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大強度陽子加速器施設評価作業部会(第9期)(第4回) 議事録

1.日時

平成30年5月18日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 15階 1会議室

3.議題

  1. 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の中間評価について
  2. その他

4.出席者

委員

菊池主査、福山主査代理、石切山委員、長我部委員、鬼柳委員、久保委員、熊谷委員、住吉委員、田村委員、山縣委員、横山委員

文部科学省

西山量子研究推進室長、轟素粒子・原子核物理推進室長、大榊量子研究推進室室長補佐、松本原子力課専門職、中村機関課係長

オブザーバー

斎藤J-PARCセンター長、小関J-PARC副センター長、金谷J-PARCセンターMLF Div.長

5.議事録

【菊池主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回の大強度陽子加速器施設(J-PARC)の評価作業部会を開催いたします。
 本日は、皆様、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は11名の委員に御出席いただいております。高梨委員は御欠席です。また、J-PARCセンターからは齊藤センター長、小関副センター長、金谷MLFディビジョン長に御出席いただいております。
 本日の会議ですが、作業部会の運営規則に基づき、公開という形で進めさせていただきます。
 まず、事務局より配付資料の御確認等をお願いいたします。
【大榊補佐】  本日もどうぞよろしくお願いいたします。配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認ください。議事次第のとおり、資料1-1から資料4、また参考資料を配付してございます。また、これまでの作業部会の資料、それから、前回中間評価までの報告書等につきましてはドッチファイルに綴(と)じてございます。
 資料に不備等がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
【菊池主査】  それでは、本日の議事に入ります。
 まず議題1の前回部会の議論等について、事務局から説明をお願いいたします。
【大榊補佐】  それでは、前回部会の議論等につきまして簡単に御説明させていただきます。
 まず資料1-1を御覧いただければと思います。資料1-1は前回の議事録でございます。お目通しいただきまして、何かございましたら、本作業部会の終了までにコメントを頂ければと思います。
 続きまして、資料1-2を御覧いただければと思います。こちらは前回の作業部会の後に委員の皆様から頂いた御質問とその回答をまとめたものでございます。簡単に御紹介をさせていただきますが、住吉委員から、当初のハドロン実験施設にはテストビームラインの建設が検討されていましたが、今は全く議論されていないという状況でございます。テストビームラインについて、検出器の開発ですとか、学生の教育に重要な施設だということで、早期の建設が望まれるが、どのように考えているのかという御質問でございました。
 それにつきまして、J-PARC側からの回答としましては、ハドロン実験施設のテストビームラインは、もともとJ-PARCの計画当初から検討されていまして、2013年頃まで一部ビームラインをテストビームラインとして運用していたという経緯がございます。現在、テストビームラインと実験エリアについて新設をするという案も出てきておるというところでございますけれども、運転経費と運転時間の確保というのを優先にしているというのが現状ということで御回答いただいているところでございます。
 次に資料1-3を御覧いただければと思います。前回の部会の概要についてまとめたものでございますので、少しなぞらせていただきたいと思います。
 前回評価では、加速器の特にニュートリノ実験施設のビーム強度の話を主に御議論いただいたところでございまして、これについて今後の課題と推進方策といたしまして、メインリングについては、1.3メガワットへの増強を目指すべきだという御意見を頂いたところでございます。
 また、そのために必要な措置として、メインリングの電磁石電源等のアップグレードですとか、そういったものについて引き続き取り組むべきという御議論を頂いたところでございます。
 また、国際競争の状況や整備状況等踏まえまして、ニュートリノ実験、ハドロン実験に割り振るビームタイムの検討をするといったことで、費用対効果の高い戦略的な研究推進を行うということを御議論いただいたところでございます。
 また、ハドロン実験施設につきましては、ページをおめくりいただいて資料1-3の2ページでございますが、今後の課題と推進方策としまして、ハドロン実験施設は、学術コミュニティのニーズを踏まえた装置整備の優先順位を明確にしつつ、ビームラインの検討・整備を進めるべきという結論を頂いたところかと存じております。
 また、(2)の「国際研究拠点化の役割について」というところについて御議論を頂いたところでございます。前回中間評価の指摘を四角の囲みに書いてございます。これに対する議論といたしまして、ページをおめくりいただいた3ページのところに今後の課題と推進方策を書かせていただいてございますが、真の国際研究拠点となるために、安定運転を実現するとともに、利用者の利便性を向上するため、J-PARCとして一体的な組織運営、アクセス環境の改善について、投資対効果を踏まえた具体的な検討を進めるべきという御議論をいただいたところかと承知しております。
 それから、(3)でございますが、「中性子線施設の共用の促進の役割について」ということについて御議論を頂いたところでございます。前回中間評価の指摘が、同じように四角の囲みに書いてございますけれども、ビームラインの有効利活用ですとか、ビームタイムの有効活用といった点について御議論いただきました。おめくりいただいた4ページ中段に「今後の課題と推進方策」というのを書かせていただいてございますが、産業界も含めた利用ニーズに即した課題審査を行えるよう、審査の仕組みを一層改善していくべきだということ。それから、より費用対効果の高い潜在的利用者の掘り起こしの仕掛けを検討すべきという御議論も頂いたところでございます。同じく、他の中性子源との連携などによって、更なる利用者の拡大、人材育成、効率的な成果創出に努めるべきという御議論もさせていただいたところでございます。
 また、現在、文部科学省等において進められております次世代放射光施設の整備・運用に関わる検討も踏まえまして、共用ビームタイムの創設も含めて、効果的な運用を検討するべきという御議論をしていただいたところでございます。
 また、総論としまして、日本全体の中性子利用の振興に係る課題を、大学・施設また企業等の組織横断的に議論する場を提供し、その中核として主導的役割を果たす。また、そのネットワークを最大限有効に活用することが重要であるといったことについても御議論を頂いたところでございます。
 5ページ目でございますけれども、前回の作業部会の中で、「前回中間評価以降に起こった主な事象とその対応、対策について」ということで、ハドロン実験施設における放射性物質の漏えい事故とMLFにおける中性子標的容器の不具合ということについて御議論いただいたところでございます。そこに概要と、それから対策ということで、J-PARC側から御説明いただいた内容、また御議論いただいた内容について示させていただいているところでございます。事故の原因ですとか、対策として、安全文化の醸成といったようなことについても記載をさせていただいたところでございます。
 「MLFにおける中性子標的容器の不具合」につきましても、同じように概要と対策を書かせていただいてございまして、拡散接合面の剥離といったような原因があると判明したということで、その対策といたしまして、溶接部の初期欠陥をなくすため、溶接部を極力排除した設計にするといったことですとか、これを踏まえて、昨年の11月から新しい中性子標的容器を使用して、現在、500キロワットでの連続運転を行っているという状況だということを御議論いただいたところでございます。
 また、おめくりいただいた6ページ、最後のページに、前回中間評価以降に起こった事象と対策についての課題と推進方策をまとめさせていただいてございます。引き続き安全文化の醸成に取り組みつつ、安全管理体制の不断の見直しが必要であるということ。それから、地元に対するJ-PARCの理解促進に対する活動を継続していくことが重要であるといったような意見でまとめさせていただいたところでございます。
 資料1-3につきましては以上でございまして、本日の議事内容といたしまして、参考資料を御覧いただければと思います。前回と同様に、赤い囲みで示させていただいたところが今回議論する部分で、点線で囲ませていただいた部分が過去に議論した部分となります。議論の最終段に入ってございますが、11ページをごらんいただければと思います。本日は、新たな論点についてということで、経営的視点の導入ということで、J-PARCの運営に経営的視点を取り入れて、最先端の研究成果を持続的に創出していくための環境を計画的に維持、高度化していく取組が必要ではないかというような点ですとか、あと、MLFの一体的な運営ということについて御説明、御議論を頂ければと思ってございます。
 また、本格的産学連携の実施ということで、J-PARCを産学連携のプラットフォームとして最大限活用して本格的産学連携を実施していく仕組みの導入、また、利用料金設定の再検討、すなわちニーズに合わせた柔軟化や見直しといったことについて御議論を頂きたいと考えているところでございます。
 また、このほか、横山先生、高梨先生から頂いた御質問と御意見、今後の計画について、それから、成果評価指標の検討についてということで、本日別途御議論を頂ければと思ってございます。 少し長くなりましたが、以上でございます。
 また、本日は、事務局で作成しました中間報告の素案についても併せて御議論いただければと思います。
 以上でございます。
【菊池主査】  ありがとうございます。前回作業部会の議事録案、前回部会後の質問と回答、前回作業部会の議論の概要案、本日の議論の内容に関する説明がありましたが、御意見、コメントがありますでしょうか。いかがでしょうか。
 特になければ、資料1-1から資料1-3につきましては、もしコメント等ありましたら、本作業部会終了までにお願いいたします。
 よろしければ、2番目の議事に入りたいと思います。新たな論点ということで、経営的視点の導入と本格的産学連携の実施につきまして、齊藤センター長から御説明をお願いいたします。
【齊藤センター長】  それでは、資料に基づいて御説明させていただきます。我々、経営的な視点ということ、あとは、本格的な産学連携というところでお題を頂いているところですけれども、まさにこういうことをやっていくためには、様々なセクターとの協力と連携ということが非常に重要であるという意味で、この握手のページを表紙に使わせていただきました。
 2ページ目に行きますけれども、今日はこの2つがお題ということで、3ページ目以降、スライドに基づいて御説明いたします。3ページ目めくっていただきまして、「新たな論点」の「経営的視点の導入」というところでございますけれども、特に経営的視点を取り入れて、最先端の研究成果を持続的に創出していくための環境を計画的に維持して高度化していく取組が必要だということでございまして、我々としましては、特に中長期を見越した計画的な経年劣化対策、予備品の確保及び放射化対策、更に高度化というものが必須だと思っております。特にJ-PARCは建設から10年以上たっておりまして、経年劣化の予兆が見えているものが幾つもございますので、リスク評価をしっかり行っていくということが非常に重要だと考えております。したがって、しっかり対応するべき機器をリストアップして、それぞれインパクトの大きさやその頻度といったものを指標にしまして、きちんと分類して、長期的な計画に基づき対策を行ってきております。
 実際問題としましては、JAEA側は予算がある程度の確保がありますので、こういうことができているところではございますけれども、KEK側の方は、残念ながら、予算枠が十分に確保できないところもありまして、リスク評価を行いつつも、十分に措置が行えているという状況ではないために、ある機器が止まってしまうと、長期的な停止を生んでしまうということがあり得るという状況になってしまっております。
 次のページ(4ページ)に行きまして、しかしながら、我々、予備品をどういうふうに確保してきたかというのが次のページに示されております。予備品の代表としましてはクライストロンですが、これがなければリニアックという線形加速器が運転できないわけですけれども、左の黄色いバーで示していますのは、何万時間既に稼働しているかというところです。そもそも3万時間という寿命に対して、もう既にそれを超えて運転されているクライストロンが何本もあるという状況でございます。
 右の横向きのバーで示してございますのが、寿命ということでございまして、端的に言いますと、何時間で重故障したかという履歴ですね。これによると、5万時間の辺りで重故障しているものも結構あるという状況ではございますので、我々はまず6万時間をにらんで既に最長に達しているクライストロンについては特に交換していこうということで、現在9台そういうものが存在するところを、スペアとして6台保有しておりまして、平成30年度には3台購入することで、何とか十分な予備品を持ちつつ、クライストロンについては走っていきたいと考えております。
 次のページ(5ページ)に行きまして、今度は放射化対策というところですけれども、1つは、中性子標的の周りですね。これにつきましても、実際に使い終わった、一旦使い終わった容器を移すための別棟を作りまして、放射化物使用棟という絵が描いてありますけれども、こちらの方に放射化している標的への対策がきちんとなされた容器に入れて収納するというようなことをこの冬に初めて行うということに向けて準備を進めているところであります。
 あとは、放射化した物質について、どういう組成変化があるかというようなことについても検証するべく、post irradiation examination というのですけれども、照射後材料試験ということを行っていくということを計画しております。
 右側にございますのはニュートリノ実験施設ですけれども、こちらの方も冷却水が非常に重要な課題に今後なり得るわけです。1.3メガワットの実現のためには処理施設の拡充が不可欠ということでございまして、現在概算要求の準備を進めているというところでございます。
 下にございますのは高度化の内容でございますが、特に最近は深層学習を用いた加速器システムの異常に対する予兆診断の研究ということを企業さんと共同研究として行わせていただいて、1つの試みとしては、メインリングのD3という建物にある加速空洞用の電源の振動や音響測定というものを新たに付け加えて行っているところであります。ですから、これもある意味継続中のプロセスということで、今後もこういうことを含めて高度化していくということを行っていきたいと。
 そして、次のページ(6ページ)に行きまして、経営的視点の導入、全体に関わる部分ですが、特にJ-PARCセンターで行おうとしていることは、限られた資金や人員を効果的に本当に活用していかないと成り立たないというところが大いにあるわけです。研究所としての運営において、より効率性を上げていくために、特に両機構に存在するこのような組織がございますけれども、JAEAにおいては戦略・国際企画室というところ、あとは、研究連携成果展開部というところとの連携を通して議論を進めているところでありますし、KEKの方でも、研究支援戦略推進部というところとの連絡を取って十分にその活用をしていくというような、いわば Institutional Research(IR)の観点も取り入れながらやっていくということの枠組みを何とか確保しているという状況であります。
 あと、将来的には経営の専門家を交えてJ-PARCの運営についての議論も視野に入れているところではありますが、こちらの方はまだ具体的なロードマップを書き切れていないところでもございますので、今後、多くの方々の御意見を頂きながら是非とも進めていきたいと考えております。
 次のページ(7ページ)に行きまして、こちらも全体に関わるところですが、限られた資金で一体的な運営を進める施設の有効利用ということについてですが、特に建設から安定運転フェーズというところに移行しているわけですけれども、全部内側でできるということはございませんので、アウトソーシングなども適切に取り入れて合理的な人材活用と人材育成を行うという、この2点が重要かなと思っています。人材活用と人材育成というところ、こちらが非常に重要と。
 下に書いております絵で説明しますと、建設期においては、業者や技術者、研究者が一体となって施設建設、装置整備を行ってまいりましたけれども、施設の運営に伴って、これは定型業務、これは将来のための開発研究というふうに仕分ができていくということにもなってきておりますので、特に定型業務についてはなるべくアウトソーシングして行っていくと。あとは、なるべくインハウスの研究者、技術者は最先端の開発研究というところに目を向ける時間が十分とれるようにという配慮を行いつつあるというところであります。
 その一つの内容ですけれども、次のページ(8ページ)にありますのはMLFの中で行われている導入であります。こちらは従来、加速器や中性子と当然共通として使っておりますけれども、ビームラインは各自で例えば計算機とか検出器とか試料環境、こういったものについて独自のフレームワークを生かしながらやってきたところがございます。けれども、運営を進めてまいりますと、それぞれ重複してやってしまっているところもございますので、それらを一体的に効率的に見ていくというようなことについて考えるチームを発足させているというところでございます。特にそれのサポートになるのは、共用ビームタイムという、共通の枠組みで全体のことを議論できるようなビームタイムの導入ということを考えておりまして、ほかにもクロスアポイントメントの促進などをもってMLFの中での一体的で効率的な運用を行うということを加速させていきたいと考えています。これがMLFの中におけるアクティビティというところになります。
 次のページ(9ページ)に行きまして、今申し上げた共用ビームタイムの導入ということについてですけれども、利用者が均質なサポートを受けることができるための仕組みということが重要だと思っておりまして、特に本来はユーザーから見るとどのビームラインがどこの設置者であるというようなことが見えない、全くそういうことなく一様に対応してもらえるということが理想なわけですけれども、それぞれの歴史もあってなかなか一体的な対応になっていないというのが我々の自己分析でございます。したがって、ここを一体的に運用できるようにするためには、共用のビームタイムというものを一旦導入すると、共通に議論するためのフレームワークが十分可能になるので、こちらの共用ビームタイムという考え方を新たに設けるということを検討させていただいているところであり、こういうことによって一体的な運用を加速していきたいと考えています。
 次のページ(10ページ)に行きまして、今度は「コミュニティとの連携による有効利用・人材育成のためのネットワーク作り」というところですけれども、こちらも限られた資金や人員を効果的に活用するために一体的な運営を進めるべきではないかという問いかけに対して、我々としましては、人材育成や施設の有効利用の視点を踏まえて、プラットフォームの創設、特にJ-PARCと、例えば小型・中型の中性子源、及び大学、はたまた様々な産業界の研究所といったところのプラットフォームを作っていくべきではないかなと考えております。特にJ-PARCで使えるパルスビームと、こちらにありますJRR-3というのは隣接している原子炉を使った連続ビームの中性子ビームなのですけれども、こちらの方を一体的に運営していくということが重要だとも思っております。少ないビームタイムを補完する意味でも、若しくは人材育成という観点でも、あとは、特化した利用、産業利用などの一部分をある意味でアウトソーシングする、逆に言うと一体的に行うという意味ですけれども、そういうことを行っていく上で小型の中性子源が必要なのではないかと考えているところです。こちらの方は特に中性子科学会のロードマップの中でも非常に議論が深まっているところですので、つい最近レポートのドラフトを我々も頂いているところですが、中性科学会との連携を深めながらコミュニティと協力して実現していくということを考えているところであります。
 次のページ(11ページ)行きまして、こちらは産・学・施設連携のコンソーシアムの設立ということで、特に非競争領域において産学施設連携のコンソーシアムを作って、企業の中性子研究能力の向上及び施設の負担軽減と成果創出、更に学術の革新的なテーマの発掘を目指すということを行ってきたというわけでありまして、これを加速するものとして、できれば産業界からの資金援助を受ける形で産・学・施設連携コンソーシアムというものを設立したいと考えております。これを定常化させることによって、実際に独立採算で運営できるようなシステムを構築できれば一番いいと考えているところですけれども、いかんせん、スタートアップするための何らかの努力が必要ですので、こちらの方をいかに支援を受けながらスタートアップして、最終的には独立採算に持ち込むということが可能かということを我々は今検討中というところでございます。
 次のページ(12ページ)に行きまして、今度は新たな論点の中で、本格的な産学連携の実施というところでございますけれども、計画でございますが、一つは、競争領域、非競争領域の研究が可能となって企業との要求を様々な形で満たすことができると考えているところでございます。J-PARCのMLFの中に企業の拠点分室というようなものを考えて、こちらの中でいろいろなビームラインにわたる非競争領域の研究を束ねながら、効率的に企業との連携を行っていくということが可能なのではないかというところで、こちらは前のページのコンソーシアムとも絡んで、この分室みたいな、中に入り込んでいただくようなスキームが重要だと考えております。
 分室につきましては、既に大学の分室を多々進めているところでもございますので、そういうひな型を使いながら、又は全く新しい要素も取り入れながら企業との連携を深めていきたい。
 次のページ(13ページ)に行きまして、企業のコンソーシアムというところの企業の連携組織と今度は施設間の連携組織とをつなぐような大きな枠組みでの連携ということでございますけれども、特に施設の方では、J-PARCだけではなくて、SPring-8や「京」及びSACLAといった多くの大型施設がございますけれども、こういったものを総合的に活用することで先進的な産業関係の成果が生み出されていくというような例は、既に住友ゴムさんの例にもあるように、そういう成功例が多々出ているというところだと思いますので、そういう意味でも施設の連携と企業の連携をうまく組み合わせる形で、連携対連携という、組織対組織という形のコンソーシアムという形を作っていけるのではないかと。
 これをまとめてみますと、次のページ(14ページ)でございますが、一つは、J-PARCと企業のコンソーシアムが連携を取るというようなタイプの連携があり得るし、もう一つは、J-PARCと比較的大きな企業という意味ですけれども、総合企業と連携を取る形で、特に非競争領域、競争領域両方含めた研究協力ということが行っていけるのではないかなと思いますのと、あとは、組織対組織というか、コンソーシアム対コンソーシアムという関係になるかもしれませんが、企業のコンソーシアムと量子ビーム全体の組織的な連携ということが考えられると思っています。
 次のページ(15ページ)に行きまして、今度は産学連携を実施していくところで、もう一つの論点になります利用料金のことについて述べたいと思います。一つは、大手分析会社に分析業務を委託するというようなことを行うこともひとつ可能だと思いますし、あとは、生命科学を通して、我々、どういった料金設定が重要なのかというところについて、茨城県さんの方で予測していただいたものがございますので、それに基づいて料金設定を見直すことを考えられるのではないかなと思っています。
 端的にこの右の絵に表されていますように、利用料金が高くなればなるほど使いたいという企業が減っていくというところでございますが、特に、今、500キロワットに達しているので、だんだんビームタイム当たり得られる成果が増えているところかと思います。それにしても500万円を出すというのは非常に高いという印象を持たれているということが分かると思います。したがって、料金設定としましては、これは中性子産業利用推進協議会の方からも常に御要望いただいているところですけれども、廉価にしてほしいという要求が強くあるところであります。
 あとは、成果公開課題における公開までの時期の延長ということも、この方向をブーストするものとして重要と考えています。
 次のページ(16ページ)に行きまして、こちらは利用料金と昨今の非公開利用日数の関係というところですけれども、この間に強い相関があるかどうか、これは絵を見るとあるように見えるわけですけれども、これは値段のせいなのか、それとも別の枠組みのせいなのかということも議論の対象にはなるところではございます。現在の事実としまして、利用料金が高くなる傾向にある中で、非公開日数というのは今減少の一途をたどっていまして、やはり企業にとっては、一日300万円という設定は非常に高いものになってしまっているのではないかというのが我々の現状の理解ですけれども、いずれにしましても、今後利用を促進していくためには、利用料金について利用者からの意見を聞きながら調査する必要があると考えているところであります。
 以上です。
【菊池主査】  齊藤センター長、ありがとうございました。それでは、今の御説明につきまして御議論をお願いいたします。
【長我部委員】  経営視点の導入ということで、良いことがたくさん書かれていると思うのですけれども、包括的に二点と各論で幾つかあります。
 まず、KEKとJAEAで予算化の状況が違っていて少し苦労しているというお話があります。これは当初からJ-PARCセンターがKEKとJAEAの両方の中間にまたがる組織で、この形で本当にJ-PARCセンターとして効率的運用ができるかという課題が提起されていました。その点で、この予算化状況の違いが一つの象徴的ケースになっていないか気になります。当初あげられていたこの組織課題は、一回この時点で、再度考える必要があるのではないかと思います。
 もう一つは、書いてくださっていることはいいのですが、これを数字に変えないといけないと思います。経営的視点というからには、固定費をできるだけ下げて、下げた固定費の分を投資に回して、より価値のある研究ができるような施設にするなど。あるいは、コンソーシアム形成など産業界が投資をしたくなる環境整備をするなど、リターンを生むようなところに回す。そういう観点で、現在の固定費がどのぐらいかかっていて、これを何%減らして投資に回すんだというような数字にしていただけると本当の経営的視点での施策になるのではないかと思います。アイデアは出ていると思いますので、少し大変ですけれども、そういう定量的な形にしていただきたいということ。
 それから、例えば4ページの、これは各論ですけれども、一点だけ申し上げておきます。クライストロンの部品の補充のことが書いてあるのですが、これは状況がよく分かっていないのですが、調達にすごく時間がかかるとか、今後生産中止の恐れがあるのであれば、ストックして、企業でいえば棚卸資産に計上します。もしそうでない環境であるならば、在庫はなるべく持たない方が財務的には健全なので、ここで買い足すということがいいのかどうなのか。その辺、本当に企業的感覚というのであれば、必用性、調達リードタイム、生産の持続性、故障の頻度などを勘案して予備品をどれだけ持つか考えられた方がいいかなと思います。
 以上です。
【齊藤センター長】  ありがとうございます。
【菊池主査】  そのほか、皆さんの方から御意見ありませんか。
【山縣委員】  利用料金ですね。生命科学系は、1つの結晶を測定するのに、今までも使わせてもらったときに、20日とかかかっております。それだと、もし成果非公開で測定をしたら利用料が何千万円とかかるわけですよね。それはほとんど不可能だと思うので、今後少し(測定)期間は短くなるにしても、やはり少し安くするというのを考えていただいた方が利用者数は多くなるのではないかなと思います。
【菊池主査】  齊藤さん、何か御意見ありますか。
【齊藤センター長】  実際いろいろな声を聞きますと、要するに高いわけです。特に山縣先生のように、生物関係の試料になりますと、時間がかかるということがあり、20日間ですと、そのまま6,000万円というところで、非常に大きな金額になってしまうわけです。そういうこともあって、是非とも使いたいというところが増えているわけではないわけですが、海外の料金設定及び我々の運転経費の観点から、300万円/日というのは恐らく妥当だということで運用しているところではあります。ところが、企業さんや実際に非公開で使いたいという利用者の観点からの料金設定ということにはなっていないわけです。
 ですので、そこの双方の意見がかみ合う形で何とか料金設定を見出(いだ)せないかと。恐らく我々がよく指導を受けていますのは、国の方からは資金回収という観点があると伺っているので、その観点が、恐らく今ある意味でボトルネックになって、これ以上下げるということは非常に難しいのかもしれない。けれども、利用者あってのというところでもございますし、成果占有利用に対してどういう形で我々が資金を得ていくのかということも絡んできますので、まさに経営的な視点を取り入れながら考え直していきたいというところではあります。こちらも利用者の方々及び監督官庁の御意見を伺いながら、もう少し抜本的に見直すことができれば一番いいと思っていますが、そもそも国の資金というものの恐らく限界というのはあるのではないかなと考えているところでございます。
【長我部委員】  利用料金は非常に難しい問題だろうと思います。利用者は安い方がいいし、施設を運転する上では回収が多い方がいい。しかし、いろいろと料金体系を使いやすくするために考える事は必要だと思いますが、それ以上にJ-PARCとして重要なのは、同じ利用時間で、より結果が出るような施策をどんどん進めることだと思います。活用の価値を上げるということに皆さん注力した方が、ユーザー企業はよりお金を払ってくれるわけです。より成果が出るようなサポートなり、あるいは実験環境なり、そういうものをできるだけ工夫するということに注力した方が良いのではないでしょうか。
【齊藤センター長】  ありがとうございます。我々も、こういう料金について、より収益が上がるための専門家を全く持っていないものでございまして、そういう意味では、全くの素人ということなのです。だからこそ、今のような視点での御指摘を頂きながら、注力するべきところを再検討していく必要があるのかもしれないというふうには思います。ありがとうございます。
【石切山委員】  15ページですが、大手分析会社による分析業務委託。これは、非常に良い考えなのかなとは思います。分析会社がその辺のサポートをさせていただければ、産業利用が進むのではないかと思います。一番の課題はリスクで、(ビームタイムを)買い取ったけれども、そういう御依頼がないとなると、恐らく分析会社が全部そこを被ることになりますので、それは運用面の方でカバーできるのかなと。半年先のニーズを把握するのはなかなか難しいと思うのですが、その辺をこまめにある程度修正できるようなシステム、運用上のところをうまく考えていただければと思います。
【齊藤センター長】  どうもありがとうございます。
【菊池主査】  そのほか、皆様から。
【横山委員】  5ページの放射化対策のところを少しお伺いしたいと思います。平成30年度に運搬・保管などを開始というふうにございますが、事前にどの程度公開として情報を外部にオープンにしているかという点を確認できればと思いました。
 と言いますのは、例えば昨年からだと思いますが、大学共同利用機関では核融合研(核融合科学研究所)が重水素を使い始めて、それ以前に核融合研は火災も起こしておりまして、そのこともあり、地元との調整を随分と丁寧にしていたように拝見しております。計画的なことであって、事故でないにしても、事故後しばらくはそうした観点で、透明性という意味においては、事前に計画しているものをオープンにしておくという観点もリスクガバナンスとしては重要な観点かと思います。このようなことは、JAEA、又はJ-PARCとしては従来どのような取扱いになっているのか。今回はそれと整合性のある形で行っていかれると思うのですけれども、情報開示の観点についてお伺いしたいと思いました。
【齊藤センター長】  我々は従来、毎年度東海村及び茨城県の方にもこういう事業展開をするという話を大体年度計画で出しているのですけれども、こちらを村長や市長などの首長さんに御説明するだけではなくて、議会の方で、特に東海村では議会の方でも議論していただきまして、一応報告させていただいているところではあります。これを例えばホームページ等々で地域住民に全部公開しているという形ではないですね。ですので、今後はもう少しそういったことも含めて、特に大きな施設の改善とか変化というものについては、そういうことも含めて紹介していくべきではないかなと考えているところであります。
 ですので、現状、行ってはいるものの十分だとは思っていないところもありまして、もう少し報告を考えていきたいと思っています。どうもありがとうございました。
【横山委員】  全てをオープンにすることが良いとはもちろん思ってはいないのですけれども、昨今の状況としては、SNSから火がついて思わぬ方向に誘導されてしまうというケースが多いですので、事前にオープンにしておけるものはオープンにしておいた方が透明性があると判断されるので、その辺、御検討いただければと思いました。
 以上です。
【石切山委員】  11ページの産・学・施設連携のコンソーシアムについて、大賛成ですので、是非とも進めていただきたいと思います。
【齊藤センター長】  どうもありがとうございます。
【長我部委員】  今の産学連携のところですが、大きな組織対組織の連携は是非おやりになったらいいと思います。
 また、コンソーシアム型ですが、特に非競争領域で日本の企業が苦手なのですが、これを是非頑張ってほしい。そのためには良い問題の設定が必要で、これが解けたら非常にインパクトがあるというようなサイエンスの課題を設定していただきたいと思います。例えば永久磁石開発におけるHC(保磁力)の起源を調べなければいけない。元素戦略でもターゲットになっていましたけれど、ああいう問題は複数の産業分野の企業が投資をしても良いと思う問題です。こうした課題はサイエンスをやっている人でないと分からないと思いますので、革新的製品の鍵になる良いサイエンス課題を提示して、それをコンソーシアムを作って、みんなで投資して解いていくというような、そういう上手(うま)い仕組みを是非進めていただけると良いと思います。
【齊藤センター長】  どうもありがとうございます。そのためには、密な対話の機会をもう少し増やす必要があるなと思っています。例年から行っていますのは、中性子産業利用推進協議会の報告会で、様々な研究の進捗については御報告しているところではございますが、あと、研究会の開催も大分進めさせていただいているところではございますけれども、よりこのコンソーシアム的な協力を意識した研究会、打合せというものをもう少し加速する必要があるのではないかなと思っているところであります。どうもありがとうございます。
【住吉委員】  6ページで、JAEAとKEK側で戦略が分かれて行われているのだけれども、JAEAとKEKの間の矢印が全くなくて、J-PARCの方に行っている。JAEAとKEKが一緒にIRやるとか、そういうことは考えられないのですかね。
【齊藤センター長】  非常に正しい御指摘で、確かにそれはあり得ることかなと思っているのですけれども、やはりこれは包括的にやることも重要だけれども、我々としてはJ-PARCセンターに関わる部分について深く掘り下げる必要があると思うので、コアにならないといけないのは我々自身であると。J-PARCセンターがコアになって進めていく必要がある。
【住吉委員】  それぞれ何かノウハウがもしあったとすれば、そういう情報共有は何かやられた方がいいかなと。
【齊藤センター長】  はい。そこも恐らく簡単にKEKとJAEAの間のブリッジを作るというようなチャンネルがどこかにあるかというと、そんなに簡単には無いと思っているのですね。むしろチャンネルは我々だと思っているので、そういう意味で、我々が風通しよくそこをやれるようにすればいいかなと思っています。どうも御指摘ありがとうございます。
【鬼柳委員】  先ほど小型・中型・大型という話があって、ここに示された考え方、まさに中性子科学会でも今議論していまして、それから、基礎基盤部会でもこういう役割をきちんとしてお互いに協力しましょうというスタンスでこれから答申を出そうとしているところです。なので、やはり鍵となるのはJ-PARC。これからしばらくするとJRR-3も出てくると思うのですけれども、そういうところを中心にしながら進めていきたいと。できるだけこういうことが議論できる場、学会としても努力はしていきますけれども、一緒にやっていけるように、何かそういう場を是非作っていきたいと思いますので、一緒にやっていければと思います。
【齊藤センター長】  ありがとうございます。
【鬼柳委員】  それから、もう一つ。利用料金のところで、料金というか、数のところが少し分からなかったのですが。「日数・本数」と間に ・ が入っていて、同じ産業利用でも回折実験みたいなものだと時間がかからないので、件数は増えているのかなと思ったのですが、そういうことではないのですか。
【金谷MLFDiv.長】  基本的に件数はある程度の数を維持しています。
【鬼柳委員】  件数としては一応。
【金谷MLFDiv.長】  ある特定のビームラインに関しては。
【鬼柳委員】  あまりお金がかからないところ。
【金谷MLFDiv.長】  かからない。ですから、一日かかるというのではなしに、例えば2時間で終わるとか、3時間で終わるというようなものはあることはあるのですが、やはり基本的に300万円を超える、何日も使うとすぐに1,000万円いくというような利用に関してはほとんど無いというのが現状でございます。
【鬼柳委員】  そうすると、これぐらいの金額だと使ってくれそうというのは見えるような気もするのですけどね。
【住吉委員】  そうすると、500キロワットでも1メガワットになっても値段は一緒なのですか。
【齊藤センター長】  非常に正しい御指摘でして、一見すると詐欺のように聞こえますよね。(笑い。)
【住吉委員】  そうですよね。
【齊藤センター長】  ですので、最初このようにディスカウントしてきたわけですけれども、でも、実は同じ料金、同じ金額がかかっているわけですね、運転としては。システムの運営としては同じ金額がかかっている。
 したがって、そこが不足額になって積算してしまっているという状況がございまして、そこが問題といえば問題です。回収という観点に立つと、既に我々、そういう意味で、あるレベルの負債を抱えていることになるわけです。それを将来のユーザーで回収しなければいけない。これは確かに運転をする観点からすると正しいのですけど、ユーザーからすると、過去の皆さんのディスカウントに対してなぜ我々が払わなければいけないのかという、そういう世代間格差みたいな問題が出てきてしまうところはあります。ですので、両方の意見を伺いながら、国の指導方針に従いながら、良い方法が見つけられないかと考えています。
【鬼柳委員】  関連してですけれども、ISISとかSNSも似たような値段ですけれども、こういう非公開の実験というのはどれぐらい来ているかという情報はあるのですか。
【金谷MLFDiv.長】  細かいところ、内容については、特に非公開の課題というのは分からないですね。彼らも出してはくれません。ただ、公開と非公開を含め産業利用課題のパーセントというような情報は出ていまして、圧倒的に我々よりは少ない。5%とか。我々は、課題の数だけでいうと、特に茨城県のビームラインが主体なのですが、30%ぐらいの値を持っているのですが、ほかの海外の施設は、大体5%、多くても10%いくか、いかないか程度だと。内容については、我々も把握できないところが、特に非公開課題なのであります。
【熊谷委員】  質問があるのですけれども、これって利用料金を下げれば、必ずユーザーの数が増えるのですか。いわゆるユーザーの方って、使って、結果がきちっと出てきて、効果がきちっと見える形じゃないとなかなか使ってくれないですよね。分析会社を中に入れるというのもそれは一つの案だとは思いますけれども、そこのところの企業と施設者側の信頼関係がきちっとないと、いくら料金を下げたって使ってくれないのだと思う。それからもう一つ。料金で私もちょっと不思議だなと思うのは、ISISとSNSが300万円で、J-PARCが300万円って、世界共通300万円かな、という。でも、これ、電気料金が全然違っているわけですよね。向こう(海外)とこっちでは。だから、この300万円という根拠は一体何なのですかというのは聞きたいところ。
【齊藤センター長】  まず下げれば利用者が増えるというものでもないだろうから、もう少し実質的にサービスの内容を深めていくべきではないかという御指摘だと思うのですけれども、こちらは、先ほど長我部さんの方からも御指摘いただいた内容で、我々、そうだと思っています。
 ですので、そこは実質的にどういう形で充実させていくことができるかというところについて検討を進めているところであります。
 300万円の算定根拠ですけれども、我々が今御支援いただいている運転経費というものから日数やビームラインの数というもので割り算すると近い数にはなると。それと海外で使われている金額というのと、大体これも似たようなところにあるということで、決め手の論理は余りはっきりはないのですけれども、これぐらいの金額でいくべきではないかというところを、こちらも監督官庁さんの方と御相談申し上げながら、こういう料金設定ということにさせていただいたというところでございます。
 そこが一応算定根拠にはなっているのですけれども、ここには、先ほど来申し上げていることの内容としては、需要と供給の関係のような、ある意味で、経済の視点がないのですね。だから、実際どういう形で、もう少し実地に合った利用を促進するための金額設定というのはどういうところにあるのかというところを考えていきたいというお話をしてきたところであります。むしろ、熊谷委員からも御指摘いただいているのは、もっと実質的なサービスの部分をしっかり、あそこでやれば成果が上がるということが分かるということがもう少し重要なのではないか、というふうに、今日御意見を頂いている中で我々としては感じているところです。
【熊谷委員】  多分、企業の人って、分析した結果だけになってもしょうがないわけですね。それが、目的としているものに対してどういうふうに役立つかという、そこまできちっと出ていないと。例えば大きな会社だったら研究者を持っているからいいけど、そうではないところだと、分析会社に出して結果だけ戻ってきたのだけど、それを一体どうやって使ったらいいのかというふうになってしまうわけですよね。だから、ある意味では、施設側に、分析会社もそうだけれども、そこにきちっとしたサイエンティストがいないと有効に活用できないのではないかなと。コンソーシアムも多分そういうことが必要で、そこにきちっとしたサイエンティストと、それから産業界をつなぐような人がそこにいないと、器だけ作っても駄目なような気がするのですね。だから、そこを十分、人材をきちっと手当てをしてということを考えていただいた方がいいかなという感じがします。
【齊藤センター長】  おっしゃるとおりだと思っています。僕らも産業利用に関しては、前回も多分御指摘いただいたと思うのですけれども、何とかここの人材をJ-PARC界隈(かいわい)に、フルタイムではない場合もあるかもしれないのですけれども、何とか集めて、ある意味で産業界からも使い倒してもらえるような、そういうフレームワークというのを作っていきたいと思っていますので、今御指摘いただいた方向に我々も動いていけるのではないかなと思っています。
【菊池主査】  産業界の方としましては、本当に中性子の施設をきちんと使えるという研究者であれば、私は300万円でも全然構わないのです。ところが、そこのレベルに達している研究者が、非常に恥ずかしい話なのですが、私どもにそれほど十分でないと。そうしますと、こういう施設をこれから使わせようと思いますと、かなり初心者に近い研究者、まだトレーニングが十分できていない研究者も同じような形で300万円となると、とてもでないけど稟議(りんぎ)が通せないのです。
 ですから、私はまずコンソーシアムみたいなものを作って、そこでの利用料金を100万円ぐらいにしていただければ、まだ稟議(りんぎ)を切りやすいのですが、そこでいつも実は実質のところで悩んでいるのです。まだ2年か3年の研究経験しかない人と10年の経験ある研究者の利用料金が同じ1日でどちらも300万円と言われますと、やはりとても稟議(りんぎ)が出てきたときに通せないというのが実は実態で、それがまた悪循環を生んでいるケースがすごく大きいのではないかなと思っております。利用料金の設定と、それから、コンソーシアムのような形で研究者のレベルを上げていただく作業をするときの利用料金と、そういうふうな形で、もう少し弾力的な仕組みを取り入れていただけたら、これはもっともっと推進するのではないかなと、実は皆さんからの意見を伺いながら考えておりました。
【齊藤センター長】  どうもありがとうございました。
【熊谷委員】  もう一つ言わせていただくと、そういうふうにして産業界で、これは役に立つものだというサイクルが回ってくると、結果としてJ-PARCの運転時間が増えるということにもつながってくるわけですね。だから、何か上手なサイクルをきちっと回していただきたいという。
【齊藤センター長】  このエリアについては、J-PARCはそもそも産業利用率が世界の施設に比べても非常に高いということもあって、ここは我々、非常に良いことだなと思っているところです。けれども、そこを更に加速していくためには、もっと質の高い産業利用というものに結び付けていくためには、今御指摘いただいたような、研究者レベルのユーザーの教育というところにもつながってくると思うのです。これは結構包括的にやらないといけないと感じているところでもございますので、企業だけに限らず、全体のユーザーのレベルの向上に対して、より深い利用ができるような環境作りに向けて、我々、ある程度フレームワークを準備しようとしているところであります。ですので、これは特にJ-PARCのユーザー全体というところについて、それを行うとともに、今御議論いただいたような企業人の方々と一緒に鍛錬するというようなフレームワークも作っていきたいと思っています。どうもありがとうございます。
【菊池主査】  まだまだ御議論があるかと思いますが、この辺で次に移らせていただきます。次に、成果評価指標の検討につきまして齊藤センター長より御説明をお願いいたします。
【齊藤センター長】  それでは、同じ資料の続きになりますけれども、成果評価指標の検討についてということで、J-PARCの良さ・特徴を表現できるような指標を検討するべきではないかという御指摘を頂いたところでございます。
 こちら、特に今回はMLFのことについて、分析してまいりました。これは一度御紹介している内容ですけれども、各ビームラインの論文化率というものが世界の平均に比べて高くない状況にあるということは御紹介したところでございます。世界の平均はほぼ50%というところであるのに対して、J-PARCでの平均は20%。つまり、行われた実験に対して、5件に1件ぐらいしかまだ論文化されていないというところであります。
 やはりもっと高い論文化率になるべきでございまして、そこに向けての我々の方策としましてどういうことがあり得るかということを考えているところでございます。
 右のプロットに行きますと、こちらは共用開始後、どれぐらいの時間がたてば論文の件数が増えてくるのかということを見ているところですけれども、こちらは、様々なビームラインについて、共用開始後何年たつとどれぐらい論文が出てきているかというところをプロットしたものでございます。4年ぐらいたったところで一つのブレークスルーが訪れて、ようやく論文の数が増えてくるというところが見えているところなのですが、これは4年待ちましょうという態度ではなくて、これをなるべく前倒しできるように、論文化率が上がっていくための要因はどういうところにあるのか。一つは、例えばデータ解析について理解を深められるとともに、ユーザーと施設側、共に理解を深められるようなフレームワークを準備するべきではないかなというところはあります。それ以外にも様々な要因があると思いますので、この論文化率が上がるこの契機をもっと前倒しできるように考えていきたいというところであります。
 次のページ(19ページ)に行きまして、こちらはある一つの検討なのですけれども、足りない理由をどこに求めるかなのですが、様々な理由があると思っていますけれども、上のプロット、左から見ていきますが、類似施設の論文数というところで、ISISが年間400報ぐらいの論文をたたき出しているところで、SNS、これはアメリカのオーク・リッジの施設ですけれども、こちらの方は200報というところで、MLFの方は今100のオーダーを行ったり来たりという状況になっているというところであるわけです。
 これと、一つの分析は、先ほどのようなビームラインの共用開始年数からどれだけたっているかということの分析がございますが、ここでは出力の積算、要するに、たくさんデータをとるということがどういう影響を与えるのかというところについて分析したものでございます。そうしますと、SNSとの比較をしてみますと、論文数が2007年から2017年までの間にSNSの方では1300報ぐらい、J-PARCの方では600報程度というところでありまして、そのときの平均出力と稼働時間を掛け算して積算出力を求めてみますとかような数になるということでございます。ある出力当たりで論文がどれだけ出ているかということで比べてみると、まだこれまで利用時間や出力が十分出ていなかった割にはJ-PARCの方で論文が出ているという傾向がここには見てとれるので、したがって、今後パワーを上げてしっかり稼働時間を確保していけば上がる傾向は確保できるのではないかなと思っているところでございます。
 でも、これはあくまでも一つの見方であって、ある意味J-PARCの運転時間というのは、右上のプロットにもございますように、様々な要因で中断が非常に長かったこともございますので、そういうことがこの結果をバイアスしている可能性も当然あるわけです。いずれにしましても、論文化していくという傾向を全体に高めていく必要があって、これは先ほど来申し上げているユーザーの方々ともっと一緒にレベルアップしていきましょうというところと結び付いているんじゃないかなと思います。
 次のページ(20ページ)にありますのは、今度は成果指標の検討のもう一つの例ですけれども、Normalized Citation Impact(NCI)というものがございますが、そういう意味でいうと、MLFではインパクトの高い論文が出ているという傾向には当然あると思えるのですが、その1つとしましてまず一番に上がっているのは、全固体電池の研究の話。二番目につきましても、超イオン体伝導体による、これも電池系の結果ということになりますけれども、こちらは非常に高いNCIを持っています。ただ、第三位になりますと、もう既に大きく下回るインパクトのものになっておりまして、そういう意味では、逆の見方をすると、非常にインパクトの強い論文が2本ぼんぼんと出ているだけではないかというような見方もできるかなと思います。
 ですので、こういう非常に質の高い論文を生み出しつつも、全体にインパクトの高い論文を仕上げていく、書いていくということは、底上げとして行っていくべきではないかなと考えていますので、そういう意味でも、ユーザーの教育、及び、それに触発された内部のサイエンティストの更なるレベルアップということが重要なのだと考えています。
 以上、成果評価指標について、我々の現在の時点での検討について御紹介したところではございますが、当然これはここで終わるわけではなくて、今後も引き続きやっていくべきではないかと思っています。
【菊池主査】  ありがとうございました。それでは、今の御説明につきまして御議論をお願いいたします。
【横山委員】  きっと田村先生とか、現場の先生がおっしゃってくださると思うのですけれども、論文化率が海外と比較して非常に低いということの実態といいますか、現場感覚がよく分かりませんので、是非、御説明いただければと思いました。
 一つ参考として、先生方よく御存じのことだと思いますが、天文学分野では、(データは)1年間、データを取得した研究者が保管しておきますけれども、その後は公開します。なので、研究者は1年間をめどに論文化しなければいけないというプレッシャーが強くて、確実に論文化していくという、そういう効果があります。加速器分野はそうしたことは御検討されないのでしょうかというのが質問です。多分、設定とか全部違うので、すばるでとったからすばるで共通のデータセットになっているとか、そういうのとは全然違うとは思うのですけれども、1つの案として。
【齊藤センター長】  どうもありがとうございます。これはいろいろな分析がありますけれども、一つは、中性子のデータをとって、そのデータの意味するところを理解するというところまで持っていくところに若干のハードルがまだあるだろうと考えています。一旦現場を離れると、そのデータの意味についてもう一度きちんと分析して説明してくれる施設側とユーザーの間の交流が非常に薄くなってしまう傾向があるというところが、効いているのではないかなと思います。ですので、論文にするための、データの理解に対するレベルを上げていくということが恐らく効いてくるところではないかなと思います。
 もう一つは、我々としては、論文にする、若しくは報告を出すということを利用者に対しては義務として課しているところですけれども、それはまだ現段階では非常に厳密なルールとして遵守されているというわけではないという状況だと思います。これもやはりきちんと遵守する形にしていくべきだと思います。
 あと、データの公開という観点がありましたけれども、データの公開という観点も、意味のあるパラメータに落としてきちんと公開する必要もあるので、これについても議論中というところです。
【金谷MLFDiv.長】  基本的に我々は実験をしますと、データは全て公開という、先ほど議論がありました、1日300万円を払う成果専有課題は別に置いておきまして、一般には成果は公開と。その場合、今までですと60日以内に一枚のレポートを書くというルールがあって、これはかなりのユーザーの方が出してくださるのですが、それはいわゆる論文ではないわけですね。そこで一応公開をしたということにはなるのですが、それでは我々としては成果につながらないということで、例えばSPring-8の方でやられました3年ルールという有名なルールがございます。実験した場合は必ず3年以内に論文として出してほしいと。そうでないと何度もリマインダーは来て、多少締切り延長はできるのですが、最終的には実験申請する権利を失うという非常に厳しいルールがあります。
 我々もそれを検討することを考えていますが、2011年、2013年、それから2015年、ビームがあまり出なかった時期がございます。その状況の中で、継続的に実験をされているユーザーの方もやはりいらっしゃるわけですね。ここまでやったから、次これやったらすぐ論文になるぞと思ってやっていらっしゃる方もいるのですが、ビーム停止でなかなかそこを満たせなかったということもあって、安定運転をともかくするということを第一に進めてきました。先ほどセンター長の話にもありましたように、安定運転がかなり実現できてきましたので、ユーザーの方とも相談しながらそういう制度も今考えているところではあります。ただ、あまり急激にやるのもユーザーの方に対して負担もかけ過ぎるところもありますので、今、その辺も含めて検討させていただいているという状況でございます。
【田村委員】  今のお話で大体様子が分かったのですけれども、まず是非3年ルールというか、そういうのは導入された方が良いのではないかなと思うのですが、やはりこれは課題を……。その前に一つ確認したいのですが、論文化率というのは、課題が一回採択されたらそれに対して最低1つ出せば100%になるという、そういう数字だと思ってよろしいのですか、定義は。
【金谷MLFDiv.長】  これは計算してくれた人に聞きますと、少し甘くて、例えば2つ課題を出して、論文1報にした場合、関連課題の場合は、それは両方の課題で出たというふうに計算しているようです。
【田村委員】  その定義というのはほかの施設も同じ、50%に対して20%というお話が今あったのですけれども。
【金谷MLFDiv.長】  そこは大体同じだと思います。施設によって、そこら辺の定義は必ずしも一致していないというところはあるのですが。
【田村委員】  全然違う定義でやっているせいではないということだけで良いです。そうすると、今のお話だと、もう少し厳しくやられてもいいのではないかなと思います。ただ、あと一つは、そういうルールをきちんとやるというのと、もう一つ、ケアを、相手が多くて大変だと思うのですけれども、大変ではありますけれども、やはり一つ一つの実験課題に対してもう少しこまめに状況がどうなっていて、どういう理由で遅れているかというのを聞いて、それで何か対応するというのをもっと考えられたらいいのではないかと思うのですけれども。
【金谷MLFDiv.長】  おっしゃるように、そういうケアの方も現場担当者レベルでは常にどのユーザーがどういう実験したかというのは全て把握しておりますので、もちろんそれぞれのユーザーの方と議論しながらやっております。先ほども言いましたように、大体論文化率が上がり始めるのが共用開始から3年から5年、ビームラインによって少し違いますが、ちょうど去年評価しました共用ビームライン5本がちょうど5年目の評価だったところもありまして、そろそろ厳しく言う時期かなとは思っております。
【田村委員】  ちなみに、課題によって違うと思いますけれども、実験をやって論文になるまでの平均的な時間というのはどれぐらいですか。
【金谷MLFDiv.長】  調べましたところ、現状、約3年です。
【田村委員】  やはり結構かかっている。
【金谷MLFDiv.長】  3年のところにピークがあって、一番長いのは5年とか6年とかもあるのですが、1年でというのは余り多くはない。
【田村委員】  ただ、早くできる余地もあるのですよね。
【金谷MLFDiv.長】  そうですね。
【齊藤センター長】  それはやはり短縮していく必要があると思います。厳しくするべきだという御指摘と、ちゃんとサポートするべきだという御指摘、両方、我々もそのように思っておりまして、特に中性子ユーザーという観点で考えると、まだまだ増えていくというのがもともとのスコープでもあり、我々、そのポテンシャルがあると思っていますので、厳しめにするというところと、むしろもっとサポートして、問題点を取り除いていくと。成果を上げるためにはもう少し現場の方でユーザーを支援するという体制をきちんととっていくべきであろうと考えております。ところが、なかなかビームラインのサイエンティストも時間がないので、したがって、こういう効率的な運営というところも大分議論になるわけです。今、それぞれのビームラインの担当者というのは、非常にスペクトラムの広いユーザーのケアを全面的に行っているところがあるのですね。そこをもう少しユーザーさんのレベルも全体的に高い方にシフトしていく中で、ケアしなきゃいけないことのレベルをもう少し整理していくというようなところをやりながら、ちゃんとそれぞれのユーザーに対応する時間をもっと増やしていくということをやれるのではないかなと目論(もくろ)んでいるところです。
 ですので、この辺も、質的に成果を上げる、レベルを高めていくということをやっていきたいと考えております。
【熊谷委員】  質問が一つだけ。設置者のビームラインと共用ビームラインの二つありますよね。論文数は、これを統合したものですか。どっちかの、例えば共用だけの論文数、それとも設置者の入った論文数ですか。
【金谷MLFDiv.長】  両方入っています。
【熊谷委員】  そうだとすると、聞きたいことは、論文数と、もう一つ。課題数と1課題に対するシフト数というのは、例えばSNSとどういうふうに違っているのか、同じなのか。多分日本の場合は課題数がべらぼうに多くてシフト数が少ないというのが一般的ですよね。
【金谷MLFDiv.長】  そういう状況を我々も認識しているので、ある程度論文が書ける日数を与えるようにするというふうな姿勢は持っているのですが、マシンが動かなかった、ビームが出せなかったとき、多くの方に使っていただくということも非常に大事だったので、わりと短い時間で、例えば非弾性散乱実験というのがあるのですが、それは数日から10日ぐらいかかる実験のところ、約半分の日数を割り当てて、そのかわり2回、来年もまた出してくださいというような形で対処してきたところは多々あります。
【熊谷委員】  ある意味じゃ、バランスが非常に重要。
【金谷MLFDiv.長】  重要ですね。
【熊谷委員】  だから、今、過渡状態というか、初期の段階でということがあるのかもしれませんが、やはりその辺、きちっとしたシフト数を実験をする側に与えるという割合も少しずつ増やしていくというのも重要かなとは思いますけど。
【金谷MLFDiv.長】  一応定常状態になってからは、申請時間数をビームラインサイエンティストがきちっと評価しまして、この実験に対してこれだったら多過ぎるから減らせとか、もう一日与えろとかというようなシステムは一応導入しております。
【菊池主査】  いろいろとまだ御議論がおありかと思いますが、この件に関しましては、J-PARCさんの今後の計画にも深く関わってくると思っておりまして、まずセンター長の方から今後の計画についてお話ししていただいて、それに加える形で質問の続きもさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
【齊藤センター長】  どうもありがとうございます。表紙のページですが、非常に込み入った感じになっていて申し訳ないですけれども、かようにJ-PARCの将来計画というのはたくさんございまして、それを支える多くのユーザーがいて、議論を進めさせていただいているというところであります。ここで紹介するプロジェクトは、J-PARCが議論している将来計画の全てではないですけれども、その中でも特に概算要求レベルに持ち込むことが可能なところまでこぎ着けているものを主に紹介させていただきたいと思います。
 一つはニュートリノ実験でございますが、特にニュートリノ実験は、今、米国との非常に熾烈な競争の中にあるという一方で、これまでずっと勝ち続けているという、そういう歴史も持っているところでございます。スーパーカミオカンデでのニュートリノ振動の発見では梶田先生がノーベル賞をとられたというところでございますが、その後、ミューニュートリノが消失するということを発見した、T2Kという実験、これは同様の米国の計画に比べても圧勝したというところでございますし、あとは、電子ニュートリノの出現の発見。これは消失するというよりも出現する発見の方が非常に確固たるものであって、非常に重要だと我々は考えておりますけれども、これについても圧勝したというところでございます。
 次のレベルに行くためには、反電子ニュートリノの出現の発見でございますとか、あとは、レプトンにおけるCPV、つまり、粒子と反粒子の非対称性の発見というところが次のステップなわけですけれども、ここについてはT2K及びハイパーカミオカンデという将来計画がありまして、これもまさにノーベル賞をかけた競争になっているというところでございます。ですので、ここを何とか勝ちとっていくためのプランというのも、我々はニュートリノのコミュニティとともに立てて進めているというところになります。
 次のページ(3ページ)に行きまして、熾烈な国際競争の中で米国との競争というところをハイライトしていますが、J-PARCと端的に言いますと競争しているのは米国のシカゴ近郊にありますフェルミラボというところにありますメインインジェクタ加速器を用いた実験でありますところの、現在はNOvA、将来的にはDUNEという計画になります。こちらにありますのはNOvAとの競争でございますけれども、右上にあるのが我々がこれまで実現してきたパワーと今後実現していくパワーというものが書かれていまして、これまで750キロワットという設計値に対して、現時点では最高値で495キロワットというところまで来ています。750キロワットという設計を超えて、更に目標値である1.3メガワットというところまで持っていくということを行っているところでございます。こうしていきますと、右下にございますが、フェルミラボのNOvAという実験に対して常に勝ち続けていくことができるというところであります。
 一方で、パワーが実現することができなければ、ある時点でT2Kの優位性はなくなってしまって、NOvAという実験に抜かれてしまうというのが下の絵で書かれていることであります。そういう意味で、パワーを目標値に向けてどんどん持っていくということは非常に重要だと思っていますので、この実現のために是非とも必要な電源の更新というのがあるのですが、その電源の更新を我々としては既に手がけているというところを次のページで御紹介しています。
 こちらの方は、750キロワットに持っていく点につきましては、これは技術的に確立しているところで、大変はしたない言葉で申し訳ないですけど、予算待ちという状況にございまして、電源が手に入ればすぐに実現できるという状況にあります。
 一方、750キロワットから1.3メガワットというところに行くためには技術的にはほぼ確立しておりまして、我々が今持っている技術の延長上で何とかなると思っているところでありますので、あと、ビームロスの低減というのは課題ではあるのですが、これはスタディを重ねて改善していくということが、これまでも実績がございますので、ここも何とかやっていけると考えています。
 幾つか写真がございますけれども、既にそういう準備が進んでいるという状況を見ていただくために写真をお見せしております。先月実際に施設に来ていただいて見ていただいた方には、実際電源がどういうふうに今整備されているかという状況も現物を見ていただいたかと思いますが、そういう写真を入れているところでございます。
 次のページ(5ページ)に行きまして、ここでは電源を入れるとパワーが上がるだけなのかということではなくて、実はハドロン実験におけるビームの遅い取り出しのビームの時間構造の改善にもなるのであるというところをお示ししております。ハドロン実験では、青のぎざぎざのラインがございますけれども、これがぎざぎざがなく一定に取り出されているというのが非常に効率的であります。といいますのも、こういうふうに時々ビームが強かったり弱かったりするということになりますと、いわゆる偶発的なコインシデンスと言いますけれども、アクシデンタルコインシデンスが多くなって、一つの事象だと思っていたものが実は前の事象や後ろの事象からやってきてしまったものと混同してしまうというような効果があって、実際の研究の質が上がらないということがございます。ですので、ここは一定のビームであるということがとても重要ですけれども、これまでの電源ではリップルが多くて、端的に言いますと、ここで示していますのは、六極電源の電流のリップルが赤い線で示されておりますが、今の電源ではいわばノイズ的なものはある周波数においては1万分の1というレベルのノイズがあるということです。これが新しい電源にしますと、100万分の1レベルの、若しくはそれより一桁下のレベルのノイズというところまで持っていくことができまして、したがって、ハドロンでの遅い取り出しのビームの時間構造というのは圧倒的に改善されると考えています。
 次のページに行きまして、こちらは年次計画として、このようにパワーを上げていき、かつ、遅い取り出し、つまり、ハドロン実験の方もこのように段階的に上げていけるとなっているということでございます。
 一方、ビームパワーを上げたものをどういうふうに将来的に更に有効に使っていくかというのが次のページ(7ページ)でございまして、こちらは将来計画の1つとしまして、現在のハドロン実験施設を大きく拡張したいという計画であります。これは、現在あるのは、実は長い四角の中の前半の上流の三分の一しかなくて、したがって、実は一個のターゲットから四本ビームラインがとれていますけれども、それぐらいの実験しか同時並行で行うことができないわけです。
 一方、こういうふうに実験施設を拡張して、ターゲットステーションを幾つか設けることによって、同時並行して走れる実験の数が圧倒的に増えるということがありますし、あとは、質的にも高いレベルの実験、例えば非常に分解能の高いスペクトルメーターを準備することができるようなスペースを準備するとか、あとは、非常に運動量の高いK中間子を純度高く取り出すことができるようなビームライン。あとは、KOTOという実験がございますけれども、こちら、小林・益川模型の予言レベルを、大きく超えるようなCP非保存の発見を目指した実験ですが、こういうことを行っていくということがこの実験施設の拡張により可能になるというところでございます。
 特に我々の課題というのは、左下にあるCP非保存の起源を探るということでございますので、こういう問題に対して科学的にアプローチできるようなことがこの実験を通してできると考えております。次のページ(8ページ)にございますのは、特にミュオンという粒子を使って更に新しい物理の法則を発見するようなことが可能であるというところでございます。左側にありますのは、ハドロン実験施設の一部で行われようとしていますCOMETという実験でございますが、こちらはまずフェーズ1として、従来の感度を超えて、100倍の感度で、このミュオンが電子に転換してしまうという現象を探索しようというものでございます。フェーズ2では、更にその感度を2桁上げてその探索を行うか、若しくは既に発見されていれば、その精度を上げて測っていこうという趣旨のものであります。
 あと、右側にございますのは、これはミュオンの持っている磁気的な性質及び電気的な性質を精密に測定すると、素粒子の標準模型というものを超える物理を発見できるというものなのですが、こちら、実は過去の実験において新しい物理法則が既に示唆されているのではないかという結果が出ています。それを全く新しい手法で、従来の実験とは全く違う系統誤差でやろうというのが右側の提案になっています。こういう実験を行うために、我々としては将来計画として、この新しい実験ビームラインの整備を行って、物質の起源の解明を深めていこうという提案を行ってきたところであります。
 一方、MLFにおきましては、従来のビームラインで行っているサイエンスに加えまして、第2ターゲットステーションというところでミュオンの強度としては50倍以上、中性子の輝度としても10倍以上ということを実現して、これで質的に新しいサイエンスを展開していこうというような計画を立てているところであります。
 以上、簡単ではありますが、将来計画について御説明させていただきましたけれども、我々、こういう既に概算要求レベルに持ち込めそうな形で提案を煮詰めている部分もございますけれども、将来計画については、コミュニティや内部の人たちの議論を深めながら、常に新しい提案を受け付けているところではあります。今後もこういう提案が幾つも出てくる可能性はありますけれども、非常に具体化した内容の提案として今日の選び方でご紹介させていただきました。
【菊池主査】  ありがとうございます。それでは、今の御説明につきまして御議論をお願いします。
【長我部委員】  一つ戻ったところの議論へのコメントなのですけれども、先ほどの成果指標の議論は、成果指標とそこから浮かび上がる課題とそれに対する対応策というのを、もう少し整理してやらないと議論がごちゃ混ぜの感じがします。まず、一番アウトプットに効くところは研究に供した稼働時間ではないかと思います。これでSNSと比較すると、出力が3分の2ぐらいで推移しているので稼働時間出力積の累積が6倍ぐらい違うということは、研究に供した時間が4倍ぐらい違うということですよね。それで、総論文数を規格化するとSNSよりも多いわけですよね。それがやはり一番トップに出てくるべきで、そうすると問題はJ-PARCは事故を起こさない、運転し続けるということが最大の課題で、まずそれが最優先の問題だと思うのですね。その次の問題として、課題ごとの平均論文数が少ないというのがあります。これは課題にあてる時間が細切れになり過ぎているとか、掘り下げれば原因があるのだろうし、3年たたないと論文が出ないというのも問題です。けれども、それは2次的な問題で、まずはトラブルなくきちんと運転すれば、この施設は世界の施設以上に成果が出ているというのは、まずはっきりおっしゃったらいかがですか。
【齊藤センター長】  どうもありがとうございます。我々も、その点をメインに出すべきかどうか、大分迷ったのですけれども、ここの指標のとり方として、どうしてもJ-PARCがそういう意味で優位に見えてしまう指標を意図的に取り出しているように見えかねないので、そこは我々としてもう少し謙虚に理由を分析するべく考えたところではあります。おっしゃるとおり、継続的にパワーを出し続けて、しっかりデータを取り続ける環境を提供するというのは最も重要なことだと思っていますので、そこは我々も、従来、ここ数年稼働率を90%以上に上げて、かつ、そのパワーを上げていくというところを引っ張ってきているところでありますので、今後は確かに期待できると思っています。ただ、ほかにも幾つか要因があると。2次的とおっしゃったパートの要因をもう少し掘り下げていく必要もあると思っていまして、そこはもっと深く分析し、かつ、改善していくというところだと思っています。どうもありがとうございます。
【菊池主査】  ありがとうございました。恐らく私たちの役割の報告書作成のところを考えますと、今後の計画のところは少し短くしまして、その御議論の前に、報告書の素案を基に、今後の計画も含めた御議論をしていただければな思っております。そういうので、報告書の素案につきまして、事務局の方から御説明願えればと思います。
【大榊補佐】  それでは、資料4につきまして事務局から御説明させていただきます。資料4では、本日、中間評価報告書の素案という形でお示しをさせていただいております。次回の御議論でも中間評価報告書を取りまとめていただきたいと考えておりますが、本日はその素案ということで、まず、構成ですとか、主に御議論いただきたい内容について書かせていただいたものでございます。
 おめくりいただいて目次を御覧いただければと思います。報告書の構成としましては、1.に「はじめに」ということで、J-PARCの概要ですとか本評価の位置付けについて書かせていただいてございまして、2,のところで「J-PARCの現状」ということで、J-PARCの現状について書かせていただいているところでございます。
それから、3.で「前回中間評価の主な指摘事項に対する対応」ということで、前回まで御議論いただいておりました内容について、(1)から(4)まで書かせていただいているものでございます。
 4.には「前回中間評価以降に起きた主な事象と対応・対策」ということで、ハドロン実験施設の放射性物質漏えい事故、また、MLFの中性子標的容器の不具合につきまして、別途項目を設けて4.という形で記載をさせていただいているところでございます。
 5.につきましては、本日御議論いただいた内容でございまして、ここは今は空欄でございますけれども、「新たな論点」ということで、経営的視点の導入と本格的産学連携の実施ということで書かせていただいているところでございます。
 それから、6.の「評価のまとめ」のところを本日主に御議論を頂きたいと考えております。
 中身を少しざっとおさらいをさせていただければと思います。ページをおめくりいただくと1ページ出てまいります。1.の「はじめに」というところがございまして、J-PARCの概要、それからこれまでの経緯ということで、J-PARCの概要につきましては御承知のとおりかと思います。これまでの経緯ということで、東日本大震災で被害を受けたといったようなことや、ビーム強度の増強、ビームの安定供給に努めて、基礎科学から産業応用まで幅広い研究分野で多くの成果を創出しているといった内容について書かせていただいたところでございます。
 本中間評価の位置付けにつきましても、同じように報告書の位置付けということを記載させていただいているものでございます。評価指針に基づきまして5年ごとを目安に評価するということ、それから、運転開始からおよそ10年が経過しまして、施設の安定運転の達成を見越した先見的な取組を開始していく時期に来ていると位置付けているところでございます。
 それから、前回の中間評価における指摘事項への対応状況についての評価、それから、安定運転の達成を見越した今後の運営に係る課題と方向性を明確にすることを目的とした中間評価であるというふうに書かせていただいているところでございます。
 2.は「J-PARCの現状」でございまして、先ほど御説明したとおりでございますが、作業部会で最初に御議論いただいた内容でございます。J-PARC全体の状況、ニュートリノ実験施設、ハドロン実験施設、MLFについて、それぞれ現状、前回の中間評価からの5年間の変化についてを記載させていただいたところでございます。
 それから、3.のところ、「前回中間評価の主な指摘事項に対する対応」ということで、これは前回、前々回と作業部会の冒頭に事務局の方から御説明差し上げて先生方に御議論いただいた内容を転記したものでございますので、説明は割愛をさせていただきますが、その内容について、3ページの終わりの方から、ずっとめくっていただきまして、本日御説明差し上げました議論も踏まえまして、15ページのところまで参ります。15ページのところまで、前回、前々回と今回御議論いただいた内容を転記したものでございます。
 それから、16ページのところでございますが、5.にございますように、「前回中間評価以降に起きた主な事象とその対応・対策について」ということで、こちらは、ハドロン事故、MLFの標的の不具合、本日冒頭に御説明を差し上げた内容をそのまま記載させていただいたところでございます。
 おめくりいただきますと、18ページに「新たな論点について」ということで書かせていただいてございますが、これは本日の御議論を踏まえて更に追記をさせていただきたいと考えてございます。
 本日、特に御議論を頂きたい内容でございますけれども、19ページのところ、赤く四角囲みをさせていただいたところでございますが、「評価のまとめ」というところでございます。内容を少し読ませていただきますが、前回中間評価の指摘事項に対しておおむね着実な取組が行われていると。各実験施設においても質の高い研究成果を上げていると書かせていただきました。今後とも、学術・産業の幅広い研究分野において数多くの利用と成果の創出が期待され、我が国の科学技術イノベーション政策における重要な大型研究基盤施設としてJ-PARCの活用、利用を行っていくことが重要であるという位置付けを評価のまとめとして書かせていただいたものでございます。
 一方、運転開始から10年が経過しておりまして、施設の安定運転の達成を見越した先見的な取組を実施していくべき時期に来ておりまして、施設全体を通じた今後の展開として、以下、黒い四角で項目を立ててございますが、以下の点に留意して取り組むべきであるという書き方をさせていただきました。
 一つ目の四角でございますけれども、世界トップクラスの成果を創出し続けていくために、所期目標のビーム強度、申し訳ありません、ハドロン実験施設が50キロになってございますが、これは100キロの間違いでございますので、修正いたしますが、この早期達成を目指すとともに、ニュートリノ実験施設における1.3メガワットの実現に取り組むと書かせていただきました。
 2つ目の四角でございますが、J-PARCは、日本全体の中性子利用の振興に係る課題として、成果創出ですとか、人材育成、産業利用、国際化といった内容がございますが、この課題を大学、施設、企業等の組織横断的に議論する場を提供し、その中核としての主導的役割を果たすべきであるというまとめ方をさせていただいてございます。同じくこれまでに蓄積された人材、施設、ネットワークを最大限有効に活用することが重要であるという書き方をさせていただきました。
 3つ目の四角でございますけれども、生命科学用実験装置の整備について、重要な研究開発課題、イノベーション創出を加速する仕組みをユーザーコミュニティが主体となって検討するということも御議論いただいたために書かせていただいているところでございます。
 以降の四角につきましては、本日の御議論等を踏まえまして、追加をさせていただきたいと考えているところでございます。
 おめくりいただきまして20ページのところに「おわりに」という本報告書のまとめというような形で書かせていただいてございますが、お読みいただければと思いますけれども、本中間評価の成果を踏まえて課題に適切に対応して、J-PARCによる成果、研究開発成果の最大化が図れるよう、取組を進めていってもらいたいと。
 それから、また、今後5年後を目安に改めて評価を実施することが適当であるといったような内容についても追記をしているところでございます。
 あとは、参考資料として評価の経緯を書かせていただいたところでございまして、これに委員の名簿ですとか参考資料等が付きまして報告書の形になるというふうに思っていただければと思います。
 ごく簡単でございますが、以上でございます。
【菊池主査】  ありがとうございました。それでは、今御説明いただきました報告書の素案、特に評価のまとめとして特筆すべき点につきまして、これまでの議論も踏まえまして御議論をお願いいたします。まだ途中の議論も少しあったと思いますので、これはここで議論した方が良いということもおありかと思いますので、特筆する点を主にしながら御議論していただければと思っております。
【福山主査代理】  2番目の中性子について書いてある事項が非常に大事で、結局、文章に書いたここがどう肉付けされるかということで、最後の成果の議論のところにつながるのではないかと。先ほどの成果云々の議論では新しい指標の御紹介もあって、いろいろああでもない、こうでもないと見ていたのですけれども、結局、まず、この評価のまとめの2番目の項目、中性子に関しては是非この趣旨のことを、これで十分かもしれませんけれど、場合によってはより明確に強調するという、そういうのが大事じゃないかなと。それに関連して、先ほどのこういう施設の成果の評価、どういう指標があるかという議論。これはSPring-8の場合もそうですし、大型施設は絶えず問われるところです。先ほどのセンター長の御説明で、素核の場合は、極端に言えばノーベル賞をとればいいと。これはやはり厳しくて、とらなかったらややこしいという。だけど、今日の御説明は基本的にそういうふうに聞こえる。
 一方、MLFの方は何かと。結局そこの問題になるのですけれども、これはやはりMLFは学理の究明にどれだけ役に立ったかということと、社会にどれだけ貢献したかという、二つの要素がある。両方つながっていますけれども、切り口が違う。それぞれで良い仕事が出れば良い。いろいろ指標はあるのでしょうけれども、とにかく研究論文である以上は、被引用件数が最終的に一つの指標になる。
 ただし、社会貢献ということになると、論文ではなくて特許になる。この施設を使ってすばらしい特許を確保する。これは社会貢献という観点からは非常に大事。今日のような整理をすると、それが見えてこないですよね。そこら辺がずっと悩ましい。
 それは別に考えるとして、論文に関しては、やはり良い論文。論文の数は大事ですけど、良い論文がどれだけあるかというのが大事。良い論文がたくさん出るためには、ある程度論文の数も出ないといけない。そういう観点で、今日の課題当たりの論文の出方があまり高くないというのは、課題の選び方が良くなかったという見方ができる。それは課題をきちっと選ぶような仕組みや文化が、というか、きちっと議論するという環境、そういうパターンができていないことが背後にあるかもしれない。
 そうすると、話が回るのですけれども、評価のまとめの2番目の中性子のところに書いてあることに対して、どう肉付けできるかというところに結局話が行くのではないかなと。言いたいのは、評価のまとめの中性子の2番目のところは非常に大事で、これは是非書いていただきたい。更にその肉付けが必要であればしていただくという。その背後には、さっきの評価の指標をどうするかという議論があって、これからも続けなければいけないことだと思います。
【鬼柳委員】  少しいいですか。論文数が少ないというところで、SNSと比較したのですが、ISISと比較すると何が違うかというと、装置の成熟度が違うのではないか。あるいは周りの成熟度が違うのではないか。ISISはまだ160キロワットぐらいですよね。なので、説明にあったように、J-PARCはまだ発展途上なので、よく分かっている装置、回折とか、そういうのは既存の技術で成果が出しやすい。だけども、非弾性だって何だって、僕らが行っている新しいイメージングだって、新しいものについてはまだまだ発展途上のところがあって、データ処理そのものも、例えば膨大な量のデータをどうやって処理するかというようなところなど、SNSもJ-PARCもまだ闘っているところではないかと思うのですね。なので、そういうことも加味して成果を考えるということも必要かなと思います。
【長我部委員】  今、福山委員からも指摘があった中性子ですけれども、研究の質をどうやって評価するかについて、NCIのトップ3が出ているのですけれども、これは、パレート図にして全ての論文のNCIをトップから並べていって、SNS、ISISと比べて、どこに問題があるのか分析するとか、より正確な分析を心がけるべきだと思います。研究の質の評価は、被引用論文数ぐらいしか多分指標としては数値化できないので、もう少しこれを精密化して議論した方が良いと思います。
【齊藤センター長】  ありがとうございます。頂いているコメントの中でも、中性子、もう少し広げて、MLFとしましてはミュオンも含んでいるわけですけれども、まだ開発途上のものもございますし、解析手法にしても、データの理解の仕方としても、開発途上のものもございますが、そういう意味でも、ビームラインが始まって四年目ぐらいから論文が出始めるという傾向は一つの指標だと思っているのですね。ただ、やはりこれをなるべく加速するためには、ユーザー全体のレベルアップというところも重要だと思っておりまして、そういうところにとらわれないためにも、実は今、長我部委員に言っていただいた、もう少し包括的な解析が必要だと思っています。ですので、今、大体問題点を掴(つか)み始めているところではあるけど、これをやはり精密化していくということが重要かなと思っています。
【福山主査代理】  そのとき、知財のことをどうします? 特許。非常に大事な中身があるはずですよね。
【齊藤センター長】  これは産業界の方々とも議論を始めているところですが、確かにその方面の指標はどうするかというと、やはり特許ぐらいしかないのではないかというのは一つの御意見です。ただ、やはり公開しているものは論文というものもございますし、論文とパテントの両方を併せ持つような指標も構築できるでしょうし、恐らく製品という形で実際に社会に貢献している度合いというのも何かの形で表現の中に取り込めれば良いのではないかなと思っていますけれども。
【福山主査代理】  確かに役に立たない特許ではしょうがないからね。
【齊藤センター長】  特許については、むしろ取らずにやっている戦略もあるわけですね。その戦略の部分が盛り込まれなくなってくると困るので、そういう意味でも、多変数解析に多少なるかと思いますが、そこを産業利用については少し深める必要があると思っております。
【長我部委員】  あとは特許に引用される論文があるので、それを数えるというのも一つの指標になりますよね。サイエンティフィックな成果がいかに産業に寄与しているか。
【福山主査代理】  確かに特許に引用されている論文はそういう明解な意味がありますね。
【菊池主査】  米国ではそれが主要な指標として使われていますので、少なくとも中性子、ミュオンの産業利用の方はむしろそっちの方が主体かなと思います。
【齊藤センター長】  ありがとうございます。
【菊池主査】  私も、福山先生また長我部委員の御指摘にあるように、学理のところはノーベル賞だろうと思うのですが、産業利用になってくると、日本がどうしても勝っていかなければいけない領域って決まっていまして、先ほども出ましたが、磁性、磁石ですよね。あとは電池ですよね。あとは半導体に関わる、GaN(ガリウム・ナイトライド)の方につながる研究。この三つ、これを落としたら多分日本の将来はないのではないかなと、私たち、共通の認識ではないかなと思っています。そういう意味で、この中性子、ミュオンの活躍というか、そこがないことにはこの3つの課題はクリアできないと考えております。また、ちょうどうまい具合に評価のところで、NCIの一番のところはエンジニアリングなのですね。他の施設とはっきりと違っていますので、私はここはうまく中間評価のところで使えたら、産業利用の方に係る必須のアイテムですね。特に施設がきちんと稼働してくれないと困りますので、そういうような意味では、保守費用の捻出とか、そういったようなところにつなげられる論点になるのではないかなと思っておりまして、そこのあたりをうまくセンター側に使っていただければなと思っております。
【久保委員】  論文数の問題のところにちょっと触れるのですけれども、基本的なデータとして、ビームラインサイエンティストの数というのが、例えば諸外国と比べて同じようであるのか、そうでないのか。私の見る限り、ビームラインサイエンティストは非常に疲弊していて、最終的に実験データを解析してまとめ上げるサイエンティフィックな議論までする暇は到底なさそうに見えることが多い。そこまでいかないと論文にはつながらないので、例えば人の数だけ比較してもしょうがないのですけれども、例えば、SNSとかISISとか、そういうところでサイエンスをできる人たちがどのぐらいいて、その人たちがどのくらいサポートできるのかということを教えていただければと思います。
【金谷MLFDiv.長】  非常に重要な御指摘だと思います。この評価部会でも御紹介したかと思うのですけれども、幾つもの種類のビームラインを持っているということとも関連するのですが、数の上では十分ビームラインサイエンティストがいるビームライン、それから、非常に少ないビームラインサイエンティストしか抱えていないビームライン、今のところ非常に不均一な状態でございます。それとやはり中性子の専門家としてユーザーを支えている方もいらっしゃるのですが、必ずしもそうでない方もいらっしゃるので、その辺の質の向上は施設としても非常に大きい課題だと。
 それから、数だけではいけないというのはそうですが、やはり数というのも重要な要素で、世界のレベルと比べて平均するとまだ少ないかなという気がします。ある種類のビームラインに関しては、大体世界の平均ぐらいです。でも、それとは違うビームラインもやはりあるというのは確かなので、その辺のうまい運営は、我々の責任だと思うのですが、そこのところを固めていかないといけないかなと今検討しているところです。
【鬼柳委員】  日本のサイエンティストっていろいろな顔を持っているではないですか。いろいろな実験装置の世話をしたり、それから、いろいろな実験環境を整えたり。海外はもう少しその辺のスタッフがきちんとしていると思うのですけれども、そういうことまで含めるとどういうふうになりますか。装置についてのサイエンティストの数だけではなくて、サポーティングスタッフという意味で。今回の報告にも家内制手工業と書いてありますけれども、その辺。
【金谷MLFDiv.長】  日本の伝統といいますか、あまり分業が進んでいなくて、皆さん、サイエンティストが、あれもやる、これもやるという、昔からの伝統といいますか、習慣といいますか、があるところも残っています。それこそ、それも我々マネジメント側がうまくやらないといけないのですが、きちんと作業分割というのですかね、作業分担を明確にして、より効率のいい運営をしていくというところは、ちょうど鬼柳委員が委員をしていただいている外部評価、国際評価の方からも指摘されたようなところでもございますし、今、それこそ検討しているところでございます。
 いろいろな形で急激にスタッフを集めたという組織もございますので、その辺の人たちのうまい活用の仕方も我々が考えていくべきところの1つかと思っています。
【菊池主査】  そのほか、御議論しておく点がありましたら。
【齊藤センター長】  J-PARCとしては、今日多分に御指摘していただいた、やはり動き続けて、きちんと稼働し続けて、皆さんと研究を共に進めることができる環境作りを進めていくことができるというのが非常に重要だと思っています。
 その中で、今日は御議論なくて、前回大分議論があったところとして、アクセス道路というものがあって、アクセスの環境をもっと充実して、多くの研究者が簡単に集まって、そこで議論ができるという環境作りというのもさせていただきたいと思いますし、その中で、大学及び企業、そういうところとの連携をどんどん深めていきたいと考えているところであります。やはりこれだけの施設、とても施設の中の人間だけで成果を上げることができるものだとは当然考えておりませんで、多くの方々に、いわば使い倒していただいて、その中から成果をどんどんどんどん絞り出していくというふうにする環境作りをもっともっとしていくべきだと思っています。そういう意味でも、ここで御議論いただいた内容を我々十分に心に刻みながら、今後、いい施設運営にしていきたいと考えております。
 どうもたくさん御議論いただいて、ありがとうございました。
【菊池主査】  ありがとうございました。まだ御議論等があるかと思いますが、本日はここで議論を終了させていただきます。追加でコメントしたい点などございましたら、事務局を通しまして御連絡いただければと思います。
 本日の議論も踏まえ、事務局の方で報告書案をまとめて、次回、作業部会でもう一度議論したいと思います。
 それでは、その他、事務局の方から何か連絡事項等ありますでしょうか。
【大榊補佐】  どうもありがとうございました。次回のJ-PARC作業部会の開催でございますが、5月下旬頃を予定してございます。本日の資料につきましては、後日文部科学省のウェブサイトに公表させていただきます。また、本日の会議の議事録につきましては、委員の皆様に御確認いただいた後、同じようにウェブサイトに掲載をしたいと考えております。
 本日の資料、郵送等を御希望の方は、封筒に入れた後机上に置いたままにしていただければと思います。不要な資料、紙ファイルにつきましても、机上に置いたままにしておいていただければと思います。
 以上でございます。
【菊池主査】  以上をもちまして第4回のJ-PARC評価作業部会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――


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-- 登録:平成30年07月 --