計画の概要となっております。
本日の部会の進め方についてです。本日は、オンラインでの会議になりますので、部会の進め方について簡単に御説明いたします。
ウェブ環境の安定化のために、御発言されていないときは音声と画像をオフしていただきますようお願いいたします。御発言される場合は挙手ボタンを押していただきまして、部会長もしくは事務局から指名いたしますので、御発言の際に画像をオンにして発言いただきますようお願いいたします。指名順については、挙手した順番ではない場合もございますが、御了承ください。
部会開催前に、事務局から、個別に挙手ボタンについて少し御説明させていただいた委員もいらっしゃいますが、改めて、挙手ボタンの使用方法について御説明いたします。まず、挙手ボタンの使用方法についてですが、画面中央下部のほうに丸型のボタンが並んでいるかと思います。その丸型のボタンの中に人の形が描かれた参加者ボタンがございます。参加者ボタンをクリックしていただきまして、画面右側のほうに参加者のリストが表示されるかと思います。参加者リストの表示された枠の下のほう、こちらに手の形をした四角のボタンがございます。このボタンが挙手ボタンとなります。御発言される際は、この挙手ボタンをクリックしていただきまして、御発言が終わりましたら再度挙手ボタンをクリックして挙手を解除していただくという形で対応させていただければと思っております。また、本日は速記者が入っておりますので、発言の際はお名前を言ってから御発言をお願いいたします。
傍聴者の方へお願いとなりますが、万が一システムトラブル等で傍聴不可となった場合に関しましては、後日公開します議事録を御確認いただきますようお願いいたします。
【小池部会長】 それでは、議事に入る前に、前部会は、先ほど申しましたように書面開催となりましたので、その結果を報告いたします。
これは本日の議題3に関係しておりますけども、今後10年の我が国の地球観測の実施方針、これのフォローアップ報告書の中間取りまとめの書面審議を行わせていただき、取りまとめております。本日の議題3で、新しい知見も入れて、最終取りまとめを行う予定でございます。よろしいでしょうか。
それでは、議題1、令和2年度「我が国の地球観測の実施計画の実施計画」の取りまとめについて審議したいと思います。
まず、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 それでは、議題1について御説明いたします。資料1-1、令和2年度「我が国における地球観測の実施計画」(案)を御覧ください。
この実施計画(案)につきましては、第6期の地球観測推進部会で策定していただいた今後10年の我が国の地球観測の実施方針に基づき策定することとなっているものです。平成28年度からこのような形で取りまとめております。関係省庁に、令和2年度の実施計画内容に更新をお願いしておりまして、取りまとめたものが資料1-1実施計画(案)となります。
資料の中身ですけれども、黄色で塗り潰されている枠が昨年度から変更があった箇所。1行全てが黄色で塗りつぶされた箇所が、今年度新たに追加された取組となっております。また、灰色で塗り潰してある箇所は今年度削除された項目となっております。
なお、前回の部会にて御審議をいただきました今後10年の我が国の地球観測の実施方針のフォローアップ中間取りまとめの内容を踏まえまして、中間取りまとめ内容に関連する施策につきましては、該当する取組の備考欄に、“中間取りまとめ関連”と明記しております。
資料1-1の実施計画案につきましては、分量がございますので、資料1-2の集計概要で御説明いたします。
では、資料1-2集計概要を御覧ください。(1)は、総登録件数を記載しております。令和2年度の総登録件数は428件で、そのうち再掲が272件となっております。再掲は実施方針の複数の項目に貢献する観測事業となっております。昨年度の総登録件数は432件となっておりまして、今年度とほぼ同程度の登録件数でございました。
(2)は、省庁等別の登録数をお示ししております。
次に、(3)につきましては、平成30年度から令和2年度までの3年間の登録数の推移をまとめております。再掲を除くものについて、項目の種別ごとの推移を記載しております。推移を御覧いただきますと、観測や機器開発などの各項目の件数が前年度と同程度となっております。
次に、(4)につきましては、観測事案として衛星、地上、船舶、航空機及びその他に分けて推移をまとめております。なお、(4)でお示ししました登録数に関しては、再掲は含まれておりません。観測事案ごとに見てみますと、件数としては全体的に若干の微減とはなっておりますが、前年度とこちらも同程度となっております。
2ページ目を御覧ください。
(5)につきましては、実施方針の項目ごとの観測事業の件数をお示ししております。ここにお示しした件数には再掲が含まれておりまして、括弧内は前年度の件数となっております。前年度と比較しましても(1)から(4)の項目と同様に、前年度と同程度の件数となっているというところでございます。
最後に(6)につきましては、中間取りまとめの内容に関しまして、関連する施策について示しております。中間取りまとめに関連する総施策数は94件ございまして、そのうち再掲が50件となります。中間取りまとめに関連する施策のうち、今年度から新規拡充となる施策については11件ございました。そのうち、中間取りまとめに関わる新規施策の例として例示させていただいておりますが、農林水産省の施策である“気象観測装置の整備”が中間取りまとめ4-2、課題解決を志向した地球環境インフラの長期性・継続性の確保の項目に該当しております。この事業につきまして、“気象観測装置の整備”については、全国各地に研究拠点で行われている気象観測につきまして、気象データの蓄積、利用促進のために、気象観測装置のスペックの統一や、農研機構総合データベースへの収録等の取組を進めているものでございます。今後10年の計画で各地の気象観測装置の更新を進めていく予定です。
また、林野庁の施策でございます“治山技術を途上国で適用する手法の開発に関する研究”が中間取りまとめの4-4、共通的・基盤的な取組の推進とイノベーションへの貢献に該当しております。“治山技術を途上国で適用する手法の開発に関する研究”につきましては、リモート・センシングなどを活用し、リスクマップの作成や途上国の森林の防災、減災など、6つの強化に治山技術を適用する手法を開発しまして、我が国の民間企業等が森林技術を海外に展開できる体制を整備するものでございます。
集計概要の説明は以上となります。
集計結果としては、前年度と同程度でございまして、傾向としては大きな変化はございませんが、また気になる点等ございましたら引き続き調査を行いまして改めて御報告させていただきます。
議題1の説明は以上となります。
【小池部会長】 ありがとうございました。
ただいまの御報告につきまして、御意見、御質問等ございますか。先ほど御説明のあった挙手ボタンを押していただいて御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
昨年、この議論をさせていただいたときには、先ほどの1-2の資料にもございましたように、平成30年度から令和元年度にかけてかなり減っているというのが目立ったものですから、どういう分野、どういう項目、どういう手段が、変化があるのかということをお調べいただくことになりました。今年もそれを踏襲していただいてお纏め頂いております。これを拝見すると減っているということには歯止めがかかっているのかなと思います。
現在、お二方、委員が御発言ですが、最初に中北委員、その次に春日委員、お願いいたします。
【中北委員】 ありがとうございます。簡単な質問ですが、資料の1-2の裏側の第4章の課題解決型の中で、1つ目の中で、気候変動対策の効果把握というところがありますが、この場合の対策というのは、主に削減方面での対策に対する効果と。例えばCO2があまり上昇しなくなったとか、そういうイメージでよろしいでしょうか。対比してイメージしているのが適応になりますけれども、対策と書いてある言葉の意味をちょっとだけ確認させていただければと思いました。
以上です。
【堀川地球観測推進専門官】 御質問ありがとうございます。御説明いただきましたとおりでございます。
【中北委員】 ありがとうございます。
【小池部会長】 続きまして、春日委員、お願いいたします。
【春日部会長代理】 春日です。御説明ありがとうございます。ちょっと聞き逃したのかもしれないですけれども、簡単なところですけれども、資料1-2の2ページ、第4章の課題解決型の地球観測のうち、最後の8ですか、科学の発展への貢献というのがちょっと漠然としているので、具体的にどういうことだったのかなと失念してしまったのですが、御説明いただけますでしょうか。
【石川環境科学技術推進官】 文部科学省の石川です。
先生御指摘の第4章の8の科学の発展への貢献というところですけれども、ここは、具体的には例えばセンサーの開発ですとか新しい計測技術の開発ですとか、そういったこれまでの課題解決のための観測活動そのものだけではなくて、それに必要な新しい観測技術ですとか観測手法の開発なども含めて、そういった科学としての発展に関する部分は、この8で整理しまして各省などから登録いただいております。
【小池部会長】 春日先生、よろしいでしょうか。
【春日部会長代理】 分かりました。地球観測を通じて、もっと広く波及効果が期待されたものという、そういうふうに理解してよろしいですか。
【石川環境科学技術推進官】 そうですね。そういったものを含めて、ここに登録しております。
【春日部会長代理】 分かりました。ありがとうございました。
【小池部会長】 それでは、続きまして、河野委員、お願いいたします。
【河野委員】 ありがとうございます。小池先生が先ほどおっしゃられた平成30年から令和元年度での著しい減少の大半はJAMSTECの観測登録数が減ったことに起因したわけでございますけれども、これは実は活動そのものが低下したわけではなくて、組織改変に伴う協定の仕方のときのカテゴライズで統合したもので減ったということですので、平成30年から令和元年度の実態として日本の観測力が著しく落ちたということではございませんので、念のため皆さんに申し上げておきます。
【小池部会長】 どうもありがとうございました。私の言葉が足りなくて失礼いたしました。確かに、減っているように見えていた理由の御説明がありました。その理解に立って今年の結果を見ると、観測力は維持されているということを示しているということだと思います。どうもありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。
次の議題は、地球観測衛星データを用いたCOVID-19に対する解析状況についてでございます。宇宙機関におけるCOVID-19に関する取組につきまして、本日から部会に加わっていただきました平林委員に発表をお願いいたします。平林委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【平林委員】 よろしくお願いいたします。それでは、私のほうから、地球観測衛星データを用いたCOVID-19に対する解析の状況について御説明させていただきます。
次のページお願いいたします。
COVID-19の世界的流行前後におけます地球環境や社会経済活動の変化につきまして、JAXA、NASA、ESA、3機関共同での解析を本年の4月から開始いたしました。解析に当たりましては、ここに書いておりますように、気候、商業、水質、農業、大気質の5つのワーキンググループを設置しております。3機関共同で進めることによりまして、合計17機の地球観測衛星情報を活用することができました。また、JAXAからはGOSATをはじめ6機の衛星情報を提供しております。
その解析結果につきましては、6月25日にウェブ上で公開するとともに、日米欧3局合同での記者会見も同日に開催しております。また、この活動とは別にCOVID-19に関連してハッカソンも実施されておりまして、JAXAはハッカソンにおいて衛星データの提供、審査等で協力をいたしたところでございます。
審査の結果、8月3日に優勝の6チームが発表されました。日本からの参加チームは、ファイナル審査まで1チーム進みましたけれども、優勝には至っておりません。
本日は、この赤でくくった地球観測衛星データによる解析について、この後具体的な事例も含めて御説明させていただきます。
次のページお願いいたします。
このシートは、温室効果ガスを観測するGOSATデータを用いた解析結果を示しております。このGOSATの強みといたしましては、大都市を集中観測できること、そして大気の下層域と上層域を分離して二酸化炭素濃度を出すことができます。これによりまして、大都市部におきまして二酸化炭素の発生源により近い大気下層の濃度の増減を把握することができます。この左側の図では、御覧いただきますと、東京の場合ですと、上の段が2016から2019年の4年間の平均、下の段が2020年の観測結果でございますけれども、過去4年の平均と比べまして、2020年はCO2の濃度差が小さくなっているのが分かるかと思います。青っぽい色から赤っぽい色になるほど、濃度差が大きいということを表しております。また、右側の棒グラフは各年の月平均を示したものでございまして、2020年度が例年に比べて小さくなっているという様子がお分かりになるかと思います。これらから、濃度上昇の増加ペースが鈍っているということが分かります。
そのほか北京やニューヨーク、その他の大都市でも同じような解析を行っており、先ほど御紹介したウェブのほうに公開をしております。
次のページお願いいたします。
これは、商業活動につきましてALOS-2の情報を用いた解析結果でございます。
まず、左側のほうですが、これはシンガポールのコンテナや駐車場の駐車台数の変化を解析したものであります。4月22日、シンガポール政府による仮設テント宿泊設備の設置に伴いまして、車、コンテナの数が4月下旬以降減少しているといったような変化を捉えております。また、右側は北京の自動車工場の駐車台数の変化を解析したものであります。ロックダウン期間中、駐車台数が減少しているといった変化も捉えております。
次のページお願いいたします。
これは、GCOM-Cなどのデータを用いて、植物プランクトンに含まれます光合成色素であるクロロフィルaの濃度変化を解析した結果であります。ここにお示ししておりますのは、ベネチアのあるアドリア海北部のクロロフィル濃度について、例年と比べて多いのか少ないのかといった差を示したものでありまして、この折れ線グラフを見ていただくと、ちょっと字が小さくて恐縮ですが、今年はロックダウンが始まる少し前の2月過ぎあたりから、例年に比べて低くなっております。その原因につきましては、ラグーン外の南側にありますポー川河口からの栄養塩の流入低下などが原因であったのではないかというふうに推定しております。それから、この四角の下のところに書いてありますが、東京湾についても同様の解析をいたしましたが、2020年度は18、19年とほぼ同様なレベルの変動を示していたということで、特に特異な状況ではなかったということではあります。ただし、分解能の問題もございますので、分解能で把握できない局所的なものまで分かりませんが、こういった広域レベルの観測としては、顕著な影響は観測されておりません。
次のページお願いいたします。
これは、農業分野での解析結果であります。米国の米の産地でありますカリフォルニアのサクラメント地区の作付け状況を解析したものであります。この真ん中の折れ線グラフがGCOM-Cによる植生指数の変化を示しておりまして、この折れ線グラフの黄土色の線が今年のものであります。それで、赤い矢印のタイミングで水田への湛水を行ったと考えられまして、過去2年と比べると、1か月程度時間が早いということが分かります。また、右側のほうはALOS-2での解析結果でありますけれども、赤色の部分、細長い円で黄色く囲った部分でございますが、ここは2020年度のみ水田に水を張っている地点を赤色で示したものであります。
四角の3つ目に書いてありますように、コロナの影響によりまして、米の主たる輸出国であります東南アジアの輸出規制によって、まず供給量の減少があったと。一方で、国際的な米需要の高まりということから、このような形で作付面積が増えた可能性も考えられますけれども、詳細につきましては、社会経済学的な観点も含めて分析が必要と考えております。
次のページお願いいたします。
これは、NO2に関してです。石炭や石油など、化石燃料を燃やした際に発生するものでありまして、大気汚染物質でありますNO2の濃度変化について解析したものです。JAXAでは、NO2を観測する衛星を保有しておりませんので、ESA、NASAの解析結果となりますけれども、左側がヨーロッパ、右側が米国ワシントンD.C周辺のものですけれども、それぞれ主要な都市でNO2の濃度が50%から30%、例年に比べて減少しているといったような変化を捉えております。
次のページをお願いいたします。
こういったような解析結果につきましては、3機関合同のウェブサイトを設置いたしまして、そこに掲載をしております。ぜひ、お時間ありましたら御覧いただければと思います。
次のページをお願いいたします。
これは、3機関合同のウェブサイトと各機関個別のウェブサイトがございまして、これはJAXAのウェブサイトでございます。左側のほうに少し書かせていただきましたが、ここのCOVIDの前に取り組んでいたのですけども、衛星データの利便性向上を図るために、今までいろんなところにばらばらにデータがウェブ上掲載されていて、探すのがなかなか大変だというお声もありまして、合計66種類のデータを一覧してまとめるというウェブサイトをJAXA for Earthという形で構築いたしまして、ウェブを、解析したい人が迷子にならない、こういうふうに一覧でまとめるようにいたしました。今回のCOVID-19の結果につきましては、ここに専用のJAXA for Earth on COVID-19というものを設置して掲載しております。6月25日から公開いたしました。
次のページをお願いいたします。
まとめになりますけれども、今日御紹介したものは解析結果の一部でありますけれども、本日紹介していないものも含めまして、5つのワーキンググループでの解析結果をウェブサイトで、公開……。
【堀川地球観測推進専門官】 平林委員の通信状況が不安定になっております。
【平林委員】音声がとぎれとぎれなので、ちょっとビデオをオフにさせていただきます。
【小池部会長】 では、平林委員、まとめのところからお願いいたします。
【平林委員】 了解いたしました。
アクセス数につきましては、約8万件のアクセスがございました。
今回3機関で取り組んだメリットといたしましては、データ補完と様々な観測データを複数組み合わせることによって比較検証ができ、単独で行うよりも地球環境等の変化を捉える精度を高めることが可能になったというように考えております。
今後も、解析結果の更新を継続するとともに、対象の拡大も3機関で検討調整してまいりたいと考えております。
また、今回の利活用として、従来のような形の利用に加えて、社会経済学的な新しい分野の利用を始めたところでございます。
また、国連のFAOが目指す穀物市場価格の安定化のための農作物市場情報システムに衛星解析データを提供するといった形でも利活用を図っていきたいと思っております。
私からの説明は以上でございます。
【小池部会長】 平林委員、誠にありがとうございました。3機関合同の大変貴重な成果を御紹介いただきありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どうぞ挙手をお願いします。現在、三枝委員と河野委員が挙げておられますが、よろしいでしょうか。
それでは、三枝委員、それから赤松委員ですね。三枝委員、河野委員、赤松委員の順でいきたいと思います。三枝委員、どうぞ。
【三枝委員】 ありがとうございます。国立環境研究所の三枝です。大変興味深い報告をいただきまして、ありがとうございます。
私からは、1点、今回例えば東京ですとか北京ですとかニューヨークですとか、大都市からのCO2排出量の指標となり得るような上空と下層の濃度差といったデータを見せていただきました。こうした量をモニタリングしていくのは重要だと思うのですけど、例えば今回ヨーロッパやアメリカのグループも、こうした取組に参加されたということで、今回お示しいただいたのはGOSATという大気中の濃度を見る衛星のデータの解析結果でしたけれども、これと地上のインベントリーデータとか地上の観測データですとか、そういうものを組み合わせて、大規模な社会的な変革があったとき、あるいはそこから回復してくる過程を、上空と、それから地上と組み合わせて、場合によってはモデルも組み合わせてモニタリングしていく取組といったものは、日本を含めて海外からもあったのでしょうか。もしあったようでしたらお知らせいただけると大変ありがたいです。
以上です。
【小池部会長】 平林委員いかがでしょうか。
【平林委員】 大変申し訳ございません。こちらの回線がとても悪く、安定しておらず、三枝先生の発言が途切れ途切れになってしまいまして、よく聞き取れませんでした。
ほかにも御質問がおありかと思いますので、もしよろしければ、ちょっと1度再立ち上げをさせていいただく時間をいただければと思うのですが。
【小池部会長】 はい、分かりました。一応委員から質問を聞きまして、もう一度入られましたら、そのとき私のほうからお尋ねすることにします。
平林委員、再立ち上げ、どうぞよろしくお願いいたします。
赤松委員、お願いいたします。
【赤松委員】 大変早い段階で、こうしたたくさんの解析を行っていたということに、私は驚いています。こういった事象が起こったときに、迅速にこういう対応が取れるということが、日本としての体制の強みだと思いますし、JAXA、それからESA、NASAが一体の体制が取れるというのもすばらしいことだと思います。
1つお聞きしたかったのは、この結果を、どういう形で実際の社会経済活動に使っていくのかということです。2つほど、専門研究機関への提供というのと、それからFAOへの提供という紹介があったのですけれども、それ以外に、もう少し実務のほう、例えば利用省庁ですとか、それから我々のような民間企業との協働みたいなことで、何かお考えになられていることがあればお教えいただきたいと思います。
【小池部会長】 どうもありがとうございました。
まだ平林委員は接続できていないようなので、今、2点、三枝委員、赤松委員からいただいたことをまとめますと、衛星のデータに加えて、地上データとか、あるいはモデルを組み合わせて経済への影響、あるいはそれが立ち直るプロセスをモニターするといいますか、そういうことはお考えかどうかというのが三枝委員からの御質問で、赤松委員からは、専門家、あるいはFAOに加えて、実務、利用省庁とか民間との協力があるかどうかということですね。
【赤松委員】 はい、そういうことでございます。
【小池部会長】 佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】
この3機関合同で、早い段階でこのサイトを立ち上げられたというのはすばらしいことだなと思っております。このように速やかに立ち上げることができた経緯について差支えがない範囲で教えていただきたいというのが1点です。
もう一つは、データの解釈についてです。例えば3ページ目のGOSATの対流圏下層と上層の差というグラフがあるのですけれども、北京に関してはCOVID-19の影響があまりないように見えます。しかし、これは大気の状態の年々変動によりマスクされている可能性があります。ですので、差だけではなくて絶対値のほうも見たほうがいいのではないかなと思います。このような研究は、この先、どんなふうに発展させるのか、この解析をされている方はどういった方なのか、今後は専門家との情報共有はどのようになさる予定かということをお聞きしたいと思います。
【小池部会長】 ありがとうございます。佐藤委員から、このすばらしい枠組みが立ち上がった経緯、うまくいっている経緯というものを教えていただきたいということと、こういう取られたデータをどういう専門家の方が協力しながら解析しておられるか、あるいは解析を今後発展させていくかということの御質問と承りました。
【佐藤委員】 はい、それで結構です。よろしくお願いいたします。
【小池部会長】 まだお入りではないですね。どうしましょうか。平林委員がお入りになられて、残りの議題が終わった後、時間があればぜひお答えいただければと思います。私のほうからも、3名の委員からの御質問は御紹介いたしますので、では、ちょっと順序を変えて進めさせていただければと思います。よろしいでしょうか。
【堀川地球観測推進専門官】 はい、よろしくお願いします。
【小池部会長】 最後にもう一度3名の委員の方々の御質問は、平林委員にお尋ねする機会を持ちたいと思います。もしもうまくいかなければ、メールでお尋ねすることとしたいと思います。
それでは、続きまして、議題の3番目ですが、冒頭にも申し上げましたけれども、ウイズコロナ・ポストコロナ社会における地球観測の在り方及び「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」のフォローアップ報告書(案)について議論させていただきたいと思います。
まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 それでは、議題3について御説明いたします。
フォローアップ報告書(案)につきましては、本部会に先立って各委員より事前にいただきましたウイズコロナ・ポストコロナ社会における地球観測の在り方の御意見を中間取りまとめに盛り込みまして、最終取りまとめとして資料3-2の実施方針フォローアップ報告書(案)を作成しております。
また、関係府省庁におきましては、地球観測の観点から既に取り組まれている新型コロナウイルスに関わる対応や、ポストコロナ社会を見越した対応なども踏まえまして、報告書案に盛り込んでおります。
それでは、資料3-1を御覧ください。
本資料につきましては、フォローアップ報告書案の概要の資料となります。報告書案の各章の国内外の動向、地球観測に係る取組状況、実施方針を進める上での今後の方向の要点をまとめておりまして、それぞれ御説明いたします。
まず、現状の実施方針策定以降の国内外の動向でございますが、令和元年12月に改定されましたSDGs実施方針やSDGsアクションプランには地球観測関連事業が盛り込まれておりまして、また、COPやIPCCなどの気候変動や防災減災、生物多様性に資する様々な取組が実施されております。
地球観測に関する政府間会合では、地球観測を効果的に活用した科学技術外交、国家戦略の動きもございまして、産業界におきましても、企業のESG投資や、TCFDの動きもございます。地球観測データや予測データへのニーズがますます高まってきておりまして、客観的根拠として地球観測が果たす役割や期待が高まってきております。
さらに、新型コロナウイルスの感染症の世界的な流行に伴いまして、国際協力等を含めた観測活動の在り方の転換や、新たな社会経済活動における地球観測データの役割の変化など、様々な影響が懸念されております。
次に、資料右側の我が国の主な地球観測に係る取組状況についてです。
これまで関係省庁、機関が協力しまして衛星、航空機、船舶、地上からの統合的な観測の充実に努めておりまして、世界有数の高い観測能力を我が国は有しております。また、予測技術の高度化や、効果的、効率的にデータの利活用可能なデータ基盤の整備を含めた様々な取組を実施している一方で、観測計画の見通しや新たな課題に対する観測体制につきまして、継続的な地球観測の実施に課題が存在しております。また、予測技術のさらなる高度化や地球観測データの爆発的増加への効率的、効果的なさらなる対応が必要となっております。
このような国内外の動向や地球観測に係る取組状況を踏まえまして、次に、資料下半分に記載しております、実施方針を進める上での今後の方向の項目について御説明いたします。
地球観測データは、データ駆動型社会となるSociety5.0の共通基盤として極めて重要となっております。地球観測データを効果的に組み込んだSociety5.0の推進は、環境問題、気候変動、防災・減災、食料安全保障、感染症対策、エネルギー問題、生物多様性劣化だけではなく、経済成長や産業振興、社会福祉等にも貢献しております。
また、気候変動の影響を正確に理解して新たな科学的知見をもたらす地球観測が果たす役割はますます重要になっておりまして、我が国の地球観測を後退させることなく、様々な課題解決に貢献することが急務の課題となっております。
これらの観点、課題から、実施方針に基づく今後の地球観測の実施等に当たりまして、資料の下半分に緑色で記載しております各項目の地球観測情報を現場につなぐ取組の強化、地球観測インフラの長期性・継続性の確保、予測情報の高度化、共通的・基盤的な取組の推進とイノベーションへの貢献の点をさらに強化することとしております。
まず初めに、地球観測情報を現場につなぐ取組の強化につきましては、地球観測データをエンドユーザーが利用できる情報に変換しまして、データの利活用による課題解決を推進するために、人材育成、体制やデータ基盤の整備を進めていくこととしております。また、エンドユーザーの巻き込みや人文社会科学との融合によって、課題の共有や意思疎通を図りまして、相互理解を深めていくことが重要であります。そうした活動を積極的に進めていくことを求めております。
次に、地球観測インフラの長期性・継続性の確保につきまして、地球規模の観測インフラを社会インフラとして、機器の開発を含めまして、維持・継続・発展させ、Society5.0に貢献する信頼性の高い観測データの長期的な取得、蓄積、提供をすることとしております。
次に、予測情報の高度化につきましては、気候変動に伴う将来予測、意思決定に重要な基盤的情報の創出に向けて、地球観測データを効果的に用いた気候モデルの高度化や予測情報の高精度化を行いまして、地球観測データの統合的な利用に資する情報の提供を促進し、談話策、適応策の意思決定に役立てていくことが重要であるとしております。
最後に共通的・基盤的な取組の推進とイノベーションへの貢献について御説明いたします。
長期的・安定的な運用や、デジタルトランスフォーメーションへの貢献、データ基盤間の連携等を進めるために、データ基盤インフラの強化及びデータの統合化、利活用を促進してまいります。
また、ウイズコロナ・ポストコロナ社会に対応した地球観測に関わる研究活動としまして、感染症対策への貢献、IoT、デジタル技術を駆使したリモートでの連携等を進めていくことや、企業のESG投資やTCFDなど、地球観測データ、予測データへのニーズがますます高まってきていることも踏まえまして、産業利用促進へのさらなる取組を強化していくこととしております。
さらに、分野間の連携や多様なステークホルダーの関与、人材育成にも注目することや、SDGsやパリ協定などの国際的な取組の促進、貢献。地球観測のイノベーションの創出に取り組むこととしております。
資料3-1の説明は以上となります。
次に、資料3-2を御説明いたします。
それでは、資料3-2の資料を御説明いたします。
先ほどフォローアップ報告書(案)の概要を御説明いたしましたが、本資料では、委員の皆様や関係省庁からお送りいただきました新型コロナウイルスに関わる御意見等を踏まえまして、追記修正を行った主立った箇所を御説明させていただければと思います。
資料3-2の5ページを御覧ください。
第2章、実施方針策定時以降の国内外の動向の項目につきまして、2-4、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の項目を今回追記しております。
追記内容としましては、新型コロナウイルスの世界的な流行と感染拡大に伴う影響が多方面に波及しつつあることや、地球観測分野において観測活動の在り方の転換や地球観測データの役割の変化などの影響について記載をしております。
同じく5ページでございますが、第3章の3-1(1)衛星観測の項目に、議題2の平林委員からの発表にもございましたように、新型コロナウイルスによる影響の観測や、人文社会科学的視点を加えた分析についても記載をしております。
次に、6ページを御覧ください。
3-2、観測及び観測・予測データ利活用の課題解決に向けた主な取組と課題の項目の中に喫緊の課題が列記されておりますが、こちらに感染症対策の文字を含めております。ほかのページにも同様に記載された部分もございまして、こちらも併せて感染症対策の文字を追記しております。
また、今年度6月に閣議決定されました宇宙基本計画におきましては、地球観測衛星の開発と打上げ計画について記されておりまして、マイクロ派放射計の後継ミッションの検討や降雨レーダー後継ミッションの検討等は工程表に位置づけられておりますので、その内容についても記載をしております。
また、7ページの記載にもなりますが、地球衛星観測計画の強化についても追記をしております。
宇宙基本計画の概要につきましては、別途、参考資料1のほうを御参照いただければと思います。
7ページを御覧いただきまして、下から4行目の箇所となりますが、新型コロナウイルスの影響による研究活動への影響と研究活動の在り方について、新しく追記をしております。
続きまして、9ページを御覧ください。
4-1、地球観測情報をデータ利活用の現場につなぐ取組の強化の項目に地球観測データの利活用の促進とさらなる貢献の実施に向け、情報の転換、受渡し、つなぎの実現をできる人材体制、データ基盤が一層重要となり、データ利活用の現場の課題解決により貢献するために、自然科学と人文社会科学が融合し、相互理解を深めることが重要である旨の記載を、こちらに追加をしております。
続きまして、10ページを御覧ください。
下の4-2の課題解決を志向した地球観測インフラの長期性・継続性の確保の項目に、新型コロナウイルスによる影響と継続的な観測の重要性について記載をしております。
続きまして、11ページを御覧ください。
4-4(1)データ基盤インフラの強化及びデータの統合化・利活用の促進の項目にウイズスコロナ・ポストコロナ社会におけるデジタルトランスフォーメーションの促進、社会行動変容を促す重要な基盤について記載をしております。
続きまして、委員の皆様には部会に先立ちまして御提示していただきました意見も踏まえまして、11ページの(2)ウイズコロナ・ポストコロナ社会に対応した地球観測に関わる研究活動の項目を追加しております。
記載内容としましては、新型コロナウイルスによる影響が長期化する中で、新しい日常の「ニューノーマル」下における地球観測の在り方の検討であったり、新型コロナウイルス等の感染症が発生した場合に、地球観測の観点から何ができるのか、制約を踏まえた新たな観測活動やデータ利活用、社会実装の在り方などについて記載をしております。
続きまして、13ページを御覧ください。
13ページに記載があります②のパリ協定等温室効果ガス削減への貢献の項目に、新型コロナウイルス関連の記載としまして、社会経済活動への影響によるCO2排出削減効果の影響評価・検証等に関する研究の記載を追加しております。
次に、15ページ、別添となりますが、観測及び観測・予測データ利活用の課題解決等に向けた主な取組を御覧ください。
関係府省庁には、本部会に先立ちまして、地球観測の観点から、各関係府省庁で既に取り組まれている新型コロナウイルスに関わる対応や、ポストコロナ社会を見越した対応、また、今後予定している取組について御提示いただきましたので、こちらを記載しております。
15ページの(1)気候変動に伴う悪影響の探知・原因の特定の項目には、衛星観測データや地上観測データを用いた新型コロナウイルス流行の前後での大気成分の観測に関する取組を記載しております。
また、22ページを御覧ください。
22ページの(7)健康に暮らせる社会の実現の項目につきましては、地球観測衛星データを活用した新型コロナウイルスによる地球環境や社会経済活動等の変化の解析や、あとバーチャルハッカソンの開催、AMATERASSデータを最大限活用した環境情報インデックスの準リアルタイム解析と速報に関する研究のほかに、「キレイな空気指数」の開発、新型コロナウイルスに影響の分析といった取組を記載しております。
(8)の科学の発展の項目につきましては、ポストコロナ社会における災害対応等、人を介さない非接触社会に資するマルチパラメータライダー等の観測技術や高精度測位の安定利用技術等の研究開発の推進を追記しております。
議題3の説明については、以上となります。
【小池部会長】 どうもありがとうございました。
2つのことをちょっと申し上げたいと思います。一つ目は、今回のバージョンで追記された部分で、只今、事務局から説明がありましたように、ウイズコロナ・ポストコロナの社会における地球観測の在り方が明確に追記されているということです。また、宇宙基本計画の閣議決定されたものの紹介がございましたように、こ佐藤委員が中心となっておまとめになられた学術会議の提言、あるいは委員会でのいろいろな御活動と私どももリンクしながらこれを進めて、一定の表現のされ方というのが基本計画の中に打ち出され、それが今回のバージョンに記されています。これを今後どういうふうに発展させていくかということが1つ大きな課題となっていると思います。
2つ目は、机上配付資料にありますように、委員の皆様からCOVID-19、ならびに今後発生し得る新たな感染症に対し、地球観測の観点からどのような貢献ができるかということと、移動制限がある新しい社会において地球観測分野に関わる国際的な研究協力、国際貢献、能力開発、人材育成、コミュニケーション等がどうあるべきかについてです。特に皆様が、現在、どのような取組を行っておられるか、あるいはその中でどんなことが問題になっているか。あるいは、その問題に対してどういう対処を講じておられますかということと、今後やるべきことは何かということをお尋ねしたところ、大変広範で中身の濃い御意見をいただきました。本当にありがとうございます。この机上配付資料には委員の皆様のお名前が記されていませんけども、それぞれのお立場から非常に示唆に富んだ御意見をいただき、まず心から御礼申し上げたいと思います。
こういう御意見を踏まえて、先ほど事務局から御紹介がありましたように、このフォローアップ報告書にどういうふうにこれを盛り込むかということにつきまして、事務局と御相談させていただき、お手元の形となっております。これを基に、本日、皆様の御意見を頂き、報告書を改定する作業を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
平林委員、お入りになっておられますが、先ほどの御発表に対する御質問は、この議題の3が終わった後、もう一度振り返ってさせていただきたいと思いますので、しばらくお待ちいただきたいと。
【平林委員】 はい、申し訳ございませんでした。
【小池部会長】 それでは、議題3につきまして、御意見、御質問等がございましたら、挙手ボタンをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
ただいま、中北委員、村岡委員、今、上田委員、赤松委員、春日委員が挙がっております。取りあえず、この5名の方で、まず皆さんの御意見をそれぞれ承って、必要に応じて事務局にお問い合わせさせていただくことにいたします。
順番としては、中北委員、村岡委員、赤松委員、上田委員、春日委員の順番でいきたいと思います。
まず、中北委員からお願いいたします。
【中北委員】 ありがとうございます。京大防災研究所の中北です。
今回の新たなお問合せということで、COVIDの話の中で、ニューノーマルの中での役割という、新たな視点というのが出ている中で、今回、先ほど質問したことと関係するのですけれども、気候変動の予測とか、あるいは今どういう変化してきているかというのには貢献していると基本方針でも書いてあるのですけれども、これから適応の世界に入ってきますね、ニューノーマルとして。その適応自身がどう、地球全体も含めてですけれども、進んでいくかということを、衛星を通して把握していくということがいろんな側面から可能ではないかというのが、今回の先ほどの平林委員の御発表にも触発されて、より一層思いを強くしたのですけれども、災害だけじゃなくて、基本方針のところに、1のところで気候変動があって、そこから下に、災害であるとか農業であり、いろんなことが書いてありますが、それを縦につなぐものとしてのニューノーマルというのがあって、そのニューノーマルの監視というのが縦軸、そこにCOVIDも入るし、それから気候変動への適応というのもニューノーマルとして、私たちは常に長い時間かけて把握したり、新たな施策を続けていって実行していくというのが大事になりますので、例えば住み方の変化ですね。こういうところに人口が多かったのが、あるいはすみかがあったのが、徐々に、10年のスケールで見ると、世界的で動いてきているよとか、それから農作物そのものも適応で変化していきますよね。ある種のものが北へ行ったりとか南へ行ったりとかいうふうに変わっていくとか、それから時間的な農事暦ですね、灌漑期とかが変わりながら1年の中の農事暦、衛星で観測できますけれども、そういうようなことも変化しているとかというようなことも見られると思います。
適用ですので、加えてここでもうたわれている人文科学的な視点も含めて、適応の進捗度合い、進捗というか、何かしないといけないという意味になりますけれども、人間の適応としての状態を衛星から見ていくと。それから、それをベースにしたことでさらなる適応とか新たな生き方とか、経済の進め方とかという大事な土台となる視点を出す地球観測であるというところも、報告書の中で、一応旗を立てる、大きな旗でなくていいのですけども、見える形で、報告書の中でうたっておくのがすごくいいことだなと思って今ちょっと提案をさせていただきました。
以上でございます。
【小池部会長】 ありがとうございました。適応していく社会の地球観測ということですね。
【中北委員】 はい。
【小池部会長】 ありがとうございました。
それでは、村岡委員、お願いいたします。
【村岡委員】 ありがとうございます。岐阜大学の村岡です。よろしくお願いします。
実はこの準備について事務局から御連絡いただいて、生態系・生物多様性観測のコミュニティとか、具体的には太平洋生物多様性観測ネットワークAPBONとか、日本LTERというコミュニティの方々と意見交換をしました。また昨日はAPBONのウェブセミナーを開催しまして、中国の研究者によるコウモリと感染症に関する勉強会もしました。
特にこの新型コロナウイルスの感染症の拡大にあたっては、もちろんその感染がどう広がっているかという問題も毎日のように報道されていますが、国際的な生物学あるいは生態学の分野では、我々の土地利用の変化、要するに森林を切り開く、森林が分断化されていく、あるいは森林の中に道路を通していく、または野生生物を利用するということとの関連性の問題として取り上げて注目しています。やはり多く議論されていますのが、人の活動により森林の分断化が進んでいること、これによって人と野生生物の距離が短くなっているということ、もちろん食材として野生生物を使っているということがあります。一部の地域ではコウモリや他の野生生物が感染症を拡大するということも生物学的にはよく知られていることです。
こういったことを考え合わせて、地球観測がどのように今後の新たな感染症のリスク評価に貢献できるかということも考えますと、森林の分断化、森林の劣化、生物多様性の損失、そういったものをきちんと観測や分析によって明らかにして、感染症のリスク評価を進めることが重要なのではないかというような意見を取りまとめて事務局に提出しております。
そういった意味では、ただいま事務局から御説明いただきましたフォローアップ報告書の11ページ、4-4の(2)として、ウイズコロナ・ポストコロナ社会に対応した地球観測に関わる研究活動という項目を新しく立てていただきましたけど、第2段落の1行目で、感染症に対する地球観測の貢献についてはという部分があります。ここで温暖化等の地球環境の変化という言葉がありますが、ここに、温暖化や森林分断化、あるいは森林劣化等の地球環境の変化が与える新興感染症の拡大等のリスク評価というように、生物多様性に注目した文言を入れることも御検討いただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
【小池部会長】 非常に明確な御指摘ありがとうございました。
それでは次に、赤松委員、お願いいたします。
【赤松委員】 国際航業の赤松です。
3つありまして、最初、一番簡単な質問ですけれども、9ページのところに、「例えば自然災害時などの具体的な意思決定、行動につながっていくことが重要である」というのが、今回、加えられているのですけれども、これは特にコロナとは関係ないかなと思ったので、なぜこれが加えられたのかというのをお教えいただきたいと思いました。加えられていることは大変良いことだと思いますので、それはそのままで良いのですけれども、なぜこれが加わったのかを教えていただきたいと思います。
それから、11ページのほうです。ウイズコロナ、ポストコロナ社会に対応した地球観測に関わる研究活動の項です。この中で、最初のパラグラフの一番下のところで、「新たな観測活動やデータ利活用、社会実装の在り方である」という、一言でちょっと言われているところがあるのですが、これは先ほどの平林委員の御報告への御質問とも関連するのですけれども、もし、例えばJAXAがやられている個々の活動の中、あるいは文科省が関係されている活動の中で、こういう具体的な例を考えている、方向性があるという部分があっれば、少しその辺を、言葉として補っていくと良いのではないかと考えました。
それから3つ目が、その下のパラグラフで、具体的に、例えばこういうことに地球観測が貢献していくという内容が何個か並べられていることがあって、私は、それはそのとおりだと思います。一方で今我々の初動が始まって、個々にいろいろな解析とか対応を取りつつあるのですけれども、それを全体として統合し、コロナ感染症に対して総合的にどう向かっていくのかというのかということが、まだ今のところあまり取り組まれていないですし、足りていないのかなと思っているところもあります。
ですから、こうした感染症に対する総合的な対応戦略を、産業界の巻き込みも含めてということになるかと思うのですが、つくっていくということも、少し言葉として盛り込んでいく。また、こういった活動を通して、我々日本国として、地球観測による感染症対策という中で、積極的にイニシアチブを目指していくということも、文言として入れると良いのではないかなと感じました。
意見としては、以上でございます。
【小池部会長】 非常に具体的で、かつ重要な御意見ありがとうございます。御質問も含めて、後で事務局のほうからお答えいただこうと思います。ありがとうございます。
上田委員、お願いいたします。
【上田委員】 京都大学の上田です。先ほど村岡委員から、森林などの土地利用と人との関わりや生態系との関わりが今回のコロナの感染症とも大きく関わっているという御指摘、それに対するコメント、そして11ページの中にそこを盛り込んではという御意見がありました。
それに関わるコメントになるのですけれども、このCOVID-19の流行に関わりまして、ワンヘルスという概念が大きくクローズアップされてくるようになりました。ワンヘルスというのは、人、動物、環境が相互に密接な関係があって、それらを総合的によい状態にすることというのが真の健康であるという概念ですけれども、今回はまさにCOVID-19によって人が森林、都市利用に関わること、そして生態系と関わることにより爆発的な流行が起こったということになります。そういう意味でいうと、それに対応するために、医学やいろんな分野が横断的に連携するアプローチをワンヘルスアプローチというふうに言いますけれども、特に環境をモニターするという意味でいうと、地球観測が非常に大きな役割を持つようになってきているということもありますので、私も村岡委員の意見にも賛同しまして、この11ページの(2)のところです。ウイズコロナ・ポストコロナ社会に対応した地球観測に関わる研究活動のところで、ワンヘルスという概念も1つ盛り込んでもらうといいかもしれないです。というのは、ウイズコロナ・ポストコロナだけではなくて、今後様々な感染症、あるいはいろいろな新たな新興感染症や病気も起こってくる可能性があります。それらもまとまった概念として、それらを環境側からモニターする地球観測の在り方が重要になってくるといったものを含めていただけるといいかなと思いました。
【小池部会長】 ありがとうございます。村岡委員の御指摘を、その前段に来るようなワンヘルスという概念を盛り込むということの御指摘、どうもありがとうございます。
それでは、春日委員、それから武藤委員も手を挙げていただいていますので、春日委員、武藤委員までいって、事務局へお渡ししたいと思いますが、まず春日委員、どうぞお願いします。
【春日部会長代理】 どうもありがとうございます。私も上田委員、そして村岡委員もおっしゃったとおり、それから、それに関連するのですけれども、平林委員からのプレゼンテーションに対して三枝委員が質問されたことにも関係して、少し申し上げます。
今回COVIDがこれだけ流行している背景には、感染症側の、病原体側の要因だけではなくて、それがこれだけ急速に広がるきっかけになった人間社会側の要因、さらに人間の行動と自然環境の接点が増えてきたことによる要因、全てが総合的に重なっているわけです。
そして、それを踏まえた形で、何か所かに国際展開のことですとか、自然科学と人文社会科学両方が必要であるということ、それらが融合されることが必要であるという、そういうことが盛り込んでいただいています。
もう少し踏み込んで、様々な地球観測データを組み合わせて使うこと、統合して使うことで、より有用な情報が得られて、有用な情報を社会に提供できるようになるというふうに思われます。
そういう意味で、先ほど三枝委員が質問されたように、衛星観測と地上観測のデータを組み合わせていることがあります。それはモデリングも組み合わせていますかという質問がありましたけれども、そういう組合せが、これまで以上に必要になってくると思うんです。
赤松委員がおっしゃったように、総合的なアプローチというものが非常に重要になるかと思います。具体的には、11ページの、御意見がいろいろ集まっている箇所ですけれども、11ページの(2)ウイズコロナ・ポストコロナのところの第2段落の最後の行、ここに「学際的な取組が重要であり」とあると思いますけれども、「学際的、さらに統合的な取組が重要」という言葉を加えていただくと、今の要点がカバーできるかと思います。
だから、もう少し具体的に、どこかに、「様々な地球観測データの統合的活用」というフレーズを入れていただけたらというふうに思います。
最後に、上田委員がおっしゃったワンヘルスですけれども、私も大変な重要なポイントだと思います。ただ、ワンヘルスという言葉は、感染症に関する研究者の中で、往々にして人獣共通感染症に特化して使われる場面があります。獣医学分野の研究者が特にこれが重要ということで使われている場面があります。正確な定義によっては、一部に広いことを包含していると思うのですけれども、その懸念が1つありまして、むしろ地球環境と人間、そして動物の健康を総合的に見ていかなければいけないという意味で使われているのがプラネタリーヘルスという概念です。地球観測のことを考えますと、プラネタリーヘルスのほうがよりフィットするかなというふうに思いまして、それも提案させていただきます。
以上です。ありがとうございます。
【小池部会長】 ありがとうございました。言葉の使い方、それから基本的に総合的なアプローチが必要という部分の御指摘、どうもありがとうございます。
それでは、武藤委員、お願いいたします。
【武藤委員】 ありがとうございます。私のほうからは、非常に具体的なところを1つお話しさせていただきます。
ウイズコスナ・ポストコロナではないですけれども、今のこの瞬間、私たち懸念しておりますものの1つに、モーリシャスでの重油流出事故がございます。1つのエピソードではありますけれども、こういった環境事故に関してのものは、これからクローズアップされているのかなと感じておるところです。
このモーリシャスの件に関しては、海保さんが現地に飛ばれたというのは私たちのJICAの緊急援助のフレームワークの中で行かれていて、その過程でJAXAさんとALOS-2の画像ですとかいろいろやり取りをされて、私たちも頂いて、いろんな判断に使わせていただいております。
それを踏まえてなんですけれども、13ページで、仙台防災枠組みと愛知目標のことが書かれていて、恐らくこれのはざまのことだと理解しています。ここで書くというよりは、環境事故は恐らく、後ろの事例を書くところで、何か1つ、海保さんのほうで、こういった環境事故に対しての地球観測を活用されているということで加筆されると、今注目されているのでいいのではないかと思っております。
以上です。
【小池部会長】 どうも具体的で重要な御指摘ありがとうございます。
それでは、今いただきました御意見につきまして、事務局のほうから何か。
【関根委員】 小池先生。関根でございますが、手を挙げてお待ちしていたのですが、よろしいでしょうか。
【小池部会長】 関根先生ですか。すいません。上にあったので見えなかった。ごめんなさい。関根先生と佐藤先生、手を挙げていただいています。大変申し訳ありませんでした。関根先生、じゃ、お願いします。それからその次、佐藤先生、お願いします。
【関根委員】 前回も申し上げたことになるのですが、COVIDのこととは直接関わりがありませんが、データの利活用ということで書かれているところを拝見すると、エンドユーザーという言葉が出てまいります。エンドユーザーは誰のことだろうかというのをちょっと思いまして、観測したデータを基にして研究をする人なのか、そのデータを基にして研究をした人がまとめたデータを受け取る一般社会の人たちなのか、子供なのかというところがはっきり分かりません。
実は、先ほどのJAXAの先生からのお話にもありましたが、とても大事なデータがたくさん取られていて、拝見すると、もう感動するといいますか、やっぱりこうだったのだということに気がつくわけですが、そういうデータがどこにどういつ置かれているのかというところが、エンドユーザーと呼ばれている人たちにどう伝わっているのかというところが、1つ考えなきゃいけない問題なんじゃないだろうかというふうに思います。
もう1つは、どういうデータの方でエンドユーザーに届けるのか。生データなのか、今日も拝見させていただいたようなきれいな図面なのかというところです。先日のこの会のときにも議論がありましたけれども、ハザードマップが公表されていながら被災してしまって、避難もしない人がいる。これは、小学校での教育の問題であるというような話も出てまいりましたけれども、それは確かに一面ですが、もう1つ、何ら予備知識も持たない子供であっても、見たら分かるようなリスク情報を公表してさえいれば、我々専門家が公表してさえいれば、教育の問題に帰結させる必要はないわけです。そういうようなところ、エンドユーザーをどう捉えるのか、利活用に当たってもう一歩踏み込んで観測したデータを見せる技術というのが必要なんじゃないか。そういうところで、専門の専門家から国民に情報を伝えるためのインタープリターになるような人材をつくっていく際に、必ずしも理科系だけの人では駄目なので、人文科学との融合は必要であろうというふうに思います。
その辺りの視点というのは、私は大事なんじゃないかなと、ここのところずっと思っておりまして、機会がございませんでしたので、ここで申し上げさせていただいた次第でございます。
以上です。
【小池部会長】 関根先生、ありがとうございました。ちょっとそこの部分は、後でまた御議論させていただければと思いますが、佐藤先生は、これは先ほど手が挙がっていただけのことでしたけど、今下ろしていただいているみたいですが。
【佐藤委員】 はい、実はそうだったんですが、せっかくですのでちょっと発言をさせていただいてもよろしいでしょうか。
【小池部会長】 どうぞお願いいたします。
【佐藤委員】 ちょっと細かい点ですが、文言の修正の御検討をお願いしたいと思っております。
10ページ目の、地球観測インフラの長期性・継続性の確保の箇所で、新たに加えていただいた部分についてです。今般のCOVID-19による影響と書いてありますけれども、これ、もう少し分けて書いたほうがよろしいかなと思います。まずは、COVID-19の対策としての地球環境の変化と、それからニューノーマルに移行した後の地球環境の変化、その2つに分けて書いていただくとよろしいのではないかと思います。
また、それらと、自然の自立的な変動は、時間スケールがよく似ているので区別しなければならないため、継続的な観測の重要であると記述するという形がよろしいかと思います。よろしくお願いします。
【小池部会長】 大変貴重な御指摘ありがとうございました。
私、スクロールしないと、私の画面上の端っこの方を見逃してしまいまして。大丈夫ですね。
それでは、今、多様な非常に貴重な御意見をいただきましたが、事務局のほうから、何か特に御回答いただくようなことはございますでしょうか。
【石川環境科学技術推進官】 文部科学省の石川です。先生方、いろいろ御指摘、どうもありがとうございました。
いろいろいただいた意見を踏まえて、最終的にこの報告書をまとめていきたいと思います。
最初に赤松委員から御指摘いただいた中で御質問をいただいていた部分ですけれども、4-1のところで、例えば自然災害時の避難など具体的な意思決定、行動につながっていくことが重要であるという修正が、必ずしもCOVID-19の関連じゃないようだけど、どういう経緯で入ったのかという点につきましては、ちょうど資料で見え消しにさせていただいておりますけれども、最初は「エンドユーザーが様々な場面で参照する情報としては、観測データそのものは活用が困難であることが想定される。このため、」という形になっていたのを、より分かりやすく表現しようということで修正させていただいております。
この辺は、まさに関根先生が、先ほど御発言いただいておりますが、エンドユーザーが誰を想定しているのかですとか、こういったデータがどういった形でどこに置かれていくのか、実際に行動に移っていく必要があるというような御指摘、まさにそういった趣旨がうまく入るようなことも意識しながら、災害時の避難というものを例示で挙げさせていただいたり、後半部分で自然科学と人文社会科学の融合といったことも追記させていただいて、うまくここの部分のデータ利活用で、実際に現場につながっていくデータの受渡し、変換の仕方の重要性を表現できればという主旨で記載させていただいております。
また、赤松委員の具体的に何かもう既に検討していることがあるのかという点は、まさに今回、いろいろ事前に先生方からも御意見いただいたき、まとめさせていただいておりますので、本日の御意見も踏まえて、どういったことができるかというのを、また我々としても考えていきたいと思っております。
そのほか、それぞれ具体の修正の御提案いただいておりますところ、先ほど申し上げたように、本日の意見も踏まえて修正をうまく入れさせていただければと考えております。ありがとうございます。
以上でございます。
【赤松委員】 赤松です。一言だけ。
どうもありがとうございました。おっしゃっていること、よく理解できました。私も関根先生がおっしゃっていることはそのとおりだと思いましたし、今回、そういったことも含めて、文科省のほうで追記されたということですね。
【石川環境科学技術推進官】 はい、そういう理解で結構でございます。ありがとうございます。
【赤松委員】 分かりました。ぜひ、こういう形で追記できるところは随時修正していくという対応にしていただければと思います。今回の修正、大変良い形だと思っておりますので、どうもありがとうございました。
【小池部会長】 どうもありがとうございます。
大変貴重な御意見をいろいろな側面からいただいておりますので、私自身も御質問を承りながら確認させていただいたようなこともございますが、先ほど関根委員からの御指摘は、今事務局のほうからお答えもいただきましたので結構だと思いますが、皆さんからいただいた御意見を私なりにもそしゃくしながら、事務局と御一緒に、COVID-19も含めた形のフォローアップの報告書をまとめていきたいと思います。
もしも、さらに追加の御質問等がなければ、この議題はこれまでとさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、先ほど平林委員、途中で御質問が出たままになっておりましたので、もう一度私のほうから、3人の委員の方々からの御質問をまとめてお尋ねいたします。大変すばらしい取組を3機関合同でやっておられるという、大変高い評価を、お三方、皆さんからいただいております。その中で、佐藤委員から、こういう立ち上げがうまくいった経緯というのはどういうことかというのが1点目。2点目は、先ほど北京の事例が出てきましたが、データ解析に専門家がどういう形で現在入っており、今後、どうそれを発展させていこうとしているのかというのが2点目。
以上、佐藤委員からの御質問だったのですが、三枝委員から、先ほど春日委員からもございましたが、衛星データに加えて地上のモニタリングデータや、あるいはモデルも加えて、現在起こっている変化とか、経済が回復していくプロセスのモニタリングはどういう予定にしておられるのかということです。それが3点目。
それから赤松委員から、こういう早急の対応で専門家とかFAOの話も出していただきましたが、さらに実務という観点から利用関連省庁だとか民間との協力はどのようにお考えになっているかというのが4点目でございますが、簡潔にお答えいただければありがたいと思います。
【平林委員】 先ほどは大変失礼いたしました。
まず、立ち上がりがうまくいった経緯でございますが、私どもJAXAでは地球観測に関わるアセットを持っているので、何かやれることがないんだろうかという思いを関係者で強く持っていまして、検討を4月の頭ぐらいから始めておりました。
同じように、やはりNASAもESAも、アセットを持っているから何かこういうときにこそ貢献しなければという思いを同様に持っていて、そこから3機関の会話がスタートして、こういう早い立ち上がりができたかなと。これは、3者ともに使命感とビジョンの共有ができていたということが、うまくいった1つの秘訣かなと思います。
次に、専門家がどう入っていって、今後どう進めるのかということでございますが、例えば二酸化炭素のものにしてもほかのものにしても、それがそもそもどうしてこういうデータになっているのかといったような科学的な意味合いとか経済学的な意味合いというのは、分析をこれからしっかりとやらないといけないとは思っているのですが、まずは衛星で観測した結果をできるだけ早く初めの第一段階として公開をして、いろいろな方にまずは使っていただけるように早く公開していこうという思いで、3機関会話をしながら、6月に1度公開させていただきました。
一方で、経済学的な、我々今まであまり組んでこなかったのですが、今回、社会経済学分野の専門家である九大の馬奈木先生ですとか、あるいは農業経済の分野の専門の先生とか、今まであまりお付き合いのなかった分野の先生方とも連携を取り始めているところでございます。
それから、三枝委員のおっしゃった地上のモニタリングやモデルとの関係でございますが、まずは衛星で観測したものを出しました。三枝委員のおっしゃるとおりでございまして、そういったところでまた環境研さんともいろいろ連携できるところがあればぜひ連携させていただければというように思います。
それから、実務の分野、利用省庁や民間との協力ということでございますが、先ほどちょっと御紹介しましたように農業分野でこういう変化がということで、米の例を紹介させていただきました。それから、ヨーロッパではホワイトアスパラガスの収穫に当たって、北欧からの出稼ぎの作業者が来ないということで、ホワイトアスパラガスの農作物の収穫が停滞しているとか、いろんなことが農業分野で分かっておりまして、農水省さんとも情報の適宜共有をしながらやっておりますし、商業分野につきましても、経済産業省さんとも情報を共有、説明させていただきながら取り組んでいるというところでございます。
民間とは、まだ具体的に我々のほうから何かやっているわけではございませんが、我々公開している情報で民間のほうから何かコンタクトがあれば対応させていただければとは思っております。
以上でございます。
【小池部会長】 大変御丁寧に全ての御質問にお答えいただきましてありがとうございます。
委員のほうからも、いろいろさらにお聞きになりたいところもあろうかと思いますが、時間の都合もございますので、さらに御質問等がありましたら、また事務局を通して御質問いただければと思います。
平林委員、どうもありがとうございました。
【平林委員】 どうもありがとうございました。
【小池部会長】 それでは、本日いただきました御議論や御意見を踏まえて、報告書を適宜修正、反映して修正していきたいと思っております。
本日予定されている議題は以上ですが、委員の皆様から何か御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特にないようでしたら、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【堀川地球観測推進専門官】 事務局からの連絡事項ですが、本日の議事録は後日事務局よりメールで委員の皆様にお送りいたします。各委員に確認いただいた後に、文部科学省のホームページで公開させていただきます。
次回の開催につきましては、改めて御連絡させていただきます。
最後になりますが、ウェブ会議の開催にあたり不手際がございました。大変申し訳ございませんでした。
事務局からの連絡事項は以上となります。
【小池部会長】 よろしいでしょうか。1回目の地球観測推進部会ウェブ開催版としては、大変順調にいったのではないかと思います。どうも事務局のほう、御苦労さまでした。
それでは、以上をもちまして、地球観測推進部会第6回会合を閉会とさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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