科学技術社会連携委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成29年10月25日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館15F科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 新たな科学技術の社会実装に向けた取組に当たって社会との連携のために予め組み込むべき仕組みについて
  2. その他

4.出席者

委員

小林 傳司 主査、藤垣 裕子 主査代理、片田 敏孝 委員、田中 恭一 委員、原田 豊 委員、堀口 逸子 委員、山口 健太郎 委員、横山 広美 委員

文部科学省

伊藤 文部科学審議官、佐野 科学技術・学術政策局長、信濃 大臣官房審議官、塩崎 人材政策課課長、石橋 人材政策課課長補佐

オブザーバー

説明者:科学技術振興機構 真先 理事、科学技術振興機構社会技術研究開発センター 津田 企画運営室長、北村 産業連携・地域支援課課長補佐

5.議事録

【小林主査】  第2回の科学技術社会連携委員会を開催いたします。
 まずは、議事に入る前に、主査の代理を御紹介したいと思います。藤垣委員でございます。前回の委員会は御欠席であったために、本日改めてここで御紹介したいと思います。
【藤垣主査代理】  よろしくお願いいたします。
【小林主査】  それでは、続きまして、配付資料等について事務局から説明をお願いいたします。
【石橋補佐】  事務局でございます。配付資料の確認の前に、事務局に前回の会議から異動がございましたので、紹介をさせていただきたいと思います。伊藤文部科学審議官でございます。
【伊藤文部科学審議官】  伊藤でございます。前職は科学技術・学術政策局長をしてございましたが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【石橋補佐】  佐野科学技術・学術政策局長でございます。
【佐野局長】  佐野でございます。よろしくお願いします。
【石橋補佐】  信濃大臣官房審議官でございます。
【信濃大臣官房審議官】  信濃です。どうぞよろしくお願いいたします。
【石橋補佐】  以上、御紹介を終わらせていただきます。また、前回の委員会からの引き続きということで、今回、議題を設定させていただいておりますけれども、その内容等の説明のために、COIのプログラムの関係課でございます産業連携・地域支援課の北村補佐が来ております。また、JSTから真先理事、そして、RISTEXの津田室長に来ていただいております。それぞれ、説明を聴取させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 配付資料でございます。議事次第を御覧ください。配付資料1-1から1-5の5種類御用意させていただいております。また、参考資料で名簿の方を、黄色のファイルの中には、基本計画等の机上資料ということで御用意をさせていただいております。
 乱丁、落丁等ございましたら、事務局にお申し出いただければ、適宜対応させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【小林主査】  ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、アジェンダの紙に書いてございますように、「新たな科学技術の社会実装に向けた取組に当たって社会との連携のためにあらかじめ組み込むべき仕組みについて」でございます。この点、事務局より説明をお願いいたします。
【石橋補佐】  前回から御議論いただいておりますこの議題でございますけれども、前回の際に、人文社会科学の研究者との連携ということで、実際に連携をしているCOIプログラムの例というものが、どういったものが、どういう形でやっているのかというところが宿題事項となっておりましたので、その状況をまずは説明させていただければと思います。その上で、最終的には、人文社会との連携について、それぞれどういう在り方があるかということについて取りまとめをさせていただければと考えておりますので、よろしくお願いします。
 では、最初に産業連携・地域支援課からCOIプログラムにおける人文社会の連携の状況について説明をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○資料1-1に基づいて、北村補佐から説明。

【小林主査】  ありがとうございます。ちょうど今、これ、中間ぐらいですかね。
【北村補佐】  実は、9年間を3年間、3年間、3年間の3つに割っておりまして、昨年度第1回の中間評価をやりました。来年度、第2回目の中間評価をするといったスケジュールで考えております。
【小林主査】  ただいまの説明について、御質問と意見、いかがでしょうか。
【藤垣主査代理】  とりわけ将来のあるべき社会像ビジョンを考える上で、分野の壁、組織の壁を越えるということで非常に魅力的なものだと思うんですけれども、ここに実際の将来あるべき社会の中に住む市民の意見とか、あるいは若手の意見、ほか幾つかありましたけれども、それを取り上げる道筋みたいなものはどんなふうに構築されているんですか。
【北村補佐】  3つのビジョンを立てたときには、文部科学省と有識者の方々、その中には、完全に市民の方々まで呼んだかどうか、ちょっと今、記憶にございませんけれども、いろいろなステークホルダーの方々を含めた形の大きめのフューチャーセッションというものを開催させていただくとか、そういった形でいろいろな声を吸い上げながら3つのビジョンを立てさせていただいたという経緯がございます。
 それから、各拠点から当然申請いただいているわけなんですけれども、その拠点サイドで、拠点が目指す社会像、こういった課題を解決すべきだというところを構築いただくに当たっては、それぞれ、ちょっといろいろなやり方をされているケースがございます。そういったフューチャーセッション的なものをやったところもありますし、あるいは、ダーパがやっているようなメソッドを使ってバックキャストをしてみましたといったようなことで言ってきているところもありますし、世の中にいろいろなメソッドがあるものを、それぞれの申請者が活用しながら申請をしてこられているといった状況でございます。
 基本的には、こちらが公募に当たって示した公募要領の中にそういった分野横断でちゃんとやってくださいといったことを明示しております。ビジョン実現の考え方をちゃんと示していただく必要があるんですが、その申請書類ですね、その中に、科学技術だけではなくて、人文社会科学分野ときちっと連携したりすることをお願いするような文章を盛り込んで構築をしてもらうといった考えで一応公募をしております。
【小林主査】  よろしいですか。
 一度中間評価をされたということですが、この委員会は社会連携というところなので、人文社会科学のコミットメントという観点からの議論になるかとは思います。そこでお尋ねしますが、最大の課題というのはどこだというふうに今は認識されているんですかね。北海道大学のやつですか、若干まだ人社系の関与が不十分というふうにちらっとおっしゃったようなこともあって、その参加がまだ不十分かなという課題はお持ちだということですか。
【北村補佐】  そうです。全体的にやはりまだちょっと足りないんじゃないかなという問題意識はビジョナリーチームの先生方と共有しておりますので、都度都度、各拠点に対してのサイトビジットのときに指導していただいていると。どうしてもなんですけれども、最初拠点が動き出すときというのは、どういうふうにビジョンを立てたのかといった大きな部分についての指導がかなりの部分ございますけれども、だんだんそれがうまく定着をして、拠点が回り始めて、研究開発のところに焦点が当たっていくと、どうしても我々だったり、ビジョナリーチームとのやりとりも、そこにフォーカスが当たってしまって、逆にフォアキャスト的な部分が出てきたりとか、あるいは、人文社会系の先生方、貢献されている人数が増えているので、明らかに昔に比べれば関与は増えているはずなんですが、それがなかなか見えづらくなってくるみたいなところがあるんですね。なので、そこのところは適切に刺激を与えながら、御指導いただいているといった状況です。
【小林主査】  実際、じゃあ、ビジョナリーチームの方がアドバイスをするとか、そして、もうちょっと入れましょうよというようなことをおっしゃると、個々のプロジェクトの方は、結局、プロジェクトリーダーの個人ベースで誰かいないか探して入ってよというふうに声をかけているという、そういう感じで動いているんですか。
【北村補佐】  そこは、各拠点になっている大学によっても違うとは思いますけれども、基本的には大学の既に入っておられる以外の部局を巻き込もうと思いますと、基本的には執行部も含めてがっつり関与していただくということが正しいやり方だと思いますので、そこがうまくスムーズにいっている拠点ですと、そこがクイックに反応が返ってくると。そこの距離感がまだちょっとあるなと思うようなところもないわけではないんですが、そういったところですと、なかなか分野の壁の壊れ方がまだ足りないぞというところが見えるような拠点もないわけではないと。そういう場合は、ある意味、拠点長クラスにだけ言うのではなくて、大学の学長、理事クラスに対しても直接いろいろなことを申し上げるといったこともさせていただいています。
【小林主査】  多分これはそういう阻害要因が何かというのの分析が本当に必要なフェーズだと思うんですね。確かに人文社会系の方々が基本的に単品で動くという行動習性もありますし、それから、それぞれの所属しているディシプリンに対するロイヤルティが高い行動パターンなので、こういうプロジェクト型に参加するときというのは、かなりきっちりとしたインセンティブとか大義とかを共有するみたいな仕組みを入れないとなかなか参加してこないというのは、日々苦労しているものですから、何かリアルに感じますけれどもね。いかがですか。
【原田委員】  私でよろしいですか。文字どおり人文社会系の1人ですので、こういう形で目を向けていただけるというのは大変有り難いと思っています。先ほど小林主査がおっしゃったような、例えば専門学問分野、私の場合だと社会学になるんですが、そういうところにこだわりがある人もいるんですけど、自分なんかはかなりとっぱずれた方だと思っておりまして、今、準天頂衛星のあの新しい仕組みを自主防犯活動の中に取り入れるということを目指して、文字通り七転八倒しているようなことをやっているところがありますので、その意味で、個々で動く傾向があるというところは正に自分にもぴったりなんですが、やはり分野を超えると、どこにどういう人がどんなことをやっているかって、とても見えにくくなってくるところがあると思うんです。
 ですので、何らかの形で、こういうようなことをやっている者がこっちにいるぞみたいな、拾い上げ始めたら切りがないと思うんですが、何かの形で仕組みとして、ちょっと毛色の変わった人文社会系に目を向けていただけると一番うれしいんですが、そういう研究者とか、それから、いわゆる人文社会系で論文を書くということだけじゃないところに、要するに、社会実装みたいなことを自分もこの5、6年越し、相当目指してきたつもりがありますので、そういうことを具体的にやっているものを紹介していただけるような、そういう仕組みができるととてもいいんじゃないかなという気がいたしました。
 以上です。
【小林主査】  私も2つほど伺いたいなと思って、1つは、今原田さんがおっしゃったように、結局イノベーションって、新結合なんですよね、よく言われるのは。新結合のキーになるのは、今までまさかと思っていたようなものが結び付くということなんですよ。そうすると、どれだけ広く変わったところに何があるかということを見つけるかというのが大事なんですね。ところが、今、原田さんがおっしゃったように、どこで、誰が、どんなことをやっているかというのが実は見えないという。ほとんど属人的な偶然によって動いているところがあるんですね。これは大学の中でも同じで、大学内だからといって、どこの分野にどんなことをやっている人がいるかということを、理工系の中でさえ共有されていなくて、人社系と理工系なんかになると、ものすごく距離が遠い。それが本当に偶然でしかつながらないので、もう少しそういうものを大学の中で棚卸しするような仕組みを作らなくちゃいかんなと言っている状況ですよね。
 ですので、どうやって人文社会系の人を発見されているのかなということに、私がちょっと関心を持ったのは、そういう理由なんですね。これがわりと肝なんだろうと思います。こぢんまりとした成果を上げるんだったら簡単なんですけれども、イノベーションを本気でやろうと思うと、かなり今までにないつながりを作るといった思考や人材の組合せの飛躍が必要だろうというのが1つです。
もう一つ、私、伺いたかったのは、岩木ビッグデータなんかで、これだけのデータを、1,000名ぐらいですか、どうやってその1,000名を集めるのかなということですよね。つまり、このデータの研究というのはライフサイエンスの研究とどんどん似てくるわけで、社会をフィールドにする研究になってくるわけですね。だから、社会をフィールドにしないとできない研究をやっていくときに、このデータを提供する人はどういう大義名分で参加してくれているのかとか、あるいは、データを提供したら、それで自分にはどういう見返りというか、インセンティブが何があるのかというのを考えなくてもできるんですかね。なかなか1,000名って、例えば東京でやろうと思ったら、すごく難しいと思いますね。だから、どうやってこれだけの人数の人を集め、ちゃんとこれだけのデータを入手できるのか。個人データですよね。だって、便通から、口腔内細菌から、肝機能からなんて言われると、ドキドキしてしまいますよね。そんなデータとられてしまうのかというようなね。それは結構ハードルあると思うんですけれども、その辺はどうなんですかね。
【北村補佐】  まずは後者の方から申し上げますと、1つ、弘前の場合大きかったと思われるのは、十数年前からされているんですけれども、これを率いられているリサーチリーダーの中路先生という社会医学の先生ですけれども、地道にその地区の方々との関係を構築していたというところがまずはベースにあったんだとは思います。
【小林主査】  それがベース。
【北村補佐】  ただ一方で、かなりここの拠点がうまいなと思うのは、このデータをとっているのは弘前市の岩木地区というある特定地区ではあるんですけれども、データそのものをとるのはここでやっていますが、この拠点の活動をより県内に広く展開するに当たっては、例えば各地域の首長さん、市長さん、町長さん、村長さんレベルだったり、あるいは知事さんだったりとかという自治体のトップをちゃんと口説き落として、健康宣言を出していただいてみたいなトップダウンでやる部分をやっているのと、それから、医師会をちゃんと巻き込んでやっている部分と、更に市民サイドの健康リーダー育成みたいな形で、正に現場で活動される方々の教育レベルの話と、いろんな多方面でちゃんと攻めているんですね。そういった意味では非常に上手だなと思います。
【小林主査】  それは聞いてよく分かりました。RISTEXが長浜でコホート研究をやろうとするプロジェクトにファンディングしたときと同じような取組なので。でも、この資料を見ていると、そういうのが全く見えないですよね。これが人社系を巻き込んでとか、社会等を巻き込んでというふうに全然見えなくて、これだけのデータとったらこれだけのものができますという、わりと伝統的なポンチ絵ですよね。
【北村補佐】  そうですね。
【小林主査】  今のところが実は肝じゃないかと私は思うんですけれども、そこは是非もっとアピールしていった方がいいと思います。そういうことがないと、社会をフィールドにした研究ってできなくなってしまうという可能性もありますから。
 ほか、いかがですか。
【堀口委員】  今回、事例として2つ挙げていただきました北海道大学と弘前大学ですけれども、いずれもビジョンの事例になっていて、かつ明確に。私、もともと専門が公衆衛生なので、玉腰先生なんかも存じているわけで、どっちかというと、今、小林先生が言われたとおり、昔からのやり方とどこが違うんだろうと私も思ったぐらいなんですが、ほか、ビジョン2とか、ビジョン3ですかね、の方というのは、逆に言うと、私がやってきた研究からは、単語ですらよく分からないのですが、どのような形で進んでいるのか、もし簡単に教えていただけるのであれば、お願いしたいのですが。
【北村補佐】  かなり拠点ごとに色が違うものですから、ちょっとかいまつんでになりますけれども、例えばでございますけれども、ビジョン2で一番人社系が単純に人数的に多く関わっているのは実は東京芸術大学ではありますが、そもそも大学自体が人文社会系ということになりますので、ちょっとこれは置いておいてということにさせていただいて、例えばですけれども、広島大学さんとかですと、活動内容が感性に迫るということで、脳科学的な部分、非常に強くやっておられます。ただ、そこで得られたいろいろな知見を社会実装するという部分まで考えますと、当然ながら自治体との関係だったりとか、あるいは、各企業の実装部隊と話をしなきゃいけないということで、徐々に人文社会系の関与が必要なんじゃないですかという話は出ていますが、実はまだ、狙っているイノベーションの方向性が少しとんがっていまして、まだ人社系の先生方が中心的に活躍されているという雰囲気が出ていないところがあります。
 大阪大学の拠点なんかにつきましては、小林先生の前で申し上げるのはちょっとあれなんですが、人の潜在能力をいかに発揮していただくようにストレスコントロールをするかみたいなところをキーポイントでやっている拠点でございますので、ある意味それを社会実装するということになると、保健学の先生方とか、あるいは歯科の先生だけじゃなくて、自治体と組んで、それについての実証実験をするみたいなことをされますので、そういった意味でいうと、社会との接点のところで人社系の先生方に入っていただいたりというものが多分これから出てくるのかなと思います。
 ビジョン3につきましては、特に特徴的なことをやっているところを1つ御紹介すると、慶應大学の拠点がございますが、2ページの右下に「感性とデジタル製造を直結し、生産者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」と書いていますが、こちら、今、個人ベースでものづくりをするための技術として3Dプリンターがかなり普及してきたりとか、あるいは、レーザーカッターみたいなもので物を加工するみたいなものも随分できるようになっています。こういった個人ベースでもってファブという、ファブラボというところは今全国に随分できていますが、そういった場所でもってものづくりをどんどんやるみたいな、そういった文化が徐々に成長してきているところですけれども、そういうある一定の設計が提供されれば、あるいは、基となるような大まかな設計があれば、個人でそれをちょっとモディファイをして自分に合ったようなものをパッと作れちゃうみたいな、そういった世界が見えてきているわけなんですけれども、それをやろうと思うと、製造物責任法とバッティングするんじゃないかといったところが実は結構シビアな問題になります。作った物を、自分で責任を持って使っている部分はまだいいんですが、それを他人に提供した瞬間に、それを使うに当たってけがをしてしまったみたいな話が起きたらどうするんですかといったところは非常に課題になるところでございます。
 こういった部分、現状の製造物責任法だと、大量ロットで同じものを同一規格で作るというものを前提として、かつ、それをそれなりに体力がある企業が作るから、それに対する補償も含めて、企業側が全部見るのは当たり前という理念での法律になっていますけれども、ユーザーとそれを提供するサイドも含めて、どんどんどんどん現場の市民に落ちてくると、そもそもの法体系的にそこのカバーがどうなるのか、非常にあやふやなところがございます。
 そういったところとか、あるいは、データそのものはどんどん流通をしてしまって、同じものがいろんなところで作れてしまうんですね。そういったときには、じゃあ、その著作権はどうなるんだとか、意匠権はどういう扱いになるんだろうとか、そういったいろいろなセンシティブな法律上の問題が出てくるといったことがあるので、ここの拠点の中では完全にそれを議論する別部隊がちゃんとできていまして議論をしているといったこともやっています。
 なので、個々の拠点でもって抱えている実装に当たっての課題の中で人文社会系の問題が大きいところであれば、そういったものが実際に動いているといったところがあります。
【小林主査】  ありがとうございます。ちょっと時間もございますので、大変興味深い研究の御紹介を頂きまして、ありがとうございます。いわゆる理工系の研究がこういう形で何とか人社系と一緒にやりたいという、そういう試みも非常に大事なものだと思いますので、これまた後で議論するところでも素材にしたいと思います。
 それでは、次の資料に移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
【石橋補佐】  続きまして、資料1-2と1-3の関連でございます。きょう、JSTの真先理事に来ていただいておりますので、資料1-2、1-3の関係につきまして御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○資料1-2、資料1-3に基づいて、真先理事から説明。

【小林主査】  ありがとうございます。それでは、議論していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、この基本的な考え方。特にELSIに関する2種類のアプローチというものを御提示いただいているわけですが。
【藤垣主査代理】  よろしいですか。1点は質問で、もう一つはコメントなんですけれども、1つ目は、資料の1-3で、Bというものがございます。社会問題の俯瞰調査結果から入っていく。これは先ほどのセンター・オブ・イノベーションのCOIのときに、バックキャストという形で述べられて、市民の声を上げるためには、最初はフューチャーセッションを行ったというようなこととかなりパラレルだと思うんですけれども、そのように理解してよろしいですか。
【真先理事】  はい。そうですね。正にそういう考え方でよろしいかと思っています。更に言いますと、COIという1つの事業を更にもう少し大きな視点で捉えて、例えば、また後に説明あると思うんですけれども、未来社会創造事業というのも新しく実は今年度からスタートしてございまして、これもやはり経済社会のニーズを踏まえて、社会実装に向けてどうチャレンジングな課題を解決しながら社会実装に向けていけるかという、そういうテーマです。これのテーマ設定等におきましても、同様に、社会の声をきちっと反映させていくということもございます。
 このように事業ごとにやっていくのはやはりよろしくないと思いますので、むしろ全体で受けていくと。しかも、ある時点で1回やったらおしまいというのではなくて、やはり継続的に蓄積をしていく、そういう取組が必要なんだろうと思っております。実際、先ほど申し上げましたが、例えば未来館でございますとか、サイエンスアゴラというような取組、ずっと私どもやっておるわけでございまして、こういったところの機能も十分に生かしながら、社会の声も、様々なステークホルダーの声を取り込んでいきたいと、そういう発想も実はございます。そのようなイメージで考えておりますが、よろしいでしょうか。
【藤垣主査代理】  ありがとうございます。それでもう1点なんですが、ELSIに関しての言及がございまして、これは欧州とアメリカでは90年代からやっていることなので、これが取り込まれるということは大変画期的だし、これが前面的に出ることは非常にいいことだと思うんです。ただ、それだけではなくて、もっと先を目指していただきたくて。というのは、特にヨーロッパでは2011年ぐらいからELSIの次の概念としてレスポンシブルリサーチ&イノベーションですね。レスポンシブルイノベーションってどういうこととかって、徹底的に議論し始めていますし、実際にプロジェクトがもう動き出して3年目なんですね。そうすると、例えばオープンイノベーションとか、オープンアクセスとか、オープンスペースとか、そこへのエンゲージメントとか、そこで相互学習、ミューチュアルラーニングとかですね。あとは、分野の壁を越えたモビリティとか、いろんな分野で、高等教育とか、それから、イノベーションのことだけではなくて高等教育の中のレスポンシブルイノベーションは何かとか、相当議論が進んでいますので、そういうものを、2を膨らませていく上で、おそらくJSTさんがやっていらした1ですよね、社会技術の頃からずっとやってきたことは生かせるのではないかと思いますので、ELSIをやるということもよろしいですけど、その先を是非目指していただけたらと思います。
【真先理事】  大変貴重な御意見ありがとうございます。私ども、イノベーションをやるということが、必ずしも研究開発行為というか、それのみというふうな意識ではございませんで、更にそれを支える人材問題とか、正に様々な組織の方向性をどうむしろ作っていくのかというか、その辺をどうお手伝いできるのかという視点も非常に大きゅうございますので、是非そのあたりも視野を失わずに問題として捉えていきたいと思ってございます。
 どうもありがとうございました。
【小林主査】  今、せっかくレスポンシブルリサーチ&イノベーションという御紹介いただいたので、ELSIの先としてのバージョンアップのポイントというのはどこにあるのかというのを簡単に御紹介いただけますか。
【藤垣主査代理】  分かりました。ELSIは、どちらかというと、科学技術の倫理的・法的・社会的側面に特化した形で、科学技術が出た、開発が進んで、社会に実装が進み始めたときに始まったことなんですね。ところが、余りに製品が出来上がった後だと、それこそ、本当にそれが社会にとって望ましいものかとか、どういう形で規制すればいいのかが後手後手に回ってしまう。そこにテクノロジー・アセスメントが後から、つまり、もう製品が出来た後からでは間に合わない、もう少し上流の方から、市民とか使う人が関与して、ユーザーが関与して、コンストラクティブなテクノロジー・アセスメントをしなきゃいけないという流れから出てきたのがレスポンシブルリサーチとレスポンシブルイノベーションです。
 だから、関与とか、参加とか、相互学習とか、あるいは、クローズドなスペースでイノベーションを起こすんじゃなくて、もっとオープンにしましょうとか。オープンにすればそれだけ、先ほども特許の話とか、あるいは製造物責任の話が出てきたように、オープンにして相互学習するともちろん新しい問題は起こるんですけれども、それも壁を取っ払った結果として出てくる新しいものとして制度を作り直すという形で進んでおります。
 ですから、まず、オープンアップクエスチョンと言うんですけど、何が今問題で、それを相互に壁を取っ払って議論して、そこから先、じゃあ、そういう新しいことをやっていくためには、今の制度の何が問題で何を作り変えなきゃいけないのかということをやっていくという形で、勢いが非常にあるので、是非とも。日本でももちろん個別にはやっていると思いますけれども、それを大きな傘の下で、全体としてコンセプトも一緒にしながらやっていくというところは是非ともここでやっていただけたらと思います。
【真先理事】  ありがとうございます。先ほどの資料1-3のBのところに、若干多分……。
【小林主査】  ニュアンスとしては。
【真先理事】  若干入って、たまたまだったんですけど、入っているかなという気はいたしておりまして、「技術開発の上流部分から研究者とステークホルダーが協働」って、一応そういう文言を入れておるんですが、なかなかこれ、書くのは簡単なんですけど、どういうふうにやるのか、その辺ちょっと難しいところがありまして、またいろいろよく分析して対応してみたいと思います。ありがとうございました。
【小林主査】  そこに関係して、この資料の下の赤字で書いているところですよね。「問い」とか書いてありますよね。「問い」、「視点」と書いてあって、上流からという議論があって、例として「シンギュラリティと社会」とか云々と書いてあって、Emerging Technologyと書いておられますよね。エマージングテクノロジーって、実は左側の緑色のDisciplineの下の「萌芽的新技術」の英訳ではないかと思うんですが、だから、ここと同じことがここに出てくるというのは、この辺の整理をもうちょっとしておかないと混乱を起こすのではないかという気がします。
【津田室長】  今の言い訳になるかもしれないんですけれども、Aのアプローチって、やっぱり技術がやや見えてきたものという、ある種顕在化した何か問題というのが露呈したものというのをイメージしました。
 Bに関しては、まだそこまでも行っていない、正に萌芽的なものというようなイメージをしておりまして、実際、分子ロボット技術も、ある種見えてきているところもあるとは思うんですが、やはりそれよりも前の段階というのも少しイメージして記載しました。
【小林主査】  ということは、やっぱり左側のところの萌芽的新技術というのは、この赤い矢印とつながっているというニュアンスなわけですかね。
【津田室長】  そういうのもあります。これ、実際、矢印は双方向に一応書いてはいるんですが、実際、こううまく切り分けられるとは思っておりませんで、本来円で書くべきかなとも思ったんですが、画力がなくて申し訳ありません。
【小林主査】  あと、ほかいかがでしょうか。
【横山委員】  お話ありがとうございます。大学においてもSDGsに向けた活動というのはかなり始まっておりますけれども、我々の方で学内で話をするときに、まず足元にどんなプロジェクトや研究があるのかを整理してみよう、それがSDGsのどの色に相当するのかをきちんと理解しようということから始めております。最初に手を挙げていただいた自発的に私はここに当たりますという研究者だけでも本学では100人以上の方がいらっしゃいましたし、更に部局を通して詳細な調査をしようとすると、かなりの数が上がってくると思います。
 だけれども、そこでやはり1つ大きな問題だと感じますのは、それぞれの御研究は基礎的に非常にしっかりしたものなんですけれども、やはり社会の課題解決に向けたところの道筋というのはそれほどはっきりしていない。そこにこそ、JSTの皆様や、あるいは、社会学、人文系の先生方の御参加が恐らく必要なのであろうということで、一からSDGsに向けてプロジェクトを立ち上げようというよりは、既に多くある既存技術をどういうふうに組み合わせたらそこのルートが見えてくるのかという、そこに恐らく人社系の力が非常に必要とされているんだと思います。
【真先理事】  ありがとうございます。1つ大事なアプローチだと思ってございますのは、SDGsの17目標というのは、独立しているわけではなくて、それぞれ連関し合っているといったところが1つ難しいところでございまして、したがって、ある目標だけドーンとうまくいきました、別の目標はこうですという話じゃなくて、17目標、均等にと言ったらあれですけど、同時に高めていくアプローチがやはり難しいところがございます。こっちを立てれば、こっちが引っ込むとか、いろんな関係もあったりして、こういったところを解きほぐして、それでトータルとしてどういうアプローチで行くのかみたいなところもしっかり見ていきながら個別の課題を進めるという、そういう格好にしておかないと、全体がおかしくなる可能性があるので、こういう問題意識を持ちまして、そういうアプローチもかけられたらいいかなと思ってございます。
【小林主査】  田中委員、どうぞ。
【田中委員】  私も藤垣主査代理が言われたように「バックキャスティング」の話かと思って聞いておりました。であれば、「あるべき社会」のイメージというか、そういうものが目標として必要となり、そのための議論はなさる予定ですか。それはSDGsをベースとしたものなのか。あるいは別の視点から検討されるのか。
【真先理事】  次のSDGsをというよりも、我が国としてといいますか、やっぱりCOIで目指しているビジョンですね、そういったようなイメージというのはやっぱりございます。どういった社会にしていきたいかというところがあって、初めて、それを実現するにはというアプローチが考えられると思うんですけれども、そこのビジョンの議論もこういった場で行っていけたらなと思っております。
【田中委員】  議論に際しての各自が持ち寄る「材料」というのはどのようなものでしょうか。
【真先理事】  材料ですか。
【田中委員】  はい。議論するにも何かベースとなるものが必要かと。
【真先理事】  材料は、お集まりになっていただいたステークホルダーの皆様の御意見ということになろうかと思うんですが、当然ながら、今のSDGsというのは1つの共通言語的に持っていていい情報なのかなということで、そういう情報についてはお出ししていくとかいうこともあろうと思います。
【田中委員】  グローバリズムからのアウトプットが課題としてのSDGsであるとすると、それを参考にしつつも個々の研究者が持ち寄る経験知、暗黙知のようなものを「材料」にして社会のあるべき姿をイメージしていくということでよろしいでしょうか。
【真先理事】  はい。
【小林主査】  小宮山先生が以前からおっしゃっている課題先進国日本という議論が当然あって、この課題先進国の日本の課題というのは、決して日本国内に閉じた話ではなくて、例えば高齢化、少子化という課題は、グローバルな課題で、多くの先進国も日本の対応を見ているわけですから、そういう点では、国内のあるべき姿とか課題の検討は同時にSDGsなんかともちゃんとつながるような、そういう両方の目で眺めるような、そういうやり方がいいんでしょうね。ただ、SDGsだけを錦の御旗で走るというのはやや安易というのが田中先生の御指摘かと思いますので、その両方がつながっているというところが実は大事なのかもしれないと思います。
【田中委員】  保護主義の蔓延と言いますか、現在の世界はグローバリズムと反対の方向に進んでいると思います。状況も判断しつつ、塩梅もしくはバランス感覚が求められると思います。
【小林主査】  多分SDGsは10年ぐらいは国際的なアジェンダとして、いろんな研究機関や大学が自分たちの活動を意味付けるためのフレームの1つとして機能するだろうと思いますので、JSTの方も当然そういう観点から是非いろんなファンディングを含めた検討をしていただきたいと思います。
【堀口委員】  質問していいですか。素人なのでよく分からないんですけど、先ほどからステークホルダーの話を皆さんされているんですけれども、各プロジェクト単位でもちろんステークホルダーが集まってされているというのは事実でしょうが、ここの会議はステークホルダーじゃないですよね。
例えばこのSDGsにしても、プロジェクトに持っていくか、持っていかないかは別にしても、この言葉が一般、普通の人で、普通に中身が何となくこんなもんだよねと理解できるようになっていればもうちょっと前向きにいくのかなという気がしていて、私は別の省庁の会議にもよく出るので、そこは本当にたたかれる、何言っているか分からないって、単語すら分かりませんとはっきり言われたりもするんですけど、この資料をステークホルダーに見せて分かってもらえるのかなとちょっと思いつつ、やっぱりそこを、本当に私たちが科学技術のためにステークホルダーとともに前を向いていくには、ここの会議、ステークホルダーじゃないし、じゃあ、私がこの話をどこでステークホルダーの人としていけば。でも、サイエンスアゴラも参加していますけど、それはサイエンスに御興味がある方で、正に、さっき小林先生が言われた弘前大学の1,000人ぐらいの人たちとかがこのSDGsの話だったりとかが分かっていくことが日本のグローバリズムだろうし、発展につながると思うので、ここの場もステークホルダーになるように考えていただけないかなとちょっと思いましたので、よろしくお願いしたいと思います。
【真先理事】  ありがとうございます。
【小林主査】  この議論は本当に御指摘のとおりで、次回以降のこの委員会で議論するアジェンダの1つが、サイエンスコミュニケーションとかコミュニケーターとか、そういう議論と若干関係もしてくると思います。これはあくまでやっぱりどこかまだ政策担当者とか学者さんが抽象論で議論している部分があって、具体の現場で飲み込める形になっていないというのは御指摘のとおりだと思います。それについてはちょっと考えないといけないということで。
【真先理事】  1点だけ、短く言いますが、文部科学省ですと、国立科学博物館とか、私ども、日本科学未来館とございます。ただ、そこにいらっしゃる方も既に科学技術に大変興味がある方という前提でございます。問題は、そうじゃない方にどうアプローチをするのかというのは1つの大きな課題でございますので、またよく考えていきたい。
【小林主査】  中関心層とか低関心層へのアプローチというのをどう考えるかというのは、ずっと課題として10年ぐらい議論されていますね。おっしゃるとおりだと思います。
 時間ちょっと押しておりますが、続きまして、資料1-4に行きたいと思います。今回のこの議論を踏まえて、こういう考え方で進んではどうかという提案で、事務局の方から御説明いただきたいと思います。

○資料1-4に基づいて、石橋補佐から説明。

【小林主査】  ありがとうございます。きょうの資料なども踏まえた形でこういう文書をまとめていただきました。是非御意見いただきたいと思います。
【堀口委員】  先ほど藤垣先生の方から、このように先に進んでいますよというお話が出たので、そういうのも含めた上で訂正をしていただければと私は思います。なぜならば、先に行かないといけないと思っていますので。
【小林主査】  具体的にはどのあたりですかね。2ページのあたりですかね。
【堀口委員】  そうですね。何かそこでとまっているような文章になっていますよね。
【小林主査】  この再構成型のアプローチが、真先理事からもおっしゃっていただいたように、ややレスポンシブルリサーチ&イノベーションと似たニュアンスがあるんじゃないかという御説明がありましたので、ヨーロッパの動向ではこういうものがあるというのをちょっと書き加えるという手はありますね。そういう言葉をここに残すこと自体がメッセージにはなるのかなと。欧州の科学技術政策において、そういう言葉遣いでこういう方向のことをやっていますよねというのをメンションするというのは1つのやり方かなと。
 この文章、ある意味で私は、こういう分野、長くいますので、画期的だなと思うのは、「テクノロジー・アセスメント」という言葉が入っているんですよね。日本では長らくこれがなくて、先進国でやっていないのは日本ぐらいなんですけれども、どうしてもネガティブな印象があったんですね。研究の阻害をするとか、邪魔をするというニュアンスが研究者サイドにすごく強くて、ようやく両輪で、要するに人文社会系の知識を持って科学技術の在り方をちゃんと見ながら一緒に動かしていくという、それをテクノロジー・アセスメントと言っているんですよということなので、通常の国際的な理解に近づいたかなという気はいたします。
 これは人社系に対するすごいラブコールだと思うんです、この文書自体が。ただ、科学技術・学術政策局から発出して、そしてJSTでというふうにいくと、どうしても科学技術政策の観点で受け取られてしまって、人文社会系の方々にこのメッセージが届かないんですよ。これ、どうやって届けるかというのはやっぱり考えるべきであって、1つこれは御提案なんですけれども、学術会議に科学と社会委員会かな、何かそういう委員会があるんですね。これは学術会議と政府との関係でいろいろとキャッチボールをすることを1つのミッションにしているようです。例えばそういうところで、こんなことを考えていますということを御説明いただいて、そして、学術会議を通じて、第1部になるんですかね、人社系は、そういう方々にもこういう考え方を政府はしているんですよということのメッセージを伝えるみたいな、そんなことをされてはどうかと思います。私自身、科学と社会委員会の委員でございますので、そういうところでは協力もできるかと思っております。
【塩崎課長】  取りまとめさせていただいた暁には是非説明させていただく機会を頂ければ。
【小林主査】  そうですね。私の方でもちょっと考えます。
【田中委員】  小林主査の説明をうかがい、全体的に一方通行ではないかとの印象を受けました。つまり、人文社会に対して積極的に議論に参加しなさいと言う「ラブコール」は比較的送っているのではないか。それでは、人文社会の側はどうかと言うと、やや積極性に欠けるのではないか。例えばアメリカのケースですが、社会を支えている産業基盤は軍事とITも含めた金融だと思うのです。いずれも、自然科学というか、人文社会ではない。戦後、アメリカからの多分な影響を受けている日本においても、このことはさほど変わらないのではないか。これからは、AIであるとか、ゲノムであるとか。やはり自然科学が主流となりそうです。社会を支配あるいは変化させる重要な変数は、どうしても自然科学との親和性が高そうだと思います。人文社会は不要ではないかという議論が復活してしまわないのか。個人的には、人文社会は一層の危機感を持つべきではないかと考えます。先方からのラブコールを待っているだけではなく、主体的にかかわっていく意欲を見せないと好ましくない結果になってしまわないか。
【小林主査】  ヨーロッパは人文社会系のカウンシルが集まって、ビリニュス宣言とかで、人文社会科学はどういう存在意義を持っているのかを社会に訴えております。その中で彼らが言ったことというのは、ヨーロッパの人文社会科学というのは人文社会学の王道ですから、そのレガシーがあると、クオリティがあると。もう一つは、本当のイノベーションのためには俺たちが絶対要るはずだと。そうしなかったらいけないはずだというふうな宣言文を人社系から出しています。日本の人社系は、どちらかというと、レット・ミー・アローンなんですね、今のところまだ。
【小林主査】  そんなに金は要らないので、時間さえあれば研究が進むのでという人たちがまだ多いです。でも、もちろん若手の世代なんかはそんな感覚ではなくなってきているので、そういう世代の危機感をちゃんと酌み取るべきだろうなと。
【田中委員】  それでは、若い人たちをターゲットにする。
【山口委員】  今の全体の話だと、テーマ設定も含めて、全体のキュレーションみたいな機能がどこかに必要だという話だと思うんです。キュレーターなのかもしれませんけれども。それって、やっぱり人文社会学的なセンスが必要だと思うので、どういう社会にしたいかというテーマ設定も含めて、物理的な場とかメディアとかというのを人社系の人たちにリードしていただいて、作って、その議論に必要な技術者を呼ぶなり、寄稿してもらうなり、あと、制度的な問題とかというものを議論できる人を呼んでもらうなりして、問題を全体で捉えられるような、そういう場ができれば、もうちょっと人社系の人たちの関わり方も明確になってくると思うんですね。科学技術主導で進んで、そこにとってつけたように人文系がくっついているというのが、ほとんどのプロジェクトはそうなっているので、そこを1回がらっと変えるような、何か新しい、小さくてもいいので、そういう試みをしてみるのが面白いかなと思ってお伺いしておりました。
【横山委員】  今の御意見に非常に賛成です。理系の研究者を巻き込んで引っ張っていくときに、不可欠となるのがデータであると思います。参加型の熟議で出てくる議論の言葉というのは非常に価値が高いと私も感じておるんですが、理系への説得力としては弱い側面もあります。心理学のデータや経済学のパネルデータなどを駆使して、説得力あるデータを人社系から出して、それで引っ張っていくということを是非御検討いただきたいと思います。
【小林主査】  おっしゃるとおりだと思います。うちの大学も、データビリティフロンティア機構なんて作って、データから人文社会科学にアプローチするという、新しいものをやろうとはしていますが、やっぱり世代ギャップが大きいですね。残念ながら、50代後半以降は、いやあという感じになるわけです。でも、若手はそういうものに対する感受性の高いのがちゃんと増えてきていますので、おっしゃるような研究がこれから増えてくるし、国際的にはそういう研究がざらですので、日本、ちょっと遅れをとりつつあるという感じがあります。それは、人文系だけの問題じゃなくて、自然科学系にとっても困る構造だと思うので、それはちゃんとサポートしなくてはいけない。
 今文科省の方でも、統計データのベーシックな教育は、単純に理系の基礎教育ではなくて、21世紀の全分野の基礎教育だろうという形でファンディングされて、いろんな大学でそういう教育プログラムが走ろうとしていますので、多分データに対する感受性というのは、文理を問わず、21世紀の基本教養という社会に変わるはずです。
 それと、人社系主導型というのを一応、これ、JSPSがやって良かったかどうかは別にして、社会的課題解決型というファンディングを何回かやってきたと思います。ただ、惜しむらくは、JSPSにそのファンディングをきちっとマネージするだけのスタッフがいなかったので、進捗管理とまでは言いませんけれども、そこは余りうまく回っていないですね。科研費のマネジメントをやってきた組織だったので、どちらかというと研究者任せになりますよね。だけど、社会課題型という形でやろうとすると、ある程度マネジメントしないといけないんですが、それはやっぱりJSTなんかに比べると若干劣っているような気がします。そういう意味で、人社系に対するそういうものが余りうまくまだ機能していないのかなという気がします。
 ここは文科省サイドの方に1回考えていただいた方がいいのかもしれません。人社系の人たちは、JSTの存在を知らないとか、そういう構造があります。
 それから、昨年、軍事技術の問題で学術会議で議論していたときに痛感したことなんですが、人社系の方々は、科研費的な研究費の獲得しか知らなくて、委託研究という、JSTがなさっているような、ああいうものの存在そのものを理解していないということがありました。だから、委託研究の場合には、成果物を最終的に上げるという、そういう委託契約の中で研究をするわけですが、そういうモードというものを御存じないわけです。科研費の場合だと、そういう構造じゃなくて、補助金ですので、そちらしか知らなくて、研究というのはそれだというふうに理解されている。そこの認識のギャップって結構大きくて、その辺もちょっと詰めていかないと、議論が前に進まなくなるんです。入り口のところでこけるんです。そのあたり、これは日本の学術界全体の問題として共有しといた方がいいことかもしれません。それは本当に驚きました。学術会議に参加しているそうそうたる人文系の方々が科研費以外のモードの存在を知らなかったというところがありました。
人文社会系も科学技術に対してもっとコミットしてくださいという文言自体は第2期か第3期の科学技術基本計画の中に書いてありますよね。人文系が日本の場合ちゃんとコミットしてくれないのが問題だと。だから、是非やってくれというようなことが書いてあったんですけれども、あれは多分有本さんが関わっておられた時代でしょう。
 だから、それ以来の課題なので、これは本当にちゃんと人社系を巻き込むんだったら、幾つものチャンネルをちゃんと通して動かないと、また紙切れだけでJSTのところで一部細々とに終わる可能性があるので、それはもう変えないといけないんじゃないですかね。特にヨーロッパなんかがそういう大きな規模で動き出しているということがあれば。
 そうすると、今の御意見だと、2ページのあたりにヨーロッパのRRI(ロボット革命イニシアチブ協議会)のようなものが同じな方向性として非常に積極的に議論されているのだという文言をちょっと追加しましょうかね。
 ほか、いかがでしょうか。
【原田委員】  1点よろしいですか。せっかくラブコールを送っていただいているので何か言わなくちゃいけないと思っているわけなんですが、第3ページのところに、上から4行目だと思うんですが、「多様なファンディングスキームを適切な規模で継続的に確保」という点はとても重要なことなのではないかと思うんです。往々にして、科研費なんかもそうなんですが、我々のバックグラウンドである人文社会系というのは、たかだか3年計画で500万円とか、それぐらいの予算規模をマネージしたことしかないのが大部分でありまして、それを超えるような巨大スキームの研究費ということになると、それぞれの大学によって事情も違うんでしょうけれども、そういう事務処理を賄うようなサポート体制そのものが不十分であるとかいうようなこともあって、余り巨大過ぎるようなものになってしまう。私たちも、RISTEXでお世話になったときに、自分たちが普通知っている金額と2桁ぐらい違うような額を頂きましたので、自分が研究代表者をやっていましたので、もう大変な状況になって、かなり厳しい思いをした部分もあるわけなんですけれども、やはりそういうところで、これまでの住んでいた環境が違うということは絶対あると思いますので、そこを少しソフトランディングしていただけるような形の継続性を担保しながら、少しずつ変えていけるようなところにも目を向けていただけるとうれしいかなという気がします。
 それからあと、継続性というところで、前回の委員会でもちょっと発言をさせていただいたんですけれども、やはり物事を世の中に返すというのは、自分たちでやってみると、本当に長く時間がかかる。片田先生が釜石の奇跡を起こされたのも、実際に入られてから7年とか8年とかたってからだとおっしゃっていたんですよね。だから、それぐらいのスパンでないと世の中というのは動いていかないというのが、社会実装ということを本気で考えるときには、研究の計画とタイムスパンが全然違うような気がするんですね。
 ですので、そういう意味で、ある程度小規模でもいいから、首の皮1枚つないで息長く続けていけるような、先のCOIのあれとは真逆のようなことを申し上げて申し訳ないんですけれども、でも、社会に返していくというときには、そういう息の長い、しつこい、しぶといけどくじけない取組みたいなものを是非支えていただくような、そういうところに目を向けていただけるとすごくいいのではないかという気がしました。
 以上です。
【小林主査】  ありがとうございます。これはわりと大事なところで、理工系と違って人文社会系というのは大艦巨砲主義では回らない場面があります。それはおっしゃるとおりだと思います。
 それからもう一つ、RISTEXのときにも私も感じたんですが、人文社会系の研究者というのは、いわゆる旧帝大クラスのようながっちりとした事務体制と金額の処理をする能力を持っている組織だけではなくて、結構多様なところにいらっしゃいます。そういう方々が所属しているところでの経理システムとか、そういうものが、どうしてもJSTのやつというのは大艦巨砲主義型の、東大の事務なら当然やるようなというふうなところが前提になっているんですね、仕組みが。あれを、もっと小規模の大学とか、あるいは、大学じゃないところにファンディングすると、ものすごく大変で、それだけでもやめたいという声が出たことがあります。
【原田委員】  私、部下にそれ言われちゃいました。
【小林主査】  だから、そういうところの丁寧さがちょっとあったら、そんなに巨額のお金でなくても研究がちゃんと進むという、そういう性質を持っているという部分も配慮していただければと思いますね。
 あと、いかがでしょうか。経験に根差した言葉が大分聞こえましたけれども。
 あと、ここではファンディングのレベルでの継続というのはお書きいただいたんですけれども、この先には多分こういうことをちゃんとやる組織というか、人材を継続的にどうやって作るかという問題が次の課題としてはやっぱりあるのではないかと思います。前も申し上げましたけれども、いろんな情報科学に関する社会的な課題の研究というのは、かつて大きなファンディングで研究チームを立ち上げたことがあるんですが、ファンディングが終わった後、その研究をしていた人たちが雲散霧消するということが起こります。そして、その次に、また別のファンディングでゼロから同じことをもう1回立ち上げるということを繰り返したわけですが、欧米はそれこそしぶとくくじけずやっていまして、小さなものなんですけど、センターという形でずーっと続けていたので、アジェンダの継続性があって、ですから、今、多分情報科学に関する社会的な問題を議論するときのフレームワークというのは、多分アメリカと中国が作っていくと思います。日本はそれに対するフォロワーにされていく可能性が非常に高いと思います。それは、技術的な面での立ち遅れではなくて、そういう議論の蓄積と、それをやり続けていた人がものすごく薄いというところなんです。
 ですから、これからどんどん翻訳で、欧米の文書を翻訳して、そして議論するということが日本でまた始まるだろうと。これはそろそろやめるべきではないかということも思いますので、こういう問題に関心を持った若手の世代がずーっとこの問題に関わっていけるような仕組み、これをどう作っていくか、あるいは次の世代をどうやって作るかということは、日本の学術政策全体の中で考えるべき課題だと思います。そんなに巨額なお金は要らないので、こういうものを作るのは。
 産業界からもそういうものを日本でなぜないのかということを聞かれたりしておりまして、だったら、産業界も必要だと思っているんだったら、産業界もお金出して、国だけに頼らずに作りませんかというような話もしたら、それは考えてもいいねというようなことをおっしゃる産業界の方いらっしゃいますので、ちょっとこういうのを考えるチャンスになりつつあると思っておりますので、御検討いただければと思います。
 多分こういうのも国際会議なんかで誰に言ってもらうかというときに、人選困りません? 人が少ないですよね。
 いかがでしょうか、この際。今のところ、資料1-4については、若干の補足という形の追加記述という御意見を頂いておりますが、ほかにもこれだけはというものが何かあれば。
【伊藤文部科学審議官】  一言よろしゅうございますでしょうか。事務局は言う立場じゃないかもしれませんけれども、きょうお話いろいろと聞かせていただいて、大変共感するところ多かったと思うんですけれども、1-4の資料の最終的な位置付けについてはまた御議論いただければと思うんですけれども、少し気づいた点というか、あるいは、こういった点を今後少し議論していただければなと思ったところだけ申し上げたいと思うんですけれども、今日の議論にもありましたように、長らく基本計画、多分第2期か何かぐらいから人文社会科学との連携の必要性とかが言われてきて、なぜ進まないのかという、一番最初の議論にありましたのは、阻害要因というところもしっかり分析をしていただいて、そういった問題点を克服というか、乗り越えてきたようなヨーロッパなんかの例もあるとすれば、そういったところも是非御紹介していただいて、関係者に対する説得力のあるようなメッセージにまとめていただければなと思ってございます。
 それから、今後の取組のところに、この事務局案では、この連携とか共創を試行的に実施して、その結果を検証して展開していくと。そうだとは思うんですけれども、このサイクルをやっていると、すぐこれで2、3年終わってしまうと。かなり既にCOIみたいな形で試行されているプログラムもあります。そういったところはよりそういった動きを加速して、あるいは、今動いているところでどんどんどんどんこういった考え方を、各プログラムをマネージしているJSTさんもあれば、あるいは文科省の中の内局でマネジメントしているところもありますので、そういったところからまず始めてみると。そうすると、多分またここで想定しなかったような問題も出てくると思いますので、是非そういったスピード感を持ってこの問題を加速していただけるような議論をお願いしたいというのが2点目でございます。
 それから、3点目、人文社会科学と自然科学系という2つを挙げていますけれども、ステークホルダーの中で1つ重要なのが、イノベーションを社会実装するという上では、企業の役割というのが非常に大きいと思っております。JSTさんの資料の中に幾つかあったと思うんですけれども、この文章を見て、企業の方々が、彼らもどういう新しい社会的価値の中でビジネスを見いだしていくかということに非常に関心を持っておられると思いますので、そういった方にも響くようなメッセージというのを1つ織り込んでいただけるといいかなと思った次第でございます。
 事務局ののりを超えて申し上げてしまったようなこともあるかもしれませんけれども、よろしく御検討いただければ幸いでございます。
【小林主査】  ありがとうございます。大変力強い応援の言葉を頂きましたので、是非これは、事務局の方とも御相談しながら、そういう力強いものにしていきたいと思います。ありがとうございます。
【田中委員】  企業的な視点も取り入れるということは良いと思います。特に”Time is money”というか、費用便益(優先順位)と時間(スピード)という点について強調されていたのだと理解します。
【小林主査】  そうですね。ほか、よろしいですか。
 じゃあ、この方向で、今、伊藤審議官がおっしゃった方向を加味したものを整えるということで、これは次回にそれで提示するということでよろしいですかね。
【塩崎課長】  きょう提示させていただいたばかりですので、またメール等でいろいろと御意見を寄せていただきまして、また次回それを整えて、かけさせていただきます。
【小林主査】  ありがとうございます。それでは、もう一つ資料がございますので、その資料について御説明を頂きたいと思います。

○資料1-5に基づいて、塩崎課長から説明。

【小林主査】  ありがとうございます。これはちょっと新しい実験をやってみようということなんですが、いかがでしょうか。
【山口委員】  どうしても人文社会系の方々に対して、意見だけをくださいというふうな形に見えてしまうというところがあって、どういうのが車の両輪のイメージなのかなということをずっと考えながら聞いていたんですけれども、私がまだそこをイメージできていなくて。なので、ちょっと対案はないんですけれども、受けた印象としては、このような連携をやっていくんだけど、基本的には科学技術が主導して、折に触れて人文社会系から意見頂戴、それで直してまた改善して進めていきますというだけ、そんなふうにちょっと聞こえてしまったという、そういう印象でした。
【塩崎課長】  ポイントとしては、フェーズ0、フェーズ1は、どちらかというと、人文社会系の方からもきちんと意見を出していただくという、先ほどの社会問題Bの方の観点からきちんと主体的に入れていただくという観点を入れています。
 それから、フェーズ2、フェーズ3というのは、むしろAからの視点。先ほど連動といったところは、確かに言葉ではなかなか表現できないので、実際にやっていく中で、本当にどううまく作っていけるかというのは、本当にそこはトライアルなのかなと思っておりますけれども。
【小林主査】  RISTEXサイドからはどうですか。これはなかなかマネジメントが。
【真先理事】  MIRAIはMIRAIで1つの成果を出していくんですけれども、同時に、MIRAIの成果のみがアウトプットとならないような工夫が必要なのかなと。今の車の両輪というお話がございましたけれども、そこのところ、RISTEXとしてどういうアウトプットを目指していくのかという、そのイメージも持ちながら進めていくのが鍵なのかなとちょっと考えておりますけれども。
【小林主査】  これ、運営統括は、MIRAIの方に運営統括の方いらっしゃいますよね。
【真先理事】  はい。
【小林主査】  これ、RISTEXサイドにも何かそれに対応するカウンターパートを作るというイメージですか。それとも、運営統括は基本的にMIRAIの方で回すという。
【塩崎課長】  基本的にはMIRAIの方でやると思います。
【小林主査】  そうすると、RISTEXサイドのマネジメントをする人は何らかの形でいるだろうけれども、それは運営統括と連携するとか、その下にいるとか、そんなイメージなのかな。多分コミュニケーション問題が起こるでしょうね。なかなか2人が会う時間がないとか、そういう世界、物理的にまずそういう問題が起こってしまうんですよね。
【真先理事】  MIRAIも、まだ今年度、初年度のプロジェクトですし、よく現場の実態を見ながら柔軟に対応していきたいなと思っています。
【小林主査】  運営統括というのは、PIですか。何になるんですか。PO?
【真先理事】  PLとかPOになります。
【小林主査】  RISTEXとまたがる。ここの立て付け、意外と難しいですね。
【塩崎課長】  1つ考えていましたのは、COIのような形で研究開発の中に盛り込んでしまいますと、先ほど先生方が懸念されたように、研究開発が終わったときに、本当に雲散霧消してしまうんじゃないかという懸念があるので、これまで人文社会のネットワークが持っているRISTEXというセンターがありますので、きちんとそこで人材育成とかノウハウをきちんとため込んでいただくという、そういった機能をきちんと持つためには、車の両輪という意味では、そういった事業とRISTEXというような形でうまくかみ合わせていく必要があるのではないかと、そういったことを前提に考えております。
【真先理事】  1つよろしいでしょうか。この絵がMIRAIとRISTEXの関係を全て表しているということではなくて、あくまでもRISTEX自身が有しているシンクタンク機能の強化とか、そういったところがまずベースとしてあるという中で、MIRAI事業に関わる部分はうまくやっていくという、そういう理解ですよね。
【塩崎課長】  そうです。今、ここのところだけ取り上げましたけれども、RISTEXはこれまでもそういった俯瞰をやってきておりますし、そういった中核の事業はきちんとやる上で、研究開発活動との連携という観点でここは作らせていただいているということです。
【真先理事】  ちょっと誤解がないように申し上げておきますが、この絵だけではRISTEXの全体像が見えているわけではないということをまず認識いただかないと、誤解を招いてしまうのかなと。
【藤垣主査代理】 今議論で使われている車の両輪という言葉には少なくとも3つの意味があって、1つは、RISTEXとMIRAIの両輪ですよね。それから、ずっとこの委員会で議論してきている理系、自然科学系、それから、工学系の研究者と人文社会という両輪ですよね。
 あと、もう一つ、最後に考えてほしいのは、フェーズ1とフェーズ0は先ほどの説明があったB型で、フェーズ2はA型です。それは今までの議論と接続する上では良い説明だと思いますけれども、最終的には、津田さんが説明されたように、円環というか、両方ぐるぐる回しながら、共創、コプロダクションとかコクリエーションをやるわけですから、その3つの意味が込められて動き得るものとして捉えているというふうにやった方がいいと思います。
【真先理事】  おっしゃるとおりだと思っていまして、先ほどの大きな意味での両輪というのは、絶えずキャッチボールしながら両方回っていくイメージだと思いますし、そういった意味で、私の方で最初の方で説明した1-2の資料の関係で、多くのステークホルダーの共創の場の議論を是非JSTのファンディングにつなげていくといったところを具体化していく1つの、先ほど実験的なという話もございましたが、そういった意味で、その手法を具体的に開発するアプローチの1つとしてこの辺を進化させていきたいという、そういうことだろうと思っていますので、そのような理解で捉えていただくと有り難いかなと思います。
【小林主査】  時間も大分迫ってまいりましたが、MIRAIは具体で公募が始まっていましたっけ。もう採択されていますよね。
【塩崎課長】  29年度はもう。
【小林主査】  終わっていますよね。そうすると、この仕組みはどこから入れるというイメージですか。30年度採択?
【塩崎課長】  もう既に実は30年度ももう終わっていますので、31年度から組み込みを考えています。
【小林主査】  そうすると、ちょっと時間はあるわけですよね。きょうは、これ、まさしくコンセプトモデル、概念モデルの図になっているので、もうちょっと具体例のイメージを1回出していただいて、また、それで具体の議論ができればなと思いますけれども。やっぱり新しいことですので、すぐにうまくいくかどうか分からないんですけれども、タイムスパンとして31年度採択にはこういうものを組み込むというイメージだということを理解した上で、それに併せて1回具体的な議論ができるような資料があればと思いますので、またちょっとお考えいただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。大体時間も近づいてまいりましたが、特に文科省サイドから何かコメントがございますか。なければ、次回以降のスケジュールについてでございますが、課長、よろしいですか。
【塩崎課長】  結構です。
【小林主査】  分かりました。そうしたら、次回以降の。
【石橋補佐】  まず1-4の関係のコメントは、また頂戴できるような形でメールなりで連絡をさせていただければと思っておりますので、御協力をお願いいたします。
 次回以降、また年内に、この1-4の形を更にまとめて議論いただくような場で年内に設定させていただければと思っております。スケジュールにつきましては、また、皆様、予定を調整させていただいて、連絡させていただければと思っております。
 また、本日の議事録は、作成次第、また皆様にお目通しいただければと思います。その後、文科省のホームページで公表ということになりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上です。
【小林主査】  どうもありがとうございました。きょうは大変充実した議論ができたことを皆様に感謝いたします。
 それから、局長、それから、文科審の伊藤さん、官房審議官の信濃さん、全部2時間ぴっちりつき合っていただきまして、本当にありがとうございました。お忙しいはずなのに、どうもありがとうございました。
 では、次回、よろしくお願いいたします。これで終わりたいと思います。

―― 了 ――


お問合せ先

科学技術・学術政策局人材政策課

電話番号:03-6734-4191
ファクシミリ番号:03-6734-4022
メールアドレス:an-an-st@mext.go.jp

(科学技術・学術政策局人材政策課)